平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(金田 眞議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行わせていただきます。
 もう十二番目ということで先輩議員の方々と重複する点が出ていると思いますが、その点はどうかご勘弁をいただきたいと思います。
 最初の項目、自然と健康を守る観光行政の実現について質問いたします。
 この前、第一種中高層住居専用地域での自社処理も含め、産業廃棄物の処理を許すのかという問題を質問してまいりました。おかげさまで、その新宮市松山の産業廃棄物処理については、昨年の末、県当局が不許可の方針を打ち出す中で申請者が処理場の許可申請を取り下げ、一つの解決を見ました。この間、環境と生活を守る運動に取り組んでこられた地域住民の皆さんに敬意を表するとともに、もう少し早く結論を出せなかったのかなど、いろいろな反省点もございますが、県当局のご努力に心から感謝申し上げる次第でございます。
 さて、問題はすべて解決したわけではなく、その松山の業者の自社処理場において、現在、住民には二つの不安と疑問があります。一つは、石綿を含んだ産業廃棄物や石こうボードが処理されているのではないか、マニフェストによる報告が適切に行われていないのではとの不安と疑問です。当局の対応をお尋ねいたします。
 二つ目に、小型焼却炉での自社処理について、地元住民から煙や異臭、後処理の方法に不安があり、保健所が何度指導しても一向に改善されません。残念ながら、こうした野焼き同然の焼却炉の使われ方は、新宮市内では他の二カ所でも見られます。環境と生活に悪影響を与えている、一部の目に余る焼却炉への毅然とした県の対応が求められます。県の決意をお聞かせください。
 ダイオキシン類対策特別措置法が昨年の一月十五日から施行され、事業所のドラム缶程度の焼却炉まで、県知事への届け出とダイオキシン類の測定の報告が義務づけられています。先ほどの三カ所の事業用焼却炉を含め、県下の焼却炉の届け出とダイオキシンの測定報告の状況、今後の対応についてお尋ねします。
 次にダイオキシンなど環境調査についてですが、新宮市南桧杖の国道改良工事現場の産業廃棄物ダイオキシン問題については、九月議会で、「今回の措置により埋め立てられた廃棄物のすべてを撤去できたわけではありませんので(中略)適正処理指導を行ってまいりたい」としておりました。その後の経過と今後の対策をお聞かせください。
 また、新宮市佐野の巴川製紙の跡地約二万六千平米を平成七年と八年で県土地開発公社がスポーツ公園用地として取得したまま、その後、進展がありませんでした。しかし、和歌山県及び土地開発公社で締結されている覚書によって、県は代行取得した翌年から原則として四カ年以内に土地開発公社から取得しなければならないことや、新宮市でもスポーツ公園の計画があることから、財政支援も含め県の対応をお尋ねしたところ、「新宮市の意向を十分聞くとともに連携を密にして、この土地の早期の有効利用に向け努力してまいります」との答弁があり、この三月市議会に十一億円の野球場事業が提案されております。しかし、この場所には焼却灰、スラッジなどが埋められているとの指摘があり、県にダイオキシンなどの環境調査をお願いしていますが、その内容と結果についてご報告ください。
 熊野川沿いの不法投棄についてですが、特に以前から指摘している白見の滝付近でのタイヤや自動車などが埋められている件は、九月議会でも「今後指導を強化してまいります」としながら、一向に原状回復がなされません。なぜですか。この間の経過と対策をお尋ねいたします。
 また私は、不法投棄防止対策など環境行政を推進するためには、やり得を許さない毅然とした対処と体制が必要であると主張してきましたが、知事の説明要旨で「廃棄物行政の組織強化を図り」とあり、その説明をお願いいたします。
 家電リサイクル法など、費用負担の明確化は不法投棄をふやすおそれがあります。これまで、環境問題で県警が果たす役割が大きいと、県警の環境犯罪対策推進計画や環境モニターの委託などを質問し、県警に不法事案の取り締まりをお願いしてきました。今回、県警は環境機動捜査隊(エコポリス)を設置し、不法投棄などの取り締まりを強化するとのことですが、どのような組織で、どんな活動になるのか、お尋ねいたします。
 次に、熊野川の河川管理についてお尋ねします。
 私が九月議会で、河川法の河川管理に関連し、熊野川河川整備計画について質問した際、「現在建設省で策定を進めております新宮川水系の河川整備基本方針を受けて、建設省、三重県、奈良県と協力して策定を進めてまいりたい」との答弁でした。しかし、三月二日の熊野川流域ダム湖下流団体協議会で、本宮町の河床整備事業としての砂利採取と海岸侵食との関連で、ある県職員が「砂利採取は和歌山県の許認可。三重県側の対策は独自ですればよい」と発言し、協議会が紛糾したと新聞で報道され、県の動向が注目されております。今回の発言の真意と今後の方針をお尋ねいたします。
 第二項目の「障害者に温かい行政の手を」についてですが、今回は特に精神障害者の地域生活支援についてお尋ねをいたします。
 我が国の精神障害者施策は一九〇〇年の精神病者監護法から始まりますが、そこには悲惨な歴史があります。例えば、その監護法の「監護」とは、看護婦さんの「看護」ではなく体を拘束する「監禁」と「保護」からとったもので、自宅の座敷牢を認める法でもありました。それから百年がたち、新しい精神保健福祉法が二〇〇〇年四月から施行されております。
 今日、病院から自宅へとの流れがありますが、現実は全国の精神病院には三十四万人が入院し、少なくともその四分の一の八万人以上の人たちが、引き取り手がないとか、退院したくとも生活のめどがつかないなどの病状以外の理由で病院暮らしを余儀なくされている社会的入院という実態があります。世界の先進国では既に脱施設化を終え、地域型の精神医療、保健、福祉サービスに転換し、先進地では精神病床数が人口一万人に四人から六人であるのに対し日本は二十一床との報告もあり、平均在院日数も非常に長いと指摘されています。入院の必要のない入院という不条理なことが、今も我が国ではあります。その主な原因は、退院できる人たちを受け入れる地域の体制が整っていないからですが、入院の必要のない人が退院できれば入院費を減らすことで地域社会支援の財源を確保できるのではないでしょうか。
 一九九三年、障害者基本法が成立し、第二条の「「障害者」とは、身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう」との、精神障害者も含む「障害者」の明確な概念によって、精神障害者も他の障害者と同様、社会福祉の必要性が規定されています。
 九五年の障害者プランでは、精神保健福祉の社会資源の整備目標として国や和歌山県においてもその数値目標が掲げられ、県では精神障害者社会復帰施設設置や小規模作業所、精神科デイケア、精神保健福祉相談員の配置増などが進められています。しかし、精神障害に対する福祉施策のおくれは、制度的にも社会的資源の量的な点から見ても、他の障害とのそれと比較して歴然としてあります。障害者や家族の強い願いである地域生活支援を前進させていく上での問題点ともなっております。
 さて、精神障害をめぐる最大の問題は治療上必要のない長期入院を解消して地域生活へ移行することであり、長期入院の放置は、障害を持っていても当たり前に地域で暮らすノーマライゼーションからかけ離れた人権問題となっています。全国的にも入院患者の少なくとも三割が社会的支援さえあれば地域生活が可能と言われている中で、長期入院を解消し、社会復帰を進めるためにどのような取り組みを行っていますか。
 この問題は、緊急、切実です。長期入院から作業所から社会復帰施設を経て地域社会へ移った精神障害者の方の話を三つ紹介させてもらいます。
 「病院を退院して働く場所も友達もなく、ひとりぼっちでぶらぶらしているのは絶対によくない。このように少しずつゆっくりと働けるようなところがあったら助かる」。また、ある方は、「病院を退院して、一人で生活して仕事をしていても、一人ではできないことがあります。相談相手は、ソーシャルワーカーさん、クリニックの先生、工場の職員さん、近所の人、仲間同士などです。そして、毎日生活していける楽しさ、うれしさを実感する毎日です。今もいろいろと大変なことがありますが、入院していたときと比べると、今の生活がいいです。仕事と仲間があれば、大抵のことは乗り越えていけます」。さらにある方は、「働くということは、生活や家族のためでもありますが、社会の一員として貢献することでもあると思います。私は施設を出てアパート暮らしですが、地域で住民として生活できる喜びをかみしめています。実はひとり暮らしの不安も随分ありましたが、近所の同じように住んでいる仲間もいるし、乗り切れそうに思えてきました。私たちはひとりぼっちではない。生きている限り、自分のできることを精いっぱいやって、時には助けたり助けられたりしながら仕事を持ち続けたいと願う毎日です」。こうした声からも社会的入院の改善が求められますが、退院が進まない原因には、繰り返しますけれども、地域生活を支える社会的資源の圧倒的不足があります。
 現在、精神障害者社会復帰施設を運営する法人事業体は、和歌山市と田辺市の二カ所です。精神障害者小規模作業所は五市十一町二十カ所で、小規模作業所だけでも利用数の合計は二百五十名を超えています。これは、二十名定員の通所授産施設十二カ所分に相当する役割を果たしており、民間の運動と法的補助金の一定の成果であり、これを全県的に多く設置することが重要です。なぜなら、作業所の多くが各地域の障害者の生活支援の発信の役割を果たし、生活の場支援や当事者活動が活発化していくからです。そのため、県行政には、作業所設置に伴う支援策を積極的に展開すること、そして拠点事業の展開を容易にするため従来の小規模作業所の小規模通所授産施設への格上げが必要で、地域の土地の提供や基本財産の補助、仕事の確保などの支援が求められていると考えられます。県の見解をお聞かせください。
 精神障害者の社会復帰を進めるために、地域において病状が急変した場合の精神科救急医療の確保が不可欠です。県では、平成十年度から精神科救急医療システムを整備しました。県の医療圏を三医療圏とする方針をお持ちだと思いますが、二十四時間三百六十五日の一般救急と同様の救急医療にするための今後の計画をお示しください。
 障害者施策の格差については、障害者手帳を取得した際の福祉サービスは同等に行われるべきだと考えます。具体的には、和歌山バスなどの乗車運賃の割引、高速道路利用料の減免、授産施設等での給食事業の実施、一部で実施されている重度心身障害者医療費助成制度の精神医療への適用の全市町村での実施などについて、また平成十四年度から本格実施される精神障害者ホームヘルプ事業での障害者本人負担の軽減と介護保険との関係で、自己負担の軽減化は必須の課題です。当局の考えをお尋ねします。
 県下的な当事者の活動の育成は、県精神保健施策の責務です。精神障害者当事者の県下唯一の自主的組織である和歌山県精神障害者団体連合会の活動への財政支援によってピアサポート(相互支援)を一層促進させることが障害者の社会経済活動への参加と自立の実現といった精神保健福祉法の目的実現に有効と考えますが、検討をお願いしたいと思います。
 第三項目の市町村合併について質問いたします。
 昨年十二月六日、全国町村長会が市町村合併に関する緊急決議を行い、その中で、住民に最も身近な基礎的自治体である町村は、歴史的な経緯、文化、風土や自然的、地理的条件が異なっていること、市町村合併は地方自治の根幹にかかわり、なおかつ住民生活に大きな影響を与えることから、関係市町村の自主的な判断を尊重することが何よりも重要であるとしています。そして、国及び県に対して、市町村合併の理念と目的を明確にすること、理念や目的を明確にすることなく数値目標を設定しないこと、住民投票制度については地方公共団体の自主性を損ねることのないよう十分に配慮すること、市町村合併の強制を意図した地方交付税の見直しは絶対に行わないことなどを求めています。
 私は、二十一世紀の日本を展望するとき、地域固有の自然、歴史、文化を生かした安心して暮らしていける個性のある地域、自治体づくりが必要であり、住民が経済的、文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持った市町村の存在がますます重要になってくると思います。また、地方財政の確立を中心とした団体自治と住民自治が保障され、民主主義がますます強化され、行政体制の高度化と近代化は絶えず追求されるべきであると考えますが、地方分権の大きな潮流の中で今回の平成合併の根幹を貫く行政効率主義では、特に小規模自治体は押しつぶされると懸念するものです。
 政府は、十二月一日に閣議決定した行政改革大綱において、市町村合併後の自治体数を千を目標とするという与党の方針を踏まえ、自主的な市町村合併を積極的に推進するという形で、現在の三千余の市町村数を千に削減するという数値目標を掲げました。閣議として市町村を三分の一に減らすという目標を掲げたのですから、自主的という格好はつけても、何としても千にするということです。
 また県も、合併推進要綱において、現在の和歌山市を除く四十九の市町村を八から十六の市町に再編合併することを示しており、国の行革大綱と同じく数値目標を設定したものですから、自主的どころか、強権発動をちらつかせたものであり、地方自治、地方分権の精神に反するものです。
 県の要綱では、合併モデルを示し、和歌山市以外の四十九の市町村が八つの自治体に合併されると職員数が二千四百六十二人、約三割減るなど、幾つかの想定数字も出しています。こうした予測が意味するところは、現在の四十九の役所のうち四十一が支所になったり廃止され、歳入も歳出も二割から三割が削減された姿です。東牟婁では、那智勝浦町から新宮市、北山村までを、西牟婁周辺ではすさみ町から龍神村までをカバーする壮大な面積を持つ市が示されていますが、こうした広大な自治体が基礎的自治体と言えるのか。歴史的経緯を無視してこんなパターンをつくってまで合併を推し進めようとするのは許されないことだと考えます。
 また市町村合併の必要性について、県の要綱は、少子高齢化など幾つかの課題を掲げ、市町村の行政体制の整備充実を図ることが緊急の課題であり、合併がそのための有効な対策と考えられるとしています。しかし、行政体制の整備充実は合併をしなくても実現できるはずであり、町村会が要求しているように国が財源を地方に委譲し、国や県が必要な支援を行うことで可能です。
 知事にお尋ねいたします。国や県が示す要綱では市町村合併後の数値目標が既に参考の域を超え、合併問題の自主性に反すると考えますが、見解を明らかにしてください。
 県として、行政体制の整備、住民福祉の向上のため、国に対して地方交付税の引き上げなど財源確保の対策を求めていくことが町村の求めるところであると考えますが、知事の考えをお示しください。
 道路整備や農業予算、福祉施設の配置問題を合併問題と絡ませて、合併に積極的な市町村に予算を厚く配分することはしないと約束してください。
 平成十七年三月三十一日という期限の中、今後十分な論議が尽くせないで、最終的には強権の発動によって合併が押しつけられるのではないかと心配します。合併協議会の設置については、知事に勧告権が与えられています。この勧告権について、知事の考えを伺います。
 最後の項目の、新宮周辺の医療体制の整備についてです。
 紀南地域の特におくれた救急医療と医療内容の充実を求めて、昨年の九月議会で、新宮市民病院への県の格別な財政支援について要望いたしました。その後、市民病院も、新たに新宮市立医療センターと名前を改め、予定よりも早く二月一日には新宮市の管理となり、救急部の設置や新たに診療科目もふやすなど、住民の命と健康を守るために五月の開院に向け、関係者の大変な努力の中で作業が進められております。そうした中で、県立医大には医師派遣について積極的に取り組んでいただいたり、県の二月補正では救急医療対策として一億円が計上されており、感謝するものであります。しかし、病院建設や医療機器等に要する財源は企業債によるものであり、今後の償還は大変厳しいものです。特に今後六年間は大変厳しく、年間八億五千万円もの償還となります。そのために、今回の単発的な財政支援にとどまらず、どうしても継続した県の格別な財政支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 また、休日急患診療所については、昭和四十九年から平成七年の間に和歌山、那賀、伊都、有田、御坊、田辺と設置されていながら、いまだ新宮広域に設置されていないのはおかしいとの趣旨の私の質問に対し、福祉保健部長は、「今後とも休日夜間の診療体制が未整備な地域の整備を促進する」との答弁から、その必要性は十分認識されていると考えます。その上に立って、例えば提案ですが、新宮市民病院の跡地利用の中で保健センターをつくろうとするときに、その保健センターあるいは今の新宮市立医療センターに新宮広域休日急患診療所を設置することは可能なのか、その実現のために検討、努力なされる用意があるのか、お聞かせください。
 これで、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 廃棄物行政の組織強化についてお答えを申し上げます。
 廃棄物問題は複雑多様化する一方であり、行政ニーズも年々増加してきております。今後、各地で発生している不法投棄や廃棄物の不適正処理の監視体制等について、より一層充実強化を図っていく必要があるものと考えており、このため来年度から、先ほども申しましたように県警察においては環境機動捜査隊──これは通称「エコポリス」ということで、我が国では初めてのものでございます──これを創設するほか、環境生活部の中に廃棄物対策室を、また各振興局には監視指導員を配置するなど、組織の充実強化を図ってまいります。
 次に、市町村合併についてのご質問でございます。
 まず、市町村合併推進要綱における合併パターンの市町村数や財政、職員数のモデルにつきましては、市町村並びに住民の方々が市町村の合併についての取り組みを行う際の参考や目安としてお示ししているものであり、これを数値目標と考えているものではございません。国の行政改革大綱についても同様であると考えております。
 次に地方財源の問題でございますが、地方交付税につきましては、本県の市町村にとっても重要な財源であり、その総額の確保が図られるよう努めていくことは必要でございます。しかしながら、国、地方を通じて巨額の借入金残高を抱え、今後本格的な財政構造改革を進めていかなければならない中で、これまでのように地方財源を確保するには大変厳しいものがあるということも、また事実であろうかと思います。このため、それぞれの市町村が将来を見据えて、そのあり方について議論を深めていくことが重要であると考えております。
 次に、お尋ねの予算配分でございますけれども、もとより、それぞれの行政分野のニーズを的確にとらえて適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、合併に際して、新市町村建設計画を着実に実行するために相当な財政需要が生じるところであり、県としても積極的に支援していくことが必要であると考えております。
 最後に、合併協議会設置についての勧告につきましては、公益上必要がある場合、関係市町村の意見を聞いて勧告を行うことができることとされております。昨年、地方分権推進委員会から合併推進に関する国の新たな指針に勧告の基準を盛り込むよう意見書が出されているところでもあり、この動向を注視してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 「自然と健康を守る環境行政の実現を」の「住民の声を反映した環境行政の確立を」のうち、まず第一点目の、野焼き同然の事業用焼却炉対策などの処理のあり方についてお答えします。
 石綿を処理しているのではないかとのことにつきましては、現在の調査ではその事実を把握してございません。また、マニフェストは、産業廃棄物の排出事業者が産業廃棄物処理業者に処理を委託するときに交付するシステムとなってございますので、自社による運搬、処理に関してはマニフェストの交付が必要ないこととなってございます。
 一方、破砕や焼却後の残渣の処理を他人に委託する場合にはマニフェストを発行する必要があり、議員ご指摘の事業者については立入調査時に交付状況の報告について指導しておりますが、いまだ提出がありませんので、さらに強く指導いたします。
 次に、自社処理に使われている焼却炉への対応についてでございます。現在、炉の構造改善等の指導をしているところでございますが、指導期間も長期に及んでいることから、より厳しい対応についても検討してまいりたいと考えてございます。今後も、不適切な焼却炉につきましては、パトロールの強化にあわせ、設備の改善を厳しく指導してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、二点目の事業者焼却炉の届け出とダイオキシン報告についてお答えします。
 ダイオキシン類に係る特定施設の届け出状況につきましては、平成十三年二月末現在、二百十五事業場からの届け出を受理してございます。この内容につきましては、廃止届が十二事業場、休止中が四十五事業場ございまして、稼働中は百五十八事業場となってございます。
 なお、議員ご質問の新宮市内の三事業場のうち二事業場については届け出済みであり、そのうちの一事業場については、その後、休止の届け出を受理しております。
 また、事業者からの自主測定結果報告につきましては、現在、稼働中の事業場のうち二十五事業場から報告を受理してございます。
 ちなみに、議員ご質問の新宮市内の一事業場については、現在のところ未報告となってございます。
 さらに、特定施設の届け出並びに自主測定結果報告に係る対応につきましては、保健所を中心に、市町村、関係団体の協力のもとに届け出の周知徹底を図るとともに、公害パトロールなどを通じて届け出指導に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、熊野川沿いの不法投棄対策についてでございます。
 昨年発見いたしました廃棄物につきましては、指導の結果、撤去を完了してございます。今後も、道路建設工事の進捗に伴い、新たな不適正処理が発見された場合、行為者に対して適正処理を指導してまいる考えでございます。
 また、不適正処理を防止するため、本年に入ってから月に一回程度、新宮保健所衛生環境課、東牟婁振興局建設部管理課並びに県民行政部総務課が合同で熊野川沿いのパトロールをしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 巴川製紙跡地の環境調査についてお答えいたします。
 土壌の環境基準に定められている項目について、調査中であります。重金属類については問題なしとの中間報告を受けております。ダイオキシンにつきましては、四月中旬に調査結果が出る予定でございます。
 次に、熊野川沿いの不法投棄対策についてでございます。
 九月議会以後においても関係機関と連携し、昨年十月三十日及び十二月二十二日に書面において指導したところであります。これに対し、撤去方法等を検討する期間が欲しいとの申し出がありましたので、この対応を早期に見きわめ、この不法投棄については法に照らして厳正に対処してまいりたいと考えてございます。その際、監督処分等を視野に入れながら対処してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、本宮町における河川整備でございます。
 この整備は、浸水常態箇所の治水対策として効果があることから行っているものであります。先日の熊野川流域ダム湖下流団体協議会における県職員の発言内容を確かめたところ、その真意は、本宮町での河床整備と三重県側の海岸侵食についての因果関係が明確でないことを申し上げたものでございました。今後、国土交通省が策定する新宮川水系河川整備基本方針に基づき、本宮町の河床整備のあり方について検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 精神障害者の社会的入院と社会復帰についてでございます。
 精神病院における長期入院につきましては、医療的必要性を含め、さまざまな理由により行われるものと考えられますが、議員ご指摘のとおり、入院医療の終了した患者が早期に退院し、地域で生活することのできるよう社会復帰施策を進めることは重要であるものと認識してございます。
 平成十年に策定をした紀の国障害者プラン実施計画に社会復帰施設等の確保目標を定め、整備に努めているところでございます。地域での社会復帰に関し、社会復帰施設とともに大きな役割を担っているいわゆる小規模作業所につきましては、安定的運営や質の向上を図るため、より緩やかな要件で法定の社会復帰施設となることができるよう、平成十三年度から小規模通所授産施設が制度化されることとなりました。本県では、現在のところ、平成十三年度当初に同施設に移行する予定の精神障害者の小規模作業所はありませんが、今後移行を検討するところに対しては、関係者や地元市町村に対する助言指導とともに、精神保健福祉法に基づく補助を適切に実施し、支援してまいりたいと考えております。
 次に、精神科救急医療の充実についてでございます。
 精神障害者の社会復帰を進めるためには、休日・夜間にも安心して受診できる精神科救急医療体制の整備を図ることが重要であり、平成十年度から精神科救急医療システム整備事業を実施し、休日及び夜間における急性発症患者等に対する医療の確保を図っているところでございます。
 精神科救急医療システムにつきましては、現在、県立五稜病院と紀南総合病院新庄別館を精神科救急医療施設に指定して実施しておりますが、和歌山市内に同施設を確保する必要性等が指摘されていることも踏まえ、今後、精神病院協会等の関係機関と協議を行い、制度の充実が図られるように努めてまいります。
 次に、他の障害者施策との格差についてのご質問でございます。
 障害者の福祉施策につきましては、障害の種別にかかわらず地域での社会復帰が適切になされるよう、サービスが確保されることが原則であると考えております。個々の障害に対する制度の成り立ち等もあり、一律に同一の制度を適用することは困難なものもございますが、障害者手帳所持者に対する料金の減免等、同一であることが望ましいと考えられるものについては関係方面に働きかけを行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、団体への公的補助についてでございます。
 精神障害者の地域における自立と社会参加のため、当事者や家族が構成する団体は重要な役割を担っているものと認識してございます。これら団体が実施する事業等において、本県の精神保健福祉の向上のため有益と考えられるものについては助成を検討するなど、その活動内容を見ながら適切に支援をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、ご質問の新宮周辺の医療体制の整備でございます。
 新宮市立市民病院が本年五月、移転整備により開院される予定であり、救急患者への対応につきましても、医師及び医療従事者や診療設備をさらに充実強化されると聞いてございます。このため、県といたしましても、三次救急医療の補完的な機能を新宮市にお願いしているところであります。これに対する施設及び設備整備に係る補助金を補正予算案に上程をしてございます。
 次に新宮休日急患診療所の設置でございますが、さきの議会でもお答えをいたしましたが、新宮広域における保健医療計画の中で、圏域内に休日夜間急患センターを整備するよう検討することとしてございます。現在も、振興局を中心として、圏域内での医療に関する課題の中で検討をしてございます。もちろん、場所等についても関係市町村で議論をいただきたいと考えてございますが、関係市町村や関係機関と連携して積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 環境機動捜査隊についてお答えいたします。
 産業廃棄物の不法投棄などを初めとする悪質な環境破壊行為が増加傾向にあり、大きな社会問題となっているところでございます。こうした現状を踏まえ、県警察では、環境犯罪から県民の健康と生命、身体を守るため、これまでの対策から一歩踏み込んだ環境保全対策の徹底を図るために全国初の環境機動捜査隊、通称「エコポリス」を創設するものでございます。
 まず、環境機動捜査隊の組織体制でございますが、取り締まりの中核となります本部捜査班、県下十四警察署を紀北、和歌山、紀中、紀南の四ブロックに分けたブロック捜査班、水上警察隊の警備艇を活用した水上監視班、警察航空隊のヘリコプターを活用した航空監視班で構成する、隊長以下約五十名の組織でございます。
 また、環境機動捜査隊の活動内容でございますが、主なものといたしましては、県民の健康を直接脅かす有害物質に係る事犯、行政指導を無視して行われる事犯、暴力団が介在する事犯等、悪質な事犯に重点を指向した取り締まりを行うほか、不法投棄等監視拠点として指定した県下七十カ所の交番・駐在所、既に委嘱しております紀の国環境モニターなどと連携した各地域における不法実態の早期把握、県初め関係機関と連携した原状回復措置の促進など、総合的な環境保全対策を推進するものでございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 ご答弁、どうもありがとうございました。
 知事や県警の環境対策への取り組みには、感謝申し上げます。特に廃棄物の対策室や監視指導員の配置、そしてエコポリスなど、どうかよろしくお願い申し上げます。
 さて、合併論は、先に合併ありきではなく、我が町の現状から出発して、安心して暮らせる町づくり、自治体づくりを考える上で十分な時間をかけて論議されるべきであり、その際、政策論議だけではなく、地方自治の原則や市町村自治体の存在意義について、地方自治制度論も踏まえた論議が求められていることを紹介しておきたいと思います。
 土木部長にですが、本宮町の河川整備事業に関して、職員の発言の新聞報道はまことに残念です。今後は熊野川河川整備計画の策定に向けて、三重県はもちろん、関係機関と一層力を合わせて取り組んでいただきますことを強く要望する次第でございます。
 また、環境生活部長にですが、これはご答弁は要りませんけれども、あえて申し上げておきます。焼却炉の問題ですけれども、休止しているとか言っておりますが、実際は休止しながら焼却をしているという実態も、私は現認しております。そういうことについても十分目を配っていただきたいと。このことも要望しておきます。
 再質問です。まず、土木部長に二点あります。
 一つは野球場のダイオキシンの調査ですが、二万六千平米の広い場所において埋められているところを確認しないままで、またその物質を確認もしないで行った今回の調査であります。そのうちの一点の調査では、他の場所で、すなわち市田川とか佐野川といったところの河川しゅんせつの際の土砂を持ち込んできて、それを検査したということであります。この三地点の調査結果にどれだけの説得力と住民の安心が得られますか。これが完全な調査だと言えるのでしょうか。
 私は素人ですから、よくわかりません。しかし、ここに環境庁の「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル」がございます。私は素人ですが、素人なりに見ました。そこには、「試料採取地点は、あらかじめ資料等調査により地域全体の現在及び過去の土地利用状況、ダイオキシン類の発生源の状況等について把握し、土地の履歴等を明らかにする」、また「試料採取地点は概ね千平米につき一地点程度」とすると。まあ、これでいくと大体二十六地点となりますが。これがすべて当てはまるかどうか、私はわかりませんよ。しかし、一つの目安としてこうしたマニュアルがあれば、再度検討する必要があるのではありませんか。安心、安全のために行った調査が誤解を招くような調査では、逆効果であります。再度の答弁を求めます。
 二つ目は、熊野川の不法投棄です。
 法に照らす、あるいは監督処分等、これまでより一歩踏み込んだご答弁をいただいており、非常にありがたく思いますが、この一件は昭和六十三年からの口頭指導から始まっております。しかし、一向に解決されておりません。
 ここに、振興局が業者に当てた文書があります。内容は、「あなたが、新宮市──番地です──の一級河川熊野川沿いで行っていた、不法埋立については、河川法第二十七条(土地の掘削等の許可)並びに同法第二十九条(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止、制限又は許可)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第十四条第四項(無許可営業)及び同法第十五条第一項(最終処分場の無許可設置)、自然公園法第十七条第三項(無許可土地形状変更)に抵触すると考えられるため、下記の事項に関する報告書を作成のうえ(中略)提出すること」と、このように書かれております。これは、平成十二年の九月二十一日までに提出しなさいという文書なのですが、まだ提出されておりません。河川法あるいは産廃法、自然公園法に抵触すると考えられる問題を十数年も解決できないでいること自体、私は驚きです。まさに行政の責任が問われると思います。
 知事は、昨年の九月議会で私に、「今後は、関係セクションがスクラムを組んで不法投棄や違法行為に厳正に対処し、美しい和歌山を次世代に引き継いでまいる覚悟でございます」と、ご答弁をいただいております。今回、まさに各課にまたがる違法行為の可能性があり、各セクションのスクラムと厳しい対応が求められると思います。再度の部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に福祉保健部長にですが、精神障害者対策については引き続きご努力のほど、よろしくお願い申し上げておきます。
 次に、再質問です。
 財政問題がすべての原因ではありませんが、非常に残念なことがありました。それは、新宮市立医療センターにヘリコプターが離発着できないということであります。施設は、もう既に完成しております。しかし、民家が近過ぎるなどほかの理由もあるらしいですが、使用できないということが現時点の話だと思います。
 なぜ、こうなったのか。簡単に言えば、最初は屋上にヘリコプターをおろすという話がありました。しかし、残念ながら金がない。建物の補強に一億数千万円かかる。その金を惜しんだ──と言ったら悪いですが、少しでも安くするために、地上の駐車場の隅っこの方に施設をつくってしまったんですね。ところが、できてみたら、これが使えない。施設内での場所を移転することによって可能になるかもわからないのですが、これをやろうとしても、また金がかかると。まあ、それ以外の問題もあるわけですけれども、大変です。もちろん、市の責任は重大でありますが、県の指導監督責任も問われると思います。財政支援も含めて、対策が求められております。部長、再度ご答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 二点の再質問にお答えします。
 まず、巴川製紙跡地の環境調査についてお答えいたします。
 野球場としての利用という観点から、新宮保健所及び野球場の建設主体であります新宮市立ち会いの上で三カ所の調査地点を決めたところでございます。その土壌の採取というのは、環境省の土壌調査マニュアルに基づいて、三カ所それぞれにつき、中央一点と中央から五から十メーター離れたところ四方に四点をとりまして、一カ所に五点ということで、総計十五点で行ったところでございます。
 調査箇所のあり方についてのお尋ねでしたけれども、四月中旬に出る調査結果を見まして、新宮市あるいは新宮保健所とも協議の上、追加調査が必要かどうか適切に判断してまいりたいと考えてございます。
 次に、熊野川沿いの不法投棄についての再質問にお答え申し上げます。
 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、この不法投棄については法に照らして厳正に対処していきたいということで、監督処分等を視野に入れながら考えているところでございます。法律上の限界というものもあるわけでございますけれども、関係部局とも十分調整を行った上で、法に照らして厳正に対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) ヘリポートの関係でございますが、予算がかからない方法で市とも協議、指導をしていきたいと思います。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 福祉保健部長、ご答弁、どうもありがとうございました。本当に金がかからない方法でできるのなら、やってください。悪いですが、現場を知らないなというふうに私は思います。そのようないい手があったら、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 土木部長にですが、私、何度も言いますように、全く素人であります。素人は素人なりに、いろんな不安や疑問もあります。ぜひそれをわかるように説明していただいて不安をなくしていただきたいと思います。
 あえて言わせていただきますならば、今回の重金属の調査結果で出てきたのは砒素であります。しかし、ここは昔、佐野鉱山がありまして、この石を埋めたところでもあります。銅山ですから、いろんな残りかすもあった、そんなものも埋めたところなんだと、古老の方も言っておりました。そうしたこともありますので、検査のあり方等については、これがよかったのか悪かったのかわかりませんけれども、ダイオキシンが出ないことを何よりも願っているわけですから、そのことをあえてつけ加えさせていただいて、質問を終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時一分散会

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