平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 許可をいただきましたので、早速、一般質問をさせていただきます。
 その前に、お配りしている質問項目で字が間違っているところがございます。二番の「すさみ町の廃タイヤ野積み問題」のところの二つ目で、「法定措置」と書いておりますが、「法的措置」の間違いであります。訂正のほど、よろしくお願いします。
 それでは、一般質問をいたします。
 まず最初に、市町村合併について伺います。
 ことし一月に出された「和歌山県市町村合併推進要綱」では、合併の必要性の理由の一つとして、国や地方の財政難を挙げています。そして、現行の地方交付税制度を初めとする地方財政制度が将来にわたって維持されるかについては極めて不透明な状態と述べています。しかし現在、地方財政がこういう状況に陥ってきたのは、国の責任によるところが大きいのです。景気対策と称して地方が膨大な借金をつくる、ゼネコン優遇の大型開発政策を進めてきたツケが来ているのです。もちろん、地方交付税制度が財政危機の原因ではありません。その点で、先日、木村知事が鳥取県の片山知事と発表された「最前線から地方財政改革論議に寄せる」という声明は、このことの本質をずばり批判していて、私ども日本共産党県議団としても大いに賛同するものであります。
 いよいよ国は、なりふり構わず強引に合併を進める姿勢です。ことし三月十九日に総務省は、「「市町村の合併の推進についての要綱」を踏まえた今後の取組(指針)」を知事に通知しました。この内容は、自主的という装いをかなぐり捨て、期限を迫り、強引なやり方で市町村合併を強要するものにほかならないと思います。その中では、「平成十三年中のできるだけ早い時期に、知事を長とする全庁的支援体制」、つまり合併支援本部なるものを設置することを求め、その上で、県内で少なくとも数カ所を合併重点支援地域として指定し、その指定後、一年以内に合併協議会が設置できない場合は知事がその設置の勧告を検討するという仕組みになっております。これには、全国町村会からも批判的な見解が述べられております。
 そこで知事に、この三月十九日付の総務省の指針について幾つか伺います。
 一、この総務省から示された指針について、どうお考えでしょうか。
 二、市町村合併支援本部の設置をするおつもりでしょうか。
 三、合併重点支援地域を平成十三年中のできるだけ早い時期に少なくとも数カ所を指定することとしていますが、知事のお考えは。
 四、指定後一年以内に合併協議会ができないときは知事が勧告を行うことを検討するとありますが、こうしたことは市町村の自主性を無視するものではないかと思います。どうですか。
 以上、四点の答弁をお願いいたします。
 次に、今、それぞれの市町村長さんに伺いますと、合併しないことを選択することによって地方交付税が削減されるかもしれない、市町村財政が立ち行かなくなるかもしれないという心配をされています。しかし、そもそも地方交付税は、国からお情けでもらっているわけではありません。それというのも、実質歳出規模つまり実質の支出の額で見ますと、国と地方は大体四対六の割合で地方の支出が多いわけです。しかし、国税と地方税を比較すると六対四で、収入の方は逆になっております。だからこそ、国は地方によりたくさんの仕事をやってもらっているのですから、地方交付税を地方へ交付するというのは当然なわけです。しかし、「市町村合併って?」という国のパンフレットがございますけれども、この中にはこう書いてあります。「はたして今までどおり、国からのお金を頼りにしていろいろなサービスを提供し続けることができるでしょうか?」と書いており、まさにまるで脅し文句のように地方交付税の削減をちらつかせている内容だと思います。
 そこで、知事に伺います。
 合併しないことを選択することによって現状より交付税が減らされるようなことがあってはならないと私は考えますが、知事はどうお考えですか。答弁をお願いいたします。
 では、実際に市町村合併が行われるとどうなるのか。私は、田辺市を中心とした、龍神村からすさみ町までの十市町村の合併パターンが完成したという仮定で検討いたしました。
 この十市町村が合併いたしますと、人口は約十四万五千人、面積は何と千三百七十六平方キロにもなります。この広さは、北海道の広大な面積を有している市町村を含めても全国第二位、北海道を除いては全国第一位になるという計画であります。北海道の広大な原野にあるならいざ知らず、山や川、海など地理的にも、また経済・文化圏としても独自の要素が強いそれぞれの地域をまとめて基礎的自治体と言えるのか、甚だ疑問であります。
 財政的には効率的と言いますが、住民参加という点から見れば、狭いまとまりの方がより効率的であります。例えば議員数は、合併前は全体で百四十八名です。お配りしている資料にも載っております。これが合併後には、特例期間を過ぎれば最大でも三十四名と、四分の一以下になります。これを市町村の人口に比例して割り当ててみるという仮定の計算をいたしますと、資料にもございますが、多い順に言うと、田辺市で十七名、白浜町五名、上富田町三名、南部町と南部川村が二名ずつ、龍神村、中辺路町、大塔村、日置川町、すさみ町はそれぞれ一名ずつとなります。これはあくまで試算でありますが、旧町村の地域を代表する者がたった一名程度ということで、果たして議会制民主主義が充実したものになるのかどうか、甚だ疑問であります。総務部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、県の合併要綱では、合併の必要性の理由に少子・高齢化への対応を挙げておられますが、どちらについても、実際きめ細やかな施策をしているのは規模の小さな町村が多いと思います。
 例えば西牟婁郡では、大塔村は乳幼児の医療費を六歳まで無料にしています。また介護保険でも、ヘルパーの利用者負担は、普通、新しく申し込めば一〇%かかるわけですが、日置川町とすさみ町は、以前から使っていた人同様、三%に抑えるということをしています。苦しい財政の中でも、これ以上の過疎を防ごうと一生懸命取り組みをやっておられます。
 このように、大きな自治体よりも小さな町村の方がよりきめ細やかな対応をしているのは事実だと考えますが、何をもって合併した方が少子・高齢化に対応しやすいと言うのでしょうか。具体的にお答えをお願いいたします。
 もう一つの合併の理由として、地方分権の推進が挙げられています。そのためには、専門的知識を持った職員の確保は大きな自治体の方がやりやすいとありますが、これも実態は逆ではないでしょうか。
 例えば、要綱の作成で参考にした類似団体と比べた場合、保健婦、土木技師、建築技師などの専門職は、どちらが多いでしょうか。類似団体と申しますのは、合併した後の自治体と姿が似ているであろうと思われる自治体を全国から選んだもので、例えば田辺周辺十市町村の場合には、三重県の鈴鹿市や津市、兵庫県の宝塚市や広島県の呉市、宮崎県の都城市などが類似団体とされています。
 私は、試しに保健婦さんの数をその類似団体と比較いたしました。これも議場の資料にありますが、実数でも、そして全職員に占める割合でも、合併前の十市町村合計の方が類似団体よりも多いわけです。ですから私は、単純に、合併したから専門職が多くなるなどとは言えないと思うのですが、総務部長の見解をお示しください。
 さらに、合併すると職員数の削減で財政の効率化が図られるとしていますが、要綱で比較している類似団体では、面積が広くても三百五十平方キロです。田辺周辺の十市町村の面積の四分の一です。その類似団体の規模どおりに職員を減らせば住民サービスが低下し、周辺地域には人が住めなくなるのではと心配いたしますが、どうでしょうか。総務部長の見解をお示しください。
 また、合併後、新しい庁舎建設などで新たな負担が出てきた場合、職員数の削減などで得た財政的なメリットが帳消しになるのではないですか。これも答弁をお願いいたします。
 子供の教育の問題では、現在、田辺周辺十市町村には八十八の小中学校があり、先ほどの類似団体の約二倍から三倍もの数になっていると思いますが、どうでしょうか。もし合併すれば学校の統廃合が一気に進むのではないかという懸念もいたしますが、いかがでしょうか。
 この合併問題の最後に、住民サービスについて伺います。
 合併の際、一般的に、福祉などのサービス水準は高い水準に、負担は低い水準に調整すると言われていますが、現在までに既に合併が行われた市町村では、私は必ずしもそうなっていないと思います。例えば、最近合併した事例で申し上げますと、岩手県盛岡市、茨城県鹿嶋市、東京都あきる野市などありますが、どうなっているでしょうか。具体的にお答えをいただきたいと思います。
 次に、すさみ町の廃タイヤ野積み問題について伺います。
 平成十一年九月議会で私はこの問題を取り上げ、産業廃棄物の保管基準に違反していることを指摘いたしました。それに対して当時の大井生活文化部長は、法的措置を含めて検討と答弁をしてくれました。しかしその後、現実には何も進んでいないという状況です。現在は、以前を上回る規模の六百トンとも言われるタイヤが野積みされています。これは、施設の処理能力からして百五十日分に当たります。本来は二週間分しか保管できないにもかかわらずです。
 一昨年に指摘があって以後、業の停止や取り消しを含めた法的措置を進めるべきでした。そうすれば、今日のような事態になっていないはずです。その点で、県の責任は非常に重いものがあります。
 廃棄物処理法は平成十二年度に改正され、産廃に関して許可の取り消し要件が厳しくなり、措置命令の対象が拡大されるなど大幅な規制強化がされて、ことし四月から施行されています。また、この五月十五日に出された環境省からの通知では、次のように書いています。「従来、都道府県においては、違反行為に対して口頭の注意(中略)といった行政指導を継続し、法的効果を伴う行政処分を講じない場合も見受けられる」とした上で、「積極的かつ厳正に行政処分を実施されたい」と書いています。国が行政処分を積極的にやりなさいと、このように後押しをしてくれているわけです。さらに、「行政処分は将来にわたる行政目的の確保を主な目的とするものであって、過去の行為を評価する刑事処分とはその目的が異なる」とも書いてあります。まさに、あの指摘があった時点で行政処分をしていれば、現在のような状況にならなかったと思います。
 あなた方はこれまで、たとえ行政処分を出しても結果的にタイヤを取り除くことができない状況ならば、許可を取り消さないで何とか業者に現地で処分させるのが一番負担がかからないのではないかと言ってきました。私も、そういう方法もあり得るかと思うところがありましたが、この間、いろいろ調べて得た結論は、そういう甘やかしが結果的に以前より状況を悪くしたということです。橋本市の産廃と同じだと思います。違法なことをやったら、その時点でシロクロはっきりさせる、これが教訓ではないでしょうか。
 そこで、伺います。
 今まで、なぜ法的措置をしなかったのでしょうか。今回のこの指摘を受けて、いつまでに法的措置を実行するのでしょうか。はっきりお答えをいただきたいと思います。
 これまで産業廃棄物に関して、全国で何件の改善命令や措置命令、許可の取り消しや停止命令が出されているでしょうか。また、県内では何件あるでしょうか。お答えをお願いします。
 県は、平成十一年の時点で二基ある焼却炉のうち古い方が法で定められた構造基準に適合していないことを知りながら、平成十二年三月ごろまで、何らの手を打たずに焼却を続けさせてきました。そのとき、少なくとも使用の停止をするべきだったのではありませんか。答弁をお願いいたします。
 また、業者が平成七年に新しい焼却炉を設置するときに地元とのトラブルが頻発していたにもかかわらず、県がいとも簡単に公害防止のための制度融資を貸し付けています。産業廃棄物処理施設の許可条件には、地元の住民と協定書を結ぶということが書かれております。それが結ばれていない。つまり、焼却炉を動かすための前提となる条件がないのに、県の制度融資を貸し付けている。焼却炉を動かす前提条件がクリアできていないのに、なぜ制度融資を貸し付けるのでしょうか。審査が不十分ではないのでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、身体障害者への自動車税減免制度について伺います。
 先日、大阪から白浜町へ引っ越されてきた身体障害者の方から相談を受けました。一級の手帳を持っておられて、家族が自動車の運転をされています。伺いますと、大阪では減免になっていた自動車税が和歌山ではかかってくると言うのです。調べてみますと、都道府県によって減免の基準がまちまちなのです。かつて自治省が出した通達どおりでしか減免をしていないところと、都道府県で上乗せをしているところがありました。
 これは、お配りしている資料の裏側に印刷をしておりますが、近畿の中では他府県は、程度の差こそあれ、すべて減免の対象者を拡大しています。障害の等級と申しますのは、例えば腕が二級で足が三級の障害者ということなら、人間全体として見れば合わせて一級というぐあいの判定をするわけですが、自動車税の減免というのは、腕なら腕、足なら足と、部分別で判断するようになっているのです。それで、私が相談を受けた方のように、一級の障害者でも減免にならないという事態が起こってくるわけです。加えて、身体障害者手帳には全体で何級ということしか書かれておりませんから、自分がその細かい減免基準の対象になるのかどうかということさえわからないというのが実態であります。
 そこで、伺います。
 この件に関しては、既に地方分権の流れの中で自治省の通達も廃止されており、県の行政の裁量で適切に対応するようになっています。この近畿で最低という状況を変えるべく、制度の拡充を求めますが、総務部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、先般報道もされました土地改良区の自民党費肩がわりと県土地改良政治連盟の会費肩がわりの問題について伺います。
 私は、これはKSD問題の農業版とも言うべきものじゃないかと思います。党費肩がわりでは、直近の五年間の調査で五団体、約二十六万円が土地改良区の会計から違法に支出をされていました。
 これまで政府が進めてきた輸入自由化政策のもとで、今、多くの土地改良区は悩んでいます。米価の暴落や大幅な減反で農家が減少し、運営が難しいとか、減反している分の賦課金を払うのはおかしい、あるいは紀の川用水の水を使ってもないのに賦課金を請求されるなど、切実な声が上がっています。こうした中での今回の問題ですから、農家からの怒りは、はかり知れないと思います。
 土地改良区は、国や地方自治体からの補助金と農家組合員の賦課金で運営される公共法人であり、これが特定の政党やその関連政治団体の会費を肩がわりして支出することは、明確な違反行為であります。これまでの県の検査のあり方はどうであったのか、また再発防止のためにどういう指導をされるのか、農林水産部長に伺います。
 次に、有田川の河床整備について伺います。
 有田川は、年々土砂の堆積がひどくなり、流域住民の不安を高めています。しかも、現在進められている高速道路の四車線化で有田川にも新しい橋がかけられることになって、その区間では、わずか百メートルの間に三本も橋がかかることになり、洪水のとき、うまく水が流れるのかという心配の声があるようです。早期に河床整備に取り組まれることを求めますが、土木部長の答弁をお願いいたします。
 最後に、県単独の公共事業費削減のあり方について伺います。
 先日、これは印南町なのですが、山谷川の堤防改修事業が財政難を理由にしておくれていると相談がありまして、現地に行ってまいりました。地元の方に伺いますと、県と地元住民との間で、県道を整備するときに堤防の改修もセットでやるからという約束の上で事業にかかり、道路の整備は終わったようです。しかし、堤防の方は途中までやってきているが、これ以上財政難でやれないということです。しかも、残された未改修の区間は河川の一番曲がりくねったところで、一番大事なところをやり残しているということなのです。もう既に用地買収も済んでいるというふうに聞きます。こうした中途半端なやり残しは、県行政への不信を招きかねません。
 こうした積み残しとも言うべき箇所については、財政の上からすぐにはやれない、かかれないとしても、期限を明確にして、きちんと住民の意向も同意を得て事業化するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。土木部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 市町村合併のご質問についてお答えを申します。
 まず、総務省の新指針と市町村合併支援本部についてでございます。
 国、地方を通じた大変厳しい財政状況の中で地方分権の時代を迎え、ますます高度化、多様化する行政ニーズに的確に対応していくためには、市町村の自主的な合併を推進していくことが必要でございます。市町村の合併に対する認識はかなり深まってきており、合併の機運が急速に高まってきていると実感をしております。
 新指針につきましては、このような状況を踏まえ、国において策定されたものと考えておりますが、県におきましても、合併に向けた機運の醸成を引き続き図るとともに、できるだけ早期に合併支援本部を設置し、合併支援のための諸施策を検討してまいりたいと考えております。
 また、合併重点支援地域の指定につきましては、市町村の合併議論の動向を踏まえながら、十三年中に複数箇所の指定ができるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、ご指摘の勧告制度は、自主性を無視することのないよう、関係市町村の意見を聞きながら適切に対処してまいりたいと考えております。
 さらに、交付税は地方の自主財源でありまして、合併と交付税の見直しは別のものであるというふうに考えております。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、市町村合併に関する七項目のご質問に一括してお答えいたします。
 まず、議員定数の減少についてでございます。
 市町村の議員定数は、地方自治法において団体の人口規模に応じた定数が定められているところでございまして、基本的には必要な議員数が確保されているものと考えております。
 なお、合併に伴う激変緩和の観点から、市町村合併特例法において議員定数や議員の在任期間の特例措置が設けられているところでございます。
 次に、少子・高齢化への対応についてでございます。
 お話にもございましたように、少子・高齢化対策のために各市町村が創意工夫を凝らしながら、現状においては事業を展開しているところでございます。
 ただ、大変厳しい財政状況のもとで少子・高齢化は急速に進展いたします。今後、市町村は新たな行政施策の展開が求められることも予想されますし、また行政サービス自体も高度化、多様化するものと考えられます。これらのことに適切に対応していくためには、合併により市町村の行財政基盤の充実強化に努めることが必要であると考えているところでございます。
 次に、類似団体との比較についてお尋ねがございました専門の職員数、あるいは全体の職員数、小中学校の学校数の田辺広域の例との比較についてでございます。
 人口規模が同程度の六団体の平均の保健婦、土木技師、建築技師の配置数の概数と比較いたしますと、保健婦では類似団体の方が二十六人少ないところでございますが、土木技師は類似団体の方が二十八人多い、また建築技師は類似団体の方が六人多いと、このような状況にあるところでございます。また、類似団体の平均の小中学校の配置数は約三十三校となっております。
 ご指摘にありましたように、職員数の減による周辺地域のサービスの低下、あるいは学校の統合が進むのではないかという不安や懸念があることも、承知はいたしております。ただ、今申し上げました比較の対象とした類似団体は、あくまでも主に人口の規模をもとに同程度の団体を選定したものでございまして、合併市町村の専門職員や全体の職員配置、あるいは小中学校の配置については、合併関係市町村において地域の年齢構成、面積、学校の配置などさまざまな状況を総合的に勘案しながら、できるだけ支障が生じないよう適切な行政サービスの提供という観点から検討されていくものと考えているところでございます。
 次に、庁舎などの新たな負担の発生と財政的なメリットについてのお尋ねでございます。
 合併に際しましては、新市町村建設計画の実施によって臨時的な財政需要が発生することも考えられますが、長期的には行政コストの効率化に資するものと考えております。
 なお、合併特例法などによって各般の財政支援制度が設けられているところでございまして、県といたしましても、合併市町村に対して積極的な支援を行うことが必要であると考えております。
 次に、住民サービスが低下しないのかということについてでございます。
 行政サービスの水準や住民負担の格差につきましては、合併関係市町村において、適切な行政サービスの水準、あるいは適正な住民負担などを勘案しながら十分検討を行い、調整されることが重要であると考えております。
 なお、過去に合併を行った団体の詳細については承知してはございませんけれども、法定合併協議会におきまして、ご指摘ありましたようにサービス水準は高い水準に、また負担は低い水準に合わせることを基本として協議を行い、合併後も適切な料金負担という観点から必要に応じた検討を行った中で負担の引き上げを行った団体もあるということは伺っておるところでございます。
 続きまして、身体障害者の自動車税減免制度の拡充についてでございます。
 障害者の方々に対する自動車税の減免につきましては、身体等に障害を有し、歩行が困難な身障者等が使用する自動車は、日常生活を営む上で必要不可欠な生活手段となっていることから、税制上の配慮を加えたものでございます。本県におきましても、減免の対象等級等を旧自治省の通達に準拠して定めておりましたが、ご指摘ありましたように、この通達は十二年四月一日に廃止されたところでございます。しかしながら、身体障害者の方々が障害を克服し、支障なく社会生活を営むことができるよう、本県としても引き続き自動車税を減免しているところでございまして、十三年度の当初課税においては約九千台、額として三億三千五百万円の減免を行っております。これは、十一年度の全国の状況では、減免割合としてはほぼ平均的な状況となってございます。
 ご質問の減免の拡充につきましては、他府県の状況等も考慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) すさみ町の廃タイヤの野積み問題四点についてお答えいたします。
 事業者には、改善を講じるよう平成十一年九月に文書警告を行ったところ、場内に積み上げていた廃タイヤが減少するなど一時改善が見られたため、法的措置を見合わせました。しかし、その後も事業者みずからの搬入や収集運搬業者からの搬入により、再び従前のような状況となったところであります。
 今後は、これまでの経過を踏まえ、法的措置である許可の取り消し等も含め、改善命令、措置命令を検討してまいります。
 なお、改善命令は、事業者の法的責任は問えますが、撤去しない場合は廃タイヤが残ることとなります。また措置命令は、生活環境の保全に支障がある場合、技術的、経済的に合理的限度において行うことになるため、現在、最善の方策について、他府県の実施事例等を参考にし、検討しているところであります。さらに、タイヤの排出事業者責任につきましても、事実確認等を行っており、今年中にその手法について結論を出し、進めてまいりたいと考えております。
 次に、法的措置の状況についてでございます。
 平成十年度では、全国で改善命令百五十件、措置命令四十三件、許可の取り消し三十件、停止命令六十件となっており、本県では許可の取り消し三件となっております。
 なお、平成元年から現在までの県内の累計では、改善命令四件、措置命令二件、許可の取り消し五件、停止命令一件となっております。
 次に、焼却の継続についてでございます。
 事業者が使用していた焼却炉につきましては、平成十年十二月に施行された廃棄物処理法の改正に伴う構造基準に適合しなくなり、事業者に対して指導を重ねましたが、改善しなかったため、平成十一年九月に文書で警告を行ってきたところであります。その後、タイヤの搬入減少等、一部指導を受け入れたこともあり、業務停止等法的措置に至らなかったところであります。
 平成十二年三月で焼却が停止していますが、業の停止をしなかったことにより廃タイヤがふえたということについては、指導の至らない面もあると認識してございます。今後は、地元市町村、保健所と連携し、地元住民の方々に十分説明の上、対応してまいりたいと考えております。
 四点目の制度融資についてでございます。
 公害防止施設整備融資制度は、中小企業者が施設整備を行うことにより公害の防止を図ることを目的としており、県は融資認定を行った後、金融機関の融資決定を受け、預託を行う制度でございます。
 議員ご指摘の審査につきましては、公害防止上の有効性について技術的な観点から審査を行い、また関係課等の意見を聞き、融資の認定を行ったものでございます。
 今後、審査に当たりましては、関係課等と緊密な連絡を図るとともに、慎重な審査をしてまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) ご質問の融資の一つは、当部が所管する中小企業設備近代化資金でありますが、この資金は、中小企業の近代化及び経営の合理化を促進することを目的とした設備資金の貸し付けであります。
 議員ご指摘の貸し付け審査につきましては、通常の審査以外に公害防止施設との観点から、産業廃棄物処理施設設置許可、及びこの施設自体、公害を防止する施設として特別融資の認定がなされたことを受け、近代化資金の貸し付けを適切に行ったものであります。
 なお、この貸し付け業務は平成十二年度より財団法人中小企業振興公社に業務移管しておりますが、今後とも貸し付け審査に当たっては関係課と連携をより一層密にして貸し付けを実施するよう、公社を指導してまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長辻 健君。
  〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 土地改良区の自民党費立てかえ問題についてのご質問にお答えいたします。
 土地改良区に対する検査は、土地改良法に基づいて三年に一度、本庁及び各振興局において実施しておりますが、検査の中で今回のようなケースを指摘できなかったことについて、まことに遺憾に思ってございます。
 再発防止につきましては、検査担当職員に周知徹底を図るとともに、土地改良区の役職員に対しては、より適正な運営を図るよう指導しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 有田川の改修につきましては、流下能力の低い箇所から順次改修を進めております。そのため、現在、中小降雨で浸水被害が発生している支川の天満川での改修を行っているところでございます。また有田川本川においても、流下能力の低い狭窄部の解消が先決であると考えております。
 なお、橋の計画につきましては、現在、河川計画に支障が生じないように、河川管理施設等構造令に基づき、日本道路公団と協議しております。
 次に、県単独事業の削減のあり方についてであります。
 平成十三年度予算におきましては、財政健全化のために策定された財政運営プログラムIIに沿って編成し、投資的事業、とりわけ県単独事業について大幅に削減することとなりました。このため、事業の必要度の観点などから優先順位づけを行うなど、分野間のバランスを図りつつ箇所の絞り込みを行ったところであります。
 今後、財政的にはさらに厳しくなることが予想され、当面休止せざるを得ない箇所については地元の理解を得るよう努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 まず、市町村合併です。
 知事からは、合併と交付税の見直しは別物というお答えをいただきました。私もそう思いますし、多くの市町村長もそう思っていると思うんです。しかし現実には、この合併議論の中で、交付税が減らされるという心配が前提条件のようになっていると思います。
 先ほど総務部長が、合併後、新しい計画実施による臨時的な財政需要に対して国のいろんな財政支援があると言われました。確かに補助金もありますが、結局借金──地方債を認めて後で交付税で措置します、返しますよということだと思うんですね。この県の要綱でも、現行の地方交付税制度は将来どうなるか極めて不透明な状況と一方で言っていて、それで合併に関する公共事業などについては借金、つまり起債をして元利償還金の七〇%を後で普通交付税で措置しようということで、交付税を当てにしている。危機感を盛り上げるのに交付税がどうなるかわからないということを言いながら、一方で公共事業を進めるには後で交付税で返ってくる借金だからいいんだと、私は、これはご都合主義的な使い分けだと思うのです。こういう使い分けはやめていただきたいと、これはもう要望しておきます。
 それから、既に合併した市町村での住民サービスの負担が具体的にどうなっているかと聞きましたが、具体的な答弁ではなかったように思います。私が調べたのを言いますと、例えば九五年に合併して誕生した東京都のあきる野市ですが、合併調整方針では、やはり「サービスは高く、負担は低く」ということなんですが、合併の翌年から国民健康保険税の大幅な引き上げが始まりました。二年後の九七年には行革推進委員会が、この「サービスは高く、負担は低く」という合併調整方針は合併時点の考え方であり、行革の第二段階に進もうとしている現在、いつまでもこの考え方が硬直化することを危惧すると書いており、事実上、方針が廃棄されています。たった二年で方向転換をしているわけです。その後は、各種の使用料や手数料が大幅に引き上げられて、それまで無料だった公民館が有料化されたりしている一方で、現在、八十七億円という豪華な新庁舎の建設がされています。
 また、例で挙げた盛岡市は九二年に合併が行われましたが、当時の開発型の公共事業を推進したために、合併当時は五百九十二億円だった借金が九九年末で見ると千四百四十億円と、約二・五倍にも膨れ上がっています。そのせいか、保育料は東北で一番高い、在宅福祉の状況も県内でびりから六番というようなことになっています。
 また、事例で挙げた茨城県の鹿嶋市ですが、これは九六年です。鹿島町と大野村というところが合併しましたが、この旧大野村というところはなかなか保健活動で先進的なことをやっていて、地域住民の健康は地域の努力で守りましょうというスローガンのもと、村内二十八の地区すべてに婦人保健所というのが設置されていましたが、合併後、なくしたそうです。合併当初は、国保税、保育料なども低い方の鹿島町の水準に合わせましたが、しかしその後、どちらも値上げが始まっている。水道料については、合併した後、約三割も引き上げられたという事例もございます。
 どうもバラ色の議論が先行するわけですが、こういうふうに合併によりサービスの低下や住民負担の増加が実際行われているという事例もちゃんとあるのですから、県もそういう事例を調査していただいて、県民にも情報としてはきちんと伝えていくことが公平な合併論議のためにも必要ではないかと私は考えますけれども、この点、総務部長、もう一度答弁をいただけますでしょうか。
 それから、専門職員の配置の問題です。
 保健婦は合併前の方が多い、しかし土木技師や建築技師は合併後の姿である類似団体の方が多いというふうに言われて、まあ一概に言えないということだったと思うのですが、でも、これは傾向があるというふうに思います。
 これは、ほかの県で調べた事例ですけれども、人口当たりの専門職員で見ますと、建築技師と土木技師は人口十万人以上の自治体で多いのですが、図書館の司書、学芸員、保健婦、助産婦という専門職は、人口一万人未満の自治体の方が多い。つまり、小規模な自治体の方が住民生活に密着した福祉や健康、あるいは教育の分野できめ細やかな専門職を配置しているというのが実際のところだと思うんです。これは、あくまで人口当たりの専門職員ですよ。やはりこの事実は事実として、これはもう指摘をしておくだけにとどめます。
 それから、自動車税です。
 答弁をいただきましたが、少なくとも一級の手帳を持っておられる方が減免を受けられないというような状況は、本当につらいと思います。このことはしっかり検討していただけますようにお願いいたします。
 産廃です。
 すさみ町の廃タイヤの問題ですが、ことしじゅうに結論というふうに言われましたけれども、住民感情からしても、もう待てないというのが実際のところです。この問題に対してはもう今まで県がいろいろやってきたけれども、この間も地元へほかの議員さん方と呼ばれて行きましたが、本当に何をやっているのだというおしかりの声もありました。県行政が断固とした態度で臨むんだという姿勢を示すためにも、この業者は施設の面だけから見ても業を継続できるような状態になっていないですから、やっぱりすぐ停止命令なりなんなり、もうできるところから法的な手を打っていくということが大事だと思います。その点についてもう一度答弁をお願いしたいと思います。
 制度融資の問題です。
 答弁を聞いていますと、商工労働部長は、適正な貸し付けだった、公害防止施設の融資なのだから、それで特別融資の認定がなされたために適切に貸し付けたと言われましたが、それは違うと思うんです。産業廃棄物の焼却炉を新しいものにつくりかえるというときには、いろんな融資を使います。それはそれでいいと思います。しかし、融資の面から見れば、公害防止施設とか、みんなきちんとしたものにしていくということなんですが、まかり間違えば今回のように住民との大きなトラブルのもとをつくっているということになりはしないか。
 県が出した許可の条件に、ちゃんと、地元と協定書を結んだ上で許可をしますと。これは附帯条件じゃないんです。許可の条件としてそういうことが書かれているんですよ。その条件がクリアできていないのに、何で貸し付けするのですか。それが適正なんですか。おかしいじゃないですか。結果として、そういうことはきちんと反省していただきたい。あくまで適正だったと言われるのですか。これ、もう一回答弁をお願いします。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、合併についてのいろいろなデメリットの部分等もよく情報提供することが必要ではないかということについてでございます。
 県において策定した合併推進要綱にも、合併の取り組みにはいろんな課題や懸案もあるということで、その対策等についても盛り込んでいるところでございます。
 ご指摘のありましたサービス水準や負担の件につきましては、法定合併協議会等でいろいろ十分検討いただいて、その協議内容を住民に情報提供しながら調整するといったことも重要だと思っておりますし、また何事も先進事例から学ぶということも大事であるというふうに考えております。
 適切な負担とサービス水準の提供という観点から、市町村に対し、引き続き必要な情報提供をしていきたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 今後の対応でございますが、事業者からの五月の事情聴取におきましても、事業者はまだ事業継続を希望しておるというふうな事情もございます。しかし、県の方では、地元町とも協議しながら、先生のおっしゃるようにできる対応からやっていきたい、最終的には法的なことも検討していきたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 先ほどご答弁申し上げたとおり、あくまで施設の設置許可があり、また公害防止施設特別融資の認定がなされたことを受け、当部所管の近代化資金の貸し付けを行っていますので、貸し付けについては適切に行われたと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「あります。環境生活部長の融資について」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 公害防止施設の特別融資につきましては、県の方で、焼却炉の構造等、公害防止に適切な施設であるという認定を行いまして、取扱金融機関で融資の審査を行い、決定されたものであると。そういうことで、当時としては、我々はできる限りの審査を行ったということで考えております。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 すさみ町のタイヤの問題で、あくまで融資が適切なんだというお話なのですが、全く新しく事業をやる方がそういう制度融資を申し込んで、それでそういう許可をしたよということじゃないんですよね。もう住民との間でずっとトラブルを引きずっていた人が制度融資を申し込んで、それで協定書を結ばれていないでしょう。それを見逃すなんて、信じられません。あくまで適正だというふうに言われるのは、これはおかしいんじゃないですか。どうですか。まだご見解を変えるつもりはないんですか。こういうことを議事録に残していいんですか。私、後で恥ずかしいと思いますよ。知事も午前中に、率直に誤りを認めることだと言われていましたよね。やっぱり人気が高まると思うんですよ。いかがですか、部長。もう一度、両方の答弁をお願いします。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) この事業者につきましては、平成元年ごろから焼却炉をもってタイヤの焼却もやっておったというふうに聞いてございます。その間、平成七年までの間に、一部地元でもそういうことが問題となり、新しい焼却炉をやりたいということで、その焼却炉については当時の基準に適合していたことから、こういうことの審査は適正にさせていただいたと。しかし、議員おっしゃるように、結果としてその焼却炉が動いていないということについては、我々としても今後、審査の中でもこういう教訓を生かして取り組んでいきたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 先ほど環境生活部長からも答弁ありましたが、我々、環境生活部門の仕事の範疇については通常存じ上げてございませんので、先ほども申し上げました環境生活部が特別融資の認定をするということの上で、我々も融資決定をしたということです。
 それともう一つは、設備近代化資金の規則にのっとった対象企業、対象設備であるという観点からも融資を行ったところでございます。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十分散会

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