平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(神出政巳議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 こんにちは。
 お許しを得ましたので、通告に基づき、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、会派を代表し、木村良樹知事のご就任を心よりお喜び申し上げます。おめでとうございます。新生和歌山創造に、ともに手を携え、取り組んでまいりたいと思います。
 また、西口前知事には、県民の圧倒的な信任を得ての二期目県政を担当されて八カ月での退任となりましたことは、県民の一人としてまことに残念なことであったと感じております。今後のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
 しかしながら、その結果として、二十一世紀の和歌山を託す全国一若い知事が誕生したわけであります。これから打ち出されるであろう斬新な政策が県勢の浮上につながることを、心より念願いたしております。
 突然の知事選出発の決意、猛暑の天候下での過酷な選挙戦一カ月、そして、けさほども苦渋の決断の披瀝がありましたが、就任早々の待ったなしの懸案への対応一カ月、精神的にも肉体的にも大変だったこととお察し申し上げますが、今議会は新知事の政策指針をただす上でまことに重要な場であります。特に今回の知事選挙は、十分に各候補者の政策方針を知るだけの時間がなく不十分であったのではないかとの県民の声を多く聞くだけに、今議会冒頭に知事より詳しい就任あいさつがありましたが、その内容をより具体的にお示しいただきたいと存じます。けさからの先輩議員の質問と一部重なる点はご容赦願い、以下、就任あいさつの内容順に各項目についてお尋ねします。
 まず初めに、本県経済の発展についてであります。
 本県経済の状況並びに雇用情勢については、改めて数値を示すまでもなく、厳しい情勢にあります。昭和三十年代には戦後の重厚長大産業の復興に支えられて本県経済も活況を呈したこともありましたが、その後の産業構造の変化に対応することができず、現下の情勢に至ったことは周知のとおりであります。こうした本県の情勢を克服し、二十一世紀に新たな発展を期するためには、産業構造を大きく転換する必要があります。
 日本銀行は一昨日、九月の企業短期経済観測調査(九月短観)の結果を発表しました。大企業、製造業が堅調に回復している反面、中小企業や非製造業の回復のペースは遅く、大企業と中小企業の二極化傾向が強まっていることを示唆しているようであります。そして、それに先立つ九月十八日、日本政策投資銀行関西支店は、近畿二府四県の二〇〇〇年度の設備投資見通しを発表しました。全産業の設備投資額は前年比一一%ふえる見込みで、四年ぶりに増加に転じ、近畿では通信関連企業の設備投資が活発なほか、小売業が競争激化に対応して店舗改装を続けるなど、非製造業の設備投資が全体を牽引していると分析し、近畿でも回復基調が浸透してきたとしています。
 しかし、各府県別では、全産業の設備投資計画額は、和歌山県以外は増加したということであります。特に滋賀県は、前年度実績比二二・一%増の二千二百九十八億円で近畿で最高の伸び率。情報技術(IT)関連の積極投資で県内設備投資額の四分の三を占める製造業が同一四・三%増と着実に伸びたほか、小売業の出店ラッシュで非製造業も同五一・六%増と急伸しています。また奈良県は、同一八・二%増の八百六十六億円、製造業は半導体、液晶、太陽電池関連の大型投資が増加して五三・八%の大幅増ということであります。一方、和歌山県は、千十八億円で二五・一%の大幅減。投資を引っ張る液晶や半導体などのIT関連企業が少ない上、関西電力の投資圧縮が大きく響いたということであります。
 そこで、お尋ねしますが、木村知事は選挙戦を通じてもIT革命への積極的な対応を述べておられました。IT革命への積極姿勢は国においても示されているところでありますが、言葉だけが先行し具体性が見えてこないと感じているのは、多くの県民の皆さんから聞く言葉であります。IT革命が和歌山県に何をもたらし、そのこと等によって和歌山県の産業構造をどのような方向に転換し、それを実現するために産業基盤の整備等の政策をどのようなものとして実現していこうとお考えになっているのか、知事の明確な考えをお示しいただきたい。
 続きまして、各地域社会のあり方についてであります。
 和歌山県は高齢者比率の拡大が全国的に見て進んでいることは、就任あいさつにあったように明らかであります。このことによって高齢者問題への対応も喫緊の課題として提起されていることは当然ではありますが、政策として別の見方をすれば、地域社会の構造問題であります。また、これは若者が定住できる地域社会づくりの問題でもあります。
 若者が定住するためには、生活の糧を得ることができる産業と同時に、若者にとっての地域の魅力づくりが必要であることはだれもが言う言葉であります。また、これまでも各地域で各種の取り組みがなされてきたことも確かであります。しかし、残念ながら十分な政策効果が認められるものを県内で見かけることができないように思われます。全国的に見れば、大分県での一村一品運動や湯布院の成功事例のように、各地で地域の規模に見合った地域政策の実例を検証することができます。これらの事例から理解できることは、本県のこれまでの地域振興政策が余りにも地域の規模を超える大きなものを求めてきたのではないかと感じます。
 知事は選挙戦を通じて、和歌山県は地域的な違いが明確で一律ではないことを強調されておりました。今後は、より地域に密着し、地域の特性と規模に着目した地域振興施策の実現を図られるものと考えますが、知事の各地域社会への認識と、それぞれの地域社会のあり方についてどのようにすべきと思われているのか、お考えをお聞かせいただきたい。
 次に、知事が二カ月前まで筆頭副知事をされていた大阪府では、本県より一日おくれで開会した九月定例府議会において、一昨日より各会派の代表質問が始まり、激しい論戦となっているようであります。特にその中で、新税制の採用と関西国際空港会社への出資と経営抜本見直しの二点について述べたいと思います。
 まず新税制については、先ほどの新田議員とのやりとりで出ましたので私からの質問は控えますが、大阪府では法人府民税の均等割り部分引き上げを柱とする税制改革素案が、増税というよりも地域社会の発展に適正な負担をお願いするものという趣旨で提案されています。府議会サイドでは、中小企業は弱っており、府民の理解を得られる雰囲気ではないとの声が大きいようであります。
 新税制の採用については、知事が言っておられるように、県民の意識改革につながるものでなければならないという基本理念のもと、慎重であってほしいと要望するものであります。
 さて、関空の件でありますが、選挙公約にも二期工事の推進と便利なアクセスの確保がうたわれていましたが、大阪府では抜本的な対応が必要との見解を示し、現在のような経営状態が続けば府の負担はさらにふえ、同社の経営破綻も避けられないと判断、直ちに正式に検討に入り、再建案をまとめ、運輸省、関空会社などに対し実現を働きかけていく方針のようであります。
 一方、府議会サイドでは、国が現在の空港島の用地全体か滑走路など用地の一部を関空会社から買い上げて経営を支援する案を提示するとのことでありますが、関空への今後の取り組みに対する和歌山県知事としてのお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、環境問題への対応についてであります。
 これまでの環境問題あるいは公害問題は、産業廃棄物、一般廃棄物という区分によって個別の問題として、排出者である事業主責任あるいは処理業者の許認可問題、一般廃棄物の公共団体での処理問題として取り扱われてきました。その結果、一般廃棄物の焼却によるダイオキシン問題が公共団体が設置した焼却場で発生し、産業廃棄物では処理業者の不法行為等が周辺環境に極めて困難な問題をもたらす事件が全国で発生しております。
 また、本県においても、橋本市での産業廃棄物処理に絡む県職員の汚職事件の発生とダイオキシン問題は、全国から注目されるものとなっております。県当局とすれば、他の問題処理に当たっても当然のことでありますが、透明性の保持と明確な説明責任があるものと考えます。例えば、パブリックコメント制度の導入等、今後の対応に関する知事のお考えをお示しいただきたい。
 そして、環境問題は、資源循環型社会形成に向け、動脈産業に対応した静脈産業の構築といった産業政策としても取り組む必要があります。本県産業の中核である地場産業の中小事業者にとって、環境問題への対応が事業の盛衰、また地場産業の将来にかかわる重要な課題となっていると考えます。廃棄物の適正処理と地球環境への貢献は事業主の責任ではありますが、地場産業の資源循環を構築するためにはどのような支援策を講じておられるのか、産業政策の関連において、環境問題に取り組む知事の基本的なお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、青少年対策についてであります。
 今議会に補正予算として提案された中に青少年の健全育成ということで二つの新規事業があることは大いに評価するものでありますが、「十七歳問題」という言葉ができるほど全国で多発する少年犯罪に心痛む思いをだれもがされていることと存じます。
 これへの対応として、教育制度の改革、少年法の改正による刑法適用年齢の引き下げなどの取り組みがなされています。確かに、法の強化によって犯罪の抑止効果を高めることを求めるのも、社会制度として一つの方向であることは確かであります。しかし、このような法の強化による対応を最良の政策とする風潮が生じるとするならば、そこには社会体制上の新たな問題を生み出す可能性があることに留意する必要があります。
 小・中学校での学級崩壊あるいは学校崩壊の事例からは、学校と地域社会、家庭と地域社会の結びつきの重要性が指摘されております。しかしながら、こうした問題を地域社会の政策課題として戦略的な政策が提示されている事例を見受けないのであります。
 和歌山県では、かつて青少年局が設置され、青少年のスポーツ振興、社会活動への参加促進、国際交流活動など、特別に取り組まれていた時代があります。私は、昨年、一昨年の二カ年、県青少年問題協議会の委員をさせていただきましたが、現在の青少年問題が、教育機関における問題としてではなく地域社会の問題として受けとめる必要のあるものとすれば、青少年対策のための部局を設け、教育問題を含めた地域社会の問題として総合的かつ戦略的な政策の実現を図るべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、交流ネットワークの創造についてであります。
 和歌山県は、つい三十年前ごろには車の通行さえ困難な箇所が多数あった国道四十二号線の整備に県民挙げて取り組んで以来、戦後五十五年間、海運から陸運に、さらに空運へと運輸形態が変化する中で、県民の悲願ともなった国道、県道の整備を初め高速道路の紀南延伸、空港、港湾等の整備にと、交通体系の充実に県当局、議会、県民が一致協力して取り組んでまいった経緯があります。しかし、国においては厳しい財政事情を理由とした公共事業の見直しが進められようとしております。
 そこで、新知事には、歴代の知事が取り組んでまいりました県土の二時間交通圏の形成、高速道路の紀南延伸、太平洋新国土軸の推進、フリーゲージトレインの推進、港湾の整備等々の交通体系の整備に関し、これまでの政策を継続するものであるかどうか、明確なお考えをお示しいただきたい。
 あわせ、私ども紀北とも紀中とも言えない海南・海草地域、有田郡市での課題でもある三けた国道や県道への整備対応でありますが、本年度予算には大変不満であるということを付言しておきます。
 近年は、南紀熊野体験博の関係もあり、紀南への集中投資に賛同してまいりました。そして、今また、紀北、京奈和自動車道などへの大型投資が迫っていますが、県内中核都市のネットワーク化のためには、一律シーリングをかけるものではなく、住民合意の得られる優先順位をつけ、当該地域への道路整備予算づけに来年度は対応すべきであると要望しておきます。
 続きまして、就任あいさつの中では触れませんでしたが、防災対策への心構えについてお尋ねします。
 平成七年七月、議員立法により制定された地震防災対策特別措置法に基づき、各都道府県が地震防災緊急事業五カ年計画をそれぞれ定め、市町村が中心となって各般にわたる地震防災対策の推進に努めているものの、厳しい財政状況等により現行計画の進捗率が低い状況にあることや、最近の地震等災害の発生状況等にかんがみ、さらに地震防災対策の充実強化を図る必要があると考えられることから、全国知事会、全国都道府県議会議長会など地方六団体は、八月二十四日、平成十三年度三月末で期限切れとなる地震防災対策特別措置法に基づく国の負担または補助の特例措置の適用期間を延長するとともに地震防災対策の充実強化を求める地震防災対策の推進に関する要望を決定し、関係機関に働きかけを行っているところであります。
 ちょうど知事が総務部長当時の平成七年一月十七日早暁、阪神・淡路大震災が発生いたしました。記憶に新しいところでありますが、県庁はもとより、和歌山市を筆頭に県下の自治体初め、各界各層の団体、ボランティアも救援活動に参加したわけであります。しかし、大惨事となりました。特に、政府の初動態勢のおくれが原因だということは周知のとおりであります。
 そして、今また、東京都下伊豆諸島三宅島では火山活動が続いていますが、六月二十六日、三宅島で十七年ぶりに火山活動が始まった際の石原都知事の動きの素早かったことは、称賛に値するものではないかと思います。警報発令とほぼ同時に全局長を招集、青山副知事を三宅島に派遣して現地での指揮に当たらせ、石原都知事自身は都庁によって災害対策本部を設置するや、救援物資の搬送、医療チームの派遣などを指示し、自衛隊には災害派遣要請を行うとともに、三宅村へは災害救助法の適用を決めました。メディアは、その対応の速さに舌を巻きました。都知事は、その段階でできるすべてのことをやったのであります。見事なスピードで、まるでこのときを待っていたかのような対応であります。
 本県にも、活断層が走っています。「防災の日」には、県はもとより市町村でも訓練をしていますが、突然の災害に対する備え、知事の心構え、体制把握についてお尋ねいたします。
 最後に、二点について要望いたします。
 まず、今般の改正都市計画法施行についてであります。
 さきの通常国会で五月十九日、都市計画法が改正され、来年五月をめどに施行されることになりました。その中で、都計法四十三条一項六号が削除され、それに伴い既存宅地の確認制度が廃止され、建築許可不要の取り扱いがなされなくなり、今後、市街化調整区域内における建築行為については立地基準を定めた都道府県の条例により審査されるということであります。
 もともと既存宅地の確認制度は、市街化調整区域内の土地であっても、市街化区域と同一の日常生活圏を構成する一定規模以上の集落にあり、しかも市街化調整区域とされた時点で既に宅地となっていることなどの範囲内のものまで一律に市街化調整区域としての建築等の制限を行うことが実情に沿わないとの趣旨に基づき、創設された制度であります。そもそも、今日、既得権の侵害は認められておらず、立法政策上できるだけ尊重するよう努めなければならないものであります。
 したがって、五年の経過措置が設けられたとしても、既存宅地の確認制度の対象地の所有者は、本来有している既得権、すなわち建築許可不要の取り扱いとそれに伴う市街化区域と同水準の資産価値を改正法により一方的に失うことになり、甚だ遺憾であります。
 また、今後制定される都道府県等の条例によって、既存宅地に関しては、従来どおり自己・非自己使用にかかわらず、建築物の新築、改築、用途変更が行えないこととなると、現在の所有者にとって利用制限のため資産価値が著しく減少することにもなり、今後の当該対象地にかかわる土地取引は、安全性、安定性の観点からも極めて困難になります。
 つきましては、施行令がまだ制定されていないようであり、法規制の中での緩和措置の有無、具体的内容等が定かではありませんが、今後県当局において、条例制定に当たり、市街化区域・調整区域内の現況開発許可・建築許可制度の趣旨を十分踏まえることはもちろんのこと、関係市、周辺市町村の都市計画行政の進め方を把握し、また関係団体の意見も参考にして、これからの町づくりに配慮されたいと思います。特に、調整区域内にある既存宅地での建築行為に関しては現行と同様の取り扱いとなるよう配慮した条例を検討していただきたいと思います。また、このことにつきましては関係市町村を通じて地域の住民及び関係団体に十分周知されるように、広報という点についても強く要望しておきます。
 なお、先進事例として、埼玉県では既に都市と田園の共生に向けた市街化調整区域の地域づくりの推進方策検討委員会を立ち上げ、本年度内に条例の骨子を固め、改正法の施行後の六月議会をめどに条例案を提案したいとしているようであります。二十一世紀のトップランナーとなるべく、本県も頑張っていただきたいと思います。
 そして、もう一点、大好評を博している県営住宅あっそ団地の件であります。
 新規入居者の応募倍率から見てもその需要が多く、また高齢者世帯に配慮したこれからの住宅団地のモデルとして地域住民の期待も大きいことから、財政事情が厳しいという側面もありますが、県と海南市とのお約束であると受けとめておりますので、何とぞ、引き続き第二期工事の具体的な計画を早期に実現されるよう要望いたしまして、以上で終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの神出議員の私に対するご祝辞に対して、心より御礼を申し上げます。
 まず、本県経済の発展についてのご質問でございます。
 IT革命は産業革命に匹敵し得る抜本的な社会経済構造の変革をもたらすものであり、ITの活用は今後あらゆる産業分野において極めて重要な課題であると認識しております。また、国におきましても日本新生プランの大きな柱の一つとして位置づけられているところでございます。
 本県にとりましても、ITの活用により高い技術や独創性を有する新しい企業の創出、既存産業の競争力の強化を図り、新しい時代に対応できる柔軟な経済構造を構築する必要があると考えております。
 このため、国の予算編成などの動きを的確に把握しながら、ITを活用できる人材の育成や電子商取引への対応、SOHOへの支援等、本県産業の活性化につながるIT関連の諸施策を重点的かつ積極的に実施してまいる所存でございます。
 この問題につきましては、まだ今のところ国の方もはっきりしない部分がありますけれども、大きな方策としては非常に重要なことでございます。私自身も勉強しながら、来年度の施策に向けていろいろ活発に検討してまいりたいと考えております。
 次に、各地域社会のあり方ということでございます。
 これまでお話させていただいておりますとおり、県内それぞれの地域は多様なすぐれた地域特性を有しております。こうした地域の振興を図っていくためには、一律ではなく、それぞれの地域特性に応じた施策展開が必要であり、そのためには地元市町村はもちろん、住民の方と一緒になってそれぞれの地域特性が何であるかを明確にし、地域主体の施策としてその魅力ある個性を発信していくことが肝要であると考えております。
 県といたしましても、積極的にこうした地域の特性を生かした振興策を支援していくことにより、そのことによって和歌山県というものが相対的に特色を発揮していくのではないか、このように考えておりますので、この点についても力いっぱい考えてまいりたいと思います。
 次に、関空への今後の取り組みということでございます。
 和歌山県勢の発展には、国土軸、そしてまた国際軸への直結が欠かすことができないという基本的な認識を持っております。特に、至近に位置する関西国際空港の充実は和歌山県にとって非常に重要な課題であると考え、関空の二期事業の推進に取り組んでいるところでございます。
 ご案内のように、関空を取り巻く環境は非常に厳しいものがございます。このため、関空会社においても、社長を本部長とする経営改善推進本部を設置し、組織体制の見直しであるとか、一般管理費や営業費の削減、収入の拡大、工事コストの縮減など、経営全般にわたる改善策に取り組んでおられるところであり、和歌山県としてもその推移を見守るとともに──ただ単に見守るのではなく、県としても積極的に関係府県、市、団体と協議しながら提言を行っていったり、積極的な考え方の提示、こういうものを行っていきたいと考えております。
 次に、環境問題への対応ということでございます。
 私は、議会冒頭のあいさつにおいても申し上げましたとおり、これからの県政では県民の皆様にも積極的に参加していただくことが重要であると考えております。環境問題につきましても、関係者の方と十分に話し合い、県としての説明責任を果たしてまいる所存でございます。
 なお、廃棄物対策を総合的に推進するための廃棄物処理計画の策定に当たりましては、ご提案のパブリックコメント制度の導入についても検討してまいりたいと考えております。
 また、産業政策における環境問題への取り組みについてでございますが、地場産業の資源循環を構築するため、工業技術センターにおいて多岐にわたるリサイクル技術の開発に現在取り組んでいるところでございます。また、創造的なリサイクルの技術開発に取り組む企業に支援を行ってきたところでございますが、今後は廃棄物の発生抑制ということやリサイクルを考えた製品づくりを行う企業の積極的な支援を行って、地場産業の資源循環ということを実現してまいりたいと考えております。
 次に、青少年対策でございます。
 昨今の、全国的に痛ましい少年による凶悪事件の続発、少年非行の低年齢化等は大きな社会問題となっておりまして、大変憂慮すべきものだと考えております。二十一世紀の未来を担う青少年の健全育成については、県民すべての重要な課題との認識に立ち、今後も地域の情勢に応じた積極的かつ弾力的な青少年対策の推進が重要であると考えております。
 このため、現在の青少年総合対策本部等の組織運営をさらに充実いたしますとともに、相互のネットワークを強化して地域の情勢にマッチする青少年対策を進めてまいりたいと考えております。
 また、今後の青少年対策を推進していくために、昨年度、児童生徒や保護者を対象に実施した意識調査結果をもとに、来年度から五年間のアクションプログラムとして、わかやま青少年プランを現在策定中でございまして、近く中間報告を行って広く県民の方にも公表し、意見募集を行っていきたいと考えております。
 この青少年健全育成のための行動指針が実効性あるものとなるようにするとともに、家庭、学校、地域、職場はもとより、関係機関、青少年育成団体等の協力を得ながら、青少年総合対策本部の責任者として一層強力に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、交流ネットワークの創造ということでございます。
 国内の各地域との交流を促進し、また県内地域間の連携の促進を図るためには、交通基盤の整備によるネットワークづくりが必要不可欠であると考えております。
 近畿自動車道、京奈和自動車道や府県間道路等の整備により県外との迅速なアクセスを図るとともに、もう一方で広域幹線道路ネットワークの構築や鉄道の高速化による県内二時間行動圏の確立、さらに広域交流圏の形成を先導する太平洋新国土軸構想や新幹線と在来線を直通で運転できるフリーゲージトレインの紀勢本線への導入等、引き続き積極的に推進してまいりたいと考えております。
 最後に、防災対策についてでございます。
 幸い本県では近年大きな災害には見舞われておりませんが、私も含め職員全員が常に危機意識を持ち、防災意識の高揚を図っていく必要があると考えております。
 先ほどもご質問の中にありましたが、私が総務部長としておりましたときに阪神・淡路大震災が起こりました。一日、二日してヘリコプターで被災現場に赴いたわけでございますけれども、そのときのありさまは今でもまぶたに浮かぶところでございます。
 災害への備えにつきましては、先ほどの石原都知事のお話もございますけれども、常におろそかにできず、常在戦場というような感じで対応していかなければならないというのが私の信念でございます。
 この阪神・淡路大震災というものを教訓として本県では大幅な防災体制の見直しを行ってきているところでございまして、具体的には、突然の災害に備えて迅速な初動態勢及び広域応援体制の確立を図ることを目的に、地震被害予測ネットワークシステムの整備、緊急防災要員の任命などを現在行っているところでございます。
 お尋ねの防災体制につきましては、県民生活に重大な影響を及ぼすおそれがあると判断した場合には、職員の警戒及び配備体制について指揮し、あるいは災害対策本部を直ちに設置するなど、知事としてリーダーシップをとり、迅速、的確に対応してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十八分散会

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