平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(小原 泰議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百六十二号から議案第百六十六号まで】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、ただいま報告の議案第百六十二号から議案第百六十六号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について、ご説明を申し上げます。
 まず議案第百六十二号は、県公安委員会の委員島正博君が本年十月十二日をもって任期満了となりますので、引き続き任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 次に議案第百六十三号は、県教育委員会の委員山本昭君が本年十月十五日をもって任期満了となりますので、その後任として樫畑直久君を任命いたしたく同意をお願いするものであり、議案第百六十四号は、県教育委員会の委員赤松壽男君が本年十月十五日をもって任期満了となりますので、引き続き任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 次に議案第百六十五号は、県収用委員会の委員山中静君が本年十月十八日をもって任期満了となりますので、その後任として勝本僖一君を任命いたしたく同意をお願いするものであり、議案第百六十六号は、県収用委員会の前予備委員勝本僖一君が本年十月十日をもって予備委員を辞職したので、その後任として月山純典君を県収用委員会の予備委員に任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に、報告いたします。
 知事から、議案第百五十五号に対する一部削除の申し出がありました。
 お諮りいたします。本件について、知事からの申し出のとおり、これを承認することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
  【日程第二 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに
      報第九号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第二、議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第九号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 十番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、初当選されました木村知事、おめでとうございます。暑さの中の選挙戦でありましたが、暑さにも増して短期間でもあり、たすきの重さを感じながら勝利されたことに、心からお喜び申し上げます。また、当選後は責任の重さを日々新たに受けとめているものとお察しいたします。
 一般質問も四日目になると同じような内容となってまいりますが、ご容赦いただき、質問に入らせていただきます。
 県財政のあるべき方向についてお尋ねいたします。
 我が国の自治体は、オイルショック以降の好景気に支えられ、税収の伸びなどから財政事情が好転し続け、バブル時代を迎えた後、その反動からバブルの大きなツケが回ってきた格好で、国を初め、どの自治体も財政再建といった局面に迫られています。特に本県は、二十一世紀を目前に控えて、少子高齢化、環境整備問題などで財政運営も非常に厳しい状況にあります。そうした中、平成十五年度までの四年間を財政健全化期間と位置づけ、具体的な数値の目標を掲げられた財政運営プログラムを本年五月に策定し、来年度予算から財政健全化に向けて取り組まれると聞いております。その中身は、職員定数の削減や給与の見直し、管理事務経費の削減、県立医大附属病院の特別会計への赤字補てんの削減、それに公共事業でのシーリング制の導入等々がリストアップされていると聞いております。
 知事は、さきの選挙戦で、財政再建のためにも徹底した行財政改革を断行したいと話していますが、この財政運営プログラムに沿った形で財政運営を展開されるのか、大阪府の赤字財政再建に取り組まれた知事の決意のほどをお聞きいたします。
 そこで、次の三点についてお伺いいたします。
 まず初めは、歳入面についてであります。
 先日の新聞報道によりますと、独自に新税を課そうとする自治体が四十七都道府県中七割近くあり、東京、大阪は既に導入を決めているほか、検討や論議を行っているのは三十一自治体に上り、この中に本県も独自課税を検討している自治体として挙げられています。私も、知事の財源確保に向けての取り組みを大きく注目する一人でありますが、その取り組みについてお聞きいたします。
 一方、別の側面にある、本来入ってくるべき税の滞納問題についてお伺いいたします。
 県税の滞納額は平成十一年度決算では約三十六億円に上っているほか、県内の市町村税分の滞納総額は約百五十九億円に上っています。まじめに税を納めている者から見ると、税の不公平感は否めません。税の徴収に当たる自治体の職員は、昼間はもちろんのこと、早朝や夜間での業務に追われ、滞納者とのトラブルもはかり知れないものがあると聞いております。
 そこで、滞納の解消対策として滞納整理作業を専門的に行う事務組合、これは仮称ですが、債権管理機構を設けてはいかがでしょうか。当局の取り組みについて、総務部長にお伺いいたします。
 次に二点目として、事務的経費の削減についてお伺いいたします。
 県では長年にわたってシーリング制度が導入され、毎年一〇%から一五%を目標に経費のカットが実施されているのが現状であります。ある事業では、四、五年も経過すると、以前に比べて半分ぐらいの予算配分を強いられているものもあります。財政状況の厳しい中、職員が一丸一体となって地方自治に取り組むため、今後県はどのようにして事務的経費の削減に努められるのか、総務部長の見解をお伺いいたします。
 三点目は、さきの毎日新聞によりますと、木村知事が大阪の副知事であった時代の取り組みが紹介されていました。これは、エネルギー効率の悪い府の施設を予算ゼロで改修してもらおうというもので、まず提案を行って工事を請け負った業者が改修費用を調達し、その後、この工事により節約できた光熱費分を毎年償還してもらうというシステムで、さらにその償還分を除いた余剰金は府の歳入に組み込まれるという仕組みになっており、職場環境の向上やCO2の削減が図られるといった一石三鳥の波及効果があるというものです。新聞には、この省エネ施策について「エネルギー・サービス・カンパニー」との見出しをつけて紹介していましたが、これを含めた予算の効率的運営について、本県の取り組みを総務部長にお伺いいたします。
 次に、廃棄物処理やその再利用の取り組みについてお尋ねいたします。
 ご承知のとおり、さきの国会において循環型社会形成推進基本法、略称・循環基本法を初めとする多数の廃棄物・リサイクル関係法が成立いたしました。二十一世紀を目前にした今、なぜ循環型社会づくりへの動きが急ピッチで進み始めたのか。それは、これまでは出された廃棄物を適正に処理することを基本としてきたわけですが、それだけでは廃棄物問題を解消することは望めず、適正処理の限界に直面しており、廃棄物の排出規制及びリサイクルの促進が必須要件になってきたためであると思います。また、廃棄物処理の具体的な問題として、一つ目には特に最近問題となっているダイオキシン類の発生原因が主として廃棄物処理過程に原因があるということ、二つ目には廃棄物の不適正処理が全国的に相次いで発覚したこと、三つ目には廃棄物の最終処分場が不足して深刻になってきていることがあります。
廃棄物への対応を段階的に考えてみますと、まず第一に発生を抑制すること、次に再利用・再使用を考えること、そして最後に再利用できないものについては施設での処理や埋め立てなどの処分場での処理と、大きく三段階に分けられます。今までは最後の処理段階での対応だけが中心であり、特に産業廃棄物については民間事業者に頼った処理が行われ、現在それが大きな社会問題になってきたと言えます。今回の関連法の制定・改正はそれらの反省を踏まえた対応であり、特に都道府県の役割が一層重要なものになっております。また、今回の法整備で都道府県による廃棄物処理計画の策定が規定されており、市町村の独自性を尊重しながら、県としては広域にわたる課題での調整機能を発揮していかなければなりません。廃棄物の発生を抑制し、リサイクルを促進していくことは当然として、その後の廃棄物処理システムの確立は、自然豊かな和歌山にとってはそれを守っていくためにも大きな命題だと言えます。今まで、廃棄物についての法整備が不十分であると言われてきましたが、今回、一応の整備がなされ、また都道府県の役割も示されたわけであります。
そこで、和歌山県のこれからの廃棄物処理計画の策定を含めた今後の対応や循環型社会への構築に向けての基本的な取り組みについて、環境生活部長にお伺いいたします。
 また、廃棄物の処理については、全国的にも不法処理問題が頻繁に起こる中で、今、それが橋本市のように大きな社会問題になっており、民間事業者に対する住民の不信感には非常に大きいものがあります。今後は、県や県公社等の公共機関による産業廃棄物処理センターを考えていく必要があり、その建設費は国庫補助の対象にもなると聞いておりますが、公共関与による今後の産業廃棄物処理について、環境生活部長の前向きな答弁をお聞かせください。
 次に、平成七年に成立した容器包装リサイクル法が本年四月から実施され、来年四月からは家電リサイクル法が施行されます。ごみの量を減らすために本年四月に実施された容器包装リサイクル法は、法が施行されて半年になるわけでありますが、この法により何が変わっていくのか、また県内の取り組み状況はどうなっていくのか、環境生活部長の答弁をお願いします。
 最後に、デポジット制度の導入についてであります。
 デポジット制度とは、ご承知のとおり、缶や瓶入りの飲料水を売る際に販売業者は預かり金を上乗せして売り、購入客が空き缶や瓶を持ってくれば預かり金を返すといった仕組みであります。全国の自治体の中には既に条例により実施しているところもあり、預かり金が戻されることで購入客が自発的に空き缶や瓶を返却するため、回収率が高くなってきています。また、外国でも欧米や韓国など十八カ国がこの制度を導入しておりますが、我が国でも、約七百の自治体が加入する全国都市清掃会議などがこの制度の導入を求める要望書を政府に提出するなど自治体側で導入を求める声が高まっており、年末に見直される国の環境基本計画にも盛り込まれる見通しであると聞いています。
ぽい捨てに悩む観光地などの多い和歌山県にとってぜひ導入していただきたい制度でありますが、政府への要望も含め、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 次は、山村過疎地域の問題と観光立県の推進についてであります。
 選挙中、知事は、紀南地方の街頭で、また個人演説会で、「この町に今まで何回か来たことがあります、町のことはよく知っていますと話していたことが間違っていたことがわかった。県内をくまなく歩き回って、本当の過疎の実態がわかったような気がする。これからは自分の知識を白紙に戻し、もう一度、山村過疎対策、高齢化対策を勉強します」と述べておられました。
 私は、県議会議員四十七名のメンバーの中で一番小さな町の出身であり、一番の山間部に在住しています。私の東牟婁選挙区の多くの町は、若者の流出による人口の減少や高齢化に悩んでいます。あなたの言葉を信じ、あなたに一票を投じた山村過疎地域に住む県民に、現状をつぶさに見聞された感想と今後の活性化を図るための基本的な考え方について、もう一度あなたの口からその思いを語っていただきたい。
 また、知事は本会議の所信表明の中で、IT社会への対応や国際化社会でのグローバル化への対応などを踏まえつつ、各施策の積極的な推進を打ち出される一方で、財政難といった厳しい局面と表裏一体で県政のかじ取りを行っていくと述べられたほか、県内各市町村にはそれぞれ地域の特性があり、抱えている課題も異なり、個々の議論が必要で、ともに問題点を認識し、共有しながら適切、果敢に、また生活者の視点に立って新しい発想に基づいて施策を実施したいと述べられました。特に観光振興においては、心の豊かさが求められる二十一世紀には豊かな自然や高野・熊野などの歴史文化資源を活用した体験、感動できる観光行政を推進し、高野・熊野地域の世界文化遺産登録に向けて取り組みたいと述べられました。
 そこで、観光立県を大きく前進させるためには行政の体制面での見直しが必要不可欠ではないかと思います。本県の観光行政の主管窓口は、商工労働部の観光課であります。全国の都道府県の機構を見ますと、多くの府県では、本県と似た格好の商工部や産業労働部といった体制をつくり、その中に観光課や文化観光課などといった名称の課を設置しています。しかし、北海道は観光局が独立した体制をとっているほか、沖縄県は観光リゾート局、静岡県は生活文化部の中に観光リゾート室を設け、観光立県の推進に懸命に取り組んでいることが機構の上からもうかがえるところであります。
 県内の市町村を眺めてみますと、七つある市のうち、観光だけが独立して課や室制を導入しているのは和歌山市だけで、ここも今春の機構改革で観光課から観光振興室と名称変更しています。このほか、有田市と新宮市が商工観光課、それ以外は商工振興課や経済課といった名称で観光行政を展開しています。また、四十三ある町村では、産業課や農林経済課、産業観光課として運営されています。町村で観光課として取り組まれているのは那智勝浦町と白浜町で、白浜町では、これまであった観光部が部制度の廃止に伴い、企画観光課として名称を変えて観光行政を積極的に推進していますが、多くの町村では、二、三の職員が観光行政担当として行政運営しているのが本県の現状であります。ここで、名称にこだわるわけではありませんが、「名は体をあらわす」という言葉もありますように、県民、国民に向けての行政展開を望むものであります。
 そこで、本県が真に観光立県を推進させようと取り組むのであれば、観光部や観光リゾート部、あるいは国際化に伴い観光国際交流部といったように組織・機構面からの見直しを行うべきではないでしょうか。知事の見解をお聞きいたします。
 次に、熊野地方における観光振興を図る上での鉄道とそのアクセスの整備についてお伺いいたします。
 現在、紀勢線では、京都、新大阪、天王寺から十五本の特急が運行され、そのうち白浜どまりの特急が六本となっており、下り便も同じように運行されています。このほか、JR西日本では臨時の季節特急やきのくにシーサイド号といった列車の運行を行い、観光客やビジネスマンらの利便性の向上を図っています。これらの列車は、曜日や時間帯、それに天候の加減で満員になったり乗車率が五〇%を割ったりしているのが現状であります。一方、JR東海では特急ワイドビュー南紀を上下それぞれ五便運行させているほか、臨時列車を上下一便運行するなどして、東京や名古屋、中部、信州方面からの観光客らを那智勝浦町や新宮などに運んできています。
 先日、県の観光課が発表した本年の七、八月、いわゆる夏場の観光客動態を見てみますと、白浜や那智勝浦、和歌山市など県内の七つの主な観光地では、全体で昨年の夏と比べて観光客が八・三%ふえ、特に日帰り客は二百六十九万五千人余りと一四・八%ふえていますが、反面、宿泊客は九十六万一千八百人余りと、六・七%減っているということです。観光地別では、和歌山市や白浜町で海水浴客がふえ、私の住む本宮町でも川遊びを楽しむ人がふえ、好天にも恵まれたことから好調な人出となったということです。しかし那智勝浦町では、昨年に比べ一五・七%も観光客が減少したとされています。
 この発表に際して観光課では、紀南地方ではことしの夏は昨年の南紀熊野体験博のような大きなイベントもなく、淡路花博へ観光客が流れるのではと懸念されたものの、好天に恵まれたことから人出がふえたのではとプレスに対し説明を行ったとなっていますが、この人出の増加は単に好天だけでふえたと言い切れるのかどうかは疑問の一つであります。
 また、JR西日本和歌山支社がまとめた夏場の七月二十日から八月三十日までの特急列車の利用状況では、三十二日間に約三十万九千人が利用していますが、これは昨年の同じ時期に比べてマイナス一〇%となっています。この一〇%減についてJRでは、ことしは昨年の熊博のようなイベントがなかったからと説明しています。
 そこで、日帰り客がふえ、宿泊客が減少するといった傾向、特急列車の乗車率が低下している現象について、一点目として、景気の低迷が続く中、家族連れや若者らがアウトドア観光や身近な観光地でのマイカーを使っての行楽を選んだりする志向が強まったこと、二点目として、紀南地方を中心に道路事情が以前よりよくなったこと、そして三点目として、旅行エージェンシーを中心に販売展開されている宿泊パック旅行のマンネリ化とそれを利用する特急列車の混雑などが挙げられると私は分析します。この中で、三点目のマンネリ化した宿泊パックツアーなどを見直し、新鮮味あふれる観光施策をいかに打ち出していくかが大きなポイントであります。昨年は熊博といった大きなイベントがあり、集客等に一応の成果は見られたものの、熊博終了時に叫ばれたアフター熊博についての手だてができ上がっていません。
 以前、仮谷知事さんが二十一世紀の観光のあり方を探ろうと、奈良県、三重県と組んで三県観光知事サミットを開き、その後、何回と会議の場が持たれましたが、三県共通した観光施策を推進しようとするノウハウは昨年の熊博時に、三重県においては東紀州体験フェスタ、奈良県では吉野魅惑体験フェスティバルを開催したことなどに引き継がれているようであります。また昨年五月、新宮市を流れる熊野川の大橋の上では和歌山県と三重県との間で大綱引き大会が開かれ、マスコミでも大きく取り上げられましたが、今後もより一層三県合同で観光イベントを催すといったことなどにより積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
 そこで、和歌山と三重を結ぶ鉄道を見てみますと、特急はワイドビュー南紀が上下それぞれ五本のみが運行されているだけです。また、新宮駅はJR西日本とJR東海の分岐点の駅でもありますが、JR双方の会社での列車運行はばらばらで、連絡はひどい状態が何年も続いております。新宮で列車をおりて三重方面へ向かおうとしても、長時間連絡列車を待つというケースも珍しくありません。また、その逆の三重から和歌山方面への乗り継ぎも同じであります。熊野・高野を世界文化遺産にと懸命に取り組まれていますが、JR東海を利用しての東京や名古屋、中部、信州、北陸方面からの観光客の誘致をより積極的に行う必要があるのではないでしょうか。
 そこで、県当局におかれましては、JR西日本とJR東海との連携の促進をより一層図るよう要望していただくとともに、JR東海の運行するワイドビュー南紀や普通列車のスピードアップ化の促進、さらにはきのくにシーサイド号の和歌山、三重、奈良、大阪を通る紀伊半島一周運行などの施策を積極的に働きかけてはいかがなものでしょうか。企画部長の答弁をお願いいたします。
 次に、バス路線の確保についてお伺いします。
 来年度から路線バス事業への参入と撤廃が原則として自由化されるのに伴って、都市圏では百円バスの導入や高速バスの大幅値下げが予定されている一方、過疎地を走る赤字路線の多くは廃止の加速が予想されるとのことです。需給調整を廃止し、競争を促進する影の部分で、公共交通機関の利便性から置き去りとなる地域住民がいることを見過ごすことはできないと考えています。
 国道百六十八号、国道三百十一号を走るJRバスは紀伊田辺駅と中辺路町の栗栖川間だけの運行となり、その他の路線はここ一年以内に廃止される方向にあると聞いています。通勤、通学、通院とふだんの生活の一部となっている生活密着路線を廃止するということは、地域住民にとって切実かつゆゆしき問題であります。これらの赤字バス路線のほとんどが乗車密度十人以下となっていますが、県当局におかれましては、このような生活に密着したバス路線が紀南地方、熊野地方ではどれくらい廃止されると把握されているのか、またこれらのバス路線を確保するようバス会社などに働きかけていくのか、そして路線バスの確保に向けて県が主体となってつくる地域協議会の場でどのように取り組んでいくのかについてお伺いいたします。
 このほか、各町村単位で運行されているコミュニティーバスを運行させたり、このバスを町村外へ運行を拡大させたりして地元住民の利用促進を図るとともに、観光客の利便性の向上を図るよう取り組んではいかがなものでしょうか。また、バスの乗降客が少ないと見込まれる場合は、バスの大きさも従来の四十人、五十人乗りのバスから二十人ぐらいのマイクロバスに切りかえて乗降客の利便性の確保・向上を図ってはいかがなものでしょうか。県の取り組みについて、企画部長にお伺いいたします。
 続きまして、県内の情報化と通信網の整備についてお尋ねします。
 IT、ディジタルは二十一世紀のキーワードであることは、知事も所信表明で述べられました。経済企画庁が先日発表したところによりますと、今年度の企業の設備投資額はITに先導される形で四年ぶりにプラスに転じたということです。また我が自由民主党も、来年度予算の公共事業予算の配分見直しでIT関連やその教育施設の整備に五千億円の投資をする方向を決めたほか、自治省もIT化促進のために国と地方の役所内にインフラ整備方針を盛り込んだガイドラインをまとめ、職員一人に一台のパソコンを配備し、行政のオンライン処理の推進を決めたと報じられています。
 このように、IT、ディジタル化時代を迎える中、テレビもCSやBSディジタルといった多チャンネル時代に突入し、単に見るだけでなく使いこなすテレビ時代を迎え、パソコンや携帯電話などの機器と組み合わせることによって飛躍的な情報量が得られるといった、ここ十年前までは想像もできなかった時代が到来しています。
 首都圏から遠く離れた和歌山県にとっては、このような情報社会は地域間の距離をなくし、東京などの都会と同じ情報がリアルタイムで入手できるようになり、地域間の情報格差がなくなったとも言われています。しかし現実の問題として、地域間には整備面での格差が大きく生じているのは間違いありません。
 各地域には、その地域では欠かせない情報があり、それらは地域の新聞やテレビ・ラジオ等で住民に伝えられ、大きなライフラインの役割を果たしています。五年前の阪神・淡路大震災のときには、テレビを中心に大量の情報が私たちにもたらされ、被災地以外でもさまざまなニュースが飛び込んできました。震災により電気や水道などのライフラインがストップする中で、被災した人たちに大きく役立ったのはラジオであったと言われています。地元のラジオ局が大きな被害を受けながらも流し続けた家族や知人の安否情報が最も身近な情報として重宝されたと聞いております。このほかに、カーナビやカーテレビの普及によって災害時や停電時にこれらの機器を通じて情報が入手できるようになっていますが、カーナビやカーテレビの普及率はまだまだ低いものがあります。
 NHKは県内ほとんどの地域で聞けるようになっているということでありますが、私はそのようには思えません。また、県内ラジオ局の和歌山放送を聞ける範囲は、皆様のお手元に配付した資料のとおりであります。海岸線は比較的入りやすいものの、山間部では全く入らないのが現状であります。
 幸い、最近は何日も孤立するような災害はありませんが、ますます進む情報化の中で取り残される地域がないようにお願いします。そして、間もなく訪れる和歌山の二十一世紀こそは、どこに住もうと、どんな環境にいようと県民はひとしく必要な情報を入手し、快適な生活が送れる社会でありたいものだと考えます。
 そこで、お尋ねいたします。
 森総理もインターネットによる情報化を積極的に推進するとおっしゃっていますが、災害時の情報や交通情報を初め、生活情報としても必要な県内情報を発信するラジオを聞くことのできない地域に対する対策をどう考えているのか、環境生活部長にお尋ねします。
 このほか、観光施策を推進する上で身近なものとして必要視されているのが携帯電話であります。この携帯電話の利用エリアについてお伺いします。
 県では、南紀熊野体験博を機に、NTTドコモを初めとする移動通信会社と協力して、県内すべての市町村で携帯電話が利用できるように取り組まれました。しかし、山間部に囲まれた市町村では、役場の周辺しか携帯電話が利用できないところも少なくありません。
 そこで、防災対策情報や道路交通情報をいち早く地域住民や観光客に伝えるためには、この携帯電話の利用エリアの拡大やラジオ・テレビの聴取対策に取り組まれ、情報格差の解消を図るべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。県当局におかれましては、ラジオの中継基地の設置の推進が資金面などで難しい場合、携帯電話の移動通信基地と併用しての建設などについても検討されてはいかがでしょうか。県当局の見解をお伺いいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 初めに、財政再建策への取り組みの決意についてお答えを申し上げます。
 二十一世紀を目前にして山積する課題に適切に対処していくためにも、不退転の決意で財政健全化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。このため、財政運営プログラムを基本としてすべての事業について、言うならば行政の棚卸しとでも言うべき聖域のない徹底した見直しを行うとともに、時代の潮流をとらえて、これにマッチした思い切った施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
 また、新税の取り組みにつきましては、地方分権一括法により税法が改正され、地方団体の課税自主権の拡大が図られたことを契機に、現在、各地方団体においては法定外税や超過課税などを検討する動きが活発化しております。
 言うまでもなく、新しい税の創設ということになりますと、受益と負担の関係や税源をどこに求めるか等、検討しなければならない課題がたくさんございます。他県において検討されている環境関係税なども参考にしながら、和歌山県にふさわしい新しい税のあり方について、プロジェクトチームをつくって幅広い観点から研究してまいりたいと考えております。
 次に、山村過疎地域の現状を見聞した感想と今後の活性化を図るための基本的な考え方についてのご質問でございます。
 私は、さきの選挙期間中、地元の皆様方からいろいろなお話を聞かせていただきました。山村過疎地域の町や村は若者が減少し、高齢化が進み、そしてまた生活環境の整備のおくれがあり、さらに主産業であるところの農林水産業の停滞といった非常に厳しい現実がございました。
 私は、今回山村を歩き、本当の過疎の実態を改めて肌で感じることができました。この地域を魅力あるふるさととして活性化をしていくことが今までにも増して重要であると痛感いたしました。このため、山村過疎地域の振興を県政の主要施策の一つとして位置づけ、それぞれの地域において何が一番求められているかを的確にとらえ、地域での生活を維持向上する農林水産業の振興や快適に暮らせる生活環境の整備などを進め、ふるさとに自信と誇りを持って住み続けることができるよう積極的に施策を講じてまいりたいと考えております。また、折に触れて地元へも出向いて、地元の方々のご意見も聞いていきたいと考えております。
 次に、観光立県に向けての本県の取り組みについてでございます。
 まず、組織・機構の見直しについてのご質問でございますが、私は、観光の振興は和歌山県にとって非常に重要な課題であるという認識を持っております。県内それぞれの地域の多様性や特殊性を生かした観光振興施策を関係市町村、関係団体とともに積極的に進めてまいりたいと考えております。組織・機構の見直しにつきましても、議員ご提案の趣旨を踏まえ、これから検討してまいりたいと考えております。
 なお、これまでの観光をさらに発展させていくことはもとより、二十一世紀になりますので、この二十一世紀に合った新しい観光の推進にも鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県財政の健全化に向けての取り組みについて、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、債権管理機構の創設についてでございます。
 税の徴収対策につきましては、自主財源を確保し、また税の公平を図る観点からも非常に重要なことであると認識しており、収入未済額の縮減に懸命の努力を払っているところでございます。
 県といたしましては、市町村に対しても、あらゆる機会を通じて滞納額縮減方策の助言を行っております。また、徴収事務を市町村が行っている個人住民税につきましては、各市町村との共同徴収、共同催告を実施するとともに、情報交換や滞納処分研修を行うなど、積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも、市町村との連携を密にして滞納額縮減に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、議員ご提案の債権管理機構、いわゆる滞納整理組合につきましては、他県では市町村が一部事務組合を設立して取り組んでいるところもございます。市町村の意見を聞きながら今後の研究課題といたしたいと考えてございます。
 次に、事務的経費の削減についてでございます。
 県の財政状況が大変厳しい中にあって、これまでも内部的な事務経費については積極的に縮減に取り組んできたところでございます。なお一層の縮減に向け、和歌山県地球温暖化防止実行計画による省エネ運動の展開などを盛り込んだ和歌山県行政コスト縮減運動を本年五月に策定し、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
 次に、エネルギー・サービス・カンパニー事業の導入についてでございます。
 県庁舎へのエネルギー・サービス・カンパニー事業の導入についてでございますが、国際的な地球環境問題の中で省エネルギー対策は行政としても大きな課題と考えております。県庁舎につきましては、昭和十三年建築の本庁舎を初め、老朽化が進んでいる状況にございまして、設備の更新時期に来ているところでございます。
 現在、県庁舎におきましては、全庁的な取り組みとして、ただいまも申し上げましたように省エネルギーに取り組んでいるところでございますが、議員ご提言のエネルギー・サービス・カンパニー事業の導入の可能性も含めて、省エネルギー対策について検討を行い、さらなる予算の効率的運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 循環型社会と廃棄物処理についてのご質問にお答えいたします。
 法改正後の今後の対応と取り組みについてでありますが、議員指摘の廃棄物処理計画につきましては、現在、策定に向けて情報収集等を行っておるところでありまして、来年度、県内の廃棄物発生量等の実態調査に着手し、平成十四年度に策定する予定です。
 県といたしましても、この廃棄物処理計画に基づき廃棄物の減量化、廃棄物の適正処理を推進するとともに、庁内の関係部局と連携して循環型社会形成推進基本法を初めとしたリサイクル関連法の円滑な施行に取り組み、循環型社会の構築を目指してまいります。
 次に、廃棄物処理センターの建設についてお答えします。
 廃棄物処理センターとは、国または地方公共団体の出資等に係る法人が厚生大臣の指定を受けて産業廃棄物や一般廃棄物の処理を行う制度でありまして、本年六月の廃棄物処理法改正により指定要件や設置箇所数等の要件が緩和されたところでございます。
 県といたしましては、産業廃棄物処理に係る排出事業者責任の原則は堅持しつつ、事業者の熱意と努力、また市町村の協力を基本にして今後の公共関与について検討してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、容器包装リサイクル法の施行についてお答えします。
 容器包装リサイクル法につきましては、本年四月から本格施行されております。この法律は、消費者が分別して排出した容器包装廃棄物を市町村が分別収集し、事業者がリサイクルすることを定めた法律であります。既に県内では二十六の市町村、三つの一部事務組合が取り組みを行っているところでありまして、ペットボトルや缶、瓶等の資源ごみは、市町村が分別収集後、事業者においてリサイクルをされております。また、来年四月から施行される家電リサイクル法につきましては、現在、国、メーカーにおいて施行準備が進められているところです。
 なお、この法律が施行されますと、市町村が粗大ごみとして収集・処分していた廃家電を家電小売業者が直接消費者から引き取り、それをメーカーがリサイクルすることになります。現時点では、廃家電の集積場所やリサイクル費用の徴収法等、詳細は明らかになっておりませんが、国、メーカーから情報収集を行い、県内の家電小売業者や市町村と対応を協議しながら法の円滑な施行を促進してまいります。
 今後、これらの法律を駆使して循環型社会の形成を推進してまいりたいと考えております。
 続いて、デポジット制度の導入についてお答えします。
 飲料用容器類の廃棄物の減量化、再利用を進めていく上で、デポジット制度の導入は有効であると考えております。しかしながら、一地域のみの実施では地域格差を生ずることとなり、実効性が乏しくなることが予想されることから全国一律での実施が必要であると考えてございまして、今まで機会あるごとに国に働きかけてきたところでございますが、今後も働きかけを行ってまいります。
 最後に、住民生活になじみのある情報通信体系の整備のうち、テレビ・ラジオの難視聴対策についてお答えします。
 本県では、山間地が県土の大部分を占めるという地形的条件からテレビ・ラジオの難視聴地域が多く、その解消に向け、従来から取り組んでいるところでございます。平成四年度からは国の電気通信格差是正事業にあわせて市町村に対する補助事業を実施し、九年間で九千世帯以上のテレビ・ラジオの難視聴を解消してまいりました。しかしながら、民法ラジオの受信対策につきましては、施設の規模が大きく、また複数の施設が必要となり、市町村等の財政的負担が大きいことなどから整備が進んでいないのが現状であり、受信できない地域が数多く存在しております。
 ラジオは、災害時の情報や交通情報のみならず、身近な生活情報を得るための重要な手段の一つであることから、国との連携を図り、事業主体である市町村からの要望にこたえるよう努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 三点についてお答え申し上げます。
 まず一点目は、観光立県に向けての本県の取り組みの中での鉄道の利便性向上についてお答えいたします。
 県民の日常生活や観光客の誘致のため、鉄道の利便性向上は重要な要素であると考えてございます。ワイドビュー南紀につきましては、平成四年三月に導入され、名古屋駅─紀伊勝浦駅間四十二分の時間短縮を実現するとともに、通常期五往復の体制に整備されるなど、一定の輸送改善が図られてきたところであります。
 県といたしましては、引き続き、三重県、沿線市町村、関係機関とともにワイドビュー南紀及び普通列車の時間短縮、JR西日本の列車とJR東海の列車の接続改善など、さらなる鉄道の利便性向上をJR西日本及びJR東海に対し働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、地方交通機関に係る国の規制緩和推進計画と生活路線の維持についてでございます。
 議員お話しの、生活路線としてのバス路線の確保についてでございますが、本年、道路運送法が改正され、乗り合いバス事業については平成十三年度中に需給調整規制が廃止されることになりました。これにより、乗り合いバス事業の参入と撤退が自由化されることになり、都市部では新規事業者の参入が期待されますが、不採算路線の多い地方部では生活路線の維持が課題となってまいります。この規制緩和に当たり、紀南地方、熊野地方において来年度に路線の廃止を計画しているのは、西日本JRバスの路線のうち、紀伊田辺─栗栖川間を除く路線であります。その他の事業者につきましては現在検討中の段階であり、路線ごとの具体的な方針を決定している事業者はございませんが、規制緩和を契機に、経営を圧迫している不採算路線を中心に路線の統廃合等も考えられるところであります。
 これらの路線についての対策は、県が主体となって国、市町村及び事業者等をメンバーとして設立する地域協議会において、議員ご指摘のようなコミュニティーバス等の行政バスとの一体的な運行やバス車両の小型化といった輸送形態の効率化を図ったり、バス事業者への支援等による維持への働きかけを行うなど、生活交通の確保方策について協議していくこととなります。
 県といたしましても、生活交通の維持は重要な課題であると認識しており、地域協議会において関係機関とともに十分に協議してまいりたいと考えてございます。
 三点目でございますが、携帯電話のエリア拡大についてでございます。
 携帯電話はインターネットも利用できるようになり、地域住民や観光客の情報通信手段として普及が進んでいることから、そのエリア拡大については重要な課題と認識しております。県といたしましては、地元市町村から要望を聞き、通信事業者と話し合いながら、国の補助事業も活用して、利用できない地域の解消に向けて努力してまいります。
 エリア拡大のためのラジオの中継基地と携帯電話の移動通信基地との併用についてでございますが、ラジオの電波による携帯電話への混信が懸念されますし、それぞれの電波の届く範囲が異なることなどから、同じ場所での併用は困難と考えてございます。
 今後、最新の技術動向などにも注意を払いながら通信事業者にエリア拡大を促してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番小原 泰君。
○小原 泰君 生活に密着したバス路線──今回のような法改正による規制緩和は、山村過疎地域に生活している身にとっては規制緩和ではなく、少数切り捨てのように感じられるものであります。また、ラジオや携帯電話の利用できる範囲についても、同じであります。このような問題は利用率や採算性だけの検討で済ませてほしくない問題であり、観光振興という視点にも立ちながら山村過疎地域の振興を図っていかなければ何も生まれてこないと思います。
 県当局主体による山村過疎地域への積極的な取り組みを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小原泰君の質問が終了いたしました。

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