平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。
 きょうは、後ほど見えると聞いておりますけれども、議場にはボランティアの市民団体の方々、また最後に質問します白浜の工科大学の凍結に関することに対して、白浜町の議会や商工会、観光協会、さらには旅館組合、自治連絡協議会等の皆さん方がここにおいでと聞いております。断っておきますけれども、私が要請をしたものではございません。このことに対して大変注目をし、ぜひとも知事の誠心誠意ある回答を聞きに、ここに来たと思っております。どうか知事、誠意のある答弁をよろしくお願い申し上げます。
 通告に従って質問をしてまいります。
 まず初めに、木村新知事のご当選おめでとうございます。会派を代表して、心よりお祝いを申し上げます。
 さて、二十一世紀を目前に控えて、私たちの生活を取り巻く政治情勢は急激に変わりつつあります。私たちが頼みとしてきた国は、ご承知のとおり六百四十五兆円という途方もない借金を抱えて四苦八苦、地方自治体に財政的に支援できる余裕はもはやありません。地方自治体にしても借金返済に悲鳴を上げており、そのしわ寄せが住民とその子孫に重くのしかかっています。つまり、国から地方へお金を引っ張ってくる時代は終わろうとしています。これからは、積極的に和歌山を売り出し、自分で稼ぐ知恵を出して、自分たちの和歌山県自身を高く売ることが求められていると思います。独自の発想による企画と政治により、新しい和歌山県が一つの国として、木村首相として、世界と直接取引する時代に入ったのであると思います。私は、最近の石原東京都知事、北川三重県知事、浅野宮城県知事等の発言を聞く中で、時代の政策をつくる主役は国ではなく、知事の発言が国政をリードしていく時代になりつつあると強く感じています。これからは、いろんな知事が発言をし行動していく中で、国の政策をリードしていく時代に入ったのだと思います。その発言の内容も、今まで国が行ってきた開発中心政策ではなく、自然環境を壊さないで、自然環境を生かして地域が発展していく政策を考える時代になったのだと思います。従来のふるさと振興の発想は、企業誘致や公共事業の投資等による活性化を求めてきた傾向にありました。一企業に頼るふるさとづくりや一過性の投資によるふるさとづくりは、全国各地において限界が明らかになってきています。二十一世紀のふるさとづくりを考えていくためには、県民一人一人がふるさとづくりの主役になるということが大切であると思います。県民一人一人が誇りを持って、和歌山の地をどのように守り、どのように発展させていくかを考えなければならない時代であると、私は思います。
 以上のような視点から言えば、知事の、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直す方針は理解できるものであり、雑賀崎沖埋立計画凍結など市民の長い反対運動なども視野に入れた中で判断したことは、評価をするものであります。しかし、今回緊急に表明をされた工科大学の凍結については別であります。西口前知事が、この二月議会で決断をされ、県議会も同意をし、地元に反対意見はなくて、不十分であっても地元の経済、教育、雇用などを地元みんなで考え、積み上げ、協力をしてきた中で、七カ月もたたないうちに方針変更がされるという、余りにも急なトップダウン判断であります。県議会はもちろん、地元への対応などは時代に逆行していく手法であり、大きな問題点が残されるという観点から同意できるものではないと考えています。私自身もこのような視点で現場を歩き、地域住民の皆さんと一緒に考え、一緒に活動しながら、新しいふるさとづくりの実現に向けて取り組んでいるところであります。
 以上のような基本認識に立って、次の四点について県当局の見解を求めるものであります。
 まず初めに、二十一世紀の新しい和歌山の創造に向けて質問してまいります。
 最初に、十月六日に起きた鳥取西部地震において被災された皆様方に、心からお見舞い申し上げます。そして、一日も早い復旧を願う次第であります。今、世界で頻発している災害対策などで活動をしてきた特定非営利活動団体・NPOは、善意と勇気、決断があって世界各国で注目され、その活動は世界的な反響を呼んでいます。また、日本でも全国的に市民活動が注目されています。特に阪神・淡路大震災の復興支援でのボランティアの活動は注目されるべきものがあり、大きな評価を受けたことはご承知のとおりであります。迅速で心温かく、しかも多数のボランティアの皆さんの参加とは対照的に、機動的な動きができないと、マスコミなどから何をしているんだと批判されたのが役所・行政でした。大震災を通じて、ボランティアやNPOには行政にできないことができるということが証明されたのであります。市民が自発的に行政と対等の立場で活動することにより、行政だけではできない多様なきめの細かいサービスがあっちこっちで展開されていく、そこにNPO、ボランティアが参加していく大きな意義があると思います。
 私は、白浜町を中心に活動するNPO法人夢咲輝ネットワーク、中辺路町を中心とするNPO法人地球人学校のスタッフとして参加しています。地球人学校では、中辺路町及び中辺路町教育委員会の協力を得て、全く新しい教育システムの学校として、さらに県教育委員会、文部省の生涯学習分野のNPOの連携による町づくり支援事業のモデル事業として先取りをした行政とのパートナーシップのあり方を実践し、効果を上げているところであります。
 これまでの社会は行政主導であり、企業の論理が通ってきた社会でした。また、民間活力を生かそうという第三セクターがもてやはされ、和歌山県でも多くの団体が生まれました。しかし、多くの団体が赤字を抱え、その運営に支障を来しています。このほかにも、これまで行政と住民を結ぶ中間組織として各種公益団体や互助的組織などが存在してきました。しかし、これらは行政や住民組織の補完的な機能にとどまり、多くの制約のもとに置かれてきたと言えます。こうした中にあって、新しくさまざまな非営利活動を行う民間組織・NPOが注目をされ、その活動が期待されてきています。
 知事は、「県民の県政参加を進める県民自治の発想が今後一層必要である」と述べられましたが、市民活動団体やNPOと県行政との対等な立場に立った協力関係、共同、いわゆるパートナーシップ関係をつくることは、財政難に悩む和歌山県にとっても大きな可能性を持つものであり、二十一世紀の和歌山の行政が発展する重要なかぎになるものと思い、以下、質問をしてまいります。
 まず第一の質問は、市民と行政のパートナーシップについて、NPO室、NPO協議会設置についてであります。
 本年八月に発表された自治省の「市民活動団体(NPO)と行政のパートナーシップの在り方に関する研究報告」において、地方公共団体においてもNPOの活動と適切な連携を図っていくことの必要性が述べられており、自治体のNPO関連施策として九つの項目を取り上げています。残念ながら、これまでの和歌山県政には、NPOの法人認証事務以外には、NPOや市民活動を積極的に認め、ともに手を携えるパートナーシップを組む姿勢はほとんど見られませんでした。
 そこで、県にNPO室を設置し、県がNPOや市民活動団体とともに手を携える積極的な政策を打ち出すことを提言いたします。また、新しい地域づくりのため、先ほど述べた行政、企業、市民の各セクターとともに、最近地域づくりに積極的にかかわろうとしている大学、労働組合を加えた協議会を設置していくべきだと考えますが、知事の見解を求めるものであります。
 第二の質問は、委託事業についてであります。
 和歌山県は、平成十二年度から平成十五年度の四年間を特に財政健全化期間と位置づけ、財政の健全化に向け、従来の施策を抜本的に見直すなど、五つの方策を掲げています。和歌山県における各事業においても、住民とのパートナーシップ、共同が必要でないかと考えます。例えば、イベントや調査等の事業について、長年の経験とネットワークを有する団体、グループのノウハウを生かし、企画段階からの参画により啓発イベント、広報、調査等のほか、イベントのPR、運営も含めた共同作業が大きな成果を生むのではないかと考えます。
 平成十一年の委託事業費を調べてみますと、建設などのハード事業を除いた経費の中で、私の試算では、会社関係、法人関係、実行委員会等、個人、その他、合計七百六十八件、約五十四億四千五百三十八万円となっています。これらの中で、財政をふやさなくても一部でも現状の財政を改革するだけで、こうしたNPO、市民活動団体が参画するところに知恵を出し、委託をしていくだけで能率的な事業や今まで以上の成果が生まれ、少ない予算で元気和歌山が実現できると思います。そのためにも、単に下請的な役割ではなく、真のパートナーシップを築いていく必要があります。私が冒頭申しました新しい発想と知恵を出し、独自の企画と政治によって、少ない予算で何十倍もの効果を生むものと確信いたします。県においては、今後の厳しい財政状況と今後進んでくるであろう市民社会の到来を見据えた上でどのようなお考えをお持ちか、お伺いをしたいと思います。
 続いて三点目は、ボランティア国際年についてであります。
 一九九七年十一月二十日、第五十二回国際連合総会において、日本の提案に基づき百二十三カ国の賛同を得て、二〇〇一年をボランティア国際年とすることが満場一致で採択されました。和歌山県としては、ボランティア国際年を迎える二〇〇一年、このような状況の中、どのような施策を考えているのか、お伺いをしたいと思います。
 私自身は、地元のNPO法人のスタッフとしてかかわり、また県内NPOやボランティアグループのネットワークである市民活動ネットワーク和歌山のセミナーや交流会でNPO、市民活動の夢や悩みを聞かせていただいておりますが、その活動に新しい市民社会への期待を感じることができます。
 そこで、この記念すべき年に、県やNPO、市民活動団体が協力し、ボランティアのネットワークを広げ、NPOや市民活動内容を発表する和歌山NPO・ボランティアメッセの催しを提案するものであります。新知事の目玉政策の一つとして、積極的な答弁を求めたいと思います。
 最後に、九月二十二日に教育改革国民会議が首相に中間報告をした中で、将来の課題として、満十八歳の国民すべてに一年間程度の奉仕活動を義務づけることを検討する、小中学校では二週間、高等学校では一カ月間、共同生活などによる奉仕活動を行うよう求め、ボランティアの義務化がクローズアップされています。
 ボランティアというものは、私発でそれぞれが自発的にやっていくものであり、それを義務化していくことはボランティアの意義を根本から否定してしまうものであり、むしろ大事なのは自発的にボランティアをしていくための心を養う教育が重要であると、私は思います。このことは県民も注目をしていますので、ぜひとも県教育長の考えをお伺いいたします。
 続いて第二項目めの質問は、二十一世紀の地方分権の時代にふさわしい和歌山の選挙と地方自治のあり方についてであります。
 本年、有田市役所で、幹部職員の地位利用による役所ぐるみの選挙違反事件が起き、市長が辞職するという事態に陥りました。このことは、ただ単なる選挙違反事件として見るのではなく、私たち和歌山県全体が自分たちの行動を振り返り、反省することは反省をし、正していかなければならないと考え、あえて県議会で取り上げるものであります。
 私は、この事件から選挙と地方自治のあり方について私の主張を述べさせていただき、県警本部長、選挙管理委員会委員長、総務部長の見解を求めるものであります。
 二十一世紀は地方分権の時代と言われる中で、政治家も行政も県民も、この事件を教訓に新しい和歌山の民主的な選挙風土をつくるきっかけにしていかなければならないと思います。それは、地方分権法が成立し、二十一世紀は地方分権の時代と言いながら、現状は今までどおり国に陳情し、国からの補助金、そして公共事業に頼る、その見返りとして、国とのパイプ役として地域の皆様に選挙で支援をするために市町村長みずから後援会長に就任し、先頭に立って活動を展開する、この旧来の政治スタイル、体質が有田市における事件を起こした大きな要因の一つとなっているように考えます。そして、それが横並び現象を起こし、一市町村のみならず、郡内また全県下にその現象があらわれていると言っても過言ではありません。
 国と地方の関係は従属関係ではなく、本来対等であるべきであります。だからこそ、国と地方において、対立というより切磋琢磨する姿が現在生まれているわけであります。切磋琢磨の中から新しいものが生まれ、地方行政に活力が生まれる、従属関係から対等、それを超えて地方が国を動かしていく、それを今後の和歌山の姿にしていかなければなりません。現状のように、国の財政状況が地方の住民に対し末代まで借金を背負わされるばかりか、地方のかけがえのない財産、自然環境と文化が公共事業という名の国の補助金で破壊されることも少なくありません。それゆえに、これを機会に地方分権に逆行する体質を今こそ断ち切り、本当の意味での地方自治を確立することが問われる事件であったのでないかと考えます。
 本来、市町村長はその町の住民から民主的に選ばれたリーダーであり、国政や県知事選挙で特定の候補者の後援会長になって特定の候補者だけ応援することは、目に見えない住民への政治的圧力をかけていることになり、住民の思想信条の自由という権利を損なうおそれがないだろうか。本来、市町村長は、住民の利益を念頭に置いて行政を行い、政治的関心を強めることが、その求められる姿であります。それを逸脱することは、ひいては住民の期待と信頼を踏みにじることになりかねないと強く思うものであります。
 地方自治を充実した内容にするため、行政は山積した課題に果敢に挑戦しなければならない時代であります。それゆえに、行政の停滞、小休止は、いかなる事情があるにせよ許されるものではありません。議員の選挙応援に公務中の時間とエネルギーを注ぎ込む政治意識はどこかが間違っていると思うし、そんな物理的なこともさることながら、町民、市民、県民の代表たる人が特定の候補者を公の立場で支援するその姿勢に疑問を感じてなりません。国との対等の関係が二十一世紀の潮流であります。山積された地方行政の課題に取り組む姿勢こそが、住民とともに歩むことの出発点であります。有田市の事件を教訓として、新しい地方分権の時代にふさわしい新しい和歌山の開かれた行政、開かれた地方風土をつくり、地方自治の確立を図ることが我々の使命であると考えているところであります。この点について私の考えを述べましたが、関係する県警本部長、選挙管理委員会委員長、総務部長の答弁を求め、選挙と地方自治のあり方についての質問を終わります。
 続いて三番目の項目の質問は、和歌山の未来を担う人材を恒久的に輩出できるシステムづくりをしていくために、新エンゼルプランの重点として国を挙げて推進をしている小学校低学年の児童を対象とした放課後児童健全育成事業の学童保育について質問をしてまいります。
 知事は就任あいさつで、少子化対策として、「仕事との両立を含め、安心して子育てができるサポート体制の構築を目指してまいります」と訴えられました。
 私が今回学童保育問題を取り上げた理由は、子供は社会の宝、本当の学童保育をこの和歌山に実現してほしいと願うからであります。そして、学童保育が推進されることによって少子化に歯どめがかかり、男女雇用機会均等法の促進につながり、ちょうど介護保険を家族ではなく社会の責任と位置づけたように、社会が子供たちを親の宝から国全体、社会全体の宝として見るという視点で、和歌山流の学童保育を実現するため、県行政の重点課題として積極的に取り組まれたいと願い、以下の三点について質問をし、当局の見解を求めたいと思います。
 平成十年四月から、学童保育は児童福祉法に基づく新たな事業としてスタートしました。私の地元でも、高齢化対策のようにもっともっとあすを担う子供たちの政策を充実してほしい、働くことと子育ての両立をしたい、子供たちに安心して毎日生活できる学童保育がほしいと、私自身のところにも、このような声が数多く届けられております。しかし、和歌山県は設置が四市九町四十七カ所であり、県下の小学校数から見た設置率は一三・八%で、残念ながら全国の最下位であります。知事の出身である大阪府では七七・九%、隣の奈良県でも五一・一%となっています。このように、今日、共働き家庭や母子、父子家庭の増加、核家族化、地域環境の悪化などの中で学童保育はますます必要となっていると思いますが、和歌山は大幅におくれている現状であります。また、学童保育の普及率とともに問題になるのは、一つ一つの学童保育が働く親の願いにこたえられる学童保育になっているのか、入所している子供たちにとって安全で安心できる生活の場となっているのかという点であります。法制化以降の特徴として公営化が進んでいますが、指導員の身分、労働条件の問題や指導員の研修など多くの課題があると思います。
 以上のような現状認識を持つ中で、以下三点について当局の見解を求めます。
 一つ目は、学童保育について、県当局としての基本認識をお伺いしたいと思います。
 二つ目は、学童保育の設置率が低い理由及び県としての今後の進め方や市町村指導についてお伺いします。
 三つ目は、指導員の研修等、積極的に取り組まれたいと思いますが、今後の計画等お伺いします。
 最後に、和歌山工科大学の凍結について質問をしてまいります。
 木村知事就任後、政策の見直しの第一弾として打ち出されたのが和歌山工科大学の凍結であります。きょうも皆さん方来ておられますが、地元では事業の経過、規模等からいっても余りにも唐突なことであり、驚きと戸惑いを持っております。そして、十月四日には白浜町長、町議会議長の連名での事業の存続推進についての陳情が知事並びに県議会議長にされたところであります。
 私自身は、この大学について、昨年の六月議会で二つのことを当局にただしてまいりました。その一つは、もっと県民に開かれた形でこの構想を進めていくこと、政策形成過程においても、県民に情報公開を行い、県民に開かれた取り組み、そしてその取り組みが二十一世紀のモデルとなるように、当局は今までの取り組みに陳謝をし、今後県民に開かれた形で進めていくことを表明しました。二つ目は、大学の有効性、採算性、学生の見込みはあるのか等についてただしてまいりました。それは、工科大学の中身の問題、また財政や今後の運営に危惧を持っていたからであります。
 そうした議論を経て西口前知事は、ことしの二月議会で政治決断をし、工科大学のゴーサインを出しました。そして、地元白浜町を初め、西牟婁郡町村会並びに田辺周辺広域市町村圏組合等は、西口前知事の決断はもちろん、和歌山県長期総合計画に基づくものと、積極的に協力をしてまいりました。私自身も、今後中身の問題等を委員会でただしながら充実させていく立場で、今議会でも何点かについて再検討の提起をしていく予定でありました。
 今回、木村知事が打ち出した和歌山工科大学の凍結は、今まで準備協力をしてきた地元白浜町を初め関係市町村や関係者には大変な驚きと戸惑いであります。工科大学の関連で航空科学館をつくるために、地元議会では航空科学館整備基本計画策定委託料を計上して取り組まれているほか、職員を準備室に派遣するなどその実現に協力し、大きな期待を持っていた地元では、この凍結問題で今後の推移いかんによっては政治問題に発展するかもわからない現状を十分知事は理解をされ、地元の信頼を裏切らないよう、その対応を強く求めるものであります。
 本事業の存続推進を求める立場から、次の三点について質問をし、知事のご見解を求めたいと思います。
 第一点目は、今回の凍結決断の理由について、財政状況が厳しいとの知事発言でありましたが、このことは既に西口前知事にさまざまな視点から、また多くの議員から質問されてきたものであり、より具体的な理由を明らかにされたいこと。
 第二点目は、今まで準備協力をしてきた地元白浜町を初めとした関係市町村及び関係者に対しての対応、手だて、補償等はどうするのか。
 第三点目は、この工科大学の設置計画は地元に反対意見はなく、むしろ地元のみんなで議論をし、地元の冷え切った経済を立て直すものとして、また教育と地域振興になるよう歓迎し、協力をしてきたものであります。しかし、今回の計画凍結に至った決断は、議会や地元は寝耳に水の話であり、当事者の理解を得るという一番大事なことがされないままトップダウンで政策決定されたことが大きな問題であると思います。
 知事がよしとした政策でも、今は住民の参加、地方自治体の協力や地方議員の参画なくして事は進まないと考えますが、この問題についてどのように考えているのか、三点について知事の答弁を求め、私の第一回目の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 二十一世紀の新しい和歌山創造についてのご質問のうち、まず初めのNPO室、NPO協議会を設置してはどうかとのご質問にお答えいたします。
 阪神・淡路大震災以来、非営利活動を行うNPOは、行政と民間のすき間を埋める存在としても認知されるようになりました。今後行政がよりきめ細やかなサービスを県民の方に提供していくためにも、NPOと行政が対等の立場からパートナーシップを組むということが非常に重要と認識いたしております。県といたしましては、ご提案のNPO室のようなNPO業務を総合的に行う組織については必要と考えておりますので、その設置を含め、支援の方法や必要な対応策等を検討してまいりたいと考えております。
 また、NPO協議会についてでございますが、より新しい、よりよいパートナーシップを組むためには設置する必要があると考えております。そのために、NPOのみならず県民の方や有識者の方から忌憚のない意見をいただきながら、どういう協議会が和歌山県にふさわしいのか、早期に検討してまいりたいと考えております。
 次に、ボランティア国際年における和歌山NPO・ボランティアメッセについてでありますが、ボランティア国際年に当たります二〇〇一年は、県民にボランティア活動を啓発する絶好の機会であると考えております。県といたしましても、ボランティア国際年を機に、県民の方にさらにボランティア活動に興味を持っていただき、ボランティア活動の促進につながるような、ご提案の和歌山NPO・ボランティアメッセも含め、実施事業を検討してまいりたいと考えております。
 学童保育について、県当局としての基本認識の問題でございます。
 私は、安心して暮らせる社会の創造に向け、少子化対策として、子育てと仕事の両立を含め、安心して子育てができるサポート体制の構築を目指してまいります。
 お尋ねの放課後児童クラブいわゆる学童保育については、次代を担う児童の健やかな成長を支援するための環境づくりの一環として、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校低学年児童を対象に、放課後の生活と適切な遊びの場を与え、遊びを通して健全な心身の育成を図るという重要な役割を担っていると認識しております。
 次に、和歌山工科大学の整備についてでございますが、私は知事に就任し、本県の財政状況が思ったよりも厳しい状況にあるとともに、時代の激変に対応していくために必要な施策や喫緊に解決しなければならない懸案が山積していることを改めて強く感じました。そのため、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直しを行っていく必要があると考え、和歌山工科大学整備事業につきましてもこの際見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結することとしたものでございます。まことにつらい思いではありますが、何とぞご理解をいただくようお願いを申し上げます。
 また、関係市町村及び関係者の方への対応についてでございますが、このたびのことにつきましては、白浜町を初めとする関係市町村及び関係者の皆様に対してご迷惑をおかけいたしました。今後、観光振興や高速道路の紀南延伸の促進などについてより一層推進し、地域の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、検討段階からご協力をいただいた有識者の方々や関係各省庁、設立準備委員の先生方、設立準備財団の採用試験合格者及び大学の教員候補者の方々など関係者の皆様についてもご理解をいただくよう努めるとともに、今後誠意を尽くしてまいりたいと考えております。
 今回の決断につきましては、財団職員採用試験合格者及び教員候補者の生活設計を考えると、一日でも早くこのまま進めるのか見直しとするのか、決断すべき差し迫った状況にあったことについてご理解賜りますようお願いを申し上げます。
 私といたしましては、議員各位を初め地元関係者などの合意形成を図りながら県政を運営していく姿勢には変わりはございませんので、今後とも協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 委託事業について、NPOの参画を図ってはどうかとのご質問についてお答えいたします。
 財政健全化の観点から、コストを削減し、行政効率を向上させるため民間委託を推進することにつきましては、今後とも積極的な対応が必要であろうと考えております。
 お尋ねのNPOへの委託もその一環として考えておりますが、県内の認証団体が着実に増加しつつある現状から、それぞれの活動目的に合致し、参画意識を高揚させるようなもので、県にとりましても行政施策の効率性や質を高めることになるものについては、関係課と協議しながらできるだけ対応を図ってまいりたいと考えております。
 次に、地方分権の時代にふさわしい和歌山の選挙と地方自治のあり方についてのご質問にお答えをいたします。
 国と地方の関係について、従属関係ではなく、本来対等であるべきとの点につきましては、ご指摘のとおりでございます。本年四月に地方分権一括法が施行されたところですが、今後さらにこの法律の趣旨にのっとった連携のあり方を構築していく必要があるものと考えております。
 また、地方公共団体の首長の政治活動については、法律にのっとり適法に行われるべきことは当然のことでございまして、その範囲内で、議員が指摘されるようなご意見もある中で、首長みずからがそれぞれ判断すべき性格のものではないかと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 学童保育の設置率、また今後の進め方、指導員の研修等についてお答えを申し上げます。
 放課後児童クラブにつきましては、少子化対策の中で子育てと仕事の両立支援策の一つとして喜の国エンゼルプランに位置づけ、取り組んでいるところでございます。クラブの設置率は、地域性や実施主体となる市町村の事情などから、ご指摘のように全国的には低い位置にありますが、今年度の実施箇所は四市九町五十三カ所で、うち国庫補助対象が二十九カ所、県単補助対象が三カ所となっており、来年度も三町での実施を見込んでおります。年々少しずつ増加しておりますが、特に今年度は県単独補助の対象を児童数五人以上のクラブまで広げて実施しやすくし、市町村への啓発を行い、クラブの増加に努めているところでございます。今後も、市町村が住民のニーズを的確に把握し、積極的な取り組みをするよう指導をしてまいります。
 なお、指導員の研修につきましても計画的に実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ボランティアに関連してお答えいたします。
 学校教育における奉仕活動につきましては、現行の学習指導要領で、子供たちの社会奉仕の精神を涵養するための体験が重要であると示されており、県内の学校におきましても、地域の清掃や高齢者の介護などさまざまな活動に取り組んでおります。こうした奉仕活動を通して、実際に感動体験を積み、その意義等について学ぶことは、将来、自発的に社会や公共のために尽くそうとする心情や態度を育成することにつながるものであり、本来のボランティア活動の基礎が培われていくことになると考えております。
 議員ご指摘のように、児童生徒が自発的にボランティア活動を実践する態度を育成することは極めて大切であり、学校教育の重要な柱の一つとしてこのような教育活動を位置づけ、積極的に推進していく所存でございます。
 先般の教育改革国民会議の中間報告において提案された奉仕活動のあり方につきましては、今後の議論の深まりに注目してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 地方分権の時代にふさわしい和歌山の選挙と地方自治のあり方についてお答え申し上げます。
 議員のご指摘は、二十一世紀は地方分権の時代であり、公正な選挙の確保がますます重要であるとのご趣旨と承知しております。現行の公職選挙法は、日本国憲法の精神にのっとり、国政及び地方の選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明された意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発展を期することを目的としているところでございます。
 私ども警察といたしましては、この公職選挙法の趣旨にかんがみ、民主政治の根幹をなす選挙の公正を実現するため、これまでもあらゆる選挙について不偏不党かつ厳正公正な立場に立った選挙取り締まりに当たってきたところでございますが、買収や公務員等の地位利用による選挙運動など悪質な違反につきましては、これを徹底検挙するとの方針で今後とも引き続き臨んでまいる所存でございます。
○議長(阪部菊雄君) 選挙管理委員会委員長谷口庄一君。
  〔谷口庄一君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(谷口庄一君) 有田市の選挙違反事件を教訓とした選挙のあり方についてお答えをいたします。
 さきに執行されました衆議院議員総選挙におきまして、地位利用による組織的な選挙運動として公職選挙法違反に問われた件につきましては、まことに遺憾なことだと思っております。民主政治の健全な発展のためには、その基盤である選挙が明るくきれいに行われることが不可欠な要件であり、そのためには国民一人一人が政治や選挙に強い関心を持ち、主権者としての自覚を有することが必要であります。殊に選挙に際しましては、候補者はもちろん、選挙運動に従事する人も有権者も、法に定められたルールを正しく守ることが極めて大切であります。
 このため、県選挙管理委員会といたしましては、このたびの事件の教訓も生かしながら、選挙が有権者の自由な意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、明るくきれいな選挙を実現するための啓発活動をさらに推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
 時間がございませんから、最初の三項目については評価をしたいと思います。
 ただ、四点目の工科大学の凍結について、これに絞って再度質問してまいりたいと思います。
 知事の、政策は正しいとか正しくないとの問題よりも、まず知事に就任して、たった一カ月の間でこの政策決定を、知事はだれと相談をして決めたのかを聞きたい。このことは大変問題であります。ワンマンで決めたのか、これからもこんな形でしていくのか。もしワンマンで決めたのならば、トップダウンという知事の決断とは格好いいけれども、それならば独裁である。県議会と地元との関係で言えば、我々に提案してきたのは十月に入ってからである。普通、常識から言えば、県議会や地元の首長と相談をして当事者の理解を得る、こういったプロセスを経て当事者ととことん話をすることが大変大事ではないかと思う。あなたは、県民の声を聞いて開かれた県政を推進していく、また県としても市町村とのパートナーシップを一層深める、さらには議会と執行部は車の両輪である、こう知事就任あいさつで申されました。そういったことと今回のやり方は全く矛盾するのではないか、これが一点。
 二つ目は、知事、ノーと言うのなら、この問題に期待し、積み上げてやってきた南紀の地域に、ノーと同じ指針、対案を示してこそ地元の信頼と理解が得られるのではないか。「観光振興や高速道路の紀南延伸の促進などについてより一層推進し、地域の活性化に取り組んでまいりたい」、こういった答弁がございました。このような答弁では、余りにも抽象的であります。地元としては納得できません。そのためにも、県議会、地元と十分話し合いを持ち、対案、指針を見出していく。そうした誠意を持ったあなたの姿勢を今打ち出すべきであると私は考えますがどうか、その答弁を願いたい。
 三つ目は、「必要性を否定するものではございませんが、この際見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結したい」、こういった答弁でございました。この事業凍結は、財政に余裕が出るなど条件が整えば再開をするのか、その見直しはどうなのか、答えていただきたい。
 最後の四点目、十月六日の一部新聞報道で、工科大学凍結における和歌山市長のコメントとして、知事の姿勢を評価した上で、「場所は違っても大学をつくるという同じ考えから、市の公立大学構想に県も一部参画していただきたい」、このように報道されておりました。
 工科大学の凍結で混乱している地元の声は、神経を逆なでするものだと憤慨しております。あなたの今回の聖域なしの一連の見直し方針からすれば、おのずから結論が出るものと考えますが、この際、議場ではっきりと答えてもらいたい。
 以上四点、お願いいたします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの再質問についてお答えを申し上げます。
 だれと相談して短時間で決めたのかというご質問でございますけれども、私、この大学の問題に関しましては、既に試験が行われていたり、また文部省等との交渉が非常に進んできている、そしてまた工事の発注の期限も進んできている、こういうふうな中で、私自身、夜も寝ないでいろいろな今までの資料──たくさんございましたが──読みました。そしてまた幾人かの市民の方とも──これは投書などが参りましたので、お話を聞いたりしました。ただ、これはすべての方ではございませんので、それが大勢というわけではありませんけれども、少なくとも時間がない中で私自身としてできるだけの努力はし、そして私が自分でこうあるべきだと思って議会にお諮りしたわけでございます。そしてまた、今、議会の皆様方のご意見を拝聴して、これからどういうふうにしていこうかということを真剣に考えているところでございます。
 また、議会とは車の両輪として事柄を進めていくという姿勢については全く変わるものではございません。これからも、そのつもりで重大な事項については十分お諮りをし、議会のご意見を賜りながら仕事を進めたいと思っております。
 それから、これからのこと、そしてまた白浜の地域に対する振興について対案を出して考えるべきではないかということでございますけれども、今回の和歌山工科大学整備事業の見直し後のあり方については、見直しを今議会において表明したばかりであり、今後幅広くご意見を伺いながら、さまざまな検討を行って方向性を見出してまいりたいと考えております。
 最後に、和歌山市の大学構想についてどういうふうに考えているのかというご質問でございます。
 本県の財政状況が極めて厳しい状況にあるとともに、時代の激変に即応していくために必要な施策や喫緊に解決しなければならない懸案が山積していることから今回の決断に至ったことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 和歌山市が検討している大学構想は文科系学部を設置する計画であり、和歌山工科大学とは内容を異にするものであることから、今回の決断と和歌山市の大学構想とは全く関係のないものでございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 今、答弁がございましたけれども、繰り返しの答弁であります。
 これからの議会との対応についても、今後はこうしていきたいと述べられましたけれども、私が聞いているのは今の問題であります。これからの対案、指針も含めて、私は再度、本事業の存続、推進をまず強く訴えておきたい。
 さらに、万が一凍結をした場合でも、県議会や地元と十分話し合いを持って対案、指針を見出していくことを知事に要望して、時間がございませんから、私の質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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