平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。ただいま、議長のお許しをいただきました。一般質問はきょうで二日目で、私は六人目でございます。先輩議員の質問と重複する点、お許しをいただき、通告に従って質問をさせていただきます。
 最初に、地方交付税等の見直し問題についてお尋ねいたします。
 六月十三日開会されました六月定例議会で、「地方の道路整備の促進と財源措置に関する意見書」と「地方財政制度の見直しに関する意見書」をそれぞれ可決いたしました。一方、六月定例会の知事の説明では、改革の断行が必要であるとしながらも、道路特定財源の見直しについて、「本県の道路整備がおくれることのないよう財源措置を国に強く要望した」、そして「地方の立場をはっきりと主張し、国において地方の意見を十分に踏まえながら検討を行うよう働きかけてまいりたい」、また、地方交付税制度の見直しについては、「地方公共団体の財政力の格差について調整機能を担っており、税源が偏在している現状では税財源の再配分機能を確保する必要がある」、そのために片山鳥取県知事と共同で国の地方交付税制度の見直し等に対して、地方の立場から「自主的な財政運営を可能とする地方財政制度の確立を求める共同アピールを行ったところでございます」と表明されました。宮城県の浅野知事は道路特定財源の見直しについて、「議論を単純化すれば、この問題は都市のエゴと地方のエゴのぶつかり合いである」と言っております。
 公債や起債の残高が国と地方を合わせて六百六十六兆円、しかも国は来年度の公債発行を三十兆円に抑えるという状況の中で、地方交付税の見直しや道路特定財源を初めとする財政構造改革は避けて通れない課題であります。私は、改革断行には当然痛みが伴うものでありますが、本県のように財政基盤が弱く財政力指数が低い地方が不利益をこうむるような改革であっては断じてならないと考えます。
 知事は記者会見で、片山鳥取県知事と共同アピールを行った際に、財政基盤の弱い県の知事らにも呼びかけ、小泉内閣が地方財政改革を論議する上で地方の実情を的確に認識するよう働きかけてまいりたいと話しております。共同アピールの内容と他府県の反応はいかがでしょうか。また、地方分権の時代にふさわしい自主的な財政運営を可能とするための全国大会の開催を財政基盤の弱い他府県に呼びかけたらどうかと考えますが、知事のご見解を承りたいと思います。
 地方分権推進委員会の最終報告書では、国税の所得税の一部を地方税の個人住民税に、消費税の一部を地方消費税に組みかえ、その一方で地方交付税や国庫補助金の削減を図る具体案を盛り込んでおります。所得税や消費税は法人税に比べて地域間の隔たりが比較的少ないわけでありますが、本県のように過疎地域を抱える市町村レベルでは、財政力の格差はさらに広がるものと思われます。財政力の格差をならすための方策について、知事のお考えをお聞かせください。
 平成十年度に、小規模自治体の一人当たりの行政経費が総体的に割高になることに配慮した地方交付税の係数が見直されました。人口四千人未満の町村を対象に国は地方交付税の算定基準を見直したわけでありますが、本県の小規模町村への影響はどのようになっているのか、また小規模自治体への財政的な締めつけと市町村合併との関連について、総務部長にお伺いいたします。
 次に、ハンセン病問題についてお尋ねいたします。
 先月、熊本地方裁判所におけるハンセン病国家賠償請求訴訟について、極めて異例の判断でありますが、国は控訴を行わないことを決定いたしました。そして、「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」と政府声明を発表いたしました。また、衆参両院では今月七日、八日の衆参本会議で、それぞれハンセン病患者、元患者への謝罪と国会の責任を求めたハンセン病問題に関する国会決議が全会一致で可決されました。その内容は、長年とられてきた隔離政策により多くの患者らが受けた苦痛と苦難に対し「深く反省し謝罪の意を表明する」、「このような不幸を二度と繰り返さないよう、すみやかに患者、元患者に対する名誉回復と救済等の立法措置を講ずることをここに決意する」というものであります。この決議を受けまして、六月十五日にハンセン病の患者、元患者への補償法案が可決成立いたしました。法案には、ハンセン病療養所入所者らのこうむった精神的苦痛に対する補償金支給と患者、元患者の名誉回復などに必要な措置が盛り込まれております。
 私は最近、国本衛氏の書かれた「生きて、ふたたび」を読みました。国本衛氏は十四歳のときにハンセン病を発症、東京の国立ハンセン病療養所多摩全生園に入所している方で、らい予防法人権侵害謝罪・国家賠償請求訴訟に第一次提訴原告の一人として参加、口頭弁論で原告意見陳述をした人であります。
 ここで、その一節をご紹介させていただきます。
 「わたしは罪人以上の扱いを受けながら、そのような目に遭わせた国の責任をあいまいにしたまま、死ななければならないのか。 取り返しのつかない歳月をどうとり戻せるのか、それらにたいし、国はなんの詫びもない。各園の納骨堂には、望郷の思いを胸にしながら、帰りたくとも帰れなかった者が、遺骨になっても、なお帰れないでいる。 怒ることさえ奪われてしまった者たちが、今、怒ることを思い起こし、怒りを噴出させた。療友たちは国にたいし、謝罪と国家賠償を求めて訴訟を起こした。 許し得ない。死にきれない。わたしも今七十三歳にして、その思いはつのるばかりだ。一九九九年三月二十六日、国を相手に告訴した。生きてふたたび、わたしは闘いたい。健康状態からいって、わたしが生きている間に判決の日を迎えることはないかもしれない。それでもわたしは己に悔いなく生きるために、提訴した。 「らい予防法問題」はまだ終わっていないのだ」。
 この本を読みますと、長い歴史の中で患者、元患者の皆さんが強いられてきた幾多の苦痛と苦難、亡くなられた人たちの無念の思いがひしひしと伝わってまいります。従来の政府見解ならば、国家賠償を認めた熊本地裁判決に対しては控訴が常識で、報道等でも控訴して和解の道を探る方針が強調されておりました。これが一転して、極めて異例な措置として控訴断念となり、「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」と政府声明を発表、ハンセン病患者、元患者への謝罪と国会の責任を認めた国会決議、補償法の成立となりました。まさに二十一世紀の「人道の世紀」、「人権の世紀」への扉を開く一つの大きな象徴として国の対応を高く評価するものであります。
 木村知事は、国が控訴を断念したハンセン病国家賠償請求訴訟で、「県内でも患者の人権を無視した対応があったことについておわびする」と、謝罪するコメントを今月八日に出されました。おわびの中で、戦前に患者を強制的に療養所に送る「無らい県運動」に取り組んだことなどへの反省も踏まえたとしています。そして、知事の代理として六月十四日、県幹部は岡山、東京、群馬の各国立療養所に知事のおわびと励ましのメッセージを伝えに行かれました。
 一方、鳥取県の片山知事は、六月十二日、岡山県のハンセン病国立療養所を初めて訪れ、鳥取県出身の入所者に「国の隔離政策の一翼を担ってきた県として多くの人にむごい仕打ちをしたことを自覚し、反省する」として、みずから足を運んで謝罪されております。大阪府の太田知事は、六月中にも府出身の入所者が暮らす岡山県邑久町の長島愛生園と邑久光明園の二カ所を訪ね、直接謝罪することになっております。また、坂口厚生労働大臣も、六月十六日、熊本県の国立ハンセン病療養所の菊池恵楓園を訪問し、療養所入所者に国の隔離政策で苦痛を与えたことを謝罪されております。
 本県出身のハンセン病療養所入所者は高齢化で──平均年齢が七十四歳と承っております──療養所から里帰りできる人は限られております。また、知事を知らない人ばかりであります。私は、知事ご本人がみずから足を運んで療養所を訪れ、本県出身の入所者に直接会って謝罪すべきであると考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
 また、片山知事は入所者らに対し、療養所で他界した同県出身者の遺骨について、遺族の理解を得た上で故郷に埋葬されるよう県として橋渡しをしたいと述べ、県内遺族らに働きかけていくことを約束し、遺骨を故郷で埋葬する際の諸経費などを六月補正予算案として三百万円計上しております。
 先ほどご紹介いたしました国本衛氏の書かれた「生きて、ふたたび」の中の「各園の納骨堂には、望郷の思いを胸にしながら、帰りたくとも帰れなかった者が、遺骨になっても、なお帰れないでいる」との記述に思いをはせるとき、本県出身者の遺骨を遺族の理解を得た上で故郷で埋葬する際の諸経費を県で支援すべきであると考えます。県出身者の遺骨の帰郷を含めた里帰りなどへの支援策について、知事のご所見を承りたいと思います。
 ハンセン病は、もともと感染力の弱い病気であります。昭和二十二にプロミンやリファンピシンの新薬の出現で不治から治癒へと、時代も治療も大きく変わりましたが、政府は明治以来の予防法に固執してきました。平成八年にようやくハンセン病予防法は廃止になりました。そのとき、多くのハンセン病の患者の皆さんからは、なぜ国は今までの隔離政策などのハンセン病政策の間違いを認めないんだ、なぜ国はハンセン病予防法の過ちを認めないんだと、こういう声が上がったわけであります。今回、控訴を断念するまでは具体的な解決とならなかったわけであります。一切、国の政策の誤りを認めませんでした。 今回の「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」は、「我が国においてかつて採られたハンセン病患者に対する施設入所政策が、多くの患者の人権に対する大きな制限、制約となったこと、また、一般社会において極めて厳しい偏見、差別が存在してきた事実を深刻に受け止め、患者・元患者が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として深く反省し、率直にお詫びを申し上げるとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の念を捧げるものです」となっております。
 政府は、ハンセン病施設入所政策九十年の歴史の中で、初めてハンセン病患者、元患者に対して深く反省し、率直におわびをしたわけであります。また、先ほども申し上げましたように、木村知事も他府県に先駆けていち早く──一番早かったので、本当にすごいなと思ったんですが──かつて人権無視の対応があったことにおわびすると謝罪をされました。この点は評価させていただきます。
 本県での「無らい県運動」の実態とハンセン病患者、元患者に対する名誉回復と差別や偏見解消へ向けての今後の取り組みについて、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、本県の再生をかけたITへの取り組みについてお尋ねいたします。
 私は、昨年九月と十二月、本年二月定例会の一般質問で、IT化の促進についてお尋ねいたしました。質問のたびに知事からは、本県のIT化に向けての並々ならぬ決意をお聞かせいただきました。そして、昨年九月定例会の一般質問で私が提案させていただきましたIT施策を推進するためのIT戦略本部が設置され、第一回目の本部員会議の初会合が本年四月二十四日に開催されました。IT戦略本部の今後の活動予定を見ますと、IT戦略マップの作成とあわせ、平成十四年度施策の予算化となっておりますが、情報技術は日進月歩であります。本県にとって目をみはるような新たないい提案があれば、補正予算を組んででも事業化を図るべきだと考えます。この点は要望させていただきます。
 一方、ホームページも所属別に開設され、職員の皆さんのご苦労もあって、本県のIT化はかなり促進されてきたと思います。知事はかねがね、「IT先進県を目指す」と言われております。職員の皆さんにはご苦労でありますが、さらに積極的な取り組みを期待するものであります。
 現在、県民に対してIT講習が実施されております。大変好評のようであります。ある町では、申込者が殺到し、わずか十分で申込枠がなくなっております。その町では、そういう状況でありますので、学校の夏休みを利用して再度IT講習が行われるそうであります。特に和歌山市はIT申し込みの競争率が二倍、県下では大体一・七倍というようになっているわけでございます。このIT講習の大きな反響とあわせ、今後、ふるさと和歌山わいわい市場の構築やバーチャル和歌山構想の事業化を進められるわけでありますが、IT講習の現状とIT化への課題について、知事並びに企画部長にお伺いいたします。
 通産省(現経済産業省)とアンダーセンコンサルティングの調査によりますと、今後五年間でIT化によって創出される雇用の内訳は、電子商取引関係で百五万人、新製品・サービス事業で六十八万人、情報通信産業で七十六万人となっております。一方、削減される雇用は、企業内の情報化で五十三万人、電子商取引の普及で百十万人としております。差し引きますと、八十六万人の雇用が拡大されるということになります。 
 また、二十一世紀産業戦略研究所、これは二十一世紀産業戦略会議──議長は経団連の今井敬新日鉄会長──の傘下にある研究所で、そちらの調査によりますと、アメリカは一九九一年から十年間に大企業などから三百万人の雇用が放出された、いわゆる離職者が出たということであります。それから十年間で二千七十万人の新たな雇用が生まれたと、このように記述しております。トータルとして失業率は大きく下がったと。そして、二十一世紀産業戦略研究所は、アメリカが一九九一年以降十年間で実現したことを日本が短期間に実現すれば、過剰雇用の五百万人を吐き出して余りある雇用を創出することができると。日本のeコノミー化がおくれればおくれるほど付加価値はアメリカに持っていかれ、雇用機会も減少するとしております。
 本県でのIT化の推進は地域の活性化と雇用の確保にどのように貢献するのか、商工労働部長にお伺いいたします。
 次に、大阪府池田市で起きた児童生徒殺傷事件につきまして、お尋ねいたします。
 去る六月八日、大阪府池田市で白昼、小学校へ侵入した男に一、二年生の児童が襲われ、八人が殺害され、教諭二人を含む十五人が負傷するという痛ましい事件が起きました。同じ年ごろの子供を持つ親として余りにも残忍、残酷な出来事に、憤りを感じるものであります。改めて、亡くなられた子供たちに心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
 本来安全であるべき学校で発生したこのような事件は、二度と起こしてはなりません。この児童殺傷事件は、全国の小中学校などの安全管理体制に大きな不安を投げかけております。県教育長はこの事件をどのように受けとめておられるのか。
 また、今後再びこのような痛ましい事件を起こさないため、さきに県下市町村に出された安全対策について、その実施状況を総点検するなど、小中学校等の安全管理に万全を期すべきであると考えます。また、児童生徒の保護者、自治会など地域住民、市町村、児童相談所、警察など、地域の諸機関が学校などと協力し、学校等安全対策協議会(仮称)を設置し、日常的に地域ぐるみで学校の安全を確保する体制をつくるべきだと考えます。教育長のご所見をお願いいたします。
 最後になりました。和歌山市のケアマネジャー事件について、これは要望させていただきます。
 先月、和歌山市で介護保険の利用者がケアマネジャーによって殺害されるという痛ましい事件が発生いたしました。私は、一昨年六月の定例会の一般質問で、ケアマネジャーの研修を実施すべきであるとの質問をいたしました。当時の福祉保健部長から、「一部の地域ではケアマネジャーの方々がお互いの資質向上を目的としての自主研修がなされており、県においてもこうした自主研修の動きが広がるよう支援しているところでございます」との答弁がございました。それだけに、今回の事件はまことに残念のきわみであります。
 県は、今回の事件を踏まえて、再発防止に向けて通知の発出や居宅事業所に対して集団指導を県内四カ所で実施されるなどの対応をしてこられました。また一方で、厚生労働大臣あてに、介護保険制度に対する信頼の確保について、介護支援専門員に対する受験資格の厳格化や介護支援専門員の資格取り消し要件の明確化などを求める要望書を出されております。
 その後、県長寿社会推進課の調査で、強盗殺人罪などで起訴されたケアマネジャーがサービス内容を利用者や家族に説明して文書で同意を得ていなかったことが判明、介護保険法施行令に基づく行政処分で殺人の罪を犯したケアマネジャーの資格が六月十八日付で剥奪されました。
 五月二十八日、厚生労働省は全国介護保険担当課長会議で、今後とも、かりそめにもこうした信頼関係が損なわれることのないよう、各都道府県におかれてもさまざまな機会を通じてその趣旨の徹底を図るとともに、介護支援専門員連絡協議会等の関係団体における取り組みへの助言等をお願いしたいとし、介護支援専門員連絡協議会、事業者団体等における取り組み例を示しております。
 その取り組み例の中に、大阪府介護支援専門員協会の介護支援専門員の信頼回復に向けての緊急声明や、何々県ホームヘルパー協議会、ホームヘルパー倫理綱領などがございます。本県は、今回の事件の震源地でもあります。今回の事件は例外的なものであり、特定の個人としての問題とも言えますが、介護保険一年目を迎え、介護保険がようやく定着しようとしていたやさきに、全国の介護支援専門員がこの一年必死に築き上げてきた利用者との信頼関係を一瞬のうちに根底から覆すことにもなりかねない出来事でありました。それだけに今回の衝撃は、全国の介護支援専門員だけでなく、社会や利用者にも戸惑いと不安を与えることになりました。
 県は、介護支援専門員連絡協議会や事業者団体における取り組みへの指導、助言等を行い、協議会や事業者団体が自発的に緊急声明や倫理綱領を策定し、その内容を全国に発信すべきであると考えます。この点、指導、助言をいただいて策定されますよう強く要望をさせていただきまして、私の第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに、地方交付税等の見直しについてお答えを申し上げます。
 地方交付税の見直しにつきましては、構造改革という中でいきなり地方交付税を見直すとか道路特定財源を見直すという話が出てきましたので、これは大変だということで、全国で一番最初だったんですけれども、鳥取の知事と一緒に、そういうお金の話だけで処理するのはちょっとおかしいじゃないかというアピールを発表いたしました。そのときに、あわせて関係の余り豊かでない──という言い方は語弊がありますけれども、交付税がたくさん来ているような県の知事にも一緒にやりませんかという働きかけをいたしましたところ、幾つかのところからは非常に前向きな話も返ってきました。そして、その中で、改革派七知事という人たちがまたアピールを出したものですから、最初のやつがちょっと消えてしまったような面もありますけれども、逆に言えば、私どもがそういうアピールをしたことがそういう流れにもなってきたのではないかと自負しているわけでございます。
 しかしながら、昨日公表されました「骨太の方針」の要旨の中では、やはり非常に厳しい内容になっていると。ただ、地方公共団体の方で非常に危機感のあらわれがあったために、ようやく税源の移譲というふうなことも中身に入ってきたので、これはやはりアピールをしたりいろいろ問題意識を持ったことの成果であったとは思っているんですけれども、やはりまだ相変わらず厳しい内容があると。
 先日も申し上げましたように、和歌山県の場合、仮に税源を移譲されても、その税源が和歌山県に広く存在するような税源でなければ相変わらずその格差は開いていくということにもなりますので、そういうことにならないように、そしてまた地方交付税の見直しも、その地方の公共団体が今までのような──今までどおりではいけないのかもしれませんけれども、改革の中で従前の運営を続けていけるような仕組みを求めるということは相変わらず大事なことでございますので、引き続き関係県とも歩調を合わせながら要望してまいりたいと。
 そして、全国大会というお話がありましたけれども、これは「骨太の方針」がまとまってきたり、そしてまたいろいろな動きが出てくると大変なことになってくると思いますので、当然、全国大会、そしてまた大きな形でのアピールというものにつながってくる。そういうときには和歌山県も率先してその中心的な役割を果たしていきたいというふうに考えております。
 それから、財政力の格差をならすためということで、これもこの間申し上げましたけれども、なかなか税源の移譲だけでは財政力の弱い県が十分やっていけるような仕組みは僕はないと思います。やはり何かの形で財源調整制度は必要だと。きょうの新聞にも、豊かな県からそうでないところへお金を移動するような方策を学者の方が発表されたというようなことが載っていましたけれども、いずれにせよ、税源の移譲について、普遍性のある税源というものを探してきて税源を移譲してもらうことが第一だと思いますし、それから、その後残ってきたさらなる調整ということについては──今までの地方交付税制度もある程度見直しは必要なのかもしれませんけれども──そういう財源調査がやはり必要だという観点のもとに、よりよい制度を案出する努力を続けていただくということが私は何よりも大事なことではないかと考えております。
 次に、ハンセン病に対する問題でございます。
 ご質問にもございましたが、私は他の県に先駆けてハンセン病問題に対するコメントを発しました。このことがその後の各県の積極的な対応を引き出す原因の一つにもなったのではないかと、きのうのご質問、そしてきょうのお話などを聞いて、改めて早く対応してよかったなという気持ちを深めているところでございます。
 そしてまた、先ほどもありましたように、一刻も早くおわびの意を元患者の皆様に伝えるべく、十四日に和歌山県出身者が入所する全国四カ所の国立療養所に福祉保健部長、東京事務所長らを派遣しておわびと励ましのメッセージを伝えるとともに、要望を聞き、遺骨の眠る納骨堂に献花をさせていただきました。私も、入所者の皆様とは機会をとらえ、現地訪問をも含めて直接お会いする機会をつくっていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、里帰りなどへの支援策でございます。
 和歌山県では、現在までハンセン病元患者の皆さんへの支援策として和歌浦健康相談所における健康相談、生活支援及び個別里帰りへの支援ということ、そして年一回の集団里帰り事業、入所者に対する慰問事業等を県の単独事業として実施してまいりました。これらの事業につきましては、過去の経緯を重く受けとめ、積極的に取り組んでまいります。これは当然、今回の大きな変化ということをやはり取り入れたものでなければならないと思いますので、そういう観点から考えてまいりたいと思います。
 なお、ご指摘の遺骨の里帰りにつきましては、和歌浦健康相談所の活動を介し、家族のご理解を得て相当数の遺骨が帰郷しており、今後とも家族の依頼を受けて支援を続けてまいりたいと考えております。
 しかしながら、いまだ地域においてはハンセン病に対する差別や偏見が存在することも事実でございます。この状況を真摯に受けとめて、ハンセン病に対する差別と偏見の解消にこれまで以上に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 最後に、IT化への取り組みでございます。
 IT化につきましては、当初予算でもいろいろご理解をいただきまして、いろんなIT施策を予算の中に組み入れました。そして、この中で、例えばIT推進本部でありますとか、ITアドバイザー会議というものを設置いたしまして、既に会合も開いてまいりました。しかしながら、このIT化ということは本当に日進月歩でございまして、毎朝新聞を開くと新しい動きが出ているという中で、少しでもスピードを緩めるとやはりおくれてしまうという面がございます。そしてまた、残念ながら和歌山県は、IT先進県になろうと頑張ってはおりますけれども、今の状況はIT後進県でございます。そういう現実の状況を十分踏まえながら、より積極的にIT先進化へ取り組んでまいると。
 先般も、バーチャル和歌山関係の会社の発起人会がございまして、これもいずれ出てまいりますし、そしてまたわいわい市場も、いろいろ入ってくれる方を募集しながらやっております。そして、講習でございますけれども、これも非常に好評裏に今行っているところでございますけれども、やっている中で出てきたいろいろな問題について、それをフィードバックして後期にはもっとよりよくするという努力もしていきたいというふうなことを考えて、全面的にこのIT問題に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 地方交付税等の見直しについてお答えいたします。
 地方交付税の係数見直しの影響でございますが、人口など測定単位の多少に応じて単位費用当たりの経費が割安あるいは割高になることを補う段階補正については、議員お話しのとおり、平成十年度から見直しが行われております。平成十二年度の基準財政需要額への影響額は、九町村で合わせて約二億円と推計をいたしております。こうした段階補正の見直しは、平成十年五月に閣議決定された地方分権推進計画に盛り込まれた地方交付税における算定の簡素化、簡明化にのっとって行われたものと承知をいたしております。
 なお、今後、限られた財源の中でますます多様化、高度化する行政需要にこたえていくためにも、地方分権の時代を踏まえ、簡素で効率的な行政の確立に向けた自主的な取り組みが重要でございまして、また財政基盤強化のためには市町村合併等も積極的に推進する必要があるものと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) ハンセン病問題の「無らい県運動」の実態、名誉回復や差別解消についてお答えをいたします。
 和歌山県では、昭和三十二年当時より、患者や家族の方々に対して県としてできるだけのことをすべきだとの考えにより、和歌浦健康相談所を開設し、いち早く在宅治療等に取り組むとともに、ハンセン病を患った方々やその家族の相談、療養所から帰郷した方々のお世話等をしてまいり、「救らい県」とも呼ばれてまいりました。この間、現在まで一貫して患者、元患者の方々、またその家族の信頼を得てお世話に当たってこられました西栄一和歌浦健康相談所長には、この場をおかりして敬意を表する次第でございます。
 しかしながら、かつて、特に戦前には、県内におきましても他府県と同様に患者の人権を無視した対応があったことも事実であります。ハンセン病で長期にわたり深い苦しみを受けた方々に対し、その事実を真摯に受けとめるとともに、今後ともより一層差別のない地域づくりに取り組んでまいります。特に本年度は、ハンセン病に対する差別、偏見の解消のために、喜の国人権フェスティバルにおいてハンセン病のパネル展を開催する等、さまざまな啓発の場を通じて正しい知識の普及に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) IT講習会の現状についてでございますが、本県では約六万人の講習を実施することとしてございまして、県主催で一万二千人、市町村主催で四万八千人を対象といたしてございます。
 県主催分につきましては、五月七日より県下の高等学校等を会場に本年度を四期に分けて実施することとしてございまして、そのうち一期分については、ご紹介をいただきましたように、全体として定員を上回る好評をいただきながら開催をしてございます。事業の目的からしても一人でも多く講習会に参加していただけますよう、各種広報媒体を活用した積極的な広報活動や各種団体の会員等への参加の呼びかけ、あるいは高齢者や主婦、職業従事者など、対象者に合わせた講習時間の設定などの工夫に努めているところでございます。講習会に参加いただいた方々からのご意見も、二期以降の講習会の改善ですとか、あるいは今後の情報通信技能向上施策を実施する際の参考とさせていただきます。
 また、市町村主催分については四月より順次実施されてございまして、おおむね定員に見合った応募があると聞いてございますが、今後とも和歌山県情報通信技術講習連絡協議会などの場を通じ、市町村との連携を密にし、IT講習会のより充実した実施に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) ITによる地域の活性化と雇用について、お答えをさせていただきます。
 大都市に比べてIT関連産業の蓄積が乏しく、情報インフラなどの環境整備のおくれている本県では、ITの活用は、生産性の向上はもとよりIT関連投資の拡大や電子商取引による需要の喚起につながることから、県内産業の活性化に大きく寄与するものと考えてございます。また、情報化による雇用効果についても、例えば本県の情報サービス産業の従業者数は平成六年の七百八十八人から平成十一年には九百四十八人と大きな伸びを示しており、今後ともこの傾向が続くものと見込んでございます。
 しかしながら、本県におけるIT関連企業を初めとする企業の新規開業率やホームページ開設状況などはまだまだ全国的に低位であり、IT活用による事業環境の整備が急務となってございます。このため、本年度においてITセミナー研修、スタートアップ・オフィス事業、株式会社バーチャル和歌山設立支援、ふるさと和歌山わいわい市場の構築等の事業に取り組んでございます。
 今後とも、このようなIT関連施策を総合的に実施することにより活力ある産業社会の実現と雇用の拡大に向け、積極的に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 先般、大阪の小学校で起こった殺傷事件はまれに見る凶悪な、社会を震撼させる出来事であり、昨年、本県でも類似した事件が発生したことから、一層強い衝撃と憤りを感じております。本来、学校は安心して学べる場でなければならず、二度とこうしたことが起きないよう万全の体制を整えていく必要があると受けとめております。
 このたびの事件に際しましては、改めて学校内外のさまざまな安全点検を行うよう各学校に対して通知するとともに、臨時に地方教育事務所長会議を開催して安全管理体制の確立を徹底し、さらにPTAや地域関係機関の協力を得て児童生徒の安全を確保するよう強く指導したところです。また、県警察本部長と協議し、今回のような緊急時への対応マニュアルの作成などについて一層緊密な連携、協力を行っていくことで合意いたしました。
 次に、議員ご提言の学校等安全対策協議会につきましては、それに相当する組織として学校保健・安全委員会がありますので、この委員会にPTA、地域の関係者や警察の参加を得て、より徹底した安全管理を図ることとしております。
 今後、各学校における安全対策の取り組みを総点検するとともに、通学路にある「きしゅう君の家」と連携するなど、保護者や地域ぐるみのより具体的な取り組みとなるよう市町村教育委員会を通じて各学校を指導してまいる所存であります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十九分休憩
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