平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並び
        に報第二号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。きょうで一般質問が最後の日でございますけれども、議長のお許しをいただきまして、通告に従い、ただいまから一般質問をしたいと思います。
 私は、昨年の十二月議会及びことしの二月議会の予算委員会で、かつてのような国からの交付税、補助金によって財源を賄うのではなくて和歌山県自身の創造と努力によってそれをなし遂げる、県民一人一人が知恵を出し合って自分たちに必要な経費をみずから生み出すことが求められている時代との趣旨のことを申し上げてきましたが、果たせるかな、小泉政権によってそのことが現実化してまいっています。
 今、私たちが取り組んでいる世界遺産登録運動は、こうした時の流れに何らかの形で合致するものであり、いわば将来の国策を先取りしたものであると思っています。国からの補助金がなくて、各地方自治体では困惑するところが多く出てきていますが、私はあえて千載一遇の好機だと自分に言い聞かせております。
 そこで今回は、前回の質問をさらに前向きに深めるために、具体的な提案として、世界遺産を生かした南紀先駆的医療施設開発や和歌山観光の再生について質問をしてまいります。
 まず最初に、世界遺産を生かした南紀先駆的医療施設開発、つまり南紀の救命救急センター及び予防医療と健康リハビリセンターづくりについてであります。
 医療、福祉は二十一世紀の私たちが避けては通れない大きなテーマであり、木村知事がこれに熱心に取り組んでおられますことを心強く、また心から敬意を表します。
 ところで、和歌山県という土地柄は、世界遺産に登録されるという自然の大きな恵みを初め、緑、川、海と、人間の生活環境にとってこれほど恵まれたところはないと私は思っています。この自然の恵みを背景に、二十一世紀の理想的な厚生福祉地域としての南紀を目指して努力してまいりたいと思います。
 理想的な厚生福祉地域を実現するためには、まず病院を拠点とする発想であります。それは、「病院の新たな活用」と「病院の新しい県民への対応」というテーマへの挑戦を意味しています。つまり、私たちの病院を中核として、県民の健康と豊かな生活をサポートするよりどころに活用できないかという発想であります。この考えの中には、病院を単なる治療や手術・入院という狭くて暗いイメージの中に閉じ込めることなく、明るい町づくりの核として見直そうということがあります。そういう病院にするには、いざというときに県民の命を救ってくれる救命救急センターの設置が急務の課題であると考えます。
 大阪の池田市で起こった小学生の殺傷事件では、どこどこの救命救急センターへ何人が運び込まれましたというニュースが報道され、「救命救急センター」の言葉が耳につきました。その救命救急センターの設置についてですが、現在私たちの住んでいる南紀には、私たちの命を一刻も早く救わなければならない救命救急センターがなく、遠く和歌山市に搬送されなければなりません。とうとい命を救うためには一刻の猶予もありません。ほとんどの南紀の人々は、その実現を悲願に毎日暮らしています。
 南紀に救命救急センターがないばかりに、次のような悲しいデータがあります。
 救命救急センターの患者の大部分を占める心疾患は、平成十一年の統計で、和歌山県では一千七百八十六人の方が亡くなられています。これは、残念ながら全国二位の死亡率であります。また、脳血管疾患では一千三百五十九人の方が亡くなられており、全国で二十位の死亡率となっております。私たち南紀の住民に絞ってみますと、平成十一年救急業務実施状況の調べによると、御坊、田辺、新宮医療圏の一年間の救急患者受け入れ数は九千九百七十四人もあり、その中でも田辺医療圏では、ほぼ半分に近い四千四百五十五人という状況であります。
 救命救急センターがないということからくる悲劇のもう一つは、転送いわゆる「たらい回し」が御坊、田辺、新宮医療圏で平成十二年中に百十九件もあり、全国でも不名誉な数字となっています。さらに、南紀の人々の命を一刻も早く救うということとともに、ご存じのように近くには南紀白浜空港があり、万が一大きな航空機事故が起きた場合、その集団災害に備えなくてはならないというもう一つの重大な使命があります。そして、何といってもこの地域は世界遺産に登録される地域であり、世界の人々が安心して訪れることのできる医療環境は必要不可欠な課題であります。ほかの近畿府県や隣接の三重県を見ても、救命救急センターがわずか一つの医療圏のみというのは、京都と和歌山だけであります。
 また、もし救命救急センターをつくるとすれば、費用が膨大な額になると懸念をする人もいます。確かに費用はかかりますが、この救命救急センターに関連している救急現場のスタッフ、また医療の専門家に伺ったことにより、私たちにできることがわかってまいりました。つまり、救命救急センター設立のためのむだな支出を抑える、救急医療に対する県民の意識を変えてもらうことによって財源等が捻出されるという可能性であります。その可能性の一つは、救命救急センターの設置をする場合、病床を二十床までふやし、年間延べ一千人の入院患者がある場合は国の支援が得られるという救急医療対策の整備事業についての厚生省医務局長通達があります。この制度を最大限生かしたらと考えます。
 例えば、ある病院が救命救急センターをつくり、二十床のベッドがあるとします。稼働率が九五%でいきますと、受け入れ患者数は一人当たり平均七日入院するとして、二十床掛ける〇・九五掛ける三百六十五日割る七日、イコール約一千人となり、その要件を満たすことになります。
 また、先ほど申し上げた同じ条件で厚生労働省がモデルケースにしたものを見ますと、この救命救急センターに入ってくる収入は医療費など約七億一千三百万円となり、それに対して医師などの人件費等に約八億一千百万円の支出で、差し引き約九千八百万円のマイナスになりますが、その場合、マイナス分の三分の二は国等の支援があることになっています。残り三分の一、つまり約三千二百万円のみが県の支援で済むことになるということであります。
 そこで、救命救急センターの設置がいかに私たちの悲願であるかの材料を申し上げます。
 その実態は、平成十一年救急業務実施状況では、実際死亡及び軽傷を除いた入院患者数は御坊、田辺、新宮医療圏で四千九百五十三人もあり、田辺医療圏だけでも二千二十六人があります。救急車で運ばれていない時間外患者数は今の数字に入れていませんが、これを入れますと大きな数字になります。ちなみに、紀南総合病院だけでも一千百九十三人の入院患者があります。患者が多いということは不幸でありますが、基準の千人を大幅に上回っている状況であります。
 私は、県に負担をかけたくないということはやまやまですが、もしできましたら、私たちにかかる予算の中で優先順位を決めて、あえてこちらの方に回してほしいのであります。それでもなおかつ回せない場合は、厳しい提案かもしれませんが、知事の判断を仰ぎたいのであります。
 その一つは、赤字が膨らむ救急センターの医療費を抑える方策についてであります。救急車の空出動と言われている、タクシーがわりに救急車を使うモラルの低下という声があります。もちろん、それは一部の方でありますが、それゆえに医療の抑制と国民のモラルの低下をなくす意識向上の二つのねらいから、あえて知事に検討をお願いしたいのであります。
 救急患者の救急車利用負担について、国や市町村と協議をして利用料徴収条例制度の導入を図るという意見もございますが、どうでしょうか。これは、地方自治体の独自の財源確保の手段として認められているものであり、既に東京などの大都市の地方公共団体では独自の財源をいろいろな形で検討されているようであります。我が和歌山県も、県民の自立と医療費など効率のよいセンター運営から利用料負担制を導入してみてはという声も聞こえますが、知事の考え方をお聞かせください。
 また、後ほど詳しく述べますが、予防医療の展開を図る中で、医療費が節減され、その分を救命救急センターへ支援をしていく仕組みを考えてはどうでしょうか。
 二つ目のポイントとして、これをどこに設置をするかということであります。広域行政はこれからの時代の趨勢であり、避けては通れません。たまたま紀南総合病院は、今の時代を先取りしたように、医療の分野については広域行政がなされています。その紀南総合病院が時代を先取りしたことと絡めて、救命救急センターを併設してみてはと考えます。例えば、平成十六年に移転が実現しようとしている紀南総合病院に救命救急センターを併設するとすれば、新たに田辺圏域だけではなく、御坊、新宮も含む広域を対象していることになるので、その地域からの分担金も入ることになり、費用は多少なりとも軽減します。そうしたところの調整について、県が仲介の労をとっていただければと考えます。
 私たちが救命救急センターの設置を強く要望する理由は、広域行政によって医療収益の予測が立つことと、国の政策のバックアップがあるからであります。そして、救急医療システムの原点である情報通信ハブシステムを全県下に網羅することを目指したいと考えています。知事、南紀の救命救急センター設置についての考え方をお伺いします。
 続いて、予防医療についての提案であります。
 世界的にも恵まれ過ぎるほどの生活環境を持つこの南紀ゆえに、県立医大の支援を得て、模範的な病院のあり方をつくり出したいと思っています。それは、医療コストをかけないためにも、病気を予防する予防医学の分野を新設してみてはどうかという提案であります。病弱な人が病院に入院して治療すること──病人扱いするよりも、病気の患者がそれ以上悪くならないように、あるいは健康を持続できるようにするシステム、つまり病気にならないための予防の病院であります。この試みによって、県民の予防医療のコストは大きく削減をされます。どれくらい軽減されるのか、私はここにデータを持っています。
 平成十一年度国民健康保険市町村別費用額を見てみますと、御坊、田辺、新宮保健所管内全体では約四百四十二億一千九百万円、田辺保健所管内では約百八十七億一千四百万円となっています。厚生労働省によると、国民医療費三十兆円のうち三割の九兆円が成人病由来の医療費だと言われている、つまり生活習慣病であり、この成人病は健康管理によって何とかできると思っているとの話であります。厚生労働省の話をもとに私たちが唱える予防医学のコストを試算してみますと、三割の削減であるので、推定で、御坊、田辺、新宮保健所管内では約百三十四億円、田辺保健所管内では約六十二億三千八百万円もの費用が支出されないで済みます。つまり、浮いてくるという計算になるのであります。
 続いて、これらを実現するための施策を考えてみました。県民が病気にならずいつも健康な状態で長生きする予防医学をさらに積極的に推し進めるため、例えば具体的には、精神科医と栄養士、または看護婦あるいは和医大の若い先生が一組になって紀南の市町村を定期的に巡回し、住民の日常的な健康に留意をしてもらうことであります。そのことによって市町村の病院経営は健全になり、病人の少ない健康な市町村がふえ、明るい町づくりが実現できます。これは単なる医療の問題だけではなくて、地方自治の行政のポリシーにもつながるものと思いますが、知事のお考えはどうでしょうか。
 次に、病院が中核となって健康な町づくりにしようとする場合、もう一つつけ加えなければならないことは、リハビリ医療の充実であります。
 南紀には、世界遺産という大自然の治癒力があります。これを生かさない手はありません。健康増進のための世界遺産を生かした健康リハビリセンターについて提案をしたいと思います。
 病院で手術を受けて退院する患者は、職場等に社会復帰するより、しばらくの間リハビリに励むことの方がその後の成果、回復の度合いを早めることがわかっているからであります。そのリハビリとは、例えば現代人に多いストレスを解消するための精神科医、あるいは健康増進のために日常指導できる指導員等を置き、森林浴や山歩き、湯治等、そういうものを積極的に取り入れる。またリハビリなどは、例えば施設と医者を南紀白浜温泉に分院として置き、県立医大、国立南和歌山病院、紀南総合病院、白浜はまゆう病院などから医師を派遣してもらうという形で、南紀白浜温泉、椿温泉が単なる観光だけではなく、リハビリや健康増進にもお手伝いができるという町づくりになり、人々の健康と医療福祉に貢献できるという構想もあってよいことではないかと思うのであります。
 私も視察をしてきたことがありますが、ドイツにはクアオルトという保養地が全国で二百九十四カ所あり、地下資源、海、気候など疾病治療とか予防に適していることが科学的、経験的に実証される場所と国で規定されています。具体的には、保養、療養に沿った特定の施設、設備と温泉、療養専門医の常駐などの厳密な基準があります。
 私の周辺には、学者や研究者がおられます。その人たちと一緒に、世界遺産の活用によってドイツ医療方式を取り入れる構想を描いています。ドイツの有名なことわざである「保養のための一マルクは病気のときの三マルク」──この教訓は二十一世紀の医学に問いかけるメッセージであり、私たちはこれを十分かみしめ、服用する価値があると思っています。そして、そのことによって、日ごろから自分の身は自分で守るというライフスタイルを広めるとともに、全体の医療コストの軽減、健康な人たちの声が飛び交う明るい町づくりに寄与することにつながると思われます。それが新しい病院の向かうべき方向の一つではないでしょうか。
 この新しい病院の内容は、三年後の世界遺産登録必至という新しい事態に対応するためにも、また大阪のユニバーサル・スタジオ見学者を南紀に受け入れるためにも、ぜひ実現が待たれています。さらに、我々に残してくれた自然の恵みをこの医療の分野に大いに活用することで、行く行くは椿温泉や南紀白浜温泉の一部を使って、単なる観光客の受け入れにとどまらず医療の分野に活用し、ドイツのバーデンバーデンのような健康リハビリセンターを温泉街を中心に活用するというのはいかがでしょうか。そして、健康リハビリセンターが完成することによって、人々が南紀に出向くことによって、南紀の活気と和歌山県民の健康増進につながると思いますが、知事のお考えをお伺いします。
 病院を入れての町づくりという構想の中には、病院が少ない上に横のつながりの少なかったことが解決をされ、このことによって病院同士の医療体制のネットワークはもちろんのこと、公的な機関あるいはNPOなど県全体の各部署のネットワークが図れることになり、知事の目指されている地方自治確立の基礎の役割にもなるのであります。
 そして、ぜひ知事に支援をしていただきたいことがあります。それは、救命救急センターや予防医学、健康リハビリセンターを実施する際には、高度な医療技術を持ったお医者さんやスタッフを知事の広い人脈によって、県立医大はもちろんですが、阪大や京大などの先生を紹介していただきたいということであります。そしてそれは、三年後に世界遺産に登録されるものを想定して、その準備のためにもこの構想をぜひ実現をしたいと思っていますが、知事のお考えをお伺いして、私の第一問目の質問を終わります。
 続いて、世界遺産を生かした和歌山観光の再生について質問をしてまいります。
 私なりに、ユニバーサル・スタジオと南紀をどうしたら観光ルートとして結び合えるかという観点から考えてみました。それゆえに、私の考え方の大部分は、一物一村という発想だけではなく、同じ関西圏に未来を映す世界、それと対比をした太古の世界という二つの観光資源にしていくことを切り口として考えてみました。地域の特性、内容、立地条件を加味した上での発想であります。
 私は、昨年の十二月議会におきまして、「ユニバーサルと南紀の地球体験 人生の一週間コース」を提案しましたが、知事もこのことに賛同していただき、「ユニバーサルで疑似体験、和歌山で本物体験」とのキャッチフレーズで、特に和歌山の特性を生かした体験型観光の推進を図ることを表明され、取り組まれていますことは、私たちにとっては心強い限りであります。
 そこで、私は、和歌山ならではの特性を生かした考え方と具体的な取り組みについて提案をしたいと思います。
 人類最初の、アミューズメント・ユニバーサルと人類最古の営みである高野・熊野の世界遺産発祥地域を結びつけることによって、人々はタイムカプセルに乗り、超未来に行って超太古に戻る。その落差に人々は驚嘆をし、感動します。いろんな感動があります。押しつけるのではなくて、そこに入った人が見つけることだと私は思います。楽しむ人たち、つまり観光客のサイドに立った見方で考えるのであります。押しつけのエンターテインメントではなくて、エンターテインメントを求めている人たちの心を楽しく揺さぶる工夫をしてみてはと考えてみました。それぞれのやり方で楽しみ方があり、その仕掛けをすればよいのではないかと思うのですが、知事の考え方はいかがでしょうか。
 物の時代ではなく、感動、感激の時代であります。つまり、ユニバーサルで展開されている内容と高野・熊野の内容を対比することにより、現代人はどういう反応をするのかということであります。
 そこで、具体的な提案、考え方を進めさせていただきます。
 それは、ユニバーサルのお客さんがすぐ帰ってしまうのはもったいないから、関西のよさを見てもらい、関西圏の浮上につなげるために和歌山の役割を考える。幸い、高野・熊野に世界遺産地域ができる。そこで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとすべて対比したものを私は考えてみたのであります。つまり、一つの中に全く違う二つの世界をつくり上げることであります。一つの世界は、将来に向かった、アメリカの先端技術の粋を集めた世界、もう一つの世界は時空を超えた宗教性の、つまりアジア的世界であります。ユニバーサルのテーマを見てみると、未来へ行く、冒険、アドベンチャー、映画の主人公になる等があります。一方、世界遺産に登録される和歌山では、熊野古道や空海と高野山、宗教、精進料理、巨木、亜熱帯の集約された原生林等があります。具体的に申し上げていくと、二〇二〇年ぐらいに実現をする宇宙旅行と一千年以上の歴史を持ち、修験者が通った熊野古道をタイムカプセルのように一千年から二千年の間の空間を行き来する感動体験等は、知事、いかがでしょうか。一回の旅費で二回分の旅が楽しめるので、観光客は喜ぶのではないでしょうか。
 仮装宇宙人と人間解脱、レストランのメニューと精進料理、映画のスターと修験者、スクリーン上のロケ地の森林と本物の原生林、西洋思想と東洋思想の違いなど、全く正反対のことを見ようと来県し、一つの旅の延長によって体験できる。わずか三日間で二千年の次元を一っ飛びで体験、感動ができるのであります。そこに、大阪から和歌山に来る意味があるのだと私は思います。例えば、人間臭くなることを頂点に、さらに解脱するという人間を超えた宗教──全く対照的なものを体験できる、それに合うものを拾ってエンジョイさせていくかを考えたらよいと思うのであります。
 具体的なイベントを申し上げます。
 その一つ目は、ユニバーサルの未来の道に対して、熊野古道を五キロメートルぐらい歩いてみる。日本独特の文化である茶店などを装置として置いておく。また、西洋人はランニングが大好きであり、そういう人々が熊野古道の古い石畳を走ることによって、現在のアスファルトを走るのとは違う、超現代と超古代の超落差に感動を体験する。タイムカプセルのように一千年から二千年の間の空間を行き来する感動体験などは、知事、いかがでしょうか。
 二つ目は、レストランに行くよりはお寺に行って精進料理を食べる。そして、本堂に行って体を清め、お参りをして作法を体験してもらう。東洋思想と日本食へのあこがれ、日本食の原点となる精進料理の中身を賞味してもらうとともに、食事のマナーを体験してもらう。余裕のある人は宿坊に泊まり、さまざまな修行をし、そして神秘的な体験をしてもらう。また、空海の人生の足跡をいろんな形でめぐって理解を深める。原点を探る体験と展示と教えとのシンポジウム等は、いかがでしょうか。
 三つ目は、温帯の中の紀伊半島の森林、原生林には非常に多くの種類の樹木が茂っており、ここを観察地域にして観光客が近づけるようにする。あるいは、ビニールハウスのようなもので囲って、世界遺産に指定される紀伊半島に茂っている木を一堂に集める展示館のようなものをつくり、南方熊楠の授業を入れるなどは、どうでしょうか。
 対比のおもしろさ、興味を売り口にすることが大事であると思います。各県がやっているような一村一品の発想から少し視点を外し、こちら和歌山は壮大な地球ということを考えたアイデアであります。そして費用も、ほとんどかからないので心配が要らない。各界の人たちが和歌山のPRのため物心両面で協力してくれる雰囲気が濃いのであります。ユルバーサルは、言いかえれば、きらきら、刺激的、圧巻、楽しい、疲れる、それに比べ和歌山は、ゆったり、静的、奥深くて年月が気の遠くなるほどに長い、いやしとメンタルケア、人間回復と言えます。
 私の頭の中に世界遺産ということが離れず、夢の中で考えたことが多かったと思いますし、勝手のよいことを言って恥ずかしいのでありますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 以上、ユニバーサルを利用し、世界遺産登録に向けて和歌山を観光再生していくための私の提案について知事のご所見をお伺いして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの玉置議員のアイデアといろんな提案に富む建設的なご意見、本当に参考になりました。一生懸命勉強させていただきます。
 まず、南紀の救命救急センターの設置についての問題でございます。
 私は、県民の命を守るということが一番大事ということで考えておりまして、この問題は費用とかいろいろ問題があって非常に難しいのでありますけれども、今、費用のあり方とか持っていき方などについてもいろいろご提言いただきましたので、そういうものについても真剣に考えていきたいと思っております。
 これはもう言わずもがなですが、和歌山県は非常に広い地域でございますので、現在、ヘリコプターで飛んでいって重篤な患者さんに対応できたらどうかということでドクターヘリなども研究しておりますので、そういうふうなものも含めて、そしてまた紀南の地にということも含めて、いろんな方向で多面的に考えていきたいと思っております。
 次に、予防医療についての提言でございます。
 今、だんだん高齢化が進んでくる中で、生活習慣病というのが非常に大きな問題であるということが言われてきております。こういうふうなものを治していって大きな病気につながることを防ぐのは非常に大事なことでございますので、市町村とか医療機関と連携しながら、県民運動のような形で積極的に取り組んでいきたいと思います。
 それから第三点の、南紀の地に健康リハビリセンターをということでございます。
 南紀というのは、本当に恵まれた自然があります。温泉があります。山があります。そしてまた、高速道路でもつけば非常に交通の便もいいということから考えると、今までの観光型も非常に大事だと思いますけれども、もう一つ、こういうふうな形で体に若干の疾患のある方などがある程度の期間療養しながら、そしてリハビリをしながら健康を回復し、さらには観光も行うというあり方も一つの非常に前向きな提言であろうと思います。
 ただ、関東の方でも伊豆半島などでは、大分そういうことをやって、必ずしもうまくいかなかった例もあるみたいですので、そういうことなども含めていろいろ研究し、いい成果が出ていくように勉強をしていきたいと思っております。
 それから、世界遺産を生かした和歌山観光の再生ということでございます。
 ただいま玉置議員の方からおっしゃられた、USJ──今、最新のシステムでございます──と、非常に歴史のある和歌山の高野・熊野が世界遺産に登録されれば、そういうものとのコントラストによって観光を楽しんでいくということは、非常に斬新な観点だと思います。
 先般も韓国との間にチャーター便を飛ばしましたが、そのときも和歌山の自然とUSJの組み合わせは非常に好評だったと思っております。それから、国内の方にはどうかわかりませんが、少なくとも外国の方から見ると和歌山と大阪というのはそんなに遠い距離じゃないようなので、そういう形で二つのものが楽しめるということは大きな魅力になると思うので、これからも売り込んでいきたいと思います。
 それからまた、関西圏の中で人口が集中している大阪あたりや東京、関東から人を呼ぶということからいくと、和歌山県人が思っている以上に高野とか熊野とかいうものの、言い方は正しくないですけれども、ブランド性には高いものがあります。そしてまた、二十一世紀にはこれがますます値打ちが出てくる時代になりますし、今の構造改革の中で何となく都会に押され気味という形が出てきておりますけれども、その中で、こういうふうないいものがあるんだということを売り出していくためには、やはりこのいやしとか自然とか歴史とかを積極的に売り出していく姿勢が大事だと思います。この点も、体験型も含めてやっていかなければいけないと思います。
 それから、私がこのごろ思っておりますのは、せっかく熊野博という大きな博覧会を和歌山独自の方策で行ったのでありますから、この遺産というか成果というよいものをどんどん発展させながら伸ばしていく努力も、今あるものを利用していくということから非常に大事なことだと思っておりますので、そういうことも含めていろいろ考えていきたいと思っております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 ご答弁、ありがとうございました。
 今、知事の方からご答弁をいただいたんですけれども、私が昨年の県議会から一貫して提言をしてきたことは、新たに国とか県とかに財源を持ってきてつくれという発想ではなくて、従来の財源の中で見直しを図っていただいて、そして施策の優先順位として回せるものはないのか、または県民一人一人が知恵とかさらには創意工夫をして、自分たちに必要な経費をみずから生み出していこうではないかと、そういう新しい財源づくりも含めた一石二鳥、一石三鳥の施策ということを私なりに提言をさせてもらってきました。そして、そのことについても知事は賛同していただいた。そういう流れの中で今回も質問をさせていただきました。
 そこで、一点だけ。
 今まで、私も含め、二月議会では下川議員さん、予算委員会では大沢議員さんから、さらにはずっと以前からも、紀南の救命救急センターの設立については本当に大きな願いとして訴えられてきております。私も今回、また訴えさせていただきました。その実現のための方法や、さらには余りお金を使わない知恵について、私なりに先ほど申し上げました。
 実は昨年、月は忘れたんですけれども、私の地元のある男の方が、紀南病院で心臓の手術がもうできないので日赤の救命救急センターを紹介をしてほしいということで、一緒に行かせてもらいました。そのとき、田辺ぐらいにそういう救命救急センターが欲しいなとつくづく思ったわけでありますけれども、きょうの知事の答弁では、ドクターヘリ等、多面的にいろいろ考えていきたいということであります。
 私がここで一つだけ申し上げておきたいのは、ドクターヘリの必要性については、私も認めます。大事だと思っています。知事と少し違うのは、限られた財政の中で県民が求めている施策をどう実現するのかというその施策順位だと思うんです。きょうの話では、多面的ということで、かなり一歩進んだ回答をもらえたので安心をしていますけれども、聞きますと、ドクターヘリの導入によって年間一億八千万円もの新たな財源が捻出されるわけです。そのうち国から三分の一の補助があり、治療費報酬等が改定されると聞いておりますけれども、今の考えでは県立医大が六千万円、県が六千万円、つまり県は毎年一億二千万円という新たな財源の持ち出しがされるようであります。
 これまた先日、私の白浜の友人の奥さんが心臓を手術するということで、白浜から防災ヘリで兵庫県の神戸へ飛ばしていただいた。大変ありがたく思いましたけれども、緊急にはこうした消防の防災ヘリが出動をしてくれますし、現にドクターヘリ的な役割も既にされていることは承知しております。また、それが使えないときは、今、県が民間のヘリコプターの借り上げをしておられて、その体制をつくっていただいておるということも承知をしております。
 そうしたことを考えますと、今何を一番優先していかなければならないか。私は、そのことを訴えたいわけであります。先ほど数字を言わせてもらいましたように、恒常的に何千人もの人が利用され、さらには県民の命が救われる、そういった紀南への救命救急センターの設置を優先させていただきたい。知事、今、本当にそれが必要ではないかと私は思っておるわけです。
 まあ、先ほど申しましたから、もう知事には答弁を求めませんけれども、どうかそういうことをご理解いただきまして、並行してぜひともこの救命救急センターの設置については優先的にお願いをしたいということを要望して、終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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