平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十三年二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十三年三月九日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第八十号まで、並びに報第一号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第八十号まで、並びに報第一号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(二人)
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     環境生活部長     道   浦       渥
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       辻           健
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員  中   村   千   晴
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       佐   竹   欣   司
     調査課長       梶   本   皓   造
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第八十号まで、並びに報第一号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第一号から議案第八十号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十四番浜田真輔君。
  〔浜田真輔君、登壇〕(拍手)
○浜田真輔君 おはようございます。通告に従い、順次、質問をさせていただきます。
 今議会の知事説明にあるとおり、現在において、二十世紀に築き上げられた我が国の社会経済システムが、いろんな面で確かに通用しなくなりました。そして、この二十一世紀は、まさしく競争の時代であり、その新しい時代に対応できる新しい社会経済システムの構築が我が国の喫緊の課題になっていることは周知の事実であります。
 しかし、その一方で、そのことを十分に理解しながら、我が国の政治も、そして私たちも、急激な変化に戸惑い、また政治は明確な方向や目標を指し示すこともできずにいると言えるかもしれません。当然、その方向転換を始めること、また決断することもできずにいます。そして、そのことから私たちのこの日本の社会経済は混乱を来たし、萎縮していると言えるのではないでしょうか。その結果、今日の失業率、また株価の低迷など、あらゆる経済指標が経済的不安を数字であらわしております。政府の言う「緩やかな景気回復」は実感の伴わないものになっていると言えます。また、見聞する中で、各分野において社会不安の増加傾向も拍車をかけているのが私たちの国の姿であり、当然この私たちの和歌山県も例外ではないと言えるのではないでしょうか。
 そうした背景の中、政治の役割、また行政のかじ取りは、まさしく最重要であり、このときこそ政治が勇気ある方向性を明確に示し、そして決断をしていかなければならないと考えます。そして今、議会において提案された予算を通して、改めて知事が目指す県財政のあるべき姿についてお伺いをしたいと思います。
 現下の厳しい財政状況の中、知事就任当初のあいさつにもあったとおり、事務事業評価のシステムを活用しながら、事業の聖域なき徹底した見直し、また厳しいシーリングの導入、職員給与のカットなど、財政運営プログラムIIに基づく財政健全化策に取り組む意思が生かされた今回の予算案であることは十分に理解できます。また、現下の厳しい経済状況において、県民感情、県民意識といったものを考え合わせれば、むだをなくすということが求められ、そして一方で効率かつ効果的な財政運営を求められていることを受けての予算だとも理解することができるものだと思います。知事初め県職員の皆さんの予算編成に当たっての苦労は、十分これらを通じて感じることができることは申し上げておきますが、あえてこの議会において問うことをさせていただくならば、今後の目指すべき県財政の姿についてであります。
 知事は、職員の約一五%を対象とした給与カットをこの予算に盛り込んでおります。さきに述べたように、厳しい財政状況の中、財政健全化策に取り組む上でも、また、この不況下、県民感情、県民意識といったものを考え合わせれば、当然職員の給与カットは避けて通れない措置だと私も理解します。しかし一方で、私は給与といったものは、もちろん受給者の生活の糧であることは当然でありますけれども、人材確保、また人材育成の糧である側面を持ち合わせていると思います。それらのことを考え合わせる上で、職員の給与カットは、この十三年度以降、今回の給与カットをベースに引き続き考えていくおつもりなのか、また、勧告等にかんがみ、許容範囲内で流動的に対応していくおつもりなのかをお伺いしたいと思います。そして、職員の給与体系を将来見直し、また改革すべき考えがあるのかを知事にお尋ねしたいと思います。
 当然のことでありますが、給与カットは万人だれしもが喜ばしいことではありません。しかし、現下の状況ではいたし方ない措置でもあります。これは民間事業者においても同様であると思います。しかし、県職員の皆さんもこの厳しい環境下、険しい道のりを苦労して歩む上で、知事は県行政のリーダーとして、また県、人事の統括者として、この険しい道のりを苦労して歩いた後には何があるのかという明確な意思表示を県職員にすべきだと私は考えております。これはリーダーの必要不可欠な資質であると思いますが、いかがでしょうか。苦労を苦としない原動力は希望であると言います。このことを思う上でも、県職員の意識改革が必要だと言われている知事にこのことについてご答弁を願いたいと思います。
 続いて、投資的経費と義務的経費の今後についてお伺いをいたします。
 投資的経費については、平成十三年度予算の概要によれば、平成八年度から毎年減少傾向にあり、十三年度との比較シェアでは一二・二%の減少にあります。主たる要因は単独事業減によるところが大きいわけですが、支出額から言えば約六百二十億円の減少になっております。私の認識が誤っていれば正していただきたいと思いますが、社会資本の充実を図る上で、そして副因的には経済的効果を考える上で、投資的経費の果たす役割は決して小さなものではないと私は考えております。当然、現下の財政状況から考えれば投資的経費の抑制は当面いたし方なしと思われますが、十三年度を木村知事の予算編成の初年度と位置づければ、投資的経費については、厳しい財政状況を考える上で主に単独事業を減らし、今後も減少傾向はやむなしとお考えになるのか、それとも厳しい財政状況をにらみながらも現状維持ないしいずれは拡充をお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。望むことならば、今後、県行政の姿として投資的経費は効率かつ効果的であることを本分とし、シェアの拡充に努めていただきたいと私は考えております。
 次に、表裏一体と言うべき義務的経費についてお伺いをいたします。
 義務的経費については、平成八年からのシェアで六・一%増にあり、支出額では約四百三十億円増になっているわけであります。この義務的経費についても、公債費を考えれば支出に占める割合は今後増加傾向にあることは避けて通れないと思いますが、今後の義務的経費についての取り組み方を知事にお伺いしたいと思います。
 今議会当初の知事説明に、地方自治体間においても同様に競争の時代がやってくるとのことを言われておりました。まさに同感であります。現下の国の財政上から考えても、また地方分権がさらに進むことを考え合わせれば、避けては通れない道であると思います。そして、この知事説明の中には、地方分権の時代にあって自治体独自の財源の確保が重要であり、地域特性を生かしながら自立型経済構造への転換を図っていく必要を訴え、民間と行政の役割分担を見直し、また民間やNPOとの協働を推進するなど県政の構造改革を進めるとあり、県の財政規模についても自主財源に見合った姿に近づけていくことも必要ではないかと考えているとありました。このことから察するところ、将来は効率的な行財政規模の縮小といったものを知事は念頭に置かれているのだと私は理解をしましたが、このことを踏まえて、明確でシンプルかつ忌憚のない今後の県財政のあるべき姿をお答え願いたいと思います。
 次に、医科大学跡地利用についてお伺いをいたします。このことについては、山下議員、江上議員の質問と重複しますが、お許しを願いたいと思います。
 まず、医大跡地については、県としては医科大学跡地利用懇話会の報告を基本として跡地利用に関する県の基本方針を策定後、民間事業主体を選定するための事業コンペの実施をするとあります。そのコンペの実施時期、それとあわせて事業完了めどを明確にお答え願えればと思います。あわせて、現段階でコンペに参加するであろう信頼性のある事業者の数もお教えをいただきたいと思います。このことは、知事と企画部長に答弁を願います。
 いまだ重要懸案事項である加太のコスモパークの事例と医大跡地とは、経過も性質も異なるものだと私はもちろん理解はしていますが、どうもコスモパーク加太の経過を思い起こすと、この医大跡地の成否を懸念せずにいられないのは私だけではないと思います。跡地利用の早期解決は県民の注視しているところでありますし、ぜひともその答えをいただきたいと思います。
 そしてもう一点、和歌山市から県に再三申し込みのある仮称・公立和歌山創造大学案とこのコンペを、仮に同じ視点といいますか、同じ土俵に乗せたとしてですが──この大学の是非は別としてあるわけですが──片方はより具体的かつニュース性が高いわけであります。しかし、現在県が示されているコンペ案というのは、県民から見れば具体性に欠け、またニュース性に乏しいと言わざるを得ません。そういった意味でも、県当局は県民に今後より一層、具体的に説明をする必要があると私は考えます。
 次に、さきに述べた和歌山市が予定をしている公立大学に関連してお伺いをいたします。
 ご承知のとおり、この公立大学は和歌山市議会での賛否が今問われている案件でありますが、私は、工科大学の凍結を決定した県として、この和歌山市が予定をしている公立大学を含め、和歌山県下に大学の新設、増設、また増員は今後必要なのか、企画部長にお伺いしたいと思います。
 この医科大学跡地が前にも増して県民の関心を集めることになった背景には、中心市街地の落ち込みというものがあります。丸正の自己破産、ビブレの撤退、また大丸の廃業など、それらが拍車をかけているわけであります。懐古的に申し上げれば、ぶらくり丁を中心としたこの一帯は、過去には休日を過ごす多くの人々の憩いの場でありました。また、あわせて多くの人々に特別な思い出を残している場所でもあります。
 確かに、車社会を初めとする時代の変化と価値観の多様化などという言葉で片づけてしまい、今と昔とは違うんだと、こう言ってしまえばそのとおりだと思います。しかし、この和歌山市の場合のみならず、各都市、各地域、特に地方都市の中心市街地の商業地の落ち込みはどこも深刻な問題となっていることだけは間違いありません。そのことを受けて、当然行政はその商業地の活性化の必要性を深刻な問題ととらえ、バックアップに取り組んでいこうとする姿勢は理解しますが、知事の所見としてこの問題を今後どうとらえていくおつもりなのかをお伺いしたいと思います。
 最後に、財政の健全化、行政の役割の見直し、そして今日の社会経済の環境の悪化など、山積した問題を目の前にして、これからの行政判断のほとんどが厳しくつらいものになると思われます。ぜひ知事においては、勇気と英断を持って取り組んでいただくことはもちろんでありますが、今後、県民に木村イズム、木村スピリットと言えるものを今以上にお示しをしていっていただきたいと思います。
 そして、あわせて、改革の必然性を感じているならば、知事は理性ある問題提起を恐れないでいただきたいというふうに思います。このことを以上の質問の答えに生かされることを願いつつ、一回目の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの浜田真輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、職員の給与カットにつきましては、県財政の状況を踏まえ緊急的措置として実施するものでございまして、具体的には十三年度は経験年数二十五年以上の職員を中心に給料の二%カットを実施したいと考えているところでございます。なお、十四年度以降につきましても、財政状況等を勘案しながら検討してまいります。
 私は、財政再建は何といっても、まず県民の方々の苦しみを職員が自分の苦しみとして考えるところから進まなければならないと。今また景気がさらに厳しくなってきております。そういう状況の中で財政再建を考えるときに、やはりまず職員みずからが汗をかくことから始めなければ県民の方の信頼を得ることはできないという信念のもとに進めていきたいと考えております。
 次に、変革期を迎えつつある公務員の給与体系についてでございますが、本県におきましても、ただいま申しましたような観点から、民間の感覚というものを大いに取り入れて、職員の能力をより適切に反映できるめり張りのある人事、給与体系の構築を目指し、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、投資的経費と義務的経費についてのご質問でございます。そしてまた、県財政のあるべき姿についてのご質問でございます。
 平成十三年度、来年度の予算編成におきましては、財政健全化の推進ということと、あわせて二十一世紀に向けての時代の潮流に合ったタイムリーな施策の積極展開という、ある意味では方向の違う二兎を追う形を基本にして予算編成を行ったところでございます。このような姿勢のもとで、投資的経費につきましては、厳しい財政状況の中で、本県で初めて公共事業にシーリングを導入する──これは大変なことだったわけでございますが──とともに、ただ和歌山県の勢いをそぐようなことになってはいけないので、やっぱり分野別には、例えば道路予算に重点的に経費を投入するなど、財源の効率的な重点配分を図ったところでございます。
 今後とも、県の発展を支える社会基盤整備については積極的に推進していく必要があるという認識のもとで、また、このごろはやりになってきましたけれども、身の丈に合った財政運営を進めていくというふうな両方あわせ持った中で、単独事業を含めた投資的経費につきましても、できる限り規模を確保しながら一層の効率化、重点化を図ってまいりたいと、このように考えております。
 次に義務的経費でございますが、職員定数の削減や独自措置としての職員の給与カットなどにより、極力抑制に努めました。ここしばらくは公債費がさらに増加するなど義務的経費の増嵩というものが見込まれますので、後年度負担を勘案した県債の発行の抑制とか人件費の削減に努め、義務的経費全体の抑制を図っていきたいと考えております。
 次に、今後の県財政のあるべき姿でございます。
 一昨日でしたか、宮沢財務相が十年後の日本の財政は大変なことになるということを言ったのがまた株価に影響するというような、非常に混迷の度をきわめている状況ですけれども、こういう激動する変革期の中にあって、今我が県が財政の基本に置いている地方交付税であるとか、国庫補助金とか、こういうものについても今後、好むと好まざるにかかわらず、やはり大きな変革の波をかぶらざるを得ないだろうという感じを持っています。このため、将来を見据え、どのような状況にでも対応できるような弾力的な財政構造の実現を今から図っておく必要があるというのが私の基本的な財政運営の考え方でございます。
 次に医大跡地の関係でございますが、医大跡地の事業コンペの実施時期については、中心市街地を取り巻く状況がことしに入って厳しさを増していることから、できるだけ早くコンペを実施して地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、中心市街地の活性化全般についてでございます。
 現在、全国各都市の中心市街地の商業機能の空洞化が問題となっているところでございます。そしてまた、和歌山県でもそういうふうなことになっておりますので、私としても強い危機感を持っているところでございます。
 このような状況のもとにおきまして、中心市街地活性化法が平成十年の七月から施行され、和歌山県では和歌山市を初め六市町において現在活性化に向けた取り組みがなされているところでございます。
 県といたしましては、これまでも既成商店街を中心とする市街地の活性化に向けて、ソフト・ハードの両面からさまざまな施策を講じてきたところでございますが、これからは全国の中心市街地の中で、数は少ないわけでございますけれども、ITの活用であるとか、町並み、歴史文化など地域資源の利用によって活性化に成功しているところもないわけではございませんし、またそういうところでは後継者の育成もできていますので、現地に調査に行くなどして、本当に何が成功の原因になっているのかということを十分参考にしたりしながら、新しい視点から市街地活性化に積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 医大跡地利用の中で、コンペの実施と見込みについてお答えいたします。
 事業が完了し、施設が開業する時期についてでございますが、施設の建設、運営は民間事業者が行うこととなっておりますので、コンペで事業者が決定した後、速やかに事業着手し、完了できるよう事業者と協議を進めてまいりたいと考えております。
 また、コンペ参加の事業者数についてでございますが、かねてから民間事業者に対してコンペ参加を打診してきたところであり、現下の情勢では幾つかの事業者が前向きに検討しているところでございます。
 続きまして、県下における大学の新増設、増員に対する考え方でございます。
 本県の高等教育機関の整備状況は、県内高校出身者の約三割の収容力にとどまっている現状にあるものの、高等教育機関を取り巻く状況は、少子高齢社会による本格的な大学間競争の時代を迎え、今後ますます厳しいものになると考えております。このため、県下における大学の新増設に当たってはさまざまな角度から検討していくことが重要であると考えてございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番浜田真輔君。
○浜田真輔君 答弁をいただきました。私も、問うはやすし、行うはかたし、これはよくわかっております。
 医大跡地の今後ですが、予算の中に撤去の費用を盛り込まれているわけですよね。そして、もちろんそれが本年度中に撤去され、十四年度ぐらいには更地になると思われます。そのときに何にもなかったよということだけは、肝に銘じて避けていくんだという意思表示はぜひしてほしかったと思います。
 準備期間等々、また民間業者とのすり合わせといいますか、そういうものに大変時間がかかるのは理解しますけれども、とにかくその期間精いっぱいやっていただいて、来年になっても結構ですし、始めるときに「あのときには言えなかったけれども、ちゃんとこのようにできましたよ」というような結果にぜひしていただきたい。
 先ほども、加太のコスモパークの事例を挙げました。その当時の企画部長は安居さんじゃなかったと思いますが、加太のコスモパークの問いに対していつもそうだった。「今年度中には頑張ります」、そして年が明ければ、また「今年度中には頑張ります」。今その結果を、まさにもう医大跡地にダブらせてしまうわけです。そのことをぜひお願いしておきたいと思います。その機会が来たときに、この議場で「ちゃんとできました」と胸を張って言っていただけるような結果を望んでおります。これは要望にかえます。
 次に、和歌山市から再三、公立大学の用地として医大跡地をというアプローチを受けているわけですが、このことについて、先ほども言いましたけれども、丸正が自己破産をしました。これから債権者等とのいろんな手続を踏んでいかれると思いますけれども、この丸正の跡地を公立大学の用地として使ってみてはどうですかと、知事の方から和歌山市にこういうご返事をなさってもいいのではないでしょうか。ぜひこのことを一度、知事にご答弁を願いたいと思います。
 次に、これも要望ですけれども、私は内橋克人という人の本を、私のブレーキというのはちょっと嫌な言い方かもしれませんが、反面教師的に好んで読むわけですが、この人の本の中で、中央商店街──いわゆる町の商店街ですね──の見方をもう少し変えた方がいいんじゃないかということが言われております。今の時流から言うと、大型店舗、大型商業施設が主流になっているんですが、それは結局、資源や環境を害しているのではないかと。つまり、思い浮かべていただくと結構なんですが、大型店舗は何千台という物すごい駐車場を抱いて、皆さんはガソリンをたいて車で買い物に行くわけです。そしてもちろん、それだけの店舗を構えれば、多くの商品を並べて、当然それに伴って大量廃棄しているわけです。そういったことを考えれば、資源的にも環境的にも決してプラスになっている商業施設とは言えない。
 もう一点、大型店舗になくて商店街にあるのは、やはりコミュニケーションだと思うんです。地元地域の商店街を歩けば、店端で座り込んで話をしている姿、近所の人たちと店主さんが話をする姿なんていうのはよくあるわけです。今失われつつあるコミュニケーションというものを持っている商業体というのは、僕は商店街だと思います。
 そういうこともこの中に書かれているわけでありますが、そういう意味で私たち、ともすれば中央商店街を活性化させるということは、すなわち集客であり大量販売、要するに人を集めて金もうけさえすれば商店街はよくなるんじゃないかという考え方に陥りがちなんじゃないかなと。だから、少しそこは視点を変えて、例えば環境であるとか、資源の有効活用であるとか、またコミュニケーションということで、ある意味で高齢者対策も含めた福祉の面を考えていく提案をぜひ──私は、県というのは、この和歌山県下で一番の予算と人材を持っている法人というか、そういうものだと思っております。ですから、商工労働部だけではなく各部局で横断的に考えていただいて、商店街のあるべき姿といいますか、ただお金さえもうかって皆さんが潤えばいいんじゃないかという考え方だけではなくて、福祉の面とか環境の面でこういう活用をしたらいいんじゃないかと、そういったものを考えて商店街のあるべき姿を追っていくとおもしろいのではないかなと。
 この人の本の中ではそういうふうに書いてあるんですが、これを読んで、このことだけはちょっと私も今まで考え方が違ったかなと。とにかく金もうけ主義みたいなところがあったわけですけれども、それをひとつ考えていただいて、商店街というものの活性化にぜひ生かしていただく事案を、向こうから来るのではなく、こっちからこういう考え方はどうですかと提案のできる行政の組織であってほしいということをお願いし、再質問にかえます。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 今の内橋先生の本の中身、非常に味のある話だと思います。私もまた読んで参考にさせてもらって──本当にもうはっきり言えば、今までの商店街の振興という単一の視点だけでは対応できないような状況になっていること、私も商店街へ行くのが非常に好きなので感じているところで、十分勉強させていただきます。
 それから、丸正の跡という、なかなか味のあるご提言でございますが、これは公立大学を計画なさっているのは市の方でございますので、私の方から、ああでないか、こうでないかと言うような立場にはございませんから、これは差し控えますけれども、いずれにいたしましても、本当にぶらくり丁の振興、あの地域の活性化ということは非常に大事なことだと思いますので、私自身も医大の跡地の問題も含めて力いっぱい対応していきたいと、このように思っております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、浜田真輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次、質問させていただきます。
 四日目の二番目ということで、重複も随分ありますが、私は私なりにやらせていただきます。
 中心市街地活性化についてであります。
 中心市街地は、さまざまな都市機能を集積し、経済活動を展開する場として、また文化、伝統をはぐくむコミュニティーの中心として、地域の発展に長く重要な役割を果たしてまいりました。しかし、近年、急速なモータリゼーションの進展、消費者のライフスタイルの多様化や人の郊外への移転、それに伴う商業施設などの郊外移転等、都市機能の郊外分散が進んでおります。
 平成十年七月、大型店の郊外進出等による地方都市中心部の疲弊に対処するため、中心市街地活性化法が施行されました。車依存の社会の見直し、土地消費型開発からの脱却を目指し、TMO(タウンマネージメント機関)になる町づくり会社の設置や市民参加などにより、中心街居住の促進、駐車場整備の助成、中心商店街の強化、歩道、小公園の整備などのメニューから市町村が選ぶ方式であります。
 それに先立つ同年三月、和歌山市において中心市街地の再生とぶらくり丁周辺を核とする広域商業拠点の活性化を実現するために、和歌山市中心市街地商業等活性化基本計画が策定されました。その中で、商店側の認識と消費者側の認識との差の大きさを謙虚に認めるとともに、冷静な状況把握に基づく活性化策に官民双方が協力して取り組んでいくことが必要であるとの意識改革の必要性についての指摘がなされました。
 平成九年度に知事の私的諮問機関として設置された県立医科大学跡地利用懇話会が平成十年十一月に検討結果を報告書として取りまとめ、前述の流れの中、県は懇話会報告や関係機関、関係団体等の意見を参考に基本構想素案を作成し、これをもとに和歌山県立医科大学跡地利用に関する基本方針・「わかやま元気な街」整備構想が策定されたわけでございます。
 基本目標として、一、高い集客力を有する商業施設の整備、二、高いアメニティー性を有する交流施設の整備、三、新たなランドマーク施設の整備、四、利便性の高い交通拠点施設の整備が打ち出されました。施設計画として、施設外観は周辺の景観と一体的に魅力ある景観を形づくるよう整備し、商業施設、宿泊施設、駐車場を基本的な構成施設とするとし、民間の事業者の企画、ノウハウを導入するため、事業計画提案競技方式により事業者を選定するという事業手法が取り入れられております。
 私も、老朽化した県庁をこの際、跡地へ持ってきて、市民の立場からして市役所、消防局などと総合庁舎化してもらえたらと考えたりもしましたが、現状の厳しい財政状況の中、経費確保の問題、何よりも前より狭くなることを考えればいかがなものかと、考え直さざるを得ませんでした。
 平成十二年度にこの基本方針に基づいた事業コンペが実施され、事業化が図られていくものと期待をしておりましたが、この一年の間、進められることもなく、折しも和歌山ビブレの五月六日閉店発表、そして以前より経営危機がうわさされていた丸正百貨店がこの二月二十六日に自己破産ということで、和歌山市の中心街の核となる店が姿を消していく中、周辺の商店街、ひいては和歌山市、和歌山県の経済に大きな影響を及ぼしてくることが必定である中、どうしても早急に即効性のある大胆な施策を打ち出す必要があるのではないでしょうか。
 医大跡地は約一・七ヘクタールの面積があります。隣接地区は、居住住家、商業店舗、中学校、金融機関等で構成されております。居住住家は定住人口の減少、高齢化の進展が見られますし、商業店舗は移転に伴う消費需要の減少の影響を受けております。伏虎中学校については空洞化、少子化を背景にした城北、本町小学校との統廃合の問題がありますが、市の方針が決定されておりません。北側の旧別館病棟については、昭和五十九年の建築物で比較的新しいということで、撤去は行わず別途再利用の検討を行っていると伺っております。
 私は、和歌山の二大玄関口であるJR和歌山駅と南海和歌山市駅と跡地までの距離に着目いたしました。JR和歌山駅からは一・六キロ、南海市駅からは一・二キロであります。ちなみに、いろんな専門店、食品店、レストラン、ゲームセンター、映画館等が建ち並ぶ難波駅前から心斎橋筋商店街の北端まで直線距離で約千百三十メートル、ちょうど市駅から旧医大跡地までぐらいの距離でありまして、ゆっくり品物を見ながら歩いても苦にならない距離であります。日本の主な他の商店街にしても、外国における商店街にしても、やはり商店街というのは駅前から発展しています。駅のすぐ前にセンター、セントラムといった街の中心があって、そこから商店街が広がっております。ところが、和歌山市の場合、両駅の間に和歌山市駅前商店街、本町商店街、各ぶらくり丁商店街、けやき大通り商店街、みその商店街、和歌山駅前商店街と点在しており、つながっておらず、相互の補完機能もありません。
 そこで、市駅前商店街、本町商店街、各ぶらくり丁商店街やけやき大通り商店街、和歌山駅前商店街を一つのアーケード街として、あるいはそれに近い形で線で結び、約二・八キロの駅から駅までの間の楽しみながら歩くことのできる一大商店街を形成してみてはどうかと思うのであります。その大きな商店街の中心としてシンボルタワー的な役割を、先述の和歌山県立医科大学跡地利用基本方針で提案された複合施設に持たせて、まず何よりも若者が集まってくるような魅力のある高い集客力を有する商業施設、多くの人が交わることのできる交流施設、ビジネスマンや観光客も立ち寄って気軽に食事、買い物のできる役割を担ってもらってはと提案いたしたいと思います。
 もちろん、現在の大きな問題点となっている駐車場を確保し、既設の駐車場をもう少し長い時間でも安心してとめておけるような安価な料金設定にしていく必要があるし、歩道の整備も必要だと思います。当然、既存の各商店の皆様には今まで以上に英知を絞っていただいて、魅力のある店舗づくりをしてもらって共存共栄を図っていっていただかなければなりません。これによってたくさんの商品選択の機会が提供でき、遠方からの観光客、ビジネス客という新しい消費者層の開拓にもつながるのではないでしょうか。
 和歌山市長が再三、木村知事に要望されるように、千人の若者が中心市街地に集められる公立大学設置も結構だと思いますが、余りにもキャンパスが手狭になりまして、せっかくの若い活力をもてあました青年たちにはかわいそうですし、ドーナツ化現象のあおりを受けた付近の小・中学校の統廃合問題と連動して考えるべきかと思われます。
 今、商業者だけでなく消費者の視点を大事にした中心市街地づくりが必要であります。また交流の場としても、多くの人が渋谷ハチ公前のように待ち合わせ、おしゃべりの場として、また食事あるいは会合場所、イベントの開催等に利用でき、昼間のみならず夜間でも心地よく活用できるものであればと思います。
 私も、この週末、本町、各ぶらくり丁商店街へ出かけてまいりましたが、子供のころに心をわくわくさせながら歩いたときに比べると、どうしても人通りが少なかったし、店が閉まっているところも随分あることに改めて驚かされました。
 周辺地域への配慮としては、何といっても和歌山城という史跡に隣接するからには、調和のとれた景観が求められることは言うを待たず、文化的な眺望地点からの景観を壊さないようにしなければなりません。そして、渋滞を引き起こさないところに何カ所か周辺の商店街との共同利用が可能な駐車場を確保することであります。
 周辺商店街については、閉じた店の多いところは、例えばレストラン街にするとか、食材品街にするとか、地場産品である繊維関係の専門店街にするとか、はっきりした特徴をつけた商店街としてのアピールも必要となるでしょう。隣接の各商店街も、大型店の相次ぐ閉店で大きな危機を迎えております。ぶらくり丁も、先日より夜間八時までの営業を全店に呼びかけております。事は和歌山市だけの問題ではありません。即効性を持ち、他の市町村のモデルとするためにも、明るさ、活気を中心地商店街が取り戻すために県の全面的なバックアップがどうしても必要かと考え、あえて質問に立った次第であります。
 世は、資金繰りに苦しむ中小企業者、中小零細商店の増加に加えて、新卒者から始まってリストラに遭った五十歳代の方々に至るまで、まさに就職難の時代であります。平成十三年度当初予算に中心市街地再活性化に向けて取り組むTMOを支援するため中小企業振興公社に設置している中心市街地活性化基金の積み増し・拡充や、商店街等の競争力強化の観点から商店街組合などが行うソフト事業を支援するため中小企業振興公社に設置している商店街競争力強化基金の積み増し・拡充といった事業がうたわれてはおりますが、以下、何点か質問いたします。
 一番目、平成十年末には大丸百貨店和歌山店の撤退、この二月二十六日の丸正百貨店の自己破産、和歌山ビブレの五月六日閉店予定と、県都和歌山市の中心街の核となる店が姿を消していく中、人が集まり、夜間人口をふやし、にぎわいを生み出せるよう、県としても地域の顔とも言うべき中心市街地活性化のために、地域おこしのために、市町村、関係諸団体と手を組んで早急に即効性のある施策を打ち出す必要があると思います。
 ここへ来て周辺商店街としても生き残りをかけた自助努力が必要になってきており、懸命の毎日です。従来の待つ姿勢でなく攻めの営業姿勢、商店経営者として新しい時代に対応できる後継者の定着、また移ろいやすい消費者ニーズの年代ごとの把握など、日夜頑張っておられることと存じます。そこで、知事ならではの中心市街地活性化に対する姿勢と将来ビジョンをお伺いいたしたいと思います。
 二番目、県立医科大学跡地利用懇話会の報告をもとに、平成十一年に和歌山県立医科大学跡地利用に関する基本方針が策定されました。平成十二年度にこの基本方針に基づいた事業コンペの実施、事業化を図るとしていたはずですが、中断しているようにしか感じられません。今後どう進めるおつもりですか。旧施設の撤去作業、新施設着工の予定とあわせて、いま一度お聞かせください。
 三番目、和歌山市長が公立大学を医大跡地へ誘致したい旨、知事へ要請されております。新聞報道の中で、千人の若者が中心地に存在する意義は大きい、SOHOや企業インキュベーターも含めて大学を中心に企業集団ができる、中心地の活性化に希望の灯をともすものと強調されたということでありますが、趣旨は理解できるものの、実際の話、付近の小中学校の統廃合問題もありますし、どうしても敷地不足の感があり、キャンパスにしろ、グラウンドにしろ、分散型の大学になってしまうし、商店街への影響といっても特定層に限られ、購買力が大きいとは言えないのではないでしょうか。前述の跡地利用基本方針の平成十三年度実施という県の方向性が示された中、慎重なお取り組みが必要だと思いますが、知事のお考えはいかがですか。
 四、先ほど提案申し上げましたように、難波駅前の心斎橋筋商店街のように、歩きながら興味をそそられ思わず立ち寄ってみたくなる、手にとって見たくなる、食べてみたくなる、そんな時の経過を味わえるような商店街づくり、すなわち現状の点在した商店街を一つに結ぶ作業も必要かと思います。そのために車道を一部歩道にしたり、松江市のようにコミュニティー道路やボンエルフ、すなわち生活の場としての機能を重視した歩行者、車の共存の道路方式を畑屋敷、新内地区の一部に取り入れるなど、南海和歌山市駅からJR和歌山駅に至るまでの商店街を可能な限りつなぎ合わせ、旧医大跡地へ持ってくる商業集積複合施設を、主に若者を呼べるような、それこそITを駆使したアミューズメントゾーンを伴ったシンボルタワー的役割を持ったものにしてみてはどうでしょうか。
 五番目、城北小学校、本町小学校、伏虎中学校にとどまらず、今後、中心市街地の少子化、空洞化の進展に伴う学校間の統廃合問題が各地で出てくると思われますが、これについて県教育委員会のご見解をお聞きしたいと思います。
 六番目、丸正の自己破産を受けて、県は二月二十七日に丸正問題対策連絡会を設置されましたが、二百人に及ぶ従業員の雇用やあおりを受けた取引業者などの対策について、具体的にどうお考えでありますか。
 以上六点、一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
 先ほども浜田議員のご質問にお答えしたわけでございますけれども、現在、全国の各都市で中心市街地の商業機能の空洞化が進んできております。モータリゼーションの進展など、社会の構造の変化という仕方のない面もあるわけでございますけれども、そこで生活なさっている方がおられるわけですし、そしてまた商店街そのものが持っているフェース・ツー・フェースという、これからの二十一世紀に非常に大事にしていかなければならないいい面もあるわけですから、私もこれは何とかしていかないといかんという、非常に危機感を持って事に当たる必要があると考えております。
 和歌山市におきましても中心市街地の活性化法に基づいていろいろな取り組みをしているところでございますけれども、お話にもありましたように、丸正の破産であるとか、ビブレの五月の閉店など、中心であるぶらくり丁を取り巻く商業環境に大きな悪影響を及ぼすのではないかということ、非常に心配しているところでございます。
 先ほども申しましたけれども、全国に数は少ないものの、活性化に成功している例もあるわけです。ITを活用したり特色を出す──先ほど議員のご質問の中にありましたように、専門店街をつくるということによって活性化を取り戻した例として名古屋の大須商店街というのがあって、これはわずか二十年前に電気街をつくったことによって今非常に活気のある商店街になっているということもあるので、県としましては、初めからだめだと決めてかかるのじゃなくて、やはり新しい発想で取り組んでまいりたいというふうなことを思っているところでございます。
 次に、医大跡地のことでございます。
 これにつきましては、当初、今年度の平成十二年度に事業コンペを実施し、事業者を決定する予定としておりましたけれども、長期にわたる景気の低迷もあり、都市型ホテルを含めた提案をいただける企業の見通しが不透明であったために、コンペの実施時期を慎重に見きわめてきたところでございます。旧施設の撤去が平成十四年秋にも完了すると見込まれるため、粛々とコンペの実施に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、公立大学の医大跡地への立地要請についての見解でございます。
 大学を含め、基本方針以外の利用提案を排除するというわけではございませんけれども、これまでの経緯もありまして、県としてはできるだけ早く事業コンペを実施し、地域の活性化に役立つものにしていきたいと考えております。
 それから、JR和歌山駅と南海市駅を結ぶ一大商店街づくりとシンボルとなる商業集積複合施設をつくるということに関するご質問でございます。
 ご指摘のとおり、中心市街地の活性化のためには、お話にありましたような思い切った発想が必要であると私自身も考えております。医大跡地に想定される複合施設を集客の核として、回遊性のある町をつくることが重要でございます。医大跡地の利用に当たっても、周囲に歩道としての機能を有する公開空地を設けるなど、ゆったりと楽しくいろんな人が集まってきて歩けるというふうな周辺整備を促進してまいりたいと、このように考えております。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 丸正の従業員の雇用と取引業者対策についてでございます。
 今回の丸正の自己破産を受け、県といたしましては、丸正問題対策連絡会を設置し、従業員の雇用問題や取引事業者等への影響について、速やかな対応を図ることといたしました。具体的には、二月二十八日に県内経済団体及び和歌山労働局、並びに雇用・能力開発機構和歌山センターに対し、従業員の雇用対策について協力要請を行ったところであります。
 三月二日には、和歌山労働局との間で雇用対策連絡調整会議を開催し、雇用保険手続、再就職に係る説明会の開催及び職業相談等、また関連企業における雇用調整を防止するための雇用調整助成金制度が適用されるよう協議を行ったところでございます。
 また、取引業者等への資金調達の円滑化を図るため、県信用保証協会等に協力を働きかけるとともに、中小企業信用保険法に基づく倒産事業者の指定等について、近畿経済産業局に対し強く要請したところでございます。
 現在、国において早急に倒産事業者の指定がなされるよう鋭意手続を進めていただいてございます。さらに、今回の事態が関係事業者に大きな影響を与えることから、この連絡会で県の制度融資である経営安定資金の拡充について検討を進めるとともに、近隣商店街等の事業者に対しても取引事業者同様、県信用保証協会の別枠保証の対象とすべく、関係機関とともに影響の調査の実施を行います。
 今後とも、関係機関との連携を密にしながら、地域経済に及ぼす影響を最小限にとどめるため、積極的な対応を図ってまいります。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 小中学校の統廃合につきましては、基本的には設置権者である市町村教育委員会の自主的な判断によりますが、その実施に当たっては、学校の規模や通学の距離、時間及び教育的効果など、さまざまな要素を十分考慮する必要があります。また、学校が地域の振興に大きな役割を果たしていることから、地域の意見にも十分耳を傾けることが大切であるのは言うまでもありません。
 教育委員会といたしましては、学校の統廃合を行う場合、こうしたことを十分に踏まえた上で対応するよう、必要に応じて市町村教育委員会に対して助言をしてまいります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきました。
 事業コンペの実施について、明るい兆しが見えてきたと先日伺いました。名乗りを上げた民間企業が複数出てきたということだと思いますが、市民、県民に夢と希望を与える意味でも、平成十三年度始まって早々にもコンペ実施にかかっていただきたいと思います。
 とにかく、民間事業者による建設、施工、経営計画までも含めた事業コンペは和歌山県では初めてということであり、民間のノウハウや資金力を活用した今後の民間活力プロジェクト展開に大きな弾みをつけてくれるのではないでしょうか。期待しております。
 両駅を結ぶ一大商店街づくりについては、答弁いただいたように、回遊性すなわち楽しみながら歩けることが一つの大きな条件だと思います。その核となるのが、事業コンペで採用されるべき商業集積複合施設です。ゆっくり歩く中で、見たり、耳を澄ませたり、体を使ったり、買い物をしたり、飲食を楽しんだり、おしゃべりしたり、そんな体験のできる、昼も夜も中心市街地へ人を呼び込む仕掛けを選定できる、しかもむだのない事業コンペになるよう当局に要望いたします。
 学校の統廃合問題につきましては、中心市街地のかつてのマンモス校も、生徒の数が多いときの三分の一から四分の一に激減いたしております。学校予算の厳しい状況の中で、あいた教室や施設を地域で有効活用するのでなければ、維持費を考えてみても非常に効率のよくない使い方と言わざるを得ません。
 市の教育委員会、地元自治会、そして小学校、中学校のPTAの方々とのひざ突き合わせた対話の中で真剣に中心市街地の活性化を考えて、情緒にとらわれない統廃合問題の議論を導き出していく時期に来ているのではないでしょうか。それだけに、県教育委員会の強力なリーダーシップのもと、市教育委員会へ小中学校の統廃合問題を俎上に乗せるための積極的なアドバイス、ご指導を要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手〕
○村岡キミ子君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 今回は、四点についてご質問を申し上げていきたいと思います。
 最初に看護婦確保問題についてお尋ねをするわけですが、その前に。
 この一月十八日に、勤続二十八年の同僚が勤務中にクモ膜下出血で倒れて亡くなりました。彼女は五十二歳でありましたけれども、大変経験豊富な熟練したナースでもありましたし、職場ではリーダーとしても頑張った方でもあります。頭が痛いと言って勤務中に倒れまして、CTを撮りに行く途中に意識を失って、そのまま帰らぬ人となってしまいました。彼女は、家庭では子供さん二人、ご主人のお母さんとみずからの母親、これだけ同居しながら──みずからの母親が八十四歳でした。そして、介護度五という脳梗塞の後遺症を残して、その方の介護もショートステイを使いながら、そして三交代をしながら頑張り抜いてきた方でもございました。私の家の前ですので、毎日彼女がどんな顔をして出ていっているのか、どんな顔をして母親の介護をしているのかもかいま見ることもできました。夜勤のときにはほとんど寝ておりません。そして、ショートステイに母親を迎えに行ったり、あるいは送りに行くときにも必ず自分の夜勤明けに行っていたという状況でもありまして、疲労こんぱいをした上で、とうとう病に倒れて急逝されました。看護婦さんの職場は、夜勤労働の中で家事と職場を両立させるという点では大変な問題を抱えている。それだけに、働き続けたいという願いを、しっかりと子育てもしたいという願いを、本当に改善をする以外にないという思いを込めて質問をさせていただきます。
 近年、命にかかわる重大な医療、看護事故が相次ぎ、大きな社会問題になっております。これらについての再発防止策が緊急課題ともなっているところです。事故発生が、国民が信頼を寄せている大学病院や国公立病院、赤十字病院であることからも、事の重大さに心を痛めているのは私だけではないでしょう。相次ぐ医療保険制度の改悪、医療費抑制策の進行は、医療経営者を経営、効率最優先の姿勢に駆り立てています。その上に、入院日数の短縮、ベッド稼働率のアップや人件費抑制などが、官民を問わず今、徹底して進められています。こうした中で、現場は患者の高齢化と重症化、業務の煩雑化、過密化は、医学の進歩や医療技術の進歩とも相まって、看護婦の忙しさに拍車をかけています。看護婦たちは、頻発している医療事故について、「だれにでも起こり得ることだ」と八三・五%の方が思っていますし、「ミスやニアミスを起こしたことがありますか」の問いに、「ある」と答えた人が九一・五%です。その原因については、「忙しさ」が八四・六%、「交代勤務による疲労の蓄積」が四二%、「慢性的人手不足」が三〇・六%、このように答えています。このことからも、仕事が非常に忙しくなって看護婦が疲れ果てている、いつも医療事故と隣り合わせにあって医療事故を起こさない方が不思議なほどで、医療事故はいつ起きてもおかしくない職場の実態です。
 厚生労働省は、看護婦不足対策として、平成三年から平成十二年度末までに看護職員需給見通しを策定してまいりました。そして、看護婦学校の増設や定員増、院内保育所運営補助金、長時間保育に対する補助金などを進めてまいり、一定の前進を見ることもできました。本県においても、医大の短大や県立なぎ看護学校、病院協会や県医師会看護学校の創設で一定の前進をしたことについては評価するものでありますが、まだまだ不足しております。それに、看護婦確保法・基本指針の制定がなされました。夜勤回数は「月八回以内」と明記されています。しかし、八年経過した今も九日以上の夜勤従事者が多く残っています。まさに、法違反という以外の何物でもないでしょう。
 続いて、二十一世紀の初頭に、新看護職員需給見通しを平成十三年度から平成十七年度までの期間として都道府県に指示しているところです。本県では既に策定済みなのでしょうか。
 策定に当たって、基本的な考え方が示されております。それは、急速な少子高齢社会の進行、高度医療の進展、新たな社会保障制度である介護保険制度の実施、安心、信頼のできる医療への国民の強いニーズなどの状況変化にも十分留意して質の高い看護への国民の期待にこたえていく必要があるとし、需要についての考え方として、一、週四十時間制を基本とする。二、年次有給休暇、その他の休暇を容易に取得できるように年休は二十日と明記されました。三、産前産後休業及び育児休業については、妊娠、出産した者全員の取得を基本とし、介護休業についても今後の進展を考慮する。四、一人夜勤は見込まず、複数夜勤を基本とする。五、夜勤回数は一人月八日以内を基本とする。六、医療の高度化、在院日数の短縮及びPTの状態を踏まえて、より手厚い看護体制を組めるように考慮すること。すなわち、三人以上の夜勤体制をしいていくということであります。そして、供給については、就労環境の改善等による離職防止効果について考慮すること。このように述べているところですから、これに基づいて策定されなければなりません。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 本県が見通しをまとめるに当たって、看護職員の就業実態把握を十分行うよう指示されているところです。どのような内容と方法で実態調査を行われたのでしょうか。お聞かせ願います。
 今、看護職場では、患者の高齢化や重症化の中で療養上の世話が大きな比重を占めるようになっております。日勤帯の人員確保が不可欠です。重症化のため、夜勤帯で四十人から五十人の患者を二人で看護することは困難をきわめています。休憩もほとんどとれません。残業せざるを得ない状況と、肉体的には腰痛を訴える看護婦やコルセットを装着して痛みどめの薬を飲みながらという人もふえています。年休などは、代休消化が優先するために、年間五日から十日取得するのが精いっぱいです。妊娠している看護婦が切迫流産になることも依然として多い状況にあります。
 県医労連の調査によりますと、医労連が加盟している公的病院では、三交代で夜勤は二人から三人で、回数は八日以内が六一・九%、九回以上が三八%という状況であります。労働実態を調査し、その実態を見通しに反映させてこそ離職防止対策や医療事故防止になるのではないでしょうか。聞くところによりますと、複数ということで二人という最低ラインによる数値になっているように思いますが、そうなっていませんか。すべてを二人夜勤体制で計算しますと、三人、四人体制で夜勤を行っている現状を否定することにはなりませんか。手厚い看護体制をどのような数値であらわしているのでしょう、ご答弁を求めます。
 そして、供給の見通しについてお尋ねをいたします。
 最も確保できるのは新卒就業ですが、准看学校養成所については平成十二年度で募集中止が四校で百六十五名、平成十四年三月廃止予定一校で定員五十名が減少することになります。これまで、看護婦、准看護婦の新卒者が七百五十五名ありましたが、平成十三年、十四年以降は二百四十五名が減少していくことになります。すなわち、今まで七百七十五名が新卒でありましたが、五百四十名となります。新卒就業者数よりも退職数が多いことになります。供給は大変厳しい状態になるのではないでしょうか。それだけに、看護学校の新設と定員増を積極的に考えることを求めるものでありますが、いかがですか。
 また、国立和歌山病院の進学課程定員五十名の廃止は、准看護婦の看護婦への道をさらに困難にすることになります。看護制度の一本化に伴う移行措置の方向が決定しない現状とはいえ、紀南、紀中地域に進学コースの新設がどうしても必要と願うものでありますが、いかがでしょうか。
 離職防止対策は大変重要な問題です。結婚しても働き続けたいという願いは切実です。家庭と仕事の両立できる環境を保障することがかぎです。どのような対策を考えておられますか、部長の具体的な方策をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、介護保険についてお尋ねをいたします。
 介護保険制度が始まって一年が経過しようとしています。「家族が支える介護から社会が支える介護」へとか、「利用者の選択の幅が広がる」、あるいは「介護地獄から家族が解放されます」などと、随分宣伝されました。そのようなマスコミの誘導の中で、世論調査でも介護保険導入に賛成が七割を超えていました。しかし、その後、事の実態が明らかになるにつれて、介護保険で老後は安心と答えた人はわずかに一二%に下がってしまいました。特に、実際介護を背負うことの多い三十歳代から五十歳代の女性たちからは、「導入に冷ややか」と報道された記事を思い出します。制度が始まりますと、介護のためにつくられた保険なのに介護保険で介護が受けられなくなったと、怒って私の家に電話をいただいた方もございます。
 それから一年、私は、和歌山市や紀北地域の地方議員と一緒に、特別養護老人ホームやサービス事業者、ケアマネジャーの皆さんと懇談をたくさんさせていただきました。さまざまな問題に対応しながらご苦労されていらっしゃいます。利用者や家族と接する中で共通して出されてきた問題は、介護保険制度についてまだまだ十分な理解がなされていないという問題です。これまでも県も市町村も啓発にそれなりに努めてこられたと思うのですが、スタートが余りにも拙速であったため理解をしてもらう努力も随分不足だったと思いますし、期間も余りにも短かったというものです。改めて、きめ細かな啓発を求めたいと思います。県は今後どのような啓発に取り組みになられますか、お聞かせ願います。
 介護サービスを利用するには介護認定を受けなければなりません。介護認定は、要支援から要介護一、二、三、四、五の六段階、それぞれの介護度に毎月幾らまで介護が受けられるかという利用限度額が決められています。この限度額を超えれば全額自己負担になります。例えば、最も軽い要支援の利用限度額は一カ月六万円、最も重度の介護度五では一カ月三十五万円です。サービスを利用すると、それぞれ一割の利用料を払うことになります。この利用料を払えないために、必要なサービスの回数を減らしたり、やめたりせざるを得ない人が今たくさん出てきています。また、ケアプランと利用料金を提示すると、ほとんどのお年寄りが、払えないからもうサービスは要らんと断られ、そのたびごとに法の不備を感じると、ケアマネジャーさんは嘆いていました。新聞報道でも、利用限度額に対する利用率の低さを報じています。本県の利用限度額に対する利用率はいかがなものでしょうか。どのような評価をされていますか。
 これまでの私の質問の中で利用者の満足度調査を求めてまいりました。もし調査されていましたならば、その結果もお聞かせ願いたいと思います。
 利用料が払えない、お金がないため必要な介護サービスを受けられない、こんな法があってよいのでしょうか。昨年十月から、保険料の半額の徴収も始まりました。この一月からは七十歳以上の医療費が定額制から定率制に改定され、医療・介護に大きな負担が押しつけられています。さらに、ことし十月からは介護保険料の全額徴収が始まることから考えても、所得の低いお年寄りの負担は一層大変な事態を招くことになります。そうした中で、市町村は財政が大変厳しいもとでも独自の減免制度を創設し、高齢者を支えています。しかし、これらはまさに保険あって介護なしの欠陥介護保険にほかなりません。憲法第二十五条は、最低限の文化的生活を保障することを国の義務としてうたっています。今こそ県は、国にも意見を申し上げることは当然でありますけれども、県としても思い切った利用料や保険料の減免制度を創設するときではないでしょうか、誠意ある答弁を求めたいと思います。
 元気なお年寄りもたくさんいらっしゃいます。ボランティアで活動している方、さまざまなところで活動しているすてきなお年寄り、こんなお年寄りに会うと、元気をもらったような気になります。以前、我が党が介護保険シンポジウムを開催する際、老人クラブの会長さんにシンポジストをお願いしたところ、とても元気な方が来られました。その方は、「わしは、歳はとっても元気ですよ。介護保険で世話にならないように日ごろの健康に気を使わなあかんよ」と、参加者の皆さん方に元気を与えていただいたことがあります。介護サービスを受けている人も、住みなれた地域で暮らし、早く元気になりたい、寝たきり老人にはなりたくないと、こんな思いを持ちながら暮らしていらっしゃるのではないでしょうか。
 平成十二年度の介護予防予算の中に七億二千九百万余円が計上されております。この予算の執行状況はどうなっているのでしょうか。市町村の取り組みはどうですか。県は、かつて寝たきりゼロ作戦なる事業を進めてまいりました。そこで提案をするものですけれども、この介護予防事業を要支援や要介護一、二レベルのお年寄りの介護度改善のため活用してはいかがかと考えるものです。部長の所見をお聞かせください。
 合併浄化槽の保守点検に関して質問を申し上げます。
 私は一昨年の六月議会と十二月議会でこの問題を取り上げましたし、我が党の金田議員も九月議会で質問をしました。質問の中心問題は、県営住宅における合併浄化槽の保守点検業務がごく限られた特定の業者によって行われており、県と業者が委託契約を結んだ後は業者から契約料を押しつけられることが多分にあることなどでした。そして、住民が業者を選ぶことができる契約への改善を求めてきたところです。県営住宅については、川永団地の方々が初めて合併浄化槽の保守点検料の支払いに直面し、予期していなかった高額の負担に驚かれたことに端を発しました。私どもの問題提起に対して土木部長は、川永団地の合併浄化槽の保守点検については、従来の実績や緊急対応能力などを考えての委託契約であり、業務は適正に行われていると答弁されつつも、契約のあり方については研究課題とすると言明されました。川永団地の住民の皆さんが別の業者に見積もりを求めたところ、うんと安い料金で業務ができるという回答を得た事実も示してまいりました。これに対して土木部長は、こうした見積もりの研究の一つの材料になるとも答弁されています。土木部長は、浄化槽の保守点検業者にランクづけを行っているわけではなく、県営住宅の保守点検をする能力を持つ業者は浄化そう協会のほかにもあると考えているとも明確に述べられました。
 最初に私が問題提起をしてから一年半が経過します。県に登録されている一つ一つの業者の実績、能力などについてどのような検討が加えられてきたのでしょうか。
 私は、兵庫県や京都府では、自治会と業者が自由に契約している例があることもお示ししました。こうした実情は、実際にお調べになったのでしょうか。
 川永団地の住民の皆さんは、平成十一年、十二年については疑問を持ちながらも業者と契約をされました。契約更新の時期に当たる新しい年度を目前にして、県が具体的にどのような検討をしてこられたのか、住民は注視しております。これまでの研究の到達点と今後の方針についてお示し願います。
 最後に、紀伊丹生川ダム問題についてお尋ねを申し上げます。
 大阪府は、このほど府営水道第七次拡張事業計画の変更方針を明らかにいたしました。その中で、一日の最大給水量を前回の予測、三年前の一九九八年二月時点の予測でありますけれども、二〇一〇年度で二百六十五万立米が必要としていたものを、今回の予測では二百五十三万立米に、十二万立米の下方修正を行っています。府全体の水需要の伸びが鈍ると見込まれる中で、紀の川水系からの取水量についても二十五万立米から十三万立米に、ほぼ半分に減らすとされています。紀の川分水の水源は紀の川大堰と紀伊丹生川ダムであり、紀の川大堰からは毎秒〇・二九トン、日量では約二万五千立米となっていますが、紀伊丹生川ダムからは十万五千立米ということになります。そこから紀伊丹生川ダムの計画全体が見直されるのは当然のことです。
 私は、一昨年の十二月議会で紀伊丹生川ダム計画を取り上げ、大阪府営水道が二〇一〇年には二百六十五万トンになるという予測は大き過ぎるものであり、実際の水需要の動向を反映していないことを指摘してまいりました。当時の建設省が設置した紀伊丹生川ダム建設事業審議会すなわちダム審の最終意見は、利水について次のように述べています。「和歌山市及び大阪府の水需給計画については、当該自治体が責任を持ち、長期的な視野に立って作成したものであり、その計画は、水道事業者として供給義務に対する安全性を考慮し、極めて慎重な立場で作成されたものであると思料されることから、本委員会としては基本的にその計画を尊重して良いと考える。 ただし、和歌山市及び大阪府両自治体は、社会経済情勢の変化に応じて、水需要予測について見直しも含めて更に綿密な調査・検討を行う」となっています。和歌山市や大阪府の水需要計画の内容について、その内容の適否を審議せず、それを基本的に尊重してよいとしていることこそが問題です。和歌山県としても、大阪府に言うべきことは言うべきと要求をしてまいりました。その後、ご承知のように和歌山市が水需要予測の下方修正を行い、今回、大阪府も同じく下方修正を行ったものです。大阪府の見直しの一端はこうした指摘が正しかったことを証明したものと言えますが、今回の二百五十三万トンへの見直しも今後さらに変更される可能性が大きいと思います。
 今回の大阪府の需要見直しによっても、紀の川水系からの取水は必要との立場に変わりはないことになっています。しかし、大阪府の費用負担は紀の川大堰だけで現在約四百五十億円にもなっています。ダム建設は現在の総事業費が千五百六十億円となっていまして、多少減額されるかもわかりませんが、利水負担が四割となりますと、何と約六百億円、そして大阪への送水関連施設の建設費とを合計しますと二千億円近くにもなってきます。それで、一日最大十三万立米、毎秒一・五トンの水をとることになりますが、一トン当たりの水利権が一千億円を超える水になります。何と高い水でしょうか。費用対効果の点でも、大阪府営水道の財政上からも、今後紀の川からの取水問題が大阪府政で大きな問題となってくるのは必至です。
 企画部長にお尋ねをいたします。
 紀伊丹生川ダムからの利水について大阪府と話し合い、紀の川分水協定そのものの見直しを行うべきと考えますが、見解をお示しください。
 長野県の田中知事、今全国に話題を呼んでいるところですが、この田中知事が脱ダム宣言をやりました。この脱ダム宣言の中で田中知事は、「数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過し得ぬ負荷を地球環境へと与えてしまう。さらには、いずれつくりかえねばならず、その間におびただしい分量の堆砂を、これまた数十億円を用いて処理する事態も生じる」として、「河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、百年、二百年先の我々の子孫に残す資産としての河川、湖沼の価値を重視したい。長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、あまたの水源を擁する長野県においては、でき得る限りコンクリートのダムをつくるべきではない」、そして「治水のあり方に関する全国的規模での広範なる論議を望む」と、このように言っております。治水のあり方として、ダムに頼らない方策を提起し、全国に論議を呼びかけています。和歌山県でも、この呼びかけにこたえて真摯な論議を行うべきではないでしょうか。
 紀伊丹生川ダムの治水上の効果は五百トンです。一万六千トンの三十二分の一にすぎず、大台ケ原での大量の雨が紀の川の水位を上げている中で、雨量の少ない高野地方でのダム建設が治水上も効果のあるものか、疑問が出されているところです。河川法の改正により、流域委員会が設置されることになり、紀の川の流域委員会が設置されることになっています。この三十日には三回目の準備会が開かれ、委員もそこで確定されるようであります。
 土木部長にお尋ねをいたします。
 流域委員会での論議は、さきのダム審での審議結果には左右されずに、紀の川の整備計画を上流の森林整備とあわせて慎重に審議するよう国に求めていくのが当然だと思いますけれども、部長のご所見はいかがですか。
 これで、第一回の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) まず、看護婦確保問題についての就業実態をどのように把握したのかということでございます。
 看護職員等の実態を把握するために、昨年の九月に全病院九十二施設、全有床診療所二百二十五施設と、無床診療所八百六十二施設のうち、約一〇%の八十六施設を対象にアンケート調査を実施いたしました。調査内容といたしましては、看護体制、夜勤体制、採用者数、退職者数、退職理由、職種別人数、年齢構成等であります。その結果、主なものとして、平成十二年の病院の看護体制は、患者二人に対して看護婦一人の二対一が一二・一%で、二・五対一が五一・三%、三対一が二三・九%であり、そのほかは一二・七%でございました。また、平成十二年の夜勤体制は、一人夜勤が四・八%、二人夜勤が五八・一%、三人夜勤が二七・五%、四人以上の夜勤が九・六%でありました。今回の調査及び他の調査資料から推計を行い、看護職員需給見通しを策定してございます。
 次に需給見通しでございますが、今回の看護職員需給見通しは、週四十時間勤務、年次休暇、産前・産後・育児休業、介護休暇など、国の示す策定方法に基づいてございます。本県独自の方法として、非常勤職員の常勤換算や生理休暇を盛り込み、さらに平成十七年には看護体制二対一の病床が五〇%となるよう推計し、より質の高い看護体制を目指したところであります。この結果、需給見通しとしては、平成十三年の需要数は一万一千八百四十人、供給数は一万一千九十二人で七百四十八人の不足であり、平成十七年には需要数一万三千百七十二人、供給数は一万二千四百九十一人で、六百八十一人の不足になると予測してございます。
 次に、看護学校の新設と定員増、また進学コースの新設でございます。
 平成七年度になぎ看護学校、平成八年度に医科大学看護短期大学部を新設し、平成十二年度には和歌山市医師会立看護専門学校が開校されたところであります。近年の少子化による十八歳人口の減少傾向が見られる中、看護学校の新設は困難でございますが、定員の増につきましては関係機関と協議するなど、今後の研究課題と考えております。進学コースにつきましては、准看護婦の養成数の減少が見込まれる一方、国で検討されております准看護婦の看護婦への移行教育の動向を見守ってまいりたいと考えております。
 次に離職防止についてでございますが、看護職員の離職の大きな理由としては、女性が多数を占める職業であり、人の生命を預かる厳しい職業であることからも、夜勤の軽減や院内保育の充実が必要と考えております。今後、病院内保育施設に対する運営費の補助を行うことにより病院内保育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また夜勤につきましては、国の看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的指針でも示されております複数で月八回以内や母性保護の点からも、夜勤当直の免除や軽減、配置転換等、関係機関の協力をお願いして、働きやすい職場環境をつくってまいりたいと考えております。
 なお、今後、離職防止策を実施している病院が行う看護婦宿舎整備やナースステーション等の勤務環境の改善整備に補助することにより、医療機関による離職防止の実施を促進するとともに、看護職員が働きやすい環境を整備してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度の理解についてお答えをいたします。
 介護保険制度の円滑な実施のためには、県民に対し制度に関する情報をわかりやすく提供し、十分な理解を求めることが重要でございます。今までも、「県民の友」や県民チャンネル等の県の広報媒体を活用するほか、街頭啓発を行うなど、積極的に啓発活動を行ってまいりました。特に、本年十月には介護保険料の全額徴収が始まることから、より一層の啓発活動に加え、生きがいデイサービスなどの介護予防施策の大幅な充実、インターネットを活用した利用者本位の介護サービス情報提供システム──「おたすけ介護ネット」と称しておりますが──の構築、在宅介護支援センターを活用しての地域の介護ニーズの掘り起こしなどにより、県民の方々が介護問題や介護保険への理解を深めていただけるように努力をしてまいります。
 次に在宅サービスの利用率の状況についてですが、制度が昨年四月にスタートした後、徐々に在宅サービスの利用量が増加し、今年度において予想しておりました利用水準に達しつつあります。今後も、利用は徐々に伸びていくものと考えております。要介護度別の利用限度額に対する利用額の割合は、昨年十月において平均して四一%となってございます。また満足度調査につきましては、県内の要介護認定を受けられた在宅の高齢者五百名を対象に介護サービスに関する意識調査を実施し、現在は集計中です。今後、まとまり次第、その内容を公表してまいりいたいと考えております。
 次に利用料、保険料の減免でございますが、県独自の利用料減免制度の創設につきましては困難であると考えますが、今後とも県民の方々が必要な介護サービスを利用できるよう、県民への啓発、ケアマネジャーへの指導、介護サービスの充実等にさらに努めるとともに、恒常的な生活困窮者への減免要件の拡充など、低所得者に対する負担軽減を国に要望してまいります。
 また保険料についてですが、昨年十月より六十五歳以上の方からの徴収が始まりましたが、全体としては収納率は九八%から九九%となってございます。県といたしましては、引き続き市町村との連携を図り、保険料について県民の方のご理解を得られるよう努力してまいりますが、県独自の保険料減免制度の創設は困難であると考えてございます。実態を把握しながら、今後とも恒常的な生活困窮者への減免要件の拡充など低所得者に対する負担軽減を国に要望してまいります。
 最後ですが、元気な高齢者づくりについてでございます。
 介護予防・生活支援事業の今年度予算の執行状況ですが、年度途中でもあることから、概算で九割強になると見込まれてございます。介護予防・生活支援事業は、配食サービスや外出支援サービスなど二十二のメニューから成っておりますが、とりわけ生きがいデイサービスについては県内四十七市町村と、ほとんどの市町村が取り組んでおります。新年度におきましても、要介護の高齢者や自立の高齢者がともに利用していただける三世代交流事業、文化伝承活動振興、高齢者教養講座などの生きがいづくりや健康づくりを支援する生きがいと健康づくり推進事業を創設することとしており、これらの施策を通じ、高齢者が楽しみながら介護予防や要介護度の改善が図られるものと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 合併浄化槽についてのご質問二点について順次お答えします。
 まず保守点検業務に係る研究の進捗状況についてでございます。
 県営住宅団地の浄化槽の維持管理業務契約につきましては、県営住宅の浄化槽のように規模の大きな浄化槽の維持管理業務については、すべての保守点検業者がその能力を備えているとは考えていないため、一般競争入札により業者を選定することは不適当であると考えていますが、維持管理業務が適正に実施されるか、あるいは費用が妥当か等の観点から、現在採用している方法より適切な方法があるかどうか研究課題として取り組んでいるところであります。県営住宅の浄化槽は汚水の処理方法もさまざまであり、多様な維持管理業務への対応、あるいは緊急時における対応等について検討しております。
 次に、これまでの経過を踏まえて今後の方針はということですが、一般に費用が安くなればサービスの質が低下するリスクが増大すると考えられ、費用についてだけではなく、維持管理業務が適正に実施されるかどうかという観点からも、より適切な方法があるかどうか、引き続き慎重に研究する必要があると考えております。
 次に、紀伊丹生川ダムについてのご質問の二点目、流域委員会の論議は慎重にするよう国に求められたいとのご質問ですが、流域委員会は、改正された河川法に基づく紀の川の河川整備計画を策定するに当たって広く意見を聞き、提言を受ける場として近々設置されるものです。この委員会において、国土交通省は整備計画の原案を示し、それに対して自由な意見をいただくもので、取りまとめ等、その運営につきましては委員会で決定するものと聞いております。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 紀伊丹生川ダムからの利水に係る大阪府との紀の川分水協定の見直しについてお答え申し上げます。
 大阪府営水道の見直しについては、給水区域内の市町村水道の同意を得た上で、広域的水道整備計画の改定及び水道企業条例の改正として二月府議会に提案されていると聞いております。平成十一年十二月議会でもお答えしましたが、水道計画については、水道事業者の責任において策定され、議会での議決手続や国の認可を経て確定されるものであり、大阪府営水道の見直し結果は尊重したいと考えております。
 なお、大阪府の水道計画が見直し作業中であることから、紀の川利水に関する協定書についての協議ができておりませんが、今後大阪府と協議してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、再質問及び要望を申し上げたいと思います。
 最初の看護婦の需給見通しにかかわっての問題ですけれども、これは数字として厚生労働省に出されて、厚生労働省も発表しているわけです。その際に、今の看護婦さんたちの職場の実態がどうなっているのかというのをちゃんと調べなさい、その上でこの見通しの計画をつくりなさいよと、あえて指示がしてあります。そういうもとですから、よりよい看護が提供できるために、その需給計画をどうするかということになると思います。
 そういう点で、今非常に医療事故が頻発をしているということで安心して病院に入院できない、何か間違われるのではないかという不安が一層高まっている状況にあるのではないかと思います。病院、あるいは病院で働いている看護婦さんやお医者さんたちに対する信頼が随分と薄らいできているのでないか。そのために現場では、いろんな方法を駆使しながら一生懸命頑張っている、信頼回復をやっていこうという努力をしている最中なんですね。そういうところでの需給見通しでありますから、本当に必要な看護婦の数は幾らなのか、そしてそれに対してどのような形で供給していくのかということになるわけですね。
 それで、一番問題なのは、今看護婦さんたちがやっている二人夜勤、三人夜勤あるいは四人夜勤、中にはいまだに和歌山県でも一人夜勤がまかり通っているという状況にあるわけです。現場として見れば、これは大変患者さんに不安を与えながら、みずからも労働過重になっていると言えると思います。
 実態把握というのは、厚生労働省が指示している内容でもありますけれども、どれだけの夜勤をやっているのか、何人でやっているのか、夜勤回数は何回なのか、あとは介護保険が導入されましたから、その施設や事業所で看護婦さんがどれぐらい必要なのかというのが、あえて今度加味される部分なんです。けれども、今の現場の実態は、回数とか何人でやっているとかという問題だけでははかれないと思うんです。現場は非常に忙しくなっていますし、業務量も非常に多くなっているということから見れば、それがどれほど実態に反映されるのかということがかぎになるわけです。
 ですから、そういう点で見れば、ここで特徴的なのは、パートの人を〇・五に見るのではなくて一人に見たという報告があるわけです。それはそれでいいと思うんですけれども、しかし働いている条件、いわゆる労働条件の実態が反映されていないと私は思うんです。例えば、職場で本当に三人夜勤が欲しいと当局に言っても、ふやしてくれない。ふやさんでもよかったら三人夜勤にしますよと、こういう投げやり的なことになる。そうでなかったら、現場は早出、遅出という時間帯をつくるわけです。これは、依然として二人夜勤のままなんです。だから、実態は三人夜勤が当然なんだということだけれども、この需給計画では二人夜勤でやりなさいよということになっていますから、現在、三人夜勤、四人夜勤、五人夜勤をやっているところの実態は無視されるということになるわけです。そこのところは、ここに生かされていないという問題です。
 それから、本当に現場で頑張っているけれども、それがなかなか反映されないというしんどさがあります。手術場の数とか外来の看護婦さんの数というのは、ここではちゃんと見ているようで見ていないという数字です。厚生労働省の指示の仕方もそうですから、そういう点でも最初から実態が反映されていないものになっている。ただ、今度前進したところは、看護婦確保法に基づいて複数夜勤で月八日以内というのが明言されましたし、週四十時間制で計算しなさいということ。それから、育児休業や産休、年休についてはちゃんと数字を示して、これだけのものについて計算をしなさいと。年休についても、厚生労働省は十五日ですけれども、年休というのは二十日から始まっていきますよね。公務員だってそうでしょう。だから、そういう点で見ると、必要な部分についてもまだ削っているということです。
 それともう一つは、看護婦確保法が一九九二年に成立いたしました。ここでも、複数夜勤で月八日以内と法律で決めたんですよ。ところが、いまだにこれが守られていない。法をつくっても何にもならんということです。これは、国とそれぞれの地方自治体の法を守らないという体質がそのまま残っているということになるんです。そういうところをきちんと守らないで、この計画をつくったからと言って必ず保障されるのかどうかというのは疑問です。一応つくったというにとどまると思うんです。それは、看護婦確保法もそうですが、人事院判定が月平均八日以内にしなさいと、もう四十年前につくったんですよ。それが、いまだに国立病院で守られていないということ自体も大きな問題です。
 ですから、そういう点では、きちんと決めたことについては、行政は責任を持って指導強化をするということが当然やられなければならない問題だと思います。そういう点でも、ぜひこの確保法を重んじて、平成十七年度までの欠員について、供給数についてはちゃんと保証できるのかどうかという点でお尋ねをしたいと思います。
 それを確保するためには、やはり看護学校が大事なんです。准看制度廃止を看護協会も看護婦の職能団体も望んでいることですけれども、和歌山県もだんだんこれが廃止されてレギュラーコースがふえてまいりました。それはいいんですけれども、やっと和歌山も近畿並みになったかなあと思っていたところ、今度准看護婦学校が四校ですか、閉鎖していくわけですから、非常に大きな痛手となるわけです。今まで、准看護婦さんたちが和歌山県下では非常に大きな役割を果たしてきました。約半数は准看護婦さんですからね。その人たちが進学課程に進むには、まだまだ狭き門と言わざるを得ないわけです。今度、国立和歌山病院の看護学校が閉鎖になるということでありますし、南紀高校の専攻科も平成十八年には閉鎖ということになっていくわけですから、そういう点では非常に新卒者が大きく減少するということになるわけです。そういう点では、ぜひ看護学校を公的な部門として考えていく必要があると思います。その点についても、もうつくらんという返事ですけれども、これはもう必要に迫られているわけですから、ちゃんと検討をしていただきたいと思います。依然として退職者が六百人から七百三十人ぐらい毎年あるわけですし、それに看護学生が毎年どんどん減ってくると、こういうような状況になりますと、再就職者はパートが多いですから、そんなに期待できるものではないと思うんです。
 そういう点でも、しっかりと看護学校を増設するということと、今まで大きな役割を果たしてきた准看護婦さんたちの進学課程をどうやって保障するのか、そのことが看護婦の質を高めて安心して看護の現場を保障していくということになると思うんです。ましてや、医療事故を防ぐための最大のものだと思うわけです。その点についても、看護学校について、もう一度、嫌やと言わんと、ちゃんとした姿勢を示していただきたいと思います。
 それから、介護保険の問題です。
 きのうの朝日新聞に、一年間の総括が載っていますね。白井部長、お読みになりましたか。これを読むと、何をしなければいけないということが一目瞭然ですね。利用料が高くて、低所得者の人たちにはもう耐えがたいものになってきていると。次から次と医療費の負担、あるいは介護の負担がふえていくことには、本当に命を奪われるような状態になっているわけですから、そういう点でも国に言うべきことはちゃんと言う、そして行政が責任を持ってやれる分については目いっぱいやるという姿勢で臨んでほしいと思うんです。
 今、低所得者の皆さんたちが一番訴えていらっしゃるのが保険料と利用料を何とかしてほしいということです。そして、わずかな市町村ですけれども、今そういう人たちのために一定量の減免措置をとり始めていますから、ぜひ県としても、そんなことをするなよというような指導はしないで、できることはないのかという模索のための指導を強化していただきたいと思います。
 最後ですけれども、土木部長。川永団地の皆さんたちが、最初の単独浄化槽から合併浄化槽に切りかわったときに大変負担が大きくなるということから源を発しているわけですけれども、あなたが幾つか研究課題の内容をおっしゃいましたが、それをきちんと早くめどを立てていただきたいと思うんです。やる気があれば、そんなものすぐやれるはずですよ。一年半もたってまだそういうところでは困ります。やっぱり、生活している住民の皆さんたちの毎日のことを思っていただきたい。これは解決できる問題だと思うんです。それの見通しが立たないということになりますと、住民の皆さんたちはこの三月でまた契約を切りかえていかなくちゃいけないわけですから、そういう点でも早くめどをつけていただきたいと思います。
 これは、要望しておきます。以上です。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、現時点で、県による学校等の新設は非常に難しいと考えてございます。そのためには、離職防止策等、病院関係者の理解も求め、看護職員の確保に一層努めてまいりたいと思ってございます。結果として、夜勤体制の改善等につなげていければと考えてございます。よろしくお願いいたします。
 低所得者の対策につきましては、市町村へ押しつけるような話をするつもりは決してございません。国へは、強く要望を重ねてまいります。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が残り七秒であります。
 所定の時間が参りましたので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十四番町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 村の長は村長、町の長は町長、市の長は市長、県の長は本当は県長になるべきが、「知事」と言います。どうして「知事」と言うのか調べてみました。もとは寺院の役職で、お坊さんの雑事や寺院の事務を取り扱う役を言います。大衆に奉仕するところから「悦衆」などとも呼ばれたそうです。この知事が中国の地方長官の名称に転用され、それが日本の知事の語源ともなったそうです。大きな寺院でたくさんの僧侶がいると、やはり行政のような仕事も必要になったのでしょう。
 知事とは、知る事と書きます。あなたは、まだ県内で行ったことのないところもたくさんあると思います。そして、県民の心を知らなくてはなりません。あなたは昨年、炎天下に県内各地を回られ、汗をふきながら、また雨の中、傘を差しかけられてもそれを断り、真っ黒になりながら、小さな街宣車で県民に訴えられました。選挙とは、いかに人に迷惑をかけることかという苦しみも味わわれたことと思います。また、人情の機微にも触れられ、人の心の温かさに涙されたこともあったと思います。前西口知事が任期半ばで病に倒れ、その後任の知事になりたい人も大勢おられました。立候補した人を含め、県庁の中から、国会議員の中から、この県議会議員の中から、市町村長の中から、またあなたのように和歌山に縁のあった方々の中からも、うわさに上りました。
 あなたは、四十九年の人生の中で平成五年から平成八年までたった三カ年和歌山に、それも自分の意思ではなくて一枚の辞令で総務部長として来られたあなたが候補者に選ばれました。短い日時の間に、ポスター、パンフレットを作成し、立候補されました。パンフレットの「木村よしきプロフィール」に、小学校四年のとき父を亡くし、母子家庭で育ち、福祉、奉仕を真に理解できる心で人格を形成し、若手の中で行政経験はピカ一、大阪の財政危機を救ったスーパースター、和歌山にも大幅な財政支援が期待されると書かれているのを見て、県民は期待を込めて二十一世紀のトップランナーとして、和歌山丸の船長として就任させたのであります。
 また、あなたの総務部長時代の力量と、人との出会いを大切にする人柄──あなたが総務部長時代、魚釣りが好きだというので、後ろにおられる尾崎副議長、大沢県議と白浜の海に案内しました。そのときは一匹も釣れずに、「木下秀男議員はいい人だ。木下先生はいい人だ」と、ぶつぶつ言って船で寝ているので、「どうして木下議員はいい先生か」と聞くと、「先生と行ったときはよく釣れたし、親切だった」とぼやかれました。そのとき、あなたが知事になるとわかっていれば、もっと釣れる場所に案内すればよかったと反省をしております。そのような庶民的な性格がこの結果を生んだのだと思います。ある意味では、幸せな星の下に生まれたのかもしれません。当選されて、知事室で初めて座った知事のいすの感想はいかがでしたか。
 知事は、立候補するに当たり、二十一世紀はふるさと和歌山の時代と──しかしこのふるさと和歌山の時代は、待っていてもやってくるものではない。県民の皆さんとともに、大切に受け継がれてきた資源を生かしつつ、我が紀州の先人を見習い、積極果敢に新しい世界に挑戦していく。私にとって和歌山は、まさに人生のふるさとであります。私は、あらゆる人々の声に耳を傾け、公正中立に対処し、常に逃げることなく前向きに立ち向かい、日本に、世界に開かれた和歌山を目指すふるさと和歌山創造計画を提案しますと訴えられました。そして、就任されてから六カ月がたちました。知事として今日までの感想があればお聞かせ願いたいと思います。
 また、初めての予算を組まれ、今後の和歌山丸の進路をお示し願いたいと思います。
 知事の好きな言葉に「一期一会」と書かれていますが、何か感じるところがあるのですか。
 平成十二年度事業評価で、紀南地方の主な事例を見ても、嫌でしょうが、和歌山工科大学の凍結、白浜・椿地区の真静荘の閉鎖、白浜山荘の閉館、土木予算、農林業の予算等、寂しい限りであります。西口前知事は一三六の項目をうたわれ、木村知事はGOGOプラン二十五を提唱されていますが、特に私の住む西牟婁に何か夢がありますか、お教えを願いたいと思います。
 大塔村平瀬の障害者の施設については、積極的なご配慮をいただきましたことを心から感謝申し上げます。
 平成八年に議長をさせていただいたとき、近畿議長会に出席し、会議が終わって雑談しているときに三重県の議長が、「町田さん、和歌山はうらやましいですね」と言うので、「何もしてなく、自然がいっぱいあるからですか」と聞くと、「何を言うのですか。近畿地方でジェット機の飛び立つ空港は幾つありますか。伊丹空港、関西空港と和歌山の白浜空港の三カ所しかないではないですか。私の三重県にも、奈良県にも、京都府にも、滋賀県にもなく、今からつくることも不可能でしょう。すばらしい宝ではありませんか」と言われて、初めて先輩たちがこのすばらしい宝を残していただいたことに我々は感謝するとともに、この宝は今後もっともっと活用し、発展させ、次の世代に引き継いでいく義務があるのではないでしょうか。
 昨年九月から滑走路二千メートルの供用も開始され、今春三月、ジェット化五周年を迎えようとしています。和歌山県新空港建設・利用促進議員連盟の会長として、先輩たちが残してくれたこの空港の足跡を総括してみたいと思います。
 記録によりますと、空港建設が決定された昭和三十八年、当時、田辺市出身の早川代議士が自治大臣のときでありました。空港適地として白浜町地内に決定、白浜町より設置賛成の意見書が出され、四十年四月に県議会で可決、四十一年七月着工、四十三年四月二日、小さい千二百メートルの空港でありましたけれども、白浜空港が東京へYS11型六十四人乗りで誕生したのであります。その翌年には、大阪便と名古屋便が就航したのであります。その後、昭和五十二年にYS11型機以降のジェット化対応について、今後の航空機の需要等の動向を見据えて空港整備を検討していくこととして、ちょうど私が県議会議員に初当選した昭和五十四年から基礎調査が行われるようになりました。まさに私は、白浜空港のジェット化とともに歩んできたのだと思います。だから、なおさら感慨深いものがあります。
 二十年前の五十六年、県議会に議員全員で和歌山県新空港建設・利用促進議員連盟が発足いたしました。初代会長は、新宮市選出の下川議員のお父さんの下川舜三先生でありました。五十七年、五十八年に新空港適地決定のための調査費が計上され、県内二十三カ所を選び、消去法によって十カ所に絞られ、さらにその十カ所の候補地から三カ所に絞り込んで、綿密な調査をしたのであります。その三カ所は、芳養湾、南部西、白浜町南、すなわち白浜町は椿から日置川町田野井にかけてのところであります。そのとき白浜空港付近は、物理的に二千メートルは不可能だと消されてしまいました。しかし、何日かたって町で再度調査したところ、二千メートルは確保できるので何とかしてほしいということで、西牟婁、田辺市選出の県会議員が集まり、バス五台を連ねて県庁に押しかけ、白浜空港付近を再度加えてほしいと陳情を繰り返したのであります。そして、消されていた空港適地を、敗者復活により四カ所としてもらい、知事は南紀空港建設審議会に諮問したのであります。それから、日高と白浜との誘致合戦が始まったのであります。
 六十年一月、仮谷知事は四カ所の中から、一度消された現白浜空港を候補地として正式に発表したのであります。これに対し当時、大先輩の藁科先生が一般質問に立ちました。内容は、おおむね次のとおりであります。「五十四年、五十五年両年にかけて調査した結果、白浜空港付近は千二百メートルを二千メートルにする拡張は難しく、方法を変えても大工事となり、騒音問題、また工事中現空港の閉鎖等もあり困難であることから三カ所に絞り、そして最終的に決めたこの三カ所から選ぶとされていた。このような過程の中に現白浜空港は入っていなかったのではないか。調査した結果、南部西、白浜町南、芳養湾の三カ所の候補地に決定したと議会に報告されているのに、また県が二年も三年も調査委員会を設置して三カ所に決定されたという県の権威は一体どこにあるのか。調査費の予算の要請を受けての議会の議決というものをどのように考えているのか、知事のお考えを聞きたい」というものでありました。そのとき、仮谷知事は有名な言葉で答弁されたのであります。いろいろ説明した終わりに、「青い鳥を求めたが、結論は家の内にあったという場合もあるわけでございます。だから、そうした結論であった」と答弁されました。そして、平成四年四月起工式、八年三月九日ジェット化供用開始、YSで東京まで百分かかった時間が五十分ほどで飛べるようになったのであります。
 長々と述べてまいりました。県当局、地元の皆さん、特に鴨居地区、湯崎地区関係者の方々のご理解で、近畿に三カ所しかないジェット空港を完成させることができました。私たちは、この空港を生かすことが、紀南、否和歌山の発展につながるものと確信するものであります。
 そこで、お尋ねいたします。
 知事は、紀南の発展と観光について、この県営白浜空港をどのようにとらまえているのか。
 この四月に白浜空港へ韓国から初めて観光団が来られ、南紀観光を楽しまれ、県は入れかわりに知事を団長に韓国に行かれる。まさに、トップセールスであります。この計画は、昨年十月、県がソウルで和歌山県観光フォーラムを開催し、南紀観光をPRしたのがきっかけであります。私たち県議会経済警察委員会の委員も出席し、委員会を代表してレセプションで私もあいさつをさせていただきました。委員会としてもいささかお手伝いをさせていただいたことをお忘れなく。
 次に、農林水産部長にお尋ねいたします。
 長期総合計画の中で、臨空農業の推進、燦黒潮園芸産地の形成としての位置づけ、積極的に生産団地の育成に努めているところであるというジェット化に向けての農林部長の答弁がありますが、ジェット化による農産物や水産品の輸送の現状はどうか、今後の見通し、取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。
 空港議員連盟として、ご報告をさせていただきたいことがあります。
 この三月でジェット化されてちょうど五周年、また昨年九月に二千メートルの滑走路が供用開始された記念事業として何かよい計画はないか、港湾課、振興局等の皆さんと検討を重ねてまいりました。議員連盟の皆さんとも検討を重ねてまいりました。紅白の幕を張っての五周年記念の式典では、芸もなく、利用促進の効果もない。何かよい知恵はないか。そこで、子供たちの思い出はきっと将来の空港の活性化につながるという点で一致し、それではぜひ、三宅島噴火で被災し、現在首都圏で避難生活を余儀なくされている児童を励ますため、南紀いやしの旅をプレゼントすることに決定しました。ご承知のとおり、三宅島は五十五・五平方キロメートルの面積の島であります。私の住む上富田町とほぼ同じ面積であり、人口約三千八百五十人。昨年八月十八日の大規模噴火活動で九月四日、全島民が避難しているのであります。早速、東京事務所を通じて小学校六年生を対象に六十名程度で三宅島関係者に打診したところ、快くお受けくださいました。先日、私と東京事務所長及び港湾課の職員とで東京都庁の中にある三宅島役場を訪ね、社会福祉協議会会長寺本達さん、野村忠司助役さんにお会いし、正式にご案内申し上げたところ、本当に喜んでお受けいただき、お礼の言葉もいただいて帰ってまいりました。予定は三月二十九日、三十日の二日間でありますが、アドベンチャーワールドでパンダの赤ちゃんとの対面、世界遺産に登録されるであろう熊野古道の散策などを楽しんでもらいます。余り盛りだくさんのこともせずに、私たちも干渉もせずに、白浜のあったかい湯につかって本当にのんびりと、まさにいやしの旅になるように願っています。東京事務所、港湾課、振興局の職員の皆さん、本当によくやってくれました。心から感謝したいと思います。知事、感想があればお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、近ごろ、動物たちの世界にいろいろなことが起きていると言われます。祭りの縁日で売られているミドリガメが大きくなって池に住みついたり、時にはワニや大きな蛇が見つかり、また毒グモが見つかり、本来いないはずの動物がいつの間にかそこここにすみつき、日本本来の自然が変えられようとしています。この移入種の動物たちのもとはと言えば、人間が勝手に持ち込んだもので、すべて私たち人間がもたらしたものであります。むしろ、駆除される立場にある動物こそ被害者であります。人間の勝手で駆除するというのは、余りにもひどい話であります。動物を飼うのなら、絶対に逃がしたり、逃げられたりしないように、最後まで責任を持って飼うべきであります。
 北海道のアライグマは、一九七〇年、人気のアニメ「あらいぐまラスカル」によるブームで独特の姿やしぐさで人気を呼び、一時はペットとして輸入されたのであります。子供のときは人間に懐いてかわいいものの、成獣になると気が荒く、凶暴になり、ペット向きの動物ではなくなり、もてあまして捨てるのであります。アニメの中でも、最後に人間の手に負えなくなり、アライグマを森に帰す場面がありますが、舞台の上では野生に帰せても、日本にはいない動物のアライグマは移入種問題を引き起こしているのであります。
 日本一の琵琶湖のブラックバス、しかりであります。本来はいないはずの魚がいる。違法と知りながらも、釣りの楽しみから現在は全国に広がり、肉食性でエビやカニ、カエルまで捕食し、稚魚は瞬く間に食い尽くされてしまうのであります。奄美大島で、ハブ対策のために島にマングースを三十頭ほど放され、それが自然繁殖し、今では島の広範囲で見られるほどふえたそうであります。ハブを退治するために人間が持ち込んだ動物が、結果的にハブをとらまえずに、農作物や希少動物を危機に追い込んだのであります。結局、人間の行為が生態系を脅かす結果を招いているのであります。手をこまねいている間に日本の生態系が各地で改変され、私たちは「うさぎ追いしかの山 小鮒釣りしかの川」をいつしか失いかけているのではないだろうか。
 本論に入ります。従来、ニホンザルの群れが生息していなかった和歌山市南東部、海南市に移入種であるタイワンザルが野生化して、既に在来種のニホンザルとの交雑が進んでおり、また農作物被害を引き起こしているのであります。和歌山県のタイワンザルは、聞くところによると、四十四、五年前に私設動物園から逃げ出したのが野生化したもので、約二百頭の群れをなしているそうであります。条約には「生態系、生息地若しくは種を脅かす外来種の導入を防止し、又はそのような外来種を制御し、若しくは撲滅すること」とあります。
 そこで知事は、和歌山県サル保護管理計画の樹立について県自然環境保全審議会に諮問され、公聴会、鳥獣部会等、今日まで検討を重ねてこられました。公述人の主な意見は、移入種であるタイワンザルが野生化して繁殖し、在来種のニホンザルとの交雑が進み、このまま繁殖が続くとニホンザルの遺伝子が攪乱され、紀伊半島やがて本州全域に拡大していく心配があると、この計画に賛成されています。しかし、条件として、捕獲した個体の処分について配慮してほしいとあります。
 仄聞するところによると、県は捕獲した個体を無人島に移すべく検討していたが、島の生態系が壊される等でこの案を断念したと聞いています。残るは、二つの選択肢であります。その一つは、施設をつくり、そこに捕獲したサルを避妊や去勢手術をして隔離管理する方法であります。しかし、えづけされたサルは二十年以上生きると言われています。施設費、えさ代、人件費等、単純計算しても十億円ほどかかるそうであります。サルのために税金十億円は県民の理解を得られるでありましょうか。最終判断は知事でありますが、今日まで取り組んでこられた環境生活部長の意見を伺いたいと思います。
 また、以下の点について、担当部長から答弁願います。
 近年のサルの有害駆除についてお教え願いたい。
 タイワンザルは和歌山県内にどれくらいいるのか。他府県にはいないのか。他府県の取り組みについて。
 ニホンザルとタイワンザルの見分け方。また、四十五年ほど前と聞くが、ほとんど血がまじっているのではないだろうか。
 県では環境生活部が担当しながら、振興局では農林水産振興部が担当しているのはどうしてか。
 ブラックバス釣りは違法なのか。どのような指導をしているのか。子供たちへの指導はどのようにしているのか。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの町田議員の質問ですが、あの町田議員、大沢議員、尾崎議員のお世話になって、田辺湾のいかだの上で気持ちよく釣りをさせていただいたことが、私が今日この和歌山県へ来て知事の仕事をさせていただいていることの遠因の一つにもなっているのではないかと、改めて御礼を申し上げる次第でございます。
 まず、今後の和歌山の進路ということでございますが、二十一世紀を迎えた今、長引く不況の影響や県経済が抱える構造的な問題により、本県を取り巻く環境は非常に厳しいものがあり、ますます真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。私は、これらの状況を乗り越えるために、新しい発想を持って政策を展開していくことが重要であると考えております。
 本県は、豊かな自然と恵まれた歴史、文化資源や大都市圏との近接性、関西国際空港のアクセスのよさなど、他府県にないすぐれた地域特性を持っていると考えております。私は、これからは「いやし」という言葉をキーワードに、本県を県民の方々だけではなくて、厳しい自然環境の中に身を置く都会人の方にとっても、新しいふるさとと考えていただけるような形で和歌山を全国に発信していくという仕組みをつくるなど、この和歌山県を二十一世紀の先進県と言われるような形でいろんな行政を進めていきたいと思います。
 議員ご出身の西牟婁地域につきましては、この地域は温暖な気候や温泉、そして熊野古道など資源に恵まれた魅力ある地域であり、観光立県和歌山の中心地域としての発展を図る必要があると考えております。とりあえず、来年度はこのすぐれた観光資源を活用して、農林漁業体験などのオプショナル観光ツアーの開発やインターネットによる情報発信などに積極的な取り組みを進めてまいります。また、この地域には梅、備長炭を初めとする特色のある農林水産業等が発展しており、この全国に誇れる資源をより生かすため、ITを生かした特産品の販路開拓などによる産業振興を図ってまいりたいと考えております。
 また、これらの施策と密接に関連いたしますけれども、韓国等からのチャーター便を誘致するなど、内外の交流窓口としての白浜空港の活用や近畿自動車道紀勢線の早期南伸を初めとした道路ネットワークの整備を進めます。また、過疎地域の物理的距離の解消や地域活性化を図るため、全国でも画期的と思われるIT総合センターを整備するなどいろいろな施策を行っておりまして、来年度予算についても他の地域にまさるとも劣らない配慮をしているつもりでございます。
 私は、このように西牟婁地域を勇気づけ、元気がわき出るような施策を思い切って実施してまいりたいと考えております。
 知事就任から半年が過ぎました。今後とも、県民の負託にこたえ、議員の方々と共同、協調、そしてまた場合によっては切磋琢磨しながら、車の大きな両輪としてご一緒に、県民の皆様とも一緒になって活力ある和歌山づくりを目指していきたいと考えております。
 次に、白浜空港の今後の利用促進についてでございます。
 白浜空港は、国土軸から離れた位置にあるという紀南地域の半島性を克服する大きな手段として、観光の振興や農林水産業の市場拡大等、紀南地域の生活と産業基盤を確立するために非常に重要なものと認識しております。新年度からは、港湾空港振興局を新たに設置し、組織強化を図り、より一層の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
 利用促進の一環として取り組んでまいりました国際チャーター便につきましては、県議会の皆様のご尽力も賜り、この四月に海外からの観光客の受け入れが初めて実現することとなりました。私自身も、この機会に南紀白浜空港から韓国へ赴き、和歌山県の観光と南紀白浜空港へのチャーター便の運航についてPRを行ってまいる所存でございます。
 また、このたび和歌山県新空港建設・利用促進議員連盟の皆様が三宅島の火山活動で避難されている児童を南紀へ招待されるとのお話を伺い、これは本当に時宜にかなったタイムリーなことだと、非常に敬意を表している次第でございます。現在、島民の方々は、避難生活の長期化により大変なご苦労をされていると聞き及んでおります。お越しになる皆様が、白浜温泉の温かさや、これを通して南紀の人々の心の温かさに触れていただくことで、ふるさとに帰ったような心身ともにいやされる旅となるよう心から願っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 南紀白浜空港のジェット化による農水産物輸送の取り組みでございます。
 まず輸送の現状については、平成十一年度で食料品、果実で九十九トン、魚介類で百六トンとなっております。これは、ジェット化前の平成六年と比較すると、積載容量の拡大や航空機利用による通信販売が増加したこともあり、梅干しを中心とした食料品、果実で約三十倍、魚介類ではマグロ、カツオ、イセエビ等で約五十三倍となってございます。
 なお、期待しておりました生鮮農産物は伸び悩んでおりまして、その要因は、道路網の整備に伴う輸送時間の短縮や鮮度保持技術の向上に加え、近年の価格低迷などにより、コストの高い航空輸送に向かなかったのではないかと考えております。
 また、地域の市町村や農協等で構成する西牟婁地方農業振興協議会では、平成十一年八月から空港ロビーに梅干しやミカンをPRする展示コーナーを設置するなどの取り組みを行ってございます。今後、こうした取り組みを支援するとともに、通信販売の拡大などに対応し、ITを活用した県産品のPR促進や北海道等の遠距離マーケットの販路拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 和歌山県サル保護管理計画策定の考え方についてお答えいたします。
 和歌山市南東部及び海南市北東部に、移入種であるタイワンザルが野生化、繁殖し、ニホンザルとの交雑を引き起こしている問題についてでございますが、このまま放置すると交雑が進行し、県内に純粋なニホンザルがいなくなり、将来、本州全域に広がるおそれがあります。日本も批准している生物多様性条約に基づき、タイワンザル等の捕獲を実施する和歌山県サル保護管理計画を策定するために検討会を設置し、議論を重ね、その後、公聴会の開催、自然環境保全審議会での審議等を行ってまいりましたが、捕獲個体の措置については慎重に検討するべきとの意見が出されているところです。
 捕獲した個体の措置につきましては、安楽死案とあわせ、無人島放逐や施設収容、あるいは避妊・去勢してもとに戻すなどの生存維持の方法について、具体的実施場所や方法、技術的可能性、繁殖制限の方法、費用算出等を土地所有者、関連業者、関係行政機関、学識経験者等と精力的に調整し、検討してまいりました。しかし、無人島案については従来の生態系への悪影響が懸念されるとする反対があり、その他の案も技術的な問題等があり、またどの案についても賛否両論があることから、結論には至っておりません。今後は、さらに広く県民の皆さんのご意見を伺うためアンケート等を実施するとともに、自然環境保全審議会の意見を賜り、慎重に対応してまいりたいと考えております。
 次に、サルの有害駆除は、全国で約一万頭、県内では例年五百五十頭前後の駆除をしてございます。
 次に、ニホンザルとタイワンザルの形態的相違点については、尾の長さで、タイワンザルは約四十センチ、ニホンザルは約十センチとなっております。
 次に、当該地域のサル全体の生息数は百七十頭から二百頭と推測しております。なお、他府県の例は、青森県の下北半島で飼育されているタイワンザルの一部が逃げ出し、ニホンザルとの交雑の話がございます。具体的な対策についてはなされてないと聞いてございます。
 次に、これらの業務の担当部署についてでございますが、現地の業務をより効率的に推進するために、振興局では農林水産振興部が行っております。
 最後にブラックバスについてですが、最近、ブラックバスの釣りが盛んに行われておりますけれども、釣りそのものは違法ではございません。本県は、漁業権魚種になっていないブラックバス類等の外来魚の密放流は、漁業権を侵害し、水域の生態系を破壊すること等から、基本的には禁止しております。
 なお、子供たちへの指導につきましては、釣り団体主催の釣り教室等において釣り上げたブラックバスは再び放流しないよう、呼びかけをお願いしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、町田亘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十二日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十八分散会

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