平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松本貞次議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十六番松本貞次君。
  〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。通告に従い、質問をいたします。
 まず、同和行政について。
 地対財特法の期限切れと新たな同和行政、人権行政の創造を求める時代の流れ、時が来たと思います。承知のように、二〇〇一年度末には現行地対財特法の期限切れを迎え、これに伴い、特別措置という手法を中心とした時代は終わります。しかしながら、このことは同和行政の終結ではありません。なぜならば、部落差別が現存しているからであります。
 周知のように、一九六五年八月に出された同和対策審議会の答申では、「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」と、明確に述べられています。また、一九九六年五月に出された地対協の意見具申でも、「特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取組みの放棄を意味するものでないことは言うまでもない。一般対策移行後は、従来にも増して、行政が基本的人権の尊重という目標をしっかりと見据え、一部に立ち遅れのあることも視野に入れながら、地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努め、真摯に施策を実施していく主体的な姿勢が求められている」と指摘されています。さらに地対協の意見具申では、特別措置から一般対策へ移行するに際して、「既存の一般対策の状況、なお残されている課題の状況、地方公共団体の財政状況等を踏まえた上で、これまでの施策の成果が損なわれるなどの支障が生ずることのないよう配慮すべきである」との条件が示されています。
 だが、来年三月三十一日が来れば地対財特法の期限が切れ、一般対策へ移行していくのが現実であります。三十年間の同和行政の成果は、今まさにゴールに到達しようとするときにまた後退はしないだろうか、和歌山県内の同和地区には残された課題が多くあるが、すべて一般対策で対応できるのか、懸念をされるところであります。しかし今後、新たな同和行政の創造に向けて取り組まなくてはなりません。新たな同和行政とは一般施策を活用したものとなりますが、既存の一般施策を最大限活用する方向を見出すことが一番大切であります。
 ところが、適当な一般施策がない場合、あるいは既存の一般施策の水準が部落の実態と合わない場合、新たな施策の創造や一般施策の充実を考えなくてはならないと思うが、福祉保健部長の答弁を求めます。
 また、一九九六年十二月に人権擁護施策推進法が制定されました。昨年十一月には人権教育・啓発推進法が制定され、「国、地方公共団体及び国民の責務」が明らかにされました。また本年五月二十五日に、人権擁護推進審議会において「人権救済制度の在り方について」の答申が出されました。その中に、部落問題にかかわって、結婚差別、「部落地名総鑑」等の差別表現行為については人権救済機関みずからが裁判所でその排除を求め、人権侵害の防止を図っていくことが必要であるとしています。今まさに同和問題の新たな展開、新たな同和行政の創造が求められているときであります。
 木村知事は、早くから県条例の制定を言われておりますが、部落差別撤廃・人権条例をいつごろ策定の予定か。また内容は、どのようなスタッフで、どのように議論を重ねて取り組むのか、知事の答弁を求めます。
 次に、歴史と伝統のある和歌山県同和委員会についてお尋ねをいたします。
 まさに輝かしい歴史と伝統のある県同和委員会が、本年度をもって新しい組織体制づくりをと、方向を示されました。昭和二十六年の京都のオールロマンス差別事象、昭和二十七年の県議会議員差別事件を契機とし、和歌山県は同和行政を重要な施策としてとらえ、全国に先駆けて昭和二十七年に同和問題研究委員会を委託機関として設置し、実践活動が行える推進機関として昭和三十一年に県同和委員会を設置いたし、現在に至っています。この間半世紀、同和問題に関する調査研究、県民への啓発指導、地方・市町村同和委員会と行政が一体となった県民みんなの同和運動を展開してきました。その結果、同和問題に対する県民の認識が高まり、同和問題解決への明るい展望が見えてきました。このことは、同和委員会の果たしてきた役割、功績が大であると考えます。しかし残念ながら、部落差別はまだ私たちの日常生活の身近なところに存在し、同和問題は今なお、過去の問題ではなく、現在の課題であるとも言っております。
 こうした中で、県同和委員会は、輝かしい伝統と経験に学び、新たな運動の展開を図るべきときに来ているとの考えで、あらゆる人権問題の解決に向けて取り組み、同和問題への取り組みが後退したと県民に受け取られないよう二十一世紀の新しい時代に最もふさわしい、最も新しい組織体制づくりを考えてほしいとの要望を行政に対して提出し、また県同和委員会は現体制で本年度末まで活動するという基本的方向を示されました。
 そこで、今までの県同和委員会の果たしてきた役割、功績を知事みずから総括していただきたい。また、福祉保健部長より今後の方向を示していただきたいと思います。
 次に、男女共生社会の実現に向けた取り組みについてであります。
 男女が対等な社会の構成員として、あらゆる分野に参画する機会を確保され、利益も責任も共有する社会を目指して、一九九九年六月に男女共同参画社会基本法が公布・施行されました。また、法制定に当たって附帯決議された、女性に対するあらゆる暴力の根絶などを盛り込み、具体的に取り組むべき施策の方向を示した男女共同参画基本計画が二〇〇〇年十二月に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が本年四月に公布されるなど、男女共生社会の実現に向けてのうねりが大きくなってきています。この背景には、少子・高齢化に伴って本格的な女性の社会参画が急がれることや、国際的にはILO百五十六号条約、ILO百号条約の批准、国内的には育児・介護休業法の制定、改正雇用機会均等法の施行等、数々の法整備がありました。
 さて、これらの実質的な具現化がこれからの大きな課題であろうと考えます。基本法のすばらしいところは、一つは性別役割分業社会から男女が対等で平等な社会という目指すべき社会像を明確にしたこと、次に男女平等の実現を必要と認識したこと、また女性差別撤廃に向けた法の根拠ができたこと等があります。だが、具体的な内容や罰則などが明記されておらず実効性に欠けていることや、「国民」という表現を使用し、在日外国人の視点が抜けていること、また部落女性を初めとするマイノリティーの女性、独居高齢女性など、最も困難な状況にある女性の人権尊重に向けた施策が抜け落ちていることなど、限界も感じます。
 基本法第三条に、「男女が性別による差別的取扱いを受けない」とあります。これは、性別による差別的取り扱い、そのことによる人権侵害がこの社会に存在し、その被害者を救済するという姿勢を国が示したということで画期的だったと、私は評価しております。
 言うまでもなく、女性に対する差別は今も残っています。女に学問は要らないということで義務教育すら受けられず、文字を奪われた女性たちが私の身近におります。教育と経済活動から疎外され、複合差別を受けてきた非差別部落の女性たち──差別は人と人とを分断します。非差別部落の女性たちを中心とする識字運動、文字を取り戻す運動は、その営みの中で自分の内なる力を掘り起こし、社会を変えていく力となり、その過程の中で分断されてきた人間関係を修復する、まさしく女性のエンパワーメントであります。
 和歌山県においては今年度中に条例を制定すると聞いていますが、そういった基本法で抜け落ちている部分を補っていく条例となるよう、要望をします。
 さて、先ほどから述べておりますように、女性を取り巻く法的状況は大きく前進しました。しかし、身の回りを見ますと、余り変わっていないのではないかというのが実感です。例えば、この議場を見渡しても全く変わっていないということであります。私はここに来て十五年になりますが、県当局の席に女性が座ったことを見たことがありません。また、先般、貴乃花関が人々の心に大きな感動を与えて優勝した、大相撲夏場所の表彰式のことであります。小泉首相が、よく頑張った、感動したと言って重たい優勝杯を手渡しました。もし、小泉首相ではなく、今人気の田中真紀子外務大臣だったらどうなったでしょう。やはり、大阪場所での太田知事と同じように土俵に上がれなかったのではないでしょうか。女性であるという、ただそれだけの理由で土俵に上がれないなど、時代感覚からすればいかがなものかと思われます。
 ならわしや風習、伝統が今日あることも、事実であります。伝統は、それなりに守るべき理由などがあって、古いからだめだというものではないでしょう。すばらしい伝統、地域に伝わる先人の知恵など、後世に残しておかなければならない大切なものもあるでしょう。しかし、汚れ意識に基づいて女性を排除することを、伝統だからと門前払いするのはいかがなものでしょうか。
 また、民法第七百五十条の夫婦同一姓の問題、同じく民法第九百条の相続分差別の問題、七百三十一条の結婚可能な年齢の男女差、七百三十三条の女性だけに求められている再婚禁止期間等もあります。
 女性差別撤廃条約に、報告書の提出の義務があります。その女性差別撤廃委員会での場で、日本政府に対して、先ほど述べました民法に規定する、例えば約九八%の夫婦が夫の姓を名乗っている、女性のみが再婚するとき六カ月かかる、また政府決定に携わる女性が余りにも少ない等、百項目以上の質問やコメントが出されたそうであります。それらを十分に考慮していかないと、男女共生社会も単なるかけ声だけの絵にかいたもちになってしまうと危惧します。男女共同参画社会基本法の理念をいかにとらえ、現実のものにしていくか、まさしく正念場であると思います。
 そこで、知事にお伺いをいたします。知事は、ならわしや風習、伝統に対して、それと女性差別との関係においてどのように考えておられるのか、知事のご所見を賜りたいと思います。
 知事は、本年四月に共生推進局を設置し、男女共生社会実現に向けて取り組みを始められております。私は、男女共生社会の実現には、啓発を初め、人材の育成、子育て、就労等の環境整備等、各部局にわたる課題があり、全庁挙げて総合的に施策を進めていくべきだと思いますが、このことについて知事は具体的にどのような進め方をしていくお考えなのか、お伺いします。
 また加えて、男女共生社会を実現するためには県が積極的に取り組むのは当然でありますが、今後、住民にとってより身近な市町村における取り組みも、一層重要性を増すものと思われます。基本法では市町村の努力義務と規定をされている行動計画の策定、また市町村条例の制定についても不可欠であると考えますが、この点について県はどのようにお考えなのか。また、市町村におけるこれらの取り組みをどのように促し、男女共同参画社会の形成に向けてどのように連携していくのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 最後に、聖域なき行政執行についてお尋ねをいたします。
 「聖域なき行政執行」とは、何か。木村知事が、知事就任後、「行政執行を進める上で聖域をつくらない」とよく言われていますが、このごろ小泉総理も木村知事のまねをして「聖域なき構造改革」、「聖域なき行政改革」などと、よく耳にいたします。「聖域」とは何か。「清らかな地。侵してならない区域」と辞書には書いています。そのようなものに左右されずに行政を進める──まさに私は勇気だと思います。木村知事、勇気を持って聖域なき行政執行を進めてください。
 しかし、人の夢、熱き思い、人と人とのつながり、友人、知人、また古き伝統、人間のしがらみが聖域をつくっているのではないか、こう思う一人であります。特に選挙。私も選挙を七回すると、選挙さえなければもっと友達とうまい酒を飲めたのにな、選挙さえなければもっと多くの友達ができたのになと思うことがあります。選挙をすればするほど人と人とのしがらみがふえ、その聖域が広くなるのではないか。それを断ち切って政治を進める──立派でございます。木村知事、その姿勢を貫き通してください。
 私は、仮谷知事、西口知事と歴代知事のご指導を仰ぎながら、政治の何たるかを学んでまいりました。
 そこで、白浜の工科大学についてでありますが、西口知事が提唱いたしました。そのとき、大学設立は県財政を考えると厳しいですよと、何人もの議員が口を酸っぱく、何回言ったことでしょう。でも、西口知事は、十年先、二十年先の和歌山のために航空工学、宇宙学は必要だ、十年先、二十年先にこの和歌山から宇宙飛行士が生まれるかもしれない、航空整備士、宇宙整備士も、未来のビジョンを考えると、まさに未来のある、まさに若者に夢と希望を与える人材育成のための工科大学の設立ですと、こう熱い思いを語ってくれたことを思い出します。平成十二年には基本設計、実施設計を進め、また教員候補も職員採用も内定しました。でも、その熱き思いを木村知事は、凍結と言いました。だが、その反面、旅田和歌山市長の提唱する和歌山創造大学については、先般、県庁近くの市有地と交換する形で医大跡地を譲渡する方向を示されました。これはまたいかがなものかと考えますし、不思議でなりません。
 また、雑賀崎沖埋め立ての和歌山下津港湾整備計画についても、特に橋本進先生が先陣を切って推進の論を発したことを記憶いたしております。これも、多くの仲間が数多く議論を重ねてまいりました。港湾審議会第百六十四回計画部会では、平成九年十一月二十八日の答申で、原案のとおりおおむね適当、景観について検討されたいとのことで、平成十年には景観検討委員会を設置し、景観上容認できるよう計画の一部を変更して再度提出をいたしました。平成十一年七月十九日の港湾審議会第百六十九回計画部会の答申は、原案のとおり適当であるとされました。この和歌山下津港は、海の国際軸の太平洋航路に近接し、大阪港の玄関口という地理的特性を生かし、道路整備を含め、二十一世紀の近畿圏の物流をリードするベイフロンティア構想中核港湾を目指して計画を進めてきたところであります。平成十二年二月に七千二百万円の調査費を、我々はこの議場で承認をしたところであります。だが、木村知事は、調査費、執行を見送るとしました。──何も答弁は要りません。私がしゃべっているだけですから。
 また、田辺市で計画していた総合教育センター。田辺市新庄町にある約三万四千平方メートルの敷地に教育研修センター設置を決めました。基本設計、実施設計を相和技研と契約。でも知事は、IT総合センターと、計画を変更されました。相和技研に対して基本設計料を支払い、実施設計の出来高払いをしてまでも計画の変更をされたわけであります。
 IT総合センターになって、基本設計、実施設計を、県として初めて設計プロポーザル方式で実施をされました。大阪市港区弁天一丁目二の一の八百の昭和設計、社長は三宗司郎という方らしいですね。四月二日に、この昭和設計とIT総合センターの設計業務委託契約をされています。でも、一カ月前、三月九日付の業界の新聞には、「IT総合センター設計、昭和設計に固まる」と書かれております。四月二日にこの昭和設計と業務委託契約をされているのに、その一カ月前に昭和設計に固まると、こう業界の新聞に書かれているわけでございます。
 知事、あなたが大阪の副知事をされていたとき、この昭和設計の社長・三宗司郎氏と面識はありませんか。面識があるとするならば、公的・私的を問わず、何回ぐらいお食事をされたのか、明確にお答えを願いたいと思います。
 また、木村知事、大阪府羽曳野市のH畜産株式会社社長Aとは、副知事当時から友人と聞いております。A氏の会社は、市内中央区南船場にもあります。住居は藤井寺です。ここまで言えば、わかると思います。このA氏の紹介で知事は昭和設計の社長と面識を持たれたのではないか、どうですか。明確にご答弁を求めます。
 私はまさに、聖域なき行政とは勇気だと思います。すばらしいことだと思います。私たちは、県民の皆さんと和歌山県の未来を見詰め、多くの仲間と議論を重ね、行政のあるべき姿、未来に向かって正しい方向を見詰めて日々努力を重ねております。だが、自分の聖域はしっかり守るが、他人の聖域は関係なし──それではあなたの言う聖域なき行政とは何か。人の夢、人の熱き思い、人と人とのつながり、そのことを大切にしながら政治を進めるべきではないかと私は思うわけでありますが、木村知事、聖域なきとは何を意味するのか、お聞かせをいただきたいと思います。答弁は、あるなら「ある」、ないなら「ない」、塩じいの言う「忘れました」も結構ですから、明確にご答弁を願います。
 以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 部落差別撤廃・人権条例制定についてのご質問でございます。
 昨年、人権教育及び人権啓発に関する法律が施行され、国においてはこれに基づく基本計画が策定されることとなっております。また、本年五月には「人権救済制度の在り方について」の答申が出されるなど、人権問題についての取り組みが進められているところでございます。
 このような国の動向を踏まえ、和歌山県が今後人権行政を進める上での条例を来年二月議会上程を目途に検討してまいりたいと考えております。内容につきましては、同和問題を初めとするあらゆる人権問題に対する取り組みの基本理念、県の責務や審議会の設置等を考えておりますが、今後、学識経験者、各界、関係団体などのご意見も伺いながら検討をしてまいります。
 次に、県同和委員会の総括についてでございます。
 平成十四年三月三十一日に委員会としての活動は終了することとなりますが、昭和三十一年に設置されて以来、同和問題に関する調査研究、差別事件に対する指導、県民への啓発活動等、地方・市町村同和委員会及び行政と一体となって県民みんなの同和運動を展開してきたことにより、同和問題に対する県民の認識は深まってまいりました。しかしながら、今なお差別事件が発生しており、今後とも同和問題解決のため取り組んでいかなければならないと考えてございます。
 次に男女共同参画社会基本法について、ならわしや風習、伝統への対応についてでございます。
 本県が推進する男女共生社会は、慣習等のたぐいすべてをあしきものと決めつけるのではなく、男女共生の視点に立って見直していくということでございます。大相撲の問題も、男女共同参画社会基本法の理念にかんがみて決して好ましいとは思いませんが、オープンな議論を深めることが人権意識の啓発につながり、すべての人の人権確立のための一歩となるものと考えております。忘れてならないのは、伝統という名のもとに、現実に痛みを感じている人々がいるということで、人の心に傷を負わすようなあしき慣習等、正すべきところは正していくのが共生の時代、二十一世紀の価値観かと考えております。
 次に、庁内各部局の課題と具体的計画推進についてのご質問でございます。
 和歌山県を男女共生先進県とするため、近く私自身が本部長となって推進本部体制を立ち上げる予定にしております。本部にはマトリックス組織という新しい概念を導入し、保育の充実を初めとする子育て支援、仕事と家庭が両立できる就業環境の整備等、あらゆる行政分野にまたがる男女共生のそれぞれの課題について、少人数による実効性のある議論を行いつつ進めてまいります。トップの姿勢が大きく影響するテーマでありますので、私みずからが先頭に立ち、必要に応じてトップダウンによる指示を与えながら進めてまいります。
 それから聖域なき行政ということでございますけれども、田辺のITセンターについて、私はプロポーザル方式で決まったと承知しておりますので、名前が出たような会社のことは──名前もはっきり言って覚えていないぐらいでございますし、少なくとも大阪での副知事時代にそこの会社の社長と食事をしたことも会ったことも、面識も名前も、私は全然存じておりません。
 それからもう一つ何か、藤井寺のどうこうという話がありました。週刊誌等にいろいろ出ておりますが、私はその方とも一切面識も、会ったことも顔を見たこともありません。
 以上、お答え申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 同和行政について、新たな施策と一般施策の充実についてのご質問でございます。
 同対審答申、地域改善対策協議会意見具申を基軸に、すべての事業について地域の実情や施策ニーズを的確に把握し、事業の見直し作業を行ってございます。その際、常に同和問題解決の視点に立ち、特別対策から一般対策へ移行してまいりたいと考えてございます。つきましては、施策全体の体系の中で、一般施策の創意工夫の上、充実の検討はもちろんのこと、これまでの成果が損なわれることのないように円滑に対応してまいりたいと考えてございます。
 なお、議員ご指摘のとおり、同対審答申において「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」と述べられているように、今後、残された課題解決のために、和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、必要な施策については受け皿としての事業等の検討を同和対策協議会において行ってまいります。
 次に、県同和委員会の今後の方向についてでございます。
 同和問題を人権問題であるというその本質においてとらえ、人権問題の解決について同和委員会が取り組んできた教育啓発事業や長年にわたり蓄積をされてきたノウハウ、資料等、今までの活動の成果が損なわれることのないように、二十一世紀の時代にふさわしい、新しい啓発組織で対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 男女共生社会についてのご質問にお答えします。
 男女共生社会の実現に向けた市町村の取り組みの重要性は、私どもも深く認識しているところでございます。市町村男女共同参画計画は、基本法には努力義務として規定されておりますが、多岐にわたる施策を中長期的な視点から体系的に位置づけ、進行管理を行っていくために計画の策定は欠かせないものと考えております。このため、昨年度以降、県内市町村担当課長と話し合いの場を持つとともに、財政的な側面から取り組みを促す男女共生モデル市町村補助を創設いたしました。この補助金の利用により、既に橋本市が計画を策定、さらに数市町村が取り組みを進めております。
 男女共生社会形成の流れは、今後ますます力強いものになると思われます。このような住民機運の高まりの中で市町村が独自に条例を制定することは、大いに歓迎すべきことと考えております。今後とも、市町村との協力・連携のもと、各種の施策を進めてまいる所存でございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「議長、答弁漏れ。答弁、ないやないか。怒るばっかりで、聞   いていることに答えよ。聖域とは何か」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れがありましたので、知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま、ご質問の中で若干事実に反することがございましたので、私はそれをお答えいたしました。
 私は、そのことの中から、当然、聖域を設けて行政をするようなことはしないということを言っているわけでございますし、今の小泉内閣のあれを見ても、私の対応というのは自分では正しかったと思っておりますので、それをお答えいたします。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番松本貞次君。
○松本貞次君 知事、あなたは県内各地を精力的に回り、あなたの笑顔と、大きな手を挙げて県民に接していますが、それはあくまでもあなたのひとりよがり、心の伴わないパフォーマンス、そのようにとらえざるを得ません。
 私は、今回、県同和委員会について質問をいたしました。昭和三十一年から数多くの先輩が血のにじむ思いで県民みんなの同和運動を合い言葉に啓発活動を続け、今日、こんなに人権意識の高まりを見たのも四十五年の長き──四十五年ですよ。半世紀に及ぶ日々の活動、苦労があったればこそと思いますし、その功績も大きいと思います。それが本年をもって終わる、来年から新しい措置をつくると、そう思うがゆえに質問をしたのであります。
 私は、まずこの公的な場で、県同和委員会の皆さんへの知事みずからの心からのねぎらいの言葉、感謝の気持ちを聞きたかった。知事の口から一言、感謝の言葉を聞くことによって、半世紀に及んで苦労されてきた多くの先輩たちの励みとなり、心のいやしを得たことかと、多くのご苦労を思うとき、実に残念でなりません。でも、あなたから一言も感謝の気持ち、ねぎらいの言葉がありませんでした。それが真心県政を進める心のない知事の、あなたの姿です。
 また、今回、県同和委員会の質問をすると、不思議に感じる人がおるそうです。貞次さん、だれに頼まれたんよ、どのような立場で質問するんよと。私は、私の本心で質問をしております。確かに私は、部落解放同盟和歌山県連合会の副委員長をしております。でも、部落問題に関して、例えば共産党──ごめんなさい。いろんな問題に対して、私は全く正反対です。私も嫌いですし、相手も嫌いでしょう。それでも、彼らの中に部落差別をなくしていく、同和問題を解決しようとするその一点においては、確かに運動の立場こそ違えども、共産党と九九%けんかをしても、一%の部分については、私は仲間だと思っております。小林史郎先生、それから北条先生、松本新一郎先生、彼らにも私は敬意を表しております。ましてや自民党の皆さんは大いなる仲間ですし、また県の同和委員会の皆さんは大いなる仲間だと、こう思うところであります。
 部分的には違いがあります。その一部分をとらまえて解放同盟と県の同和委員会はけんかしていると。あなた方行政がその一部分を分断してきた張本人でしょうが。それゆえに、同和問題に関する国の責務、国民的課題が明記されているわけでしょう。私は、部落差別をなくしていく、同和問題を解決しようとする気持ち、この部分では仲間だと思っておりますし、その方々に対して大いなる敬意を表している立場から今回質問をしたところです。
 また、先ほど答弁をいただきました聖域なき行政。
 総合教育センターからIT総合センターへの変更は、知事、あなたが大阪からの人と人とのしがらみの中で、私はそう思って質問をいたしました。でも、何もないと。それでも結構です。私は、この十五年、この議場で数多くの先輩たちからご指導を仰ぎ、県政をともに進めてまいりました。そして、そのことは間違いでなかった、正しかったと自負をいたします。今、木村知事と私には、そのことからするとかなりの温度差があることは事実です。
 H畜産株式会社と京都の大物代議士──木村知事は、京都の大物代議士はよくご存じの方だと思いますし、親しくされていると聞いております。浅川組の問題もあります。知事との温度差を埋めるために何遍でもこの議場で質問をしていくことを宣言します。
 議長、私は再質問の答弁を求めません。私の言いっ放しになればとも考えますが、知事としてのご所見があればお答えをしていただいても結構です。
 終わります。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、県の同和委員会が大きな役割を果たしてきた、そしてまたそれにかかわってきた皆さん方がいろんなご苦労された、その結果として和歌山県の同和行政が非常に進んできたということは私も認めているというか、もちろんそれに感謝しているところでございます。そしてまた、そういう先人の方々に対するご努力、ご功績に対し深甚なる敬意を表するということをこの場で改めて表明をいたしておきます。
 それから、今、何か、京都の大物代議士とか、それから浅川組のこととかなんとかおっしゃっていましたけれども、そういう個別の名前、何かわかりませんけれども、そういうふうなことを出されても私は全く何のことかさっぱりわかりませんので、この場ではっきりしておきます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、松本貞次君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十三分休憩
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