平成12年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十二年六月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
     ─────────────────────
議事日程 第二号
 平成十二年七月四日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並びに報第三号から報第七号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並びに報第三号から報第七号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     十七 番欠員
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     環境生活部長     道   浦       渥
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       辻           健
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       佐   竹   欣   司
     調査課長       梶   本   皓   造
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時四分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 この際、藍綬褒章受章議員に対する記念品の贈呈を行うため、このまま暫時休憩いたします。
  午前十時五分休憩
     ─────────────────────
○事務局長(田村徳美君) ただいまから、藍綬褒章受章議員に対する記念品の贈呈式を行います。
 去る四月二十九日、地方自治の発展に貢献せられたゆえをもって藍綬褒章を受章されました木下秀男議員に対し、議長から記念品が贈られます。
 木下秀男殿。
  〔議長から記念品を贈呈〕(拍手)
○事務局長(田村徳美君) 記念品の贈呈が終わりました。
それでは、知事のご祝辞をお願いいたします。
  〔西口 勇君、登壇〕(拍手)
○知事(西口 勇君) このたび、はえある藍綬褒章をお受けになられました木下秀男議員に、一言お祝いを申し上げたいと思います。
 ご承知のとおり、木下議員は、昭和五十四年四月以来六期連続当選され、議長、副議長を初め、文教委員会、農林水産委員会、建設委員会の各委員長など、多くの要職を歴任してこられました。その間、近畿自動車道紀勢線を初めとした交通基盤の整備や港湾の整備、農業・水産業の振興、福祉の向上、教育・文化の振興など、多岐にわたり県政に対するお力添えを賜ってまいりました。こうした長年のご努力が今回の藍綬褒章につながったものであり、その功績に県民を代表して感謝を申し上げたいと存じます。
 木下議員は、県議会議員に就任される前は和田鶴一参議院議員、早川崇衆議院議員の秘書を務めておられましたので、当時から通算すれば三十六年という長きにわたり政治にかかわりを持たれ、また携わってこられたことになり、今歩んでこられた道を振り返られ、感慨もひとしおのことと存じます。
 どうか、今後とも健康にご留意され、和歌山県の飛躍発展のために変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げますとともに、一層のご活躍をお祈りして、お祝いのごあいさつといたします。
○事務局長(田村徳美君) 引き続きまして、受章議員のごあいさつがございます。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 一言、ごあいさつを申し上げます。
 ただいまは、はえある藍綬褒章受章に際して記念品を拝受いたしました。また、西口知事からは身に余るお祝いの言葉をちょうだいいたしまして、恐縮しておるところでございます。
 思えば昭和五十四年、和歌山県議会に初当選させていただいた当時は十七名の同僚議員がございました。今は、その同期生も六名しか在籍しておりません。その中で既に四名の方が他界をされるという、二十二年の議員生活を振り返ってみますと、選挙という洗礼を受けることは当然でございますけれども、人間の栄枯盛衰と申しますか、さま変わりと申しますか、感慨ひとしおのものを覚えるところでございます。
 六回の選挙──親身になってご支持いただきました選挙民の皆さんはもちろんでございますが、当選したときの仮谷知事を初め、現在の西口知事、そして県当局の皆さんはもちろんのこと、同僚議員の皆さん方の温かいご指導、ご鞭撻を賜ればこそ今日の栄誉に輝いたものと、衷心より厚く御礼申し上げる次第でございます。
 今後は、この栄誉に恥じることなく、一意専心、県勢の発展に努力してまいる所存でございますので、引き続き変わらぬ叱咤激励、ご指導を賜りますよう重ねてお願い申し上げまして、お礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。
○事務局長(田村徳美君) これをもちまして、記念品の贈呈式を終わります。
     ─────────────────────
  午前十時十二分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
  【日程第一 議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並
        びに報第三号から報第七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十九番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。トップバッターとして質問する機会を与えていただきましたことに感謝申し上げ、早速質問に移らせていただきます。
 まず、行財政改革について質問をさせていただきます。
 平成十二年度の国債残高は実に三百六十四兆円、さらに地方の長期債務百八十七兆円を加えると六百兆円、まさに天文学的な累積債務であります。一方、地方においても綱渡り的な財政状況であります。
 本県も、県税収入の落ち込み、本県の予算に匹敵する県債六千億円の償還の重さ、財政調整基金等の基金残高の急激な減少等、県財政は大変な危機に直面している状況であります。これは、バブル崩壊後の景気対策である公共事業の財源として、かつて例のない県債発行が大量に行われたそのツケが、今、回ってきておるわけであります。県財政の硬直化を招いているそのものの原因が、大きな借金であります。
 そもそも起債というものは、次の世代の県民に公平に負担をお願いする財源の補てん的な措置であります。つまり、次代の県民が公平に恩恵を受ける事業に対して行わなければならないものであります。少子高齢化が進み、負担してもらえる人口が大変少なくなる予想で、新しい次の世代に過酷なツケを残していいものか、今我々が真剣に考え、これを解決しなければなりません。私はこの前の議会でも、このことを県民運動の一つとしてとらえ、県民みんなで取り組みましょうという質問をさせていただきました。
 さて、昨年八月、県財政の見直し及び県財政の健全化に向けた県財政運営プログラムを作成されました。県の財政改革に着手し、さらにことしの五月に具体的な県財政の健全化に向けた財政プログラムツーが発表されたところであります。内容は、県財政の具体的な数値を掲げ、思い切った財政見直しを図るというものであります。財政調整基金等の県の基金が底をつき、十四年度以降の予算を確保することが困難であると、そういうせっぱ詰まった状態を示しております。
 県は、この行財政改革の取り組みということで、行政評価システムとして事務事業評価システムの本格的導入を掲げております。行政評価システムは三重県や静岡県で導入されており、県民にわかりやすい行政システムを示し、評価を公表することにより県民の幅広い意見を政策に取り入れる先進的なシステムであり、コストの削減、職員の意識改革、成果重視の行政サービスなど、行政改革の有効な手だてであります。
 そこで、県はどのような行政評価システムを目指しているのか、お尋ねいたします。
 また、数値化された評価と実際の事務事業との乖離がある場合もあります。結果がすべてでないということを認識していただき、その取り組みをしていただきたいと思います。県はどのようなシステムとソフトを考えておるのか、お聞きしたいと思います。
 次に、施策の抜本的な見直しとして、具体的に目標額百億円の削減をうたっております。投資事業の新たなシーリング制と緊急性、重要性の観点から優先順位を十分精査の上取り組みを強化する方針とありますが、これは当然のことでありまして、我々県議会もかねてより主張してきたところであり、さまざまな角度から事業の優先順位を申し上げてきたところであります。
 そこで、事業の見直し方針についてお聞きしたいと思います。
 次に、県内市町村の財政状況についてお尋ねいたします。
 県下の市町村の経常収支比率は平成十年度で八四・六%となっており、また公債費負担比率の数値が非常に高い市町村も多く、財政の硬直化が進行している現状であるが、県は市町村の財政状況をどのように認識しておられるのか。
 ごみの問題、環境問題、少子高齢化等、行政需要が非常に高まっている中、市町村の財政健全化には大変困難なものがあると思われます。地域住民が夢のある町づくりを目指して頑張っているわけであります。このままでは先の展望のない状況であり、全く公務員だけの行政、公務員だけの役場といったものになりはしないかという危惧があるわけであります。先々の市町村のあり方について県はどのように考え、具体的にどのように取り組むのか、お伺いいたします。
 次に、これに関連して市町村合併についてお尋ねいたします。
 私は、地方分権の流れの中からこの市町村の合併について、この議会でもたびたび質問をさせていただきました。そういう中で、市町村の財政の硬直化、介護保険、環境、福祉等の行政が広域化する中で、市町村の合併は緊急の課題となってきております。地方分権が実行の段階に入った今、早急な行政整備が不可欠の問題となってきております。今すぐ取り組んでも合併協議会等の設置の手続をしていけば、またそういう話が合意しても、数年の年月がかかるわけであります。そうすると、もう待ったなしのところまで来ているような気がいたします。
 最近の県内の地方新聞を読んでも、市町村の合併について住民の意識が非常に高くなってきております。行政の取り組みにいら立ちを覚えている感があります。
 一方、この合併に対する消極的な意見も、確かにございます。県が市町村に対するアンケートをとり、調査した中で、次のような意見があります。一つは、合併に対する住民の機運が醸成していない、二つ目に、きめ細かい行政サービスができなくなる、三番目、行政施策への住民意見が反映されにくい、四番目として、中心部と過疎部、周辺部に格差が生ずる、こういう意見であります。私も、数年前よりこの合併論についてさまざまな地域で議論をさせていただいております。その中でも、反対意見の中にこういう意見が多数占めておりました。しかし皆さん、IT革命、すなわちコンピューターのインターネットが始まってまだたった五年しかたっておらないわけであります。その五年の間に、コンピューターのインターネットが世界を席巻しておるわけであります。そういった昔ながらの意見で時をむだに過ごさないように我々はしなければいけないと思います。地方分権が実行の段階で、地方公共団体の競争が既に始まっておるわけであります。悠長なことを言っておる場合ではないと、私は思うわけであります。
 自治省は、平成十二年度の早い時期に市町村の合併要綱を提出するように言ってきております。それで、県は和歌山社会経済研究所に広域行政体制整備調査を委託して──ちなみに八百万円ほどかかったらしいです──その報告書がこの六月にでき上がり、過日、市町村長に説明されたようであります。我々県議会議員にも送付されました。内容は、県の長計にある広域圏ごとに、その中で二つか三つのパターンの合併案がとりあえず示されたものであります。市町村の組み合わせ数が最小で八つの自治体、最大で十六の自治体になっており、数としては適正であるように思われます。
 そこで、県は社会経済研究所の報告を受けてどのような形で国に対して県の要綱を提出するのか、お伺いいたします。
 県は、現状及び将来を考えても合併は不可欠のものと認識されていると思います。そしてまた、早急に取り組まなければならない課題であると考えていると思います。それゆえ、さまざまな支援策を実施しようとしているわけであります。だから、今後、県はもっと積極的な合併に関する取り組み、リーダーシップが必要でないかと考えます。
 市町村の財政は、既に緊迫しております。他府県におくれることなく取り組むことが将来の県民に対する県としての重大な責任でもあります。知事の決意を込めた、県民に対して説得力のある取り組みをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、森林の保全と林業活性化についてお尋ねいたします。この問題も、私はかつてこの議場で質問させていただいたことがあります。
 森林は、たくさんの機能を持っております。酸素供給、大気浄化、水資源涵養、災害防止等、多様な機能を有しており、人間が生きていく上で重要な役割を果たしております。この森林が近年、地球規模で破壊されております。特に発展途上国の森林破壊はすさまじく、毎年一千三百万ヘクタールの森林──一千三百万ヘクタールと言えば、日本の森林面積の半分です。日本の国土の三分の一ぐらいが消失しておるわけであります。また、この百年の間に世界は原生林の半分近くを失ったと言われております。このままでは、あと八十年で地球上に動物が存在できなくなるという話もあります。動物の中には人類も入っているように思われます。そして恐ろしいことに、世界で流通するありとあらゆる木材の三七%が日本に行き着いているということであります。
 こういうことで、何とか地球を救おうということが国際社会で真剣に叫ばれております。そういう中で、日本の果たすべき役割が大きく期待をされております。
 国内に目を向けて、日本の森林はどうなっているのか。長い間、安い外材を輸入し、国産材を自給しないために、日本の林産業はどうしようもなく衰退しております。その結果、森林の整備が十分でなく、森林の持つ機能が急に低下するという危機に直面をしております。
 このような危機的な状況の中で、地方において何をなすべきかが問題であります。地方議会が集まり、森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟も平成九年に結成され、憂慮されるこの森林・林業活性化対策運動を展開しております。ことしも六月に全国会議が開催され、新しい会長に我が県議会の木下秀男ウルグアイ・ラウンド議連会長が選出され、地球環境を守り、森林資源の循環型社会の構築についての決議をしたところであります。また、和歌山県森林組合連合会の松本健会長が意見発表し、地域材需要の拡大と林業の担い手の育成を熱っぽく語っておられました。
 和歌山県の森林は、戦後のあの厳しかった時代に道なき道をたどり、重い苗木をかつぎ上げ、二十一万ヘクタールに上る杉・ヒノキの山をつくり上げてまいりました。この森林は、日本全国に誇り得る和歌山「木の国」の宝であります。この厳しい状況の中で和歌山の森林・林業をいかにして守るのか、次世代の県民にどのようにしてこの宝を残すのか、我々に課せられた責任は非常に大きいものがあります。
 そういう意味で、資源循環型社会の構築等、そしてまた新しい国での基本政策といったものが今求められております。そういうことで、和歌山県の基本的な森林・林業のあり方についてお考えをお伺いしたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 市町村合併についてでございます。
 市町村の合併は、地域の将来や住民の生活にとって大変大きな影響を及ぼす事柄でございまして、市町村並びに住民の方々が自主的に判断されることが最も重要であると考えてございます。
 しかし一方、議員ご指摘のように、地方分権の進展、あるいは広域化する行政需要など、市町村を取り巻く情勢は大きく変化してございまして、市町村の行政体制の整備充実を図ることがこれまで以上に求められております。
 このような状況の中で市町村の将来のあり方についての議論を深めることは大変重要であり、先日公表した広域行政体制整備調査報告書などを踏まえ、民間有識者などから成る懇話会を設けまして、これらの意見をお聞きしながら市町村の合併の推進についての要綱を策定してまいりたいと考えてございます。
 このような取り組みを通じて、できるだけ早期に地域における議論が深められていくことを期待していきたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 行財政改革についてのご質問のうち、まず事務事業評価システムについてお答えいたします。
 事務事業評価システムにつきましては、財政運営プログラムIIにおいて本年度からの本格導入を位置づけておりまして、県行政の透明性の向上や行財政運営の効率性等を確保する観点から、一般会計のすべての事務事業を対象に実施してまいります。
 また評価につきましては、対象事業を効率性や効果といった観点から評価することといたしておりますが、県民の皆様方にできるだけわかりやすいものにしたいと考えております。
 ご存じのように、事務事業評価につきましては、先行して実施している府県においても試行錯誤しつつ取り組んでいるところでございまして、本県においても、県民の皆様などのご意見をいただきながら、より完成度の高い評価システムの構築を目指して不断に努力してまいることが重要であると考えております。
 次に、事務事業の見直しについてでございます。
 従来から行政改革大綱に基づいて事務事業の見直しに努めてきたところでございますが、財政運営プログラムIIにお示ししておりますように、管理事務経費のさらなる節減はもちろんのこと、給与関係経費についても削減を図るなど、行政内部における最大限の努力を図りますとともに、公共事業についても新たにシーリング制を導入するなど投資的経費の抑制を図りつつ、先ほどお答えいたしました事務事業評価システムを適切に活用しながら、すべての事務事業について、その必要性、効果、緊急性等を検討し、抜本的見直しを行ってまいります。その上で、施策の優先順位を十分に踏まえて限られた財源を適切に配分し、引き続き県民福祉の向上に努めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、市町村の財政状況についてのご質問にお答えいたします。
 県内市町村の財政状況についてでございますが、財政構造の弾力性をあらわす代表的な指標である経常収支比率が近年、地方税、交付税を中心とする一般財源の伸び悩みに加えまして、人件費、公債費の増加等により年々上昇してきております。このことは、市町村にとって自由に使える財源が年々減少し、財政の硬直化が進んできていることを示しており、市町村財政は大変厳しい状況にあると認識いたしております。
 今後とも、市町村にあっては、事務事業の見直しを初め、組織・機構の簡素合理化、定員管理・給与の適正化、広域行政の推進など、行財政全般にわたる改革を積極的かつ計画的に進めるとともに、行政課題の的確な把握と限られた財源の重点的、効率的な配分を行っていくことが今まで以上に求められているものと考えております。そのため、県といたしましても、県内市町村の財政健全化に向けて適切な助言と必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 吉井議員の森林の保全と林業活性化についてのご質問にお答えいたします。
 議員お話しのとおり、森林は、木材生産はもとより水資源の涵養など、国民生活にとって重要な役割を果たしているところでございます。また最近では、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収・固定する機能が環境保全の上から大きくクローズアップされるとともに、森林から生産される木材は環境に優しい再生産可能な資源として、その有効活用が循環型社会の形成に大きく寄与するものと期待されているところでございます。
 「木の国」と称される本県の発展にとって、県土の七七%を占める森林の保全、林業の活性化は重要な行政課題であると認識し、積極的に取り組んできたところであり、次世代に向け、今後とも一層の努力を重ねていく必要があると考えてございます。
 現在、国におきましては、森林・林業・木材産業の基本政策の見直しが進められ、本年中には政策大綱が決定されるものと聞き及んでございます。
 こうした国の動向などを視野に入れ、本県としても継続して資源が循環的に利用できる森林経営の確立に向け、生産林、保全林などの森林の利用区分の明確化を図り、間伐等の森林整備を初め、基盤整備や担い手対策、さらに紀州材の需要拡大対策などを総合的に推進して、森林・林業・木材産業及び山村地域の活性化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再質問がないようでございますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長のお許しを得ましたので、質問を進めさせていただきます。
 一番目には、都市計画道路築地阪井線の整備についてであります。
 これについては、二月定例議会で明らかにされたところによると、予算的には平成十二年度でことしまでの事業計画が完了し、工事は十三年度に残るかもしれないというところでした。それから先の龍部池までは重根土地区画整理事業との関係で進みぐあいが決まっていく、重根土地区画整理事業が遅々として進んでいない現状から道路整備は先行きが見えないと言わざるを得ないと申し上げたところであります。県としても、休むことなく築地阪井線の拡幅整備にかかろうとのお考えであろうけれども、平成十四年度以降をどうするのか。これが本質問の主要なところであります。
 今の状況から、土地区画整理事業法に基づき知事の勧告・助言がなされてはどうかと思うところですが、このたび重根土地区画整理組合が建築物等の設置について業者と覚書を交わしているように聞いております。重根土地区画整理組合は最も優先的に考えて取り組むべきはずの公共事業、すなわち築地阪井線の整備に心血を注がないで民間の会社に便宜を図るというのはどういうことなのかということが市民の間でも問題にされているところであります。
 重根土地区画整理組合とのかかわり合いで、築地阪井線が龍部池まで休むことなく事業化できるのでしょうかということがこの質問の内容であります。
 二つ目には、プレジャーボートと港の整備についてであります。
 放置艇はおよそ五千四百隻とも言われ、年々増加の傾向にあると聞きます。特に和歌山市、海南市の河川や港湾など、公用水域での放置艇の対策が強く求められてきているところであります。
 以前にも取り上げて対策を求めたところですが、ようやくにしてプレジャーボート対策協議会が設置されて対策の基本方針や規制措置などについて検討され、マスタープランの策定に取りかかられているようですけれども、その取り組みについてお話をいただきたいと思います。
 以前に取り上げた折に、放置艇の受け皿となる保留・保管施設の整備を進めなくてはならないのだとのことでしたけれども、これについて具体化がどのくらい進んでいるのか、計画を示されたいと思います。
 三つ目には、中山間地の直接支払い制度についてであります。
 これについて、新農業基本法制定にかかわって、中山間地の多い和歌山県の農業にとって大した期待は持てないのではないかと以前に問うたところであります。農林水産部長はこれに対して、中山間地への直接支払い制度等期待できると述べられたところです。もっと論戦を交わして和歌山県農業の独自策を求めようとの思いがあったけれども、またという機会があるとの思いで、それは置いておきました。
 ところで、県下の実態をつぶさに見るとき、果たしてそう言い切れるのかどうか。当局が述べられた状況にはないのではないかと改めて申し上げ、しかるべき対策を求めるところであります。
 農林水産省でさえ、中山間地の直接支払い制度の要件を緩和しようとの動きを示しているようでもあります。海南市の東部山間地でも、今手を打たねば大変なことになることは明らかであります。ある地域では、まだ比較的元気な方々が地域の農地を守り、田起こしをしながら田植えをして、放置された農地を一枚も出さないでいるところがあります。これは極めて珍しいと受けとめているところです。その地域にしても、後継者がいない、先々見通せないと言われます。もし若い人がいても農業を継いでもらうわけにはいかないと嘆かれます。そこで、中山間地への直接支払い制度を充実させて、農業でどうにか食っていけるところに持っていってほしいという願いがあります。
 和歌山県が新農業基本法に基づいて直接支払い制度をどのくらい受けられようとしているか、またそれが県下農業の現状に合ったものか、現時点での状況はどういうことなんでしょうかということをお尋ねしたいわけであります。直接支払い制度の推進とあわせて、県独自の対策に今手を打たねば大変なことになるということをご指摘申し上げながら、県当局のお考えを求めたいわけであります。
 次に、新学習指導要領とのかかわりで、総合的な学習の時間についてお尋ね申し上げます。
 中央教育審議会は、平成八年七月に「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」ということで、生きる力を全人的な力であるとして、横断的、総合的な指導を一層推進し得るよう新たな手だてを講じ、豊かな学習活動を展開していくとして一定のまとまった時間を設け、横断的、総合的な指導を行うと答申し、教育課程審議会は平成十年七月に、激動する新社会に生きる力をはぐくむことを目指して総合的な学習の時間を創設すると答申しました。これら答申を踏まえて平成十年十二月、学習指導要領の改訂で、総合的な学習の時間を各学校に設置するよう義務づけをし、今日、移行措置の段階にあります。平成十四年から週五日制の完全実施とともに新学習指導要領の全面実施となるわけですが、これについて幾つかお尋ねを申し上げます。
 まず一番目に、学校が創意工夫をし、特色ある教育活動と言われるのですけれども、今日までの状況からして、国連子どもの権利委員会が指摘しているように、過度の競争の教育が子供たちの人間らしい発達を阻害し、そのことが大きな要因となっていじめや登校拒否、授業が成り立たないような荒廃した教育現場になっている、その原因の一つが、過密な旧学習指導要領を法的拘束性の名のもとに押しつけてきたことにありとして、県下三十七の市町村からもこの学習指導要領見直しの意見書が出されていたりしているところです。自由な学校現場の教育の営みを保障せずにいて、直ちに新学習指導要領、中でも総合的な学習の時間をもってして期待されるようなことになるのかどうか、お尋ねしたいところであります。行き詰まった教育の現状から何ゆえこうなったのかの原因をつぶさに明らかにされることを抜きにして、真の問題解決は望めないのではないかという立場からの質問であります。
 二つ目の問題であります。さらに今日まで教育委員会から細かな指示・命令によるいわゆる上意下達の機能や意識が強く働くところとなり、いわゆる管理主義教育の体制を追い求めてきた行政にとって、直ちに特色ある教育活動が十分行われるとお考えなのか。かなり長期にわたって体制化されてきているので、厳しい自己改革をもって当たらねば成果は望みにくいのではないか。素直にお答えをいただきたいところであります。
 三つ目、総合的な学習の時間の新設として中学年に百五時間、高学年に百十時間としているけれども、各教科学習とのかかわり合いで基礎学力に支障を来すことがないのでしょうか。
 次に四つ目として、各学校は創意工夫した教育活動を行うとしているけれども、例えば国際理解、情報、環境、福祉健康といういわゆる四項目の強調の余りに、これに縛られる傾向が生まれてこないのか。もしこの傾向が強く出たりするときはどうするのでしょうかということであります。
 五つ目、新学習指導要領、中でも総合的な学習の時間実施に伴い、教育委員会はこれらの実施に、例えば学級規模縮小などの人的配置や施設設備の充実に関連してどうなさるのか。教育活動の多面的な発展に伴い多様な要求が出て当然かと思うけれども、これに対する対応はいかがなさるつもりなのかということであります。
 六つ目には、日方川──海南の町を流れる唯一の川です──海南高校の前のあたりから上流にかけて大きなナマズが生息しています。県立自然博物館へこの情報を提供したら、県立自然博物館の学芸員から、ナマズは淡水魚の頂点に位置する魚だ、これが生息している日方川はまだ豊かな環境を保持している証拠だということを教えられました。こんなことから考えて、総合的な学習の時間を当てて、今までの学校教育でなし得なかったこととして日方川の環境について学習できるということになります。それにより郷土認識がはぐくまれ、みずみずしい愛国心が培われるのではないかというふうにも思ったりするわけであります。それにしても教育委員会は、自由な教育活動の保障、総合的な学習の時間という枠組みに追われることのないようにすること、教育条件整備に徹することが重要であろう、このように考えるわけですが、いかがなものか。
 議会という限られた条件の中では議論を尽くし得ないものがあろうかと思います。精いっぱいのご回答をお願いいたしたいわけであります。
 最後に、漆器組合全国大会に向けてのご質問であります。
 来年、和歌山県で漆器組合の全国大会が開催されるところとなっています。業界の活性化を求めて地元ではこれの成功に鋭意取り組まれているところですが、県内における地場産業の代表格である漆器産業の活力を呼び込むために県はこれに大きく支援を送るべきでないかと考えるわけですが、お考えを求めて第一問を終わりといたします。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、都市計画道路築地阪井線についてお答えいたします。
 都市計画道路築地阪井線は、組合施行の重根土地区画整理事業で整備されることになっています。組合施行の土地区画整理事業は、公共団体施行の事業と異なり、組合員が主体となって施行する事業であり、県は監督権者となります。
 県といたしましては、組合に対し事業の推進を求めているところでありまして、組合からは、平成十三年度より担当職員の増員及び大幅な予算の増額をするとの報告を受けているところであります。事業の推進には組合員の同意が不可欠であり、議員初め地元の皆様方の積極的な協力をよろしくお願いいたします。
 なお、議員ご指摘の建築物等の設置につきましては、県として組合に対し適正に対応すべく勧告を行い、許可権者である海南市にはこの旨を通知しているところであります。
 次に、プレジャーボートと港の整備についての二点の質問について一括してお答えいたします。
 和歌山県プレジャーボート対策協議会における取り組み状況でありますが、海南港区を含む和歌山下津港のエリアを最重点地区と位置づけ、プレジャーボートの実態調査、収容可能地の選定調査、関係者へのヒアリング、さらには係留・保管計画等の検討を行ったところであります。今年度は対象エリアを県下全域に拡大し、マスタープランの策定を目指してまいります。
 また一方では、放置艇の受け皿となる収容・保管施設の整備もあわせて進めておりまして、具体的には和歌山下津港海南港区では、大規模収容施設としての和歌山マリーナシティや琴の浦地区におけるプレジャーボートスポットの整備を行ったところであります。
 今後、放置艇の受け皿となるボートパークの整備や暫定係留許可施設等の整備を行うこととしております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 本年度から始まりました中山間地域等直接支払い制度は、傾斜地における農業生産が平たん地に比べて生産コストなどの面で不利な条件にあるため、その差額を交付金によって補正し、中山間地域の農業が持つ国土や自然環境の保全機能を維持していこうとするものでございます。
 現在、県下の各市町村におきまして、傾斜度や農地のまとまりなど交付条件に当てはまる対象地域を特定する作業として集落説明会を実施している段階であり、交付金を受ける地域や面積、交付額などが固まるのは本年の十二月ごろとなる予定でございます。
 県といたしましては、議員のお話にありますように、山間地の農家を取り巻く厳しい現状は十分に承知しておりますので、今回の直接支払い制度の推進とあわせて、農業・農村整備事業や山村振興等特別対策事業などの関連事業も有機的に活用するとともに、地域特性を生かした特産作物の振興や都市住民との交流による地域づくりなどの対策についても今後とも積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 中山議員のご質問にお答えをいたします。
 漆器業界につきましては、本県産地のみならず他産地を含めた漆器業界全体も厳しい状況にあると聞いてございます。そんな中にあっても、漆器組合は毎年紀州漆器まつりを開催するなど、現況の打開に努力されているところです。来年、本県で開催される全国大会が漆器産地活性化の契機となればと考えてございます。
 県といたしましても、地場産業を初めとする中小企業の重要性は十分認識しているところであり、漆器業界についても、組合が行う新商品、新技術開発に対する支援を行ってきたところでございます。
 本年三月には、地域産業集積活性化法に基づく平成十七年度までの新たな活性化計画を策定いたしました。この計画に基づき、漆器組合及び地元海南市と十分連携をとりながら漆器産地の振興を図ってまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 中山議員の、新しい学習指導要領に関連した七点のご質問にお答えいたします。
 新しい学習指導要領は、学校週五日制のもと、ゆとりの中で子供たちに豊かな心やみずから学び、みずから考える力など、生きる力をはぐくむことを基本的なねらいとして改訂されました。そうした中、教科の基礎・基本を大切にし、学んだことを生かしながら、学習の枠を超えて幅広く主体的に学習する総合的な学習時間が創設されたところです。
 学習テーマにつきましては、国際理解や環境など四項目が例示されておりますが、各学校が児童生徒の実態や地域の状況を踏まえ、それ以外にも個人やグループごとにテーマを設定するなど、特色ある学習活動を行えるようになっております。
 こうしたことから、議員ご指摘のように、子供たちが身近な自然環境を教材にして地域のすばらしさを学ぶことはまことに意義あるもので、まさに総合的な学習の時間の学習内容としてふさわしいと言えます。
 この学習時間につきましては、小学校では一定の授業時数が示されていますが、中学校では各学校の創意工夫により、学習内容のみならず、その時間数についても一定の枠内で柔軟に決めることができ、主体的な取り組みが行えるようになっております。そのため、各学校においては、学校長のリーダーシップのもと、全教職員が一致協力して創造的な学習活動を行うことが求められます。
 次に、学力の低下を招かないかという点についてであります。
 新学習指導要領は、各教科の学習内容を精選し、児童生徒がゆとりの中でじっくりと学び、基礎・基本をより確実に身につけられるようになっており、その上で、総合的な学習の時間は、各教科で学んだ知識や技能を生かし、総合的な思考力や判断力、表現力を養うことをねらいとしております。したがって、生きる力としての学力はむしろ向上するものと考えております。
 総合的な学習の時間を実施する条件整備につきましては、現行制度の中で対応することを原則としながらも、可能な範囲で工夫・検討をしてまいります。
 教員の配置につきましても、次期定数改善計画など国の動向も見極めながら、特色ある学校づくりのために配置している教員の効果的な活用を含めて、より弾力的な配置を検討してまいりたいと考えております。
 教育委員会といたしましては、本年度から県内五地域を総合的な学習の時間推進地域に指定し、学校と家庭、地域が連携した実践研究を行うとともに、その取り組みと学習の事例集を作成し、県内すべての小中学校に配布することといたしております。
 今後とも、知・徳・体のバランスのとれた豊かな教育の実現に努めてまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番中山 豊君。
○中山 豊君 土地区画整理事業にかかわってのお話です。
 部長の冒頭の答弁では、都市計画道路築地阪井線は組合施行の重根土地区画整理事業で整備されることとなっているということですから、申し上げたように、区画整理事業内に含まれている道路整備計画については重根土地区画整理組合が一切を受け持ってやるということになるわけです。また、海南駅の方から重根まで十二年度の予算で終わって、工事は十三年度に残るかもしれない、十四年度以降はそれから先だと、こういうことになるのですが、十四年度以降、遺棄してしまうことのないように、休むことのないように引き続いて事業がされるという保証は、今の組合の実態からして可能なんだろうかという心配からの質問だったわけです。だから、重根土地区画整理組合があれから続いての龍部池までの残余の部分は皆受け持ってやるんだということであればあるほどに、そこのところが非常に気にかかるわけです。つつがなく引き続き十四年度以降、今やっている事業が終わったら直ちにそれに取りかかって、そして阪井や高野山、美里へ向けてずうっと三百七十号が整備されていくという取り組みがなされていくとのお話で県当局はお酌み取りいただこうということとして受けとめたわけですが、気にかかるところは、組合が今まで取り組んできた実態からして、そのようにしてスムーズに取りかかれていくのかという心配のあることだけを申し上げて、間断なく取り組んでいけるようにお取り計らいをいただくよう、切にお願いを申し上げておきたいと思います。
 二つ目は、直接支払いのお話です。
 農業者の多くは、直接支払いの制度によって、中山間地であったとしても農業で食っていけるようになるのではないかという期待感を寄せているわけです。しかし、農業者の皆さんがこの制度に寄りかかっている、期待しているその期待と内容とはかなりのずれ、というよりむしろ大きなずれによってその期待が報われないことになりはせんかという心配からの質問であったわけです。これをどう埋め合わせるかということになってくると、これは国の制度の見直しもしなくちゃならないだろうし、去年から始まった制度ですから、この制度を地域に移してみたときに、果たして和歌山県の中山間地の農業を振興させ、農業で食っていけるかもわからないという、この制度への期待を裏切ることのないようにしようと思ったらどうしたらいいのかと、このあたりの研究も県当局にお願いしなくちゃならないだろう。今取り組まれつつあるその作業と実態と制度が、この期待にそぐうものかどうかということをシビアに検討していただいて、これはそういうふうな期待にはそぐわないものであるとするならばどうするかということを直ちに提起なさっていただいて、国に向かっても物申すという取り組みも果敢にしなくちゃならないのではないかと、こういうふうなことを申し上げて、皆さんのお取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。
 教育の総合的な学習の時間の創設についてにかかわってです。
 これは、十四年から始まる新指導要領の目玉だと私は見ているわけなんですが、生きる力をはぐくむということを全面に押し出して、そういう指導要領の改訂をなさったと。これで国の教育にかかわる行き詰まった状況が解決できるんだ、言いかえてみるならば、国連子どもの権利委員会の方から指摘された、日本の教育はこうなんだ、だから問題があるんだということに答えていくには、これだというふうにして打ち出したものとして私は受けとめているわけなんです。そうだとしたら、生きる力をはぐくむんだというところを基底に据えて打ち出された指導要領が、今までのやり方、行政とのかかわり合いで行き着いたところをそんなに簡単に克服してうまいこといけるものなのかどうか、こういうことを大変心配しているところであります。
 だって、いろいろあるでしょう。それぞれの教科の指導をとったとしても、先生の持ち前と力量によって子供たちの取り組みがスムースに展開されていくことも多々あるわけなんですが、一方、やっぱり指導書に寄りかからなければ取り組みができないなどというような側面もなくはなかった。こういうふうなこと等押しなべて考えてみるときに、手のひらを返したように、生きる力をはぐくむんだ、総合的な学習時間の特設をしたからそれらは解決されていくんだと、そう簡単にはいかないんではないか。例えば家庭教育、社会教育、学校教育、それらのすべての分野から接近をして子供たちに生きる力をつけるとするならば、もっと論議が要るのではないか。和歌山県にとっても、よその県で起こっているような忌まわしい事件はそう大して起こらなかったけれども、しかし学校の不登校の子供の数からしても、あるいはまた授業を受けないで学級が崩壊しているという、そういうふうな態度をとったとしても、これらがどうだったのか、どういう背景で、どういう原因でこういうふうなものが起こってきたのかということを考えてみたら、学校教育の生きる力というのは総合的な学習だけではそう簡単にいかないのではないか。たとえ万が一そうであったとしても、それに到達していけるまでの中身を豊かなものにしていくためには、相当な討論と検討、さらには行政当局からの支援がなかったら現場ではできないのではないか、難しいのではないか。こういうふうなご指摘を申し上げます。
 議会という限られた中でのお話ですから、言い尽くされない部分もたくさんあります。こういうふうなこともお含みおきいただきながら、十分にそのあたりの論議を尽くして、現場の先生を激励し、鼓舞するような行政になるようにお願いを申し上げて終わりたいと思います。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時四分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次一般質問をさせていただきます。
 午前中、先輩議員の吉井議員さん約十五分、同僚の中山議員が二十分ということで、自分なりにできるだけ簡潔に進めてまいりますので、しばらくの間、よろしくお願いいたします。
 さて、先般五月に県より財政運営プログラムIIが発表され、私どもも説明を受けたわけでありますが、その内容は、二十一世紀を目前に控え、少子高齢化、高度情報化、経済や環境の問題等、県政の課題は数多くあり、中でも今後高齢化がますます増大していくことが予想されるとのことでありました。加えて、行政活動を支える歳入につきましても、当面かつてのような伸びを期待しがたい状況にあり、そんな中、知事はこれらもろもろの課題に対応すべく県政の構造改革に取り組み、あえて挑戦の県政を進めるときとのお考えを示され、既存の事務事業の見直しを初め、県民福祉の向上のための諸施策を進められていると理解をいたしております。中でも、とりわけ厳しい財政状況のもと、和歌山工科大学の平成十五年開学を目指しての取り組みにおきましては、まさに人づくりは地域づくりであり、故郷(くに)づくりであるという観点に立ち、本県の将来に向けて期待するところ大と感ずる次第であります。
 以下、そういう考えに立ち、私は今回四点にわたり知事並びに各関係部長にお尋ねをしていきたく存じますので、何とぞ前向きなるご答弁をよろしくお願い申し上げます。
 まず第一点目、ナショナルトレーニングセンター誘致についてであります。
 この項目は、人づくりという観点から、まさに県のお考えと合致するものと考え、よって数点にわたり質問をさせていただきます。
 本年はオリンピックイヤーであり、二カ月後にはオーストラリア・シドニーにおいて大会が開催されます。そんな時期、去る六月十六日、報道によりますと、文部大臣の諮問機関である保健体育審議会は、激減するオリンピックでの日本のメダル獲得数を十年間で倍増し、一九七六年、すなわちモントリオールオリンピックの水準に戻すよう、世界レベルの競技者の育成を求めたスポーツ振興基本計画のあり方についての中間報告をまとめたとのことでありました。審議会は八月に答申を行い、文部省は九月にもスポーツ振興基本計画を策定するとのことであり、また平成十三年度よりおおむね十年間の政策目標を設定し、施策を示すものとなっております。
 この背景には、先ほど少し触れましたように、世界の競技水準が著しく向上する中、日本の競技力は相対的に低下をいたし、厳しい状況にあるということ。具体的には、日本のオリンピックでのメダル獲得率を見てみますと、一九七六年のモントリオール夏季オリンピックで二十五個、インスブルック冬季オリンピックはゼロ、メダルの合計獲得率が三・五%であったものが、一九九六年アトランタオリンピック時におきましてメダル数十四個で一・七%まで落ち込んだという状況が続き、したがって先ほど述べたように、政策目標の一つといたし、モントリオールオリンピック時の三・五%の水準にまで戻すよう世界レベルの競技者を育成強化するというものであります。
 このため、すぐれた素質を持った競技者を一貫した指導理念に基づき、国としてトップレベルの競技者に育成するシステムを各競技でつくる必要性を強調し、小・中・高のジュニア期の競技者を効果的に育成し、選手の強化拠点という意義づけのもと、ナショナルトレーニングセンターを早期に整備をすることを求めております。すなわち、我が国選手の国際競技力の向上を目指し、医科学的トレーニングを取り入れ、選手の心・技・体・知のあらゆる面での強化育成を体系的、計画的、効率的に進めるための総合的トレーニング施設であり、大規模な敷地に中長期間にわたり合宿ができる宿泊施設や医科学支援施設等を併設し、未来のトップアスリート強化を総合的にバックアップする、まさに国家プロジェクトであります。また、ナショナルトレーニングセンターの誘致は、本県におきましても昨年度政府要望にも挙げられており、この取り組みに大いに期待をいたすものでありますが、現在既に北海道、埼玉県、長野県等、多数の自治体が誘致に向け、さまざまな取り組み、努力をされているのが実情であります。
 そこで、このナショナルトレーニングセンター誘致に向け、本県のお考えと今日までの取り組みについて、知事並びに教育長にご見解を賜りたく存じます。
 また、これに関連をいたし、コスモパーク加太の有効利用についてもお尋ねをいたしたいと存じます。
 冒頭に申し上げました、本県の財政事情にかんがみるとき、年間約七億円の利払いを続けているこの地の有効利用は緊急の課題であると考えます。これまで再三にわたり、私なりに過去一般質問において質問、また提案をしてまいりましたが、関西国際空港に近いという利便性と自然が多く残る環境面を兼ね備えた広大な土地利用という条件がそろっているこの地で、改めてナショナルトレーニングセンターを誘致できないものなのか、企画部長のご答弁をお願いいたしたく存じます。
 次に第二点目といたし、男女共生社会づくりについてお尋ねをいたします。
 男女がともに参画できる社会づくりを目指し、平成十二年六月五日から六月十日まで、ニューヨークにおいて国連特別総会女性二〇〇〇年会議が開催されたことについては新聞報道等でも取り上げられ、このことから男女共同参画の問題が国際的に大きな課題であると同時に国内においても関心の高い問題であることを、私自身もそうでありましたが、改めて認識された方も多かったのではないかと思います。我が国においては、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の日本社会を決定する最重要課題の一つと位置づけ、社会のあらゆる分野におき男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図ることが重要であるという観点から、昨年六月、男女共同参画社会基本法が公布、施行されたところであります。
 こういった一連の動きの背景には、女性の人権尊重という大きなテーマとともに、差し迫った問題として女性の社会進出、経済的自立といった男女共同参画という流れに沿った状況ができつつある一方、いまだ仕事と家庭との両立の難しさから、若い女性には脱結婚志向、あるいは出産の高齢化等、少子化の要因をつくり出しているという危機感すら感じ取られます。また本県におきましても、農山村を初めとして高齢化、少子化という問題が無視できない状況としてあるわけでありますが、それぞれの地域を地道に支える女性たちは、果たしてふるさとを住みやすく、快適なところとしてとらえているのでしょうか。また、若者の都市部への流出の原因は、就労機会が少ないということだけなのでしょうか。地域で、あるいは職場で、また家庭において男性優位の考え方を払拭し、真に頑張る女性が正当に評価されることにより、女性みずからがそれぞれの場で誇りを持ち、男女が共同で地域運営や家庭生活の責任を分担し、共同で参画することができれば、より生き生きとした豊かな将来像が描けるのではないかと考えます。よって、国の定める男女共同参画社会基本法におき、その目的を、「男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性にかんがみ、(中略)男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進すること」としておりますが、本県におきましても、豊かで活力ある和歌山県を創出するため、男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分発揮することがこれまで以上に求められてくるのではないかと推測をいたします。
 県におかれましては、本年三月、男女共生社会づくりプランを策定され、基本方針等を既に示されたところであり、また平成十二年度予算の中におきましてもジェンダーフリー推進事業を初めとする幾つかの新規施策が挙げられており、その積極的な取り組みは大いに評価できるものでありますが、今後どのような問題意識を持ってこの課題に取り組むお考えなのか、知事に改めてお伺いをいたしたいと思います。
 また、先ほど申し上げたとおり、男女共同参画の推進に当たりましては、あらゆる分野において施策の推進を行う必要があり、本県の男女共生社会づくりプランにおきましても多様な分野での取り組みが示され、総合施策としての位置づけがまず必要であると考えます。
 よって、そのためには担当部署を総合窓口としてふさわしい位置づけにするとともに、全国的に見ましても四十七都道府県中三十八都道府県が知事または副知事を長といたし、関係部局長を構成メンバーとした全庁的な推進体制で取り組んでいるようでありますから、本県におきましても、トップである知事みずからが先頭に立ち、男女共生社会づくりを推進していただく決意をアピールする姿勢が必要ではないかと考えます。この点についてご所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、環境生活部長にお伺いをいたします。
 男女共同参画の推進に当たりましては、女性の視点に基づく政策が非常に重要となってくるのではと考えられます。これまでの政策の多くは男性が考え実行してきたと言っても過言ではないと考えますが、今後は意思形成の段階、意思決定の段階、それぞれに女性の参画が必要となってまいります。そういった時代の要請にこたえるため、各種審議会への女性の登用は必要不可欠であり、以前にも女性の登用率について三〇%という目標を設定されているとの回答をいただきましたが、その後の状況あるいは登用促進に当たってどのような取り組みをされているのか、お伺いをいたします。
 次に、三点目の質問に入らせていただきます。
 昨年九月議会において質問をさせていただきました少子化問題に関連をいたし、最近急増しております児童虐待問題についてお尋ねをいたします。
 六歳の息子を小学校にも入学させず暴行を繰り返し、せっかん死させた三十五歳の母親が静岡県で逮捕され、さらに大阪府茨木市に住む二十八歳の主婦が二歳の長男をせっかん死させたなど、いたいけな子供たちの虐待死事件が後を絶ちません。
 厚生省の調査によりますと、全国で児童虐待の相談件数は、平成十一年度で一万件を超えており、それでも氷山の一角であるとのこと。主な虐待者は、実の母親が五五%、父親を合わせますと八〇%を超えることになり、いずれのケースも親として余りにも未熟と言わざるを得ない、大変気がかりな状況であります。こうした不幸な親子関係を生む原因にメスを入れなければということや、またとりあえず悲惨な結末を迎える前に虐待をやめさせなければという思いから、超党派の国会議員による児童虐待の防止等に関する法律がまとめられ、国会に提出、本年五月十七日に成立、年内に施行される見通しとなりました。
 これまでは、親権が子供の救出の壁になることが多かったわけでありますが、新法は親の同意を得ずに児童を保護した場合、児童相談所長らが親の面会、または通信の制限をすることができ、事実上親権の一時停止が認められたわけであり、その後、親に対して必要に応じてカウンセリング受講の義務づけをいたし、従わない場合は都道府県知事が勧告できるということ、また学校や児童福祉施設、保健所、医療機関の職員、弁護士らには虐待の早期発見の努力義務を課し、通告しても守秘義務違反に問わない免責規定を設けており、加えて虐待が行われているおそれがあると認めるとき、家庭への立入調査も実施できることになり、また警察官の援助を求めることができると明文化され、緊急な場合は強制的な立ち入りを可能にしたとのことであります。しかしその一方、どこまで強制力が及ぶのか、カウンセリングの専門家が不足し実効性がないなどの疑問も指摘されており、三年後の見直しに向け、早くも動き出した市民グループもあると仄聞をいたしております。
 そんな折、誘拐、いじめ、虐待等、子供への暴力が深刻化する中、子供自身が暴力から身を守るための防止策として、アメリカの人権教育プログラム、チャイルドアソルトプリベンション、通称CAPへの関心が高まってきております。これは、自分を主張する、すなわち自分を守るために立ち上がること、また仲間同士の助け合い、すなわち他人の権利を守るために立ち上がること、そして信頼できる大人に話すという三つを柱に、子供たちに自分の大切さを教え、一人一人が本来持っている力を引き出す大変意義深い教育プログラムであります。また、大人向けには子供をエンパワーする、すなわち勇気づけることの重要性や、子供への対応の仕方、さらに虐待、いじめ防止における親や教師の役割等の勉強会を組み入れ、いじめられるために生まれてくる子なんていない、いじめるために生まれてくる子もどこにもいない、今私たちには何ができるのだろうか、何をすればいいのでしょうか、そんな思いを持った大人向け、そして子供向けの取り組みをあわせ持った後援会が、既に本県においては和歌山市のひまわり保育園や桃山町の調月小学校等で開催されております。加えてこのことに関して、大阪府青少年課では自治体として初めてCAP事業を行う市町村に半額の補助を決め、五百万円を予算化、兵庫県においても普及方法を現在検討していると聞いております。
 地域住民がこのCAPを体験することで、地域の子育て力を高め、母親に集中しがちな子育ての負担を軽減し、母親、父親ともに安心して子育てができる環境を整えることが大切であり、そして何よりも重要なことは、親と子、それぞれの心のケアをどうしていくのかということであり、親が虐待に走らないよう、例えば親類や近所の人が見守り、注意する、また子育てに悩んだあげく虐待に走る母親も多いことから、地域の子育て支援センターに指定されている保育所の相談機能も充実すべきと考え、以上のことから児童虐待の本県における現状と今後の取り組みについて、加えて既に国内において百ほどのグループが活躍している通称CAPに対する県のご見解を福祉保健部長にお尋ねいたします。
 さて、最後の質問項目に入らせていただきます。
 連日、大手乳製品メーカー雪印乳業の大阪工場で製造された紙パック入り加工乳・雪印低脂肪乳を飲んだ人の中から嘔吐や下痢、腹痛等の症状を訴える人が続出をいたし、七月三日現在、本県だけでも和歌山市を初め岩出保健所管内等六保健所管内で一千名を超える人たちが症状を訴えた報道がなされました。加えて、大阪府を初め近畿地方を中心とした二府六県におきましても、七千名を超す人が保健所等に症状を届けており、うち入院患者の累計は百名を超したとのことであります。また、同社大阪工場の製造ラインから黄色ブドウ球菌が検出されたことを受け、大阪府警は二日、業務上過失傷害容疑で同工場において現場検証を実施したことなど、社会的影響が大きい事件となっております。また、かなり広範囲にわたり発症していることや、牛乳が学校、病院、福祉施設等の給食の食材としてなくてはならないものだけに、大変気になるところであります。また厚生省乳肉衛生課は、二日付で乳製品による食中毒の再発防止のため、全国約八百六十カ所の乳処理施設の衛生管理状態の一斉点検調査を各都道府県と政令指定都市に指示することを決めたとも報道されております。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 県生活衛生課におきましては、職員が休日返上で出勤をいたし対応に当たっておられるとお聞きをいたしましたが、改めて今日までの本県における現状と今後の取り組み、対応についてお聞かせを願いたいと存じます。
 以上、四点にわたり質問をさせていただきました。県当局におかれましては、何とぞ誠意あるご答弁のほどをよろしくお願い申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山下議員にお答えをいたします。
 ナショナルトレーニングセンターの誘致は、スポーツの振興はもとより、本県の魅力を世界に発信する機会となり、県の活性化に大きく寄与するものでございます。具体的なことにつきましては教育長から答弁いたしますけれども、今後とも誘致の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に男女共生社会の推進につきましては、人権尊重という視点はもとより、元気な和歌山を築くための喫緊の課題として取り組んでいるところであります。男は仕事、女は家庭といった慣習やしきたりは、女性の社会参画を阻害し、本来の能力を発揮する機会を失わせており、男女の平等、基本的人権の尊重という視点から男女共生社会づくりを進めることが必要でございます。また、加速する少子高齢化社会に対応するためには、結婚や出産、子育て期においても、女性が安心して社会参画できる環境があってこそ、豊かで活力ある和歌山が築けるものと考えてございます。依然根強く残っております固定的役割分担意識の変革にはまだまだ強力かつ積極的な取り組みが必要でございますが、本年三月に策定いたしました和歌山県男女共生社会づくりプランの効果的な推進に当たっては、議員ご指摘のように、担当部署の位置づけを含む総合施策としての取り組みが、まさに重要なことでございます。
 今後は、平成十三年からの省庁再編に伴う国の推進体制の強化も考慮しながら、知事みずからが長になることも視野に入れまして、本県に最適な推進体制を考えてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) ナショナルトレーニングセンター誘致についてのうち、コスモパーク加太関連についてお答え申し上げます。
 県、和歌山市及び県土地開発公社の三者で構成する加太地域開発整備推進協議会で合意した整備方針に基づき、現在、県土地開発公社を事業主体とする区画整理事業の認可取得に向け、関係機関と協議を重ねているところでございます。
 コスモパーク加太への施設の誘致は、私どもも極めて重要な課題と受けとめており、多方面にわたり情報収集やPR活動を行っているところでございます。議員ご提案のナショナルトレーニングセンターにつきましても、誘致施設として大いに関心を持っているところでございます。
 今後は、国の動向に留意しつつ、教育委員会と連携をとりながら、コスモパーク加太への立地について検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 山下議員のご質問にお答えいたします。
 審議会や委員会への女性の登用促進につきましては、社会の対等な構成員としてその責任を担っていく女性の意思をあらゆる場で反映させていくことは、男女共生社会を形成していくために欠かせない大変重要な事項であると認識しております。
 平成六年三月に審議会等委員への女性の登用推進要綱を制定するとともに、男女共生社会づくりプランの重点課題の一つとしても取り上げ、推進に努めております。しかし、平成十二年一月一日現在の女性委員の比率は一七・七%であり、目標の三〇%には難しい状況にあります。こうした現状を踏まえ、女性センターでは今年度から女性地域リーダー養成プロジェクトを実施し、審議会等への登用が可能な人材の育成を進めているところであります。今後、積極的な女性人材情報の提供もあわせて庁内全体で女性登用の機運を高めていくためにも、さらに積極的に取り組んでまいります。
 続きまして雪印低脂肪乳による食中毒についてでありますが、七月四日九時現在で、県内の有症者は千三百九十八名となっております。うち七名が入院しておりましたが現在退院され、他の有症者もほとんど回復状態にあり、心配される事態は脱したものと思われます。
 この事件について、県といたしましては、有症者の把握や喫食状況等の調査のほか、問題の牛乳の回収について関係販売業者に対し指導の徹底を図るなど、その対応に努めてきたところであります。
 なお、発症までの時間が短時間であることから、県衛生公害研究センターにおいて砒素などの重金属系毒物並びに食中毒菌等の検査を実施してまいりましたが、雪印乳業株式会社の調査で施設より黄色ブドウ球菌、続いて大阪府立公衆衛生研究所では当該品から黄色ブドウ球菌の毒素を検出したことから、県管轄の牛乳製造施設に対し、衛生管理についてより徹底を図るため、保健所に監視指導の強化を指示したところであります。
 今後の対応につきましては、近く厚生省がこの件を取りまとめの上、通達を出すことになっておりますので、これを受けてより適切な対策を講じ、牛乳の安全確保に努めてまいります。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 山下議員にお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、少子化対策は県政の重要課題であります。また、特に児童虐待問題は大きな課題と認識をしてございます。本県の児童相談所における虐待の相談件数は年々増加し、平成十一年度は身体的虐待四十一件、保護の怠慢三十三件等、八十四件となってございます。
 県といたしましては、児童相談所を初め、市町村の乳幼児検診、保健所の発達相談や家庭訪問、乳児院での母子体験入所による育児相談など、育児不安について気軽に相談を受ける体制を整え、未然防止に努めているところでございますが、今後さらに防止活動を行う地域協力員の養成やシンポジウムの開催により、児童虐待の防止等に関する法律の周知と虐待防止についての取り組みを充実してまいりたいと考えております。
 また議員お話しのCAPについてでございますが、子供の人権を守るという観点から、県といたしましても関心を持っておりまして、昨年度、本教育プログラムを紹介する講演会を開催したところでございます。CAPの視点は養育面において大切な考え方でありまして、今後県民への周知について検討をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ナショナルトレーニングセンターは、日本の競技力を世界水準まで高めることを目的とした大規模総合トレーニング施設であり、平成九年度から文部省において整備に向けての調査研究が行われてまいりました。本年度は、その構想の概要が示されることになっております。
 本県は、関西国際空港に近く、豊かな自然に恵まれているなどすぐれた立地条件にあることから、他府県に先駆けて国に対し要望を行い、また情報収集等にも努めてきたところであります。
 さて、本年開催されるシドニーオリンピックには、現在本県から六名の参加が予定されておりますが、議員ご指摘のとおり、このトレーニングセンターは、今後オリンピックでの我が国のメダル獲得に大きな役割を果たすものと考えられます。この誘致が実現すれば、国内外のトップアスリートの卓越した技術等に接することができ、本県選手の競技力の向上や青少年のスポーツへの動機づけなどに多大な効果を与えてくれるものと思います。このナショナルトレーニングセンターについては多くの自治体が関心を持っていることから、今後関係部局による誘致推進のための連絡協議会を組織し、あらゆる機会を通じて国に働きかけを強めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時三十五分散会

このページの先頭へ