平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

平成十三年二月 和歌山県議会定例会会議録 第一号
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議事日程 第一号
 平成十三年二月二十三日(金曜日)午前十時開会・開議
  第一 会議録署名議員の指名
  第二 会期決定の件
  第三 議案第一号から議案第七十七号まで、並びに報第一号(知事説明)
会議に付した事件
   一 会議録署名議員の指名
   二 会期決定の件
   三 議案第一号から議案第七十七号まで、並びに報第一号(知事説明)
   四 休会決定の件
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     五  番       堀   本   隆   男
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     環境生活部長     道   浦       渥
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       辻           健
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       佐   竹   欣   司
     調査課長       梶   本   皓   造
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時一分開会・開議
○議長(阪部菊雄君) ただいまから、平成十三年二月定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時二分休憩
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  午前十一時十七分再開
○議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
  【日程第一 会議録署名議員の指名】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、三番佐田頴一君、十九番谷洋一君、三十五番鶴田至弘君の三君を指名いたします。
  【日程第二 会期決定の件】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十一日までの二十七日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十一日までの二十七日間と決定いたしました。
 この際、諸般の報告をいたします。
 知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告、及び地方自治法第百二十一条第三項に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告が、また執行機関から去る十二月定例会において採択した請願の処理の経過及び結果の報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次に、今期定例会に提出された議案等は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第七十七号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号の計七十八件であります。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第三 議案第一号から議案第七十七号まで、並びに報第一号】
○議長(阪部菊雄君) 日程第三、ただいま報告の議案第一号から議案第七十七号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題といたします。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平成十三年二月定例会にご参集いただき、厚く御礼を申し上げます。
 ただいま上程されました諸議案について、提案理由をご説明するに先立ち、県政に臨む私の所信を申し述べさせていただきます。
 二〇〇一年、二十一世紀を迎えたわけでございますが、自由貿易の進展や通信・輸送技術の発達により、世界の国々や人々の間の相互依存化が進むとともに、さまざまな分野における規制緩和が進む中で、二十世紀に築き上げられた我が国の社会経済システムがいろいろな面で通用しなくなってきております。また、情報技術を初め、科学技術や産業の分野においては、二十一世紀は国家間における競争の時代であり、激しい競争の中で打ち勝っていくためにも、時代の潮流に的確に対応し得る新しいシステムの構築が喫緊の課題となっております。
 私は、競争の時代は国家間だけではなく、地方自治体間においても同様であると考えております。今まで、地方交付税や国庫補助金で守られていた地方の財源がいずれ国の財政再建に合わせ見直されることは自明のことであり、来年度の地方財政対策においても、初めて赤字地方債である臨時財政対策債が導入され、地方の責任分担が位置づけられたところでございます。さらには、地方分権が進む二十一世紀において、地方自治体間で生き残りをかけた知恵の競争の時代に入っていくのだと確信をいたしております。
 この自治体間競争の時代に対応していくためには、まず職員一人一人の意識改革を図っていく必要がございます。特に、現下の厳しい経済状況の中で、民間の各企業は必死で頑張っているわけであり、県の職員も、そうした社会環境を踏まえながら、危機意識を持って公僕としての役割を果たしていく必要があると考えております。地方分権が進む二十一世紀においては、地方自治体の行政に注目が集まってくることは確実であり、早急に新しい時代にマッチした行政への転換を図っていくことが肝要であると考えます。
 また、地方分権の時代にあって、自治体独自の財源の確保が重要であり、地域特性を生かしながら自立型経済構造へ転換を図っていく必要があります。さらには、民間と行政の役割分担を見直し、民間やNPOとの協働を推進するなど、県政の構造改革を進めるとともに、県の財政規模についても、自主財源に見合った姿に近づけていくことも必要ではないかと考えております。現下の県財政は厳しいものがあり、本県を取り巻く社会経済情勢についても依然として厳しゅうございますが、決して悲観論に陥ることなく、県の将来や県政についての漠然とした閉塞感を打ち破っていくことが必要であります。
 また、今年は二十一世紀のスタートの年であり、新しい世紀に安心で活力みなぎる県にしていくためにも重要な年であると考え、新しい発想を持って時代潮流に即応したタイムリーな施策展開を積極的に推進し、県民に夢を与え、県が活気づく元気ある県政を進めてまいる決意であります。
 議員各位を初め、県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
 平成十三年度予算は、新しい世紀に県民に夢を与えるとともに、和歌山県が活力みなぎる力強い県となるためのスタートとして、大変重要な予算でございます。以下、その内容についてご説明を申し上げます。
 平成十三年度の予算編成に当たりましては、厳しい県財政状況を踏まえ、収支不均衡の段階的解消に向けて、事務事業評価システムを活用しながら、「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事務事業の厳しい見直しを進めるほか、自己抑制として職員の給料削減など、財政健全化に取り組みました。また一方では、思い切った施策転換を図る観点から、時代潮流にマッチした新しい発想を持って、あるいは若い職員の発想や部長会議等の場での議論を踏まえ、トップダウン方式で、産業の活性化のための基盤整備等の新規施策については積極的な展開を図るとともに、和歌山の将来のために必要な事業については、限られた財源を重点的に配分し、和歌山県が発展軌道に乗っていく施策を立ち上げていくことが重要であると考え、県民が夢を持てる県政を進めるという私の基本姿勢を反映した、いわば夢と財政健全化の両にらみの予算編成を行ったところでございます。
 二十一世紀における本県産業の発展、県民生活の充実のためには、インターネットに代表されるIT革命への適切な対応が重要であり、本県の地理的特性や人口の高齢化などに起因するいわゆるデジタルデバイド(情報格差)の解消に努める必要がございます。私は、ITの活用による産業、地域の活性化、県民生活の充実を図る「ITわかやま」の推進を県政の重要課題ととらえ、県の推進体制の充実強化を図るとともに、県庁内に和歌山県IT戦略本部を設置し、県民の皆様や有識者の意見を取り入れながら、全般的に体系づけて総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
 まず、総合的な情報化支援策につきましては、デジタルデバイドの解消のため、インターネットに関する普及啓発機能や教職員の研修機能、市町村職員や県職員のIT研修機能など、複合的な機能を有するIT総合センターの整備を進めてまいります。また、県民の方六万人を対象とした情報通信技術の講習会を実施してまいります。
 次に産業への対応につきましては、全国で初めての試みではございますが、和歌山に特化したコミュニティーサイトの運営を行うバーチャル和歌山構想の事業化のため、運営会社の設立に出資を行い、インターネットを活用した既存産業の活性化やIT関連の新事業の創出を図るとともに、これも全国に先駆け、企業の電子商取引への取り組みを促進するため、県内一万事業者を対象にホームページの作成を支援するほか、Eビジネスセミナー、研修等を実施してまいります。
 また、農林水産物から地場産品まで本県のすぐれた産品をアピールし販売促進を図るため、地方自治体では最大規模の、インターネット上に「ふるさと和歌山わいわい市場」を開設するほか、全国で初めての試みである、県外の住宅地等においてIT技術を活用した消費拡大イベントを行う「わかやま農林水産物ロケーション・アンテナショップ」を推進し、本県農林水産物のイメージアップと安定流通、需要の拡大を図ってまいります。さらに、インキュベーター機能と最新の情報通信環境が整ったスタートアップ・オフィスを和歌山市を初め県内に整備し、新産業の創出を支援するほか、県内企業に対して、和歌山リサーチラボが行う高度なIT研修を支援するITアカデミー環境整備事業や、インターネットを活用して多種多様な観光情報を迅速に提供する観光産業ネットワーク促進事業を実施してまいります。
 教育への対応といたしましては、これもまた全国に先駆け、県立学校のすべての普通教室にパソコンを配置するなど、学校教育のIT化を進めるとともに、すべての公立学校に情報技術アドバイザーを派遣し、教職員の情報機器操作能力の向上を図ってまいります。
 福祉分野への対応として、これも全国に先駆け、高齢者にインターネットを活用した介護サービスの情報提供を行う「おたすけ介護ネット」の整備や、生きがいや社会参加活動などの情報を双方向的に受発信できる「シニアいきがいネット」の整備を進めるほか、ひとり暮らしの高齢者などがテレビ電話を利用して健康管理や緊急時の通報が行える「高齢者あんしんネット」整備事業をモデル的に実施してまいります。また、インターネット上に「子育てほっと・スペース」を開設し、子育てに関する情報の提供や情報交換の場を提供してまいります。さらに、障害者の情報機器購入に対する支援を行い、障害者の情報バリアフリー化についても積極的に推進をいたしてまいります。
 行政への対応につきましても、県や市町村の情報化の進展状況を「IT戦略マップ」として作成し、県民の方々にお示しするとともに、県行政への理解と協力を得ながら関連施策の推進を図ってまいりたいと考えております。また、事務の効率化、迅速化による県民サービスの向上及び国、地方公共団体を結ぶ総合行政ネットワークへ対応するため、庁内LANに接続できる行政事務用パソコンの本庁職員一人一台配備を進めてまいります。
 新しい和歌山の創造のためには、外に開かれた和歌山を実現する交流ネットワークの形成が重要であり、さらに国内外に和歌山を情報発信していくことが必要でございます。
 道路網の整備につきましては、開かれた和歌山づくりの基盤となるものであり、特に京奈和自動車道、近畿自動車道紀勢線、府県間道路の整備については、本県の発展に不可欠なものであることから、重点的な整備に努めてまいります。
 また、厳しい県財政状況から、平成十三年度予算において公共事業に初めてシーリングを導入したところでございますが、道路予算に重点的に配分を行い、地域高規格道路等幹線道路や生活道路で必要性の高い路線を重点的に整備するなど、効率のよい執行に努めてまいります。
 世界遺産の登録につきましては、高野・熊野地域が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産暫定リストに登載されましたが、世界遺産登録に向け、三重県、奈良県や関係地域の皆さんと協力して積極的に取り組み、高野・熊野の持つ歴史や文化を広く内外に情報発信してまいりたいと考えております。
 また、ユネスコ世界遺産委員会の専門家会議「アジア・太平洋信仰の山会議」がことしの九月に本県で開催されることから、高野・熊野世界遺産登録推進の弾みとするとともに、この機をとらえて、紀北地域の特性を生かしながら地域の活性化を図る交流促進事業を実施してまいります。
 ワールドカップサッカーの公認キャンプ地誘致につきましても、誘致委員会を中心として、本県の交通の利便性や豊かな自然等、キャンプ地としての最適性をアピールし、友好関係にある国々を中心に、県民の皆様とともに誘致の実現に向け積極的に取り組んでまいります。 また、ふるさとの自然や文化、風土が人々をはぐくむと同時に、多くの先人の知恵と努力によって今日の和歌山が築かれてまいりました。将来に向かって和歌山が新たに発展を遂げるためにも、和歌山県が生み出した先人を広く紹介して顕彰する紀の国先人顕彰事業を実施し、県内外にアピールしてまいりたいと考えております。
 本県において、二十世紀から二十一世紀に引き継がれた幾つかの諸課題については、私は真正面から取り組むとともに、住民との対話や迅速な対応を心がけ、明確な解決の方向を検討するなど、全力で問題解決に当たってまいりたいと考えております。
 まず、橋本市のダイオキシン対策でございます。昨年来、地元住民の方々の安全確保を第一に考えて取り組んでまいり、現在実施しております代執行の円滑な執行に努めるとともに、恒久対策に向けて県議会の皆様とともに国に対して財政的な支援を要望してまいりましたが、国の支援の見通しが立ったことから、ダイオキシン処理技術事業化調査や埋立物の組成調査を行い、地元住民の方々の意向を踏まえながら汚染土壌対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に梅の生育不良問題についてでありますが、この原因究明のため、栄養診断技術の開発や先端技術を活用した優良台木の探索、育成等、新しい試験研究に着手するとともに、梅研究機関についても、できるだけ早期に現地において研究をスタートすることが重要であると考えており、その整備を行うことといたしました。
 また、昨今その重要性が叫ばれている危機管理につきましても、積極的な対応を図ってまいりたいと考えております。阪神淡路大震災から六年がたちますが、災害の恐ろしさやそこから得た教訓については、絶対に風化させてはならないと考えます。人の命は重く、災害発生時には行政による迅速かつ的確な対応が求められますが、本県には災害対策活動の中枢拠点となる施設がないことから、その整備に向け調査検討を行い、今後の防災体制の充実強化を図ってまいります。
 さらに、バブル崩壊以後、他府県においても同様の問題となっておりますけれども、企業局や土地開発公社等が所有する土地の利活用が懸案となっており、その処理いかんによっては県財政に大きな悪影響を及ぼすことにもなりかねないことから、全庁的なワーキンググループによる検討に加え、外部の専門家の意見もお伺いしながら効率的な利活用方策を検討していくほか、和歌山県公館についても開放的な施設として利活用を図ってまいります。
 本県が二十一世紀に飛躍していくためには、第一次産業である農林水産業の活性化を初め、産業の活性化が重要であります。
 農林水産業の活性化については、農業の流通加工施設や生産基盤の整備充実を図り、産地の体質強化に努めるほか、本県の農林水産物の魅力を積極的にPRし、需要の拡大を図ってまいります。
 林業についても、紀州材のすぐれた強度等の性能表示を行い、消費者に信頼される供給体制の確立や紀州材の需要拡大に努めるとともに、ITを活用した販路拡大を支援してまいります。
 水産業については、つくり育てる漁業の推進のため、生産基盤の整備等に努めてまいります。
 さらに、豊かな自然に恵まれた山村過疎地域の自立と活性化を図り、ふるさと産品の振興、定住対策等の施策を講じてまいります。
 次に、中小企業の活性化であります。
 和歌山県の発展のためには、今ある本県の得意とする産業の振興なしでは考えられないことから、ITを活用しながら既存産業の活性化や新事業創出に努めるほか、和歌山県中小企業支援センターを中心に総合的な産業支援体制の整備や各種支援策の充実を図るとともに、全国的にも先進的な事業である大学生などによる起業を支援するカレッジベンチャー支援事業や、新製品、新サービスの開発に向けた産・学・官共同研究の強化を図るきのくにコンソーシアム研究開発事業、新領域産業における研究開発など、創業、研究開発、事業化の各段階における支援を強化してまいります。
 また、地域経済の活性化を図り、県内中小企業の資金需要に的確に対応するため、IT投資支援資金や経営革新支援資金等の創設及び新規融資枠の拡充をするほか、信用保証協会の経営基盤の強化を図り、中小企業の金融支援の拡充に積極的に対応してまいります。
 観光産業につきましては、本県のすぐれた自然、歴史、文化を内外にアピールしていくためにも非常に重要な産業であることから、観光振興のための組織の強化を図り、本年は特に高野・熊野の世界遺産登録の機運を盛り上げるとともに、いよいよ三月末に大阪市にユニバーサル・スタジオ・ジャパンがオープンしますので、USJ来訪者をターゲットに和歌山県への観光客誘致に努めるとともに、アジア方面を中心とした国際的な観光客の誘致についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、既存のパックツアーでは得られない和歌山の魅力をアピールできる体験型メニューを創造し、和歌山の新しい魅力の発掘をするための「わかやま観光オプションメニュー創造会議」を立ち上げていくほか、「さんふらわあくろしお」の利用を促進することによって航路の存続を目指してまいります。
 医大の跡地利用につきましては、医科大学跡地利用懇話会の報告を基本として跡地利用に関する県の基本方針を策定しておりますが、本県の活性化に資するため跡地の早急な利用が必要であると考え、民間事業主体を選定するための事業コンペを実施してまいります。
 次に、快適な環境への新たな対応でございます。
 廃棄物対策につきましては、県として循環型社会の形成を目指した将来の廃棄物行政の基本方針を明確化するため、一般廃棄物を含めた廃棄物処理計画を策定するとともに、廃棄物行政の組織強化を図り、廃棄物処理に係る公的関与のあり方についても検討を行ってまいります。また、地場産業である繊維産業において、繊維廃棄物を利用したリサイクル製品の開発を支援することにより環境に配慮するとともに、廃棄物処理コストの削減による地場産業の活性化を図りたいと考えております。
 さらに、産業廃棄物の不法投棄による環境破壊が大きな社会問題となっていることから、県警に全国で初めての環境機動捜査隊を創設し、ITを駆使しながら県として市町村や関係機関と連携を図りながら、県民と警察が一体となって環境犯罪の一掃を図る「わかやま環境犯罪クリーン作戦」を展開してまいります。
 下水道の整備及び生活排水対策については、いよいよ今年の四月に紀の川流域下水道伊都処理区が供用開始いたしますが、これに続く紀の川中流流域下水道(那賀処理区)の整備に着手いたします。また、農山漁村の集落排水事業や合併処理浄化槽の整備等、生活排水対策を積極的に推進してまいります。さらに、水軒川の水質改善に着手し、和歌川とともに県都にふさわしい河川環境の創出に努めてまいります。
 このほか、県内のすばらしい海岸環境を生かし、海岸の散策やいそ遊びの場を提供するとともに、地元産品の販売等を行う「紀州なぎさの駅」構想を推進してまいります。
 本格的な少子高齢化社会を迎える中で、福祉保健医療の充実に努めてまいらねばなりません。
 まず少子化対策として、子育てに関する支援体制を強化し、安心して子供を産み育てられる環境の整備を図ってまいります。
 次に高齢者対策としては、高齢者の九割を占める元気高齢者に対する介護予防、生きがい対策を行う在宅高齢者総合支援事業の拡充や、要介護者対策として特別養護老人ホームやグループホームを初めとする介護サービス施設の整備に努めてまいります。
 障害者施策としては、重症心身障害児施設南紀福祉センターが完成するとともに、新たに知的障害者入所更生施設由良あかつき園の改築に着手するほか、全国ろうあ者体育大会の開催支援など、障害者の自立、社会参加の促進に努めてまいります。
 医療面の整備についても、高度医療や災害医療に対応できるよう機能の充実に努めるほか、ヘリコプターの救急活動への活用方策の検討を行ってまいります。また、医大看護短期大学部について、四年制看護大学が主流となっていることを踏まえ、四年制化に向けた検討調査を行ってまいります。
 次に人権・同和施策としては、人権の世紀と言われる二十一世紀の初頭に当たり、人権教育啓発に向け組織強化を図るとともに、県民交流プラザ和歌山ビッグ愛に人権教育啓発センターを設置し、総合的な人権教育啓発に取り組むとともに、地対財特法の最終年度を迎えた同和対策についても、教育・啓発・産業・就労対策等、残された課題の解決に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 二十一世紀における本県の発展には、豊かな心と個性、創造性を持ち、国際化やIT化などの情報化社会に対応できる人づくりが重要であり、教育を充実する必要があります。このため、教育改革に積極的に取り組み、きめ細やかな教育相談の充実や豊かな心をはぐくむ教育、ふるさと教育の推進に努めるとともに、中高一貫教育や単位制高校の設置など、多様で魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。
 スポーツでは、心豊かでたくましい子供を育てるため、小学生、中学生による市町村対抗ジュニア駅伝大会を開催し、各市町村の交流、連携を深めるとともに、県民の皆様に親しまれるスポーツイベントとして定着させていきたいと考えております。
 自己決定、自己責任のもと地方分権が進み、激しい自治体間競争の時代を迎えることになりますが、私は、それぞれの自治体の持つ特徴を伸ばし、確かな将来の展望を示しながら、その自治体の個性と魅力をつくっていくことが重要であると考えております。このため、新しい施策展開にあわせ県の組織機構の改革を図り、若手職員のアイデアが生かされる風通しのよい県庁づくりに努めるとともに、県内外の企業経営感覚等にすぐれた方々から成るアドバイザー会議を設置し、県政に対する提言や意見をいただくほか、県職員の幅広い視野の育成や政策形成能力の強化のため、他府県との人事交流を行ってまいります。
 さらに、事務事業評価システムの本格的な導入により事務事業の見直しについては一定の成果が上がったものと考えておりますが、引き続き実施するとともに、予算の執行に当たっても、予算がどのように活用され、その成果が上がったのかという執行管理、進行管理を重視していくなど、県政の構造改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、徹底した行財政改革を引き続き推進するとともに、県民自治を基本として行政と民間の役割分担の見直しを行う一方、住民活動であるNPO活動を支援しパートナーシップを築くことによってより活力のある住みよい地域づくりを推進するほか、男女共生のための条例づくりを目指すとともに組織強化を行い、男女共生社会の形成に積極的に取り組み、新しい県政の創造を図ってまいります。
 市町村合併は、地方分権の進展や国、地方を通じた厳しい財政状況のもと、住民ニーズの高度化、多様化や生活圏の広域化に的確に対応した行政体制の整備充実を図るための有効な方策であり、自主的な市町村の合併を推進することが必要であることから、合併推進に向けた県の組織強化を図るとともに、全国に先駆けた新しい補助制度や合併総合アドバイスシステムを創設し、合併の機運の醸成や合併に向けた取り組みを積極的に支援してまいります。
 私は、これからの県政は、社会経済情勢が刻々と変化する現在において、厳しい経済や財政状況を考慮し、時代潮流に即応した政策展開が重要であると考えております。このため、県政の構造改革を進めるとともに、新しい発想や潮流変化を取り入れながら、当面する県政の重点施策を明らかにする新しいビジョンを本年中を目途に策定してまいりたいと考えております。
 以上が、予算案の主な内容でございます。
 続きまして、条例案件等について、その主なものをご説明申し上げます。
 議案第三十七号は、わかやま館の一層の有効活用を図るため規定の整備を行うものであり、議案第三十八号は、県民の県政に対する理解と信頼を深め、公正で民主的な開かれた県政を一層推進するため、新たな情報公開制度に改正するものであります。
 議案第三十九号は、事務事業の整理合理化、事務改善等により知事部局の職員定数について、議案第六十号は、児童生徒数及び学級数の減少に伴い県立学校等職員の定数について、それぞれ削減し、定数を改めるものでございます。
 議案第四十号は、財政状況を考慮して知事等の給料を減額するものであり、議案第四十一号、第六十一号、第六十二号、第六十五号については、同じく財政状況を考慮して職員、教育職員、市町村立学校職員、警察職員のうち勤続二十五年以上の職員を中心に給料月額を減ずるものでございます。
 議案第五十五号及び第五十八号は、片男波ビーチ公園の駐車場、県営住宅海南駅前団地をそれぞれ設置するなどに伴い、規定の整備を行うものであります。
 議案第六十三号は、警察法の一部改正に伴い警察署協議会の設置について必要な事項を定めるものであり、議案第六十八号は、紀の川工業用水道事業の水道料金を改定するものであり、議案第六十九号は、社会経済情勢や他府県の状況等を勘案しながら、県民文化会館の使用料等について平均して四・六%アップの使用料及び手数料の改定をお願いするものでございます。
 議案第七十号及び第七十一号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第七十二号は紀の川流域下水道の一部供用開始に伴う維持管理費に係る関係市町の負担金について、議案第七十三号は包括外部監査契約について、議案第七十四号は訴訟の提起について、議案第七十五号から第七十七号までは工事請負契約及び工事委託変更契約について、それぞれ議決をお願いするものでございます。
 次に、報第一号は、県営住宅敷地の建物収去土地明渡請求事件に係る和解について、急を要したため、地方自治法第百七十九条第一項の規定による専決処分を行い、その承認をお願いするものでございます。
 諸報第一号は、和歌山工科大学整備事業の凍結に伴う教員予定者に係る損害賠償について、地方自治法第百八十条第一項の規定による委任専決処分報告であります。
 このほか、法人の経営状況を説明する書類を別途提出いたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 お諮りいたします。二月二十六日から三月二日まで、及び三月五日は議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、二月二十六日から三月二日まで及び三月五日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は三月六日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午前十一時五十三分散会

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