平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十二番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 ただいまお許しをいただきましたので、若干の時間をちょうだいして当局の所信をお伺いしたいと思います。
 本日、午前中の質問で、飯田敬文議員が産業廃棄物の件で当局をただされました。また、谷洋一議員が紀南の体験型観光の問題について当局をただされました。重複をする点が多々あろうかと思いますけれども、お許しを賜りたいと思います。
 二十一世紀を考えるキーワードとして「環境」と「健康」が重要でございます。もちろん、これは地球規模の議論であり、日本全体の課題でもありますが、本県にとっても例外ではございません。
 そこで今回は、和歌山県特に紀南、熊野地方における環境と健康、そして観光の三Kに焦点を当ててみたいと思います。
 紀南地方特に熊野は、一昨年の南紀熊野体験博を契機に、いやしの里熊野として広く全国に知られるところとなり、また高野と熊野三山と参詣道が世界遺産リストに暫定登録されるなど、我が国を代表する自然、歴史、文化地域としての地歩を固めてまいりました。観光をベースとする南紀熊野地域にとって、こうした一連の流れはまことに喜ばしい限りであり、一日も早い正式登録が待たれるところであります。今後の組織体制、スケジュール、予算措置等について、当局の積極的な取り組みを強く求めておきたいと思います。
 今回は、こうした状況の変化、価値観の急激な変化などを背景に、南紀熊野の環境への関心が急速に高まりを見せているその一方において、地域を守り育ててきた住民の日常生活が生み出す環境への影響に対し、これをどう対策するかという視点に立って質問をいたしたいと思います。
 高野・熊野地域は、文化遺産として世界遺産にリストアップされたところでございます。その理由としては、熊野三山とそこに至る参詣道が対象の中心になっていることは論をまちませんが、加えてこれを取り巻く豊かな自然環境も大きな役割を果たしているものと考えます。特に、那智の滝とか原生林といったすぐれた自然環境についても、これを文化的景観と評価し、自然も文化の一部であると位置づけしているところであります。和歌山県の顔となる高野・熊野地域は、これを取り巻くすぐれた自然環境によって支えられ、形成され、成り立っているものと思います。言いかえますならば、本県としては、この地域を世界遺産にふさわしい地域として保存整備に努めていく大きな責任を負ったことになると思います。一方、環境に負荷を与える側から南紀熊野地域の現状を見てみますと、最大の問題は廃棄物対策であり、さらに問題を煮詰めれば、これを処分する最終処分場の確保ということになります。
 産業廃棄物の処理に関し、現在の廃掃法は排出者責任としています。事業者が住民の同意に基づき処分場の設置を行うとされています。しかるに、住民の同意は年々厳しくなり、全国的に見てもその実績は激減しております。県は平成九年、産業廃棄物の越境に関する指導要綱を作成、県外からの持ち込みを原則禁止し、また県内の産廃物は極力県内で処理しようとの方針を打ち出しました。しかしながら、産廃物を持ち出さないための最終処分場は県内に一カ所もございません。これを大阪湾フェニックスに依存をしているのが現状であります。問題はさらに広がります。この大阪湾フェニックスに搬出処分できる市町村は、和歌山市から広川町までの四市十四町一村の十九市町村に限られております。それ以外の三十一の市町村はどうすればいいのでしょうか。やむなく民間業者に処理委託をし、一部は県外で処理されているのが現状であります。
 今、公的な処理場で処分する場合と民間業者に処分を委託する場合の費用を比較するため新宮市の一般廃棄物を例にとると、まず新宮市の焼却場の残灰はすべて毎日十トン車で三重県に搬出され、これに要する予算は平成十二年度で六千三百万円にも上ってございます。一トン当たりの処分料金は一万五千五百円で、フェニックスの四千四百十円に対し三倍強となっています。来年度からは民間委託の処分料が八〇%アップの一トン当たり二万八千円となり、財政負担は市の予算の約一%に当たる一億円を見込んでいるとのことであります。このことは新宮市、田辺市に限らず、東牟婁七町村、それに串本町を加えた九市町村のほとんどが三重県の民間業者に委託されており、その処理費は大きな財政負担となるとともに、大変肩身の狭い思いをしてございます。このような事例を民間に置きかえますと、中小企業の負担が大変大きく、企業の育つ要素がありません。
 質問の第一点は、廃棄物について、同じ県内の市町村でフェニックスに持ち込める地域と持ち込めない地域の格差を是正し、すべての市町村がフェニックスに搬出できるよう対策することが必要と考えるが、知事の考えをお伺いいたしたいと思います。
 質問の第二点は、産業廃棄物の対策についてであります。現在、田辺商工会議所を中心に、紀南地方に県主導の産業廃棄物処理センターの設置を求める動きが大きくなってきていることにかんがみ、この際、県が主体性を持った産廃物処理センターを設置してはどうかということであります。
 私の手元に、田辺市の関係者から悲痛な手紙が届いております。県外の業者が最終処分場の存在を背景に和歌山県にまで進出し、住宅や建築物の取り壊しについて坪当たり五千円も安く見積もって、ただでさえ仕事の少ない紀南地方の解体業者が廃業に追い込まれているのであります。また、その波及として住宅の建てかえ需要も激減していると訴え、最後は、「木村知事の管理型最終処分場建設への一日も早い決断をお待ちしています」と締めくくってございます。
 本年四月からは、リサイクル法が施行されます。趣旨には全く同感でございますが、現実の対応はと考えますとき、このことが余計産廃物の増加につながらなければいいのになと杞憂をめぐらすものであります。山や谷は、ごみで埋まりつつあります。警察が思い切ってエコポリス制度を創設され、取り締まりに万全を期していただいていることはまことに心強いものがあり、その成果に大きな期待をしています。しかし最近、地方紙には山林に捨てられた産廃物の対応をどうすればよいのかと何度も報道されているところであり、絶対的に処理場が不足している現状では、このことがモグラたたきと申しましょうか、イタチごっこにならないようにと、ひたすらこいねがう者の一人であります。
 県民は、廃棄物の処理場の建設に対し、これは社会全体が必要とするコストであり、今や他の行政課題に最も優先するとの意識に来ていると考えます。県主導による廃棄物の最終処分場の設置について、知事の見解をお伺いするものであります。
 悠久たる時間の中で、今、私たちに世界遺産という途方もない宝物をプレゼントしてくれる我がふるさと熊野を、子や孫に、さらに世界の人々に対し、大切に保存し、整備し、引き継いでいくことが、長い歴史の一瞬とも言うべき現代にあって、政治を預かっている私たちの責任ではないでしょうか。歴史に恥じないよう、先人に恥じないよう、子や孫に恥じないよう、これから続く未来に恥じないよう、知事の勇気ある決断を期待いたしたいと思います。
 二つ目の質問は、新宮市民病院──今回「新宮市医療センター」と改名して新設をされた件についてお伺いしたいと思います。
 新築移転中だった新宮市民病院は、おかげさまで平成十三年五月、病床数二百九十五床でオープンすることになりました。環境に恵まれた佐野の地での県立なぎ看護学校との一体的な運用は、市民から大きな期待を持って迎えられております。しかしながら、手放しで喜んでばかりはいられません。と申しますのは、当病院の建設に要した事業費総額百三十一億五千万円のうち、国、県からの補助金二億円、市負担分を除いた残り百二十六億五千万円がすべて企業債によるものであり、この分については今後三十三年にわたって償還することとなっており、財政構造極めて脆弱な新宮市民病院並びに新宮市財政にとって大きな財政負担が待ち受けているからであります。
 一方、新宮市民病院を利用する患者の地域別状況を見てみますと、平成十一年度の資料によりますと、まず入院患者の状況は、新宮市民は四万三百六十二人で全体の四八・四%に対し、那智勝浦町など東牟婁郡からは二万八百三十一人で二五%、三重県からは一万五千七百十二人で一八・九%、奈良県などその他地域からは六千四百八人、七・七%となっており、地元新宮市の利用状況は半分以下であり、逆に新宮市以外の利用が五〇%を上回っているのが現状であります。また外来患者を見てみますと、新宮市民の患者数は九万六千八十一人で全体の五六%、新宮市以外の方々の患者さんが四四%という比率になってございます。このように、新宮市民病院に対する利用状況は和歌山県、三重県、奈良県の三県にまたがり、文字どおり広域の中核病院としての役割を担っていることがわかります。さらに、新しい新宮市民病院の内実を見ますと、お医者さんの数を二十九名から四十五名へと増強し、救急の場合は非番の先生方の協力を得てやりくりをしていく予定のようでございまして、県立医大の支援、協力が強く待たれているところであります。市からの要請があればどう対応されるのか、医科大学長の見解を伺います。
 和歌山県、三重県、奈良県の三県にまたがる熊野地域は、今後ますます高齢化することが予想され、高度医療に対する住民の需要はさらに高まってくることでしょう。熊野は、いやしの里です。そこに住む人々が心豊かに暮らすことができ、このことを実現することが政治を預かる我々の責務ではないかと思います。役割は広域、しかしながら財政負担は新宮市だけ、これが新宮市の悩みであります。これは何も新宮市民病院だけの問題ではなく、近隣地域を見ましても、那智勝浦温泉病院、古座川病院、串本病院、すべて同じ悩みを抱えております。要は、新宮市のような財政基盤の極めて脆弱な自治体における病院経営に関する考え方の問題ということになります。今後ともこうした状況を地方任せのまま放置するのか、あるいは国や県が乗り出して必要な地域に必要な病院を維持、運営していくのかといったことが問われていると思います。知事は、既にこうした事情はよくご存じのことと思います。私の立場からは、今回新宮市に対する財政支援を強くお願いしたいところでありますけれども、紀南地域に対する医療行政全般についての木村知事の考え方をお伺いするのは初めてだと思います。今回はまず第一弾として、以上のような状況を踏まえて、今後の紀南地域の医療行政に対してどう取り組んでいこうとされているのか、知事の基本的な考え方をお伺いするものであります。
 あわせて、救急医療対策をどう進められようとしているのか、福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、観光についてお伺いをいたしたいと思います。
 知事は、今回の機構改革で新たに観光局を設置されようとしてございます。これまで、観光立県和歌山の名のもとに、特に紀南出身の議員がひとしく、機会あるごとに観光局の設置を強く求めてまいりました。それだけに、念願がかない、ありがたく、改めて厚くお礼を申し上げたいと思います。
 観光は、新たな展開を見せ始めてございます。国立民族学博物館教授石森秀三氏によれば、観光は今、第三期のブームを迎えようとしているとのことであります。ヨーロッパが中心の第一期、アメリカが主導した第二期、そして今、中国が高い経済成長を背景に新たに世界に飛び出そうしている第三期目を迎えているとのことであります。昨年二月、白浜で開催されたWTOの大会におきましても、アジア各国から日本に対する期待、要望がたくさん出されたと聞いてございます。一方、国内の状況を見てみますと、景気の長期にわたる低迷、先行き不安などから、国民の旅行に対する意欲が急速に減退し、また一人当たりの消費額も大きく低下させています。宮崎シーガイアの例を見るまでもなく、地方における施設型観光は大変厳しい時代を迎えていると聞いてございます。
 私は、これからの観光には三つのキーワードがあると思っています。すなわち、「感動」「体験」「自然」の三つであります。
 メディアが発達し、いつでも、どこでも、世界のほとんどの様子が、家庭にいて見たり聞いたりできる時代であります。人々が感動を持って出会い、触れることのできる観光地は、もはや本物中の本物でなければなりません。我が国における施設型観光にあっては、東京ディズニーランドがその代表例と言えます。東京ディズニーランドの成功の秘訣は、大都市近郊にあって、入場者に飽きさせないリニューアル等々の設備にあると言われておりますが、その分析は専門家にお任せをするとして、この関西版とも言うべきユニバーサル・スタジオ・ジャパンがいよいよ三月三十一日に大阪にオープンいたします。景気刺激策としての期待も大きなものがございますが、我々にとっては、この巨大な観光開発による波及効果をどう本県に引き込むかといった点が当面の最重要課題でございまして、観光局にかかる期待は大変大きなものがあろうかと思います。この際、観光局設置という英断をなされた木村知事の本県観光にかける抱負というか、基本的な考え方をお伺いするものであります。
 もう一点は、USJへの来訪者をどう本県に誘致するかといった点であります。USJになくて本県が有する魅力ある資源はと申しますと、まずは温泉であろうと断言できるわけであります。白浜、勝浦、本宮までのルートをUSJの開設に絡んでどう確立できるか、既に手は打ってあると思いますが、具体的にお伺いをしたいと思います。
 次に、体験を取り上げてみたいと思います。南紀熊野体験博の成功にも見られるように、これからの観光は一方的に見たり聞いたりする観光から、みずから参加し体験するというスタイルに急激に変化していくという予感もございます。南紀熊野体験博のメニューから拾ってみましても、自分で備長炭を焼き、その炭でかば焼きをし、コーヒーを入れる、あるいは風鈴をつくる。備長炭を焼く体験が観光資源と、今まで考えたことがあったでしょうか。川では、カヌーやラフティングを楽しむ。アユ釣りに興じる。今まで見るだけであった清流が大きな観光資源になりつつあります。梅をとる。その梅で自分の梅酒をつくる。梅干しを漬ける。地域の温かい人情に支えられた梅もぎ体験が博覧会終了後も上富田町と神戸をつなぎ、神戸に上富田ファンクラブが結成され、これまで比較的観光資源としては弱いとされていた上富田町に人々が訪れてございます。例を挙げれば切りがございませんが、全国的なニュースや話題を聞いておりましても、どうやら新しい観光のキーワードは体験にあるように思います。
 しかしながら、このことの取り組みは、これまで観光を支えてきたシステムを考えれば大変難しい要素をはらんでいます。すなわち従来の観光は、大量輸送、大量消費というシステムによって成り立ってまいりました。団体旅行、宴会などは、その典型であります。これに対して体験型観光は、その単位が個人であり、家族であり、少人数の同好の集まりといった単位であろうと思います。気の合った者同士のキャンプそのものが体験型観光の重要なメニューであります。この流れをとらえ切れないで、空き室の目立つ観光旅館の目の前がキャンプのテントでいっぱいという状況も見受けられます。新しいトレンドに対し、新しい取り組みが必要と考える次第であります。
 三つ目は、自然であります。
 私は、現代を「時間持ち、不安持ちの時代」ととらまえてございます。高齢化が急速に進む現代にあって、元気で積極的な人生を送りたいと願う高齢者の方々が急増してございます。時間はある。健康でいたい。将来の不安に備えて貯金もできるだけ手をつけないで置いておきたい。こうした方々の関心はどこへ行くのでしょうか。時間はかかるが、安くて体によいことを楽しくやりたい。典型的な例は、ウオークです。私は、ウオークブームはしばらく続くと思います。しかしながら、人間というのは欲なものであります。同じ歩くにしても、そこに何らかの意味づけを求めたり、環境を求めたりするものであります。歴史を訪ねたい、大自然の中に身を置きたい、地域の人々と心の交流を図りたい、こうしたことが熊野古道ブームの背景にあるような気がしてなりません。
 一方で、現代は勝ち組と負け組が選別される時代とも言われてございます。過酷なまでの競争やリストラ、あるいはITに代表される先端技術についていけない人々は、心の救いを何に求めるのでしょうか。我が国は、しばらくいやしが必要と言われています。熊野が最も得意とする分野であります。高野・熊野が世界遺産になろうとしている今こそ、思い切ってこの流れを加速することが必要です。しかしながら、先ほども申しましたように、従来の観光地はすぐさま方向転換できるものではありません。行政が思い切った施策を展開することにより、事業者のリスクを軽減し、流れをつくり出していく。このことが熊野の新しい魅力となり、熊野地域の活性化に結びついていくものと確信いたします。
 以上、長々とお話をさせていただきましたが、知事からは、観光局の新設に関連して、今後の観光振興に対する基本的な認識と施策の大要をお聞かせいただければと思います。
 商工労働部長からは、第一点、USJ開設に関連した和歌山の観光戦略、特に南紀地域への観光客誘致に対する取り組みについて、第二点、体験あるいは自然といった新しい観光動向に対する取り組みについて伺うものであります。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 産業廃棄物の処理問題に関する二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、紀南地方のフェニックスへの参画についてでございます。
 紀南地方における一般廃棄物の最終処分の問題について、これが大きな課題となっていることは十分承知しているところでございます。ご指摘のとおり、現状の大阪湾フェニックスの受け入れ対象区域は、県内では有田郡以北の十九市町村に限定されているため、紀北地方と紀南地方の間では処理形態において格差が生じております。このため、広域臨海環境整備センター法に基づく対象区域の変更指定が必要になるなど非常に困難な問題もございますけれども、今後、県議会、関係市町村とともに私も積極的に東京の方へ出向きまして、環境省に対し、受け入れ対象区域の拡大を働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、県主導による産業廃棄物最終処分場の設置についてでございます。
 廃棄物処理施設の適正な確保は、廃棄物の適正処理を推進し、県内産業の健全な発展を促すためにも不可欠であると考えております。廃棄物処理施設の確保については、本来事業者において努力すべきものではありますが、最近の情勢を勘案すると一定の公共の関与も必要であると考えておりますので、来年度実施する廃棄物処理計画策定のための実態調査の中で、県内の事業者の実態や他府県における公共関与事例等について把握し、検討をしてまいります。
 この問題は非常に大事だ、早急に何らかの方策を見出していかないといかんという気持ちを肝に銘じて進めていくということを申し述べたいと思います。そうは言っても、この問題についてはいろんな面で非常に難しい問題もございますので、どこの地域にどのような施設が必要かなど、これからいろいろ検討していかないといかん問題については関係者の話を十分お聞きするとともに、県議会ともよく相談をしながら、本当の意味での実現に向けて具体的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、紀南地域における医療についてでございます。
 ご指摘のとおり、高度医療面や医師の確保、自治体病院の経営等課題がある中で、このたび新宮市立市民病院が移転整備されることは、高度の診療機能を有する基幹病院として圏域全体の医療供給体制の充実強化にもなり、県としても高く評価しているところでございます。また、県の第三次救急医療の補完的機能を新宮市にお願いしているところでもあり、このたび非常に厳しい財政状況の中ではございますけれども、施設及び設備整備に係る補助金を補正予算案の中で上程させていただいております。医師の派遣につきましても、県立医科大学と連携しながら必要な支援をしてまいりたいと考えております。
 それから、紀南全体の医療、救急医療でございますが、これもまた非常に大事な問題です。和歌山県は県土が非常に広い、山がちであるということから、この問題は非常に重要だと考えております。今、ドクターヘリというものが大分進んできておりますけれども、和歌山県でも真剣にこのドクターヘリの導入ということを検討していきたい、そしてまたしかるべき時期に導入していきたいと考えているところでございます。
 次に、観光についてのご質問でございます。
 実際問題といたしまして、けさの新聞にも、二十一世紀には技術が進み過ぎて人間がそれを制御できなくなるのではないか、そういう意味で人間はいやしを求めていかないといかんし、そういうところに哲学の意味があるんだという記事が載っておりましたけれども、こういう時代にこそ和歌山県の今の姿というものが生かされてくるのではないかという気持ちを新たにしたところでございます。そういう中で、観光ということについても、ご指摘にあったように、二十一世紀のキーワードは「環境」「健康」「観光」ということで私も認識しているところでございまして、このすべてが和歌山県には備わっているのではないかと考えております。
 和歌山も、今までいろいろな観光施策をしてきましたし、それも成果を上げてきたと思いますけれども、これをブラッシュアップして、より発展させることはもちろんのこと、和歌山の美しい海、山、川、そして全国に誇れる農林水産業等を活用した観光客のニーズに合った体験型観光を本県の新しい観光の柱として、地域の皆さんと一緒になって育成発展に努め、全国に先駆けた観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後は、和歌山のすばらしさをITの活用、そしてまた三月の末にオープンするUSJとの組み合わせ、世界遺産登録活動、こういうふうなあらゆるものを活用しながら国内外からの観光客の誘致に積極的に努めていくことを考えております。
 以上、基本的な考え方を申し上げましたけれども、このようなことを推進するために観光局を設置し、現在の一課体制から二課体制にして組織の充実強化を図り、和歌山の魅力を国内、世界に向けて発信していきたい、名実ともに和歌山のリーディング産業は観光にあるということを明らかにしていきたいと考えております。
 なお、昨日、NHKの方から発表がありました。十月からの朝の連続ドラマで、新宮や本宮を中心とする熊野地域が大阪と並んで舞台になるということです。先般、私が和歌山にお世話になっておりましたときも、ちょうど徳川吉宗を大河ドラマでやって、身の震えるような感動を体験したところでございますけれども、今回また新宮や本宮を中心とする熊野が連続ドラマに取り上げられるということについては、地域的に非常にうれしいという気持ちを持っておりますし、これをまた一つの核として和歌山の観光振興、特に紀南の観光振興を進めていかなければならないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) ご質問の紀南地域、特に新宮保健医療圏における救急医療対策についてでございますが、紀南地域は急激な高齢化、山間僻地などの状況や医療資源の偏在などが見られるため、傷病者に対する迅速かつ適切な医療を行うための救急医療体制の整備に重点的に取り組んでいく必要があると考えてございます。このため、移転整備された新宮市立市民病院を中心として、救急告示病院、病院群輪番制参加病院と連携し、広域的な取り組みをお願いしてまいりたいと考えてございます。
 また、重篤救急患者が発生した場合には防災ヘリコプターによる病院間搬送を実施しておりますが、紀南地域に対する救急医療の充実強化を図るため、先ほど知事からもお答えいたしましたように、防災ヘリの利活用とあわせてドクターヘリの導入に向け、現場への救急活動に伴う諸課題についても検討を行ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと和歌山の観光戦略についてお答えをいたします。
 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、初年度の入場者が八百万人、そのうち宿泊客が二百七十万人と予想されており、現在、この国内外の入場者を本県へ誘致するため、大手旅行業者提携旅館、ホテル連盟とともに具体的な旅行商品の開発を進めてございます。今後は、熊野地方の豊かな自然や文化、白浜、勝浦などの温泉を活用し、大手旅行エージェントとのタイアップや積極的なPRにより観光客の誘致に努めてまいります。
 次いで、新しい観光動向に対する取り組みについてでございます。議員ご指摘のとおり、最近の観光客のニーズは従来の「見る観光」から「する観光」へと変わりつつあり、自分で何かをして、精神的、知的な満足を得ることを求めてございます。また旅行の形態も、団体から個人やグループへと移行しつつございます。このような状況に対応するには、本県の豊かな自然や歴史・文化資源を活用した農林漁業体験やアウトドアスポーツ体験といった体験型観光の推進が重要であり、その体験を通じて地域の人々との心の交流や地域に対する理解が生まれてくると考えております。
 今後は、体験型観光を推進する人材の育成や現代人が求めている「自然」「健康」「環境」といったテーマのメニューの開発等に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 地域医療における県立医大の対応につきましてお答えいたします。
 地域医療への貢献は本学の大きな使命でございまして、地域医療機関などへの医師の派遣につきましては、できる限りご要望におこたえできるよう努めているところでございます。本学といたしましては、この使命が十分に果たせるように、学内に渉外委員会、関連病院委員会を常置いたしまして、県内の病院からの医師の派遣要請に積極的に対応しているところでございます。
 議員ご質問の新宮市立市民病院につきましては、本年五月の開院に向けた新宮市からのご要請に対しまして、意思の疎通を十分に図りながら、本学としてできる限り協力してまいりたいと考えてございます。今後とも、県内医療機関からの医師派遣要請など、県民の皆さんの保健医療に対するニーズにおこたえできるよう努めてまいる考えでございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十二番下川俊樹君。
○下川俊樹君 二点、要望させていただきたいと思います。
 救急医療の件でありますけれども、現在救急医療を取り扱っている病院が和歌山にしかありません。木村知事、就任早々、大変困難な問題をお願いするわけでありますけれども、今度、田辺圏域の中に国立病院も改築・新築をされてできるわけです。県も応分の出資をするならば、田辺を中心とした地域に救急医療二十四時間の体制が可能かとも思います。ぜひ紀南地域に、場所をどことは限定いたしませんけれども、一時間以内で人命を救える、救急治療のできる病院が必要だということをお訴えしておきたいと思います。
 そして、第二点目の産業廃棄物の最終処理場について、本当に力強い前向きの答弁、感激をいたしております。
 ただ、知事から今答弁いただいた来年度予算ということでありますけれども、九月に補正予算を組めることもあります。そして、現状を打破するために、ぜひ一日も早く調査に着手していただいて、着工を一日も早くしていただけるように、心からお願いを申し上げたいと思います。
 岩手県や鳥取県のように先進県もあります。そして、県民がこぞってその県の積極的な姿勢に評価をしてございます。ぜひ、和歌山県も産業廃棄物で先進県の仲間だと言われるように、一日も早いお取り組みを心からお願いをして、終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で下川俊樹君の質問が終了いたしました。

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