平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十二年九月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十二年十月十一日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百六十二号から議案第百六十六号まで(知事説明・質疑・委員会付託等省略・表決)
  第二 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号(質疑・委員会付託)
  第三 一般質問
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第百六十二号から議案第百六十六号まで(知事説明・質疑・委員会付託等省略・表決)
   二 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号(質疑・委員会付託)
   三 一般質問
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
欠席議員(二人)
     十五 番       宗       正   彦
     四十七番       和   田   正   人
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     出納長        中   山   次   郎
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     環境生活部長     道   浦       渥
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       辻           健
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       佐   竹   欣   司
     総務班長       龍   田       昇
     総務課副主査     小   池   博   文
     調査課長       梶   本   皓   造
     調査課副課長     井   田   光   三
     調査課調査員     高   田   和   良
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百六十二号から議案第百六十六号まで】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、ただいま報告の議案第百六十二号から議案第百六十六号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について、ご説明を申し上げます。
 まず議案第百六十二号は、県公安委員会の委員島正博君が本年十月十二日をもって任期満了となりますので、引き続き任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 次に議案第百六十三号は、県教育委員会の委員山本昭君が本年十月十五日をもって任期満了となりますので、その後任として樫畑直久君を任命いたしたく同意をお願いするものであり、議案第百六十四号は、県教育委員会の委員赤松壽男君が本年十月十五日をもって任期満了となりますので、引き続き任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 次に議案第百六十五号は、県収用委員会の委員山中静君が本年十月十八日をもって任期満了となりますので、その後任として勝本僖一君を任命いたしたく同意をお願いするものであり、議案第百六十六号は、県収用委員会の前予備委員勝本僖一君が本年十月十日をもって予備委員を辞職したので、その後任として月山純典君を県収用委員会の予備委員に任命いたしたく同意をお願いするものでございます。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に、報告いたします。
 知事から、議案第百五十五号に対する一部削除の申し出がありました。
 お諮りいたします。本件について、知事からの申し出のとおり、これを承認することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
  【日程第二 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに
      報第九号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第二、議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第九号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 十番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、初当選されました木村知事、おめでとうございます。暑さの中の選挙戦でありましたが、暑さにも増して短期間でもあり、たすきの重さを感じながら勝利されたことに、心からお喜び申し上げます。また、当選後は責任の重さを日々新たに受けとめているものとお察しいたします。
 一般質問も四日目になると同じような内容となってまいりますが、ご容赦いただき、質問に入らせていただきます。
 県財政のあるべき方向についてお尋ねいたします。
 我が国の自治体は、オイルショック以降の好景気に支えられ、税収の伸びなどから財政事情が好転し続け、バブル時代を迎えた後、その反動からバブルの大きなツケが回ってきた格好で、国を初め、どの自治体も財政再建といった局面に迫られています。特に本県は、二十一世紀を目前に控えて、少子高齢化、環境整備問題などで財政運営も非常に厳しい状況にあります。そうした中、平成十五年度までの四年間を財政健全化期間と位置づけ、具体的な数値の目標を掲げられた財政運営プログラムを本年五月に策定し、来年度予算から財政健全化に向けて取り組まれると聞いております。その中身は、職員定数の削減や給与の見直し、管理事務経費の削減、県立医大附属病院の特別会計への赤字補てんの削減、それに公共事業でのシーリング制の導入等々がリストアップされていると聞いております。
 知事は、さきの選挙戦で、財政再建のためにも徹底した行財政改革を断行したいと話していますが、この財政運営プログラムに沿った形で財政運営を展開されるのか、大阪府の赤字財政再建に取り組まれた知事の決意のほどをお聞きいたします。
 そこで、次の三点についてお伺いいたします。
 まず初めは、歳入面についてであります。
 先日の新聞報道によりますと、独自に新税を課そうとする自治体が四十七都道府県中七割近くあり、東京、大阪は既に導入を決めているほか、検討や論議を行っているのは三十一自治体に上り、この中に本県も独自課税を検討している自治体として挙げられています。私も、知事の財源確保に向けての取り組みを大きく注目する一人でありますが、その取り組みについてお聞きいたします。
 一方、別の側面にある、本来入ってくるべき税の滞納問題についてお伺いいたします。
 県税の滞納額は平成十一年度決算では約三十六億円に上っているほか、県内の市町村税分の滞納総額は約百五十九億円に上っています。まじめに税を納めている者から見ると、税の不公平感は否めません。税の徴収に当たる自治体の職員は、昼間はもちろんのこと、早朝や夜間での業務に追われ、滞納者とのトラブルもはかり知れないものがあると聞いております。
 そこで、滞納の解消対策として滞納整理作業を専門的に行う事務組合、これは仮称ですが、債権管理機構を設けてはいかがでしょうか。当局の取り組みについて、総務部長にお伺いいたします。
 次に二点目として、事務的経費の削減についてお伺いいたします。
 県では長年にわたってシーリング制度が導入され、毎年一〇%から一五%を目標に経費のカットが実施されているのが現状であります。ある事業では、四、五年も経過すると、以前に比べて半分ぐらいの予算配分を強いられているものもあります。財政状況の厳しい中、職員が一丸一体となって地方自治に取り組むため、今後県はどのようにして事務的経費の削減に努められるのか、総務部長の見解をお伺いいたします。
 三点目は、さきの毎日新聞によりますと、木村知事が大阪の副知事であった時代の取り組みが紹介されていました。これは、エネルギー効率の悪い府の施設を予算ゼロで改修してもらおうというもので、まず提案を行って工事を請け負った業者が改修費用を調達し、その後、この工事により節約できた光熱費分を毎年償還してもらうというシステムで、さらにその償還分を除いた余剰金は府の歳入に組み込まれるという仕組みになっており、職場環境の向上やCO2の削減が図られるといった一石三鳥の波及効果があるというものです。新聞には、この省エネ施策について「エネルギー・サービス・カンパニー」との見出しをつけて紹介していましたが、これを含めた予算の効率的運営について、本県の取り組みを総務部長にお伺いいたします。
 次に、廃棄物処理やその再利用の取り組みについてお尋ねいたします。
 ご承知のとおり、さきの国会において循環型社会形成推進基本法、略称・循環基本法を初めとする多数の廃棄物・リサイクル関係法が成立いたしました。二十一世紀を目前にした今、なぜ循環型社会づくりへの動きが急ピッチで進み始めたのか。それは、これまでは出された廃棄物を適正に処理することを基本としてきたわけですが、それだけでは廃棄物問題を解消することは望めず、適正処理の限界に直面しており、廃棄物の排出規制及びリサイクルの促進が必須要件になってきたためであると思います。また、廃棄物処理の具体的な問題として、一つ目には特に最近問題となっているダイオキシン類の発生原因が主として廃棄物処理過程に原因があるということ、二つ目には廃棄物の不適正処理が全国的に相次いで発覚したこと、三つ目には廃棄物の最終処分場が不足して深刻になってきていることがあります。
廃棄物への対応を段階的に考えてみますと、まず第一に発生を抑制すること、次に再利用・再使用を考えること、そして最後に再利用できないものについては施設での処理や埋め立てなどの処分場での処理と、大きく三段階に分けられます。今までは最後の処理段階での対応だけが中心であり、特に産業廃棄物については民間事業者に頼った処理が行われ、現在それが大きな社会問題になってきたと言えます。今回の関連法の制定・改正はそれらの反省を踏まえた対応であり、特に都道府県の役割が一層重要なものになっております。また、今回の法整備で都道府県による廃棄物処理計画の策定が規定されており、市町村の独自性を尊重しながら、県としては広域にわたる課題での調整機能を発揮していかなければなりません。廃棄物の発生を抑制し、リサイクルを促進していくことは当然として、その後の廃棄物処理システムの確立は、自然豊かな和歌山にとってはそれを守っていくためにも大きな命題だと言えます。今まで、廃棄物についての法整備が不十分であると言われてきましたが、今回、一応の整備がなされ、また都道府県の役割も示されたわけであります。
そこで、和歌山県のこれからの廃棄物処理計画の策定を含めた今後の対応や循環型社会への構築に向けての基本的な取り組みについて、環境生活部長にお伺いいたします。
 また、廃棄物の処理については、全国的にも不法処理問題が頻繁に起こる中で、今、それが橋本市のように大きな社会問題になっており、民間事業者に対する住民の不信感には非常に大きいものがあります。今後は、県や県公社等の公共機関による産業廃棄物処理センターを考えていく必要があり、その建設費は国庫補助の対象にもなると聞いておりますが、公共関与による今後の産業廃棄物処理について、環境生活部長の前向きな答弁をお聞かせください。
 次に、平成七年に成立した容器包装リサイクル法が本年四月から実施され、来年四月からは家電リサイクル法が施行されます。ごみの量を減らすために本年四月に実施された容器包装リサイクル法は、法が施行されて半年になるわけでありますが、この法により何が変わっていくのか、また県内の取り組み状況はどうなっていくのか、環境生活部長の答弁をお願いします。
 最後に、デポジット制度の導入についてであります。
 デポジット制度とは、ご承知のとおり、缶や瓶入りの飲料水を売る際に販売業者は預かり金を上乗せして売り、購入客が空き缶や瓶を持ってくれば預かり金を返すといった仕組みであります。全国の自治体の中には既に条例により実施しているところもあり、預かり金が戻されることで購入客が自発的に空き缶や瓶を返却するため、回収率が高くなってきています。また、外国でも欧米や韓国など十八カ国がこの制度を導入しておりますが、我が国でも、約七百の自治体が加入する全国都市清掃会議などがこの制度の導入を求める要望書を政府に提出するなど自治体側で導入を求める声が高まっており、年末に見直される国の環境基本計画にも盛り込まれる見通しであると聞いています。
ぽい捨てに悩む観光地などの多い和歌山県にとってぜひ導入していただきたい制度でありますが、政府への要望も含め、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 次は、山村過疎地域の問題と観光立県の推進についてであります。
 選挙中、知事は、紀南地方の街頭で、また個人演説会で、「この町に今まで何回か来たことがあります、町のことはよく知っていますと話していたことが間違っていたことがわかった。県内をくまなく歩き回って、本当の過疎の実態がわかったような気がする。これからは自分の知識を白紙に戻し、もう一度、山村過疎対策、高齢化対策を勉強します」と述べておられました。
 私は、県議会議員四十七名のメンバーの中で一番小さな町の出身であり、一番の山間部に在住しています。私の東牟婁選挙区の多くの町は、若者の流出による人口の減少や高齢化に悩んでいます。あなたの言葉を信じ、あなたに一票を投じた山村過疎地域に住む県民に、現状をつぶさに見聞された感想と今後の活性化を図るための基本的な考え方について、もう一度あなたの口からその思いを語っていただきたい。
 また、知事は本会議の所信表明の中で、IT社会への対応や国際化社会でのグローバル化への対応などを踏まえつつ、各施策の積極的な推進を打ち出される一方で、財政難といった厳しい局面と表裏一体で県政のかじ取りを行っていくと述べられたほか、県内各市町村にはそれぞれ地域の特性があり、抱えている課題も異なり、個々の議論が必要で、ともに問題点を認識し、共有しながら適切、果敢に、また生活者の視点に立って新しい発想に基づいて施策を実施したいと述べられました。特に観光振興においては、心の豊かさが求められる二十一世紀には豊かな自然や高野・熊野などの歴史文化資源を活用した体験、感動できる観光行政を推進し、高野・熊野地域の世界文化遺産登録に向けて取り組みたいと述べられました。
 そこで、観光立県を大きく前進させるためには行政の体制面での見直しが必要不可欠ではないかと思います。本県の観光行政の主管窓口は、商工労働部の観光課であります。全国の都道府県の機構を見ますと、多くの府県では、本県と似た格好の商工部や産業労働部といった体制をつくり、その中に観光課や文化観光課などといった名称の課を設置しています。しかし、北海道は観光局が独立した体制をとっているほか、沖縄県は観光リゾート局、静岡県は生活文化部の中に観光リゾート室を設け、観光立県の推進に懸命に取り組んでいることが機構の上からもうかがえるところであります。
 県内の市町村を眺めてみますと、七つある市のうち、観光だけが独立して課や室制を導入しているのは和歌山市だけで、ここも今春の機構改革で観光課から観光振興室と名称変更しています。このほか、有田市と新宮市が商工観光課、それ以外は商工振興課や経済課といった名称で観光行政を展開しています。また、四十三ある町村では、産業課や農林経済課、産業観光課として運営されています。町村で観光課として取り組まれているのは那智勝浦町と白浜町で、白浜町では、これまであった観光部が部制度の廃止に伴い、企画観光課として名称を変えて観光行政を積極的に推進していますが、多くの町村では、二、三の職員が観光行政担当として行政運営しているのが本県の現状であります。ここで、名称にこだわるわけではありませんが、「名は体をあらわす」という言葉もありますように、県民、国民に向けての行政展開を望むものであります。
 そこで、本県が真に観光立県を推進させようと取り組むのであれば、観光部や観光リゾート部、あるいは国際化に伴い観光国際交流部といったように組織・機構面からの見直しを行うべきではないでしょうか。知事の見解をお聞きいたします。
 次に、熊野地方における観光振興を図る上での鉄道とそのアクセスの整備についてお伺いいたします。
 現在、紀勢線では、京都、新大阪、天王寺から十五本の特急が運行され、そのうち白浜どまりの特急が六本となっており、下り便も同じように運行されています。このほか、JR西日本では臨時の季節特急やきのくにシーサイド号といった列車の運行を行い、観光客やビジネスマンらの利便性の向上を図っています。これらの列車は、曜日や時間帯、それに天候の加減で満員になったり乗車率が五〇%を割ったりしているのが現状であります。一方、JR東海では特急ワイドビュー南紀を上下それぞれ五便運行させているほか、臨時列車を上下一便運行するなどして、東京や名古屋、中部、信州方面からの観光客らを那智勝浦町や新宮などに運んできています。
 先日、県の観光課が発表した本年の七、八月、いわゆる夏場の観光客動態を見てみますと、白浜や那智勝浦、和歌山市など県内の七つの主な観光地では、全体で昨年の夏と比べて観光客が八・三%ふえ、特に日帰り客は二百六十九万五千人余りと一四・八%ふえていますが、反面、宿泊客は九十六万一千八百人余りと、六・七%減っているということです。観光地別では、和歌山市や白浜町で海水浴客がふえ、私の住む本宮町でも川遊びを楽しむ人がふえ、好天にも恵まれたことから好調な人出となったということです。しかし那智勝浦町では、昨年に比べ一五・七%も観光客が減少したとされています。
 この発表に際して観光課では、紀南地方ではことしの夏は昨年の南紀熊野体験博のような大きなイベントもなく、淡路花博へ観光客が流れるのではと懸念されたものの、好天に恵まれたことから人出がふえたのではとプレスに対し説明を行ったとなっていますが、この人出の増加は単に好天だけでふえたと言い切れるのかどうかは疑問の一つであります。
 また、JR西日本和歌山支社がまとめた夏場の七月二十日から八月三十日までの特急列車の利用状況では、三十二日間に約三十万九千人が利用していますが、これは昨年の同じ時期に比べてマイナス一〇%となっています。この一〇%減についてJRでは、ことしは昨年の熊博のようなイベントがなかったからと説明しています。
 そこで、日帰り客がふえ、宿泊客が減少するといった傾向、特急列車の乗車率が低下している現象について、一点目として、景気の低迷が続く中、家族連れや若者らがアウトドア観光や身近な観光地でのマイカーを使っての行楽を選んだりする志向が強まったこと、二点目として、紀南地方を中心に道路事情が以前よりよくなったこと、そして三点目として、旅行エージェンシーを中心に販売展開されている宿泊パック旅行のマンネリ化とそれを利用する特急列車の混雑などが挙げられると私は分析します。この中で、三点目のマンネリ化した宿泊パックツアーなどを見直し、新鮮味あふれる観光施策をいかに打ち出していくかが大きなポイントであります。昨年は熊博といった大きなイベントがあり、集客等に一応の成果は見られたものの、熊博終了時に叫ばれたアフター熊博についての手だてができ上がっていません。
 以前、仮谷知事さんが二十一世紀の観光のあり方を探ろうと、奈良県、三重県と組んで三県観光知事サミットを開き、その後、何回と会議の場が持たれましたが、三県共通した観光施策を推進しようとするノウハウは昨年の熊博時に、三重県においては東紀州体験フェスタ、奈良県では吉野魅惑体験フェスティバルを開催したことなどに引き継がれているようであります。また昨年五月、新宮市を流れる熊野川の大橋の上では和歌山県と三重県との間で大綱引き大会が開かれ、マスコミでも大きく取り上げられましたが、今後もより一層三県合同で観光イベントを催すといったことなどにより積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
 そこで、和歌山と三重を結ぶ鉄道を見てみますと、特急はワイドビュー南紀が上下それぞれ五本のみが運行されているだけです。また、新宮駅はJR西日本とJR東海の分岐点の駅でもありますが、JR双方の会社での列車運行はばらばらで、連絡はひどい状態が何年も続いております。新宮で列車をおりて三重方面へ向かおうとしても、長時間連絡列車を待つというケースも珍しくありません。また、その逆の三重から和歌山方面への乗り継ぎも同じであります。熊野・高野を世界文化遺産にと懸命に取り組まれていますが、JR東海を利用しての東京や名古屋、中部、信州、北陸方面からの観光客の誘致をより積極的に行う必要があるのではないでしょうか。
 そこで、県当局におかれましては、JR西日本とJR東海との連携の促進をより一層図るよう要望していただくとともに、JR東海の運行するワイドビュー南紀や普通列車のスピードアップ化の促進、さらにはきのくにシーサイド号の和歌山、三重、奈良、大阪を通る紀伊半島一周運行などの施策を積極的に働きかけてはいかがなものでしょうか。企画部長の答弁をお願いいたします。
 次に、バス路線の確保についてお伺いします。
 来年度から路線バス事業への参入と撤廃が原則として自由化されるのに伴って、都市圏では百円バスの導入や高速バスの大幅値下げが予定されている一方、過疎地を走る赤字路線の多くは廃止の加速が予想されるとのことです。需給調整を廃止し、競争を促進する影の部分で、公共交通機関の利便性から置き去りとなる地域住民がいることを見過ごすことはできないと考えています。
 国道百六十八号、国道三百十一号を走るJRバスは紀伊田辺駅と中辺路町の栗栖川間だけの運行となり、その他の路線はここ一年以内に廃止される方向にあると聞いています。通勤、通学、通院とふだんの生活の一部となっている生活密着路線を廃止するということは、地域住民にとって切実かつゆゆしき問題であります。これらの赤字バス路線のほとんどが乗車密度十人以下となっていますが、県当局におかれましては、このような生活に密着したバス路線が紀南地方、熊野地方ではどれくらい廃止されると把握されているのか、またこれらのバス路線を確保するようバス会社などに働きかけていくのか、そして路線バスの確保に向けて県が主体となってつくる地域協議会の場でどのように取り組んでいくのかについてお伺いいたします。
 このほか、各町村単位で運行されているコミュニティーバスを運行させたり、このバスを町村外へ運行を拡大させたりして地元住民の利用促進を図るとともに、観光客の利便性の向上を図るよう取り組んではいかがなものでしょうか。また、バスの乗降客が少ないと見込まれる場合は、バスの大きさも従来の四十人、五十人乗りのバスから二十人ぐらいのマイクロバスに切りかえて乗降客の利便性の確保・向上を図ってはいかがなものでしょうか。県の取り組みについて、企画部長にお伺いいたします。
 続きまして、県内の情報化と通信網の整備についてお尋ねします。
 IT、ディジタルは二十一世紀のキーワードであることは、知事も所信表明で述べられました。経済企画庁が先日発表したところによりますと、今年度の企業の設備投資額はITに先導される形で四年ぶりにプラスに転じたということです。また我が自由民主党も、来年度予算の公共事業予算の配分見直しでIT関連やその教育施設の整備に五千億円の投資をする方向を決めたほか、自治省もIT化促進のために国と地方の役所内にインフラ整備方針を盛り込んだガイドラインをまとめ、職員一人に一台のパソコンを配備し、行政のオンライン処理の推進を決めたと報じられています。
 このように、IT、ディジタル化時代を迎える中、テレビもCSやBSディジタルといった多チャンネル時代に突入し、単に見るだけでなく使いこなすテレビ時代を迎え、パソコンや携帯電話などの機器と組み合わせることによって飛躍的な情報量が得られるといった、ここ十年前までは想像もできなかった時代が到来しています。
 首都圏から遠く離れた和歌山県にとっては、このような情報社会は地域間の距離をなくし、東京などの都会と同じ情報がリアルタイムで入手できるようになり、地域間の情報格差がなくなったとも言われています。しかし現実の問題として、地域間には整備面での格差が大きく生じているのは間違いありません。
 各地域には、その地域では欠かせない情報があり、それらは地域の新聞やテレビ・ラジオ等で住民に伝えられ、大きなライフラインの役割を果たしています。五年前の阪神・淡路大震災のときには、テレビを中心に大量の情報が私たちにもたらされ、被災地以外でもさまざまなニュースが飛び込んできました。震災により電気や水道などのライフラインがストップする中で、被災した人たちに大きく役立ったのはラジオであったと言われています。地元のラジオ局が大きな被害を受けながらも流し続けた家族や知人の安否情報が最も身近な情報として重宝されたと聞いております。このほかに、カーナビやカーテレビの普及によって災害時や停電時にこれらの機器を通じて情報が入手できるようになっていますが、カーナビやカーテレビの普及率はまだまだ低いものがあります。
 NHKは県内ほとんどの地域で聞けるようになっているということでありますが、私はそのようには思えません。また、県内ラジオ局の和歌山放送を聞ける範囲は、皆様のお手元に配付した資料のとおりであります。海岸線は比較的入りやすいものの、山間部では全く入らないのが現状であります。
 幸い、最近は何日も孤立するような災害はありませんが、ますます進む情報化の中で取り残される地域がないようにお願いします。そして、間もなく訪れる和歌山の二十一世紀こそは、どこに住もうと、どんな環境にいようと県民はひとしく必要な情報を入手し、快適な生活が送れる社会でありたいものだと考えます。
 そこで、お尋ねいたします。
 森総理もインターネットによる情報化を積極的に推進するとおっしゃっていますが、災害時の情報や交通情報を初め、生活情報としても必要な県内情報を発信するラジオを聞くことのできない地域に対する対策をどう考えているのか、環境生活部長にお尋ねします。
 このほか、観光施策を推進する上で身近なものとして必要視されているのが携帯電話であります。この携帯電話の利用エリアについてお伺いします。
 県では、南紀熊野体験博を機に、NTTドコモを初めとする移動通信会社と協力して、県内すべての市町村で携帯電話が利用できるように取り組まれました。しかし、山間部に囲まれた市町村では、役場の周辺しか携帯電話が利用できないところも少なくありません。
 そこで、防災対策情報や道路交通情報をいち早く地域住民や観光客に伝えるためには、この携帯電話の利用エリアの拡大やラジオ・テレビの聴取対策に取り組まれ、情報格差の解消を図るべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。県当局におかれましては、ラジオの中継基地の設置の推進が資金面などで難しい場合、携帯電話の移動通信基地と併用しての建設などについても検討されてはいかがでしょうか。県当局の見解をお伺いいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 初めに、財政再建策への取り組みの決意についてお答えを申し上げます。
 二十一世紀を目前にして山積する課題に適切に対処していくためにも、不退転の決意で財政健全化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。このため、財政運営プログラムを基本としてすべての事業について、言うならば行政の棚卸しとでも言うべき聖域のない徹底した見直しを行うとともに、時代の潮流をとらえて、これにマッチした思い切った施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
 また、新税の取り組みにつきましては、地方分権一括法により税法が改正され、地方団体の課税自主権の拡大が図られたことを契機に、現在、各地方団体においては法定外税や超過課税などを検討する動きが活発化しております。
 言うまでもなく、新しい税の創設ということになりますと、受益と負担の関係や税源をどこに求めるか等、検討しなければならない課題がたくさんございます。他県において検討されている環境関係税なども参考にしながら、和歌山県にふさわしい新しい税のあり方について、プロジェクトチームをつくって幅広い観点から研究してまいりたいと考えております。
 次に、山村過疎地域の現状を見聞した感想と今後の活性化を図るための基本的な考え方についてのご質問でございます。
 私は、さきの選挙期間中、地元の皆様方からいろいろなお話を聞かせていただきました。山村過疎地域の町や村は若者が減少し、高齢化が進み、そしてまた生活環境の整備のおくれがあり、さらに主産業であるところの農林水産業の停滞といった非常に厳しい現実がございました。
 私は、今回山村を歩き、本当の過疎の実態を改めて肌で感じることができました。この地域を魅力あるふるさととして活性化をしていくことが今までにも増して重要であると痛感いたしました。このため、山村過疎地域の振興を県政の主要施策の一つとして位置づけ、それぞれの地域において何が一番求められているかを的確にとらえ、地域での生活を維持向上する農林水産業の振興や快適に暮らせる生活環境の整備などを進め、ふるさとに自信と誇りを持って住み続けることができるよう積極的に施策を講じてまいりたいと考えております。また、折に触れて地元へも出向いて、地元の方々のご意見も聞いていきたいと考えております。
 次に、観光立県に向けての本県の取り組みについてでございます。
 まず、組織・機構の見直しについてのご質問でございますが、私は、観光の振興は和歌山県にとって非常に重要な課題であるという認識を持っております。県内それぞれの地域の多様性や特殊性を生かした観光振興施策を関係市町村、関係団体とともに積極的に進めてまいりたいと考えております。組織・機構の見直しにつきましても、議員ご提案の趣旨を踏まえ、これから検討してまいりたいと考えております。
 なお、これまでの観光をさらに発展させていくことはもとより、二十一世紀になりますので、この二十一世紀に合った新しい観光の推進にも鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県財政の健全化に向けての取り組みについて、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、債権管理機構の創設についてでございます。
 税の徴収対策につきましては、自主財源を確保し、また税の公平を図る観点からも非常に重要なことであると認識しており、収入未済額の縮減に懸命の努力を払っているところでございます。
 県といたしましては、市町村に対しても、あらゆる機会を通じて滞納額縮減方策の助言を行っております。また、徴収事務を市町村が行っている個人住民税につきましては、各市町村との共同徴収、共同催告を実施するとともに、情報交換や滞納処分研修を行うなど、積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも、市町村との連携を密にして滞納額縮減に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、議員ご提案の債権管理機構、いわゆる滞納整理組合につきましては、他県では市町村が一部事務組合を設立して取り組んでいるところもございます。市町村の意見を聞きながら今後の研究課題といたしたいと考えてございます。
 次に、事務的経費の削減についてでございます。
 県の財政状況が大変厳しい中にあって、これまでも内部的な事務経費については積極的に縮減に取り組んできたところでございます。なお一層の縮減に向け、和歌山県地球温暖化防止実行計画による省エネ運動の展開などを盛り込んだ和歌山県行政コスト縮減運動を本年五月に策定し、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
 次に、エネルギー・サービス・カンパニー事業の導入についてでございます。
 県庁舎へのエネルギー・サービス・カンパニー事業の導入についてでございますが、国際的な地球環境問題の中で省エネルギー対策は行政としても大きな課題と考えております。県庁舎につきましては、昭和十三年建築の本庁舎を初め、老朽化が進んでいる状況にございまして、設備の更新時期に来ているところでございます。
 現在、県庁舎におきましては、全庁的な取り組みとして、ただいまも申し上げましたように省エネルギーに取り組んでいるところでございますが、議員ご提言のエネルギー・サービス・カンパニー事業の導入の可能性も含めて、省エネルギー対策について検討を行い、さらなる予算の効率的運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 循環型社会と廃棄物処理についてのご質問にお答えいたします。
 法改正後の今後の対応と取り組みについてでありますが、議員指摘の廃棄物処理計画につきましては、現在、策定に向けて情報収集等を行っておるところでありまして、来年度、県内の廃棄物発生量等の実態調査に着手し、平成十四年度に策定する予定です。
 県といたしましても、この廃棄物処理計画に基づき廃棄物の減量化、廃棄物の適正処理を推進するとともに、庁内の関係部局と連携して循環型社会形成推進基本法を初めとしたリサイクル関連法の円滑な施行に取り組み、循環型社会の構築を目指してまいります。
 次に、廃棄物処理センターの建設についてお答えします。
 廃棄物処理センターとは、国または地方公共団体の出資等に係る法人が厚生大臣の指定を受けて産業廃棄物や一般廃棄物の処理を行う制度でありまして、本年六月の廃棄物処理法改正により指定要件や設置箇所数等の要件が緩和されたところでございます。
 県といたしましては、産業廃棄物処理に係る排出事業者責任の原則は堅持しつつ、事業者の熱意と努力、また市町村の協力を基本にして今後の公共関与について検討してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、容器包装リサイクル法の施行についてお答えします。
 容器包装リサイクル法につきましては、本年四月から本格施行されております。この法律は、消費者が分別して排出した容器包装廃棄物を市町村が分別収集し、事業者がリサイクルすることを定めた法律であります。既に県内では二十六の市町村、三つの一部事務組合が取り組みを行っているところでありまして、ペットボトルや缶、瓶等の資源ごみは、市町村が分別収集後、事業者においてリサイクルをされております。また、来年四月から施行される家電リサイクル法につきましては、現在、国、メーカーにおいて施行準備が進められているところです。
 なお、この法律が施行されますと、市町村が粗大ごみとして収集・処分していた廃家電を家電小売業者が直接消費者から引き取り、それをメーカーがリサイクルすることになります。現時点では、廃家電の集積場所やリサイクル費用の徴収法等、詳細は明らかになっておりませんが、国、メーカーから情報収集を行い、県内の家電小売業者や市町村と対応を協議しながら法の円滑な施行を促進してまいります。
 今後、これらの法律を駆使して循環型社会の形成を推進してまいりたいと考えております。
 続いて、デポジット制度の導入についてお答えします。
 飲料用容器類の廃棄物の減量化、再利用を進めていく上で、デポジット制度の導入は有効であると考えております。しかしながら、一地域のみの実施では地域格差を生ずることとなり、実効性が乏しくなることが予想されることから全国一律での実施が必要であると考えてございまして、今まで機会あるごとに国に働きかけてきたところでございますが、今後も働きかけを行ってまいります。
 最後に、住民生活になじみのある情報通信体系の整備のうち、テレビ・ラジオの難視聴対策についてお答えします。
 本県では、山間地が県土の大部分を占めるという地形的条件からテレビ・ラジオの難視聴地域が多く、その解消に向け、従来から取り組んでいるところでございます。平成四年度からは国の電気通信格差是正事業にあわせて市町村に対する補助事業を実施し、九年間で九千世帯以上のテレビ・ラジオの難視聴を解消してまいりました。しかしながら、民法ラジオの受信対策につきましては、施設の規模が大きく、また複数の施設が必要となり、市町村等の財政的負担が大きいことなどから整備が進んでいないのが現状であり、受信できない地域が数多く存在しております。
 ラジオは、災害時の情報や交通情報のみならず、身近な生活情報を得るための重要な手段の一つであることから、国との連携を図り、事業主体である市町村からの要望にこたえるよう努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 三点についてお答え申し上げます。
 まず一点目は、観光立県に向けての本県の取り組みの中での鉄道の利便性向上についてお答えいたします。
 県民の日常生活や観光客の誘致のため、鉄道の利便性向上は重要な要素であると考えてございます。ワイドビュー南紀につきましては、平成四年三月に導入され、名古屋駅─紀伊勝浦駅間四十二分の時間短縮を実現するとともに、通常期五往復の体制に整備されるなど、一定の輸送改善が図られてきたところであります。
 県といたしましては、引き続き、三重県、沿線市町村、関係機関とともにワイドビュー南紀及び普通列車の時間短縮、JR西日本の列車とJR東海の列車の接続改善など、さらなる鉄道の利便性向上をJR西日本及びJR東海に対し働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、地方交通機関に係る国の規制緩和推進計画と生活路線の維持についてでございます。
 議員お話しの、生活路線としてのバス路線の確保についてでございますが、本年、道路運送法が改正され、乗り合いバス事業については平成十三年度中に需給調整規制が廃止されることになりました。これにより、乗り合いバス事業の参入と撤退が自由化されることになり、都市部では新規事業者の参入が期待されますが、不採算路線の多い地方部では生活路線の維持が課題となってまいります。この規制緩和に当たり、紀南地方、熊野地方において来年度に路線の廃止を計画しているのは、西日本JRバスの路線のうち、紀伊田辺─栗栖川間を除く路線であります。その他の事業者につきましては現在検討中の段階であり、路線ごとの具体的な方針を決定している事業者はございませんが、規制緩和を契機に、経営を圧迫している不採算路線を中心に路線の統廃合等も考えられるところであります。
 これらの路線についての対策は、県が主体となって国、市町村及び事業者等をメンバーとして設立する地域協議会において、議員ご指摘のようなコミュニティーバス等の行政バスとの一体的な運行やバス車両の小型化といった輸送形態の効率化を図ったり、バス事業者への支援等による維持への働きかけを行うなど、生活交通の確保方策について協議していくこととなります。
 県といたしましても、生活交通の維持は重要な課題であると認識しており、地域協議会において関係機関とともに十分に協議してまいりたいと考えてございます。
 三点目でございますが、携帯電話のエリア拡大についてでございます。
 携帯電話はインターネットも利用できるようになり、地域住民や観光客の情報通信手段として普及が進んでいることから、そのエリア拡大については重要な課題と認識しております。県といたしましては、地元市町村から要望を聞き、通信事業者と話し合いながら、国の補助事業も活用して、利用できない地域の解消に向けて努力してまいります。
 エリア拡大のためのラジオの中継基地と携帯電話の移動通信基地との併用についてでございますが、ラジオの電波による携帯電話への混信が懸念されますし、それぞれの電波の届く範囲が異なることなどから、同じ場所での併用は困難と考えてございます。
 今後、最新の技術動向などにも注意を払いながら通信事業者にエリア拡大を促してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番小原 泰君。
○小原 泰君 生活に密着したバス路線──今回のような法改正による規制緩和は、山村過疎地域に生活している身にとっては規制緩和ではなく、少数切り捨てのように感じられるものであります。また、ラジオや携帯電話の利用できる範囲についても、同じであります。このような問題は利用率や採算性だけの検討で済ませてほしくない問題であり、観光振興という視点にも立ちながら山村過疎地域の振興を図っていかなければ何も生まれてこないと思います。
 県当局主体による山村過疎地域への積極的な取り組みを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小原泰君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長の許可をいただきましたので、質問に入っていきたいと思います。
 小原議員と同じように、新しい木村知事が誕生しましたので、梅の問題も含め、今までの経過を知事に最大限に理解していただくための発言もあるかと思いますが、ご理解いただきたいと思います。
 木村新知事の所信表明を聞き、その後、それを何回となく読んでみますと、新知事の理念、方針に共鳴するところが多くありました。知事選挙のときも、「よそ者」、「輸入者」の言葉に、私はむしろ外から見た人が今の和歌山には必要であることを強調しました。しがらみもなく、和歌山を変革するための施策が思い切ってできると、その手腕に期待しました。本当によかったと、今改めて思う次第であります。
 最初の県会冒頭から雑賀崎埋め立て見直し、工科大学の凍結等、県民の中には、何とすることが早い、決断が早いと感じている人が多いのではないかと思います。もちろん、工科大学については地元説明、空港跡地を含める白浜地域の活性化のための施策が今後検討されるでしょうし、時にはそのことによって反発も予想されますけれども、私はその政治姿勢を高く評価したいと思います。
 ここで、知事に反発する人、賛同する人の共通の問題指摘を紹介しておきたいと思います。
 知事の冒頭記者会見から、議会が始まった関係もあって、かなりの人とお会いもし、電話もかかってきました。その一つは、雑賀崎、工科大学が来たが、今計画中のもの、既に調査に入っているものを含めた公共事業について早い時期に方針を示すべきであるとの意見でした。それから、例えば紀伊丹生川ダムが真に必要なのか、紀淡連絡道路は費用対効果から見てどう判断するのか、フリーゲージトレーン・テクノスーパーライナーの導入は和歌山にとって差し迫った政策課題なのかどうか、その他、市町村が抱えている県主体の公共事業についてこれからどうするのかを県民に早い時期に示してほしいという意見であります。
 また、財政が厳しいということがわかっても、そのために何をするのかが具体的に見えないという意見もあります。例えば、公営企業、外郭団体の見直しは、どこをどのようにして見直し、それによってどれだけの効果があるのか、ビッグホエールを初め県の十一施設の赤字運営をどう立て直すのかといった意見に対しては具体策を示し、内に甘いのではないかとの声にきちんと答えていく必要があるのではないかと思います。
 さらには、県単独事業の見直しという名のもとに一律シーリングをかけることについての意見であります。市町村の生活環境、産業基盤、環境問題、福祉のための施策等の単独事業費を一律、画一的に減らすことは地域の活性化に水を差すのではないかという疑問や意見、雑賀崎を初め大型プロジェクトを見直した分、本当に地方の生活、福祉、環境に直結した投資へ回すべきだとの意見、知事にはこれらの意見にわかりやすい形で県民に説明する機会やその方針をぜひ示していただきたいことを要望したいと思います。
 次に、梅生育不良対策についてであります。梅の生育不良に関し、知事及び農林水産部長に以下の質問をしたいと思います。
 ことし六月の梅の収穫時期──私自身も田辺地方で梅取りをしながら、新しい梅の新芽と徒長枝がよく出ているし、葉の色もそこそこよく、一見立ち枯れが少し直ってきたのかなという気分になって気をよくしていたのですが、収穫後八月に入り、田辺、南部、南部川、印南の地区を二回にわたって現地調査する中で、私の思いとは大きく違って、田辺地方は上芳養の石神、小恒地域、平野部いわゆる稲成や三栖地域、南部川は清川の一部を除いて山間部の状況は大変な事態で、しかも晩稲に向けた一部平野地域にまで症状が広がっているのを見て、驚きというか、このままいけば来年は南部郷全域に広がるのではないかと心配になってきました。何はともあれ、原因究明を早期にとの決意を新たにしたところであります。
 梅立ち枯れの十二年度発生実態調査が集計されましたが、田辺地方では、ことしの新規発症が一万三千九本、平成三年の調査以来延べ九万五千本に及ぶ被害本数であります。日高郡では、昨年は七万六千本、ことしは八万五千本と、一万本近く上回る被害であります。被害面積も二百五十ヘクタールから二百八十ヘクタールへ、被害地も山間部から平野部へと、全域的にその症状が広がっています。田辺地方は、被害本数が昨年と変わらないわけですが、被害面積は二百七十三ヘクタールから三百十五ヘクタールに広がり、被害地は、今までほとんど発症していなかった地域にも広がりを見せているという特徴があります。
 ただ単純に被害本数だけを見ると状況がわかりにくいのですが、被害本数を一本当たりの平均収量から換算すると、田辺・日高地域ではこの十数年間に延べ二十万本近くの被害を受けています。金額に換算すると、約百億円の被害であります。それだけでなく、正常であればしなくてもよい不良樹の伐採や新しい苗木の購入と改植、肥料、客土等、立ち枯れ対策としての新たな育成費を加えるなら、相当な被害金額となってきます。農業経営は大変です。あきらめず、なおかつ挑戦する日本民族、農耕民族の魂は衰えずですが、もう限界に来ているということも事実であります。
 そこで、木村新知事には既に紀州の梅、梅産業の重要性について十分事前学習されていることと思いますが、まず梅の立ち枯れ発症とそれに対する、一つ目は原因究明の取り組みがどれだけされてきたのか、二つ目はその中で現時点においてどういう結果が生み出されているのか、三つ目は、梅の立ち枯れの原因究明という共通の命題に対し、県行政と梅生産農家に溝ができて対立の構図として続いているのはどうしてか、何が問題なのか、どうして力を一つにして究明していけないのかということについて、経過を含めて知事にご理解をいただきたいと思います。このことの問題提起については、知事にぜひひとつ聞いていただきたい。
 梅の立ち枯れは昭和六十年から秋津川、上芳養から発症し始め、当初は栽培や気象などを含め、余り大きく取り上げることもなかったのですが、一気に広がり始めた中で、私自身も経験があるのですが、谷間が黒ずんでいる、木の葉が黒っぽい、花づくりのハウスが真っ黒になる、車体がすすで手で絵が描ける、それと同時に山桜がどんどん枯れると。そして、これと同時期に御坊火力発電所の稼働が始まったという整合性から見て、私たち梅生産農家が疑問を持ち出したわけであります。
 そこで、田辺市とJA紀南は、平成二年から平成五、六年にかけて東京農大、京大、三重大、広島大などに学術研究依頼し、共同研究してきたわけであります。少なくとも現在まで十数年にわたって、栽培管理面から土壌改良、剪定、摘果、摘らい、そして微生物、薬剤、かん水・改植試験、優良台木の検索、土壌かウイルスかを探る研究、微生物等による対策試験、大気関係の試験研究等、幅広い視点で大学、学者、現場の学者である梅生産農家、JA指導員が一丸となって共同研究してきたわけでありますが、その努力の結果、いまだに根本的な原因が何一つ解明されないまま、逆に立ち枯れはその当時の平成七年ごろからさらに広がり、特に日高・田辺地区は万単位で広がってきたわけであります。栽培及び土壌、ウイルスとも、それが主たる要因として考えられないという結果が出されたわけであります。そこで、市町村、JAは、もう限界が来たということで県に助けを求め、積極的に働きかけて、ようやく県も平成三年から実態調査をする中で、実質的には和歌山県うめ対策研究会が平成九年二月二十五日に発足してから始まりました。平成十年十一月十四日にはうめ対策研究会中間報告なるものが出され、その後、平成十二年三月に三年間の研究成果、研究結果が発表されて幕引きされたわけでありますが、時期を同じくして、田辺市には関西電力と紀南農協によって共同研究する梅生育障害対策研究会がつくられたわけであります。
 私が原因究明のための経過を述べたのは、この中での問題点、課題を知事にご理解いただきたいからであります。第一は、栽培管理及び土壌面──剪定、ならせ過ぎ、かん水、土の質、除草剤が主たる要因であることを前面に出した当時の県の指導を、実証試験とその理論から、また現場の実態から見ても、それを受け入れる梅生産農家はありませんでした。現実から見てそれが原因であることが何一つ実証されないし、それを正当化したことが、ほとんど結果的には知見の誤りとして実証されてきました。
 例を挙げれば、平成八年、県実証園の田辺市稲成の流れ子というところの園地に栽培育成を施し、樹勢を回復したモデル園としました。議会の農林水産委員会も現地踏査をしましたが、当時県は栽培管理面と立ち枯れの関係を強調して、ここが直ってきたんだとの説明を受けたわけであります。ところが、その年、一気に枯れ出し、二年ぐらいで全滅して、その園主は途方に暮れ、今はすべてミカンに改植し直しています。そういう事実関係があります。
 昨年の九月議会において、私に対する農林水産部長答弁の中で、南部川市井川、熊瀬川地区の現地実証試験で暖地園芸センターや普及所によって樹勢回復効果が得られたことを反映させたいとありました。その園地の現状は、その後、私は見てきたわけでありますが、既に立ち枯れで、悲惨なものであります。県の言う回復とは裏腹に、半年、一年後に立ち枯れているという事実を私たちは認めなければいけません。田辺の実証園、南部川村高野の実証園も含め、県データの樹勢状況や収集も現状と違ったまとめや報告で、実証園主から訴えられるという騒ぎまで起こしているのが事実であります。
 二つ目は、栽培上の問題、つまり剪定、ならせ過ぎ、水、土壌の要因については、梅生産篤農家によって、現場の園と対比してことごとく論破されています。田辺市、JA紀南の指導員も、これが主たる要因でなく、それは農業経営の基礎知識としてしか受けとめていません。それで回復するのであれば現場の学者である農家が早くから原因を解明していることは、だれが見ても明らかであります。そのことは、南部川村広報紙にいみじくも書かれています。「この梅枯れは、標高が高いとか低いとか、日が照るとか照らないとか、水があるとかないとか、土の質がよいとか悪いとか、実のならせていない若木もならせる成木もこれに関係なく、一気に何十本も急激に発症し、立ち枯れる」と書かれております。まさにそのとおりであることを私たちは現場の実例を挙げて説明してきましたが、いまだに県は栽培管理を強調されており、これが今ますます農家に疑念と不信を抱かす結果に至っているわけであります。
 二点目は、十年間の栽培、土壌、病理面から研究実証してもそこに要因が見られない中では、他の疑問と思われる分野での研究がなされる必要があります。大気と梅の関係も、この十年間、暴露試験を通じて研究し、ようやく県も腰を上げて、ことしから化石燃料に含まれるニッケルとバナジウムの暴露試験の研究に入りました。しかし、これまでの梅生産農家の疑念は、少なくとも昭和五十九年から稼働した御坊火力発電所と梅枯れ、山桜の枯れが並行して起こったことであり、その因果関係を証明することが大きなテーマであります。
 生産農家では、先ほども言いましたが、現地においてビニールシートや車体等がすすで真っ黒になり出したのがこの時期と同じくしているという疑念を、科学的に証明されなくても体験として感じています。幾つかの暴露試験をしても、火電から排煙されるばいじんによって梅に直接的にどういう影響が出るのか、研究実証の必要性が強く望まれています。それは、いわゆる可視被害としてどう起こるのか、見た目で梅の木にどう影響があるか、また可視被害が見られなくても長期的な蓄積による影響があるのかという、いわゆる不可視被害調査も欠かせません。これは、本来県行政として火電操業前と操業後の大気汚染状況と農作物への影響調査ということで継続して調査されなくてはいけないものなのですが、されなかったわけであります。一九八〇年から八七年の大気環境保全対策試験も、その後ぷつっとやみ、御坊火電とその影響調査は、JAと関電との研究会によるトレーサーガス試験といった調査でしかありませんでした。県は、梅を初めとする農作物を守るためにも、生産農家から最も因果関係において疑問視されている御坊火電による影響調査、とりわけ煙突から出されるばいじんの提出を関西電力に求め、その成分分析を初めとする梅への影響、そして可視被害、不可視被害の研究を進めるべきだと思いますが、農林水産部長のご意見をお聞きします。
 次に、これらの課題に向けて、知事、梅立ち枯れ原因究明の共通のテーマに団結して信頼し合っていく図式をどうしてもつくらなければいけません。そのために第二点目の課題を克服して、まず一つ目に幅広い研究と柔軟な対応を持つこと、二つ目は、特定の学者、特定の人たちだけでなく、共通のテーマに協力・共同していただく学者、専門家、生産農家を含めた体制を組織することが大切ではないでしょうか。これについても農林水産部長のご見解をお聞きしたい。
 次に、知事の梅立ち枯れの現場踏査と梅生産農家との対話についてでありますが、知事の選挙中の公約でもあり、当選後の記者会見を初め今議会の所信表明にもこのことが明確に述べられています。先日の記者会見で既に十月十四日に現地踏査をされるとありましたが、このことはこのこととして私は知事の現地踏査と対話について評価をし、しかし今後の基本姿勢についてだけお尋ねしたいと思います。
 和歌山県の七百億円基幹企業である梅産業は今大きな岐路に立っているわけでありますが、梅の立ち枯れは、先ほどの数字からも明らかなように、量的にも面積的にも、また地域的にも非常に拡大していますし、今まで山間部であったところが平野部にまで広がっているという非常な危機感があります。田辺地方を初め、梅が一二〇%とも言われる南部郷では今後大変な状況に陥るのではないかと、私自身歩いて感じました。梅の産地を守る、梅産業を守るという、こんなにも苦しみながら頑張っている梅生産農家の声を聞いてほしい、そして解決への方向のさまざまな考えや意見をぜひ知事に聞いてほしいというのが農家の切なる願いであります。新しい知事に悩みを聞いていただいて、本当に現状を知っていただきたいとの言葉であります。この声は木村新知事に期待する梅の生産農家の本当の声でありますし、こういった立ち枯れで苦しむ梅生産農家との生の対話を期待しています。知事、いかがなものでしょうか。
 現地踏査にしても、十四日は国からも来る立場上、通り一遍の視察で終わるかもしれませんが、私は、田辺地方や南部、南部川、印南の立ち枯れ園、実証園、まだ生育不良になっていない園など幅広く踏査され、園主を中心にした説明を聞いて、そして農家の直接の声、意見、考えをぜひ聞いていただける視察をお願いしたい。そういう機会をぜひつくっていただきたいと思います。これこそが開かれた県政、県民との対話の木村県政の政治姿勢と考えます。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、木村知事の就任所信表明の中で、新生和歌山の創造を目指す上での知事の理念や考え方が示されました。県と市町村とのパートナーシップを一層深める中で県内各市町村それぞれの地域特性を生かすこと、それと同時に、県民が行政に多くを期待するよりも、むしろ県民ができることはみずからやっていただく、県民の県政参加を進める県民自治の発想が今後より一層必要であると述べられました。知事が述べられたように、これからの行政のあり方は、行政が主で民間や県民が従ということでなく、従来の認識や既成の組織形態による公共サービスから行政と県民に役割分担した公共サービスに転換する時代に入っていると考えます。行政が主体でやるべきこと、県民、住民がやるべきこと、またそれを行政が支援・協力すること──行政と県民は支援と共同、対等と協力という関係の位置づけが今求められているとき、木村知事はまさに機を敏にして県民参加の県民自治を基本方針にされたことに対して私は高く評価したいと思います。
 知事の言う県民参加の県民自治の考えは、まさにNPO思想であります。県民思想が、行政依存から福祉・環境・地域づくり、町づくり等のテーマに県民みずからが企画・参加・行動するものにして、行政がそれを支援・協力していくという考えや方針に県の職員や民間事業者、県民が到達していくための指導が今求められていると思っております。
 全国的に見ても二千百六十五のNPO法人が認証されており、県下では十三法人が認証されています。県民のNPO活動が点から線、さらに面へと広がることが県民自治への前進だと考えます。これらの県民参加の県民自治が確立され、行政がすべての仕事に責任を持って請け負い、行政の役割、住民の役割、そして相互の協力・共同という運動と実践が進めば、行政改革と各分野での民間移行が進むのは必然であります。つまり、地方行政の改革が進むことになるのではないでしょうか。知事の政治理念から見て、いかがなものでしょうか。
 そこで、これらの立場に立って具体的に県民の中で実践していく上で、まず現状の県庁中心主義の行政システムの改革が求められています。それは、いみじくも改革県庁が基本にあってこそ進められるものと思います。県民、市町村、また県民に直接責任を負う振興局へ権限委譲をしてこそ、それが具体的に進んでいくのではないかと考えるわけであります。県民参加の県民自治をする上で、各振興局の体質、体制、権限、それと市町村と県民との関係をより具体的な方向に改革することが今求められているのではないか。知事の言う県民参加、そして市町村、県民がともに県の課題に向かって改革するためには広域的な立場にある振興局に権限を負わせ、そこの体制を強めて県庁中心のあり方を思い切り変えない限り、運動として展開していかないと私は考えるわけであります。
 時間がございませんので、具体的には、後で答弁を受けて再質問の中で提言していきたいと思います。
 次に、紀南地方に総合学科と定時制高校昼間部実現のための一考察について問題提起します。
 これについては以前も触れたわけでありますが、総合学科の成果とその評価を見ると、和歌山県は平成六年度に和歌山高校、平成九年度に有田中央高校へそれぞれ総合学科を設置し、教員の努力もあって大きな評価をされています。子供たちが心身の成長や変化の著しい多感な時期にある中等教育のあり方の改善策の一つとして、中学校教育から高等学校教育へは入学者選抜を課することなく六年間の一貫した教育、つまり中高一貫教育を行うことが一番望ましいと考えますが、現状では普通科と専門学科との関係で対応が難しい点を理解しつつ、県教委は古座高校を中高一貫教育に踏み切るなど、それぞれの状況によって画一的でない対策を講じられていることに評価をしたいと思います。
 子供たちが中学校段階から高等学校段階へ進むにつれ、ますます多様化する生徒の能力、適性、興味、関心に対応するため、多様な科目の中から生徒の主体的な選択を可能にする総合学科は、少なくとも子供たちにも受け入れられるものと考えます。紀南にも総合学科の設置をという要望が高まっていますし、県教委も積極的な姿勢を示しています。また、定時制高校に昼間部をとの要望に対しては、県教委が実施した青陵高校は評価されています。しかし、県全体では千五百六十五名に達する不登校を抱える親の期待、社会情勢の変化から雇用時間帯の変化に伴う要請もあって、昼間部設置は総合学科とあわせての課題であります。そこで、この二つの課題を実現させる上での私の一考察を提言し、県教委でご検討いただくことをお願いしたいと思います。
 いみじくも、田辺市に設置されている高校が一つのエリアに集中しているという特徴があります。田辺高校、南紀高校夜間部、昼間部の衛生看護学科は同一敷地内にございます。そして、田辺商業高校は田辺高校から六百メートルで、徒歩で十分、自転車で三分であります。田辺高校から工業高校までは千メートルありますが、歩いて十二分、自転車で四分。商業高校から工業高校までが一番遠くて千八百メートルで、歩いて二十分、自転車で八分という、パターンとしては千葉県などのマンモス高校の学園と余り大差がなく、これら四つの高校を一つの学園としての今後の将来構想として考えていく必要があるのではないかと思います。私としては発想の一考察でありますが、この四校を田辺高校という一つの学園にする、そこから各学科として分散し、編入可能な総合学科として位置づけられないかという将来構想であります。現実には非常に難しいことでありますが、田高、南紀高校夜間部・衛生看護学科、田商を当面一つのグループとして最も適切な対応をすることによって、二つの課題、いわゆる総合学科と昼間部をこの中にうまく効率的運用できるのではないかということで問題提起したいわけでありますが、教育長のお考えをお聞きします。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 梅生育不良対策についてでございます。
 ただいま状況についての詳しいご説明をいただき、どうもありがとうございました。改めて問題の深刻さをかみしめているところでございます。
 この梅産業が和歌山県の地域経済を支える重要な産業であるとの認識には、非常に深いものを持っております。この生育不良につきましては、依然として、ただいまのお話にもありましたように発生しており、厳しい状況にあることは承知いたしております。また、簡単にはいかないと思いますが、農家の方々の不安な気持ちを解消できるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 こうしたことから、一日も早く産地に出向きたいという思いで、来る十月十四日に現地調査を行うことといたしております。私といたしましても、議員のお話にもありましたように、この今回の調査をすればそれでいいというものではなくて、今後ともできるだけ機会をとらえて現地でより多くの農家の皆さん方とお話し合いをするとともに、地域のいろいろな事情も把握して、非常に難しいことではございますけれども、問題の早期解決に力いっぱい尽くしてまいりたいと考えております。
 それから、振興局の組織強化と責任体制の明確化ということでございます。
 所信表明の中でも申し上げましたように、地方分権の時代を迎え、県内それぞれの地域の多様性や特性を認めてそれを伸ばしていくためには、県民の県政参加を進める県民自治の発想が必要であると考えております。振興局は、各地域における課題に自主的かつ自己の責任において総合的に対応するとともに、地域の特性に応じた行政を迅速に行うために設置しているものであり、このため、本庁にある権限の振興局への委譲を推進しているところでございます。
 今後とも、この振興局設置の趣旨が生かされるよう鋭意検討を進めてまいる所存でございます。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 梅生育不良についてのこれまでの取り組みの成果と問題点、及び今後の取り組みについてのご質問にお答えをいたします。
 梅の生育不良についてでございますが、これまで、県農業の最重要課題として関係者の総力を挙げて取り組んできてございます。
 原因究明と対策の取り組みについてでありますが、試験研究機関を中心に、大気環境、栽培、土壌、病理面など多方面からの原因究明と、現地実証園の設置や改植、土づくり事業の創設など産地支援対策を講じてきたところでございます。
 これまでの試験研究において得られた成績や現地実証試験の結果につきましては、普及指導の現地対策に生かすとともに、県うめ対策研究会においてさまざまな要因が複合的に絡み合ったものとして最終報告で取りまとめられてございます。
 また、産地の支援対策としては、百十七ヘクタールの改植更新や四百二十二ヘクタールの土づくりを実施するとともに、生産農家の経営安定を図るうめ対策緊急特別利子補給事業によって二百五十五件、約四億八千万円の融資を行ってございます。
 一方、大気環境調査といたしましては、専門家の指導・助言を得る中で、平成十年度より二年間のガス暴露実証試験を行った結果、生育不良の症状は認められてございません。
 こうした中、議員お話しの御坊火力発電所のばいじんの直接暴露試験につきましては、県うめ対策研究会の専門家の意見として、ばい煙は大気拡散中に化学変化を生じることや、またばいじんは葉の気孔からは吸収されず、根からの吸収はされたとしても、土壌母材はもとより、肥料、農薬や潮風など由来を特定できないことなどから、科学的な調査ではないとされてございます。また、JA紀南と関西電力で組織する梅生育障害対策研究会の報告の中で、煙道中のばいじんと梅産地の降下ばいじんの成分構成比が異なることやトレーサーガスによる排煙拡散調査の結果などから、両研究会とも御坊火力発電所の排煙と生育不良の関連性は見られないとの報告が示されてございます。
 このようなことから、御坊火力発電所のばいじんの提供を受けて直接暴露を行うことは現実的な対応ではないと考えてございますが、昨日、高田議員にお答えしましたとおり、成分分析のためのばいじんの提供については事業者に伝えてまいりたいと考えてございます。
 一方、農家の強い要望もあり、大気環境調査の一環として、平成十二年度には化石燃料の指標物質であるバナジウム、ニッケルを用いた暴露実証試験を行ってございます。
 今後の取り組みの方向でございますが、現在の生育不良の発生状況は依然として新規の発生が見られ、また本年から新たに実施した県下全域での調査では地域的な広がりもあり、厳しいものと受けとめてございます。
 県としましては、県うめ対策研究会から示されている残された課題の解決のため、DNA鑑定等の先端技術の活用も視野に入れ、生理・生態特性の解明、土壌管理技術の開発などを初め、大気環境にかかわる調査等、日本を代表する専門家や国の指導・協力を得て総合的に実施することとしてございます。
 また、改植更新や樹勢維持対策を行ううめ総合実証園を拠点として幅広く生産者や関係者と交流する場づくりを行い、組織再編の動きのあるうめ対策協議会との連携を図りながら、この問題の早期解決に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高校教育についてお答えいたします。
 原議員からご紹介ありましたように、本県ではこれまで和歌山高校と有田中央高校に総合学科を設置し、それぞれ大きな成果を上げてきております。また、定時制昼間部を設置している紀の川高校、青陵高校においても、さまざまな動機や学習歴を持った生徒を受け入れ、個に応じた指導を行い、評価されてきております。
 現在、田辺市内の県立高校には、普通科を初め工業、商業、家庭、衛生看護等に関する専門学科、及び夜間の定時制課程を設置しております。また、隣接の熊野高校の農業に関する学科を含めると専門学科のほとんどが通学可能な範囲に設置されており、生徒の興味、関心、進路等によって幅広く学科選択が可能な地域であると言えるかと思います。
 こうした地域の特性を生かし、田辺市内の四高校と熊野高校の五校間で、生徒のニーズに応じてほかの高校でも学習することができるよう学校間連携を実施し、開かれた学校づくりを推進しているところでございます。
 今後、紀南地方での総合学科や定時制昼間部の設置について、議員ご提言の趣旨も含め、多面的に研究・検討してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問というよりも提言というか、当局の農林水産部長の答弁を聞きながら、今までのこととこれからやるということの中で矛盾が起こっていることについて指摘だけしておきたいと思います。
 一つは、私が再三述べてきたように、うめ研究会の学者の意見として、いわゆる暴露試験等を含むばいじんの研究が、大気拡散中に化学変化を起こす、そしてばいじんそのものが根からの吸収はされたとしても葉の気孔から吸収されない、したがって科学的な調査ではないとされていると、こう言っているわけです。そう言いながら今後の課題としては、「大気環境にかかわる調査等、日本を代表する専門家や国の指導・協力を得て総合的に実施することとしてございます」というふうに言っているわけです。最初に、調査しても科学的でないからもういいんだと言っておきながら、しかし今回は、今後いろんな日本を代表する専門家や国の指導・協力を得てやっていきたいということで、矛盾を感じるわけであります。
 私たちが今求めているのは、御坊火力発電所から排煙されるばいじんに対して、どうして積極的に県の主体で調査研究する姿勢が示されないのかということの疑問であります。知事、これが一番の溝をつくっているわけです。全く実証試験もしないで、いわゆる県の研究会の学者の言い分をそのまま写して私たちに説明をしている。しかも、県の採用した学者の資料は、実際に実証試験をしたり、みずから畑へ行って長期間研究したのではなくて、関西電力が中心になった研究会の資料に基づいて客観的に判断した、評論家的立場での学者の見解でしかなかったわけであります。私たちは、このことに対する疑問を感じているわけです。学者であるなら、もっと現場を実証して、そして科学的解明にしても、実施をした結果それは無理ですよということでなければならない。それなら我々は納得するわけですが、ばいじんそのものは見せない、提出しない、やらない。
 知事、十数年、栽培面から始まって大気もすべて必死になってやりました。相当なお金を県もかけ、市町村もJAもかけて、それでなおかつ全国の有名な学者の研究においても、結論的には栽培管理面ではないことがもう究明されているわけであります。先ほど言いましたが、総合的、複合的な要因に絡んであるとしても、今、主たる要因となるべき原因は何かということに我々は集中して取り組んでいかなければなりません。土に肥料をやれ、剪定の仕方をどうせえ、水はどうやということは、もう県の人に言われなくても農家はわかり切っているんです。当たり前のことなんです。我々は、そのことをあえて繰り返し繰り返し言われることが非常につらいわけです。
 そのことよりも、十数年調査してきた中で、今、何を原因解明のための命題として設定するかということであります。残されたばいじんをどうして調査しないのか、それを求めることを強く関西電力に望み、それで県が独自に調査をしていく姿勢になぜ立てないんだろうかと私は思うわけであります。ばいじんを提供することを恐れているのか。何に恐れているんだろうか。
 関西電力は堂々と提供したらいいんです。はっきり、トレーサーガスによってその影響がないというふうに判断したんですから。関西電力の研究機関は裁定を下しているわけです。ならば、ばいじん、排煙による影響がなければ、堂々とシロという証明を我々に示していただきたい。そして、それに基づいて県が独自の調査機関で調査していくという姿勢なしに、我々梅生産農家は信頼できますか。そのことを私は強くずっと言い続けているわけです。そのようにならない限り、梅生産農家と県が、先ほども述べましたが、本当に一緒になって力を合わせて同じ共通のテーマに基づいて研究していこうという姿勢に立てない。私は、それが情けないわけであります。一緒にやりたい。そのことを強く企業に求めるべきでありますし、企業も自信を持って我々に提供したらいいんじゃないですか。
 トレーサーガスにおいて問題がないと自信を持って指摘しているのですから、我々は改めて行政と農家における実証をして、なるほどシロだ、問題なかったなと、こういう研究をすることに何の疑問や抵抗があるんでしょうか。私にはひとつもわからない。そのことについて、農林水産部とりわけ知事にご理解をいただいてしていかないと今までの住民訴訟──知事も大阪でおってよくわかっていると思うんですが、四日市や水俣や、いろんな公害闘争がありました。それらが長期の闘いをしてきたのは、資料の公開をしなかった、隠しておく、違ったデータを示すとかという、住民が行政に不信感が募ったからだろうと思うんです。
 梅問題は、何ら対立関係が一切ない。行政も梅生産農家もみんな同じ共通のテーマで──例えば労働組合の権利闘争とかでは労使の闘いというのがありますけれども、我々には行政と梅生産農家が対立する何の要因もないんですよ。そのことを私は強く訴えたいわけであります。今後とも知事には十分理解を深めていただきたい。現地の梅生産農家は、その実情を知っていただくことの中で一緒にやりたいんです。一日も早く解明したい。そういう意味で、県のスタイルが幅広く、そして一つの枠の中で物を見るのではなくて一生懸命一緒になってやる姿勢を示していただくならみんなと汗をかけると思っておりますので、このことについて要望しておきたいと思います。
 もう一つは、先ほどの振興局の強化ということです。私、実はこういう立場でないときに熊博で二年ばかり田辺の事務局でボランティア活動をやらせてもらったのですが、その中で感じたことは、いみじくも知事が所信表明の中で述べられた県民参加、県民自治──今まですべて県が請け負い、人も金も組織も丸抱えしてイベントや運動がされてきた要素があった、しかし県民もやるべきことはやるということで、熊博のときにも、県の室の人にいろいろと問題提起をしてきました。こういう体制だと県におんぶにだっこで、熊博が終わったらそれで終わりになりますよと。だから県は、この期間中に住民と民間事業者が一緒になって、このイベントの中でみずからが独立し、商業ベースで地域活性化につなげていく体制をつくる過渡的なアドバイザーでなければならないと。県は将来的にはあくまでもコーディネーターとしての役割であって、人も金も出して事業をして、一年間やって人たくさん集まったよ、成功したよと、こういうことではいけない。そして、それが継続していくために、市町村とそこの市民、住民が本当にその課題に取り組んでいける体制や組織にぜひしてほしいと。市町村も住民も、それを期待していますよ。県におんぶにだっこだと思っていませんよ。余りにも県が極端に抱え込んで、すべて自分たちでやろうとする政治姿勢を、私は二年半の間に経験しました。これではあかんと。だから、知事が言う改革県庁というのは、県庁中心主義のやり方をぜひ改めて、思い切り市町村や住民に頼ったらいい。今そういう体制ができていると私は思います。
 例えば、今度、南紀熊野二十一協議会がつくられたり、それからこの十五日には環境生活部で三大県民運動が行われますが、これなども、県が絵をかいてイベントでタレントを呼んでやるということではなくて、環境問題や花いっぱい運動など、三つの運動にかかわったいろんな市民団体や市町村がみずからその経験を持ち寄ってそのイベントを成功させていくというのが本来のあり方ですが、そういうふうになっていません。すべて県が企画して、県がイベントして、タレントを呼んで人を集めて終わりと。今後こういう形態を改めない限り、知事の言う改革県庁、そして県民参加という形になっていかないのじゃないか。そのために、その中心になっている、広域圏の責任を負う振興局にその体制を敷いてくれなかったら、なかなかいきません。振興局はもう自分の日常の業務でいっぱいで、市町村と連携する、住民とともになってやっていくという体制にありません。皆さん忙しいから、私もよう言いません。
 だから、そういう意味で、振興局が広域圏の責任を負う、そしてそこの市町村に荷をかけていく、荷をかけられた市町村は住民に荷をかけていくと、そこに一体となった運動が展開されていくと私は考えていますので、ひとつその点も十分調査なりしていただいて、今後とも知事の言う改革県庁、県民自治の確立が、まさに県民一人一人の参加によってできていく、少なくともやっている人と金の削減につながっていくということを──内部で事務を簡素化せよということも大事ですけれども、県民運動の中で、県民参加の中で行政の果たす役割をできるだけ減らしていく、それを住民に返していくと、このことが本来の行財政改革につながっていくのではないかと思っておりますので、問題提起をして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十四分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして順次一般質問を行います。
 最初の項目の、自然と健康を守る環境行政の実現について質問します。
 木村知事は就任のあいさつで、「空青し山青し海青し」と「望郷五月歌」を引用されましたが、その紀南の地でこれから質問させていただくような環境破壊行為が行われています。西口前知事は、さきの六月議会での私の環境行政の質問に対して、「新宮市における問題につきましては、住民の生活環境に関する切実な問題であり、このことを十分認識して対応する必要があると痛感しております。 産業廃棄物につきましては、橋本市の問題を初め、(中略)新宮市の問題等、県下各地で不法投棄や不適正処理が問題となっております。 県といたしましては、環境行政上、産業廃棄物の不法処理対策と未然防止のために今後なお一層、組織の充実強化を進めてまいりたいと思います。 また、こうした問題を解決するためには廃棄物処理に携わっている業者の果たす役割と責任は大きく、適正な処分を行うよう強く指導してまいりたいと思います。 また、許可等に当たっては、厳正に審査し、住民の声を反映させるとともに、違法行為に対しましては厳重処分をもって対応してまいる」とお答えをいただきました。
 木村知事は、この意思を踏襲され、より一層取り組みを進めていくと期待をしておりますので、その決意のほどをお聞かせください。
 さて、熊野川沿いの不法投棄についてです。
 全国的に不法投棄への取り組みが進んでいますが、残念ながら和歌山県では無秩序、無法状態が一部残っており、不法投棄者に対して県が指導しても、ごみを放置したままであったり、地下に埋めて隠したり、同じ違法行為を繰り返している状況ではないでしょうか。自然と健康を守る環境行政の実現を願う立場から、さきの六月議会での質問と重複しますが、新たな問題もありますので、具体的な事例で質問させていただきます。
 まず、新宮市の水道取水口の上流約三百メートルの熊野川に面した国道百六十八号線の改良工事の南桧杖の産業廃棄物については、市民の飲み水に危険を与えた産廃業者の責任はもちろんですが、過去において最終確認を怠った県にも責任があると指摘しました。現在までの進捗状況と改良工事地域以外の残っている廃棄物の処理、業者への対応をお伺いいたします。
 次に、新宮市浅里の生コンプラント敷地内での建設業者の産廃の違法処理は、ことし六月の一件だけではなく、以前から産廃を地下に埋める違法行為も行われており、産廃の違法処理と砂利採取などですから、廃棄物処理法、自然公園法、砂利採取法、河川法などに抵触すると思いますが、それぞれの見解を環境生活部長、土木部長にお尋ねします。
 さらに、この業者は、平成七年に現在のプラントを建設するに当たり、自然公園法の許可をとらずに土地の形状変更を行い、始末書を提出して建設が許可されたという経過もあります。しかし、今回同じ場所でもっと悪質な行為が繰り返されたことは、県の指導が形式的なものであり、改善が必要ではないかと思いますが、いかがですか。お答えください。
 熊野川沿いの不法投棄はこれだけではありません。以前から指摘している白見の滝付近では、タイヤだけではなく自動車までも埋められている件や、口高田トンネル付近では焼却灰と廃材などが不法投棄されている件など数多くあります。しかし、いずれも県は指導はしておりますが、いまだ原状回復されておりません。どうなっているのですか。熊野川と道路にもかかわることなので、土木部長と環境生活部長のご答弁をお願いいたします。
 残念ながら、こうした行為者の中には地元の土木や建設業者が多くおり、さらに県や市の指名業者もいます。こうした指名業者の地域社会における仕事を通じての社会的な貢献や雇用の場としての役割など社会的役割や必要性は十分に認めるものです。しかし、同時に社会的責任も当然問われるのではないでしょうか。既に不法投棄されている産廃の適正な処理を含めて、やり得を許さない毅然とした対処が必要です。六月議会では「指名停止等のペナルティーにつきましては、関係部局と協議してまいりたい」との答弁がありましたが、名前の公表も含めて当局の対応をお尋ねします。
 また、不法投棄一一〇番の設置や未然防止などの体制とルールを強化する必要があると思います。今後の対処をお聞かせください。
 次に、熊野川の河川管理についてお尋ねします。
 さきの浅里の生コンプラントに関連して、その場所に隣接して建設省が一九七四年(昭和四十九年)に春日砂利株式会社から寄附された土地がありますが、放置された状態にあり、その場所においても産廃が埋められたり、砂利採取などの自然破壊が行われた疑いがあります。河川管理と財産管理の面からも県の管理責任が問われると思いますが、土木部長の見解をお尋ねいたします。
 特に河川管理については、平成九年の河川法の改正により、河川環境すなわち河川の持つ自然環境や河川と人とのかかわりにおける生活環境を明確に位置づけ、河川法の目的に環境に関する事項を明記しました。そうした中で、新宮市が環境美化条例の施行に伴い、廃棄物の撤去や地域の団体がカヌーなどで熊野川のクリーンアップ作戦を行っています。私は、河川区域の拡大や官民境界を明確にして河川管理を強化し、河川環境を守る取り組みを進めていく必要があると思いますが、お考えをお聞かせください。
 また、河川法の改正によって県の河川整備計画の策定が求められていますが、なぜおくれているのか、その原因と今後の方策を含め県の見解をお聞かせください。
 この項三つ目の新宮市松山の産業廃棄物処理については、昨年の九月議会から毎回質問を行っておりますが、いまだ解決に至っておりません。話は繰り返しになりますが、第一種中高層住居専用地域である松山で、建設業者が自社処理を行っている上に、さらに平成十年に中間処理業の申請をしたことから、許可されたら一層生活環境が破壊されると住民は陳情書と約一万二千人の反対署名を県知事に提出いたしました。新宮市は、県に「当地域での業の申請は不適当と考える」との意見書を三度も提出させられています。県議会でも、生活文化部長は「知事への陳情と反対署名も参考にいたしながら、新宮市長のご意見を尊重し、総合的に判断してまいる」と答弁されています。
 さて今回は、原点すなわち和歌山県の自然と人間を大切にする環境行政の根幹についてお尋ねいたします。
 それは、第一種中高層住居専用地域において、自社処理も含めて産業廃棄物の処理を許すのかということです。さきの六月議会において、専用地域については、環境生活部長は「良好な住環境が維持されるべきとされる第一種中高層住居専用地域」と、また土木部長も「第一種中高層住居専用地域は、中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域」と答弁されました。ですから、当然不許可になるものと思っていましたが、いまだに不許可になっていません。今私が心配することは、この松山の事例を許すならば、これが前例となり、他の住居専用地域でも許さざるを得なくなり、今後の県の環境行政に大変な混乱と悪影響を及ぼすのではないかということです。本来、この地域は国立公園内であったのを、特別に土地利用のために第一種中高層住居専用地域とすることが必要になり、都市計画法に基づき市が県知事の承認を得て決定した住宅専用地域であり、それほど環境に配慮しなければならないところだと聞いております。
 また都市計画法の基本理念は、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきこと」とし、国、地方公共団体及び住民の責務は「国及び地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない。 都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない」と定められております。行政は、みずから住環境を守るために定めた地域において少しでもそれを脅かすと考えられる場合は、毅然とした行政姿勢を示すことが必要ではないでしょうか。この地での処理業の申請については、できることなら申請者がこの地での計画を断念することが望ましいのですが、その見通しもない現状では、一日も早く不許可の判断を下すことが必要だと思われます。環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 次に、土木部長は、さきの六月議会でこの土地の周辺の新たなる土地利用計画について、「当該地に係る土木部関係の事業はもちろん、他の分野の事業についても、ないとの報告を受けている」と答弁がありました。しかし、それは間違いではないかと調査をお願いしておりましたが、どのような結果になったのでしょうか、お尋ねをいたします。
 また、この業者の自社処分地の一部を他のところに比べて早々と道路用地として買収を済ませながら、いまだ進入路の計画がないという買収方法も不思議でなりません。納得できる説明をお願いします。
 この項の最後に、産業廃棄物の不法投棄などの不法事犯を取り締まるために、警察は環境モニターを委嘱したとお聞きしております。また、警察には住民からの通報や相談もあると思いますが、警察はこの種事犯に対してどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。
 第二項目の、最終局面を迎える当たり、同和行政の終結と同和教育廃止についてお尋ねいたします。
 現行の地域改善財特法は、同和事業の残務処理を目的とし、二〇〇二年三月をもって終結します。政府は、「特別対策は永続的に講じられるべき性格のものではなく、事業の迅速な実施によってできる限り早期に目的を達成し一般対策へ移行することが肝要」とし、現行法を「一般対策への円滑な移行のための経過措置を講ずる趣旨である」と定義づけました。県内でも同和対策事業を終結する町が相次いでおり、例えば同和室や同和対策課など地域改善という表現を持つ市町村は、平成八年度では県内で二十九あったのが、今では十六となっております。
 知事にお尋ねいたします。
 県行政としても、同和対策事業を終結し、低所得者対策など必要な事業は一般対策に移行することを明確にすべきと考えますが、事業の終結に向けて行政として庁内及び有識者から成る検討会を設置するお考えはございませんか。
 また、就任のあいさつで聖域を設けないということですから、同和対策事業の終了についてもお答えください。
 福祉保健部長にお尋ねいたします。
 最近、和歌山市の地域改善対策の道路改良事業で市職員の不正流用事件がありました。県も補助金を出した事業でもあり、県の監督責任も問われるのではないでしょうか。事業の妥当性も含め、県として反省する材料がないのかどうか、見解をお聞かせください。
 教育長にお尋ねします。
 この六日、和歌山県の同和教育の前進に貢献した歴史を持つ同和教育協議会が、ここまで融合が進めば同和という名の教育上の取り組みはかえって融合を阻害するなどの理由から解散することになり、同和地区の中に同和教育を必要としなくなっている実態が反映されたものではないでしょうか。同和行政は、旧身分に対する差別をなくすために旧身分を公的に区別するという問題を抱えていました。しかし、法が終了する現在、旧身分を特定する行為は憲法違反であり、児童生徒を対象とした県教委の校区に同和地区を含む学校の状況調査などは中止すべきです。過去には、この調査はある程度正確な実態を把握し、それなりの意味がありました。しかし現在、同和地区と言われてきた地域は、特別対策と地域住民の努力によってその環境は大きく改善されました。人と人との交流も進み、他の地域の人々が同和地域に居住するようになり、若い世代の多くは同和地域からその他の地域に移り住むようにもなってまいりました。和歌山県下でも混住率は五〇%を超え、ところによっては同和地区に移住してきた世帯の方が多い地域さえも生まれています。同時に、婚姻の自由が飛躍的に拡大するなど、判定基準の不明性からも旧身分を特定することは不可能になっています。
 もう一つの問題は、子供たちの旧身分を特定する調査であるということ、さらにこの調査が少なくとも本人または親権者の承諾や了解がないまま行われていることです。このようなプライバシーにかかわる調査はもう行うべきときではありません。そうした上に、関係市町村の教育委員会においても方針はばらばらです。県教委としても、確たる方針、基準があるとも思われません。こうして行われている調査は、科学的根拠と正確さを欠くものです。中止すべきではありませんか。お考えをお聞かせください。
 第三項目の、障害者に温かい行政の手をについてお尋ねいたします。
 小規模作業所は、障害者が働く場としてふえ続け、現在全国で五千カ所以上ありますが、授産施設などの法定施設が措置費として公的資金で運営されるのに対し、小規模作業所は国や自治体からのわずかな補助金が支給されるだけで、職員たちは低賃金を顧みず、障害者の支援に奔走しなければなりません。障害者の社会参加を掲げる福祉行政は、奉仕に頼り続けているというのが作業所の実態ではないかと思います。これを裏づけるように、小規模作業所に対する国の補助金は、作業所一カ所につき年額百十万円、県への交付金が二千六百五十五万円で、余りにも少ない額です。共同作業所全国連絡会の調査によると、利用者十五人規模の作業所で算定した小規模作業所一カ所当たりの自治体からの補助金の平均金額は年額で、心身で一千四十万三千円、精神で九百万九千円であるのに比べて、和歌山県は心身、精神とも六百二十万円余りで全国平均を下回っております。確かに、和歌山県は年々増額し、よく頑張っていると評価できますが、額が少ないのが残念であります。県行政の努力も認めますが、小規模作業所の運営を支えているのは職員など関係者の献身的な熱意ではないでしょうか。行政としては、いつまでも奉仕に頼り続けるのではなく、障害者が県民の一人として人間らしく地域で生きたいという願いがかなうために、この流れ、この財政的援助をもっと行政の力で太いものにしていただきたいとお願いするわけですが、当局のお考えをお尋ねいたします。
 次に、小規模通所授産施設の小規模限定法人化についてお尋ねいたします。
 社会福祉法の改正によって、社会福祉法人の設立要件が緩和され、通所に限る身障・知的・精神障害者授産施設の利用者が十人以上であれば社会福祉事業に含まれることになり、運営費の補助も年額一千百万円の方向で検討されており、法人化しやすい状況になっています。県下においてどの程度、小規模作業所が法人化を希望していますか。また県も、希望している作業所については積極的な対応が必要だと思いますが、県の決意をお聞かせください。
 この項の最後に、県下において健常児の学童保育に障害児が通っているところは幾らかありますが、障害児を対象にした学童保育を行っているところは少なく、さらに子供をちょっと預かってくれるレスパイト事業と障害児の学童保育を行っているのは、和歌山県では新宮市のハトぽっぽ一カ所だけです。しかし、補助金など制度としての保障がなく、運営が大変なのが実情です。そのため、保護者の方々が昨年、新宮市議会に「障害者の学童保育とレスパイト事業を認め、補助金を求める」請願書を提出しましたら、早速市議会において採択になりました。新宮市も、今すぐ補助制度としての確立は困難でありますが、施設の整備や事業場所の定着化等、団体を助成するという意味において、他の障害者団体と同じように、わずかであっても予算の許す範囲で検討していきたいと前向きの答弁がありました。県においても、レスパイト事業の国に対する働きかけをお願いしたいのですが、お考えをお聞かせください。
 最後の項目の、医療と林道についてお尋ねし、お願いするものです。
 新宮市民病院と救急医療についてですが、ことし三月の新宮保健医療圏保健医療計画では、県民がいつでも、どこでも、ひとしく保健医療サービスが受けられるようにとあり、平成七年の計画の見直しとあります。しかし、平成五年の計画にも同じようなことが書かれており、一体この間どれだけのことが進んだのかわかりませんから、お尋ねをいたします。
 例えば、初期救急医療体制の整備では、休日夜間急患センターの整備を検討するとありますが、いつまで検討されるのですか。昭和四十九年から平成七年の間に、和歌山、那賀、伊都、有田、御坊、田辺と休日急患診療所が設置されていますが、いまだ新宮広域にはありません。現在、在宅当番医制で対応しておりますが、在宅当番医制は新宮市だけであり、休日急患診療所に取ってかわるものではないと考えますが、いかがでしょうか。
 福祉保健部長、休日急患診療所が実現しなかった理由と今後の見通しをご説明ください。
 次に、三次救急医療体制の整備と圏域内公立病院の機能充実では、新宮市民病院の機能充実を図り、高次救急医療体制の整備を促進するとあります。これを県がやってくれるのならありがたいですが、新宮市に頼らざるを得ません。そして、新宮市民病院はこれにこたえるため、来年五月のオープンを目指し、救急部の設置や新たに診療科目をふやすなど、住民の命と健康を守ろうと頑張っております。しかし、病院建設や医療機器等の設置に要する財源はすべて企業債によるものです。今後の償還は大変厳しいものがあり、どうしても県の格別な財政支援が必要だと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、新宮市民病院に対する財政支援についての考えをお聞かせください。
 さて、紀北では日赤に次いで県立医大にも救命救急センターが設置され、それは全県的には意義のあることですが、いつまでもヘリコプターに頼る地域に住む者にとってはうらやましい限りであります。私は、昨年も救命救急センターの設置や救急医療体制について質問しましたが、この問題は長年にわたる新宮地域住民の命と健康にかかわる切実な願いです。新宮周辺広域市町村圏事務組合からは、毎年二十四時間体制の県立救急医療センターの早期建設を求める要望書が提出されています。財政的に苦しい市町村にとって県立病院を望むのは当たり前だと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、二十四時間体制の県立救急医療センターの見通しをお教えください。
 古座川病院では、小児科医がいないため小児科の診察がこの間行われておらず、学校の予防接種などにも支障を来しており、小児科再開は切実な願いです。小児科医は全国的に不足している状況でもあり、古座川病院の医師確保はもちろんですが、将来の小児科医師を養成するために県の特別対策が必要だと思いますが、見解をお伺いたします。
 最後に、高田蜂伏林道ですが、この広域基幹林道は六百十九ヘクタールの利用区域に林内道路が皆無であるため、林業振興を目的として開設が求められてきました。さらに、災害時における国道百六十八号線や県道高田相賀線の迂回路として、さらに佐野の蜂伏に市民病院が移転することからも、住民の生活道路としての期待も高いものとなっています。延長約十三キロ、事業費三十億四千万円、事業期間平成七年度から二十年度となっていますが、平成十年に高田側の切り取り面が大きく崩壊するなどで百三十メートル進んだだけで工事が中断したため、地元民は心配しております。今回、和歌山県公共事業再評価委員会で審議され、安全対策はもちろん、自然環境への配慮、トンネルなど新たな工法検討など意見をいただき、事業の継続は決まりました。もちろん、事業主体は新宮市であり、今後は地質に応じたのり面安定工法で工事が再開されます。しかし地元では、将来的には県直轄の林道事業にしていただかなければ工事の完成が大幅におくれるのではないかと心配する声もあります。新宮市も佐野側からの工事着工を目指し、両端起工に向けて努力をしておりますが、このままでは事業費の増額も必至です。県からの技術的なアドバイスや工法への配慮、財政的な支援が欠かせないと思いますのでお願いするものですが、県の考えをお示しください。
 これで、私の第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 不法投棄や産廃処理に対する基本的見解ということでございます。
 県内各地で産業廃棄物の不法投棄等不適正処理が問題となっており、とりわけ紀南の地で産業廃棄物の不適正処理による環境問題が起こっていることにつきましては、まことに残念なことと感じております。今後は、関係セクションがスクラムを組んで不法投棄や違法行為に厳正に対処し、美しい和歌山を次世代に引き継いでまいる覚悟でございます。また、環境行政を進める上で地元の皆様のご意見を真摯に受けとめ、さまざまな判断に反映させることが大切だと考えておりますので、できるだけ地元との話し合いの機会を持つとともに、許可等の判断の際には地元市町村長のご意見を尊重してまいります。
 次に、同和行政終結と同和教育終了への決意ということでございます。
 同和行政につきましては、平成十年一月に策定いたしました和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、教育・啓発、産業・就労対策等の残された課題解決に向けて取り組んでいるところでございます。
 さて、地対財特法が平成十三年度をもって終了することにかんがみ、地対協意見具申の考え方に基づき、平成十二年、十三年度の二カ年間で同和対策事業を見直し、検討した上、残された課題解決のため、必要な工夫を一般対策に加えつつ対応するという基本姿勢に立って、同和対策事業を一般対策に移行すべきであると考えております。また、ご提言の有識者を含めた検討会の設置についてでございますが、既存の県同和対策協議会で対応してまいりたいと考えております。この一般対策への移行は同和行政の終了を意味するものではなく、従来にも増して基本的人権の尊重という目標を見据え、県民ニーズを的確に把握し、同和問題を早期に解決するという視点に立って同和行政を推進してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 金田議員の、自然と健康を守る環境行政の実現に関するご質問についてお答えいたします。
 まず、熊野川沿いの不法投棄の実態と対策についてでございますが、新宮市南桧杖の国道百六十八号のバイパス道路の計画に伴い、掘削土から燃え殻等の廃棄物が違法に埋め立て処分されていたことが確認されたため、その行為者に対して燃え殻等の適正処理及びダイオキシン類等の検査について指導したところでございます。検査結果では、土壌及び水質中のダイオキシン類等の濃度が環境基準を満足しておりました。埋め立てられた廃棄物につきましては、平成十二年七月十七日から撤去作業が開始され、八月二十二日に完了したところでございます。
 なお、今回の措置により埋め立てられた廃棄物のすべてを撤去できたわけではありませんので、今後もバイパス工事の進捗に伴い、計画道路及びその周辺地域から廃棄物が確認された場合、関係機関と連携を図りながら、行為者に対し適正処理指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、新宮市浅里の生コンプラント敷地内の不適正処理についてでございますが、事業者が廃棄物を埋め立てていたことを確認したため、同事業者に対し適正に処理するよう指導したところ、事業者が埋め立てた廃棄物等を撤去いたしました。撤去の事実は、保健所が確認してございます。
 なお、事業者が行った埋め立て行為につきましては、廃棄物処理法では処理基準違反等に、また自然公園法では無許可の形状変更に該当するものでございます。自然公園内での無許可の土地の形状変更につきましては、既に原状回復されておりますが、今回の行為に対し厳しく指導を行い、始末書を徴するとともに、今回特に文書による厳重注意、及び行為地の緑化改善等についても重ねて指導したところでございます。
 次に、白見の滝付近及び口高田トンネル付近の不法投棄、またこれら以外の不適正処理につきましても、新宮周辺地域産業廃棄物適正処理連絡会議等で協議し、関係機関が連携を図りながら適正処理指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、不法投棄を許さないルールと体制の確立についてお答えいたします。
 廃棄物の不適正処理対策といたしましては、早期発見、早期対応が最も重要でございますので、地域住民の協力、市町村、警察等関係機関の密接な連携が必要でございます。そのため、各保健所に事務所を置き、関係市町村、関係警察署、振興局の各部で構成する地域産業廃棄物適正処理連絡会議を設置しており、この連絡会議を中心に不適正処理に対する指導等を行っているところでございます。不法投棄等を発見したときは、市町村や保健所、また警察に通報していただければ、連絡会議を活用して適正に対応してまいる考えでございます。
 議員お話しの不法投棄一一〇番は本県では設置してございませんが、国の指導や他府県の動向について情報を収集してまいります。
 また、産業廃棄物処理業者等に対する許可の取消し等に係る行政処分要領を適用するとともに、特に悪質な事案については氏名も公表してまいりたいと考えてございます。
 なお、指名停止につきましては、所管の土木部と協議したところ、和歌山県建設工事等契約に係る指名停止等の措置要綱では、業務に関し不正または不誠実な行為を行った場合は指名停止となりますが、適用されるのは代表役員等が逮捕または起訴されたときとなってございます。
 続きまして、第一種中高層住居専用地域と産廃処理業についてでございます。
 六月議会でもお答えいたしましたとおり、廃棄物処理法では産業廃棄物処分業の立地場所に関する規制はございませんが、廃棄物処理法の理念である生活環境の保全と公衆衛生の向上という目的に照らし、良好な住環境が維持されるべきとされる第一種中高層住居専用地域での産業廃棄物処理業の立地につきましては好ましいものではないと考えてございますので、新宮市長からのご意見を尊重し対処してまいります。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 不法投棄を許さないルールと体制の確立をのうち、熊野川沿いの不法投棄の実態と対策、河川管理について順次お答えいたします。
 河川法においては、第六条第一項第一号により、いわゆる一号地の河川区域として「流水が継続して存する土地及び地形、草木の生茂の状況その他その状況が河川の流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地」を規定しております。
 議員ご指摘の新宮市浅里のプラント敷地内での産廃の違法処理と砂利採取につきましては、河川法に照らして河川区域外であり、河川法に基づき撤去を求めることはできないものと考えております。また、砂利採取につきましては、砂利採取法に抵触するおそれがありましたので指導を行い、現状復旧済みとなってございます。
 なお、議員ご指摘の春日砂利から寄附された建設省名義の土地は、産廃が投棄された場所とは異なると認識しております。
 次に、白見の滝付近及び口高田トンネル付近につきましても、河川法に抵触などしているものと考えられましたので、関係機関とも協力して撤去するよう指導したところでありますが、まだ履行されていないため、今後指導を強化してまいります。
 また、議員ご指摘の熊野川流域の河川区域の拡大や官民境界を明確に決定するためには、下流から地籍調査を行わなければならない等、早期に実施するのは困難であると考えております。
 次に、熊野川河川整備計画については、現在建設省で策定を進めております新宮川水系の河川整備基本方針を受けて、建設省、三重県、奈良県と協力して策定を進めてまいりたいと考えております。
 次に、松山地区の開発計画等の有無と用地買収についてのご質問にお答えいたします。
 松山地区の開発計画等の有無については、六月議会において答弁したとおり、当該地周辺の新たな土地利用計画はありません。平成九年度から平成十年度にかけて、建設発生土受け入れ候補地として調査検討に入った経緯がございました。この点について、当該地区は公図混乱地域であり、公図訂正に相当の日数を要するため、残土処理場の建設を進める状況でないと判断いたしました。このことについて、地元関係者に説明することなく現在に至っていますので、建設部から地元に説明するようにいたします。
 次に、用地買収についてお答えいたします。
 当該用地は、道路整備を促進するため平成十年三月に取得しております。進入路につきましては、隣接する市道等を利用する方法も考えられることから、継続して協議することで当該地権者の了解を得、本線事業用地を取得したところでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 和歌山市職員の不正流用事件についてでございます。
 この件につきましては、平成十年度から十一年度へ繰り越された地区道路改良工事におきまして、当時の改善課長補佐が物件移転補償金の一部を他の事業に絡んだ建物補強工事に流用したものでございます。
 県といたしましては、今までの同和行政の成果を失墜させるものと厳しく受けとめ、事件発生後、市から状況報告を求め、その対応等について迅速かつ適正な処理を強く指導してまいりました。本事業は、国費及び県費補助事業であり、採択に当たり、同和対策として適切と判断し事業実施をしたところでございます。今回の事件を教訓に、より一層厳正な執行を図っていくとともに、事件の本質を見きわめていく中で、市に対して不祥事の再発防止に向けた取り組みを強く指導してまいります。
 なお、今後の取り扱いにつきましては、国と協議をしながら厳しく対応してまいりたいと考えてございます。
 次に小規模作業所への補助金につきましては、年々その増額を図ってきたところであり、全国の都道府県の中では平均的な水準にあると考えてございます。補助金の増額につきましては、厳しい財政状況の中、大変難しいものと考えてございます。
 次に小規模作業所の法人化についてでございますが、小規模通所授産施設を経営する社会福祉法人につきましては、関係する政省令の改正作業が進められている状況でございます。市町村に対しましては、国から得られた情報を提供しながら小規模作業所の法人化について調査しているところでございます。県といたしましては、小規模作業所の法人化に対して、市町村と連携を図りながら積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 次に障害児を一時預かる、いわゆるレスパイト事業につきましては、今後、授産施設等においてレスパイト的な利用ができるよう国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 なお、障害児、知的障害者の短期入所事業が障害児者の入所施設で実施されており、宿泊を伴わない日中預かりによるレスパイト的利用が近く認められる予定でございます。
 最後に、救急医療と地域医療についてでございます。
 救急医療体制の整備充実についてでございますが、新宮広域における保健医療計画では、圏域内に休日夜間急患センターを整備するよう検討することとしており、初期救急医療につきましては、基本的には市町村が整備するものと考えてございます。県といたしましては、今後とも休日夜間の診療体制が未整備な地域の整備を促進するとともに、診療時間の拡大などの内容充実に努めるよう関係市町村等を指導してまいりたいと考えてございます。
 次に新宮市立市民病院に対しましては、災害拠点病院の施設整備やがん診療施設整備等の補助制度で財政支援を行っているところでございます。また、二十四時間体制の県立救急医療センターにつきましては、現時点では困難であるものと考えてございます。特に、新宮保健医療圏につきましては、高次救急医療体制の整備や公立病院の診療機能の充実について、振興局を中心に管内市町村長等の関係者により、圏域内の医療に関する課題を総合的に検討しようとしているところでございます。こうした検討を支援するため、平成十二年度地域医療支援事業によりまして、救急医療体制等の整備を一層推進してまいりたいと考えてございます。
 次に古座川病院の小児科医確保についてでございますが、本県における小児科医師数は平成十年に実施した調査によりますと、人口十万人当たりで全国平均を上回っている状況にあります。しかし、新宮保健医療圏では地域的な偏在などの課題がある状況から、県といたしましては、圏域内での検討を受け、関係機関に対して小児科医師の確保や救急医療の対応などを要請してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 高田蜂伏林道に関するご質問にお答えいたします。
 当林道につきましては、九月十二日に、和歌山県公共事業再評価委員会におきまして事業の再評価が審議されてございます。委員会では、議員お話しのとおり、安全対策や自然環境への配慮、また新たな工法の検討等の意見が出されましたが、地元の皆さんが心配されている工事の中断といったようなことはなく、継続実施の評価を得たと聞いてございます。
 県といたしましては、こうした委員会の意見を十分尊重し、事業主体である新宮市と連携を図りながら、のり面崩壊地へののり枠工や緑化工等、技術的な指導を引き続き行うこととしてございます。さらに、期間内に完成できるようコストを縮減できる工法やのり面崩壊が再発しない線形の検討など技術指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 校区に同和地区を含む学校の状況調査についてお答えします。
 本県における同和教育は、これまで子供と地域の実態から学ぶことを基本姿勢として取り組むとともに、多くの人々の努力によって解決に向けて前進してまいりました。しかしながら、高校や大学等への進学率の格差を初め、不登校や中途退学率の高さなど、なお取り組まなければならない課題が残されているのが現実でございます。教育行政にあっては、実態をより正確に把握するとともに、教育の機会均等の確保に努め、学校や地域に対し同和教育推進のための施策を講じることが責務であると考えております。
 本調査につきましては、同和問題を解決するため、なお必要とされる基本的な調査として位置づけているところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 産業廃棄物の不法投棄などの不法事犯への県警察の取り組みについてお答えをいたします。
 県警察といたしましては、県民の健康の保護及び生活環境の保全を確保する立場から、関係行政機関との連携を図りながら、産業廃棄物不法投棄事犯等の環境犯罪の取り締まりを行っておりますが、とりわけ県民の健康を直接脅かす有害物質に係る事犯、地域の生活環境を著しく破壊する事犯、暴力団等が介在する事犯、行政指導、警告を無視して行われる事犯等、反社会性の強い重大な事犯に重点を置いた取り締まりを実施しているところでございます。また、環境犯罪は事件検挙が即問題解決につながらないという特質があることから、場合によっては捜査と同時進行の形をとりながら行政当局と連携した行政指導、警告等による早期原状回復のための対策がとられる必要がございます。
 この種、事犯の捜査につきましては、端緒となる情報の収集が極めて重要であることから、警察本部で開設しているホームページに「環境犯罪シャットアウト」と題した掲示板を設け、環境犯罪の情報提供を広く県民に呼びかけているほか、県下で五十九名のボランティアの方々に紀の国環境モニターを委嘱するなど、県民からの情報提供窓口の整備を図ったところでございます。
 住民からの通報、相談等により得られた情報につきましては、事件化に向けた捜査情報としての活用は当然のことながら、これに基づき関係機関との連携を図りながら不法投棄事犯の早期実態把握を行い、事犯の未然防止、拡大防止に努めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 どうもご答弁ありがとうございました。時間がありませんので、簡単に言います。
 最初の環境問題ですが、知事の、住民の意見を真摯に受けとめるとか地元の話し合いという姿勢は高く評価するものです。こうした知事の姿勢を受けて、環境や土木など関係部局が住民の意見を聞き、疑問にこたえ、一緒に考えていく、こうしたことをぜひ実行していただきたいと、この場をかりて強く要請するものであります。
 また同和問題について、若干不満はあります。大分見解の違いもありますが、今回特に私が注目したのは、知事の答弁の同和事業を終結していく中で、今までは可能な限り一般事業に移行していくんだと、この「可能な限り」というのが常について回りました。しかし、今回の知事の答弁からはその文言が消えました。このことについては、非常に高く評価していきたいし、前向きに私自身はとらえていきたいと思っております。ぜひ、私の気持ちと同じように前向きにとらえていただきますよう、心から要望するわけです。
 また、有識者を加えた検討会の設置については必要がないということですが、個々の事業を終結させるには、庁外から率直な検討を受ける必要があると思います。これまでも同和事業を進めてきた当事者だけで事業を具体化することは、いろいろな困難があると思います。大阪は、この八月に東大阪では研究会が同和事業の総括ということで文書も出しておりますので、またぜひこれもお読みいただいてご検討を願いたいと思います。
 土木部長に、お尋ねというか注文したいんですが。
 春日砂利の建設省の土地の名義について、ご答弁では不法投棄については異なるとおっしゃいました。私は、不法投棄だけではなく砂利採取についてもお尋ねをしております。実際、違法な砂利採取が行われ、それを見つけ、県が指導しました。そのことによって、ダンプ約百台、この砂利を三重県の阿田和から運んで来て原状を回復させるという行為になりました。非常に残念な行為でありました。そして、そのために一体どうなっているのかということで調査をお願いいたしました。たった一点の測量点だけを見て、これはどうだこうだと今言っておりますが、広い土地をたった一カ所だけ測量して、これは間違いないと断定できる、そんなものではないと思います。私は、これについて納得できる資料も含めて説明してくださいと、何度もお願いしているのですが、なかなか納得できるような資料提供もしていただけませんので、ぜひこれについては部長の責任できっちりと調査をしてください。このことを要望しておきます。
 そして、松山の土地利用計画については、ありがとうございました。調べていただきまして、一定の計画がないということがわかったんですが、実際、約四百万円も測量費を使って測量したのは事実であります。その結果について住民に何も知らせてなかったために、いろんな誤解や迷惑をかけたことも事実であります。こういうことについては素直に謝るべきだと思います。その他、いろいろ説明のつかないこともあったということは指摘しておきます。
 そして、福祉保健部長に要望というか、確認という形になるかわかりませんけれども、ある程度わかりました。今まで、何か難しいことをずらっと並べられて煙に巻かれていたかなという気持ちがあったんですが、わかりました。
 聞いてみますと、非常に残念ですね。要約すれば、休日診療所は市町村でやれ、新宮市民病院の財政支援はこれまでと同じ、県立救急医療センターはできないとはっきり言われたわけで、身もふたもないと思います。やはり、財政事情や人口が少ない等、いろんな条件もあると思います。はっきり言いまして、「北高南低」という言葉は余り好きではありませんけれども、医療においては北高南低であると言わざるを得ないというのが実感であります。知事においては、こんな姿勢ではないと思います。十分に検討していただいて、紀南の救急医療、医療問題について、ぜひ温かい行政の手を差し伸べていただきたいことを要望して、私の質問を終わります。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十三番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 木村知事にとっては初議会でありますが、私がそのトリの役を仰せつかりまして、七項目について質問いたします。
 まずは、今まで十五名の議員の質問の当初に、木村知事の当選をお祝い申し上げるあいさつがございましたが、私もご当選をお祝い申し上げます。そして、あなたが和歌山県知事選に立候補するという決意をされて、ボランティアの一人の男性を連れて、よそ者扱いされる和歌山県知事に立候補するという、その決意たるやに大変敬意を表し、結果を見て喜ぶと同時に、あなたに期待するもの大であります。初議会でありまして、少し緊張する場面も見受けられますけれども、これが序の口というものであろうと思いますので、今後和歌山県知事に志を決めたその決意を、さらに大きく県民のためにご活躍されることを祈念申し上げます。
 湯川秀樹博士の顕彰についてであります。
 日本人初のノーベル物理学賞を受賞された湯川秀樹博士の業績をたどる記録映画制作が、費用不足のため難航しているということを新聞紙上で知りました。湯川博士がノーベル物理学賞を受賞されたのは一九四九年であり、敗戦に打ちひしがれた日本人に誇りと勇気を与えてくれたものであります。日本人初の受賞ということで小学生や中学生に夢と希望を与え、将来の夢は湯川秀樹博士のようになるのだと、朝野を挙げてこの偉業をたたえたものでありました。ノーベル賞受賞五十周年を記念して、博士の教え子たちが中心になって記録映画制作の話が起こり、年内完成を目指して制作費約四千万円を募っているが、現時点ではその半分も集まっていないということであります。映画の題名は「映画評伝 湯川秀樹─自伝「旅人」より─」となっております。その「旅人」という湯川博士の書かれた自伝は、十月九日の読売新聞の記事でございますが、「二十一世紀に伝えたいあの一冊」という日本国内の名著の中に「旅人」(湯川秀樹)が記載されてございますけれども、それほど有名な本であるようであります。私は新聞で知っただけでありますけれども、この「旅人」という本は大変貴重な本であろうと思います。
 私が何ゆえにこの件を取り上げたかと申しますと、私が中学生のころでございますが、博士のノーベル賞受賞を教えたくれた社会科の先生から、博士の奥様は和歌山県の方だと教えられていたからであります。奥様の実家は日高町比井にあり、菩提寺も旧家も現存してございます。今、親類の方が守っておられますが、博士ご夫妻が若いときに時々二人で墓参に来られたそうであります。湯川博士夫人のスミさんは、今、大阪にある湯川胃腸病院という医家の名門湯川家の次女として明治四十三年にお生まれになり、やはり和歌山県出身の小川秀樹氏──博士の旧姓です──と結婚され、湯川姓を名乗られたそうです。博士は、受賞後も研究や講演で世界各国を回る中で、ラッセル・アインシュタイン宣言──これは反核運動の宣言でございますが、この宣言に署名され、核兵器反対、世界連邦建設運動に死の直前まで力を注がれました。博士の死後、スミ未亡人が世界連邦建設日本委員会総裁を引き継がれたのであります。そのころ私も少しその運動にかかわったことから、さきに述べた湯川秀樹博士の記録映画制作のことを知り、ここに取り上げた次第であります。
 私は、かつてこの壇上から、田辺市のナショナルトラスト運動の応援の支援を訴えました。また、ミャンマーのアウン・サン・スー・チーさんの軟禁解除の意見書提出に同意を求め、東京にその書類を運んだこともございます。湯川博士の件につきましても、五十年余りの歳月を経た今日、このような出来事も忘却のかなたへと押し流されがちでありますが、今の社会に先人の偉業をたたえ、後世に伝えるという日本古来の徳育の実践・充実が廃れつつあることを憂えるものであります。
 知事は、このたびの知事選挙に際し、和歌山県に本籍を移されたと聞き及んでおります。また、最高学府は京都大学卒業と伺っております。しからば、湯川秀樹博士は知事の大先輩であります。湯川博士の業績の一端を申し述べましたが、公室長に答弁を求めるべきでありましょうけれども、後輩である知事のご所見をお伺いするものであります。
 次に、このことは重複するかと思いますが、他府県との連携について、府県間道路の整備促進をということで質問します。
 地方分権法が制定されて、市町村合併や広域圏問題に関心が高まってございます。かつて、小野県政の時代には阪奈和合併問題がありました。大橋県政のころには府県間道路促進への大きな問題もありました。特に大橋知事は、昭和四十六年の国民体育大会の和歌山での開催に向けて、県内はもちろんのこと、府県間道路整備に積極的に取り組まれました。当時、建設省から和歌山県土木部長として竹元千多留氏が赴任されております。なかなかのやり手でございましたが、後に和歌山県から大阪府の土木部長に栄転されました。和歌山県に向けていろいろの促進計画を立てて努力をしてくださいましたが一向に進展せず、和歌山県側が切歯扼腕したものであります。当時の大阪府政は共産党出身の黒田知事でありました。これで、近畿自動車道南伸は十年おくれたと言われております。計画どおり進行していれば田辺市まで開通していたのにと、当時を知る人は残念がることしきりであります。
 知事は今議会冒頭の就任あいさつで、開かれた和歌山県として、「より一層、他府県等との連携が重要になってまいります。とりわけ大阪府との関係は重要であると思っておりますけれども、私は大阪府政の一翼を担った経験を生かし、その連携の強化に力を尽くし、県益のため、県民のため全力で取り組んでまいりたいと考えております」、こう話されました。私は、この点について心から喝采を送るものであります。和歌山県と大阪府を結ぶ路線は、国道二十六号線、国道四百八十号線、府県道泉佐野岩出線、泉佐野打田線がありますが、私がこれから申し上げる路線は、和歌山県がお題目のように言っている大阪湾岸道路南延伸部の整備促進であります。
 和歌山県が建設省や国土庁へお百度参りをしても無理であります。本家本元の大阪府政が重点項目に組み入れ、政府に強く要請してもらう以外に見込みはありません。年一回副知事レベルで協議会が開かれるようでありますが、今の時代にそんな悠長なことでは成るものも成らないでありましょう。電話もあればファクシミリもあります。形式張ったことをせずに、あなたの古巣の府庁へ行くのに一時間もかかりません。大阪府知事とあなたとの仲は兄弟の間柄と県民は見ております。この湾岸ルートの早期着工の話し合いを進められるように提言するものであります。
 私は一昨日、九日の体育の日でありますが、龍神村で西暦二〇〇〇年を祝う交流の集いというのがございまして、そこに案内をいただいて行ってまいりました。それは、もちろん記念式典もございましたけれども、龍神村と泉南市が姉妹提携をした龍神村でのお披露目の会でもありました。そこに、泉南市長の向井通彦さん、それから泉南市議会議長の嶋本五男さん──この方は古座町出身の方でございます──ほかに大勢の皆様がお越しでございましたが、市長さん、議長さんとお話をする機会を得ましたので、今申し上げた道路整備についての協力を要請いたしました。泉南市は今月十五日ごろから市会の選挙があるそうでございますけれども、それが済めば一度泉南市に来い、そしてその話をして大阪府庁に一緒に行こうじゃないかというお話もいただきました。そういうことで、あの大阪湾岸を通るりんくうジャンクション、ここから和歌山市に向けて湾岸ハイウエーとして連結された暁には、阪神との往来が便利になる以上に和歌山県への観光客も大きく増員されると思うのであります。知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、財政再建を目的としたプロジェクトの見直しであります。
 政府文部省は五月二十六日、全国立大学学長を東京に招集し、国立大学九十九校のすべてと大学共同利用機関を国から独立した行政法人とする方針を表明されました。中曽根文部大臣でございます。さらに、全国にある公立大学についても国立大学に準じた対応を検討することを明らかにしました。この計画が達成されれば、競争と淘汰の時代に入るのは必至の状況になると言われております。
 県は、財政運営プログラムIIの策定を提案されましたが、県から送付いただいた書類を精査いたしますと、ことし平成十二年度の不足は百二十四億円、十三年度には百七十億円、この二カ年の不足分は財政調整基金で補充できるとしていますが、財政調整基金の残高は八十億円と底をついている現状であります。平成十四年度には百八十億円、十五年度には百六十億円の不足と見込んでおります。大幅な財源不足で火の車財政であります。総務部を中心に財源確保の目標額を定め、全庁挙げて取り組むとしています。その中には知事部局で百人、教育委員会で五百人削減、職員の給与見直し等々挙げておりますが、この財政窮乏のしわ寄せを県職員に課するだけで達成できるものではないと思います。県民みんなでこの苦境を乗り切るために、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで、今の県財政の実情を県民にわかりやすく訴えるべきではないかと思います。しかし、その前にしなければならないことがあります。今まで取り組んできたこと、これから取り組もうとすること、これらの大型プロジェクトを検討し直して取捨選択することであります。
 前段申し上げました国立大学の法人化と公立大学の見直しについて、和歌山県が白浜に計画している県立航空工科大学設立を見直し、県立医科大学と県立看護短期大学を行政法人化に向けて取り組むべきではないでしょうか。県立医科大学は、和歌山県の大きな荷物として言われて久しく、年間百億円余りの県費で運営されている現状をこのまま見過ごすことは県財政の運用に大きな負担を続けることになるからであります。
 今、大学経営は、日本の財政や経済運営よりも難しいと言われております。それは、少子化による学生の不足であります。今、県内にある私立青踏女子短期大学は三年後には閉校して高等学校に併合されるようでありますし、同じように信愛女子短大も学部廃止を検討中との声も聞いております。発想の転換と大なたを振るうことで苦境が切り開かれると信ずるものであります。
 以上は私が六月に原稿をつくったものでありますが、その三カ月前の二月議会に白浜の工科大学の承認を議会ではいたしております。私もその賛成議員の一人でありますが、五月二十六日の中曽根文部大臣の政府の答申ということの報道を受けてこの原稿を作成したものであり、この六月議会に前知事に質問するべく準備をしたのでありますけれども、衆議院選挙で七月となり、もろもろの事情があって九月議会の質問をと待っておりましたところ、西口知事の勇退、木村知事の就任ということで、そして今議会開会早々に木村知事の決断で凍結が伝えられました。私は、この原稿を書いた立場から、あなたのとった凍結に対しては拍手喝采を送るものであります。あなたの知事選挙中に宣伝車のマイクから「木村良樹はしがらみに縛られない純真無垢な男であります。二十一世紀の和歌山県の先頭に立つランナーです」──この言葉を思い出しました。あなたの工科大学凍結の報道の紙面には「苦汁の決断」と書いた新聞もありましたけれども、私はしがらみに縛られない英断と満腔の敬意を表するものであります。知事のご所見をお伺いするものであります。
 続いて、これは私と原議員とのおはこのようなものでありますが、梅研究機関の整備についてお伺いいたします。
 西口前知事は、この梅問題を県政の最重要課題の一つとして位置づけ、懸命の努力をされてきたことは、既にご承知のとおりであります。専門の科学者にお願いし、和歌山県うめ対策研究会を立ち上げ、生育不良の原因究明と対策の確立に積極的に取り組まれたのを初め、厳しい財政事情の中で知恵を絞り、関連予算の集中投資を行う等々、その努力の数々は枚挙にいとまがございません。任期中の完全解決に向けて全精力を傾けられたにもかかわらず、体調不良による途中降板はさぞかし無念であったろうと心中を拝察するところであります。
 この質問原稿を書いている十月四日、南部郷の梅生育不良特別対策部会は、今年度の生育不良発生本数、これは南部、南部川だけでございますが、一万二百六十七本と発表しました。調査を始めた平成六年度と比較すると今年度は五倍となるそうでありますが、他の田辺地方、印南地方の市町村を合計するとさらに被害の拡大傾向が続いており、大変心配なことであります。木村知事は就任されるや、この梅問題を県政の三つの課題の一つとして取り上げ、若さを前面に押し出され、早速国に対して幹部の現地視察を要請されました。その結果、この十四日に農林水産省の担当局長が来県の運びとなるとともに、みずからも知事として初めて公式に現地視察されることになりました。この迅速な行動に敬意を表するとともに、改めてこの問題の早期解決に取り組まれることを期待するものであります。
 そこで本題に入りたいと思いますが、梅の専門研究機関についてであります。
 西口前知事は、この梅問題の解決に向けて、地元からの強い要望もあり、中長期的な視点から独自で梅の専門研究機関の整備に取り組む強い姿勢を打ち出され、平成十二年度予算において新規にうめ研究機関設置等基本構想事業として計画策定費を盛り込み、現在、農林水産部において検討が進められているものと思います。一方県財政は、今議会において多くの同僚議員が取り上げましたように、これまで経験したことのない厳しい状況に置かれております。県としても、行財政改革に懸命に取り組まれておりますが、改善の兆しが見えるまでには至っていないのが現状であろうと思います。こうした中で、大規模プロジェクトの見直しを含め、知事は聖域を設けないと、不退転の決意で改革に臨まれようとしております。まことに、その言やよしであります。変革の時代、二十一世紀を控え、じっくり構想を練るのもまた大切であるとは思います。待ったなしの厳しい財政状況の中で、梅研究機関について今後どのように取り組まれるのか、知事の見解を求めます。
 次に、環境税制定であります。これは目的税であります。
 地方分権一括法が制定され、地方の実情に即した政策をつくり、各自治体が独自に課税できるように創設されたのが法定外目的税であります。従来から、自治体が独自に課税できる制度として法定外普通税がありますが、この税収は一般財源に繰り入れられるが、法定外目的税は使い道が特定の目的に限定され、住民の理解が得られやすい利点があり、今までは国の許可制であったのが協議制となり、自治体の裁量が大きくなりました。
 この税制が創設されてから、三重県では環境先進県づくりを掲げ、産業廃棄物処理施設設置促進条例の試案を策定し、ことし九月制定の運びと伺っております。ほかに環境、公害等に関する税制を検討している自治体は、既に東京都、大阪府は独自に導入を決定し、神奈川県、三重県は具体的に検討しており、二十数府県と四市区町村で研究会や調査会がスタートしているようであります。ちなみに一九九八年、全国自治体の環境保全費として四兆三千億円を負担しているのであります。この厳しい財政状況の中で、財源確保は切実な課題であります。
 知事は、三大懸案問題として、梅の生育不良問題、雑賀崎の埋め立て問題、橋本市の産業廃棄物問題に全力で解決に当たると表明されました。大阪府の導入のほとんどを副知事として関与されたと思うのでありますが、この点はいかがでございますか、お伺いいたします。
 橋本市の産廃問題もようやく話し合いが進み、付近住民の検診や焼却処理施設建設等解決に向かいつつありますけれども、完全解決まではまだまだ先のことであります。平成八年九月から大阪湾フェニックス基地に搬出しておりますが、最近は閉鎖もうわさされており、管理処分場を持たない和歌山県がどうなるのか危惧するものであります。人間社会が発展すればするほど各種の廃棄物が出てまいります。これは当然のことであります。前知事の西口勇氏が県外の産廃物は持ち込まさず、また県内は持ち出さずとの県の方針を定めましたが、その方針を継承されますか、お伺いいたします。
 継承されるとすれば、前段で述べました県内への産廃処理場建設を急がねばなりません。その資金を県民で負担しようという環境税の制定を提言するものであります。だれも税金の支払いを好む者はいないでしょう。しかし、自分たちの出したものは自分たちで処理しようということは、人間社会での基本であると思います。知事の見解を求めるものであります。
 次に、シドニーオリンピックが終わってということで質問いたします。
 見るものに感動を、若者に夢を与えてくれた第二十七回シドニーオリンピックも盛会の中に終了し、日本の女子選手の活躍ぶりがテレビで放映されて一喜一憂したものであります。またパラリンピックが開催されますが、今回のオリンピックのクリーンヒットは、何と申しましても朝鮮半島を白地に青で染め抜いた旗を持った南北選手が手を取り合って開会式で入場行進したことでありました。イデオロギーに関係なくスポーツが存在することを見事に表現する開会式でありました。
 和歌山県選手が日本代表としてオリンピックに参加したのは、一九三二年、第十回のロサンゼルス大会に西田修平、前畑秀子選手ほか四名と記録されております。西田修平選手は優勝を分け合った友情のメダル、前畑秀子選手は、「前畑頑張れ、前畑頑張れ」の二百メートルの平泳ぎで優勝されましたが、父の指導で紀の川で練習をしたという苦労話が今も残っております。一九八三年のロサンゼルス大会参加以来十四回オリンピック大会が開催されておりますけれども、和歌山県から約八十名の選手が参加いたしております。金八個、銀六個、銅七個、合計二十一個のメダルを獲得しております。先人たちの活躍に比べ、最近の和歌山県のスポーツ界の実態を見るとき、いまひとつの思いをするのは私一人ではないと思います。選手層が薄いのか、指導者が少ないのか、競技施設が少ないのか、実業団チームがないからか、いろいろと考えるのでありますが、私にはこれという解答が出てまいりません。
 ミレニアム二〇〇〇年の記念すべきシドニーオリンピック大会の感想と二十一世紀に向かっての和歌山県スポーツ振興について教育長のご所見をお伺いいたします。
 最後に、二十一世紀を見据えた森林、林業、木材産業の活性化についてお伺いいたします。
 私は、以前からも森林、林業に関心を寄せてまいりましたが、図らずも本年六月から二年間、森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟全国連絡会議の会長を務めさせていただくことになり、森林、林業問題が今日大変重要であるとの思いをさらに強く抱いているところであります。森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟、通称林活議連では、本年六月に全国集会を開催いたしまして、「二十一世紀の森林・林業・林産業基本政策の確立に関する要望」を採択して、八月にはこれを持って林野庁長官に要望してまいったところであります。こうしたこともあってか、私は去る九月二十五日、林業経営者の団体である紀州林業懇話会との意見交換の機会に恵まれ、じかに林業経営者の話を聞き、また意見を交わす中で、林業の置かれている深刻な現状を改めて認識したところであります。林業がいかに厳しいかということを当日の資料から紹介してみたいと思います。
 木材価格の推移でありますが、県森林組合連合会の御坊共販所に例をとってみますと、杉は平成三年をピークに八年連続下落、一立方メートル当たり三万七千六百三十八円から平成十一年には一万六千四百三十九円へと、四三%にまで低落いたしました。ヒノキの場合はさらに著しく、平成元年をピークに十年連続の下落、一立方メートル当たり八万六千四百十二円から平成十一年には三万二千三百十一円へと三七%にまで低落し、まさに木材価格は暴落した状態となっております。こうした木材価格の下落は、山元立木価格、すなわち山に生えている状態の木の価格に直接はね返り、林業経営を直撃しています。御坊共販所の市場価格から生産費を差し引き、平成元年と平成十一年の山元立木価格を比較すると、杉は平成元年当時の五分の一、ヒノキは四分の一しか値打ちがないような状況となっております。また杉で見ると、市場価格に占める生産費の割合は平成元年には四四%であったものが、平成十一年には八〇%を占めるに至っております。
 わかりやすく申し上げますならば、杉で見ると、山元立木価格が一平方メートル当たり三千円余りですから、五十年から六十年育てた一ヘクタールの杉山がおよそ百万円でしか売れないことになります。この価格は比較的道路に近い丸太生産の容易な山林について行われたものであり、切り出しても採算割れのケースが多くあるわけであります。林業経営面から見ると、これだけの利益では伐採跡地への植林と育林経費の捻出も困難であり、林業経営のための融資返済にも支障が出てきているのが実態であります。一方、価格の低下のみならず、輸入木材製品の増加もあり丸太需要が減少し、中でも国産材の自給率は二〇%にまで落ち込んでいる現状であります。御坊共販での取扱量も、平成元年の三万立方メートルから、平成十年には一万九千立方メートルへと減少してきております。
 以上のように、産業としての林業はまことに厳しい状況に立たされているわけであります。しかし一方では、今日まで林業が森林を守り育て、間接的には災害から県民の生命と財産を守る役割を果たし、本県の自然景観をも形成してきたと思うのであります。さらに、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムが行き詰まり、二十一世紀に向けて環境に与える負荷の少ない資源循環型社会への変革が叫ばれている現在、再生可能な森林資源の利用こそが今特に求められているのではないでしょうか。育成してきた豊かな森林から生み出される木材は、人間の健康と心に優しい素材であり、和歌山の特色を生かした地域振興を図る観点からも林業の活性化は意義ある課題と考えます。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 二十一世紀を見据えた中で、森林、林業、木材産業の活性化をどうしていくのか、その基本姿勢についてお伺いいたします。
 紀州材は、古くから関東方面へも出荷され、高い評価を得てきたところでありますが、それは紀州材のすぐれた品質があってのことと思います。輸入材との競争のみならず、国内林業においても競争が激化してくる中で、紀州材の品質のすぐれた点を明確にし、ユーザーにアピールして利用拡大を進めていくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。紀州材の利用拡大について農林水産部長の答弁を求めます。
 また、さきにも申し上げましたが、木材の山元立木価格が低落し、植林のめどが立たない現状にある中で、林業を活性化し、ひいては地域の活性化につなげるためには、経営が継続できるだけの利益確保がぜひ必要であります。そのためには、生産経費をどのようにして低く抑えるかが大きなポイントになるのではないかと考えます。生産経費の低減策をどうするのか、これも農林水産部長の答弁を求めるものであります。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 湯川秀樹博士の顕彰についてでございます。
 本県では、誇るべき業績を残された方が、学術、文化関係など幅広い分野で数多く輩出されております。ご質問の湯川秀樹博士でございますが、本県にゆかりのある方であるということをご存じない方も多いのではないかと思います。ちなみに、私自身も良樹という名前でございますが、これは秀樹ではちょっと恐れ多いので良樹──「秀」を「良」にしたということがありまして、やはりその当時の人たちにとっては──きょうもノーベル賞の発表がありましたけれども、大変な出来事であったと思っております。このような湯川秀樹博士に限らず、郷土にゆかりのある先人たちを広く県民の方々、特に青少年の方々を中心に知っていただくことは非常に重要なことであると思っております。
 先人の足跡については、これまでも「和歌山県史 人物」や「郷土史に輝く人びと」「和歌山の先人たち」等を発刊してまいりましたけれども、何か別の方法でもっと教育的な観点から、県内の青少年の人々が誇りを持てるような顕彰の仕方ということがあればよいなと思っておりますし、これから積極的に知恵を絞ってまいりたいと考えております。
 次に、府県間道路の整備促進をということで、大阪湾岸道路南延伸についてでございます。
 大阪府との連携を強化し、近畿の経済圏と和歌山を直結する上での重要課題として、大阪府知事とも──兄弟ではございませんけれども非常に仲よくしておりますので、連携して建設省等にも強く働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、大型プロジェクトの見直しについてお答えを申し上げます。
 二十一世紀に向けた新しい時代への転換点にある今日、山積する課題に対処するため、財政健全化への取り組みは喫緊の課題と考えております。この観点から、大規模プロジェクトにつきましても聖域を設けることなく徹底した見直しを図るため、財政健全化期間中において実施予定であるプロジェクトのすべてについて、規模や実施時期等について改めて見直しを検討するよう指示しているところでございます。
 次に梅研究機関の整備についてでございますが、この問題につきましては地元の方々から強い要望があることを十分承知いたしております。現在、厳しい財政状況の中ではございますけれども、産地に密着した梅の研究機関の整備に関する基本構想の策定を進めているところでございます。私もこの梅問題の早期解決を図る上で研究機関の整備は重要と考えておりますが、実現にはソフト、ハードの両面において課題もございますので、今後とも地元市町村や関係機関、専門家の方々などいろいろな方々の意見を伺いながら、梅産地にふさわしい専門研究機関の整備を推進してまいりたいと考えております。
 それから環境税の問題で、産業廃棄物についての方針でございますけれども、不適正な処理等を防止するため、県では現在、和歌山県産業廃棄物の越境移動に関する指導要綱を策定しておりまして、本要綱に基づき、今後とも排出業者及び処理業者の指導に努めてまいりたいと考えております。
 ご提言の環境税の制定については、地方公共団体が新たに税を創設するには検討していかなければならない課題がたくさんございます。また、何よりも県民の方のご理解を得ることが必要でございます。いずれにいたしましても、分権の時代には財源の充実確保を図ることが重要な課題でございますので、ご提言の環境税や他県において検討されている環境関係税なども参考にしながら、本県にふさわしい新しい税のあり方についてプロジェクトチームをつくり、幅広い観点から研究してまいりたいと考えております。
 次に、二十一世紀を見据えた森林、林業、木材産業の活性化についてでございます。
 地球環境問題がクローズアップされている中で、私は二十一世紀は森林の時代、森林を支える林業の役割が改めて見直されるべき時代になると考えております。議員お話しのとおり、林業、木材産業を取り巻く情勢は極めて厳しいものがございますけれども、県民全体の財産とも言える森林資源を有効活用した林業、木材産業の活性化は県政の重要課題の一つであると考えております。
 現在、林業基本法の改正など国の基本政策の見直しが進められておりまして、こうした動向なども視野に入れながら、和歌山県では二十一世紀は森林の時代という基本認識に立って事業の一層の重点化を図りつつ、生産コストを低減させる基盤整備や森林整備などを着実に推進してまいります。また、品質のすぐれた紀州材の利用拡大に向けてITを活用した新たな流通システムの構築など、全国をターゲットとする木材生産県としての体制整備を進め、二十一世紀の新たな木の国を創造してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 紀州材の品質のアピールによる利用拡大についてのご質問でございます。
 議員お話しのとおり、紀州材は、粘り強さ、色合いのよさなどについて古くから高く評価されてまいりました。林業センターでは、これら紀州材のよさについて試験を重ねてきた結果、本年、紀州材の強度性能は全国的に見て高い水準であることがわかってまいりました。県としては、現在木材関係団体の方々と連携をとりながら、紀州材の強度性能について数値化して製品に表示する手法の検討を進めているところでございます。この取り組みが実現いたしますと、市場関係者から住宅購入者に至るまでの広い範囲の消費者に対して紀州材のよさが強くアピールできるものと、大きな期待をしているところでございます。今後は、公共施設の木造化の推進や産地直送住宅の促進等による紀州材の需要拡大に加え、紀州材のすぐれた強度性能の表示による県外大消費地への販売戦略を展開し、利用拡大に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、木材の搬出などの生産経費をどのように低く抑えていくかということでございます。
 林内路網と玉切り、枝払いが同時にできる高性能な林業機械の組み合わせによる効率的な作業体系の確立が最も有効な方策であると考えてございます。
 県において試算した集材距離と丸太生産費の関係の一例を申し上げます。集材距離六百メートルと林内路網の整備により三百メートルとなった場合を比較すると、丸太生産費は二五%低くなるという結果が出てございます。また、同じ三百メートルで従来の作業と高性能林業機械による作業を比較いたしますと、生産性は一・七倍になるという結果が出てございます。県といたしましては、木材生産機能の高い森林に重点を置き、林道、作業道による体系的な林内路網の整備を進めるとともに、高性能林業機械の購入助成やオペレーターの育成を進め、路網の整備と機械の一体的な組み合わせによる生産体制の整備により一層努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 先ごろ終了しましたシドニーオリンピックは、全世界の人々に数々の夢と希望を残してくれた感動的な大会でありました。ただ近年、オリンピックに参加する国や地域が増加するとともに、アジア地域の出場枠の制限により日本選手の出場が難しくなってきております。
 そうした中で、今回、本県関係者としてレスリング、フェンシング、野球、アーチェリー、セーリング、陸上競技の六つの競技に、選手六名とコーチ二名の合わせて八名が参加することができました。各選手はそれぞれ健闘いたしましたが、残念ながらメダルの獲得までには至りませんでした。
 スポーツは、青少年の健全育成を図る上でも、生涯にわたって健康で活力ある生活を送る上でも、極めて意義深いものがございます。このため教育委員会では、生涯スポーツの振興と競技力の向上に積極的に取り組んでいるところでございます。競技力の向上を図るためには、企業スポーツに対する支援を行うとともに、ジュニア層の対策として、中高一貫指導システムの構築やハイスクール強化モデル校の指定、学校への専門的な指導者の派遣、運動部の学校間連携などを行っております。
 今後とも、関係競技団体と協力して、ジュニア層の選手に夢と希望を持たせ、将来オリンピックを目指すような選手を育成してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問をこれをもって終結いたします。
 お諮りいたします。議案第百六十二号から議案第百六十六号までについては、本日議決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより質疑に入ります。──質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。本案については、いずれも委員会付託等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第百六十二号和歌山県公安委員会の委員の任命につき同意を求めるについてを採決いたします。
 この採決は、無記名投票をもって行います。
 議場を閉鎖いたします。
  〔議場閉鎖〕
○議長(阪部菊雄君) ただいまの出席議員数は、議長を除き四十三人であります。
 お諮りいたします。立会人に、五番堀本隆男君、二十一番高瀬勝助君、三十番野見山海君、四十五番新田和弘君の四君を指名いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 なお、この際、白票を無効といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、白票は無効とすることに決定いたしました。
 投票用紙を配付いたします。
  〔投票用紙配付〕
○議長(阪部菊雄君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
  〔投票箱点検〕
○議長(阪部菊雄君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は無記名であります。投票用紙に、本県公安委員会の委員に島正博君を任命するにつき同意することに賛成の諸君は「賛成」と、反対の諸君は「反対」と記載の上、点呼に応じて順次投票願います。
 点呼いたします。
  〔氏名点呼・投票〕
○議長(阪部菊雄君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
  〔議場開鎖〕
○議長(阪部菊雄君) これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
  〔開票〕
○議長(阪部菊雄君) 投票の結果を報告いたします。
   投票総数     四十三票
     うち有効投票     三十八票
       無効投票       五票
     有効投票中          
       賛成       三十八票
       反対         なし
 以上のとおり、賛成多数であります。よって、議案第百六十二号はこれに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第百六十三号和歌山県教育委員会の委員の任命につき同意を求めるについてを採決いたします。
 この採決も、無記名投票をもって行います。
 議場を閉鎖いたします。
  〔議場閉鎖〕
○議長(阪部菊雄君) ただいまの出席議員数は、議長を除き四十三人であります。
 お諮りいたします。立会人に、五番堀本隆男君、二十一番高瀬勝助君、三十番野見山海君、四十五番新田和弘君の四君を指名いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 なお、この際、白票を無効といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、白票は無効とすることに決定いたしました。
 投票用紙を配付いたします。
  〔投票用紙配付〕
○議長(阪部菊雄君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
  〔投票箱点検〕
○議長(阪部菊雄君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は無記名であります。投票用紙に、本県教育委員会の委員に樫畑直尚君を任命するにつき同意することに賛成の諸君は「賛成」と、反対の諸君は「反対」と記載の上、点呼に応じて順次投票願います。
 点呼いたします。
  〔氏名点呼・投票〕
○議長(阪部菊雄君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
  〔議場開鎖〕
○議長(阪部菊雄君) これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
  〔開票〕
○議長(阪部菊雄君) 投票の結果を報告いたします。
   投票総数     四十三票
     うち有効投票     三十七票
       無効投票       六票
     有効投票中          
       賛成       三十七票
       反対         なし
 以上のとおり、賛成多数であります。よって、議案第百六十三号はこれに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第百六十四号和歌山県教育委員会の委員の任命につき同意を求めるについてを採決いたします。
 この採決も、無記名投票をもって行います。
 議場を閉鎖いたします。
  〔議場閉鎖〕
○議長(阪部菊雄君) ただいまの出席議員数は、議長を除き四十三人であります。
 お諮りいたします。立会人に、五番堀本隆男君、二十一番高瀬勝助君、三十番野見山海君、四十五番新田和弘君の四君を指名いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 なお、この際、白票を無効といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、白票は無効とすることに決定いたしました。
 投票用紙を配付いたします。
  〔投票用紙配付〕
○議長(阪部菊雄君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
  〔投票箱点検〕
○議長(阪部菊雄君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は無記名であります。投票用紙に、本県教育委員会の委員に赤松壽男君を任命するにつき同意することに賛成の諸君は「賛成」と、反対の諸君は「反対」と記載の上、点呼に応じて順次投票願います。
 点呼いたします。
  〔氏名点呼・投票〕
○議長(阪部菊雄君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
  〔議場開鎖〕
○議長(阪部菊雄君) これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
  〔開票〕
○議長(阪部菊雄君) 投票の結果を報告いたします。
   投票総数     四十三票
     うち有効投票     三十八票
       無効投票       五票
     有効投票中          
       賛成       三十八票
       反対         なし
 以上のとおり、賛成多数であります。よって、議案第百六十四号はこれに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第百六十五号和歌山県収用委員会の委員の任命につき同意を求めるについてを採決いたします。
 本県収用委員会の委員に勝本僖一君を任命するにつき同意することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(阪部菊雄君) 起立多数であります。よって、本案はこれに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第百六十六号和歌山県収用委員会の予備委員の任命につき同意を求めるについてを採決いたします。
 本県収用委員会の予備委員に月山純典君を任命するにつき同意することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(阪部菊雄君) 起立多数であります。よって、本案はこれに同意することに決定いたしました。
 次に、議題となっております全案件のうち、議案第百六十号平成十一年度和歌山県歳入歳出決算の認定について及び議案第百六十一号平成十一年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第四 請願付託の件】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。十月十二日、十三日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、十月十二日、十三日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、十月十六日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時二十二分散会

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