平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手〕
○村岡キミ子君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 今回は、四点についてご質問を申し上げていきたいと思います。
 最初に看護婦確保問題についてお尋ねをするわけですが、その前に。
 この一月十八日に、勤続二十八年の同僚が勤務中にクモ膜下出血で倒れて亡くなりました。彼女は五十二歳でありましたけれども、大変経験豊富な熟練したナースでもありましたし、職場ではリーダーとしても頑張った方でもあります。頭が痛いと言って勤務中に倒れまして、CTを撮りに行く途中に意識を失って、そのまま帰らぬ人となってしまいました。彼女は、家庭では子供さん二人、ご主人のお母さんとみずからの母親、これだけ同居しながら──みずからの母親が八十四歳でした。そして、介護度五という脳梗塞の後遺症を残して、その方の介護もショートステイを使いながら、そして三交代をしながら頑張り抜いてきた方でもございました。私の家の前ですので、毎日彼女がどんな顔をして出ていっているのか、どんな顔をして母親の介護をしているのかもかいま見ることもできました。夜勤のときにはほとんど寝ておりません。そして、ショートステイに母親を迎えに行ったり、あるいは送りに行くときにも必ず自分の夜勤明けに行っていたという状況でもありまして、疲労こんぱいをした上で、とうとう病に倒れて急逝されました。看護婦さんの職場は、夜勤労働の中で家事と職場を両立させるという点では大変な問題を抱えている。それだけに、働き続けたいという願いを、しっかりと子育てもしたいという願いを、本当に改善をする以外にないという思いを込めて質問をさせていただきます。
 近年、命にかかわる重大な医療、看護事故が相次ぎ、大きな社会問題になっております。これらについての再発防止策が緊急課題ともなっているところです。事故発生が、国民が信頼を寄せている大学病院や国公立病院、赤十字病院であることからも、事の重大さに心を痛めているのは私だけではないでしょう。相次ぐ医療保険制度の改悪、医療費抑制策の進行は、医療経営者を経営、効率最優先の姿勢に駆り立てています。その上に、入院日数の短縮、ベッド稼働率のアップや人件費抑制などが、官民を問わず今、徹底して進められています。こうした中で、現場は患者の高齢化と重症化、業務の煩雑化、過密化は、医学の進歩や医療技術の進歩とも相まって、看護婦の忙しさに拍車をかけています。看護婦たちは、頻発している医療事故について、「だれにでも起こり得ることだ」と八三・五%の方が思っていますし、「ミスやニアミスを起こしたことがありますか」の問いに、「ある」と答えた人が九一・五%です。その原因については、「忙しさ」が八四・六%、「交代勤務による疲労の蓄積」が四二%、「慢性的人手不足」が三〇・六%、このように答えています。このことからも、仕事が非常に忙しくなって看護婦が疲れ果てている、いつも医療事故と隣り合わせにあって医療事故を起こさない方が不思議なほどで、医療事故はいつ起きてもおかしくない職場の実態です。
 厚生労働省は、看護婦不足対策として、平成三年から平成十二年度末までに看護職員需給見通しを策定してまいりました。そして、看護婦学校の増設や定員増、院内保育所運営補助金、長時間保育に対する補助金などを進めてまいり、一定の前進を見ることもできました。本県においても、医大の短大や県立なぎ看護学校、病院協会や県医師会看護学校の創設で一定の前進をしたことについては評価するものでありますが、まだまだ不足しております。それに、看護婦確保法・基本指針の制定がなされました。夜勤回数は「月八回以内」と明記されています。しかし、八年経過した今も九日以上の夜勤従事者が多く残っています。まさに、法違反という以外の何物でもないでしょう。
 続いて、二十一世紀の初頭に、新看護職員需給見通しを平成十三年度から平成十七年度までの期間として都道府県に指示しているところです。本県では既に策定済みなのでしょうか。
 策定に当たって、基本的な考え方が示されております。それは、急速な少子高齢社会の進行、高度医療の進展、新たな社会保障制度である介護保険制度の実施、安心、信頼のできる医療への国民の強いニーズなどの状況変化にも十分留意して質の高い看護への国民の期待にこたえていく必要があるとし、需要についての考え方として、一、週四十時間制を基本とする。二、年次有給休暇、その他の休暇を容易に取得できるように年休は二十日と明記されました。三、産前産後休業及び育児休業については、妊娠、出産した者全員の取得を基本とし、介護休業についても今後の進展を考慮する。四、一人夜勤は見込まず、複数夜勤を基本とする。五、夜勤回数は一人月八日以内を基本とする。六、医療の高度化、在院日数の短縮及びPTの状態を踏まえて、より手厚い看護体制を組めるように考慮すること。すなわち、三人以上の夜勤体制をしいていくということであります。そして、供給については、就労環境の改善等による離職防止効果について考慮すること。このように述べているところですから、これに基づいて策定されなければなりません。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 本県が見通しをまとめるに当たって、看護職員の就業実態把握を十分行うよう指示されているところです。どのような内容と方法で実態調査を行われたのでしょうか。お聞かせ願います。
 今、看護職場では、患者の高齢化や重症化の中で療養上の世話が大きな比重を占めるようになっております。日勤帯の人員確保が不可欠です。重症化のため、夜勤帯で四十人から五十人の患者を二人で看護することは困難をきわめています。休憩もほとんどとれません。残業せざるを得ない状況と、肉体的には腰痛を訴える看護婦やコルセットを装着して痛みどめの薬を飲みながらという人もふえています。年休などは、代休消化が優先するために、年間五日から十日取得するのが精いっぱいです。妊娠している看護婦が切迫流産になることも依然として多い状況にあります。
 県医労連の調査によりますと、医労連が加盟している公的病院では、三交代で夜勤は二人から三人で、回数は八日以内が六一・九%、九回以上が三八%という状況であります。労働実態を調査し、その実態を見通しに反映させてこそ離職防止対策や医療事故防止になるのではないでしょうか。聞くところによりますと、複数ということで二人という最低ラインによる数値になっているように思いますが、そうなっていませんか。すべてを二人夜勤体制で計算しますと、三人、四人体制で夜勤を行っている現状を否定することにはなりませんか。手厚い看護体制をどのような数値であらわしているのでしょう、ご答弁を求めます。
 そして、供給の見通しについてお尋ねをいたします。
 最も確保できるのは新卒就業ですが、准看学校養成所については平成十二年度で募集中止が四校で百六十五名、平成十四年三月廃止予定一校で定員五十名が減少することになります。これまで、看護婦、准看護婦の新卒者が七百五十五名ありましたが、平成十三年、十四年以降は二百四十五名が減少していくことになります。すなわち、今まで七百七十五名が新卒でありましたが、五百四十名となります。新卒就業者数よりも退職数が多いことになります。供給は大変厳しい状態になるのではないでしょうか。それだけに、看護学校の新設と定員増を積極的に考えることを求めるものでありますが、いかがですか。
 また、国立和歌山病院の進学課程定員五十名の廃止は、准看護婦の看護婦への道をさらに困難にすることになります。看護制度の一本化に伴う移行措置の方向が決定しない現状とはいえ、紀南、紀中地域に進学コースの新設がどうしても必要と願うものでありますが、いかがでしょうか。
 離職防止対策は大変重要な問題です。結婚しても働き続けたいという願いは切実です。家庭と仕事の両立できる環境を保障することがかぎです。どのような対策を考えておられますか、部長の具体的な方策をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、介護保険についてお尋ねをいたします。
 介護保険制度が始まって一年が経過しようとしています。「家族が支える介護から社会が支える介護」へとか、「利用者の選択の幅が広がる」、あるいは「介護地獄から家族が解放されます」などと、随分宣伝されました。そのようなマスコミの誘導の中で、世論調査でも介護保険導入に賛成が七割を超えていました。しかし、その後、事の実態が明らかになるにつれて、介護保険で老後は安心と答えた人はわずかに一二%に下がってしまいました。特に、実際介護を背負うことの多い三十歳代から五十歳代の女性たちからは、「導入に冷ややか」と報道された記事を思い出します。制度が始まりますと、介護のためにつくられた保険なのに介護保険で介護が受けられなくなったと、怒って私の家に電話をいただいた方もございます。
 それから一年、私は、和歌山市や紀北地域の地方議員と一緒に、特別養護老人ホームやサービス事業者、ケアマネジャーの皆さんと懇談をたくさんさせていただきました。さまざまな問題に対応しながらご苦労されていらっしゃいます。利用者や家族と接する中で共通して出されてきた問題は、介護保険制度についてまだまだ十分な理解がなされていないという問題です。これまでも県も市町村も啓発にそれなりに努めてこられたと思うのですが、スタートが余りにも拙速であったため理解をしてもらう努力も随分不足だったと思いますし、期間も余りにも短かったというものです。改めて、きめ細かな啓発を求めたいと思います。県は今後どのような啓発に取り組みになられますか、お聞かせ願います。
 介護サービスを利用するには介護認定を受けなければなりません。介護認定は、要支援から要介護一、二、三、四、五の六段階、それぞれの介護度に毎月幾らまで介護が受けられるかという利用限度額が決められています。この限度額を超えれば全額自己負担になります。例えば、最も軽い要支援の利用限度額は一カ月六万円、最も重度の介護度五では一カ月三十五万円です。サービスを利用すると、それぞれ一割の利用料を払うことになります。この利用料を払えないために、必要なサービスの回数を減らしたり、やめたりせざるを得ない人が今たくさん出てきています。また、ケアプランと利用料金を提示すると、ほとんどのお年寄りが、払えないからもうサービスは要らんと断られ、そのたびごとに法の不備を感じると、ケアマネジャーさんは嘆いていました。新聞報道でも、利用限度額に対する利用率の低さを報じています。本県の利用限度額に対する利用率はいかがなものでしょうか。どのような評価をされていますか。
 これまでの私の質問の中で利用者の満足度調査を求めてまいりました。もし調査されていましたならば、その結果もお聞かせ願いたいと思います。
 利用料が払えない、お金がないため必要な介護サービスを受けられない、こんな法があってよいのでしょうか。昨年十月から、保険料の半額の徴収も始まりました。この一月からは七十歳以上の医療費が定額制から定率制に改定され、医療・介護に大きな負担が押しつけられています。さらに、ことし十月からは介護保険料の全額徴収が始まることから考えても、所得の低いお年寄りの負担は一層大変な事態を招くことになります。そうした中で、市町村は財政が大変厳しいもとでも独自の減免制度を創設し、高齢者を支えています。しかし、これらはまさに保険あって介護なしの欠陥介護保険にほかなりません。憲法第二十五条は、最低限の文化的生活を保障することを国の義務としてうたっています。今こそ県は、国にも意見を申し上げることは当然でありますけれども、県としても思い切った利用料や保険料の減免制度を創設するときではないでしょうか、誠意ある答弁を求めたいと思います。
 元気なお年寄りもたくさんいらっしゃいます。ボランティアで活動している方、さまざまなところで活動しているすてきなお年寄り、こんなお年寄りに会うと、元気をもらったような気になります。以前、我が党が介護保険シンポジウムを開催する際、老人クラブの会長さんにシンポジストをお願いしたところ、とても元気な方が来られました。その方は、「わしは、歳はとっても元気ですよ。介護保険で世話にならないように日ごろの健康に気を使わなあかんよ」と、参加者の皆さん方に元気を与えていただいたことがあります。介護サービスを受けている人も、住みなれた地域で暮らし、早く元気になりたい、寝たきり老人にはなりたくないと、こんな思いを持ちながら暮らしていらっしゃるのではないでしょうか。
 平成十二年度の介護予防予算の中に七億二千九百万余円が計上されております。この予算の執行状況はどうなっているのでしょうか。市町村の取り組みはどうですか。県は、かつて寝たきりゼロ作戦なる事業を進めてまいりました。そこで提案をするものですけれども、この介護予防事業を要支援や要介護一、二レベルのお年寄りの介護度改善のため活用してはいかがかと考えるものです。部長の所見をお聞かせください。
 合併浄化槽の保守点検に関して質問を申し上げます。
 私は一昨年の六月議会と十二月議会でこの問題を取り上げましたし、我が党の金田議員も九月議会で質問をしました。質問の中心問題は、県営住宅における合併浄化槽の保守点検業務がごく限られた特定の業者によって行われており、県と業者が委託契約を結んだ後は業者から契約料を押しつけられることが多分にあることなどでした。そして、住民が業者を選ぶことができる契約への改善を求めてきたところです。県営住宅については、川永団地の方々が初めて合併浄化槽の保守点検料の支払いに直面し、予期していなかった高額の負担に驚かれたことに端を発しました。私どもの問題提起に対して土木部長は、川永団地の合併浄化槽の保守点検については、従来の実績や緊急対応能力などを考えての委託契約であり、業務は適正に行われていると答弁されつつも、契約のあり方については研究課題とすると言明されました。川永団地の住民の皆さんが別の業者に見積もりを求めたところ、うんと安い料金で業務ができるという回答を得た事実も示してまいりました。これに対して土木部長は、こうした見積もりの研究の一つの材料になるとも答弁されています。土木部長は、浄化槽の保守点検業者にランクづけを行っているわけではなく、県営住宅の保守点検をする能力を持つ業者は浄化そう協会のほかにもあると考えているとも明確に述べられました。
 最初に私が問題提起をしてから一年半が経過します。県に登録されている一つ一つの業者の実績、能力などについてどのような検討が加えられてきたのでしょうか。
 私は、兵庫県や京都府では、自治会と業者が自由に契約している例があることもお示ししました。こうした実情は、実際にお調べになったのでしょうか。
 川永団地の住民の皆さんは、平成十一年、十二年については疑問を持ちながらも業者と契約をされました。契約更新の時期に当たる新しい年度を目前にして、県が具体的にどのような検討をしてこられたのか、住民は注視しております。これまでの研究の到達点と今後の方針についてお示し願います。
 最後に、紀伊丹生川ダム問題についてお尋ねを申し上げます。
 大阪府は、このほど府営水道第七次拡張事業計画の変更方針を明らかにいたしました。その中で、一日の最大給水量を前回の予測、三年前の一九九八年二月時点の予測でありますけれども、二〇一〇年度で二百六十五万立米が必要としていたものを、今回の予測では二百五十三万立米に、十二万立米の下方修正を行っています。府全体の水需要の伸びが鈍ると見込まれる中で、紀の川水系からの取水量についても二十五万立米から十三万立米に、ほぼ半分に減らすとされています。紀の川分水の水源は紀の川大堰と紀伊丹生川ダムであり、紀の川大堰からは毎秒〇・二九トン、日量では約二万五千立米となっていますが、紀伊丹生川ダムからは十万五千立米ということになります。そこから紀伊丹生川ダムの計画全体が見直されるのは当然のことです。
 私は、一昨年の十二月議会で紀伊丹生川ダム計画を取り上げ、大阪府営水道が二〇一〇年には二百六十五万トンになるという予測は大き過ぎるものであり、実際の水需要の動向を反映していないことを指摘してまいりました。当時の建設省が設置した紀伊丹生川ダム建設事業審議会すなわちダム審の最終意見は、利水について次のように述べています。「和歌山市及び大阪府の水需給計画については、当該自治体が責任を持ち、長期的な視野に立って作成したものであり、その計画は、水道事業者として供給義務に対する安全性を考慮し、極めて慎重な立場で作成されたものであると思料されることから、本委員会としては基本的にその計画を尊重して良いと考える。 ただし、和歌山市及び大阪府両自治体は、社会経済情勢の変化に応じて、水需要予測について見直しも含めて更に綿密な調査・検討を行う」となっています。和歌山市や大阪府の水需要計画の内容について、その内容の適否を審議せず、それを基本的に尊重してよいとしていることこそが問題です。和歌山県としても、大阪府に言うべきことは言うべきと要求をしてまいりました。その後、ご承知のように和歌山市が水需要予測の下方修正を行い、今回、大阪府も同じく下方修正を行ったものです。大阪府の見直しの一端はこうした指摘が正しかったことを証明したものと言えますが、今回の二百五十三万トンへの見直しも今後さらに変更される可能性が大きいと思います。
 今回の大阪府の需要見直しによっても、紀の川水系からの取水は必要との立場に変わりはないことになっています。しかし、大阪府の費用負担は紀の川大堰だけで現在約四百五十億円にもなっています。ダム建設は現在の総事業費が千五百六十億円となっていまして、多少減額されるかもわかりませんが、利水負担が四割となりますと、何と約六百億円、そして大阪への送水関連施設の建設費とを合計しますと二千億円近くにもなってきます。それで、一日最大十三万立米、毎秒一・五トンの水をとることになりますが、一トン当たりの水利権が一千億円を超える水になります。何と高い水でしょうか。費用対効果の点でも、大阪府営水道の財政上からも、今後紀の川からの取水問題が大阪府政で大きな問題となってくるのは必至です。
 企画部長にお尋ねをいたします。
 紀伊丹生川ダムからの利水について大阪府と話し合い、紀の川分水協定そのものの見直しを行うべきと考えますが、見解をお示しください。
 長野県の田中知事、今全国に話題を呼んでいるところですが、この田中知事が脱ダム宣言をやりました。この脱ダム宣言の中で田中知事は、「数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過し得ぬ負荷を地球環境へと与えてしまう。さらには、いずれつくりかえねばならず、その間におびただしい分量の堆砂を、これまた数十億円を用いて処理する事態も生じる」として、「河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、百年、二百年先の我々の子孫に残す資産としての河川、湖沼の価値を重視したい。長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、あまたの水源を擁する長野県においては、でき得る限りコンクリートのダムをつくるべきではない」、そして「治水のあり方に関する全国的規模での広範なる論議を望む」と、このように言っております。治水のあり方として、ダムに頼らない方策を提起し、全国に論議を呼びかけています。和歌山県でも、この呼びかけにこたえて真摯な論議を行うべきではないでしょうか。
 紀伊丹生川ダムの治水上の効果は五百トンです。一万六千トンの三十二分の一にすぎず、大台ケ原での大量の雨が紀の川の水位を上げている中で、雨量の少ない高野地方でのダム建設が治水上も効果のあるものか、疑問が出されているところです。河川法の改正により、流域委員会が設置されることになり、紀の川の流域委員会が設置されることになっています。この三十日には三回目の準備会が開かれ、委員もそこで確定されるようであります。
 土木部長にお尋ねをいたします。
 流域委員会での論議は、さきのダム審での審議結果には左右されずに、紀の川の整備計画を上流の森林整備とあわせて慎重に審議するよう国に求めていくのが当然だと思いますけれども、部長のご所見はいかがですか。
 これで、第一回の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) まず、看護婦確保問題についての就業実態をどのように把握したのかということでございます。
 看護職員等の実態を把握するために、昨年の九月に全病院九十二施設、全有床診療所二百二十五施設と、無床診療所八百六十二施設のうち、約一〇%の八十六施設を対象にアンケート調査を実施いたしました。調査内容といたしましては、看護体制、夜勤体制、採用者数、退職者数、退職理由、職種別人数、年齢構成等であります。その結果、主なものとして、平成十二年の病院の看護体制は、患者二人に対して看護婦一人の二対一が一二・一%で、二・五対一が五一・三%、三対一が二三・九%であり、そのほかは一二・七%でございました。また、平成十二年の夜勤体制は、一人夜勤が四・八%、二人夜勤が五八・一%、三人夜勤が二七・五%、四人以上の夜勤が九・六%でありました。今回の調査及び他の調査資料から推計を行い、看護職員需給見通しを策定してございます。
 次に需給見通しでございますが、今回の看護職員需給見通しは、週四十時間勤務、年次休暇、産前・産後・育児休業、介護休暇など、国の示す策定方法に基づいてございます。本県独自の方法として、非常勤職員の常勤換算や生理休暇を盛り込み、さらに平成十七年には看護体制二対一の病床が五〇%となるよう推計し、より質の高い看護体制を目指したところであります。この結果、需給見通しとしては、平成十三年の需要数は一万一千八百四十人、供給数は一万一千九十二人で七百四十八人の不足であり、平成十七年には需要数一万三千百七十二人、供給数は一万二千四百九十一人で、六百八十一人の不足になると予測してございます。
 次に、看護学校の新設と定員増、また進学コースの新設でございます。
 平成七年度になぎ看護学校、平成八年度に医科大学看護短期大学部を新設し、平成十二年度には和歌山市医師会立看護専門学校が開校されたところであります。近年の少子化による十八歳人口の減少傾向が見られる中、看護学校の新設は困難でございますが、定員の増につきましては関係機関と協議するなど、今後の研究課題と考えております。進学コースにつきましては、准看護婦の養成数の減少が見込まれる一方、国で検討されております准看護婦の看護婦への移行教育の動向を見守ってまいりたいと考えております。
 次に離職防止についてでございますが、看護職員の離職の大きな理由としては、女性が多数を占める職業であり、人の生命を預かる厳しい職業であることからも、夜勤の軽減や院内保育の充実が必要と考えております。今後、病院内保育施設に対する運営費の補助を行うことにより病院内保育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また夜勤につきましては、国の看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的指針でも示されております複数で月八回以内や母性保護の点からも、夜勤当直の免除や軽減、配置転換等、関係機関の協力をお願いして、働きやすい職場環境をつくってまいりたいと考えております。
 なお、今後、離職防止策を実施している病院が行う看護婦宿舎整備やナースステーション等の勤務環境の改善整備に補助することにより、医療機関による離職防止の実施を促進するとともに、看護職員が働きやすい環境を整備してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度の理解についてお答えをいたします。
 介護保険制度の円滑な実施のためには、県民に対し制度に関する情報をわかりやすく提供し、十分な理解を求めることが重要でございます。今までも、「県民の友」や県民チャンネル等の県の広報媒体を活用するほか、街頭啓発を行うなど、積極的に啓発活動を行ってまいりました。特に、本年十月には介護保険料の全額徴収が始まることから、より一層の啓発活動に加え、生きがいデイサービスなどの介護予防施策の大幅な充実、インターネットを活用した利用者本位の介護サービス情報提供システム──「おたすけ介護ネット」と称しておりますが──の構築、在宅介護支援センターを活用しての地域の介護ニーズの掘り起こしなどにより、県民の方々が介護問題や介護保険への理解を深めていただけるように努力をしてまいります。
 次に在宅サービスの利用率の状況についてですが、制度が昨年四月にスタートした後、徐々に在宅サービスの利用量が増加し、今年度において予想しておりました利用水準に達しつつあります。今後も、利用は徐々に伸びていくものと考えております。要介護度別の利用限度額に対する利用額の割合は、昨年十月において平均して四一%となってございます。また満足度調査につきましては、県内の要介護認定を受けられた在宅の高齢者五百名を対象に介護サービスに関する意識調査を実施し、現在は集計中です。今後、まとまり次第、その内容を公表してまいりいたいと考えております。
 次に利用料、保険料の減免でございますが、県独自の利用料減免制度の創設につきましては困難であると考えますが、今後とも県民の方々が必要な介護サービスを利用できるよう、県民への啓発、ケアマネジャーへの指導、介護サービスの充実等にさらに努めるとともに、恒常的な生活困窮者への減免要件の拡充など、低所得者に対する負担軽減を国に要望してまいります。
 また保険料についてですが、昨年十月より六十五歳以上の方からの徴収が始まりましたが、全体としては収納率は九八%から九九%となってございます。県といたしましては、引き続き市町村との連携を図り、保険料について県民の方のご理解を得られるよう努力してまいりますが、県独自の保険料減免制度の創設は困難であると考えてございます。実態を把握しながら、今後とも恒常的な生活困窮者への減免要件の拡充など低所得者に対する負担軽減を国に要望してまいります。
 最後ですが、元気な高齢者づくりについてでございます。
 介護予防・生活支援事業の今年度予算の執行状況ですが、年度途中でもあることから、概算で九割強になると見込まれてございます。介護予防・生活支援事業は、配食サービスや外出支援サービスなど二十二のメニューから成っておりますが、とりわけ生きがいデイサービスについては県内四十七市町村と、ほとんどの市町村が取り組んでおります。新年度におきましても、要介護の高齢者や自立の高齢者がともに利用していただける三世代交流事業、文化伝承活動振興、高齢者教養講座などの生きがいづくりや健康づくりを支援する生きがいと健康づくり推進事業を創設することとしており、これらの施策を通じ、高齢者が楽しみながら介護予防や要介護度の改善が図られるものと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 合併浄化槽についてのご質問二点について順次お答えします。
 まず保守点検業務に係る研究の進捗状況についてでございます。
 県営住宅団地の浄化槽の維持管理業務契約につきましては、県営住宅の浄化槽のように規模の大きな浄化槽の維持管理業務については、すべての保守点検業者がその能力を備えているとは考えていないため、一般競争入札により業者を選定することは不適当であると考えていますが、維持管理業務が適正に実施されるか、あるいは費用が妥当か等の観点から、現在採用している方法より適切な方法があるかどうか研究課題として取り組んでいるところであります。県営住宅の浄化槽は汚水の処理方法もさまざまであり、多様な維持管理業務への対応、あるいは緊急時における対応等について検討しております。
 次に、これまでの経過を踏まえて今後の方針はということですが、一般に費用が安くなればサービスの質が低下するリスクが増大すると考えられ、費用についてだけではなく、維持管理業務が適正に実施されるかどうかという観点からも、より適切な方法があるかどうか、引き続き慎重に研究する必要があると考えております。
 次に、紀伊丹生川ダムについてのご質問の二点目、流域委員会の論議は慎重にするよう国に求められたいとのご質問ですが、流域委員会は、改正された河川法に基づく紀の川の河川整備計画を策定するに当たって広く意見を聞き、提言を受ける場として近々設置されるものです。この委員会において、国土交通省は整備計画の原案を示し、それに対して自由な意見をいただくもので、取りまとめ等、その運営につきましては委員会で決定するものと聞いております。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 紀伊丹生川ダムからの利水に係る大阪府との紀の川分水協定の見直しについてお答え申し上げます。
 大阪府営水道の見直しについては、給水区域内の市町村水道の同意を得た上で、広域的水道整備計画の改定及び水道企業条例の改正として二月府議会に提案されていると聞いております。平成十一年十二月議会でもお答えしましたが、水道計画については、水道事業者の責任において策定され、議会での議決手続や国の認可を経て確定されるものであり、大阪府営水道の見直し結果は尊重したいと考えております。
 なお、大阪府の水道計画が見直し作業中であることから、紀の川利水に関する協定書についての協議ができておりませんが、今後大阪府と協議してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、再質問及び要望を申し上げたいと思います。
 最初の看護婦の需給見通しにかかわっての問題ですけれども、これは数字として厚生労働省に出されて、厚生労働省も発表しているわけです。その際に、今の看護婦さんたちの職場の実態がどうなっているのかというのをちゃんと調べなさい、その上でこの見通しの計画をつくりなさいよと、あえて指示がしてあります。そういうもとですから、よりよい看護が提供できるために、その需給計画をどうするかということになると思います。
 そういう点で、今非常に医療事故が頻発をしているということで安心して病院に入院できない、何か間違われるのではないかという不安が一層高まっている状況にあるのではないかと思います。病院、あるいは病院で働いている看護婦さんやお医者さんたちに対する信頼が随分と薄らいできているのでないか。そのために現場では、いろんな方法を駆使しながら一生懸命頑張っている、信頼回復をやっていこうという努力をしている最中なんですね。そういうところでの需給見通しでありますから、本当に必要な看護婦の数は幾らなのか、そしてそれに対してどのような形で供給していくのかということになるわけですね。
 それで、一番問題なのは、今看護婦さんたちがやっている二人夜勤、三人夜勤あるいは四人夜勤、中にはいまだに和歌山県でも一人夜勤がまかり通っているという状況にあるわけです。現場として見れば、これは大変患者さんに不安を与えながら、みずからも労働過重になっていると言えると思います。
 実態把握というのは、厚生労働省が指示している内容でもありますけれども、どれだけの夜勤をやっているのか、何人でやっているのか、夜勤回数は何回なのか、あとは介護保険が導入されましたから、その施設や事業所で看護婦さんがどれぐらい必要なのかというのが、あえて今度加味される部分なんです。けれども、今の現場の実態は、回数とか何人でやっているとかという問題だけでははかれないと思うんです。現場は非常に忙しくなっていますし、業務量も非常に多くなっているということから見れば、それがどれほど実態に反映されるのかということがかぎになるわけです。
 ですから、そういう点で見れば、ここで特徴的なのは、パートの人を〇・五に見るのではなくて一人に見たという報告があるわけです。それはそれでいいと思うんですけれども、しかし働いている条件、いわゆる労働条件の実態が反映されていないと私は思うんです。例えば、職場で本当に三人夜勤が欲しいと当局に言っても、ふやしてくれない。ふやさんでもよかったら三人夜勤にしますよと、こういう投げやり的なことになる。そうでなかったら、現場は早出、遅出という時間帯をつくるわけです。これは、依然として二人夜勤のままなんです。だから、実態は三人夜勤が当然なんだということだけれども、この需給計画では二人夜勤でやりなさいよということになっていますから、現在、三人夜勤、四人夜勤、五人夜勤をやっているところの実態は無視されるということになるわけです。そこのところは、ここに生かされていないという問題です。
 それから、本当に現場で頑張っているけれども、それがなかなか反映されないというしんどさがあります。手術場の数とか外来の看護婦さんの数というのは、ここではちゃんと見ているようで見ていないという数字です。厚生労働省の指示の仕方もそうですから、そういう点でも最初から実態が反映されていないものになっている。ただ、今度前進したところは、看護婦確保法に基づいて複数夜勤で月八日以内というのが明言されましたし、週四十時間制で計算しなさいということ。それから、育児休業や産休、年休についてはちゃんと数字を示して、これだけのものについて計算をしなさいと。年休についても、厚生労働省は十五日ですけれども、年休というのは二十日から始まっていきますよね。公務員だってそうでしょう。だから、そういう点で見ると、必要な部分についてもまだ削っているということです。
 それともう一つは、看護婦確保法が一九九二年に成立いたしました。ここでも、複数夜勤で月八日以内と法律で決めたんですよ。ところが、いまだにこれが守られていない。法をつくっても何にもならんということです。これは、国とそれぞれの地方自治体の法を守らないという体質がそのまま残っているということになるんです。そういうところをきちんと守らないで、この計画をつくったからと言って必ず保障されるのかどうかというのは疑問です。一応つくったというにとどまると思うんです。それは、看護婦確保法もそうですが、人事院判定が月平均八日以内にしなさいと、もう四十年前につくったんですよ。それが、いまだに国立病院で守られていないということ自体も大きな問題です。
 ですから、そういう点では、きちんと決めたことについては、行政は責任を持って指導強化をするということが当然やられなければならない問題だと思います。そういう点でも、ぜひこの確保法を重んじて、平成十七年度までの欠員について、供給数についてはちゃんと保証できるのかどうかという点でお尋ねをしたいと思います。
 それを確保するためには、やはり看護学校が大事なんです。准看制度廃止を看護協会も看護婦の職能団体も望んでいることですけれども、和歌山県もだんだんこれが廃止されてレギュラーコースがふえてまいりました。それはいいんですけれども、やっと和歌山も近畿並みになったかなあと思っていたところ、今度准看護婦学校が四校ですか、閉鎖していくわけですから、非常に大きな痛手となるわけです。今まで、准看護婦さんたちが和歌山県下では非常に大きな役割を果たしてきました。約半数は准看護婦さんですからね。その人たちが進学課程に進むには、まだまだ狭き門と言わざるを得ないわけです。今度、国立和歌山病院の看護学校が閉鎖になるということでありますし、南紀高校の専攻科も平成十八年には閉鎖ということになっていくわけですから、そういう点では非常に新卒者が大きく減少するということになるわけです。そういう点では、ぜひ看護学校を公的な部門として考えていく必要があると思います。その点についても、もうつくらんという返事ですけれども、これはもう必要に迫られているわけですから、ちゃんと検討をしていただきたいと思います。依然として退職者が六百人から七百三十人ぐらい毎年あるわけですし、それに看護学生が毎年どんどん減ってくると、こういうような状況になりますと、再就職者はパートが多いですから、そんなに期待できるものではないと思うんです。
 そういう点でも、しっかりと看護学校を増設するということと、今まで大きな役割を果たしてきた准看護婦さんたちの進学課程をどうやって保障するのか、そのことが看護婦の質を高めて安心して看護の現場を保障していくということになると思うんです。ましてや、医療事故を防ぐための最大のものだと思うわけです。その点についても、看護学校について、もう一度、嫌やと言わんと、ちゃんとした姿勢を示していただきたいと思います。
 それから、介護保険の問題です。
 きのうの朝日新聞に、一年間の総括が載っていますね。白井部長、お読みになりましたか。これを読むと、何をしなければいけないということが一目瞭然ですね。利用料が高くて、低所得者の人たちにはもう耐えがたいものになってきていると。次から次と医療費の負担、あるいは介護の負担がふえていくことには、本当に命を奪われるような状態になっているわけですから、そういう点でも国に言うべきことはちゃんと言う、そして行政が責任を持ってやれる分については目いっぱいやるという姿勢で臨んでほしいと思うんです。
 今、低所得者の皆さんたちが一番訴えていらっしゃるのが保険料と利用料を何とかしてほしいということです。そして、わずかな市町村ですけれども、今そういう人たちのために一定量の減免措置をとり始めていますから、ぜひ県としても、そんなことをするなよというような指導はしないで、できることはないのかという模索のための指導を強化していただきたいと思います。
 最後ですけれども、土木部長。川永団地の皆さんたちが、最初の単独浄化槽から合併浄化槽に切りかわったときに大変負担が大きくなるということから源を発しているわけですけれども、あなたが幾つか研究課題の内容をおっしゃいましたが、それをきちんと早くめどを立てていただきたいと思うんです。やる気があれば、そんなものすぐやれるはずですよ。一年半もたってまだそういうところでは困ります。やっぱり、生活している住民の皆さんたちの毎日のことを思っていただきたい。これは解決できる問題だと思うんです。それの見通しが立たないということになりますと、住民の皆さんたちはこの三月でまた契約を切りかえていかなくちゃいけないわけですから、そういう点でも早くめどをつけていただきたいと思います。
 これは、要望しておきます。以上です。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、現時点で、県による学校等の新設は非常に難しいと考えてございます。そのためには、離職防止策等、病院関係者の理解も求め、看護職員の確保に一層努めてまいりたいと思ってございます。結果として、夜勤体制の改善等につなげていければと考えてございます。よろしくお願いいたします。
 低所得者の対策につきましては、市町村へ押しつけるような話をするつもりは決してございません。国へは、強く要望を重ねてまいります。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が残り七秒であります。
 所定の時間が参りましたので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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