平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(小川 武議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百八十二号から議案第百八十八号まで】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、ただいま報告の議案第百八十二号から議案第百八十八号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 我が国は、一昨年以来の経済対策によりデフレスパイラルに陥りかねない危機的状況を脱却し、緩やかながらも改善しつつあるところでございますけれども、雇用状況は依然として厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状況が続いております。さらに、米国の景気減速懸念が高まる中で、アジア通貨の不安定や日本国内における株価の低迷等、先行き不透明な面もございます。
 国においては、このような状況のもと、公需から民需への円滑なバトンタッチを図り、景気の自律的回復に向けた動きを本格的回復軌道に確実につなげるとともに、我が国経済の二十一世紀における新たな発展基盤の確立を目指すとの観点から、経済対策として総事業規模十一兆円の日本新生のための新発展政策が決定されたところでございます。
 本県といたしましても、二十一世紀の和歌山づくりに資するため、経済対策を早期に実施に移すべく補正予算案を直ちに編成し、このたびご提案をさせていただきました。
 その主な内容についてでございますが、IT関連として、全国に先駆けて県立学校と県立の生涯学習施設等を黒潮ネットワークで結び、すべての学校のすべての普通教室からインターネット等が活用できる情報環境の整備を図る教育ネットワーク整備事業の実施や、児童館、文化情報センター等社会教育施設、消費生活センターにパソコンを設置し、広く県民に対してITの普及を図るとともに、平成十三年度に県や市町村がIT講習会を実施するための基金造成を行うことといたしております。
 また、市町村の電子化を推進し、県とのネットワーク化を図ってまいるとともに、県工業技術センターに三次元のCAD・CAMを導入し、中小企業者を対象にIT技術者の養成を図るものづくりIT融合化支援センター整備事業を実施してまいります。
 さらに公共事業の追加として、生活基盤の充実を図るため、国道改築、県道改築、広域農道の整備事業等により、府県間道路を初め県内道路網のネットワークを形成すべく交通基盤整備事業の推進やかんがい排水事業の推進等、中山間地域を初めとする農村地域の基盤整備を進めるとともに、防災対策の推進を図るため、道路の岩盤崩壊対策や河川改修、並びに砂防事業の推進、防災拠点漁港やため池等の整備を推進してまいります。
 このほか、関西国際空港一期パートII事業や二期事業の推進等を図るため、所要の措置を講じております。
 また、県単の施策といたしまして、橋本市の日本工業所に係る行政代執行について、国の通達に基づく工法の変更や地元住民との合意に基づくジオメルト実証実験等の追加経費について所要の措置をお願いいたしております。
 これらの結果、総額で百二億七千三百万円の増額補正となり、平成十二年度一般会計の補正後の予算額は六千四十七億三千万円となります。
 なお、今回の補正予算の財源につきましては、国庫支出金、県債等をもって充当することといたしております。
 次に条例案件でございますが、議案第百八十三号から百八十六号までは職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十八日に出された県人事委員会勧告を受けて、ことしの四月一日から給与改定を実施するために所要の措置を講ずるものでございます。
 また議案第百八十七号は、県民のIT基礎技能の向上を図るため講習会を実施するための基金を設置するものであり、議案第百八十八号は、今回の補正予算に伴う建設事業市町村負担金について議決をお願いするものでございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百六十九号から議案第百八十一号まで】
  【日程第三 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第二、議案第百六十九号から議案第百八十一号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 十四番小川 武君。
  〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 この十二月議会が二十世紀最後の議会であり、その議会にトップバッターとして登場することは、私にとっても思い出深い議会となります。この機会を与えていただきました先輩・同僚の皆さん方に、まず心から感謝申し上げたいと思うのであります。
 さて、二十一世紀という新しい時代を迎えるに当たって、期待と不安が交錯する中で昨今の世相を見渡すと、不安が先に立つのは私だけではないと思います。景気の低迷、少年犯罪、少子高齢化、環境問題等々、今日の繁栄を築いてきた反動が課題として一挙に押し寄せてきた感があります。これらの課題に対し緊急かつ適切に対応していかなければならないことは申すまでもないところでありますが、大きな潮流変化という観点から二十一世紀へアプローチすることが大切なことだと思います。
 二十世紀は物質文明で、二十一世紀は精神文明だと言われております。すなわち、物質的、経済的豊かさから心の豊かさへと価値観が変わりつつあるということであります。地球環境問題やエネルギー資源の枯渇、そして私たちが初めて経験する人口減少という現実を直視すると、これまでどおりに物質的豊かさを求めることは困難な状況であるし、むしろ精神的な豊かさを求め、自分のライフスタイルを確立することが必要になってこようかと思います。
 知事は、今議会冒頭の所信において、二十一世紀は「個性の沸き立つ知恵の時代」であるとし、来年度当初予算においては、IT、環境、新産業創造等、二十一世紀の和歌山づくりに必要な事業に重点的に配分し、積極的な推進をすると申されました。
 そこでまず最初は、二十一世紀の和歌山づくりについて、ITと新産業の創造について知事の所見をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 二十一世紀の社会生活や経済を支えるものはITと言われております。IT、すなわち情報通信技術のことです。近年の急速な進歩には目覚ましいものがあります。代表的なものが、携帯電話であります。十年前にはトランシーバーのように大きくて重いものでありましたが、今は本当に小さく、軽くなっております。値段も安くなり、普及が進み、契約者数で家庭用電話機を超えたものになっております。また最近では、パソコンを持ち歩き、携帯電話でインターネットにつないだりする姿がよく見られます。来年登場する携帯電話では、音声だけではなく、動く画像もきれいに送受信できるようになるとのことであります。いつでもどこでもコミュニケーションをとりたいという要求にこたえ、技術の進歩が可能となったものだと思うのであります。こうしたITの急速な進歩が産業や行政、生活のあり方を変えていくことになります。これがIT革命と言われるゆえんであると思います。
 国においても、先般、IT基本戦略を決定いたしました。それには、五年以内に世界最先端のIT国家になることを目指すとしております。木村知事も、さきの九月定例会において、ITを起爆剤として和歌山県の個性ある新時代を築くとの決意を示されたところであります。本県のITの現状と今後ITを生かした県づくりをどう進めていこうと考えているのか、知事からお聞かせ願いたいと思います。
 国のIT基本戦略においては、二〇〇三年度までに行政内部の電子化、官と民が接続するオンライン化を図る電子政府を目指そうとしております。本県においても、行政の電子化に向けての取り組みが進められようとしております。県庁をのぞいてみると、職員の机にはパソコンが置かれ、画面に向かって仕事をしている姿を見かけます。また、県のホームページには県政各分野のさまざまな情報が提供されております。さらに、木村知事が就任してから知事と親しメールが始まり、県民とのメール交換が始まっております。
 しかしながら、問題点として、職員が十分使いこなせているのか、パソコンネットワークで県庁の意思決定が行えるのか、ホームページによる県民への情報提供は十分なのか、個人情報の安全対策は大丈夫なのか、いろいろ心配なこともあります。職員が十分使いこなせてこそ県民や企業をリードできるものと思います。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 県庁におけるパソコンの配置とネットワーク化の状況、見通し、また職員の能力向上に向けた取り組みはいかがなものでありましょうか。
 次に、新産業創造についてであります。
 本県経済の状況については、長引く景気の低迷の中で厳しいものがあります。本県の製造業を見ますと、繊維、染業、化学など地場産業の占める割合が高く、世界的な競争の中で事業所数、出荷額とも減少しております。ノーリツ鋼機や島精機は独創的な技術を持って育ち、超優良企業になりましたが、これに続く企業が育ってきてほしいところであります。
 ベンチャー等の新規開業率を見ても、本県は全国に比べて低位にあります。ベンチャー企業の育成については、創業資金の貸し付けや経営指導を行ってきたところであります。今後、企業から独立した技術者、また学生、主婦など、新規開業者の態様に合った支援策が必要になってくるかと思います。これには研究施設や相談役として専門家、アドバイザーが要りますので、その確保に努めていただきたいと思います。
 専門家はなかなか県内に少ないのが実情でありますので、県外の適任者をスカウトすることも考える必要があります。また、大学や工業試験場といった研究機関からの技術移転という方法も促進しなければならないと思うのであります。
 今後、物づくりの技術的な需要は、世界的なネットワークの中でアイデアが募集され、世界じゅうから供給される時代になってまいりました。こうしたアイデアを継続して供給できれば世界的な企業となることが可能であると思います。
 二十一世紀は、知事も言われるように知恵の時代であります。本県の地場産業においては、消費者ニーズに合った商品開発、あるいはニーズを掘り起こす新製品を開発できる企画、開発力を持つことが課題であり、行政においてもこうした企業への支援を図っていく必要があろうかと思います。
 知事は、新産業の創造に向けて地場産業の振興をどう図ろうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 ITや新産業創造への取り組みとともに、今回、知事が環境を県づくりのテーマに掲げたことは、私も賛同するところであります。本県には海、山、川のすぐれた自然が残っており、こうした自然環境と共生する地域づくりを図っていくことが必要であります。高野・熊野の世界的な文化遺産とともに、恵まれた自然環境を生かした地域づくりが望まれるところであります。廃棄物対策では、その発生を抑制するとともに、再利用を図っていく必要があります。循環型社会に向けて生活を転換するとともに、捨てられるものについては環境に負荷をかけないよう適正処理されるべく監視していく必要があると思います。
 また県庁では、環境を管理するための省資源対策として、ISO一四〇〇一の国際規格の認証に向けて取り組んでいると聞いております。県下の企業にも認証取得を進め、積極的な支援を行ってほしいと思います。
 限りある地球環境の中で将来に向けた発展を続けていくことのできる社会づくりのため先進的な取り組みを進め、住む人、訪れる人に魅力的な県づくりを進めていってほしいと思うのであります。
 次に、市町村合併の推進についてお尋ねいたします。
 本年四月に地方分権推進一括法が施行され、地方分権は、推進する段階から、いよいよ実行の段階を迎えていると考えるのであります。地方分権で必要なものは、自己決定、自己責任の原則のもとで、増大、多様化する住民の行政ニーズに対応していくことであります。また一方で、財政状況が非常に厳しいものになっており、効率的な行財政運営に努める必要があると思うのであります。
 本県で十一年度に実施した広域行政体制整備調査では、圏域ごとにさまざまな合併パターンが検討されております。また、人口一万人を下回ると一人当たりの歳出額が急激に増加する傾向にあると分析されております。ある程度の人口規模がないと、行財政基盤の充実や強化を図っていくことは難しいものであります。本県では、人口一万人未満の町村が二十八あります。住民の広域的な活動や経営の効率化の観点から、こうした小規模団体の合併は避けて通れないと考えるのであります。
 昭和三十年代の市町村合併のように、国、県がリードし、積極的な推進を図る必要があると思いますが、知事の考えはどうでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、市町村合併を行う際の財政措置や特例措置を定めている市町村合併特例法の法期限が平成十七年三月末までとなっており、残された期間が四年半を切っている状況にあります。市町村の合併は、検討協議の段階から実現までに相当の年月を要するのが実情であり、残された期間内に合併を行うには速やかに取り組む必要があると思います。しかしながら、本県においては具体的な動きが見られないのが実情であります。
 国においては、市町村合併を促進するため、新たに住民投票制度の導入やさらなる財政支援を打ち出しております。十二月一日に閣議決定された国の行革大綱においても、今の自治体の数を三分の一の一千程度にすることを目標にしております。県においては、十一年度の広域行政体制整備調査を踏まえ、市町村合併推進要綱の策定を検討中であり、十二月一日も広域行政懇話会において議論されたと聞いております。
 今後、市町村合併に向けて本県における進め方はどうするのか、総務部長にお伺いしたいと思います。
 次に、関西国際空港の二期工事についてお尋ねいたします。
 関西国際空港は平成六年九月に開港し、はや六年が経過いたしました。当空港は世界でも初めての本格的な海上空港であり、当時の技術の粋を結集し、連絡橋の設置工事費も含め、総事業費約一兆四千六百億円をかけて建設された巨大な人工島であります。
 関西国際空港は、国際ハブ空港、二十四時間空港として現在整備が進められておりますが、ここ数年の航空需要低迷のあおりを受け、計画では平成十二年度の離着陸回数が十五万回となるはずが十一年度実績で十一万八千回と大きく下回っており、本年度においても到底目標値に届くことはありません。これに伴い、経営面においても、開業後五年で単年度黒字とされておりましたが、五年目に当たる十一年度決算では二百億円程度の赤字となり、累積赤字は千五百億円を超えている状況にあります。この離着陸回数の伸び悩みの一因は、着陸料が成田に次いで世界で二番目に高いためであり、海外航空会社からもたびたび指摘されていることは周知のところであります。
 近隣アジア諸国では大規模空港の建設が進められており、これらの空港に対抗するためには、着陸料引き下げ等の措置により国際競争力の強化を図ることが必要ではないかと思うのであります。
 関空二期事業は、一期事業を上回る一兆五千六百億円の事業費をもって昨年七月に本格着工されております。また十一月二十七日には、本県から埋め立て用土砂の搬出も始まりました。このような状況の中、突然大蔵省から、二期事業についてはスローダウンしてはどうか、あるいは無利子資金の増額による有利子資金の圧縮が必要でないかとの声が聞こえてまいりました。国の財政状況悪化の中、最近の公共事業の見直し議論の中から、関空二期事業においても大蔵省のターゲットの一つに挙げられた結果だと推察いたします。
 航空需要については、現在、回復基調にあると聞いております。将来の航空需要に備えるためにも二期事業を進める必要性は疑問を挟む余地がなく、ここでスローダウンされるようなことがあれば国益を損なうことにもなりかねない大きな問題であると考えております。
 そもそも第一種空港の設置・運営は国の事業であるにもかかわらず、関空については特別法により関空会社の設置・運営とされ、一期工事においては周辺自治体も出資金として七百二十九億円の負担を行い、二期工事においても出資、無利子貸付金を合わせて約二千九十億円の負担を引き受けることになっております。二期工事も着工し、本格的な埋立土砂搬入という時期になってさらなる地元負担や工期の延長を言われても、到底受け入れることができるものではありません。
 関空は第一種の国際空港であり、当然、国は計画どおり建設を進めるべき責任があり、こうした声を地元自治体が手を携えて、断固国に対して要望していかなければならないと思うのであります。
 知事に、二つお尋ねいたします。
 一つ目は関空二期事業について、工事延期等が話題に上っておりますが、どのようにお考えですか。
 また二つ目は、関西国際空港の国際競争力強化方策に対する地元負担についてどのようにお考えですか。
 次に、和歌山工科大学整備事業の凍結に伴う処理についてお尋ねいたします。
 知事は、さきの県議会九月定例会において、和歌山工科大学整備事業の凍結を表明されました。このことにつきましては、種々議論が交わされたところであります。まことにつらい思いと知事が言われたように、まさに苦渋の決断を下されたものと推察いたします。問題は、その後の善後策であります。事業凍結による影響をいかに円満に解決し、県の信頼を損ねないように事態の収拾を図っていくのか。何事によらず勢いを持って前進していくときよりも、撤退時の処理の方が困難を伴い、やり方を間違うと大きな傷を残すことになってしまいます。知事には、ぜひとも迅速、適切な対処を望むものであります。
 今回の凍結措置によって最も大きなダメージをこうむっているのは、設立準備財団や学校法人に事務職員や教員として採用が予定されていた方々であると思います。これらの方々については、人生や生活設計に深刻な影を落としてしまったわけでありますから、何としてもその修復を図り、支援していく必要があると思うのであります。
 そこで、企画部長に二つお尋ねいたします。
 一つ目は、職員や教員として採用が予定されていた方々に対して、これまでにどのような対応をされてきたのか、今後どのようにされるおつもりなのか。経過を含め、ご説明いただきたいと思います。
 二つ目は、今議会に調停の申し立てについての議案が提出されておりますが、なぜ調停の方法を選択されたのか、その理由をご説明願いたいと思います。
 私は、今回のことによって職を失う結果となった方々への新たな就職支援や精神的なケアも必要なことと考えているのでありますが、いかがなものでありましょうか。調停議案提出の真意をお聞かせいただきたいと思います。
 最後になりましたが、和歌浦の振興策についてお尋ねいたします。
 和歌山市は、先般、花と緑の海都WAKAYAMAづくりの一貫して和歌浦湾振興ビジョンを策定しております。和歌浦は、歴史・文化の薫りする、風光明媚な景勝地であります。この和歌浦に県公館があります。この施設は、県が来賓用に平成五年に購入したものであり、見事な松や灯籠、茶室等を有し、風致地区にふさわしい庭園でもあります。しかしながら、余り使われていないのが現状であります。私も、前を通るたびに有効活用の方法はないものかと思っていました。片男波公園の健康館・万葉館から、あしべ通りを経て不老橋、玉津島神社、観海閣と、付近には貴重な建物や施設があります。和歌山県公館をリニューアルしてこれらと一体的に活用できれば和歌浦湾振興の一助になると思っております。和歌山県公館について、県民への開放を含め、新たな活用方法はないものでしょうか。知事にお尋ねいたしたいと思います。
 以上で私の質問は終わり、二十一世紀の県づくりを中心に知事のお考えを聞かせていただくわけでありますが、大きな時代の変わり目でもあり、県政においてもさまざまな懸案事項が山積しております。知事におかれては、タイミングを図り、職員とともに問題解決に当たっていってもらいたいと思います。また、本県の自然や文化といった特色を生かし、伸ばせる分野は伸ばし、和歌山県が二十一世紀のトップランナーとなるようリーダーシップを振るっていってもらいたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの小川武議員のご質問に対してお答えを申し上げます。
 まず二十一世紀の和歌山づくりについて、ITを生かした県づくりをしてはどうかというご質問でございます。
 ITは、私たちの生活様式を大きく変革し、新たな経済発展を可能にし得る技術であると考えております。特に過疎化、高齢化が進む本県の社会経済活動の活性化を図る上で、このITの活用は重要な手段であると認識しております。このため、行政はもとより、県民生活や企業活動など、あらゆる分野におけるITの活用を促進してまいりたいと考えております。
 次に、パソコンの配置状況と人材の育成についてということでございます。
 県庁におけるパソコンの設置状況でございますけれども、現在、庁内のネットワークに接続したパソコンは、本庁では職員の五一・三%となっております。
 先ほどお話にありましたように、国は二〇〇三年度に電子政府の構築を目指すこととしておるところでございまして、和歌山県でも二十一世紀に向けて一人一台のパソコンを整備し、IT時代に対応していくということが喫緊の課題であると考えております。このため、来年度の予算では、非常に財源的に大きなものがかかるわけでございますけれども、本庁の職員について一〇〇%、一人一台のパソコン配備を行いたいと考えております。
 なお、出先機関につきましても、接続に必要な作業等を迅速に進め、再来年度には完了したいと考えております。
 職員の能力向上につきましては、職場ごとにパソコンを率先して活用し、事務の効率化、高度化を進めるOA推進員の配置を行い、その職員をリーダーとして事務処理の電子化と所属職員のパソコン操作能力の向上に努めることといたしております。
 次に、新産業の創造に向けた取り組みについてということでございます。
 県経済を活性化させるためには、新規の開業や地場産業の新分野への進出等、活力ある優良な企業が数多く生み出されてくるということが大変重要なことでございます。今後は、情報、環境、福祉医療等々、さまざまな分野において新たな産業の成長が見込まれ、こうした中で、繊維、化学や家庭用品など、地場産業においても消費者ニーズに合った商品や新たな発想と技術による商品の開発に取り組む企業が出てきているところでございます。
 こういった取り組みを後押しするためにも、来年度予算において、新産業を創造するための先進的な新規事業について、重点を置いた編成を進めていきたいと考えております。例えば、大学や研究機関から地場産業への技術移転でありますとか、ベンチャー企業支援のための施設整備、そして販路開拓支援、サイバービジネスの創出等々、さまざまな角度から現在検討を進めているところでございます。
 新産業の創造は一朝一夕にいくものではございませんけれども、広く県内外の有識者のご意見も参考にしながら、研究開発から事業化に至るまでの各段階において総合的な支援を実施することにより、ベンチャー企業や地場産業から独創的な発想と技術を持って世界に羽ばたくような企業が輩出するよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、市町村の合併についてでございます。
 この合併問題については、市町村や住民の方々が自主的に判断されるということが前提でございます。しかしながら、議員ご指摘のように、地方分権の進展、広域化・高度化する行政需要、あるいは国、地方を通じた厳しい財政状況など、昨今の時代の潮流を考えますと、市町村の合併は非常に重要な課題であると考えております。
 もとより、合併の実現に向けては、ご案内のように非常に困難な点があることも十分に承知をいたしておりますけれども、私といたしましては、県内の各地域の将来を展望するとき、市町村の合併を推進していく必要があると考えております。このため、市町村合併推進要綱の策定などを通じて必要な助言や情報の提供などに努め、合併の機運の醸成を図るとともに、合併に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 次に関空の関係でございますが、まず一つは二期工事の延期ということでございます。
 関空会社は経営状況について非常に厳しい状況であるというふうには認識しておりますが、昨年度まで低迷していた航空需要も現在回復の基調にあるということでございまして、先ごろ発表された中間決算においても過去最高の営業利益が達成されたということでございます。
 関空会社では引き続き経営改善に取り組んでいくということでございますし、二期供用開始後においても、中長期的見通しとして単年度黒字の達成、そしてまた累積損失の解消ということは十分に可能であるとしているところでございます。
 本県といたしましては、このような経営の見通しが示されている中で、既に着手されている二期事業については、将来の航空需要に備えるため、現在の資金スキームで当初のスケジュールどおり進められるべきものと考えておりまして、国に対して、引き続き二期事業推進に必要な予算の確保を求めてまいりたいと考えております。
 次に、関空の国際競争力の強化についての地元負担ということでございます。
 平成十三年度国の概算要求に盛り込まれた国際競争力強化方策として地元の自治体に負担が求められておりますけれども、関空が我が国の基幹空港としての機能を十分発揮するため着陸料等空港使用料のさらなる引き下げを行い、国際競争力を強化することは重要なことであると考えております。
 この問題についてはいろいろございまして、現在関空会社に出資している関係自治体等でその方策、効果等について協議を進めておりますので、その中で考えていきたいと考えております。
 最後でございますけれども、県公館の活用方策ということでございます。
 県公館につきましては、ご承知のとおり、十分な活用がなされていないという実情にございます。今後の利活用につきましては、現状での新たな活用方策について、現在関係部局で検討しているところでございます。この活用に当たりましては、建物のスペースの問題や構造上の制約など、いろいろ問題もあるわけでございますけれども、ご提案の和歌浦の振興ということを考慮に入れながら、例えば今話題になっております有吉佐和子さんの記念館の候補地の一つとして、あるいは文化的な催しなど県民への開放ができないか等々、今幅広い観点から検討しているというところでございますので、ご了解いただきたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併の進め方についてのご質問にお答えいたします。
 本県におきましても、以前に比べて合併についての関心が徐々に高まってきていると感じているところでございますけれども、現時点で、合併協議会の設置など、合併に向けた具体的な動きが見られないのが実情でございます。しかし、議員ご指摘のように市町村合併特例法の法期限までの期間を勘案いたしますと、地域においてできるだけ早期に合併についての検討協議が行われることが重要と考えております。
 現在、広域行政懇話会を設置し、幅広くご意見をいただきながら市町村合併推進要綱の策定を鋭意進めてございまして、その中で合併パターンや県の支援策などについて検討を行っているところでございます。
 ご指摘のような状況を踏まえまして、できるだけ早期に要綱を策定し、その周知を図りながら機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 和歌山工科大学整備事業の凍結に伴う収束処理についての二つのご質問にお答え申し上げます。
 まず、職員及び教員予定者に対する対応状況についてでございます。
 十月五日の事業凍結発表後、速やかにその旨の連絡を行いました。その後、十月から十一月にかけて全員と個別に面談を重ね、事業凍結に至った経過説明及び採用予定者の皆さんの実情や要望を把握するとともに、法律的な問題の整理と対応策についての検討協議を続けてまいりました。その結果、職員採用予定者につきましては、就職先の紹介及び就職活動の支援、さらに精神上、財産上の損害についての民事調停に基づく解決金の支払いという三項目の対応を行うこととし、現在、面談を行いながら具体的な協議を進めているところでございます。
 なお、民事調停の申し立てにつきましては、既に職員採用予定者十三名全員の合意を得ております。
 また、教員採用予定者につきましては、就職活動の支援、さらに法的な損害賠償についての対応を図ることとし、現在協議を進めているところでございます。
 次に、調停の申し立てを行う理由についてでございます。
 精神上、財産上の損害の賠償につきましては、ご承知のように、民法第六百九十五条の和解、民事訴訟法第二百七十五条の起訴前の和解、民事調停、訴訟などの方法がありますが、本案件につきましては、職員採用予定者の皆さんの負担をでき得る限り軽減し、公正で客観的な判断に基づく早期の解決を図ることが肝要であるとの判断から、県の申し立てによる民事調停を行うこととした次第でございます。
 先ほどお答えしましたように、調停による解決金の支払いは、あくまでも法的問題の解決策として行うものですが、県としては、これと並行して採用予定者の皆さんの就職先の確保についても最大限の努力をしているところでございます。さらに、採用予定者及びその家族の皆さん方の精神的ケアにつきましても、電話、電子メール、面談などにより採用予定者の皆さんとの連絡を密にし、もろもろの事項についてのご相談に対応しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十四番小川 武君。
○小川 武君 知事から、来年度予算で本庁の職員一人一台、出先も含めて再来年度で一〇〇%という、非常に積極的な、力強い答弁をいただきました。ITによる県づくりは行政から、県庁からということで、なれていない人もこれから一生懸命身につけて、なお一層頑張っていただきたいということを要望いたしておきます。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小川武君の質問が終了いたしました。

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