平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
 質問に先立ちまして、先ほどもアメリカでのテロ行為についての決議がなされたところでございますけれども、私どもの方からも一言申し上げたいと思います。
 また、去る七月十日、ご逝去されました故木下秀男議員に、謹んで心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 そして、去る九月十一日、アメリカで発生した同時多発テロ行為について一言申し上げておきたいと思います。
 テロ行為は、ニューヨークの世界貿易センタービルやワシントン郊外の国防総省などに航空機で突っ込むというものでした。多数の死傷者と行方不明者が出ており、今もなお懸命の救助活動が進められているところでございます。
 こうしたテロ行為に全世界は極めて深刻な衝撃を受けております。人命を無差別に奪うテロ行為は、いかなる理由や背景があろうとも絶対に許されない、野蛮で卑劣な犯罪行為でもあります。テロ行為の犠牲者と負傷者、ご家族と関係者の皆さんに心から哀悼の意をあらわし、お見舞いの心をささげたいと思います。
 懸念されるのは、アメリカが報復の軍事行動に出る準備が今進められているということです。報復攻撃はさらに悪質なテロ行為を呼び、軍事的報復の悪循環を招くことになります。テロ行為の根絶へ、軍事力による報復ではなく、国際法と証拠に基づき国際社会が共同して裁くことが必要ではないのでしょうか。
 日本共産党は、事態の打開と解決のため、本日、見解と提案を国連安保理事国、NATO加盟国、アジア諸国を初め、在京の大使館すべてに届ける予定となっております。日本政府としては、アメリカへの救難支援を行うことは当然でありますが、こうした軍事行動に協力すべきではないことを、この議場からあえて申し上げておきたいと思います。
 本来の質問に入ります。今回は、福祉保健部長に絞って質問をさせていただきます。
 まず、医療、福祉問題について質問を申し上げます。
 長引く不況、増大する失業など、厳しい暮らしのもとで政治が適切な対策を進めることが今本当に求められていると思うんです。とりわけ、医療や福祉における国民の負担が大きくなっていることは、深刻そのものです。
 今月六日、新聞各紙は厚生労働省が検討している医療制度の改革案について一斉に報じたところです。来年の通常国会に関連法案を提出したいとされています。その内容を見てみますと、高齢者の医療費の本人負担は、今年一月からふえたばかりというのに、さらに高齢者医療制度の対象年齢を七十歳から七十五歳に引き上げる考えが打ち出されました。医療費の患者負担が一定限度を超えたとき保険から払い戻しを受ける高額療養費についても、この一月に引き上げられたところですが、さらに上限を見直す計画もあります。
 負担がふえることになるのは、高齢者だけではありません。サラリーマンの本人負担を現在の二割から三割に引き上げることもあります。また、診療報酬の引き下げも検討課題になっており、これによって病院が経営を優先し、患者へのしわ寄せが増大することも懸念されるところです。さらに、二〇〇三年度からは健康保険料をボーナスも含めた年収を基準に計算するという計画も取りざたされています。
 皆さん、これが痛みを我慢せよとする小泉内閣の改革そのものではないのでしょうか。福祉においても、介護保険の保険料と利用料の負担は重くのしかかって深刻な状況を生み出しています。政府が財政が危機的な状況にあるからと国民負担をふやす方向での解決を求めているときに、地方自治体が唯々諾々とこれに従っていくのか、それとも住民の負担軽減のために国へ言うべきことは言うと同時に、県としてできる施策に取り組むのか。住民の暮らし、健康を守るべき地方自治体の真価がまさに今問われていると考えます。
 こうした立場から、幾つかの問題点についてお尋ねを申し上げます。
 一つは、医療費の負担の問題です。さきにも述べましたような政府案が本当に実行されたとなりますと、国民にとっては耐えがたい大きな負担になることはもう明白です。医療費の増大は経済的な負担だけでなく、受診抑制を引き起こす心配もあります。高齢者の医療費の自己負担の増大による受診抑制は、もう既に始まっております。かつて、サラリーマンの自己負担が一割から二割に引き上げられたとき、あるいはこの一月、高齢者の自己負担が一割負担になったとき、病院などでは患者が一割、二割、減ったと言われています。
 それだけではありません。強引なリストラによって多くの労働者が雇用不安に直面している今、体調が悪くても休んだらリストラの対象になりかねないとして、病院にかかるのを控える傾向もあります。高齢者の医療制度の対象年齢の引き上げや、健保本人三割負担への改悪など、こうした計画に対してはその中止を求める意見を県みずから国へ上げるべき時期ではないでしょうか。
 また、本県では、六十七歳から六十九歳までのお年寄り、三歳未満の乳幼児、重度の心身障害者、ひとり親家庭などに対して県単独の助成が行われてまいりました。これは非常に県民に歓迎されているところです。引き続き助成制度が保障されるものと期待をするものですが、いかがですか。
 ところが、県の財政の中期展望によりますと、県単独の補助金は見直しを徹底的に進めるとしています。私は、この見直しの中にこの弱者と言われる方々に与えられている補助金制度である福祉医療は含めるべきではないと考えるものです。これは、日々の暮らしと命にかかわる問題です。乳幼児医療についても、市町村が独自に対象年齢を引き上げるケースも今ふえています。それだけに、小さな子供を持つ家庭からは要求が非常に強いということと、少子化対策としても重要な課題です。
 さきに触れましたように、医療費については国が次々と患者負担をふやす方向を示しているときです。こういうときこそ、県が住民の暮らしを守るべきだと考えるものです。知事や福祉保健部長、福祉医療は絶対に後退させない、こうした姿勢をぜひとも示していただきたいと思うところです。
 今や、乳幼児医療費の無料化については拡充が全国的な流れでもあります。厚生労働省によりますと、一九九九年四月から一年間に、就学前まで無料にしている自治体の数は、通院の医療費で百三十から三百二十一自治体へ、入院の医療費についても四百六十三自治体から七百八十六自治体へとふえています。本議会でも、さきの六月議会で全会一致で国への意見書を提出したところです。県当局からも国へ強く働きかけをされることを強く要望するものです。そして、県としても現在の三歳未満から就学前まで対象を広げることもお考え願えないでしょうか。ご所見を伺います。
 もう一つは、介護保険についてご質問を申し上げます。
 制度が実施されて一年半、国も各自治体も「順調に推移している」と言っていますけれども、どうなのでしょうか。全日本民主医療機関連合会が、昨年十一月からことし二月にかけて介護実態の調査をしております。これは一万人以上の職員が参加をし、在宅サービスについての聞き取り調査です。二万二千二百二件の有効回答があった調査ですが、その調査で明らかになったことの一つは、介護保険による自己負担の増加がサービスの利用を抑制し、生活全体を圧迫しているという数字です。介護にかかる費用が制度実施前と比較してふえたと答えた人は七四・五%ありました。ふえた額の平均は一万百円、ほぼ五割の人がかなりの負担、あるいはやや負担と答えているのです。こうしたもとで、支給限度額に対するサービス利用率は四割程度です。サービスの利用回数や時間が減ったと答えた人は一割強でしたが、その理由として挙がっているのは、自己負担がふえたことが四九%、支給限度額が低いことが一八%、サービスが使いにくいことが九%などとなっています。
 サービスの利用時間は、平均週に十三・九時間でした。これは、介護保険がスタートするときに厚生省が示したモデルプランと比較いたしましても、約六割の低水準でしかないと指摘をされています。介護サービスの利用者は確かにふえてはおりますけれども、利用料の一割負担で必要量を利用できないという実態です。介護認定を受けたものの必要なサービスが受けられていない、この問題は過去にもこの議場で私は取り上げてまいりましたが、今もなおサービスを受けられる限度額の四割程度しか利用がないという状況は、本県でも変わりありません。ここに介護保険制度の最大の矛盾があらわれているのではないでしょうか。もはや負担の軽減以外ありません。
 介護保険料を国保税と一括して納付している場合にサービスが制限されるケースもあるというのも問題です。国保税は、払いたくても払えない世帯がふえています。本県の国保加入者の約半数の方の所得は百万円以下。もともと低所得の方が多いこと、長引く不況で経営の悪化あるいは廃業へと追い込まれる業者が相次ぐ中では、払えない人がふえる制度の上の理由があると私は思います。
 保険証が交付されずに資格証明しか持たない被保険者数は、八月末現在三千四百余となっています。二年前と比べると二百余ふえております。国保税を払えないため資格証明書が発行され、窓口で医療費を全額払わなければならない、あるいは国保税を滞納しているために介護サービスが制限される、こんな深刻なケースがどんどんふえていくことを大変心配するところです。この事態は、一九九七年十二月、介護保険法の制定とあわせて国保法に二つの改悪が行われたためです。
 その改悪の一つは、国保料を滞納している世帯に対し、保険証を取り上げ、資格証明書を交付することにしたこと。それまでは、保険証の返還を求めることができるという市町村の猶予の問題でありましたけれども、この改悪によって「返還を求めるものとする」というふうに義務規定にしてしまったことです。
 二つ目は、保険給付についてもその全部または一部の支払いを差しとめするものとするとして、本年四月からそのことがもう始まりました。いよいよ十月からは、六十五歳以上の一号保険者の介護保険料の満額徴収が始まろうとしています。本来、長寿は本人、家族にとって喜びであり、社会の宝であるはずです。なのに、次々と改悪される社会保障制度によって、病気を苦にした自殺者もふえています。国連は「長寿は二十世紀の偉大な成果」と位置づけてはおりますけれども、日本では、朝日新聞の四日付の川柳にも載りました「長生きは痛みに耐える我慢会」というふうに、高齢者が長寿を心から喜べない今の日本の政治の姿です。
 しかるに、これまで老人医療費、国保等の国庫負担を引き下げ、減らし続けた──負担を計画的に戻すなど、国民の命と健康に国、自治体は責任を果たすべきだと思うんです。我慢にも限界があります。低所得者の介護保険料や利用料の軽減措置を国として制度化することが最も重要であります。そして、国の制度化を待たずに県独自でも減免制度をつくる、こうした姿勢が今必要だと考えるものですが、いかがでございましょうか。
 二つ目の質問、児童虐待問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 先ほども質問がありましたが、児童相談所のあり方というものについては詳しくは述べません。私は、この児童虐待問題に早急に取り組む状態、体制強化ということについて、あえて取り上げていきたいというふうに思います。
 近年、児童虐待の急増が深刻な事態として社会問題となってまいりました。こうした中、子供の命を守るため、早期発見、早期対応をすべく昨年十一月二十二日、児童虐待法が施行されてまいりました。その実効性が期待をされるところであります。法制定とともに学校、保育所等からの相談がふえ、その相談も平成九年度の十倍になっています。
 私は、この質問をするに当たって、子どもセンターや児童養護施設の施設長さんにもお会いをし、ご苦労されている実態、あるいは今何を求めていらっしゃるか、こういった点についてもお伺いをしてまいりました。その中から、あえて人的体制の問題等についてご質問をさせていただきます。
 児童虐待に係る相談や対応に中心的役割を担うのは、県子ども・障害者相談センター、紀南児童相談所であります。すぐれた専門家を必要とする児童福祉司の法的配置基準、これは児童福祉法施行令では人口おおむね十万人から十三万人に一人と定められているものです。これは一九五七年以来、据え置かれたままになっています。
 業務の急増に見合った基準に改善すべきと、私ども日本共産党は国会の中でも八田ひろ子参議院議員が奮闘いたしました。しかし、この基本的な法改正には至りませんでしたけれども、地方交付税措置ということで、人口百七十万人に対して児童福祉司の配置をこれまでの十七人から二名ふやして十九人に増員をされました。本県も十一人から十二人にふえ、一応この部分についてはクリアをして今活動を続けています。
 しかし、この基準は最低基準にほかならないのであって、今後、複雑化し増加することが予想されているとき、さらには障害、非行、育成相談活動を含んだ相談活動をしなければなりません。ゆとりを持って、かつ緊急事態に対応できる今の人員でしょうか。大変心配するところです。何よりも、相談者と児童福祉司の間の信頼関係を確立することがまず大事であります。この配置基準の見直しを求めていただきたいというふうに思います。
 二つ目は、厚生労働省は虐待を受けた子供などの心理的ケアを必要とする専門的な認可施設として、情緒障害児短期治療施設をすべての都道府県に最低一カ所整備する必要があるとしています。新設困難な場合は児童養護施設の定員の一部転換等による整備を促進することを求めていますが、いずれの整備を考えておられますか。
 三つ目、虐待をしているのは実母が五〇%を占めています。十二年度で百六十件中百一件、実父が三十八件です。まだまだ子育ては母親に大きな負担が強いられている状況にあります。子育てに自信をなくし、閉じこもる母親が多く、周囲に相談する人もない中では、最も近くにいる我が子をたたいたりつねったりして自分の気持ちをぶつけると聞きます。特に二十代前半の若い母親の虐待が多いと聞きます。それがエスカレートして、子供の命にかかわる深刻な事態を招いているのです。内容的には、身体のあちこちにあざがあったり、身体的暴行やネグレクト、いわゆる保護怠慢あるいは拒否が多く、心理的虐待もふえている状況にあると聞きました。それだけに、育児相談が気軽にできる支援策が求められます。どのような支援を今行われているのでしょうか、教えてください。
 四つ目、児童養護施設における職員配置基準の見直しと専門職の配置について伺うものです。
 児童養護施設では、二歳から十八歳までの児童が身体的暴力や養育放棄、拒否、性的虐待あるいは心理的虐待を受けて、施設で暮らしています。国の基準は、三歳児未満は児童二人に対し保育士または児童指導員一人、三歳から就学前まで四人に対し一人、小学生以上は六人に一人となっております。この配置基準は、一九七六年からこの間、一度も改善をされていません。施設は、子供たちにとっては安心して自由に伸び伸びと暮らせる家庭でもあります。また、虐待を受けた五〇%が就学前の児童です。数字で見るならば、百六十件のうち就学前が七十四件、小学生が五十三件、中学生が二十五件、高校生その他が八件となっています。
 施設の方は、すべての年齢に対し、二人に一人あるいは三人に一人に改善して、とりわけ心のケアを重視することからも短期的には一人に一人の配置であって当然と、見直しを切実に訴えておられます。ある施設は九十名の児童を夜間四人で見ていますが、大変多忙をきわめていると聞きました。加えて、専門職として看護婦の配置をとの訴えも切望されています。何よりも、三歳児以下の子供たちが多数を占めるという状況にあることからも、緊急事態、発熱あるいはいろんな病気の症状を呈する、その判断に苦慮されていると聞きます。養護施設協議会としても国へ要望されているようでありますが、県としても国にぜひとも要請されたいと考えるものです。
 以上、この点について福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 以上で、第一回、終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 村岡議員にお答えを申し上げます。
 まず、医療保険制度の改正計画についてでございますが、ご承知の高齢化に伴う老人医療費の増大等により医療制度改革が不可避との観点から、現在検討が進められているところでございます。新聞報道等によりますと、今月の二十五日前後にも厚生労働省案、いわゆるたたき台が示されるとのことでございます。
 いずれにいたしましても、このたたき台をもとに広く意見を集約の上、政府案が決定され、次期通常国会において持続可能で安定的な医療保険制度の構築といった観点から論議されるものと考えてございます。
 県といたしましては、制度改正に当たりましては、地方財政への配慮、低所得者への配慮、こうしたことについて強く要望しているところでございます。
 次に、県単事業の福祉医療補助の継続と乳幼児医療費の年齢拡充についてでございますが、県では、財政健全化のための財政運営プログラムに基づきまして、あらゆる事務事業の評価検討を行っているところであります。福祉医療費助成四事業につきましても、今後、限られた財源の中で増大、多様化するニーズに対応するため、福祉施策全体で今後のあり方について検討をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、介護保険の保険料利用料の減免、減額制度についてお答えをいたします。
 保険料、利用料の県独自の減免制度の創設につきましては、現時点では困難であると考えております。今後とも国に対しまして、恒常的な生活困窮者への減免要件の拡充など、低所得者に対する負担軽減を要望してまいります。
 いずれにいたしましても、県といたしましては、保険料につきまして引き続き市町村との連携を図り、保険料についての県民の皆様のご理解を得られるよう努力をするとともに、滞納者に対しましては実情に応じたきめ細かい納付相談を行うよう市町村を指導してまいります。また、利用料につきましては、県民の皆様が必要な介護サービスを利用できるよう、県民への啓発、ケアマネジャーへの指導、介護サービスの充実等にさらに努めてまいります。
 次に、児童虐待問題についての児童相談所児童福祉司の配置基準についてお答えを申し上げます。
 児童相談所では、増加する児童虐待の相談に対して職員一丸となって、通所指導、家庭訪問を初め、被虐待児のケアや親に対する援助等、きめ細やかな対応に努めているところでございます。本県の児童福祉司は現在十二名を配置しており、人口九万人弱に一名を配置している状況は、ほぼ全国平均でございます。虐待に関する相談件数は今後ますます増加するものと思われ、実態に応じた児童福祉司の配置基準の見直しについて、国へも要望をしているところでございます。
 次に、情緒障害児短期治療施設の整備でございます。
 情緒障害児短期治療施設は、軽度の情緒障害を有する児童を短期間入所または通所させ、心理治療や生活指導を行う施設でございます。情緒の安定を図り、社会的な適応能力を回復することが必要とされる児童については、現在、児童養護施設や児童自立支援施設に入所することにより生活指導を行うとともに、必要に応じて児童相談所職員や精神科医による継続的なカウンセリングを行っているところであります。議員ご指摘の情緒障害児短期治療施設の設置につきましては、今後検討していく重要な課題であると考えてございます。
 次に、子育て支援策についてでございますが、児童虐待の早期発見、早期対応のため、昨年度、主任児童委員や保育所の関係者等、四百二十四名を地域協力員として登録し、地域ぐるみで虐待防止に取り組むネットワークづくりを進めているところであります。また、保育所の有する専門的機能を生かし、地域に開かれた社会資源として子育ての中心的役割を果たすよう、地域子育て支援センター事業を推進しているところであります。さらに、乳幼児健診時に育児相談を実施しており、子育てに問題が見られるようなケースについては保健婦等による家庭訪問等も実施し、虐待発生の予防、早期発見に努めているところであります。乳幼児健診の受診率は九三%で、未受診者につきましても家庭訪問等、対応をしております。
 二十代前半の若い母親による虐待がふえている件に対して、高校生を対象とした乳児健診体験学習の場を通して命のとうとさを実感してもらい、母性、父性の健全な育成を目指す事業も展開しているところでございます。今後も、子育てに不安を抱える保護者を地域全体で支援してまいりたいと考えてございます。
 最後ですが、児童養護施設の職員配置基準の見直し、専門職の配置についてお答えをいたします。
 児童養護施設の職員の配置基準は児童福祉施設最低基準で定められておりまして、県内七カ所ある施設ではこの基準はクリアをしてございます。虐待等により児童養護施設に入所する児童が増加しておりまして、看護婦の配置等につきましては、各施設からの要望も伺っている中で、近畿府県のブロック会議等でも協議しながら国にも伝えてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたが、大変冷たいなという返事を受けました。
 いずれも今、医療の問題にしても、福祉問題にしても、やはり県民の皆さん方が将来不安、とりわけ高齢者の方は生活不安とあわせて健康に対する不安というのは一層強まっていると、こういう時期に来ていると思うんです。そして、介護保険が去年から始まりまして、矢継ぎ早に保険料とあわせて医療制度の改悪、いわゆる患者負担がうんとふえてきたということから考えても、老後を安心して生きられるという保障が本当になくなってきているということが今言えるんじゃないかというふうに思うんです。あえてそういうときに、今部長がいみじくも、九月二十五日ごろには改革案が示され、それをもって論議がされて来年の通常国会に出されるだろうと、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、これまでは、制度問題について県は口を挟むことはできないとか、あるいは国会の論議の推移を見守りたいというふうに、他人事みたいなことで済ませてきていたんですよね。でも、もはや今の時期になって、本当にこれだけ県民の人たちが困っている問題を、真っ正面から国に物を言うというその姿勢をきちんとしていただきたいなと、痛切にこのごろは思うんです。
 そういう点でも、今部長が、二十五日ごろに具体的な改革案が出てきた──では、通常国会に出されるまでの間に、県はその案に対して、今の県民の実態から見て、実態調査もされるでしょうし、そういう人たちのいろんな声を聞いた上で、これに対して国に物を、意見を言われるのですか、言われないのですか、このことについてお答えください。
 それから、同時に県が国の制度の不足している部分を補うという点で、高齢者の負担や子供を持つ母親あるいは障害者、あるいは母子家庭、父子家庭の皆さん方の経済的な負担を軽減するという趣旨の中でつくられている四つの福祉医療の問題ですけれども、今、県政の中でこういう福祉の問題で光っているのはこれだけですよね。県民が非常に喜んでいる制度というのは。これが非常に歓迎されている。お年寄りの方々は、六十七歳になった、医療費の負担がもう軽くなって本当にうれしいんや、あと一年やとか、あと何日やとかという声を聞くんですよ。こういう期待を裏切ることのないように、ぜひともこの福祉医療制度については堅持をしていただきたいと思うんです。
 今、ひとり親家庭の場合ですと、児童扶養手当の問題も切り下げられようという計画があるやに聞いております。そういう点でも、これから日本の国を担っていく、和歌山県勢を担っていく子供たちに対する医療費助成というものは、少子化問題の中から考えても削ってはならない問題だというふうに思います。
 これはもう受診の皆さん方には全く言うことはありませんけれども、引き続き四つの医療助成制度については、知事、福祉保健部長、頑張ってくださいよ。みんなの期待を裏切らないようにしていただきたいなというふうに思います。金がないからということだけで切り捨てないでほしいということです。
 そして、同時に、赤ちゃんの医療費については、三歳児以下が所得制限なしで輝きを示しているわけですけれども、さらに全国的には就学前まで、あるいは小学校を卒業するまで拡充されている自治体もふえつつありますから、せめてこれは就学前までに拡大をしていただきたい、この点についてはぜひとも実現をさせていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 介護保険の問題については、もう矛盾がたくさん出てきているわけですから──確かに、利用者はふえています。しかし、この負担が非常にふえている現状のもとで、六十五歳以上の方々が非常に病気を苦にする──ということだけではありませんけれども、自殺者が年々ふえてきているということにも注目をしなければいけないんじゃないかというふうに思うんです。平成十年は九十一名、そして十一年が九十四名、平成十二年、百五件です。平成十二年は、自殺者が三百五十人ある中で六十五歳以上のお年寄りの自殺が百五件というふうになっています。そして、平成十三年の八月末までの六十五歳以上の人の自殺者というのはもう既に七十二件を超えていますから、この問題には大変注目をしなければいけないだろうと。高齢者の生活、そして健康や命の問題としても注視していく必要があるのではないかというふうに思います。
 ぜひとも、国に対して──もう重点項目として既に厚生労働省には要望を上げていらっしゃいますけれども、もっともっと積極的な姿勢を示していただきたいということとあわせて、国の制度に先立ち、和歌山県でも低所得者、こういった人たちの部分についての減免制度、そういったものをぜひともつくっていただきたいと思うんですが、もう一度この点について答弁をしていただきたいなというふうに思います。
 その中で、特に子供たちが──和歌山県の十二年度の人口動態調査の中ですけれども──出生数が和歌山県は九千五百六十六人生まれています。亡くなった方、これは一万二百二十五名という数字が出ているわけですけれども、生まれてくるよりも死ぬ数の方が多いという実態ですね。その中で、乳児死亡者というものが二十六名ありますし、また今のように自殺で亡くなられる方というのもあるわけですから、そういう点で見れば、本当にこういう弱者の人たちの福祉的な問題をどういうふうにカバーしていくのか。助成制度そのものをあえて削ることの方がいいのかどうかということについて、ぜひとも考えていただきたいというふうに思うところです。
 それから、虐待問題についてですけれども、既に人的体制の問題については、法が非常におくれている中、実態とかけ離れている現状のもとで非常にご苦労をされているのが児童相談所の児童福祉司の皆さんであり、また養護施設の職員の皆さんなんですね。特に、児童相談所の中では、やはり昼間の相談も多いけれども、お母さんやお父さんたちの働く職場の環境状況から、夜に相談時間を設定することが随分とふえてきているそうです。そういう点で十分配慮しながら子供たちを保護していく、そしてお母さんたちの相談をきちんと受けとめて対応したいという、そういう福祉司の皆さんたちの努力は大変なものだと思うんです。
 そこで、きょう、ちょうど朝日新聞に、アメリカとの比較というのが載っておりました。しかし、アメリカはもう既に随分と進んでおりますので、そこを対象にするというのもどうかと思うわけですが、せっかく法律ができた、それを実効性のあるものにしていくためにも、とりわけ専門家いわゆる児童福祉司をふやすこと、その必要性をここでも書いております。特に、児童福祉司の仕事というものをここへ書いていると思うんです。
 読み上げてみますと、「児童福祉司には、子どもから聞き出す能力、親への指導力、家庭の状況を把握する観察力や洞察力、さらに子どもを親と引き離すべきかどうかを決める判断力などが必要だ。ひとつ間違えば子どもの命を失うことにもなりかねず、迅速で的確な判断が求められる」と、こういうふうに非常に重要な福祉司の問題ですから、これは最低基準をクリアしていればいいという問題ではなくて、福祉司の皆さんたちが専門性を発揮でき、そして和歌山県の虐待そのものをみずからが解決していく先駆的な役割を果たすと。そういうような立場をぜひとも理解をしていただいて、県独自でもふやしていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。この点についてお答えください。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) まず初めに国の制度改正の関係でございますが、今まで経験したことのない高齢社会が到来をしてございます。先ほども申し上げましたが、地方財政への配慮、低所得者への配慮等、引き続き要望してまいりますが、二十五日までは今のところ考えてございません。引き続き要望はしてまいります。
 それから県単の福祉医療の事業でございますが、十分議論、検討をさせていただきます。
 それから三点目、これも国への要望関係であったと思いますが、介護保険制度、また児童相談所の体制等、国への要望等、しっかりと要望をしていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ぜひとも今部長が言われたことを実践していただくように、重ねて要望しておきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十二分休憩
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