平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 十二月定例会は、二十世紀最後の議会となりました。私の質問も今世紀最後の質問でございます。今回もまた発言の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に対し、心から感謝申し上げます。
 二十一世紀まであと二十三日となったきょう、ちょうど百年前の二十世紀を迎えようとする和歌山はどうであったのか。一九〇〇年(明治三十三年)十一月、紀和鉄道和歌山線、現在のJR和歌山線でございますが、その和歌山駅から奈良県五条町の二見駅間、五十・三キロメートルが全線開通いたしました。当時は、五条駅で南和鉄道と連絡し、和歌山と大阪を結ぶ唯一の鉄道でありました。大阪に行くには、この路線しかなかったわけでございます。当時の全通式の模様を記録で拝見いたしましたが、粉河町では「地方未曾有の振るわいなりき」という記録が残ってございます。自転車もない時代であります。私たち議会の大先輩である日高郡選出の夏見県会議員が、候補者として自転車を乗り回していた。それを見た村人たちは「夏見さんの糸どり車」と、自転車の輪が糸を巻くのによく似ていたのでしょうね。これくらい自転車が珍しい時代でありました。もちろん、自動車も電話もない状況の中で、紀和鉄道の全線開通は画期的な出来事であったことと推察いたします。なお、この紀和鉄道は明治三十七年に関西鉄道に買収されまして、後に国有鉄道、そしてJR和歌山線となったわけでございます。この紀和鉄道の全線開通というものが、後に南海鉄道の全線開通に大きな弾みになったわけでございます。南海鉄道は、明治三十六年に和歌山まで全線開通したわけでございます。さらには、紀勢鉄道においても大きなインパクトを与えました。何せ、紀勢鉄道が天王寺から新宮まで開通したのは昭和十五年のことでございました。このように、画期的な出来事がございました。
 今、和歌山はこの百年前と比べたら、少しだけ寒い感じがいたします。ただ、百年前と現在の共通点が一つだけございます。一九〇〇年と二〇〇〇年の共通点、実は和歌山県知事が交代したことであります。百年前の一九〇〇年十月に第十一代の椿蓁一郎知事が誕生いたしました。椿知事は、当時五十歳でございます。木村知事も来年の一月十一日で四十九歳でございますし、歳のころも似通った知事でございますが、本県在任中に紀和鉄道や南海鉄道の全線開通、さらには和歌山商工会議所、県農会の設置、県立新宮中学、田辺中学、粉河中学の創立など大いに活躍された知事でありました。一方、木村知事は、九月の知事就任以来、梅枯れ問題、橋本の産廃問題、関西国際空港の二期工事への対応、財政運営など積極的に取り組んでおられます。大変にご苦労さまでございます。木村知事のひたむきに県政の重要課題に情熱を持って取り組んでおられる姿に頭の下がる思いでございます。
 いよいよ二十一世紀最初の平成十三年度の予算編成であります。木村知事として最初の当初予算編成であります。申すまでもなく、予算は政策の具体的なあらわれであり、政策そのものが予算でございます。それだけに、知事の真価が問われるときでもあります。厳しい財政下ではありますが、二十一世紀における和歌山県の発展のため、IT関連を初めとした新世紀にふさわしい当初予算の編成を強く期待するものでございます。
 それでは最初に、IT社会の構築に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
 十一月二十九日、国会でIT基本法が成立いたしました。IT基本法は、世界最高水準の通信ネットワークの整備を目標に掲げ、ディジタルデバイド(情報格差)を防止するための環境整備や電子商取引の促進、行政の情報化、ネット社会の安全性確保などを打ち出したものであります。
 私は、本年九月定例会でIT革命に対応した情報化施策等の推進について質問いたしました。その中で、IT社会の実現でIT先進県を目指すことや、そのためのIT関連予算特別枠を設けることを提案させていただきました。知事は、「行政はもとより、県民生活や企業活動など、あらゆる分野におけるITの活用を促進し、他県に比類なきIT先進県を築いてまいる決意でございます」と、IT先進県を目指す並々ならぬ決意を述べられました。また、IT関連予算特別枠については、平成十三年度予算編成方針の中に二十一世紀の和歌山づくりに向けた予算を編成する、新生和歌山創造枠を設け、IT関連について新世紀をリードする環境対策関連、先進的な新産業創造関連とともに先進的な取り組みを推進するとされております。
 また、県の主要計画や県施設案内等のホームページの開設状況についても九月定例会で質問いたしました。知事は、「情報を全く掲載していない課室もございますので、こうした課室については早急に提供するよう促してまいりたい」と答弁されました。知事の答弁どおり、ホームページは着実に開設されております。現在、全課室でホームページが開設されております。これらの目をみはるような早急な取り組みに対し、心から敬意を表するものであります。今後、IT関連予算の確保とあわせ、ホームページの内容の充実にさらに取り組まれることを強く要望させていただきます。
 ITには、経済発展の起爆剤になることや、障害のある方々の社会参加の促進、電子政府、電子自治体の実現によって住民へのサービスの向上や行政の効率化を進めるという光の面があります。一方で、世代や所得の違いによってディジタルデバイド(情報格差)が出るという影の面があります。また、インターネットを悪用した犯罪なども懸念されております。こうした影の部分を防止し、ITの利益を全県民が享受できるようにすることが大切だと認識しております。
 そこで大切なことは、日本と米国を比べて約二倍の通信料金の引き下げをしっかりとやることだと思いますが、この点はNTTや国に強く要望していかなければなりません。一方、国の補正予算では、情報格差を防止するための措置として、情報通信技術(IT)講習推進費約五百五十億円や二百二十九億円の電気通信格差是正事業が予算計上されております。五百五十万人を対象とした情報通信技術(IT)基礎技能講習の実施──本県においては六万人が受講する予定になっております──や電気通信格差是正事業などによって、ある程度はディジタルデバイドは防止されるものと考えます。さらに、高速大容量の通信インフラ(基盤)整備を初め、学校や図書館などの教育関係施設の情報化とあわせ、地域開放に取り組んでいく必要があります。
 以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、来年度に取り組むSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)整備を初めとするIT関連施策の概要とディジタルデバイド(情報格差)の防止に向けての取り組みについてお伺いいたします。
 第二点は、国のIT基礎技能講習については希望する自治体のみとなっております。本県がIT先進県を目指す以上は、県下全自治体でこの事業を実施すべきだと考えます。IT基礎技能講習への対応について、講師の養成と確保を含めて答弁をお願いいたします。
 第三点は、失業者への再就職の道を開くため、ITすなわち情報技術取得のための施策を講じる必要があると考えます。その対応についてお伺いいたします。
 第四点は、IT情報技術には障害のある方々の社会参加を促進する効果があります。今後、IT講習を含め、どのように対応していくお考えか、お聞かせください。
 以上、四点についてお尋ねいたします。
 次に、和歌山工科大学の凍結への対応についてお尋ねいたします。 木村知事は、十月二日、和歌山工科大学の設立事業を凍結したいと、事実上の中止宣言をされました。知事が凍結を決断するに至った理由は、一、少子化で学生確保が困難になる、二、学生が白浜まで来るのか、三、採算がとれず県財政圧迫のリスクがあるというものでありました。
 私は、本年二月定例会の一般質問で、工科大学の新設について質問いたしました。質問の内容は、航空工科大学基本検討委員会の会議録を通して、大学構想の慎重論に対して県民の理解と協力をどのように得ようとされるのか、開設経費約百四十四億円の県財政への影響、大学運営と学生確保の問題、卒業者の就職見通しや教育委員会の対応についてでありました。二回目の質問で私は、教育委員会の対応や少子化での学生確保の問題、大学運営などに多くの課題があるので、できるものなら開学を一年ずらして全庁的に万全の体制で取り組むべきだと提案をいたしました。県当局は、もっと議会での議論に耳を傾けるべきであったと思います。議論を尽くし、大学設立に慎重であったならば、和歌山工科大学設立準備財団職員の採用試験合格者の採用取りやめ問題などの混乱は回避できたのではないかと考えます。私も、工科大学の新設について本議場で質問をした一人として、返す返す残念でなりません。
 本定例会に、和歌山工科大学設立準備財団職員採用予定者十三名を相手として解決金額確定にかかわる調停の申し立てを行うため、議会の議決を求めるための議案第百七十六号を提出されています。準備財団職員採用試験の合格者十三名は、競争率二十六倍という難関を突破された優秀な方々であります。準備財団は設立されておりませんので、採用試験合格者の採用取りやめは、法的には問題はないと思います。しかしながら、道義的責任は十分にあると思います。
 県当局は、準備財団職員採用予定者並びに教員採用予定者に誠意を持って話し合い、対応すべきだと考えております。採用予定者十三名から損害賠償の訴えがない中で、本定例会に調停の申し立てについての議案を提出され、問題の解決を第三者機関にゆだねようとされていることについて、採用予定者に対してお金で解決しようとするのかといった批判の声もあります。
 以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、和歌山工科大学の事業凍結で得た教訓とは何か。今後、その教訓をどのように県政に反映させるお考えか。
 第二点は、議案第百七十六号は調停の申し立てによって早急に生活費等の解決金を支払うためとのことであります。午前中に、小川武議員の方からも質問がございました。調停の申し立てを行わないで解決金の支払いはできないのか。
 第三点は、議案第百七十六号の調停による解決金を支払う基準と予算措置についてお伺いいたします。また、就職を希望される人に対して、どのように誠意を持って話し合い、就職の問題を解決しようとされるのか。
 第四点は、工科大学の準備経費の内容と凍結に伴う十四億円余の予算処理はどのようにされるのか。あわせて、開設経費約百四十四億円の予算処理に伴って、本年五月に策定された財政運営プログラムIIへの影響について答弁をお願いいたします。
 以上、四点についてお尋ねいたします。
 次に、和歌山工科大学事業凍結に関連いたしまして、旧南紀白浜空港跡地利用についてお尋ねいたします。
 和歌山工科大学の設立事業は、旧南紀白浜空港跡地利用として県が計画したものであります。その計画が凍結された以上、新たな跡地利用計画を策定しなければなりません。しかしながら、県当局は事業凍結への対応に追われております。今すぐにというわけにはいかないと思いますが、白浜を含む紀南方面の活性化のため、できるだけ早く跡地利用計画を策定すべきだと考えます。
 私ども県議会農林水産委員会は、佐田委員長を初めとして十一月初旬に熊本県の農業公園を視察してまいりました。農業公園には、家庭では栽培しにくい、非常に珍しい、美しい花のベゴニアの温室を備えております。そして、最新の情報と映像技術で熊本県の農業を紹介しておりました。このベゴニアの温室は、当時の細川知事の提案でつくられたとのことでした。また、公園には自然の広場があり、十年間で六百万人の人が訪れたそうであります。年間六十万人の方が訪れてきているそうでございます。
 ここで私の提案でありますが、旧南紀白浜空港跡地を世界的に珍しく、美しい花の温室栽培施設を備えた自然公園として県民の交流広場にしたらどうかと考えます。もちろん、跡地利用について、県民各界各層からいろんなアイデアを募ることも検討すべきだと考えます。ご見解を承りたいと思います。
 一方で、旧南紀白浜空港跡地利用については、民間活力を活用した取り組みが重要であると考えます。例えば、集客力を持ったレジャー施設を誘致する案や若者のイベント広場にする案であります。いずれにしても、白浜の観光地にふさわしい集客能力を備え、観光名所となるような対応が必要であります。この際、土地については無償で提供するくらいの心意気が大事ではないかと思います。知事のお考えをお聞かせください。
 次に、ワールドカップ出場チームのキャンプ地、和歌山県への招致についてお尋ねいたします。
 先月十一月二十二日、財団法人日本サッカー協会(JFA)と日本組織委員会(JAWOC)は、二〇〇二年に日韓両国で共同開催されるワールドカップ国内キャンプ候補地として立候補していた県営紀三井寺公園を含む八十四カ所を公認いたしました。
 公認キャンプ地とは、二〇〇二年FIFAワールドカップ出場チームが大会前や期間中に長期滞在し、トレーニングなどを行う場所のことであります。キャンプ候補地には、立地や設備などさまざまな基本条件が求められています。これらの基本条件を満たした県営紀三井寺公園は、公認キャンプ候補地として認定、登録され、候補地リストに掲載されております。今後、ワールドカップ出場の三十二チームは、このリストを参考にキャンプ地を選定することになります。公認キャンプ候補地として認定、登録されたことは、まことに喜ばしい限りであります。今日までの教育長を初めとするキャンプ候補地への取り組みに対し、心から敬意を表します。しかしながら、これからの取り組みが非常に大事であります。
 ワールドカップは、二〇〇二年五月三十一日に韓国で開幕・キックオフされ、六月三十日に日本で決勝戦が行われます。その間、予選リーグから決勝トーナメントが日韓両国で繰り広げられます。したがって、予選リーグの組み合わせ抽選会が行われる二〇〇一年十二月一日を前後に、キャンプ地への招致活動の激化が予想されるわけであります。県営紀三井寺公園にブラジルなどの強豪チームをキャンプ地として招致することができれば、多くのサポーター、マスコミ関係者、見物、宿泊客など、その経済波及効果は八億円とも十億円とも言われています。また、青少年に夢と希望を与え、スポーツ振興はもとより、本県を世界にアピールすることができる絶好のチャンスであります。県営紀三井寺公園が公認キャンプ地として決定した以上、ぜひともブラジルなどの強豪チームの招致を実現させたいものであります。
 そのためには、県営紀三井寺公園がキャンプ地として最適の条件を備えているということをアピールすべきだと思います。アピールする点としてはいろいろあると思うんですが、一点目に関西国際空港の至近距離にあるということ。二点目に、気候が温暖である。三点目に、宿泊施設としてのマリーナシティにあるロイヤルパインズホテル、ここは人工島であるため警備がしやすく安全である。四点目に、雨天候時にトレーニング可能なビッグホエールや県立体育館が近距離にあること。もう一つは、このごろのサッカー選手はほとんど故障することがないと思いますけれども、捻挫とかちょっとしたけがの場合の処置が十分できる医療機関としての県立医科大学、また琴の浦リハビリテーションセンターが近距離にあること。これらをしっかりアピールするとともに、民間活力を生かした招致活動を粛々と展開すべきであると考えます。
 ワールドカップ出場の強豪チームのキャンプ地として、県営紀三井寺公園への招致に向けての知事の意気込みと民間活力を生かした招致活動についてお伺いいたします。
 また、本県のキャンプ誘致委員会の充実を初めとした今後の取り組みや、キャンプ候補地の県営紀三井寺公園の芝の張りかえなどの整備について、教育長並びに土木部長に答弁をお願いいたします。
 最後に、ドクターヘリ事業の導入についてお尋ねいたします。
 厚生省は、平成十三年度概算要求の主要施策として、ドクターヘリの導入を全国で七カ所としております。ドクターヘリとは、医師が同乗する救急専用ヘリコプターのことであります。ドクターヘリ事業とは、救命救急センターにドクターヘリを委託により配備し、事故、急病や災害等の発生時に、消防機関等からの要請に対し、直ちに医師等が同乗し、ヘリコプターで救急現場等に出動する事業であります。ドクターヘリは治療開始が早くなるため、救命だけではなく後遺症の軽減につながると言われております。
 神奈川県と岡山県で昨年度試行したドクターヘリ事業では、命が助かった人や身体機能の障害に至らなかった人の割合が、ヘリを使わなかった場合に比べると倍増したとされております。本県のように山間僻地を多く抱える地域にあっては、ドクターヘリの導入に大きな期待が寄せられているところであります。
 そこで、本県でのドクターヘリ事業の有効性とその導入への取り組みについてお伺いいたしまして、私の第一回目の質問といたします。明快な答弁をよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) IT社会の構築に向けた取り組みとして、来年度のIT関連施策についてのご質問でございます。
 来年度、県民生活や企業活動等、あらゆる分野におけるIT活用の促進により社会経済活動の活性化を図るとともに、すべての県民がITの利便を享受できるよう、情報格差の防止にも配慮した施策に取り組む考えでございます。
 このような見地から、現在、県民が気軽にインターネットを活用できるようにするための普及啓発機能やIT研修機能をあわせ持ったIT活用に関する総合的なセンターの設置や、起業を志す若い人への情報インフラの整った施設、いわゆるSOHOでございますが──の提供も含めた支援策等について鋭意検討を進めております。また、まず「隗より始めよ」ということもございますので、来年度、本庁のパソコン整備率一〇〇%を目指すことにいたしております。
 次に、和歌山工科大学の凍結への対応ということでございますけれども、和歌山工科大学整備事業の凍結につきましては、関係者の皆様に対してご心配をおかけいたしました。今後の県政の推進に当たりましては、引き続き県議会等における議論を十分に尽くすとともに、議員各位を初め地元関係者などの合意形成を図りながら県政を運営していく所存でございますので、今後ともご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
 次に和歌山工科大学の凍結への対応で、調停の申し立てを行わない解決金の支払いということでございますけれども、議員ご指摘のように、民事調停以外の方法による解決金の支払いも可能でございます。しかしながら、採用予定者の皆さんの実情、要望を十分勘案した上で、採用予定者の皆さんの負担をでき得る限り軽減しながら、公正かつ客観的な判断に基づき早期解決を図るためには、民事調停によることが最も適切であろうと判断したところでございます。
 なお、民事調停によること、また県が申し立てを行うことにつきましては、採用予定者全員と協議の上、ご同意をいただいているところでございます。
 次に、旧南紀白浜空港跡地利用についてのご質問でございます。
 この跡地につきましては、ただいま議員からのご提案も踏まえつつ、観光振興など紀南地域の活性化のため、民間活力を活用した利用方策を幅広く検討してまいりたいと考えております。また、県民の方々からも知事と親しメールなどを通じ、ご意見、ご提言をいただいているところでございますけれども、今後とも幅広くご意見をいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、ワールドカップサッカーのキャンプ誘致についてでございますが、二〇〇二年に日本と韓国で開催されるワールドカップサッカーに出場する三十二カ国のキャンプ地として、日本で四十三都道府県八十四カ所、韓国では三十三カ所の自治体が名乗りを上げ、誘致活動を展開しております。
 本県の場合は、関西国際空港から至近距離にあるという交通アクセスの利便性や練習会場、宿泊施設など、すぐれた環境にあると考えております。このキャンプが実現しますと、国の内外から多くのサッカーファンやマスコミ関係者等が本県を訪れることにより、和歌山県を世界にアピールする絶好の機会となるとともに、スポーツ振興はもとより、県の活性化に大きな効果が期待されるところでございます。今後、各界諸団体を初め幅広く県民の皆様のご支援をいただきながら、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 なお、この件につきましては、既にいろんな方面で誘致に向けて努力をしているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) IT社会の構築に向けた取り組みの中でIT基礎技術講習への対応でございますが、IT講習会は、インターネットに始まるIT革命の恩恵を県下一円に拡大、浸透させていくために大変効果的な事業であると認識しております。県内全市町村が本事業に積極的に取り組むように働きかけており、平成十三年度での事業実施を予定しております。
 この事業を実施していく上で、講師の確保は、事業の成否を分けるポイントの一つであります。現在、例えば学校の教職員、民間のパソコン教室の先生、県職員、市町村職員及び定年を迎えて職場を離れられた方々の中でパソコン技能に造詣の深い方々を講師として想定していますが、今後より広くボランティア等の公募も行いながら講師の確保に努めてまいる所存であります。
 なお、講習会の開催前には、講習内容の平準化を図るため、講師の方々に講習方法等についての説明会を開催することとしております。
 次に和歌山工科大学の凍結への対応の中で、解決金を支払う基準と予算措置、就職問題解決についてでございます。
 まず解決金の算定につきましては、精神上の損害、並びに財産上の損害など、採用予定者の皆さんの実情を十分に勘案し、調停委員により適切な判断を下していただけるものと考えており、県としても誠意を持って対応していく所存です。
 また予算措置については、調停に基づき解決金の額、支払い時期が決定された後に財政当局と協議の上、適切な対応を図る所存です。
 次に職を失われる方々の就職先の確保につきましては、就職先の紹介及び就職活動の支援について、現在採用予定者の皆さんと個別、具体的に協議を重ねているところでございます。
 次に、工科大学の準備経費の内容と予算処理でございます。
 関係予算の執行状況でございますが、平成十二年度予算の執行状況については、当初予算額十四億五千五百七十三万七千円のうち、十一月末日までの支出負担行為済み額は一億六千二百九十五万九千円となっております。このうち、設計や調査などの委託契約経費につきましては、九月議会終了後に契約解除の通知を行い、業務の進捗度合いに応じて精算額を確定の上、契約解除を行いました。その結果、委託契約に係る支出負担行為済み額は一億二千二百十七万円となっております。その主なものとしては、施設の基本実施設計の四千六百八十九万八千円、地質調査の二千三百十五万五千円等です。
 なお、十二月以降の本年度予算の執行につきましては、事業収束に必要な事務費のみであり、平成十二年度末での予算執行見込み額は全体で一億七千万円程度になるものと見込んでおります。このため、来る二月議会には残余額について減額補正予算案を提案する予定でございます。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 失業者の情報技術取得についてお答えをいたします。
 最近の雇用失業情勢は、失業率が四・七%と非常に厳しい状況が続いており、特に本県におきましては有効求人倍率が〇・四九倍と、全国平均の〇・六四倍を下回る水準で推移しているのが現状でございます。一方、あらゆる産業分野においてIT化が急速に進展する中で、IT対応能力はあらゆる職種の職業能力の前提となりつつあり、離転職者の再就職には情報技術の取得が重要であると考えてございます。このため県といたしましては、離転職者の再就職に資するため、国の施策等も活用しながら、情報技術取得訓練を積極的に展開してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) IT関連での障害者への対応についてお答えをいたします。
 インターネットやEメール等のディジタル情報技術を利用することで、障害のある方にとっては社会参加の新しい局面がふえ、家庭にいながらさまざまな仕事ができるようになり、その普及により、さらに自立の機会がふえるものと大いに期待をしております。そのためにも、情報技術の進展から取り残されることのないよう、特に情報の取得に障害のある方を対象とした講習会の開催や参加の促進に取り組むとともに、情報機器や各種ソフトの取得、利用に関する支援策についても国に要望をしてまいりたいと考えてございます。
 次にドクターヘリ事業についてでございますが、事故及び急病や災害等の発生時に、消防機関等からの要請により、直ちに医師等が同乗し、ヘリコプターで救急現場等に出動する事業が全国二カ所の救命救急センターで試行的事業として実施されてございます。国におきましては、ドクターヘリ調査検討委員会を設置し、厚生省や自治省などの関係省庁により検討が行われたところであります。その有効性につきましては、山間僻地を抱える本県におきましても、救急医療に精通した医師が現場により早く到着し、救命医療を開始し、高度な救急医療機関まで連続的に必要な医療を行うことにより、救命率の向上や後遺症の軽減に大きな成果を上げることが期待されているところでございます。しかしながら、ヘリコプターを活用するためには、現地での離発着場の確保、夜間の対応等解決しなければならない課題もございます。
 県といたしましては、ドクターヘリ事業の導入に向けて、今後諸課題についていろいろな角度から検討を加えるとともに、関係機関との協議を進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 和歌山工科大学の凍結に伴う財政運営プログラムIIへの影響についてお答えいたします。
 和歌山工科大学整備につきましては、全体事業費約百四十四億円を見込んでいたところでございます。また、ご指摘の財政運営プログラムIIにおきましては、事業に充当される起債などを差し引いた一般財源ベースで収支差を段階的に解消することとしており、一般財源ベースで見ると約六十億円の節減となりますが、いずれにせよトータルとしては、本年度に予定していた事業の精算見込み額を差し引き、約百四十二億円の節減になるものと考えております。
 なお、その一方でIT革命への対応、ダイオキシン対策、介護保険を初めとする福祉関係経費の増嵩などによりさらに厳しさを増してきているという面もございまして、今後とも財政健全化に全力を挙げて取り組んでいく必要があるものと考えているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ワールドカップキャンプ地についてのご質問のうち、紀三井寺公園の整備についてお答えします。
 公認キャンプ候補地募集要綱の条件に基づき、芝生の張りかえが必要となります。これに必要な経費につきましては、交付税措置がなされて県費が不要となる今回の国の経済対策補正予算として認められましたので実施する計画としてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップキャンプ誘致の取り組みについてでありますが、県では、昨年の九月に公認キャンプ候補地としてJAWOC(二〇〇二年FIFAワールドカップ日本組織委員会)に申請し、本年一月に準備委員会、四月には誘致委員会を組織し、誘致に向けての取り組みを進めているところであります。
 具体的な取り組みといたしましては、幅広い情報収集や本県のキャンプ地を紹介する資料作成の準備、本県と友好関係にあるメキシコやブラジルへの働きかけ、さらに大陸別予選の状況を見ながら誘致対象国の絞り込みを行うなどの作業を進めております。去る十一月二十二日には、JAWOCから公認キャンプ候補地として正式に認定を受けました。その後、誘致委員会では、日本サッカー協会並びにJAWOCを訪問し協議を行いましたが、その際、本県の候補地は、交通アクセスの面、静かな環境で集中してトレーニングできる研修会場や宿泊施設などの面で高い評価を受けたところであります。
 こうした環境条件の面で優位性のある本県に青少年のあこがれの大会であるワールドカップサッカーのキャンプを誘致できるよう、県サッカー協会や和歌山JCなどの関係団体等と連携を図りながら、積極的に誘致活動を行ってまいります。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 知事並びに関係部長からご答弁いただきまして、ありがとうございます。
 工科大学の凍結への対応の調停への申し立てについてでありますが、財団の採用予定者が十三名、教職員の方もそうでありますけれども、解決金や就職の問題については誠意ある対応をしていただけるという前向きのご答弁をいただきましたので、どうぞしっかりと対応していただきたい。この点、要望をさせていただきます。
 それから、二〇〇二年のワールドカップのキャンプ地の招致でございますけれども、実は県単位で候補地が選ばれたのは和歌山県と奈良県と岡山県の三つなんですね。あとの八十一カ所は、市や町なんですね。ですから、県の威信にかけても頑張っていただきたい。この点も要望させていただきます。
 それから本県へのドクターヘリ事業の導入についても、非常に有効性があるというご答弁をいただきましたので、どうぞ導入に向けて積極的に取り組んでいただきたいことを強く要望させていただきまして、私の質問は終わります。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。

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