平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 「里山文化を豊かにする樹種の増殖について」から始めます。
 ゆえあって三年前から、ある谷間の一番奥で耕作を放置されていた農地を借りて、水をため、苗代のようにして自然の回復を試みている者の一人であります。予想した以上の結果を見ることができて、自然は条件さえ整えば回復し、破壊さえしなければ保全できるとの確信を持つまでに至っているところであります。
 まずは水生小動物、例えばゲンゴロウ、タイコウチ、ミズカマキリ、タガメなどが発生し、よみがえればと期待したところですが、ミズスマシ、アメンボやマツモムシは先陣を切って発生し、思いもしなかったトンボ類が後陣を争うがようにして発生し、飛翔し、産卵し、既に五十三のトンボの種を確認するところとなっています。五月、六月にかけて、ヤンマ類のふ化は見事なものであります。オニヤンマ、ギンヤンマ、カトリヤンマ、マルタンヤンマ、クロスジギンヤンマ等。ヤンマと言えばオニヤンマかギンヤンマかカトリヤンマぐらいのものでしたけれども、その種類に幾つもあることを知っていくのであります。
 ところが、ふ化した後、羽が成熟し切らないうちに飛び立ち、不確かな飛び方で山の木の茂みに飛び込んでいく姿を見ることがあります。彼らは木の茂みの中で養成をし、成熟するのを待つのだと教えられました。田の面や谷川に沿うて飛翔している姿に魅せられた少年時代のあのオニヤンマになるまでには森が必要なのだとも教えられ、里山が彼らにとって絶対不可欠なものだということも教えられました。
 なれば、山をつくろう。山をつくるには大樹が要る。大樹となれば、地方ではカヤの木を除いてないのではないかと思い立ち、カヤの種を拾って芽を出させ、苗をつくり植樹しようと思い立ち、カヤの実を拾い、二十人余りの人たちに五百粒ぐらいに分けて依頼をしましたけれども、一人として芽を出させたという報告はいまだに受けていないところであります。
 そのとき、専門家集団としての林業センターに依頼し、林木育種場へも種を届けておきました。さすがのもので、林木育種場だけが発芽に成功し、過日、その後の生育ぶりをお聞きしたところです。彼らの言うのには、カヤは育ちにくく、一年に五センチないし十センチも伸びればいいところだ、こういうふうに申されるのです。まさに粘っこく根気の要る仕事であることを教えられました。
 美里町は、高野山の領域にカヤの大きな木をよく見かけるわけですが、「カヤを植えるばか、カヤを切るばか」のことわざがあるほどに、難しい木であることは確かであります。しかも、孤高性の高い木である。さらに、群生をせずに点生をして存在するのもカヤの姿であります。
 さらにもう一つ、ケンポナシという木があります。こういうものです。(現物を示す)年配の方たちはよく拾って食べた記憶がよみがえってくるんじゃないかと思います。これが、ケンポナシの果実であります。何か、もじゃもじゃっとしてこころ悪いという女性たちの評価ですが、これはおもしろい木で、花序という実の下で支えている枝が膨らんで実になります。これが食べられるわけですが、ナシの香りと味がします。種が、膨らんだ花序の先になっているわけです。後でまた見てください。議長のところに届けておきます。これも、群生をしないで点生をする珍しい木であります。
 これが今日、少ないんです。昭和三十年代の中ごろまでは、これを数本束ねてざるに乗せ、ミカンやリンゴなどと一緒に町の果物店の店先に並べられていたこともありました。物の足りない時代に甘いものを補うものとして、貴重でよく食べたものです。五十代から上の方たちは大方覚えておられることではないかと思います。ちなみに、周りの人たちに聞いて回ったけれども、四十歳代以下の人たちはほとんど知らないと言ってもいいくらいの木だと思います。
 人里離れた里山のすそにあって、季節が来ると拾っては食べて遊んで回ったものです。自然とのなれそめを殊のほか強めていく役割を持っていたケンポナシであります。霜が降るころになると一層甘味が増します。それ以前だと渋いなどと自然感覚を身につけていって、里山文化を形成する主要な存在となっていたことだけは事実であります。今では、私の知る限り、海南では三カ所にしかこれを見ることができません。
 さらに、ムクロジというのがあります。(現物を示す)ムクロジとは「無患子」と書くようですね。余りなじみのない木だと思うんですが、幼少の時分に女の子は正月に羽根つきをしたが、羽根の下に黒い球があります。それがムクロジの実であります。我々が子供の時分には、男はビー玉のかわりにあの球を寺や神社の境内で当てっこをしてよく遊んだものであります。
 これも、今日的には極めて希少であります。海南では別所の願成寺、有田へ越えていく峠の手前に有名な寺がありますが、そこの境内に一本あります。そして、美里町のセミナーハウスのある横に惣福寺という寺がありますが、そのお堂の前に一本、大きな木があります。それぞれ一本あるだけで、海南・海草地域には、僕の知る限りでは二本しかないですね。これも、テレビなどが普及していない時代の子供の遊び、すなわち羽根つきに欠かせないものであったし、男の子の当て合いをするビー玉のかわりをした、そういうものであります。子供文化を形成する主要な役割を担っていたと言っても過言ではないでしょう。
 さらに、カリンというものがあります。(現物を示す)──手品じゃないですが。これを見せられても思い出せない人は、カリン酒という名前を聞いたら思い出すでしょう。カリン酒をつくる材料になる、大変いいにおいのするものです。
 これは、ムクロジやケンポナシとはちょっと趣が違います。近年、海南では農家の庭先に植えられて、秋になると葉っぱが落ち、この実だけが枝先になって、秋の日差しに照らされてきれいな風景を醸し出すものです。
 あるおっさんに、「おっちゃんとこのカリン、立派だね」とお話ししたことがあります。そしたら、「中山、これを一本庭先に植えておくのがええんやぞ」と教えられたわけです。「何でよ」と聞いたら、「これを一本植えて、朝な夕な玄関先にこれを眺めて、「借りんぞ、借りんぞ」と自分に言い聞かせるんだ」と。「カリン」を「借りない」という言葉になぞらえて、財をなすという心がけを醸成する、そういうふうなものを託された植物だというわけです。うそだと思ったら、一回田舎の方へ行って、ちょっと年寄りに聞いてみていただいたら。そのおっちゃんいわく、「これを植えて、朝な夕な「借りんぞ」と唱えていったら、見てみよ、おれとこの家のようにうだつの上がる家が建つんや」と。こういうふうに教えられたこともご紹介申し上げておきましょう。
 このカリンは、ケンポナシやムクロジとは多少趣が違いますけれども、これも非常に里山文化を形成し、あれこれしていく一つであると私は思っているわけです。
 翻って、「紀州木の国」と言われたところを見るに、杉やヒノキが増植され、すばらしい木材を生産して豊かな財をなしたところから「木の国」と呼ばれただけではなく、南紀熊野に向けて和歌山県の山は豊富な樹種に覆われ、あるいはその恵みが川や海に及び、漁業を盛んにしてきたところです。
 ノーベル化学賞受賞の福井謙一教授は中学生のころ、和歌山県は有田で夏休みを遊んだとき、有田川の沖合で魚の大群がうねりをなして押し寄せてくる情景を見て驚き、それは何なのかと自然の原理に目を向けるようになったと書いている物の本を読んだことがあります。熊野体験博を求めて和歌山に来られた多くの人々の心の中に、人知れず熊野の山懐に包まれ、自然との共生感に満たされ、心をいやされるとしたのも、ここらあたりにあったのではないかと私は思っているわけです。
 その山とは、やはり豊富な樹種に満たされることが不可欠であろう。長い年月の間に、しかもその木それ自身の繁殖力の弱いことなどもあって、人の力をかりなければ増殖し得ない木がある。それらの木が殊のほか里山文化形成に重要な役割を担っていることを考えるにつけ、文明の発達につれて民俗性の薫り高い里山文化を再生し保持していくため、考えを及ぼしてやりたいものだと思っているわけです。
 そのためには、さきに述べた林業センターにさらなる支援を送り、これら樹種の増殖に力を入れていくように取り組みをお願いしたいところであります。これらは、ナラやクヌギのようにみずから増殖する繁殖力を持たない木であります。それだけに、人の力を携えて増殖していくというこういうふうな営みは、我々人間が果たさなくちゃならない務めではないかとも思ったりするわけです。
 農林水産部長の所見をお伺いして、終わりたいと思います。
 次に、IT社会についてであります。
 既に冒頭に小川武議員、そしてきょう一番最初に森議員が、ITの問題にも触れて質問に立たれました。また、その間にも何人か立たれました。しかし、ちょっと趣を変えたところもあろうかと思うので、重なる部分はさておいて、ご質問をさせていただきましょう。
 本会議での知事の冒頭説明を受けてから、急に身の回りでITの話が出るようになりました。「ITって何ですか、中山さん」というふうに言われるんです。「IT革命で世の中はどうなっていくんですか」と、ちょっと進んだところではそういうふうに投げかけてくれるんですね。ひどいのになると「ITって食べられるんかい。おいしいんかい」と、こういうふうなことも言われたりすることがあります。ITは私たちにどんなかかわりがあるのかということが、極めて県民の間の関心事となっていることだけは事実であります。
 議会を通じてそのような県民に、ITとは何なのか、IT社会は将来にわたって我々の生活にどんなかかわりがあるのか、こういうことが詳しく伝えられて理解していただけるような場にしていただければありがたいなというふうにも思って、あえて質問するところであります。
 せんだって、建設省近畿地建の和歌山工事事務所と我が党の地方議員団が交渉する機会がありました。その場で、由良町の川出町会議員が国道四十二号線の舗装及び段差解消を求めたことについて、IT関連の光ファイバー埋設工事に伴い、その際に道路の補修を解決したいとお答えがありました。また今議会で、IT関連事業としてパソコン購入費、補助金などの予算が計上されているわけであります。まさに急速な勢いで進んでいるのが、きょうこのごろのITの問題であります。
 沖縄のサミットの後から、森首相の日本新生プランの提唱や各省庁からIT化を掲げたいろいろなプランが打ち上げられているわけであります。郵政省は電子マネーを二年後にも導入することで銀行協会と大筋で合意したとか、あるいは建設省や運輸省などは道路や下水道、港湾に光ファイバーを敷設する計画を進めるとか、労働省は職業訓練でパソコン講習などの情報技術修得、厚生省は光ファイバーを利用して遠隔医療システムを計画するとか、農水省も農村光ファイバー網の敷設を言っているとか、いろいろなお話があるわけであります。こうした事態について、従来型の公共事業の見直しというかけ声のもと、新たな利権や公共事業をつくるだけとの声が出されている状況でもあるわけであります。
 ITの進歩の成果を国民の生活向上に役立たせることは、政治の姿勢に大きく関係する問題と考えるところであります。ある国の首相は「イット革命」と言ったりして、世論の笑いの種にされるというようなこともありました。そんなのんきなことを言っておれないほどに進んでいっているようであります。
 国会でIT基本法が成立し、来年一月六日施行となっているようであります。議会に身を置く身であるだけに、多くの皆さんから尋ねられ心配もされていることには、答えなければなりません。知事は二十一世紀に若者や高齢者を初めすべての県民がIT社会に対応できるように全力で取り組んでまいりたいと申されているけれども、ITを県民生活の向上に役立たせる立場から、幾つかお尋ね申し上げてまいりましょう。
 IT──これ、必ず「(情報通信技術)」というのが挿入されていますね。「インフォメーション・テクノロジー」と言われたら、さらにわからない。すなわち、IT革命に対応し、いわゆるディジタルデバイド(情報格差)の解消に努めることが重要だと申されていましたが、これを進めるに必要な社会背景について説かれないでおいて、世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会構造の変化に的確に対応することの緊急性だけではわかってもらえないのではないかとも思ったりするわけです。基本法にも記されているし、知事の説明にもありました。現状では、情報格差がますます広がり、急激な進展についていけない、置いていかれる多くの人が生まれるのではないか、危惧するところであります。
 特に、高齢者、障害者については気になるところですけれども、県として情報格差の解消をどのように進めていくのか、県民すべてが新しい技術の恩恵に浴することができるようにどんな対策を考えているのか、冒頭に質問をされたとしてご紹介申し上げた程度の多くの県民の皆さんによくわかるようにご説明していただければありがたいと思います。
 二つ目に、インターネットを活用し、ホームページに接続し、あらゆる情報を受け入れ、発信できるようにすることが新しい時代潮流に沿えるようになるとのことだけれども、その時代潮流だけが次世代の流れとしないとする者まで巻き込んでいかれることになるわけであります。この動きを見ていると、例えば、適当な表現とは言えないかもしれませんけれども、一億総動員で軍国主義、侵略戦争に巻き込まれていったあの時代のことを、ふっと思ったりするようなことがあるわけです。IT革命で将来の繁栄を実現するために耐えなければならないの感なしとしないのであるが、IT革命によって新しい雇用が生まれることも期待されます。ところが、これ以上に雇用を失う人が多いのが実態ではないでしょうか。社会の変革期に起こることだから仕方がないというふうな言い回しで済まされる問題ではなかろうと思われるわけです。県としてこの問題にどう対応されるのか、重ねてお聞きしておきたいと思います。
 三つ目には、パソコン技術の活用で障害者の活動範囲や知識を飛躍的に拡大できる力を発揮している例があると聞きます。ゆうべもNHKテレビで、アメリカの社会で障害者がこのITの関係で随分と社会参加が促進されているようなお話を伺うことができました。しかし、障害者自身にその活用を求めていくのは、多くの人にとって大変大きな困難が伴う。障害者の皆さんへのIT支援は行政の責任で進める必要があると考えるけれども、そのための人材育成や体制が必要であるわけであります。県の考えと準備のほどをお聞きしたいわけであります。
 このことに大変詳しいとされる、ある人の書いたものを読みました。結論的に申し上げますと、一つは、障害者各人への継続性が必要だということと、お金がかかり過ぎるということと、ボランティアは最終的な責任がないということを言われておって、だから行政が責任を持って取り組まなくてはならないことなのだと結論づけたものを読みました。そういう立場からも、IT支援は行政の責任で進めるということについて、県のお考えをお聞きしたいと思います。
 ITについては、以上で終わります。
 次に、海南市の上水道問題にかかわって、幾つかお尋ねをしたいと思います。
 海南市の上水道のそもそもを語れば、長く複雑な面がありますけれども、事業開始当初、地下水に水源を求めていた海南市の水道水源が、工場等の地下水くみ上げ水量の増加や、決定的には、昭和二十一年の南海道大震災の地盤沈下による塩水の混入が決定的な要因となりました。
 昭和三十一年、県により海南市への工業用水供給の計画が策定されて、生活用水もあわせて実施することになり、昭和三十二年に認可を受けて昭和三十四年七月に給水が開始され、これにより海南市民の上水道が安定的に供給されることになりました。当時、海南市民の上水道への心配は解消されたということになっていたわけであります。
 その後、県北部臨海工業地帯開発が計画されるにつけ、県営紀の川第二工業用水道事業が興され、昭和四十六年度以降、紀の川第一工業用水道は、海南市の上水需要の増加にこたえて全量海南市上水道への給水となって現在に至っているわけであります。
 この間、工業用水として水利権を設定されている水が上水道に供給されていることなどから、建設省や厚生省から不正常な状態を早く改善せよとの指導を受け、昭和五十年四月、まず県営紀の川工業用水道管理であった室山浄水場が海南市へ移管されておるわけであります。その後、海南市民の生活の根源となる上水道の問題については、県市の間で協議が続けられてきているところであります。
 しかしながら、現在、紀の川大堰の建設による水位低下に対応した既設取水口の変更の必要に直面しているほか、海南市の市民生活用水の需要増加への対応、海南市郊外地域における水道未給水地域への供給確保など、今後の海南市民に対する上水道の安定確保を図るためには、新規水源の確保を求め、安定的、恒久的水源の確保に早急に取り組まなければならない状況に立ち至っているわけであります。
 そこで、まず一つに、昭和四十六年度以降、紀の川第一工業用水道は海南市の上水道需要のみに充てられるようになってから、さまざまな法や制度の改正があったにせよ、今日までの姿は不正常な状態にあると言わざるを得ないわけであります。県の工業用水の水利権を移管することと同時に、海南市が上水の水利権を取得することが正常化のかなめであろうと考えるところであります。
 そこで、現状の海南市の取水量はこれで満たされるところから、現在、これを正常な状態にしたいとの取り組みが県、海南市双方において努力されているところと聞いているけれども、今後の取り組みについてお聞きしたいわけであります。
 さらに、紀の川大堰建設とのかかわり合いで取水口の位置の変更を余儀なくされていることなどに触れても、つけ加えて現状をお知らせください。
 二つ目には、海南市は未給水地区に対して給水を実施したいとの考えを永年持ち続けているところです。この問題解決のためにも新しい水源の確保が何よりも肝要であります。給水地域拡大のための新規水源確保についての県の見通し、さらに支援などについてお伺いして、私の第一問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) IT社会についてのご質問でございます。
 インターネットを活用して利便性の高いサービスの提供を受けることが可能となり、私たちの生活はより豊かになり、経済の活性化が図られるものと認識をいたしております。県では、こうしたITの活用による恩恵を享受できない県民ができる限り生じないよう、すべての県民がパソコンやインターネットに親しみ、活用能力を高める機会を設けるなど、情報格差の解消を図ってまいります。
 また、IT革命に伴う雇用問題についてですが、産業分野におけるIT化の急速な進展の中でIT対応能力はあらゆる職種の職業能力の前提となりつつあり、雇用不安にさらされている労働者や離転職者が情報技術を取得することが重要であると考えております。このため、県といたしましては、在職者のIT職業能力訓練を行う事業主に対し支援をするとともに、離転職者の再就職に資するための情報技術取得訓練を、国の施策等も活用しながら積極的に展開してまいりたいと考えております。
 さらに、障害者の方に対するIT支援についてですが、障害のある方にとって今日のIT基礎技能を取得することは、社会参加の促進や情報のバリアから解放されるために大変重要であると認識しております。このためにも、障害のある方を対象としたIT講習会の開催や研修会への参加促進を初め、あらゆる機会をとらえて障害のある方のIT技能の習得、向上のために取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 里山文化を豊かにする樹種の増殖についてでございます。
 人里近くに広がるいわゆる里山林の多くは、生活様式の変化の中で利用がなされず放置される傾向にございましたが、最近では、生活環境の保全や森林との触れ合いの場の提供など、身近な自然としてその役割が見直されているところでございます。
 議員お話しの、かつては暮らしと深くかかわってきた里山のカヤやケンポナシ等の樹種を見ることが少なくなっていることも事実でございまして、こうした樹種を増殖していくことは里山林の再生や多様な森林を整備する上で重要なことと考えてございます。
 現在、林業センター林木育種場では七十二種類の広葉樹を育成しておりまして、昨年度はこのうち二十六種類の苗木の増殖をするとともに、県民の皆様へも配布を行ったところでございます。
 今後とも、林木育種場での広葉樹等の苗木の増殖になお一層取り組んでまいりますとともに、環境や教育など、他の分野とも連携を深め、ボランティア参加のかしの木バンクの森づくりなどの推進により、里山林を初めとした森林と触れ合える機会の創出を図り、里山文化の高揚に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 海南市の上水道移管についてのうち、給水地域拡大への水源確保の項についてお答えいたします。
 海南市の水道の整序化につきましては、現在関係部局が連携して取り組んでいるところですが、お尋ねの海南市水道の新規水源確保につきましては、現状の整序化を前提としまして、海南市が大滝ダムにダム使用権を確保することで、海南市や建設省等の関係機関との協議を進めているところでございます。
 引き続き関係部局と連携し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 企業局長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○企業局長(辻  健君) 海南市の上水道移管についてのご質問のうち、一点目の施設移管等についてお答えいたします。
 紀の川第一工業用水道施設の海南市への移管につきましては、議員お話しのように、使用目的に合った工業用水道事業法に基づく適正化のため、従前より海南市に移管の申し入れを行ってきたところでございます。しかしながら、移管後の送水管工事等に多額の投資が必要であることなどから、移管に至ってございません。
 今後とも、水利権の問題も含め、関係機関と連携を図りながら、早期に移管できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、紀の川大堰建設に伴う現在の取水口の変更につきましては、建設省からの具体的な話は今のところ参ってございません。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 幾つか要望を申し上げて、第二問を終わりたいと思うんですが。
 まず一つは、里山文化を豊かにする樹種の増殖についてであります。
 部長からご答弁いただきました。ご答弁の中に、かしの木バンクの森づくり等というお話もあったわけですが、カシの木やナラやクヌギのように増殖力の非常に旺盛な木とはまた別に、先ほど申し述べましたけれども、ケンポナシとかムクロジとかカヤとか、みずから増殖する発芽力や増殖力の弱いこういう木は人的な援助を与えないとふえない。こういう樹種にこそ行政の光を当てて、人の力で里山文化、里山を豊かにしていく取り組みこそが行政の果たす役割ではないかと思うわけです。
 そういうふうな観点で見ると、林木育種場の果たす役割は極めて大きなものがあると思います。だって、先ほども申し上げましたように、カヤなんていうのは人の力であれこれまいたって出てこないんです。言うたように、二十何人かに五百粒ずつ分けて植えてもらったとしても、一人として芽が出たよと言うてくれる人がないくらいに難しい。ただ一つ林木育種場だけが発芽に成功して、すくすくと伸びているのかなと思ったら、なかなか育たない。一年間に五センチも伸びればいいほどだという、こういうお話であります。
 県庁のこの筋に詳しい人たちに聞いてみたら、カヤというのは、もともと大樹の下に隠れて芽が出て、そして何十年もその下で耐えて幼木の時代は過ぎていく、だから主幹となる芽が上へ出てこない、伸びるのは横に伸びる枝だけだというふうな話です。それにつけ加えて林木育種場の人たちのお話とあわせて考えてみたら、全く一緒なんです。
 僕が五、六本、うちで苗を育てているわけですが、これとても同じで、主幹となる、上に伸びる芽は出てこない。横に伸びる枝は盛んに伸びるけれども、全く同じような現象です。上にかぶさっている大樹が倒れ、太陽の光線が当たるようになったとき、一遍に勢いよく伸びる性状を持ち備えている、そのために今耐えて横に伸びる枝しか伸びないのだと、こういうお話もありました。
 「大器晩成」というのはここから来たんやというふうに言われるわけです。幼少の時代に耐えて晩年になってから大きく育ち上がっていくという言葉であるけれども、あれは大きく長持ちのする木に育ち上がっていくカヤを例えた言葉やとさえ教えられるような話です。
 こういう役割を林木育種場にしていただいて、より多くの県民の皆さんに、里山文化が人間とのかかわり、触れ合いの中で、より豊かに育ち上がっていけるような取り組みを、まずひとつお願い申し上げておきたいと思います。それが一点です。
 二つ目は、ITの問題です。
 知事のご答弁にありましたように、生活はより豊かになり、経済の活性化が図られるのではないかと考えていると。こればかりが表に出てきて、こればっかりかいなと。考えてみたらそうでもないのと違うかという側面も必ずあるはずだとして──ちょっとひん曲がっているのか知らんけれども、そういうところをやっぱり眺めてみたくなるわけです。だって、我々はそういう人生体験を積み重ねてきているわけです。政治や国が旗を振って、ここだここだというふうにして進んでいって、これしかないなどと言われてついて行ったあげくの果てに何があったかということは、過去にも大きな体験をしてきているわけです。
 だから、これがいいんだ、これが次の社会だというふうなことばかり言われないで、心配になるあたりも少し県民に知らせながら、心してこれに取り組んでいけるようなお取り組みが要るのではないかということをまず申し上げたいわけです。経済の活性化が図られ、社会や生活は豊かになるんやという一面だけ強調し過ぎて──し過ぎることはないなどというようなことではないんじゃないかと申し上げておきたいと思います。
 その次にお願い申し上げておきたいのは、これはきのうもある人にちょっと聞いたんですが、パソコンを目の前に始終あれこれしていると、放射される何かの物質によって障害を引き起こすこともありかねないというふうにして、「中山、考えておく方がいいぞ」と言われたことがあった。実は、自分にかかわっている子供が、テレビゲームに夢中になってあれこれしているうちにこんなになったんや、医大へ連れて行って医大の医者に診てもらったら、処方する方法はないなどと言われて、薬さえ与えてもらえなかったということです。その子供にあれこれかかわって、一応障害は取り除いて心配はなくなるよう回復させることができたけれども、あれはきっと何かあるはずではないかというふうに、そのことを通じて教えてくれる人がありました。そういうふうな側面からも一度考察していいのではないかということも申し上げておきたいと思います。
 三つ目は、水道移管の問題です。
 施設移管の問題と水源確保の問題が今後解決されていって初めて、この問題が正常化されていくのではないかと思われますので、当局の皆さんには大変ご心労を煩わすことになるわけですけれども、殊に海南市民の水の問題であります。お力添えをいただけるよう切にお願い申して、要望といたします。終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十六分散会

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