平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十三年六月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
     ─────────────────────
議事日程 第二号
 平成十三年六月二十日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣 平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長職務代行者
                赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第八十一号及び議案第八十二号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。
 お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十一番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 皆さん、おはようございます。
 今議会のトップバッターとして質問の機会を与えていただきましたことに対しまして、大変光栄でございます。皆さんに、厚くお礼を申し上げます。議長のお許しをいただきましたので、順次質問に入らせていただきます。
 まず初めに、地方財政制度の構造改革及び道路特定財源の見直しについてでございます。
 木村知事は、二月議会において、県財政まことに厳しいとした上で、新世紀に安心で活力みなぎる県とするために、新しい発想を持って時代潮流に即応したタイムリーな施策展開を積極的に推進し、県民に夢を与え、県が活気づく元気県政を進める決意を聞かされました。
 さて、政府の経済財政諮問会議等で議論されている地方財政制度の構造改革と地方に及ぼす影響について、知事にお尋ねいたします。
 去る四月二十六日に、国民の圧倒的な支持のもと、小泉新内閣が誕生し、小泉総理は、国民の期待にこたえるべく、日本経済再生のためには聖域なき構造改革を断行し、これからの日本の発展のために自信と希望を持って新たな目標に向けて進むことができる社会を築くことが重要であるとの考えを示されております。私も、小泉総裁支持の一票を投じた一人として、大なたを振るっての改革断行の基本方針には、国を思う者として大いに共感するものであります。このような総理の考えを具体化するため、政府の経済財政諮問会議において、新世紀維新を目指し、社会経済の構造改革のための具体的なプランづくりがなされており、六月中には今後の経済財政運営や経済社会の構造改革に関する基本方針がまとめられるものと聞き及んでおります。それに先立って、今月の十一日には基本方針案が公表されました。この中で、「個性ある地方の競争、自立した国、地方の関係の確立」という一章が設けられ、今日までの均衡ある発展から、個性ある地域の発展、さらに地域間の競争による活性化へと基本理念の転換を図られるよう、さらに地方の自立的判断の確立を求められ、地方財政制度の抜本的改革などについて言及されております。
 それによりますと、地方交付税の見直しなど具体的に言及されており、来年度予算において、健全な国家財政を堅持する上で国債発行三十兆円以下にすることにより、仮に地方交付税が一兆円削減されることとなると、地方交付税に大きく依存する本県としては今後の県政に大きくかかわる死活問題であります。地方交付税制度を含む地方財政制度については、確かに幾つかの改善すべき点があると思いますが、それについては国庫補助負担金や国と地方の税源配分の見直しとともに、特に財政基盤が脆弱な地方団体に対しては、自助自立の行財政運営を可能する財源保証システムのあり方などに十分配慮して見直していくべきと考えます。
 また、道路特定財源の一般財源化も議論の的となり、道路の特定財源として、本年度国の見込みでは五兆八千億余円であるが、二〇〇二年までは枠内での使途拡大、三年には法改正も必要と言われております。本県は、半島という立地に置かれ、道路整備がおくれ、紀南延伸、京奈和自動車道の早期完成、府県間道路を初め地方道に至るすべての道路の位置づけはこれからが正念場であって、県内二時間ネットワークの早期実現が急務であります。申し上げましたように、当局も議会も道路整備の促進こそが、まさに県民の総意であることの認識を持って対処しなければならないと存じます。
 さて知事においては、さきに片山鳥取県知事と共同で、国の地方交付税制度の見直しに対し、地方の立場から地方財政制度の確立を求めるアピールがなされたとのことであります。一方、県議会としても、国の動きに対し、議会初日、これら地方財源の充実を軸とした地方財政制度の見直し及び地方の道路整備を図るための財源措置を講じる二つの意見書を採択し、関係先へ提出したところであります。いずれにいたしましても、地方財政制度の構造改革は地方の実情等に十分反映されることを強く希望するものであります。
 そこで、現在の地方財政の構造改革の議論に対して知事はどのような所見をお持ちか、道路特定財源の問題とあわせてお聞かせください。
 また、このような議論を踏まえて、今後の県財政の運営に当たってはどのような姿勢で臨まれるのか、あわせてお聞かせください。
 次に、医大跡地利用についてお尋ねをいたします。
 私は、かつて県立医科大学跡地利用懇話会の委員の一人として医大跡地の利用について検討させていただいた経緯もあり、この問題については関心を持って見守ってまいりました。自由民主党県議団としても、本年三月、県立医科大学跡地利用については、県が策定された基本方針に従い、都市型複合施設を整備する民間事業者を選定するための事業コンペを早急に実施されたいという要望をいたしております。県当局からは、去る二月議会において、事業コンペについてできるだけ早く実施したいとの答弁がありました。その後、特定企業の動向や和歌山市が中心となって進めている大学構想との関係が新聞報道されたりいたしております。一体どうなっているのかというのが、正直なところの感想であります。
 これまで指摘されているように、医大跡地は中心市街地の活性化を図るための重要な土地であり、もとよりその利用に当たって、拙速な取り組みは避けるべきと考えます。しかも、長期にわたる景気の低迷もあり、企業としても多額の投資に対し慎重にならざるを得ない状況の中で、コンペ参加企業の確保も大変困難であることの認識もできますが、二月議会中に機会を見て、丸正の自己破産のこと、ビブレの撤退予定も聞かされ、ぶらくり丁数店舗へ状況聞き取り調査に参ったことがございます。関係筋の皆さんは、大変厳し過ぎるの一言に尽きると言われ、中には店じまいやむなしとの話、大半の方は、何といっても医大の移転から客足が減り、がたがたになったと言われておりました。
 こうした中で、周辺商店街の活性化を図る上からも、医大跡地がいかに重要であるかの認識を得た次第であり、県としても、貴重な土地である医大跡地の利用に関するこれまでの経過、見通し及び対応について、知事の見解を賜りたいと思います。
 次に、ダム建設について。
 今や日本のダム建設は、自然環境の保全あるいは財政上の問題等、大きなうねりとなっております。国が事業を中止したダムは二十四都府県に及び、四十六ダムであります。特に長野県の田中知事は、本年二月の県議会において脱ダム宣言を発表されており、現在工事中の県営を含め十一ダムがあり、それぞれ治水、利水の効果をもたらすダムといえども、国が大半負担されるとの安易な理由でダム建設を採択すべきでないとしております。その理由として、大規模ダム建設は河川流域の生態系に悪影響を及ぼすとされており、河川改修費がダム建設より多額になろうとも、百年、二百年先の子孫に残す資産として河川、湖沼の価値を重視する上で、費用対効果の検討を加え、ダムにかわる河川の引き提案、かさ上げ案、掘り下げ案、遊水地案、放水路案等で対処することが望ましいとされているのが田中県政の基本理念であるとしております。
 また、鳥取県の旧中部ダムでは、賛否両論で二十五年経過され、本年二月にダム事業中止が適当とされ、県は今後の予定区域に係る活性化のための社会資本整備に百六十八億円、四十二事業が予定されていると聞き及んでおります。
 さて紀伊丹生川ダムでありますが、紀の川流域の洪水渇水対策及び水需要に対する目的として取り組まれ、十二回に及ぶダム建設審議委員会の結論として建設は妥当とされ、県は早期着手に向け、国への要望を初め地元説明会等、前向きに取り組みがされているところであります。ところが、大阪府の第七次拡張事業計画において、九年後の利水を日量二十五万立方メートルから十三万立方メートル、約二分の一近くに下方修正され、国への申し入れがなされ、さらに水の一滴は血の一滴と言われておりました和歌山市においても、毎秒〇・二トンの利水権を得たいとしていたが、見直しの結果、利水権獲得の撤回の申し出がなされたと聞いております。
 こうしたことから、ダムの適正規模の見直しを図り、国の流域委員会で最終結論が出されるようでありますが、地元関係地域では既に話があった当初六十歳の方が八十歳となっており、十幾年調査ばかりで、早く結論を出し、地域活性化のため事業着手をしてほしいという強い意見もあります。一方、すぐれた景勝地のかけがえのない自然体を残すべきだという多くのダム建設反対署名が上がっているのが実態であります。
 そこで、ダム建設について、知事の所見をお聞きしておきます。
 次に紀伊丹生川ダムの今後の取り組みについて、国土交通省はどう対処されようとしているのか、昨年度は三億七千万円で環境アセスの予備調査、今年度は五億二千万円で前年度に続いて予備調査と言われているが、環境アセスはいつになるのか、またこうした水需要による計画の見直しに入られているのか、土木部長にお尋ねをいたします。
 次に、産業廃棄物問題について。
 まず、日本工業所問題の解決策についてでございます。
 本件は、県の重点課題の一つとして、木村知事も二度、三度、現地を訪れ、地元関係者との懇談等、積極的な取り組みに対し、お礼を申し上げます。
 過去六年間を振り返りますと、平成九年五月、焼却中止が成立、同年七月より一次、二次に分け、和歌山環境保全公社の協力を得て堆積物をトラック三千四百台相当の持ち出し以降、周辺地域のダイオキシン類の土壌、水質調査、あるいは地元住民のダイオキシンを含む健康診断等、地元の協力を得て行政関係機関、検討委員会、議会等、皆様のお力添えにより、今日、ある程度の見通しが立ちつつあると考えております。
 現在、国の財政支援をいただき、ジオメルト工法という千六百から二千度の高熱で固形化処理する国内初めての工法で、小規模ながらもダイオキシンの除去を事故なく進めていただいているのが現状でありますが、日本で初めての工法だけに、地元関係者として多くの不安が残り、最終ジオメルト工法による現地処理の可否について住民投票にまで至っている経緯があっただけに、地元の会として苦渋の選択に迫られ、決断されたことについては忘れてはならないと存じます。また、大気中に放出されたガスに含まれるダイオキシン類濃度は〇・〇〇四七ナノグラムで、排出規制基準〇・一ナノグラムを大幅に下回り、他の重金属類もすべて基準数値以下になっておるという報告をいただいております。
 ただいま申し上げたように、場内の施設、跡地周辺のダイオキシン高濃度の産廃物を分別後処理されているのが現状であります。しかし、場内には多くの産業廃棄物が残されており、これらの最終的解決策について、地元並びに橋本市との協力を得て進めていただくことが適当と考えますが、知事にお尋ねをいたします。
 次に、場内のダイオキシンの汚染範囲調査と対策についてでありますが、場外の一般土壌、作物、水質調査の結果、すべて基準値を下回り、特に問題がないことが昨年判明し、安全宣言が出されたところであります。
 さて、場内のダイオキシン類についてどう調査に入られるのか、具体性とその対応をお示しいただきたい。
 前段申し上げたように、現在ジオメルト工法によるダイオキシンの無害化処理をしているが、実験用規模のものであり、今後残されている産廃物を現地処理する場合、コストの面も含め一度に多量の処理が可能な規模のものがあるのか、あるいはまた鹿児島県川辺町で化学反応を利用したダイオキシン処理の事例があると聞くが、性能はどうかもあわせてお聞かせください。
 今後における場内のダイオキシン類の除去対策についてどのように進めようとされるのか、伺っておきます。
 次に、日本工業所の達川社長より県へ提訴の件についてであります。
 産業廃棄物の措置命令である行政代執行に対し、不当であるとして提訴されている件について当局はどうお考えなのか、環境生活部長に伺います。
 次に、産廃税の導入について。
 本県の持つ特色は、すぐれた環境であります。すばらしい自然を維持しつつ、やがて世界遺産に向けて国際的にも認めていただくためには一層環境保全に努めなければなりません。今日までの教訓を生かし、法定外目的税である産廃税の導入を実施することが望ましいのではなかろうか、県内の最終処分や中間処理施設に持ち込まれる産廃を対象とし、その税収はリサイクルの研究や不法投棄監視強化等に用いることについて知事はどのようにお考えなのか、伺っておきます。
 次に、農業の振興策について。
 まず、現状の再認識と対策についてでございます。
 中国を初め諸外国の輸入農産物は日増しに増加し、政府において特定品目に対しセーフガードの発動となったが、世界各国の実情を知る限り、とりわけ中国の脅威は五年後を想定したとき、日本農業の存亡のおそれすらうかがえます。国は、食糧、農業、農村の新たな構築を図る上で、新農業基本法に基づき食糧自給率四五%を目標とされているが、この数字は大変なものと思います。
 さて、本県の農業総生産額については、平成八年千五百六十三億円で、我々関係者の間では五年後に二千億円達成も夢ではないと語ったことがありました。ところが、平成十一年では一千百二十億円まで落ち込み、対七二%と減少し、特に果樹王国としての本県の果樹は、八年対十一年比六四%にまで落ち込んでおり、十二年度は間もなく数値が発表されますが、さらに厳しいものと思われます。つまり、二千億円の意気込みが、逆に一千億円となりかねない。
 そこでお尋ねすることは、予想もつかなかった事態となったのは何ゆえか、また今後、足腰の強い農業振興を図る上で、現状の再認識と対応についてお伺いするものであります。
 次に、カキ産地の生き残りについて。
 私は何度もこの件について申し上げてございますが、ミカンの減反政策のあおりで、ついにミカンの二の舞となっているのがカキであります。本県は名実ともに日本一を誇っているが、平成八年の生産額は約百三十五億円、十一年産は六十五億八千万円、対比四九%、わずかな間に半値となり、昨年はさらに安値と言われ、生産費は過去四年とも大幅に割り込み、カキ生産農家は窮地に追い込まれているのが現状の姿であって、私も農林議員の一人として責任を痛感しているところであります。
 カキの全国生産量は近年二十五から三十万トンでほぼ横ばいで推移しているものの、わせ種の出荷比率の増加や刀根わせの軟化などから近年、低価格に推移し、非常に厳しい販売環境にあります。特に本県は刀根わせに一極集中したこともあり、出荷期間が十月上旬に集中し、この時期の価格低迷がその後の平核無柿、富有の市況にも多く影響しております。こうしたことから、ミカン同様改植による減反か、ミカン、リンゴのように、本年より実施される果樹農家経営安定対策にカキも採択されるよう国へ強く働きかけをすべきと思うが、当局のお考えをお聞かせ願います。
 昨年、販路拡大を海外に求めるため、初めて門議員、佐田議員、そして私と当局等関係者で香港へ売り込みに参りました。初めての試験販売とあって、七・五キロ詰め段ボール千三百ケースでありましたが、一応の成果を見たところであります。軟化の問題、品質の変化、価格等、バイヤーとの協議も重ね、味、品質とも他国産に比べてすぐれていると言われ、競争力あるとの結論であります。今後、大型店だけでなく一般小売店への拡大も順次してまいりたいとのことで、数年後には一千トン単位の輸出目標を設定され、JA連合会と十分協議していただくことを希望しておきます。今後は、香港に引き続き、さらに台湾、シンガポール方面の輸出対策を講じられるよう重ねて要望しておきます。
 カキ産地としての今後の課題であるが、ミカン、梅、桃と違って、加工での商品開発が余り進んでいない現状を踏まえ、加工等の検討に当たって支援を願いたいと考えます。また、カキの周年販売を図る上でコストをかけない長期貯蔵の研究も一度試みてはどうか、CA貯蔵とか冷房貯蔵でなく、例えば長野県の日本アルプスへ一度保管し、アルプスのカキ和歌山として富有に限定し、春先の出荷を試みてはどうかと考えます。また、消費宣伝の一つとして、大都市にフルーツ喫茶の開設等、若い世代に多くの果物を食べていただくことも研究すべきと考えます。また、他に消費宣伝の充実、スーパー小売店での皮むき具の開発による皮むきつきパック販売の研究等、関係機関、関係団体とプロジェクトチームをつくって取り組まれるよう強く要望しておきます。需要拡大と安定策を含め、どうしていくかということで、対策について伺っておきます。
 次に、ミカンの価格対策について。
 ことしのミカンは豊作とされ、農水省は百四十から百五十万トンの生産予測とし、国は措置法に基づく生産出荷安定指針を発動し、百二十五万トンの生産目標を定め、需給調整に乗り出したようであるが、農家は一昨年の暴落を忘れず、関係機関挙げて良質ミカンの生産目標を定め、強力な摘果推進などにより生産調整が決め手と考えますが、これら安定対策について当局はどうお考えか、お示しいただきたいと思います。
 次に、農業士認定制度を魅力ある制度とする支援策についてであります。
 昭和五十一年度に制定され、市町村長が推薦し、知事が認定を行う農業士は、現在、指導農業士、地域農業士、青年農業士、女性農業士、合わせて一千九十七名が専門別にそれぞれ公益的な役割を果たしております。農業士制度は、認定農業者とは全然別格であります。私も二十年余、指導農業士の一員でありましたが、この春、定年退会となりました。ありがとうございました。
 昨今の農業実態は、農家数の減少、農業所得の低下、そして高齢化と後継者の減少等、危機的な状況にあることは確かであります。こうしたことから、この制度を活用し、地域農業を持続的に発展させていくために、地域における農業士の活動や役割に新たな方向づけを行い、地に足のついた地域農業のリーダーとして大きく立ち上がっていただくためにも、当局として可能な限り支援をいただくよう、退会に当たり切望し、当局のお考えを伺っておきます。
 以上、農林水産部長に答弁をお願いいたします。
 次に、教育改革の諸問題について。
 まず、実りある改革に向けて。
 二十一世紀を迎え、国際化、情報化、少子高齢化とともに経済構造の変化が著しく、これらに対応するため既存社会の仕組みが多様化し、教育も大きく見直しが進められております。こうした中で、教育は国家、国民の発展の基盤であり、時代をつなぐかけ橋で、新しい社会に適応し、さらに進歩発展していく社会の基本知識を教えるとされております。来年四月より学習指導要領が新しく施行され、この要領に基づき教科内容が三〇%削減されるなど、子供がゆとりを持って学び、豊かな人間性やみずから学び、みずから考える力など、生きる力が求められようとしております。また、豊かな心の教育やふるさと教育の充実が大切と言われております。
 そうした中で、児童生徒の自主性、自発性に重点を置いた事例を少し申し上げますと、橋本市で十年前に学校法人きのくに子どもの村学園が開園されました。現在、小学生百十一名、中学生五十七名、高校生四十名、合計二百八名が小中高一貫教育を行い、生徒一人一人の自主性を尊重し、個性を伸ばそうとするユニークな学校であります。入学式、卒業式を初め、運動会等の年中行事のすべては生徒の皆さんで企画、立案、司会進行を行い、また遠足は生徒の遠足委員会で決定し、旅行会社との交渉も自分たちで行い、また校舎内清掃、運動場の除草整備等、先生と生徒で自主的に行い、育友会は参画しておりません。また、社会見学、農園実習にも力点を置いてございます。
 一例を申し上げましたが、公立学校においても、年中行事とか入学式、卒業式に「君が代」を歌い、厳粛に行うのも結構でありますが、生徒会が主体性を持つことによって自信が生まれる点で、こうした学校があってもよいのではと考えますが、いかがなものでしょう。今、学校も変革のときと考え、他府県に先駆けて学校の変革の取り組みについてお尋ねをいたします。
 さらに、義務教育期間中は体力を鍛える年齢でありながら肥満児が増加していることは、学力中心の入試制度に問題があるのではと思われ、本制度の抜本的な改革の必要性に迫られているのではなかろうか。この点もお伺いしておきます。
 次に、学級崩壊に関して。
 学級崩壊について、最近の全国資料によりますと、小学校で八・一%、中学校で一四・五%と中学校では深刻化しているが、本県の実態はどうか、その対応について。
 学級崩壊は、授業中の中身がわからず、おもしろくない点が挙げられ、中学校で教科によっては習熟度別学習について今後どうお考えなのか。また、児童生徒と保護者との間で改善困難な場合は、学校長の権限により校内暴力や授業妨害の問題行動を起こす生徒に対し、適正期間の出席停止の措置もやむを得ないと判断しますが、今後の取り組みについて。
 また、全国調査でいじめ問題はなくならないと答えた中学生は六〇%、高校生六八%、いじめを見てとめようとしない者、中学生四八・七%、高校生五六・八%となっており、少なくするためにどう対処されるのか、伺っておきます。
 また家庭訪問でありますが、公式の家庭訪問は年に一、二回開かれているが、平素、先生の自主的な自由な家庭訪問がどの程度されているのか。教員と保護者、及び生徒の結びつきに力点を置き、勤務時間の帰りに機会を見て、問題児宅だけでなく二、三戸でも訪問することが、就業規則を踏まえ、教育効果にあらわれるものと期待しますが、どうでしょうか。
 次に、教職員の資質向上に関して。
 全国の世論調査によりますと、学校教育で不満とか改善、改革が必要とすることのトップはいじめ問題、教員の資質、道徳教育、校内暴力、非行の順となっており、教員に対する信頼が年々低下しているとされております。
 県下の学校で、図書館運営上、教員中、司書教諭の資格を有している者は学校ごとにいかほどおられるのか、今後教職員にどう勧められるのか、伺っておきます。
 また、教職員採用に当たっては、初任者研修の充実も重要ながらも、中堅クラスの研修に重点を置くべきではなかろうか。教員は、ややもすると教壇へ立っておることを使命とし、一般社会の動きに弱い向きもあるのではなかろうか。今後の改正に伴い、夏期の研修等を大幅にふやし、全教職員が交代で介護福祉施設へ男女を問わず一週間とか、一般企業への実地研修等、理屈抜きで地域社会の勉強をすることをどう考えておられるのか、お聞きします。
 次に、教育コミュニティーについて。
 学校を核として、家庭、地域グループ、行政、企業、関係機関と一体となって生きる力をはぐくむため、学校教育活動に参加することによる子供の健全な成長活動を促すところに大きな改正があります。何も教室のみが教育の場でないと考えたとき、市町村、その議会もあれば公民館、図書館、警察、裁判所、社寺、公園、福祉施設もあり、食の体験農場もあれば養鶏家もいる。欧州の例では、大樹の下も教室であり、柳の下も音楽教室となる。そうした地域には専門家がいて、むしろ生徒より先生が勉強となるのでなかろうか。このことを強力に進めるための拠点となる協議体、あるいは地域活動活性化実行委員会など組織づくりが大切と思うが、さまざまな前向きの取り組みについて当局のお考えをお示しいただきたいと思います。
 最後に、学校の安全管理体制について。
 過日、大阪教育大学附属池田小学校での児童殺傷事件が発生し、児童八名が死亡し、多くのけが人が出ましたが、一日も早い回復と、亡くなられた方に対して心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 全国で、学校への不審者の侵入は昨年千三百五十五件、前年に比べ四百件も増加しているという。
 さて、地域へ開かれた学校として進める中、児童の安全対策は何といっても最優先しなければなりません。今後の安全管理についてどのように対処されるのか、お示し願います。
 以上、教育長に答弁を求めまして、私の一般質問を終わらせていただきます。まことに、ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、小泉内閣の財政構造改革による地方税財源に対する影響の問題と道路特定財源に対する取り組み等についてどのように考えるのかというご質問でございます。
 ご質問の中にもありましたように、私はこの問題について和歌山県にとっても大変なことだという考えから、早速、鳥取県の知事と共同でアピールを行ったところでございます。その後、他県でも同じような傾向が出てきております。そしてまた、議会の皆様方には、先日、関係方面へ強力なる要請活動を行われたことに、心から敬意を表する次第でございます。
 まず地方交付税の問題について言いますと、財政構造改革を進めることの中から三十兆円に国債を減らすということがまずあって、その中でそうしたら地方交付税を一兆円減らせばいいじゃないかという荒っぽい議論は、もうなすべきものではないと考えているわけでございます。日本の国は都市もあれば地方もある、それがいろいろ助け合いながら従前の発展を遂げてきた。その財源のやりとりの中で、地方交付税という先人の知恵の積み重ねがあるわけでございます。そして、こういうものを一挙にお金がないからやめるということではなくて、そういう制度の中にもやはり二十一世紀の時代に合わないところはあるだろうと思います。そういう面については真剣に、そしてそれも国だけの立場からではなくて地方の意見も入れながら、時間をかけて検討していくこともあると思いますし、そのことが日本の国のあり方にも大きくかかわってくる問題であると思うので、単純にお金だけの話というものではないと考えております。
 それとあわせて、きょうの新聞にも載っておりましたけれども、税源の国から地方への移譲ということも検討されなければなりません。しかし、例えば法人関係の税金を移譲するということになっても、地方の県にはそんなに税収がふえるという形にならないので、それは困る。そういうことであれば、やはり地方へも従前に財源が交付されるような税源のあり方もあわせて検討していかなければならない。そういうことを深く検討することによって、本当の意味での日本の国の構造改革が成り立つのではないかと思っておりますので、これからも自分の考え、和歌山県の立場、そして議会との相談の上での立場というものを申し述べていきたいと思っております。
 その中で、きょうも考えていたんですけれども、例えば前の本宮町長さんが言われていた森林交付税、私も以前、交付税の担当をしていたときには、そんな新しい交付税なんかとてもつくれませんという話をしていたんでございますけれども、森林を保護していくことは国土にとって非常に大事なことだと。そういうことから考えれば、森林交付税──交付税という名前は余りよくないので、そういう一定の財源を中山間地域、過疎地域の活性化のために振り向けていくことも新たな構造改革ではないかと考えますので、そういうことについてもこれから積極的に提言していきたいと考えている次第でございます。
 それから、道路特定財源に対してでございます。
 私は昨日の夕方、山東省の方から帰ってきたのでございますけれども、中国の高速道路を中心とするインフラストラクチャーの発達の速さには目をみはるものがありました。やはり、和歌山県でも高速道路の南伸、京奈和自動車道の整備、府県間道路の整備等、高速道路の整備はまだまだしていかなければならない、しかも速いスピードでしていかなければならないと、確信を持った次第でございます。そういうことから、これから先、道路の整備が和歌山県で進まないような形の財源対策が行われるとしたら、これは絶対に改めていかないといかんという強い確信を持ちました。ただ、日本の場合はスピードが遅過ぎますので、もっと早く道ができるような制度改革をしてもらうように提言ができたらと考えております。
 次に、医大の跡地の問題についてでございます。
 いろいろご心配をかけておりまして、事業コンペがおくれてきたわけでございますけれども、ようやく跡地利用懇話会の答申に沿った線で今月中にもコンペの準備を進めて、できれば八月ごろの募集をめどに全力で取り組むという方向が出てまいりましたので、そういう方向で進みたいと考えております。
 なお、私は、県民の生命・財産を守ることが行政にとっては一番大事なことだと、これはもう就任以来言っていることでございます。残念ながら、最近は、西日本で非常に地震が活発化してきておりまして、和歌山県のみならず、ほかの県でも南海地震等の可能性についていろんなところで取りざたされております。そういうときに、和歌山県では災害が起こった場合の司令塔となる場所が、正直言ってございません。そして、これは私は初めから何とかつくりたいということで場所を探していたんですけれども、とにかくそういう場所というのはこの県庁のそばでないと機能しないということで、正直言って、なかなか適地がなかったわけでございます。そういう中で、この県庁に隣接して和歌山市が所有している雄湊公園の一角がこの防災センターと申しますか、和歌山県に一たん事のあった災害時の指令拠点として最適であると考えましたので、この土地を取得することを条件に、かねて和歌山市の方から公共目的で利用したいということを言っておりました医大跡地の一部──コンペを行うのはその一番中心的な部分でございますけれども、道路を隔てた部分について譲渡の申し入れがございましたので、この雄湊公園の一角を譲り受けることを条件にこれから交渉に入りたい、検討に入ってまいりたいと、このように考えている次第でございます。
 次に、ダムの建設についての意見でございますけれども、今、公共事業についてはいろいろな意見がございます。しかしながら、きのうからの雨の様子を見てもわかりますように、やはりダムというものは治水という意味からも非常に大きな意味があります。それからまた、当然のことながら渇水時の利水、雨が降らないようになったときは本当にダムはありがたいという気持ちになることがあるわけでございます。いろいろなご意見はあると思いますけれども、ダムは治水や利水などの目的を持って、地域の環境との調和を図りながら建設されるべきものであり、安全、安心な県土づくりのための一つの有効な施策であると、私は確信をいたしております。
 次に、日本工業所の問題についてでございます。
 ようやく焼却施設の解体撤去作業と野積み廃棄物の撤去工事を行政代執行として現在実施中であることは皆様ご案内のとおりでございまして、これは年内に終了する予定にいたしております。今後のことでございますけれども、現在、このダイオキシンに汚染された土壌の恒久対策を行うべく各種調査を実施中であり、この恒久対策についても本年度中には工事に着手したいと考えております。
 なお、この問題の最終解決のための方策につきましては、橋本市にも参加していただきながら、地元の方と十分話し合いながら進めてまいりたいと考えております。
 それから、産廃税の導入についてのご質問でございます。
 産廃税につきましては、ただいま隣の三重県で議会の方へ条例案が出ているということでございます。これは、産廃対策の財源の確保とあわせて発生の抑制、減量の誘因ともなることから提案されたと聞いておりまして、他県でも非常に関心を持っているところでございます。
 先般、近畿圏の知事会議がございまして、そのときにこういう条例については一県だけでやってもなかなか効果がないので、どこかの県がやった場合、それとあわせて同じようなことをほかの県もやっていくことを検討していくべきだと言いましたら、たまたま東北では東北六県が同じような形でやっていこうと研究しているということでございますので、私どもも、三重県の方がちょっと先へ行きましたけれども、奈良とか先進の三重、場合によって大阪などとも相談しながら、どういうやり方が一番効果的であるか、鋭意前向きに検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 紀伊丹生川ダムの今後の取り組みについてお答えいたします。
 紀伊丹生川ダムの建設につきましては、紀の川の治水、利水等のあり方を検討する紀の川流域委員会を国土交通省が設置したところであり、同委員会において議論されることとなります。県といたしましては、その後、国土交通省から紀の川河川整備計画案が示された時点で適切に協議してまいりたいと考えております。
 ご質問の環境アセスメントにつきましては、同委員会での議論を踏まえ、手続に入る考えであると聞いてございます。
 なお、大阪府、和歌山市の利水者の水需要計画が減少していることが明らかになったこと、及び環境への影響を最小限にとどめるための検討を行うことに伴い、今後、国土交通省はダム計画の見直しを行い、計画案を同委員会に提案する予定であります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物問題の二点についてお答えいたします。
 まずダイオキシン汚染土壌の恒久対策につきましては、現在、汚染範囲確定調査、無害化処理技術に関する調査及び汚染物質の飛散・流出を防止する技術に関する調査を実施中であり、七月末には結果が得られる予定です。これら実施中の調査におきまして、議員お話しの施設の能力や処理コスト、また鹿児島県の事例なども明らかにしてまいります。この調査結果をもとに、ダイオキシン問題検討委員会におきまして汚染範囲を確定し、対策手法について検討していただいた後、地元の了解を得られれば、ダイオキシン類対策特別措置法に基づきまして対策を実施してまいります。
 次に県への提訴についてでございますが、日本工業所社長を初め役員らは、県が昨年三月八日付で行った措置命令に関し、これまで県の指導に従ってきたのだから、その結果発生した事態の責任は県が負うべきと主張し、本年五月十一日にこの命令を取り消すよう和歌山地方裁判所に訴え出ました。
 日本工業所社長らは、同じ趣旨で昨年四月、国に対し行政不服審査を請求しており、本年二月、環境大臣から請求棄却の裁決を受けております。その主張は、虚偽の事実、身勝手な解釈、経営者としての責任を放棄した理論に基づいており、環境行政をないがしろにするものであります。県としては、断固争う決意であります。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 農業の振興策についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の、現状の再認識と対策についてでございます。
 農業総生産額が減少となった主な原因につきましては、近年の景気の低迷により消費が落ち込む中で、本県農業の基幹である果実が買い控えられたことや安い輸入農産物を求める動きが強まったことに加え、平成十一年産のミカン、カキで需要を上回る生産量となったことなどが販売価格に大きく影響したのではないかと考えております。このような中で、おいしさと安全性を求める消費者ニーズの高まりがあり、これに対応しつつ、今後とも本県の特性を生かした収益性の高い農業の推進が重要であると考えております。
 このため、地域における基幹作物の振興を基本に、意欲ある農業者の育成にも努めながら、優良品種の導入など高品質生産を図るための施策を実施するとともに、消費拡大に向け、ITを活用したロケーション・アンテナショップやふるさと和歌山わいわい市場などを通して、県産農産物の情報発信やふれあい市場等、直販施設の整備を促進するなど、本県農業の活性化に向け、関係機関と一体となった取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 二点目の、カキ産地の生き残りについてでございます。
 厳しい現状に対処するため、生産対策として、本年二月に県と農協組織による生産販売対策検討会を開催し、刀根わせの九月収穫比率を高めるために、反射マルチの敷設や枝の一部の皮をはぐ環状剥皮、果実の周辺の葉をとる摘葉処理などの徹底について申し合わせを行ったところでございます。また国に対しましても、果樹経営安定対策の対象品目に新たにカキを加えていただけるよう要望してございます。
 一方、販売対策につきましては、県議会のご協力を得て、昨年は香港で刀根わせの試験販売を行い、好評を得ましたので、本年は販売量をふやすこととしてございますが、輸出につきましては、採算面等の問題もございますので、今後研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、カキの加工研究につきましては、機能成分の研究も進みつつありますので、今後新たな需要の開拓に向けて関係機関との連携を図りながら取り組んでまいります。
 なお、消費拡大についての貴重なご提案につきましては、今後十分検討してまいりたいと考えてございます。
 三点目の、本年産ミカンの価格対策についてでございます。
 従来の加工対策だけでは需給調整が難しいことから、国では本年度から生果の価格補てんなどを盛り込んだミカンの経営安定対策を実施することになってございます。本年産ミカンにつきましては、全国的に豊作が予想されることから、去る五月二十四日、国の生産出荷安定指針が公表され、本県には十七万四千五百十トンの目標生産量が示されてございます。特に新しい制度のもとでは、全摘果などの取り組みが義務づけられており、現在、県では関係機関と連携を図りながら、生産者の理解を得るため、啓発や技術指導の徹底等に努めているところでございます。
 また、生果の価格補てん対象数量等につきましては、七月末を目途に県果実生産出荷安定基金協会と生産者との間で取り決めることとなってございます。県といたしましては、今回の制度を有効に活用し、農家経営の安定に努めてまいりたいと考えてございます。
 四点目の、農業士認定制度を魅力ある制度とする支援策についてでございます。
 この農業士認定制度は、地域農業のリーダーとしての社会的評価を高めるため、県知事が農業士として認定する制度でございます。現在、農業士に認定された方々は、県内各市町村での農業振興や地域活性化の第一線でご活躍いただいております。県といたしましても、農業士のご意見を県行政に反映するための意見交換の場を持つとともに、その組織活動を支援するための予算措置を講じているところでございます。
 議員ご指摘のとおり、地域農業が持続的に発展していくためには、先導的な農家の活躍が重要であると認識してございます。このため、従来の役割に加えて、新規就農者に対する支援を初め、男女共生社会の実現や地域おこしマイスターとしての活動など、幅広い分野で積極的な役割を果たせる環境づくりを行うとともに、各種の情報を速やかに提供できるよう体制の整備にも努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育改革関連、五点についてお答えいたします。
 最初に、大阪府下の小学校において多数の児童生徒、教職員が殺傷されるという痛ましい事件が発生しました。子供たちが安心して楽しく学べるはずの学校でこのような残虐な事件が起きたことは、まことに残念きわまりないことであり、被害に遭った方々に心からご冥福とお見舞いを申し上げます。
 さて、議員お尋ねの教育改革についてでありますが、ご指摘のように、我が国が活力ある社会として発展していくよう、その基盤となる教育の改革に向けて全国的な取り組みが進められているところであります。
 本県におきましては、総合学科の設置や全日制単位制高校の導入など、全国に先駆けて数々の改革を行ってきたところですが、本年四月に、新たに連携型中高一貫教育をスタートさせました。また、県教育委員会と和歌山大学が高校生の大学での受講について基本合意し、現在、本年度後期からの実施に向け、準備を進めております。さらに高校入試では、希望する高等学校が独自に入試問題を作成できるようにしたところであります。入試改善についても、推薦入学を本年度から普通科に導入するとともに、合否判定において部活動やボランティア活動の記録などを多面的に評価することとしております。
 次に、いわゆる学級崩壊につきましては、昨年度、本県では深刻なケースはないものの、一部の学校で授業が成立しにくい状況があるとの報告を受けております。そのため、教員が魅力ある、わかる授業を行うとともに、互いのよさを認め合える学級づくりを指導しており、少人数による授業や習熟の程度に応じた授業など、きめ細かい指導も進んできております。
 いじめの発生件数は減少傾向にありましたが、過去二年間はほぼ同程度で推移しており、なお憂慮すべき問題であります。今後とも、家庭、地域、関係機関との連携を図ることにより、早期発見、早期対応に努めてまいります。
 次に出席停止措置につきましては、問題行動を起こす児童生徒の保護者に対してこれを命じることができますが、学校長を中心に教員が一体になって対応するなど、最大限の教育上の努力を行うことが大切であると考えております。
 なお、現在、出席停止措置の要件を明確化するため、学校教育法の一部改正が国会で審議されているところでございます。
 家庭訪問は、児童生徒を取り巻く家庭や地域の実態を直接把握することにより、指導の効果を高めるものであります。教員が家庭を訪問し、日ごろの児童生徒の様子を伝え、また聞くことを通して保護者との間に望ましい関係をつくるよう一層指導してまいります。
 司書教諭の資格を持つ者は、平成十二年度現在、小学校三百六十三名、中学校百七名、県立学校八十名でございます。平成十五年度からの司書教諭の円滑な配置に向けて、和歌山大学等と連携しながら有資格者の養成に努めてまいります。
 また教員研修につきましては、平成八年度から本県では長期社会体験研修を実施し、これまでに延べ二百名の教員が民間企業や福祉施設等で研修を行っております。異なる職業を経験することは、教員としての職務を見詰め直し、意識改革につながるなど資質の向上に成果を上げており、今後とも研修方法等を工夫し、その充実に努めてまいります。
 次に、家庭や地域の教育力を活用した活動としては、現在、自然体験や地域の高齢者と触れ合う福祉・ボランティア体験など、豊かな体験活動が行われております。こうした活動の充実を図るため、人材バンクを整えたり、スクールサポーターや地域で子供を育てる会を組織したりするなど、さまざまな取り組みを進めております。
 最後に、開かれた学校づくりについては、学校評議員制度を導入するなど、今後もさまざまな機会をとらえて推進していくことが大切であると考えております。
 今回の小学校の事件に際し、学校における安全管理体制の確立を改めて徹底するとともに、家庭、地域、関係機関との連携を一層緊密にし、学校内や通学途上での児童生徒の安全確保に努めるよう市町村教育委員会を通じ、各学校に通知したところです。さらに、臨時に地方教育事務所長会を開催し、校内連絡体制の強化や避難場所であるきしゅう君の家と平素から連携を図ることなどについて指示をいたしました。また、このほど県警察本部長と協議し、学校と警察による緊急時の対応についての実地訓練や地域ごとの連携のあり方など、今後の協力について合意に達したところであります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
 ただいま議長のお許しを賜りましたので、許された時間の中で、大要三点にわたりまして一般質問を申し上げたいと存じます。したがいまして、先輩・同僚議員の皆様方におかれましては、しばらくの間、ご清聴賜りますようにお願いを申し上げるものでございます。
 まず初めにハンセン病に関して、幾つかお尋ねをいたしたいと存じます。
 去る五月十一日、熊本地方裁判所におきまして、ハンセン病国家賠償請求訴訟事件に関する判決が言い渡されました。この判決の中で、らい予防法廃止に至るまでの国会及び政府の法的責任が厳しく指摘されましたことは、皆さんご承知のとおりでございます。
 かつて、国がとったハンセン病患者に対する施設への入所政策が数多くの患者の皆さんの人権を侵害する結果を引き起こし、あわせて患者や元患者、家族の皆さんに対する極めて深刻な偏見、差別を生じさせたことと、患者、元患者の皆さんが、実に長い間、筆舌に尽くしがたい苦痛と苦難を強いられたこと、一方、立法行為と政策を違法とした判決を第一審で確定させると三権分立のあり方からして問題があるとする指摘と、この地裁判決が民法や最高裁判所判例等の枠組みを大きく逸脱するとの見地から、小泉内閣は控訴、不控訴の間で悩み、官僚と政治家という立場の違いによる確執など、さまざまなことがありました。ともあれ、五月二十四日、人道上の配慮を最優先し、小泉首相は「控訴せず」という歴史的決断を下したのであります。そして、政府全体として控訴の方針で固まりつつあった中で、「控訴せず」との結論を引き出すに当たって、医者でもある坂口力厚生労働大臣の、「法律問題以前に人権問題として控訴すべきではない」との強い決意を大臣のいすをかけて貫き通したという背景があったことがマスコミ等々で報じられておりました。
 ところで私は、坂口厚生労働大臣の秘書官三人のうち二人と会う機会がありました。守秘義務の関係から経緯のすべてを教えてはいただけませんでしたが、しかし坂口大臣とその周辺の皆さんの苦労と懊悩については十分に理解したつもりでございます。そして何よりも、この訴訟を進め、みずからの人権と名誉の回復を願い、粘り強い運動を進めてこられたハンセン病患者の皆さんの存在があったことを私たちは決して忘れてはならないと思います。
 そこで、以下、何点かにわたり、ハンセン病問題についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、木村知事、今回の政府の「控訴せず」との決定についてどう思われるか、率直なご意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 第二に、ハンセン病患者のための療養所は、熊本県内の二カ所を初め全国に国立療養所十三、民間施設二、合わせて十五カ所がございます。これらの施設に入所している本県関係のハンセン病患者の皆さん、またかつて入所していた元患者の皆さんの存在と動向を県当局は十分に把握しておられるのか、差し支えのない範囲でご答弁をいただければ幸いであります。
 第三に、ハンセン病患者、元患者の皆さんの名誉回復、人権侵害に対する謝罪、さらにはその損害賠償について県としてどう対応していくのか、お尋ねをいたします。
 第四に、それ以外の問題、例えばいまだに根強く残っている偏見や差別の解消に向けて県はどのように取り組まれるのか、お答えをいただきたい。
 この二から四の三点については、福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、廃棄物問題に移ります。
 今、私たち人類にとってかけがえのない生命体である地球が、さまざまな要因によって危機に直面していると言わざるを得ません。地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、熱帯雨林の急激な減少、生物多様性の減少──希少動物の絶滅などでございますが──等々、いずれの現象をとらえましても、私たち人類の無分別の産業活動、日常活動によって排出された産業廃棄物(汚泥、動物のふん尿、建設廃材など)、一般廃棄物(家庭ごみ、事業ごみ、し尿など)、窒素酸化物、二酸化硫黄、浮遊粒子状物質、光化学オキシダントなどの廃棄汚染物質、農薬、洗剤、油などの水質汚濁物質等々、地球環境を汚染する原因は枚挙にいとまがありません。このまま汚染が進めば、生命体としての地球は重大な危機に直面すると指摘する専門家も少なくありません。これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、資源の有効利用、リサイクル型社会へと転換していくことが、今、私たちに強く求められているのであります。
 そこで、以下数点にわたり当局にお尋ねをいたします。
 まず第一に、リサイクル社会の創出についてでございます。
 我が国の再生利用可能な資源ごみのリサイクルの現状は、平成十一年実績で、アルミ缶七八・五%、スチール缶八二・九%、古紙五四・九%と年々回収率は向上しておりますが、廃棄物全体の再生利用のための回収率、いわゆるリサイクル率は一一・〇%と、いまだに低レベルにあるのであります。リサイクル社会の構築のためにかかる責任とコストを、国、地方自治体、事業者、消費者で適切に分かち合うルールづくりや、製品の開発、製造、流通、販売、消費、排出、回収、再生利用の各段階での環境への負荷を抑制し、再生利用を推進するため、すべての人たちの参加で研究、努力していく必要性があると思います。国において、おくればせながら循環型社会形成推進基本法を基本といたしまして、資源有効利用促進法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、容器包装リサイクル法、建設リサイクル法、それに廃棄物処理法等々の法律が次々と施行あるいは改正強化されました。後は、行政がどう具体的な取り組みを行っていくかが問われていくことになると思います。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 一、各家庭へのリサイクル意識の啓発徹底、二、メーカーや販売店等、事業者側のデポジット制度の導入の徹底、三、容器等の回収は進んでいるのか、この三点について、その実態はいかがでありますか、お答えをいただきたい。
 次に、産業廃棄物についてであります。
 我が国の産業廃棄物の総排出量は、平成九年度で四億一千五百万トンでございます。種類別に見ていきますと、汚泥、動物のふん尿、建設廃材(瓦れき)で全体の八〇%を占めております。一方、業種別に見てまいりますと、農業、建設業、電気・ガス・熱供給業、それに水道業がそれぞれ二〇%を占めておりまして、この四業種で実に八〇%にも達しているのであります。これら産業廃棄物の処理状況は四〇%が再生利用され、二二%が最終処分されているのが現状であります。
 ところで、平成十一年三月、岐阜県におきまして、岐阜県廃棄物の適正処理等に関する条例が制定をされました。この条例の制定に当たり岐阜県は、後を絶たない廃棄物の不法投棄等の不適正処理事案が廃棄物処理に対する県民の不信感を招く結果となり、そのことが必要な廃棄物処理施設の確保を困難にし、さらに廃棄物の不法投棄等の不適正処理を誘発するという悪循環に陥っていると指摘し、快適な生活環境を守るために、県民、事業者、行政が一体となって廃棄物の発生の抑制や再利用の促進により廃棄物の減量化を進めるとともに、不法投棄等の不適正処理の撲滅と廃棄物処理施設の適正確保に全力で取り組むと、その精神を述べております。同条例は全三十一条から成っており、届け出に関する罰則も規定しております。私たちも、以前から、県独自で条例を定めるべきであることを機会あるごとに訴えてまいりました。本県におきましても、同様の県条例の制定を行うべきであると考えます。というよりも、本県が置かれている状況は、県条例の制定を必要としていると申し上げた方が正しいかもしれません。
 木村知事、条例の制定に向けて、一歩踏み出すおつもりはないのか、お尋ねをいたすものでございます。
 さて、循環型社会形成推進基本法が成立し、これをベースとして先ほど申し上げた関連諸法が制定、改正されました。これによって、各都道府県においては廃棄物処理計画を策定することが義務づけられていると聞き及んでおります。当然のことながら、産業廃棄物を含むごみの発生量を把握するための調査を行うことが求められるのであります。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 これらの完了のめどはどうなっているのか、お答えをいただきたい。
 ところで、本県内で発生した産業廃棄物等のうち大部分が──大部分といいますか、かなりの部分が大阪湾フェニックス計画による処分場へと持ち込まれております。現在二カ所ある処分場も、聞くところによりますと、処理能力は限界に近づきつつあるということでございます。それぞれ、いつ満杯となる予定であるのか、環境生活部長のご答弁をいただきたい。
 さて、この項目の最後になりましたが、県民生活が続く限り、事業活動が行われている間、確実に産業廃棄物は発生し続けるのであります。いつまでもフェニックス計画を当てにするわけにもいかず、またフェニックス計画の対象外の市町村も県内には多数あり、いずれ近い将来、本県内において最終処分場を確保することが求められることになると思います。中間処理施設とあわせ、一刻も早く県内に最終処分場を設置すべきであると思うがどうか、環境生活部長のお考えをただすものでございます。
 最後に、国際観光の振興についてお尋ねをいたします。
 去る四月十九日から二十二日までの四日間、木村知事を団長とする和歌山県日韓文化交流団に、県議会からは中村裕一議員とともに代表して参加をさせていただきました。これには、作家の神坂次郎さんや二階俊博衆議院議員、日高、西牟婁、東牟婁の各市町村長、市町村議会議長、商工会、観光協会の代表の皆さんなどが参加され、総勢百三十五名で南紀白浜空港から仁川国際空港へ向けて、アシアナ航空チャーター便で飛び立ちました。
 今回の交流団の目的は、大きく四つございました。一つは、初日の晩、前韓国政府文化観光部長官であり、現在、大統領政策企画首席秘書官である朴智元氏を初め、韓国政府の幹部、観光公社幹部、大手旅行会社、航空会社の代表、マスコミ関係者、さらには沙也可関係者、李眞榮・梅渓父子関係者を招いての交流会でございました。朴智元氏を初め、途中退席する人もほとんどもなく、大いに盛り上がった会となり、また和歌山県の観光と文化を強くアピールできたと存じております。
 二つ目、三つ目は、二日目、朝八時にバス四台に分乗してホテルを出発し、ホテルに戻ってきたのは翌日の深夜一時三十分という超強行軍でございましたが、雑賀一族の部将でありながら、豊臣秀吉に反発し、朝鮮軍に味方し、沙也可将軍として貴族の待遇を受け、民の尊敬を受けたと言われる沙也可の里(大邱広域市)の訪問、また朝鮮の役の後、儒教の先生として招かれ、紀州の地に骨を埋めた李眞榮・梅渓父子のふるさと慶尚南道昌寧郡を訪問、いずれも墓参、記念植樹、碑の除幕、地元の人たちとの交流会を精力的にこなしました。ちょうど、教科書問題で反日感情が高まっているという情報もございました。しかしながら、いずれも大歓迎を受け、日韓交流の実が大いに上がったことをご報告申し上げたいと思います。
 余談でございますが、途中、サービスエリアで三回、トイレ休憩をいたしました。それから、昼食、夕食のとき以外は延々バスに揺られていたことになりますが、ともあれ十七時間半の旅でございました。
 四つ目は、韓国政府、文化観光部、観光公社を表敬訪問し、またマスコミを招待しての和歌山県の観光のPR、さらには現地プロモーション会社へ委託する形で、ソウル市内に和歌山県ソウル観光センターを開設するなど、三日目の行事が精力的に行われました。
 なお、四日目の昼過ぎ、チャーター便の出発前に関西国際空港のライバルとも言うべき仁川国際空港の施設の一部を見学させていただき、二十二日午後三時二十分、無事、南紀白浜空港に帰ってまいりました。
 以上、ご報告を申し上げたいと存じます。
 さて、私たちが搭乗したアシアナ航空チャーター便は、もう一つ大きな目的を持っておりました。このチャーター便は、韓国から空で飛んできたのではなく、韓国の旅行会社が募集した「韓日文化観光交流・ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと南紀の旅」と銘打った観光団百二十九名を乗せて南紀白浜空港へやってまいったのであります。予定表を見せていただきますと、大阪市内、白浜、那智勝浦にそれぞれ一泊し、USJと南紀の旅を楽しんで帰られたようであります。
 ここに、そのツアーに参加された皆さんに対するアンケート調査の結果がございます。そんなに多くの項目ではございませんが、まず白浜温泉に関しては、温泉については全体の七八%の人がよい印象を持っている、悪いと答えた人はゼロであります。料理については、やはりちょっと食文化の違いでありますか、五六%が普通で、よいという人が三一%、悪いが一〇%。景色につきましては、よいという人が七二%、悪いという人はゼロでありました。旅館サービスは、よいという人が七五%、悪いはゼロであります。勝浦温泉に関しましては、温泉は七九%がよいと答えておりまして、悪いは三%。料理は、三三%がよい、普通が五九%、悪いが六%。景色については、七七%の人がよい、三%が悪い。それから旅館サービスについてはちょっと低いんですが、よいというのが五八%、普通が三五%、悪いが六%でございました。そして、全体印象として、再来訪のことを聞いている項目の中で、また来たいという人が六八%、約七割に達しているのであります。
 この結果を踏まえまして、商工労働部長、今回のツアーの成果について、部としてはどのように考えておられるのか。
 また、第二陣、第三陣の来県は期待できるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 また、引き続き韓国に対して働きかけを強めていくことになると思いますが、一方で、同じアジアNIESの国として急成長しております台湾に対しても同様の働きかけを行っていると聞き及んでおります。今日までの取り組みとその成果についても、あわせて商工労働部長からご答弁をいただきます。
 これまで、観光立県を標榜する和歌山県は、国内からの誘客に力を入れてきたわけでございますが、国際化の機運の高まり、隣国の韓国、台湾の国民の生活水準の向上と海外旅行熱の高揚という背景を踏まえ、今後はより一層海外からの誘客にも力を入れていくことになっていくと思います。
 そこで、近い将来、韓国、台湾を中心にアジアの主要空港と南紀白浜空港を結ぶ定期便の就航をぜひとも目指すべきだと考えます。そのためにはクリアしなければならない問題が幾つかあるとは存じますが、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたい、このことについては幾つかの部にまたがりますので、木村知事からお答えをいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
 最後に、今後、海外からの観光客を誘致していくに当たりまして、その受け入れ体制の整備を進めていかなければならないことは当然でございます。
 以下、四点にわたってお尋ねをしたいと思います。
 一、海外から来られる観光客の利便のために、それぞれの言語で書かれた案内書やパンフレット、地図、時刻表などをさらに充実させていくべきであると思うが、どうか。
 二、各観光地で、海外から観光客が迷うことなく目的地に行けるよう、各言語の表記の入った観光案内板を設置すべきであると思うが、どうか。
 三、公衆トイレの問題でございますが、これほど観光地のイメージをよくも悪くもするものはないと思います。もちろん、これは国内、海外を問わずであります。
 ところで、今回、日韓文化観光交流団で私たちが訪れました沙也可の里のある大邱広域市は、昔からリンゴと美人と美しい町並みで有名だそうでございます。同市では、長年にわたりまして小中学生によるごみ拾いのボランティア活動が続けられておりまして、ごみ一つない美しい町と聞きました。また、二〇〇二年ワールドカップの開催地の一つと決まってから、市内数カ所に立派な公衆トイレの設置が進められてきたそうでございます。既に完成しているものもあって、利用者からまるでレストランみたいだという声が上がり、評判になっていることが最近のNHKテレビでも放映されておりました。ますます大邱広域市の株が上がったという話であります。本県におきましても、今後、観光地を中心に用だけ足せればいいというのではなく、立派な公衆トイレを政策的に順次立地させていくべきであると考えるが、どうか。
 以上三点、部長の方からお答えをいただきたいと思います。
 これまで、本会議や委員会等で何度も申し上げたことでございますが、本県への観光客が最初に通って入ってくる入り口でもあり、重要なアクセス道路でございます阪和高速道路の照明灯の件でございます。
 和歌山のイメージアップのためにも、交通安全の点からも、この照明灯の全線設置が急務であると思います。以前、木村知事に申し上げ、日本道路公団へ働きかけをしていただいたことは承知をいたしておりますが、その後、この照明灯の件につきまして、いかが相なりましたでしょうか、ご報告いただければ幸いでございます。
 以上、大要三点にわたりご質問申し上げました。各部長におかれましては、簡潔にして明快なご答弁をいただきますようお願いを申し上げ、第一質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのハンセン病に対する小泉政権の「控訴せず」との決断について、私がどういうふうに考えるかというご質問でございます。
 今、小泉政権は非常に高い支持率を得ておりますけれども、これも一つの大きな事柄、すなわち誤りは率直に認める、そういうことが国民に一番わかりやすい、そしてまた共感を呼ぶということにつながるんだと思います。
 このハンセン病につきましても、これを患ってこられた方々のこれまで置かれてきた境遇や元患者の方々の高齢化が著しいという現状を考えると、今回の「控訴せず」という判断は小泉総理大臣、坂口厚生労働大臣を初め大変な政治的な問題でありますけれども、英断だと考えております。
 私もこのように考えましたので、早速、六月八日に、ハンセン病問題に対するコメントを発表し、さらに今後、和歌山県として偏見と差別の解消にこれまで以上に力いっぱい取り組んでいくことを表明したところでございます。
 次に、廃棄物に関する県条例の制定についてでございます。
 産業廃棄物問題は大変大きな課題でございまして、全国的な問題になっておりますけれども、和歌山県でも本当に大きな問題と考えている次第でございます。そしてまた、廃棄物の事業者と地域住民のコンセンサスづくりをするルールづくりについての条例の必要性も大変あると考えております。
 現在、県の方では産業廃棄物処理の公共関与のあり方について予算措置をして検討を進めているところでございまして、この条例化、これはまだ全国では数が少ないようでございますけれども、こういう問題についても和歌山県が先頭に立てるような環境をつくっていきたいという気持ちがございますので、真剣に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、国際定期便の実現についてのご質問でございます。
 お話にもありましたように、ことし四月、ソウルの方へチャーター便で行ってまいりました。そして、あちらからも来ていただいて、非常に好評でございました。白浜空港は非常に立派な飛行場でございまして、滑走路が二千メートルになったことで航続距離の長いジェット機が飛べるようになったということもございまして、国内の観光客を呼び込むことは非常に大事なことでございますけれども、やはりこの国際化の時代には海外、特にアジアのお客さんを和歌山県に呼んでくることは非常に大事なことだと考えております。
 この韓国との間、もっとチャーター便の回数をふやして、そしてこれをいずれ定期便化──なかなか難しいですけれども、そっちへ持っていく努力もしなければいけません。それから台湾、ここも非常に所得水準が上がってきて、和歌山県への関心も高いと聞いておりますので、これのチャーター便を出すことも考えないといかんと思っております。
 それから、きのう山東省から帰ってきたんですが、中国でもお金持ちの人が非常にふえてきておりまして、話したところでは、和歌山との間に飛行機が飛んだら乗ってきてくれるお客さんは結構ありますよという話もありましたので、これはなかなかビザの問題とか、ほかにも難しい問題がたくさんありますけれども、こういう問題についても鋭意努力していって、そしてこういう経験を積み重ねることによって定期便化へ持っていく努力を続けてまいりたいと考えております。
 それから、阪和高速道路の照明灯の設置でございます。
 お話にもありましたように泉佐野ジャンクション、大阪の方へ行くのは非常に明るいんですけれども、和歌山ヘ来るのは非常に暗いということがございまして、非常に議会の関心も深い問題でございますので、日本道路公団に鋭意交渉いたしましたところ、昨年度は十七基の実績でございましたが、今年度は百三十基つけてもらえる方向になってきたということでございますので、相当明るくなってくるだろうと思っております。
 どうもありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 本県のハンセン病患者、元患者の状況や実態についてでございます。
 昭和二年から四十七年の間に、八カ所の国立療養所に約三百名の方が入所されました。現在は、四カ所の国立療養所に合計四十一名の元患者の方が入所されてございます。また、療養所を退所し、県内に住まわれている元患者の方は数名おられます。
 次に、謝罪と名誉回復、また偏見や差別の解消などについてお答えを申し上げます。
 元患者の方々に対する謝罪など今後の対応についてでございますが、先日、国会においてハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律が可決されました。県といたしましても、去る六月十四日、全国四カ所の国立療養所の和歌山県出身入所者の皆さんに、知事からのおわびと励ましのメッセージを伝えたところでございます。
 ハンセン病で長期にわたり深い苦しみを受けた方々に対し、その事実を真摯に受けとめるとともに、療養所入所者及び退所者の意向を十分に酌みながら、今後ともより一層、差別や偏見のない地域づくりに取り組んでまいります。本年度は、ハンセン病に対する差別、偏見の解消のために、喜の国人権フェスティバルにおいてハンセン病パネル展を開催するとともに、ハンセン病に関する研修会を開催する等、さまざまな啓発の場を通じて正しい知識の普及に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、現在実施しております和歌浦健康相談所における健康相談及び生活支援事業や集団里帰り事業等については、過去の経緯を深く受けとめ、積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 廃棄物問題についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず、リサイクル社会の創出についてのご質問ですが、昨年制定されました循環型社会形成推進基本法を初めとするリサイクル関連法の推進に当たっては、県民一人一人の取り組みが重要でありますので、県といたしましても、今年度独自の啓発資料の作成を行うとともに、市町村、各種団体を通じて意識啓発に努めてまいります。
 また、商品に事前に処理費用を上乗せして販売するデポジット制度につきましては、飲料用容器類の廃棄物の減量化、再利用に有効であり、特に家電リサイクル法にこの手法を取り入れることにより、不法投棄の未然防止が図られるものと考えております。しかしながら、一地域のみの実施では地域格差が生じ、実効性が乏しくなることが予想されることから、全国一律の実施を国に要望してまいりたいと考えております。
 容器包装廃棄物の回収につきましては、現在県内三十九の市町村が計画を立て、分別収集を行っており、それ以外の市町村でも独自に分別収集を行い、リサイクルに努めているところでございます。今後も、県内における容器包装廃棄物の円滑な収集、リサイクルが促進されるよう、市町村に対し働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に廃棄物処理計画につきましては、本年度すべての産業を対象に廃棄物の発生、再利用、処分及び減量化の動向について実態調査を行い、本年度中に廃棄物処理計画の素案を取りまとめ、環境審議会に諮問してまいりたいと考えており、平成十四年度中には計画を策定する予定であります。策定に当たっては、関係部局や市町村、業界等と協議を行うとともに、広く県民の皆様のご意見をお聞きし、計画に反映させてまいりたいと考えております。
 次にフェニックス計画についてのご質問ですが、フェニックス計画では、現在、尼崎沖、泉大津沖の両処分場において廃棄物の受け入れを行っておりますが、管理型区画については今年度中に満杯になる予定です。
 なお、本年度中には、現在建設中の神戸沖処分場で廃棄物の受け入れを開始するとともに、大阪沖において新たな処分場の護岸工事に着手することとなっており、現計画ではこれらの広域最終処分場の埋め立ては平成二十一年度で終了することとなっております。
 最後に、最終処分場中間処理施設の設置についてお答えいたします。
 循環型社会においても廃棄物を適正に処分することは必要であり、処理施設の確保は不可欠であると考えてございます。処理施設の確保については、本県の地域ごとの廃棄物の発生量や必要性等を勘案しつつ、公共関与を含め、廃棄物処理計画を策定する中で検討してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 国際観光の振興についてお答えをいたします。
 国際チャーター便の運航による和歌山県日韓文化観光交流団につきましては、本議会冒頭での知事説明にもありましたように、多くの関係者や関係機関のご協力により、大変有意義なものになりました。また、この国際チャーター便によりお越しいただいた百二十九名の韓国の観光客は、三泊四日の日程でユニバーサル・スタジオ・ジャパンと南紀を旅行されましたが、アンケート調査によりますと、総じて本県の温泉や風景に大変よい印象をお持ちいただくことができ、意を強くしたところでございます。
 日韓文化観光交流団とあわせ、この国際チャーター便は本県の国際観光を進める上でも大きな成果があったものと考えています。特に韓国につきましては、二〇〇二年のサッカーワールドカップの日韓共催を控え、本年秋には世界観光機関総会のソウル、大阪での共同開催など、和歌山県をアピールする好機を迎えております。このため、本年四月に設置いたしました和歌山県ソウル観光センターを活用した観光情報の収集、発信により、韓国からの観光客の誘致を推進するとともに、南紀白浜空港のチャーター便運航につきましても、第二便、第三便の実現に向けて、関係部局と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
 次に台湾への誘客の働きかけにつきましては、これまで各種メディアによる観光PR、また海外観光客誘致の商談会や現地での観光展などを行ってきたところであり、本県への入り込みは、二〇〇〇年には対前年比で二倍強の約二万八千人となっております。今後も引き続き、なお一層、台湾さらに香港やアジアでの観光プロモートに努めてまいります。
 次に海外からの観光客受け入れ体制の整備については、三カ国語による観光案内パンフレットや地図を作成しております。今後さらに、外国語を併記した観光案内板の設置などを含め、市町村や各観光協会等と連携をして、その充実に努めてまいります。
 また、主要道路沿線や観光地、観光施設等に、快適、清潔なトイレが整備されていることは重要なことと考えており、県では、従来から県単独事業の観光施設整備補助事業において、観光地におけるトイレ整備に努めてきたところです。予算的には厳しいものがありますが、今後とも関係機関、関連施策と連携をとりながら、だれもが安心して気持ちよく利用できる公衆トイレの整備に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番森 正樹君。
○森 正樹君 幾つかの点について、再質問申し上げます。
 まず初めにハンセン病の件でございますが、私は質問の中で、あえて「控訴せず」という言い方を使わせていただきました。マスコミの報道等は「控訴断念」でございますが、「断念」と言いますと、控訴したいんだけれども、それをあきらめたというニュアンスがございます。今回の小泉総理の決断は、それよりもっと積極的に前を向いた、患者の皆さんに思いをいたしながら、一歩前へ出て、あえて「控訴せず」という表現をされたと聞いておりますので、そういう言い方をしました。
 ところで、ハンセン病患者、元患者の皆さんの声を幾つかいただいております。一人だけ紹介をしたいと思います。この方は今、鹿児島県におられる日野弘毅さんという方でございます。「昭和二十四年、十六歳で入所して以来、ずっと療養所の中におります。(中略)昭和二十二年の夏、突然保健所のジープがやって来ました。私を収容にきたのです。(中略)その日から私の家はすさまじい村八分にあいました。十八歳だった姉は婚約が破談となり、家を出なければならなくなりました。 小学生の弟は、声をかけてくれる友達さえいなくなりました。弟がある日、母の背中をたたきながら「ぼく病気でないよね」と泣き叫んだ姿を忘れることはできません。 このまま家にいればみんながだめになると思い、自分から市役所に申し出て、入所しました。それなのに家族の災厄はやみませんでした。 それから二十年あまり、母が苦労の果てに亡くなったときも、見舞いに行くことも、葬儀に参列して骨を拾うことも、かないませんでした。 十八の時、家を飛び出した姉は、生涯独身のまま、昭和八年、らい予防法が廃止になった年の秋に自殺しました。姉の自殺は母の死以上に、私を打ちのめしました。 姉の思い。母の思い。いまだに配偶者に私のことを隠している弟、妹の思い。そのために、私は訴訟に立ちました」という声でございます。
 こういうハンセン病患者、元患者の皆さんの思いに胸をいたし、ぜひとも今後十分手厚いケアをしていただきたい。強く申し上げたいと思います。要望であります。
 それから廃棄物問題、リサイクル社会のことでございますが、リサイクル社会の形成には、廃棄物の発生抑制と回収、再生利用の促進という二つの柱があると思います。
 それで、一つの例を申し上げたいと思いますが、今、欧州では非常にリサイクル社会形成が進んでおりますけれども、例えばドイツのレストランにおきましては、チーズやバターなども外箱なしで販売している、牛乳とかマヨネーズとかケチャップというものも共通のリターナブル瓶でデポジット分を上乗せして販売をする、それから果物なども容器なしではかり売りだと聞いております。全く個別包装はしていない一番進んでいるケースでございますが、そのような形で非常に簡易包装、包装なしの形で進んでいる。我が国の場合は、進物なんかする場合に、きれいな箱に入れて、美しい紙で包装しないと失礼に当たるみたいな考え方があって、過剰包装が常々言われております。そういう意味で、地球に優しいという点からぜひとも簡易包装の推進をさまざまな方面に働きかけをして、行政が主体となってやっていただきたい、これも要望として申し上げておきたいと思います。
 それから、先ほどいろいろ申し上げた法律の中にグリーン購入法というのがございます。これは再生品を積極的に活用していこうという法律でありますが、特に政府、地方自治体にそれが求められているわけであります。前にもこの本会議で申し上げたことがございますが、県庁内でそうした再生紙を初めとして再生品の利用をぜひとも進めていくべきである、県が模範となってやるべきだということを申し上げました。
 もう一度申し上げたいと思います。この中で、一番長く県庁におられて、古い方で、もう県庁の中の隅々まで知っておられる中山副知事にお尋ねをいたしますが、現在、グリーン購入法に基づく再生品の購入について県庁としてどう取り組んでおられるのか。その後の進展ぐあいをぜひともお聞かせいただきたいと思います。
 それから最終処分場の件でございますが、前の議会で先輩・同僚議員である下川俊樹議員、飯田敬文議員の方からもご質問があったと記憶しております。前を向いた答弁をされたことも覚えておりますが、ぜひともこれは県内できちっとした形で公共関与で確保していくべきだと思います。産業活動が続く限り産業廃棄物は出るわけでありますから、安心してそれを持ち込める場所を確保しておかないと和歌山県勢の発展、県産業の活性化ということにはなっていかないと思いますので、その点よろしくお願いをしたいと思います。これは、要望であります。
 それから、岐阜県の例にのっとって県条例を制定せよということを強く申し上げました。知事も一定の前進した答弁をいただいたと理解しておりますが、すべての業者が地域住民のことを考え、県の環境保全を考えてやってくれる人ばかりであればいいですけれども、やはり中には法の網をくぐって違法なことをしようという不適正な処理を行うケースが多々ございます。そうした意味で、罰則を強く規定した県条例をこの際早急に制定すべきだと。先ほども申し上げました、こうした不法処理事案があるために、産廃に対する不信感が県民の間に非常に強いわけですね。したがって、ちゃんとした最終処分場でも、県民の拒否感があって立地が非常に難しいという悪循環を繰り返している。だから、その悪循環を断ち切って善循環を起こすような形で、ぜひともそのための一つの起爆剤として県条例の制定を早期に進めていただきたいということを要望しておきます。
 最後に、観光振興でございます。
 近畿自動車道紀勢線、いわゆる阪和高速道路の照明灯でございますが、今回、設置していただくことで、一応泉佐野ジャンクションから和歌山インターまではこれで全面的に設置ということになろうと思います。そのことはそのことで大変ありがたいことでございますが、さらに引き続いて和歌山インターから南へこれを延ばしていただくように、ぜひとも引き続き日本道路公団に強い圧力をかけていただきたい、働きかけを行っていただきたいということをお願いしたいと思います。要望であります。
 お聞きするところによりますと、台湾から和歌山への観光入り込み数は年間三万人近いと聞いております。そんなにたくさん来られているかなと、私たちは日ごろ会うことがありませんからびっくりしたんですけれども、やはり和歌山の温泉、自然、食べ物、文化、歴史遺産、やはり見どころがあるわけで、それだけ魅力があるんだと。先ほどのアンケート調査結果でも約七割の人がもう一度来たいと言ってくれているわけでありまして、ぜひとも今回のチャーター便の第二陣、第三陣をこちらへ呼び込めるように働きかけをしていただきたい。
 一つ提案でございますが、向こうからのお客さんだけですと、往復の片方が空になるわけでございますから、和歌山の旅行会社に強く働きかけて、こちらから台湾であるとか韓国へ旅行に行くツアーを組ませて、往復空席なしで飛べるようにする。今回の韓国からのツアー客の中に、非常に料金が高いという声があったように聞いております。そういう意味で、往復満席で飛べば料金設定も安くできると思いますので、そうした点も十分配慮する中で、ぜひとも第二陣、第三陣、そして最終的には定期便が飛ぶ日が来ますように、続けて取り組みをしていただきますことをお願いしておきます。これも要望であります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) グリーン商品の購入についてお答えいたします。
 グリーン商品の購入につきましては、行政が率先垂範して導入するようにということで、平成九年四月に副知事通達を出してございます。その後、本年二月にISO一四〇〇一の取得に合わせて、グリーン商品の購入について、優先的に率先して購入するように目標を立ててございます。その結果、再生紙の利用につきましては九五%まで達してございます。そういうことで、単価の問題、購入頻度の問題等ございますけれども、いずれにしても地球環境、循環型社会の形成を県政の大きな柱にして今後とも対応してまいりたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十二分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次一般質問をさせていただきます
 まず第一に、完全学校週五日制についてであります。
 去る六月八日午前に起こった大阪の児童殺傷事件には、小学校、幼稚園に通う子供を持つ私にとっても、身震いのする衝撃を受けました。被害に遭った八人の若い命に、謹んで哀悼の誠をささげたいと思います。
 教育の中に「ゆとり」という言葉がしきりと多用されるようになってから久しくなります。「広辞苑」によると、「ゆとり」とは「余裕のあること。窮屈でないこと」だそうです。中教審では、「今後の教育のあり方について、我々は、子供たちや社会全体に「ゆとり」を確保する中で、学校、家庭、地域社会が相互に連携しつつ、子供たちに「生きる力」をはぐくむということを基本にして展開されていくべきだと考える」とあります。果たして子供たちは、そのゆとりというものを週二日の休みで確保するでしょうか。それも、学習内容の大幅削減、授業時数の縮減と引きかえに。
 まず、学校週五日制になると、よっぽど生徒に時間の使い方を指導しておかないと、かえって生活が不規則になり、ゲームとにらめっこ、テレビにかぶりつきの時間がふえ、あるいは塾通いを増長することにならないかと思います。家庭、地域社会の体験、活動に充てると言っていますが、義務教育部分を減らして家庭、地域への責任転嫁にならないでしょうか。週末の子供たちの生活、活動には、実施後も、家庭を含めた学校側の今以上の注意と指導が必要になると思います。さまざまな誘惑の多い、危険の多い昨今、本当に健やかな成長を促すことになるのでしょうか。
 生活体験や自然体験の豊富な子供ほど道徳観や正義感が身についていると、調査結果を引き合いに出されております。なるほど、そのとおりですが、学校でも、授業の中、休憩時間の中、クラブ活動の中、よいことはよい、悪いことは悪いということぐらい、日々身につくものであります。週に一日休みがふえたくらいで大して変わらないと思います。
 週末の学校の施設、機能の開放の促進と言いますが、これも先日の凶悪事件といい、学校と保護者の週末の監視を一層徹底しなければならなくなります。地域とのかかわりも、非常に難しい問題となってきます。「わかる授業、楽しい学校の実現」と言っていますが、学習内容を大きく減らしてよいのでしょうか。
 貧しかった日本が他国に負けない勤勉、勤労によって今の繁栄を築いたのです。現在の中国を初めとして東アジア諸国の目覚ましい発展は、まさしく日本に負けない勤勉から来ていると言えます。考える、挑戦していく勉強、勉強後の達成感、充実感というものも尊重すべきではないでしょうか。先生方にもよっぽど特別の意欲がなければ、意欲のある生徒に進んだ内容の授業は行われないでしょう。
 高等学校では、卒業に必要な修得総単位数を六単位も縮減します。恐らく大学進学を目指す高校生は、学力不足を塾や自習により、多くの時間を使って補わなければならないでしょう。今回のカリキュラムの改定は、国公私立の別なく遵守させると言っておりますが、進学を第一義に考える私立学校では独自のカリキュラムを立て、授業時間をふやす努力、各科目の授業内容にさまざまな工夫を取り入れていくことによって、さらに公立、私立の格差は大きくなることでしょう。そのため、ふえた休日にはさらに塾通いがふえることでしょう。
 「学ぶことの楽しさや成就感を味わうことができるようにします」とありますが、それも大切ならば、学ぶことの厳しさを味わうことも大切ではないでしょうか。楽しいばかりでよいのでしょうか。楽しくゆとりがあれば、中教審の言うように、「自ら学び自ら考える力を育成する教育」になるのでしょうか。「自ら学び自ら考える力を育成する」ことを教えるのは、実際、教える側からしても非常に難しいと思います。
 また、総合的な学習として、「体験的な学習、問題解決的な学習を重視します」とありまして、「観察、実験、見学や調査 スピーチ・討論、ディベート 自ら調べ・まとめ・発表する活動 自然体験やボランティアなどの社会体験 ものづくりや生産活動」を学校で「積極的に授業に取り入れていきます」とありますが、果たして先生側も従来型から即座に対応できるのでしょうか。教える側も、随分と問題があるのではないでしょうか。
 塾通いの増加への懸念についても、「過度な塾通いにつながらないよう、学校における授業の改善、入試の改善、保護者や塾関係者の理解の促進など、すべての関係者が協力して対応する必要がある」と言っていますが、果たしてあと九カ月でそんな理解、協力が得られるものでしょうか。大学入試制度や学歴偏重の社会の仕組みが変わらない中では、子供も保護者も、当然進学を重視するのではないでしょうか。
 幼稚園については、明らかに楽しい集団生活の場を、家庭にない社会教育の場を一日でも多く機会を与えてあげるべきなのに、週ごとに二日も休ませてよいのでしょうか。
 もっとも苦言ばかり言っても始まらないので、この新しい学習指導要領が来年度から始まるからには、家庭教育に大きなウエートを置く必要があります。夫婦共働きの多い中、休みのふえた子供たちには、保護者も、中教審の言う家庭や地域社会での生活体験や自然体験、社会体験、文化・スポーツ活動といった体験や活動にできる限り時間をつくってともに参加する努力をし、子供たちと同じ目線でできるだけ対話をしていくしかありません。そして、隣近所から始まって地域の中での遊び、レクリエーション、ボランティア活動などに子供たちと一緒になって参加し、地域の皆様に親子ともどもかわいがってもらえるよう頑張っていく必要があるでしょう。
 ただ、私を含めて今の保護者世代は、何でも与えられて育ってきた、親が子供たちに自分の味わってきた苦労をさせないでそのまま育ってきた人たちが少なくないと思います。そんな親が育てた子供は、善悪についての意識が希薄となり、凶悪な犯罪を生み出しているのではないでしょうか。また、子供たちを甘やかし過ぎて、肝心なところで子供とじかに触れ合いをしていない保護者が多くなっています。そうした保護者を教育していく場が一番必要ではないでしょうか。そういう場を、それこそ休みになる週末に、あるいは平日の夜にでも、先生方から子供たちと一緒にご指導いただく機会が必要ではないかと思います。
 相次ぐ児童殺傷事件が起こる中、地域とのかかわり方も難しく、また来年度から新学習指導要領で教育を行っていく中、それにすんなり適応できるような保護者への教育、指導が絶対に必要です。
 そこで質問に移りますが、完全学校週五日制の実施についての教育長の所見、それに保護者に対して家庭教育の大切さを本当に理解し、親の責務を自覚していただくために、単にパンフレット等を配布するだけでなく、有効かつ定着性のある支援をどう行っていくかについて、また六月八日の児童殺傷事件発生を踏まえた地域のかかわり、学校施設開放のあり方を聞かせていただきたいと思います。
 次に、廃棄物処理についてであります。
 現在、日本では産業廃棄物が年間四億二千万トン排出されますが、一億七千万トンが回収利用され、さらに一億八千万トンが焼却、蒸発等、減容化されます。残った七千万トンに一般廃棄物の五百万トンが加わり、結局、計七千五百万トンをどこかに捨てていることになっています。
 これまで産業廃棄物を埋め立ててきた沿岸部は、ほとんど埋め立てが難しくなっている状況であります。そのため、不法投棄もかなり目立ってふえている状況です。さらに、越境して廃棄物を運んだり、海外へも違法に輸送されて日本へ返送される事件もありました。
 一九九〇年代後半になって、ようやく資源を有効に使い、ごみをリサイクルして環境にできるだけ負担をかけない社会、循環型社会を目指す機運が高まり、二〇〇〇年五月、循環型社会形成推進基本法が成立しましたが、実効性を持たせるには今後の運用にかかっております。
 さきに容器包装リサイクル法、そして本年四月に家電リサイクル法が施行され、排出事業者責任の強化をうたった本年四月施行の改正廃棄物処理法、二〇〇二年四月予定の建設リサイクル法、そして二〇〇四年には自動車リサイクル法が施行される予定で、リサイクルも、順次、法整備によって推進されております。
 国土交通省における物流行政として、資源リサイクル等の効果的な物流を確保するための海運、鉄道を含む既存の物流網等の活用に加え、リサイクル財の回収や集積地等の適正立地を踏まえた交通基盤整備方策による静脈物流システムの構築をうたっており、家電リサイクル法施行にあわせて廃家電の輸送システムの開発、構築を行おうとしております。このように、リサイクル問題は社会的問題、国家的問題として多岐にわたり取り組まれております。
 一方、廃棄物処理については、従来の焼却をダイオキシンの発生や焼却灰の問題から見直す必要が生じ、一般廃棄物については、市町村の互いの連携、協力により、広域的なごみ処理体制の推進を図って旧式炉の合併更新等が開始されているところです。こうして廃棄物を処理しないで埋め立てて投棄することも、焼却処理することも、過去から大量に行われてきた方法が抜本的に見直されるべき社会的課題となっています。
 以上のような社会的要請のもと、ダイオキシンが発生しないような廃棄物処理の高度化技術の開発、物流、処理、副生品の活用を総合した効率化の研究、検討が進められている状況と聞きます。日本においても、環境産業が次世代産業の柱として、官民の連携のもと、取り組みの強化を政府は実践しております。超高温燃焼の二十四時間運転のガス化溶融炉を活用した廃棄物処理施設が多方面で稼働を始めております。温熱の利用によって、産業、福祉等、さまざまなメリットも生み出せるのではないでしょうか。
 本県では、一般廃棄物については、平成十一年三月に策定された和歌山県ごみ処理広域化計画に基づき、県下五十市町村を七ブロックに集約して広域的かつ総合的なごみ処理体制の推進を図り、産業廃棄物については、廃棄物を「県内に持ち込ませず、県外に持ち出さず」を指導して平成十一年に第四次和歌山県産業廃棄物処理計画が策定されましたが、年々移り変わる処理対策に即応すべく、鋭意検討中と聞いております。平成十三年度に十二年度の実態調査をし、その上で県廃棄物処理計画を来年度に発表するとのことです。
 そこで、本県としての取り組みやお考えについて質問いたします。
 一番目に、経済産業省のエコタウン事業のもと、全国でリサイクル候補地が幾つも既に立ち上がっておりますが、本県としても具体的なお取り組みについて何かお考えはありますか。例えば、和歌山下津港湾の未利用地、あるいは和歌山港北港沖地区の待ったなしの産業廃棄物の処理問題に対応するため、ぜひとも前述のガス化溶融炉、それに伴う温熱を利用した農業、保養、福祉施設、開発研究機構、そして廃棄物輸送のための陸上、港湾物流ターミナルの整備も、新しい事業推進の一環で検討してみてはいかがでしょうか。
 二番目、一般廃棄物処理についても、一般に市町村行政任せということで、例えば大型スーパーマーケットがある町に開店と同時に日々大量のごみを生み出したとして、町の施設の処理能力の限界を超えたときにどう対応するかという問題に対し、県内外の行政、官民協力など、あらゆる有効策を検討すべきだと思います。県行政がぜひ積極的にその検討に参画、調整、指導を行うべきと思いますが、いかがですか。
 三番目、二十一世紀の新ビジネスは、観光であれば観光地のホテル、旅館の廃屋処分等、民間ばかりに依存できなくなっているものが多くなってきております。すばらしい自然の資源に恵まれた本県です。他府県に取り残されない、おくれをとらない、廃棄物は汚いものというよりもむしろありがたい資源であるといった発想で、環境リサイクル事業の全県的構築を全庁的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
 次に、和歌山県の医療について質問させていただきます。
 一番目に、心肺蘇生の普及についてであります。
 最近、日本においても心臓疾患が増加傾向にあります。一昨年に続いて、和歌山県において岩手医科大学第二内科教授・平盛勝彦先生が、去る五月二十六日、和歌山県心肺蘇生普及学術講演会で、「救急医療のあり方から考える手探り医学医療論断章」と題して講演をされました。岩手県においても、平成五年度から高校生以上の全県民を対象に草の根運動として心肺蘇生普及啓発をされております。急に心臓発作を起こしたときに素早く正しい処置ができるかどうかが、命を左右します。
 よくある重い心臓発作に、狭心症と心筋梗塞症があります。狭心症の症状は主に胸痛ですが、肩やのど等が痛むことがあります。狭心症の発作は、ほとんど一分間から十分間の持続です。心筋梗塞症の発作時の典型的な症状は強烈な胸痛で、三十分から十時間、平均六時間続きます。左肩やのど、背中にも痛みが来たり、吐き気や冷汗が伴ったり、目の前が暗くなったり、気を失ってそのまま心臓がとまってしまうこともあります。心筋梗塞症を発症したときは、一分でも早く専門の病院へ運ばねばなりません。
 心筋梗塞症に限らず、心臓病で心臓が急にとまって救命救急センターに運ばれてきた患者のうち、蘇生されて無事に退院できる人は、日本では百人のうち二人から三人しかありません。しかし、きちんとした処置がなされていれば死なないで済む患者が、百人のうち二十人から三十人にもなるそうです。その処置の第一が、心肺蘇生法であります。
 心臓がとまってから心肺蘇生法の開始までは、四分間以内でなければなりません。心停止から四分以内が勝負ですので、救急隊が間に合わないケースが出てきます。倒れた人のそばにいる人が心肺蘇生法をして助けなければなりません。心臓がとまった場所を調べると、四分の三の人が自分の家でした。まさに、心肺蘇生法を習うのは家族のだれかの命を救うためと言えます。
 我が国では、残念ながら、住民や家族らによる心肺蘇生法施行率は、平成九年で一六・九%のみの状況です。しかるに欧米では、心肺蘇生法は、医師の知識というより、人間としての常識あるいはマナーといった認識のようです。アメリカのシアトルでは、ほとんどの住民が心肺蘇生法をマスターしているようです。さらに欧米では、人の多く集まる場所、例えば空港、駅、ホテルなどに表示板とともに自動式除細動器(AED)が設置されて、資格を持つ市民により、突然死の寸前である心臓が細かく震える症状のケアがなされる時代に突入しております。和歌山県でも、除細動器の普及のために医師へその必要性を徹底的に認識していただき、すべての医療機関への設置が早く実現されることを望みます。
 和歌山県においても、事務局を医大救急集中治療部に置いて、和歌山県心肺蘇生普及会を平成十二年七月に立ち上げたと考えております。和歌山市消防局から各小学校の教職員向けに年一回救急講習に来てくださって心肺蘇生法の講師をしていただいておりますが、県におかれては、ぜひ岩手県に倣って、救命救急センターのある医大と日赤、消防、そして各医療機関が一体となって心肺蘇生法の県民への普及に積極的に努めていただきたいと思いますが、いかがですか。
 二番目に、病院の経営についてであります。
 和歌山県立医科大学附属病院は、平成十三年度当初予算では運営経費等で年間約十八億円の繰入金となっておりますが、人件費は県費補助もあり、看護婦等スタッフも公務員という身分保障がなされているので、どうしても民間の病院に比べると就職先として人気が高いようです。民間は、人件費が六〇%を超えると経営はパンクすると言われます。多くの民間病院が同じ土俵で病院を経営していくためにも、将来的に、医大病院、五稜病院等も独立採算を考えていく時期に来ているのではないでしょうか。
 また、入浴設備のある病院では、入浴患者の入浴を初めとして、水道代が銭湯並みにかかり、一月当たり一人につき一万円以上の費用がかかるようです。公衆浴場では水を循環させている場合が多いのですが、病原菌の問題もあって、病院ではなかなかできません。銭湯には水道代の特別措置があって、半分以下の料金になると聞いております。一般扱いとなると、使えば使うほど水道料金が上がるシステムだそうですが、大量の水を使用する病院にも特別措置があってもよいのではないでしょうか。
 三番目に、精神科の医療についてであります。
 精神科医療といっても、いろんな精神の病気があって、精神分裂症の方だけでなく、心の問題を抱えている人はたくさんあります。精神科の病院では入院期間が平均で三百九十日と長いですが、一般的には二、三カ月の患者が多く、日本では三十三万人から三十四万人が入院しております。長期入院者のうち約三割が、すぐ退院できるか、通院や地域生活の問題が改善されれば退院できると言われておりますが、精神障害者社会復帰施設の整備が進んでいない状況で、今はグループホームや小規模作業所などで対応しているケースが多いようです。
 精神病患者が退院して社会生活を始めても一般企業への完全就職は困難な状況でありまして、また病院へ戻るケースが少なくないようで、よく精神科の病院は患者をしがまえて出さないといった誤解さえ与えてしまいがちです。入院期間の長い患者ほど退院することは少ないと聞いております。
 精神科医が外科や内科など他の科の医師や看護婦、ソーシャルワーカーらと密接に連携をとり合い、定期的に積極的にかかわって患者の精神面を支えるリエゾン精神医療の取り入れも考慮に入れていくべきではないでしょうか。
 休日及び夜間における精神疾患の急性発症等に対応するため、県は精神科救急医療施設を設置していますが、県下では五稜病院と紀南病院新庄別館の二つの病院だけであります。医大附属病院も、男性の看護士等医療スタッフが不足しているからとして、精神病の救急患者を受け入れたくても入院ができない現状であります。救命救急センターであり、和歌山県立の病院としては、今後入院できる体制づくりを検討していくべきではないでしょうか。精神科救急システムの整備について、どうお考えですか。
 また、精神病患者の移送途上、医師が付き添う場合もありましょうが、その費用を保障してあげるシステムも構築していかねばならないのではないでしょうか。触法精神障害者の犯罪が増加している中、精神科医療にも特段の配慮が必要ではないでしょうか。
 次に再生医学についてでありますが、本日、朝日新聞の朝刊を見ますと、「再生医療 見えてきた」という明るい記事が載っております。これに対する和歌山県の取り組みについて、以下、考えを述べさせていただきます。
 二十一世紀は「バイオの世紀」とか「遺伝子の世紀」などと言われるように、再生医学への期待が高まってきます。再生医学とは、培養した細胞や組織、バイオデバイス──生きた細胞を組み込んだ医療器具──などを体内へ埋め込み、機能不全に陥った臓器や組織を再生・回復させる医療でありまして、すなわち簡単に言えば、血管へ血を再び通わせるための医療であります。老人性痴呆や心臓、血管の疾患など臓器や細胞の機能が廃絶する患者がふえていること、高齢化社会で生活の質の向上が必要なこと、提供者不足や拒絶反応への対応で臓器移植が限界に直面していることが期待を高めている理由であります。
 関西においても、新たなバイオ(生命科学)関連施設が相次いで登場しておりまして、研究テーマとして、再生医療や遺伝子解析のデータに基づくゲノム創薬、ITと合体したバイオインフォマティックス(生命情報学)が中心となっております。京都大学の再生医科学研究所を初め、神戸ポートアイランドの理化学研究所発生・再生科学総合研究センター、大阪の国立循環器病センター研究所、国立奈良先端科学技術大学院大学、大津市の宝酒造バイオ研究所等、また大阪市には有数の製薬会社が幾つかゲノム創薬の研究所を設立しており、近畿の各府県でバイオ関連の研究所施設が設立されてきております。
 和歌山県では、わずかに近畿大学生物理工学部研究所で植物遺伝子操作やクローン技術による家畜の品種改良の研究のみが行われており、人体についての研究機関はありません。和医大では、先端医学研究所の中で、分子を中心とした医学に取り組んでいこうという取り組みも実際になされております。せっかく近畿大学、そして和歌山県立医科大学、和歌山大学システム工学部といった高等研究機関が県内にあるのですから、それこそ医大が音頭をとり、三大学が一緒になって再生医学への取り組みを本格的に始めたらどうでしょうか。まさに日本人の三大死因であるがん、脳卒中、心臓病や糖尿病などの克服のため、早急に考えていくべき課題だと思います。
 さらに、来年九月二十二日から二十三日に、和歌山県において日本臨床内科医学界の教育講演がセットされ、再生医学の講演があると聞いておりますし、和歌山県が再生医学、ゲノム解析に本格的に取り組むことによってバイオ、製薬関連会社の企業誘致にもつながってくると思います。
 去る五月八日火曜日の産経新聞にもありましたが、関西文化学術研究都市など四つのサイエンスパークを中核に、二十以上の研究機関を高速大容量の通信回線で接続する関西バイオ情報ハイウエー構想が大阪商工会議所や大阪府で計画されております。和歌山県も再生医学研究の萌芽が見られ始めているのですから、いつまでも乗りおくれないよう、今後のお取り組みを急いでいただきたいと強く要望いたします。
 これで、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 環境リサイクル事業についての質問にお答えをいたします。
 廃棄物処理についての質問でございますが、本県の貴重な自然環境を次世代に残していくためには、資源循環型の社会システムを構築することが不可欠であると考えております。このため、県といたしましても、ISO一四〇〇一の認証を取得したのを初め、有機性廃棄物を資源として土づくり等に活用するための有機性資源リサイクルや建設リサイクル法による建設副産物の有効利用推進、また繊維廃棄物リサイクル等の研究推進など、農林水産部、土木部、商工労働部と環境生活部が連携して全庁的な取り組みを行っております。
 限りある資源を有効に利用すると同時に、新たな環境リサイクル事業がさまざまな分野で芽生えて資源循環型の社会システムができるよう、一層取り組みを進めてまいります。
 次に、心肺蘇生の普及についてのご質問でございます。
 従来から、救急に対する県民の正しい理解と認識を深めるとともに、県医師会を通じて、医師や医療関係者の意識高揚を図るため、「救急の日」及び救急医療週間を設け、救命・応急手当ての普及啓発や心肺蘇生法の実技講習などを市町村、医療機関などの協力を得て実施しているところでございます。
 ご指摘のように、医療機関の医師や医療従事者、消防機関が一体となって県民への普及に努めることは重要なことでございます。国におきましても、平成十二年五月に「病院前救護体制のあり方に関する検討会報告書」が取りまとめられ、「心肺蘇生法の官民挙げての啓発・普及に努める」としております。県といたしましても、引き続き普及啓発の充実に努めるとともに、医師会、病院協会、消防機関等とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 廃棄物処理についてのご質問にお答えします。
 まず、エコタウン事業につきましては、平成九年に現在の経済産業省と環境省の連携で制度ができ、全国で十四カ所が承認を受けております。本県におきましても、和歌山市において検討されており、県としても協力してまいりたいと考えております。
 また、県では現在、廃棄物処理計画の策定に取り組んでいるところであり、議員ご提案のガス化溶融炉については、公共関与による施設整備等を検討する中で、処理方法の一つとして検討対象にしてまいりたいと考えてございます。
 なお、処理施設の立地につきましては、周辺地域の方々のご理解をいただくことが前提となりますが、適地については、今後、関係部局と協議してまいりたいと考えております。
 次に、一般廃棄物処理についてのご質問にお答えします。
 一般廃棄物については、基本的には、各市町村が策定する一般廃棄物処理計画に基づき、その市町村内で処理すべきものでありますが、大型店舗の新規出店など、事業活動に伴い多量の廃棄物を排出する場合は事前に事業者と市町村で協議を行い、その中で、市町村の処理能力を超えるときは事業者みずからの責任において処理することとしております。
 なお、県といたしましては、焼却炉の改修など、個別市町村で対応できない特別な事情を生じた場合に備えて、各施設間の相互協力を図るよう、ごみ処理施設管理者で構成する連絡協議会などを通じて指導しているところであります。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず医科大学附属病院の経営について、独立採算をとのご質問でございます。
 医大附属病院は、県民の保健医療の中核施設として、地域の医療機関との連携を図る中で中心的な役割を担う病院であり、また大学附属病院としての本来の機能である医師や看護職員等の育成や医学・医療の研究開発を行う使命を持っております。そのため、他の病院とは異なった性格を有しており、教育や研究開発は医療費では負担できないといった面もございます。しかしながら一般医療については、当然のことながら独立採算という考えを基本にして今後とも取り組んでまいりたいと考えております。このため、病床稼働率の向上を初めとする歳入の確保や病院管理経費の合理化による削減を図るなど、医師、看護職員等、職員が一体となって医科大学附属病院としての重要な役割を果たしながら効率的な病院経営を行ってまいりたいと考えております。
 次に、病院に対する水道料金についてのご質問にお答えいたします。
 上水道の料金につきましては、経営するそれぞれの市町村の条例で定めることとされておりますが、お話にございましたように、公衆浴場については、多くの団体で一般より低額となる料金設定が行われております。また病院についても、一部の団体でございますが、別料金設定が行われているところでございます。
 このような水道料金の決定に当たりましては、地方公営企業の運営はその経営に伴う収入を持って充てるという独立採算を基本として、経営主体である市町村がそれぞれの状況に応じて判断すべきものと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 五稜病院の経営についてお答えを申し上げます。
 県立五稜病院は、地方公営企業法の適用により独立採算を基本として運営をしておりますが、同時に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいて県に設置が義務づけられた精神病院として、県下の精神医療の中核的機能を担う病院でございます。このため、精神医療の充実強化、精神科の夜間、休日を含めた救急医療の基幹病院としての役割を果たしていることから、経費の一部については行政で負担をしてございますが、今後ともより一層効率的な病院の運営に努力をし、経営基盤の強化、健全化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、ご質問の精神科の医療についてでございます。
 精神障害者の適正な医療を確保するため、休日及び夜間において緊急に精神障害者の措置入院等が必要となった場合に対応できる精神科救急医療施設については、議員お話しのございましたように、現在、県立五稜病院、紀南総合病院新庄別館の二病院を基幹病院として指定し、それぞれの病院に空床確保をお願いして緊急時の対応をしている現状にあります。
 精神科救急医療システムの整備につきましては、医療圏を紀北、紀中、紀南の三ブロックに分けての緊急時の対応を原則としてございますので、紀北ブロックについては県立医科大学も視野に入れて検討をしてまいります。
 また、精神保健指定医の診察に係る報酬につきましては、本年四月から一日につき一万三千円に増額し、対応をお願いしているところであります。
 次に触法精神障害者に対する処遇の問題につきましては、平成十一年の精神保健福祉法の改正においても、「重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方について、幅広い観点から検討を早急に進めること」との附帯決議がされておりまして、これを受けて現在、法務省・厚生労働省合同検討会において検討がなされております。
 法制度等の整備につきましては国の動向を注意深く見守ってまいりますが、県といたしましては、現行法規の中において医療を必要とする精神障害者に適切な医療を提供できるように、精神科救急医療システムの充実、保健所が行う地域精神保健福祉活動や精神保健福祉センターの業務等を充実させ、当事者や家族の方が気軽に精神保健の相談ができるように体制の整備に努めてまいります。
 また、精神保健福祉に対する正しい認識がないと、触法精神障害者による重大な事件が発生するたびに精神障害者全般に対する偏見が助長され、それが精神障害者を萎縮させ、結果として精神疾患の正しい受療や社会参加を妨げることにもなります。このため、さまざまな機会を通じ、精神障害者に対する偏見や差別をなくすための啓発活動を実施してまいります。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校週五日制についてお答えいたします。
 完全学校週五日制は、子供たちの望ましい人間形成を図ることを基本的なねらいとして、学校、家庭、地域社会が一体となってそれぞれの教育機能を十分に発揮する中で、豊かな人間性や、みずから学び、みずから考える力などの育成を目指すものであります。こうした教育の目指す方向は新しい学習指導要領のねらいと軌を一にするものであり、基礎・基本の確実な定着の上に立った、より質の高い学力を身につけさせるものであると考えております。また、新しく設けられた総合的な学習の時間などでも、子供がふるさと和歌山の豊かな自然や文化、歴史などに直接触れる中で地域とのかかわりに関心を持ち、主体的に学ぼうとする力の育成に重点を置いた指導を行っております。
 こうしたことを通して培われた「生きる力」は、完全学校週五日制が実施され、学校が休業となる土曜日や日曜日においても家庭や地域での活動や体験に生かされ、さらに深まっていくものと期待しております。
 子供の活動する環境を緊急かつ計画的に整備し、議員ご指摘の家庭教育に対する支援を一層進めるため、国では、ただいま全国子どもプランを策定しております。その中で、本県においては、市町村と連携・協力しながら、親子で参加できる工作教室や陶芸品づくりなどの各種体験活動について情報提供を行うとともに、そのような活動の場の提供にも努めているところです。
 他方、人間としての基礎を培う重要な場である家庭について、最近、その教育力の低下が指摘されております。このため、本県においては、講演会の開催、子育てに関するネットワークづくりなどとともに、二十四時間電話相談やカウンセリングなど、相談体制の整備に努めており、今後とも地域や家庭での教育に対する支援を充実させてまいります。
 次に地域に対して開かれた学校づくりにつきましては、これまでにもさまざまな機会をとらえて学校開放を進めてきております。そうした中での安全管理体制の確立を改めて徹底するとともに、家庭、地域、さらに関係機関との連携を一層緊密にして、平素はもちろんのこと、学校施設を開放している場合でも、児童生徒の安全の確保を図ることが何よりも優先されなければならないと考えておるところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁、いただきました。
 廃棄物については、兵庫県では、本年、広域リサイクル拠点整備協議会というものが産・学・官によって立ち上がり、建設廃棄物リサイクル、食品リサイクル、廃プラスチックリサイクル、廃プラスチックガス化リサイクル、適正処理リサイクル、PCB処理、ELV(使用済み自動車)リサイクル、複合廃棄物リサイクル、OAリサイクルといった九つの研究会をつくり、具体的に事業展開を図ろうとしております。和歌山県でも、企業のリサイクル、リユースに対する意欲は日増しに高まっているはずです。差し迫った廃棄物処理問題に対応していくため、ぜひ産・学・官一体となった当局のお取り組みを要望しておきます。
 次に、再生医学です。
 和歌山県立医科大学では、基礎医学講座が中心となって基礎的に再生というものを研究する必要がありましょう。基礎医学の充実は、臨床医学の発展には欠かせません。また医大では、既にがん治療の一つである細胞治療、消化器がんに対する遺伝子治療でも一定の業績を出していると聞いております。ぜひ再生医学研究について、こうした医大等の和歌山県における現状を十分把握いただいた上、前へ進めていただきたいと、改めて要望いたします。
 私の質問、終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 許可をいただきましたので、早速、一般質問をさせていただきます。
 その前に、お配りしている質問項目で字が間違っているところがございます。二番の「すさみ町の廃タイヤ野積み問題」のところの二つ目で、「法定措置」と書いておりますが、「法的措置」の間違いであります。訂正のほど、よろしくお願いします。
 それでは、一般質問をいたします。
 まず最初に、市町村合併について伺います。
 ことし一月に出された「和歌山県市町村合併推進要綱」では、合併の必要性の理由の一つとして、国や地方の財政難を挙げています。そして、現行の地方交付税制度を初めとする地方財政制度が将来にわたって維持されるかについては極めて不透明な状態と述べています。しかし現在、地方財政がこういう状況に陥ってきたのは、国の責任によるところが大きいのです。景気対策と称して地方が膨大な借金をつくる、ゼネコン優遇の大型開発政策を進めてきたツケが来ているのです。もちろん、地方交付税制度が財政危機の原因ではありません。その点で、先日、木村知事が鳥取県の片山知事と発表された「最前線から地方財政改革論議に寄せる」という声明は、このことの本質をずばり批判していて、私ども日本共産党県議団としても大いに賛同するものであります。
 いよいよ国は、なりふり構わず強引に合併を進める姿勢です。ことし三月十九日に総務省は、「「市町村の合併の推進についての要綱」を踏まえた今後の取組(指針)」を知事に通知しました。この内容は、自主的という装いをかなぐり捨て、期限を迫り、強引なやり方で市町村合併を強要するものにほかならないと思います。その中では、「平成十三年中のできるだけ早い時期に、知事を長とする全庁的支援体制」、つまり合併支援本部なるものを設置することを求め、その上で、県内で少なくとも数カ所を合併重点支援地域として指定し、その指定後、一年以内に合併協議会が設置できない場合は知事がその設置の勧告を検討するという仕組みになっております。これには、全国町村会からも批判的な見解が述べられております。
 そこで知事に、この三月十九日付の総務省の指針について幾つか伺います。
 一、この総務省から示された指針について、どうお考えでしょうか。
 二、市町村合併支援本部の設置をするおつもりでしょうか。
 三、合併重点支援地域を平成十三年中のできるだけ早い時期に少なくとも数カ所を指定することとしていますが、知事のお考えは。
 四、指定後一年以内に合併協議会ができないときは知事が勧告を行うことを検討するとありますが、こうしたことは市町村の自主性を無視するものではないかと思います。どうですか。
 以上、四点の答弁をお願いいたします。
 次に、今、それぞれの市町村長さんに伺いますと、合併しないことを選択することによって地方交付税が削減されるかもしれない、市町村財政が立ち行かなくなるかもしれないという心配をされています。しかし、そもそも地方交付税は、国からお情けでもらっているわけではありません。それというのも、実質歳出規模つまり実質の支出の額で見ますと、国と地方は大体四対六の割合で地方の支出が多いわけです。しかし、国税と地方税を比較すると六対四で、収入の方は逆になっております。だからこそ、国は地方によりたくさんの仕事をやってもらっているのですから、地方交付税を地方へ交付するというのは当然なわけです。しかし、「市町村合併って?」という国のパンフレットがございますけれども、この中にはこう書いてあります。「はたして今までどおり、国からのお金を頼りにしていろいろなサービスを提供し続けることができるでしょうか?」と書いており、まさにまるで脅し文句のように地方交付税の削減をちらつかせている内容だと思います。
 そこで、知事に伺います。
 合併しないことを選択することによって現状より交付税が減らされるようなことがあってはならないと私は考えますが、知事はどうお考えですか。答弁をお願いいたします。
 では、実際に市町村合併が行われるとどうなるのか。私は、田辺市を中心とした、龍神村からすさみ町までの十市町村の合併パターンが完成したという仮定で検討いたしました。
 この十市町村が合併いたしますと、人口は約十四万五千人、面積は何と千三百七十六平方キロにもなります。この広さは、北海道の広大な面積を有している市町村を含めても全国第二位、北海道を除いては全国第一位になるという計画であります。北海道の広大な原野にあるならいざ知らず、山や川、海など地理的にも、また経済・文化圏としても独自の要素が強いそれぞれの地域をまとめて基礎的自治体と言えるのか、甚だ疑問であります。
 財政的には効率的と言いますが、住民参加という点から見れば、狭いまとまりの方がより効率的であります。例えば議員数は、合併前は全体で百四十八名です。お配りしている資料にも載っております。これが合併後には、特例期間を過ぎれば最大でも三十四名と、四分の一以下になります。これを市町村の人口に比例して割り当ててみるという仮定の計算をいたしますと、資料にもございますが、多い順に言うと、田辺市で十七名、白浜町五名、上富田町三名、南部町と南部川村が二名ずつ、龍神村、中辺路町、大塔村、日置川町、すさみ町はそれぞれ一名ずつとなります。これはあくまで試算でありますが、旧町村の地域を代表する者がたった一名程度ということで、果たして議会制民主主義が充実したものになるのかどうか、甚だ疑問であります。総務部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、県の合併要綱では、合併の必要性の理由に少子・高齢化への対応を挙げておられますが、どちらについても、実際きめ細やかな施策をしているのは規模の小さな町村が多いと思います。
 例えば西牟婁郡では、大塔村は乳幼児の医療費を六歳まで無料にしています。また介護保険でも、ヘルパーの利用者負担は、普通、新しく申し込めば一〇%かかるわけですが、日置川町とすさみ町は、以前から使っていた人同様、三%に抑えるということをしています。苦しい財政の中でも、これ以上の過疎を防ごうと一生懸命取り組みをやっておられます。
 このように、大きな自治体よりも小さな町村の方がよりきめ細やかな対応をしているのは事実だと考えますが、何をもって合併した方が少子・高齢化に対応しやすいと言うのでしょうか。具体的にお答えをお願いいたします。
 もう一つの合併の理由として、地方分権の推進が挙げられています。そのためには、専門的知識を持った職員の確保は大きな自治体の方がやりやすいとありますが、これも実態は逆ではないでしょうか。
 例えば、要綱の作成で参考にした類似団体と比べた場合、保健婦、土木技師、建築技師などの専門職は、どちらが多いでしょうか。類似団体と申しますのは、合併した後の自治体と姿が似ているであろうと思われる自治体を全国から選んだもので、例えば田辺周辺十市町村の場合には、三重県の鈴鹿市や津市、兵庫県の宝塚市や広島県の呉市、宮崎県の都城市などが類似団体とされています。
 私は、試しに保健婦さんの数をその類似団体と比較いたしました。これも議場の資料にありますが、実数でも、そして全職員に占める割合でも、合併前の十市町村合計の方が類似団体よりも多いわけです。ですから私は、単純に、合併したから専門職が多くなるなどとは言えないと思うのですが、総務部長の見解をお示しください。
 さらに、合併すると職員数の削減で財政の効率化が図られるとしていますが、要綱で比較している類似団体では、面積が広くても三百五十平方キロです。田辺周辺の十市町村の面積の四分の一です。その類似団体の規模どおりに職員を減らせば住民サービスが低下し、周辺地域には人が住めなくなるのではと心配いたしますが、どうでしょうか。総務部長の見解をお示しください。
 また、合併後、新しい庁舎建設などで新たな負担が出てきた場合、職員数の削減などで得た財政的なメリットが帳消しになるのではないですか。これも答弁をお願いいたします。
 子供の教育の問題では、現在、田辺周辺十市町村には八十八の小中学校があり、先ほどの類似団体の約二倍から三倍もの数になっていると思いますが、どうでしょうか。もし合併すれば学校の統廃合が一気に進むのではないかという懸念もいたしますが、いかがでしょうか。
 この合併問題の最後に、住民サービスについて伺います。
 合併の際、一般的に、福祉などのサービス水準は高い水準に、負担は低い水準に調整すると言われていますが、現在までに既に合併が行われた市町村では、私は必ずしもそうなっていないと思います。例えば、最近合併した事例で申し上げますと、岩手県盛岡市、茨城県鹿嶋市、東京都あきる野市などありますが、どうなっているでしょうか。具体的にお答えをいただきたいと思います。
 次に、すさみ町の廃タイヤ野積み問題について伺います。
 平成十一年九月議会で私はこの問題を取り上げ、産業廃棄物の保管基準に違反していることを指摘いたしました。それに対して当時の大井生活文化部長は、法的措置を含めて検討と答弁をしてくれました。しかしその後、現実には何も進んでいないという状況です。現在は、以前を上回る規模の六百トンとも言われるタイヤが野積みされています。これは、施設の処理能力からして百五十日分に当たります。本来は二週間分しか保管できないにもかかわらずです。
 一昨年に指摘があって以後、業の停止や取り消しを含めた法的措置を進めるべきでした。そうすれば、今日のような事態になっていないはずです。その点で、県の責任は非常に重いものがあります。
 廃棄物処理法は平成十二年度に改正され、産廃に関して許可の取り消し要件が厳しくなり、措置命令の対象が拡大されるなど大幅な規制強化がされて、ことし四月から施行されています。また、この五月十五日に出された環境省からの通知では、次のように書いています。「従来、都道府県においては、違反行為に対して口頭の注意(中略)といった行政指導を継続し、法的効果を伴う行政処分を講じない場合も見受けられる」とした上で、「積極的かつ厳正に行政処分を実施されたい」と書いています。国が行政処分を積極的にやりなさいと、このように後押しをしてくれているわけです。さらに、「行政処分は将来にわたる行政目的の確保を主な目的とするものであって、過去の行為を評価する刑事処分とはその目的が異なる」とも書いてあります。まさに、あの指摘があった時点で行政処分をしていれば、現在のような状況にならなかったと思います。
 あなた方はこれまで、たとえ行政処分を出しても結果的にタイヤを取り除くことができない状況ならば、許可を取り消さないで何とか業者に現地で処分させるのが一番負担がかからないのではないかと言ってきました。私も、そういう方法もあり得るかと思うところがありましたが、この間、いろいろ調べて得た結論は、そういう甘やかしが結果的に以前より状況を悪くしたということです。橋本市の産廃と同じだと思います。違法なことをやったら、その時点でシロクロはっきりさせる、これが教訓ではないでしょうか。
 そこで、伺います。
 今まで、なぜ法的措置をしなかったのでしょうか。今回のこの指摘を受けて、いつまでに法的措置を実行するのでしょうか。はっきりお答えをいただきたいと思います。
 これまで産業廃棄物に関して、全国で何件の改善命令や措置命令、許可の取り消しや停止命令が出されているでしょうか。また、県内では何件あるでしょうか。お答えをお願いします。
 県は、平成十一年の時点で二基ある焼却炉のうち古い方が法で定められた構造基準に適合していないことを知りながら、平成十二年三月ごろまで、何らの手を打たずに焼却を続けさせてきました。そのとき、少なくとも使用の停止をするべきだったのではありませんか。答弁をお願いいたします。
 また、業者が平成七年に新しい焼却炉を設置するときに地元とのトラブルが頻発していたにもかかわらず、県がいとも簡単に公害防止のための制度融資を貸し付けています。産業廃棄物処理施設の許可条件には、地元の住民と協定書を結ぶということが書かれております。それが結ばれていない。つまり、焼却炉を動かすための前提となる条件がないのに、県の制度融資を貸し付けている。焼却炉を動かす前提条件がクリアできていないのに、なぜ制度融資を貸し付けるのでしょうか。審査が不十分ではないのでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、身体障害者への自動車税減免制度について伺います。
 先日、大阪から白浜町へ引っ越されてきた身体障害者の方から相談を受けました。一級の手帳を持っておられて、家族が自動車の運転をされています。伺いますと、大阪では減免になっていた自動車税が和歌山ではかかってくると言うのです。調べてみますと、都道府県によって減免の基準がまちまちなのです。かつて自治省が出した通達どおりでしか減免をしていないところと、都道府県で上乗せをしているところがありました。
 これは、お配りしている資料の裏側に印刷をしておりますが、近畿の中では他府県は、程度の差こそあれ、すべて減免の対象者を拡大しています。障害の等級と申しますのは、例えば腕が二級で足が三級の障害者ということなら、人間全体として見れば合わせて一級というぐあいの判定をするわけですが、自動車税の減免というのは、腕なら腕、足なら足と、部分別で判断するようになっているのです。それで、私が相談を受けた方のように、一級の障害者でも減免にならないという事態が起こってくるわけです。加えて、身体障害者手帳には全体で何級ということしか書かれておりませんから、自分がその細かい減免基準の対象になるのかどうかということさえわからないというのが実態であります。
 そこで、伺います。
 この件に関しては、既に地方分権の流れの中で自治省の通達も廃止されており、県の行政の裁量で適切に対応するようになっています。この近畿で最低という状況を変えるべく、制度の拡充を求めますが、総務部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、先般報道もされました土地改良区の自民党費肩がわりと県土地改良政治連盟の会費肩がわりの問題について伺います。
 私は、これはKSD問題の農業版とも言うべきものじゃないかと思います。党費肩がわりでは、直近の五年間の調査で五団体、約二十六万円が土地改良区の会計から違法に支出をされていました。
 これまで政府が進めてきた輸入自由化政策のもとで、今、多くの土地改良区は悩んでいます。米価の暴落や大幅な減反で農家が減少し、運営が難しいとか、減反している分の賦課金を払うのはおかしい、あるいは紀の川用水の水を使ってもないのに賦課金を請求されるなど、切実な声が上がっています。こうした中での今回の問題ですから、農家からの怒りは、はかり知れないと思います。
 土地改良区は、国や地方自治体からの補助金と農家組合員の賦課金で運営される公共法人であり、これが特定の政党やその関連政治団体の会費を肩がわりして支出することは、明確な違反行為であります。これまでの県の検査のあり方はどうであったのか、また再発防止のためにどういう指導をされるのか、農林水産部長に伺います。
 次に、有田川の河床整備について伺います。
 有田川は、年々土砂の堆積がひどくなり、流域住民の不安を高めています。しかも、現在進められている高速道路の四車線化で有田川にも新しい橋がかけられることになって、その区間では、わずか百メートルの間に三本も橋がかかることになり、洪水のとき、うまく水が流れるのかという心配の声があるようです。早期に河床整備に取り組まれることを求めますが、土木部長の答弁をお願いいたします。
 最後に、県単独の公共事業費削減のあり方について伺います。
 先日、これは印南町なのですが、山谷川の堤防改修事業が財政難を理由にしておくれていると相談がありまして、現地に行ってまいりました。地元の方に伺いますと、県と地元住民との間で、県道を整備するときに堤防の改修もセットでやるからという約束の上で事業にかかり、道路の整備は終わったようです。しかし、堤防の方は途中までやってきているが、これ以上財政難でやれないということです。しかも、残された未改修の区間は河川の一番曲がりくねったところで、一番大事なところをやり残しているということなのです。もう既に用地買収も済んでいるというふうに聞きます。こうした中途半端なやり残しは、県行政への不信を招きかねません。
 こうした積み残しとも言うべき箇所については、財政の上からすぐにはやれない、かかれないとしても、期限を明確にして、きちんと住民の意向も同意を得て事業化するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。土木部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 市町村合併のご質問についてお答えを申します。
 まず、総務省の新指針と市町村合併支援本部についてでございます。
 国、地方を通じた大変厳しい財政状況の中で地方分権の時代を迎え、ますます高度化、多様化する行政ニーズに的確に対応していくためには、市町村の自主的な合併を推進していくことが必要でございます。市町村の合併に対する認識はかなり深まってきており、合併の機運が急速に高まってきていると実感をしております。
 新指針につきましては、このような状況を踏まえ、国において策定されたものと考えておりますが、県におきましても、合併に向けた機運の醸成を引き続き図るとともに、できるだけ早期に合併支援本部を設置し、合併支援のための諸施策を検討してまいりたいと考えております。
 また、合併重点支援地域の指定につきましては、市町村の合併議論の動向を踏まえながら、十三年中に複数箇所の指定ができるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、ご指摘の勧告制度は、自主性を無視することのないよう、関係市町村の意見を聞きながら適切に対処してまいりたいと考えております。
 さらに、交付税は地方の自主財源でありまして、合併と交付税の見直しは別のものであるというふうに考えております。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、市町村合併に関する七項目のご質問に一括してお答えいたします。
 まず、議員定数の減少についてでございます。
 市町村の議員定数は、地方自治法において団体の人口規模に応じた定数が定められているところでございまして、基本的には必要な議員数が確保されているものと考えております。
 なお、合併に伴う激変緩和の観点から、市町村合併特例法において議員定数や議員の在任期間の特例措置が設けられているところでございます。
 次に、少子・高齢化への対応についてでございます。
 お話にもございましたように、少子・高齢化対策のために各市町村が創意工夫を凝らしながら、現状においては事業を展開しているところでございます。
 ただ、大変厳しい財政状況のもとで少子・高齢化は急速に進展いたします。今後、市町村は新たな行政施策の展開が求められることも予想されますし、また行政サービス自体も高度化、多様化するものと考えられます。これらのことに適切に対応していくためには、合併により市町村の行財政基盤の充実強化に努めることが必要であると考えているところでございます。
 次に、類似団体との比較についてお尋ねがございました専門の職員数、あるいは全体の職員数、小中学校の学校数の田辺広域の例との比較についてでございます。
 人口規模が同程度の六団体の平均の保健婦、土木技師、建築技師の配置数の概数と比較いたしますと、保健婦では類似団体の方が二十六人少ないところでございますが、土木技師は類似団体の方が二十八人多い、また建築技師は類似団体の方が六人多いと、このような状況にあるところでございます。また、類似団体の平均の小中学校の配置数は約三十三校となっております。
 ご指摘にありましたように、職員数の減による周辺地域のサービスの低下、あるいは学校の統合が進むのではないかという不安や懸念があることも、承知はいたしております。ただ、今申し上げました比較の対象とした類似団体は、あくまでも主に人口の規模をもとに同程度の団体を選定したものでございまして、合併市町村の専門職員や全体の職員配置、あるいは小中学校の配置については、合併関係市町村において地域の年齢構成、面積、学校の配置などさまざまな状況を総合的に勘案しながら、できるだけ支障が生じないよう適切な行政サービスの提供という観点から検討されていくものと考えているところでございます。
 次に、庁舎などの新たな負担の発生と財政的なメリットについてのお尋ねでございます。
 合併に際しましては、新市町村建設計画の実施によって臨時的な財政需要が発生することも考えられますが、長期的には行政コストの効率化に資するものと考えております。
 なお、合併特例法などによって各般の財政支援制度が設けられているところでございまして、県といたしましても、合併市町村に対して積極的な支援を行うことが必要であると考えております。
 次に、住民サービスが低下しないのかということについてでございます。
 行政サービスの水準や住民負担の格差につきましては、合併関係市町村において、適切な行政サービスの水準、あるいは適正な住民負担などを勘案しながら十分検討を行い、調整されることが重要であると考えております。
 なお、過去に合併を行った団体の詳細については承知してはございませんけれども、法定合併協議会におきまして、ご指摘ありましたようにサービス水準は高い水準に、また負担は低い水準に合わせることを基本として協議を行い、合併後も適切な料金負担という観点から必要に応じた検討を行った中で負担の引き上げを行った団体もあるということは伺っておるところでございます。
 続きまして、身体障害者の自動車税減免制度の拡充についてでございます。
 障害者の方々に対する自動車税の減免につきましては、身体等に障害を有し、歩行が困難な身障者等が使用する自動車は、日常生活を営む上で必要不可欠な生活手段となっていることから、税制上の配慮を加えたものでございます。本県におきましても、減免の対象等級等を旧自治省の通達に準拠して定めておりましたが、ご指摘ありましたように、この通達は十二年四月一日に廃止されたところでございます。しかしながら、身体障害者の方々が障害を克服し、支障なく社会生活を営むことができるよう、本県としても引き続き自動車税を減免しているところでございまして、十三年度の当初課税においては約九千台、額として三億三千五百万円の減免を行っております。これは、十一年度の全国の状況では、減免割合としてはほぼ平均的な状況となってございます。
 ご質問の減免の拡充につきましては、他府県の状況等も考慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) すさみ町の廃タイヤの野積み問題四点についてお答えいたします。
 事業者には、改善を講じるよう平成十一年九月に文書警告を行ったところ、場内に積み上げていた廃タイヤが減少するなど一時改善が見られたため、法的措置を見合わせました。しかし、その後も事業者みずからの搬入や収集運搬業者からの搬入により、再び従前のような状況となったところであります。
 今後は、これまでの経過を踏まえ、法的措置である許可の取り消し等も含め、改善命令、措置命令を検討してまいります。
 なお、改善命令は、事業者の法的責任は問えますが、撤去しない場合は廃タイヤが残ることとなります。また措置命令は、生活環境の保全に支障がある場合、技術的、経済的に合理的限度において行うことになるため、現在、最善の方策について、他府県の実施事例等を参考にし、検討しているところであります。さらに、タイヤの排出事業者責任につきましても、事実確認等を行っており、今年中にその手法について結論を出し、進めてまいりたいと考えております。
 次に、法的措置の状況についてでございます。
 平成十年度では、全国で改善命令百五十件、措置命令四十三件、許可の取り消し三十件、停止命令六十件となっており、本県では許可の取り消し三件となっております。
 なお、平成元年から現在までの県内の累計では、改善命令四件、措置命令二件、許可の取り消し五件、停止命令一件となっております。
 次に、焼却の継続についてでございます。
 事業者が使用していた焼却炉につきましては、平成十年十二月に施行された廃棄物処理法の改正に伴う構造基準に適合しなくなり、事業者に対して指導を重ねましたが、改善しなかったため、平成十一年九月に文書で警告を行ってきたところであります。その後、タイヤの搬入減少等、一部指導を受け入れたこともあり、業務停止等法的措置に至らなかったところであります。
 平成十二年三月で焼却が停止していますが、業の停止をしなかったことにより廃タイヤがふえたということについては、指導の至らない面もあると認識してございます。今後は、地元市町村、保健所と連携し、地元住民の方々に十分説明の上、対応してまいりたいと考えております。
 四点目の制度融資についてでございます。
 公害防止施設整備融資制度は、中小企業者が施設整備を行うことにより公害の防止を図ることを目的としており、県は融資認定を行った後、金融機関の融資決定を受け、預託を行う制度でございます。
 議員ご指摘の審査につきましては、公害防止上の有効性について技術的な観点から審査を行い、また関係課等の意見を聞き、融資の認定を行ったものでございます。
 今後、審査に当たりましては、関係課等と緊密な連絡を図るとともに、慎重な審査をしてまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) ご質問の融資の一つは、当部が所管する中小企業設備近代化資金でありますが、この資金は、中小企業の近代化及び経営の合理化を促進することを目的とした設備資金の貸し付けであります。
 議員ご指摘の貸し付け審査につきましては、通常の審査以外に公害防止施設との観点から、産業廃棄物処理施設設置許可、及びこの施設自体、公害を防止する施設として特別融資の認定がなされたことを受け、近代化資金の貸し付けを適切に行ったものであります。
 なお、この貸し付け業務は平成十二年度より財団法人中小企業振興公社に業務移管しておりますが、今後とも貸し付け審査に当たっては関係課と連携をより一層密にして貸し付けを実施するよう、公社を指導してまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長辻 健君。
  〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 土地改良区の自民党費立てかえ問題についてのご質問にお答えいたします。
 土地改良区に対する検査は、土地改良法に基づいて三年に一度、本庁及び各振興局において実施しておりますが、検査の中で今回のようなケースを指摘できなかったことについて、まことに遺憾に思ってございます。
 再発防止につきましては、検査担当職員に周知徹底を図るとともに、土地改良区の役職員に対しては、より適正な運営を図るよう指導しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 有田川の改修につきましては、流下能力の低い箇所から順次改修を進めております。そのため、現在、中小降雨で浸水被害が発生している支川の天満川での改修を行っているところでございます。また有田川本川においても、流下能力の低い狭窄部の解消が先決であると考えております。
 なお、橋の計画につきましては、現在、河川計画に支障が生じないように、河川管理施設等構造令に基づき、日本道路公団と協議しております。
 次に、県単独事業の削減のあり方についてであります。
 平成十三年度予算におきましては、財政健全化のために策定された財政運営プログラムIIに沿って編成し、投資的事業、とりわけ県単独事業について大幅に削減することとなりました。このため、事業の必要度の観点などから優先順位づけを行うなど、分野間のバランスを図りつつ箇所の絞り込みを行ったところであります。
 今後、財政的にはさらに厳しくなることが予想され、当面休止せざるを得ない箇所については地元の理解を得るよう努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 まず、市町村合併です。
 知事からは、合併と交付税の見直しは別物というお答えをいただきました。私もそう思いますし、多くの市町村長もそう思っていると思うんです。しかし現実には、この合併議論の中で、交付税が減らされるという心配が前提条件のようになっていると思います。
 先ほど総務部長が、合併後、新しい計画実施による臨時的な財政需要に対して国のいろんな財政支援があると言われました。確かに補助金もありますが、結局借金──地方債を認めて後で交付税で措置します、返しますよということだと思うんですね。この県の要綱でも、現行の地方交付税制度は将来どうなるか極めて不透明な状況と一方で言っていて、それで合併に関する公共事業などについては借金、つまり起債をして元利償還金の七〇%を後で普通交付税で措置しようということで、交付税を当てにしている。危機感を盛り上げるのに交付税がどうなるかわからないということを言いながら、一方で公共事業を進めるには後で交付税で返ってくる借金だからいいんだと、私は、これはご都合主義的な使い分けだと思うのです。こういう使い分けはやめていただきたいと、これはもう要望しておきます。
 それから、既に合併した市町村での住民サービスの負担が具体的にどうなっているかと聞きましたが、具体的な答弁ではなかったように思います。私が調べたのを言いますと、例えば九五年に合併して誕生した東京都のあきる野市ですが、合併調整方針では、やはり「サービスは高く、負担は低く」ということなんですが、合併の翌年から国民健康保険税の大幅な引き上げが始まりました。二年後の九七年には行革推進委員会が、この「サービスは高く、負担は低く」という合併調整方針は合併時点の考え方であり、行革の第二段階に進もうとしている現在、いつまでもこの考え方が硬直化することを危惧すると書いており、事実上、方針が廃棄されています。たった二年で方向転換をしているわけです。その後は、各種の使用料や手数料が大幅に引き上げられて、それまで無料だった公民館が有料化されたりしている一方で、現在、八十七億円という豪華な新庁舎の建設がされています。
 また、例で挙げた盛岡市は九二年に合併が行われましたが、当時の開発型の公共事業を推進したために、合併当時は五百九十二億円だった借金が九九年末で見ると千四百四十億円と、約二・五倍にも膨れ上がっています。そのせいか、保育料は東北で一番高い、在宅福祉の状況も県内でびりから六番というようなことになっています。
 また、事例で挙げた茨城県の鹿嶋市ですが、これは九六年です。鹿島町と大野村というところが合併しましたが、この旧大野村というところはなかなか保健活動で先進的なことをやっていて、地域住民の健康は地域の努力で守りましょうというスローガンのもと、村内二十八の地区すべてに婦人保健所というのが設置されていましたが、合併後、なくしたそうです。合併当初は、国保税、保育料なども低い方の鹿島町の水準に合わせましたが、しかしその後、どちらも値上げが始まっている。水道料については、合併した後、約三割も引き上げられたという事例もございます。
 どうもバラ色の議論が先行するわけですが、こういうふうに合併によりサービスの低下や住民負担の増加が実際行われているという事例もちゃんとあるのですから、県もそういう事例を調査していただいて、県民にも情報としてはきちんと伝えていくことが公平な合併論議のためにも必要ではないかと私は考えますけれども、この点、総務部長、もう一度答弁をいただけますでしょうか。
 それから、専門職員の配置の問題です。
 保健婦は合併前の方が多い、しかし土木技師や建築技師は合併後の姿である類似団体の方が多いというふうに言われて、まあ一概に言えないということだったと思うのですが、でも、これは傾向があるというふうに思います。
 これは、ほかの県で調べた事例ですけれども、人口当たりの専門職員で見ますと、建築技師と土木技師は人口十万人以上の自治体で多いのですが、図書館の司書、学芸員、保健婦、助産婦という専門職は、人口一万人未満の自治体の方が多い。つまり、小規模な自治体の方が住民生活に密着した福祉や健康、あるいは教育の分野できめ細やかな専門職を配置しているというのが実際のところだと思うんです。これは、あくまで人口当たりの専門職員ですよ。やはりこの事実は事実として、これはもう指摘をしておくだけにとどめます。
 それから、自動車税です。
 答弁をいただきましたが、少なくとも一級の手帳を持っておられる方が減免を受けられないというような状況は、本当につらいと思います。このことはしっかり検討していただけますようにお願いいたします。
 産廃です。
 すさみ町の廃タイヤの問題ですが、ことしじゅうに結論というふうに言われましたけれども、住民感情からしても、もう待てないというのが実際のところです。この問題に対してはもう今まで県がいろいろやってきたけれども、この間も地元へほかの議員さん方と呼ばれて行きましたが、本当に何をやっているのだというおしかりの声もありました。県行政が断固とした態度で臨むんだという姿勢を示すためにも、この業者は施設の面だけから見ても業を継続できるような状態になっていないですから、やっぱりすぐ停止命令なりなんなり、もうできるところから法的な手を打っていくということが大事だと思います。その点についてもう一度答弁をお願いしたいと思います。
 制度融資の問題です。
 答弁を聞いていますと、商工労働部長は、適正な貸し付けだった、公害防止施設の融資なのだから、それで特別融資の認定がなされたために適切に貸し付けたと言われましたが、それは違うと思うんです。産業廃棄物の焼却炉を新しいものにつくりかえるというときには、いろんな融資を使います。それはそれでいいと思います。しかし、融資の面から見れば、公害防止施設とか、みんなきちんとしたものにしていくということなんですが、まかり間違えば今回のように住民との大きなトラブルのもとをつくっているということになりはしないか。
 県が出した許可の条件に、ちゃんと、地元と協定書を結んだ上で許可をしますと。これは附帯条件じゃないんです。許可の条件としてそういうことが書かれているんですよ。その条件がクリアできていないのに、何で貸し付けするのですか。それが適正なんですか。おかしいじゃないですか。結果として、そういうことはきちんと反省していただきたい。あくまで適正だったと言われるのですか。これ、もう一回答弁をお願いします。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、合併についてのいろいろなデメリットの部分等もよく情報提供することが必要ではないかということについてでございます。
 県において策定した合併推進要綱にも、合併の取り組みにはいろんな課題や懸案もあるということで、その対策等についても盛り込んでいるところでございます。
 ご指摘のありましたサービス水準や負担の件につきましては、法定合併協議会等でいろいろ十分検討いただいて、その協議内容を住民に情報提供しながら調整するといったことも重要だと思っておりますし、また何事も先進事例から学ぶということも大事であるというふうに考えております。
 適切な負担とサービス水準の提供という観点から、市町村に対し、引き続き必要な情報提供をしていきたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 今後の対応でございますが、事業者からの五月の事情聴取におきましても、事業者はまだ事業継続を希望しておるというふうな事情もございます。しかし、県の方では、地元町とも協議しながら、先生のおっしゃるようにできる対応からやっていきたい、最終的には法的なことも検討していきたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 先ほどご答弁申し上げたとおり、あくまで施設の設置許可があり、また公害防止施設特別融資の認定がなされたことを受け、当部所管の近代化資金の貸し付けを行っていますので、貸し付けについては適切に行われたと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「あります。環境生活部長の融資について」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 公害防止施設の特別融資につきましては、県の方で、焼却炉の構造等、公害防止に適切な施設であるという認定を行いまして、取扱金融機関で融資の審査を行い、決定されたものであると。そういうことで、当時としては、我々はできる限りの審査を行ったということで考えております。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 すさみ町のタイヤの問題で、あくまで融資が適切なんだというお話なのですが、全く新しく事業をやる方がそういう制度融資を申し込んで、それでそういう許可をしたよということじゃないんですよね。もう住民との間でずっとトラブルを引きずっていた人が制度融資を申し込んで、それで協定書を結ばれていないでしょう。それを見逃すなんて、信じられません。あくまで適正だというふうに言われるのは、これはおかしいんじゃないですか。どうですか。まだご見解を変えるつもりはないんですか。こういうことを議事録に残していいんですか。私、後で恥ずかしいと思いますよ。知事も午前中に、率直に誤りを認めることだと言われていましたよね。やっぱり人気が高まると思うんですよ。いかがですか、部長。もう一度、両方の答弁をお願いします。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) この事業者につきましては、平成元年ごろから焼却炉をもってタイヤの焼却もやっておったというふうに聞いてございます。その間、平成七年までの間に、一部地元でもそういうことが問題となり、新しい焼却炉をやりたいということで、その焼却炉については当時の基準に適合していたことから、こういうことの審査は適正にさせていただいたと。しかし、議員おっしゃるように、結果としてその焼却炉が動いていないということについては、我々としても今後、審査の中でもこういう教訓を生かして取り組んでいきたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 先ほど環境生活部長からも答弁ありましたが、我々、環境生活部門の仕事の範疇については通常存じ上げてございませんので、先ほども申し上げました環境生活部が特別融資の認定をするということの上で、我々も融資決定をしたということです。
 それともう一つは、設備近代化資金の規則にのっとった対象企業、対象設備であるという観点からも融資を行ったところでございます。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十分散会

このページの先頭へ