平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
○議長(阪部菊雄君) 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案七十八号から議案第八十号まで】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、ただいま報告の議案第七十八号から議案第八十号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
  知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について、ご説明を申し上げます。
 議案第七十八号から第八十号は、平成十二年度予算のうち、用地取得の遅延等により年度内に完了することが困難と見込まれる事業、及び国の経済対策を踏まえ、年度途中において追加措置いたしました事業の一部について、平成十三年度への明許繰り越しをお願いするものでございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第一号から議案第七十七号まで、並びに報第一号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第二、議案第一号から議案第七十七号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 二十九番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、おはようございます。
 二十一世紀初の県議会におきまして、トップバッターとして質問の機会を得ましたことを光栄と思い、同僚議員に厚く御礼申し上げます。
 二十一世紀がスタートして既に二カ月、この新しい世紀が和歌山県にとって大飛躍の世紀となり、県民が希望を持ち、活力あふれ、安心して暮らせる世紀となることを切に願うものであります。新世紀が和歌山県にとってすばらしい世紀となるかどうかは、一に新世紀に船出する和歌山丸が誤りのない航路をとることを信じて県政を任せた県民の熱い思いが木村船長の行政手腕にかかっているのであります。後年になって、二十一世紀の和歌山丸のかじ取りを木村知事に任せたので今の和歌山県があると言われるような行政手腕を見せていただきたいのであります。
 今議会に提出されております平成十三年度当初予算案は、まさしく知事として初めて編成された予算で、今後の県政にとって非常に重要な意味を持つものであると思います。
 そこで、まず初めに平成十三年度予算について質問いたします。
 予算編成の基本方針についてであります。
 二十一世紀という新しい時代がスタートしたわけで、我が国は今、社会経済システムの変革を初めとし、従来のシステムが作動しなくなってきており、時代の大きな転換期に立たされております。情報化の進展に象徴されるように、そのスピードは加速度的に速くなっております。この激しい変化の時代にあって、その流れに乗りおくれることなく、新しい施策を適時適切にすばやく実施することが重要であると考えます。しかし、ここ数年は基金を取り崩しての予算編成からもわかるように、現在の県の財政状況は極めて厳しく、新しい施策の積極的な展開にはおのずと制約があるようにも思うのであります。
 先日の知事の趣旨説明においても、「新世紀を迎えて」とし、一、地方自治体間で生き残りをかけた知恵の競争、一、自治体独自の財源の確保、一、自立型経済構造への転換を挙げております。また総論では、財政運営プログラムを基本として、事務事業評価システムを活用しながら行政の棚卸しを行うとしております。また十三年度予算では、財政健全化に取り組むとともに、新しい発想で新規施策についても積極的展開に努め、厳しい財政の中、時代に即した施策が随所に見られ、苦労の跡がうかがわれるのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 予算編成で両立しにくい財政の健全化と新規施策の展開をどのように工夫し、両立に努められたのか。また、新規施策のうち、特に予算の重点配分をしたのはどの分野か。
 バブル崩壊後のたび重なる景気対策にもかかわらず、景気が一向に回復の兆しもなく、それがために我が国の財政状況が国、地方を通じて末期的な状況にあり、国にあっては十二年度末の公債発行残高が三百六十五兆円にも達する見込みであります。本県においても、公債費の増大や福祉関係予算の増加などにより厳しい予算編成を強いられているのであります。また、今後、近々の景気好転は望めないのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 来年度予算、今後のさらなる財政の健全化に向けた取り組みについてどのような考えを持っておられるのか。
 また、総務部長にお伺いいたします。
 一、県債発行残高の今後の見通しと赤字地方債が与える影響について。
 二、今年度導入した事務事業評価システムの成果並びに今後について。
 これらをお伺いいたします。
 次に、環境問題についてであります。
 PCBについてお伺いします。
 PCBの発がん性が指摘され、昭和四十八年に製造中止となりましたが、処理方法が長く確立されず、ここに来て、ようやく平成十三年にめどがついたようであります。マスコミ報道によれば、製造された量と現在確認されている量に相当な開きがあり、行方不明となっているPCBが相当の量に達していると報じております。恐ろしいことですが、この不明になっているPCBは不法に処分されていると思われるのであります。地球環境を考える上でこれらを野放しにしておくことは許されないものであり、一刻も早い管理体制と処理をしなければなりません。
 そこで、環境生活部長に伺います。
 県下に現在保管されているPCBの量と保管体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 次に、産廃についてお伺いいたします。
 橋本市における日本工業所による産廃不法処理により発生したダイオキシン、胸が痛くなるような異臭、これから起きるであろう浸出水汚染、将来に対する健康不安、風評被害による農産物販売不振等、関係住民が受けた辛酸は例えようもありません。一産廃業者が起こした不法処理で多くの迷惑をかけながらも、今の法ではこれを裁くことができないのであります。
 そのような中、橋本市内で反対の声が挙がっているにもかかわらず、産廃中間処理業の許可が出されようとしております。日本工業所の轍を踏まないためにも、ここで改めて確認をしておきたいのであります。三高産業についてであります。
 一、申請が出されから現在までの経緯と今後について。また、許可するに当たってはだれが許可を決め、だれが許可するのか。許可後の指導監督はどこでするのか。
 二、廃掃法に基づく申請書式は完備しているのか。
 三、焼却炉の試験だきと称して長期間焼却していたと住民は証言しておりますが、指導の対象としなかったのか。
 四、過去に違反による指導はなかったか。
 五、処分場予定地下流の河川──玉川、丹生川でありますが──への影響はないのか。また、現況河川の水質検査をしておく必要はないのか。
 これらについてお伺いしておきます。
 続いて、日本工業所についてお伺いいたします。
 日本工業所が不法に処理を始めてから、既に八年にもなります。一般質問でも、私は過去八回にわたり行ってまいりましたが、その間、県執行部とのあつれき、県職員の収賄による逮捕と、目まぐるしく状況は展開しました。現在、県と地元住民との話し合いの中から解決方法を見出していくようなことが確立されてまいりましたのは、非常に喜ばしいことであります。昨年十一月十四日には、知事ともども、福祉環境委員会として関係省庁への要望も行ったところであります。ジオメルト工法によるダイオキシン処理受け入れの賛否を問う住民投票が橋本市柿ノ木坂で過日行われ、住民は受け入れやむなしの苦渋の一者選択をしたのであります。ジオメルト工法とは、米国ジオセーフ社がライセンスを持つ工法で、システム的には電力供給設備、溶融設備、オフガス処理設備、非常用オフガス設備等から成り、橋本での処理は溶融設備が固定バッチと言われる処理方法で行われます。溶融炉内容器に溶融体を入れ、通電し、千六百度以上でダイオキシンを分解してガラス固体化中に封じ込める工法で、実証試験結果報告書が一月二十五日に提出されておりますが、日本国内での現地処理は初めてであり、どのような結果が出るかわからないのが現状であります。二月二十一日にはジオメルトプラントの搬入が完了しており、県と撤去をする会、鴻池組の三者で環境保全協定締結後、作業開始となりますが、プラントの故障、誤っての大気汚染等、緊急時に備えてマニュアルを作成し、万全の対策をとっておく必要があると思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 県は、恒久対策を早急に考え、当然のことながら地元との話し合いは不可欠でありますが、最終的にはどのような収束の仕方を考えておられるのか。
 ジオメルト工法というのは今申し上げたとおりですが、橋本で行うのは、処理対象量十一・五立米を一トン炉で二十三バッチ──一バッチは〇・五立米でありますが──に分け、六十六日間をかけて処理するものであります。十一・五立米を処理するには約二カ月を要すると言われております。県が実施したデータから積算した何らかの処理をしなければならない汚染産廃は、ダイオキシン千ピコグラム以上が一万三千五百立米、また三千ピコグラム以上が千立米の量が予想されております。これは、県が推定した量であります。この量をちなみに一トン炉で処理すると仮定して計算いたしますと、千ピコグラム以上で百十年、三千ピコグラムでは八年もの年月がかかる計算であります。もしジオメルト工法で処理するとすればの仮定で、環境生活部長にお伺いいたします。
 今回の処理で残されたダイオキシンを処理するためには、百トン炉での処理をも視野に入れなければならないと思いますが、どのようにお考えですか。
 次に、ISO一四〇〇一についてお伺いいたします。
 前西口知事が、昨年年頭の記者会見で、教育委員会、警察本部等を含む本庁舎を対象に、今年度内の取得を目指すことを表明し、四月から始動し、十三年二月二十三日に認証登録され、三月一日、知事室において認証登録証の授与式が行われました。登録されればそれですべてが終了するのではなく、これから始まるのであります。
 そもそもISO誕生には、地球環境問題で人類がいろんな分野で地球環境を破壊してきた背景があるわけでございますが、一度汚してしまった地球をもとの状態にすることは容易ではありません。認証を受けるために体制を整えられ、プログラムの整備もされているようでありますが、これについて環境生活部長に伺いたいのであります。
 ISO一四〇〇一認証取得後の体制と今後の行動についてお伺いいたします。
 続いて、IT革命についてお伺いいたします。
 IT革命は、今日本では時代の寵児としてもてはやされ、日本ではソフトバンクに代表されるIT産業が台頭し、日本経済の牽引車としての役割を果たしております。世界的に見ても、ビル・ゲイツ率いるマイクロソフト社がアメリカのIT産業の主役となり、IBMにかわる世界の牽引車となっております。また発展途上国からも、国策としてIT革命を前面に出して台頭してきているのがインドであります。シンガポールも早くからIT革命に取り組み、今日本が取り組もうとしていることは既に終わり、次の段階へのステップをしているのであります。気がつけば、日本はパソコンの製造を除くIT関連すべての分野で大きくおくれをとっているのであります。日本国内でも、自治体間の生き残りをかけた激しい競争が行われており、沖縄県は、政府の肩入れもありまして、日本のIT産業の中枢を目指しております。また近畿圏では、兵庫県が知事の強力なリーダーシップのもと、他府県の先陣を切っておるのであります。IT革命で国内での勝敗を分けるのは、これからの三年間であろうとも言われております。今が勝負のしどころであり、沈滞し切っている和歌山県を浮揚さすチャンスが今訪れているのであります。
 知事は、二月定例議会知事説明の中で所信表明され、「ITわかやま」と銘打って県政の最重要課題ととらまえ、県産業の発展、県民生活の充実を図るため諸事業を実施するとしております。すべてはこれからの三年間で勝敗が決することとなり、以後の努力、予算の投入を行ったとしても、他自治体の後塵を長きにわたって受けなければならなくなるのは明白であります。県政の浮揚をかけて知事は強力なリーダーシップを発揮し、ITの勝者となれるように頑張っていただきたいのであります。
 県がIT関連予算として提案されているのは総額二十四億円余、二十八事業でありますが、これについて知事に伺いたいのであります。
 一、IT関連で知事みずから特に指示した事業はどれか、またその事業への思いはいかがか。
 二、IT関連新産業支援をもっと強く前面に打ち出せなかったのか。十三年度IT関連予算を見ると、各部局にまたがり、整合性に欠けているやにも見受けられます。
 そこで三として、IT関連予算を一括管理し、事業遂行する組織が必要とも思うのでありますが、これをどのように考えておられるかをお伺いいたします。
 次に、スポーツの振興についてお伺いいたします。
 和歌山県のスポーツレベルの低下は、スポーツに関係している一人として嘆かわしい限りであります。私も、レベルアップの一助にでもなればと、橋本市の委託を受け、大勢の関係者の方々のご協力をいただきながら橋本マラソンを開催し、一千名以上の参加者があり、年々盛大になってきております。教育委員会がこのたび企画した新規事業で和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝大会の開催は、非常によい企画だと思っております。県下のスポーツレベルの低下のうち、特に陸上競技の低下が顕著であります。国内での駅伝大会等を見ても、社会人、学生など、いずれの大会も四十位以下が定位置になってしまっているのであります。企業に、全国的に通用するクラブ、選手がいないことも大きな要因にもなっていると思います。幾つかの例をとりましても、校外活動に、野球、ソフトボール、サッカー、柔道、空手、水泳、剣道等々で少年少女を指導する組織がございますが、現在、スポーツをする上で一番大切な基礎となる走ることを教える人も、場所も、クラブも和歌山県下にはございません。今回企画された市町村対抗ジュニア駅伝大会を契機として、ジュニア特に小学校の体育授業のあり方等を教育長に伺いたいのであります。
 一、第一回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝大会を開催するに当たり、何を期待しておられるのか。
 二、小学校に体育専任教師を配置することについてお伺いしたいと思います。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。 初めに、財政問題についてお答えをいたします。
 平成十三年度の予算編成におきましては、財政健全化の推進と新しい世紀に県民が夢を持てるような時代に即応した新規施策の展開を両立させるという基本姿勢のもとに、いわば二兎を追うという形で取り組んだところでございます。このため、事務事業評価システムを活用した聖域なき事務事業の見直しに取り組むとともに、県の独自措置として職員の給与カット等による歳出の削減に努めたところでございます。一方で、部長会議等での議論や若い職員からの斬新なアイデアを取り入れながら、時代の潮流に合ったタイムリーな新規施策については思い切った予算措置を行いました。
 新規施策につきましては相当多数に上っておりますが、例えば「ITわかやま」の推進を県政の重要課題ととらえ、本県のすぐれた産品をアピールし販売の促進を図るインターネット上でのふるさと和歌山わいわい市場の開設など、積極的な対応を図ることといたしました。また、NPOとの共同を目指してNPOの推進を図ってまいるほか、廃棄物処理計画の策定を行うとともに、地場産業のリサイクルの支援、体験型観光メニューの創造、乾燥紀州材の普及支援等、産業の活性化や環境対策に努めてまいることといたしております。さらに、防災拠点施設の整備検討や未利用土地利活用方策の検討を行ってまいります。公共事業につきましては、道路予算にシフトを行うとともに、効率的かつ重点的な整備に努めてまいることといたしました。
 このように、二十一世紀の和歌山づくりを強力に推進するため、限られた財源を各般の施策にバランスよく重点配分いたしたところでございます。
 なお、財政健全化に向けた今後の取り組みでございますが、平成十三年度予算におきましては、歳入歳出における収支不足額を前年度予算に比べて三十一億円、率にして二五%縮減するなど、健全化に向け、一定の成果が上がりました。しかしながら、現在の我が国の財政状況は、国、地方とも極めて厳しい状況にございます。地方交付税の減等、今後地方財政を取り巻く環境は、なお厳しいものがあると思っております。こうした状況に対応するため、次年度も新しい観点から事務事業の見直しや財源の重点配分を行い、さまざまな新しい行政需要にも弾力的に対応できる財政構造の実現に向け、取り組んでまいります。
 次に、ダイオキシン問題の恒久対策につきましては、ダイオキシン類問題検討委員会の提言をいただき、橋本市や地域の皆様と十分に話し合うとともに、国からの支援方法や工法等について協議し、対策方法や対策時期をできるだけ早く地元の皆様にお示しできるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、IT関連事業でございます。
 大変厳しい財政状況のもとではございますけれども、議論を重ねて、私自身もアイデアを出しながら二十八項目の事業を計上いたしました。これらの事業は、すべて新しい和歌山の創造に重要であると考えております。例えば、教育への対応として、全国に先駆けて県立学校へのすべての普通教室にパソコンを配置する事業とか、IT先進県を目指す第一歩として県職員の活用能力向上のため本庁職員一人に一台パソコンを配備するなど、枚挙にいとまがないところでございます。また、県経済の活性化を図っていくためには、県内産業におけるITの活用を促進していくことが重要であり、県経済センターを中心に県内幾つかの土地で起業家育成のためのインキュベーター機能と最新の情報インフラを整備した施設を提供いたします。そしてまた、インターネット上に仮想の和歌山コミュニティーというものを創出して、各種のサービスを行うバーチャル和歌山構想の事業化をいたします。また、県産品を総合的に販売する全国自治体規模では最大のオンラインショップであるふるさと和歌山わいわい市場の開設、県内一万事業者を対象にしたホームページの作成支援等の事業を考えております。これらの事業を着実に推進し、育てていくことが県内産業の振興にもつながるものと確信をいたしております。
 また、これらの二十八項目に及ぶ事業を着実に遂行していくためには体制の強化が不可欠でございます。IT関係情報の把握や施策の立案調整、進行管理などを総合的に所掌するためIT推進局を設置し、重点的に人材を投入することを検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 財政問題についての二つのご質問にお答えいたします。
 初めに、県債発行残高の今後の見通しと赤字地方債が与える影響についてでございます。
 平成十二年度末の県債発行残高は六千三百五十四億円となり、平成十三年度末には約六千四百八十億円程度になるものと見込んでおります。今後、平成十三年度当初予算と同額程度の県債を発行すると仮定した場合、残高は六千五百億円弱の水準で推移するものと見込んでおります。平成十三年度の県債の発行は、臨時財政対策債の影響もあり、前年度に比べ四十四億円の増となっておりますが、これを除く通年ベースでは七十五億円、率にして一四・一%の減となっております。今後とも、県債の発行につきましては、後年度負担の適正水準も勘案しながら、できる限り抑制に努めていきたいと考えております。
 次に、国、地方の責任分担の明確化等を図るため、平成十三年度の制度改正により設けられた臨時財政対策債につきましては、現在のところ平成十五年度までの発行が予定されており、これにより県債の発行額が増加する可能性は否定できませんが、この特例地方債に係る元利償還につきましては、その全額が地方交付税措置されるものであり、財政運営への直接の影響はないものと考えております。
 次に、今年度導入した事務事業評価システムの成果と今後についてでございます。
 評価対象千七百五十事業のうち約三割について廃止及び改善の措置を講ずるなど、導入初年度として一定の成果を上げることができたものと考えております。今後とも、県民の方々からのご意見を参考にしながら、評価システムの充実に向けて不断の努力を重ねてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 環境問題に関する八点のご質問にお答えいたします。
 まず第一点目の、県下に保管されているPCBの量と保管体制についてでございます。
 PCBは、カネミ油症事件の後、昭和四十七年に製造が禁止され、昭和四十八年から新たな製品への使用が禁止されました。しかしながら、それまでに製造され使用されているトランスやコンデンサーにつきましては、現在も使用されているものもあります。県では、和歌山市を除く県内でのそれらの使用、保管状況について、近畿経済産業局のPCB使用電気機器台帳により平成四年度と十一年度に調査を行いましたが、その結果、全調査対象千百七十二台のうち、使用中及び保管中が四百四十三台、不明・紛失が五十四台、未回答が六百五十三台となっており、現在この不明・紛失及び未回答の七百七台についてフォローアップ調査を行っているところでございます。また、廃PCBにつきましては、既に相当長期間の保管となっていることから、平成十三年度、国において廃PCBの早期処理のための基金が創設されます。県といたしましても、その基金の一部を拠出し、その処理対策に取り組み、促進してまいります。
 なお、今後とも適正保管についての周知指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に二点目の、三高産業の申請から現在までの経緯、許可に当たっては、だれが許可を決め、だれが許可をするのか、許可後の指導監督はどこがするのかについてお答えいたします。
 大気汚染防止法に基づく廃棄物焼却施設の設置届け出書が平成八年に提出され、これを受理いたしました。その後、木くず、紙くず、繊維くず、及び動植物性残渣の焼却処理とあわせて、これらの廃棄物のほか、廃プラスチック類、ゴム、金属、ガラス、陶磁器、くず等の破砕処理を業とする産業廃棄物処分業の許可申請が平成九年十月にありました。しかし、地元の橋本市長が反対していたため、橋本市長の理解を得るための努力をするよう指導し、申請書を一たん返戻しましたが、業者はこれを不服として、平成十年九月に厚生大臣に行政不服審査請求をいたしました。これを受け、平成十一年一月に厚生大臣から知事に対して、何らかの処分をするよう命令が出されました。県は、改めて産業廃棄物処理業の許可申請書を提出させ、橋本市長の意見を聞くとともに、慎重に審査し、搬入道路が狭隘であることを理由に、この申請を不許可といたしました。業者は、これを不服として不許可処分取消請求を提訴しました。平成十二年十二月十九日に、不許可処分を取り消すとの判決が出たため、厚生省や弁護士等と協議した結果、勝訴の見込みが薄いことから控訴を断念いたしました。現在は、当初提出された申請書について、現行制度との整合を図るため、書類の補正を命ずるとともに、審査、検討しているところでございます。
 なお、産業廃棄物処理業の許可につきましては、地域環境課において法に基づき審査し、部長専決のもと知事名で許可をいたします。また、許可後の指導監督につきましては、法に基づく立入調査、報告調査の権限を保健所長に委任してございますので、廃棄物処理法上の監視・指導は保健所が行っておりますが、地域環境課からも必要に応じて保健所の協力を得て立入調査を行ってございます。
 なお、焼却施設及び最終処分場設置以外の許可に際する学識経験者による意見聴取につきましては、今後、他の都道府県の状況も調査しながら研究してまいりたい。
 次に第三点目の、書類はすべて整っているかについてでございますが、当初の許可申請は平成九年十月になされたものであり、その後の様式の変更や書類等、新たに添付が必要となったものがあり、これらを変更するよう指導するとともに、保管施設、破砕施設、事業計画書等についてさらに具体的なものを添付するよう指示したところでございます。すべての書類が整った段階で、改めて厳しく審査する考えでございます。
 次に四点目の試験だきについてでございますが、現在までに二回の試運転を実施しております。第一回目は施設完成時にメーカーが引き渡す際に試運転を行っていましたが、約三年間運転を停止していたため、現在メーカー立ち会いのもと、各部のチェック及び調整を行うため試運転を行っております。これらの試運転は、保健所に計画書を提出させ、終了後にはその結果を提出させております。
 なお、試運転には、他人が排出した産業廃棄物を使用しないよう指導しているため、購入材や自社が排出した材料を使用しており、廃棄物処理法には違反しておりません。また最近、保健所に野焼きしているとの通報があったため現場を確認したところ、暖をとるためのたき火でありましたが、紛らわしい行為としてそれを中止させております。
 次に五点目の、過去に違反による指導はなかったかについてでございますが、随時、保健所の担当者が立入調査を行っていますが、今までは廃棄物処理法に抵触するような行為は確認できてございません。
 第六点目の、下流河川への影響はないのか、現況河川の水質検査をしておく必要はないのかについてでございますが、焼却施設からは放流水がないことになっており、下流河川への影響はないものと考えてございます。また、先ほども申し上げましたが、現在関係書類の補正を指示しているところでございますけれども、保管施設等からの浸出水等による下流河川への影響についても十分審査してまいりたいと考えてございます。
 なお、事前に下流河川の水質検査を行う考えでございます。
 次に七点目の、橋本市のダイオキシン問題について、県は代執行で残されたダイオキシンの処理のため百トン炉も視野に入れているのかについてでございますが、大量の汚染物の処理につきましては、議員ご指摘のとおり、現在進めようとしている一トン炉と呼ばれる施設では非常に効率が悪いものと考えてございます。そのため、先ほど知事からの答弁にもありましたように、今後恒久対策を検討する中で、ダイオキシン類の無害化処理の工法、規模、能力につきましても検討し、地元の皆様とも話し合いを行い、ご理解をいただきながら進めてまいりたいと考えてございます。
 次に八点目の、ISO認証取得後の体制と今後の行動についてお答えいたします。
 環境管理に関する国際規格であるISO一四〇〇一につきましては、去る二月二十三日に県下の自治体で初めて認証取得したところでございます。ISOのシステムの運用に当たりましては、知事をトップとして全庁的な環境管理体制を確立し、職員全員で取り組んでいるところでございます。認証取得は到達点ではなく、環境保全に向けた取り組みのスタートであり、今後先導的な役割を果たしながら、目標の達成に向け着実に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興についてお答えいたします。
 まず、市町村対抗ジュニア駅伝についてでありますが、この大会は、各市町村ごとに小中学生男女によるチームを編成し、競争を通じて子供たちの友情と競い合い、地域の一体感や活力などを醸成するとともに、陸上競技のすそ野を広げることをねらいとしております。また、これを契機に地域におけるスポーツクラブの育成や競技力の向上などを視野に入れた幅広いスポーツの振興にも貢献できるものと期待いたしております。多くの県民の皆様のご支援をいただきながら、今後本県を代表するスポーツ大会として定着させていきたいと考えております。
 次に、小学校における体育専任教員の配置につきましては、教員定数とのかかわりで困難でありますが、実技指導者講習会や体育・スポーツ研究学校の指定などにより、子供たちの特性を生かした体育の指導が展開されるよう指導の徹底を図ってまいります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十九番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 答弁ありがとうございました。
 幾つかの要望と再質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、三高産業の問題でございます。
 三高産業がこのたび処分場の予定地として申請しているところは、丹生川ダムまた玉川ダムの上流に当たります。往々にして、産業廃棄物の処分場というのは河川の、それも飲料水をとっている河川の上流によく当たる、水源地の近くに当たるというのが定説でございますが、御多分に漏れず、この場所もそうであります。下流は橋本市の一部と九度山の方へということで、これから九度山にも心配事が広がるのではないかなということでご質問させていただきました。
 今のところは汚染も当然されておりませんから心配ないということでありますが、聞きますと、産業廃棄物を搬入するときには一週間分のストックをするということでございます。一日五トン未満の焼却炉ということで許可を受けておりますから、一日五トンとすると一週間分で三十五トンがストックされるわけであります。また、焼却された焼却灰につきましても、すぐ搬出するのではなくて、やはりそこでストックしておくことになるわけでございます。そうすると、それを野積みということになると雨水による下流への浸出ということが十分考えられるわけでございまして、直接河川へ流れ込まないような方策も指導していかなければならんのじゃないかと、こういうことを強く要望しておきたいと思うのであります。橋本市の日本工業所の轍を踏まないためにも、担当部はくれぐれも心がけて指導していただきたい。このように思うのであります。
 それから、IT関連で申し上げますと、再三申し上げましたが、この三年間が勝負の年である、和歌山県が浮揚する絶好のチャンスが今訪れておる、反対に考えればそのように理解できるわけであります。したがって、いろんな施策が二十四億円の中に盛り込まれ、二十八事業が消化されていくわけでございますが、その中にベンチャー起業家を育てるということが少し抜けているのではないか。和歌山県の浮揚は、ほかにもいろんな事業をすることによって浮揚さすわけでございますが、中でもパソコンを扱える人を六万人養成するということであります。これも大切でありますが、それにも増して起業家の養成というのは非常に大切であろうと思っております。そういう意味で、知事はもっと前向きに考えていただけなかったのかなということがございます。要望しておきます。
 それから財政関係につきましては、財政の原資を見込む中で法人税の伸びを挙げられております。確かに、大企業は今、回復基調に向かっているとはいえ、ここ二、三日の流れは非常に厳しい、また雇用につきましても頭打ちになる、または下降線をたどっている、また大企業の経営者のトップのこれからの景気の動向についても非常に悲観的な意見がふえてきたということの中で、法人税の伸びを見込んで、果たして和歌山県の財政を構築していく上で大丈夫なのかという不安がございます。こういうことで、もう一度慎重に見直していく必要があるのではないかと思うわけでございます。これも要望しておきます。
 最後に、再質問いたします。
 私の手元に、知事に対して抗議文が来ております。私は、一般質問のために原稿を書きました。そして、やっと今になって県と地元住民が信頼し合える仲を構築してきた、私はこのように理解しておりました。しかし、この抗議文を見ますと、とんでもないことだったんやなと。こういうふうな内容であります。きのう夜帰りますと、この抗議文が私のファクスに入っておりました。それを読んで、私はびっくりしました。改めて知事の方へ地元から抗議文が提出されると思うんですが、こういうことを書いてあります。ちょっと紹介させていただきます。
 「和歌山県当局は日本工業所に係るダイオキシン類問題の緊急対策として代執行作業中、二号炉の解体作業で炉内から当初五立方メートルと推定していた汚泥──これは十万ピコ以上のダイオキシンが含まれている汚泥でありますが──六十立方メートル取出し解体工事施設内に保管していました」──これは、住民に一切知らされておりませんでした。恐らく、知事も知らされておらなかった。また、ダイオキシン検討委員会の先生方も知らなかったということであります。当然私どもも知らない、こういうことです。「県当局はこれらの事実を隠蔽し、私たち住民にはジオメルト工法受入を正式に表明した翌日の二月二十八日に通知してきました」。こういうことがあるわけです。これで、今まで構築してきた信頼関係というのが根底から崩されてしまう。ましてや、ジオメルト工法を受け入れる苦渋の一者選択をした住民に、これらの情報を公開しないで選択させた。どういうつもりなのでしょうか。六十五立方でも住民はやむを得ん、出たものはやむを得んと理解をしていたと思うんです。しかし、五立方出ました。これでジオメルト工法をやります、ジオメルト工法でダイオキシンの処理をしてほかへ搬出します、こういうことで地元住民は住民投票までしてこれを受け入れたわけであります。にもかかわらず、投票した明くる日にこの数値を出してくるというようなやり方をすれば、住民の不信感が募る一方であります。
 地元から抗議文が出ておりますが、きのうまで私は、私の一般質問についていろんな聞き取りをさせていただいた。ヒアリングをさせていただいた。その中でも一言も触れていない。これはどういうことですか。強く私からも抗議申し上げますとともに、これについて釈明をしていただきたい。お願いします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 今の質問でございますけれども、僕もちょっと詳しい話は関知しておりません。ただ、あの現場の焼却炉の周辺から汚泥というかが出てきたという話は聞いてございます。ただ、どれだけの量でどういうことかというのもよくわかっておりませんけれども、現在はそれを出して袋詰めをしているというように聞いてございます。
 それで、地元との話はきのう出てきて──僕も、内容的に詳しい話はわかりませんので。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十九番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 部長も余り詳しくご存じないということでありますから、私が部長にこの思いをぶつけても、今壇上で話されたようなことしか戻ってこんのやと思います。しかし、知事はもちろんのこと、担当の部長も知らんというようなことになったら、だれがこれを隠ぺいしておったのよということになるでしょう。今、信頼関係を構築しながら、ここまでやってこれたわけですよ。そして、住民の中からは三者協定をも白紙に戻したい、こういう意見も出ておるんですよ。そうすると、現地処理というのもなくなってしまいますよ。私は、このようなやり方について非常に憤りを思うんです。
 詳しく書いてきております。この汚泥は、簡易測定で一万ピコ以上のダイオキシンが検出された、測定されたと言うんですね。簡易測定で確かなものではありませんから、恐らく正確にやると、もっと出ると思いますよ。それから、量はドラム缶に詰めて三百四十本から五十本と言っていますよ。恐らくもうドラム缶に詰めてあると思うんですが、そういう具体的な数字があるのに全然住民にも知らせていない、また担当部長もご存じじゃないということですから、早急に調べて回答していただきたい。今この場で回答は求めませんが、ひとつよろしく対処していただきたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。

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