平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 五番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しを得ましたので、順次質問をさせていただきます。
 本会議も四日目となり、先輩・同僚議員の質問と重なる部分もありますが、当局によろしくご答弁願いたいと思います。
 まず新生和歌山の創造について、知事にお伺いいたします。
 知事ご就任以来三カ月、これまでのキャリアを存分に生かしつつ精力的に県政に取り組まれ、現地にも積極的に足を運ばれ、問題解決に努力されておりますことを多くの県民が受けとめております。木村知事、頑張れと。
 さて、二十一世紀の和歌山県のビジョン、つまり県づくりの基本構想についてどのようにお考えでありましょうか。私ども県民は、木村ビジョンをできる限り早く知りたいのであります。今は将来の見通しの全く立たない大変革の時代と言ってしまえばそれまででありますが、知事は選挙公報でふるさと和歌山創造計画を提案されております。そして、知事に就任されて九月議会における知事説明要旨で、一般県民に対する県政担当の抱負と県政の将来に対する展望を述べ、激変する時代認識を示しつつ、県政運営の基本的な考え方を三つ示されました。以上の所信表明に対して私が大きく感じました点を述べさせていただく中で、質問を行わせていただきます。
 第一は本県の目指すべき姿、第二は県政の目標、第三は県政のあり方についてであります。
 第一点は、「和歌山県の区域にとらわれない意識の上での開国、とりわけ大阪府との関係の重要性」の視点には、うなずけるものがあります。ご就任後、太田知事と両府県についての連携の語り合いを持たれたでありましょうか。
 第二点、「行政の役割に県民が多くを期待することよりも、むしろ県民みずからできることは行ってもらうという考え方に立って県民の県政参加を進める県民自治の発想が今後一層必要である」は、正論であります。私は、この考えに敬意を表します。
 このことに関すると思いますが、去る十一月、和歌山県経済同友会では提言を発表し、「和歌山県の発展へ官公優位改善を」というような見出しで各紙が報道をしていました。内容は、二十一世紀の和歌山県の発展を目指すには官公優位の社会を廃止し、行政、企業、市民の三者が共同するパートナーシップ社会の形成が必要であるという提言であります。現在の和歌山県は、強大な権限と資本を持つ行政が企業と市民を引っ張る典型的な行政主導となり、それが行政の慣行を優先する体質を助長し、地域の低迷に拍車をかけていると分析しています。この提言に対する知事のお考えをお伺いしたいのであります。
 第三点では、「県庁自身がより開かれたものとなり、県政の構造改革に取り組んでいく改革県庁を目指す。そして、県民の視点に立った県政を目指し、いわば「行政の棚卸し」──これは静岡県知事も言っておられます──とも言うべき、県政のすべての分野において聖域を設けない徹底した行政改革に取り組む。目的達成型の政策立案県庁に自己改革し、情報公開を一層進めていく」、大いに賛成であります。一方、政府も十二月一日に行政改革大綱を閣議決定し、特殊法人、公務員制度、公益法人、地方分権、中央省庁の改革を行い、行政の効率をより高めるとしております。
 ところで最近、県下の市町村では、財政難を理由に県は予算をカットし過ぎであると、県の財政難がそっくり市町村の財政難のしわ寄せにつながり困っておりますが、そうした中で、市町村も知恵を出してより改革が進むかもしれません。いずれにしても、国家財政が破綻に直面し、税収も伸びず、交付税も減り、市町村財政の危機が早晩やってくると言われております。問題は県の市町村に対する説明不足ではないかと思いますが、どのような基準でカットされたかなど、この点について知事のお考えをお尋ねいたします。
 次に、知事は今後の四年間を新生和歌山の創造の四年間と位置づけ、懸案事項として、財政再建、梅の生育不良、雑賀崎地区の埋め立て問題、橋本市の産業廃棄物問題を挙げ、さらに当面の五つの重点分野を掲げております。第一、産業の活力創造に向けた施策、第二、豊かな環境の創造に向けた施策、第三、安心して暮らせる社会の創造に向けた施策、第四、個性輝く人材の創造に向けた施策、第五に交流ネットワークの創造であります。
 厳しい財政難の中でも県勢の発展を大きく左右する基盤の整備もあり、めり張りのついた優先順位をつけ、重要なものから重点的に取り組んでまいる考えであるとしております。さらに知事は、本県が改革の先駆けになるという高い志を持ちながら地方から行動を起こすという意気込みで県政を推進してまいるという、大変格調の高い所信演説であり、評価をいたしたいと思います。
 さて、質問に入ります。
 平成十年三月に策定された全国総合開発計画「二十一世紀の国土のグランドデザイン」とその戦略推進の指針を読んで感じますことは、IT革命が日本の産業、経済、社会に与える変化をいまだ十分に織り込んではいないということであります。全総の柱が、一番目に多軸型国家構造への転換──太平洋ベルト地帯からです──二番目に参加と連携による戦略の推進の中で、本県などは多自然居住地域の創造が求められておりますが、一体私どもには、自然を多く残してかすみを食って生きていけと言われるのかと問いたいのであります。
 全総が異常に力を入れているのが、大都市のリノベーションであります。近年、政府、国会、経済界の主要な方々が声を大きくして、大都市は巨額の税金を吸い上げられて地方の公共投資にむだ遣いされているとする議論が高められており、マスコミも同調ぎみであります。しかし、大都市の方々は水、電気、食料、廃棄物処理などで地方圏に依存していることに心を配ってほしいと思いますが、地方に公共投資不要の論に対する知事のお考えをお尋ねしたいのであります。
 全総も、国土審議会政策部会が十一月中旬に開かれ、IT革命による世界競争の中で、全総の柱と国土利用計画の合体を目指した新たな報告書をまとめております。先行きの全く見えないまま二十一世紀に突入する「日本丸」でありますが、十二月五日には第二次森内閣がスタートしました。中央省庁の再編スタート、二〇〇一年一月一日を前に、一、経済新生、二、IT革命、三、教育、四、行革規制緩和の四点を基本方針として国づくりをしようとしております。この国の組織再編に対して県でも機構に検討を加えられるのかどうか、知事のお考えをお尋ねいたします。
 和歌山県では、国の全国総合開発計画と前後して第五次の長期総合計画を策定し、平成十一年三月にわかやま二十一世紀計画・第一次中期実施計画を平成十三年度まで計画してございます。これは前西口知事が策定されたものであり、木村知事がご就任されてどのようになされるのか、お考えをお尋ねします。
 各プロジェクトの中には完了したものもあり、全く未着手のものもあり、県民生活に直接かかわる問題であるだけに関心も高いのであります。しかし一方、IT革命による第二次の産業革命で、まことに激しい産業、経済、社会の変化にこれまでの計画で対応し切れないとする意見も多くあります。九月県議会における所信表明の中である程度述べられ、今後さらに詰めていきたいと申されております。そして、新生和歌山の創造を訴えておられます。
 知事は、十一月二十四日に関西プレスクラブで講演され、「開かれた県政の実現」と「自立」、「チャレンジ」をキーワードに、IT産業の育成を重点に府県間道路の整備に力を入れると強調されたと中央紙に書かれております。その方向性はすばらしいと思います。私が申し上げたいのは、去年の国のGDPが二%の成長率であるのに本県はマイナス一%である現実を見たとき、県政の立て直しについては多くの県民の皆さんが心配をしております。県財政のみならず、県勢全般について新生和歌山の創造を具体化し、計画化し、計画書として県民に提示していただきたいのであります。つまり、海図をつくり、「和歌山丸」を操縦していただきたいということであります。
 本来なら、予算編成前に策定し、予算化すべきでありますが、木村知事には余りにも時間が少な過ぎました。事務事業評価システムも実施されており、その結果も踏まえなければなりません。できる限り早い時期に、夢と希望の持てる内容を込めて木村ビジョンを策定していただきたいのであります。お考えをお尋ねいたします。策定提示は、情報の公開と県民が喜びと悩みを共有するということで意義が大きいのであります。
 次に、事務事業評価システムについてお尋ねします。
 二年ほど前、東京の地方自治経営学会──これは、学者、研究者、自治体関係者で構成する、地方自治の経営について本音で語る会で、海南市長や県職員も加わっております──で行政評価システムについて討論があり、この基調講演で北川三重県知事が三重県における事務事業評価システムの取り組みについて情熱をかけて話され、大勢の学会員に感銘を呼びました。
 簡略して申し上げますと、選挙戦の最中、行政改革を断行する、県職員の意識改革をするとアピールした北川さんがまさか当選するとは思わなかった大半の県職員は、黒船の来襲と警戒し、かたい表情と距離を置き、つまり改革に対して非協力的でありました。そこで北川知事は、「さわやか運動」を提唱しました。「さ」はサービス、行政の価値を高める、「わ」はわかりやすさ、生活者を基点に行政を見詰める、「や」はやる気、職員一人一人が目標を立てて挑戦する、「か」は改革、既成概念を捨て白紙で考える──このさわやか運動を部長会議に何度も諮り、がんがん意見を述べ、部長からもがんがん反応を受けた。こうした中から事務事業評価制度を生み出し、その内容を公開するという、これまでの日本の行政制度では考えられなかったシステムを構築したのであります。
 部の課長会議に出席し、課の課員会議にも知事が出席して、自分の意見をどんどん述べた。徹底して討論した。ある学者は、知事が県職員に挑んだ「知の格闘技」と言っておられます。寸分のない、間断のない徹底討議の積み重ねにより全国一と言われる事務事業評価システムを構築し、県民に対する公約を果たしたのであります。
 関西学院大学の石原俊彦教授は、三重県の事務事業評価システムの成功は一にかかって北川知事の強力なリーダーシップにある、その真のねらいは県職員の意識改革であると分析し、このシステムを他の府県に持ち込んでも決して成功しないだろう、魂を移さないと意識改革は起こらないと断言しております。この石原教授は、民間の公認会計士から教授になられ、行政評価システムの専門家として知られております。木村知事も、御前講義を受けられると大いに得るところがあると思います。
 先日、私は三重県へ参り、政策評価推進室の職員から説明を受けました。職員の意識は大きく変わりました、実は一直線にシステムが構築されたのではなく、途中難局もありましたが、この制度に対する市町村からの支援や他府県からの好反応、さらに中央省庁からの反響もあって前進しました、ということです。現在、三重県職員労働組合のアンケート調査では、このシステムを支持するとする者は約五〇%、反対は一三%、どちらかと問われれば賛成でないが二八%で、四〇%の不支持であります。理由は、オーバーワークで煩わしいと感じている様子であります。担当職員に本音を聞きますと、最初は賛成できなかったが今は積極的に評価できる、行政改革を断行するという北川知事のポリシーに引かれていると。
 さて、帰りに分厚い資料をいただいた。木村知事も絶えず事務事業の徹底的な棚卸しを主張され、財政課を中心に事務事業の評価を行い、取りまとめを進めておりますが、ここで知事にお尋ねいたします。
 厳しい財政状況の中、限られた財源の中で社会情勢の変化に的確に対応し、効率的、効果的な行財政運営を行うためには、費用対効果の判定を徹底する必要があります。また、地方分権の進展に伴い、県民と行政が共同して地域づくりを進めていくためには、行政活動の内容をわかりやすい形で県民に示し、県行政の透明性を一層高めていかなければなりません。
 ところで、この事務事業評価システムは五月に策定された財政運営プログラムIIの補完措置として策定されたものであるかどうか、さらに和歌山県行政改革大綱に基づくものであるのかどうか、お尋ねいたします。
 また、この作業実施に対する職員の感想はいかがなものか。外部から見ますと、財政課の担当ではなく、専門室と専門スタッフが必要ではないのか。結果として、事業のスクラップ・アンド・ビルド、サンセットの導入、ベンチマークの設定、公共事業の再評価が可能となるわけであります。
 三重県の事務事業評価は、今や行政評価にまで高められ、事務事業評価、施策評価、政策評価ということで三重のくにづくり宣言が出され、三重県長期総合計画のベースになっております。もちろん、七年の歳月をかけてであります。こうした経緯を見ますとき、愚見としましては、将来は企画部門での担当も考えられるところであります。
 自治省調査による各道府県のパソコン整備率を見ますと、和歌山県庁は約五〇%、つまり二人に一台の割であり、三重県は職員全員に配付済みとのこと。先ほどの関学の石原教授は、IT化なくして行政改革はあり得ないと断言しております。和歌山県も全員化に向けてご努力を賜りたいのであります。
 最後になりましたが、この評価システムの結果は一般県民に公開を予定されているのかどうか。冊子で配布されるのか、ホームページに入れられるのか。
 木村知事の「行政の棚卸し」、「聖域ない事務事業の見直し」はにしきの御旗のようになっており、県行政でも市町村でも影響を及ぼしつつあります。大いに頑張ってほしいと思います。もちろん究極の目標は、すばらしい和歌山県の創造であります。
 次に、企業誘致について知事にお尋ねいたします。
 和歌山県の景気がなかなか回復しない現在、東証一部上場の東急車輛製造の本県への誘致が決定したこと、久々の朗報で、県民の一人として大変うれしく思っているところであります。沈滞し、落ち込む一方であると考えている県民も多く、これが一つの弾みとなって次々と立地が進んでほしいものであります。
 企業立地が雇用を拡大し、製造品出荷額の増加を促し、県民所得を向上させ、地域が活性化することは、だれもが望んでいるところであります。県も努力を重ねておりますが、シンクタンク誌「二十一世紀WAKAYAMA」VOL三十一の巻頭言で木村知事も認めておられるように、新規事業所の開業率が全国最下位であります。
 最近、三重県の企業誘致が活発で、実績を上げている紹介がNHKテレビや月刊誌「日経地域情報」、通産省系の月刊誌「産業立地」等を拝読して、一体ここのノウハウは何かと考え、三重県の企業立地課をお伺いいたしました。工場を検討したいとクライアントが各府県に声をかけたとき、全国から一番早く知りたい情報を完備して提出するのが三重県であるとの評判が高いそうですね、外国から日本進出を図る企業の約三分の一が三重県に着地するとNHKテレビでも放映しておりましたが、どんな資料ですかと。通産省の工業統計表からまとめた全国の立地件数順位を見ますと、三重県は絶えず上位を占めており、和歌山県は常に下位のグループにあります。日本全体が景気の衰退とともに設備投資が減り、平成元年に四千百五十七件の立地がありましたが、経年的に減少し、平成十一年には全国で九百七十四件で、同年、三重県は三十八件、全国六位、比較して和歌山県は四件、全国四十五位であります。一体、彼我の差はどこにあるのでしょうか。
 私は、二つの点から尋ねました。一つは立地、二つは企業誘致スタッフであります。
 まず立地環境ですが、三重県は交通体系が極めてよい、鉄道、高速道路や国道、県道、市町村道が整備されている、工業用地は幾らでもあると言える、企業団地は二百五十ヘクタールほど抱えており、その他民間所有地も、求めればほとんどが可能、しかし今は買い手市場で、少しでも有利なものを物色される、名古屋に近い北勢地方で坪十万円強、津地方で坪十万円弱、伸びている伊賀地方でも坪十万円ぐらい、現在、東京、大阪での企業立地説明会は中止している、名古屋経済圏、大阪経済圏の両にらみの地点も有利であり、一つの傾向として、大きな企業、工場が進出すると、それに関連する企業の進出も多くなる、典型的なのは、シャープの液晶工場です、三重県ではクリスタルバレーと呼んでいるなどと担当者は淡々と話をしてくれましたが、やはり立地が成功すると課内は興奮するそうであります。モットーはスピード、そしてワンストップサービスとのことであります。
 二点目の企業誘致スタッフ体制では、平成八年に本庁企業立地課が十二名であったが、平成十二年には企業立地課十七名、東京二名、大阪四名、福岡二名、北勢県民局二名、伊賀県民局一名、全二十八名体制で企業誘致に取り組んでいる、特に県外の東京、大阪、福岡はホームオフィスとし、日々パソコンで報告をする、三重県の特色は、製造企業関連が多く、サービス業関連や情報関連が少ないこと、今後の課題は、IT関連の人材を育て、一、情報系、二、医療系、三、環境系、四、海洋関連にも力点を入れていきたいと語ってくれました。そして、和歌山県さんは今大変熱心ですね、優遇措置も三重県より充実していますねと。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 企業誘致について、選挙公約でも九月議会での所信表明でも触れられておらず、和歌山への企業誘致は無理と考えておられるのではないかと私は思っておりましたが、冒頭の東急車輛製造の誘致の成功で、知事は、これを弾みとして企業誘致活動に積極的に取り組むと表明され、一つの方向を伺いました。企業誘致はトップセールスが決定打になることが多いと聞きます。今後、知事はそうしたアクションを起こされるのかどうか。三重県での誘致スタッフのあり方、なかんずく東京、大阪、福岡の八名のスタッフは自宅にパソコンを配備し、ホームオフィスとして時間の有効利用とリアルタイムな交渉結果を把握しているということに感心しました。本県もこうした配置は可能と思われますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、本県の地価が高く、企業が難色を示すケースがほとんどである実情を考え、例えば和歌山市内にある県有地を低価格でリースするような方策が打ち出せないものかどうか、あわせてご答弁を願いたいと思います。
 次に、海洋深層水について知事及び関係部長にお尋ねいたします。
 先般、県議会総務委員会では新潟県及び山形県へ、日本海LNG新潟基地及び酒田港の整備状況の県外調査を行いました。LNG基地のスケールと防災管理システム、無事故実績等、学ぶ点が多くありました。帰途、「新潟日報」を読んで、ああまた負けるかと思いました。昭和四十八年、和歌山県東京事務所の行政課長として勤務当時、文部省が全国で三校の科学技術大学を設立すると発表し、当時の故大橋知事から誘致合戦に負けるなと励まされたのでありますが、三校目に決まった新潟県長岡科学技術大学に負け、和歌山県が四番目となり、誘致できなかった経験がございます。「新潟日報」に出ていた記事は、海洋深層水について、県が新企業の創出として取り組むこと、関係五部長が集まって十二月県補正予算に一千二百万円の調査費を計上すること、また体制をつくること等を決定したとありました。
 この海洋深層水の本県での取水事業化について、平成十一年六月定例本会議で質問をさせていただいたところであります。それまでも私は海洋深層水の調査をしてまいりましたが、国の補助が高知県、富山県、沖縄県、そして現在静岡県が工事中で、あと一県か二県で海洋科学技術センターも終わりになるのではないかとうわさされ、和歌山県も何とか対象にしてもらえるよう頑張ってほしいと質問をさせていただきました。
 木村知事もご存じと思いますが、水深三百メートル以下の深海から湧昇するポイントがよく、全国で十六カ所ほど見込まれ、本県では、潮岬から太地町までが有力地とされております。低温・安定性、清浄──細菌がないということです──富栄養性、熟成性、ミネラル特性があり、無尽蔵の海洋資源として脚光を浴びております。水産、食品、農業、環境保全、健康、美容、医療分野など研究や開発が進められ、海洋深層水ニュービジネスとして、地域特性を生かした地場産業としてこれからますます成長が見込まれてございます。
 沖縄県は専らミネラルウオーターと食塩、富山県はタラソテラピー──温泉的な利用です──高知県は食品、美容、医療、ミネラルウオーター等、食品関連への進出に意欲的です。橋本高知県知事は特に熱心で、これまで水産試験のみに利用していた深層水を食品関係へ無料分水を開始してから新規産業が勃興しました。ミネラルウオーター、豆腐、パン、化粧品、酒類等、昨年度の関連商品の総売り上げは三十六億円に達しております。
 去年六月の質問後、室戸岬へ串本町の友人たち、県水産課の皆さんと視察に行きました。ポンプアップ場の近くに既に化粧品会社、製塩会社、その他の関連する工場が建設され、ミネラル工場では注文をさばき切れない伝票が山積みされていました。その後、橋本知事は、大阪、東京で深層水商品見本市を開き、トップセールスをしております。
 さらに、私は焼津市の工事現場も視察してまいりました。本年一月にはハワイ島の州立ハワイ自然エネルギー研究所──世界一の海洋深層水研究所と言われております──に行ってまいりました。直径九十センチの合成ゴムホースで深さ六百メートルのところから一秒間に一・八トンをくみ上げて農業用、養殖漁業用にしており、日本から進出した養殖業者は、来年は施設を倍にすると成功を話してくれました。お会いした所長は、再生可能な無尽蔵の資源、利用はこれからが楽しめるとのことであります。
 さて、昨年の質問に対する副知事の回答は、「本県の恵まれた立地条件を有効に生かせるこれからの貴重な海洋資源の一つであると認識してございます」、「今後(中略)全庁的な対応が必要と考えてございます」、「例えば潮岬沖の大水深部からの取水、含有鉱物資源の研究など、他県にはない特徴を考慮しつつそれぞれの分野で取り組みを検討してまいりたい」とありました。
 そこで、その後の海洋深層水事業へのお取り組みをお伺いいたします。
 串本町では、一日でも早い県の取り組みに期待し、町内外の学識経験者、有識者から成る委員会をつくり、調査に取り組んでおります。串本町は前回の国勢調査で千人減少し、今回の調査予測では七百人余の減少と激しい人口流出で、経済・産業等あらゆる分野での衰退と所得の減少に、もう待ったなしの状態であります。やはり、働く場、雇用する企業がないと人口減少に歯どめがかからない。
 木村知事は、目下、新規産業おこしを県民に訴えておられます。県においては、関係組織、機関の職員から成る研究会や国、大学の研究所から構成する委員会を設置して取り組んでいただきたいのであります。わかやま学で自主研究者に深層水研究の助成を行っていると聞きますが、企画部長にお尋ねします。
 また、取水装置の建設を県が担当していただけるのか、町に補助して第三セクターで運営するか等、具体的に詰めていただきたいのであります。今後の事業化の見通しとワーキンググループの取り組み等について農林水産部長にお尋ねします。
 串本町においては、何とかやってみたいと訴えております。どうか、前向きな検討を賜りたいのであります。
 次に、浮き魚礁(パヤオ)について農林水産部長にお尋ねいたします。
 和歌山県では、漁業資源の減少と輸入魚価に押され、県下の漁業者は低収入にあえいでおります。平成十年十二月県議会定例本会議において、私はこの対策として、沖縄県で広く普及しているパヤオ漁業を提言いたしました。改めて若干の説明を申し上げますと、パヤオ漁業はフィリピンの語源で、竹のいかだを浮かし、海底にいかりを沈めて固定するとその下に魚が集まり、それを一本釣りするというものであります。
 沖縄県で開発された先端漁業とも言えるパヤオ漁業は、台風や船による損失を防ぐため、水面から三十メートルから五十メートルの中層に設置するもので、直径五十センチの樹脂の浮き玉を百個ほど詰めた網かごを海底にいかりを入れてロープで固定します。それに大中小の魚が集まり、好漁場となります。私も視察に参り、その後、県議会農林水産委員会──委員長は大沢県議でありました──では、沖縄県糸満漁業協同組合を視察し、沖縄県全体で二百基ほど投入、糸満漁協では十二基を持ち、もはやパヤオなしでは漁業は考えられないと話してくれました。そして、本県も導入をしていただきたいと質問しましたところ、早速試験的に太地沖、すさみ沖、日置沖と三基投入してくれましたこと、この場をかりて厚くお礼申し上げます。
 聞くところによりますと、今後平成十四年から国の応援を得て相当数投入を予定しているそうでありますが、具体的にどのような今後の投入計画でありましょうか、お尋ねいたします。
 それと、若干気にかかることでありますが、一部の漁業者から、パヤオを深く沈め過ぎ、百メートルから百二十メートルでは魚群探知機で見ても魚がついていない、もっと浅いところ、三十メートルから五十メートルに保つ必要があるのではないかと思うという指摘があります。一度、当局で調べていただきたいのであります。
 最近、すさみ町議会議員の方から連絡をいただきました。すさみ町産業建設常任委員会では山口県阿武町と宇田郷漁業協同組合に調査に参り、間伐材魚礁を詳しく調べております。県単農山漁村整備事業を活用して杉・ヒノキの間伐材を道路渡しで一本三百円で購入、組合員が総出で運搬、浜で井げたに鉄筋で組み、おもしに砂袋をつり下げ、海底五十メートルから七十メートルのところに毎年百基、約三百万円──うち県と町の補助が二百二十五万です──をかけて、四、五年続けてやっております。間伐材を活用するということでユニークな視点と、杉・ヒノキという自然を汚さない材料で注目を浴びております。魚は根魚が主体でございますが、かなり効果がありそうで、和歌山県でも力を入れてほしいと言われております。農林水産部長のご見解をお尋ねします。
 次に、東の川林道についてお尋ねいたします。
 これまで県内二時間構想で圏域内交通体系の整備に重点を置いてきた戦略について、木村知事はこれを転換し、県外へ何時間でアクセスできるかが重要と発表されております。大阪府ともっと緊密な産業・経済の連携や企業誘致、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの客を白浜へ誘うこととか、名古屋市の大水害で紀南、勝浦の観光客に大きな影響があったことを考えるとき、うなずけるものがあります。もちろん、その実現には相当厳しいものがあります。
 さて、こうした幹線道路の整備の成功により、人と物の移動が一気に変わったのが国道三百十一号の完成であります。この影響で国道四十二号の車両が大きく減少しております。この影響の問題は改めて質問いたしたいのでありますが、先般、この国道三百十一号が本宮町武住地区で大きな崩落があり、数カ月にわたって通行どめになった記憶は新しいのであります。
 そこで強調したいのでありますが、動脈に支障ができればバイパスの整備を日ごろから考えておく必要があります。中辺路町の幹線林道東の川線は、中辺路町野中を起点──これは国道三百十一号のところであります──にして本宮町三越に至る広域林道龍神本宮線に接続する四・六キロ、幅員五メートルであり、森林開発のために平成十年から県が鋭意取り組んで、現在三二%の進捗率となっております。この林道が完成いたしますと、国道三百十一号バイパスの機能を果たします。
 そこで農林水産部長にお尋ねいたしますが、県では東の川林道の整備を今後どのような計画で進められるのか、いつ完成するのか、お伺いいたします。
 今議会の最終質問者に立たさせていただいたことは、まことに光栄であります。二十世紀最後の県議会一般質問者になるということで、いささか意識するところ大でありました。ご清聴、どうもありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、大阪府との連携についてということでございます。
 私は、新しい変化の時代に、和歌山という枠にとらわれず、内外を見渡す大きな視野を持って開かれた和歌山を目指していきたいと考えております。このような考え方から、これからの県政は他府県との連携が重要であると考えております。
 現在、大阪府との間には、府県間道路の整備を初め関西国際空港の全体構想の実現や両府県の地域住民の交流等、連携し、協調して取り組まなければならない課題が数多く存在をしております。このため、私もいろいろな機会をとらえ、大阪府の知事と話し合いの機会を持っていきたいと考えております。
 また、太田知事の方からも、大阪府と三重県、和歌山県の三県で会合を持とうというふうな提案もあり、速やかに相互の役割分担を明確にするなど、課題を十分整理した上で県勢の発展のため忌憚のない協議を行ってまいりたいと考えております。
 次に、和歌山経済同友会の提言についてのご質問でございます。
 ご指摘のように、和歌山の場合、ともすれば行政、特に県が予算規模等も大きいので中心になりがちな体制にあるということは、そのとおりであります。しかしながら、今後の県政を進める上からはこのような状況を改め、行政と企業、県民がお互いの役割を分担しつつ、パートナーシップを発揮しながら豊かな県づくりに取り組むことが大変重要であると認識をしております。本県でも、情報公開の一層の推進やアドバイザー制度の導入の検討など、開かれた県政の実現に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、行政情報の提供、県民ニーズの反映、県民主役の地域づくりの推進など県民参画による県政の推進、そして活発な企業活動と産・学・官による共同研究等の推進、分権型社会にふさわしい国、県、市町村の役割分担の明確化、近隣府県との連携などに積極的に取り組み、パートナーシップ社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
 次に、市町村補助金の見直しについてのご質問でございます。
 本県では、地方分権推進計画に基づいて平成十一年一月に和歌山県行政改革大綱を策定いたしましたが、その中で行政改革の基本的視点の一つとして責任領域の見直しを掲げ、行政と民間の役割分担の明確化とともに、県と市町村の役割分担の明確化を図ることといたしております。
 また、昨年八月に策定した財政運営プログラムにおきましても、財政健全化に向けて県と市町村の役割分担を明確にするとともに、市町村に対する既存の県単独補助金についても見直しを図ることといたしております。しかしながら、これは単なる負担転嫁ということではいけないわけでございまして、市町村が県同様に厳しい財政運営を余儀なくされていることを十分認識しつつ、市町村への補助金の見直しに当たっては内容を十分に説明して理解を求めていくことが必要であると考えております。
 次に、地方には公共投資が不要という考えについてどういうふうに考えるかということでございます。
 不況が続く中で都市部と地方との対立が高まってきており、その中で地方に対する公共投資の不要論というものがいろんなところで出てきております。確かに、従前に比べれば地方においても基盤整備が相当に進んではまいりましたが、いまだ都市部との格差が大きく存在することから、ご指摘の公共投資不要論というものは非常に偏った見方ではないかというふうに考えております。特に和歌山県では、府県間道路や都市計画道路等の道路整備、下水道整備など、これから対処していかなければならない課題がたくさん残されているわけでございます。また、来るべきIT時代への対応など、新しい分野への投資も求められております。
 厳しい財政状況の中ではございますが、効率性、緊急性、効果等を厳しく検討し、二十一世紀の本県の発展に必要な事業については今後とも積極的に取り組んでいく必要があるものと考えており、公共事業も必要であると考えております。
 次に、中央省庁再編に伴い本県の機構改革を行うのかということでございます。
 県の機構改革につきましては、行政需要の質的変化に的確に対応し、簡素で効率的な行政体制を目指して整備を行っているところでございます。
 中央省庁の再編に伴う機構改革につきましては、再編が行われてから当分の間、状況がはっきりしない面もございますので、そういうふうな今後の状況を見きわめながら県の方でどういう対応をすればよいか、真剣に検討していきたいと考えております。
 次に、長期計画の取り扱い、そしてまた新生和歌山のビジョンの策定についてのご質問でございます。
 本県を取り巻く経済情勢には依然として厳しいものがある一方、インターネットの普及に代表される情報技術革新は、産業活動や県民生活に大きな影響をもたらすものと考えております。これらの新しい潮流に対応するため、現行の長期総合計画を参考にしながら活力を高め、県民の指針となるようなビジョンを早急に取りまとめていきたいと考えております。
 内容につきましては、現在の和歌山県が置かれている厳しい現状の認識を基本に置いて、その上で、これから交流や連携を促進する交通通信ネットワークの整備であるとか、IT技術を初めとした新産業の創出・育成であるとか、だれもが安心して暮らせる社会の構築、潤いや安らぎを感じる快適な環境づくり、情報化、国際化等への対応というふうな事柄を基本にしつつ、新しいビジョンというものをつくっていきたいと考えているところでございます。
 それから、事務事業評価システムについてのご質問でございます。
 事務事業評価システムは、新しい時代に向け、説明責任と成果主義による効率的で効果的な行財政運営を行うため導入いたしたところでありまして、財政運営プログラムIIにおいても事務事業見直しの有効な手段として位置づけをしているところでございます。
 また、平成十一年一月に策定した和歌山県行政改革大綱においても事務事業の見直しを大きな柱の一つとして掲げているところであり、行革を進めていく上でも有効なシステムであると認識をしております。
 次に、事務事業の評価結果については年度内の取りまとめを目標としており、またその結果については、通常の公表手段のほか、県のホームページを活用するなど、県民の皆様にできるだけ見ていただきやすい方法を研究していきたいと考えております。
 次に組織体制についてですけれども、本年の評価作業等も勘案しながら、評価システムの充実に向けて不断の努力を重ねていきたいと考えております。そして、この事務事業評価システムを含む行政評価の将来におけるあり方については、他府県の先進事例なども研究しながら、その所管も含め、今後積極的に検討していきたいと考えております。
 なお、ご質問の中にありましたパソコンの導入でございますけれども、来年は本庁で一〇〇%導入を目指して対応していきたいと考えております。
 それから、企業誘致の関係でございます。
 企業誘致につきましては、近年、工場立地件数が全国的に大きく低迷しており、依然として厳しい環境が続き、地域間の競争は一層激しいものとなっております。こうした中で、道路、通信など産業インフラの整備を進めることはもちろんのこと、いかに効果的、効率的な誘致活動を進めていくかが重要でございます。今後、企業情報を収集するための人的ネットワークの構築や和歌山の地域資源を活用できる企業の発掘等に努めてまいりたいと考えております。
 ご質問の、専門知識を有するスタッフの配置、県外駐在員の充実、ホームオフィス等、効果的な誘致の手段についても真剣に検討してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、経済の発展なくして和歌山の発展なしという信念のもとにいろんなことを進めていきたいと考えているところでございます。
 次に、高地価の本県への企業誘致に当たり県有地のリース検討をということでございます。
 全国的な地価の下落傾向の中で、工業団地価格に対する企業の関心には非常に高いものがございます。こういう中でどういうふうに処分していくかということでございますが、企業ニーズに則した用地の販売方法について、リース制度も含め、解決策を見出していきたいと考えております。
 企業の立地は、雇用の拡大を初め、さまざまな経済波及効果が期待できることから、企業誘致を本県経済の発展にとって重要な施策として位置づけ、私自身も関西の経済界の知人等に当たるなど、先頭に立ってこの企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、海洋深層水事業への取り組みでございます。
 海洋深層水については、本県の地形的条件を考えると、注目に値する海洋資源の一つであろうと考えております。高知県、沖縄県等の先行県に触発され、各地で取り組みが始まると聞いております。そうした中で、本県でも庁内にワーキンググループを設置し、水質や利活用方法でよそにはない特徴づけが重要であるとの考えのもとに、和歌山県沖の試験採水と水質分析に着手しております。
 今後は、本県の海洋深層水の利用をどの分野に定めるかが重要であり、水質等の分析結果を待って、深層水の利活用に関する委員会の設置等を含め、今後の取り組みを検討してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 海洋深層水事業への取り組みについてのうち、わかやま学の助成対象研究の内容につきましてお答えいたします。
 本年度のわかやま学の助成対象研究の一つとして、「黒潮系深層水の物性および活用に関する研究」が採択され、現在、研究が鋭意進められているところであります。
 研究内容としては、本県南部で採取した海洋深層水を化学分析し、他県の深層水との比較検討によりその物性を明らかにするとともにその特徴を生かした利用方法を提案するというもので、来年三月には報告をいただくことになっており、本県における海洋深層水の事業化可能性を調査する上で貴重な基礎資料になるものと考えております。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 海洋深層水事業の取り組みについてに関しての、ポンプアップ装置の国の補助の今後の見通し、水産関係への利用の可能性及びワーキンググループの取り組みについてのご質問にお答えいたします。
 海洋深層水のポンプアップ装置に対する国の補助制度につきましては、水産庁では、取水から配水までの供給施設が対象となる漁港漁村活性化対策事業がございます。その利用についてでございますが、漁協あるいは公的機関が行う食品衛生上の農産物の取り扱い面やつくり育てる漁業への支援に関する事業が該当いたします。
 種苗生産や養殖等への利用は先行する各県で試みられており、興味深い結果が得られているようでありますが、いずれもいまだ実用化には至っておりませんので、それらの動向を十分把握した上で今後の参考にしてまいりたいと考えております。
 また、ワーキンググループの取り組みの状況につきましては、本年度は六月二十日に関係部局担当者による第一回目のワーキングを開催し、連携を図りながら調査研究に関する取り組みを進めてございます。
 現在までに二回の試験採水を行い、調査分析を実施しているところであり、十三年一月に第三回目の試験採水を行う予定でございますので、その分析結果を待ってワーキングとしての検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、浮き魚礁(パヤオ)の設置のご質問でございます。
 中層型浮き魚礁につきましては、平成十一年度に試験設置した紀伊水道外域二基、熊野灘海域一基について、現在、集魚効果調査を実施しており、平成十三年度まで継続することとしてございます。
 国におきましても、平成十三年度から新しく始まる水産基盤整備事業のメニューに中層型浮き魚礁を採択するべく作業を進めているようでございますので、本県における効果調査の結果を考慮しつつ、平成十四年度以降に紀伊水道外域から熊野灘沖合にかけての適地に合計十基程度設置できるよう、事業採択に向けて努力してまいります。
 なお、設置水深についてでございますが、カツオ・マグロ等を対象とする場合の中層型浮き魚礁の有効な水深は百五十メートルまでが適当であるという報告がなされているところでございます。さきに設置した試験礁の水深を音波探知機によって測定した結果、約六十メートルから百二十メートルとなっており、有効な範囲にあるものと考えておりますが、今後の事業展開に際しては種々の条件を勘案し、最も効率がよいとされる水深に設置できるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、間伐材を利用した魚礁についてでございます。
 魚礁の設置に際しましては、県は魚礁等設置事業実施要領により、十年以上の耐久性があることと指導しております。さらに、国庫補助対象とするには三十年以上の耐久性が必要とされております。
 木材は、海水中では、キクイムシやフナクイムシの食害等により二、三年で腐食する傾向にありますので、その耐久性に問題がございます。また、腐食・分解された木材破片が散逸することにより、網を使用する漁業や周辺の自然環境に及ぼす影響等についても慎重に検討しておく必要があると思います。したがいまして、現状では間伐材等を利用した魚礁による漁場造成の事業化は難しいのではないかと考えております。しかしながら、間伐材を利用した魚礁につきましては、国でもその試験・調査の計画があると聞いておりますことや、本県においても木材利用拡大の観点からも、今後、地域の動向や国等の調査結果を待って対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、林道東の川線の建設促進についてのご質問でございます。
 この道は、昭和四十一年に完成して以来、地域の道路ネットワークの一つとして重要な役割を担ってきてございます。しかしながら林道の構造は、幅員が狭く、また通過する道路沿線の大半が急峻で、絶壁に近いV字型の地形のところもあることから、木材搬出などの車両通行の一層の安全を確保するため、県としましては、幅員の拡幅やカーブの改良、ガードレールの設置など、改修工事を進めているところでございます。
 議員お話しのとおり、この道は国道三百十一号で結ばれている中辺路町と本宮間を迂回することのできる唯一のもので、迂回に要する時間は約五十分となってございます。
 財政事情の大変厳しい中ではございますが、早期完成に向け、西牟婁側と東牟婁側の両端の二工区から実施するとともに、コスト縮減のための省力化工法を採用するなど、効率的に工事を進めてまいる考えでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 五番堀本隆男君。
○堀本隆男君 大変ありがとうございました。
 今、日本のディジタルカメラは世界の八〇%を生産し、さらに飛躍的に伸びつつあります。日本の新幹線が台湾と契約され、回漕することが決まりました。NTTドコモ携帯は、世界へ大きく展開が期待されております。日はまた上る──二十一世紀を信じ、本県もまた輝く新世紀となることを祈ってやまないところであります。
 どうもありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第三 請願付託の件】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第三、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。明十四日及び十五日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、明十四日及び十五日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、十二月十八日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十八分散会

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