平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(高瀬勝助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十一番高瀬勝助君。
  〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 今議会も、私が最後の質問者となりました。
 私は、高野・熊野の世界遺産登録、スポーツ振興、喜の国エンゼルプランの三点についてお尋ねをいたします。
 まず一点目として、世界遺産登録についてであります。
 昨年十一月十七日、文化庁より、高野・熊野が奈良県の吉野・大峰や三重県の熊野古道伊勢路とともに「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産暫定リストに追加することが決定されたとの発表がありました。新聞報道によりますと、知事は、高野・熊野地域の歴史的重みをかみしめながら県づくりのよりどころとすべく正式登録を目指して頑張っていきたいとコメントされています。ユネスコの世界遺産暫定リストというのは、ユネスコ世界遺産条約の加盟国が、将来その国から世界遺産に推薦する予定の物件をリストにして、あらかじめユネスコ世界遺産センターに提出するものと聞いています。
 今議会で質問された下川議員は、いやしの里熊野が世界遺産に登録されることは途方もない宝物と表現されました。私も、以前から世界遺産について大きな関心を持ち、議会で質問もさせていただきました。今回、高野・熊野が暫定リストに追加されたことは、世界遺産登録を積極的に応援する立場の私にとりましても非常にうれしいことと思っています。しかしながら我が国では、世界遺産条約に加盟後、平成四年に第一次の世界遺産暫定リストを作成し、ユネスコ世界遺産センターに提出していますが、そのリストに含まれた物件のうち彦根城と古都鎌倉の文化財の二件は、いまだ世界遺産に登録されていません。なぜこの二件が登録されていないか承知はしていませんが、このことは、暫定リストに追加されたからといって直ちに世界遺産に登録されるというわけではなく、さまざまな条件をクリアしなければならないということを示唆しているように思います。しかも今回の世界遺産登録は、文化遺産としては日本で最大規模のものになるはずであり、また奈良県の吉野・大峰、三重県の熊野古道伊勢路を含めたものでありますから、両県との協調が必要不可欠になると思います。
 そこでまず、高野・熊野の世界遺産登録の実現に至る道筋とでもいいますか、どのような条件をクリアしなければならないのか、三重県、奈良県とはどのように協調していくのか。
 ご存じのように高野山は、空海による開山以来、真言密教の聖地として伝統を誇り、高野山の末寺は、日本全国は言うに及ばず海外にまで四千以上もあり、高野山が日本の宗教や文化の発展に与えた影響ははかり知れないものがあります。また熊野は、古来聖なる地としてあがめられ、こちらも三千六百以上の末寺が全国に広がるなど、高野山と同じく、日本の宗教と文化の発展に大きな影響を与えました。しかも、高野・熊野の文化は消滅してしまったものではなく、今なお日本人の心のふるさととして確固たる位置を占めています。また、かつて高野山と熊野を目指した巡礼が踏み占めた信仰の道である高野山町石道と熊野古道が、今でも往時の雰囲気を残す状態で保存されています。このような地域は全国でも他に例を見ないばかりか、世界じゅうを探しても比類のない、非常にユニークなものであります。
 このように和歌山県、特に高野と熊野は、伝統、歴史、文化あふるる地であります。世界遺産登録は、もちろんすばらしいことではありますが、私は、高野と熊野が持つ伝統、歴史、文化を世界に発信していくことこそ重要ではないかと思っています。
 そこで、県では世界遺産登録のプロジェクトをどのように位置づけているのか、高野と熊野からの情報発信もあわせてどのように考えておられるのか、教育長にお尋ねいたします。
 また、地域経済について考えるとき、高野・熊野の世界遺産登録が観光産業に与える影響には非常に大きいものがあると思います。もちろん、世界遺産とは文化や文化財、自然などを保護していこうとするものであることは理解していますが、それでも今、世界遺産が旅行地として大変人気があるということは紛れもない事実であり、県内の観光業界等では高野・熊野の世界遺産登録に期待する声も大きいものがあります。この声にどのようにこたえていくのか、観光面での施策について商工労働部長にお尋ねいたします。
 新聞報道等によれば、本年九月、ユネスコの国際専門家会議である信仰の山会議が和歌山で開催されることが内定しているようでありますが、国際会議が本県で開催される機会はそう多くないと思います。まして、国連機関であるユネスコ本部主催の会議が開催されるとなると、これはまことに意義深いものがあります。この会議は、高野・熊野、さらには和歌山県を世界にPRする絶好の機会であり、ぜひとも成功させていただくようお願いするところです。
 二点目として、本県のスポーツ振興関連について何点か質問いたします。
 今、我が国は、「失われた十年」と言われるように、長い景気低迷から脱出できず、またさまざまな悲しい事故や事件が発生するなど明るい話題が少なく、国民全体が閉塞状況にあると思います。和歌山でもここ数年、大規模倒産が相次ぐなど、元気の出るような話は余り聞かれないのが実情であります。このような中、スポーツを愛する者として、スポーツこそは青少年の健全育成、また高齢者にあっても健やかな生活の確立、さらには人々を元気づけるのに最も効果的なものであると常々思っております。
 まず、スポーツイベントの誘致開催についてでありますが、私はこれまでも、ビッグスポーツイベントの誘致開催はスポーツ振興のみならず本県の活性化にさまざまな効果をもたらすものであることを申し上げてきました。二〇〇八年夏季オリンピックでは大阪市が立候補都市として認定され、先日、IOC国際オリンピックが会場地調査を行ったところです。開催地については、本年七月十三日にモスクワで開催されるIOC理事会で決定されるようでありますが、仮に大阪市での開催が決定すれば、本県で一部の競技を開催する可能性があるのかどうか、またその他に国際大会等のビッグスポーツイベントを誘致開催する計画があるのでしょうか、伺います。
 次に、来年度の本県の新しいスポーツイベントとして市町村対抗ジュニア駅伝大会を実施するとのことでありますが、このイベント内容について、現段階でどのような構想を持っておられるのか、お聞かせいただきます。
 昨年のシドニーオリンピックでは、高橋尚子選手がマラソンで女子陸上界初の金メダルを獲得し、私たちに大きな感動を与えてくれました。以来、マラソンや各種駅伝大会に対する関心も一層高まってきており、私もさきの都道府県駅伝大会など、本県選手の活躍に期待しながらテレビ観戦いたしました。結果は、昨年よりも順位が上がり、よく健闘していましたが、私なりに、中学生や高校生など層の厚さが他府県より少し劣っているのではないかと思います。このようなときに今回の駅伝大会は、市町村対抗ということもあって、県民の方々も我が町、我が村の代表選手の活躍に大きな声援を送ってくれるのではないかと思っております。
 私は、スポーツ振興のみならず、まさに地域の活性化に大きな効果をもたらすものと確信していますので、将来的な展望を含め、見解をお伺いいたします。
 次に、本県における国民体育大会の開催についてであります。
 以前、この議会で、本県における国体開催は平成二十七年に予定しているとの答弁がありましたが、平成二十七年と言えば、あと十四年です。特に、陸上競技場や総合プール、総合武道館、野球場などの多くのスポーツ施設の整備が必要となります。本県のスポーツ施設は、主要な県有施設で老朽化が進んでおり、総合武道スポーツセンターの整備検討費を新年度予算に計上はしているものの、早期に全般的、総合的な施設整備策定のための準備に取りかかる必要があるのではないでしょうか。この点に関し、知事の見解をお伺いしたいと思います。
 二巡目国体の本県開催を視野に入れた中で、本県の競技力についてお尋ねいたします。
 私はスポーツ全般にわたって興味を持って見ていますが、本県は、フェンシングやレスリングなどの競技のように全国的なレベルに達し、オリンピックや国際大会等で活躍する選手もありますが、トータル的には、少し他府県からおくれをとりつつあるのではないかと心配しております。陸上や水泳、それからバレーボールやバスケットボールなどの競技種目については、特に気になっているところです。都道府県順位が明確になる国体や都道府県対抗駅伝等を見ますと、最近やや向上の兆しが見られますが、過去の輝かしい成績からすると寂しさを隠し切れないところです。
 競技力向上については、他府県でもあらゆる強化対策を講じており、容易でないことは承知いたしていますが、本県ではこの現状を打破するにはどういった手だてが必要で、今後どのような対策が必要であると認識されておりますか。文部省や日本体育協会ではスポーツ振興基本計画を策定し、我が国のスポーツ振興計画を明らかにされたと聞いていますが、本県においても、かつてスポーツ王国と言われた和歌山復活のためにも、今、抜本的な競技力向上対策を策定すべきであると思います。見解を伺いたいと思います。
 二〇〇二年ワールドカップサッカー大会であります。
 長い歴史の中で初めてアジアで開催され、また日本と韓国の二カ国で開催されるということで関心が高まっております。本県では、このワールドカップの公認キャンプ地として、現在その誘致活動に積極的に取り組まれていると思いますが、その進捗状況について、誘致委員会の会長でもある教育長にお伺いいたします。
 また、新聞等でフランスやブラジルなどの強豪国がキャンプ地を内定したとのニュースが流れるなど、他のキャンプ候補地の動きが気になるところであります。さきの議会で同僚の新島議員がこのキャンプ誘致の取り組みについて質問され、知事からは、他の自治体におくれをとらないように積極的に取り組むとの答弁がありましたが、私はキャンプ誘致に当たっては、知事みずから先頭に、庁内挙げての組織づくりを行うとともに、幅広い県民の方々の参画をいただいた中での誘致委員会を立ち上げ、あらゆる角度からの誘致戦略をとらなければそう簡単には実現しないものではないかと思っております。これに関して、知事の決意を伺いたいと思います。
 三点目に、喜の国エンゼルプランの現状と今後についてお尋ねをいたします。
 昨年十二月二十二日に閣議報告された平成十二年国勢調査の速報値によりますと、我が国の総人口は一億二千六百九十二万人で、前回の平成七年の調査より約百三十五万人増加しているものの、人口増加率は一・一%と、戦後最低となっています。また、厚生労働省の人口動態統計によりますと、我が国の出生数はここ十年間百二十万人前後で推移し、いわゆる第二次ベビーブームのピークである昭和四十八年の二百九万人に比べ、六割弱まで減少しています。本県においても出生数は平成二年から一万人前後で推移していましたが、平成十年、十一年と二年連続で出生数が死亡数を下回り、自然動態において減少が続いています。
 我が国で少子化が問題になり始めたのは平成元年ごろからで、その後、国、都道府県、市町村などでも少子化対策や、子育てを支援し、子供が健やかに育つための環境づくりを急務の課題として取り組むようになったところです。少子化の主な原因は、仕事と子育てを両立しにくい環境や子育ての負担感の増大などが背景となって未婚率が高まったことにあると言われています。
 国では、当時、厚生省を中心とする関係省庁において、平成十一年十二月に、重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について、いわゆる新エンゼルプランを策定し、保育サービスの充実や母子保健医療体制の整備を計画的に推進していくこととしています。
 一方、本県においても、平成八年度に喜の国エンゼルプランを策定しました。これは九年度を初年度とする十カ年計画で、現在、子育て支援施策が推進されているところです。その中でも、特に緊急に実施する必要がある保育対策については、平成十三年度を目標年次とする緊急保育対策五カ年事業として具体的な数値目標が設定され、取り組まれてきたところです。しかし、本県における平成十一年度の合計特殊出生率は一・四〇となっています。これは、過去最低を記録した全国平均の一・三四をやや上回るものの、人口維持に必要な二・〇八を大きく下回っており、少子化傾向はいまだとまることなく進んでいる状況にあります。
 少子化が進行するとともに、子供たちを取り巻く環境が大きく変化し、さまざまなひずみがあらわれてきています。最近の子供たちは、兄弟や近所の子供が減ったり、屋外から屋内へと遊びの形が変わってきたことなどに伴って、子供同士、また大人に対してコミュニケーションを持つことが不得手な子供がふえてきているように思われます。自分の気持ちや感情を伝えたり、相手の話を聞いたり共感したりということができにくく、その結果、ストレスの高い状況に置かれた場合にうまく乗り越えられず、そしてそれがいじめや不登校、少年犯罪といった問題行動の形であらわれてしまうということであると思われます。一方、親についても、子育てに対する負担感の増大や思いどおりにならないいら立ち、育児不安などから子供に対する虐待といった問題が発生しています。
 子育ての環境づくりについては、行政だけではなく、家庭や地域、職場、学校等、社会全体で子供を守り育てるとともに、子育ての中の若い世代を支えていくことが重要ではないかと思います。
 こうした状況の中で、本県の計画である喜の国エンゼルプランについてお尋ねいたします。
 まず、喜の国エンゼルプランにおいて、平成十三年度までの数値目標を設定している緊急保育対策等五カ年事業のこれまでの進捗状況はどうか。また、最終年度を迎えるに当たり、目標達成に向けてどう取り組むか。さらに、十四年度以降、どのように取り組んでいかれるのか。喜の国エンゼルプランに基づいてさまざまな少子化対策が実施されていますが、今後どのような施策を重点的に実施すべきと考えておられるのか。以上、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 以上で、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) スポーツ振興についてお答えを申し上げます。
 まずスポーツ施設の整備についてでございますが、現在の県有施設は、大半が昭和四十六年の国体前に整備され、その後、老朽化も進んでいることから、利用者を初めとして各方面から施設整備の要望をいただいているところでございます。県民の多様なスポーツニーズにこたえ、幅広くスポーツの振興を図るためには施設の整備が重要な課題であると考えております。
 次にワールドカップサッカーのキャンプ誘致についてでございますが、多くの自治体が積極的な活動を行っていることから実現には厳しいものもございますが、予算にも必要経費を計上しているところであり、より一層真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
 現在、県のサッカー協会や青年会議所等の民間団体と行政が一体となった誘致委員会を組織し、友好関係にあるメキシコやトルコなどを対象に、大使館等を訪問するなど、幅広い誘致活動を展開しているところでございます。今後とも、私も先頭に立って、各界各層のご支援、また議員各位のご協力をいただきながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 議員ご指摘のとおり、世界遺産登録は観光面においても大きな効果があるものと考えております。大手旅行社の調査によりますと、旅行者の今後の新たな旅行目的として世界遺産旅行が第一位となっており、世界遺産登録は大きな旅行需要を生み出すものと予想されています。この波及効果を高野・熊野地域にとどまることなく県全体で吸収し、本県の観光振興の弾みとすることが重要であろうと考えております。
 早期登録に向けての支援活動の一環として、二月と三月に関西の私鉄、JR、地下鉄において「高野・熊野を世界遺産に」というタイトルで車内広告を掲出いたします。春と秋には、全国展開の熊野古道・高野町石道ウオークを実施する予定でございます。一方、夏から秋にかけては、地元高野山においても、かつて公開されていない高野山の文化財を含めた国宝展の開催や、九月には声明コーラスをオーケストラで演出するコンサート等が開催され、世界遺産登録に向けてアピールするイベントが実施される予定となっております。また、ことし九月に開催されます世界観光機関大阪総会に参加される世界各国の観光大臣等を高野山に招待しての和歌山のPR、iモードを含めたインターネットを活用してのPRなど、さまざまな機会をとらまえ、世界遺産登録過程において和歌山のすばらしさを全国に、世界に情報発信してまいります。
 なお、世界遺産登録されることによって高野・熊野が全世界にPRされることになりますが、この効果を利用し、さらに観光客の誘致に努めてまいります。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 喜の国エンゼルプランの緊急保育対策等五カ年事業の進捗と今後の取り組みについてでございます。
 県では、喜の国エンゼルプランに基づき、子育てと就労の両立支援を図るための多様な保育サービスの充実や雇用環境づくりのための施策を進めているところでございます。特に保育につきましては、緊急保育対策等五カ年事業として、平成十三年度を最終年度とする数値目標を設定し、取り組んでおります。
 平成十二年度現在の進捗状況は、延長保育、低年齢児保育、障害児保育については既に目標を達成してございますが、保育所の地域活動については九五%、施設整備は九〇%、放課後児童クラブは八九%、一次保育については三五%となっております。これらについても来年度にはほぼ目標達成の見込みとなっておりますが、乳幼児健康支援一次預かり事業は今のところ実施の見通しがついてございませんので、引き続き関係機関に強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 なお、平成十四年度以降につきましては、新たな数値目標を設定すべく検討してまいりたいと考えております。
 次に、喜の国エンゼルプランの重点施策でございます。
 少子化の進行は、労働力人口の減少や現役世代の負担増などのほか、議員のご指摘にもあったように子供の健全な成長への悪影響など、社会経済に深刻な影響を与えることが懸念されております。
 少子化対策の推進に当たっては、子育てに係る負担感を解消し、安心して子供を生み育てることができ、子育てに夢を持てる環境づくりを進めなければならないと考えてございます。特に子育て家庭への支援サービスの充実や子育てと仕事の両立支援を進めることが重要であると認識してございますが、広く県民の方々に社会全体で子育てを支援するという意識を持っていただくことも大変大切であると考えてございます。
 このため、現在子育て中の家庭等、できるだけ多くの方々のご意見、企業の少子化への対応、考え方などを調査するとともに、庁内に少子化対策推進本部を設置し、より実効性のある事業を実施すべく検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高瀬議員のご質問にお答えいたします。
 まず、高野・熊野の世界遺産登録についてでございます。
 「紀伊山地の霊場と参詣道」として国の世界遺産暫定リストに追加されたことにより、高野・熊野の登録は実現に向けて一つのハードルを越えたものと認識いたしております。
 議員ご指摘のとおり、国の暫定リストに追加されたことでそれが直ちに登録に結びつくものではなく、今後クリアしなければならない課題が幾つかございます。
 一点目として、高野・熊野がユネスコの定める基準に合致し、顕著な普遍的価値を有するものであることを証明する必要がございます。このため、今後、大学教授などの専門家による委員会を設立し、詳細な学術調査を実施することとしております。
 二点目といたしまして、ユネスコの作業指針では、候補物件は国内法により保護されていることが条件となっております。高野・熊野の登録予定物件の大部分は既に文化財保護法による史跡指定を受けていますが、例えば奈良、和歌山にまたがる小辺路のように幾つかの未指定物件が残っておりますので、順次史跡指定が受けられるよう取り組まなければならないと考えております。
 三点目といたしましては、登録予定物件の周辺に十分なバッファゾーンいわゆる緩衝地帯を設定し、周辺環境の保護を図らなければならないとされています。自然公園法等でカバーできない地域については関係市町村が独自の条例を制定する必要がありますので、目下、協議・調整を行っております。
 次に、三重県、奈良県との協調につきましては、昨年十一月、木村知事の呼びかけにより三県知事の協議を開催し、本年五月をめどに正式に三県協議会を設立し、今後協力して作業を進めていくことなどが確認されてございます。
 また、世界遺産登録の推進は県の重点施策として位置づけ、既に庁内には関係部局で構成する推進本部を設置し、取り組んでいるところであります。
 情報発信についてでございますが、単に世界遺産に登録するだけではなく、千年以上にもわたる高野・熊野の伝統や歴史、文化などを幅広く内外に発信していくことが肝要であると考えております。関係市町村はもとより、民間団体等のご支援をいただきながら、県を挙げて広報・PRに取り組むことといたしております。
 次に、スポーツの振興についてお答えいたします。
 まず、二〇〇八年の夏季オリンピック大阪市開催が実現した場合には、本県での実施を希望している競技団体もありますので、今後とも大阪市招致委員会に働けてまいります。
 また、県民の関心の高い国際的なスポーツイベントの誘致につきましても、県体育協会等と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 次に市町村対抗ジュニア駅伝大会でありますが、県内市町村の小中学生男女によるたすきリレーを考えておりまして、今後、実行委員会を組織し、具体的な大会運営のあり方やコースの選定等について、陸上競技協会や県警察本部等の協力をいただきながら取り組んでまいります。
 なお、議員ご提言のように、この大会はスポーツの振興や地域の活性化に貢献できるものと考えており、県民の皆様のご支援をいただきながら、本県の代表的なスポーツイベントとして定着させてまいりたいと考えております。
 次に競技力の向上対策については、きのくにチャンピオンプランを策定し、現在取り組んでいるところでございます。さらに、新たに平成十三年度から競技力向上戦略会議の設立やスポーツ医・科学を取り入れたトレーニングなど、短期、中長期的な視野に立った施策を行ってまいりたいと考えております。
 また、現在、ジュニア一貫指導システム構築事業やハイスクール強化モデル指定校事業などの強化対策を行っており、徐々にではありますが、各種大会でその成果があらわれてきております。
 最後に、二〇〇二年ワールドカップサッカーのキャンプ地についてでありますが、誘致委員会を中心として、ワールドカップサッカー日本組織委員会等を訪問して情報収集に努めたり、県民の機運を高めるためのイベント開催などの活動を行っております。
 また、先般、イタリアチームのスタッフが本県のキャンプ地を視察に来たところでありますが、今後とも、現在世界各国で行われている大陸別予選の状況を見ながら、本大会に出場の可能性が高い国に対し、あらゆる角度から幅広くアプローチをしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十一番高瀬勝助君。
○高瀬勝助君 それぞれ答弁、ありがとうございました。
 世界遺産に関してはいろいろあろうと思うんですけれども、ご承知のとおり、アフガニスタンでは巨大な世界的な文化遺産が破壊されているというようなことを思うと、この地球の中で大事な資産を失っていくのは本当に悲しい限りでございます。特に日本は、こうした四海に囲まれた中での独特な、歴史の長いものを持っております。その中でも特に高野山においては、二千年以上の信心の中からそれぞれが育っております。日本の場合、信仰はそれぞれ自由ですからなんですけれども、高野山を信仰の場所という一つの決め方ではなくて、心のいやし、また紀南で行われたいわゆるそれぞれのものを大事にしていくことの中で、そして那智山とか熊野三山といったように和歌山県だけではなしに、先ほど知事が答弁の中で三重県、奈良県の三県と交流しながらやられるということでしたので、ぜひともそういう中で貴重なるこの資産を残していただくためにもよろしくお願いをいたします。
 それからスポーツ面では、子供たちのいじめを含め、すさんだ教育状況でございますので、スポーツを愛する者として、ルールを守り、そして集団で行動することにおける大事さなどを思うとき、学校の教育も含めてスポーツしか救う道がないのかなということを感じている一人でございます。今、小学校や中学校では不登校者がたくさんいることを思うと悲しいことでございますので、教育長を初め教育委員会には、子供たちの指導に対しては真剣に取り組み、十分対応していただきたい。これは和歌山県だけの問題ではないと思いますけれども、そういう意味で、ジュニア駅伝大会もリレーを通じて大事な団体をつくっていくのではなかろうかと思っております。
 過日の県民総体──坂本議員からもご指摘がございましたけれども、やはり県民の創意の中で工夫をし、他の方面でも町民との触れ合いといった流れを県の中でつくっていくことも大事なことだと思っておりますので、これは一考していただきたい。ジュニア駅伝大会への働きかけもありますけれども、県としての催しをしっかりやっていただきたい。そのことを要望して、終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第四 請願付託の件】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、いずれも所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。三月十三日から十六日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、三月十三日から十六日までは休会とすることに決定いたしました。
 なお、委員会審査の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、三月十九日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午前十一時三十分散会

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