平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十三年二月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十三年三月六日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第七十八号から議案第八十号まで(知事説明・質疑)
  第二 議案第一号から議案第七十七号まで、並びに報第一号(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第七十八号から議案第八十号まで(知事説明・質疑)
   二 議案第一号から議案第七十七号まで、並びに報第一号(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     五  番       堀   本   隆   男
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     環境生活部長     道   浦       渥
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       辻           健
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       佐   竹   欣   司
     調査課長       梶   本   皓   造
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
○議長(阪部菊雄君) 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案七十八号から議案第八十号まで】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、ただいま報告の議案第七十八号から議案第八十号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
  知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について、ご説明を申し上げます。
 議案第七十八号から第八十号は、平成十二年度予算のうち、用地取得の遅延等により年度内に完了することが困難と見込まれる事業、及び国の経済対策を踏まえ、年度途中において追加措置いたしました事業の一部について、平成十三年度への明許繰り越しをお願いするものでございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第一号から議案第七十七号まで、並びに報第一号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第二、議案第一号から議案第七十七号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 二十九番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、おはようございます。
 二十一世紀初の県議会におきまして、トップバッターとして質問の機会を得ましたことを光栄と思い、同僚議員に厚く御礼申し上げます。
 二十一世紀がスタートして既に二カ月、この新しい世紀が和歌山県にとって大飛躍の世紀となり、県民が希望を持ち、活力あふれ、安心して暮らせる世紀となることを切に願うものであります。新世紀が和歌山県にとってすばらしい世紀となるかどうかは、一に新世紀に船出する和歌山丸が誤りのない航路をとることを信じて県政を任せた県民の熱い思いが木村船長の行政手腕にかかっているのであります。後年になって、二十一世紀の和歌山丸のかじ取りを木村知事に任せたので今の和歌山県があると言われるような行政手腕を見せていただきたいのであります。
 今議会に提出されております平成十三年度当初予算案は、まさしく知事として初めて編成された予算で、今後の県政にとって非常に重要な意味を持つものであると思います。
 そこで、まず初めに平成十三年度予算について質問いたします。
 予算編成の基本方針についてであります。
 二十一世紀という新しい時代がスタートしたわけで、我が国は今、社会経済システムの変革を初めとし、従来のシステムが作動しなくなってきており、時代の大きな転換期に立たされております。情報化の進展に象徴されるように、そのスピードは加速度的に速くなっております。この激しい変化の時代にあって、その流れに乗りおくれることなく、新しい施策を適時適切にすばやく実施することが重要であると考えます。しかし、ここ数年は基金を取り崩しての予算編成からもわかるように、現在の県の財政状況は極めて厳しく、新しい施策の積極的な展開にはおのずと制約があるようにも思うのであります。
 先日の知事の趣旨説明においても、「新世紀を迎えて」とし、一、地方自治体間で生き残りをかけた知恵の競争、一、自治体独自の財源の確保、一、自立型経済構造への転換を挙げております。また総論では、財政運営プログラムを基本として、事務事業評価システムを活用しながら行政の棚卸しを行うとしております。また十三年度予算では、財政健全化に取り組むとともに、新しい発想で新規施策についても積極的展開に努め、厳しい財政の中、時代に即した施策が随所に見られ、苦労の跡がうかがわれるのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 予算編成で両立しにくい財政の健全化と新規施策の展開をどのように工夫し、両立に努められたのか。また、新規施策のうち、特に予算の重点配分をしたのはどの分野か。
 バブル崩壊後のたび重なる景気対策にもかかわらず、景気が一向に回復の兆しもなく、それがために我が国の財政状況が国、地方を通じて末期的な状況にあり、国にあっては十二年度末の公債発行残高が三百六十五兆円にも達する見込みであります。本県においても、公債費の増大や福祉関係予算の増加などにより厳しい予算編成を強いられているのであります。また、今後、近々の景気好転は望めないのであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 来年度予算、今後のさらなる財政の健全化に向けた取り組みについてどのような考えを持っておられるのか。
 また、総務部長にお伺いいたします。
 一、県債発行残高の今後の見通しと赤字地方債が与える影響について。
 二、今年度導入した事務事業評価システムの成果並びに今後について。
 これらをお伺いいたします。
 次に、環境問題についてであります。
 PCBについてお伺いします。
 PCBの発がん性が指摘され、昭和四十八年に製造中止となりましたが、処理方法が長く確立されず、ここに来て、ようやく平成十三年にめどがついたようであります。マスコミ報道によれば、製造された量と現在確認されている量に相当な開きがあり、行方不明となっているPCBが相当の量に達していると報じております。恐ろしいことですが、この不明になっているPCBは不法に処分されていると思われるのであります。地球環境を考える上でこれらを野放しにしておくことは許されないものであり、一刻も早い管理体制と処理をしなければなりません。
 そこで、環境生活部長に伺います。
 県下に現在保管されているPCBの量と保管体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 次に、産廃についてお伺いいたします。
 橋本市における日本工業所による産廃不法処理により発生したダイオキシン、胸が痛くなるような異臭、これから起きるであろう浸出水汚染、将来に対する健康不安、風評被害による農産物販売不振等、関係住民が受けた辛酸は例えようもありません。一産廃業者が起こした不法処理で多くの迷惑をかけながらも、今の法ではこれを裁くことができないのであります。
 そのような中、橋本市内で反対の声が挙がっているにもかかわらず、産廃中間処理業の許可が出されようとしております。日本工業所の轍を踏まないためにも、ここで改めて確認をしておきたいのであります。三高産業についてであります。
 一、申請が出されから現在までの経緯と今後について。また、許可するに当たってはだれが許可を決め、だれが許可するのか。許可後の指導監督はどこでするのか。
 二、廃掃法に基づく申請書式は完備しているのか。
 三、焼却炉の試験だきと称して長期間焼却していたと住民は証言しておりますが、指導の対象としなかったのか。
 四、過去に違反による指導はなかったか。
 五、処分場予定地下流の河川──玉川、丹生川でありますが──への影響はないのか。また、現況河川の水質検査をしておく必要はないのか。
 これらについてお伺いしておきます。
 続いて、日本工業所についてお伺いいたします。
 日本工業所が不法に処理を始めてから、既に八年にもなります。一般質問でも、私は過去八回にわたり行ってまいりましたが、その間、県執行部とのあつれき、県職員の収賄による逮捕と、目まぐるしく状況は展開しました。現在、県と地元住民との話し合いの中から解決方法を見出していくようなことが確立されてまいりましたのは、非常に喜ばしいことであります。昨年十一月十四日には、知事ともども、福祉環境委員会として関係省庁への要望も行ったところであります。ジオメルト工法によるダイオキシン処理受け入れの賛否を問う住民投票が橋本市柿ノ木坂で過日行われ、住民は受け入れやむなしの苦渋の一者選択をしたのであります。ジオメルト工法とは、米国ジオセーフ社がライセンスを持つ工法で、システム的には電力供給設備、溶融設備、オフガス処理設備、非常用オフガス設備等から成り、橋本での処理は溶融設備が固定バッチと言われる処理方法で行われます。溶融炉内容器に溶融体を入れ、通電し、千六百度以上でダイオキシンを分解してガラス固体化中に封じ込める工法で、実証試験結果報告書が一月二十五日に提出されておりますが、日本国内での現地処理は初めてであり、どのような結果が出るかわからないのが現状であります。二月二十一日にはジオメルトプラントの搬入が完了しており、県と撤去をする会、鴻池組の三者で環境保全協定締結後、作業開始となりますが、プラントの故障、誤っての大気汚染等、緊急時に備えてマニュアルを作成し、万全の対策をとっておく必要があると思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 県は、恒久対策を早急に考え、当然のことながら地元との話し合いは不可欠でありますが、最終的にはどのような収束の仕方を考えておられるのか。
 ジオメルト工法というのは今申し上げたとおりですが、橋本で行うのは、処理対象量十一・五立米を一トン炉で二十三バッチ──一バッチは〇・五立米でありますが──に分け、六十六日間をかけて処理するものであります。十一・五立米を処理するには約二カ月を要すると言われております。県が実施したデータから積算した何らかの処理をしなければならない汚染産廃は、ダイオキシン千ピコグラム以上が一万三千五百立米、また三千ピコグラム以上が千立米の量が予想されております。これは、県が推定した量であります。この量をちなみに一トン炉で処理すると仮定して計算いたしますと、千ピコグラム以上で百十年、三千ピコグラムでは八年もの年月がかかる計算であります。もしジオメルト工法で処理するとすればの仮定で、環境生活部長にお伺いいたします。
 今回の処理で残されたダイオキシンを処理するためには、百トン炉での処理をも視野に入れなければならないと思いますが、どのようにお考えですか。
 次に、ISO一四〇〇一についてお伺いいたします。
 前西口知事が、昨年年頭の記者会見で、教育委員会、警察本部等を含む本庁舎を対象に、今年度内の取得を目指すことを表明し、四月から始動し、十三年二月二十三日に認証登録され、三月一日、知事室において認証登録証の授与式が行われました。登録されればそれですべてが終了するのではなく、これから始まるのであります。
 そもそもISO誕生には、地球環境問題で人類がいろんな分野で地球環境を破壊してきた背景があるわけでございますが、一度汚してしまった地球をもとの状態にすることは容易ではありません。認証を受けるために体制を整えられ、プログラムの整備もされているようでありますが、これについて環境生活部長に伺いたいのであります。
 ISO一四〇〇一認証取得後の体制と今後の行動についてお伺いいたします。
 続いて、IT革命についてお伺いいたします。
 IT革命は、今日本では時代の寵児としてもてはやされ、日本ではソフトバンクに代表されるIT産業が台頭し、日本経済の牽引車としての役割を果たしております。世界的に見ても、ビル・ゲイツ率いるマイクロソフト社がアメリカのIT産業の主役となり、IBMにかわる世界の牽引車となっております。また発展途上国からも、国策としてIT革命を前面に出して台頭してきているのがインドであります。シンガポールも早くからIT革命に取り組み、今日本が取り組もうとしていることは既に終わり、次の段階へのステップをしているのであります。気がつけば、日本はパソコンの製造を除くIT関連すべての分野で大きくおくれをとっているのであります。日本国内でも、自治体間の生き残りをかけた激しい競争が行われており、沖縄県は、政府の肩入れもありまして、日本のIT産業の中枢を目指しております。また近畿圏では、兵庫県が知事の強力なリーダーシップのもと、他府県の先陣を切っておるのであります。IT革命で国内での勝敗を分けるのは、これからの三年間であろうとも言われております。今が勝負のしどころであり、沈滞し切っている和歌山県を浮揚さすチャンスが今訪れているのであります。
 知事は、二月定例議会知事説明の中で所信表明され、「ITわかやま」と銘打って県政の最重要課題ととらまえ、県産業の発展、県民生活の充実を図るため諸事業を実施するとしております。すべてはこれからの三年間で勝敗が決することとなり、以後の努力、予算の投入を行ったとしても、他自治体の後塵を長きにわたって受けなければならなくなるのは明白であります。県政の浮揚をかけて知事は強力なリーダーシップを発揮し、ITの勝者となれるように頑張っていただきたいのであります。
 県がIT関連予算として提案されているのは総額二十四億円余、二十八事業でありますが、これについて知事に伺いたいのであります。
 一、IT関連で知事みずから特に指示した事業はどれか、またその事業への思いはいかがか。
 二、IT関連新産業支援をもっと強く前面に打ち出せなかったのか。十三年度IT関連予算を見ると、各部局にまたがり、整合性に欠けているやにも見受けられます。
 そこで三として、IT関連予算を一括管理し、事業遂行する組織が必要とも思うのでありますが、これをどのように考えておられるかをお伺いいたします。
 次に、スポーツの振興についてお伺いいたします。
 和歌山県のスポーツレベルの低下は、スポーツに関係している一人として嘆かわしい限りであります。私も、レベルアップの一助にでもなればと、橋本市の委託を受け、大勢の関係者の方々のご協力をいただきながら橋本マラソンを開催し、一千名以上の参加者があり、年々盛大になってきております。教育委員会がこのたび企画した新規事業で和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝大会の開催は、非常によい企画だと思っております。県下のスポーツレベルの低下のうち、特に陸上競技の低下が顕著であります。国内での駅伝大会等を見ても、社会人、学生など、いずれの大会も四十位以下が定位置になってしまっているのであります。企業に、全国的に通用するクラブ、選手がいないことも大きな要因にもなっていると思います。幾つかの例をとりましても、校外活動に、野球、ソフトボール、サッカー、柔道、空手、水泳、剣道等々で少年少女を指導する組織がございますが、現在、スポーツをする上で一番大切な基礎となる走ることを教える人も、場所も、クラブも和歌山県下にはございません。今回企画された市町村対抗ジュニア駅伝大会を契機として、ジュニア特に小学校の体育授業のあり方等を教育長に伺いたいのであります。
 一、第一回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝大会を開催するに当たり、何を期待しておられるのか。
 二、小学校に体育専任教師を配置することについてお伺いしたいと思います。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。 初めに、財政問題についてお答えをいたします。
 平成十三年度の予算編成におきましては、財政健全化の推進と新しい世紀に県民が夢を持てるような時代に即応した新規施策の展開を両立させるという基本姿勢のもとに、いわば二兎を追うという形で取り組んだところでございます。このため、事務事業評価システムを活用した聖域なき事務事業の見直しに取り組むとともに、県の独自措置として職員の給与カット等による歳出の削減に努めたところでございます。一方で、部長会議等での議論や若い職員からの斬新なアイデアを取り入れながら、時代の潮流に合ったタイムリーな新規施策については思い切った予算措置を行いました。
 新規施策につきましては相当多数に上っておりますが、例えば「ITわかやま」の推進を県政の重要課題ととらえ、本県のすぐれた産品をアピールし販売の促進を図るインターネット上でのふるさと和歌山わいわい市場の開設など、積極的な対応を図ることといたしました。また、NPOとの共同を目指してNPOの推進を図ってまいるほか、廃棄物処理計画の策定を行うとともに、地場産業のリサイクルの支援、体験型観光メニューの創造、乾燥紀州材の普及支援等、産業の活性化や環境対策に努めてまいることといたしております。さらに、防災拠点施設の整備検討や未利用土地利活用方策の検討を行ってまいります。公共事業につきましては、道路予算にシフトを行うとともに、効率的かつ重点的な整備に努めてまいることといたしました。
 このように、二十一世紀の和歌山づくりを強力に推進するため、限られた財源を各般の施策にバランスよく重点配分いたしたところでございます。
 なお、財政健全化に向けた今後の取り組みでございますが、平成十三年度予算におきましては、歳入歳出における収支不足額を前年度予算に比べて三十一億円、率にして二五%縮減するなど、健全化に向け、一定の成果が上がりました。しかしながら、現在の我が国の財政状況は、国、地方とも極めて厳しい状況にございます。地方交付税の減等、今後地方財政を取り巻く環境は、なお厳しいものがあると思っております。こうした状況に対応するため、次年度も新しい観点から事務事業の見直しや財源の重点配分を行い、さまざまな新しい行政需要にも弾力的に対応できる財政構造の実現に向け、取り組んでまいります。
 次に、ダイオキシン問題の恒久対策につきましては、ダイオキシン類問題検討委員会の提言をいただき、橋本市や地域の皆様と十分に話し合うとともに、国からの支援方法や工法等について協議し、対策方法や対策時期をできるだけ早く地元の皆様にお示しできるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、IT関連事業でございます。
 大変厳しい財政状況のもとではございますけれども、議論を重ねて、私自身もアイデアを出しながら二十八項目の事業を計上いたしました。これらの事業は、すべて新しい和歌山の創造に重要であると考えております。例えば、教育への対応として、全国に先駆けて県立学校へのすべての普通教室にパソコンを配置する事業とか、IT先進県を目指す第一歩として県職員の活用能力向上のため本庁職員一人に一台パソコンを配備するなど、枚挙にいとまがないところでございます。また、県経済の活性化を図っていくためには、県内産業におけるITの活用を促進していくことが重要であり、県経済センターを中心に県内幾つかの土地で起業家育成のためのインキュベーター機能と最新の情報インフラを整備した施設を提供いたします。そしてまた、インターネット上に仮想の和歌山コミュニティーというものを創出して、各種のサービスを行うバーチャル和歌山構想の事業化をいたします。また、県産品を総合的に販売する全国自治体規模では最大のオンラインショップであるふるさと和歌山わいわい市場の開設、県内一万事業者を対象にしたホームページの作成支援等の事業を考えております。これらの事業を着実に推進し、育てていくことが県内産業の振興にもつながるものと確信をいたしております。
 また、これらの二十八項目に及ぶ事業を着実に遂行していくためには体制の強化が不可欠でございます。IT関係情報の把握や施策の立案調整、進行管理などを総合的に所掌するためIT推進局を設置し、重点的に人材を投入することを検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 財政問題についての二つのご質問にお答えいたします。
 初めに、県債発行残高の今後の見通しと赤字地方債が与える影響についてでございます。
 平成十二年度末の県債発行残高は六千三百五十四億円となり、平成十三年度末には約六千四百八十億円程度になるものと見込んでおります。今後、平成十三年度当初予算と同額程度の県債を発行すると仮定した場合、残高は六千五百億円弱の水準で推移するものと見込んでおります。平成十三年度の県債の発行は、臨時財政対策債の影響もあり、前年度に比べ四十四億円の増となっておりますが、これを除く通年ベースでは七十五億円、率にして一四・一%の減となっております。今後とも、県債の発行につきましては、後年度負担の適正水準も勘案しながら、できる限り抑制に努めていきたいと考えております。
 次に、国、地方の責任分担の明確化等を図るため、平成十三年度の制度改正により設けられた臨時財政対策債につきましては、現在のところ平成十五年度までの発行が予定されており、これにより県債の発行額が増加する可能性は否定できませんが、この特例地方債に係る元利償還につきましては、その全額が地方交付税措置されるものであり、財政運営への直接の影響はないものと考えております。
 次に、今年度導入した事務事業評価システムの成果と今後についてでございます。
 評価対象千七百五十事業のうち約三割について廃止及び改善の措置を講ずるなど、導入初年度として一定の成果を上げることができたものと考えております。今後とも、県民の方々からのご意見を参考にしながら、評価システムの充実に向けて不断の努力を重ねてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 環境問題に関する八点のご質問にお答えいたします。
 まず第一点目の、県下に保管されているPCBの量と保管体制についてでございます。
 PCBは、カネミ油症事件の後、昭和四十七年に製造が禁止され、昭和四十八年から新たな製品への使用が禁止されました。しかしながら、それまでに製造され使用されているトランスやコンデンサーにつきましては、現在も使用されているものもあります。県では、和歌山市を除く県内でのそれらの使用、保管状況について、近畿経済産業局のPCB使用電気機器台帳により平成四年度と十一年度に調査を行いましたが、その結果、全調査対象千百七十二台のうち、使用中及び保管中が四百四十三台、不明・紛失が五十四台、未回答が六百五十三台となっており、現在この不明・紛失及び未回答の七百七台についてフォローアップ調査を行っているところでございます。また、廃PCBにつきましては、既に相当長期間の保管となっていることから、平成十三年度、国において廃PCBの早期処理のための基金が創設されます。県といたしましても、その基金の一部を拠出し、その処理対策に取り組み、促進してまいります。
 なお、今後とも適正保管についての周知指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に二点目の、三高産業の申請から現在までの経緯、許可に当たっては、だれが許可を決め、だれが許可をするのか、許可後の指導監督はどこがするのかについてお答えいたします。
 大気汚染防止法に基づく廃棄物焼却施設の設置届け出書が平成八年に提出され、これを受理いたしました。その後、木くず、紙くず、繊維くず、及び動植物性残渣の焼却処理とあわせて、これらの廃棄物のほか、廃プラスチック類、ゴム、金属、ガラス、陶磁器、くず等の破砕処理を業とする産業廃棄物処分業の許可申請が平成九年十月にありました。しかし、地元の橋本市長が反対していたため、橋本市長の理解を得るための努力をするよう指導し、申請書を一たん返戻しましたが、業者はこれを不服として、平成十年九月に厚生大臣に行政不服審査請求をいたしました。これを受け、平成十一年一月に厚生大臣から知事に対して、何らかの処分をするよう命令が出されました。県は、改めて産業廃棄物処理業の許可申請書を提出させ、橋本市長の意見を聞くとともに、慎重に審査し、搬入道路が狭隘であることを理由に、この申請を不許可といたしました。業者は、これを不服として不許可処分取消請求を提訴しました。平成十二年十二月十九日に、不許可処分を取り消すとの判決が出たため、厚生省や弁護士等と協議した結果、勝訴の見込みが薄いことから控訴を断念いたしました。現在は、当初提出された申請書について、現行制度との整合を図るため、書類の補正を命ずるとともに、審査、検討しているところでございます。
 なお、産業廃棄物処理業の許可につきましては、地域環境課において法に基づき審査し、部長専決のもと知事名で許可をいたします。また、許可後の指導監督につきましては、法に基づく立入調査、報告調査の権限を保健所長に委任してございますので、廃棄物処理法上の監視・指導は保健所が行っておりますが、地域環境課からも必要に応じて保健所の協力を得て立入調査を行ってございます。
 なお、焼却施設及び最終処分場設置以外の許可に際する学識経験者による意見聴取につきましては、今後、他の都道府県の状況も調査しながら研究してまいりたい。
 次に第三点目の、書類はすべて整っているかについてでございますが、当初の許可申請は平成九年十月になされたものであり、その後の様式の変更や書類等、新たに添付が必要となったものがあり、これらを変更するよう指導するとともに、保管施設、破砕施設、事業計画書等についてさらに具体的なものを添付するよう指示したところでございます。すべての書類が整った段階で、改めて厳しく審査する考えでございます。
 次に四点目の試験だきについてでございますが、現在までに二回の試運転を実施しております。第一回目は施設完成時にメーカーが引き渡す際に試運転を行っていましたが、約三年間運転を停止していたため、現在メーカー立ち会いのもと、各部のチェック及び調整を行うため試運転を行っております。これらの試運転は、保健所に計画書を提出させ、終了後にはその結果を提出させております。
 なお、試運転には、他人が排出した産業廃棄物を使用しないよう指導しているため、購入材や自社が排出した材料を使用しており、廃棄物処理法には違反しておりません。また最近、保健所に野焼きしているとの通報があったため現場を確認したところ、暖をとるためのたき火でありましたが、紛らわしい行為としてそれを中止させております。
 次に五点目の、過去に違反による指導はなかったかについてでございますが、随時、保健所の担当者が立入調査を行っていますが、今までは廃棄物処理法に抵触するような行為は確認できてございません。
 第六点目の、下流河川への影響はないのか、現況河川の水質検査をしておく必要はないのかについてでございますが、焼却施設からは放流水がないことになっており、下流河川への影響はないものと考えてございます。また、先ほども申し上げましたが、現在関係書類の補正を指示しているところでございますけれども、保管施設等からの浸出水等による下流河川への影響についても十分審査してまいりたいと考えてございます。
 なお、事前に下流河川の水質検査を行う考えでございます。
 次に七点目の、橋本市のダイオキシン問題について、県は代執行で残されたダイオキシンの処理のため百トン炉も視野に入れているのかについてでございますが、大量の汚染物の処理につきましては、議員ご指摘のとおり、現在進めようとしている一トン炉と呼ばれる施設では非常に効率が悪いものと考えてございます。そのため、先ほど知事からの答弁にもありましたように、今後恒久対策を検討する中で、ダイオキシン類の無害化処理の工法、規模、能力につきましても検討し、地元の皆様とも話し合いを行い、ご理解をいただきながら進めてまいりたいと考えてございます。
 次に八点目の、ISO認証取得後の体制と今後の行動についてお答えいたします。
 環境管理に関する国際規格であるISO一四〇〇一につきましては、去る二月二十三日に県下の自治体で初めて認証取得したところでございます。ISOのシステムの運用に当たりましては、知事をトップとして全庁的な環境管理体制を確立し、職員全員で取り組んでいるところでございます。認証取得は到達点ではなく、環境保全に向けた取り組みのスタートであり、今後先導的な役割を果たしながら、目標の達成に向け着実に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興についてお答えいたします。
 まず、市町村対抗ジュニア駅伝についてでありますが、この大会は、各市町村ごとに小中学生男女によるチームを編成し、競争を通じて子供たちの友情と競い合い、地域の一体感や活力などを醸成するとともに、陸上競技のすそ野を広げることをねらいとしております。また、これを契機に地域におけるスポーツクラブの育成や競技力の向上などを視野に入れた幅広いスポーツの振興にも貢献できるものと期待いたしております。多くの県民の皆様のご支援をいただきながら、今後本県を代表するスポーツ大会として定着させていきたいと考えております。
 次に、小学校における体育専任教員の配置につきましては、教員定数とのかかわりで困難でありますが、実技指導者講習会や体育・スポーツ研究学校の指定などにより、子供たちの特性を生かした体育の指導が展開されるよう指導の徹底を図ってまいります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十九番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 答弁ありがとうございました。
 幾つかの要望と再質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、三高産業の問題でございます。
 三高産業がこのたび処分場の予定地として申請しているところは、丹生川ダムまた玉川ダムの上流に当たります。往々にして、産業廃棄物の処分場というのは河川の、それも飲料水をとっている河川の上流によく当たる、水源地の近くに当たるというのが定説でございますが、御多分に漏れず、この場所もそうであります。下流は橋本市の一部と九度山の方へということで、これから九度山にも心配事が広がるのではないかなということでご質問させていただきました。
 今のところは汚染も当然されておりませんから心配ないということでありますが、聞きますと、産業廃棄物を搬入するときには一週間分のストックをするということでございます。一日五トン未満の焼却炉ということで許可を受けておりますから、一日五トンとすると一週間分で三十五トンがストックされるわけであります。また、焼却された焼却灰につきましても、すぐ搬出するのではなくて、やはりそこでストックしておくことになるわけでございます。そうすると、それを野積みということになると雨水による下流への浸出ということが十分考えられるわけでございまして、直接河川へ流れ込まないような方策も指導していかなければならんのじゃないかと、こういうことを強く要望しておきたいと思うのであります。橋本市の日本工業所の轍を踏まないためにも、担当部はくれぐれも心がけて指導していただきたい。このように思うのであります。
 それから、IT関連で申し上げますと、再三申し上げましたが、この三年間が勝負の年である、和歌山県が浮揚する絶好のチャンスが今訪れておる、反対に考えればそのように理解できるわけであります。したがって、いろんな施策が二十四億円の中に盛り込まれ、二十八事業が消化されていくわけでございますが、その中にベンチャー起業家を育てるということが少し抜けているのではないか。和歌山県の浮揚は、ほかにもいろんな事業をすることによって浮揚さすわけでございますが、中でもパソコンを扱える人を六万人養成するということであります。これも大切でありますが、それにも増して起業家の養成というのは非常に大切であろうと思っております。そういう意味で、知事はもっと前向きに考えていただけなかったのかなということがございます。要望しておきます。
 それから財政関係につきましては、財政の原資を見込む中で法人税の伸びを挙げられております。確かに、大企業は今、回復基調に向かっているとはいえ、ここ二、三日の流れは非常に厳しい、また雇用につきましても頭打ちになる、または下降線をたどっている、また大企業の経営者のトップのこれからの景気の動向についても非常に悲観的な意見がふえてきたということの中で、法人税の伸びを見込んで、果たして和歌山県の財政を構築していく上で大丈夫なのかという不安がございます。こういうことで、もう一度慎重に見直していく必要があるのではないかと思うわけでございます。これも要望しておきます。
 最後に、再質問いたします。
 私の手元に、知事に対して抗議文が来ております。私は、一般質問のために原稿を書きました。そして、やっと今になって県と地元住民が信頼し合える仲を構築してきた、私はこのように理解しておりました。しかし、この抗議文を見ますと、とんでもないことだったんやなと。こういうふうな内容であります。きのう夜帰りますと、この抗議文が私のファクスに入っておりました。それを読んで、私はびっくりしました。改めて知事の方へ地元から抗議文が提出されると思うんですが、こういうことを書いてあります。ちょっと紹介させていただきます。
 「和歌山県当局は日本工業所に係るダイオキシン類問題の緊急対策として代執行作業中、二号炉の解体作業で炉内から当初五立方メートルと推定していた汚泥──これは十万ピコ以上のダイオキシンが含まれている汚泥でありますが──六十立方メートル取出し解体工事施設内に保管していました」──これは、住民に一切知らされておりませんでした。恐らく、知事も知らされておらなかった。また、ダイオキシン検討委員会の先生方も知らなかったということであります。当然私どもも知らない、こういうことです。「県当局はこれらの事実を隠蔽し、私たち住民にはジオメルト工法受入を正式に表明した翌日の二月二十八日に通知してきました」。こういうことがあるわけです。これで、今まで構築してきた信頼関係というのが根底から崩されてしまう。ましてや、ジオメルト工法を受け入れる苦渋の一者選択をした住民に、これらの情報を公開しないで選択させた。どういうつもりなのでしょうか。六十五立方でも住民はやむを得ん、出たものはやむを得んと理解をしていたと思うんです。しかし、五立方出ました。これでジオメルト工法をやります、ジオメルト工法でダイオキシンの処理をしてほかへ搬出します、こういうことで地元住民は住民投票までしてこれを受け入れたわけであります。にもかかわらず、投票した明くる日にこの数値を出してくるというようなやり方をすれば、住民の不信感が募る一方であります。
 地元から抗議文が出ておりますが、きのうまで私は、私の一般質問についていろんな聞き取りをさせていただいた。ヒアリングをさせていただいた。その中でも一言も触れていない。これはどういうことですか。強く私からも抗議申し上げますとともに、これについて釈明をしていただきたい。お願いします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 今の質問でございますけれども、僕もちょっと詳しい話は関知しておりません。ただ、あの現場の焼却炉の周辺から汚泥というかが出てきたという話は聞いてございます。ただ、どれだけの量でどういうことかというのもよくわかっておりませんけれども、現在はそれを出して袋詰めをしているというように聞いてございます。
 それで、地元との話はきのう出てきて──僕も、内容的に詳しい話はわかりませんので。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十九番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 部長も余り詳しくご存じないということでありますから、私が部長にこの思いをぶつけても、今壇上で話されたようなことしか戻ってこんのやと思います。しかし、知事はもちろんのこと、担当の部長も知らんというようなことになったら、だれがこれを隠ぺいしておったのよということになるでしょう。今、信頼関係を構築しながら、ここまでやってこれたわけですよ。そして、住民の中からは三者協定をも白紙に戻したい、こういう意見も出ておるんですよ。そうすると、現地処理というのもなくなってしまいますよ。私は、このようなやり方について非常に憤りを思うんです。
 詳しく書いてきております。この汚泥は、簡易測定で一万ピコ以上のダイオキシンが検出された、測定されたと言うんですね。簡易測定で確かなものではありませんから、恐らく正確にやると、もっと出ると思いますよ。それから、量はドラム缶に詰めて三百四十本から五十本と言っていますよ。恐らくもうドラム缶に詰めてあると思うんですが、そういう具体的な数字があるのに全然住民にも知らせていない、また担当部長もご存じじゃないということですから、早急に調べて回答していただきたい。今この場で回答は求めませんが、ひとつよろしく対処していただきたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十五番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、議案に対する質疑並びに一般質問を行います。
 まず初めに、平成十三年度当初予算と行財政施策についてお尋ねいたします。
 平成十三年度当初予算は、木村知事が初めて編成する当初予算であり、県民の期待と注目を受けてきました。知事の当初予算における基本的な考え方は、第一に、新時代に対応した和歌山の創造を目指し、IT化への対応や新産業の創造及び新たな環境対策など新しい発想に基づく施策に積極的に取り組み、二十一世紀の和歌山づくりを強力に推進する、第二に、新たな政策展開を実現するため、弾力的な財政構造の確立を目指し、十二年度に本格導入した事務事業評価システムも活用しながら、「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事務事業の見直しを実施する、また財政運営プログラムにのっとり、財政健全化策を着実に実現するの二点であります。
 この基本的な考え方をもとに予算編成が行われ、一般会計は五千七百四十七億九千二百万円で、対前年度比一・九%減となり、地方財政計画の〇・六%減を上回る二年連続のマイナス予算となりました。また、特別会計と公営企業会計を合わせた総額は六千五百四億九千九十一万円で、対前年度比三・六%減となっています。
 木村知事は、「平成十三年度予算は、新しい世紀に県民に夢を与えるとともに、和歌山県が活力みなぎる力強い県となるためのスタートとして、大変重要な予算でございます」と説明しております。
 歳入面では、国において地方交付税特別会計の借入金残高が三十八・一兆円となり、地方負担で将来償還する必要のある額が二十六・三兆円にも上る厳しい状況にあります。このため、国は従前から行ってきた交付税特別会計からの借入金による財源補てん対策を見直し、財源不足分に対して国、地方が折半し、国は一般会計から直接繰り入れ、地方は臨時財政対策債いわゆる赤字地方債を発行して補てんすることになりました。この結果、本県では地方交付税が対前年度比で百四十七億円減少し、県債において本年度新たに臨時財政対策債百十九億円が発行されることになりました。一方、県税収入は、県内大企業の収益改善が見込まれることで対前年度比四・七%増の九百五十億六千八百万円の計上となり、歳出削減の努力もあり、県における本年度の財源不足額は前年度より減少して九十三億二千三百万円が生じ、基金から取り崩すとしています。
 歳出面では、財政健全化に向けて平成十二年度に本格導入した事務事業評価により、事業の廃止及び見直しを実施することにより歳出の削減を図っています。また、議案第三十九号及び議案第六十号において、県職員及び学校等職員の条例定数の削減が図られ、加えて今年度に県独自の給与カットを実施するなどにより人件費の削減に努め、歳出全体で百十三億円を減少させています。
 一方、木村知事は、新しい発想を持って時代潮流に即応したタイムリーな施策展開を積極的に推進するため、IT関連の二十七事業に総額二十五億円を計上し、IT化への対応や新産業創造などIT先進県を目指しております。さらに、新たな環境対策費を初め道路整備における府県間道路への重点配分、市町村合併等の推進に関する予算計上など、知事が二十一世紀の和歌山の礎をつくる決意で予算編成された努力は評価されるところであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 一、知事は説明要旨で、今まで地方交付税や国庫補助金で守られていた地方の財源がいずれ国の財政再建に合わせ見直されることは自明のことであり、地方自治体は自己決定、自己責任のもとで行政に取り組む激しい自治体間競争の時代を迎えることになると述べ、県の財政規模についても、自主財源に見合った姿に近づけていくことも必要ではないかと提言しています。こうした財政状況の中で、激しく変化する経済の構造改革を受けて、本県の将来ビジョンをどのように考えているか、お尋ねいたします。
 二、知事は、新しい施策展開にあわせて、県の組織機構の改革を図り、若手職員のアイデアが生かされる風通しのよい県庁づくりに努めると述べていますが、どう改革されるのか、以上二点お尋ねいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、新年度予算において、県職員及び学校等職員の条例定数の削減が図られました。財政運営プログラムでは、平成十五年までに定数削減の推進、給与等の適正化の推進、及び平成十四年四月一日から実施される再任用制度を踏まえて本年度の新規採用の確保の三点にどう対応するのか。
 二、平成十二年度に本格導入された事務事業評価の実施結果と今後の推進はどうか。
 三、県は今年二月に平成十一年度のバランスシート、その概要と財政分析を自治省のマニュアルに基づいて作成し、発表しました。県の財政状況を県民に公表する上でバランスシートの作成は有効な手段であり、作成に当たっていただいた方々の努力に感謝する次第であります。しかし、自治省のマニュアルによると、資産と負債を比較すると大幅な資産超過になります。本県の場合もそうですが、これをもって直ちに地方財政はまだまだ余裕があると判断することはできません。さらに、資産形成につながらない人的サービスや給付サービスが大きい福祉分野の把握ができない点や土地開発公社等の問題、普通会計以外の分野もあわせた分析など、幾つかの改善が指摘されております。そこで、県は今回のバランスシートをどう評価し、今後の財政運営にどう生かされるのか、お尋ねいたします。
 四、ペイオフ解禁に伴い、県の公金預金に関しても平成十四年四月から決済性預金は平成十五年四月から一千万円を超える部分については預金保険による保護措置がなくなることになり、自治体はみずからその公金預金を保護する必要が生じてきます。県は、公金預金の保護や資金運用の安全性を高めるため今後どう対応されるのか、以上四点お尋ねいたします。
 次に、市町村合併の推進についてお尋ねいたします。
 地方分権の推進や自治体の行財政改革の観点から、全国的に市町村合併の機運が高まってきています。今年一月に東京都の田無市と保谷市が合併して西東京市が誕生したのに続いて、四月には茨城県の潮来町と牛堀町が合併して潮来市が、五月には埼玉県の浦和市、大宮市、与野市が合併し、さいたま市が相次いで発足いたします。また、市町村合併について関係市町村が話し合う合併協議会を設置した地域は、予定も含めると、二月一日現在で二十地域で六十九市町村となっています。
 自治省は、昨年十一月に市町村合併の推進に係る今後の取り組みを決定し、一、新たな市町村の合併の推進についての指針の作成と都道府県における推進体制の整備、二、市町村合併についての住民投票制度の導入、三、市町村合併に対する新たな特別交付税措置、四、合併後の地域対策の促進、五、民間団体などとの連携による広報啓発活動の推進、六、平成十三年度予算及び税制改正の六項目を打ち出しました。さらに、昨年十二月に行政改革大綱が閣議決定され、与党行財政改革推進協議会における市町村合併後の自治体数を千を目標とする方針を踏まえて自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するとの決定を行いました。
 また総務省は、今年三月をめどに市町村合併協議会を円滑に運営するための手引書を作成し、住民投票制度の導入を盛り込んだ合併特例法の改正案を今国会に提出することになっております。総務省の原案では、一、住民発議による合併協議会の設置を議会が否決した場合に市町村長は住民投票を実施するか判断する、二、市町村長が住民投票を実施しない場合に住民が有権者の六分の一以上の署名を集めれば住民投票の実施を請求できる、三、住民投票で有効投票の過半数の賛成が得られたら協議会を設置する、四、協議会は合併の青写真になる計画を一年以内に作成するよう努めるなどとしております。総務省は、当初、住民の意向を合併の検討により強く反映させるため、住民投票の要件を十分の一以上の署名とする考えでしたが、これでは議会や首長の判断が軽く扱われるとして自治体から反対があったため、六分の一で決着いたしました。
 本県においては、本年一月に市町村合併推進要綱を作成し、一月末に県下の市町村長を対象に説明会を開催しました。さらに、新年度予算において市町村合併等の推進に二億二千四百六十四万円を計上し、市町村合併の機運を醸成するため、合併に関する総合的なアドバイスを行うとともに、市町村等が行う合併に向けての取り組みや広域的な連携事業を支援することになっております。
 今日、地方財政を取り巻く状況は極めて厳しく、国における地方交付税制度の見直しは本県の市町村に大きな影響を与えております。さらに国において、平成十三年度から郵便貯金の資金運用部への義務預託が廃止されるなどの新しい財政投融資制度が導入されました。このため、地方債の公的資金の仕組みが大きく変わり、自治体の事業執行に当たって良質な地方債資金の確保を図る必要が生じてきます。加えて、自治体の自主性を尊重するという趣旨から、地方債の許可制度から自治体が協議という手続を経れば国や都道府県の同意がなくても地方債を発行できる協議制度に平成十八年度から移行することになっております。もちろん、地方分権の推進に当たっては、国から地方への税源移譲が必要でありますが、地方自治体の財政基盤を確立し、新しい時代の行政需要にこたえていくためには市町村合併の積極的な推進がぜひとも必要であります。
 そこで、県は市町村合併の推進体制をどう整備され、県下の市町村合併の推進を今後どう支援していくか、知事にお尋ねいたします。
 次に、紀の川の水資源対策についてお尋ねいたします。
 昨年九月、和歌山市の源井水道局長は、市営水道の第五次拡張事業において、平成二十一年の市の人口を約四十四万五千人、一日最大給水量を約二十四万七千トンと想定していたが、人口を四十二万五千人と下方修正し、漏水対策などを講じることで現在の一日最大給水量二十三万一千トンの範囲でおさまると判断したと、水需要予測の変更を市議会で答弁いたしました。和歌山市は、平成九年十一月の第一回紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会の時点では、水が毎秒〇・四七六トン不足するとの予測で、県の保有する大滝ダム分から毎秒〇・二七六トンと紀伊丹生川ダム利水分毎秒三トンから毎秒〇・二〇トンを新規利水したいと要望してきました。しかし、今回の水需要予測の変更により、和歌山市は紀の川水系からの新規利水を必要としないことになったわけであります。
 さらに大阪府においても、本年一月に水需要予測を平成二十二年に一日最大給水量二百六十五万トンとしていましたが、二百五十三万トンに十二万トン下方修正しました。その理由は、平成三年に改定した大阪府の広域的水道整備計画は将来の人口増などから一日最大給水量については二百六十五万トンの確保を目標としていましたが、府営水道の給水実績が平成六年の二百十一万五千トンをピークに横ばい傾向が続いており、大阪府が今年度策定した新総合計画でも将来人口が減少する見通しを立てたため下方修正したとのことであります。
 大阪府営水道の水資源計画では、二百六十五万トンのうち淀川水系の水資源開発により二百四十万トンが確保できるとして、残る二十五万トンの開発を紀の川水系に求めてきました。紀の川水系から日量二十五万トンを給水するために必要な水利権として毎秒三・〇九トンを確保するとして、現在工事が進められている紀の川大堰から毎秒〇・二九トンの利水を確保し、残る毎秒二・八〇トンの利水を紀伊丹生川ダムに求めてきております。
 今回の大阪府における水需要予測の日量十二万トンの減少は、紀の川大堰が建設中で紀伊丹生川ダム利水開発分で調整されることになるため、和歌山市の見直し分も含めると、毎秒三トンの利水開発分が毎秒一・三二トンに半減することになります。
 こうした水需要予測の見直しは、平成十一年九月の第十二回紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会の意見書に、利水計画として、和歌山市及び大阪府は、社会経済情勢の変化に応じ、水需要予測について見直しも含め、さらに綿密な調査検討を行うなどの意見に沿って行われたものと考えられます。しかし、「地方財政」の一月号で、前自治省公営企業第二課長の池内眞一氏は、工業用水道事業の経常収支比率がダム等水源施設を有する事業が一〇六・二%に対して、ダム等水源施設を有しない事業は一〇九・六%と三・四ポイント上回っており、ダム等水源施設の有無が経営に大きな影響を与えていると、平成十一年度地方公営企業の決算状況の中で指摘しております。私は、今回の水需要の見直しは、公営企業の経営の健全化を図る目的でダム等に係る負担軽減のために行われたのが大阪府や和歌山市の本音ではないかと思われます。
 そこで、木村知事並びに企画部長にお尋ねいたします。
 一、和歌山県は平成十年三月に長期総合計画を策定し、同時に「和歌山の水」と題した冊子を作成しました。それによると、紀の川水系の水需給として、平成二十二年の水需要予測では、生活用水で毎秒〇・四五二トン不足し、工業用水では毎秒〇・四七五トン不足し、合わせて毎秒一トン弱の水が不足すると予測しております。一方、農業用水では相当量の余剰水が生じるとのことであります。本県の人口の減少傾向や経済成長率の変化により、水需要予測において本県も下方修正する必要があると思いますが、県は水需要予測をどう考えるのか。
 二、紀伊丹生川ダムの利水分毎秒三トンの開発に対して、大阪府及び和歌山市が水需要の見直しを行ったため毎秒一・六八トンの利水分が余ることになり、水資源開発の変更の必要が生じてきております。平成十一年九月のダム審の意見書では、本ダム事業は妥当との結論が出されていますが、知事は紀伊丹生川ダム建設事業に対して今後どう対応されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、企画部長にお尋ねいたします。
 県の保有する大滝ダムの利水分毎秒〇・四五トンについては、和歌山市と海南市の不足する水に充てるとしていました。和歌山市は新規利水は不要とのことであり、海南市は上水道事業の拡張に必要と伺っていますが、今後県はどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、家庭、地域が支える開かれた学校づくりについてお尋ねいたします。
 本年二月、串本町の田並小学校で、六年生八人が薩摩琵琶などの音色に乗せて宮沢賢治作品のひとり語りを全国各地で続けている女優の林洋子さんを招いて感動的な卒業記念の公演を行いました。この公演は、朝日新聞の「天声人語」で林さんの活動を知った六年生八人が、卒業記念にぜひ公演に来てくださいと林さんに手紙を送りました。子供たちに、やりたいことを実現するためには、自分で知恵を絞り、行動することを知ってほしいと思った林さんは、岩手県の小中学校では子供たち自身がチケットを売って費用をつくった例などを紹介した返事の手紙を出しました。林さんの手紙を読んだ子供たちは、担任の久保浩子先生に助けられながら、地域の人たちにチラシを配り、手づくりのチケットを売り歩くなど、夢を実現させようと頑張りました。このことが二月十六日付の朝日新聞「天声人語」に紹介された結果、全国から百件を超す手紙が寄せられ、六十万円を超えるカンパが集まりました。
 公演の冒頭、実行委員長の覚前美紀さんは、「知恵を絞り、労を惜しまずに行動することを林さんに教えてもらいました。思いを受けとめてくれる大人が周りにいることのすばらしさが今よくわかります」とあいさつしました。全校生徒三十八人の田並小学校の体育館に、生徒、保護者、地域住民四百人近い人が集まり、大成功の卒業記念行事となりました。学校と家庭と地域が協力し、公演を成功させた田並小学校六年生八人と担任の先生に心から拍手を送りたいと思います。
 今日、いじめ、不登校、学級崩壊など、単に学校教育のみならず、家庭、地域など、社会全体の教育力の衰弱が問題と指摘されております。社会全体の教育力の衰弱力をもたらす要因は、教育もしつけも学校任せにする学校依存的体質が家庭や地域の教育力を著しく低下させてきました。今こそ、教師を中軸に、地域社会も保護者も一体となって支える開かれた学校へ質的転換を図っていかねばならないと考えます。また国においては、昨年十二月にまとめられた教育改革国民会議報告でも、「新しい時代に新しい学校づくり」の中で、地域の信頼にこたえる学校づくりを提言しております。
 広島県教育委員会は、平成十二年五月に開かれた学校づくりを推進するために、「学校に新しい風」(保護者向け)と「学校の情報を発信するために」(学校向け)との二つのガイドラインを策定し、学校が積極的に授業や行事、情報等を公開するとともに、学校と家庭、地域社会が連携して教育を推進するよう取り組みを進めております。その具体的な取り組みとして、平成十二年十一月二十日(月)から二十六日(日)までの一週間、全県下一斉に学校開放週間を設け、「学校へ行こう週間」と名づけて、保護者のみならず地域の人々に来校や授業参観等を呼びかけました。広島県下の小学校、中学校、高等学校など千校で「学校へ行こう週間」が実施され、この期間の前後を含めた来校者は二十五万人を超え、多くの方々に学校教育に対する理解と協力を得るきっかけとなったと報告されております。また、広報活動を通じて広く県民に学校教育へ関心を高め、理解を得るため、Creative Learning Information Paperの頭文字をとった広報紙「くりっぷ」を発行しています。これが、広島県教育委員会が発行しております「くりっぷ」でございます。さらに、県教育長のホームページ「ホットライン教育ひろしま」を開設し、アクセス件数が八万件を突破したとの報告であります。
 高知県教育委員会では、土佐の教育改革の三本柱の一つに、学校、家庭、地域の連携による教育力の向上を挙げ、地域ぐるみで子供たちの教育を推進するための組織として、地域教育推進協議会を全市町村に設置しています。さらに、各学校内に子供たちや保護者、地域住民、学校関係者が集い、話し合う場として、開かれた学校づくり推進委員会を設定するよう働きかけております。また、子供たちにわかりやすく効果的な授業が行われるように、授業を改善する目的で授業評価システムを導入し、すべての小中県立学校で取り組みが進められております。この評価システムは、授業する教師、授業を受ける子供、参観者がそれぞれ授業を評価する新しい試みがなされています。
 本県では、今春、県民の期待を担って野球部が甲子園出場する県立南部高等学校において、「地域に根差した学校へ」を目標に、学校、PTA、地域の三者が知恵を出し合い、学校のあり方を目指す「明日の南高を語る会」を平成六年から毎年一回開催してきております。第七回目の今年は、新たに設けられた学校評議員も含め約六十人が出席し、「学校への提言」をテーマに意見交換が行われ、「南部高校は地域のリーダーになってもらいたい」、「あらゆる分野に人材を輩出できる学校に」、「先生の派遣など地元中学校との交流を」などの提案があり、有意義な会議となったと伺っております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、昨年六月に制度化された学校評議員の本県各学校における設置状況はどうか。
 二、開かれた学校づくりを推進するためのガイドラインの設定や学校公開、さらに授業評価システムの導入など、本県における開かれた学校づくりをどう推進するのか。
 三、広島県教育委員会の広報紙「くりっぷ」や教育長のホームページ「ホットライン教育ひろしま」などで県民に広く教育情報を発信し、県民の意見をいただいております。本県における広報活動はどう推進しているのか。
 以上三点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 初めに、本県の将来ビジョンについてお答えを申し上げます。
 国、地方とも多額の累積債務を抱えている状況から、国においては景気回復のめどがつき次第、財政構造改革に取り組むこととされており、地方交付税や国庫補助金のあり方についても、より踏み込んだ議論がなされることが予想されるところでございます。こうした状況を踏まえ、本県におきましても、一刻も早く地域の特性を生かしながら自立型経済構造への転換を図ることが重要であり、産業の活性化による自主財源の涵養を図りつつ、県の身の丈に合った財政運営を進め、限られた財源を時代の潮流にマッチした施策にシフトすることが重要であると考えております。このような基本的な認識に立ちつつ、二十一世紀の和歌山をどのような姿にしていくのか、戦略的な方向を明らかにする新しいビジョンを十三年度中にも策定してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、平成十三年度におきましては、行政需要の質的変化に対応し、新しい施策を展開するための思い切った機構改革と職員配置を検討しているところでございます。組織上は、喫緊の行政課題に迅速かつ的確に対応するため、幾つかの局の設置を考えております。具体的には、行政及び地域のIT化を推進するIT推進局、男女共生社会の推進やNPOとの連携を促進する共生推進局、USJや海外からの観光客誘致などを行い、観光施策の思い切った展開を図る観光局、そして港湾及び南紀白浜空港の利用を促進する港湾空港振興局の四局を設置していきたいと考えております。また、政策推進機能を強化するほか、防災体制を強化するための防災監の設置や人権教育啓発に向けた体制の強化など、多方面にわたる検討を進めているところでございます。
 次に、風通しのよい県庁づくりについてでございますが、活気に満ちた新しい和歌山県を創造していくためには、県政の構造改革を推進し、若手職員のアイデアを生かせる組織とするとともに、新たな施策を実行できる人材育成が重要でございます。県政の課題をテーマに直接若手職員や中堅職員と話し合うYY会議とかMM会議の開催等を通して職員の政策提言を積極的に取り入れるとともに、来年度初めて他府県との人事交流を行うなど職員の資質向上に努め、県庁組織の改革を目指してまいりたいと考えております。
 次に、地方分権の進展、高度化、多様化する行政需要、国、地方を通じた厳しい財政状況など、昨今の時代の潮流を考えますと、自主的な市町村合併を推進し、行財政基盤の充実強化を図ることが大変重要な課題であると考えております。
 国におきましては、昨年十二月の行政改革大綱の決定や合併特例法の改正による住民投票制度の導入など、市町村合併に、より一層積極的に推進することとしているところでございます。
 このような状況を踏まえて、和歌山県といたしましても、市町村合併推進要綱の策定などを通してこれまでも必要な助言や情報の提供などに努めてきたところでございますが、来年度におきましては、合併の推進に向けた組織を整備いたしますとともに、合併アドバイザーの派遣、シンポジウムの開催などを内容とする合併総合アドバイスシステムや複数の市町村が合併に向けて連携して行うソフト事業、ハード事業に対する補助制度を全国に先駆けて創設するなど、市町村の合併に向けた取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に紀の川流域の水需要予測につきましては、県の長期総合計画のフレームを使用して算定したところでございますけれども、現状は当時想定した人口や経済成長率に比して低位に推移しているところでございます。水需要予測は水源確保の基礎資料となるものであり、水需要も予測に対し少なく推移していることから、実態に即したものに改める必要があると考えております。
 次に紀伊丹生川ダムの建設につきましては、現在、事業主体である国土交通省近畿地方整備局が河川法に基づく河川整備計画を策定し、その中で紀伊丹生川ダムの計画も位置づけるべく取り組んでいるところでございます。また、この河川整備計画の策定に当たっては、広く意見を聞くため紀の川流域委員会を設置すると聞いているところでございます。今後、和歌山市、大阪府の水道計画が確定してまいりますと、これを踏まえてダム利水計画の見直しもあるものと認識しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 出納長大平勝之君。
  〔大平勝之君、登壇〕
○出納長(大平勝之君) ペイオフ解禁に向けての対応についてお答え申し上げます。
 ペイオフ解禁後の地方公共団体の公金保護につきましては、従前から全国知事会及び全国出納長会を通じて旧自治省初め関係当局に要望を行ってきたところでありますが、現行の預金保険法のもとでは公金預金の保護についても個人の保護と同様となってございます。このような中、公金預金の保護や資金運用の安全性を高めるための対応につきましては、総務省内においてこの三月をめどに検討されており、地方公共団体においてもこれらの対応策を共同で研究している状況であります。
 また、公金預金の管理、運用に関して、自己責任が前提となることから、金融機関の開示情報やシンクタンク等による分析を参考に、金融機関の経営状況を平素から把握し、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、事務事業評価の実施結果と今後の推進、並びにバランスシートの評価と活用についてお答え申し上げます。
 初めに、平成十二年度に本格導入いたしました事務事業評価システムについてでございますが、成果主義等の観点から、平成十二年度当初予算に計上されました各事業について評価を実施いたしました。この結果、評価対象千七百五十事業のうち約三割について廃止及び改善を行うなど、導入初年度として一定の成果を上げることができたものと考えております。しかしながら、事務事業の見直しは緒についたところでございまして、今後とも不断の見直しを続けてまいるとともに、公表結果に対する県民の皆様方からのご意見なども参考にしながら評価システムの充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、今回、国のマニュアルに基づき作成し公表したバランスシートについてでございます。
 これによりまして、これまで数値化できなかった資産等のストックの状況が明らかになるなど、今までとは異なる観点から本県の財政状況を分析する手法として有意義なものであると考えております。しかし、ご指摘もございましたように、バランスシートによる財政分析については課題や一定の限界があるのも事実でございまして、現在国においても引き続き検討がなされているところでございます。本県といたしましては、その検討状況も踏まえながら、今後の財政運営に生かすべく、さらに工夫を重ねてまいりたいと考えております。
 続きまして、定員管理計画や給与等の適正化、職員の新規採用についてのご質問にお答えいたします。
 まず定員管理計画におきましては、平成十五年度末までに約百名の職員定数を削減することとしており、今議会に三十名の定数削減案を上程しているところでございます。今後とも、事務事業の整理合理化等により計画的に定数を削減し、目標を達成してまいりたいと考えております。
 また給与等の適正化の推進につきましても、財政運営プログラムIIなどにお示しいたしましたとおり、社会経済情勢の変化等を踏まえ、今後ともより一層の適正化を進めてまいりたいと考えております。
 次に、再任用制度を踏まえた新規採用についてでございます。
 新しい再任用制度は、高齢者の知識や経験の活用と年金制度との連携を目的に平成十四年四月から実施されることとなっております。制度の細部については現在検討中であり、限られた職域の中でどの程度の希望があるのか現在調査をしている状況でございます。定員管理計画による定数削減とあわせ、従来のように退職者数に見合った新規採用をすることは困難ではございますが、職場の活性化を図り、組織力を低下させないためにも適正な規模の新規採用者数を確保してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 紀の川ブロックの水需要予測についてお答えいたします。
 議員ご指摘の冊子「和歌山の水」で説明している紀の川流域の水需要予測については、知事からもお答えしましたように、県の長期総合計画の策定にあわせて流域全体を対象として算定し、水源確保の基礎資料としているものでございます。水需要予測では、生活用水及び工業用水は微増、農業用水は減少すると算定しておりましたが、現状では生活用水、工業用水において予測値に比して低位で推移しております。今後、社会経済状況の動向や水使用実績の推移を踏まえて、紀の川流域の水需要予測の見直しを行うとともに、実態に即した効率的な水資源確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県保有の大滝ダムの利水分への対応でございます。
 現在、県が大滝ダムに予定しているダム使用権については、従前から和歌山市、海南市の要請に基づき、両市に譲渡することで関係省庁との協議を進めてきましたが、議員ご指摘のように、現在、和歌山市の水道計画については厚生労働省と協議中で確定していないこともあって、県からの譲渡は必要ないとの公式な申し出はありませんが、市議会答弁や水道計画の説明から判断して、新たな水源は求めない考えと思われます。和歌山市へ譲渡を予定していた大滝ダム分については、他の流域市町の将来水道計画策定の動向も見ながら幅広く検討してまいりたいと考えております。また海南市の利水分につきましては、今後とも引き続き関係部局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 家庭、地域が支える開かれた学校づくりについてお答えいたします。
 初めに学校評議員の設置状況についてでありますが、県立高等学校では既に七校において評議員を委嘱し、具体的な活動が始まっております。また小中学校においても、これまでにほとんどの市町村で学校管理規則を改正し、設置要綱を定めております。新年度からは、多くの小中県立学校においてこの評議員制がスタートするものと考えられます。
 次に、開かれた学校づくりの推進についてであります。保護者や地域に対して学校行事や授業を開放していくことは、地域の理解と信頼を得るとともに、学校運営の改善、充実を図る上から極めて重要であります。このため、各学校では授業参観を日曜日に実施したり、一定期間保護者に学校を開放し、いつでも授業や学校運営の状況を見てもらうようにするなど、開かれた学校づくりに努めているところであります。また、多くの学校で各教科の授業や特別活動、総合的な学習の時間等を活用して地域の人々が子供たちを直接指導したり、子供たちが福祉施設やさまざまな事業所等を訪問して交流、学習するなど、多面的な教育活動を進めています。こうした取り組みは、学校を軸とした社会全体の教育力向上につながるものであることから、一層積極的に学校を保護者や地域に開くとともに、学校に関するさまざまな情報を発信し、理解と協力を得ることにより学校教育の充実を図ってまいります。
 今後は、議員ご指摘の開かれた学校づくりのためのガイドラインや授業を含めた学校の教育活動に対する評価のあり方等についても研究してまいりたいと考えております。
 次に広報活動の推進についてでありますが、現在、県域テレビ番組「はばたく紀の国」やラジオ番組「定期便教育の窓」を放送するとともに、新しい学習指導要領の趣旨を周知するためのパンフレットを十三万部発行するなど、県民の皆様に幅広く情報を提供しております。またインターネットに関しては、県のホームページや和歌山県学習情報提供システム等を通じ、さまざまな教育情報を発信しております。今後は、ホームページを利用する広報活動がより一層有効となることから、教育委員会においてホームページの情報を多様化し、体系的に発信するための検討を始めており、早期に内容の充実を図ってまいります。
 次に、教職員の定員管理計画及び給与等の適正化についてでございます。
 平成十三年度は前年度比で百十二人の減少となりますが、今後の児童生徒数の推移とともに、新たな国の教職員定数改善計画等を勘案し、適正な管理計画となるよう努めてまいりたいと考えております。また、県の財政事情を考慮し、学校の管理職等の給料月額を減じることにより歳出削減を行ったところであります。これは時限的、緊急避難的措置でありますが、財政健全化に寄与できるものと考えております。
 最後に、平成十四年度の教職員の新規採用予定人員につきましてはは、教職員定数の推移、退職者数の状況に加え、定数改善計画や再任用に係る希望状況等を踏まえながら必要な人員を検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十五番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま、知事並びに関係部長の皆さんからご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 三点、要望させていただきます。
 まず第一点目でございますが、先ほど知事から、本年度中に本県の将来ビジョンを策定すると答弁がございました。財政状況が非常に厳しく、国の地方財政に係る制度改革というのが今後急激に展開されてくるのではないかということを踏まえると、知事が答弁されたとおり身の丈に合った財政規模、今の財政規模よりも縮小した形の予算規模にならざるを得ないのかなということが想定されるわけでございますが、その中にあって和歌山の特性を生かした和歌山県づくりということで、例えば和歌山県の梅にいたしましても、江戸時代に安藤さんという家老が、日高方面の非常に荒れてやせた土地でもつくれる作物ということで梅の栽培を奨励して、その後、先人の皆さんの知恵と努力で今日の和歌山県の梅産業が成り立っております。また、それと同じようにミカンにおいても、先人の皆さんの努力で今日の基盤ができておる。これはいずれの産業においても言えることでございますし、また和歌山の歴史、文化を考えても、いかに和歌山の特性というものを生かした形で和歌山の発展を考えるかということをまずベースに置いてほしいと思うわけでございます。その上に立って、現今の流通革命と言われるように、丸正が倒産をするとか、本県の伝統的と言われるいろんな企業がここ十年来の間に倒産をしていって、我々議員にとって大変残念な思いがする昨今でございますが、こういった時代背景を転換するためにどのようにやっていくのかということを踏まえ、また加太の土取り跡地の利用等も含めたビジョンをぜひ作成していただきたいことを要望いたしておきます。
 二点目に、紀の川の水資源の開発についてでございます。
 紀伊丹生川ダムの建設事業に関しましては、そもそも大前提として大阪府と和歌山県がこの協定を結びまして、およそ三トンの水を大阪府に分水する──これは先輩県会議員の皆さんがこの議場においても大変議論をされて、大阪府、和歌山県の両知事のもとに協定が結ばれてきた経緯がございます。そういった中で、今日、時代の変化によりまして地元の和歌山市、大阪府の議会で水需要の新規利水の変更について意見が交わされているところでございます。そういったことから考えますと、事業主体はあくまでも国土交通省でございますが、木村知事の判断には大きなものがあると思いますので、今後大阪府、和歌山市とも十分意見を聴取し、あわせて流域市町村の水需要を的確にご判断いただいて、紀伊丹生川ダムの規模を含めた建設のあり方等を検討していただきたいことを要望いたしておきます。
 最後に教育委員会でございますが、開かれた学校づくりというのは、家庭、地域の教育力を向上させるということでは大変重要な課題でございます。国においても、教育改革の中で提言がなされておるところでございます。教育現場の情報を公開していく、情報公開という視点に立って教育の活性化を図っていくと、こういった意味でぜひ推進をしていただきたいと思います。
 そこで、学校とともに教育委員会自身ももっと情報を公開するという意味で、先ほどお話ししましたように、県当局の財政の方とも協議をしていただいて、「県民の友」のような教育委員会独自の広報紙等も作成していけるようにしていただきたい。新学習指導要領を県民に説明するためのパンフレットを十三万部作成されるということで大変喜ばしいことでございますが、こういったものも今後検討していっていただいて、また教育長のホームページ等もすばらしいものに改善をしていただき、教育委員会がどういう方向で和歌山県の教育を考えているのかということを県民にわかりやすく知らせていくことによって、県民にさらに教育の関心を持っていただけるようにご努力をお願いいたしまして、再質問とさせていただきます。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十八分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十五番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 指名をいただきましたので、質疑並びに一般質問をさせていただきます。
 まず、IT施策に関連をしてお尋ねいたします。
 知事にあっては、その就任以来、IT施策に大きな情熱をかけていることをしばしば表明され、IT先進県のスローガンのもとにさまざまな施策を講じようとされております。来年度の予算案もITが最大の目玉として位置づけられており、和歌山県経済の発展から県民生活の向上に資するということに至るまでの施策を展開しようとされているところでありますが、特に県経済との関係でどのような成果を期待されるのか、お聞きしたいと思います。
 かつて、和歌山県の経済対策は重厚長大の巨大企業への依存をもってその柱としておりました。時代はその策を過去のものとし、県経済は大きな低迷に見舞われました。その後、バブルに乗って、リゾート産業こそ県勢浮上の切り札としてその推進を図りました。しかし、結果はご承知のとおりであります。現在の県勢の落ち込みのすべてが県行政のせいとするものではありませんが、その責任は決して小さいものではないと思います。
 木村県政が国の施策に依拠して一挙に和歌山のIT革命を図りたいとしている姿を本予算案で見ることができますし、商工労働部で発行された「きのくに産業白書」を見ても、県産業界のIT化のおくれは目につき、その格差を取り戻すための施策の重要さは感じるものであります。しかし、県経済の活性化はIT革命をもってのみででき得るものではありません。農山村の若者のいなくなった深刻な過疎の問題、都市部の足腰の弱った中小企業、それらを取り巻く産業構造の問題、IT革命は進めなければならないが、それだけでは到底片がつかない問題が山積をいたしております。ここ二年ほどの切り札だったベンチャー支援策等も必ずしも期待どおりの成果を生んでおりませんし、従来の県政の不十分さは中小零細企業の実態把握の弱さからくる具体的施策への対応の不十分さだったと思います。
 木村県政にあっては、単にIT施策の推進だけではなく、県の産業の九〇%以上を占める中小零細企業の実態を綿密に掌握し、その可能性についての方向をさまざまな角度から検討し、援助することが必要であろうと思われます。IT革命への援助とともにそういう調査研究施策の具体策も必要であろうかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 ITに関係して二番目の問題は、IT総合センターの整備として概算事業費七十億円、来年度予算案十一億五千万円が計上されております。ビッグプロジェクトと考えていい大規模なものになっておりますが、現時点でこのような施設をつくることが本当に必要なことなのかどうか。ITの教育機関であれば、県民が集いやすいように地方的に対策される方がよほどその効果を上げることができると思われますし、高度な教育機関を設けるとあらば、その内容も明らかにし、和歌山県としてどのような機関をどのように進めていくのか。七十億円の積算も実に大ざっぱで、備品購入計画なども十億円も上げておけばまあいいだろうという感じであります。リサーチラボというような機関もあることです。七十億円もの事業費ですから、少なくとも年間どの程度の技能者をどの程度養成するのか等も掲げて提起すべきであろうと思います。費用対効果も提示してしかるべきではないでしょうか。日進月歩のIT状況です。後日、金だけを食うような大規模施設など不必要だったということにもなりかねません。いましばし検討の期間を持って臨まれるのがよいかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、ビッグプロジェクトの一つ、紀淡海峡ルート建設のために幾つかの項目で予算が計上されておりますが、その必要性、現実性から言っても見直すべきではないかと考えます。本州─四国を結ぶ道路は、既に三本もできております。それができたことによってある種の利便性が生まれたことは事実でしょうが、それは前宣伝をはるかに下回るものであり、期待を裏切るものでした。そして、公団の莫大な借金と、その返済のための自治体負担の問題が後を絶ちません。
 紀淡ルート建設について言えば、昨年も幾つかのキャンペーンも行われましたが、一部の限られた方々のイベントに終わっております。和歌山県にいかなるメリットがあるのかも、依然として抽象的で不明です。平成十一年の紀淡海峡ルート促進講演会で、演者の吉田巌さんという方がこんなことを言っていました。「徳島県と和歌山県、少し伸ばして大阪まででもいいんですけれども、そういう中での交通・経済活動──現状が幾らだ、そしてこれを年々伸ばしていったら十年先にはこのぐらいになるぞという経済活動、交通活動の絵がかけなければならない。それがないと、幾ら橋の話をしても日本全体が納得するような話にはならない」と言っております。促進会議で語られるほど、実はそのごく素朴な絵がまだ描けていないのが現実です。本当に必要かどうかもわからない、あったらいいに違いないというムードだけです。そういう水準で紀淡連絡道を行政として求めるというのは、責任ある態度とは言えないと思います。
 関空の建設のときも、空港ができたら和歌山がどんなによくなるのか、ただただ夢が語られましたが、現実は厳しいものです。公共事業の過大な投資が言われておりますが、この事業もまさにその一部分であろうかと思われます。紀淡海峡ルート建設促進運動は見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、財政運営プログラムに関連して県債についてお尋ねをいたします。さきの質問者が同じ問題を取り上げておりますので、重複するかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。
 県債残高が十三年度末も依然として増加が予測される問題についてです。県財政の健全化のために財政運営プログラムに沿って努力をされているところですが、この財政の悪化は主として国の公共事業偏重の政策に起因すると、私は指摘し続けてまいりました。しかし、地方の努力にまた水を差すような施策が国の方でとられたことに、まことに遺憾の思いをいたすところであります。
 地方交付税の財源不足を口実に交付税を削減し、それにかえて地方として独自に臨時財政対策債を発行させ、県としても百十九億円をプラスした五百八十億円の県債発行となっています。努力のあかしとして臨時財政対策債がなければ県債は七十五億円減ったはずだと説明されておりますが、結果は結局、四十四億円の増となっております。そのあおりで十三年度末の県債残高見込みも六千四百七十七億円となり、十二年度より減らすつもりがプラス二十三億円となってしまいました。この臨時対策債は元利とも後に交付税措置がされるということですが、それをもって県財政に悪影響を与えないと言うことはできません。現在の県債残高の膨張とそれに起因する財政の硬直化は、後に交付税措置をするからという国の言葉によって地方債を能力以上に発行してきたところに問題がありました。このような措置が今後も続けば、地方はまさに破産してしまいます。挙げて国の責任ではありますが、これによる県財政への影響をどのように考えておられますか。
 次に、人権施策に関連してお尋ねをいたします。
 従来より私は、和歌山県の人権問題の取り上げ方が「同和問題を柱にして」とか「同和問題を中心にして」とかいう形で取り上げられることに対して異論を唱えてまいりました。来年度の予算案には人権問題に関する予算が大幅にふえていますので、どのような姿勢でこの課題に対応しようとしているのか、いま一度改めてお尋ねをいたします。
 人権を論ずるなら、真に人権を全面的に重んじる姿勢を求めたいと思うものであります。人権とは、文字どおり、すべての人が人として持っている権利です。それは、基本的人権を中心にして時代とともに広く発展してまいりました。そして何よりも、国家権力に対する個人、資本に対する個人との関係の中で、人権の意味はその内容を豊かにしてまいりました。
 人権とは、単に差別の問題だけではありません。人権を差別の視点だけから見ると、それは矮小化されます。人権を差別のみに焦点を当て、国民の差別意識の問題として教育啓発が行われるならば、人権問題を県民に正しく啓発するどころか、人権概念を誤らせるものとなりかねません。当局にあっては、人権啓発事業においては、日本国憲法にのっとり、人権を幅広くとらえ、同和問題を柱にするとか中心にするとかという施策から脱却されることを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 予算案には、人権センターの設置として約四千六百万円が計上されております。人権センターで何をするのか、従来の施策よりどれほどの仕事がふえるのか、ほとんどわからないままにセンター設置が先行しております。何人の人がそこに配置されるのかもわからないのが現状です。わかっているのは、二百八十平方メートルという大きな部屋の面積だけです。人権問題の取り扱いは、その基本となる理念や施策の内容が重要です。まずセンターありきではないはずです。さまざまな議論のあるところです。再検討すべきだと思いますが、いかがお考えになっておられますか。
 同和対策について、お尋ねをいたします。
 同和対策の特別措置は、本年で最終年度を迎えました。部落差別をなくすというこの国家的事業、国民的事業は、日本の歴史に残る大事業として多大の成果を上げてまいりました。しかし同時に、その事業の進行に伴ってさまざまな問題が派生してきたのも事実だと思います。私はその否定的と思える側面を幾度となく指摘し、もはや同和対策は必要でなくなったとして、最小必要部分以外は中止をされたいと求めてまいりました。今回提出された予算案は依然として従来の施策の漫然とした踏襲であるとの印象を免れないところであり、この点での再考を求めるところであります。
 いずれにしろ、法としては来年度が最終年度であります。総務省地域改善対策室はこの一月二十六日に、都道府県に対して「今後の同和行政について」という文書を通達しています。それによると、三つの理由を挙げて特別対策が必要でないことを述べています。一つは同和地区を取り巻く環境が大きく変化したということ、次に特別対策をなお続けていくことは差別解消に必ずしも有効でないということ、そしてさらに、人口移動が激しい中で同和地区、同和関係者に対象を限定した施策を続けることは事実上困難であると、三つの点を指摘しているところであります。
 この状況は、法期限後の再来年度から当てはまるということではなく、当然来年度も状況的には同じだと思いますが、それはさておき、本県としても県単独事業も含め、同和対策の事業は終了されるべきだと思いますが、いかがですか。また、それに関連して設置されている同和室も、その歴史的任務を終了されたと思われるところから廃止をされ、同和委員会への委託事業なども中止されるべきだと思いますが、どのようなお考えでおられますか。
 続いて、西防沖埋立地のダイオキシン対策についてお尋ねをいたします。
 関西電力の発電所建設予定地から、最高で環境基準の最高値の十八倍に当たる一万八千ピコグラムのダイオキシンが検出されました。このままで建設を進めると大変な事態になるという世論の前に関電はそれなりの対応を始めているところですが、その対応が適切かどうか、行政として的確に指導監督する責任があります。
 ところで、関西電力が調査した地点というのは施設建設のため掘削する部分だけであります。未調査の部分が多く残されております。例えばタンクの設置場所などですが、このような大規模な施設建設に当たっては、当然掘削地だけではなく、その周囲をも調査する必要があろうかと思います。いかがお考えですか。
 また、海にダイオキシン類が浸透していないか、地震等でその危険は増幅されないか等の疑問もわいております。周辺海域の調査はぜひとも必要だと思います。県として関西電力にその調査を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 また、発電所建設に伴い百五十万立方メートルの土砂が掘削されます。当然ダイオキシンの飛散が考えられ、作業員はもとより周辺住民に悪影響を与える危険もあります。関電は土砂に散水することでそれが防止できるとしているようですが、果たしてそれで十分なのか、当局はどう考えていますか。
 さらに、今後の工事の進捗に従い県として定期的な調査をすべきだと思いますが、いかがですか。産廃の埋立地に大規模な工場を建設するというのは、日本には例のないことだそうであります。そういう意味もあり、この地はダイオキシン類対策特別措置法に言う汚染対策地域として対策するのが妥当と考えます。少なくともその精神で厳しく対応すべきだと考えるところであります。ダイオキシンは想像を絶した危険をはらんで、今まで予期しなかったような害毒を及ぼします。その危険性のすべてが解明されているわけではありません。疑わしきはまず調査する、これが行政当局の立場だと思いますが、そういう立場で以上の問題にお答えをください。
 さて、第三工区の問題に移ります。
 この地には、県として衛生公害研究所の機能を果たす施設や環境学習センター、そのほか県民の憩いの場をつくるなどの構想がなされています。この第三工区も大量の産廃が投入され、一説には、第二工区よりもその量は多いとも言われています。ここにもダイオキシンが大量に存在しているであろうことは、容易に推測されるところであります。県として直ちに調査を開始すべきだと考えますが、いかがですか。
 第二工区の問題もあって、県民の間に、県はどうする気だろうという疑問や不安が広がってきています。大阪市は埋立地・舞洲を相当綿密に調査をし、オリンピック施策の見直しをいたしました。できるだけ早く調査し、その結果を公表し、ダイオキシン汚染が認められれば、当然のことですが、その適切な対策とともに従来の構想そのものを見直すことを含めた対応が必要であろうかと思いますが、いかがお考えですか。
 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 まず最初に、森総理の私的諮問機関・教育改革国民会議の報告に教育基本法の改定や奉仕活動の義務化などが触れられていることに関連して、教育長の所見をお聞きしたいと思います。
 まず教育基本法についてですが、これについて報告は政府においても教育基本法の見直しに取り組むことが重要であるとされており、文部科学省は、森総理大臣の強い指示があったとして、近く中央教育審議会に諮問をしたいと述べています。
 教育基本法は、戦後、憲法の理想を実現するためには教育こそが重要であると、国民をその担い手たるべく育成する基本法として大きな役割を果たしてまいりましたし、現在もその意義を立派に持っている法律であります。今回の報告は、教育基本法の何がよかったのか、何が悪かったのかの検討は全くしないままに、制定から五十年以上もたった、時代が変わったのだからというだけでその改定を提起しております。そして、日本の伝統と文化あるいは宗教に関する教育の重要性などを法の中に記述すべきとか、幾つかの具体的な項目を挙げたりはしておりますが、それらは教育基本法の改定をしなくとも十分に対応できる事柄ばかりであります。憲法を国民の育成の側面から支えている教育基本法の改定を、今なぜ提起されてきたのか。私は、その声が憲法改正の声と並行して出てきたことに特に憂慮を感ずるものであります。教育基本法を明確な根拠もないままに改定を図るのではなく、教育基本法の理想を実現する方向で現在の教育を豊かにすることこそが重要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。
 また、一部には現在の教育困難の諸問題の源を教育基本法に求める説もありますが、明らかな誤りであろうと思います。いかがお考えですか。
 また、国民会議の報告は、学校教育の一環として奉仕活動を義務づけ、小学校、中学校では二週間、高校では一カ月間、共同生活で奉仕活動を行うとして、十八歳以上のすべての国民に一定期間奉仕活動を行うことを検討されたいとしています。
 ところで、十八歳以上の青年に一定期間奉仕活動を義務づけると聞けば、ある年齢層の方々は徴兵制度を連想された方もおられると思います。その提案はそのくらい時代錯誤のにおいを伴ったものでした。憲法十八条が「犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」とあり、奉仕活動の義務化という言葉をその憲法の条文によって外さざるを得なかったそうでありますが、この趣旨でいけばさまざまな意に反した労働も国民にかけられそうで、何とも疎ましい気がいたします。
 学校での奉仕活動についても、奉仕そのものが学校の中で「教育」という名で義務化されようとしているわけですが、これにも大きな問題があります。大体、義務化された奉仕というものがあり得るのかということです。奉仕とは自発性によって支えられるものです。私は、学校教育の中で生徒たちがさまざまな生活に触れ、労働に触れることによって体験を通して認識を豊かにすることはぜひとも必要であると考えております。子供の時代でも大人になってからでも、自発的な奉仕活動に参加できるようになるよう、その機運をつくることは大切なことだとも思っています。しかし、それはあくまでも自発性の涵養ということであって、義務として奉仕活動をさせるということでは、決して子供の自発的な奉仕活動への意欲を生み出すものではないと思います。しかも十八歳からの奉仕活動にそれが連動されるとなると、大きな危惧を感じざるを得ません。
 日本ペンクラブの会長・梅原猛さんは会長として声明を発表されまして、基本法の改定で憲法の外堀が埋められると反対するとともに、奉仕活動には将来の徴兵制への地ならしの疑惑を否定できないと、反対の意思を表明され、多くの共感を呼んだところであります。国民会議が提起した奉仕活動について、教育長の考えを示してください。
 次に、学力問題、勉強嫌いの問題についてお尋ねをいたします。
 最近、国際教育到達度評価学会の結果発表があり、日本の子供たちは試験の成績はよいが勉強は嫌いだというレポートが出されておりました。ちなみに、調査対象国のうち日本の子供は、数学の成績は五番だったが、嫌い、大嫌いと答えたのが五二%もおり、嫌いという率が多いのは世界でもトップクラスだったということです。理科についてもほぼ同様の傾向を見せたとあります。また文部省の調査では、半数近くの子供が教えられることがよくわからないといった結果が出ています。また一方、分数のわからない大学生が珍しくないといった現象が生まれているそうであります。一体、学校教育はどうなっているのか、そんな声が各界から上がっています。学力、学ぶ力が落ちてきているということが、だんだん鮮明になってまいりました。
 授業がわからない、ここに今の教育の最大の問題があるようです。子供の生活の大半は授業です。その授業中ずっとわからないまま座っていたら、どんなに苦痛なことでしょうか。こんな中では本来の学力はついてまいりません。人間にとって、知識を得るということは喜びです。ならば、本来授業は楽しいはずのものです。ところが、知的好奇心に満ちた子供たちが逆に人間としての誇りを奪われるに等しい、わからないという苦しさに置かれていることになります。
 もちろん、現在の学校教育をすべて灰色に認識しているわけではありません。そんな中でも、子供たちは授業の中に楽しみを求め、友達との交遊の中に喜びを見出している姿を見ることができます。しかし、学校で勉強が嫌い、わからない子が半分近い、あるいは半分以上というのは余りにも致命的であります。従来の教育の詰め込み主義、エリート育成主義、わからない者も個性として放置されるなどという受験に強い子供をつくる教育が指導要領の中に貫かれ、このような結果につながったろうと私は思います。
 国連の教育にかかわる日本政府への勧告というのが一九九八年に出されました。その一節に「日本に存在する高度に競争的な教育制度、並びにそれが結果的に児童の身体的及び精神的健康に与える否定的な影響にかんがみ」として幾つかの勧告がなされたわけですが、それを見たとき、いささか評価が厳し過ぎるのではないかと私は思いましたが、どうやらまさに核心をついた指摘だったとの思いを最近新たにしています。勉強嫌い、その同義語としての学力の低下、学級崩壊あるいは学校崩壊、総じて学校の荒れと称される現象の根源の一つもここに大きくあると思われます。
 子供たちはわかる権利があり、教育はわからせる義務があります。その義務が果たされていない、そういった現状ではないでしょうか。「衣食足りて礼節を知る」という言葉がありますが、子供たちにとっては授業がわかってこそ友情も本物になろうというものです。教えるべきことを精選し、基礎的なことは時間をかけてじっくりと教える、そんな教育がベースになければならないと考えます。従来の教育の何が問題であったのか、根本的に問題が提起されています。そういう立場から見れば、数々の問題を含んだ新しい指導要領を前にそれをどう考えていくのか。管理主義を排し、学校や教員の主体性を生かすことを大前提に、教育委員会の精魂込めた努力が求められるところであります。和歌山の子供たちはみんな勉強が好きだという状況をつくるため、教育委員会は努力を惜しんではならないと思います。どのような方向を持っておられるのか、お示しください。
 同時に、子供たちにゆとりを持って接することができるように教員をふやさなければなりません。私たちは三十人学級を従来より求めてまいりましたが、いまだその方向は出てまいりません。ただ今回、国の方で教師の総枠を減らさないという第七次定数改善計画が出されてまいりました。目下審議されているところだと聞きますが、その計画に習熟度別学級編制というような賛成しかねる制度も伏線としてあります。無条件で歓迎というわけではありませんが、教員を減らさないという点においては大いに地方としては活用されるべきだと思います。
 ところで、来年度の県の教員定数はまたまた百十二人も削減ということになっています。国全体としては減らさないのに和歌山県は減る、納得のいかない現象であります。子供の減少に伴い現行法で教員が大きく減らされるところでは、大きく増員を要求すべきです。この調子でいけば、何年か後には他府県との間にも大きな格差が生じるのではないかと懸念をいたします。この際、教育委員会としては大幅な教員増を計画し、財政運営プログラムの五百人削減は見直すよう努めるべきだと思います。教員定数をふやすためにどのような取り組みをされていますか、お答えください。
 また、小学校一年生とか中学校三年生とか、特段に指導の密度が求められるところでは、高知や香川、秋田のような県独自の教員増を図ることも肝要かと思いますが、いかがでしょうか。
 教育関係で、最後に図書館教育についてお尋ねをいたします。
 昨年は、国会決議で「子ども読書年」と定められていました。子供の読書離れが進行し、いろんな意味で憂慮されているところですから、このような年度を設定するのも大人の努力期間として、ある意味では有効かと思います。読書の環境を充実し、読書の喜びを子供たちに与えるため県としてはどのような努力をされてどのような成果を上げられたとお考えですか、お示しください。
 ところで、平成五年から五年間で学校図書館の蔵書を一・五倍にする施策が国の方でとられました。それが交付税として措置されたため、図書に回らずほかに消費されないようにと、私はそれを願ってここで質問したことがありますが、いかなる成果をおさめられたでしょうか。学校図書標準に照らしてそれを達成している学校は、和歌山県では小学校が二一・九%、中学校が一二・一%と聞きますが、この低い数字をどう評価されますか。県として年次計画を制定し、市町村とともに努力されるべきではないでしょうか。また、読書指導に専任司書教諭、図書館司書の配置を求めてきたところですが、現実は極めて厳しいようであります。一律に設置とは言いませんが、試行的にでも考えてみることが必要ではないでしょうか。ボランティアの導入なども検討に値すると思いますが、県教委としてのその意思はありませんか、お尋ねをして、第一質問を終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、ITと県経済ということでございます。
 我が県の中小企業を取り巻く環境は、長期化する不況に加え、消費者ニーズの多様化や海外との競争の激化等、極めて厳しい状況にございます。このような状況のもと、県内産業の競争力を強化し、地域経済の活性化を図るためには、国の内外の社会経済システムの変革をもたらすITの活用が必要でございます。このため、県といたしましては、県内中小企業におけるデジタルデバイド、いわゆる情報格差を早期に解消するため、IT関連事業の積極的な展開を図ることといたしました。
 しかしながら、ご指摘のように、ITは手段でございまして、ITのみで中小企業の厳しい状況を脱することができないことは言うまでもございません。新しい産業の創出や地場産業を中心とした県内企業への各般の施策はもとより、長引く不況に対応した金融支援など企業のニーズを的確に把握しながら、引き続き積極的に推進をしてまいりたいと考えております。
 次に、ITセンターについてのご質問でございます。
 IT総合センターにつきましては、半島という我が県の地理的な特性、そして高齢化の進展などを克服し、本県の産業発展や県民生活の充実を図るためには、インターネットなど日進月歩の情報通信技術の進歩に対応した技能の習得とその活用の場を提供することが必要であると考えることから、これらに適切に対応し得る情報通信拠点の早急な整備が不可欠と考えて計画をしたものでございます。
 このような情報通信拠点としてIT総合センターは、まず人材の育成、研修機能を持つほか、産業支援機能や地域支援機能でありますとか、普及啓発機能など、さまざまな機能を有し、県民の方々が広く集い利用していただける施設として整備していきたいと考えております。
 なお、このIT総合センターでございますけれども、形の上では建設が既定のこととされ経費が予算上計上されていた教育研修センターの機能拡大という形で行いますので、新規のプロジェクトとして巨額の追加費用が要るというものではございませんので、ご了解いただきたいと思います。
 次に、紀淡連絡道でございます。
 紀淡連絡道路につきましては、太平洋新国土軸や大阪湾環状交通体系、関西大環状交通体系など、広域的な連携をはぐぐむ交通基盤のかなめであるとともに、西日本の新たな可能性を切り開くプロジェクトとして、早期実現に向けた取り組みを県議会のお力添えをいただきながら実施してまいったところでございます。この結果、平成十年度には新全総等に「構想を進める」という形で明記されました。
 現在、国土交通省では事業費の縮減や事業手法について調査段階にあるため地元の負担がどうなるかというようなことについては明らかでない面もございますけれども、この構想自体が広域的な相互交流を促進し産業や本県が有する多くの観光資源を生かすことのできるプロジェクトであるということから、関係団体と連携を図りながら構想の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 臨時財政対策債と県財政についてお答えいたします。
 今回の地方財政対策において、地方交付税総額の不足の補てん措置として従来の交付税特別会計の借り入れ方式を見直し、国と地方との責任分担のさらなる明確化、あるいは財政の一層の透明化を図るため、地方負担分について特例地方債を発行するという制度改正がなされたところでございます。従来は地方交付税総額を確保するため不足分を交付税特別会計で借り入れるという方式がとられてきたところでありますが、このうち地方が負担すべき借り入れ分につきましては、いずれ交付税特別会計から償還すべきものでございます。そうした意味におきましては、特別会計で借り入れるか、あるいは地方団体が借り入れるかは、最終的には同じことになるものと認識いたしております。
 この特例地方債の元利償還金については、その全額が後年度交付税措置されることとなっており、当面の財政運営への直接の影響はないものと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 人権啓発の基本姿勢でございますが、平成八年の地域改善対策協議会の意見具申に「これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきと考えられる。その中で、同和問題を人権問題の重要な柱として捉え、この問題に固有の経緯等を十分に認識しつつ、国際的な潮流とその取組みを踏まえて積極的に推進すべきである」とされております。このことを基本にいたしまして、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画に基づき、全庁挙げて人権教育啓発の推進に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、仮称でございますが、人権教育啓発センターについてでございます。
 人が人として生きるための基本的人権が尊重される豊かで明るい社会の実現は、大変重要なことでございます。このため県では、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画を平成十年に策定し、全庁体制で取り組んでいるところでありますが、人権の世紀と言われる二十一世紀の初頭に当たって、同和問題を初めさまざまな人権問題に関する情報の集積と県民に対する人権教育啓発活動を推進するための拠点となる人権教育啓発センターを設置し、総合的な人権教育啓発に取り組んでまいる所存でございます。今後、職員体制につきましては十分検討をしてまいります。
 次に、地対財特法の期限後の対応についてでございますが、本県におきましては、和歌山県同和行政総合推進プランに基づきまして、教育、啓発、産業、就労対策等の課題解決に向けて取り組んでいるところでございます。
 地対財特法が平成十三年度をもって期限切れとなることにかんがみ、地対協意見具申の考え方に基づき、同和対策事業を見直し検討した上、残された課題解決のため必要な工夫を一般対策に加えつつ対応するという基本姿勢に立って一般対策に移行すべきであると考えてございます。この一般対策への移行は同和行政の終了を意味するものではなく、従来にも増して基本的人権の尊重という目標を見据え、県民のニーズを的確に把握し、同和問題を早期に解決するという視点に立って行政を推進してまいります。
 また、関連した議員ご質問の点につきましては、同和室、同和委員会が果たしてきた役割と使命を十分踏まえ、新しい時代に沿った組織体制を構築する重要な時期であると認識してございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 西防沖埋立地のダイオキシン対策について、お答え申し上げます。
 和歌山発電所建設予定地におけるダイオキシン類の調査結果については、去る一月三十日、関西電力から公表されたところですが、現在、関西電力ではこの調査結果を踏まえ、さらに追加調査を実施しているところであります。今後、これらの調査結果をもとに、掘削した廃棄物の封じ込め、粉じん等の飛散防止、排水の処理、作業員の汚染防止対策、ダイオキシン類の監視体制等について、学識経験者の指導も得ながら具体的な対策を検討するとの報告を受けております。
 県としては、今後この具体策がまとまり次第報告するよう求めるとともに、工事中におけるダイオキシン類への対策に万全を期すよう関西電力を指導してまいります。
 なお、今回の調査は掘削に伴って出てくる廃棄物等に含まれるダイオキシン類のレベルを調査し、対策を検討することが目的であります。現段階では建設予定地全体についての調査を求めることまでは考えておりません。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 西防沖埋立地第三工区の調査と対策についてお答えいたします。
 第三工区につきましては、利用の事業主体である県の責任において適切な時期に土質調査を行い、その調査結果を踏まえて具体的な利用計画の検討をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育基本法は、我が国教育のよって立つ基本理念を示すものとして役割を果たしてまいりました。しかしながら、教育改革国民会議は、同基本法の制定時と現在とで社会状況が大きく変化しているとして、法改正を視野に入れた報告をいたしたものと理解しております。
 この報告においては、教育基本法の改正に当たって広範な国民的論議と合意形成が必要であるとしているところから、国レベルでの動向に注目するとともに、県教育委員会といたしましても、校長会などにおいてさまざまな教育課題とあわせて論議を深めてまいりたいと考えております。
 学校教育における奉仕活動は、社会奉仕の精神を涵養する観点から重要な意義を持つものであり、本県の各学校では高齢者や障害者の介護体験や地域の清掃活動など、さまざまな活動が実践されております。こうした活動を通して児童生徒がボランティア活動を実践する態度を身につけることができるよう、今後とも学校教育の中で積極的に推進してまいります。
 次に学力問題についてでありますが、平成七年及び十一年に国際教育到達度評価学会が実施した世界標準学力テストの結果では、日本の子供の算数、数学や理科の学力は国際的にトップクラスの水準にあるものの、これらの教科を好きと答えた児童生徒は諸外国に比べて少ない状況にあります。こうしたことから、これからの学校教育では、基礎基本の学力を確実に身につけ、一人一人が学ぶ楽しさと喜びを実感し、特性や能力を最大限に伸ばす教育を進めていく必要があります。学力を単なる知識の量ととらえるのではなく、みずから学び、みずから考える力を身につけさせるとともに、個別学習やグループ学習等、個に応じた指導や体験的、問題解決的な学習を進めるなど、指導の方法や体制をより一層工夫改善してまいりたいと考えております。
 教職員定数についてでございますが、今後見込まれる児童生徒数の減少に伴い、文部科学省は基礎学力の向上ときめ細かな指導を目指した新たな教職員定数改善計画を策定し、その審議が行われているところです。本県といたしましても、この改善計画の趣旨を踏まえ、二十人程度の少人数による授業を行うなどの各学校の取り組みに対してできる限り支援できるよう、必要な教職員定数の確保に努めているところでございます。
 次に、学校図書館の整備状況等についてであります。
 小・中学校では、全校一斉の読書活動を初め公共図書館等との連携を図るなど、学校図書館教育の充実と特色化に努めているところです。平成十二年の子ども読書年には学校図書館の読書活動等に特色あるすぐれた学校が文部大臣表彰を受けることとなり、本県では中学校二校、高等学校一校、ろう学校一校が受賞いたしました。
 小・中学校における図書の整備につきましては、平成五年度からの整備計画にのっとり毎年県内の小学校で合計七万冊程度、中学校で三万冊程度の図書を購入し、蔵書の充実が図られているところです。引き続き年次計画を立てて、図書標準を達成するよう市町村教育委員会を指導してまいります。
 なお、現在、図書館教育の充実を図るため、平成十五年度から十二学級以上の小・中・高等学校に司書教諭を配置できるよう、資格取得のための講習会の開催等、配置のための条件整備を行っているところであります。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、何点か再質問をさせていただきます。
 まず、総務部長にお尋ねをいたします。
 百十九億という大量の地方債が臨時財政対策債として発行されることになるわけですが、これは本県のこれからの財政運営には支障のないものだとお答えになられました。その根拠が、交付税措置があるからだということだったと思うんです。
 私は、必ずしもそうではないと思うんです。従来の方針からなぜ今回のような地方に独自に持たせるようになったのかというあたりが、非常に大きな問題だと思うんですよ。国にそういう意図がなければ、わざわざこういうことをするわけがないんですからね。これをさせたという、そこの問題。
 だから、国の方の交付税会計が大変なことになっていると。もう常識ですよね。そういう中でやむにやまれぬ措置として、こういう格好になってくる。そうすると、結局、後々に交付税で対策しますよと言ったって、うそになるのか本当になるのか、これは全く保証のない話じゃありませんか。そういうところを見ないで、これで別に影響はないというようなことを言っておって、これがもし──来年も恐らくあるでしょう。その次にもあって、もし続くというようなことになったらどうなりますか。たちまちにして破産ということは明らかじゃありませんか。
 これは、やはり重大な影響があるということを前提にして、国の地方財政に対する厳しい対応を、地方としてはやるべきだと思うんです。地方に対する財源措置を十分に保証するよう国に要望していく、交付税率の引き上げなどももっともっと強く求めていくということがない限り、このままずるずると雪だるま式に借金をふやすことになってしまうんじゃないかと、そういう心配をいたします。だから、影響はないとのんびり構えるのではなしに、必要な要望をきっちりとやるということが求められると思います。総務部長の意見を聞きたいと思います。
 次に、関電の発電所とダイオキシンの問題で、企画部長にお尋ねをいたします。
 関電の方は、掘削地以外は調査をしないということになっています。これは、やはり全体的にやるべきだと思うんです。あの埋立地全体にどれだけのダイオキシンが埋まっているのか、掌握する必要があると思うんです。そんなの関係ないというわけにはまいらないと思うんですね。そして、総量を推測した上で、県としてどういう必要があるかを明確にして指導する、そういう立場であるべきだと思います。掘削地以外はしないという状態になっておりますけれども、ぜひ調査させるべきだと思います。なぜ調査させないのか、そこのところを聞きたいと思います。
 それから、海洋へのにじみ出しの問題です。
 非常に立派な護岸があるし、いろいろとそれなりの装備もしているからにじみ出しについては心配がないというふうにおっしゃられるわけですが、我が国の最近のさまざまな出来事を見ておりますと、起こるはずのない事故がいろいろと起こっているんですね。絶対安全だと思ったものが安全でなかった。トンネルの屋根から石が落ちてきたり、原発の関連施設が爆発したりという想像もできなかったようなことが起こってくる。こういうこともあり得るわけですから、行政としては、やはり疑わしきものは調べておくということはどうしても必要だと思うんです。なければないで結構です。それで安心すればいいんですから。しかし、そういう措置をやらないままにおくということでは県民の安全を守るということにはならないと思います。そこをひとつ、適切な指導をしていただきたいと思います。
 同和対策に関係して、お尋ねをいたします。
 答弁では、一般対策へ移行するが、同和行政の終了を意味するものではないという前提で、従来にも増して人権尊重の目標を見据え云々と、同和行政を推進していくということを答弁されました。
 一体、同和行政の特別対策を廃止することと一般対策へ移行すること、それから一般対策へ移行しても同和行政は進めるんだということ、このあたりはどういう関連になっているんですか。名前だけを変えて従来と同じような形をするというのであれば、総務庁が示した三つの基準からも外れてくると思うんです。そのあたりを明確にしていただきたいと思います。
 それから、同和室の問題です。
 新しい組織体制を構築していくということで、同和委員会への委託についてもそういう趣旨での答弁がありましたが、これは一体どういう意味を持っているんですか。私は、もう一切なくてもいい、やめる方がよろしいという思いで質問をいたしましたが、組織体制を新しく構築するというのはどういうことなのか、それをお答えいただきたいと思います。
 教育問題について、これは要望でとどめておきたいと思いますが、学力問題の点では実に深刻な問題が起こっているんではないかと私は思うんです。
 文部省の調べで、わからない、ほとんどわからない、半分ぐらいしかわからないという子供が小学校で三二%いる。中学校で五六%、高等学校へ来ると六三%になるというんですね。これはもう本当に信じられない思いなんですが、そういう結果が出てきている。ところが逆に文部省の方では、成績の方はおおむね良好であるというようなことも言っているんです。明らかに大きな矛盾があります。
 子供たちのわからないというこの状況をこのままに置いておくということは、それこそ将来の日本を危うくしていくものだと思います。実際、将来の問題とともに、現在学校で学んでいる児童生徒の立場に立ってみても、これほど厳しいものはないと思うんです。
 教育長は答弁の中で、これから一人一人が十分わかるような教育をしていくんだ、基礎的なものをしっかり教えていくんだと言われました。実は、私は前にも同じような質問をいたしました。同じような答弁が返ってまいりました。ところが、それは文部省あたりから常々、大丈夫だ、こうしていくんだと言われてきたことでもあるんですね。それが大丈夫でなくてこういう事態になっているということ、これは非常に深刻な問題として考えなければならないのではないかと思います。
 何といっても、詰め込み、エリート養成主義、あるいは受験主義という形で今までの教育が運営されてきている、指導要領がそういう形で編まれてきているということに最大の問題があると思うんです。今度の新しい指導要領はそれを排するということでやられておりますが、必ずしもそうでないという半分の危険が、同じような傾向が残されておるわけです。そういうものを前にして教育委員会として最大の努力をして、子供たちにわかる学力をつけるよう努めていただきたいことを要望しておきます。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 臨時財政対策債に関係しての再質問にお答えを申し上げます。
 今回の臨時財政対策債につきましては、従来の方式では交付税特別会計で不足分を地方団体が共同で借り入れているということになるため、地方団体にとって予算が借り入れによって賄われているのかどうかがよくわかりにくい、あるいはその借り入れによる地方負担分はいずれにしても将来交付税特会から償還しなければならないいわば地方の連帯債務であると、こういう認識があいまいになるというようなことを踏まえて設けられたものであると承知をいたしております。
 先ほどご答弁申し上げましたとおり、今後の財政運営への直接の影響はないように、この元利償還金につきましては後年度全額交付税措置がなされるということになっております。
 しかしながら、将来の交付税制度そのもののあり方について不透明な部分があるという現状につきましては、これはそのとおりではないかと認識をいたしておりますので、県債の発行につきましては、後年度負担も勘案しながらできる限り抑制に努めてまいりたいと考えておりますし、あわせて、これは当然のことでございますけれども、交付税の総額確保や交付税率の引き上げを含めた充実強化につきまして引き続き国に対して要望してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 法期限後の対応について、お答えをいたします。
 先ほどもお答えを申し上げましたが、法期限後、同和対策は特別対策から一般対策へ移行すべきであると考えてございます。しかしながら、残された課題解決のため、一般対策の中で同和問題解決の視点に立って取り組んでいくことを申し上げているところでございます。
 また、新しい時代に沿った組織体制を構築するということは、国際的な潮流の中で今後差別意識の解消を図るためには、これまでの同和教育・啓発活動の中で積み上げてきた成果を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきであり、庁内の組織検討委員会などで研究をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 二点についてお答えいたします。
 一点目の建設予定地全体についてダイオキシン類調査を指導されたいという点でございます。掘削を伴わない他の場所についての調査は、先ほど答弁申し上げましたように、今のところ必要と考えておりませんが、今後調査の必要があると判断されれば、関西電力に対して調査を求めてまいりたいと考えております。
 二点目の海域へのにじみ出し、近隣海域でのダイオキシン類の調査でございます。この調査を含め、工事中の監視体制の中で今後検討されることとなっていますが、必要な事柄については事業者に対して求めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次、一般質問をさせていただきます。
 なお、質問に先駆けて申し上げます。本日、この一般質問初日、私で四人目ということで、先輩・同僚議員におかれましては、また知事並びに県当局の方々にとりましても、いささかお疲れとなってきているように拝察をいたします。したがいまして、私なりに要領よく簡潔に質問を進めてまいりますので、その点、何とぞよろしくご協力のほどお願いをいたします。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 木村知事におかれましては、二十一世紀初めての予算であり、かつ当選以来初めての予算編成となり、大変厳しい財政状況の中、あえて「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事務事業の見直しを行い、対象事業の約三割に当たる五百二十九事業の廃止、休止、また改善を行い、さらには知事初め三役、そして職員の給与カットや職員定数削減等、財政健全化に努められる一方、IT関連に約二十四億五千万円を配分、新産業創造、環境対策等、まさに二十一世紀の和歌山の礎となるべき施策に重点を置かれた予算編成となっており、県民に夢を与え、かつ財政の健全化にも努められた大変難しい中での予算編成であると感じ、その点、大いに評価をいたすものであります。そんな中において、私も和歌山県をよりよい県に進めたいという思いは知事と同じであります。そういったことにおいて、私なりの観点から、三項目にわたり一般質問をさせていただきます。
 まず第一点目といたし、和歌山市における中心市街地商業活性化対策に係る旧医大跡地利用についてお尋ねをいたします。
 去る九八年十二月、和歌山市本町地区にあった大丸百貨店和歌山店が閉鎖をいたし、次いで本年五月、和歌山ビブレが撤退との新聞報道がなされ、さらに追い打ちをかけるように、まことに残念なことではございますが、明治二十四年創業以来百年以上もの長きにわたり地域の核的店舗として頑張ってこられました丸正百貨店が本年二月二十六日、自己破産の申し立てをされたことは、既に皆様ご承知のところであります。長引く消費不況の中、近年さまざまな要因が複雑にまじり合い、また重なり合い、本町周辺の商店街は今まさに危機的な状況にあります。そんな中、ぶらくり丁周辺商店街やまたそのエリアにおいて希望の光を一日も早くともさなければ、そう願うのは、知事はもとより、特に私ども和歌山市選出の議員は皆同じ気持ちであると思います。
 また、丸正百貨店の自己破産を受け、県は二月二十七日、地域商業に与える影響が大きいとして商工労働部長を会長とする丸正問題対策連絡会を設置、また和歌山市では、助役を長とした、地元商店街との連絡を密にし、今後のぶらくり丁の活性化に向けた方向性について協議していくための和歌山市中心市街地活性化連絡会議を発足、次いで地元和歌山商工会議所が丸正百貨店の破産関連について二十七日より中小企業相談所特別相談室を設置いたし、弁護士や税理士の専門家を配置、関連事業所に対しては今後の事業経営に支障を来すことのないよう相談に応じており、加えて、同会議所より木村知事や国民金融公庫和歌山支店等に離職者の雇用対策や丸正関連企業に対する緊急の支援等を要望したとの報道が相次いでなされております。
 また、今回、十三年度予算として小規模事業経営支援事業に約十八億円、中心市街地活性化基金といたし約四億円、また中小企業融資制度として約三百八十一億円等の施策をもっていろいろとご努力をいただいていることは十分承知をいたしているところであります。私といたしましても県当局のご努力に敬意を惜しむものではありませんが、この地域における危機的な状況を思うとき、隣接する旧医大跡地有効利用の問題は以前にも増して重要かつ密接な関連があるものと考えます。
 そして、いよいよ旧医大跡地の撤去工事に入るため、今議会に約七億円の予算が計上されております。この跡地利用については、平成十年十一月、和歌山県立医科大学跡地利用懇話会から、国際会議場、都市型ホテル、オフィス等業務施設、そしてショッピングモール等商業施設との複合施設での利用としての意見がまとめられ、平成十二年三月には、これに基づき和歌山県立医科大学跡地利用に関する基本方針が出されました。この方針を受け、平成十二年度において事業コンペに関する予算が計上されていたものの、最終補正で減額され、再度平成十三年度予算として約一千六百万円が計上されております。
 ここでまず、企画部長にお尋ねをいたします。なぜ十二年度コンペの実施が見送られたのか、またその後、今日に至るまでの経過についてお尋ねをいたしたく存じます。
 何にいたしましても、昨年のコンペの不調に加え、懇話会答申が出された当時には予想すらしなかったビブレ撤退や丸正倒産という現状を目の当たりにするとき、私はここにもう一つの選択肢が出てきたのではないかと感じております。
 和歌山市の構想する仮称・公立和歌山創造大学、この大学は、アメリカのボストンにあるベンチャー系大学の一つバブソン大学をモデルにし、いわゆる起業家を育てる事業創造学科や、日々激しく変わり行く社会を研究し、その社会構造をつくり変える人材を育てるための社会システム創造学科、また、情報ネットワークで世界とつながった今日の社会で国際社会に通用する語学を教育するためのコミュニケーション創造学科の三学科を計画していると聞いております。近い将来、もし仮に跡地をこのような今までにないベンチャー系の大学用地して利用できるときが来るならば、社会的、文化的貢献はもちろんのこと、百数十億の事業が生まれ、その建設に係る経済波及効果及び四年で約一千人に及ぶ学生、教職員及びその家族の地域内消費、また、大学運営に係る地域内支出による直接的経済効果は約十八億五千万円とすら試算されております。したがいまして、これらの経済波及効果により、衰退したこの地域を早急かつ永続的に活性化できる一つの案となるのではないかと考えるのであります。そしてまた、知事が考えておられるバーチャル和歌山構想、SOHO等の企業支援事業とともに、知的情報の集約拠点として、これからの企業に望まれる情報ネットワークのアクセス拠点として、まさに産・官・学のネットワーク拠点として、また地域交流の場としてなど、多様な使用と効果を、周辺地域及び和歌山市のみならず、県内の周辺市町に及ぼす拠点施設となり得るのではないでしょうか。
 新聞報道によりますと、去る二月二十八日、地元連合自治会、地元商店街連合会の要望を受けた和歌山市長からも知事に対し、県立医大跡地の利用について仮称・公立和歌山創造大学を優先的に考えてほしいとの申し入れがあり、これに対し知事は、懇話会答申を受けた既定方針どおり粛々と、つまりホテルや商業施設等、都市型複合施設を誘致する県の計画を進めてまいりたいとの意向を示されたと報じられております。
 私といたしましても、今の時点で地元和歌山市議会の同意を得られていない状況を考えたとき、この知事のお考えは理解できるところでありますし、それを尊重するものではありますが、知事は十三年度に実施するコンペにおいて企業の参加が得られなかった場合は懇話会答申に固執するものではないとの含みを残されておられるようにも感じます。コンペの結果、有力な事業計画案がなかった場合、もしくは出された場合においてもこれといった案がなかった場合には、この地の有効利用の一つとしていま一度、和歌山市及び地元住民から要望のある仮称・公立和歌山創造大学案との比較検討をしていただく余地は全くないものなのでしょうか。
 ちなみに、私は、この大学構想案には地域復活をかけた起爆剤として、それだけの価値があるものと信じております。そういう意味において、また今日の激しい状況の変化にかんがみるとき、都市型複合施設案等、いずれにいたしましても一日も早いコンペの実施を望むものであります。このことについて、知事のご所見をお伺いしたいと存じます。
 二点目といたし、同和行政に関してお尋ねをいたします。
 さて、現行法である地域改善対策事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が平成十三年度をもって期限切れとなってしまい、これまでの同和事業に係る財政上の措置や経過措置が打ち切られると聞いているところであります。
 本年一月二十二日、二十三日と同和対策特別委員会にて上京いたし、財団法人人権教育啓発センターにおきまして総務省大臣官房地域改善対策室長・佐藤文友氏と話し合い、私のみならず、先輩議員であられます橋本議員、また松本議員からも、その会議の席上、住宅問題を初め幾つかの質問がなされましたが、極めて厳しい回答に直面をいたしました。このことにかかわって、県としても主体的な判断に基づいて対応なされると思うわけでありますが、現実的には県内には依然としてさまざまな課題が存在しているところであり、県がこれまで「国の法律のいかんにかかわらず、差別がある限り」と明言してきたとおりに対応されるであろうと期待をするわけであります。
 そうした視点に立って、十三年度に同和対策予算として和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、残された課題解決のための諸施策を積極的に推進するといたし、約七十九億六千万円の予算が計上され、福祉保健部においては新規として仮称・人権教育啓発センター設置といたし約四千六百万円、また人権啓発として四千五百万円等が計上されております。
 そこで、教育にかかわって教育長のご所見をお聞きいたしたいと思います。
 教育委員会の進学状況調査によりますと、高校が全体の九七・四%に対して地区が九五・一%、また大学の場合、全体が四四・八%に対して地区が二七・六%という状況にあり、近年、大学、短大への進学率においてせっかく縮まった格差がまた広がる状況もあると聞いております。こうした中、国の同和対策に係る進学奨励が打ち切られる方向にあるということは極めて重大な事態であると感じます。
 今申し上げたとおり、特に大学への進学状況格差が一七%を超えていることと進学率が三〇%に満たない中で進学奨励の打ち切りという事態は、地区の子供たちに直接的な被害を与え、進学率の大幅な低下につながるおそれがあります。現在の和歌山県内の子供たちの大学進学状況からいたしますと、大多数が多大な経済的負担を抱えながら県外の大学に進学せざるを得ない状況があり、さらに近年の低位な生活実態や経済、労働の状況からすると、進学奨励費の廃止は特に地区の子供たちにとって即進学の断念につながるものとなりはしないのか。また、一部で言われている日本育英会の対応についても、その実施要領が地域の実態に合わないものであり、このままでは同和問題の解決に係る教育の重要性からすると、これまでの取り組みの成果を水泡に返す可能性すら持っておるというふうに感じております。和歌山県において進学奨励事業を国に先駆けて県単独事業としてスタートさせてきた経緯やこれまでの成果、さらに今日的な課題を踏まえ、県としての具体的な対応について、教育長のご答弁をよろしくお願いいたします。
 また、地区の実態という点では、住宅政策も重要な課題の一つであります。これまでの同和行政推進の中で、町づくりの中心が持ち家と公的住宅の推進ということで進められてまいりました。持ち家制度についてはこれまでもその貸付資金の返済という問題で提起されてきたことがありますが、今なお地区の困難な産業就労、さらに生活の実態から、さまざまな厳しい状況が解決されておりません。加えて、公的住宅が公営住宅法の改正によって、これまでの同和向けとの位置づけがなくなり、一般の公営住宅と同様の扱いになっています。こうした中で、年齢階層の若い人や安定した所得のある階層の公営住宅離れが起き、結果として低所得者や高齢者の滞留する状況が生み出され、これまで改善に向いていた流れが逆行する可能性すらうかがえます。また、あと数年もすると公営住宅の建てかえ問題も起きてくることが予想されています。
 そこで、土木部長にお伺いをいたします。以上の点から、このことに関する県のお考えをお示しいただきたく存じます。
 さらに、差別事件や人権侵害の状況を見ますと、これまでのような表面化する事件から落書きがふえ、さらにインターネットを使っての事件が急増しております。このことは、自分の正体を隠すことによって自分自身の潜在的な意識が表面化するだけでなく、さらにエスカレートをしていくのではないかという陰湿きわまりない許しがたい行為であります。しかも、これまでの対応策では対応し切れないという実に歯がゆい状況があります。私が挙げている状況は今日なお存在する部落差別の一例を述べているだけでありますが、これだけでも実に大変な実態があります。
 こうしたことからも、和歌山県が主体的に課題意識を持って、条例の制定も含め、具体的な今後の対応策について、国の動向も見据えながら一日も早く確立されることを強く望むところであり、知事並びに福祉保健部長のご所見をお伺いいたしたいと思います。
 最後の質問となりました。三点目といたし、理学・作業療法士に関してお尋ねをいたします。
 私は去る平成九年十二月議会において、福祉の町づくりについての中、マンパワーの確保、特に理学・作業療法士の重要性、また療法士養成機関設置に対する県の所見をという形で質問を行ったわけでありますが、当時、平成九年十一月十七日、和歌山県主催、和歌山福祉のまちづくり推進協議会協賛による福祉のまちづくりシンポジウムが開催され、元ニュースキャスターの小林完吾氏の「いのちはいのち、みんな同じ─共に生きる─」と題した講演がなされ、リハビリテーションの大切さと理学・作業療法士をこれから何よりも優先させてふやすべきと主張をされておりました。
 私は、当時、自分の祖母が脳梗塞に倒れて約九年間療養をした経験を持っておりましたことからこの講演に深く感銘を受け、十二月議会において先般申し上げたような質問をさせていただいたわけであります。当時、西口知事は、「私も、要介護高齢者、障害者の自立を促進するためには、理学療法士、あるいは作業療法士といったリハビリ関連職種等のマンパワーの確保が欠かせないところだと考えており、このための修学資金貸与制度を設けている。今後とも本制度の充実に努めなければならない。大きな課題と受けとめている」との答弁をいただいたわけでございます。
 また、県は九三年に理学・作業療法士の数について需要調査を実施しており、当時、和歌山県における目標数には達しておらず、特に作業療法士につきましては全国で最下位の数となっておりました。それから既に七年が経過しているわけであり、本県における人材養成は急務であると考えます。十三年度予算中約二千万円、修学資金貸与制度として計上されているのは承知をいたしておりますが、その後さらなる調査実施をされたのかどうか、またその結果はどうであったのか、さらに県内における養成機関設置等についても、当時、信州大学医療技術短期大学を初め、神戸大学医学部保健学科、また群馬大学医学部保健学科などの具体的な例を示して提案を行ってまいりましたが、これについてはどうなったのか、お伺いをいたしたく存じます。
 また当時、全国で理学・作業療法士とも養成機関がないのはわずか六県であり、現在も設立していないのは本県のみと聞き及んでおります。財政難の折、大きな建物を新たに建てて養成機関をつくることを望むものではなく、例えば和歌山県立医科大学と協議をしながら、知恵を出し合い、このことの解決に向けて努力していくことはできるのではないでしょうか、お伺いをいたします。
 また現在、理学療法士約三百名、作業療法士約五十名が在県と聞いており、一部では、このままでは本県において迫り来る高齢化社会を見据えた中、到底対応し切れないのではないかと推測、また心配する声もありますが、これについての県の見解はどうなのか。人員数の問題、さらに質の問題、施設面等も含め、現況とこの問題に対する今後の県の取り組み方についてお示しをいただきたく、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、中心市街地の商業活性化対策に係る旧医大跡地の利用についてお答えを申し上げます。
 山下議員ご指摘のとおり、ぶらくり丁を初めとする中心市街地の商店街を取り巻く状況が今年に入って一層厳しさを増していることから、中心市街地の活性化に大きな影響を与える県立医科大学の跡地利用計画の推進については、私も緊急かつ非常に重要な課題であると考えているところでございます。
 このため、基本方針以外の利用提案を排除するというものではございませんけれども、これまでの経緯もあり、できるだけ早く事業コンペを実施して地域の活性化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に同和行政について、県条例の制定についてのご質問でございます。
 人権条例の制定につきましては、先般、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律が施行されたことや、また人権擁護推進審議会の方から人権救済制度に関する中間取りまとめが公表されたことなど、現下の情勢や、そしてまた、今なお不当な人権侵害が発生しているというふうな現状等を踏まえまして、県民のコンセンサスを十分得る中で制定に向けて検討してまいりたいと、このように考えております。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 旧医大跡地利用についてお答え申し上げます。
 当初のスケジュールでは、平成十二年度に事業コンペを実施し、施設の整備を行う事業者を決定する予定でございましたが、長期にわたる景気の低迷もあり、都市型ホテルを含めた施設の提案を行う企業の見通しが不透明であったため、コンペの実施時期を慎重に見きわめてきたところでございます。
 しかしながら、県の基本方針に沿った施設の整備についても明るい兆しが出てまいりましたので、引き続きコンペ実施に向け準備を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 同和行政についてのご質問のうち、公営住宅についてお答えします。
 地域の居住の安定を図り良好な住環境を創出するため、市町村が事業主体となって公営改良住宅を建設してきたところでありますが、今後は住宅の老朽化とともに入居者の高齢化が進んでいくことが予想されます。このため、住宅政策におきましては、地域の居住実態を踏まえ、若年世帯の定住促進による地域社会の活性化や良好なコミュニティーの形成に向けて、多様な世帯や所得階層が交流できる団地づくりを推進していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 今なお起きている部落差別における今後の対応でございますが、法期限を一年余りに控えた今、県といたしましても法期限後の同和行政のあり方について鋭意検討をしてございます。
 議員ご指摘のとおり、同和問題の解決については、教育・啓発、産業・就労面等で幾つかの課題が残されていると認識してございます。同和対策事業が果たしてまいりました役割を十分踏まえ、その成果を損なうことなく、より一層、人権行政、同和行政を推進してまいります。
 また最近では、議員ご指摘のとおり、今までの差別事件とは異なったインターネット上での差別事件等も発生をしてございます。こうした問題につきましても、国や関係機関とも十分連携を図りながら対応してまいります。
 次に、理学・作業療法士の現状についてであります。
 理学療法士、作業療法士の需要調査につきましては、昨年八月に県内医療機関、介護保険施設等を対象にアンケート調査を実施したところでございます。その結果、今後八年間に延べ約二百七十名の新規需要が見込まれてございます。また、養成機関の設置等につきましては幾つかの民間団体から構想の話がございましたが、将来的に不透明な部分が多いこと等の理由により、今までのところ具体的な計画には至っておりません。
 今後の需給見込みといたしましては、近隣府県を初め全国的に養成施設や学校が相次いで開設されたことから、県内での新規免許取得者は平成七年の二十人から昨年は四十四人と大きく増加しており、さきのアンケート調査とあわせ、近い将来、県全体として医療機関、介護保険施設等で必要とされる就業者の数は確保できるものと考えてございます。
 また、昨年、医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会が厚生大臣あてに提出した理学療法士及び作業療法士の需給の推計に関する意見書によりますと、地域差が認められるものの、平成十六年以降二年から三年以内に需要と供給が均衡に達し、その後、理学・作業療法士が多くなることが予測されてございます。
 しかしながら、本県の将来を考えた場合、高齢化の一層の進展に伴い、理学療法士、作業療法士といったリハビリテーション医療に携わる職種の重要性はますます高まるものと考えられ、資質の向上や生涯教育の促進とともに、養成機関の設置につきましても、引き続き議員ご提案の方策について研究を重ねてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和行政にかかわって、進学奨励事業についてお答えします。
 同和問題を一日も早く解決していくために、高校、大学等での修学を奨励し、教育・文化水準の向上を図り、就労の安定を目指すことは重要な課題であると認識いたしております。
 近年、高校進学率における格差は縮小してきておりますが、これは同和問題の解決を願うさまざまな方々の努力の成果であり、そうした中で進学奨励制度が果たしてきた役割は大きいと考えております。しかしながら、大学に関しては、議員ご指摘のとおり、進学率の格差が大きいことや修学に要する経費負担が重いことなど、課題が残っております。
 したがって、地対財特法の失効後においても進学奨励について有効な方策を講じるよう、近畿各府県と連携をとりつつ国に対し要望するとともに、県としても平成十四年度以降におけるこの制度のあり方について種々検討を進めているところであります。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十六分散会

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