平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十五番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、議案に対する質疑並びに一般質問を行います。
 まず初めに、平成十三年度当初予算と行財政施策についてお尋ねいたします。
 平成十三年度当初予算は、木村知事が初めて編成する当初予算であり、県民の期待と注目を受けてきました。知事の当初予算における基本的な考え方は、第一に、新時代に対応した和歌山の創造を目指し、IT化への対応や新産業の創造及び新たな環境対策など新しい発想に基づく施策に積極的に取り組み、二十一世紀の和歌山づくりを強力に推進する、第二に、新たな政策展開を実現するため、弾力的な財政構造の確立を目指し、十二年度に本格導入した事務事業評価システムも活用しながら、「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事務事業の見直しを実施する、また財政運営プログラムにのっとり、財政健全化策を着実に実現するの二点であります。
 この基本的な考え方をもとに予算編成が行われ、一般会計は五千七百四十七億九千二百万円で、対前年度比一・九%減となり、地方財政計画の〇・六%減を上回る二年連続のマイナス予算となりました。また、特別会計と公営企業会計を合わせた総額は六千五百四億九千九十一万円で、対前年度比三・六%減となっています。
 木村知事は、「平成十三年度予算は、新しい世紀に県民に夢を与えるとともに、和歌山県が活力みなぎる力強い県となるためのスタートとして、大変重要な予算でございます」と説明しております。
 歳入面では、国において地方交付税特別会計の借入金残高が三十八・一兆円となり、地方負担で将来償還する必要のある額が二十六・三兆円にも上る厳しい状況にあります。このため、国は従前から行ってきた交付税特別会計からの借入金による財源補てん対策を見直し、財源不足分に対して国、地方が折半し、国は一般会計から直接繰り入れ、地方は臨時財政対策債いわゆる赤字地方債を発行して補てんすることになりました。この結果、本県では地方交付税が対前年度比で百四十七億円減少し、県債において本年度新たに臨時財政対策債百十九億円が発行されることになりました。一方、県税収入は、県内大企業の収益改善が見込まれることで対前年度比四・七%増の九百五十億六千八百万円の計上となり、歳出削減の努力もあり、県における本年度の財源不足額は前年度より減少して九十三億二千三百万円が生じ、基金から取り崩すとしています。
 歳出面では、財政健全化に向けて平成十二年度に本格導入した事務事業評価により、事業の廃止及び見直しを実施することにより歳出の削減を図っています。また、議案第三十九号及び議案第六十号において、県職員及び学校等職員の条例定数の削減が図られ、加えて今年度に県独自の給与カットを実施するなどにより人件費の削減に努め、歳出全体で百十三億円を減少させています。
 一方、木村知事は、新しい発想を持って時代潮流に即応したタイムリーな施策展開を積極的に推進するため、IT関連の二十七事業に総額二十五億円を計上し、IT化への対応や新産業創造などIT先進県を目指しております。さらに、新たな環境対策費を初め道路整備における府県間道路への重点配分、市町村合併等の推進に関する予算計上など、知事が二十一世紀の和歌山の礎をつくる決意で予算編成された努力は評価されるところであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 一、知事は説明要旨で、今まで地方交付税や国庫補助金で守られていた地方の財源がいずれ国の財政再建に合わせ見直されることは自明のことであり、地方自治体は自己決定、自己責任のもとで行政に取り組む激しい自治体間競争の時代を迎えることになると述べ、県の財政規模についても、自主財源に見合った姿に近づけていくことも必要ではないかと提言しています。こうした財政状況の中で、激しく変化する経済の構造改革を受けて、本県の将来ビジョンをどのように考えているか、お尋ねいたします。
 二、知事は、新しい施策展開にあわせて、県の組織機構の改革を図り、若手職員のアイデアが生かされる風通しのよい県庁づくりに努めると述べていますが、どう改革されるのか、以上二点お尋ねいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、新年度予算において、県職員及び学校等職員の条例定数の削減が図られました。財政運営プログラムでは、平成十五年までに定数削減の推進、給与等の適正化の推進、及び平成十四年四月一日から実施される再任用制度を踏まえて本年度の新規採用の確保の三点にどう対応するのか。
 二、平成十二年度に本格導入された事務事業評価の実施結果と今後の推進はどうか。
 三、県は今年二月に平成十一年度のバランスシート、その概要と財政分析を自治省のマニュアルに基づいて作成し、発表しました。県の財政状況を県民に公表する上でバランスシートの作成は有効な手段であり、作成に当たっていただいた方々の努力に感謝する次第であります。しかし、自治省のマニュアルによると、資産と負債を比較すると大幅な資産超過になります。本県の場合もそうですが、これをもって直ちに地方財政はまだまだ余裕があると判断することはできません。さらに、資産形成につながらない人的サービスや給付サービスが大きい福祉分野の把握ができない点や土地開発公社等の問題、普通会計以外の分野もあわせた分析など、幾つかの改善が指摘されております。そこで、県は今回のバランスシートをどう評価し、今後の財政運営にどう生かされるのか、お尋ねいたします。
 四、ペイオフ解禁に伴い、県の公金預金に関しても平成十四年四月から決済性預金は平成十五年四月から一千万円を超える部分については預金保険による保護措置がなくなることになり、自治体はみずからその公金預金を保護する必要が生じてきます。県は、公金預金の保護や資金運用の安全性を高めるため今後どう対応されるのか、以上四点お尋ねいたします。
 次に、市町村合併の推進についてお尋ねいたします。
 地方分権の推進や自治体の行財政改革の観点から、全国的に市町村合併の機運が高まってきています。今年一月に東京都の田無市と保谷市が合併して西東京市が誕生したのに続いて、四月には茨城県の潮来町と牛堀町が合併して潮来市が、五月には埼玉県の浦和市、大宮市、与野市が合併し、さいたま市が相次いで発足いたします。また、市町村合併について関係市町村が話し合う合併協議会を設置した地域は、予定も含めると、二月一日現在で二十地域で六十九市町村となっています。
 自治省は、昨年十一月に市町村合併の推進に係る今後の取り組みを決定し、一、新たな市町村の合併の推進についての指針の作成と都道府県における推進体制の整備、二、市町村合併についての住民投票制度の導入、三、市町村合併に対する新たな特別交付税措置、四、合併後の地域対策の促進、五、民間団体などとの連携による広報啓発活動の推進、六、平成十三年度予算及び税制改正の六項目を打ち出しました。さらに、昨年十二月に行政改革大綱が閣議決定され、与党行財政改革推進協議会における市町村合併後の自治体数を千を目標とする方針を踏まえて自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するとの決定を行いました。
 また総務省は、今年三月をめどに市町村合併協議会を円滑に運営するための手引書を作成し、住民投票制度の導入を盛り込んだ合併特例法の改正案を今国会に提出することになっております。総務省の原案では、一、住民発議による合併協議会の設置を議会が否決した場合に市町村長は住民投票を実施するか判断する、二、市町村長が住民投票を実施しない場合に住民が有権者の六分の一以上の署名を集めれば住民投票の実施を請求できる、三、住民投票で有効投票の過半数の賛成が得られたら協議会を設置する、四、協議会は合併の青写真になる計画を一年以内に作成するよう努めるなどとしております。総務省は、当初、住民の意向を合併の検討により強く反映させるため、住民投票の要件を十分の一以上の署名とする考えでしたが、これでは議会や首長の判断が軽く扱われるとして自治体から反対があったため、六分の一で決着いたしました。
 本県においては、本年一月に市町村合併推進要綱を作成し、一月末に県下の市町村長を対象に説明会を開催しました。さらに、新年度予算において市町村合併等の推進に二億二千四百六十四万円を計上し、市町村合併の機運を醸成するため、合併に関する総合的なアドバイスを行うとともに、市町村等が行う合併に向けての取り組みや広域的な連携事業を支援することになっております。
 今日、地方財政を取り巻く状況は極めて厳しく、国における地方交付税制度の見直しは本県の市町村に大きな影響を与えております。さらに国において、平成十三年度から郵便貯金の資金運用部への義務預託が廃止されるなどの新しい財政投融資制度が導入されました。このため、地方債の公的資金の仕組みが大きく変わり、自治体の事業執行に当たって良質な地方債資金の確保を図る必要が生じてきます。加えて、自治体の自主性を尊重するという趣旨から、地方債の許可制度から自治体が協議という手続を経れば国や都道府県の同意がなくても地方債を発行できる協議制度に平成十八年度から移行することになっております。もちろん、地方分権の推進に当たっては、国から地方への税源移譲が必要でありますが、地方自治体の財政基盤を確立し、新しい時代の行政需要にこたえていくためには市町村合併の積極的な推進がぜひとも必要であります。
 そこで、県は市町村合併の推進体制をどう整備され、県下の市町村合併の推進を今後どう支援していくか、知事にお尋ねいたします。
 次に、紀の川の水資源対策についてお尋ねいたします。
 昨年九月、和歌山市の源井水道局長は、市営水道の第五次拡張事業において、平成二十一年の市の人口を約四十四万五千人、一日最大給水量を約二十四万七千トンと想定していたが、人口を四十二万五千人と下方修正し、漏水対策などを講じることで現在の一日最大給水量二十三万一千トンの範囲でおさまると判断したと、水需要予測の変更を市議会で答弁いたしました。和歌山市は、平成九年十一月の第一回紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会の時点では、水が毎秒〇・四七六トン不足するとの予測で、県の保有する大滝ダム分から毎秒〇・二七六トンと紀伊丹生川ダム利水分毎秒三トンから毎秒〇・二〇トンを新規利水したいと要望してきました。しかし、今回の水需要予測の変更により、和歌山市は紀の川水系からの新規利水を必要としないことになったわけであります。
 さらに大阪府においても、本年一月に水需要予測を平成二十二年に一日最大給水量二百六十五万トンとしていましたが、二百五十三万トンに十二万トン下方修正しました。その理由は、平成三年に改定した大阪府の広域的水道整備計画は将来の人口増などから一日最大給水量については二百六十五万トンの確保を目標としていましたが、府営水道の給水実績が平成六年の二百十一万五千トンをピークに横ばい傾向が続いており、大阪府が今年度策定した新総合計画でも将来人口が減少する見通しを立てたため下方修正したとのことであります。
 大阪府営水道の水資源計画では、二百六十五万トンのうち淀川水系の水資源開発により二百四十万トンが確保できるとして、残る二十五万トンの開発を紀の川水系に求めてきました。紀の川水系から日量二十五万トンを給水するために必要な水利権として毎秒三・〇九トンを確保するとして、現在工事が進められている紀の川大堰から毎秒〇・二九トンの利水を確保し、残る毎秒二・八〇トンの利水を紀伊丹生川ダムに求めてきております。
 今回の大阪府における水需要予測の日量十二万トンの減少は、紀の川大堰が建設中で紀伊丹生川ダム利水開発分で調整されることになるため、和歌山市の見直し分も含めると、毎秒三トンの利水開発分が毎秒一・三二トンに半減することになります。
 こうした水需要予測の見直しは、平成十一年九月の第十二回紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会の意見書に、利水計画として、和歌山市及び大阪府は、社会経済情勢の変化に応じ、水需要予測について見直しも含め、さらに綿密な調査検討を行うなどの意見に沿って行われたものと考えられます。しかし、「地方財政」の一月号で、前自治省公営企業第二課長の池内眞一氏は、工業用水道事業の経常収支比率がダム等水源施設を有する事業が一〇六・二%に対して、ダム等水源施設を有しない事業は一〇九・六%と三・四ポイント上回っており、ダム等水源施設の有無が経営に大きな影響を与えていると、平成十一年度地方公営企業の決算状況の中で指摘しております。私は、今回の水需要の見直しは、公営企業の経営の健全化を図る目的でダム等に係る負担軽減のために行われたのが大阪府や和歌山市の本音ではないかと思われます。
 そこで、木村知事並びに企画部長にお尋ねいたします。
 一、和歌山県は平成十年三月に長期総合計画を策定し、同時に「和歌山の水」と題した冊子を作成しました。それによると、紀の川水系の水需給として、平成二十二年の水需要予測では、生活用水で毎秒〇・四五二トン不足し、工業用水では毎秒〇・四七五トン不足し、合わせて毎秒一トン弱の水が不足すると予測しております。一方、農業用水では相当量の余剰水が生じるとのことであります。本県の人口の減少傾向や経済成長率の変化により、水需要予測において本県も下方修正する必要があると思いますが、県は水需要予測をどう考えるのか。
 二、紀伊丹生川ダムの利水分毎秒三トンの開発に対して、大阪府及び和歌山市が水需要の見直しを行ったため毎秒一・六八トンの利水分が余ることになり、水資源開発の変更の必要が生じてきております。平成十一年九月のダム審の意見書では、本ダム事業は妥当との結論が出されていますが、知事は紀伊丹生川ダム建設事業に対して今後どう対応されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、企画部長にお尋ねいたします。
 県の保有する大滝ダムの利水分毎秒〇・四五トンについては、和歌山市と海南市の不足する水に充てるとしていました。和歌山市は新規利水は不要とのことであり、海南市は上水道事業の拡張に必要と伺っていますが、今後県はどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、家庭、地域が支える開かれた学校づくりについてお尋ねいたします。
 本年二月、串本町の田並小学校で、六年生八人が薩摩琵琶などの音色に乗せて宮沢賢治作品のひとり語りを全国各地で続けている女優の林洋子さんを招いて感動的な卒業記念の公演を行いました。この公演は、朝日新聞の「天声人語」で林さんの活動を知った六年生八人が、卒業記念にぜひ公演に来てくださいと林さんに手紙を送りました。子供たちに、やりたいことを実現するためには、自分で知恵を絞り、行動することを知ってほしいと思った林さんは、岩手県の小中学校では子供たち自身がチケットを売って費用をつくった例などを紹介した返事の手紙を出しました。林さんの手紙を読んだ子供たちは、担任の久保浩子先生に助けられながら、地域の人たちにチラシを配り、手づくりのチケットを売り歩くなど、夢を実現させようと頑張りました。このことが二月十六日付の朝日新聞「天声人語」に紹介された結果、全国から百件を超す手紙が寄せられ、六十万円を超えるカンパが集まりました。
 公演の冒頭、実行委員長の覚前美紀さんは、「知恵を絞り、労を惜しまずに行動することを林さんに教えてもらいました。思いを受けとめてくれる大人が周りにいることのすばらしさが今よくわかります」とあいさつしました。全校生徒三十八人の田並小学校の体育館に、生徒、保護者、地域住民四百人近い人が集まり、大成功の卒業記念行事となりました。学校と家庭と地域が協力し、公演を成功させた田並小学校六年生八人と担任の先生に心から拍手を送りたいと思います。
 今日、いじめ、不登校、学級崩壊など、単に学校教育のみならず、家庭、地域など、社会全体の教育力の衰弱が問題と指摘されております。社会全体の教育力の衰弱力をもたらす要因は、教育もしつけも学校任せにする学校依存的体質が家庭や地域の教育力を著しく低下させてきました。今こそ、教師を中軸に、地域社会も保護者も一体となって支える開かれた学校へ質的転換を図っていかねばならないと考えます。また国においては、昨年十二月にまとめられた教育改革国民会議報告でも、「新しい時代に新しい学校づくり」の中で、地域の信頼にこたえる学校づくりを提言しております。
 広島県教育委員会は、平成十二年五月に開かれた学校づくりを推進するために、「学校に新しい風」(保護者向け)と「学校の情報を発信するために」(学校向け)との二つのガイドラインを策定し、学校が積極的に授業や行事、情報等を公開するとともに、学校と家庭、地域社会が連携して教育を推進するよう取り組みを進めております。その具体的な取り組みとして、平成十二年十一月二十日(月)から二十六日(日)までの一週間、全県下一斉に学校開放週間を設け、「学校へ行こう週間」と名づけて、保護者のみならず地域の人々に来校や授業参観等を呼びかけました。広島県下の小学校、中学校、高等学校など千校で「学校へ行こう週間」が実施され、この期間の前後を含めた来校者は二十五万人を超え、多くの方々に学校教育に対する理解と協力を得るきっかけとなったと報告されております。また、広報活動を通じて広く県民に学校教育へ関心を高め、理解を得るため、Creative Learning Information Paperの頭文字をとった広報紙「くりっぷ」を発行しています。これが、広島県教育委員会が発行しております「くりっぷ」でございます。さらに、県教育長のホームページ「ホットライン教育ひろしま」を開設し、アクセス件数が八万件を突破したとの報告であります。
 高知県教育委員会では、土佐の教育改革の三本柱の一つに、学校、家庭、地域の連携による教育力の向上を挙げ、地域ぐるみで子供たちの教育を推進するための組織として、地域教育推進協議会を全市町村に設置しています。さらに、各学校内に子供たちや保護者、地域住民、学校関係者が集い、話し合う場として、開かれた学校づくり推進委員会を設定するよう働きかけております。また、子供たちにわかりやすく効果的な授業が行われるように、授業を改善する目的で授業評価システムを導入し、すべての小中県立学校で取り組みが進められております。この評価システムは、授業する教師、授業を受ける子供、参観者がそれぞれ授業を評価する新しい試みがなされています。
 本県では、今春、県民の期待を担って野球部が甲子園出場する県立南部高等学校において、「地域に根差した学校へ」を目標に、学校、PTA、地域の三者が知恵を出し合い、学校のあり方を目指す「明日の南高を語る会」を平成六年から毎年一回開催してきております。第七回目の今年は、新たに設けられた学校評議員も含め約六十人が出席し、「学校への提言」をテーマに意見交換が行われ、「南部高校は地域のリーダーになってもらいたい」、「あらゆる分野に人材を輩出できる学校に」、「先生の派遣など地元中学校との交流を」などの提案があり、有意義な会議となったと伺っております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、昨年六月に制度化された学校評議員の本県各学校における設置状況はどうか。
 二、開かれた学校づくりを推進するためのガイドラインの設定や学校公開、さらに授業評価システムの導入など、本県における開かれた学校づくりをどう推進するのか。
 三、広島県教育委員会の広報紙「くりっぷ」や教育長のホームページ「ホットライン教育ひろしま」などで県民に広く教育情報を発信し、県民の意見をいただいております。本県における広報活動はどう推進しているのか。
 以上三点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 初めに、本県の将来ビジョンについてお答えを申し上げます。
 国、地方とも多額の累積債務を抱えている状況から、国においては景気回復のめどがつき次第、財政構造改革に取り組むこととされており、地方交付税や国庫補助金のあり方についても、より踏み込んだ議論がなされることが予想されるところでございます。こうした状況を踏まえ、本県におきましても、一刻も早く地域の特性を生かしながら自立型経済構造への転換を図ることが重要であり、産業の活性化による自主財源の涵養を図りつつ、県の身の丈に合った財政運営を進め、限られた財源を時代の潮流にマッチした施策にシフトすることが重要であると考えております。このような基本的な認識に立ちつつ、二十一世紀の和歌山をどのような姿にしていくのか、戦略的な方向を明らかにする新しいビジョンを十三年度中にも策定してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、平成十三年度におきましては、行政需要の質的変化に対応し、新しい施策を展開するための思い切った機構改革と職員配置を検討しているところでございます。組織上は、喫緊の行政課題に迅速かつ的確に対応するため、幾つかの局の設置を考えております。具体的には、行政及び地域のIT化を推進するIT推進局、男女共生社会の推進やNPOとの連携を促進する共生推進局、USJや海外からの観光客誘致などを行い、観光施策の思い切った展開を図る観光局、そして港湾及び南紀白浜空港の利用を促進する港湾空港振興局の四局を設置していきたいと考えております。また、政策推進機能を強化するほか、防災体制を強化するための防災監の設置や人権教育啓発に向けた体制の強化など、多方面にわたる検討を進めているところでございます。
 次に、風通しのよい県庁づくりについてでございますが、活気に満ちた新しい和歌山県を創造していくためには、県政の構造改革を推進し、若手職員のアイデアを生かせる組織とするとともに、新たな施策を実行できる人材育成が重要でございます。県政の課題をテーマに直接若手職員や中堅職員と話し合うYY会議とかMM会議の開催等を通して職員の政策提言を積極的に取り入れるとともに、来年度初めて他府県との人事交流を行うなど職員の資質向上に努め、県庁組織の改革を目指してまいりたいと考えております。
 次に、地方分権の進展、高度化、多様化する行政需要、国、地方を通じた厳しい財政状況など、昨今の時代の潮流を考えますと、自主的な市町村合併を推進し、行財政基盤の充実強化を図ることが大変重要な課題であると考えております。
 国におきましては、昨年十二月の行政改革大綱の決定や合併特例法の改正による住民投票制度の導入など、市町村合併に、より一層積極的に推進することとしているところでございます。
 このような状況を踏まえて、和歌山県といたしましても、市町村合併推進要綱の策定などを通してこれまでも必要な助言や情報の提供などに努めてきたところでございますが、来年度におきましては、合併の推進に向けた組織を整備いたしますとともに、合併アドバイザーの派遣、シンポジウムの開催などを内容とする合併総合アドバイスシステムや複数の市町村が合併に向けて連携して行うソフト事業、ハード事業に対する補助制度を全国に先駆けて創設するなど、市町村の合併に向けた取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に紀の川流域の水需要予測につきましては、県の長期総合計画のフレームを使用して算定したところでございますけれども、現状は当時想定した人口や経済成長率に比して低位に推移しているところでございます。水需要予測は水源確保の基礎資料となるものであり、水需要も予測に対し少なく推移していることから、実態に即したものに改める必要があると考えております。
 次に紀伊丹生川ダムの建設につきましては、現在、事業主体である国土交通省近畿地方整備局が河川法に基づく河川整備計画を策定し、その中で紀伊丹生川ダムの計画も位置づけるべく取り組んでいるところでございます。また、この河川整備計画の策定に当たっては、広く意見を聞くため紀の川流域委員会を設置すると聞いているところでございます。今後、和歌山市、大阪府の水道計画が確定してまいりますと、これを踏まえてダム利水計画の見直しもあるものと認識しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 出納長大平勝之君。
  〔大平勝之君、登壇〕
○出納長(大平勝之君) ペイオフ解禁に向けての対応についてお答え申し上げます。
 ペイオフ解禁後の地方公共団体の公金保護につきましては、従前から全国知事会及び全国出納長会を通じて旧自治省初め関係当局に要望を行ってきたところでありますが、現行の預金保険法のもとでは公金預金の保護についても個人の保護と同様となってございます。このような中、公金預金の保護や資金運用の安全性を高めるための対応につきましては、総務省内においてこの三月をめどに検討されており、地方公共団体においてもこれらの対応策を共同で研究している状況であります。
 また、公金預金の管理、運用に関して、自己責任が前提となることから、金融機関の開示情報やシンクタンク等による分析を参考に、金融機関の経営状況を平素から把握し、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、事務事業評価の実施結果と今後の推進、並びにバランスシートの評価と活用についてお答え申し上げます。
 初めに、平成十二年度に本格導入いたしました事務事業評価システムについてでございますが、成果主義等の観点から、平成十二年度当初予算に計上されました各事業について評価を実施いたしました。この結果、評価対象千七百五十事業のうち約三割について廃止及び改善を行うなど、導入初年度として一定の成果を上げることができたものと考えております。しかしながら、事務事業の見直しは緒についたところでございまして、今後とも不断の見直しを続けてまいるとともに、公表結果に対する県民の皆様方からのご意見なども参考にしながら評価システムの充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、今回、国のマニュアルに基づき作成し公表したバランスシートについてでございます。
 これによりまして、これまで数値化できなかった資産等のストックの状況が明らかになるなど、今までとは異なる観点から本県の財政状況を分析する手法として有意義なものであると考えております。しかし、ご指摘もございましたように、バランスシートによる財政分析については課題や一定の限界があるのも事実でございまして、現在国においても引き続き検討がなされているところでございます。本県といたしましては、その検討状況も踏まえながら、今後の財政運営に生かすべく、さらに工夫を重ねてまいりたいと考えております。
 続きまして、定員管理計画や給与等の適正化、職員の新規採用についてのご質問にお答えいたします。
 まず定員管理計画におきましては、平成十五年度末までに約百名の職員定数を削減することとしており、今議会に三十名の定数削減案を上程しているところでございます。今後とも、事務事業の整理合理化等により計画的に定数を削減し、目標を達成してまいりたいと考えております。
 また給与等の適正化の推進につきましても、財政運営プログラムIIなどにお示しいたしましたとおり、社会経済情勢の変化等を踏まえ、今後ともより一層の適正化を進めてまいりたいと考えております。
 次に、再任用制度を踏まえた新規採用についてでございます。
 新しい再任用制度は、高齢者の知識や経験の活用と年金制度との連携を目的に平成十四年四月から実施されることとなっております。制度の細部については現在検討中であり、限られた職域の中でどの程度の希望があるのか現在調査をしている状況でございます。定員管理計画による定数削減とあわせ、従来のように退職者数に見合った新規採用をすることは困難ではございますが、職場の活性化を図り、組織力を低下させないためにも適正な規模の新規採用者数を確保してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 紀の川ブロックの水需要予測についてお答えいたします。
 議員ご指摘の冊子「和歌山の水」で説明している紀の川流域の水需要予測については、知事からもお答えしましたように、県の長期総合計画の策定にあわせて流域全体を対象として算定し、水源確保の基礎資料としているものでございます。水需要予測では、生活用水及び工業用水は微増、農業用水は減少すると算定しておりましたが、現状では生活用水、工業用水において予測値に比して低位で推移しております。今後、社会経済状況の動向や水使用実績の推移を踏まえて、紀の川流域の水需要予測の見直しを行うとともに、実態に即した効率的な水資源確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県保有の大滝ダムの利水分への対応でございます。
 現在、県が大滝ダムに予定しているダム使用権については、従前から和歌山市、海南市の要請に基づき、両市に譲渡することで関係省庁との協議を進めてきましたが、議員ご指摘のように、現在、和歌山市の水道計画については厚生労働省と協議中で確定していないこともあって、県からの譲渡は必要ないとの公式な申し出はありませんが、市議会答弁や水道計画の説明から判断して、新たな水源は求めない考えと思われます。和歌山市へ譲渡を予定していた大滝ダム分については、他の流域市町の将来水道計画策定の動向も見ながら幅広く検討してまいりたいと考えております。また海南市の利水分につきましては、今後とも引き続き関係部局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 家庭、地域が支える開かれた学校づくりについてお答えいたします。
 初めに学校評議員の設置状況についてでありますが、県立高等学校では既に七校において評議員を委嘱し、具体的な活動が始まっております。また小中学校においても、これまでにほとんどの市町村で学校管理規則を改正し、設置要綱を定めております。新年度からは、多くの小中県立学校においてこの評議員制がスタートするものと考えられます。
 次に、開かれた学校づくりの推進についてであります。保護者や地域に対して学校行事や授業を開放していくことは、地域の理解と信頼を得るとともに、学校運営の改善、充実を図る上から極めて重要であります。このため、各学校では授業参観を日曜日に実施したり、一定期間保護者に学校を開放し、いつでも授業や学校運営の状況を見てもらうようにするなど、開かれた学校づくりに努めているところであります。また、多くの学校で各教科の授業や特別活動、総合的な学習の時間等を活用して地域の人々が子供たちを直接指導したり、子供たちが福祉施設やさまざまな事業所等を訪問して交流、学習するなど、多面的な教育活動を進めています。こうした取り組みは、学校を軸とした社会全体の教育力向上につながるものであることから、一層積極的に学校を保護者や地域に開くとともに、学校に関するさまざまな情報を発信し、理解と協力を得ることにより学校教育の充実を図ってまいります。
 今後は、議員ご指摘の開かれた学校づくりのためのガイドラインや授業を含めた学校の教育活動に対する評価のあり方等についても研究してまいりたいと考えております。
 次に広報活動の推進についてでありますが、現在、県域テレビ番組「はばたく紀の国」やラジオ番組「定期便教育の窓」を放送するとともに、新しい学習指導要領の趣旨を周知するためのパンフレットを十三万部発行するなど、県民の皆様に幅広く情報を提供しております。またインターネットに関しては、県のホームページや和歌山県学習情報提供システム等を通じ、さまざまな教育情報を発信しております。今後は、ホームページを利用する広報活動がより一層有効となることから、教育委員会においてホームページの情報を多様化し、体系的に発信するための検討を始めており、早期に内容の充実を図ってまいります。
 次に、教職員の定員管理計画及び給与等の適正化についてでございます。
 平成十三年度は前年度比で百十二人の減少となりますが、今後の児童生徒数の推移とともに、新たな国の教職員定数改善計画等を勘案し、適正な管理計画となるよう努めてまいりたいと考えております。また、県の財政事情を考慮し、学校の管理職等の給料月額を減じることにより歳出削減を行ったところであります。これは時限的、緊急避難的措置でありますが、財政健全化に寄与できるものと考えております。
 最後に、平成十四年度の教職員の新規採用予定人員につきましてはは、教職員定数の推移、退職者数の状況に加え、定数改善計画や再任用に係る希望状況等を踏まえながら必要な人員を検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十五番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま、知事並びに関係部長の皆さんからご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 三点、要望させていただきます。
 まず第一点目でございますが、先ほど知事から、本年度中に本県の将来ビジョンを策定すると答弁がございました。財政状況が非常に厳しく、国の地方財政に係る制度改革というのが今後急激に展開されてくるのではないかということを踏まえると、知事が答弁されたとおり身の丈に合った財政規模、今の財政規模よりも縮小した形の予算規模にならざるを得ないのかなということが想定されるわけでございますが、その中にあって和歌山の特性を生かした和歌山県づくりということで、例えば和歌山県の梅にいたしましても、江戸時代に安藤さんという家老が、日高方面の非常に荒れてやせた土地でもつくれる作物ということで梅の栽培を奨励して、その後、先人の皆さんの知恵と努力で今日の和歌山県の梅産業が成り立っております。また、それと同じようにミカンにおいても、先人の皆さんの努力で今日の基盤ができておる。これはいずれの産業においても言えることでございますし、また和歌山の歴史、文化を考えても、いかに和歌山の特性というものを生かした形で和歌山の発展を考えるかということをまずベースに置いてほしいと思うわけでございます。その上に立って、現今の流通革命と言われるように、丸正が倒産をするとか、本県の伝統的と言われるいろんな企業がここ十年来の間に倒産をしていって、我々議員にとって大変残念な思いがする昨今でございますが、こういった時代背景を転換するためにどのようにやっていくのかということを踏まえ、また加太の土取り跡地の利用等も含めたビジョンをぜひ作成していただきたいことを要望いたしておきます。
 二点目に、紀の川の水資源の開発についてでございます。
 紀伊丹生川ダムの建設事業に関しましては、そもそも大前提として大阪府と和歌山県がこの協定を結びまして、およそ三トンの水を大阪府に分水する──これは先輩県会議員の皆さんがこの議場においても大変議論をされて、大阪府、和歌山県の両知事のもとに協定が結ばれてきた経緯がございます。そういった中で、今日、時代の変化によりまして地元の和歌山市、大阪府の議会で水需要の新規利水の変更について意見が交わされているところでございます。そういったことから考えますと、事業主体はあくまでも国土交通省でございますが、木村知事の判断には大きなものがあると思いますので、今後大阪府、和歌山市とも十分意見を聴取し、あわせて流域市町村の水需要を的確にご判断いただいて、紀伊丹生川ダムの規模を含めた建設のあり方等を検討していただきたいことを要望いたしておきます。
 最後に教育委員会でございますが、開かれた学校づくりというのは、家庭、地域の教育力を向上させるということでは大変重要な課題でございます。国においても、教育改革の中で提言がなされておるところでございます。教育現場の情報を公開していく、情報公開という視点に立って教育の活性化を図っていくと、こういった意味でぜひ推進をしていただきたいと思います。
 そこで、学校とともに教育委員会自身ももっと情報を公開するという意味で、先ほどお話ししましたように、県当局の財政の方とも協議をしていただいて、「県民の友」のような教育委員会独自の広報紙等も作成していけるようにしていただきたい。新学習指導要領を県民に説明するためのパンフレットを十三万部作成されるということで大変喜ばしいことでございますが、こういったものも今後検討していっていただいて、また教育長のホームページ等もすばらしいものに改善をしていただき、教育委員会がどういう方向で和歌山県の教育を考えているのかということを県民にわかりやすく知らせていくことによって、県民にさらに教育の関心を持っていただけるようにご努力をお願いいたしまして、再質問とさせていただきます。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十八分休憩
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