平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
 ただいま議長のお許しを賜りましたので、許された時間の中で、大要三点にわたりまして一般質問を申し上げたいと存じます。したがいまして、先輩・同僚議員の皆様方におかれましては、しばらくの間、ご清聴賜りますようにお願いを申し上げるものでございます。
 まず初めにハンセン病に関して、幾つかお尋ねをいたしたいと存じます。
 去る五月十一日、熊本地方裁判所におきまして、ハンセン病国家賠償請求訴訟事件に関する判決が言い渡されました。この判決の中で、らい予防法廃止に至るまでの国会及び政府の法的責任が厳しく指摘されましたことは、皆さんご承知のとおりでございます。
 かつて、国がとったハンセン病患者に対する施設への入所政策が数多くの患者の皆さんの人権を侵害する結果を引き起こし、あわせて患者や元患者、家族の皆さんに対する極めて深刻な偏見、差別を生じさせたことと、患者、元患者の皆さんが、実に長い間、筆舌に尽くしがたい苦痛と苦難を強いられたこと、一方、立法行為と政策を違法とした判決を第一審で確定させると三権分立のあり方からして問題があるとする指摘と、この地裁判決が民法や最高裁判所判例等の枠組みを大きく逸脱するとの見地から、小泉内閣は控訴、不控訴の間で悩み、官僚と政治家という立場の違いによる確執など、さまざまなことがありました。ともあれ、五月二十四日、人道上の配慮を最優先し、小泉首相は「控訴せず」という歴史的決断を下したのであります。そして、政府全体として控訴の方針で固まりつつあった中で、「控訴せず」との結論を引き出すに当たって、医者でもある坂口力厚生労働大臣の、「法律問題以前に人権問題として控訴すべきではない」との強い決意を大臣のいすをかけて貫き通したという背景があったことがマスコミ等々で報じられておりました。
 ところで私は、坂口厚生労働大臣の秘書官三人のうち二人と会う機会がありました。守秘義務の関係から経緯のすべてを教えてはいただけませんでしたが、しかし坂口大臣とその周辺の皆さんの苦労と懊悩については十分に理解したつもりでございます。そして何よりも、この訴訟を進め、みずからの人権と名誉の回復を願い、粘り強い運動を進めてこられたハンセン病患者の皆さんの存在があったことを私たちは決して忘れてはならないと思います。
 そこで、以下、何点かにわたり、ハンセン病問題についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、木村知事、今回の政府の「控訴せず」との決定についてどう思われるか、率直なご意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 第二に、ハンセン病患者のための療養所は、熊本県内の二カ所を初め全国に国立療養所十三、民間施設二、合わせて十五カ所がございます。これらの施設に入所している本県関係のハンセン病患者の皆さん、またかつて入所していた元患者の皆さんの存在と動向を県当局は十分に把握しておられるのか、差し支えのない範囲でご答弁をいただければ幸いであります。
 第三に、ハンセン病患者、元患者の皆さんの名誉回復、人権侵害に対する謝罪、さらにはその損害賠償について県としてどう対応していくのか、お尋ねをいたします。
 第四に、それ以外の問題、例えばいまだに根強く残っている偏見や差別の解消に向けて県はどのように取り組まれるのか、お答えをいただきたい。
 この二から四の三点については、福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、廃棄物問題に移ります。
 今、私たち人類にとってかけがえのない生命体である地球が、さまざまな要因によって危機に直面していると言わざるを得ません。地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、熱帯雨林の急激な減少、生物多様性の減少──希少動物の絶滅などでございますが──等々、いずれの現象をとらえましても、私たち人類の無分別の産業活動、日常活動によって排出された産業廃棄物(汚泥、動物のふん尿、建設廃材など)、一般廃棄物(家庭ごみ、事業ごみ、し尿など)、窒素酸化物、二酸化硫黄、浮遊粒子状物質、光化学オキシダントなどの廃棄汚染物質、農薬、洗剤、油などの水質汚濁物質等々、地球環境を汚染する原因は枚挙にいとまがありません。このまま汚染が進めば、生命体としての地球は重大な危機に直面すると指摘する専門家も少なくありません。これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、資源の有効利用、リサイクル型社会へと転換していくことが、今、私たちに強く求められているのであります。
 そこで、以下数点にわたり当局にお尋ねをいたします。
 まず第一に、リサイクル社会の創出についてでございます。
 我が国の再生利用可能な資源ごみのリサイクルの現状は、平成十一年実績で、アルミ缶七八・五%、スチール缶八二・九%、古紙五四・九%と年々回収率は向上しておりますが、廃棄物全体の再生利用のための回収率、いわゆるリサイクル率は一一・〇%と、いまだに低レベルにあるのであります。リサイクル社会の構築のためにかかる責任とコストを、国、地方自治体、事業者、消費者で適切に分かち合うルールづくりや、製品の開発、製造、流通、販売、消費、排出、回収、再生利用の各段階での環境への負荷を抑制し、再生利用を推進するため、すべての人たちの参加で研究、努力していく必要性があると思います。国において、おくればせながら循環型社会形成推進基本法を基本といたしまして、資源有効利用促進法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、容器包装リサイクル法、建設リサイクル法、それに廃棄物処理法等々の法律が次々と施行あるいは改正強化されました。後は、行政がどう具体的な取り組みを行っていくかが問われていくことになると思います。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 一、各家庭へのリサイクル意識の啓発徹底、二、メーカーや販売店等、事業者側のデポジット制度の導入の徹底、三、容器等の回収は進んでいるのか、この三点について、その実態はいかがでありますか、お答えをいただきたい。
 次に、産業廃棄物についてであります。
 我が国の産業廃棄物の総排出量は、平成九年度で四億一千五百万トンでございます。種類別に見ていきますと、汚泥、動物のふん尿、建設廃材(瓦れき)で全体の八〇%を占めております。一方、業種別に見てまいりますと、農業、建設業、電気・ガス・熱供給業、それに水道業がそれぞれ二〇%を占めておりまして、この四業種で実に八〇%にも達しているのであります。これら産業廃棄物の処理状況は四〇%が再生利用され、二二%が最終処分されているのが現状であります。
 ところで、平成十一年三月、岐阜県におきまして、岐阜県廃棄物の適正処理等に関する条例が制定をされました。この条例の制定に当たり岐阜県は、後を絶たない廃棄物の不法投棄等の不適正処理事案が廃棄物処理に対する県民の不信感を招く結果となり、そのことが必要な廃棄物処理施設の確保を困難にし、さらに廃棄物の不法投棄等の不適正処理を誘発するという悪循環に陥っていると指摘し、快適な生活環境を守るために、県民、事業者、行政が一体となって廃棄物の発生の抑制や再利用の促進により廃棄物の減量化を進めるとともに、不法投棄等の不適正処理の撲滅と廃棄物処理施設の適正確保に全力で取り組むと、その精神を述べております。同条例は全三十一条から成っており、届け出に関する罰則も規定しております。私たちも、以前から、県独自で条例を定めるべきであることを機会あるごとに訴えてまいりました。本県におきましても、同様の県条例の制定を行うべきであると考えます。というよりも、本県が置かれている状況は、県条例の制定を必要としていると申し上げた方が正しいかもしれません。
 木村知事、条例の制定に向けて、一歩踏み出すおつもりはないのか、お尋ねをいたすものでございます。
 さて、循環型社会形成推進基本法が成立し、これをベースとして先ほど申し上げた関連諸法が制定、改正されました。これによって、各都道府県においては廃棄物処理計画を策定することが義務づけられていると聞き及んでおります。当然のことながら、産業廃棄物を含むごみの発生量を把握するための調査を行うことが求められるのであります。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 これらの完了のめどはどうなっているのか、お答えをいただきたい。
 ところで、本県内で発生した産業廃棄物等のうち大部分が──大部分といいますか、かなりの部分が大阪湾フェニックス計画による処分場へと持ち込まれております。現在二カ所ある処分場も、聞くところによりますと、処理能力は限界に近づきつつあるということでございます。それぞれ、いつ満杯となる予定であるのか、環境生活部長のご答弁をいただきたい。
 さて、この項目の最後になりましたが、県民生活が続く限り、事業活動が行われている間、確実に産業廃棄物は発生し続けるのであります。いつまでもフェニックス計画を当てにするわけにもいかず、またフェニックス計画の対象外の市町村も県内には多数あり、いずれ近い将来、本県内において最終処分場を確保することが求められることになると思います。中間処理施設とあわせ、一刻も早く県内に最終処分場を設置すべきであると思うがどうか、環境生活部長のお考えをただすものでございます。
 最後に、国際観光の振興についてお尋ねをいたします。
 去る四月十九日から二十二日までの四日間、木村知事を団長とする和歌山県日韓文化交流団に、県議会からは中村裕一議員とともに代表して参加をさせていただきました。これには、作家の神坂次郎さんや二階俊博衆議院議員、日高、西牟婁、東牟婁の各市町村長、市町村議会議長、商工会、観光協会の代表の皆さんなどが参加され、総勢百三十五名で南紀白浜空港から仁川国際空港へ向けて、アシアナ航空チャーター便で飛び立ちました。
 今回の交流団の目的は、大きく四つございました。一つは、初日の晩、前韓国政府文化観光部長官であり、現在、大統領政策企画首席秘書官である朴智元氏を初め、韓国政府の幹部、観光公社幹部、大手旅行会社、航空会社の代表、マスコミ関係者、さらには沙也可関係者、李眞榮・梅渓父子関係者を招いての交流会でございました。朴智元氏を初め、途中退席する人もほとんどもなく、大いに盛り上がった会となり、また和歌山県の観光と文化を強くアピールできたと存じております。
 二つ目、三つ目は、二日目、朝八時にバス四台に分乗してホテルを出発し、ホテルに戻ってきたのは翌日の深夜一時三十分という超強行軍でございましたが、雑賀一族の部将でありながら、豊臣秀吉に反発し、朝鮮軍に味方し、沙也可将軍として貴族の待遇を受け、民の尊敬を受けたと言われる沙也可の里(大邱広域市)の訪問、また朝鮮の役の後、儒教の先生として招かれ、紀州の地に骨を埋めた李眞榮・梅渓父子のふるさと慶尚南道昌寧郡を訪問、いずれも墓参、記念植樹、碑の除幕、地元の人たちとの交流会を精力的にこなしました。ちょうど、教科書問題で反日感情が高まっているという情報もございました。しかしながら、いずれも大歓迎を受け、日韓交流の実が大いに上がったことをご報告申し上げたいと思います。
 余談でございますが、途中、サービスエリアで三回、トイレ休憩をいたしました。それから、昼食、夕食のとき以外は延々バスに揺られていたことになりますが、ともあれ十七時間半の旅でございました。
 四つ目は、韓国政府、文化観光部、観光公社を表敬訪問し、またマスコミを招待しての和歌山県の観光のPR、さらには現地プロモーション会社へ委託する形で、ソウル市内に和歌山県ソウル観光センターを開設するなど、三日目の行事が精力的に行われました。
 なお、四日目の昼過ぎ、チャーター便の出発前に関西国際空港のライバルとも言うべき仁川国際空港の施設の一部を見学させていただき、二十二日午後三時二十分、無事、南紀白浜空港に帰ってまいりました。
 以上、ご報告を申し上げたいと存じます。
 さて、私たちが搭乗したアシアナ航空チャーター便は、もう一つ大きな目的を持っておりました。このチャーター便は、韓国から空で飛んできたのではなく、韓国の旅行会社が募集した「韓日文化観光交流・ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと南紀の旅」と銘打った観光団百二十九名を乗せて南紀白浜空港へやってまいったのであります。予定表を見せていただきますと、大阪市内、白浜、那智勝浦にそれぞれ一泊し、USJと南紀の旅を楽しんで帰られたようであります。
 ここに、そのツアーに参加された皆さんに対するアンケート調査の結果がございます。そんなに多くの項目ではございませんが、まず白浜温泉に関しては、温泉については全体の七八%の人がよい印象を持っている、悪いと答えた人はゼロであります。料理については、やはりちょっと食文化の違いでありますか、五六%が普通で、よいという人が三一%、悪いが一〇%。景色につきましては、よいという人が七二%、悪いという人はゼロでありました。旅館サービスは、よいという人が七五%、悪いはゼロであります。勝浦温泉に関しましては、温泉は七九%がよいと答えておりまして、悪いは三%。料理は、三三%がよい、普通が五九%、悪いが六%。景色については、七七%の人がよい、三%が悪い。それから旅館サービスについてはちょっと低いんですが、よいというのが五八%、普通が三五%、悪いが六%でございました。そして、全体印象として、再来訪のことを聞いている項目の中で、また来たいという人が六八%、約七割に達しているのであります。
 この結果を踏まえまして、商工労働部長、今回のツアーの成果について、部としてはどのように考えておられるのか。
 また、第二陣、第三陣の来県は期待できるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 また、引き続き韓国に対して働きかけを強めていくことになると思いますが、一方で、同じアジアNIESの国として急成長しております台湾に対しても同様の働きかけを行っていると聞き及んでおります。今日までの取り組みとその成果についても、あわせて商工労働部長からご答弁をいただきます。
 これまで、観光立県を標榜する和歌山県は、国内からの誘客に力を入れてきたわけでございますが、国際化の機運の高まり、隣国の韓国、台湾の国民の生活水準の向上と海外旅行熱の高揚という背景を踏まえ、今後はより一層海外からの誘客にも力を入れていくことになっていくと思います。
 そこで、近い将来、韓国、台湾を中心にアジアの主要空港と南紀白浜空港を結ぶ定期便の就航をぜひとも目指すべきだと考えます。そのためにはクリアしなければならない問題が幾つかあるとは存じますが、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたい、このことについては幾つかの部にまたがりますので、木村知事からお答えをいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
 最後に、今後、海外からの観光客を誘致していくに当たりまして、その受け入れ体制の整備を進めていかなければならないことは当然でございます。
 以下、四点にわたってお尋ねをしたいと思います。
 一、海外から来られる観光客の利便のために、それぞれの言語で書かれた案内書やパンフレット、地図、時刻表などをさらに充実させていくべきであると思うが、どうか。
 二、各観光地で、海外から観光客が迷うことなく目的地に行けるよう、各言語の表記の入った観光案内板を設置すべきであると思うが、どうか。
 三、公衆トイレの問題でございますが、これほど観光地のイメージをよくも悪くもするものはないと思います。もちろん、これは国内、海外を問わずであります。
 ところで、今回、日韓文化観光交流団で私たちが訪れました沙也可の里のある大邱広域市は、昔からリンゴと美人と美しい町並みで有名だそうでございます。同市では、長年にわたりまして小中学生によるごみ拾いのボランティア活動が続けられておりまして、ごみ一つない美しい町と聞きました。また、二〇〇二年ワールドカップの開催地の一つと決まってから、市内数カ所に立派な公衆トイレの設置が進められてきたそうでございます。既に完成しているものもあって、利用者からまるでレストランみたいだという声が上がり、評判になっていることが最近のNHKテレビでも放映されておりました。ますます大邱広域市の株が上がったという話であります。本県におきましても、今後、観光地を中心に用だけ足せればいいというのではなく、立派な公衆トイレを政策的に順次立地させていくべきであると考えるが、どうか。
 以上三点、部長の方からお答えをいただきたいと思います。
 これまで、本会議や委員会等で何度も申し上げたことでございますが、本県への観光客が最初に通って入ってくる入り口でもあり、重要なアクセス道路でございます阪和高速道路の照明灯の件でございます。
 和歌山のイメージアップのためにも、交通安全の点からも、この照明灯の全線設置が急務であると思います。以前、木村知事に申し上げ、日本道路公団へ働きかけをしていただいたことは承知をいたしておりますが、その後、この照明灯の件につきまして、いかが相なりましたでしょうか、ご報告いただければ幸いでございます。
 以上、大要三点にわたりご質問申し上げました。各部長におかれましては、簡潔にして明快なご答弁をいただきますようお願いを申し上げ、第一質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのハンセン病に対する小泉政権の「控訴せず」との決断について、私がどういうふうに考えるかというご質問でございます。
 今、小泉政権は非常に高い支持率を得ておりますけれども、これも一つの大きな事柄、すなわち誤りは率直に認める、そういうことが国民に一番わかりやすい、そしてまた共感を呼ぶということにつながるんだと思います。
 このハンセン病につきましても、これを患ってこられた方々のこれまで置かれてきた境遇や元患者の方々の高齢化が著しいという現状を考えると、今回の「控訴せず」という判断は小泉総理大臣、坂口厚生労働大臣を初め大変な政治的な問題でありますけれども、英断だと考えております。
 私もこのように考えましたので、早速、六月八日に、ハンセン病問題に対するコメントを発表し、さらに今後、和歌山県として偏見と差別の解消にこれまで以上に力いっぱい取り組んでいくことを表明したところでございます。
 次に、廃棄物に関する県条例の制定についてでございます。
 産業廃棄物問題は大変大きな課題でございまして、全国的な問題になっておりますけれども、和歌山県でも本当に大きな問題と考えている次第でございます。そしてまた、廃棄物の事業者と地域住民のコンセンサスづくりをするルールづくりについての条例の必要性も大変あると考えております。
 現在、県の方では産業廃棄物処理の公共関与のあり方について予算措置をして検討を進めているところでございまして、この条例化、これはまだ全国では数が少ないようでございますけれども、こういう問題についても和歌山県が先頭に立てるような環境をつくっていきたいという気持ちがございますので、真剣に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、国際定期便の実現についてのご質問でございます。
 お話にもありましたように、ことし四月、ソウルの方へチャーター便で行ってまいりました。そして、あちらからも来ていただいて、非常に好評でございました。白浜空港は非常に立派な飛行場でございまして、滑走路が二千メートルになったことで航続距離の長いジェット機が飛べるようになったということもございまして、国内の観光客を呼び込むことは非常に大事なことでございますけれども、やはりこの国際化の時代には海外、特にアジアのお客さんを和歌山県に呼んでくることは非常に大事なことだと考えております。
 この韓国との間、もっとチャーター便の回数をふやして、そしてこれをいずれ定期便化──なかなか難しいですけれども、そっちへ持っていく努力もしなければいけません。それから台湾、ここも非常に所得水準が上がってきて、和歌山県への関心も高いと聞いておりますので、これのチャーター便を出すことも考えないといかんと思っております。
 それから、きのう山東省から帰ってきたんですが、中国でもお金持ちの人が非常にふえてきておりまして、話したところでは、和歌山との間に飛行機が飛んだら乗ってきてくれるお客さんは結構ありますよという話もありましたので、これはなかなかビザの問題とか、ほかにも難しい問題がたくさんありますけれども、こういう問題についても鋭意努力していって、そしてこういう経験を積み重ねることによって定期便化へ持っていく努力を続けてまいりたいと考えております。
 それから、阪和高速道路の照明灯の設置でございます。
 お話にもありましたように泉佐野ジャンクション、大阪の方へ行くのは非常に明るいんですけれども、和歌山ヘ来るのは非常に暗いということがございまして、非常に議会の関心も深い問題でございますので、日本道路公団に鋭意交渉いたしましたところ、昨年度は十七基の実績でございましたが、今年度は百三十基つけてもらえる方向になってきたということでございますので、相当明るくなってくるだろうと思っております。
 どうもありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 本県のハンセン病患者、元患者の状況や実態についてでございます。
 昭和二年から四十七年の間に、八カ所の国立療養所に約三百名の方が入所されました。現在は、四カ所の国立療養所に合計四十一名の元患者の方が入所されてございます。また、療養所を退所し、県内に住まわれている元患者の方は数名おられます。
 次に、謝罪と名誉回復、また偏見や差別の解消などについてお答えを申し上げます。
 元患者の方々に対する謝罪など今後の対応についてでございますが、先日、国会においてハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律が可決されました。県といたしましても、去る六月十四日、全国四カ所の国立療養所の和歌山県出身入所者の皆さんに、知事からのおわびと励ましのメッセージを伝えたところでございます。
 ハンセン病で長期にわたり深い苦しみを受けた方々に対し、その事実を真摯に受けとめるとともに、療養所入所者及び退所者の意向を十分に酌みながら、今後ともより一層、差別や偏見のない地域づくりに取り組んでまいります。本年度は、ハンセン病に対する差別、偏見の解消のために、喜の国人権フェスティバルにおいてハンセン病パネル展を開催するとともに、ハンセン病に関する研修会を開催する等、さまざまな啓発の場を通じて正しい知識の普及に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、現在実施しております和歌浦健康相談所における健康相談及び生活支援事業や集団里帰り事業等については、過去の経緯を深く受けとめ、積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 廃棄物問題についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず、リサイクル社会の創出についてのご質問ですが、昨年制定されました循環型社会形成推進基本法を初めとするリサイクル関連法の推進に当たっては、県民一人一人の取り組みが重要でありますので、県といたしましても、今年度独自の啓発資料の作成を行うとともに、市町村、各種団体を通じて意識啓発に努めてまいります。
 また、商品に事前に処理費用を上乗せして販売するデポジット制度につきましては、飲料用容器類の廃棄物の減量化、再利用に有効であり、特に家電リサイクル法にこの手法を取り入れることにより、不法投棄の未然防止が図られるものと考えております。しかしながら、一地域のみの実施では地域格差が生じ、実効性が乏しくなることが予想されることから、全国一律の実施を国に要望してまいりたいと考えております。
 容器包装廃棄物の回収につきましては、現在県内三十九の市町村が計画を立て、分別収集を行っており、それ以外の市町村でも独自に分別収集を行い、リサイクルに努めているところでございます。今後も、県内における容器包装廃棄物の円滑な収集、リサイクルが促進されるよう、市町村に対し働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に廃棄物処理計画につきましては、本年度すべての産業を対象に廃棄物の発生、再利用、処分及び減量化の動向について実態調査を行い、本年度中に廃棄物処理計画の素案を取りまとめ、環境審議会に諮問してまいりたいと考えており、平成十四年度中には計画を策定する予定であります。策定に当たっては、関係部局や市町村、業界等と協議を行うとともに、広く県民の皆様のご意見をお聞きし、計画に反映させてまいりたいと考えております。
 次にフェニックス計画についてのご質問ですが、フェニックス計画では、現在、尼崎沖、泉大津沖の両処分場において廃棄物の受け入れを行っておりますが、管理型区画については今年度中に満杯になる予定です。
 なお、本年度中には、現在建設中の神戸沖処分場で廃棄物の受け入れを開始するとともに、大阪沖において新たな処分場の護岸工事に着手することとなっており、現計画ではこれらの広域最終処分場の埋め立ては平成二十一年度で終了することとなっております。
 最後に、最終処分場中間処理施設の設置についてお答えいたします。
 循環型社会においても廃棄物を適正に処分することは必要であり、処理施設の確保は不可欠であると考えてございます。処理施設の確保については、本県の地域ごとの廃棄物の発生量や必要性等を勘案しつつ、公共関与を含め、廃棄物処理計画を策定する中で検討してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 国際観光の振興についてお答えをいたします。
 国際チャーター便の運航による和歌山県日韓文化観光交流団につきましては、本議会冒頭での知事説明にもありましたように、多くの関係者や関係機関のご協力により、大変有意義なものになりました。また、この国際チャーター便によりお越しいただいた百二十九名の韓国の観光客は、三泊四日の日程でユニバーサル・スタジオ・ジャパンと南紀を旅行されましたが、アンケート調査によりますと、総じて本県の温泉や風景に大変よい印象をお持ちいただくことができ、意を強くしたところでございます。
 日韓文化観光交流団とあわせ、この国際チャーター便は本県の国際観光を進める上でも大きな成果があったものと考えています。特に韓国につきましては、二〇〇二年のサッカーワールドカップの日韓共催を控え、本年秋には世界観光機関総会のソウル、大阪での共同開催など、和歌山県をアピールする好機を迎えております。このため、本年四月に設置いたしました和歌山県ソウル観光センターを活用した観光情報の収集、発信により、韓国からの観光客の誘致を推進するとともに、南紀白浜空港のチャーター便運航につきましても、第二便、第三便の実現に向けて、関係部局と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
 次に台湾への誘客の働きかけにつきましては、これまで各種メディアによる観光PR、また海外観光客誘致の商談会や現地での観光展などを行ってきたところであり、本県への入り込みは、二〇〇〇年には対前年比で二倍強の約二万八千人となっております。今後も引き続き、なお一層、台湾さらに香港やアジアでの観光プロモートに努めてまいります。
 次に海外からの観光客受け入れ体制の整備については、三カ国語による観光案内パンフレットや地図を作成しております。今後さらに、外国語を併記した観光案内板の設置などを含め、市町村や各観光協会等と連携をして、その充実に努めてまいります。
 また、主要道路沿線や観光地、観光施設等に、快適、清潔なトイレが整備されていることは重要なことと考えており、県では、従来から県単独事業の観光施設整備補助事業において、観光地におけるトイレ整備に努めてきたところです。予算的には厳しいものがありますが、今後とも関係機関、関連施策と連携をとりながら、だれもが安心して気持ちよく利用できる公衆トイレの整備に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番森 正樹君。
○森 正樹君 幾つかの点について、再質問申し上げます。
 まず初めにハンセン病の件でございますが、私は質問の中で、あえて「控訴せず」という言い方を使わせていただきました。マスコミの報道等は「控訴断念」でございますが、「断念」と言いますと、控訴したいんだけれども、それをあきらめたというニュアンスがございます。今回の小泉総理の決断は、それよりもっと積極的に前を向いた、患者の皆さんに思いをいたしながら、一歩前へ出て、あえて「控訴せず」という表現をされたと聞いておりますので、そういう言い方をしました。
 ところで、ハンセン病患者、元患者の皆さんの声を幾つかいただいております。一人だけ紹介をしたいと思います。この方は今、鹿児島県におられる日野弘毅さんという方でございます。「昭和二十四年、十六歳で入所して以来、ずっと療養所の中におります。(中略)昭和二十二年の夏、突然保健所のジープがやって来ました。私を収容にきたのです。(中略)その日から私の家はすさまじい村八分にあいました。十八歳だった姉は婚約が破談となり、家を出なければならなくなりました。 小学生の弟は、声をかけてくれる友達さえいなくなりました。弟がある日、母の背中をたたきながら「ぼく病気でないよね」と泣き叫んだ姿を忘れることはできません。 このまま家にいればみんながだめになると思い、自分から市役所に申し出て、入所しました。それなのに家族の災厄はやみませんでした。 それから二十年あまり、母が苦労の果てに亡くなったときも、見舞いに行くことも、葬儀に参列して骨を拾うことも、かないませんでした。 十八の時、家を飛び出した姉は、生涯独身のまま、昭和八年、らい予防法が廃止になった年の秋に自殺しました。姉の自殺は母の死以上に、私を打ちのめしました。 姉の思い。母の思い。いまだに配偶者に私のことを隠している弟、妹の思い。そのために、私は訴訟に立ちました」という声でございます。
 こういうハンセン病患者、元患者の皆さんの思いに胸をいたし、ぜひとも今後十分手厚いケアをしていただきたい。強く申し上げたいと思います。要望であります。
 それから廃棄物問題、リサイクル社会のことでございますが、リサイクル社会の形成には、廃棄物の発生抑制と回収、再生利用の促進という二つの柱があると思います。
 それで、一つの例を申し上げたいと思いますが、今、欧州では非常にリサイクル社会形成が進んでおりますけれども、例えばドイツのレストランにおきましては、チーズやバターなども外箱なしで販売している、牛乳とかマヨネーズとかケチャップというものも共通のリターナブル瓶でデポジット分を上乗せして販売をする、それから果物なども容器なしではかり売りだと聞いております。全く個別包装はしていない一番進んでいるケースでございますが、そのような形で非常に簡易包装、包装なしの形で進んでいる。我が国の場合は、進物なんかする場合に、きれいな箱に入れて、美しい紙で包装しないと失礼に当たるみたいな考え方があって、過剰包装が常々言われております。そういう意味で、地球に優しいという点からぜひとも簡易包装の推進をさまざまな方面に働きかけをして、行政が主体となってやっていただきたい、これも要望として申し上げておきたいと思います。
 それから、先ほどいろいろ申し上げた法律の中にグリーン購入法というのがございます。これは再生品を積極的に活用していこうという法律でありますが、特に政府、地方自治体にそれが求められているわけであります。前にもこの本会議で申し上げたことがございますが、県庁内でそうした再生紙を初めとして再生品の利用をぜひとも進めていくべきである、県が模範となってやるべきだということを申し上げました。
 もう一度申し上げたいと思います。この中で、一番長く県庁におられて、古い方で、もう県庁の中の隅々まで知っておられる中山副知事にお尋ねをいたしますが、現在、グリーン購入法に基づく再生品の購入について県庁としてどう取り組んでおられるのか。その後の進展ぐあいをぜひともお聞かせいただきたいと思います。
 それから最終処分場の件でございますが、前の議会で先輩・同僚議員である下川俊樹議員、飯田敬文議員の方からもご質問があったと記憶しております。前を向いた答弁をされたことも覚えておりますが、ぜひともこれは県内できちっとした形で公共関与で確保していくべきだと思います。産業活動が続く限り産業廃棄物は出るわけでありますから、安心してそれを持ち込める場所を確保しておかないと和歌山県勢の発展、県産業の活性化ということにはなっていかないと思いますので、その点よろしくお願いをしたいと思います。これは、要望であります。
 それから、岐阜県の例にのっとって県条例を制定せよということを強く申し上げました。知事も一定の前進した答弁をいただいたと理解しておりますが、すべての業者が地域住民のことを考え、県の環境保全を考えてやってくれる人ばかりであればいいですけれども、やはり中には法の網をくぐって違法なことをしようという不適正な処理を行うケースが多々ございます。そうした意味で、罰則を強く規定した県条例をこの際早急に制定すべきだと。先ほども申し上げました、こうした不法処理事案があるために、産廃に対する不信感が県民の間に非常に強いわけですね。したがって、ちゃんとした最終処分場でも、県民の拒否感があって立地が非常に難しいという悪循環を繰り返している。だから、その悪循環を断ち切って善循環を起こすような形で、ぜひともそのための一つの起爆剤として県条例の制定を早期に進めていただきたいということを要望しておきます。
 最後に、観光振興でございます。
 近畿自動車道紀勢線、いわゆる阪和高速道路の照明灯でございますが、今回、設置していただくことで、一応泉佐野ジャンクションから和歌山インターまではこれで全面的に設置ということになろうと思います。そのことはそのことで大変ありがたいことでございますが、さらに引き続いて和歌山インターから南へこれを延ばしていただくように、ぜひとも引き続き日本道路公団に強い圧力をかけていただきたい、働きかけを行っていただきたいということをお願いしたいと思います。要望であります。
 お聞きするところによりますと、台湾から和歌山への観光入り込み数は年間三万人近いと聞いております。そんなにたくさん来られているかなと、私たちは日ごろ会うことがありませんからびっくりしたんですけれども、やはり和歌山の温泉、自然、食べ物、文化、歴史遺産、やはり見どころがあるわけで、それだけ魅力があるんだと。先ほどのアンケート調査結果でも約七割の人がもう一度来たいと言ってくれているわけでありまして、ぜひとも今回のチャーター便の第二陣、第三陣をこちらへ呼び込めるように働きかけをしていただきたい。
 一つ提案でございますが、向こうからのお客さんだけですと、往復の片方が空になるわけでございますから、和歌山の旅行会社に強く働きかけて、こちらから台湾であるとか韓国へ旅行に行くツアーを組ませて、往復空席なしで飛べるようにする。今回の韓国からのツアー客の中に、非常に料金が高いという声があったように聞いております。そういう意味で、往復満席で飛べば料金設定も安くできると思いますので、そうした点も十分配慮する中で、ぜひとも第二陣、第三陣、そして最終的には定期便が飛ぶ日が来ますように、続けて取り組みをしていただきますことをお願いしておきます。これも要望であります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) グリーン商品の購入についてお答えいたします。
 グリーン商品の購入につきましては、行政が率先垂範して導入するようにということで、平成九年四月に副知事通達を出してございます。その後、本年二月にISO一四〇〇一の取得に合わせて、グリーン商品の購入について、優先的に率先して購入するように目標を立ててございます。その結果、再生紙の利用につきましては九五%まで達してございます。そういうことで、単価の問題、購入頻度の問題等ございますけれども、いずれにしても地球環境、循環型社会の形成を県政の大きな柱にして今後とも対応してまいりたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十二分休憩
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