平成12年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時四分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次一般質問をさせていただきます。
 午前中、先輩議員の吉井議員さん約十五分、同僚の中山議員が二十分ということで、自分なりにできるだけ簡潔に進めてまいりますので、しばらくの間、よろしくお願いいたします。
 さて、先般五月に県より財政運営プログラムIIが発表され、私どもも説明を受けたわけでありますが、その内容は、二十一世紀を目前に控え、少子高齢化、高度情報化、経済や環境の問題等、県政の課題は数多くあり、中でも今後高齢化がますます増大していくことが予想されるとのことでありました。加えて、行政活動を支える歳入につきましても、当面かつてのような伸びを期待しがたい状況にあり、そんな中、知事はこれらもろもろの課題に対応すべく県政の構造改革に取り組み、あえて挑戦の県政を進めるときとのお考えを示され、既存の事務事業の見直しを初め、県民福祉の向上のための諸施策を進められていると理解をいたしております。中でも、とりわけ厳しい財政状況のもと、和歌山工科大学の平成十五年開学を目指しての取り組みにおきましては、まさに人づくりは地域づくりであり、故郷(くに)づくりであるという観点に立ち、本県の将来に向けて期待するところ大と感ずる次第であります。
 以下、そういう考えに立ち、私は今回四点にわたり知事並びに各関係部長にお尋ねをしていきたく存じますので、何とぞ前向きなるご答弁をよろしくお願い申し上げます。
 まず第一点目、ナショナルトレーニングセンター誘致についてであります。
 この項目は、人づくりという観点から、まさに県のお考えと合致するものと考え、よって数点にわたり質問をさせていただきます。
 本年はオリンピックイヤーであり、二カ月後にはオーストラリア・シドニーにおいて大会が開催されます。そんな時期、去る六月十六日、報道によりますと、文部大臣の諮問機関である保健体育審議会は、激減するオリンピックでの日本のメダル獲得数を十年間で倍増し、一九七六年、すなわちモントリオールオリンピックの水準に戻すよう、世界レベルの競技者の育成を求めたスポーツ振興基本計画のあり方についての中間報告をまとめたとのことでありました。審議会は八月に答申を行い、文部省は九月にもスポーツ振興基本計画を策定するとのことであり、また平成十三年度よりおおむね十年間の政策目標を設定し、施策を示すものとなっております。
 この背景には、先ほど少し触れましたように、世界の競技水準が著しく向上する中、日本の競技力は相対的に低下をいたし、厳しい状況にあるということ。具体的には、日本のオリンピックでのメダル獲得率を見てみますと、一九七六年のモントリオール夏季オリンピックで二十五個、インスブルック冬季オリンピックはゼロ、メダルの合計獲得率が三・五%であったものが、一九九六年アトランタオリンピック時におきましてメダル数十四個で一・七%まで落ち込んだという状況が続き、したがって先ほど述べたように、政策目標の一つといたし、モントリオールオリンピック時の三・五%の水準にまで戻すよう世界レベルの競技者を育成強化するというものであります。
 このため、すぐれた素質を持った競技者を一貫した指導理念に基づき、国としてトップレベルの競技者に育成するシステムを各競技でつくる必要性を強調し、小・中・高のジュニア期の競技者を効果的に育成し、選手の強化拠点という意義づけのもと、ナショナルトレーニングセンターを早期に整備をすることを求めております。すなわち、我が国選手の国際競技力の向上を目指し、医科学的トレーニングを取り入れ、選手の心・技・体・知のあらゆる面での強化育成を体系的、計画的、効率的に進めるための総合的トレーニング施設であり、大規模な敷地に中長期間にわたり合宿ができる宿泊施設や医科学支援施設等を併設し、未来のトップアスリート強化を総合的にバックアップする、まさに国家プロジェクトであります。また、ナショナルトレーニングセンターの誘致は、本県におきましても昨年度政府要望にも挙げられており、この取り組みに大いに期待をいたすものでありますが、現在既に北海道、埼玉県、長野県等、多数の自治体が誘致に向け、さまざまな取り組み、努力をされているのが実情であります。
 そこで、このナショナルトレーニングセンター誘致に向け、本県のお考えと今日までの取り組みについて、知事並びに教育長にご見解を賜りたく存じます。
 また、これに関連をいたし、コスモパーク加太の有効利用についてもお尋ねをいたしたいと存じます。
 冒頭に申し上げました、本県の財政事情にかんがみるとき、年間約七億円の利払いを続けているこの地の有効利用は緊急の課題であると考えます。これまで再三にわたり、私なりに過去一般質問において質問、また提案をしてまいりましたが、関西国際空港に近いという利便性と自然が多く残る環境面を兼ね備えた広大な土地利用という条件がそろっているこの地で、改めてナショナルトレーニングセンターを誘致できないものなのか、企画部長のご答弁をお願いいたしたく存じます。
 次に第二点目といたし、男女共生社会づくりについてお尋ねをいたします。
 男女がともに参画できる社会づくりを目指し、平成十二年六月五日から六月十日まで、ニューヨークにおいて国連特別総会女性二〇〇〇年会議が開催されたことについては新聞報道等でも取り上げられ、このことから男女共同参画の問題が国際的に大きな課題であると同時に国内においても関心の高い問題であることを、私自身もそうでありましたが、改めて認識された方も多かったのではないかと思います。我が国においては、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の日本社会を決定する最重要課題の一つと位置づけ、社会のあらゆる分野におき男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図ることが重要であるという観点から、昨年六月、男女共同参画社会基本法が公布、施行されたところであります。
 こういった一連の動きの背景には、女性の人権尊重という大きなテーマとともに、差し迫った問題として女性の社会進出、経済的自立といった男女共同参画という流れに沿った状況ができつつある一方、いまだ仕事と家庭との両立の難しさから、若い女性には脱結婚志向、あるいは出産の高齢化等、少子化の要因をつくり出しているという危機感すら感じ取られます。また本県におきましても、農山村を初めとして高齢化、少子化という問題が無視できない状況としてあるわけでありますが、それぞれの地域を地道に支える女性たちは、果たしてふるさとを住みやすく、快適なところとしてとらえているのでしょうか。また、若者の都市部への流出の原因は、就労機会が少ないということだけなのでしょうか。地域で、あるいは職場で、また家庭において男性優位の考え方を払拭し、真に頑張る女性が正当に評価されることにより、女性みずからがそれぞれの場で誇りを持ち、男女が共同で地域運営や家庭生活の責任を分担し、共同で参画することができれば、より生き生きとした豊かな将来像が描けるのではないかと考えます。よって、国の定める男女共同参画社会基本法におき、その目的を、「男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性にかんがみ、(中略)男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進すること」としておりますが、本県におきましても、豊かで活力ある和歌山県を創出するため、男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分発揮することがこれまで以上に求められてくるのではないかと推測をいたします。
 県におかれましては、本年三月、男女共生社会づくりプランを策定され、基本方針等を既に示されたところであり、また平成十二年度予算の中におきましてもジェンダーフリー推進事業を初めとする幾つかの新規施策が挙げられており、その積極的な取り組みは大いに評価できるものでありますが、今後どのような問題意識を持ってこの課題に取り組むお考えなのか、知事に改めてお伺いをいたしたいと思います。
 また、先ほど申し上げたとおり、男女共同参画の推進に当たりましては、あらゆる分野において施策の推進を行う必要があり、本県の男女共生社会づくりプランにおきましても多様な分野での取り組みが示され、総合施策としての位置づけがまず必要であると考えます。
 よって、そのためには担当部署を総合窓口としてふさわしい位置づけにするとともに、全国的に見ましても四十七都道府県中三十八都道府県が知事または副知事を長といたし、関係部局長を構成メンバーとした全庁的な推進体制で取り組んでいるようでありますから、本県におきましても、トップである知事みずからが先頭に立ち、男女共生社会づくりを推進していただく決意をアピールする姿勢が必要ではないかと考えます。この点についてご所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、環境生活部長にお伺いをいたします。
 男女共同参画の推進に当たりましては、女性の視点に基づく政策が非常に重要となってくるのではと考えられます。これまでの政策の多くは男性が考え実行してきたと言っても過言ではないと考えますが、今後は意思形成の段階、意思決定の段階、それぞれに女性の参画が必要となってまいります。そういった時代の要請にこたえるため、各種審議会への女性の登用は必要不可欠であり、以前にも女性の登用率について三〇%という目標を設定されているとの回答をいただきましたが、その後の状況あるいは登用促進に当たってどのような取り組みをされているのか、お伺いをいたします。
 次に、三点目の質問に入らせていただきます。
 昨年九月議会において質問をさせていただきました少子化問題に関連をいたし、最近急増しております児童虐待問題についてお尋ねをいたします。
 六歳の息子を小学校にも入学させず暴行を繰り返し、せっかん死させた三十五歳の母親が静岡県で逮捕され、さらに大阪府茨木市に住む二十八歳の主婦が二歳の長男をせっかん死させたなど、いたいけな子供たちの虐待死事件が後を絶ちません。
 厚生省の調査によりますと、全国で児童虐待の相談件数は、平成十一年度で一万件を超えており、それでも氷山の一角であるとのこと。主な虐待者は、実の母親が五五%、父親を合わせますと八〇%を超えることになり、いずれのケースも親として余りにも未熟と言わざるを得ない、大変気がかりな状況であります。こうした不幸な親子関係を生む原因にメスを入れなければということや、またとりあえず悲惨な結末を迎える前に虐待をやめさせなければという思いから、超党派の国会議員による児童虐待の防止等に関する法律がまとめられ、国会に提出、本年五月十七日に成立、年内に施行される見通しとなりました。
 これまでは、親権が子供の救出の壁になることが多かったわけでありますが、新法は親の同意を得ずに児童を保護した場合、児童相談所長らが親の面会、または通信の制限をすることができ、事実上親権の一時停止が認められたわけであり、その後、親に対して必要に応じてカウンセリング受講の義務づけをいたし、従わない場合は都道府県知事が勧告できるということ、また学校や児童福祉施設、保健所、医療機関の職員、弁護士らには虐待の早期発見の努力義務を課し、通告しても守秘義務違反に問わない免責規定を設けており、加えて虐待が行われているおそれがあると認めるとき、家庭への立入調査も実施できることになり、また警察官の援助を求めることができると明文化され、緊急な場合は強制的な立ち入りを可能にしたとのことであります。しかしその一方、どこまで強制力が及ぶのか、カウンセリングの専門家が不足し実効性がないなどの疑問も指摘されており、三年後の見直しに向け、早くも動き出した市民グループもあると仄聞をいたしております。
 そんな折、誘拐、いじめ、虐待等、子供への暴力が深刻化する中、子供自身が暴力から身を守るための防止策として、アメリカの人権教育プログラム、チャイルドアソルトプリベンション、通称CAPへの関心が高まってきております。これは、自分を主張する、すなわち自分を守るために立ち上がること、また仲間同士の助け合い、すなわち他人の権利を守るために立ち上がること、そして信頼できる大人に話すという三つを柱に、子供たちに自分の大切さを教え、一人一人が本来持っている力を引き出す大変意義深い教育プログラムであります。また、大人向けには子供をエンパワーする、すなわち勇気づけることの重要性や、子供への対応の仕方、さらに虐待、いじめ防止における親や教師の役割等の勉強会を組み入れ、いじめられるために生まれてくる子なんていない、いじめるために生まれてくる子もどこにもいない、今私たちには何ができるのだろうか、何をすればいいのでしょうか、そんな思いを持った大人向け、そして子供向けの取り組みをあわせ持った後援会が、既に本県においては和歌山市のひまわり保育園や桃山町の調月小学校等で開催されております。加えてこのことに関して、大阪府青少年課では自治体として初めてCAP事業を行う市町村に半額の補助を決め、五百万円を予算化、兵庫県においても普及方法を現在検討していると聞いております。
 地域住民がこのCAPを体験することで、地域の子育て力を高め、母親に集中しがちな子育ての負担を軽減し、母親、父親ともに安心して子育てができる環境を整えることが大切であり、そして何よりも重要なことは、親と子、それぞれの心のケアをどうしていくのかということであり、親が虐待に走らないよう、例えば親類や近所の人が見守り、注意する、また子育てに悩んだあげく虐待に走る母親も多いことから、地域の子育て支援センターに指定されている保育所の相談機能も充実すべきと考え、以上のことから児童虐待の本県における現状と今後の取り組みについて、加えて既に国内において百ほどのグループが活躍している通称CAPに対する県のご見解を福祉保健部長にお尋ねいたします。
 さて、最後の質問項目に入らせていただきます。
 連日、大手乳製品メーカー雪印乳業の大阪工場で製造された紙パック入り加工乳・雪印低脂肪乳を飲んだ人の中から嘔吐や下痢、腹痛等の症状を訴える人が続出をいたし、七月三日現在、本県だけでも和歌山市を初め岩出保健所管内等六保健所管内で一千名を超える人たちが症状を訴えた報道がなされました。加えて、大阪府を初め近畿地方を中心とした二府六県におきましても、七千名を超す人が保健所等に症状を届けており、うち入院患者の累計は百名を超したとのことであります。また、同社大阪工場の製造ラインから黄色ブドウ球菌が検出されたことを受け、大阪府警は二日、業務上過失傷害容疑で同工場において現場検証を実施したことなど、社会的影響が大きい事件となっております。また、かなり広範囲にわたり発症していることや、牛乳が学校、病院、福祉施設等の給食の食材としてなくてはならないものだけに、大変気になるところであります。また厚生省乳肉衛生課は、二日付で乳製品による食中毒の再発防止のため、全国約八百六十カ所の乳処理施設の衛生管理状態の一斉点検調査を各都道府県と政令指定都市に指示することを決めたとも報道されております。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 県生活衛生課におきましては、職員が休日返上で出勤をいたし対応に当たっておられるとお聞きをいたしましたが、改めて今日までの本県における現状と今後の取り組み、対応についてお聞かせを願いたいと存じます。
 以上、四点にわたり質問をさせていただきました。県当局におかれましては、何とぞ誠意あるご答弁のほどをよろしくお願い申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山下議員にお答えをいたします。
 ナショナルトレーニングセンターの誘致は、スポーツの振興はもとより、本県の魅力を世界に発信する機会となり、県の活性化に大きく寄与するものでございます。具体的なことにつきましては教育長から答弁いたしますけれども、今後とも誘致の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に男女共生社会の推進につきましては、人権尊重という視点はもとより、元気な和歌山を築くための喫緊の課題として取り組んでいるところであります。男は仕事、女は家庭といった慣習やしきたりは、女性の社会参画を阻害し、本来の能力を発揮する機会を失わせており、男女の平等、基本的人権の尊重という視点から男女共生社会づくりを進めることが必要でございます。また、加速する少子高齢化社会に対応するためには、結婚や出産、子育て期においても、女性が安心して社会参画できる環境があってこそ、豊かで活力ある和歌山が築けるものと考えてございます。依然根強く残っております固定的役割分担意識の変革にはまだまだ強力かつ積極的な取り組みが必要でございますが、本年三月に策定いたしました和歌山県男女共生社会づくりプランの効果的な推進に当たっては、議員ご指摘のように、担当部署の位置づけを含む総合施策としての取り組みが、まさに重要なことでございます。
 今後は、平成十三年からの省庁再編に伴う国の推進体制の強化も考慮しながら、知事みずからが長になることも視野に入れまして、本県に最適な推進体制を考えてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) ナショナルトレーニングセンター誘致についてのうち、コスモパーク加太関連についてお答え申し上げます。
 県、和歌山市及び県土地開発公社の三者で構成する加太地域開発整備推進協議会で合意した整備方針に基づき、現在、県土地開発公社を事業主体とする区画整理事業の認可取得に向け、関係機関と協議を重ねているところでございます。
 コスモパーク加太への施設の誘致は、私どもも極めて重要な課題と受けとめており、多方面にわたり情報収集やPR活動を行っているところでございます。議員ご提案のナショナルトレーニングセンターにつきましても、誘致施設として大いに関心を持っているところでございます。
 今後は、国の動向に留意しつつ、教育委員会と連携をとりながら、コスモパーク加太への立地について検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 山下議員のご質問にお答えいたします。
 審議会や委員会への女性の登用促進につきましては、社会の対等な構成員としてその責任を担っていく女性の意思をあらゆる場で反映させていくことは、男女共生社会を形成していくために欠かせない大変重要な事項であると認識しております。
 平成六年三月に審議会等委員への女性の登用推進要綱を制定するとともに、男女共生社会づくりプランの重点課題の一つとしても取り上げ、推進に努めております。しかし、平成十二年一月一日現在の女性委員の比率は一七・七%であり、目標の三〇%には難しい状況にあります。こうした現状を踏まえ、女性センターでは今年度から女性地域リーダー養成プロジェクトを実施し、審議会等への登用が可能な人材の育成を進めているところであります。今後、積極的な女性人材情報の提供もあわせて庁内全体で女性登用の機運を高めていくためにも、さらに積極的に取り組んでまいります。
 続きまして雪印低脂肪乳による食中毒についてでありますが、七月四日九時現在で、県内の有症者は千三百九十八名となっております。うち七名が入院しておりましたが現在退院され、他の有症者もほとんど回復状態にあり、心配される事態は脱したものと思われます。
 この事件について、県といたしましては、有症者の把握や喫食状況等の調査のほか、問題の牛乳の回収について関係販売業者に対し指導の徹底を図るなど、その対応に努めてきたところであります。
 なお、発症までの時間が短時間であることから、県衛生公害研究センターにおいて砒素などの重金属系毒物並びに食中毒菌等の検査を実施してまいりましたが、雪印乳業株式会社の調査で施設より黄色ブドウ球菌、続いて大阪府立公衆衛生研究所では当該品から黄色ブドウ球菌の毒素を検出したことから、県管轄の牛乳製造施設に対し、衛生管理についてより徹底を図るため、保健所に監視指導の強化を指示したところであります。
 今後の対応につきましては、近く厚生省がこの件を取りまとめの上、通達を出すことになっておりますので、これを受けてより適切な対策を講じ、牛乳の安全確保に努めてまいります。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 山下議員にお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、少子化対策は県政の重要課題であります。また、特に児童虐待問題は大きな課題と認識をしてございます。本県の児童相談所における虐待の相談件数は年々増加し、平成十一年度は身体的虐待四十一件、保護の怠慢三十三件等、八十四件となってございます。
 県といたしましては、児童相談所を初め、市町村の乳幼児検診、保健所の発達相談や家庭訪問、乳児院での母子体験入所による育児相談など、育児不安について気軽に相談を受ける体制を整え、未然防止に努めているところでございますが、今後さらに防止活動を行う地域協力員の養成やシンポジウムの開催により、児童虐待の防止等に関する法律の周知と虐待防止についての取り組みを充実してまいりたいと考えております。
 また議員お話しのCAPについてでございますが、子供の人権を守るという観点から、県といたしましても関心を持っておりまして、昨年度、本教育プログラムを紹介する講演会を開催したところでございます。CAPの視点は養育面において大切な考え方でありまして、今後県民への周知について検討をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ナショナルトレーニングセンターは、日本の競技力を世界水準まで高めることを目的とした大規模総合トレーニング施設であり、平成九年度から文部省において整備に向けての調査研究が行われてまいりました。本年度は、その構想の概要が示されることになっております。
 本県は、関西国際空港に近く、豊かな自然に恵まれているなどすぐれた立地条件にあることから、他府県に先駆けて国に対し要望を行い、また情報収集等にも努めてきたところであります。
 さて、本年開催されるシドニーオリンピックには、現在本県から六名の参加が予定されておりますが、議員ご指摘のとおり、このトレーニングセンターは、今後オリンピックでの我が国のメダル獲得に大きな役割を果たすものと考えられます。この誘致が実現すれば、国内外のトップアスリートの卓越した技術等に接することができ、本県選手の競技力の向上や青少年のスポーツへの動機づけなどに多大な効果を与えてくれるものと思います。このナショナルトレーニングセンターについては多くの自治体が関心を持っていることから、今後関係部局による誘致推進のための連絡協議会を組織し、あらゆる機会を通じて国に働きかけを強めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時三十五分散会

このページの先頭へ