平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(橋本 進議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 議長のお許しをいただきましたので、ここで発言をさせていただきたいと存じます。
 私は、本県の財政状況が大変厳しいこと、また喫緊に解決しなければならない懸案が山積していることを改めて強く感じているところでございます。これからの県政は、時代潮流をしっかりととらえ、これにマッチした思い切った政策の転換を図る必要があると考えております。このため、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直しをしなければならないと考えております。
 和歌山工科大学整備事業につきましても、その必要性を否定するものではございませんが、この際見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結したいと存じます。
 まことにつらい思いではございますが、何とぞ議員各位を初め関係各位のご理解を賜りますよう、心からお願い申し上げる次第でございます。
○議長(阪部菊雄君) 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百四十二号は、職員に関する条例の改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。 十六番橋本 進君。
  〔橋本 進君、登壇〕(拍手)
○橋本 進君 おはようございます。
 議長から発言の許可をいただきましたので、順次ご質問を申し上げます。
 木村知事が誕生して初めての記念すべき本議会に、自由民主党県議団から最初に登壇させていただき、一般質問のトップバッターとして県政の重要課題について質問をさせていただきます。少し長くなりますけれども、ご容赦を賜りたいと思います。
 まず、木村知事、おめでとうございます。知事選挙でのはえあるご当選、ご就任、心からお祝いを申し上げます。二十世紀から二十一世紀へのかけ橋をかける責任ある役割を担われ、何かとご苦労の多いことかと思いますが、県勢発展のためにご尽力されますよう、心からお願いを申し上げます。
 さて、木村知事が選挙中、「二十一世紀のトップランナー」をキャッチフレーズに戦われたのは、皆様ご承知のとおりであります。そして、この言葉から新鮮な感じを受け取ったのは私一人ではないと思います。このキャッチフレーズに込められた知事の思いと熱意を容易に推しはかることはできませんが、今後の県政を運営する上での大きなテーマとして、常に知事はもとより県職員が一丸となって諸課題に取り組んでいかなければなりません。知事はまた、選挙中、県下を駆けめぐりながらアンテナを高く上げて、最新の情報を集めるためにもIT革命が必要だと言われ、一方、高齢化の進んだ現状から福祉の心をもって行政を行うことを明言されておりました。私もまた同感であります。木村知事は、フレッシュな、そして視野の広い時代感覚とあわせて、温かい福祉の気持ちを大切にしながら県政を推進していただきたいと希望するものであり、私たち自由民主党県議団も、木村県政を見守りながら与党として支えていきたいと存じております。
 昭和二十二年に公選知事として初めて小野知事が誕生して以来、大橋、仮谷、西口知事と、五十年に及び、脈々と受け継がれてまいりました。そして、その歴代の知事は、数々の難局を乗り越え、和歌山県の礎を築き、県勢の発展をもたらしてまいったところであります。さきの西口知事におかれては、県民にとって県政を身近なものにするため、一貫して開かれた県政の実現の推進と、だれもが住んでよかったと実感できるふるさとを築くことに全精力を傾けられ、力強く県政を進めてこられました。折しも、我が国の社会経済情勢は、バブル経済の破綻により長期にわたり厳しい時期が続き、本県においても大変厳しい状況に置かれております。そうした中、西口知事は、県政各般にわたり積極的に取り組み、大きな成果を残してまいりました。まことに残念ながら、健康上の理由で任期途中の退任となりましたが、和歌山県の発展に多大な貢献をしていただいたものと考えております。
 その西口知事の後を受けて、このたびの県知事選挙において木村知事が多くの県民の支持を受け誕生し、間近に迫った二十一世紀の県政のかじ取り役を担うことになりました。木村知事は自治省の出身で、国の政策にも精通し、また赴任された各地方自治体では幹部として重責を果たし、そして本県では総務部長、大阪府では副知事を歴任して多くの難題に立ち向かい、解決をもたらした、いわば地方行政のエキスパートであると認識してございます。このようなことから、知事は多くの府県の事情も認識しておられ、知事として県政を預かる職責の重要さ、難しさを感ずるとともに、和歌山県の発展のためには何が最も必要なのか、将来構想を初め県政の推進策について既にお考えをお持ちのことと思います。知事が選挙を通じて県民に公約されたテーマを中心に、これから順次質問をしてまいりたいと思います。
 まず初めに、今議会の所信表明で開かれた和歌山県という大きな視野に立ち、安心と活力みなぎる新生和歌山の創造に取り組むとの決意をお聞かせいただきましたが、県政をリードしていくに当たり、どのように進めていくのか、いわば木村県政のビジョンをお示し願いたいと思います。
 次に、IT革命への対応であります。
 開会中の臨時国会で森首相が、日本型IT社会の実現こそが二十一世紀という時代に合った豊かな国民生活の実現と我が国の競争力の強化を実現するためのかぎであるとし、今国会にIT基本法案の提出、IT国家戦略の早急な取りまとめ、超高速インターネットを整備し、五年後には我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げることなどを表明されました。また国においては、二十一世紀初頭に電子政府の実現を目指すという方針が示され、二〇〇三年までに行政手続をインターネットを利用し、ペーパーレスで行える基盤の構築や平成十三年度には国と都道府県とのネットワーク化、平成十五年度にはそれの市町村への拡大を図ることとされており、本年七月にはこれらの施策を推進するため、内閣総理大臣を先頭にIT戦略本部が内閣に設置されたところであります。また、八月二十八日にはIT革命に対応した地方公共団体における情報化推進施策等の推進に関する指針が示されたところであります。さらに、民間の企業においてもインターネット利用が約九割に及び、ITを取り入れた商取引のEコマースが盛んに行われるなど、経済活動においてはITは不可欠の技術となってきております。このように、我が国ではITは社会経済活動を発展さす上での起爆剤として、広範な分野で導入が進みつつあります。
 一方、半島に位置し、過疎化、高齢化が進展するなど地理的、社会的に不利な条件を有する本県にとって、ITは時間的、地理的条件を克服し、今後の飛躍的発展を可能にすることができる技術であることから、積極的にこのITを産業活動や住民サービスの向上、行政事務の効率化に取り入れていくことが極めて重要であると認識してございます。
 知事は、このたびの選挙における公約で、県の活性化を図るためにITを積極的に活用することを掲げられ、所信表明でもその重要性を述べられております。今後のITに関する本県の取り組みについてお考えをお示し願います。
 次に、新産業の創出についてであります。
 長期にわたって低迷してきた日本経済でありますが、最近になって企業の設備投資意欲が高まりつつあり、ようやく回復の兆しが見えてきたように言われております。現在はIT関連の半導体やインターネット関連を中心とした産業が注目されているところでありますが、次の段階においてはバイオテクノロジー関連産業、そしてその次にはナノテクノロジー関連産業というように、リーディング産業は二十一世紀において目まぐるしく変わっていくと言われております。また、市場のグローバル化ということが言われ、昨今のIT化によりますますそれに拍車がかかり、高品質の製品がどこでつくられているかといった情報が瞬時に世界じゅうに伝わり、注文がそこに殺到するという時代に突入していくことになると考えられます。このような時代には、細分化された専門分野、いわゆるニッチ分野と呼ばれるすき間の分野での高い技術力を背景に、国際市場の一定シェアを占有するといった極めて高い競争力を持つ中小企業、世界じゅうで一つというオンリーワン企業が優位に立つと言われております。
 先日、日経の優良企業ランキングで一位になった京都のロームもそうした企業の代表例であり、本県においても独自の技術を駆使して世界に羽ばたいている企業が何社か出現してきております。要するに、これからの企業の生き残り、または発展していく企業というものは、創造的な技術なり手法を手にした企業であると考えます。したがって、このような時代にあって県経済の活性化を図るためには、社会の新たなニーズと技術の進展によって生み出される新たな産業分野を創出、育成していくことこそが何よりも重要なことであります。
 知事は、新生和歌山の創造を推進するための主要な施策の第一に産業の活力創造を掲げられましたが、新産業の創出、育成のためにどのような施策を講じていかれるのか、お考えをお示し願います。
 次に、道路交通網の整備についてであります。
 まず高速道路の整備についてでありますが、盛んに公共事業見直しが叫ばれ、道路整備も十分できたというような報道がなされている昨今でございます。しかしながら本県の道路事情は、観光立県を標榜しながら、夏休み等の道路渋滞は観光客をうんざりさせ、日常の生活、経済活動にさえ支障を及ぼすほどの実態であります。特に、御坊市までしか完成していない近畿自動車道紀勢線及び京奈和自動車道の二つの高速道路建設は、本県全体の活性化のために一刻の猶予なく促進すべきものであります。
 知事は、所信表明で交流ネットワークの創造を唱えられました。そして、新世紀は交流の時代であるとも言われております。交流とは、より広範な地域の人々が、より手軽に行き来し、それぞれの地域の自然や文化を、そして新鮮な海山の幸を新鮮な状態で互いに享受することができることであります。和歌山の自然を求めて、その幸を求めて多く人が訪れていただける、その交流の大きな手段としての高速道路の整備は本県においてまだまだこれからだと思うのであります。西口前知事時代から、県内二時間行動圏ということで、高速道路建設を初めとする広域交通体系の整備に積極的に取り組んでいただき、大きな成果を上げつつあるわけでありますが、木村新知事におかれましても、その理念を引き継ぎ、さらに拍車をかけて積極的に推進されるよう要望するものであります。
 そこで、本県の高速道路建設の取り組みの現状と今後の推進方についてお考えをお示し願います。
 また、高速道路の整備とともに急がなければならないのは、県都である和歌山市の道路網整備であります。
 今や、都市化の進展から、安定、成熟した都市型社会の時代に移行していると言われております。和歌山市においても、中心市街地の活性化等、都市部の町づくりが求められているところであり、そのためにおくれている都市計画道路や駅前広場等の都市基盤の整備を急ピッチで進めていく必要があります。殊に、岩出町、貴志川町、海南市など和歌山市周辺部から和歌山市中心部に連絡している各道路、紀の川右岸から中心部への道路などにおいて慢性的な交通渋滞が発生し、多くの県民が経済活動や日常生活に大きな支障を来している実態があるにもかかわらず、なかなか改善されないのであります。こうしたことを憂慮し、昨年六月議会でも質問をいたしましたが、改めて新知事にお訴えをし、その早期整備を願うものであります。
 後ほど申し上げますが、県の財政状況はまことに厳しい状況にあります。しかしながら、だからこそ効果のある事業の執行が肝要であり、中でも都市計画道路は都市基盤として重要な施策であり、その整備を図ることが和歌山市の活性化にも結びつくものであることから、一層促進しなければなりません。現在、建設省によって和歌山北バイパス、県と市によって南港山東線、湊神前線、西脇山口線、市駅小倉線、松島本渡線、紀三井寺駅前線等の整備が進められております。宮前駅付近での高架工事、新堀橋のかけかえ工事、南港山東線のJRとの立体交差等、次第に目に見える状況になりつつありますが、なかなか供用開始のめどが明らかになってまいりません。申し上げるまでもなく、道路整備のかぎは用地取得にあります。そのための市民の協力なくしては整備もままならないのであります。市民の期待と関心にこたえるためにも、そして事業促進に向け市民の協力を得るためにも、もっと市民に都市計画道路の情報を提供することも考えなければならないと思います。
 こうしたことを踏まえ、土木部長にお尋ねいたします。
 都市計画道路の現在の事業進捗の状況と供用開始のめど、及び今後の整備の促進方策について具体的にお示し願います。
 次に、近年大変厳しい状況にある本県の財政問題についてお尋ねをいたします。
 昨年八月に本県の財政運営プログラムが公表されましたが、それによりますと、本県財政は長引く景気の低迷とたび重なる減税の実施等により県税収入が大幅に落ち込み、また県立医大、ビッグホエール等の大規模プロジェクトや数次にわたる経済対策の実施に伴い、大量に発行された県債の償還が本格化していることや、これらの状況に対応するために財源不足額を基金の取り崩しにより補てんしてきた結果、基金残高が急激に減少していることを取り上げ、大変厳しい状況にあるとの認識が示されております。確かに、税収が伸びない中、過去に大量に発行した県債の償還が始まって、公債費が平成十一年度には七百億円台と大幅に伸び、県民一人当たり五十八万円もの借金状態になっているわけであります。加えて、県債管理基金、財政調整基金がこのままでは数年後には底をつきそうな状態であります。まことに憂慮すべき事態であると言わざるを得ません。
 このような状況を踏まえて、さきに策定された財政運営プログラムを補完する形で、本年五月に財政運営プログラムIIが策定されたのであります。この財政運営プログラムIIによりますと、今後特段の財政削減を実施しない場合には、財政健全化期間中の平成十三年度から十五年度までの各年度において百六十億円から百八十億円の財源不足が見込まれるとの中期展望による試算が示されております。この結果、平成十四年度には財政調整基金、県債管理基金が底をつき、このままでは予算が組めなくなるという最悪の事態に立ち至るおそれが生ずるのであります。そういうわけで、この構造的な収支の不均衡を改善するために、具体的方策と財源確保の目標額が示されているわけでありますが、具体的方策としては給与関係経費の削減や管理事務経費の削減等から成る県の行政内部における努力と、経常的経費の見直しや投資的経費の見直しから成る施策の抜本的見直しが示されております。また財源確保の目標額については、平成十三年度から十五年度までの三年間で、一つは県行政内部における努力として八十億円、施策の抜本的見直しとして二百三十五億円、合わせて三百十五億円の歳出削減の目標額が掲げられ、内容的にも公共事業についてシーリング制を導入するなど、よほど腹をくくらなければ達成困難と思われる、従来にない大変厳しい内容になっております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 知事が提唱されております新生和歌山の創造を推進していくためには、今後公約しておられたITを生かした産業育成や少子化対策、高齢化対策等各般の施策を重点的かつ積極的に展開していくことが不可欠であると考えますが、そのためにはこの困難な状況にある財政問題への取り組みが避けて通れない非常に重要な課題であると考えます。この財政健全化という緊急かつ重要課題に対してどのように取り組んでいかれるのか、知事のご決意とご所見をお伺いいたします。
 次に、和歌山下津港沖、いわゆる雑賀崎沖埋め立てについてお尋ねをいたします。
 この問題については、当議会で何度も取り上げられ、いろんな角度から議論があったところであり、さきの知事選においても争点の一つとなって取り上げられたところであります。この埋立計画については、当初の計画に対して、景観保全の観点から大幅な見直しがなされ、以前の計画と比べ、景観上随分改善されたとも思っておりますが、何よりも和歌山県の将来の発展を考えるとき、和歌山下津港の港湾整備はぜひとも必要なものであると考えております。県当局も、さまざまな意見を聴取し、よりよい計画づくりに努力されたと思います。しかし、今なおこの計画に対して反対活動を行っている方々がおられることも周知の事実であります。知事は、今議会の所信表明で「県民各層の幅広いご意見を聞きまして、適切に対応してまいりたい」と述べられました。また、和歌山市長が最近の市議会において、反対派の方々や港湾関係者の方々の意見を知事に十分聞いていただき、慎重な対応をお願いしたいと表明し、先日、知事に対して直接要望があったと報道されております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 和歌山下津港沖埋立計画について、今年度予算化されている環境調査費も含めた今後の取り組みについて知事のお考えをお示し願います。
 最後に、知事が九月三日に当選され、九月七日に初登庁されて今日まで約一カ月、予算時期も目前に控えていろんな議論をされている中で、先ほどの知事の説明の中にもございました和歌山工科大学についてお伺いをいたしたいと思います。
 昨日の県議会の代表者会議において、また先ほどの知事の説明の中で、知事から和歌山工科大学新設プロジェクトを見直しの対象にしたいとの表明があり、全く驚いておるところでございます。けさからも、自民党県議団においては皆様方早朝からお集まりをいただいて、その旨のご報告もしたところでありまして、それぞれの議員が本当に真剣に心配をいたしておりますし、いろいろ議論があったことをこの議場を通じて知事に申し上げたいと思います。
 このプロジェクトについては、当初より、学生の確保は大丈夫か、卒業生の就職はあるのか、大学運営はうまくいくのかなどさまざまな問題が指摘され、県当局においてそれらの問題について検討に検討を重ねられてこられました。その結果、西口前知事が本県の二十一世紀における発展の礎となる人づくりと産業の活性化に極めて大きな意味を持つプロジェクトであると決断され、県議会としても二月議会においてその予算措置について議決をいたしたところであります。
 その後、半年が経過し、学識経験者から構成される準備委員会を何度も開催して教育課程や設備等の内容を検討するとともに、設立準備財団の職員の採用試験を実施し、さらに教員候補者についても大半を既に確保し、また文部省に対する設立準備財団の許可申請の手続なども含めて準備作業が順調に進んでいると聞いておりました。また、白浜町を初めとする田辺広域市町村圏に属する地元市町村や地元経済界などにおいても大学設置に向けて種々協力してきており、見直しの対象とされるなら、地元がこれについて検討する時間的余裕を与えるべべきであると考えます。このような状況の中、知事が就任一カ月後という短期間において見直しの対象とするという決断をなされたところでありますが、つきましては、このプロジェクトに対する知事の見解を改めてお示し願いたい。
 以上、木村知事の新しい県政ビジョンを含め何点かお尋ねいたしました。厳しい財政運営が避けられないという難局の中でありますけれども、新知事を先頭に新世紀に向けてふるさと和歌山のよさをさらにはぐくんでいただけますよう、新しい知事のリーダーシップに期待しつつ、私の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの橋本進君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに、橋本議員には私に対してご祝辞を賜り、心より御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 続きまして、ただいまのご質問に対して、一つずつお答えをさせていただきたいと思います。
 まず初めに、県政に対するビジョンについてということでございます。
 我が国や本県を取り巻く社会経済環境は、少子高齢化、経済構造の転換など問題が山積しておりまして、またIT革命の進展に伴う大競争時代に直面するなど、激しい変化に見舞われているところでございます。このような変化の中で、私は二十一世紀の時代潮流を見きわめ、それに鋭敏に対応し、思い切った政策の展開を図らなければならないと考えております。また、内外を見渡す大きな視野を持ちながら、例えば大阪府を初めとする他府県との連携、県内の地域特性を重視し、生活者の視点に立った県政を基本として、聖域なき徹底した行財政改革に不退転の決意で取り組んでまいりたいと考えております。さらに、現在抱えている懸案につきましても、住民の方々との対話と迅速な対応、この二つを基調に全力で解決を目指してまいる所存でございます。
 私は、困難にひるまず、改革の先駆けとなるという高い志を持ちながら、和歌山で暮らすすべての人たちにとって安心で活力みなぎる地域社会の創造に全力をもって邁進してまいりたいと存じます。
 次に、IT革命への対応についてでございます。
 議員のご質問にもございましたように、半島に位置し、過疎化、高齢化が進む本県にとりまして、ITの活用ということは極めて重要な課題であると認識しております。このため、本県といたしましては、電子政府の実現を目指す国の取り組みとも連携しながら、庁内業務における電子メール活用の推進や電子決裁の導入の検討など、行政の全分野にわたりITの活用による事務の効率化に努めるとともに、住民基本台帳ネットワークシステムの構築やインターネットのホームページを通じて各種手続書類の提供を行うなど、県民サービスの向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、和歌山県情報化推進協議会等において産・学・官の連携により講演会やイベントなど県民の方への普及啓発活動を推進するとともに、県経済の発展を図るため、ITを活用できる人材育成やSOHOへの支援等を行い、情報関連産業の育成と地域産業のIT活用を促進し、本県経済の構造改革を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、情報通信基盤の整備でございます。民間主導で進めることが原則ではございますけれども、ITの活用による住民サービスの充実や県内産業の振興を図る上で必須の基盤でもございますので、県といたしましても移動通信用鉄塔施設の整備支援や県下に構築している黒潮ネットワークの充実に加え、次世代の行政情報通信基盤整備を検討するなど積極的に対応し、ITを起爆剤として和歌山県の個性ある新時代を築いてまいりたいと考えております。
 次に、新産業の創出についてでございます。
 ご質問のとおり、県経済の活性化を図る上で新産業の創出、育成は極めて重要な課題であると考えております。現在の県経済の状況を見ますと、産業構造の転換がおくれたことや事業所の開業数が全国的に見て和歌山は低位に推移していることなどが低迷の一因であると考えております。県内の多くの企業者の方々とお会いしてまいりましたけれども、新分野進出等への意欲はあるものの、技術開発、人材、資金の問題、市場情報の不足など、さまざまな課題をお聞きいたしました。
 今後、こうした課題を解決するための支援策について、地元大学等はもとより、広く県外の有識者のご意見も参考にしながら、新産業創出、育成のための支援体制、環境整備の充実を図り、新たな企業や世界に羽ばたく企業が数多く輩出するよう、企業者の方々とスクラムを組んで頑張っていきたいと考えております。
 次に、道路交通網の整備についてでございます。
 紀伊半島に位置する和歌山県のさらなる県勢発展のためには、近畿や中部等の主要な経済圏と直結することが必要不可欠でございます。このため、二十一世紀の和歌山づくりにとって高速道路の整備は基盤整備の根幹をなすものであると考えております。関西大環状道路の一部を形成する京奈和自動車道につきましては奈良県境から和歌山市に向け、また紀伊半島を周遊する近畿自動車道紀勢線につきましては御坊市から順次南伸する形で、それぞれの区間において工事、用地買収、測量調査を鋭意推進してまいりたいと考えております。
 私といたしましては、各事業区間の早期完成に向け、国、道路公団に対し予算確保等について積極的に働きかけるとともに、一日も早く高速道路ネットワークが完成できるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、財政問題についてお答えを申し上げます。
 先日の本会議場における就任あいさつでも申し上げましたが、二十一世紀を目前にした大きな時代の転換点にあって、我々が取り組まなければならない課題は山積をいたしております。これらの課題に適切に対処していくためにも、私は不退転の決意で財政健全化に取り組んでまいらなければならないと考えております。具体的には、五月に県が策定いたしました財政運営プログラムにおける財政健全化策を基本としつつ、歳出の削減、歳入の確保に努めてまいりたいと考えております。特に歳出の削減につきましては、本年度から本格導入いたします事務事業評価システムにより各事業の費用対効果も判定しながら、すべての事務事業について、いわば行政の棚卸しとでも言うべき、聖域のない徹底した見直しを行ってまいりたいと考えております。また、既存の事業について抜本的な見直しを図る一方、二十一世紀の和歌山づくりに向け、必要な各種施策につきましては、優先順位をつけながら、限られた財源を重点的、効率的に配分する中で積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、雑賀崎沖埋め立て問題についてでございます。
 ご質問の雑賀崎沖埋め立て問題につきましては、さまざまなご意見があることは十分承知しているところでございます。私は、和歌山県が南海の雄県として、将来、県の外側に向けて発展していくことを考えるとき、海を活用していくことは大変重要な要素であると考えております。中でも、我が県の海の玄関口とも言える和歌山下津港の整備は今後とも必要であると考えておりますが、昨今の全国的な公共事業見直しの流れや将来における県内外の経済動向、和歌山下津港の取扱貨物量の動向など、社会経済状況を見きわめながら、柔軟かつ現実的な判断をしてまいりたいと考えております。
 このため、今年度予算計上されております環境調査費につきましては執行を見送ることとし、当面は既にある施設のより一層の活用を図るため、ご要望の強い上屋や荷役施設の整備、交通渋滞解消のためのアクセス道路の整備、さらに入港船舶をふやすためのポートセールスなどに努めてまいりたいと考えております。
 最後に、和歌山工科大学の整備につきましては、冒頭にもご説明をさせていただいたとおり、本県の財政状況が極めて厳しい状況にあることから、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直しを行っていく中で、この事業についても見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結いたしたいと存じます。今後、観光振興や高速道路の紀南延伸の促進などについてより一層推進することとし、地域の活性化に取り組んでまいりたいと存じます。
 私からは、以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、道路交通網の整備のうち、和歌山市の都市計画道路についてお答えいたします。
 和歌山市内の都市計画道路を整備することは、渋滞の解消を通じて県都和歌山市の発展のみならず県勢の発展に資する意味からも、重要な課題と認識しております。このため、渋滞解消が急務である紀の川を渡る路線及びJR紀勢線を越える路線の整備に重点的に取り組んでいるところでございます。
 現在の進捗状況でございますが、まず紀の川を渡る和歌山北バイパスについては、平成十四年度末には供用開始できるよう建設省に強く要望しております。
 次にJR紀勢線を越える湊神前線につきましては、宮前駅付近の高架区間を来年春に、新堀橋を平成十三年度末に供用開始する予定です。
 また南港山東線につきましては、JR線路下を横断する区間の工事を促進し、平成十六年度中に供用開始できるよう努力してまいります。
 次に今後の促進方策についてでございますが、昨年から海草建設部に用地の取得を促進するため用地職員を路線ごとに配置する等、組織を強化したところであり、成果も着実に上がってきております。また用地の外部委託につきましては、既に平成十一年度から県土地開発公社へ用地取得を委託しており、民間委託についても補償説明業務について補償コンサルタントへの委託に向けて調整を行っているところでございます。また、早急に建設省、県、市の三者から成る道路整備推進協議会を設立し、定期的に情報交換や課題調整を行い、道路事業の円滑な推進を図ってまいることとしております。
 今後とも、県民への情報の提供に努め、国、県、市の役割分担のもと、市内の幹線道路のネットワークの早期整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、橋本進君の質問が終了いたしました。

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