平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十五番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 指名をいただきましたので、質疑並びに一般質問をさせていただきます。
 まず、IT施策に関連をしてお尋ねいたします。
 知事にあっては、その就任以来、IT施策に大きな情熱をかけていることをしばしば表明され、IT先進県のスローガンのもとにさまざまな施策を講じようとされております。来年度の予算案もITが最大の目玉として位置づけられており、和歌山県経済の発展から県民生活の向上に資するということに至るまでの施策を展開しようとされているところでありますが、特に県経済との関係でどのような成果を期待されるのか、お聞きしたいと思います。
 かつて、和歌山県の経済対策は重厚長大の巨大企業への依存をもってその柱としておりました。時代はその策を過去のものとし、県経済は大きな低迷に見舞われました。その後、バブルに乗って、リゾート産業こそ県勢浮上の切り札としてその推進を図りました。しかし、結果はご承知のとおりであります。現在の県勢の落ち込みのすべてが県行政のせいとするものではありませんが、その責任は決して小さいものではないと思います。
 木村県政が国の施策に依拠して一挙に和歌山のIT革命を図りたいとしている姿を本予算案で見ることができますし、商工労働部で発行された「きのくに産業白書」を見ても、県産業界のIT化のおくれは目につき、その格差を取り戻すための施策の重要さは感じるものであります。しかし、県経済の活性化はIT革命をもってのみででき得るものではありません。農山村の若者のいなくなった深刻な過疎の問題、都市部の足腰の弱った中小企業、それらを取り巻く産業構造の問題、IT革命は進めなければならないが、それだけでは到底片がつかない問題が山積をいたしております。ここ二年ほどの切り札だったベンチャー支援策等も必ずしも期待どおりの成果を生んでおりませんし、従来の県政の不十分さは中小零細企業の実態把握の弱さからくる具体的施策への対応の不十分さだったと思います。
 木村県政にあっては、単にIT施策の推進だけではなく、県の産業の九〇%以上を占める中小零細企業の実態を綿密に掌握し、その可能性についての方向をさまざまな角度から検討し、援助することが必要であろうと思われます。IT革命への援助とともにそういう調査研究施策の具体策も必要であろうかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 ITに関係して二番目の問題は、IT総合センターの整備として概算事業費七十億円、来年度予算案十一億五千万円が計上されております。ビッグプロジェクトと考えていい大規模なものになっておりますが、現時点でこのような施設をつくることが本当に必要なことなのかどうか。ITの教育機関であれば、県民が集いやすいように地方的に対策される方がよほどその効果を上げることができると思われますし、高度な教育機関を設けるとあらば、その内容も明らかにし、和歌山県としてどのような機関をどのように進めていくのか。七十億円の積算も実に大ざっぱで、備品購入計画なども十億円も上げておけばまあいいだろうという感じであります。リサーチラボというような機関もあることです。七十億円もの事業費ですから、少なくとも年間どの程度の技能者をどの程度養成するのか等も掲げて提起すべきであろうと思います。費用対効果も提示してしかるべきではないでしょうか。日進月歩のIT状況です。後日、金だけを食うような大規模施設など不必要だったということにもなりかねません。いましばし検討の期間を持って臨まれるのがよいかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、ビッグプロジェクトの一つ、紀淡海峡ルート建設のために幾つかの項目で予算が計上されておりますが、その必要性、現実性から言っても見直すべきではないかと考えます。本州─四国を結ぶ道路は、既に三本もできております。それができたことによってある種の利便性が生まれたことは事実でしょうが、それは前宣伝をはるかに下回るものであり、期待を裏切るものでした。そして、公団の莫大な借金と、その返済のための自治体負担の問題が後を絶ちません。
 紀淡ルート建設について言えば、昨年も幾つかのキャンペーンも行われましたが、一部の限られた方々のイベントに終わっております。和歌山県にいかなるメリットがあるのかも、依然として抽象的で不明です。平成十一年の紀淡海峡ルート促進講演会で、演者の吉田巌さんという方がこんなことを言っていました。「徳島県と和歌山県、少し伸ばして大阪まででもいいんですけれども、そういう中での交通・経済活動──現状が幾らだ、そしてこれを年々伸ばしていったら十年先にはこのぐらいになるぞという経済活動、交通活動の絵がかけなければならない。それがないと、幾ら橋の話をしても日本全体が納得するような話にはならない」と言っております。促進会議で語られるほど、実はそのごく素朴な絵がまだ描けていないのが現実です。本当に必要かどうかもわからない、あったらいいに違いないというムードだけです。そういう水準で紀淡連絡道を行政として求めるというのは、責任ある態度とは言えないと思います。
 関空の建設のときも、空港ができたら和歌山がどんなによくなるのか、ただただ夢が語られましたが、現実は厳しいものです。公共事業の過大な投資が言われておりますが、この事業もまさにその一部分であろうかと思われます。紀淡海峡ルート建設促進運動は見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、財政運営プログラムに関連して県債についてお尋ねをいたします。さきの質問者が同じ問題を取り上げておりますので、重複するかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。
 県債残高が十三年度末も依然として増加が予測される問題についてです。県財政の健全化のために財政運営プログラムに沿って努力をされているところですが、この財政の悪化は主として国の公共事業偏重の政策に起因すると、私は指摘し続けてまいりました。しかし、地方の努力にまた水を差すような施策が国の方でとられたことに、まことに遺憾の思いをいたすところであります。
 地方交付税の財源不足を口実に交付税を削減し、それにかえて地方として独自に臨時財政対策債を発行させ、県としても百十九億円をプラスした五百八十億円の県債発行となっています。努力のあかしとして臨時財政対策債がなければ県債は七十五億円減ったはずだと説明されておりますが、結果は結局、四十四億円の増となっております。そのあおりで十三年度末の県債残高見込みも六千四百七十七億円となり、十二年度より減らすつもりがプラス二十三億円となってしまいました。この臨時対策債は元利とも後に交付税措置がされるということですが、それをもって県財政に悪影響を与えないと言うことはできません。現在の県債残高の膨張とそれに起因する財政の硬直化は、後に交付税措置をするからという国の言葉によって地方債を能力以上に発行してきたところに問題がありました。このような措置が今後も続けば、地方はまさに破産してしまいます。挙げて国の責任ではありますが、これによる県財政への影響をどのように考えておられますか。
 次に、人権施策に関連してお尋ねをいたします。
 従来より私は、和歌山県の人権問題の取り上げ方が「同和問題を柱にして」とか「同和問題を中心にして」とかいう形で取り上げられることに対して異論を唱えてまいりました。来年度の予算案には人権問題に関する予算が大幅にふえていますので、どのような姿勢でこの課題に対応しようとしているのか、いま一度改めてお尋ねをいたします。
 人権を論ずるなら、真に人権を全面的に重んじる姿勢を求めたいと思うものであります。人権とは、文字どおり、すべての人が人として持っている権利です。それは、基本的人権を中心にして時代とともに広く発展してまいりました。そして何よりも、国家権力に対する個人、資本に対する個人との関係の中で、人権の意味はその内容を豊かにしてまいりました。
 人権とは、単に差別の問題だけではありません。人権を差別の視点だけから見ると、それは矮小化されます。人権を差別のみに焦点を当て、国民の差別意識の問題として教育啓発が行われるならば、人権問題を県民に正しく啓発するどころか、人権概念を誤らせるものとなりかねません。当局にあっては、人権啓発事業においては、日本国憲法にのっとり、人権を幅広くとらえ、同和問題を柱にするとか中心にするとかという施策から脱却されることを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 予算案には、人権センターの設置として約四千六百万円が計上されております。人権センターで何をするのか、従来の施策よりどれほどの仕事がふえるのか、ほとんどわからないままにセンター設置が先行しております。何人の人がそこに配置されるのかもわからないのが現状です。わかっているのは、二百八十平方メートルという大きな部屋の面積だけです。人権問題の取り扱いは、その基本となる理念や施策の内容が重要です。まずセンターありきではないはずです。さまざまな議論のあるところです。再検討すべきだと思いますが、いかがお考えになっておられますか。
 同和対策について、お尋ねをいたします。
 同和対策の特別措置は、本年で最終年度を迎えました。部落差別をなくすというこの国家的事業、国民的事業は、日本の歴史に残る大事業として多大の成果を上げてまいりました。しかし同時に、その事業の進行に伴ってさまざまな問題が派生してきたのも事実だと思います。私はその否定的と思える側面を幾度となく指摘し、もはや同和対策は必要でなくなったとして、最小必要部分以外は中止をされたいと求めてまいりました。今回提出された予算案は依然として従来の施策の漫然とした踏襲であるとの印象を免れないところであり、この点での再考を求めるところであります。
 いずれにしろ、法としては来年度が最終年度であります。総務省地域改善対策室はこの一月二十六日に、都道府県に対して「今後の同和行政について」という文書を通達しています。それによると、三つの理由を挙げて特別対策が必要でないことを述べています。一つは同和地区を取り巻く環境が大きく変化したということ、次に特別対策をなお続けていくことは差別解消に必ずしも有効でないということ、そしてさらに、人口移動が激しい中で同和地区、同和関係者に対象を限定した施策を続けることは事実上困難であると、三つの点を指摘しているところであります。
 この状況は、法期限後の再来年度から当てはまるということではなく、当然来年度も状況的には同じだと思いますが、それはさておき、本県としても県単独事業も含め、同和対策の事業は終了されるべきだと思いますが、いかがですか。また、それに関連して設置されている同和室も、その歴史的任務を終了されたと思われるところから廃止をされ、同和委員会への委託事業なども中止されるべきだと思いますが、どのようなお考えでおられますか。
 続いて、西防沖埋立地のダイオキシン対策についてお尋ねをいたします。
 関西電力の発電所建設予定地から、最高で環境基準の最高値の十八倍に当たる一万八千ピコグラムのダイオキシンが検出されました。このままで建設を進めると大変な事態になるという世論の前に関電はそれなりの対応を始めているところですが、その対応が適切かどうか、行政として的確に指導監督する責任があります。
 ところで、関西電力が調査した地点というのは施設建設のため掘削する部分だけであります。未調査の部分が多く残されております。例えばタンクの設置場所などですが、このような大規模な施設建設に当たっては、当然掘削地だけではなく、その周囲をも調査する必要があろうかと思います。いかがお考えですか。
 また、海にダイオキシン類が浸透していないか、地震等でその危険は増幅されないか等の疑問もわいております。周辺海域の調査はぜひとも必要だと思います。県として関西電力にその調査を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 また、発電所建設に伴い百五十万立方メートルの土砂が掘削されます。当然ダイオキシンの飛散が考えられ、作業員はもとより周辺住民に悪影響を与える危険もあります。関電は土砂に散水することでそれが防止できるとしているようですが、果たしてそれで十分なのか、当局はどう考えていますか。
 さらに、今後の工事の進捗に従い県として定期的な調査をすべきだと思いますが、いかがですか。産廃の埋立地に大規模な工場を建設するというのは、日本には例のないことだそうであります。そういう意味もあり、この地はダイオキシン類対策特別措置法に言う汚染対策地域として対策するのが妥当と考えます。少なくともその精神で厳しく対応すべきだと考えるところであります。ダイオキシンは想像を絶した危険をはらんで、今まで予期しなかったような害毒を及ぼします。その危険性のすべてが解明されているわけではありません。疑わしきはまず調査する、これが行政当局の立場だと思いますが、そういう立場で以上の問題にお答えをください。
 さて、第三工区の問題に移ります。
 この地には、県として衛生公害研究所の機能を果たす施設や環境学習センター、そのほか県民の憩いの場をつくるなどの構想がなされています。この第三工区も大量の産廃が投入され、一説には、第二工区よりもその量は多いとも言われています。ここにもダイオキシンが大量に存在しているであろうことは、容易に推測されるところであります。県として直ちに調査を開始すべきだと考えますが、いかがですか。
 第二工区の問題もあって、県民の間に、県はどうする気だろうという疑問や不安が広がってきています。大阪市は埋立地・舞洲を相当綿密に調査をし、オリンピック施策の見直しをいたしました。できるだけ早く調査し、その結果を公表し、ダイオキシン汚染が認められれば、当然のことですが、その適切な対策とともに従来の構想そのものを見直すことを含めた対応が必要であろうかと思いますが、いかがお考えですか。
 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 まず最初に、森総理の私的諮問機関・教育改革国民会議の報告に教育基本法の改定や奉仕活動の義務化などが触れられていることに関連して、教育長の所見をお聞きしたいと思います。
 まず教育基本法についてですが、これについて報告は政府においても教育基本法の見直しに取り組むことが重要であるとされており、文部科学省は、森総理大臣の強い指示があったとして、近く中央教育審議会に諮問をしたいと述べています。
 教育基本法は、戦後、憲法の理想を実現するためには教育こそが重要であると、国民をその担い手たるべく育成する基本法として大きな役割を果たしてまいりましたし、現在もその意義を立派に持っている法律であります。今回の報告は、教育基本法の何がよかったのか、何が悪かったのかの検討は全くしないままに、制定から五十年以上もたった、時代が変わったのだからというだけでその改定を提起しております。そして、日本の伝統と文化あるいは宗教に関する教育の重要性などを法の中に記述すべきとか、幾つかの具体的な項目を挙げたりはしておりますが、それらは教育基本法の改定をしなくとも十分に対応できる事柄ばかりであります。憲法を国民の育成の側面から支えている教育基本法の改定を、今なぜ提起されてきたのか。私は、その声が憲法改正の声と並行して出てきたことに特に憂慮を感ずるものであります。教育基本法を明確な根拠もないままに改定を図るのではなく、教育基本法の理想を実現する方向で現在の教育を豊かにすることこそが重要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。
 また、一部には現在の教育困難の諸問題の源を教育基本法に求める説もありますが、明らかな誤りであろうと思います。いかがお考えですか。
 また、国民会議の報告は、学校教育の一環として奉仕活動を義務づけ、小学校、中学校では二週間、高校では一カ月間、共同生活で奉仕活動を行うとして、十八歳以上のすべての国民に一定期間奉仕活動を行うことを検討されたいとしています。
 ところで、十八歳以上の青年に一定期間奉仕活動を義務づけると聞けば、ある年齢層の方々は徴兵制度を連想された方もおられると思います。その提案はそのくらい時代錯誤のにおいを伴ったものでした。憲法十八条が「犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」とあり、奉仕活動の義務化という言葉をその憲法の条文によって外さざるを得なかったそうでありますが、この趣旨でいけばさまざまな意に反した労働も国民にかけられそうで、何とも疎ましい気がいたします。
 学校での奉仕活動についても、奉仕そのものが学校の中で「教育」という名で義務化されようとしているわけですが、これにも大きな問題があります。大体、義務化された奉仕というものがあり得るのかということです。奉仕とは自発性によって支えられるものです。私は、学校教育の中で生徒たちがさまざまな生活に触れ、労働に触れることによって体験を通して認識を豊かにすることはぜひとも必要であると考えております。子供の時代でも大人になってからでも、自発的な奉仕活動に参加できるようになるよう、その機運をつくることは大切なことだとも思っています。しかし、それはあくまでも自発性の涵養ということであって、義務として奉仕活動をさせるということでは、決して子供の自発的な奉仕活動への意欲を生み出すものではないと思います。しかも十八歳からの奉仕活動にそれが連動されるとなると、大きな危惧を感じざるを得ません。
 日本ペンクラブの会長・梅原猛さんは会長として声明を発表されまして、基本法の改定で憲法の外堀が埋められると反対するとともに、奉仕活動には将来の徴兵制への地ならしの疑惑を否定できないと、反対の意思を表明され、多くの共感を呼んだところであります。国民会議が提起した奉仕活動について、教育長の考えを示してください。
 次に、学力問題、勉強嫌いの問題についてお尋ねをいたします。
 最近、国際教育到達度評価学会の結果発表があり、日本の子供たちは試験の成績はよいが勉強は嫌いだというレポートが出されておりました。ちなみに、調査対象国のうち日本の子供は、数学の成績は五番だったが、嫌い、大嫌いと答えたのが五二%もおり、嫌いという率が多いのは世界でもトップクラスだったということです。理科についてもほぼ同様の傾向を見せたとあります。また文部省の調査では、半数近くの子供が教えられることがよくわからないといった結果が出ています。また一方、分数のわからない大学生が珍しくないといった現象が生まれているそうであります。一体、学校教育はどうなっているのか、そんな声が各界から上がっています。学力、学ぶ力が落ちてきているということが、だんだん鮮明になってまいりました。
 授業がわからない、ここに今の教育の最大の問題があるようです。子供の生活の大半は授業です。その授業中ずっとわからないまま座っていたら、どんなに苦痛なことでしょうか。こんな中では本来の学力はついてまいりません。人間にとって、知識を得るということは喜びです。ならば、本来授業は楽しいはずのものです。ところが、知的好奇心に満ちた子供たちが逆に人間としての誇りを奪われるに等しい、わからないという苦しさに置かれていることになります。
 もちろん、現在の学校教育をすべて灰色に認識しているわけではありません。そんな中でも、子供たちは授業の中に楽しみを求め、友達との交遊の中に喜びを見出している姿を見ることができます。しかし、学校で勉強が嫌い、わからない子が半分近い、あるいは半分以上というのは余りにも致命的であります。従来の教育の詰め込み主義、エリート育成主義、わからない者も個性として放置されるなどという受験に強い子供をつくる教育が指導要領の中に貫かれ、このような結果につながったろうと私は思います。
 国連の教育にかかわる日本政府への勧告というのが一九九八年に出されました。その一節に「日本に存在する高度に競争的な教育制度、並びにそれが結果的に児童の身体的及び精神的健康に与える否定的な影響にかんがみ」として幾つかの勧告がなされたわけですが、それを見たとき、いささか評価が厳し過ぎるのではないかと私は思いましたが、どうやらまさに核心をついた指摘だったとの思いを最近新たにしています。勉強嫌い、その同義語としての学力の低下、学級崩壊あるいは学校崩壊、総じて学校の荒れと称される現象の根源の一つもここに大きくあると思われます。
 子供たちはわかる権利があり、教育はわからせる義務があります。その義務が果たされていない、そういった現状ではないでしょうか。「衣食足りて礼節を知る」という言葉がありますが、子供たちにとっては授業がわかってこそ友情も本物になろうというものです。教えるべきことを精選し、基礎的なことは時間をかけてじっくりと教える、そんな教育がベースになければならないと考えます。従来の教育の何が問題であったのか、根本的に問題が提起されています。そういう立場から見れば、数々の問題を含んだ新しい指導要領を前にそれをどう考えていくのか。管理主義を排し、学校や教員の主体性を生かすことを大前提に、教育委員会の精魂込めた努力が求められるところであります。和歌山の子供たちはみんな勉強が好きだという状況をつくるため、教育委員会は努力を惜しんではならないと思います。どのような方向を持っておられるのか、お示しください。
 同時に、子供たちにゆとりを持って接することができるように教員をふやさなければなりません。私たちは三十人学級を従来より求めてまいりましたが、いまだその方向は出てまいりません。ただ今回、国の方で教師の総枠を減らさないという第七次定数改善計画が出されてまいりました。目下審議されているところだと聞きますが、その計画に習熟度別学級編制というような賛成しかねる制度も伏線としてあります。無条件で歓迎というわけではありませんが、教員を減らさないという点においては大いに地方としては活用されるべきだと思います。
 ところで、来年度の県の教員定数はまたまた百十二人も削減ということになっています。国全体としては減らさないのに和歌山県は減る、納得のいかない現象であります。子供の減少に伴い現行法で教員が大きく減らされるところでは、大きく増員を要求すべきです。この調子でいけば、何年か後には他府県との間にも大きな格差が生じるのではないかと懸念をいたします。この際、教育委員会としては大幅な教員増を計画し、財政運営プログラムの五百人削減は見直すよう努めるべきだと思います。教員定数をふやすためにどのような取り組みをされていますか、お答えください。
 また、小学校一年生とか中学校三年生とか、特段に指導の密度が求められるところでは、高知や香川、秋田のような県独自の教員増を図ることも肝要かと思いますが、いかがでしょうか。
 教育関係で、最後に図書館教育についてお尋ねをいたします。
 昨年は、国会決議で「子ども読書年」と定められていました。子供の読書離れが進行し、いろんな意味で憂慮されているところですから、このような年度を設定するのも大人の努力期間として、ある意味では有効かと思います。読書の環境を充実し、読書の喜びを子供たちに与えるため県としてはどのような努力をされてどのような成果を上げられたとお考えですか、お示しください。
 ところで、平成五年から五年間で学校図書館の蔵書を一・五倍にする施策が国の方でとられました。それが交付税として措置されたため、図書に回らずほかに消費されないようにと、私はそれを願ってここで質問したことがありますが、いかなる成果をおさめられたでしょうか。学校図書標準に照らしてそれを達成している学校は、和歌山県では小学校が二一・九%、中学校が一二・一%と聞きますが、この低い数字をどう評価されますか。県として年次計画を制定し、市町村とともに努力されるべきではないでしょうか。また、読書指導に専任司書教諭、図書館司書の配置を求めてきたところですが、現実は極めて厳しいようであります。一律に設置とは言いませんが、試行的にでも考えてみることが必要ではないでしょうか。ボランティアの導入なども検討に値すると思いますが、県教委としてのその意思はありませんか、お尋ねをして、第一質問を終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、ITと県経済ということでございます。
 我が県の中小企業を取り巻く環境は、長期化する不況に加え、消費者ニーズの多様化や海外との競争の激化等、極めて厳しい状況にございます。このような状況のもと、県内産業の競争力を強化し、地域経済の活性化を図るためには、国の内外の社会経済システムの変革をもたらすITの活用が必要でございます。このため、県といたしましては、県内中小企業におけるデジタルデバイド、いわゆる情報格差を早期に解消するため、IT関連事業の積極的な展開を図ることといたしました。
 しかしながら、ご指摘のように、ITは手段でございまして、ITのみで中小企業の厳しい状況を脱することができないことは言うまでもございません。新しい産業の創出や地場産業を中心とした県内企業への各般の施策はもとより、長引く不況に対応した金融支援など企業のニーズを的確に把握しながら、引き続き積極的に推進をしてまいりたいと考えております。
 次に、ITセンターについてのご質問でございます。
 IT総合センターにつきましては、半島という我が県の地理的な特性、そして高齢化の進展などを克服し、本県の産業発展や県民生活の充実を図るためには、インターネットなど日進月歩の情報通信技術の進歩に対応した技能の習得とその活用の場を提供することが必要であると考えることから、これらに適切に対応し得る情報通信拠点の早急な整備が不可欠と考えて計画をしたものでございます。
 このような情報通信拠点としてIT総合センターは、まず人材の育成、研修機能を持つほか、産業支援機能や地域支援機能でありますとか、普及啓発機能など、さまざまな機能を有し、県民の方々が広く集い利用していただける施設として整備していきたいと考えております。
 なお、このIT総合センターでございますけれども、形の上では建設が既定のこととされ経費が予算上計上されていた教育研修センターの機能拡大という形で行いますので、新規のプロジェクトとして巨額の追加費用が要るというものではございませんので、ご了解いただきたいと思います。
 次に、紀淡連絡道でございます。
 紀淡連絡道路につきましては、太平洋新国土軸や大阪湾環状交通体系、関西大環状交通体系など、広域的な連携をはぐぐむ交通基盤のかなめであるとともに、西日本の新たな可能性を切り開くプロジェクトとして、早期実現に向けた取り組みを県議会のお力添えをいただきながら実施してまいったところでございます。この結果、平成十年度には新全総等に「構想を進める」という形で明記されました。
 現在、国土交通省では事業費の縮減や事業手法について調査段階にあるため地元の負担がどうなるかというようなことについては明らかでない面もございますけれども、この構想自体が広域的な相互交流を促進し産業や本県が有する多くの観光資源を生かすことのできるプロジェクトであるということから、関係団体と連携を図りながら構想の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 臨時財政対策債と県財政についてお答えいたします。
 今回の地方財政対策において、地方交付税総額の不足の補てん措置として従来の交付税特別会計の借り入れ方式を見直し、国と地方との責任分担のさらなる明確化、あるいは財政の一層の透明化を図るため、地方負担分について特例地方債を発行するという制度改正がなされたところでございます。従来は地方交付税総額を確保するため不足分を交付税特別会計で借り入れるという方式がとられてきたところでありますが、このうち地方が負担すべき借り入れ分につきましては、いずれ交付税特別会計から償還すべきものでございます。そうした意味におきましては、特別会計で借り入れるか、あるいは地方団体が借り入れるかは、最終的には同じことになるものと認識いたしております。
 この特例地方債の元利償還金については、その全額が後年度交付税措置されることとなっており、当面の財政運営への直接の影響はないものと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 人権啓発の基本姿勢でございますが、平成八年の地域改善対策協議会の意見具申に「これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきと考えられる。その中で、同和問題を人権問題の重要な柱として捉え、この問題に固有の経緯等を十分に認識しつつ、国際的な潮流とその取組みを踏まえて積極的に推進すべきである」とされております。このことを基本にいたしまして、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画に基づき、全庁挙げて人権教育啓発の推進に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、仮称でございますが、人権教育啓発センターについてでございます。
 人が人として生きるための基本的人権が尊重される豊かで明るい社会の実現は、大変重要なことでございます。このため県では、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画を平成十年に策定し、全庁体制で取り組んでいるところでありますが、人権の世紀と言われる二十一世紀の初頭に当たって、同和問題を初めさまざまな人権問題に関する情報の集積と県民に対する人権教育啓発活動を推進するための拠点となる人権教育啓発センターを設置し、総合的な人権教育啓発に取り組んでまいる所存でございます。今後、職員体制につきましては十分検討をしてまいります。
 次に、地対財特法の期限後の対応についてでございますが、本県におきましては、和歌山県同和行政総合推進プランに基づきまして、教育、啓発、産業、就労対策等の課題解決に向けて取り組んでいるところでございます。
 地対財特法が平成十三年度をもって期限切れとなることにかんがみ、地対協意見具申の考え方に基づき、同和対策事業を見直し検討した上、残された課題解決のため必要な工夫を一般対策に加えつつ対応するという基本姿勢に立って一般対策に移行すべきであると考えてございます。この一般対策への移行は同和行政の終了を意味するものではなく、従来にも増して基本的人権の尊重という目標を見据え、県民のニーズを的確に把握し、同和問題を早期に解決するという視点に立って行政を推進してまいります。
 また、関連した議員ご質問の点につきましては、同和室、同和委員会が果たしてきた役割と使命を十分踏まえ、新しい時代に沿った組織体制を構築する重要な時期であると認識してございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 西防沖埋立地のダイオキシン対策について、お答え申し上げます。
 和歌山発電所建設予定地におけるダイオキシン類の調査結果については、去る一月三十日、関西電力から公表されたところですが、現在、関西電力ではこの調査結果を踏まえ、さらに追加調査を実施しているところであります。今後、これらの調査結果をもとに、掘削した廃棄物の封じ込め、粉じん等の飛散防止、排水の処理、作業員の汚染防止対策、ダイオキシン類の監視体制等について、学識経験者の指導も得ながら具体的な対策を検討するとの報告を受けております。
 県としては、今後この具体策がまとまり次第報告するよう求めるとともに、工事中におけるダイオキシン類への対策に万全を期すよう関西電力を指導してまいります。
 なお、今回の調査は掘削に伴って出てくる廃棄物等に含まれるダイオキシン類のレベルを調査し、対策を検討することが目的であります。現段階では建設予定地全体についての調査を求めることまでは考えておりません。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 西防沖埋立地第三工区の調査と対策についてお答えいたします。
 第三工区につきましては、利用の事業主体である県の責任において適切な時期に土質調査を行い、その調査結果を踏まえて具体的な利用計画の検討をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育基本法は、我が国教育のよって立つ基本理念を示すものとして役割を果たしてまいりました。しかしながら、教育改革国民会議は、同基本法の制定時と現在とで社会状況が大きく変化しているとして、法改正を視野に入れた報告をいたしたものと理解しております。
 この報告においては、教育基本法の改正に当たって広範な国民的論議と合意形成が必要であるとしているところから、国レベルでの動向に注目するとともに、県教育委員会といたしましても、校長会などにおいてさまざまな教育課題とあわせて論議を深めてまいりたいと考えております。
 学校教育における奉仕活動は、社会奉仕の精神を涵養する観点から重要な意義を持つものであり、本県の各学校では高齢者や障害者の介護体験や地域の清掃活動など、さまざまな活動が実践されております。こうした活動を通して児童生徒がボランティア活動を実践する態度を身につけることができるよう、今後とも学校教育の中で積極的に推進してまいります。
 次に学力問題についてでありますが、平成七年及び十一年に国際教育到達度評価学会が実施した世界標準学力テストの結果では、日本の子供の算数、数学や理科の学力は国際的にトップクラスの水準にあるものの、これらの教科を好きと答えた児童生徒は諸外国に比べて少ない状況にあります。こうしたことから、これからの学校教育では、基礎基本の学力を確実に身につけ、一人一人が学ぶ楽しさと喜びを実感し、特性や能力を最大限に伸ばす教育を進めていく必要があります。学力を単なる知識の量ととらえるのではなく、みずから学び、みずから考える力を身につけさせるとともに、個別学習やグループ学習等、個に応じた指導や体験的、問題解決的な学習を進めるなど、指導の方法や体制をより一層工夫改善してまいりたいと考えております。
 教職員定数についてでございますが、今後見込まれる児童生徒数の減少に伴い、文部科学省は基礎学力の向上ときめ細かな指導を目指した新たな教職員定数改善計画を策定し、その審議が行われているところです。本県といたしましても、この改善計画の趣旨を踏まえ、二十人程度の少人数による授業を行うなどの各学校の取り組みに対してできる限り支援できるよう、必要な教職員定数の確保に努めているところでございます。
 次に、学校図書館の整備状況等についてであります。
 小・中学校では、全校一斉の読書活動を初め公共図書館等との連携を図るなど、学校図書館教育の充実と特色化に努めているところです。平成十二年の子ども読書年には学校図書館の読書活動等に特色あるすぐれた学校が文部大臣表彰を受けることとなり、本県では中学校二校、高等学校一校、ろう学校一校が受賞いたしました。
 小・中学校における図書の整備につきましては、平成五年度からの整備計画にのっとり毎年県内の小学校で合計七万冊程度、中学校で三万冊程度の図書を購入し、蔵書の充実が図られているところです。引き続き年次計画を立てて、図書標準を達成するよう市町村教育委員会を指導してまいります。
 なお、現在、図書館教育の充実を図るため、平成十五年度から十二学級以上の小・中・高等学校に司書教諭を配置できるよう、資格取得のための講習会の開催等、配置のための条件整備を行っているところであります。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、何点か再質問をさせていただきます。
 まず、総務部長にお尋ねをいたします。
 百十九億という大量の地方債が臨時財政対策債として発行されることになるわけですが、これは本県のこれからの財政運営には支障のないものだとお答えになられました。その根拠が、交付税措置があるからだということだったと思うんです。
 私は、必ずしもそうではないと思うんです。従来の方針からなぜ今回のような地方に独自に持たせるようになったのかというあたりが、非常に大きな問題だと思うんですよ。国にそういう意図がなければ、わざわざこういうことをするわけがないんですからね。これをさせたという、そこの問題。
 だから、国の方の交付税会計が大変なことになっていると。もう常識ですよね。そういう中でやむにやまれぬ措置として、こういう格好になってくる。そうすると、結局、後々に交付税で対策しますよと言ったって、うそになるのか本当になるのか、これは全く保証のない話じゃありませんか。そういうところを見ないで、これで別に影響はないというようなことを言っておって、これがもし──来年も恐らくあるでしょう。その次にもあって、もし続くというようなことになったらどうなりますか。たちまちにして破産ということは明らかじゃありませんか。
 これは、やはり重大な影響があるということを前提にして、国の地方財政に対する厳しい対応を、地方としてはやるべきだと思うんです。地方に対する財源措置を十分に保証するよう国に要望していく、交付税率の引き上げなどももっともっと強く求めていくということがない限り、このままずるずると雪だるま式に借金をふやすことになってしまうんじゃないかと、そういう心配をいたします。だから、影響はないとのんびり構えるのではなしに、必要な要望をきっちりとやるということが求められると思います。総務部長の意見を聞きたいと思います。
 次に、関電の発電所とダイオキシンの問題で、企画部長にお尋ねをいたします。
 関電の方は、掘削地以外は調査をしないということになっています。これは、やはり全体的にやるべきだと思うんです。あの埋立地全体にどれだけのダイオキシンが埋まっているのか、掌握する必要があると思うんです。そんなの関係ないというわけにはまいらないと思うんですね。そして、総量を推測した上で、県としてどういう必要があるかを明確にして指導する、そういう立場であるべきだと思います。掘削地以外はしないという状態になっておりますけれども、ぜひ調査させるべきだと思います。なぜ調査させないのか、そこのところを聞きたいと思います。
 それから、海洋へのにじみ出しの問題です。
 非常に立派な護岸があるし、いろいろとそれなりの装備もしているからにじみ出しについては心配がないというふうにおっしゃられるわけですが、我が国の最近のさまざまな出来事を見ておりますと、起こるはずのない事故がいろいろと起こっているんですね。絶対安全だと思ったものが安全でなかった。トンネルの屋根から石が落ちてきたり、原発の関連施設が爆発したりという想像もできなかったようなことが起こってくる。こういうこともあり得るわけですから、行政としては、やはり疑わしきものは調べておくということはどうしても必要だと思うんです。なければないで結構です。それで安心すればいいんですから。しかし、そういう措置をやらないままにおくということでは県民の安全を守るということにはならないと思います。そこをひとつ、適切な指導をしていただきたいと思います。
 同和対策に関係して、お尋ねをいたします。
 答弁では、一般対策へ移行するが、同和行政の終了を意味するものではないという前提で、従来にも増して人権尊重の目標を見据え云々と、同和行政を推進していくということを答弁されました。
 一体、同和行政の特別対策を廃止することと一般対策へ移行すること、それから一般対策へ移行しても同和行政は進めるんだということ、このあたりはどういう関連になっているんですか。名前だけを変えて従来と同じような形をするというのであれば、総務庁が示した三つの基準からも外れてくると思うんです。そのあたりを明確にしていただきたいと思います。
 それから、同和室の問題です。
 新しい組織体制を構築していくということで、同和委員会への委託についてもそういう趣旨での答弁がありましたが、これは一体どういう意味を持っているんですか。私は、もう一切なくてもいい、やめる方がよろしいという思いで質問をいたしましたが、組織体制を新しく構築するというのはどういうことなのか、それをお答えいただきたいと思います。
 教育問題について、これは要望でとどめておきたいと思いますが、学力問題の点では実に深刻な問題が起こっているんではないかと私は思うんです。
 文部省の調べで、わからない、ほとんどわからない、半分ぐらいしかわからないという子供が小学校で三二%いる。中学校で五六%、高等学校へ来ると六三%になるというんですね。これはもう本当に信じられない思いなんですが、そういう結果が出てきている。ところが逆に文部省の方では、成績の方はおおむね良好であるというようなことも言っているんです。明らかに大きな矛盾があります。
 子供たちのわからないというこの状況をこのままに置いておくということは、それこそ将来の日本を危うくしていくものだと思います。実際、将来の問題とともに、現在学校で学んでいる児童生徒の立場に立ってみても、これほど厳しいものはないと思うんです。
 教育長は答弁の中で、これから一人一人が十分わかるような教育をしていくんだ、基礎的なものをしっかり教えていくんだと言われました。実は、私は前にも同じような質問をいたしました。同じような答弁が返ってまいりました。ところが、それは文部省あたりから常々、大丈夫だ、こうしていくんだと言われてきたことでもあるんですね。それが大丈夫でなくてこういう事態になっているということ、これは非常に深刻な問題として考えなければならないのではないかと思います。
 何といっても、詰め込み、エリート養成主義、あるいは受験主義という形で今までの教育が運営されてきている、指導要領がそういう形で編まれてきているということに最大の問題があると思うんです。今度の新しい指導要領はそれを排するということでやられておりますが、必ずしもそうでないという半分の危険が、同じような傾向が残されておるわけです。そういうものを前にして教育委員会として最大の努力をして、子供たちにわかる学力をつけるよう努めていただきたいことを要望しておきます。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 臨時財政対策債に関係しての再質問にお答えを申し上げます。
 今回の臨時財政対策債につきましては、従来の方式では交付税特別会計で不足分を地方団体が共同で借り入れているということになるため、地方団体にとって予算が借り入れによって賄われているのかどうかがよくわかりにくい、あるいはその借り入れによる地方負担分はいずれにしても将来交付税特会から償還しなければならないいわば地方の連帯債務であると、こういう認識があいまいになるというようなことを踏まえて設けられたものであると承知をいたしております。
 先ほどご答弁申し上げましたとおり、今後の財政運営への直接の影響はないように、この元利償還金につきましては後年度全額交付税措置がなされるということになっております。
 しかしながら、将来の交付税制度そのもののあり方について不透明な部分があるという現状につきましては、これはそのとおりではないかと認識をいたしておりますので、県債の発行につきましては、後年度負担も勘案しながらできる限り抑制に努めてまいりたいと考えておりますし、あわせて、これは当然のことでございますけれども、交付税の総額確保や交付税率の引き上げを含めた充実強化につきまして引き続き国に対して要望してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 法期限後の対応について、お答えをいたします。
 先ほどもお答えを申し上げましたが、法期限後、同和対策は特別対策から一般対策へ移行すべきであると考えてございます。しかしながら、残された課題解決のため、一般対策の中で同和問題解決の視点に立って取り組んでいくことを申し上げているところでございます。
 また、新しい時代に沿った組織体制を構築するということは、国際的な潮流の中で今後差別意識の解消を図るためには、これまでの同和教育・啓発活動の中で積み上げてきた成果を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきであり、庁内の組織検討委員会などで研究をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 二点についてお答えいたします。
 一点目の建設予定地全体についてダイオキシン類調査を指導されたいという点でございます。掘削を伴わない他の場所についての調査は、先ほど答弁申し上げましたように、今のところ必要と考えておりませんが、今後調査の必要があると判断されれば、関西電力に対して調査を求めてまいりたいと考えております。
 二点目の海域へのにじみ出し、近隣海域でのダイオキシン類の調査でございます。この調査を含め、工事中の監視体制の中で今後検討されることとなっていますが、必要な事柄については事業者に対して求めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。

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