平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜田真輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第八十号まで、並びに報第一号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第一号から議案第八十号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十四番浜田真輔君。
  〔浜田真輔君、登壇〕(拍手)
○浜田真輔君 おはようございます。通告に従い、順次、質問をさせていただきます。
 今議会の知事説明にあるとおり、現在において、二十世紀に築き上げられた我が国の社会経済システムが、いろんな面で確かに通用しなくなりました。そして、この二十一世紀は、まさしく競争の時代であり、その新しい時代に対応できる新しい社会経済システムの構築が我が国の喫緊の課題になっていることは周知の事実であります。
 しかし、その一方で、そのことを十分に理解しながら、我が国の政治も、そして私たちも、急激な変化に戸惑い、また政治は明確な方向や目標を指し示すこともできずにいると言えるかもしれません。当然、その方向転換を始めること、また決断することもできずにいます。そして、そのことから私たちのこの日本の社会経済は混乱を来たし、萎縮していると言えるのではないでしょうか。その結果、今日の失業率、また株価の低迷など、あらゆる経済指標が経済的不安を数字であらわしております。政府の言う「緩やかな景気回復」は実感の伴わないものになっていると言えます。また、見聞する中で、各分野において社会不安の増加傾向も拍車をかけているのが私たちの国の姿であり、当然この私たちの和歌山県も例外ではないと言えるのではないでしょうか。
 そうした背景の中、政治の役割、また行政のかじ取りは、まさしく最重要であり、このときこそ政治が勇気ある方向性を明確に示し、そして決断をしていかなければならないと考えます。そして今、議会において提案された予算を通して、改めて知事が目指す県財政のあるべき姿についてお伺いをしたいと思います。
 現下の厳しい財政状況の中、知事就任当初のあいさつにもあったとおり、事務事業評価のシステムを活用しながら、事業の聖域なき徹底した見直し、また厳しいシーリングの導入、職員給与のカットなど、財政運営プログラムIIに基づく財政健全化策に取り組む意思が生かされた今回の予算案であることは十分に理解できます。また、現下の厳しい経済状況において、県民感情、県民意識といったものを考え合わせれば、むだをなくすということが求められ、そして一方で効率かつ効果的な財政運営を求められていることを受けての予算だとも理解することができるものだと思います。知事初め県職員の皆さんの予算編成に当たっての苦労は、十分これらを通じて感じることができることは申し上げておきますが、あえてこの議会において問うことをさせていただくならば、今後の目指すべき県財政の姿についてであります。
 知事は、職員の約一五%を対象とした給与カットをこの予算に盛り込んでおります。さきに述べたように、厳しい財政状況の中、財政健全化策に取り組む上でも、また、この不況下、県民感情、県民意識といったものを考え合わせれば、当然職員の給与カットは避けて通れない措置だと私も理解します。しかし一方で、私は給与といったものは、もちろん受給者の生活の糧であることは当然でありますけれども、人材確保、また人材育成の糧である側面を持ち合わせていると思います。それらのことを考え合わせる上で、職員の給与カットは、この十三年度以降、今回の給与カットをベースに引き続き考えていくおつもりなのか、また、勧告等にかんがみ、許容範囲内で流動的に対応していくおつもりなのかをお伺いしたいと思います。そして、職員の給与体系を将来見直し、また改革すべき考えがあるのかを知事にお尋ねしたいと思います。
 当然のことでありますが、給与カットは万人だれしもが喜ばしいことではありません。しかし、現下の状況ではいたし方ない措置でもあります。これは民間事業者においても同様であると思います。しかし、県職員の皆さんもこの厳しい環境下、険しい道のりを苦労して歩む上で、知事は県行政のリーダーとして、また県、人事の統括者として、この険しい道のりを苦労して歩いた後には何があるのかという明確な意思表示を県職員にすべきだと私は考えております。これはリーダーの必要不可欠な資質であると思いますが、いかがでしょうか。苦労を苦としない原動力は希望であると言います。このことを思う上でも、県職員の意識改革が必要だと言われている知事にこのことについてご答弁を願いたいと思います。
 続いて、投資的経費と義務的経費の今後についてお伺いをいたします。
 投資的経費については、平成十三年度予算の概要によれば、平成八年度から毎年減少傾向にあり、十三年度との比較シェアでは一二・二%の減少にあります。主たる要因は単独事業減によるところが大きいわけですが、支出額から言えば約六百二十億円の減少になっております。私の認識が誤っていれば正していただきたいと思いますが、社会資本の充実を図る上で、そして副因的には経済的効果を考える上で、投資的経費の果たす役割は決して小さなものではないと私は考えております。当然、現下の財政状況から考えれば投資的経費の抑制は当面いたし方なしと思われますが、十三年度を木村知事の予算編成の初年度と位置づければ、投資的経費については、厳しい財政状況を考える上で主に単独事業を減らし、今後も減少傾向はやむなしとお考えになるのか、それとも厳しい財政状況をにらみながらも現状維持ないしいずれは拡充をお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。望むことならば、今後、県行政の姿として投資的経費は効率かつ効果的であることを本分とし、シェアの拡充に努めていただきたいと私は考えております。
 次に、表裏一体と言うべき義務的経費についてお伺いをいたします。
 義務的経費については、平成八年からのシェアで六・一%増にあり、支出額では約四百三十億円増になっているわけであります。この義務的経費についても、公債費を考えれば支出に占める割合は今後増加傾向にあることは避けて通れないと思いますが、今後の義務的経費についての取り組み方を知事にお伺いしたいと思います。
 今議会当初の知事説明に、地方自治体間においても同様に競争の時代がやってくるとのことを言われておりました。まさに同感であります。現下の国の財政上から考えても、また地方分権がさらに進むことを考え合わせれば、避けては通れない道であると思います。そして、この知事説明の中には、地方分権の時代にあって自治体独自の財源の確保が重要であり、地域特性を生かしながら自立型経済構造への転換を図っていく必要を訴え、民間と行政の役割分担を見直し、また民間やNPOとの協働を推進するなど県政の構造改革を進めるとあり、県の財政規模についても自主財源に見合った姿に近づけていくことも必要ではないかと考えているとありました。このことから察するところ、将来は効率的な行財政規模の縮小といったものを知事は念頭に置かれているのだと私は理解をしましたが、このことを踏まえて、明確でシンプルかつ忌憚のない今後の県財政のあるべき姿をお答え願いたいと思います。
 次に、医科大学跡地利用についてお伺いをいたします。このことについては、山下議員、江上議員の質問と重複しますが、お許しを願いたいと思います。
 まず、医大跡地については、県としては医科大学跡地利用懇話会の報告を基本として跡地利用に関する県の基本方針を策定後、民間事業主体を選定するための事業コンペの実施をするとあります。そのコンペの実施時期、それとあわせて事業完了めどを明確にお答え願えればと思います。あわせて、現段階でコンペに参加するであろう信頼性のある事業者の数もお教えをいただきたいと思います。このことは、知事と企画部長に答弁を願います。
 いまだ重要懸案事項である加太のコスモパークの事例と医大跡地とは、経過も性質も異なるものだと私はもちろん理解はしていますが、どうもコスモパーク加太の経過を思い起こすと、この医大跡地の成否を懸念せずにいられないのは私だけではないと思います。跡地利用の早期解決は県民の注視しているところでありますし、ぜひともその答えをいただきたいと思います。
 そしてもう一点、和歌山市から県に再三申し込みのある仮称・公立和歌山創造大学案とこのコンペを、仮に同じ視点といいますか、同じ土俵に乗せたとしてですが──この大学の是非は別としてあるわけですが──片方はより具体的かつニュース性が高いわけであります。しかし、現在県が示されているコンペ案というのは、県民から見れば具体性に欠け、またニュース性に乏しいと言わざるを得ません。そういった意味でも、県当局は県民に今後より一層、具体的に説明をする必要があると私は考えます。
 次に、さきに述べた和歌山市が予定をしている公立大学に関連してお伺いをいたします。
 ご承知のとおり、この公立大学は和歌山市議会での賛否が今問われている案件でありますが、私は、工科大学の凍結を決定した県として、この和歌山市が予定をしている公立大学を含め、和歌山県下に大学の新設、増設、また増員は今後必要なのか、企画部長にお伺いしたいと思います。
 この医科大学跡地が前にも増して県民の関心を集めることになった背景には、中心市街地の落ち込みというものがあります。丸正の自己破産、ビブレの撤退、また大丸の廃業など、それらが拍車をかけているわけであります。懐古的に申し上げれば、ぶらくり丁を中心としたこの一帯は、過去には休日を過ごす多くの人々の憩いの場でありました。また、あわせて多くの人々に特別な思い出を残している場所でもあります。
 確かに、車社会を初めとする時代の変化と価値観の多様化などという言葉で片づけてしまい、今と昔とは違うんだと、こう言ってしまえばそのとおりだと思います。しかし、この和歌山市の場合のみならず、各都市、各地域、特に地方都市の中心市街地の商業地の落ち込みはどこも深刻な問題となっていることだけは間違いありません。そのことを受けて、当然行政はその商業地の活性化の必要性を深刻な問題ととらえ、バックアップに取り組んでいこうとする姿勢は理解しますが、知事の所見としてこの問題を今後どうとらえていくおつもりなのかをお伺いしたいと思います。
 最後に、財政の健全化、行政の役割の見直し、そして今日の社会経済の環境の悪化など、山積した問題を目の前にして、これからの行政判断のほとんどが厳しくつらいものになると思われます。ぜひ知事においては、勇気と英断を持って取り組んでいただくことはもちろんでありますが、今後、県民に木村イズム、木村スピリットと言えるものを今以上にお示しをしていっていただきたいと思います。
 そして、あわせて、改革の必然性を感じているならば、知事は理性ある問題提起を恐れないでいただきたいというふうに思います。このことを以上の質問の答えに生かされることを願いつつ、一回目の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの浜田真輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、職員の給与カットにつきましては、県財政の状況を踏まえ緊急的措置として実施するものでございまして、具体的には十三年度は経験年数二十五年以上の職員を中心に給料の二%カットを実施したいと考えているところでございます。なお、十四年度以降につきましても、財政状況等を勘案しながら検討してまいります。
 私は、財政再建は何といっても、まず県民の方々の苦しみを職員が自分の苦しみとして考えるところから進まなければならないと。今また景気がさらに厳しくなってきております。そういう状況の中で財政再建を考えるときに、やはりまず職員みずからが汗をかくことから始めなければ県民の方の信頼を得ることはできないという信念のもとに進めていきたいと考えております。
 次に、変革期を迎えつつある公務員の給与体系についてでございますが、本県におきましても、ただいま申しましたような観点から、民間の感覚というものを大いに取り入れて、職員の能力をより適切に反映できるめり張りのある人事、給与体系の構築を目指し、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、投資的経費と義務的経費についてのご質問でございます。そしてまた、県財政のあるべき姿についてのご質問でございます。
 平成十三年度、来年度の予算編成におきましては、財政健全化の推進ということと、あわせて二十一世紀に向けての時代の潮流に合ったタイムリーな施策の積極展開という、ある意味では方向の違う二兎を追う形を基本にして予算編成を行ったところでございます。このような姿勢のもとで、投資的経費につきましては、厳しい財政状況の中で、本県で初めて公共事業にシーリングを導入する──これは大変なことだったわけでございますが──とともに、ただ和歌山県の勢いをそぐようなことになってはいけないので、やっぱり分野別には、例えば道路予算に重点的に経費を投入するなど、財源の効率的な重点配分を図ったところでございます。
 今後とも、県の発展を支える社会基盤整備については積極的に推進していく必要があるという認識のもとで、また、このごろはやりになってきましたけれども、身の丈に合った財政運営を進めていくというふうな両方あわせ持った中で、単独事業を含めた投資的経費につきましても、できる限り規模を確保しながら一層の効率化、重点化を図ってまいりたいと、このように考えております。
 次に義務的経費でございますが、職員定数の削減や独自措置としての職員の給与カットなどにより、極力抑制に努めました。ここしばらくは公債費がさらに増加するなど義務的経費の増嵩というものが見込まれますので、後年度負担を勘案した県債の発行の抑制とか人件費の削減に努め、義務的経費全体の抑制を図っていきたいと考えております。
 次に、今後の県財政のあるべき姿でございます。
 一昨日でしたか、宮沢財務相が十年後の日本の財政は大変なことになるということを言ったのがまた株価に影響するというような、非常に混迷の度をきわめている状況ですけれども、こういう激動する変革期の中にあって、今我が県が財政の基本に置いている地方交付税であるとか、国庫補助金とか、こういうものについても今後、好むと好まざるにかかわらず、やはり大きな変革の波をかぶらざるを得ないだろうという感じを持っています。このため、将来を見据え、どのような状況にでも対応できるような弾力的な財政構造の実現を今から図っておく必要があるというのが私の基本的な財政運営の考え方でございます。
 次に医大跡地の関係でございますが、医大跡地の事業コンペの実施時期については、中心市街地を取り巻く状況がことしに入って厳しさを増していることから、できるだけ早くコンペを実施して地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、中心市街地の活性化全般についてでございます。
 現在、全国各都市の中心市街地の商業機能の空洞化が問題となっているところでございます。そしてまた、和歌山県でもそういうふうなことになっておりますので、私としても強い危機感を持っているところでございます。
 このような状況のもとにおきまして、中心市街地活性化法が平成十年の七月から施行され、和歌山県では和歌山市を初め六市町において現在活性化に向けた取り組みがなされているところでございます。
 県といたしましては、これまでも既成商店街を中心とする市街地の活性化に向けて、ソフト・ハードの両面からさまざまな施策を講じてきたところでございますが、これからは全国の中心市街地の中で、数は少ないわけでございますけれども、ITの活用であるとか、町並み、歴史文化など地域資源の利用によって活性化に成功しているところもないわけではございませんし、またそういうところでは後継者の育成もできていますので、現地に調査に行くなどして、本当に何が成功の原因になっているのかということを十分参考にしたりしながら、新しい視点から市街地活性化に積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 医大跡地利用の中で、コンペの実施と見込みについてお答えいたします。
 事業が完了し、施設が開業する時期についてでございますが、施設の建設、運営は民間事業者が行うこととなっておりますので、コンペで事業者が決定した後、速やかに事業着手し、完了できるよう事業者と協議を進めてまいりたいと考えております。
 また、コンペ参加の事業者数についてでございますが、かねてから民間事業者に対してコンペ参加を打診してきたところであり、現下の情勢では幾つかの事業者が前向きに検討しているところでございます。
 続きまして、県下における大学の新増設、増員に対する考え方でございます。
 本県の高等教育機関の整備状況は、県内高校出身者の約三割の収容力にとどまっている現状にあるものの、高等教育機関を取り巻く状況は、少子高齢社会による本格的な大学間競争の時代を迎え、今後ますます厳しいものになると考えております。このため、県下における大学の新増設に当たってはさまざまな角度から検討していくことが重要であると考えてございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番浜田真輔君。
○浜田真輔君 答弁をいただきました。私も、問うはやすし、行うはかたし、これはよくわかっております。
 医大跡地の今後ですが、予算の中に撤去の費用を盛り込まれているわけですよね。そして、もちろんそれが本年度中に撤去され、十四年度ぐらいには更地になると思われます。そのときに何にもなかったよということだけは、肝に銘じて避けていくんだという意思表示はぜひしてほしかったと思います。
 準備期間等々、また民間業者とのすり合わせといいますか、そういうものに大変時間がかかるのは理解しますけれども、とにかくその期間精いっぱいやっていただいて、来年になっても結構ですし、始めるときに「あのときには言えなかったけれども、ちゃんとこのようにできましたよ」というような結果にぜひしていただきたい。
 先ほども、加太のコスモパークの事例を挙げました。その当時の企画部長は安居さんじゃなかったと思いますが、加太のコスモパークの問いに対していつもそうだった。「今年度中には頑張ります」、そして年が明ければ、また「今年度中には頑張ります」。今その結果を、まさにもう医大跡地にダブらせてしまうわけです。そのことをぜひお願いしておきたいと思います。その機会が来たときに、この議場で「ちゃんとできました」と胸を張って言っていただけるような結果を望んでおります。これは要望にかえます。
 次に、和歌山市から再三、公立大学の用地として医大跡地をというアプローチを受けているわけですが、このことについて、先ほども言いましたけれども、丸正が自己破産をしました。これから債権者等とのいろんな手続を踏んでいかれると思いますけれども、この丸正の跡地を公立大学の用地として使ってみてはどうですかと、知事の方から和歌山市にこういうご返事をなさってもいいのではないでしょうか。ぜひこのことを一度、知事にご答弁を願いたいと思います。
 次に、これも要望ですけれども、私は内橋克人という人の本を、私のブレーキというのはちょっと嫌な言い方かもしれませんが、反面教師的に好んで読むわけですが、この人の本の中で、中央商店街──いわゆる町の商店街ですね──の見方をもう少し変えた方がいいんじゃないかということが言われております。今の時流から言うと、大型店舗、大型商業施設が主流になっているんですが、それは結局、資源や環境を害しているのではないかと。つまり、思い浮かべていただくと結構なんですが、大型店舗は何千台という物すごい駐車場を抱いて、皆さんはガソリンをたいて車で買い物に行くわけです。そしてもちろん、それだけの店舗を構えれば、多くの商品を並べて、当然それに伴って大量廃棄しているわけです。そういったことを考えれば、資源的にも環境的にも決してプラスになっている商業施設とは言えない。
 もう一点、大型店舗になくて商店街にあるのは、やはりコミュニケーションだと思うんです。地元地域の商店街を歩けば、店端で座り込んで話をしている姿、近所の人たちと店主さんが話をする姿なんていうのはよくあるわけです。今失われつつあるコミュニケーションというものを持っている商業体というのは、僕は商店街だと思います。
 そういうこともこの中に書かれているわけでありますが、そういう意味で私たち、ともすれば中央商店街を活性化させるということは、すなわち集客であり大量販売、要するに人を集めて金もうけさえすれば商店街はよくなるんじゃないかという考え方に陥りがちなんじゃないかなと。だから、少しそこは視点を変えて、例えば環境であるとか、資源の有効活用であるとか、またコミュニケーションということで、ある意味で高齢者対策も含めた福祉の面を考えていく提案をぜひ──私は、県というのは、この和歌山県下で一番の予算と人材を持っている法人というか、そういうものだと思っております。ですから、商工労働部だけではなく各部局で横断的に考えていただいて、商店街のあるべき姿といいますか、ただお金さえもうかって皆さんが潤えばいいんじゃないかという考え方だけではなくて、福祉の面とか環境の面でこういう活用をしたらいいんじゃないかと、そういったものを考えて商店街のあるべき姿を追っていくとおもしろいのではないかなと。
 この人の本の中ではそういうふうに書いてあるんですが、これを読んで、このことだけはちょっと私も今まで考え方が違ったかなと。とにかく金もうけ主義みたいなところがあったわけですけれども、それをひとつ考えていただいて、商店街というものの活性化にぜひ生かしていただく事案を、向こうから来るのではなく、こっちからこういう考え方はどうですかと提案のできる行政の組織であってほしいということをお願いし、再質問にかえます。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の内橋先生の本の中身、非常に味のある話だと思います。私もまた読んで参考にさせてもらって──本当にもうはっきり言えば、今までの商店街の振興という単一の視点だけでは対応できないような状況になっていること、私も商店街へ行くのが非常に好きなので感じているところで、十分勉強させていただきます。
 それから、丸正の跡という、なかなか味のあるご提言でございますが、これは公立大学を計画なさっているのは市の方でございますので、私の方から、ああでないか、こうでないかと言うような立場にはございませんから、これは差し控えますけれども、いずれにいたしましても、本当にぶらくり丁の振興、あの地域の活性化ということは非常に大事なことだと思いますので、私自身も医大の跡地の問題も含めて力いっぱい対応していきたいと、このように思っております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、浜田真輔君の質問が終了いたしました。

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