平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入っていきたいと思います。
 初めに、観光レクリエーション事業について質問を申し上げます。
 冬の訪れとともに、ことしも母なる紀の川の水辺にシラサギやカモの群れが静かに羽を休めている風景が見られるようになりました。紀の川大堰も、平成十四年に本体供用に向けて工事が進められているところです。巨大なコンクリートの堰柱が居並ぶ姿は、これまでの景色を大きく変化させつつあります。
 さて、観光レクリエーション事業は、紀の川リバーサイドグリーンベルト構想の基本計画に基づき、県が事業主体となって九ホールのパブリックゴルフ場を建設する計画であります。このゴルフ場計画については、平成九年九月議会で私どもは、上水道の水源近くで農薬を使うことから言って計画の中止を求めてきたところです。この総事業費は約十六億円で、この財源は、紀の川大堰事業に伴う河道掘削工事による砂利採取を平成八年から平成十三年度にかけておおむね二百七十万立方メートルを採取し、十億六千百六十万円の財源を確保してゴルフ場を建設しようとするものであります。しかし、この基本計画に示された砂利採取量とその財源確保は極めて困難な状況になっております。皆さん方の手元にも、「年度別砂利採取量と全体計画に対する進捗率」表を配付させていただいておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 砂利量では、目標二百六十五万四千立方メートルに対し、平成十二年十月三十一日現在では、わずか四十三万立方メートルにすぎません。一六%の進捗率です。財源収入においても、目標額十億六千百六十万円に対し、十分の一という一億七千万円であります。このような状況では、ゴルフ場建設に必要な総事業費十六億円の確保は不可能です。起債という借金をつくってまでも計画を進める必要のない事業だと、私は考えるものです。これは、事前調査や計画見通しでは、専門的知識と専門的技術をもって行われた計画であるはずです。
 そこで企業局長にお尋ねをいたしますが、これまでの事業の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。特にゴルフ場用地の買収、そして砂利採取と財源確保について詳しく説明していただきたいと思います。
 土木部長にお尋ねするものですが、もはやゴルフ場計画は破綻していると言えます。財源保障のないこの計画はきっぱりと中止し、県民の意見を聞き、新たな憩いのある公園整備を検討されたらいかがなものでしょうか。土木部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、県職員の超過勤務にかかわって質問をいたします。
 具体的な質問に入る前に、県職員初め地方自治体で働く人々は、その自治体に雇用されて働く労働者であるとともに、住民全体に奉仕するという特殊性を持つ職務を行っておられます。もちろん、自治体の財源は住民の皆さんが納める税金を主としているわけですから、人件費を初め行政経費は、住民負担の点から言ってもなるべく少ない方がよいのは当然です。それは、行政当局が住民の皆さんの生活を守り、安全な県土をつくり、営業を大切にするなど、積極的な活動を行うことを前提にしてのことであります。また、超過勤務をできるだけ少なくするために適正な人員配置が必要でしょう。この上に立って、県職員の超過勤務手当が完全に支給されていないのではないかという点についてお尋ねを申し上げます。
 知事部局での職員の超過勤務時間について、九〇年から九九年までの十年間を見てみます。最も残業が多かったのは九六年度の百三十万四千時間で、最も少なかったのは九〇年の八十七万七千時間です。この間の傾向としては、九六年までは毎年残業がふえていましたが、九七年からは減少に転じているということになります。
 さて、超過勤務手当は、労働基準法や県の給与条例によって翌月の給与支給日に支払うことになっております。和歌山県においては、各課によっても異なるそうですが、必ずしも前月の残業賃金のすべてを支払うことにはなっていません。毎月の超過勤務手当の金額は、各課などに割り当てられた超過勤務の予算と実際に必要な超過勤務手当の金額とを見て、本来支給しなければならない金額の何割かを支給しています。年度の終わった時点で、県全体の超過勤務手当の範囲内で残りの額を支給する仕組みになっています。これは「超勤清算」と呼ばれているものであります。
 そこで、総務部長にお尋ねをいたします。労働基準法でも県の給与条例でも、超過勤務手当は翌月の給与支給時にその全額を支払うことになっており、現在行われているこのような支給方法は労基法にも給与条例にも違反する疑いが濃いと私は考えるものですが、総務部長の見解をお示しください。
 次に、県全体の超過勤務手当の予算を実際に残業した時間から計算される超過勤務手当の額で割った額を「充足率」と言うそうです。この充足率を知事部局について見ますと、九一年、九二年が五四%、九三年が四四%で、九六年までは五〇%をずうっと下回っています。九七年になって五九%、九八年が八〇%、そして九九年が八八%とのことであります。これはあくまでも平均の充足率で、課によってはこれを下回るところもあると思うのです。
 ことしは昨年よりさらに充足率が上がるとのことですが、これは職員の超過勤務時間、支給額が大きく減るとの見込みからで、超勤手当の総額は昨年より減少するようです。もちろん、超過勤務時間が減少し、健康を壊すような勤務が少なくなるのは喜ばしいことでもあります。
 さて、九八年の充足率は八〇%ですが、この年に実際に支払われた知事部局での超過勤務手当の総額は十八億二千万円です。残りの二〇%は四億五千五百万円。これが未払いの超過勤務手当です。九九年の充足率は八八%で、実際の手当支給額は二十億二千万円ですから、未払いの手当は二億七千五百万円にもなります。このようにして計算をしてみますと、九六年の未払い額は十八億五千万円にも上り、九七年の未払い額は十一億九千万円にもなります。何と、この四年間だけで約三十八億円の未払いの超過勤務手当になります。これは知事部局だけですから、教育委員会や警察を含めれば超過勤務の手当の未払いはもっと大きくなると思うのです。
 そこで、総務部長にお尋ねをいたします。賃金の時効は、労働基準法百十五条で二年となっています。今から二年前にさかのぼって、支給されていない超過勤務手当の未払いを支払う義務が生じると思うのですが、総務部長の見解を求めるものです。
 次に、超過勤務時間を減らすための方策に関連してお聞きを申し上げます。
 県は、九八年から一カ月の超過勤務時間が六十時間を超えた職員がいる課などから超勤が多くなった理由書の提出を求め、ことしからは四十五時間を超えた場合に理由書を書いて提出してもらっています。ことしの場合、四月から十月までの七カ月で、知事部局全体で千百三十七件の理由書が提出をされています。これには各振興局も含まれておりますが、総選挙や知事選挙があった関係で市町村課が累計六十七件と多いのは、いたし方がないかもしれません。日高建設部で六十一件、財政課で四十二件、有田建設部で三十三件と、慢性的に長時間の残業をしなければ業務をこなせない状態にあるのではないかと感じられます。同時に、理由書を書かなければならないことは、超勤の申請をすることをためらわせる一因にもなるのではないでしょうか。このことを私は危惧いたします。
 総務部長にお尋ねします。実際に残業しても理由書を提出しなければならないことが何らかの足かせになって超過勤務の申請をためらわせることになっていないでしょうか。超過勤務を減らすことが目的ですから、超勤が集中する部署には必要な人員を配置する、それが基本的な方策ではないかと考えるものです。いかがでしょうか。
 医大学長に要望をしておきたいと思います。日本医労連がこの十一月に出したパンフレット「第六回全国一斉「看護婦一一〇番」報告書(速報)」を見てみますと、ここにたくさんの声が寄せられているわけです。娘の勤務時間が長いので心配、日勤は夜十時過ぎ、準夜は朝方、深夜は昼までに帰ってこない、残業手当も出ない、疲れ果てており、とても見ていられないというご両親。仕事が多忙でなかなか終わらないし、その後に記録が残る、帰るのは日勤で十九時から二十一時になるが時間外手当がない、深夜勤務も昼までに終わらない、やめる人が非常に多い、賃金は十六万円ぐらいだといった声が寄せられているのです。私のところにも、医大で働くナースの両親から同じような声が寄せられてまいりました。医大では医師の超過勤務が最も多いとのことですが、医療現場の特質から言って仕方のない面もあろうかと思います。超過勤務をした医師や看護婦などにはきちんと手当を支給する、超過勤務をした人は原則的には超過勤務の支給を申請できる状態、そういうシステムづくりにぜひ改善していただきたいと要望をしておきます。
 次に、住友金属での労働災害について質問を申し上げます。
 住友金属では、ことしの夏に海南工場で起きた労働災害が私傷扱いとなっていた、いわゆる労災隠しが明らかになり、私ども日本共産党は、十月二十七日、住友金属和歌山製鉄所の所長あてに労働災害の根絶と労災隠しに関する申し入れを行いました。面接にも行ってまいりました。四点にわたって安全対策を文書で要求してまいったところでございます。
 労働災害隠しは、けがをした労働者の治療と休養に専念することを妨害しているだけでなく、再発防止対策の不十分さは労働者の安全と命を軽視する人権侵害であり、労働安全衛生法百条に違反する刑事処分、司法処分に該当する重大問題だと考え、あえて私は質問をするものであります。
 住金和歌山製鉄所では、過去にも工場内での作業中に感電死した労働者を私傷と偽ったり、千六百度の銑鉄に足を滑らせ、大やけどをして長期に入院している労働災害を隠したり、あるいは深夜に両足骨折しても翌日には退院をさせてギプスを巻いて松葉づえで出勤させ、軽い災害にしたり、また太ももを十針縫う災害をズボンを切っただけのことにしたりと、数々ありました。こうした住金の労働災害隠しに対して、八七年十二月には和歌山労働基準監督署が住金の社長じきじきに直接警告する、異例中の異例の警告書の処置がとられてきた経過もありますし、またこの問題は国会でも取り上げられて、労働省もびっくりするという状態でもありました。
 労働災害は、少なくとも、起こった事故災害については正式に手続をして、労働者に対しては万全の治療を保障する、再発防止策をとるというのが企業に課せられた義務でもありますし、企業の当然とるべき責任でもあります。また、下請や孫請、ひ孫請では、労働災害が発生したら住金構内への出入りを禁止されたり、仕事ができなくなるおそれもあります。ですから、発生した労働災害を明らかにしたくないと考える気持ちもわかるところであります。
 今、住金で働く労働者と家族、下請企業は、昨年から住金が推進しているリストラ合理化のコスト削減三〇%を柱とする経営改革プランで、労働条件の切り下げによる生活苦や労働苦、下請企業の営業の困難が広がっていると言われています。しかも、高齢者雇用安定法いわゆる六十歳定年制度を無視した定年前の退職勧奨の面談が毎日行われ、退職勧奨の始まった七月から十一月までのわずか四カ月で五百二十九人のベテラン労働者が退職に追い込まれました。その穴埋めにふなれな労働者が補充され、これが災害の多発する一因にもなっていると指摘をされています。また、経費削減による定期的な設備や機械の補修期間が延長され、下請企業の仕事が激減し、不安全な設備機械のもとで作業をさせられるケースもあることが、これまた指摘をされているのであります。
 労働者の命や安全より生産第一、会社の利益を追い求めるということは許されることではありません。人間の命や健康を大切にすることは、行政の枠を超えて声を上げる必要があると考えます。労働災害をなくすことはもちろんですが、万一に発生した労働災害はきちんと明らかにし、労災保険法を適用させること、労災が起きたことを理由に下請や孫請から仕事を取り上げることのないようにする、このことを県民の命と安全に責任を負う県行政として、住金に対し強力に申し入れを行っていただきたいと考えますが、商工労働部長の見解を求めたいと思います。
 これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 観光レクリエーション事業についての二点目のご質問にお答えします。
 紀の川リバーサイドグリーンベルト計画にゴルフ場が位置づけられているところでありますが、このグリーンベルト計画は、学識経験者や地元代表、各界各層の代表の方々から成る紀の川緑地基本計画調査委員会のご意見を聞き、国、県、和歌山市、岩出町合同で策定したものであります。ゴルフの大衆化に伴い、安価なパブリックゴルフ場が必要という皆様の声を反映したものでございます。
 今後のグリーンベルト計画のあり方につきましては、ゴルフ場の事業主体である企業局が財源としての砂利採取について建設省と協議中でありますので、その結果を見きわめてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県職員の超過勤務につきましてお答えいたします。
 まず、ご質問のような、いわゆる充足率を用いて超過勤務手当の支給を行ってきた点でございます。
 この制度は、予算の制約のある中で、超過勤務を命令する者とされる者の双方がお互いに納得できる支給方法を模索した結果として継続してきたものでございます。ただ、支払いの時期等については問題がある場合もあると考えますので、早急に改善していくよう検討してまいります。
 次に、過去にさかのぼって超過勤務手当を支払う必要があるのではとのご指摘についてでございます。
 いわゆる充足率を用いて超過勤務手当を支給するという方法は、職員の意思を代表する職員組合と合意の上で実施してきたという経緯がございますので、過去にさかのぼっての支給義務はないものと考えております。
 最後に、超過勤務を減らす方策についてでございます。
 職員の超過勤務等の時間が月四十五時間を超えた場合に、所属長からその状況を報告させております。これは、職員の健康等に配慮し、長時間の超過勤務を防ぐため、月当たりの限度とする目標を設定するとともに、所属長に計画的な業務執行と事務改善等を促すことを目的として実施しているものでございます。
 長時間の超過勤務の多い所属につきましては、さらに超過勤務等が縮減できるよう、今後とも人員の適正配置も含め、多様な観点からその方法を検討してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 住友金属の労働災害に関連してお答えをいたします。
 労働災害は、本人はもとより、家族を初め同僚にとっても非常に痛ましいことでございます。労働災害のない、安全で快適な職場づくりを推進していくことは働く人々にとって大変大切なことであり、不幸にして労働災害が発生したときは、その再発防止に努めるとともに、速やかに労働災害保険等により被災者の救済を図ることが重要であると考えてございます。
 住金和歌山製鉄所関係の労働災害の発生件数は、平成十一年度は、下請会社を含め、和歌山工場で死亡事故一件を含む七件、平成十二年度は、十一月現在で和歌山工場で三件、海南工場で一件となっています。その中の一件が労働基準監督署への届け出が遅くなったと聞いてございます。
 県といたしましては、こうしたことから、労働基準監督署に対し、労働災害防止のための一層の指導強化を要請するとともに、企業に対してもより一層の労働災害防止対策の強化と労働災害発生時には労働安全衛生法に基づいた適正な処置を要請してまいりたいと考えてございます。
 また、県内の労働災害防止を目的とした県労働災害防止会議におきましても、事業所や関係団体に労働安全衛生活動の促進を要請してまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 企業局長辻 健君。
  〔辻 健君、登壇〕
○企業局長(辻 健君) 観光レクリエーション事業についてのご質問のうち、一点目の事業の進捗状況と今後のあり方、見通しについてお答えいたします。
 観光レクリエーション事業は、紀の川リバーサイドグリーンベルト計画の一環として、紀の川大堰事業に伴う砂利採取の負担金収入を主たる財源にゴルフ場を計画したものでございます。しかしながら、砂利の採取量は平成十二年十二月末現在で計画の約一六%にとどまっており、当初の目標を確保できかねる状況にあります。
 今後のゴルフ場計画につきましては、財源確保が大きな課題でございますので、現在、砂利採取について建設省と協議を行ってございます。
 また、ゴルフ場予定地の用地買収についてでございますが、建設省の委託により県土地開発公社で行っており、おおむね本年度で完了し、一部未買収地については建設省が対応するものと聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。再質問をさせていただきたいと思います。
 観光レクリエーション事業です。
 現実的に、砂利採取、いわゆるゴルフ場をつくるための財源は到底確保できないという見通しがもう明らかになってきていると思うわけです。ただ、紀の川大堰の工事が伸びているという状況も関連はするだろうと思いますけれども、しかし砂利採取をする面積まで決めて、六年計画で目標を達するという施策を専門的な人たちがちゃんとお立てになったのだと思うんですけれども、この計画の狂いというのは何が原因だというふうに今思っていらっしゃるのでしょうか。それをまずひとつお答えをいただきたいと思います。
 それから、住友金属の労働災害の問題です。
 企業に対して、あるいは労働基準監督署に対しても安全対策を強く申し入れしていきたいというふうにご答弁をいただいたのですけれども、これは強力な要請をさらにやっていただきたいと思います。
 労働災害の発生件数です。昨年は七件、ことしは四件と答弁されたわけですけれども、これは四日以上の休業災害だと思うのです。私どもの調査によりますと、三日以内の休業災害というものもあるわけです。それも含めて見てみますと、一昨年が三十九件、昨年は十六件、ことしももう既に十六件起きています。したがって、住友金属は依然として労働災害が多発しているということになるわけですね。それで、この四月から住友金属は総合安全衛生管理指定事業所に指定をされました。それだけに、災害をなくすための大変な努力が労働基準監督署からも指示されているわけです。そういう指定を受けている事業所ですから、県当局にあっても、こういう点も含めてきちんと対応していただきたいと要請をいたしておきます。
 それから、超過勤務手当の問題です。
 私が聞いているのは、いわゆる清算払いの方法と、言葉が悪いですけれども、いわゆる仮払いということでやってきた、そのやり方については労働基準法の第三十七条、それから県職員の給与条例あるいは規則に抵触をしていませんかということなんです。それに対して総務部長は、明確な答弁がないまま、支払い方法については問題があるとお答えになっているわけです。法律、条例といったものが最優先されると思うのですが、これは違法行為としてお認めになるということで解釈をすればいいのですか。そのことについてお答えいただきたいと思います。
 それから、こうした支払い方についてこれまで長い間労働組合と協議して決めてきた、したがって法律上にあったとしてもこれまでのやり方を踏襲するんだ、だから別に問題はないから二年前にさかのぼって支払う義務はないと、こういうふうに理解をするのですけれども、これは到底納得できるものではないと私は思うんです。なぜならば、給与条例と規則、あるいは労働基準法といったものを見てみますと、超過勤務については、一カ月おくれだけれども、やっぱりちゃんと毎月給料日に先月分を全額支払うということになっておりますよね。このことを守るのが大前提だと思うんです。ですから、賃金は個々に全額を毎月払うということ。賃金の中にはこの超過勤務手当も含まれているわけですから、それをきちんと支払うべきだと位置づけているのが労働基準法であり、そして給与条例あるいはその規則であります。
 今まででしたら、清算払いをするのは三月末、実際に労働者に支給されるのは四月か五月ですよね。これまでの経過で見てみますと。そうすると、この仮払い制度が──言葉が適当かどうかわからないですけれども──予算の枠内でやるんだから、これは仕方がないんだということになるのか。残る部分──いわゆる全額を支払う義務があるのに支払われていないという現実でしょう。働いた部分を請求しても、労働者のところには全額が超過勤務手当として支払われてこなかったと。今でもそれは、充足率という形で八〇%となっているわけですよね。だから、未払い分が毎年残っているんですよということを言っているんですけどね。
 そういう点で見てみますと、この法律を守るということが大前提にならなければいけないのに、労働組合とこれまで協議して決めてきたことだからそれは問題ないのだというふうに私は受け取れるんですけれども、もう一度、なぜこの二年間さかのぼって払う義務がないのかということを法律にのっとってお話ししてくださいますか。それだけ、お尋ねします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、超過勤務手当の清算払い方式が違法なのかどうかということでございます。
 各職場、各所属の勤務なり超過勤務手当の支給状況というのは多様でございまして、なかなか一概には申し上げられないことと存じますけれども、先ほども申し上げましたように、清算払いといった支給時期等においては問題がある場合があるというふうに考えておりますので、早急に改善できるよう努力してまいりたいと考えております。
 それから、二年前にさかのぼっての支払い義務があるのではないかということでございます。
 私も、労働基準法百十五条の二年間の時効等の規定があることは十分承知いたしておりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、これまでの支給方法というのは職員組合と合意の上で実施してきたものでございまして、職員の意思を代表する職員労働組合との合意がある中で、これと個々の職員の請求権と申しますか、そういうものがどういったことになるのか等、種々吟味されなければならない点があろうかと考えております。したがって、先ほども申し上げましたとおり、過去にさかのぼっての支払い義務というものはないのではないかと申し上げているところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 企業局長辻 健君。
  〔辻 健君、登壇〕
○企業局長(辻 健君) 再質問にお答えいたします。
 砂利の採取量が計画どおりにいっていない原因は何かというお尋ねでございます。
 砂利の採取量は、全体計画で約二百六十五万立方メートルございます。その内訳は、県企業局分が約半分の百四十万立方メートル、建設省分が約百二十五万立方メートルでございます。
 現在砂利を採取しておりますのは、企業局分の約百四十万立方メートル分でございます。これにつきましては、当初、建設省で事前調査した砂利の埋蔵量というのですか、それが実際掘ってみますとそのとおりでなかったということが原因してございます。
 それから、建設省分の残りの約百二十五万立方メートルでございますが、これにつきましては、紀の川大堰の進捗状況との絡みもございまして、現在全然採取されておりません。この二つが大きな原因でございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 企業局長、もう望みのないものはばっさりとあきらめることも必要なときがあると思うんです。ぜひ、そういう意見を企業局としても反映させていただきたいと要請をしておきます。
 総務部長、あなたのおっしゃることはやっぱり理解できないんですよね。それは、請求権がどうなるかというのを常に考えなければいけないと言うわけですけれども、労働者は命令されて超過勤務するわけでしょう。そうすると、超過勤務した分について払わないということになるわけですよ。今、充足率を見ても、全額を払いませんよという形になっているわけでしょう。それは、給与条例や労働基準法から見ても、決して許されるべきことではないと思うんです。払いますとちゃんと明文にしているんですから。それはちゃんと払うべきでありませんか。
 労働組合と協議したからと言っても、協約が優先するものではありません。法律が、条例が優先されるものだと思うんです。昭和四十年に、東京の簡易裁判所へこういった問題を訴えた労働者が勝利をしております。法律のもとでは働いた部分については当然払うということになっており、給与条例そのものもしかりだと思うんです。行政が条例や法律を守らないで、今までの慣習でやるんだということになれば、法律も条例もつくる必要はないんじゃないですか。こういうことが一貫して今後も続けられるとするならば、大変な問題だと思うんです。そういう点でも、とても納得いく答弁ではありません。
 部長は、労働基準法や給与条例そのものを守るということをここで確信して答弁できますか。お答えください。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県の行います行政で、法律、条例を守るのは当然のことと考えてございます。
 先ほどお答えしたとおりではございますけれども、ご指摘のあったことについては一つの大きな問題提起であるというふうに受けとめさせていただきたいと存じます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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