平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十二年九月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十二年十月五日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     出納長        中   山   次   郎
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     環境生活部長     道   浦       渥
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       辻           健
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       佐   竹   欣   司
     調査課長       梶   本   皓   造
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 議長のお許しをいただきましたので、ここで発言をさせていただきたいと存じます。
 私は、本県の財政状況が大変厳しいこと、また喫緊に解決しなければならない懸案が山積していることを改めて強く感じているところでございます。これからの県政は、時代潮流をしっかりととらえ、これにマッチした思い切った政策の転換を図る必要があると考えております。このため、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直しをしなければならないと考えております。
 和歌山工科大学整備事業につきましても、その必要性を否定するものではございませんが、この際見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結したいと存じます。
 まことにつらい思いではございますが、何とぞ議員各位を初め関係各位のご理解を賜りますよう、心からお願い申し上げる次第でございます。
○議長(阪部菊雄君) 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百四十二号は、職員に関する条例の改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。 十六番橋本 進君。
  〔橋本 進君、登壇〕(拍手)
○橋本 進君 おはようございます。
 議長から発言の許可をいただきましたので、順次ご質問を申し上げます。
 木村知事が誕生して初めての記念すべき本議会に、自由民主党県議団から最初に登壇させていただき、一般質問のトップバッターとして県政の重要課題について質問をさせていただきます。少し長くなりますけれども、ご容赦を賜りたいと思います。
 まず、木村知事、おめでとうございます。知事選挙でのはえあるご当選、ご就任、心からお祝いを申し上げます。二十世紀から二十一世紀へのかけ橋をかける責任ある役割を担われ、何かとご苦労の多いことかと思いますが、県勢発展のためにご尽力されますよう、心からお願いを申し上げます。
 さて、木村知事が選挙中、「二十一世紀のトップランナー」をキャッチフレーズに戦われたのは、皆様ご承知のとおりであります。そして、この言葉から新鮮な感じを受け取ったのは私一人ではないと思います。このキャッチフレーズに込められた知事の思いと熱意を容易に推しはかることはできませんが、今後の県政を運営する上での大きなテーマとして、常に知事はもとより県職員が一丸となって諸課題に取り組んでいかなければなりません。知事はまた、選挙中、県下を駆けめぐりながらアンテナを高く上げて、最新の情報を集めるためにもIT革命が必要だと言われ、一方、高齢化の進んだ現状から福祉の心をもって行政を行うことを明言されておりました。私もまた同感であります。木村知事は、フレッシュな、そして視野の広い時代感覚とあわせて、温かい福祉の気持ちを大切にしながら県政を推進していただきたいと希望するものであり、私たち自由民主党県議団も、木村県政を見守りながら与党として支えていきたいと存じております。
 昭和二十二年に公選知事として初めて小野知事が誕生して以来、大橋、仮谷、西口知事と、五十年に及び、脈々と受け継がれてまいりました。そして、その歴代の知事は、数々の難局を乗り越え、和歌山県の礎を築き、県勢の発展をもたらしてまいったところであります。さきの西口知事におかれては、県民にとって県政を身近なものにするため、一貫して開かれた県政の実現の推進と、だれもが住んでよかったと実感できるふるさとを築くことに全精力を傾けられ、力強く県政を進めてこられました。折しも、我が国の社会経済情勢は、バブル経済の破綻により長期にわたり厳しい時期が続き、本県においても大変厳しい状況に置かれております。そうした中、西口知事は、県政各般にわたり積極的に取り組み、大きな成果を残してまいりました。まことに残念ながら、健康上の理由で任期途中の退任となりましたが、和歌山県の発展に多大な貢献をしていただいたものと考えております。
 その西口知事の後を受けて、このたびの県知事選挙において木村知事が多くの県民の支持を受け誕生し、間近に迫った二十一世紀の県政のかじ取り役を担うことになりました。木村知事は自治省の出身で、国の政策にも精通し、また赴任された各地方自治体では幹部として重責を果たし、そして本県では総務部長、大阪府では副知事を歴任して多くの難題に立ち向かい、解決をもたらした、いわば地方行政のエキスパートであると認識してございます。このようなことから、知事は多くの府県の事情も認識しておられ、知事として県政を預かる職責の重要さ、難しさを感ずるとともに、和歌山県の発展のためには何が最も必要なのか、将来構想を初め県政の推進策について既にお考えをお持ちのことと思います。知事が選挙を通じて県民に公約されたテーマを中心に、これから順次質問をしてまいりたいと思います。
 まず初めに、今議会の所信表明で開かれた和歌山県という大きな視野に立ち、安心と活力みなぎる新生和歌山の創造に取り組むとの決意をお聞かせいただきましたが、県政をリードしていくに当たり、どのように進めていくのか、いわば木村県政のビジョンをお示し願いたいと思います。
 次に、IT革命への対応であります。
 開会中の臨時国会で森首相が、日本型IT社会の実現こそが二十一世紀という時代に合った豊かな国民生活の実現と我が国の競争力の強化を実現するためのかぎであるとし、今国会にIT基本法案の提出、IT国家戦略の早急な取りまとめ、超高速インターネットを整備し、五年後には我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げることなどを表明されました。また国においては、二十一世紀初頭に電子政府の実現を目指すという方針が示され、二〇〇三年までに行政手続をインターネットを利用し、ペーパーレスで行える基盤の構築や平成十三年度には国と都道府県とのネットワーク化、平成十五年度にはそれの市町村への拡大を図ることとされており、本年七月にはこれらの施策を推進するため、内閣総理大臣を先頭にIT戦略本部が内閣に設置されたところであります。また、八月二十八日にはIT革命に対応した地方公共団体における情報化推進施策等の推進に関する指針が示されたところであります。さらに、民間の企業においてもインターネット利用が約九割に及び、ITを取り入れた商取引のEコマースが盛んに行われるなど、経済活動においてはITは不可欠の技術となってきております。このように、我が国ではITは社会経済活動を発展さす上での起爆剤として、広範な分野で導入が進みつつあります。
 一方、半島に位置し、過疎化、高齢化が進展するなど地理的、社会的に不利な条件を有する本県にとって、ITは時間的、地理的条件を克服し、今後の飛躍的発展を可能にすることができる技術であることから、積極的にこのITを産業活動や住民サービスの向上、行政事務の効率化に取り入れていくことが極めて重要であると認識してございます。
 知事は、このたびの選挙における公約で、県の活性化を図るためにITを積極的に活用することを掲げられ、所信表明でもその重要性を述べられております。今後のITに関する本県の取り組みについてお考えをお示し願います。
 次に、新産業の創出についてであります。
 長期にわたって低迷してきた日本経済でありますが、最近になって企業の設備投資意欲が高まりつつあり、ようやく回復の兆しが見えてきたように言われております。現在はIT関連の半導体やインターネット関連を中心とした産業が注目されているところでありますが、次の段階においてはバイオテクノロジー関連産業、そしてその次にはナノテクノロジー関連産業というように、リーディング産業は二十一世紀において目まぐるしく変わっていくと言われております。また、市場のグローバル化ということが言われ、昨今のIT化によりますますそれに拍車がかかり、高品質の製品がどこでつくられているかといった情報が瞬時に世界じゅうに伝わり、注文がそこに殺到するという時代に突入していくことになると考えられます。このような時代には、細分化された専門分野、いわゆるニッチ分野と呼ばれるすき間の分野での高い技術力を背景に、国際市場の一定シェアを占有するといった極めて高い競争力を持つ中小企業、世界じゅうで一つというオンリーワン企業が優位に立つと言われております。
 先日、日経の優良企業ランキングで一位になった京都のロームもそうした企業の代表例であり、本県においても独自の技術を駆使して世界に羽ばたいている企業が何社か出現してきております。要するに、これからの企業の生き残り、または発展していく企業というものは、創造的な技術なり手法を手にした企業であると考えます。したがって、このような時代にあって県経済の活性化を図るためには、社会の新たなニーズと技術の進展によって生み出される新たな産業分野を創出、育成していくことこそが何よりも重要なことであります。
 知事は、新生和歌山の創造を推進するための主要な施策の第一に産業の活力創造を掲げられましたが、新産業の創出、育成のためにどのような施策を講じていかれるのか、お考えをお示し願います。
 次に、道路交通網の整備についてであります。
 まず高速道路の整備についてでありますが、盛んに公共事業見直しが叫ばれ、道路整備も十分できたというような報道がなされている昨今でございます。しかしながら本県の道路事情は、観光立県を標榜しながら、夏休み等の道路渋滞は観光客をうんざりさせ、日常の生活、経済活動にさえ支障を及ぼすほどの実態であります。特に、御坊市までしか完成していない近畿自動車道紀勢線及び京奈和自動車道の二つの高速道路建設は、本県全体の活性化のために一刻の猶予なく促進すべきものであります。
 知事は、所信表明で交流ネットワークの創造を唱えられました。そして、新世紀は交流の時代であるとも言われております。交流とは、より広範な地域の人々が、より手軽に行き来し、それぞれの地域の自然や文化を、そして新鮮な海山の幸を新鮮な状態で互いに享受することができることであります。和歌山の自然を求めて、その幸を求めて多く人が訪れていただける、その交流の大きな手段としての高速道路の整備は本県においてまだまだこれからだと思うのであります。西口前知事時代から、県内二時間行動圏ということで、高速道路建設を初めとする広域交通体系の整備に積極的に取り組んでいただき、大きな成果を上げつつあるわけでありますが、木村新知事におかれましても、その理念を引き継ぎ、さらに拍車をかけて積極的に推進されるよう要望するものであります。
 そこで、本県の高速道路建設の取り組みの現状と今後の推進方についてお考えをお示し願います。
 また、高速道路の整備とともに急がなければならないのは、県都である和歌山市の道路網整備であります。
 今や、都市化の進展から、安定、成熟した都市型社会の時代に移行していると言われております。和歌山市においても、中心市街地の活性化等、都市部の町づくりが求められているところであり、そのためにおくれている都市計画道路や駅前広場等の都市基盤の整備を急ピッチで進めていく必要があります。殊に、岩出町、貴志川町、海南市など和歌山市周辺部から和歌山市中心部に連絡している各道路、紀の川右岸から中心部への道路などにおいて慢性的な交通渋滞が発生し、多くの県民が経済活動や日常生活に大きな支障を来している実態があるにもかかわらず、なかなか改善されないのであります。こうしたことを憂慮し、昨年六月議会でも質問をいたしましたが、改めて新知事にお訴えをし、その早期整備を願うものであります。
 後ほど申し上げますが、県の財政状況はまことに厳しい状況にあります。しかしながら、だからこそ効果のある事業の執行が肝要であり、中でも都市計画道路は都市基盤として重要な施策であり、その整備を図ることが和歌山市の活性化にも結びつくものであることから、一層促進しなければなりません。現在、建設省によって和歌山北バイパス、県と市によって南港山東線、湊神前線、西脇山口線、市駅小倉線、松島本渡線、紀三井寺駅前線等の整備が進められております。宮前駅付近での高架工事、新堀橋のかけかえ工事、南港山東線のJRとの立体交差等、次第に目に見える状況になりつつありますが、なかなか供用開始のめどが明らかになってまいりません。申し上げるまでもなく、道路整備のかぎは用地取得にあります。そのための市民の協力なくしては整備もままならないのであります。市民の期待と関心にこたえるためにも、そして事業促進に向け市民の協力を得るためにも、もっと市民に都市計画道路の情報を提供することも考えなければならないと思います。
 こうしたことを踏まえ、土木部長にお尋ねいたします。
 都市計画道路の現在の事業進捗の状況と供用開始のめど、及び今後の整備の促進方策について具体的にお示し願います。
 次に、近年大変厳しい状況にある本県の財政問題についてお尋ねをいたします。
 昨年八月に本県の財政運営プログラムが公表されましたが、それによりますと、本県財政は長引く景気の低迷とたび重なる減税の実施等により県税収入が大幅に落ち込み、また県立医大、ビッグホエール等の大規模プロジェクトや数次にわたる経済対策の実施に伴い、大量に発行された県債の償還が本格化していることや、これらの状況に対応するために財源不足額を基金の取り崩しにより補てんしてきた結果、基金残高が急激に減少していることを取り上げ、大変厳しい状況にあるとの認識が示されております。確かに、税収が伸びない中、過去に大量に発行した県債の償還が始まって、公債費が平成十一年度には七百億円台と大幅に伸び、県民一人当たり五十八万円もの借金状態になっているわけであります。加えて、県債管理基金、財政調整基金がこのままでは数年後には底をつきそうな状態であります。まことに憂慮すべき事態であると言わざるを得ません。
 このような状況を踏まえて、さきに策定された財政運営プログラムを補完する形で、本年五月に財政運営プログラムIIが策定されたのであります。この財政運営プログラムIIによりますと、今後特段の財政削減を実施しない場合には、財政健全化期間中の平成十三年度から十五年度までの各年度において百六十億円から百八十億円の財源不足が見込まれるとの中期展望による試算が示されております。この結果、平成十四年度には財政調整基金、県債管理基金が底をつき、このままでは予算が組めなくなるという最悪の事態に立ち至るおそれが生ずるのであります。そういうわけで、この構造的な収支の不均衡を改善するために、具体的方策と財源確保の目標額が示されているわけでありますが、具体的方策としては給与関係経費の削減や管理事務経費の削減等から成る県の行政内部における努力と、経常的経費の見直しや投資的経費の見直しから成る施策の抜本的見直しが示されております。また財源確保の目標額については、平成十三年度から十五年度までの三年間で、一つは県行政内部における努力として八十億円、施策の抜本的見直しとして二百三十五億円、合わせて三百十五億円の歳出削減の目標額が掲げられ、内容的にも公共事業についてシーリング制を導入するなど、よほど腹をくくらなければ達成困難と思われる、従来にない大変厳しい内容になっております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 知事が提唱されております新生和歌山の創造を推進していくためには、今後公約しておられたITを生かした産業育成や少子化対策、高齢化対策等各般の施策を重点的かつ積極的に展開していくことが不可欠であると考えますが、そのためにはこの困難な状況にある財政問題への取り組みが避けて通れない非常に重要な課題であると考えます。この財政健全化という緊急かつ重要課題に対してどのように取り組んでいかれるのか、知事のご決意とご所見をお伺いいたします。
 次に、和歌山下津港沖、いわゆる雑賀崎沖埋め立てについてお尋ねをいたします。
 この問題については、当議会で何度も取り上げられ、いろんな角度から議論があったところであり、さきの知事選においても争点の一つとなって取り上げられたところであります。この埋立計画については、当初の計画に対して、景観保全の観点から大幅な見直しがなされ、以前の計画と比べ、景観上随分改善されたとも思っておりますが、何よりも和歌山県の将来の発展を考えるとき、和歌山下津港の港湾整備はぜひとも必要なものであると考えております。県当局も、さまざまな意見を聴取し、よりよい計画づくりに努力されたと思います。しかし、今なおこの計画に対して反対活動を行っている方々がおられることも周知の事実であります。知事は、今議会の所信表明で「県民各層の幅広いご意見を聞きまして、適切に対応してまいりたい」と述べられました。また、和歌山市長が最近の市議会において、反対派の方々や港湾関係者の方々の意見を知事に十分聞いていただき、慎重な対応をお願いしたいと表明し、先日、知事に対して直接要望があったと報道されております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 和歌山下津港沖埋立計画について、今年度予算化されている環境調査費も含めた今後の取り組みについて知事のお考えをお示し願います。
 最後に、知事が九月三日に当選され、九月七日に初登庁されて今日まで約一カ月、予算時期も目前に控えていろんな議論をされている中で、先ほどの知事の説明の中にもございました和歌山工科大学についてお伺いをいたしたいと思います。
 昨日の県議会の代表者会議において、また先ほどの知事の説明の中で、知事から和歌山工科大学新設プロジェクトを見直しの対象にしたいとの表明があり、全く驚いておるところでございます。けさからも、自民党県議団においては皆様方早朝からお集まりをいただいて、その旨のご報告もしたところでありまして、それぞれの議員が本当に真剣に心配をいたしておりますし、いろいろ議論があったことをこの議場を通じて知事に申し上げたいと思います。
 このプロジェクトについては、当初より、学生の確保は大丈夫か、卒業生の就職はあるのか、大学運営はうまくいくのかなどさまざまな問題が指摘され、県当局においてそれらの問題について検討に検討を重ねられてこられました。その結果、西口前知事が本県の二十一世紀における発展の礎となる人づくりと産業の活性化に極めて大きな意味を持つプロジェクトであると決断され、県議会としても二月議会においてその予算措置について議決をいたしたところであります。
 その後、半年が経過し、学識経験者から構成される準備委員会を何度も開催して教育課程や設備等の内容を検討するとともに、設立準備財団の職員の採用試験を実施し、さらに教員候補者についても大半を既に確保し、また文部省に対する設立準備財団の許可申請の手続なども含めて準備作業が順調に進んでいると聞いておりました。また、白浜町を初めとする田辺広域市町村圏に属する地元市町村や地元経済界などにおいても大学設置に向けて種々協力してきており、見直しの対象とされるなら、地元がこれについて検討する時間的余裕を与えるべべきであると考えます。このような状況の中、知事が就任一カ月後という短期間において見直しの対象とするという決断をなされたところでありますが、つきましては、このプロジェクトに対する知事の見解を改めてお示し願いたい。
 以上、木村知事の新しい県政ビジョンを含め何点かお尋ねいたしました。厳しい財政運営が避けられないという難局の中でありますけれども、新知事を先頭に新世紀に向けてふるさと和歌山のよさをさらにはぐくんでいただけますよう、新しい知事のリーダーシップに期待しつつ、私の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの橋本進君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに、橋本議員には私に対してご祝辞を賜り、心より御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 続きまして、ただいまのご質問に対して、一つずつお答えをさせていただきたいと思います。
 まず初めに、県政に対するビジョンについてということでございます。
 我が国や本県を取り巻く社会経済環境は、少子高齢化、経済構造の転換など問題が山積しておりまして、またIT革命の進展に伴う大競争時代に直面するなど、激しい変化に見舞われているところでございます。このような変化の中で、私は二十一世紀の時代潮流を見きわめ、それに鋭敏に対応し、思い切った政策の展開を図らなければならないと考えております。また、内外を見渡す大きな視野を持ちながら、例えば大阪府を初めとする他府県との連携、県内の地域特性を重視し、生活者の視点に立った県政を基本として、聖域なき徹底した行財政改革に不退転の決意で取り組んでまいりたいと考えております。さらに、現在抱えている懸案につきましても、住民の方々との対話と迅速な対応、この二つを基調に全力で解決を目指してまいる所存でございます。
 私は、困難にひるまず、改革の先駆けとなるという高い志を持ちながら、和歌山で暮らすすべての人たちにとって安心で活力みなぎる地域社会の創造に全力をもって邁進してまいりたいと存じます。
 次に、IT革命への対応についてでございます。
 議員のご質問にもございましたように、半島に位置し、過疎化、高齢化が進む本県にとりまして、ITの活用ということは極めて重要な課題であると認識しております。このため、本県といたしましては、電子政府の実現を目指す国の取り組みとも連携しながら、庁内業務における電子メール活用の推進や電子決裁の導入の検討など、行政の全分野にわたりITの活用による事務の効率化に努めるとともに、住民基本台帳ネットワークシステムの構築やインターネットのホームページを通じて各種手続書類の提供を行うなど、県民サービスの向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、和歌山県情報化推進協議会等において産・学・官の連携により講演会やイベントなど県民の方への普及啓発活動を推進するとともに、県経済の発展を図るため、ITを活用できる人材育成やSOHOへの支援等を行い、情報関連産業の育成と地域産業のIT活用を促進し、本県経済の構造改革を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、情報通信基盤の整備でございます。民間主導で進めることが原則ではございますけれども、ITの活用による住民サービスの充実や県内産業の振興を図る上で必須の基盤でもございますので、県といたしましても移動通信用鉄塔施設の整備支援や県下に構築している黒潮ネットワークの充実に加え、次世代の行政情報通信基盤整備を検討するなど積極的に対応し、ITを起爆剤として和歌山県の個性ある新時代を築いてまいりたいと考えております。
 次に、新産業の創出についてでございます。
 ご質問のとおり、県経済の活性化を図る上で新産業の創出、育成は極めて重要な課題であると考えております。現在の県経済の状況を見ますと、産業構造の転換がおくれたことや事業所の開業数が全国的に見て和歌山は低位に推移していることなどが低迷の一因であると考えております。県内の多くの企業者の方々とお会いしてまいりましたけれども、新分野進出等への意欲はあるものの、技術開発、人材、資金の問題、市場情報の不足など、さまざまな課題をお聞きいたしました。
 今後、こうした課題を解決するための支援策について、地元大学等はもとより、広く県外の有識者のご意見も参考にしながら、新産業創出、育成のための支援体制、環境整備の充実を図り、新たな企業や世界に羽ばたく企業が数多く輩出するよう、企業者の方々とスクラムを組んで頑張っていきたいと考えております。
 次に、道路交通網の整備についてでございます。
 紀伊半島に位置する和歌山県のさらなる県勢発展のためには、近畿や中部等の主要な経済圏と直結することが必要不可欠でございます。このため、二十一世紀の和歌山づくりにとって高速道路の整備は基盤整備の根幹をなすものであると考えております。関西大環状道路の一部を形成する京奈和自動車道につきましては奈良県境から和歌山市に向け、また紀伊半島を周遊する近畿自動車道紀勢線につきましては御坊市から順次南伸する形で、それぞれの区間において工事、用地買収、測量調査を鋭意推進してまいりたいと考えております。
 私といたしましては、各事業区間の早期完成に向け、国、道路公団に対し予算確保等について積極的に働きかけるとともに、一日も早く高速道路ネットワークが完成できるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、財政問題についてお答えを申し上げます。
 先日の本会議場における就任あいさつでも申し上げましたが、二十一世紀を目前にした大きな時代の転換点にあって、我々が取り組まなければならない課題は山積をいたしております。これらの課題に適切に対処していくためにも、私は不退転の決意で財政健全化に取り組んでまいらなければならないと考えております。具体的には、五月に県が策定いたしました財政運営プログラムにおける財政健全化策を基本としつつ、歳出の削減、歳入の確保に努めてまいりたいと考えております。特に歳出の削減につきましては、本年度から本格導入いたします事務事業評価システムにより各事業の費用対効果も判定しながら、すべての事務事業について、いわば行政の棚卸しとでも言うべき、聖域のない徹底した見直しを行ってまいりたいと考えております。また、既存の事業について抜本的な見直しを図る一方、二十一世紀の和歌山づくりに向け、必要な各種施策につきましては、優先順位をつけながら、限られた財源を重点的、効率的に配分する中で積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、雑賀崎沖埋め立て問題についてでございます。
 ご質問の雑賀崎沖埋め立て問題につきましては、さまざまなご意見があることは十分承知しているところでございます。私は、和歌山県が南海の雄県として、将来、県の外側に向けて発展していくことを考えるとき、海を活用していくことは大変重要な要素であると考えております。中でも、我が県の海の玄関口とも言える和歌山下津港の整備は今後とも必要であると考えておりますが、昨今の全国的な公共事業見直しの流れや将来における県内外の経済動向、和歌山下津港の取扱貨物量の動向など、社会経済状況を見きわめながら、柔軟かつ現実的な判断をしてまいりたいと考えております。
 このため、今年度予算計上されております環境調査費につきましては執行を見送ることとし、当面は既にある施設のより一層の活用を図るため、ご要望の強い上屋や荷役施設の整備、交通渋滞解消のためのアクセス道路の整備、さらに入港船舶をふやすためのポートセールスなどに努めてまいりたいと考えております。
 最後に、和歌山工科大学の整備につきましては、冒頭にもご説明をさせていただいたとおり、本県の財政状況が極めて厳しい状況にあることから、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直しを行っていく中で、この事業についても見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結いたしたいと存じます。今後、観光振興や高速道路の紀南延伸の促進などについてより一層推進することとし、地域の活性化に取り組んでまいりたいと存じます。
 私からは、以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、道路交通網の整備のうち、和歌山市の都市計画道路についてお答えいたします。
 和歌山市内の都市計画道路を整備することは、渋滞の解消を通じて県都和歌山市の発展のみならず県勢の発展に資する意味からも、重要な課題と認識しております。このため、渋滞解消が急務である紀の川を渡る路線及びJR紀勢線を越える路線の整備に重点的に取り組んでいるところでございます。
 現在の進捗状況でございますが、まず紀の川を渡る和歌山北バイパスについては、平成十四年度末には供用開始できるよう建設省に強く要望しております。
 次にJR紀勢線を越える湊神前線につきましては、宮前駅付近の高架区間を来年春に、新堀橋を平成十三年度末に供用開始する予定です。
 また南港山東線につきましては、JR線路下を横断する区間の工事を促進し、平成十六年度中に供用開始できるよう努力してまいります。
 次に今後の促進方策についてでございますが、昨年から海草建設部に用地の取得を促進するため用地職員を路線ごとに配置する等、組織を強化したところであり、成果も着実に上がってきております。また用地の外部委託につきましては、既に平成十一年度から県土地開発公社へ用地取得を委託しており、民間委託についても補償説明業務について補償コンサルタントへの委託に向けて調整を行っているところでございます。また、早急に建設省、県、市の三者から成る道路整備推進協議会を設立し、定期的に情報交換や課題調整を行い、道路事業の円滑な推進を図ってまいることとしております。
 今後とも、県民への情報の提供に努め、国、県、市の役割分担のもと、市内の幹線道路のネットワークの早期整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、橋本進君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
 許可をいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 最初に、知事選挙に関連して、自民・公明・保守三党の本部の幹事長と和歌山県選出の国会議員が当時の和歌山県副知事高瀬氏に対して与えた「和歌山県の重要事項について」の「ご要望に対する回答」、いわゆる念書なるものについてお尋ねをさせていただきます。
 この件に対して木村知事が、当時まだ知事ではありませんでしたけれども、かかわっていたかどうかは私どもの知るところではありませんが、念書なるものが今後の県政にどのようなかかわりを持つものなのか、知事に所見をお伺いしたいと思います。
 ここに、私の手元に念書があります。知事も、これは恐らくごらんになっていらっしゃると思います。
 第一に、この念書は当時の副知事に約束されたものでありますが、これは県政にとってどのような性格のものなのでしょうか。また、何が約束されたのですか、明らかにしていただきたいと思います。
 二つ目、この文書は、巷間、高瀬氏の知事選挙への出馬見送りに対する見返りだとされているところです。それは、この文書の一節に、「この度、和歌山県が各党各派のご協力のもと、県議会、市長会、県市町村会をはじめ、各種の有力団体のお力添えをお願いしながら、知事選に向けて一層のご協力を要請するものであります」という文言からも十分に推測されるものであります。裏返せば、高瀬氏が立候補すれば県や県民の要望の実現には協力をいたしかねるという意味でもありましょう。知事選挙の候補者選定に政権与党の幹事長や国会議員が県の要望や県民の要望を取引材料にするというのは、県民をないがしろにし、地方自治を侵害するものだと思うのであります。知事自身がこの取引に参画していたかどうか、私たちの知るところではありません。このような取引のもとに候補者となり当選した知事として、この件についてはそれなりの思いをお持ちだろうと思います。いかがお考えですか。
 三つ目、今後とも、県や県民の要望が政権党の党略的な思惑によって地方支配の道具にされることは絶対あってはならないことだと考えるものです。今後、国への予算要望に当たっていかがなことをお考えですか。
 次に、雑賀崎の埋め立てについてお尋ねを申し上げます。
 今般の知事選挙において知事は、雑賀崎沖の埋め立て問題は、先入観を持たないで白紙で臨むとして、具体的対応については態度を表明されませんでした。単なる前知事の政治を踏襲するというのではなく、みずからの頭で考え判断するという姿勢には共感するものでありますけれども、それが単なる選挙期間中のポーズであってはなりません。ついては、幾つか質問を申し上げます。
 その一つは、雑賀崎沖埋立計画は、既に環境アセスメントの前段階としての調査が七千二百万円の予算をもって執行されつつあります。白紙でこの問題に当たられると言うならば、なし崩し的に継続するものでなく、この調査を一たん中止し、事後に当たるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 二つ目、私たち日本共産党は、従来からこの計画にかかわる一切の情報を公開すべく求めてまいりました。港湾計画の根拠となる将来の貨物需要予測とその根拠、埋め立てに必要な建設残土の排出予測とその根拠、費用対効果の算定根拠、それぞれについては幾度となく質問してまいりましたけれども、明らかにされませんでした。ある種の数値は示されましたが、そのよって来るべき根拠は全く示されませんでした。知事が白紙から検討するということは、当然それらを検討することになるでしょう。その資料を公開し、県民に十分の説明責任を果たしていただきたいと思うものです。いかがでしょう。
 三つ目、三億三千万円を予定し、住民合意も得ないまま環境アセスメントのタイムスケジュールが定められているようであります。こういうことも秘密にされ、先日これは裁判所の記録から私どもはわかってきたことですが、これについても当然白紙に戻して検討し直すべきだと思いますが、いかがでしょう。
 四つ目、適切な機会を見出して住民との話し合いをしたいとのニュアンスでの発言がありました。ぜひ早期に話し合いをしてください。ここでも、白紙の態度で住民の皆さんの心情を謙虚に聞き取り、政策判断の要素にすべきだと思います。前知事時代に既に港湾計画もできて、ことしから調査も開始し、環境アセスメントのタイムスケジュールもできているというとき、白紙で虚心坦懐に事に臨むということは極めて厳しい仕事であろうと察しはいたします。いやしくも、単に形だけ話を聞くということであってはなりません。いかがお考えになっていらっしゃるんでしょう。
 次に、介護保険問題についてお尋ねを申し上げます。
 介護保険が始まって、はや半年がたちました。国は、これまで受けてきた福祉の水準は下げません、介護する家族の負担を軽くするためと言って、十分な理解を得ないまま、たくさんの問題を抱えながらスタートをさせてまいりました。ところが、この間、介護認定を受けた方で、介護サービスの利用料が重くて必要なサービスが受けられないといったお年寄りが全国で随分とふえてまいりました。介護認定に基づき、利用者の希望を聞きながらサービス計画をつくり、利用料を提示し、利用者の合意があれば介護サービスが進められるわけですが、ほとんどの方が、「えっ、そんなに高いの。ちょっと待ってよ。考えさせて」と驚かれる姿がたくさんあるようです。生活費のこと、医療費のことを考えたら、いずれかのサービスをやめるか、回数を減らすか、苦しい判断をしなければならない場合、そのサービスをやめたら状態が悪くなることがわかっていても利用料が払えないためにやめざるを得ない事態に直面することもたびたびだあって、そのたびに、介護保険制度に対する疑問が広がるとも聞きます。私自身も同じ思いをしております。介護保険の本来の目的から考えても、国が声高に言ってきたサービスの水準をいささかでも後退させることは許されない事態でもあります。
 在宅介護サービスは、介護保険のかなめでもあります。介護保険が始まるまでは措置制度でしたので、福祉サービスとして多くのお年寄りが利用することもできました。本県では、ゴールドプランの目標を超えて、ホームヘルプやデイサービスなど、日本でもトップクラスの整備、利用状況であったことを思い出します。保険制度になって、埼玉県や北海道の民医連あるいは和歌山生協病院の調査では、利用限度額に対する利用率は平均三割から四割という大変低い状況にあります。
 福祉保健部長にお尋ねを申し上げますが、介護保険の始まる以前と始まってからの在宅サービスの利用状況はいかがなものでしょうか。以前は、今の介護保険では自立とされるお年寄りも平等に利用できたという違いがあります。同一的な比較はできないと思いますけれども、行政的把握の範囲で結構ですのでお聞かせいただきたいと思います。
 介護認定を受けても利用料が払えないため、必要なサービスが受けられないで我慢するより仕方がないと放置されるような介護保険では、何のために、だれのために制定したのかが今まさに問われている状況ではありませんか。
 現在、低所得者のお年寄りに対し利用料の減免や減額制度が全国二百四十七の市町村でつくられておるところです。本県では、野上町、日置川町、すさみ町、美里町、本宮町、こういったところで新規の利用者を含めて実施が行われてまいりました。
 国は、利用料について特別対策として、ホームヘルプサービスに限って四月以降の新規者を除いて利用料の三%への軽減を実施しております。我が党は、この軽減措置を新規のサービス利用者も含めてデイサービス、訪問看護、訪問リハビリ、入浴などすべての在宅サービスに広げることを最小限の緊急措置として提案をいたしているところです。すべてのサービスの利用率を発展させるためにも必要不可欠のものであると、私は思います。例えば東京の武蔵野市などでは、ホームヘルプの新規利用者も含めてデイサービス、通所リハビリの利用料を一律三%に軽減したことによってホームヘルプの利用時間数は二倍にふえました。そして、在宅サービスの全体の利用率は支給限度額に対して六三%と、大幅に伸びました。そして、平均五〇・四%の東京を上回る状態になって、利用者からも大変喜ばれていると聞き及んでいるところです。
 ご存じのとおり、この十月から、利用料に加えて六十五歳以上のすべてのお年寄りから新たに保険料の徴収が始まりました。保険料の徴収通知が、今、それぞれの役所から個人あてに届いているところです。既に届けられた自治体、これから通知を発送する自治体と、それぞればらばらのようでありますけれども、しかし既に通知が届いたところは、届いた直後から各自治体には苦情や問い合わせが殺到しているようです。京都市では、わずか三週間の間に一万一千件の問い合わせなどが殺到したと伝えられています。
 私は、県下で通知された橋本市を初め五市九町二村に、電話による苦情や問い合わせについてお尋ねをしてみました。これは、一日二十件から三十件、そして一週間から十日間の間に集中してかかるようであります。和歌山県は、六百件を数えたようであります。きょうから和歌山市が通知を出し始めますので、大変な事態になるのではないかと思っています。
 私が聞いた、それぞれの自治体への苦情や問い合わせが寄せられた内容についてご紹介したいと思います。勝手に年金から引かれたら困る、保険料が高く来年以降は払えなくなる、個人で契約したわけでもないのに内容もわからないまま進められては困る、少ない年金から引かれると生活できなくなる、サービスを利用していないのにおかしい、などです。納付の方法などについても随分問い合わせが多かったようであります。これは国民の十分な理解のないままのスタートでしたから、苦情は当然だと思います。お年寄りによっては利用料と保険料の二重パンチとなるわけですから、必要なサービスをお年寄りがさらに減らしていくのではないかと大変心配するところです。
 次に、お年寄りの八割が老齢福祉年金などで生活していると言われています。深刻な事態の中で自治体独自の保険料減免制度が全国で今百五十の自治体に広がっていますし、これからも広がろうとしております。本県におきましては、湯浅町、古座町、太地町、野上町、貴志川町、こういったところで実施する方向を明らかにしていますが、私はさらに広がることを望んでいるところであります。
 独自対策をやるかやらないかという問題でありますけれども、今厚生省がこういった部分に対して、一律に減免することは保険の性質から適切ではないということで指導を始めています。しかし、独自対策をやるかやらないかというのは、その地方自治体の裁量権の中にあるわけです。この保険料の徴収そのものについても自治事務に入りますから、国がそういった指導あるいは指示をするということは許されません。そういう点でも、国がこういった指導を行っていることについては厳しく問わなければならないと思います。
 私は、保険料の緊急措置として、住民税非課税のお年寄りや低所得者からは保険料は徴収しない措置をとることに力を入れるべきだと思うのです。県においても、国への積極的な要請はこれまでもおやりになっていたでしょうけれども、さらに強めていただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
 加えて、保険料徴収において重大な問題が表面化してまいりました。それは、年金収入の高い方よりも多くの保険料を請求されている、しかも大規模に生まれているということであります。ご存じのように、保険料は五段階に設定をされております。第一段階の老齢福祉年金受給者の年金は、一カ月三万四千三百円です。この年金額よりも高い第二段階、第三段階に設定された人が、収入という点では少ない人があります。ところが保険料は高いということになっていますから、大変矛盾した現象があらわれているわけです。厚生省の資料で見ると、こういう方が全国に二百五十三万人もいらっしゃると推定されています。こうした矛盾に気づいた大阪市は、第二段階の方の保険料の減免措置を決めています。全国で二百五十三万人という数ですから、恐らく和歌山県にもいらっしゃると思うわけです。それで、ぜひ県は市町村と協力して調査をし、支援策をとるべきだと思いますが、これについてもご答弁をお願いしたいと思います。
 次に、特別養護老人ホームとホームヘルパーについてお尋ねをいたします。
 特養ホームの入所希望者の待機者数と整備状況をお聞かせ願います。
 ホームヘルパーについてですが、人材養成は限りなく前進しているようですけれども、働く職場の確保との関係はどうなっているでしょうか、お聞かせください。
 次に、介護保険料に利用料という大変な事態が今起こっているわけですけれども、国は今国会に健康保険法の改悪案を上程し、七十歳以上のお年寄りに原則一割の医療費の負担を押しつけようとしているところです。これまでは、外来の場合、一回五百三十円の定額でした。これが一割の定率になりますと、例えば月一回、レントゲンや血液検査をして診察を受けた場合を試算してもらいましたら二千九百四十円となります。ですから、これまで一回五百三十円で済んでいたものが二千九百四十円ですから、二千四百十円の負担増になります。また入院の場合は、現在一日千二百円の定額負担になっています。これを今度の一割で計算した場合、例えば小脳出血で二週間入院した男性のケースで試算してみると、入院医療費と給食費は──この給食費は一日七百八十円ですが──二週間で二万七千四百四十円が四万八千百二十円になりますので、約二倍の負担増となります。お年寄り、低所得者にとっては、医療保険の改悪によって、介護保険料とあわせて二重、三重の苦しみや不安を増大させることになりますから、憲法第二十五条に保障された生存権そのものをも奪われかねない非常事態を招くのではないかと心配をいたしております。高齢化率の高い本県であるだけに、お年寄りを大切にするための行政の積極的な対策が望まれるところです。私は、この健康保険法の改正案そのものを撤回すべきだと考えております。関係部長の所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、福祉医療制度について知事の基本的な姿勢をお尋ね申し上げます。
 知事は、就任あいさつで、財政再建に当たっては五月の財政運営プログラムを基本として不退転の決意で取り組むと述べられました。基本とするというのですから変更する部分もあるとは思いますけれども、財政運営プログラムIIでは経常的経費の見直しで四十億円を削減するとなっています。その中で、特に長年にわたり制度が固定化され、その経費が義務化しているような県単独補助事業については積極的に制度の見直しを行うと断じておられます。
 例えば、県単独事業に四つの福祉医療、すなわち乳幼児医療、ひとり親家庭医療、老人医療、重度心身障害児(者)医療についての医療費助成制度が該当すると思われます。乳幼児は昭和十八年から、ひとり親家庭は昭和五十四年から、老人は昭和四十八年から、重度心身障害児(者)は昭和五十四年からということですから、それぞれ制度が実施されてから、はや二十年以上にもなります。これらの制度について、従来から市町村によっては県の制度より対象者や給付内容を広げる形で市町村単独で実施していることは、当局も認識されていると思います。財政運営プログラムにおいて、削減の理由、背景として掲げられている「社会経済情勢の変化」というところから見た場合、従来から実施しているのでただ漫然と続けているということではなく、逆に一層必要だというのが今の実態ではないでしょうか。
 例えば乳幼児医療について言えば、対象者が従来は三歳未満であったところ、平成十二年四月から美里町、かつらぎ町、由良町は四歳未満に対象者を拡大し、大塔村は平成十一年四月から六歳未満と対象者を倍加しています。この制度は、どうしても必要なものであります。だから財政の苦しい町村も、見直しや廃止ではなく、この制度を守り発展させていこうとしています。住民の要求にこたえていこうとしているんです。少子化問題としても、次代を担う重要な施策でもございます。どうか、乳幼児医療については就学前まで拡大することを特に希望しておきたいと思います。
 老人医療費助成制度については、実施していない県が約半数という状況でもありますが、和歌山県は対象を六十七歳以上に限定しているとはいえ、実施していることは大きく評価できます。ただ、近畿の他府県が六十五歳以上の実施という点から見てみますと、まだ発展充実させる余地はあると思います。
 知事にお尋ねをいたします。
 福祉医療制度の発展充実を県民が望んでいるのははっきりしているところでありますが、これらを削減するという方向ではなくて、さらに充実させるとの答弁を求めたいと思います。見解をお示しください。
 次に、廃棄物処理問題についてお尋ねをいたします。
 まず橋本市の日本工業所の産廃問題でありますけれども、県は健康調査や血液検査については、住民の皆さん方の要望を受け入れて前向きの姿勢に転換をし、それが実施に移されているところでありまして、これは大変評価できると思います。しかし、残された問題はまだたくさんございます。その一つは、県が行おうとしているジオメルト工法による処理の問題であります。
 さきに、住民団体と県及び業者との間で環境保全協定書が結ばれましたが、その第一条には、県及び業者は住民の理解と協力が不可欠であることを認識しということで、その理解と協力のもとに「地域住民の健全な生活環境を保全するために、最善の措置を講ずる」とうたっています。ところが、九月十六日に持たれた橋本市での公開討論会では、住民が納得していないジオメルト工法を進めようとしている県のやり方に批判の意見が相次いだと聞いております。この工法については、せんだって向井議員からも明らかにされましたけれども、まだ安全性が確認されておらず、まだ実証的には行われていないものであることは県も十分にご承知のはずです。それを既に決まったこととして住民に押しつけるのは、さきの環境保全協定の精神にも反すると考えるものですが、いかがでしょうか。
 次に、知事がこの問題で住民の皆さんと話し合うことを表明されたのは大変いいことだと思いますし、ぜひ実現をしていただきたいと思います。日本工業所の違法な産廃処理、それを黙認したり担当職員が業者からわいろをもらっていた事実を見ても、県行政の対応に今日の事態を招いた責任があることは明白であります。新知事の対応に住民の皆さんも大きな期待を抱いていらっしゃると思うわけです。もとの環境に復元するまで、県として責任を持って対応するとの決意を聞かせてください。
 次に、県のごみ処理の広域計画についてお尋ねをいたします。
 伊都・橋本の広域処理をめぐって、処理場の建設候補地に挙がっている高野口町で、今、候補地住民の皆さんが建設反対運動を行っています。私が住民の皆さんから聞いたところでは、候補地が学校の近くであることや、町が一方的に候補地を決めて、それを住民に押しつけたことに怒りを持たれています。来年三月までに住民の理解を得られないときにはこの計画は白紙になると聞きました。住民の皆さんもごみ処理場の必要性は認めておられますし、しかも早く決着をつける必要に迫られていることについても認めておられるわけです。私は、広域化計画そのものを今再検討すべきだと考えます。
 新宮・東牟婁地方では、当初の計画から大きく外れてきていますし、伊都地方では今申し上げたような状況です。ダイオキシン対策ということで大型化が進められているわけですが、国の方針は今、ごみ処理については減量やリサイクル、再資源化に大きく転換しています。今の広域化計画がそうした方針に沿った時点での計画ではなく、単に二十四時間稼働で高温の焼却処理がしやすいというだけではないのでしょうか。伊都・橋本の広域化計画では、新しい処理場では高野口の特殊織物の廃棄物や汚泥を燃やすということが盛り込まれている一方で、かつらぎ町では、県も入って生ごみの堆肥化施設をつくって、ごみの減量を進めることになっています。また、これからはごみの分別をどんどん進めなければならなくなります。そして、百トン未満の焼却炉であってもダイオキシンを大きく削減したという例が各地で見られるようになっています。
 広域化計画は自治体から出された計画をまとめたとのことですが、実際は振興局が主導して広域化を進めているのではないですか。まず百トン以上の炉をつくるという前提を外して、分別の促進や生ごみの堆肥化、再資源化の促進を前提にしたごみ処理の方向に合致した処理計画を県として指導すべきだと考えますが、見解をお願いいたします。
 最初の質問は、これで終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、議員お尋ねの文書についてでございますが、そのことについて承知する立場ではありませんので、答弁は差し控えさせていただきます。
 なお、県政の重要課題につきましては、積極的に推進していくべきものと考えております。
 次に雑賀崎の埋め立てについてでございますが、一点目の執行中のアセスの中止をと、三点目のアセスメントのタイムスケジュールの白紙化について、一括してお答えを申し上げます。
 雑賀崎沖の埋立計画のアセスメントにつきましては、まだ着手しておりません。また、今年度予算計上されている環境調査費につきましては執行を見送りたいと考えております。したがいまして、アセスメントのタイムスケジュールについては未定でございます。当面は、既にある施設のより一層の活用を図るため、ご要望の強い上屋や荷役機械の整備、交通渋滞解消のためのアクセス道路の整備、さらには入港船舶をふやすためのポートセールスなどに努めてまいりたいと考えております。
 雑賀崎沖の埋立計画について、すべての情報の公開をというご質問でございますが、雑賀崎沖の埋立計画につきましては、景観検討委員会や地方港湾審議会並びにその会議録を公開し、また貨物の需要予測や計画時の費用対効果についても議会において説明するなど、これまでも情報公開に努めてきたところでございます。本会議冒頭の就任あいさつでも申し上げましたとおり、県民みずからができることは、まずみずから行っていただくという県民自治の精神にのっとり、これからは積極的に県政に参加していただくことが重要と考えております。このため、今後とも、県といたしまして説明責任を果たしながら情報公開に努めてまいりたいと考えております。
 それから、県民の皆様に対しまして、常に誠実を旨として、謙虚さを忘れず、県政を預かる者としての責任感、危機意識を持って住民との対話について対応させていただきたいと考えております。
 次に福祉医療制度についてのご質問でございますが、本県におきましては、現在、財政運営プログラムに基づき、すべての事務事業について再度原点に立ち戻り、事務事業評価システムの本格導入を図りながら、それぞれの事業の必要性、事業効果、緊急性等を検討しているところでございます。
 福祉医療制度につきましても、制度発足当時と社会経済情勢が大きく変化していることを踏まえて十分な検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 介護保険関連についてお答えを申し上げます。
 まず在宅サービスの利用状況ですが、本年四月に介護保険制度が導入され、徐々に在宅サービスの利用者がふえていると承知してございます。介護保険導入前と後との利用者数の状況につきましては、制度が異なることから厳密な比較は困難ですが、例えば生きがいデイを含めたデイサービスについては利用者が三割強増加してございます。また訪問看護につきましても、医療保険も含めて約一割増加してございます。
 次に利用料、保険料についてでございますが、県といたしましては、高齢者の方々が必要なサービスを十分に受けられるよう介護サービスの充実等の残された課題に取り組むとともに、低所得者に対する利用料の恒久的な負担軽減を国に対して要望を行ってまいります。また保険料につきましては、現在、各市町村から納入通知書が順次住民の方々へ送付されている時期でありますので、引き続き市町村と連携を図りながら実態の把握に努めてまいります。
 次に特別養護老人ホームについてでございますが、特別養護老人ホームの入所待機者は平成十二年三月現在で七百三十八人となってございます。県といたしましては、入所待機者の解消を図るために、本年三月に策定したわかやま長寿プラン二〇〇〇に基づいて、特別養護老人ホームを積極的かつ計画的に整備していきたいと考えてございます。現在、五十七施設、三千五百三十五床を設置しておりまして、さらに三施設、百五十床を整備してございます。また、特別養護老人ホームに併設されているショートステイ用のベッドにつきまして、ショートステイの需要やわかやま長寿プラン二〇〇〇との整合性を図りながら、特別養護老人ホームのベッドに転換することも検討しているところでございます。
 次に、ホームヘルパーの確保についてでございます。
 県主催及び県知事指定の事業者によるホームヘルパー養成研修を実施し、平成十二年三月末の累計で九千百三十二名を養成したところでございます。本年度におきましては、約六千人を養成できる体制を整えたところであり、県主催の養成研修につきましては、ホームヘルパーの確保が難しいと言われている過疎地を中心に実施してまいりたいと考えてございます。また、研修を終了した者のその後の就職状況につきましては、今後把握に努めてまいります。
 最後に、健康保険法等の改正についてお答えをいたします。
 今後の急速な高齢化等による医療費の増加を考えますと、医療制度の改革は避けて通れない課題であり、この第一歩として今回健康保険法等の一部改正を行うものと聞いてございます。
 ご質問の高齢者医療に係る患者の一部負担につきましては、さまざまなご意見があるのは承知しておりますが、定額の上限を設け、過大な負担とならないよう一定の配慮をした上で定率一割制を導入するものと理解してございます。
 今後、県といたしましても、医療保険制度の抜本改革に向けて、高齢者にとってよりよい制度となるよう国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 産廃処理問題の二点についてお答えいたします。
 まず第一点目のジオメルト工法についてでございますが、地元、県及び鴻池組との間で締結した環境保全協定に基づく対策協議会の場や公開討論会の場、また公害紛争調停の場などを通じて、ジオメルト工法についてご理解をいただくための努力をしているところでございます。引き続き、この業務が円滑に進められるよう努めてまいります。
 二点目の、県は責任を持って環境整備をとのことでございますが、日本工業所問題の最終的な解決策につきましては、ダイオキシン類で汚染された土壌の恒久対策が完了した時点で地権者及び地元の皆さんと話し合ってまいりたいと考えてございます。
 次に、ごみ処理広域化計画についてであります。
 この広域化計画は、ごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類を削減することを主眼として市町村などと協議を重ね、平成十一年三月に策定したものであります。ごみ処理の広域化は国の方針に従って進めているところでありますが、循環型社会形成推進基本法など関係法令の施行によりリサイクルや分別収集などが促進され、今後ごみの減量がより一層進むことが予想されますので、市町村とも十分に連携を密にして、広域化計画を円滑に推進できますよう市町村を指導してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。大体予想したのが出てきたわけですけれども。
 第一点目、知事にお尋ねをするわけですけれども、知事、これはお読みになりましたね。質問するに当たって、私は担当者の方にちゃんとコピーをしてお渡しをしたんですが、知事は見てないんですか。まず、その点についてお答えをしていただきたいと思うわけです。
 これは、だれあてに来たのかというのが問題になると思うんです。私は全く承知する立場ではありませんと言われているわけですけれども、しかし、これのあて先、だれからだれに来たかというのは、もうはっきりしているわけです。「和歌山県の重要事項について」というのがありまして、「和歌山県知事職務代理者 高瀬芳彦殿」と書いてあるんですね。日付が平成十二年七月三十一日となっています。ですから、そういう点で見てみますと、中身的にも明らかに知事職務代理者──あくまでも個人ではありませんよね。ここで言えば、もう知事になるわけですよ。知事はいないわけですから、知事の職務を代理するということでトップになっているわけですから、ここのところを私たちとしてははっきりしておきたいと思うわけです。
 公文書であるかないかということについては別問題でありますし、確かに内容的には県が重要項目として挙げている三項目になっていてそれなりにいいと思うわけですが、しかしこの文書の中にこういうことが書いてあるんです。「和歌山県知事職務代理者高瀬芳彦氏より「西口前知事が特に情熱を傾け努力されておりました、次の三点について、この際、連立与党の野中・冬柴・野田の三幹事長及び県選出国会議員の格段のご努力をお願い申し上げたい」旨の強い要請がなされた」という趣旨でございます。そして、「このことに対し、三幹事長より、次のような回答がなされた」ということで、その三つの点に「次の通りお約束します」と書いてあるわけです。
 こういうふうに、行政そのものが出向いて政党の幹事長たちに県民の要望を申すというところまでは、ほおっという感じになりますけれども、私らから言わせたら高瀬さんの知事選挙への立候補を抑えるために県民の要望を道具に使ったと、こういうことが明らかでありますので、まさに地方自治を侵すことになると思うんです。
 知事は、今まで知らなかったとおっしゃっていますけれども、少なくとも今は知っておいでですよね。その文書も恐らく読んだと思うけれども、読まない、知らないとおっしゃっているんだと思うんです。事の本質は、もう既に十分おわかりのはずです。だから、あなた自身が地方自治の先頭に立つべき状況になっているわけですから、この件は逃げないでください。しっかりと答弁をしていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 これから先、この約束事が県政の中で生きてくると思うんです。知事は、先月二十九日の記者会見で梅枯れの現地視察を発表されたところです。そのときに、農水省の木下農産園芸局長が来和する、同行して云々ということが紹介されたわけです。このいわゆる念書の中にも、三つ目に書いてあるんですね。「以上の対策を強力に推進するため、今国会終了後、早急に農林水産省担当局長(農産園芸局長)を現地に派遣し、実情調査に当たらせます」、こういうふうにまさに命令というか約束を果たすということが書いてあるわけですけれども、それが現実のものになっているわけです。十四日においでになるということですから。しかし、これは七月三十一日の日付なんです。二カ月前に、既に自民党、公明党、保守三党の幹事長が高瀬さんあてに約束をされていたわけですね。
 だから、知事がこの念書を知りませんと言われても、この事実経過から見たらとても納得できないわけです。「承知いたしかねます」ということになると、農水省の方が今度来ることとの関係で見れば、本当に知事がこのことを知らなかったのかどうか、非常に疑問を持ちます。
 先ほどから申し上げましたように、すべてを承知する立場ではありませんとおっしゃるわけですけれども、あなたがどんなに逃れようとしても、行政の中にこの約束事が反映されてくるわけですから、知らないという立場はとれないと思うんです。私が質問するに当たって、あなたのところへ届くよう私がわざわざ担当者にお渡ししているんですから、知りませんなんていうことは行政内の怠慢じゃありませんか。もう一度お答えください。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 再度のご質問でございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたとおり、この問題については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、農水省の局長さんは行政ベースで、和歌山県の梅枯れ対策は非常に重要な問題という認識で来ていただくと承知しております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十八分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十五番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、去る九月三日に行われました県知事選挙におきまして木村良樹知事が県民の皆さんの絶大な支持を得て初当選を果たされましたことに、公明党県議団を代表いたしまして心よりお祝いを申し上げます。どうもおめでとうございます。
 木村知事は、公示わずか三週間前に大阪府副知事を辞職され、「二十一世紀のトップランナーへ わかやま創造」を掲げて知事選挙に挑戦し、見事勝利されました。新生和歌山の創造に向けて、新知事のご活躍を期待しております。
 九月定例県議会で木村知事は就任あいさつを行い、今ほど従来の社会経済システムの変革が求められている時代はありません、勝者と敗者の明暗がはっきりする大競争の時代を迎えていると時代認識を述べた上で、開かれた和歌山県、新生和歌山の創造、改革県庁を目指すとの三つの県政運営の基本的な考え方を示されました。
 そこで、行政改革の実行へ、私は改革県庁を目指すとの観点から質問を行ってまいります。
 現在、我が国の地方自治体の財政は、本県の場合も含めて極めて厳しい状況にあります。その原因の一つは、バブル経済期につくった右肩上がりの歳出計画をバブル崩壊後に見直すのが大幅におくれてきていることだと言われています。さらに、来るべき二十一世紀は少子高齢化社会の到来、いわゆる人口の減少期に入るわけであります。また、IT革命により自治体の意思決定システムに変化が生じ、従来では限られた人が限られた情報で時間をかけて判断していたことが、同じ情報を持つ多くの人が幅広い情報をもとにスピードにすぐれた意思決定ができる時代を迎えます。
 和歌山市の財政部長を経験されたことのある前自治省行政局行政体制整備室長の米田耕一郎氏は「月刊地方分権」の九月号で、「近年、「自治体経営」や「経営改革」など「経営」概念を核としたシステム改革の必要性が叫ばれることが多くなってきている。また、そのような経営改革のための手法として、バランスシートや行政評価などが紹介され、それらを実際に試みる自治体も多くなってきている」と述べております。今日までの行政改革においては、自治体が行う事務や事業を見直す手段として定員管理の徹底や予算のシーリングゼロベース化などの手法が用いられてきました。しかし、これらの手法を駆使しながら真剣に改革に取り組む自治体で、行革とは何か、自治体は何のために存在するのかとの、行政改革を深く追求していく流れの中で経営の考え方が登場してきたと言われています。
 三重県においては、これまでのトップ主導の改革運動を職員自身の内からの改革へと発展させ、職員の「みんなで、みずから、みなおす、三重づくり」の考えのもとに、行政システム改革のバージョンアップの取り組みが打ち出されました。その重要施策として行政経営品質診断基準による総点検が行われ、本年三月に結果報告書が知事に提出されました。その結果報告では、三重県の総合評価は平均的な民間企業の水準をはるかに超えるものであるとの評価がなされております。
 本県においては、平成十二年度に事務事業評価システムを導入していますが、手法はまだ確立していない状況であると伺っております。知事は改革県庁を目指して行政評価システムを導入し、県庁が実施するすべての事業を費用と成果という統一的尺度で評価し、県庁の意思決定に生かされてはと思いますが、改革県庁に向けてどう推進されるのか、お尋ねいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、建設省においては公共事業の新規事業採択時評価実施要領及び公共事業の再評価実施要領を策定し、これに基づいて平成十年より新規事業採択時における費用対効果分析を含む評価と事業採択後一定期間が経過している事業等の再評価を実施し、その結果を公表してきています。また、平成十一年八月には、公共事業の事後評価基本方針案に基づき、事業の事後評価を試行的に実施してきています。農林水産省及び運輸省においても同様の取り組みが行われております。
 公共事業の新規採択の際の評価手法は、実施事項に基づいて各事業ごとに特有の性質や事業を実施する上での課題となる問題を考慮した上で、費用対効果の分析、事業の必要性、効果、事業の熟度、関連する計画との整合性、地元の合意状況等を評価項目としており、これらを総合的に判断しております。
 本県における公共事業の新規採択時評価、一定期間経過している事業等の再評価、事後評価の実施状況はどうか。
 二、県単独事業における新規採択時評価、再評価、事後評価の実施状況についてはどうか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、知事は就任あいさつにおいて、新税制の採用も視野に入れながら取り組んでまいりたいと述べています。全国知事会が政府に対して法人事業税への外形標準課税を全国一律に実施することを求めていますが、東京都が大手金融機関を対象に導入した外形標準課税が火つけ役となって、独自課税の検討がなされています。神奈川県では、繰越欠損金により赤字となっている法人に、仮称でございますが、臨時特例法人税案を打ち出しました。三重県では、製造業や建設業者らが出す廃材などを対象に、来年に向けて産業廃棄物にかかる税を検討し、年間六億から十六億円規模の税収を見込んでおります。大阪府の場合は、資本金一千万円を超す企業に法人府民税の均等割部分を標準額の二倍に引き上げる超過課税案を発表しております。
 本県の新税制の採用はどう考えているのか、お尋ねをいたします。
 次に、知事は選挙の公約において、県立和歌山医大跡地の画期的活用を挙げております。医大跡地利用については、平成十年二月に県立医科大学跡地利用懇話会が設置され、同年十一月に報告書が知事に提出されております。報告書では、二十一世紀に向けて豊かで活力ある暮らしを実現するために、和歌山都市圏における魅力ある都市づくりと総合的な地域整備が進められることを望むものであると結論づけています。さらに、平成十一年十二月に、民間事業主体により都市型複合施設の整備を行うことを要旨とする県立医科大学跡地利用に関する基本方針が策定されてきております。和歌山市からも、知事に対しまして推進の要望書が先般提出されておりますが、本県では医大跡地利用計画の推進に今後どう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、循環型社会の形成に関連してお尋ねをいたします。
 二十世紀の大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会システムは、深刻な環境問題を生み出してきています。我が国は、外国の資源、エネルギーに依存しながら大規模な経済活動を営んでいる国であり、私たちの日常活動や事業活動に起因する環境問題は、今や地球規模の広がりを持つに至っております。
 こうした状況を踏まえると、新しい世紀を支える社会経済活動に求められる考え方は環境保全の視点を重要な構成要素にした新しいものにしていくことが不可欠であります。具体的には、生産、流通、消費、廃棄等の社会経済活動の全段階を通じて資源やエネルギーのより一層効率的な利用や循環利用を進め、廃棄物などの発生抑制や適正な処理が図られ、循環型社会の形成を推進することが急務であります。
 筑波大学の安田八十五教授は、「ごみゼロ社会をめざして」という本に「循環型社会システムの構築と実践」と題をつけて平成五年に出版されました。また最近では、ドイツが九六年につくった循環経済廃棄物法の日本版をつくるべきだと提言してきております。
 厚生省は、国民がより安心して生活できる循環型社会を形成するため、平成十年十月に生活環境審議会に対し今後の廃棄物対策のあり方について諮問をし、中間報告を受け、制度のあり方を検討し、本年五月末、国会で循環型社会形成推進基本法を初め、廃棄物処理法の一部改正案、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、再生資源の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律の六法案が可決成立いたしました。
 そこで、関係部長にお尋ねいたします。
 一、廃棄物の減量、適正処理の総合的かつ計画的な推進を図り、平成二十二年度までに一般廃棄物、産業廃棄物の最終処分量を平成八年度の半分に削減する減量化目標を定め、県の廃棄物処理計画を新たに作成するとなっていますが、どう進められるのか。
 二、産業廃棄物を多量に排出する事業者は、その処理計画を作成し、県知事に提出するとともに、計画の実施状況を報告するとなっていますが、本県ではどう対応されるのか、あわせて対象事業所はどの程度あるのか。
 三、財団法人和歌山環境保全公社は知事が理事長を務め、大阪湾フェニックス計画への積み出し業務を行っています。今回の法改正により廃棄物処理センター制度の見直しが行われ、PFI法の選定事業者にも拡大されました。そこで、住友金属工業株式会社等にもパートナーとなっていただいて、処分場を確保し、財団法人和歌山環境保全公社を廃棄物処理センターに整備されてはどうか。
 四、建設廃棄物は産業廃棄物全体の排出量の約二割、最終処分量の約四割を占めています。このため、今回の法律で一定規模以上の建設工事については、コンクリート、アスファルト、木材の廃棄物を分別することを義務づけ、県に計画書等の届け出により建設廃棄物のリサイクルを推進することになりましたが、本県では今後どう進めていかれるのか。
 五、来年四月の家電リサイクル法の施行に向けて、先月、家電業界は使用済み家電の四種類を引き取る際の消費者負担額を発表しました。消費者である私たちも、使い捨ての思想から抜け出すと同時に、リサイクルにはコストがかかるということを認識せざるを得ないのであります。家電リサイクル法の対象となる洗濯機、テレビ、エアコン、冷蔵庫の四品目は、現在では家電販売店が約八割、あとの二割が市町村で回収されているとのことです。来年四月以降は市町村が粗大ごみを回収する場合にもリサイクル費用を負担していただかねばならなくなり、負担を逃れるための不法投棄も心配されます。そこで、本県において家電リサイクルのための県内における用地確保を含め、法施行を円滑に進めるためどう対応されるのか。
 以上五点、お尋ねをいたします。
 次に、現場の自主性を尊重した学校づくりに関連してお尋ねいたします。
 人間は広い意味での教育によって人間となる存在である、この教育という重大な使命と責任を見失った社会に明るい未来は開けないと、識者は述べています。今、不登校やいじめ、学級崩壊などの問題を初め、犯罪の低年齢化が深刻な社会問題となる中で、教育をめぐる改革論議が高まっています。日本の学校、家庭、地域社会のいずれも、子供を育てる力が低下してきているとの指摘があります。子供がみずから学び、みずから考え、自立できる力、力強く生きる力、善悪を自分で判断する力を身につけることが強く求められています。こうした観点から、子供たち一人一人にきめ細かく指導できるよう、学校現場の裁量幅を拡大し、校長のリーダーシップのもと、学校の自主性、自律性を確立し、各地域においては子供たちがさまざまな体験を重ねることができるよう、学校、家庭、地域の相互連携協力を促進強化する必要に迫られています。
 一方、文部省は、地方分権の進展に向けて、教育行政においても国、県、市町村の役割分担のあり方を見直すとともに、新たな連携協力体制を構築し、地域に根差した主体的かつ積極的な地方教育行政の展開を図るため、地方分権一括法の改正が行われてきました。
 さらに、本年一月に、学校教育法施行規則等の一部改正を行い、一、校長、教頭の資格要件の緩和、二、職員会議の位置づけの明確化、三、学校評議員制度の導入により、校長のリーダーシップのもと、学校の自主性、自律性の確立、ひいては児童生徒の実態や地域の実情に応じた特色ある教育活動の推進に向けて規定の整備が図られたところであります。
 校長、教頭の要件の緩和については、地域や学校の実情に応じて、免許がなくても教職に関する職の経験や組織運営に関する経験、能力に着目して幅広く人材を確保することが可能になりました。既に、東京都では本年八月に民間企業の幹部が都立高校の校長に就任し、大阪府でも府立高校の校長に民間人を起用する方針が示されました。
 職員会議の位置づけの明確化については、職員会議は校長が主管するもので、校長の役割は単に職員を集めるだけではなく、みずからの権限と責任において職員会議を管理し運営することを明確にするものであります。
 学校評議員制度の導入については、学校、家庭、地域の連携・協力を強化するため、学校運営に権限と責任を有する校長が保護者や地域住民等の学校外の意見を聴取するため、学校の組織として制度化したものであります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 学校教育法施行規則等の一部改正に対して本県ではどのように対応されているのか、お尋ねいたします。
 次に、学級編制基準については、今回、地方分権推進の趣旨を踏まえ、国と地方の新たな連携・協力体制を構築する観点から、学級編制基準の弾力化が認められました。県では、地域や学校の実態に応じて特色ある教育を進めるために必要であると判断する場合は学級編制基準が緩和され、四十人以下の学級編制が可能となるわけであります。本県では今後学級編制基準の弾力化にどのように対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、現代の子供たちに見られる傾向として、人間関係の希薄化や自己中心的な行動がよく指摘されます。こうした子供たちが社会や自然とじかにコミュニケートしていくにはどうすればよいか、論議されているところであります。幕末に松下村塾を開かれた吉田松陰は、「地を離れて人無く、人を離れて事無し、人事を論ぜんと欲せば、まず地理を審らかにせざるべからず」と、自然環境が人間形成に及ぼす影響の重要性を訴えています。
 本県では、ふるさと和歌山の自然や歴史のすばらしさを子供たちに伝え、豊かな郷土愛をはぐくむ目的で、ふるさと教育副読本「わかやまDE発見!」を本年三月に発刊しました。現在、県下の小・中学校に配布し、大変好評であります。こうした教材を生かして地域に住む人々と触れ合いながら共同作業をしたり、大地や草木、動物や植物を友として体験するふるさと教育が子供たちの人格形成に不可欠であります。
 本県において、完全週五日制に向けて地域の特性を生かしたふるさと教育にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、特色ある高等学校づくりと中高一貫教育の導入についてお尋ねをいたします。
 今日、高等学校への進学率が約九七%に達する中で、心身の成長や変化の著しい多感な時期にある生徒たちに、いかにニーズに合った学びの場を提供していくかは極めて重要な課題であります。これまでも、総合学科、単位制高校の設置や学科改編、学校間連携の導入など、特色ある学校づくり、選択幅の広い教育課程の編成、高校入試の改善など、積極的な改革が進められてきました。
 しかし、こうした現行の学校制度を前提とした改善にとどまらず、中学校と高等学校という学校間の接続を改善し、六年間の一貫した教育指導を行う仕組みを整備することが求められてきました。こうした状況を背景にして平成十年六月に学校教育法等の関連法案が改正され、平成十一年四月から中高一貫教育の実施が可能となりました。
 公立の中高一貫教育校については、平成十一年度には宮崎県、岡山市、三重県で三校、平成十二年度には秋田市、大分県、鹿児島県で三校、設置されてきています。県教育委員会は去る九月二十八日、古座高校と南部高校龍神分校で連携型の中高一貫教育を来年度からスタートさせると発表しました。近畿では、本年に国立奈良女子大附属中等教育学校が中高一貫教育へ移行したのに次いで、二番目の導入となります。古座高校は古座、古座川両町の五中学校、南部高校龍神分校は龍神村の三中学校が連携型の中高一貫教育を実施することになります。両高校の入試においては、連携中学校卒業予定者が簡便な入試を受けることで従来の中学校の調査書や学力検査を受けなくてもよいことになります。
 中高一貫教育の特色について、「教育委員会月報」八月号で東京学芸大学教授の児島邦宏氏は、一、高校入試の影響を受けずにゆとりある学校生活を送られる、二、六年間継続して自分探しの旅ができる、三、中学一年から高校三年までの異年齢集団の交流活動ができると、ゆとり、継続、交流の三点を挙げております。
 私は、両高校が、地域の豊かな自然や歴史、文化の特性を生かしたふるさと学習や少人数学級による学習、情報機器を活用した学習など、中高一貫教育になって本当によかったと言っていただけるような学校をぜひつくっていただきたいと願うものであります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、中高一貫教育の導入により両高校をどのように活性化していくのか、さらに両高校の施設・設備の充実と人的措置にどう取り組まれるのか。
 二、本県における今後の中高一貫校の設置、総合学科、単位制高校等の設置など、特色ある高等学校づくりにどう取り組まれるのか。
 以上二点、お尋ねいたします。
 次に、県教育委員会は、中高一貫教育の導入と同時に県立高校普通科に推薦入試を実施することを発表いたしました。本県では今日まで、職業科、総合学科、専門学科において推薦入試が実施されてきましたが、平成十三年度から普通科にも推薦入試が実施されることは、県民にとって大変喜ばしいことと思います。
 全日制普通科高校の九割近い二十五校が導入し、推薦枠は入学定員の一割がほとんどで、三割が単位制高校の二校となっています。各高校では、出願条件にスポーツ活動、文化活動、生徒会活動、ボランティア活動等ですぐれた活躍を挙げております。
 今回の推薦入試の導入において、那賀、日高、新宮の三高校が導入されなかったことは学校の方針だと思いますが、三高校の普通科に進学を希望している皆さんには大変残念なことだと思う次第であります。
 また、単位制高校以外の普通科においては、推薦枠は一割です。和歌山市内を例に挙げますと、八学級三百二十人定員の高校とすれば三十二人が推薦枠となります。和歌山市内には中学校が十九校ありますので、南北学区に分かれましても一校平均三名程度となり、クラスで一人しか推薦を受けられないのではないかと心配をいたします。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、教育長は、普通科に初めて推薦入試を導入された意義と各高校へ何を期待しているのか。
 二、全日制普通科全校に推薦入試を導入し、推薦枠を拡大する必要があると考えますが、どう取り組まれますか。
 以上二点、お尋ねいたします。
 次に、和歌山工業高校においては、平成二年ごろから歴代の校長先生のもとで学校改革のプランづくりに取り組んできています。現在、和工は一学年で九科十二クラスあり、教職員百五十七人、生徒数千三百八十五人で、工業高校では全国一の規模であります。学校は八十五年にわたる歴史の中で幾多の優秀な先輩を輩出してきており、本県の産業界にも多大な貢献をしてきております。和歌山工業高校が県下の工業高校のモデル校として、新しい施設、設備で二十一世紀も本県で活躍していただく人材を育てる学校として学校改革を実現していただきたいと思う次第であります。
 同校では、本年二月に学校改革案をまとめ、四月には西本紘一校長を迎え、学校改革の早期実現に期待が高まっております。教育長は和歌山工業高校の学校改革にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 初めに、新田議員のご祝辞に対し、心より御礼の言葉を申し上げます。
 そして、ただいまのご質問について、順次お答えをさせていただきます。
 最初に、改革県庁へ行政評価システムの導入についてでございますが、時代の潮流をしっかりとらえ、開かれた和歌山県を目指す二十一世紀の和歌山づくりのためには、県政の構造改革に取り組んでいく改革県庁を目指していかなければなりません。
 このような観点から、本年度より事務事業評価システムを導入し、すべての事務事業について、従前ややもすればおろそかにしがちであった成果について検証を行うこととしており、また、この評価結果につきましては今後の予算編成の中に積極的に活用してまいることといたしております。
 次に、新税の導入の関係でございます。
 議員ご指摘のように、東京都や大阪府における大手金融機関に対するいわゆる銀行税、それから各地方公共団体における法定外税や超過課税の導入の検討等々、現在、独自課税の動きが活発化していることはご案内のとおりでございます。これらの中には、財政難の折から増収を図ろうとするものもあり、あるいは特定の政策目的のため新しい税を創設しようとするものなどがございます。
 いずれにせよ、新しい税の創設には、受益と負担の関係や税源を何に求めるか等、検討しなければならない課題がたくさんございます。現在他県において検討されている産業廃棄物に対する課税や環境税なども参考にしながら、本県に一番適合するような新しい税のあり方について、税務課内にプロジェクトチームをつくり、幅広い観点から研究してまいりたいと考えております。
 次に、県立医科大学の跡地でございます。
 この跡地につきましては、商業施設、宿泊施設、駐車場を中心とする都市型複合施設の実現に向け鋭意取り組んでいるところでございますが、経済状況が長期にわたり低迷を続ける中、都市型ホテルを含む施設の建設、経営を行う民間企業の確保は大変厳しい状況にございます。今後は、民間企業の投資意欲等の経済情勢を慎重に見きわめながら、引き続き基本方針に基づく施設整備を行う企業を確保するため、幅広く導入方策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、循環型社会の形成についてのうち、廃棄物処理センターを設置してはどうかというご質問でございます。
 財団法人和歌山環境保全公社につきましては、平成八年七月の住友金属西防波堤沖処分場の終了後は、残土処分場の管理運営や大阪湾フェニックス計画に基づく和歌山基地の業務を行っているところでございます。
 公社の将来構想につきましては、現在、県と公社が共同で検討を行っているところでございまして、今後は議員ご指摘の廃棄物処理センター指定についても視野に入れながら、またPFIなどの民間主導の事業手法についても研究してまいりたいと、このように考えております。
 私の方からは以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、まず本県における公共事業の評価の実施状況についてお答えいたします。
 土木部では、公共事業いわゆる補助事業の実施に当たっては、県民ニーズにいかにこたえるかを基本に、効率性、透明性を確保するため、建設省及び運輸省の実施要領を参考に事業の評価に取り組んでいるところでございます。
 そのうち、新規採択時評価につきましては、平成十一年度から新規要望箇所に対し県が評価に係る資料の作成を行い、補助を行う国が主体となって費用対効果分析を含めた総合的な観点から評価し、採択箇所を公表しております。
 次に再評価につきましては、平成十年七月に外部有識者七名の委員で構成される和歌山県公共事業再評価委員会を設置し、市町村事業を含め、本年度までに八十一件の審議がなされました。このうち休止または見直しが二件、その他につきましては継続実施が妥当との答申をいただいております。
 続いて事後評価でございますが、国において策定される予定の事後評価実施方針を参考に、今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県単独事業における各評価についてお答え申し上げます。
 県単独事業は県民生活に密着した身近な事業であり、緊急を要する事業もあり、また事業規模が比較的小さく、箇所数が多い特徴を持っています。財政事情が厳しい折、事業のめり張りをつけるため、安全性、利便性、快適性等の観点から事業の特性ごとのグループ分けを行い、事業評価に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、循環型社会の形成についてのうち、建設工事における廃棄物のリサイクルについてお答えします。
 議員ご指摘の建設リサイクル法は、建築物等についての分別解体及び再資源化を義務づけております。この法律における県の役割の主なものは、発注者の解体計画に対する指導、受注者が取り組む分別解体及び再資源化等への指導、解体工事業者の登録であります。
 本県としての対応ですが、ISO一四〇〇一の取得に向けた環境方針に公共工事の施工に伴って生じる環境負荷の低減を掲げているところでもあり、今後国において予定されている建設リサイクル法に係る基本方針の策定、政令及び省令の施行を踏まえ、組織の充実及び体制づくりを行い、積極的に建設工事における廃棄物のリサイクルに取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 農林水産部所管の公共事業の事業評価についてお答えいたします。
 農林水産部では、農林水産業と農山漁村の振興を県政の主要課題と位置づけ、種々の公共事業を活用した基盤整備を重点に取り組んでおります。
 事業評価の取り組み状況ですが、事業採択段階においては、従来より評価の一環として費用対効果分析が各事業に順次導入されてございます。県営事業の再評価につきましては、平成十年度より農林水産部公共事業再評価実施要領に基づき再評価を行うとともに、和歌山県公共事業再評価委員会の意見を踏まえ、翌年度以降の実施方針を決定しております。また事後評価につきましては、農林水産部では現在実施しておりませんが、公共事業の効率的執行や透明性の確保を図ることは厳しい県財政の状況からも積極的に取り組むべき課題と考えており、今後、農林水産省が本年七月に定めた農林水産公共事業評価実施要綱を参考に、事前評価、再評価、事後評価の体系的な実施を行ってまいる所存でございます。
 次に、県単独事業の事業評価の実施についてでございますが、大規模な事業を中心に、公共事業の評価システムに準じて行う方向で取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 循環型社会の形成に関する三点の質問にお答えいたします。
 まず、廃棄物処理計画の新たな策定と廃棄物の減量化の目標についてでございますが、本年六月に改正された廃棄物処理法において、県に策定義務が課せられた廃棄物処理計画につきましては、現在策定に向けて情報収集等を行っているところでございまして、来年度、県内の廃棄物発生量等の実態調査に着手し、平成十四年度に策定する予定です。
 なお、この廃棄物処理計画は、従来の産業廃棄物処理計画と異なり、一般廃棄物を含めた廃棄物全体の処理について定めることとなってございまして、策定に当たりましては市町村や業界団体等と協議してまいります。また、議員ご指摘の廃棄物の減量化の目標につきましても、この処理計画の中で示してまいりたいと考えてございます。
 次に、処理計画の知事への提出と報告についてでございますが、さきの法改正により、多量排出事業者は産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を策定して都道府県知事に提出し、計画の実施状況を報告しなければならないとされたところでございます。県といたしましても、さきに述べた廃棄物処理計画策定作業において来年度県内の実態調査を行い、多量排出事業者の基準となる年間一千トン以上の廃棄物を排出する事業者を特定し、計画の策定を指導してまいりたいと考えてございます。なお、対象となる多量排出事業者は推定で約二十社程度になるものと考えてございます。
 最後に、家電リサイクル法の用地確保と円滑な推進についてお答えいたします。
 来年四月から施行される家電リサイクル法では、従来、市町村が粗大ごみとして収集処分していた廃家電を、家電小売業者が直接消費者から引き取り、それをメーカーがリサイクルすることになっております。家電小売業者は、引き取った廃家電をメーカーが全国に配置した集積場所に持ち込むこととなっており、その用地確保についてはメーカーが行うことになってございます。
 いずれにいたしましても、議員ご指摘のとおり、不法投棄の増加等、諸問題の発生が懸念されることから、国、メーカーから情報収集を行い、県内の家電小売業者や市町村と対応を協議しながら、法の円滑な施行を促進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する八項目にわたるご質問にお答えいたします。
 初めに、このたびの学校教育法施行規則の一部改正による校長、教頭の資格要件の緩和に関してでございますが、幅広く人材を確保する観点から、特に校長については教諭の免許状がなくても登用できるよう改正を図られたところであります。
 本県におきましては、今回の改正の趣旨を踏まえ、児童生徒の実態や地域の実情に応じた個性や特色ある学校づくりを念頭に、管理職の登用について研究してまいりたいと考えております。
 次に、職員会議の位置づけにつきましては、法令上の根拠が明確でなかったために、本来の機能が十分に発揮されないなどの問題点が指摘されておりました。今回の省令改正を受け、本県におきましても職員会議に関する教育委員会規則を一部改正し、設置要綱を新たに設け、職員会議は校長が主宰することなど、その意義や役割を明確にいたしました。今後、より一層校長がリーダーシップを発揮し、組織的、機動的に学校運営を行えるよう、適正な職員会議の運営について指導してまいります。
 次に、学校評議員制についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、学校評議員は校長が学校運営の基本方針や重要な事柄について地域の人々や保護者の意見を幅広く聞くために設置するものです。本県では、この三月に教育委員会規則を改正し、県立学校に学校評議員を置くことができるようにするとともに、六月に県立学校学校評議員設置要綱を制定したところです。
 現在、県立高校三校で学校評議員を委嘱し、制度がスタートいたしております。その他の県立学校においても、その設置に向けて積極的な検討が進められております。また、市町村教育委員会においては、既に四十三市町村で学校評議員を設置するための管理規則を改正しております。開かれた学校づくりを一層推進するため、PTAはもとより、地域のさまざまな機関等との連携を大切にしながら、各学校で評議員の設置が進むよう引き続き指導してまいります。
 次に、学級編制基準の弾力化についてでございます。
 現在、文部省では一学級四十人を上限としつつも、基礎学力の向上を図り、きめ細かな指導を実現する観点から、国語、数学、英語などの教科について二十人程度の学習集団を設定しての授業を可能とすることに重点を置いた第七次教職員定数改善計画を策定し、その実現に向け、概算要求を行っているところでございます。教育委員会といたしましても、国の改善計画の趣旨を踏まえ、各学校の自主的、自律的な取り組みを支援できるよう、定数の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、ふるさと教育の推進に関して、このたび発刊しました副読本「わかやまDE発見!」は、ふるさとのよさやすばらしさを教え、豊かな郷土愛をはぐくむための教材として作成したものであります。各学校では、この副読本を理科や社会科を初め、新しく設けられた総合的な学習の時間等において積極的に活用して、ふるさと学習を進めております。さらに、社会見学や遠足などの際に、この副読本で紹介されているさまざまな史跡や施設などを訪れている学校も多々ございます。
 ふるさとに対する理解を深め、郷土を愛する心をはぐくむことは、二十一世紀を担う子供たちに郷土に対する自信と誇りを培い、グローバルな視野と見識とともに、人としての優しさや思いやりといった豊かな人間性の涵養につながるものと考えております。こうしたことから、今後は和歌山のすばらしい自然や歴史、文化について、地域や社会と連携し、その協力も得ながら、さまざまな学習活動を通してふるさと教育をより一層推進していく考えでございます。
 次に、中高一貫教育についてでございます。
 平成十三年四月から古座高校と周辺の五つの中学校、並びに南部高校龍神分校と村内の三つの中学校がそれぞれ連携型の一貫教育を行います。中高一貫教育の導入と同時に高校改革も行うこととし、古座高校には単位制課程を、また龍神分校には文理コースとアートコースを設置し、個に応じた教育を一層推進することとしたところでございます。
 一貫教育の特色として、両地方とも地域学、ふるさと学を六年間通して実施するとともに、中学と高校間における教員の相互乗り入れによる授業や合同で行うチームティーチング、体験学習、部活動等の交流を予定しております。
 学校改革に伴う施設・設備につきましては、余裕教室等を活用するほか、設備についても計画的に整備してまいります。さらに、教員の配置は、多数の選択授業が円滑に展開できるよう、国の動向を見きわめながら鋭意努力してまいりたいと考えております。
 特色ある学校づくりに関して、総合学科はこれまで和歌山高校と有田中央高校に設置し、大きな成果を上げてきております。全日制の単位制課程につきましても、大成高校に引き続き、このたび古座高校に設置し、より多様で柔軟な教育の推進に努めることとしております。今後とも、中高一貫教育校、総合学科、単位制高校の設置等、特色ある学校づくりを計画的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、普通科の推薦入学についてであります。
 普通科においては、生徒の多様な学習ニーズにこたえるため、特色あるコースや類型の設置、幅広い選択を可能にするカリキュラムの編制、工夫を凝らした特別活動の展開など、その特色化が進んでおります。こうした中で推薦入学を導入することにより、生徒がみずからの志望や興味、関心等に応じて各学校の普通科を選び、特性や能力を一層伸ばすとともに、これまで以上に充実した学習活動や特別活動が行われるものと考えております。
 普通科推薦入学の今後の実施校及び募集枠を拡大することについては、今年度の実施状況を踏まえて引き続き検討を進めてまいります。
 最後に、和歌山工業高校につきましては、これまで本県工業教育の中核校として大きな役割を担ってまいりましたが、社会の急速な変化と新たなニーズに対応するための学科改編や、校舎が一部を除いて老朽化していることなどが課題となっております。こうしたことから、学科改編について学校側とも協議を重ねてまいりました。今後は、できるだけ早い段階で改編案を煮詰めるとともに、それに伴う施設・設備の整備も計画的に進めることができるよう、関係部局と協議を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十五番新田和弘君。
○新田和弘君 一点だけ、要望させていただきます。
 ただいま、知事初め関係部長さんからご答弁をいただきました。改革県庁の推進についてでございますが、本県では平成十二年度に事務事業評価システムを導入され、各公共事業においてもそれぞれの評価が行われてきております。木村知事が言われるように、行政改革へ不退転の決意で、すべての事業を洗い直して、二十一世紀、県民の期待にこたえたいと、こういうことでございます。
 事業を見直すということは、知事は予算の提案権及び執行権を持っております。私たち議会は、議決権を持っておるわけでございます。この執行権を持っておる知事と議会の我々が十分理解をしながら行政を進めていくということは、大変重要なことではないかと思われます。
 午前中の質問の中でも知事が答えておられましたが、アカウンタビリティーの向上、いわゆる説明責任というものを十分踏まえて行政の見直しに当たっていただきたいと思う次第でございます。
 さらに、本県の長期総合計画の中期実施計画が平成十一年から十三年度ということで計画されておりますが、新しい知事を迎えられまして、十三年度以降の事業についてもこの行政評価システムを導入して早急に見直しをし、そして数値目標も明確にして四年間の行政に邁進していただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 こんにちは。
 お許しを得ましたので、通告に基づき、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、会派を代表し、木村良樹知事のご就任を心よりお喜び申し上げます。おめでとうございます。新生和歌山創造に、ともに手を携え、取り組んでまいりたいと思います。
 また、西口前知事には、県民の圧倒的な信任を得ての二期目県政を担当されて八カ月での退任となりましたことは、県民の一人としてまことに残念なことであったと感じております。今後のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
 しかしながら、その結果として、二十一世紀の和歌山を託す全国一若い知事が誕生したわけであります。これから打ち出されるであろう斬新な政策が県勢の浮上につながることを、心より念願いたしております。
 突然の知事選出発の決意、猛暑の天候下での過酷な選挙戦一カ月、そして、けさほども苦渋の決断の披瀝がありましたが、就任早々の待ったなしの懸案への対応一カ月、精神的にも肉体的にも大変だったこととお察し申し上げますが、今議会は新知事の政策指針をただす上でまことに重要な場であります。特に今回の知事選挙は、十分に各候補者の政策方針を知るだけの時間がなく不十分であったのではないかとの県民の声を多く聞くだけに、今議会冒頭に知事より詳しい就任あいさつがありましたが、その内容をより具体的にお示しいただきたいと存じます。けさからの先輩議員の質問と一部重なる点はご容赦願い、以下、就任あいさつの内容順に各項目についてお尋ねします。
 まず初めに、本県経済の発展についてであります。
 本県経済の状況並びに雇用情勢については、改めて数値を示すまでもなく、厳しい情勢にあります。昭和三十年代には戦後の重厚長大産業の復興に支えられて本県経済も活況を呈したこともありましたが、その後の産業構造の変化に対応することができず、現下の情勢に至ったことは周知のとおりであります。こうした本県の情勢を克服し、二十一世紀に新たな発展を期するためには、産業構造を大きく転換する必要があります。
 日本銀行は一昨日、九月の企業短期経済観測調査(九月短観)の結果を発表しました。大企業、製造業が堅調に回復している反面、中小企業や非製造業の回復のペースは遅く、大企業と中小企業の二極化傾向が強まっていることを示唆しているようであります。そして、それに先立つ九月十八日、日本政策投資銀行関西支店は、近畿二府四県の二〇〇〇年度の設備投資見通しを発表しました。全産業の設備投資額は前年比一一%ふえる見込みで、四年ぶりに増加に転じ、近畿では通信関連企業の設備投資が活発なほか、小売業が競争激化に対応して店舗改装を続けるなど、非製造業の設備投資が全体を牽引していると分析し、近畿でも回復基調が浸透してきたとしています。
 しかし、各府県別では、全産業の設備投資計画額は、和歌山県以外は増加したということであります。特に滋賀県は、前年度実績比二二・一%増の二千二百九十八億円で近畿で最高の伸び率。情報技術(IT)関連の積極投資で県内設備投資額の四分の三を占める製造業が同一四・三%増と着実に伸びたほか、小売業の出店ラッシュで非製造業も同五一・六%増と急伸しています。また奈良県は、同一八・二%増の八百六十六億円、製造業は半導体、液晶、太陽電池関連の大型投資が増加して五三・八%の大幅増ということであります。一方、和歌山県は、千十八億円で二五・一%の大幅減。投資を引っ張る液晶や半導体などのIT関連企業が少ない上、関西電力の投資圧縮が大きく響いたということであります。
 そこで、お尋ねしますが、木村知事は選挙戦を通じてもIT革命への積極的な対応を述べておられました。IT革命への積極姿勢は国においても示されているところでありますが、言葉だけが先行し具体性が見えてこないと感じているのは、多くの県民の皆さんから聞く言葉であります。IT革命が和歌山県に何をもたらし、そのこと等によって和歌山県の産業構造をどのような方向に転換し、それを実現するために産業基盤の整備等の政策をどのようなものとして実現していこうとお考えになっているのか、知事の明確な考えをお示しいただきたい。
 続きまして、各地域社会のあり方についてであります。
 和歌山県は高齢者比率の拡大が全国的に見て進んでいることは、就任あいさつにあったように明らかであります。このことによって高齢者問題への対応も喫緊の課題として提起されていることは当然ではありますが、政策として別の見方をすれば、地域社会の構造問題であります。また、これは若者が定住できる地域社会づくりの問題でもあります。
 若者が定住するためには、生活の糧を得ることができる産業と同時に、若者にとっての地域の魅力づくりが必要であることはだれもが言う言葉であります。また、これまでも各地域で各種の取り組みがなされてきたことも確かであります。しかし、残念ながら十分な政策効果が認められるものを県内で見かけることができないように思われます。全国的に見れば、大分県での一村一品運動や湯布院の成功事例のように、各地で地域の規模に見合った地域政策の実例を検証することができます。これらの事例から理解できることは、本県のこれまでの地域振興政策が余りにも地域の規模を超える大きなものを求めてきたのではないかと感じます。
 知事は選挙戦を通じて、和歌山県は地域的な違いが明確で一律ではないことを強調されておりました。今後は、より地域に密着し、地域の特性と規模に着目した地域振興施策の実現を図られるものと考えますが、知事の各地域社会への認識と、それぞれの地域社会のあり方についてどのようにすべきと思われているのか、お考えをお聞かせいただきたい。
 次に、知事が二カ月前まで筆頭副知事をされていた大阪府では、本県より一日おくれで開会した九月定例府議会において、一昨日より各会派の代表質問が始まり、激しい論戦となっているようであります。特にその中で、新税制の採用と関西国際空港会社への出資と経営抜本見直しの二点について述べたいと思います。
 まず新税制については、先ほどの新田議員とのやりとりで出ましたので私からの質問は控えますが、大阪府では法人府民税の均等割り部分引き上げを柱とする税制改革素案が、増税というよりも地域社会の発展に適正な負担をお願いするものという趣旨で提案されています。府議会サイドでは、中小企業は弱っており、府民の理解を得られる雰囲気ではないとの声が大きいようであります。
 新税制の採用については、知事が言っておられるように、県民の意識改革につながるものでなければならないという基本理念のもと、慎重であってほしいと要望するものであります。
 さて、関空の件でありますが、選挙公約にも二期工事の推進と便利なアクセスの確保がうたわれていましたが、大阪府では抜本的な対応が必要との見解を示し、現在のような経営状態が続けば府の負担はさらにふえ、同社の経営破綻も避けられないと判断、直ちに正式に検討に入り、再建案をまとめ、運輸省、関空会社などに対し実現を働きかけていく方針のようであります。
 一方、府議会サイドでは、国が現在の空港島の用地全体か滑走路など用地の一部を関空会社から買い上げて経営を支援する案を提示するとのことでありますが、関空への今後の取り組みに対する和歌山県知事としてのお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、環境問題への対応についてであります。
 これまでの環境問題あるいは公害問題は、産業廃棄物、一般廃棄物という区分によって個別の問題として、排出者である事業主責任あるいは処理業者の許認可問題、一般廃棄物の公共団体での処理問題として取り扱われてきました。その結果、一般廃棄物の焼却によるダイオキシン問題が公共団体が設置した焼却場で発生し、産業廃棄物では処理業者の不法行為等が周辺環境に極めて困難な問題をもたらす事件が全国で発生しております。
 また、本県においても、橋本市での産業廃棄物処理に絡む県職員の汚職事件の発生とダイオキシン問題は、全国から注目されるものとなっております。県当局とすれば、他の問題処理に当たっても当然のことでありますが、透明性の保持と明確な説明責任があるものと考えます。例えば、パブリックコメント制度の導入等、今後の対応に関する知事のお考えをお示しいただきたい。
 そして、環境問題は、資源循環型社会形成に向け、動脈産業に対応した静脈産業の構築といった産業政策としても取り組む必要があります。本県産業の中核である地場産業の中小事業者にとって、環境問題への対応が事業の盛衰、また地場産業の将来にかかわる重要な課題となっていると考えます。廃棄物の適正処理と地球環境への貢献は事業主の責任ではありますが、地場産業の資源循環を構築するためにはどのような支援策を講じておられるのか、産業政策の関連において、環境問題に取り組む知事の基本的なお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、青少年対策についてであります。
 今議会に補正予算として提案された中に青少年の健全育成ということで二つの新規事業があることは大いに評価するものでありますが、「十七歳問題」という言葉ができるほど全国で多発する少年犯罪に心痛む思いをだれもがされていることと存じます。
 これへの対応として、教育制度の改革、少年法の改正による刑法適用年齢の引き下げなどの取り組みがなされています。確かに、法の強化によって犯罪の抑止効果を高めることを求めるのも、社会制度として一つの方向であることは確かであります。しかし、このような法の強化による対応を最良の政策とする風潮が生じるとするならば、そこには社会体制上の新たな問題を生み出す可能性があることに留意する必要があります。
 小・中学校での学級崩壊あるいは学校崩壊の事例からは、学校と地域社会、家庭と地域社会の結びつきの重要性が指摘されております。しかしながら、こうした問題を地域社会の政策課題として戦略的な政策が提示されている事例を見受けないのであります。
 和歌山県では、かつて青少年局が設置され、青少年のスポーツ振興、社会活動への参加促進、国際交流活動など、特別に取り組まれていた時代があります。私は、昨年、一昨年の二カ年、県青少年問題協議会の委員をさせていただきましたが、現在の青少年問題が、教育機関における問題としてではなく地域社会の問題として受けとめる必要のあるものとすれば、青少年対策のための部局を設け、教育問題を含めた地域社会の問題として総合的かつ戦略的な政策の実現を図るべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせいただきたい。
 次に、交流ネットワークの創造についてであります。
 和歌山県は、つい三十年前ごろには車の通行さえ困難な箇所が多数あった国道四十二号線の整備に県民挙げて取り組んで以来、戦後五十五年間、海運から陸運に、さらに空運へと運輸形態が変化する中で、県民の悲願ともなった国道、県道の整備を初め高速道路の紀南延伸、空港、港湾等の整備にと、交通体系の充実に県当局、議会、県民が一致協力して取り組んでまいった経緯があります。しかし、国においては厳しい財政事情を理由とした公共事業の見直しが進められようとしております。
 そこで、新知事には、歴代の知事が取り組んでまいりました県土の二時間交通圏の形成、高速道路の紀南延伸、太平洋新国土軸の推進、フリーゲージトレインの推進、港湾の整備等々の交通体系の整備に関し、これまでの政策を継続するものであるかどうか、明確なお考えをお示しいただきたい。
 あわせ、私ども紀北とも紀中とも言えない海南・海草地域、有田郡市での課題でもある三けた国道や県道への整備対応でありますが、本年度予算には大変不満であるということを付言しておきます。
 近年は、南紀熊野体験博の関係もあり、紀南への集中投資に賛同してまいりました。そして、今また、紀北、京奈和自動車道などへの大型投資が迫っていますが、県内中核都市のネットワーク化のためには、一律シーリングをかけるものではなく、住民合意の得られる優先順位をつけ、当該地域への道路整備予算づけに来年度は対応すべきであると要望しておきます。
 続きまして、就任あいさつの中では触れませんでしたが、防災対策への心構えについてお尋ねします。
 平成七年七月、議員立法により制定された地震防災対策特別措置法に基づき、各都道府県が地震防災緊急事業五カ年計画をそれぞれ定め、市町村が中心となって各般にわたる地震防災対策の推進に努めているものの、厳しい財政状況等により現行計画の進捗率が低い状況にあることや、最近の地震等災害の発生状況等にかんがみ、さらに地震防災対策の充実強化を図る必要があると考えられることから、全国知事会、全国都道府県議会議長会など地方六団体は、八月二十四日、平成十三年度三月末で期限切れとなる地震防災対策特別措置法に基づく国の負担または補助の特例措置の適用期間を延長するとともに地震防災対策の充実強化を求める地震防災対策の推進に関する要望を決定し、関係機関に働きかけを行っているところであります。
 ちょうど知事が総務部長当時の平成七年一月十七日早暁、阪神・淡路大震災が発生いたしました。記憶に新しいところでありますが、県庁はもとより、和歌山市を筆頭に県下の自治体初め、各界各層の団体、ボランティアも救援活動に参加したわけであります。しかし、大惨事となりました。特に、政府の初動態勢のおくれが原因だということは周知のとおりであります。
 そして、今また、東京都下伊豆諸島三宅島では火山活動が続いていますが、六月二十六日、三宅島で十七年ぶりに火山活動が始まった際の石原都知事の動きの素早かったことは、称賛に値するものではないかと思います。警報発令とほぼ同時に全局長を招集、青山副知事を三宅島に派遣して現地での指揮に当たらせ、石原都知事自身は都庁によって災害対策本部を設置するや、救援物資の搬送、医療チームの派遣などを指示し、自衛隊には災害派遣要請を行うとともに、三宅村へは災害救助法の適用を決めました。メディアは、その対応の速さに舌を巻きました。都知事は、その段階でできるすべてのことをやったのであります。見事なスピードで、まるでこのときを待っていたかのような対応であります。
 本県にも、活断層が走っています。「防災の日」には、県はもとより市町村でも訓練をしていますが、突然の災害に対する備え、知事の心構え、体制把握についてお尋ねいたします。
 最後に、二点について要望いたします。
 まず、今般の改正都市計画法施行についてであります。
 さきの通常国会で五月十九日、都市計画法が改正され、来年五月をめどに施行されることになりました。その中で、都計法四十三条一項六号が削除され、それに伴い既存宅地の確認制度が廃止され、建築許可不要の取り扱いがなされなくなり、今後、市街化調整区域内における建築行為については立地基準を定めた都道府県の条例により審査されるということであります。
 もともと既存宅地の確認制度は、市街化調整区域内の土地であっても、市街化区域と同一の日常生活圏を構成する一定規模以上の集落にあり、しかも市街化調整区域とされた時点で既に宅地となっていることなどの範囲内のものまで一律に市街化調整区域としての建築等の制限を行うことが実情に沿わないとの趣旨に基づき、創設された制度であります。そもそも、今日、既得権の侵害は認められておらず、立法政策上できるだけ尊重するよう努めなければならないものであります。
 したがって、五年の経過措置が設けられたとしても、既存宅地の確認制度の対象地の所有者は、本来有している既得権、すなわち建築許可不要の取り扱いとそれに伴う市街化区域と同水準の資産価値を改正法により一方的に失うことになり、甚だ遺憾であります。
 また、今後制定される都道府県等の条例によって、既存宅地に関しては、従来どおり自己・非自己使用にかかわらず、建築物の新築、改築、用途変更が行えないこととなると、現在の所有者にとって利用制限のため資産価値が著しく減少することにもなり、今後の当該対象地にかかわる土地取引は、安全性、安定性の観点からも極めて困難になります。
 つきましては、施行令がまだ制定されていないようであり、法規制の中での緩和措置の有無、具体的内容等が定かではありませんが、今後県当局において、条例制定に当たり、市街化区域・調整区域内の現況開発許可・建築許可制度の趣旨を十分踏まえることはもちろんのこと、関係市、周辺市町村の都市計画行政の進め方を把握し、また関係団体の意見も参考にして、これからの町づくりに配慮されたいと思います。特に、調整区域内にある既存宅地での建築行為に関しては現行と同様の取り扱いとなるよう配慮した条例を検討していただきたいと思います。また、このことにつきましては関係市町村を通じて地域の住民及び関係団体に十分周知されるように、広報という点についても強く要望しておきます。
 なお、先進事例として、埼玉県では既に都市と田園の共生に向けた市街化調整区域の地域づくりの推進方策検討委員会を立ち上げ、本年度内に条例の骨子を固め、改正法の施行後の六月議会をめどに条例案を提案したいとしているようであります。二十一世紀のトップランナーとなるべく、本県も頑張っていただきたいと思います。
 そして、もう一点、大好評を博している県営住宅あっそ団地の件であります。
 新規入居者の応募倍率から見てもその需要が多く、また高齢者世帯に配慮したこれからの住宅団地のモデルとして地域住民の期待も大きいことから、財政事情が厳しいという側面もありますが、県と海南市とのお約束であると受けとめておりますので、何とぞ、引き続き第二期工事の具体的な計画を早期に実現されるよう要望いたしまして、以上で終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの神出議員の私に対するご祝辞に対して、心より御礼を申し上げます。
 まず、本県経済の発展についてのご質問でございます。
 IT革命は産業革命に匹敵し得る抜本的な社会経済構造の変革をもたらすものであり、ITの活用は今後あらゆる産業分野において極めて重要な課題であると認識しております。また、国におきましても日本新生プランの大きな柱の一つとして位置づけられているところでございます。
 本県にとりましても、ITの活用により高い技術や独創性を有する新しい企業の創出、既存産業の競争力の強化を図り、新しい時代に対応できる柔軟な経済構造を構築する必要があると考えております。
 このため、国の予算編成などの動きを的確に把握しながら、ITを活用できる人材の育成や電子商取引への対応、SOHOへの支援等、本県産業の活性化につながるIT関連の諸施策を重点的かつ積極的に実施してまいる所存でございます。
 この問題につきましては、まだ今のところ国の方もはっきりしない部分がありますけれども、大きな方策としては非常に重要なことでございます。私自身も勉強しながら、来年度の施策に向けていろいろ活発に検討してまいりたいと考えております。
 次に、各地域社会のあり方ということでございます。
 これまでお話させていただいておりますとおり、県内それぞれの地域は多様なすぐれた地域特性を有しております。こうした地域の振興を図っていくためには、一律ではなく、それぞれの地域特性に応じた施策展開が必要であり、そのためには地元市町村はもちろん、住民の方と一緒になってそれぞれの地域特性が何であるかを明確にし、地域主体の施策としてその魅力ある個性を発信していくことが肝要であると考えております。
 県といたしましても、積極的にこうした地域の特性を生かした振興策を支援していくことにより、そのことによって和歌山県というものが相対的に特色を発揮していくのではないか、このように考えておりますので、この点についても力いっぱい考えてまいりたいと思います。
 次に、関空への今後の取り組みということでございます。
 和歌山県勢の発展には、国土軸、そしてまた国際軸への直結が欠かすことができないという基本的な認識を持っております。特に、至近に位置する関西国際空港の充実は和歌山県にとって非常に重要な課題であると考え、関空の二期事業の推進に取り組んでいるところでございます。
 ご案内のように、関空を取り巻く環境は非常に厳しいものがございます。このため、関空会社においても、社長を本部長とする経営改善推進本部を設置し、組織体制の見直しであるとか、一般管理費や営業費の削減、収入の拡大、工事コストの縮減など、経営全般にわたる改善策に取り組んでおられるところであり、和歌山県としてもその推移を見守るとともに──ただ単に見守るのではなく、県としても積極的に関係府県、市、団体と協議しながら提言を行っていったり、積極的な考え方の提示、こういうものを行っていきたいと考えております。
 次に、環境問題への対応ということでございます。
 私は、議会冒頭のあいさつにおいても申し上げましたとおり、これからの県政では県民の皆様にも積極的に参加していただくことが重要であると考えております。環境問題につきましても、関係者の方と十分に話し合い、県としての説明責任を果たしてまいる所存でございます。
 なお、廃棄物対策を総合的に推進するための廃棄物処理計画の策定に当たりましては、ご提案のパブリックコメント制度の導入についても検討してまいりたいと考えております。
 また、産業政策における環境問題への取り組みについてでございますが、地場産業の資源循環を構築するため、工業技術センターにおいて多岐にわたるリサイクル技術の開発に現在取り組んでいるところでございます。また、創造的なリサイクルの技術開発に取り組む企業に支援を行ってきたところでございますが、今後は廃棄物の発生抑制ということやリサイクルを考えた製品づくりを行う企業の積極的な支援を行って、地場産業の資源循環ということを実現してまいりたいと考えております。
 次に、青少年対策でございます。
 昨今の、全国的に痛ましい少年による凶悪事件の続発、少年非行の低年齢化等は大きな社会問題となっておりまして、大変憂慮すべきものだと考えております。二十一世紀の未来を担う青少年の健全育成については、県民すべての重要な課題との認識に立ち、今後も地域の情勢に応じた積極的かつ弾力的な青少年対策の推進が重要であると考えております。
 このため、現在の青少年総合対策本部等の組織運営をさらに充実いたしますとともに、相互のネットワークを強化して地域の情勢にマッチする青少年対策を進めてまいりたいと考えております。
 また、今後の青少年対策を推進していくために、昨年度、児童生徒や保護者を対象に実施した意識調査結果をもとに、来年度から五年間のアクションプログラムとして、わかやま青少年プランを現在策定中でございまして、近く中間報告を行って広く県民の方にも公表し、意見募集を行っていきたいと考えております。
 この青少年健全育成のための行動指針が実効性あるものとなるようにするとともに、家庭、学校、地域、職場はもとより、関係機関、青少年育成団体等の協力を得ながら、青少年総合対策本部の責任者として一層強力に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、交流ネットワークの創造ということでございます。
 国内の各地域との交流を促進し、また県内地域間の連携の促進を図るためには、交通基盤の整備によるネットワークづくりが必要不可欠であると考えております。
 近畿自動車道、京奈和自動車道や府県間道路等の整備により県外との迅速なアクセスを図るとともに、もう一方で広域幹線道路ネットワークの構築や鉄道の高速化による県内二時間行動圏の確立、さらに広域交流圏の形成を先導する太平洋新国土軸構想や新幹線と在来線を直通で運転できるフリーゲージトレインの紀勢本線への導入等、引き続き積極的に推進してまいりたいと考えております。
 最後に、防災対策についてでございます。
 幸い本県では近年大きな災害には見舞われておりませんが、私も含め職員全員が常に危機意識を持ち、防災意識の高揚を図っていく必要があると考えております。
 先ほどもご質問の中にありましたが、私が総務部長としておりましたときに阪神・淡路大震災が起こりました。一日、二日してヘリコプターで被災現場に赴いたわけでございますけれども、そのときのありさまは今でもまぶたに浮かぶところでございます。
 災害への備えにつきましては、先ほどの石原都知事のお話もございますけれども、常におろそかにできず、常在戦場というような感じで対応していかなければならないというのが私の信念でございます。
 この阪神・淡路大震災というものを教訓として本県では大幅な防災体制の見直しを行ってきているところでございまして、具体的には、突然の災害に備えて迅速な初動態勢及び広域応援体制の確立を図ることを目的に、地震被害予測ネットワークシステムの整備、緊急防災要員の任命などを現在行っているところでございます。
 お尋ねの防災体制につきましては、県民生活に重大な影響を及ぼすおそれがあると判断した場合には、職員の警戒及び配備体制について指揮し、あるいは災害対策本部を直ちに設置するなど、知事としてリーダーシップをとり、迅速、的確に対応してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十八分散会

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