平成12年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時五分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 六番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しを得て、順次一般質問に入らせていただきます。
 さて、衆議院議員選挙が終わり、二十一世紀の日本づくりがいよいよ始まります。そして、世界全体の進歩と発展を願って開催される沖縄サミットがぜひ成功するよう、国民の一人として祈る次第であります。
 紀南に住み、政治活動を志して十四年余、今ようやく温かい政治の光を感じ、将来の明るさが感じ取れるようになりました。高速道路が南伸し、白浜インターまでの施行命令とフラワーライン構想に着手されました。また、南紀白浜空港の滑走路の延長と一日三往復の実現、さらにエアロリサーチパーク構想と和歌山工科大学の空港跡地への設立、総合教育センターの新庄への建設、紀南病院の移転新築事業など、私どもがこの場で訴えてまいりました数々のお願いが、西口知事の英断とたぐいまれな政治力の駆使により、一つ一つ実現に向かいつつあります。県政推進のために健康障害すら乗り越えられてひたすらご尽力を賜っておりますこと、深く感謝申し上げます。
 さらに知事は、画期的な制度改革を実行されました。県の建設事業に係る入札制度の改革であります。とりわけ設計金額の事前公開は、県職員、入札参加事業者も、この透明性を高く評価いたしております。毎日のようにテレビ、新聞紙上を飾る建設業をめぐる汚職事件を聞くたびに、知事への信頼を信じてやみません。
 さて、こうした紀南の教育、文化、社会基盤の整備と進展を見ますとき、同時に進むべき地域づくり、町づくりについて若干の提言をいたしたいと存じます。
 最近、白浜町へ行くたびに、大変な不況に胸痛む思いであります。日本全国の観光地が同じだと言ってしまえばそれまででありますが、小野、大橋、仮谷の三代知事が、北は工業、南は観光と位置づけ、中でも全国に名の知れ渡っている白浜の発展に大きく努力されてまいりました。例えば、JR田辺駅までの複線電化、国道四十二号の一次改修、南紀白浜空港の開設、そして高速道路の南伸を強く国に迫りました。その結果、新しいホテル産業の立地が進み、全国の有名企業の寮、保養所が次々と建てられ、エネルギーランドやアドベンチャーワールドなど全国的な集客施設の誘致が実現し、全国有数の観光拠点が形成されてまいったのであります。そしてさらに西口知事は、南紀白浜空港のジェット機化と一日三便の実現、さらに白浜エアロリサーチパーク構想の推進と和歌山工科大学の建設に向けて着々と準備を進められ、新庄地域に進められている総合教育センターとともに、この地域の将来展望が大きく開けてまいりました。この壇上で何度か大学の設置と教育センターの建設を訴えてまいりました私は、知事の決断に対し、心から厚くお礼を申し上げる次第であります。
 さて、白浜町の今後の課題は、何と申しても、観光客が激減していることにあります。先日送付のありました「平成十一年の観光客動態調査」を見ても、減少が歴然としているのが宿泊客数であります。平成四年度の二百五十一万人をピークに、平成十一年には百九十八万人と、ついに二百万人を割ってしまいました。五十二万人もの減少であります。ピーク時の約七九%に落ち込んでおります。ホテル、旅館の経営も大変厳しく、そのたびに失業者が増加しております。特に著しい減少は、寮、保養所の閉鎖であります。最も多かったときは百十三施設ありましたが、現在は七十三施設、そして近く閉鎖するところが相当あると聞き及んでいます。これまで頑張ってきてくれた大手企業のリストラの対象に寮、保養所がターゲットにされやすいことがささやかれております。そして、相当数が売却に出されているということでありますが、この不景気の中でなかなか買い手がないのも現実の姿であります。
 関連して、五十二万人分の食材を納入していた業者──肉、魚、野菜、米、その他であります──土産品店、飲食店、その他の観光関連産業の売り上げ減少は、推して知るべしであります。関連業者の方々は、まさにあえいでいると言っても過言ではない状況であります。
 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、県当局はこの現状をどのように認識しておられるのか。単に白浜町のみならず、周辺市町村にも大きな痛手を与えており、本県観光産業の打撃に対し何らかの対策を講じられているのかどうか、またお考えがあるのかどうか、お伺いいたします。
 本県全体でも、平成四年度の宿泊客六百八十五万人が平成十一年には五百八十九万人と約九十六万人減少しておりますが、このうち白浜町のみで五十二万人減少している痛さがわかっていただけるものと思います。それでも町の有力者の皆さんは、泣き言や愚痴を言ってもよくならない、黙って頑張ろうと、白浜町観光協会では胸に「ニコニコ・ハキハキ南紀白浜温泉」とのワッペンをつけて元気を出しております。
 さて、先日、企画部から大変参考になる資料をいただきました。去る五月三十一日に大阪商工会議所で開催された広域連携シンポジウム「国際集客都市・大阪のデザイン」の要約版であります。最初に、東京大学教授の安藤さん──建築家です──が「大阪の未来」という演題で基調講演をされました。その内容を紹介しますと、「大阪は、オリンピック招致に合わせ、国際集客都市のスローガンを掲げて盛り上げようとしていますが、大阪はもともと多様な人が集まり、交流し、文化を発信してきたところです。古代から中世まで日本の文化、交易の中心は関西にあったわけで、政治の中心が江戸に移ってからも、大阪には井原西鶴や上田秋成など、立派な人が輩出したわけです。元禄文化の江戸時代から明治、大正時代まで大阪にいろいろな人が集まり、それをもてなす遺伝子がありました。明治の末には、テーマパークの先駆けとも言える新世界、通天閣がつくられました。これらは古くから国際交流のあった大阪人特有のホスピタリティーの精神のあらわれではないかと思っていますが、その流れがUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)につながっているのではないかと思うわけです。大正から昭和にかけては、学者から転身した関市長が、先見の明をもってたぐいまれな大事業である御堂筋の建設を行いました。車社会が実現し、オフィスビルが立ち並ぶ今でこそ驚きませんが、当時はそのスケールに、滑走路でもつくるのかとやゆされたほどでありました。その壮大な構想は、現在の磯村市長の夢洲、舞洲の計画、そして大阪オリンピックの招致計画につながっているのだと思います。このように、大阪には国際交流都市、文化発信基地としての伝統が現在まで途切れることなく息づいています。大阪は、国際交流都市の遺伝子を十分持ち合わせているのです。イタリアの人たちが大阪に来て、東京はビジネスライクだが、ここでは心温まるもてなしを受けたとよく聞きます。しかし今、大阪は元気がない。この大阪をどうするのか。来年オープンするUSJには期待が大きいが、これを成功させるためには関西が一つになる必要があります。さらに、経済的な活力という面から見ると、オリンピックもおもしろい。オリンピックを手がかりに関西ならではの町をつくるために市民一人一人が何ができるか、本気で考えるべきです。オリンピックの誘致に向けて盛り上がったエネルギーはそれで終わりでなく、きっと次の時代に役立つことでありましょう」。
 この講演の後、パネルディスカッションが開かれ、パネリストには安藤教授、磯村大阪市長、国定大和銀総研社長、端国立民族学博物教授、コーディネーターには近藤三津枝氏の五氏が意見を開陳されております。
 近藤コーディネーターは、「国際集客都市大阪を目指してどうデザインを描けばよいのか、また人が集い、いかに楽しく暮らすことができるのかが魅力ある都市の重要な要素である。大阪の町全体がテーマパークという考え方で町づくりを進めるとよいが、USJにはどんな期待が持てるのか」と、USJ等の問題を提案しております。
 端教授は、「大阪には世界の一級品の施設が多いが、これらをつなぎ合わせるシステムが整っていない。交通だけでなく、人々の心のつながりも大切である」。
 国定社長は、「経済的な面から見ると、大阪の数字はよくない。しかし、アジア経済が復興し、輸出がよくなった。中小企業が多いが、将来のベンチャー企業に育つ可能性に期待が持てる。国際集客都市大阪は、観光客だけではなくビジネス客にも多く来てもらい、外国の会社に立地してもらい、住んでいただくのもねらい目だと思う」。
 安藤教授は、「関西には歴史的で魅力的なところが多い。大阪の人が大阪に自信を持ってPRしないといけない。水の都大川から淀川までの河川敷は美しい。中之島の市役所周辺まで整備されると世界一の回遊式庭園ができる。花博開催も、この河川敷でできる。大きな土木工事は不要で、花を置いて鑑賞していただくだけで成功する。それと大阪湾。大阪から神戸、和歌山まで回るとすばらしい環境です。瀬戸内海のスタートラインにある大阪を忘れている」。
 磯村市長は、「昭和五十年ごろ大阪市大にいて、大阪が経済的面でひどい状態にあり、将来どうすればよいかと、そのとき三十代の人々に集まってもらい、案を練った。その一つが花博であり、さまざまな集客施設の計画が出され、それがベースになって現在の町づくり、海遊館やUSJ、さらにオリンピック会場の舞洲、夢洲につながっているのであります。そして、USJの集客力は年間八百万人と予想していますが、それ以上も考えられます。問題は、その人たちに、大阪だけでなく、どれだけ大阪周辺の関西圏で周遊してもらえるかに知恵を出し合うことであります。水の都の風景、世界一を誇る東洋陶磁美術館、日本一の地下街など、大阪は大変魅力ある都市だが、世界的な知名度となると、まだまだ不足しています。そこで、何とか大阪の魅力を世界にPRしたい。オリンピックの招致にはそのような意図もあります。国際集客都市をブランドとして世界に宣伝し、何度も訪れてみたいと思われる町にすることが大阪の長期的な目標です。大阪は、町全体がエンターテインメントです。市民はもっと誇りを持って自分たちの町のよさを味わっていただきたい。こんなすばらしい町はない、そんな気概を持って、市民と一緒になってオリンピック招致にも取り組んでいきます」。
 以上であります。ご紹介が大変長くなりましたが、これでも短略的で、かいつまんでおりますので十分ではないかと思われます。要は、これらの意見が即和歌山県にも当てはまることだと私は思います。
 テーマからもうかがえるように、近畿府県からアジアまでも含めた視野でこれからの大阪づくりを考えている点に注目したい。そして、これからの時代はハード面よりも人と人の心のつながりの面を重視することを訴えているのであります。さらに、磯村市長が申しておりますように、USJに行った人たちがどれだけ和歌山に来ていただけるのか、知恵を絞る点にあります。淡路島の花博のついでに白浜に一泊という観光客も結構おりますし、串本には最近台湾の方々のバスツアーが相当来ております。つまり、実質的に広域化し、国際化が進んでまいったのであります。
 さて、ここで本論に入ります。
 白浜町の観光客の激減と観光産業の立て直しにどう立ち向かうのか。即効薬は、私には思い浮かびません。観光キャンペーンをもっと大々的にと言っても、エージェントへの働きかけや資金面での限界があります。県観光課も積極的に活動してくれていることは評価いたしておりますが、現状では、日本経済の景気が回復しない限り白浜の観光産業は回復が見込めないのであります。個々の旅館の料金競争、サービス競争も熾烈をきわめておりますが、行き過ぎた競争は共倒れを加速するのみであります。また、旅行形態の大変化──団体旅行からマイカーなどによる家族旅行に対応できていない宿泊施設も多く、「よりゆっくり、より楽しく、よりおいしいものをより安く」というモットーのもとにゆとりと憩いを求める旅行客が増加している中で、観光地は、魅力ある宿泊施設の完備と特色ある料理の内容等で今後生き残りのふるいにかけられていくものと考えられます。
 ヨーロッパに普及しているホテル、料理店ごとに星のマークの数を表示する制度が日本にもやがて求められてくると思います。旅行者のための目安として、その町ごとの観光度をマーク化し、A、B、C、Dと評価する時代が来ると考えられます。政府がマーク審議会を設置し、全国の市町村ごとにマークを入れる──私は、白浜町は県下のナンバーワン、つまりAランクと認識いたしております。しかし、将来もそうあり続けられるかどうかは、問題が山積みのように思われます。
 ここで、一つの提案をいたします。一つの施策の展開をお願いいたしたいのであります。
 白浜町の観光産業の永続を真に期待する者の一人として、今から長期の視点に立った町づくりの基盤、ハード・ソフトの両面整備を行う事業を県がモデル事業として指定し、支援してほしいのであります。仮に名づけて「庭園の街づくり整備モデル事業」とします。町全体が庭園のように見える美しい町をイメージします。例えば、白浜町の県道沿い、古賀浦の小高い丘全体に手入れがなされた植え込みの庭園があり、観光客の目を楽しませてくれております。私どもは、ヨーロッパの国々を訪ねるたびに、町並みと田園風景の美しさに心を奪われます。英国、フランス、ドイツ、スイスなど、再び行きたくなる人が多い。これらの国々では、この美しさに感じる心を保つための法整備や住民の協力、成熟した国民の美に対する心を教えていただきました。頑固なまでに歴史的、伝統的な建物を守り、農家も田園風景を大切にする風土が定着したのだと思われるのであります。世界のトレンドは、美観の創設であります。県条例とか町条例による美観維持を目指すのではなく、住民運動的な発意が欲しいのであります。
 私見ではありますが、具体的に申しますと、例えば国道四十二号から以南の海岸線までを庭園区域とします。白浜町の町内会ごとに美しい町づくり委員会をつくる。町内会ごとの委員会は、どうすれば町内が美しくなるのか、植え込みをする、生け垣をつくる、花壇をつくる、それらを外から見て美しいと感じるかどうかを検討する。町並みのデザインを描く。家を建てかえる際には協力をしていただく。そして、自分の住む町内と隣の町内会とのバランスを見る。こうして町全体の美しさのレベルアップを図っていく。県には、こうした委員会の運営費に対する支援をお願いいたしたいのであります。つまり、町民一人一人の創意を生かし、美の演出を図れないものかと考える次第であります。さらには、生け垣の苗やフラワーポットの購入に対する支援もお願いいたしたいのであります。
 モデル事業として本県の代表的な観光地を育て、訪れる観光客に白浜の町が大変美しいという印象を持ってもらい、再び訪れたい観光地に育て上げなければならないと考えます。つまり、白浜をもっともっと飾り立て、イメージアップを図りたいのであります。無論、これまで白浜の養浜事業に県が巨額の事業費を投入し、日本一の砂浜にしていただいたことは深く感謝いたしております。白浜町も、この七月二十日にハワイホノルルのワイキキの浜と白良浜との姉妹浜の締結をハワイで行い、大いに世界にPRしたいとしております。
 次に、白浜町の観光産業のうち、宿泊施設やレジャー産業の中に経営的に大変苦しい経営体が数件もうわさされ、固有名詞は省きますが、近く閉鎖したり倒産したりするところが予測されております。日本経済の長引く不況の中で、地域産業も打撃を受けているわけであります。閉鎖した旅館の前に立つと、まことにわびしい限りであります。商工労働部では、この実態をどのように把握されているのでしょうか。また、具体的にはどのような支援要請があったのでしょうか。県では、融資など万全の支援策をとってくれているとは思いますが、対応についてお願いをいたしたいのであります。景気は着実に回復しつつあります。もう一年もちこたえてほしいと私どもは願っております。
 次に、寮、保養所の激減問題についてであります。
 今もなお、新たに撤退を表明しているところもあります。県では、これらの企業に白浜での存続を要請されたことがあるのかどうか。雇用の喪失と食材納入業者の打撃、何よりも入り込み客数の減少はストレートに響きます。立地している側のリストラのために仕方ないのではなく、白浜のみは存置してほしいと要望してほしいのであります。
 現在、県が白浜町に計画中の和歌山工科大学の教員、事務職員及び学生たちのための宿泊施設が相当数必要と考えられます。これらの寮、保養所はまだまだ使用できるものが多く、すなわち即使用可能であります。県が中心となって所有の企業にリサーチし、賃貸可能なもの、売却予定などを把握し活用すれば、町の活性化に直結いたします。ご見解を賜りたいのであります。
 さらに、白浜の交通問題について質問いたします。
 このたび、西口知事や県当局、関係者の皆さんの大変なお働きかけにより、南紀白浜空港のジェット機が一日三往復と、著しく利便性がよくなりました。南紀に住んでいる者にとって大変ありがたく、また関東方面からの増客も大いに期待されるところであります。その上、県の特別なご配慮により、新たに増便される昼間の一往復分の航空運賃を片道一万円と格安料金に設定されましたこと、まことにありがたいところであります。
 ところで、南紀白浜空港を利用する紀南の人々は、おおむね自家用車かJRを利用いたします。JRの利用者は空港へはバスかタクシーで行きますが、庶民にとってはタクシー代がこたえます。往復三千円を超すわけです。一方バス路線は、白浜駅から空港まで、このたび新たに一日一便設けてくれました。関係各位のご努力に感謝申し上げます。しかし、ワールドサファリ行きは三十分ごとに出ておりますが、その延長にある空港行きをせめてもう少しふやしてもらえないものか、利用者の一人として願う次第であります。
 参考までに富山空港は、最初、羽田空港行き一日二便当時はバスも少なく、空港周辺は閑散としていたそうであります。ところが、一日八便となった現在、市内からのバス路線の回数も多くふえ、空港周辺に飲食店やアメニティー産業が立地し、現在は結構にぎわってきているということであります。民間経営のバス路線でありますので難しいかと存じますが、一日三便のジェット機就航の機会に空港行きバス路線の利便性をご検討願いたいのであります。
 さて、夢は楽しいものであります。白浜在住の方々が二十一世紀中になし得たいプロジェクトとして、田辺市大浜から田辺湾を真っすぐ渡り、白浜町湯崎に至る大橋建設の夢を見ているとのことであります。それよりも先にやらなければならないのはJR田辺─白浜駅間の複線電化と言う方もあり、さらに白浜町平草原一体をインターネット拠点の都市にできないものか等々、論議を重ねております。いつの日にか県の長期総合計画に掲げてくれるだろうと答えております。これには答弁は要りません。
 バカンス法について。
 平成十年十二月県議会において私は、自分のライフワークとして取り組んでいるバカンス法いわゆる長期連続休暇法の制定について、知事から政府に対し、実現方、積極的に取り組んでほしいとお願いをいたしました。つまり、政府要望の項目の一つに掲げられてはいかがかということであります。
 先日、平成十三年度政府予算要望についての素案を見せていただきました。この中に長期連続休暇取得法(バカンス法)についての要望がなされておりません。一体なぜなのでしょうか。
 和歌山県では、バカンス法は必要不可欠であります。観光サービス業の発展は、県民だれもが望んでいるのではないでしょうか。現在、労働省においては、政府の経済新生対策に基づき第三回目の長期休暇制度と家庭生活の在り方に関する国民会議を開催し、長期休暇に関する労使の意識調査や長期休暇の経済的効果に関する調査研究を行っております。長期連続休暇の国民的理解の醸成の段階であると、担当の渡延労働時間課長は話してくれました。地方からも要望ムードが高まればという期待感も持たれているようであります。さらに、自民党が総選挙での公約の一つとして長期連続休暇制度の実現を掲げ、民主党も一つの施策として掲げております。
 これまで私が主張しております制度は、ウイークデー五日間の短期連続休暇、年二回の取得であります。地域の観光産業が活性化するためには、ウイークデーにお客が来ることが願いであります。例えば、東京に住む家族四人がマイカーで五日間ほどゆっくり紀伊半島を回る──家族の団らんやきずなの回復と同時に、地域社会との連携を深めることが二十一世紀の社会、ライフスタイルとして求められているのであります。
 私が求めておりますのは、和歌山県にこうした風を起こしてほしい、西口知事に先頭に立って全国をリードしてほしいのであります。かつて半島振興法が和歌山県の主導でできたことを思い浮かべていただきたいのであります。本県には、海洋レジャー産業の洋々たる未来があります。フィッシング、セーリング、スキューバダイビング、その他豊かな山、川、野を生かしたスポーツ、レジャー、アメニティー産業や飲食産業、信仰、学ぶ、憩い、いやしの分野まで、余暇時間の増加とともに、これから二十一世紀は紀の国の出番となると信じてやみません。これらの発展とともに、ITなど情報関連産業も大きく伸びることと確信をいたしております。知事のお考えをお尋ねいたします。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。
 バカンス法の制定については、かねてから堀本議員よりお話がございました。現在、政府では、長期休暇の普及に向けて国民的なコンセンサス形成を図るために長期休暇制度と家庭生活の在り方に関する国民会議が設置され、さまざまな角度から検討されているところであります。
 長期休暇制度については、国民の余暇活動による消費拡大などが見込まれることから、県内の観光産業等、地域経済の活性化にとっても有効な制度であると考えてございます。県といたしましても、このような観点から長期休暇制度の創設について国に対して要望を行うなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 堀本議員の、白浜町の観光客激減対策等についての県の現状認識と対応についてお答えをいたします。
 我が国経済の長引く不況、特に個人消費を中心とした民間需要が低迷している中、平成三年をピークに宿泊観光客数は全国的にも減少しており、一人当たり観光消費額も減少するなど、全国の観光地は大変な苦戦を強いられています。白浜町につきましても、宿泊観光客数が平成四年をピークに年々減少しており、観光関連業界が厳しい状況にあるものと考えられます。しかしながら、本年に入ってからの白浜温泉への宿泊客は、一月から四月末まで対前年比約一三%の伸びを示しており、やや明るい兆しが見えてきたと感じております。
 県といたしましても、一人でも多くの皆様に引き続いて訪れていただけるよう、南紀熊野体験博のイベント継続や体験メニューを実施する周辺市町村との連携、白浜町及び白浜観光協会等とタイアップしたゆうわく和歌山キャンペーンを初めとする各種PR活動、各都市でのキャンペーンなどを積極的に行い、観光客誘致に取り組んでいるところでございます。
 議員お話しの中にもありましたが、大阪で来年春オープンするユニバーサル・スタジオ・ジャパンや南紀白浜空港東京便の増便、並びに滑走路二千メートル化を契機に、国内では京阪神はもとより首都圏、中部圏、海外では台湾を初めとするアジアへの観光客誘致活動を積極的に展開し、集客エリアの拡大を図るとともに受け入れ側のホスピタリティーの向上に努め、観光客のニーズの変化に対応した体験型観光を中心とする和歌山ならではの新しい観光資源を充実し、地域の持つ独自の魅力を高めることによって観光客の増加を図っていきたいと考えてございます。
 次に、宿泊施設企業の経営難に対する県の実態把握と対応策についてでございます。
 白浜町における保養所等の宿泊施設につきましては、長引く景気の低迷の中、所有企業の合理化等により整理される施設が見られるなど、厳しい状況下にあります。このような厳しい経済情勢の中で県内中小企業者の資金需要に的確に対応するため、県としては平成十年度に不況対策特別資金制度を創設するなど、融資制度の充実に努めながら支援を行ってきたところであります。
 融資の状況につきましては、県信用保証協会の保証承諾ベースでは、白浜町全体で平成十年度三百二十六件、約三十八億円、平成十一年度二百七十件、約二十七億円となってございます。観光関連産業は本県にとっても重要な産業であることから、中小企業金融の円滑化に引き続き取り組んでまいります。
 また、保養所等の所有企業にとりましても、より一層魅力ある観光地となるよう、先ほど申し上げました新たな観光資源の充実など、さまざまな施策を積極的に進めながら地域産業の振興に努めてまいります。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) ご提案の、庭園の街づくり整備モデル事業についてお答えいたします。
 地方分権の時代を迎えた今日、地域の知恵や発想を生かした地域づくりがますます重要となっております。本県においては、県民の主体的な実践活動を促す県民運動「感動わかやま21」を推進しているところですが、各地域においても自主的な取り組みが活発に行われているなど、ふるさとづくりや地域づくりの機運が高まってきております。
 議員ご提案の、町全体が庭園のように見える美しい町をつくるという構想は、地域づくりや観光振興に資するという点から非常に有意義なものであると考えます。県といたしましては、議員ご提案のような地域づくりの取り組みに対してはいろんな手法がありますが、市町村と十分連携をとりながら可能な限り支援してまいりたいと考えております。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 堀本議員の、寮、保養所の活用方策についてお答え申し上げます。
 和歌山工科大学の教職員及び学生の居住用住宅の確保につきましては、地域経済の活性化のためにも、民間事業者により整備を進めていただくこととしてございます。このため、大学による住宅の一括借り上げや建設は行わない予定でございます。ただし、寮や保養所を民間事業者が教職員や学生向けの住宅として活用できるのかどうかについても十分承知しておく必要がございますので、現在、白浜町に調査を依頼しているところでございます。
 二点目の、白浜町内の交通問題でございます。
 南紀白浜空港につきましては、議員各位を初め関係者の皆様方のご尽力によって七月一日から一便増便され、これに合わせてバスについてもJR白浜駅─空港間の便が一往復増便されてございます。
 また、空港を中心としたバスの利便性向上についてでございますが、駅でのバス乗り場の案内表示を初め、運行本数、運行経路等、今後とも利用者のニーズに配慮したサービス等の充実に努めるよう、事業者に対し要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十六分散会

このページの先頭へ