平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 お許しを得ましたので、質問をさせていただきます。
 最初に、梅産業の二重の苦しみというテーマで出させていただいております。今この時点に立って梅産業の二重の苦しみをどう克服するかについて、私が強く感じていることを述べさせていただく中で、順次、県当局の見解をお聞きいたしたいと思います。
 一つの苦しみは、以前から続いております梅の立ち枯れによる収入減と、何とか梅の木を再生しようと肥料、改植等への資材投入に係る大きな投資、パイロットへの負担金支払い、防霜設備、スプリンクラー設備等への投資の支払いは、生産農家にとって今になって大きな負担となっております。
 二つ目の現時点での苦しみは、中国梅の輸入により、昨年からさらに今年にかけて梅の価格変動が厳しく、価格の暴落が続いています。干し梅十キログラム価格が昨年に比して二分の一から三分の一とかで動いて、農家の生命線を超えた値段になっています。さらに今年は、昨年の漬け梅の在庫を抱え、先行き不安定を予測して農家も農協も青梅出荷に重点を置いたこともあって、市場ではキログラム当たり、一番いいもので昨年の二分の一の価格、B・C級という品物については値がつけられず、よくてキログラム当たり四十円といった値で取引されているのが実態であります。いかに消費の低迷とはいえ、市場価格に私たち生産農家は唖然としています。
 それでも、集中した期間中に手取りで──手で梅をとるという意味です──梅を出荷するために人を雇って一気にとらざるを得ず、その賃金と出荷手数料を引くと手に残るのはどれだけか見当もつかず、一年間投資した資材、機械、人件費等の経費に充当できるかどうか苦しんでいます。しかし、私たちはこれを一つの試練として、二重の苦しみを何とか克服するために、生産農家、農協が一丸となり、梅加工業者、行政も含め、知恵を出し合って生き残り戦略を立てて頑張る以外ないと考えています。
 そこで、まず梅の立ち枯れ対策の取り組みの中から、第一点として大気環境調査等への取り組みについて、ご質問を具体的にさせていただきます。
 一つは火力発電所のばいじん調査について、私たちは一貫して関電からばいじんの提供を求め、県独自で調査することや、それができなければ私たちに提供してほしいと主張してきました。そこで県は、一応はばいじんの提供を求め、その含有物調査をすると約束しましたが、その調査はどこがどのように調査分析をするのでしょうか。私たちは、あくまでもばいじん暴露試験をすべきだ、以前からある秋津川の暴露施設を活用してやってほしいということを主張していますが、いかがなものでしょうか。
 二つ目は、大気環境調査、県がやる降下ばいじん分析調査は十二カ所で行われるとしているが、その場所設定と、何を調査し、どこの機関が調査分析するのか、お尋ねします。
 三つ目は、県うめ対策研究会の最終報告によると、梅生育不良の発生のメカニズムは、栽培、土壌、気象要因などが複合的に絡み合って樹体内に養水分ストレスを引き起こした結果であるとされているが、ことし一月から五月下旬の雨量の実績を見ると、乾季が続き、約四百ミリを切っている状況であります。JA紀南での立ち枯れ発症本数が多かった平成九年、一万七千五百本ですが、そのときの雨量は六百ミリを超えていました。そして平成十一年、発症が一万八千本のときは四百ミリを少し超えていた状況です。四百ミリを切った過去二番目の乾季のことしは、またもや立ち枯れの症状が一気に出るのではないかと心配しました。昨年から重症樹やそれに近いものは立ち枯れ症状を起こしていますが、例年なら、この乾季で本来なら軽症樹にも立ち枯れ症状が出て当然ですが、秋津川を初め一部の地域ではそれが昨年より少し少ない状況がうかがえるわけであります。軽症樹や健康樹の状況は、徒長枝といい、葉の色といい、健康的な症状に今見えております。
 そこで、一つの例ですが、秋津川の支所の前の樹齢五十年の桜の木が、一昨年、昨年にかけて一気に花を咲かせて、その後、枝の先が少し枯れる状態で葉もつけず、立ち枯れ症状を起こしていました。もうほどなく枯れるだろうという地域の皆さんの見方だったんですが、何とことしは、葉をつけ出し、全体の葉の色もよくなってびっくりしてます。これは、肥料もやっていません。水もやっていません。何もしていないのに変化があったわけです。どうしてでしょうか。
 御坊火電の平成十年の稼働率が一〇・四%、十一年度は一一・三%、平成十二年度の平均利用率は六・七%と減少しているわけであります。ちなみに、平成八年までは三〇%を超えていたわけであります。私たちは今、そういうことも見ながら大気、栽培の両面から原因調査をしております。現時点で科学的根拠は示せませんが、この事実。実際に、水不足、水分ストレスで枯れるんだと──一月から五月までは少なくとも過去二番目の乾季で、なおその状況の中でも、ある程度軽い軽症樹が生き返ってきている実態を見たとき、やっぱり梅と大気の関係を究明する非常に大切な状況に来ているのではないかということで、今ご質問をさせていただきました。
 第二点としては、平成十四年度からの御坊火力発電所の稼働体制について、これまで述べてきたことからも、私たちは、御坊火力発電所の三号機に脱硫装置を平成十四年以降つけるのに関係して、一号機、二号機の運転を一たん停止してほしいという要望をしてきました。再度この議会でも、十四年度から三号機に脱硫装置をつけた段階で県は関西電力にそのことを申し入れるべきではないかということをお伺いしたいと思います。
 次に、御坊第二火電の着工延期の中でこそ、今、県のエネルギー政策は転換すべきと考えます。政府は石炭、石油から天然ガスへの移行を打ち出しております。また、御坊第二火電の延期で、五年後、十年後は地球温暖化防止の京都議定書が世界的な趨勢になりつつあります。少なくとも、化石燃料で一番大気を汚染させるおそれのあることが科学的にも実証されているオリマルジョン燃料の復活をさせないことを県は関西電力に強く要望していただきたいというのが、我々の率直な願いであります。和歌山県の自然環境と地理的条件から見て、新エネルギー政策の具体的指針を、これを機会に示す必要があるのではないでしょうか。
 とりわけ、私が前回も言いました森林、林業を生かしたバイオマスエネルギー実験所の設置を大学機関や政府関連機関(NEDO)等へ働きかけ、誘致を進めていってはどうでしょうか。これはまさに、先ほどから述べられています、いわゆる世界遺産、高野・熊野の自然環境をよくする、そしてその自然に似つかわしい自然エネルギーという意味からも、ぜひとも和歌山県がそれを全世界に実証していくべきではないかと考えております。田辺を中心とした紀南の日照時間が最も長いことから、太陽光、太陽熱への積極的な政策を策定すべきではないかと思います。県のご見解をお聞きします。
 第四点として、ここに書かせてもらっています紀州梅ブランドを守るための流通販売システムについてであります。
 一つは、中国梅の輸入の現況であります。これは詳しく述べられませんが、少なくとも一九九一年に五百十トンの輸入であったのが、二〇〇〇年、十年足らずで三千七百トン、いわば七倍強に輸入がふえてきている実態であります。しかも、現在においては九十億円の貿易取引であります。二〇〇一年以降、この一、二、三月までの状況を見ても既に前年同月比で一二四%と、さらに伸びてきています。だから、平成十三年、二〇〇一年はさらにこの量がふえてくるのではないかという心配もあります。
 中国梅の商品価格は、十二キログラム当たり、昨年は三千円から三千五百円していました。ことしは何と皆さん、千二百円の状況なんです。これはもう大変なことなんです。しかもそれらは、干し梅(塩の梅)で干したものが入ってきていたのですが、昨年からはシソ漬け加工商品で入ってきております。これは一キログラム当たり五百八十円。紀州梅は安くても平均二千五百円から、いい物で三千円という価格で市場に出回っていたのに、一キログラム五百八十円という値の中国梅が大量に国内に出回っています。これは非常に大切な時期であります。
 ──知事にちょっと持ってきたんです。これは一キログラムのシソ梅で、これが直接入ってきているんです。(現物を渡す)そのシソも中国のシソです。それも全部セットで加工されて、シソと梅でそういうケースで輸入されております。これは、検疫等の関係もあって、どんどん入ってきているのに私たちは非常に疑問を感じているわけです。検疫の問題も含め、今後課題があると思います。
 皆さん、これは業務スーパーというところで、神戸のある物産会社が大量に中国から輸入をして販売しております。しかも今度は、我々がUR議連の木下会長を中心にうめ部会で研究もしている中で、神戸の物産会社以外に、ある和製キムチを製造している会社が、ことしから中国で加工して全国のキムチを売っているシェアの中にセットで置くという状況も今生まれております。それから、ユニクロが、服だけではなくて来年から具体的に食品関係も売り出すという状況も生まれております。まさに中国梅が日本の紀州梅を脅かし、そのシェアを取ってかわろうとしているわけであります。
 干し梅の段階から、今見せました完成されたシソ漬け梅が加工商品として直接輸入される状況が生まれるとしたら、梅生産農家だけでなく、加工場、加工場で働く数万人の職場が本当に脅かされることになります。段ボール、通信、運送、容器製造業等、梅産業にかかわる関連業への直接影響は必至であり、間接的には梅産業七百億円の地域経済に及ぼす影響ははかり知れない。まさに沈没しかねません。紀州梅産業にとっては大きな試練を迎えることになった中で、これを守り発展させるためにどうするのか。梅生産農家、農協、加工業、行政が現状を分析し、将来に向かって梅産業の、とりわけ紀州梅のブランドのシェアを国内外に広げるために、お互いの立場を尊重しつつ共同して紀州梅のブランド商品を守るテーブルをつくっていくことが当面の大きな課題であり、県行政の果たす役割は大きいと思います。
 そこで、第一は、果樹園芸課は農産物の生産技術指導や流通、消費拡大等の推進を行っていただいてはおりますが、これからは、梅、ミカン、カキ、桃を含め、流通、市場調査、販路拡大等、和歌山の果樹をどう売り込むか、しかも流通コストを低くしていくことを含めて検討し、営業活動を含め、農協、市町村と連携・合同したシステムをつくる必要があると考えるがどうか。農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 五点目としては、紀州梅の戦略方針についてです。
 せんだって、農水省は六月十四日、輸入野菜に対抗する野菜政策基本方針を示しました。そこで、低コスト化、契約取引推進、高付加価値化の三つの戦略モデルを提案し、その上で生産能率化、流通システム改革、コスト削減の今後の方向を示しております。私は、いわゆる今のセーフガードは中国の野菜農産物に限定された対策ではあっても、その中身は今まさに梅が抱えている中国梅と同じ立場で──セーフガードになるとかならんとかは別にして、そういう共通の悩みを抱えているということについてご理解をいただきたい。
 そこで、政府・農水省が示したこの三つの戦略は、まさにそのまま梅に関しても適用すべき課題であると考えます。政府がこれを適用する、せんにかかわらず、県行政はその基本方針を取り入れていく努力をすべきではないか。このことは詳しく言えませんが、非常に大切な指摘をされています。我々がずっと考えていたことを、農水省も積極的にこの三つの観点、戦略で提案をしてきました。日本の農業を守るという観点からいい方針を出されたな、タイミングがよかったなと私は思うんですが、梅に対してもこのことを積極的に取り入れてほしい。
 県は、農協、加工業者等、関係者と梅に関して現状分析をし、基本戦略方針を策定することが当面の緊急課題と考えますが、農林水産部長のご見解をお願いしたいと思います。
 次に大きい二点目ですけれども、県行政の改革大綱の具体的な実践について申し上げます。
 国の行政改革大綱は聖域にまで立ち入り、しかも今までと違って、えらいスピードで行革断行の具体的実施を行おうとしています。県は平成十一年に行革大綱を発表しているが、基本的視点にとどまっているのではないか。私は、木村知事のもと、行革大綱は個々の分野まで立ち入って具体的行革方針を示す時期に来ていると考えます。そこで、私から幾つかの点を指摘して県当局の見解をお聞きしたいと思います。
 まず第一点は、公益を初め公社、財団等の外郭団体の見直しは、廃止か縮小か統合かの方針を具体的に示す時期に来ていると思います。県行革大綱に行政と民間の役割分担の明確化と示されているとおり、公共的事業でない本来民間がすべき事業にまで立ち入った問題が国においても議論されているわけであります。とりわけ、開発公社が土地不動産業的なことをしたり、住宅公社が土地、建物、不動産業をしたこと、これらをはっきり見きわめる必要があります。行政は、民間活力に刺激を与えることはあっても、民間事業にまでかかわることを今後は見直す必要があります。少なくとも、行政と民間の関係ではPFI導入により事業を発展していくべきだと考えますが、いかがなものでしょうか。
 これに関係して、政府の行革担当相のもとにつくられた行革断行評議会は、特殊法人、公益法人改革を断行するとしています。とりわけ、年金福祉基金の運営するグリーンピア南紀を含む全国十三カ所について、自治体が責任を持たない場合、廃止または民間委託を含めて見直すとあります。県当局としては、グリーンピア南紀を存続させるのか、廃止するのか、今後どうしていくのか、方針を示す時期に来ていると考えます。当初、十年間ぐらいの余裕があると聞いていましたが、石原行革担当相は平成十八年に方向を決めると、六月二十日発表されました。グリーピア南紀について、県が主体となって関係自治体、民間団体と具体的な方向を、六十名の職員の対応を含めて早急に進めるべきだと考えますが、いかがなものでしょうか。
 次に、行革の二つ目で、補助金制度の見直しについてであります。
 県行革大綱は、自立的精神と自己責任原則のもと、民間活動への過度な県の関与は見直すとしているが、私は県として、今までの古い慣行に思い切ってメスを入れる時期に来ていると考えております。現在、民間団体への補助金については、数多くの団体に大きな金額を補助されていると思いますが、行政と民間の役割分担について十分検討し、民間団体の自主的、自立的な活動を支援する観点から見直しや整理を行っていくことが重要と考えております。また、補助金制度を見直す中で行政と民間の役割分担を明確にすることは、今知事が積極的に推進しているNPO活動を県民の中に広げることにつながり、県民自身のそれぞれの地域における各分野への活動の参画を促す効果があると私は考えております。
 さらに、県の財政が厳しい中で財政運営プログラムIIに基づく改善方向を打ち出していますが、数字的にどう改善をされて歳出を削減するのかが具体的に不明であります。そこで、まず県行政の足元から思い切って見直し、改善することが今ぜひ必要であります。つまり、まず「隗より始めよ」であります。みずから汗し、身を切り、泥をかぶることをしなければ、改革や歳出削減は断行できないと確信するものです。いずれにいたしましても、非常に厳しい財政状況の中、民間団体等に対する補助金制度の見直しは避けて通れないと思いますが、このことに対して県は今後どのように対応していかれるのか、総務部長にお聞きしたいと思います。
 そこで、三つ目は、市町村合併推進と県組織機構の見直しについてであります。
 平成十七年に向けて各市町村は、合併に関する議論と意見集約がなされております。市町村の合併方針と県組織がどうかかわり、どう変わるのか、具体的に県当局では議論されているのでしょうか。市町村指導では県は合併推進室を設けているが、みずからの県組織がどうあるべきか、どうなっていくのか、議論や方針をどこで策定しているのでしょうか。私は、市町村合併に伴う県組織そのものへの影響の方がかなり大きい、とりわけ振興局の存在を初め関連団体の必要性が問われると思うが、どう受けとめているのでしょうか。こういった行革を具体的に断行していくために、各分野の具体的な方針を策定するために、民間人を含めた行革断行委員会を組織して県への提言を受ける必要はないのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
 大きい三つ目でありますが、公共事業等に対する予算配分の見直しについてであります。
 日本の高度成長、バブル等の好景気の内需拡大での公共事業、バブルがはじけた後の景気対策としての公共事業など、いわゆる国のひもつきの公共事業に依存してきた結果、自治体は食べたくない料理を食べさせられてきたことになり、その反省として国の構造改革の議論の中などで、真に県民生活に直結した公共事業であり得たのかとの問題が今議論されております。そこでは自治体がみずから判断することや県や市町村がより責任を持つことが議論されており、さらに、従来の公共事業から生活関連事業にシフトされていく傾向にあります。これは地方自治体の本旨に戻っていることと、私はよりいい方向に進んでいると思っております。
 和歌山県も、公共事業中心の政策が生活関連事業へシフトし、重点を移す時期にあり、それは日本経済そのものの動向であると私は考えます。地方自治体が目的もはっきりしないまま大規模な土地造成をしたり、海を埋め立てたり、民間がすべき土地や住宅をつくって販売するといった商売をしたことによってどれだけの不良債権や借金を背負ったのでしょうか。今こそ冷静に、地方自治体の果たすべき役割を県民に対して明確にするときではないでしょうか。県民の生命と財産を守ることに対する投資、県民の教育や環境整備に対する投資、県民の福祉や医療に対する投資、県民の生活環境に対する投資、一次・二次産業振興のための基盤整備など、これだけを見ても県民生活関連の事業は大変なものであり、この分野への予算配分が必要とされております。
 ちなみに、私は少し私だけの資料を収集したんですが、例えば県民の生命、財産を守るための河川治水整備の問題についても、和歌山県はまだ三二%しか改修されておりませんし、災害維持管理等の非常に厳しい河川災害や河川維持についても、平成十年度が十八億円だったのが平成十二年度は十一億円と、箇所はふえているのに金額は毎年減らされてきている。しかも、この間も地すべり事故がありましたが、県内の土砂災害対策についても、和歌山県は土石流で到達度一七%、そして地すべりでは七%、急傾斜では二五%で、土砂災害危険箇所が土石流で一千六百十一、地すべりで四百九十五カ所、急傾斜で二千二百八十七カ所といった状態であります。とりわけ、県単独事業の特殊急傾斜についてはどれだけの予算が組まれているか。各地方では、要望してもそれはもう無理だろう、よりゼロに近いという回答を得たという状況であります。
 また、教育予算でありますが──ちょっと飛ばして申しわけない。時間がないので。
 学校教育予算についてでありますが、県下高等学校、盲・聾、養護学校を含めて五十五校あります。これについても、現在の建設から耐用年数を含めて毎年改修をしていかなければならない予算は、少なくとも年間七十四億円が要るという試算を、私なりに聞いております。そしてそれが現実には、平成元年が三十六億三千万、平成十三年には二十三億四千万といった年間の予算であります。必要に対して三分の一弱であります。福祉関係でも、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、ケアハウス等の福祉施設について、平成十六年整備目標で到達するベッド数に換算しても、かなりな額の施設整備の必要が迫られております。
 今、全国の自治体は公共事業から生活関連事業へシフトをしているわけですが、こういった状況を踏まえますと、私たちも今までの発想からまさにそういった発想へ方向転換すべきではないか。和歌山県もその方向にすることによって、これらの投資による地域の事業者や雇用、消費等を含めた地域経済への波及効果ははかり知れないものです。生活関連への予算配分が地域の経済活性化の大きな役割を果たすことに対して、今改めて県政がそのスタンスに立ち返ることを強く願うものですが、知事のご見解をお伺いしたいと思います。
 最後になりますが、介護保険が一年を経過した中での要介護者の声、介護事業者の要望、市町村の要望の中から幾つか取り上げて、県当局の考え方をお聞きしたいと思います。
 要介護者の声として、一つは負担がえらいので利用しない、二つ目は、介護保険をショートステイで使ってしまい、デイサービスを受けるにも受けられない、自己負担での保険外負担は非常に苦しい、こういった事象が起こっております。それから、介護認定、とりわけ痴呆性高齢者への認定は本人と家族には疑問と不満が多い。これに対してどう対応するのか。
 次に、介護事業所においては、訪問介護報酬が低いことにより、そこのヘルパーの皆さんへの適正賃金が支払えない。二つ目は、居宅介護支援事業者のケアマネジャーへの適正賃金が支払えない。和歌山県全体の各認定介護度の利用率の平均は、点数に対して四一%であり、行政機関が目指す在宅ケアへの移行は非常に難しく、施設入所への希望がふえるのではないかという心配。市町村により書類が違うので、非常に煩雑で書類に悩まされる。それから、身体的アセスメントが適正にできるケアマネジャーが少なく、在宅医療が広がらない可能性がある。これらの要望や問題点について、当局の総括的な考え方をお聞きしたいと思います。
 次に、市町村でも幾つかの要望がある中で、一つだけ県にお尋ねします。介護認定事業所への実態を調査するため、指導巡回を行う責任者を振興局単位に配置してほしいということであります。施設入所やデイサービスは一行政区域にとどまらず、広域で利用されております。しかも、事業所認定の許可権、管理監督に関する権限がすべて県にあり、市町村にないことからも、その必要性が求められています。福祉保健部長の見解をお尋ねします。
 最後になりますが、介護保険NPO法人と税制の問題についてであります。
 私はたまたま福祉関係NPO法人の決算を手伝うことがあって、対税務署への申告等を経験することがこの五月末にありました。介護保険NPO法人と税制の関係に疑問を持ち、全国のNPO法人の声を聞いてみますと、私は税制の改善を求める必要を感じました。
 そこで、県当局に二つの点でご質問いたします。
 第一点は、NPOは、本来ボランティア、助け合い活動を基本に組織され、市民運動として認められています。ところが、税制に関しては、介護保険事業は法人税法上、三十三種の収益事業の一つの医療・保健事業とみなされ、所得八百万円以下は二二%、それを超えると三〇%の法人税がかかります。一方、財団法人など公益法人は一律二二%に抑えられ、社会福祉法人が介護保険事業をしても特例で非課税で、収益を本来目的の事業に充てると、みなし寄附金として控除されます。しかし、NPO法人は民間企業と同等扱いで、税制上の優遇はないのです。介護保険NPO法人や福祉関係のNPOの全国組織は、国に対してその改善を求め、論議されてきました。政府は今年度の税制改正要綱で、一定の要件を満たした認定NPO法人に寄附をした個人、企業は所得・法人税などの控除を認め、十月から実施されることになりました。しかし、NPO法人自体に対する法人税軽減税率の適用やみなし寄附などの課税軽減策は今回見送られました。
 そこで、私は県当局に対して、公益性が高いと認められたNPO法人に対し、税制の改善を国に対して求めるよう福祉保健部長に要望したいと思います。
 第二点は、公益性の高いNPO法人に対する法人県民税について、税の軽減策を独自に考えてはどうか、総務部長の見解をお聞かせ願いたいと思います。
 これで、私の第一回質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
  〔「梅の感想から」と呼ぶ者あり〕
○知事(木村良樹君) ただいま、梅の感想からというご発言がございましたけれども、私もいただきました。なかなか、いい味になっている。
 ただ、私、この間も言いましたように、山東省の方へ行ってきて、中国の農業もそうでしたが、工業も大変な規模、スケールでどんどん安い値段でつくっているということで、この梅の問題は和歌山県にとって大変厳しい問題であると、改めて認識しております。そうであるゆえに、まだ今からであれば対応策をある程度とっていけるという面もあると思いますので、販売方法とか品質管理の問題とか、いろんなことで研究を進めて万全の体制で対応していきたいと思います。
 次に、公共事業の配分等の見直しをしたらどうかということでございます。
 先日、経済財政諮問会議の基本方針案が出ました。その中では、公共事業のあり方についてもドラスチックな見直しということが出てきておりますし、国と地方の関係についても、これからは地方にどんどん自立してやってもらうんだという方向が出てきておりまして、これはもうはっきり言って、今までとはさま変わりした方針だと思います。
 そして、このことを、好むと好まざるにかかわらず、和歌山県としても──抗議すべきところは抗議していかなければなりませんけれども──対応していく策も練っていかなければならないということで、これからいろんな施策につきましても、そういう構造改革に対応していく自立した和歌山県をつくっていくという面でどうすればいいかということを真剣に考えていきたいと思っております。
 ただ、和歌山県の場合、ご案内のように、公共事業ももう毎年減ってきておりますし、それから公共事業はほとんど生活関連であるということもあります。それからもう一つは、県の場合、公共事業が非常に雇用の場を提供しているという大きな役割があるということも改めて──こういうことも含めてやっぱり検討していかないといかんという気持ちを深くしているところでございます。
 いずれにせよ、思い切った見直しをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 梅産業の二重の苦しみについてのご質問のうち、三点につきましてお答えいたします。
 まず、大気環境調査等への取り組みについてでございますが、御坊火力発電所のばいじんについては、電力需要がふえることしの夏場に採取される予定となってございまして、事業者から試料の提供を受け次第、バナジウム、ニッケルなどの十三成分について、県農業試験場で分析するとともに、あわせて外部委託も行うこととしてございます。
 なお、ばいじんの直接暴露試験につきましては、これまでもお答えしてきましたとおり、科学的評価が可能な研究手法があるのかどうか検討してまいりたいと考えてございます。
 また、現地での降下ばいじん調査につきましては、地元農家の要望も踏まえ、梅産地を中心に県下十二カ所に降下ばいじん捕集装置を設置し、既に六月上旬から調査を開始してございます。この調査に当たっては関係部局の協力を得ながら取り組んでいるところでございまして、降下ばいじんの量や成分、また梅樹の生育などの調査を県の試験研究機関で実施することとしてございます。
 次に、紀州梅ブランドを守るための流通販売システムづくりについてでございますが、梅を含め、これまでの農産物の販売につきましては、卸売市場を核とした市場流通を中心に行われてきたところでございます。また、安心、安全を求める消費者ニーズの高まりに伴って流通形態も変化してきており、近年、ふれあい市場などの直販施設やインターネットでの販売といった生産者と消費者が結びついた新たな取り組みも見られます。
 県といたしましては、こうした動きを踏まえながら、産地での直販施設の整備を促進する一方、ITを活用したロケーションアンテナショップやふるさと和歌山わいわい市場などを通して農産物の情報発信に努めるとともに、今後、生産者団体を初め、流通加工業者等の関係機関が一体となった場づくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、紀州梅の戦略方針についてでございますが、県では果樹農業振興特別措置法に基づき、梅など十四品目について平成二十二年度の生産目標を定めた和歌山県果樹農業振興計画を作成したところでございます。さらに、この振興計画をより実効性のあるものとするため、JAを初め消費者や流通加工業者など関係者の幅広いご意見をお聞きしながら、梅、ミカン、カキ、桃など、主要品目ごとに生産から流通加工に至る具体的な戦略プランを本年度中に作成することとしてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、御坊発電所についてのご質問にお答えをいたします。
 最近の電力需要の動向から、関西電力では御坊発電所について、今年度から当分の間、二号機を停止し、一号機及び三号機の稼働により電力需要に対応する計画であると聞いてございます。発電所の稼働の計画は事業者が電力需要等を勘案しながら自主的に判断しているものでございまして、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、県のエネルギー政策についてのご質問でございます。
 まず、御坊第二発電所計画の燃料とされているオリマルジョンにつきましては、高性能の排煙脱硫装置など必要な環境保全対策が盛り込まれた上、平成九年七月、国の電源開発調整審議会において承認されたものであり、県としてはこの結論を尊重してまいりたいと考えてございます。
 次に、森林資源などを活用したバイオマスエネルギーにつきましては、その望ましい利用方法を考えていく必要があると認識しているところでございます。ご提案のバイオマスエネルギー実験所につきましては、現在のところ国等においても具体化には至っておりませんが、今後とも乗りおくれることのないよう情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 また、紀南地域は良好な日照条件にあることから、本県及び田辺市の新エネルギービジョンにおきましては、太陽光発電や太陽熱利用の導入促進を図ることとしているところでございます。今後とも、より一層の普及啓発に努め、導入促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県の行政改革大綱の具体的実践についてのご質問にお答えをいたします。
 まず外郭団体の見直しについてでございますが、いわゆる外郭団体は、県民サービスの向上、県内産業の振興など、広範な分野において重要かつ多様な役割を担っております。しかしながら、今大きな変革の時代を迎えまして、国においては特殊法人等のあり方について抜本的な見直しの議論がなされているところでありまして、本県におきましてもその見直しは重要な課題であると認識をいたしております。
 本県の外郭団体につきましては、全国的に見てみますとその数としては少ないものの、今後それぞれの団体の経営分析などを行うこととしており、これらも踏まえながら各団体について根本に立ち返った検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。
 次に、補助金制度の見直しについてお答えいたします。
 昨年五月に策定・公表した財政運営プログラムIIを基本といたしまして聖域ない事務事業の見直しに取り組むとともに、県独自の職員の給与カットや公共事業にマイナスシーリングを導入するなどの歳出削減に努めてきたところでございます。
 しかし、最近の地方交付税を含む地方財政制度の見直し論議などを踏まえて今後の財政運営を考えますと、歳出全体についてより一層厳しい目で見直すことが必要であります。その中で、県の補助金制度につきましても、県民の皆様の理解を得ながら、事務事業評価を活用し、ゼロベースの視点に立ち返った見直しを行ってまいりたいと考えております。
 次に、組織機構に関係して市町村合併と県の組織機構の見直しについてでございます。
 今後、市町村合併が進展し、また基礎的自治体である市町村の機能が強化されてまいりますと、県と市町村との役割分担について見直しを検討する必要が生じるものと考えております。あわせて、県民の生活に密着した行政や地域との深いかかわりの事務を行う振興局を初めとする地方機関と本庁との役割分担、あるいは配置のあり方など、これまでとは異なる視点から検討すべき課題も出てくるものと認識をいたしております。
 このような考えのもと、ご提言にもありますように、各界各層の皆様のご意見をお聞きする場を設けるなどしながら、長期的視点に立った県の行政機構のあり方を検討していくことも必要であると考えております。
 介護保険の関連で、介護保険NPO法人と税制の問題についてでございます。
 本県においてNPO法人として認証された団体は、国が認証した四団体を含め、二十五団体あると承知してございます。NPO法人に対する県税の優遇措置として、収益事業を行っていないNPO法人については法人県民税の均等割の課税免除を行っているところでございます。
 ご指摘の介護保険NPO法人の税制問題については、法人税法上の制約もございますが、県といたしましても、ボランティア活動を初めとした民間の非営利団体による社会貢献活動を支援する観点から、他府県の動向、他の公益法人との均衡なども考慮しながら今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) グリーンピア南紀についての県としての対応でございます。
 グリーンピアにつきましては、設置主体でございます年金福祉事業団が本年の四月一日に解散をし、同日から年金資金運用基金が承継をしてございます。年金福祉事業団から県に対し、施設の譲渡引き受けの意向確認があり、譲渡引き受けは困難であることから、引き続き国において運営されるよう回答しているところでございますが、議員ご指摘のとおり、現在国においては特殊法人改革に取り組んでいるところであり、グリーンピアもその対象施設となってございます。
 現在、グリーンピア南紀の経営状況は非常に厳しいものがあり、今後のあり方について種々検討しているところでございます。国の動向も見きわめながら、行政と民間の役割分担を考慮しつつ、県としての方向づけを早急に検討してまいりたいと存じます。
 次に、介護保険制度での要介護者及び介護事業所の要望や問題点についてでございます。
 県といたしましては、高齢者の方々が必要な介護サービスを十分に受けられるよう、介護サービスの充実や介護支援専門員など介護に携わる人材の育成、資質の向上、並びに県民への啓発等、さらに努力してまいります。また、国に対しましても、恒常的な低所得者への負担軽減、痴呆性高齢者の適切な要介護認定、介護支援専門員の介護報酬の引き上げなどについて強く要望しているところでございます。
 次に市町村の要望についてでございますが、今年度の組織改正により長寿社会推進課に事業所指導班を設置し、振興局の担当職員とともに順次、実地指導も行っているところです。今後とも、市町村と十分連携を図りながら、よりよい介護サービスの提供に向けて介護サービス事業所を指導してまいります。
 次に、介護保険NPO法人の国の税制についてお答えをいたします。
 NPO法人に対する税制につきましては、さきに行いました政府要望の中でも、NPO法人等の民間事業者の参入を促進するため、税制上の優遇措置の拡大等、参入環境の整備を要望してございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問というより要望にとどめさせていただきます。
 先ほど、一点目の梅産業の二重の苦しみについて、知事に特別答弁を求めていなかったんですが、ありがとうございます。
 そこで、一つは紀州ブランド商品の流通の問題と紀州梅の戦略方針であります。
 私たちは、こういった農林水産省の三つの戦略が出る前に、現状の梅の問題について論議をする中で、私たちが生きる道は、やっぱりいかに労働コストを落としていくかとか、それから契約取引──今までのような市場中心の流通システムでは非常に使用料も高くなるし手数料も要るので、そういう意味では契約取引をするとか、先ほども言いましたが、インターネットを使って消費者へ産直でするとか、「通いコンテナ」と言いまして──今は十キロなら十キロの段ボールへ入れて積んでいるんですが、それをデポジット制を活用したいわゆる「通いコンテナ」にして持っていったらそのまま空で戻ってくると。そういう部分で、流通のコストをいかに下げるかという論議も我々ずっとやってきているわけです。
 これについて、県当局も具体的にこれからどうするという方針が示されましたので、できるだけこの点で、現場の農協や加工業者と──今までだったら行政と個々の利益関係もあって案外ばらばらだったんですが、今、加工業者の皆さんも、この時期に来て、自分のもうけばっかり言うておれんと。この際一緒になって、共通のテーブルに着いて、ともに紀州の梅を守るためにどうしていくかと、そういういい時期に来たなということになっておりますので、我々も汗をかきますが、県当局もひとつぜひ汗をかいていただけたらありがたいと思っております。
 それから、火力発電所の問題です。
 いつまでも、平行線はたどりながらも、ここにおる限り言い続けようと思っていますが、一つは、これは僕は全然違うんですけれども、火力発電所を誘致する側の市や町村は、延期されたので早くせえと言うているわけです。僕が言っているオリマルジョンとか三号機に脱硫装置がついたら──二号機は停止しますが──一号機もとめて三号機でやってよという意見は、裏腹に考えれば同じことを言っているのに、それは変に、向こうの企業の立場から言いにくいような言い方の答弁だったので、ちょっとおかしくなれへんかなと。向こうがどう判断するかは別にして、同じことで一応そういうことを申し入れしてほしい。
 例えば、平成十二年度の利用率を見ますと、ほとんど一号機をとめてもいいぐらいですよ。十二年の四月、五月、六月、十月、十一月、十二月、一月、もうほとんど停止しています。一、二、三、四、五、六、七カ月、一号機は停止しているんですよ。だから、実質的に三号機のみで稼働しても何ら関西電力に迷惑をかけないし、問題はないと。しかも稼働率六・七%という状況でありますから、何ら関西電力に遠慮しないで、脱硫装置をつけたところの稼働に絞っていただきたいと、県としての主体性で言っていただきたいなというのが私の考えであります。
 それから、行革の問題であります。
 私は、何もかも削れとか削減せえとか、そういう意味ではなくて、やっぱり見直すというのが基本です。見直すというのは何が基本かと言いますと、我々はどうしても今までの古いしきたり、慣行でずっときたと。しかし、小泉内閣がやろうとしていることは、一面──全部は私、賛成していませんけれども──やる方向の考え方については我々地方自治体もそういう意味で同じ受けとめ方をしていかないと、これからの日本の経済そのものを考えていくと、世界と対等に日本の経済が主体的に生きていくには、それは避けて通れない道だろうと僕は思っております。
 そういう意味では、補助金制度の見直しや外郭団体の見直しといったことに対していかに県民に理解を求めていくか。そこで浮いたお金を県がまた別のところでむだ遣いするのと違いますよ、これだけ浮いたお金は、先ほど言いましたように、県民の皆さんの生活関連の公共事業に回して皆さんに還元されるんですよ、そしてそれによって地域や県民の生活は向上していくんですよということを県民に説明すれば、必ずこれは理解されると思います。私がこの原稿を書いた後、たまたま六月十九日の岩手県知事、そしてきょうの宮城県の浅野知事の話を見ますと、その考え方においては、まさにそのことも含めて書いているように思います。だから、そういう意味で思い切った対応をしていただけたらと思います。
 この宮城県の浅野さんの言うていることは、一つは、国は各県、市町村に補助金絡みで枠を絞っておいて、官僚のええ格好しいの場にしてしまったと。おれに頭を下げなかったらしてやれへんぞと、こういう部分をやっぱり乗り越えていかざるを得ない時期に来たなと。我々県も──僕も市会におったときに思ったんですが、やっぱり市町村は県のご機嫌をうかがって、県の補助金をもらうために何回も頭を下げに来ていろいろ人間関係をつくってと、そういうことも今までは許されたけれども、これからはそれは厳しいな、そのことをわかってもらわないといかん時期に来たなと、こう私は思っているわけです。それをいみじくも、国の官僚が知事になって言っているんですからね。これは現知事も同じだと思うんですが、そういう意味では物すごくいいことを──これからは避けて通れないなと。
 それから、市町村合併の問題と県の関係です。
 市町村合併ばっかりわあっと御旗のごとく県や国が言うていますが、この業務、この業務と見て考えてみますと、自分の足元、県の職員の方がずっと大変やなと。県の職員そのもののこれからの生きる道が、ここで物すごい問題になってくるやろう、市町村より厳しくなるやろうと。
 たまたまこの十九日、岩手県知事は、「県は職員が余り、仕事がふえる。市町村は足りなくなる。それで、県職員を二、三年のローテーションで市町村に送り込む仕組みができないか検討しているところだ」と、こういうふうなことまでもう具体的に出しています。だから、そういう意味では県職員もうかうかしておれやんぞと。やっぱり、市町村合併が推進すると同時に県の職員は非常に厳しくなるぞということの論議を十分して、そこで我々の県の組織がどうあるべきか、広く職員自身も論議をするし、そして広く県民にも理解を求めていく必要があるのではないかということを痛感しています。
 それから、最後になりますが、グリーンピアの問題です。
 この六十名の職員を守るためにどうしていくかということについて、県は本当に一生懸命に考えていかないと。雇用の数から言うと、あの地域では一つの大きな企業ですね。そういう意味もあって──十二年度の決算を見ると、五千万円の赤字を出しているんですね。もちろん、県、市町村も出資金を出しながらやけど、ほとんど紀陽銀行の借り入れを取り崩しながら今のところ経営しているという実態であります。もう今さら「たら」ではあかんから、これから二〇〇五年まで一定の時間がありますので、その間、毎年また同じように単年度で五千万、五千万という負債になると、もう手のつけようがない。後で整理するときに、お互いの出資金の配分で今度は赤字の負担を県もやらなきゃならない。小さい町村もそれを負担していかなきゃいかんという事態を招くのですから、いずれにしても、この経営に対して赤字をできるだけ少なくする方向を目指しながら、二〇〇五年以降の方針をぜひとも組み立てていただきたいと思います。
 以上で、要望を終わりまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は六月二十五日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十七分散会

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