平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下善之議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第八十一号及び議案第八十二号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。
 お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十一番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 皆さん、おはようございます。
 今議会のトップバッターとして質問の機会を与えていただきましたことに対しまして、大変光栄でございます。皆さんに、厚くお礼を申し上げます。議長のお許しをいただきましたので、順次質問に入らせていただきます。
 まず初めに、地方財政制度の構造改革及び道路特定財源の見直しについてでございます。
 木村知事は、二月議会において、県財政まことに厳しいとした上で、新世紀に安心で活力みなぎる県とするために、新しい発想を持って時代潮流に即応したタイムリーな施策展開を積極的に推進し、県民に夢を与え、県が活気づく元気県政を進める決意を聞かされました。
 さて、政府の経済財政諮問会議等で議論されている地方財政制度の構造改革と地方に及ぼす影響について、知事にお尋ねいたします。
 去る四月二十六日に、国民の圧倒的な支持のもと、小泉新内閣が誕生し、小泉総理は、国民の期待にこたえるべく、日本経済再生のためには聖域なき構造改革を断行し、これからの日本の発展のために自信と希望を持って新たな目標に向けて進むことができる社会を築くことが重要であるとの考えを示されております。私も、小泉総裁支持の一票を投じた一人として、大なたを振るっての改革断行の基本方針には、国を思う者として大いに共感するものであります。このような総理の考えを具体化するため、政府の経済財政諮問会議において、新世紀維新を目指し、社会経済の構造改革のための具体的なプランづくりがなされており、六月中には今後の経済財政運営や経済社会の構造改革に関する基本方針がまとめられるものと聞き及んでおります。それに先立って、今月の十一日には基本方針案が公表されました。この中で、「個性ある地方の競争、自立した国、地方の関係の確立」という一章が設けられ、今日までの均衡ある発展から、個性ある地域の発展、さらに地域間の競争による活性化へと基本理念の転換を図られるよう、さらに地方の自立的判断の確立を求められ、地方財政制度の抜本的改革などについて言及されております。
 それによりますと、地方交付税の見直しなど具体的に言及されており、来年度予算において、健全な国家財政を堅持する上で国債発行三十兆円以下にすることにより、仮に地方交付税が一兆円削減されることとなると、地方交付税に大きく依存する本県としては今後の県政に大きくかかわる死活問題であります。地方交付税制度を含む地方財政制度については、確かに幾つかの改善すべき点があると思いますが、それについては国庫補助負担金や国と地方の税源配分の見直しとともに、特に財政基盤が脆弱な地方団体に対しては、自助自立の行財政運営を可能する財源保証システムのあり方などに十分配慮して見直していくべきと考えます。
 また、道路特定財源の一般財源化も議論の的となり、道路の特定財源として、本年度国の見込みでは五兆八千億余円であるが、二〇〇二年までは枠内での使途拡大、三年には法改正も必要と言われております。本県は、半島という立地に置かれ、道路整備がおくれ、紀南延伸、京奈和自動車道の早期完成、府県間道路を初め地方道に至るすべての道路の位置づけはこれからが正念場であって、県内二時間ネットワークの早期実現が急務であります。申し上げましたように、当局も議会も道路整備の促進こそが、まさに県民の総意であることの認識を持って対処しなければならないと存じます。
 さて知事においては、さきに片山鳥取県知事と共同で、国の地方交付税制度の見直しに対し、地方の立場から地方財政制度の確立を求めるアピールがなされたとのことであります。一方、県議会としても、国の動きに対し、議会初日、これら地方財源の充実を軸とした地方財政制度の見直し及び地方の道路整備を図るための財源措置を講じる二つの意見書を採択し、関係先へ提出したところであります。いずれにいたしましても、地方財政制度の構造改革は地方の実情等に十分反映されることを強く希望するものであります。
 そこで、現在の地方財政の構造改革の議論に対して知事はどのような所見をお持ちか、道路特定財源の問題とあわせてお聞かせください。
 また、このような議論を踏まえて、今後の県財政の運営に当たってはどのような姿勢で臨まれるのか、あわせてお聞かせください。
 次に、医大跡地利用についてお尋ねをいたします。
 私は、かつて県立医科大学跡地利用懇話会の委員の一人として医大跡地の利用について検討させていただいた経緯もあり、この問題については関心を持って見守ってまいりました。自由民主党県議団としても、本年三月、県立医科大学跡地利用については、県が策定された基本方針に従い、都市型複合施設を整備する民間事業者を選定するための事業コンペを早急に実施されたいという要望をいたしております。県当局からは、去る二月議会において、事業コンペについてできるだけ早く実施したいとの答弁がありました。その後、特定企業の動向や和歌山市が中心となって進めている大学構想との関係が新聞報道されたりいたしております。一体どうなっているのかというのが、正直なところの感想であります。
 これまで指摘されているように、医大跡地は中心市街地の活性化を図るための重要な土地であり、もとよりその利用に当たって、拙速な取り組みは避けるべきと考えます。しかも、長期にわたる景気の低迷もあり、企業としても多額の投資に対し慎重にならざるを得ない状況の中で、コンペ参加企業の確保も大変困難であることの認識もできますが、二月議会中に機会を見て、丸正の自己破産のこと、ビブレの撤退予定も聞かされ、ぶらくり丁数店舗へ状況聞き取り調査に参ったことがございます。関係筋の皆さんは、大変厳し過ぎるの一言に尽きると言われ、中には店じまいやむなしとの話、大半の方は、何といっても医大の移転から客足が減り、がたがたになったと言われておりました。
 こうした中で、周辺商店街の活性化を図る上からも、医大跡地がいかに重要であるかの認識を得た次第であり、県としても、貴重な土地である医大跡地の利用に関するこれまでの経過、見通し及び対応について、知事の見解を賜りたいと思います。
 次に、ダム建設について。
 今や日本のダム建設は、自然環境の保全あるいは財政上の問題等、大きなうねりとなっております。国が事業を中止したダムは二十四都府県に及び、四十六ダムであります。特に長野県の田中知事は、本年二月の県議会において脱ダム宣言を発表されており、現在工事中の県営を含め十一ダムがあり、それぞれ治水、利水の効果をもたらすダムといえども、国が大半負担されるとの安易な理由でダム建設を採択すべきでないとしております。その理由として、大規模ダム建設は河川流域の生態系に悪影響を及ぼすとされており、河川改修費がダム建設より多額になろうとも、百年、二百年先の子孫に残す資産として河川、湖沼の価値を重視する上で、費用対効果の検討を加え、ダムにかわる河川の引き提案、かさ上げ案、掘り下げ案、遊水地案、放水路案等で対処することが望ましいとされているのが田中県政の基本理念であるとしております。
 また、鳥取県の旧中部ダムでは、賛否両論で二十五年経過され、本年二月にダム事業中止が適当とされ、県は今後の予定区域に係る活性化のための社会資本整備に百六十八億円、四十二事業が予定されていると聞き及んでおります。
 さて紀伊丹生川ダムでありますが、紀の川流域の洪水渇水対策及び水需要に対する目的として取り組まれ、十二回に及ぶダム建設審議委員会の結論として建設は妥当とされ、県は早期着手に向け、国への要望を初め地元説明会等、前向きに取り組みがされているところであります。ところが、大阪府の第七次拡張事業計画において、九年後の利水を日量二十五万立方メートルから十三万立方メートル、約二分の一近くに下方修正され、国への申し入れがなされ、さらに水の一滴は血の一滴と言われておりました和歌山市においても、毎秒〇・二トンの利水権を得たいとしていたが、見直しの結果、利水権獲得の撤回の申し出がなされたと聞いております。
 こうしたことから、ダムの適正規模の見直しを図り、国の流域委員会で最終結論が出されるようでありますが、地元関係地域では既に話があった当初六十歳の方が八十歳となっており、十幾年調査ばかりで、早く結論を出し、地域活性化のため事業着手をしてほしいという強い意見もあります。一方、すぐれた景勝地のかけがえのない自然体を残すべきだという多くのダム建設反対署名が上がっているのが実態であります。
 そこで、ダム建設について、知事の所見をお聞きしておきます。
 次に紀伊丹生川ダムの今後の取り組みについて、国土交通省はどう対処されようとしているのか、昨年度は三億七千万円で環境アセスの予備調査、今年度は五億二千万円で前年度に続いて予備調査と言われているが、環境アセスはいつになるのか、またこうした水需要による計画の見直しに入られているのか、土木部長にお尋ねをいたします。
 次に、産業廃棄物問題について。
 まず、日本工業所問題の解決策についてでございます。
 本件は、県の重点課題の一つとして、木村知事も二度、三度、現地を訪れ、地元関係者との懇談等、積極的な取り組みに対し、お礼を申し上げます。
 過去六年間を振り返りますと、平成九年五月、焼却中止が成立、同年七月より一次、二次に分け、和歌山環境保全公社の協力を得て堆積物をトラック三千四百台相当の持ち出し以降、周辺地域のダイオキシン類の土壌、水質調査、あるいは地元住民のダイオキシンを含む健康診断等、地元の協力を得て行政関係機関、検討委員会、議会等、皆様のお力添えにより、今日、ある程度の見通しが立ちつつあると考えております。
 現在、国の財政支援をいただき、ジオメルト工法という千六百から二千度の高熱で固形化処理する国内初めての工法で、小規模ながらもダイオキシンの除去を事故なく進めていただいているのが現状でありますが、日本で初めての工法だけに、地元関係者として多くの不安が残り、最終ジオメルト工法による現地処理の可否について住民投票にまで至っている経緯があっただけに、地元の会として苦渋の選択に迫られ、決断されたことについては忘れてはならないと存じます。また、大気中に放出されたガスに含まれるダイオキシン類濃度は〇・〇〇四七ナノグラムで、排出規制基準〇・一ナノグラムを大幅に下回り、他の重金属類もすべて基準数値以下になっておるという報告をいただいております。
 ただいま申し上げたように、場内の施設、跡地周辺のダイオキシン高濃度の産廃物を分別後処理されているのが現状であります。しかし、場内には多くの産業廃棄物が残されており、これらの最終的解決策について、地元並びに橋本市との協力を得て進めていただくことが適当と考えますが、知事にお尋ねをいたします。
 次に、場内のダイオキシンの汚染範囲調査と対策についてでありますが、場外の一般土壌、作物、水質調査の結果、すべて基準値を下回り、特に問題がないことが昨年判明し、安全宣言が出されたところであります。
 さて、場内のダイオキシン類についてどう調査に入られるのか、具体性とその対応をお示しいただきたい。
 前段申し上げたように、現在ジオメルト工法によるダイオキシンの無害化処理をしているが、実験用規模のものであり、今後残されている産廃物を現地処理する場合、コストの面も含め一度に多量の処理が可能な規模のものがあるのか、あるいはまた鹿児島県川辺町で化学反応を利用したダイオキシン処理の事例があると聞くが、性能はどうかもあわせてお聞かせください。
 今後における場内のダイオキシン類の除去対策についてどのように進めようとされるのか、伺っておきます。
 次に、日本工業所の達川社長より県へ提訴の件についてであります。
 産業廃棄物の措置命令である行政代執行に対し、不当であるとして提訴されている件について当局はどうお考えなのか、環境生活部長に伺います。
 次に、産廃税の導入について。
 本県の持つ特色は、すぐれた環境であります。すばらしい自然を維持しつつ、やがて世界遺産に向けて国際的にも認めていただくためには一層環境保全に努めなければなりません。今日までの教訓を生かし、法定外目的税である産廃税の導入を実施することが望ましいのではなかろうか、県内の最終処分や中間処理施設に持ち込まれる産廃を対象とし、その税収はリサイクルの研究や不法投棄監視強化等に用いることについて知事はどのようにお考えなのか、伺っておきます。
 次に、農業の振興策について。
 まず、現状の再認識と対策についてでございます。
 中国を初め諸外国の輸入農産物は日増しに増加し、政府において特定品目に対しセーフガードの発動となったが、世界各国の実情を知る限り、とりわけ中国の脅威は五年後を想定したとき、日本農業の存亡のおそれすらうかがえます。国は、食糧、農業、農村の新たな構築を図る上で、新農業基本法に基づき食糧自給率四五%を目標とされているが、この数字は大変なものと思います。
 さて、本県の農業総生産額については、平成八年千五百六十三億円で、我々関係者の間では五年後に二千億円達成も夢ではないと語ったことがありました。ところが、平成十一年では一千百二十億円まで落ち込み、対七二%と減少し、特に果樹王国としての本県の果樹は、八年対十一年比六四%にまで落ち込んでおり、十二年度は間もなく数値が発表されますが、さらに厳しいものと思われます。つまり、二千億円の意気込みが、逆に一千億円となりかねない。
 そこでお尋ねすることは、予想もつかなかった事態となったのは何ゆえか、また今後、足腰の強い農業振興を図る上で、現状の再認識と対応についてお伺いするものであります。
 次に、カキ産地の生き残りについて。
 私は何度もこの件について申し上げてございますが、ミカンの減反政策のあおりで、ついにミカンの二の舞となっているのがカキであります。本県は名実ともに日本一を誇っているが、平成八年の生産額は約百三十五億円、十一年産は六十五億八千万円、対比四九%、わずかな間に半値となり、昨年はさらに安値と言われ、生産費は過去四年とも大幅に割り込み、カキ生産農家は窮地に追い込まれているのが現状の姿であって、私も農林議員の一人として責任を痛感しているところであります。
 カキの全国生産量は近年二十五から三十万トンでほぼ横ばいで推移しているものの、わせ種の出荷比率の増加や刀根わせの軟化などから近年、低価格に推移し、非常に厳しい販売環境にあります。特に本県は刀根わせに一極集中したこともあり、出荷期間が十月上旬に集中し、この時期の価格低迷がその後の平核無柿、富有の市況にも多く影響しております。こうしたことから、ミカン同様改植による減反か、ミカン、リンゴのように、本年より実施される果樹農家経営安定対策にカキも採択されるよう国へ強く働きかけをすべきと思うが、当局のお考えをお聞かせ願います。
 昨年、販路拡大を海外に求めるため、初めて門議員、佐田議員、そして私と当局等関係者で香港へ売り込みに参りました。初めての試験販売とあって、七・五キロ詰め段ボール千三百ケースでありましたが、一応の成果を見たところであります。軟化の問題、品質の変化、価格等、バイヤーとの協議も重ね、味、品質とも他国産に比べてすぐれていると言われ、競争力あるとの結論であります。今後、大型店だけでなく一般小売店への拡大も順次してまいりたいとのことで、数年後には一千トン単位の輸出目標を設定され、JA連合会と十分協議していただくことを希望しておきます。今後は、香港に引き続き、さらに台湾、シンガポール方面の輸出対策を講じられるよう重ねて要望しておきます。
 カキ産地としての今後の課題であるが、ミカン、梅、桃と違って、加工での商品開発が余り進んでいない現状を踏まえ、加工等の検討に当たって支援を願いたいと考えます。また、カキの周年販売を図る上でコストをかけない長期貯蔵の研究も一度試みてはどうか、CA貯蔵とか冷房貯蔵でなく、例えば長野県の日本アルプスへ一度保管し、アルプスのカキ和歌山として富有に限定し、春先の出荷を試みてはどうかと考えます。また、消費宣伝の一つとして、大都市にフルーツ喫茶の開設等、若い世代に多くの果物を食べていただくことも研究すべきと考えます。また、他に消費宣伝の充実、スーパー小売店での皮むき具の開発による皮むきつきパック販売の研究等、関係機関、関係団体とプロジェクトチームをつくって取り組まれるよう強く要望しておきます。需要拡大と安定策を含め、どうしていくかということで、対策について伺っておきます。
 次に、ミカンの価格対策について。
 ことしのミカンは豊作とされ、農水省は百四十から百五十万トンの生産予測とし、国は措置法に基づく生産出荷安定指針を発動し、百二十五万トンの生産目標を定め、需給調整に乗り出したようであるが、農家は一昨年の暴落を忘れず、関係機関挙げて良質ミカンの生産目標を定め、強力な摘果推進などにより生産調整が決め手と考えますが、これら安定対策について当局はどうお考えか、お示しいただきたいと思います。
 次に、農業士認定制度を魅力ある制度とする支援策についてであります。
 昭和五十一年度に制定され、市町村長が推薦し、知事が認定を行う農業士は、現在、指導農業士、地域農業士、青年農業士、女性農業士、合わせて一千九十七名が専門別にそれぞれ公益的な役割を果たしております。農業士制度は、認定農業者とは全然別格であります。私も二十年余、指導農業士の一員でありましたが、この春、定年退会となりました。ありがとうございました。
 昨今の農業実態は、農家数の減少、農業所得の低下、そして高齢化と後継者の減少等、危機的な状況にあることは確かであります。こうしたことから、この制度を活用し、地域農業を持続的に発展させていくために、地域における農業士の活動や役割に新たな方向づけを行い、地に足のついた地域農業のリーダーとして大きく立ち上がっていただくためにも、当局として可能な限り支援をいただくよう、退会に当たり切望し、当局のお考えを伺っておきます。
 以上、農林水産部長に答弁をお願いいたします。
 次に、教育改革の諸問題について。
 まず、実りある改革に向けて。
 二十一世紀を迎え、国際化、情報化、少子高齢化とともに経済構造の変化が著しく、これらに対応するため既存社会の仕組みが多様化し、教育も大きく見直しが進められております。こうした中で、教育は国家、国民の発展の基盤であり、時代をつなぐかけ橋で、新しい社会に適応し、さらに進歩発展していく社会の基本知識を教えるとされております。来年四月より学習指導要領が新しく施行され、この要領に基づき教科内容が三〇%削減されるなど、子供がゆとりを持って学び、豊かな人間性やみずから学び、みずから考える力など、生きる力が求められようとしております。また、豊かな心の教育やふるさと教育の充実が大切と言われております。
 そうした中で、児童生徒の自主性、自発性に重点を置いた事例を少し申し上げますと、橋本市で十年前に学校法人きのくに子どもの村学園が開園されました。現在、小学生百十一名、中学生五十七名、高校生四十名、合計二百八名が小中高一貫教育を行い、生徒一人一人の自主性を尊重し、個性を伸ばそうとするユニークな学校であります。入学式、卒業式を初め、運動会等の年中行事のすべては生徒の皆さんで企画、立案、司会進行を行い、また遠足は生徒の遠足委員会で決定し、旅行会社との交渉も自分たちで行い、また校舎内清掃、運動場の除草整備等、先生と生徒で自主的に行い、育友会は参画しておりません。また、社会見学、農園実習にも力点を置いてございます。
 一例を申し上げましたが、公立学校においても、年中行事とか入学式、卒業式に「君が代」を歌い、厳粛に行うのも結構でありますが、生徒会が主体性を持つことによって自信が生まれる点で、こうした学校があってもよいのではと考えますが、いかがなものでしょう。今、学校も変革のときと考え、他府県に先駆けて学校の変革の取り組みについてお尋ねをいたします。
 さらに、義務教育期間中は体力を鍛える年齢でありながら肥満児が増加していることは、学力中心の入試制度に問題があるのではと思われ、本制度の抜本的な改革の必要性に迫られているのではなかろうか。この点もお伺いしておきます。
 次に、学級崩壊に関して。
 学級崩壊について、最近の全国資料によりますと、小学校で八・一%、中学校で一四・五%と中学校では深刻化しているが、本県の実態はどうか、その対応について。
 学級崩壊は、授業中の中身がわからず、おもしろくない点が挙げられ、中学校で教科によっては習熟度別学習について今後どうお考えなのか。また、児童生徒と保護者との間で改善困難な場合は、学校長の権限により校内暴力や授業妨害の問題行動を起こす生徒に対し、適正期間の出席停止の措置もやむを得ないと判断しますが、今後の取り組みについて。
 また、全国調査でいじめ問題はなくならないと答えた中学生は六〇%、高校生六八%、いじめを見てとめようとしない者、中学生四八・七%、高校生五六・八%となっており、少なくするためにどう対処されるのか、伺っておきます。
 また家庭訪問でありますが、公式の家庭訪問は年に一、二回開かれているが、平素、先生の自主的な自由な家庭訪問がどの程度されているのか。教員と保護者、及び生徒の結びつきに力点を置き、勤務時間の帰りに機会を見て、問題児宅だけでなく二、三戸でも訪問することが、就業規則を踏まえ、教育効果にあらわれるものと期待しますが、どうでしょうか。
 次に、教職員の資質向上に関して。
 全国の世論調査によりますと、学校教育で不満とか改善、改革が必要とすることのトップはいじめ問題、教員の資質、道徳教育、校内暴力、非行の順となっており、教員に対する信頼が年々低下しているとされております。
 県下の学校で、図書館運営上、教員中、司書教諭の資格を有している者は学校ごとにいかほどおられるのか、今後教職員にどう勧められるのか、伺っておきます。
 また、教職員採用に当たっては、初任者研修の充実も重要ながらも、中堅クラスの研修に重点を置くべきではなかろうか。教員は、ややもすると教壇へ立っておることを使命とし、一般社会の動きに弱い向きもあるのではなかろうか。今後の改正に伴い、夏期の研修等を大幅にふやし、全教職員が交代で介護福祉施設へ男女を問わず一週間とか、一般企業への実地研修等、理屈抜きで地域社会の勉強をすることをどう考えておられるのか、お聞きします。
 次に、教育コミュニティーについて。
 学校を核として、家庭、地域グループ、行政、企業、関係機関と一体となって生きる力をはぐくむため、学校教育活動に参加することによる子供の健全な成長活動を促すところに大きな改正があります。何も教室のみが教育の場でないと考えたとき、市町村、その議会もあれば公民館、図書館、警察、裁判所、社寺、公園、福祉施設もあり、食の体験農場もあれば養鶏家もいる。欧州の例では、大樹の下も教室であり、柳の下も音楽教室となる。そうした地域には専門家がいて、むしろ生徒より先生が勉強となるのでなかろうか。このことを強力に進めるための拠点となる協議体、あるいは地域活動活性化実行委員会など組織づくりが大切と思うが、さまざまな前向きの取り組みについて当局のお考えをお示しいただきたいと思います。
 最後に、学校の安全管理体制について。
 過日、大阪教育大学附属池田小学校での児童殺傷事件が発生し、児童八名が死亡し、多くのけが人が出ましたが、一日も早い回復と、亡くなられた方に対して心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 全国で、学校への不審者の侵入は昨年千三百五十五件、前年に比べ四百件も増加しているという。
 さて、地域へ開かれた学校として進める中、児童の安全対策は何といっても最優先しなければなりません。今後の安全管理についてどのように対処されるのか、お示し願います。
 以上、教育長に答弁を求めまして、私の一般質問を終わらせていただきます。まことに、ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、小泉内閣の財政構造改革による地方税財源に対する影響の問題と道路特定財源に対する取り組み等についてどのように考えるのかというご質問でございます。
 ご質問の中にもありましたように、私はこの問題について和歌山県にとっても大変なことだという考えから、早速、鳥取県の知事と共同でアピールを行ったところでございます。その後、他県でも同じような傾向が出てきております。そしてまた、議会の皆様方には、先日、関係方面へ強力なる要請活動を行われたことに、心から敬意を表する次第でございます。
 まず地方交付税の問題について言いますと、財政構造改革を進めることの中から三十兆円に国債を減らすということがまずあって、その中でそうしたら地方交付税を一兆円減らせばいいじゃないかという荒っぽい議論は、もうなすべきものではないと考えているわけでございます。日本の国は都市もあれば地方もある、それがいろいろ助け合いながら従前の発展を遂げてきた。その財源のやりとりの中で、地方交付税という先人の知恵の積み重ねがあるわけでございます。そして、こういうものを一挙にお金がないからやめるということではなくて、そういう制度の中にもやはり二十一世紀の時代に合わないところはあるだろうと思います。そういう面については真剣に、そしてそれも国だけの立場からではなくて地方の意見も入れながら、時間をかけて検討していくこともあると思いますし、そのことが日本の国のあり方にも大きくかかわってくる問題であると思うので、単純にお金だけの話というものではないと考えております。
 それとあわせて、きょうの新聞にも載っておりましたけれども、税源の国から地方への移譲ということも検討されなければなりません。しかし、例えば法人関係の税金を移譲するということになっても、地方の県にはそんなに税収がふえるという形にならないので、それは困る。そういうことであれば、やはり地方へも従前に財源が交付されるような税源のあり方もあわせて検討していかなければならない。そういうことを深く検討することによって、本当の意味での日本の国の構造改革が成り立つのではないかと思っておりますので、これからも自分の考え、和歌山県の立場、そして議会との相談の上での立場というものを申し述べていきたいと思っております。
 その中で、きょうも考えていたんですけれども、例えば前の本宮町長さんが言われていた森林交付税、私も以前、交付税の担当をしていたときには、そんな新しい交付税なんかとてもつくれませんという話をしていたんでございますけれども、森林を保護していくことは国土にとって非常に大事なことだと。そういうことから考えれば、森林交付税──交付税という名前は余りよくないので、そういう一定の財源を中山間地域、過疎地域の活性化のために振り向けていくことも新たな構造改革ではないかと考えますので、そういうことについてもこれから積極的に提言していきたいと考えている次第でございます。
 それから、道路特定財源に対してでございます。
 私は昨日の夕方、山東省の方から帰ってきたのでございますけれども、中国の高速道路を中心とするインフラストラクチャーの発達の速さには目をみはるものがありました。やはり、和歌山県でも高速道路の南伸、京奈和自動車道の整備、府県間道路の整備等、高速道路の整備はまだまだしていかなければならない、しかも速いスピードでしていかなければならないと、確信を持った次第でございます。そういうことから、これから先、道路の整備が和歌山県で進まないような形の財源対策が行われるとしたら、これは絶対に改めていかないといかんという強い確信を持ちました。ただ、日本の場合はスピードが遅過ぎますので、もっと早く道ができるような制度改革をしてもらうように提言ができたらと考えております。
 次に、医大の跡地の問題についてでございます。
 いろいろご心配をかけておりまして、事業コンペがおくれてきたわけでございますけれども、ようやく跡地利用懇話会の答申に沿った線で今月中にもコンペの準備を進めて、できれば八月ごろの募集をめどに全力で取り組むという方向が出てまいりましたので、そういう方向で進みたいと考えております。
 なお、私は、県民の生命・財産を守ることが行政にとっては一番大事なことだと、これはもう就任以来言っていることでございます。残念ながら、最近は、西日本で非常に地震が活発化してきておりまして、和歌山県のみならず、ほかの県でも南海地震等の可能性についていろんなところで取りざたされております。そういうときに、和歌山県では災害が起こった場合の司令塔となる場所が、正直言ってございません。そして、これは私は初めから何とかつくりたいということで場所を探していたんですけれども、とにかくそういう場所というのはこの県庁のそばでないと機能しないということで、正直言って、なかなか適地がなかったわけでございます。そういう中で、この県庁に隣接して和歌山市が所有している雄湊公園の一角がこの防災センターと申しますか、和歌山県に一たん事のあった災害時の指令拠点として最適であると考えましたので、この土地を取得することを条件に、かねて和歌山市の方から公共目的で利用したいということを言っておりました医大跡地の一部──コンペを行うのはその一番中心的な部分でございますけれども、道路を隔てた部分について譲渡の申し入れがございましたので、この雄湊公園の一角を譲り受けることを条件にこれから交渉に入りたい、検討に入ってまいりたいと、このように考えている次第でございます。
 次に、ダムの建設についての意見でございますけれども、今、公共事業についてはいろいろな意見がございます。しかしながら、きのうからの雨の様子を見てもわかりますように、やはりダムというものは治水という意味からも非常に大きな意味があります。それからまた、当然のことながら渇水時の利水、雨が降らないようになったときは本当にダムはありがたいという気持ちになることがあるわけでございます。いろいろなご意見はあると思いますけれども、ダムは治水や利水などの目的を持って、地域の環境との調和を図りながら建設されるべきものであり、安全、安心な県土づくりのための一つの有効な施策であると、私は確信をいたしております。
 次に、日本工業所の問題についてでございます。
 ようやく焼却施設の解体撤去作業と野積み廃棄物の撤去工事を行政代執行として現在実施中であることは皆様ご案内のとおりでございまして、これは年内に終了する予定にいたしております。今後のことでございますけれども、現在、このダイオキシンに汚染された土壌の恒久対策を行うべく各種調査を実施中であり、この恒久対策についても本年度中には工事に着手したいと考えております。
 なお、この問題の最終解決のための方策につきましては、橋本市にも参加していただきながら、地元の方と十分話し合いながら進めてまいりたいと考えております。
 それから、産廃税の導入についてのご質問でございます。
 産廃税につきましては、ただいま隣の三重県で議会の方へ条例案が出ているということでございます。これは、産廃対策の財源の確保とあわせて発生の抑制、減量の誘因ともなることから提案されたと聞いておりまして、他県でも非常に関心を持っているところでございます。
 先般、近畿圏の知事会議がございまして、そのときにこういう条例については一県だけでやってもなかなか効果がないので、どこかの県がやった場合、それとあわせて同じようなことをほかの県もやっていくことを検討していくべきだと言いましたら、たまたま東北では東北六県が同じような形でやっていこうと研究しているということでございますので、私どもも、三重県の方がちょっと先へ行きましたけれども、奈良とか先進の三重、場合によって大阪などとも相談しながら、どういうやり方が一番効果的であるか、鋭意前向きに検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 紀伊丹生川ダムの今後の取り組みについてお答えいたします。
 紀伊丹生川ダムの建設につきましては、紀の川の治水、利水等のあり方を検討する紀の川流域委員会を国土交通省が設置したところであり、同委員会において議論されることとなります。県といたしましては、その後、国土交通省から紀の川河川整備計画案が示された時点で適切に協議してまいりたいと考えております。
 ご質問の環境アセスメントにつきましては、同委員会での議論を踏まえ、手続に入る考えであると聞いてございます。
 なお、大阪府、和歌山市の利水者の水需要計画が減少していることが明らかになったこと、及び環境への影響を最小限にとどめるための検討を行うことに伴い、今後、国土交通省はダム計画の見直しを行い、計画案を同委員会に提案する予定であります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物問題の二点についてお答えいたします。
 まずダイオキシン汚染土壌の恒久対策につきましては、現在、汚染範囲確定調査、無害化処理技術に関する調査及び汚染物質の飛散・流出を防止する技術に関する調査を実施中であり、七月末には結果が得られる予定です。これら実施中の調査におきまして、議員お話しの施設の能力や処理コスト、また鹿児島県の事例なども明らかにしてまいります。この調査結果をもとに、ダイオキシン問題検討委員会におきまして汚染範囲を確定し、対策手法について検討していただいた後、地元の了解を得られれば、ダイオキシン類対策特別措置法に基づきまして対策を実施してまいります。
 次に県への提訴についてでございますが、日本工業所社長を初め役員らは、県が昨年三月八日付で行った措置命令に関し、これまで県の指導に従ってきたのだから、その結果発生した事態の責任は県が負うべきと主張し、本年五月十一日にこの命令を取り消すよう和歌山地方裁判所に訴え出ました。
 日本工業所社長らは、同じ趣旨で昨年四月、国に対し行政不服審査を請求しており、本年二月、環境大臣から請求棄却の裁決を受けております。その主張は、虚偽の事実、身勝手な解釈、経営者としての責任を放棄した理論に基づいており、環境行政をないがしろにするものであります。県としては、断固争う決意であります。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 農業の振興策についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の、現状の再認識と対策についてでございます。
 農業総生産額が減少となった主な原因につきましては、近年の景気の低迷により消費が落ち込む中で、本県農業の基幹である果実が買い控えられたことや安い輸入農産物を求める動きが強まったことに加え、平成十一年産のミカン、カキで需要を上回る生産量となったことなどが販売価格に大きく影響したのではないかと考えております。このような中で、おいしさと安全性を求める消費者ニーズの高まりがあり、これに対応しつつ、今後とも本県の特性を生かした収益性の高い農業の推進が重要であると考えております。
 このため、地域における基幹作物の振興を基本に、意欲ある農業者の育成にも努めながら、優良品種の導入など高品質生産を図るための施策を実施するとともに、消費拡大に向け、ITを活用したロケーション・アンテナショップやふるさと和歌山わいわい市場などを通して、県産農産物の情報発信やふれあい市場等、直販施設の整備を促進するなど、本県農業の活性化に向け、関係機関と一体となった取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 二点目の、カキ産地の生き残りについてでございます。
 厳しい現状に対処するため、生産対策として、本年二月に県と農協組織による生産販売対策検討会を開催し、刀根わせの九月収穫比率を高めるために、反射マルチの敷設や枝の一部の皮をはぐ環状剥皮、果実の周辺の葉をとる摘葉処理などの徹底について申し合わせを行ったところでございます。また国に対しましても、果樹経営安定対策の対象品目に新たにカキを加えていただけるよう要望してございます。
 一方、販売対策につきましては、県議会のご協力を得て、昨年は香港で刀根わせの試験販売を行い、好評を得ましたので、本年は販売量をふやすこととしてございますが、輸出につきましては、採算面等の問題もございますので、今後研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、カキの加工研究につきましては、機能成分の研究も進みつつありますので、今後新たな需要の開拓に向けて関係機関との連携を図りながら取り組んでまいります。
 なお、消費拡大についての貴重なご提案につきましては、今後十分検討してまいりたいと考えてございます。
 三点目の、本年産ミカンの価格対策についてでございます。
 従来の加工対策だけでは需給調整が難しいことから、国では本年度から生果の価格補てんなどを盛り込んだミカンの経営安定対策を実施することになってございます。本年産ミカンにつきましては、全国的に豊作が予想されることから、去る五月二十四日、国の生産出荷安定指針が公表され、本県には十七万四千五百十トンの目標生産量が示されてございます。特に新しい制度のもとでは、全摘果などの取り組みが義務づけられており、現在、県では関係機関と連携を図りながら、生産者の理解を得るため、啓発や技術指導の徹底等に努めているところでございます。
 また、生果の価格補てん対象数量等につきましては、七月末を目途に県果実生産出荷安定基金協会と生産者との間で取り決めることとなってございます。県といたしましては、今回の制度を有効に活用し、農家経営の安定に努めてまいりたいと考えてございます。
 四点目の、農業士認定制度を魅力ある制度とする支援策についてでございます。
 この農業士認定制度は、地域農業のリーダーとしての社会的評価を高めるため、県知事が農業士として認定する制度でございます。現在、農業士に認定された方々は、県内各市町村での農業振興や地域活性化の第一線でご活躍いただいております。県といたしましても、農業士のご意見を県行政に反映するための意見交換の場を持つとともに、その組織活動を支援するための予算措置を講じているところでございます。
 議員ご指摘のとおり、地域農業が持続的に発展していくためには、先導的な農家の活躍が重要であると認識してございます。このため、従来の役割に加えて、新規就農者に対する支援を初め、男女共生社会の実現や地域おこしマイスターとしての活動など、幅広い分野で積極的な役割を果たせる環境づくりを行うとともに、各種の情報を速やかに提供できるよう体制の整備にも努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育改革関連、五点についてお答えいたします。
 最初に、大阪府下の小学校において多数の児童生徒、教職員が殺傷されるという痛ましい事件が発生しました。子供たちが安心して楽しく学べるはずの学校でこのような残虐な事件が起きたことは、まことに残念きわまりないことであり、被害に遭った方々に心からご冥福とお見舞いを申し上げます。
 さて、議員お尋ねの教育改革についてでありますが、ご指摘のように、我が国が活力ある社会として発展していくよう、その基盤となる教育の改革に向けて全国的な取り組みが進められているところであります。
 本県におきましては、総合学科の設置や全日制単位制高校の導入など、全国に先駆けて数々の改革を行ってきたところですが、本年四月に、新たに連携型中高一貫教育をスタートさせました。また、県教育委員会と和歌山大学が高校生の大学での受講について基本合意し、現在、本年度後期からの実施に向け、準備を進めております。さらに高校入試では、希望する高等学校が独自に入試問題を作成できるようにしたところであります。入試改善についても、推薦入学を本年度から普通科に導入するとともに、合否判定において部活動やボランティア活動の記録などを多面的に評価することとしております。
 次に、いわゆる学級崩壊につきましては、昨年度、本県では深刻なケースはないものの、一部の学校で授業が成立しにくい状況があるとの報告を受けております。そのため、教員が魅力ある、わかる授業を行うとともに、互いのよさを認め合える学級づくりを指導しており、少人数による授業や習熟の程度に応じた授業など、きめ細かい指導も進んできております。
 いじめの発生件数は減少傾向にありましたが、過去二年間はほぼ同程度で推移しており、なお憂慮すべき問題であります。今後とも、家庭、地域、関係機関との連携を図ることにより、早期発見、早期対応に努めてまいります。
 次に出席停止措置につきましては、問題行動を起こす児童生徒の保護者に対してこれを命じることができますが、学校長を中心に教員が一体になって対応するなど、最大限の教育上の努力を行うことが大切であると考えております。
 なお、現在、出席停止措置の要件を明確化するため、学校教育法の一部改正が国会で審議されているところでございます。
 家庭訪問は、児童生徒を取り巻く家庭や地域の実態を直接把握することにより、指導の効果を高めるものであります。教員が家庭を訪問し、日ごろの児童生徒の様子を伝え、また聞くことを通して保護者との間に望ましい関係をつくるよう一層指導してまいります。
 司書教諭の資格を持つ者は、平成十二年度現在、小学校三百六十三名、中学校百七名、県立学校八十名でございます。平成十五年度からの司書教諭の円滑な配置に向けて、和歌山大学等と連携しながら有資格者の養成に努めてまいります。
 また教員研修につきましては、平成八年度から本県では長期社会体験研修を実施し、これまでに延べ二百名の教員が民間企業や福祉施設等で研修を行っております。異なる職業を経験することは、教員としての職務を見詰め直し、意識改革につながるなど資質の向上に成果を上げており、今後とも研修方法等を工夫し、その充実に努めてまいります。
 次に、家庭や地域の教育力を活用した活動としては、現在、自然体験や地域の高齢者と触れ合う福祉・ボランティア体験など、豊かな体験活動が行われております。こうした活動の充実を図るため、人材バンクを整えたり、スクールサポーターや地域で子供を育てる会を組織したりするなど、さまざまな取り組みを進めております。
 最後に、開かれた学校づくりについては、学校評議員制度を導入するなど、今後もさまざまな機会をとらえて推進していくことが大切であると考えております。
 今回の小学校の事件に際し、学校における安全管理体制の確立を改めて徹底するとともに、家庭、地域、関係機関との連携を一層緊密にし、学校内や通学途上での児童生徒の安全確保に努めるよう市町村教育委員会を通じ、各学校に通知したところです。さらに、臨時に地方教育事務所長会を開催し、校内連絡体制の強化や避難場所であるきしゅう君の家と平素から連携を図ることなどについて指示をいたしました。また、このほど県警察本部長と協議し、学校と警察による緊急時の対応についての実地訓練や地域ごとの連携のあり方など、今後の協力について合意に達したところであります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。

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