平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第9号(全文)


県議会の活動

平成十二年二月 和歌山県議会定例会会議録 第九号
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議事日程 第九号
 平成十二年三月二十二日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第百十九号まで、報第一号、報第二号、並びに請願四件(委員長報告・同質疑・討論・表決)
  第二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件
  第三 各特別委員会閉会中継続審査の件
  第四 議員提出議案第一号
  第五 意見書・決議案
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第百十九号まで、報第一号、報第二号、並びに請願四件(委員長報告・同質疑・討論・表決)
   二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件
   三 各特別委員会閉会中継続審査の件
   四 議員提出議案第一号
   五 意見書案
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時四分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時五分休憩
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  午後一時三十四分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第百十九号まで、報第一号、報第二号、並びに請願四件】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第百十九号まで、知事専決処分報告報第一号、報第二号、並びに今期定例会の請願一件及び継続審査中の請願三件、計四件を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 総務委員会委員長谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(谷 洋一君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案三十四件、専決処分報告一件、請願一件であります。
 当委員会は、三月十五、十六及び二十一日の三日間、第一委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 医科大学関係では、まず初めに、今般逮捕された者が医科大学の元教員であるということは、県民にいかに説明し説得していくか、事件について大学としてどのように受けとめているかとただしたのに対し、元教員が逮捕され、大学に対する県民の信頼を損ねたことは断腸の思いである、知とわざと態度で、態度のはぐくみ方が非常に大きな課題である、態度を教育することは教員が襟を正すということにつながると考える、大学としてどのように受けとめ県民に説明するかは、現在司直において調べているが、動機や経緯、それから元教員が在職中にどうかかわっていたか等が明らかにされると思うので、これを待って適切に対処していきたい、反省すべきは十分に反省しなければならないと考えるとの答弁がありました。
 また、医術にかかわる人は命を守り病気を治す立場にあり、倫理観とか信頼ということについては普通以上の認識を持ってもらわなければならない、態度ということについては大学としてどこで指導しているのかとただしたのに対して、臨床実習で知識面のチェックを行い、同時に臨床実習を行うときの心得、服装、言葉遣い、患者への接し方等について十分説明する、それから臨床実習中にそれぞれの担当医から態度について十分指導するとの答弁がありました。
 さらに、今回の事件を契機に、大学として新たに、あるいは余計に力を入れてどのように指導していくか心構えをただしたのに対し、二十世紀は科学万能、機械万能であり、何よりも科学が優先された、二十一世紀を迎えるに当たりゆがみが出かけている現状である、特に医師の世界では知識、技術以上にその人の人間性、人に対する思いやりが大切であり、教養教育を通じて学生に技術、知識だけでなく、いろんなことを学ぶ機会を与えている、人間が機械に使われるのではなく人間が機械を使う医療を行うようにしなければならないと考えるとの答弁がありました。
 続いて、同和対策予算案二百八十二万円の内容についてただしたのに対し、学内の同和研修経費、同和地区への健康教室の実施経費、学生の同和教育に要する経費であるとの答弁がありました。
 次に、医療ということ、医学を学んでいくということは根本は人権をどう守っていくかということにある、不祥事もこういう面が欠落したものである、同和教育を突出させるということが人権問題をあいまいにしていると考える、現在の段階で特に同和問題を取り上げていくのはおかしいのではないかとただしたのに対し、同和問題は人権問題の大きな柱であり、生命の尊厳と人権の尊重ということが医療の基本である、学生の同和教育、職員の同和研修において広く人権問題を取り上げているとの答弁がありました。
 続いて、新病院に設置されたヘリポートの活用、他の医療機関からの紹介率はどうかとただしたのに対して、ヘリポートの活用は開院以来十三件で、ほぼ県下全域が救急のエリアになっている、特定機能病院として今後とも紹介率の向上を図っていきたいと考えており、紹介率向上を図るために予約センターの設置を新年度予算でお願いしているところであるとの答弁がありました。
 次に、医師だけでなく事務職員のレベルアップが必要と思われるがどうかとただしたのに対し、接遇研修等による資質向上とともに、アメニティーを高めるように努力しているところであるとの答弁がありました。
 続いて、医科大学の移転整備に伴う経費に関する質疑があり、医科大学の使命についての考えをただしたのに対し、地域医療に貢献できる医師の育成とよりよい医療の提供、並びに看護教育・実習、歯科衛生士の実習等の場、また救急救命士の育成の場となっているとの答弁がありました。
 また、串本病院の産婦人科について、県外の民間病院勤務医により当面婦人科を再開するとのことであるが、医大としての取り組みがなかったことを残念に思うとただしたのに対し、公立病院を含め、地域の医療機関の要望にできるだけこたえていきたいと考えている、病院との連携を図り、できる限り協力してまいりたいとの答弁がありました。
 知事公室関係では、ふるさとづくり提案事業に寄せられた意見で具体的に採用されたものはあるのかとただしたのに対し、平成十一年度に県政モニターからの意見は本年二月二十三日現在で百三十七件、はがきやファクス、パソコン等で四十八件であるとの答弁があり、知事と語ろうあすの「ふるさと」事業に関して、平成十二年度は具体的にどのように実施される予定なのかとただしたのに対し、広聴事業の大きな柱としてとらえているので、今後も諸般の事情を考慮しながら各方面と協議しながら決めていきたいとの答弁がありました。
 次に、紀の国ふれあいバスについて、なかなか利用できないという声があるが、平成十二年度はどのようになっているのかとただしたのに対し、平成十一年度は南紀熊野体験博を開催していた関係から紀南地方への運行が多くあったが、平成十二年度については紀の川筋、有田地方、日高地方など、参加者の要望等も配慮しながら実施していきたいとの答弁がありました。
 また、同一地区一度とかの制約はあるのかとただしたのに対し、なるべく多くの方に利用していただきたいので、年度内での同一地域の方々については重複しないように配慮しているとの答弁がありました。
 次に、産業廃棄物の処理問題について、各部局にまたがる課題であるが、政策推進室としてどう取り組むのかとただしたのに対して、主管は生活文化部であるが、非常に重大な問題であり、複数の部局にかかわることから、政策推進室としても調整機能を果たしていきたいとの答弁がありました。
 企画部関係では、二月二十二日に報道された和歌山LNG発電所の運転開始の繰り延べ記事はどうか、関西電力から説明があったのか、和歌山市地元の送電線問題についてはどうなっているのか、また、立地の和歌山市と隣接市町への交付金の額、運転開始後の税収額はどうかとただしたのに対して、関西電力に説明を求めたところ、平成十一年度の電力需要が当初より落ち込んでおり、将来も大幅な伸びが見込めないことから、運転開始時期について再検討している、関西電力において来年度の供給計画を向こう十年間の電力需要も含めて精査中であり、まとまり次第報告があるとの答弁があり、県からは、予定どおりの着工を希望している旨、関西電力には伝えているとの答弁がありました。
 送電線問題について、現在、野崎地区と関西電力が話し合い中であり、和歌山市が中に入り今後も話し合いが続けられていくことで発電所着工の目途がついたと聞いている、建設による経済波及効果は約三千二百億円で、和歌山市内分については約二千八百億円程度と見込まれる、着工されると電源立地促進対策交付金が和歌山市に二十七億七千五百万円、隣接の五市町村にも同額の二十七億七千五百万円が交付される予定である、固定資産税については、十年間合計四百四十億円程度で、交付税の減があるため実質は百十億円程度の増、法人事業税は十年間合計で約二百四十億円程度、交付税の減により実質は五十億円程度の増が見込まれる、雇用の見込みは平均で千二百人、ピーク時で二千五百人程度であるとの答弁がありました。
 さらに、どのくらいまで繰り延べになるのか、電磁波について数値的に不安はないのか、送電される電気はどの程度かとただしたのに対し、繰り延べについては現在検討中とのことであるが、予定どおり着工するよう強く申し入れる、電磁波については、WHOの基準値が五千ミリガウスであり、野崎地区の送電線は地下四十メートルとなり十ミリガウス以下程度と予想され、健康に影響がある数値ではないと認識している、発電所の出力については三百七十万キロワットとなっているとの答弁がありました。
 関連して、二つの発電所について反対の人たちも多い、電力需要の落ち込みから建設不要もあり得る、県として独自に研究してみてはどうかとただしたのに対し、現状では電力需要が伸び悩んでいるのは事実であるが、一定の伸びを続けると考えており、建設についての再検討は考えていないとの答弁がありました。
 電力は、夏ピーク時に足りないだけで平均的には余っている、需要の検討は関西電力だけに任せず県として独自に研究すべきである、知事が苦渋の判断をしたが、結果として繰り延べられることになった、着工を求めない県民もいるし、梅農家にとっては朗報なのになぜ予定どおり進めてくれと言うのかとただしたのに対し、電力需要は全体の推移としては伸びていくものと認識している、建設についてもさまざまな意見のある中、県議会の推進決議もいただき、総合的に判断をしたところであり、私どもとしては予定どおり着工されるべきと考えているとの答弁がありました。
 さらに、現在の状況では早期着工を求めることはないのではないかとただしたのに対して、地域の経済、雇用、公共施設の整備について期待されている、活性化への一つの方策であるとの答弁がありました。
 次に、医大跡地は今年中にコンペをするというが、現在の状況はどうかとただしたのに対し、来年度に事業コンペを実施するため、現在募集要綱を作成するとともにコンペへの参画企業を調査しているが、厳しい状況である、今年に入って二十数社が応募の方向で検討を行うとしているが、その中で事業リスクを負って事業主体となり得る企業は数社のみである、コンペ実施のためには六月議会にコンペ募集要綱を諮る必要があり、それまでに企業の参画状況を再度確認したいと考えているとの答弁がありました。
 関連して、医大跡地の利用について、大阪方面からもたくさんの人を呼べるようなものをつくってもらえないものかとただしたのに対し、医大跡地の利用計画についてはTMO構想策定委員会などとも十分協議しており、中心市街地の活性化という観点からの検討を行ってきているとの答弁がありました。
 次に、トイレなしワンマンカーというのは鉄道事業が後退している、和歌山県の発展のためにどのような評価をするかとただしたのに対し、JRの立場でこうなったと考える、県としては今後とも強く申し入れる、見通しについては、将来的にはトイレなしワンマンカーが解消され、利便性の向上がされる可能性もあるので、今後ともJR西日本に対し要望を行ってまいりたいとの答弁がありました。
 次に、工科大学整備事業については、本県の二十一世紀における発展の礎となり、人づくりと産業の活性化にとって重要なプロジェクトであり、ぜひ成功されたいと考えるが、一部に工科大学整備事業の凍結、延期という意見があるがとただしたのに対し、工科大学整備事業については、次の世紀への大きな一つの挑戦であると考えている、少子化等により大学間競争が激しくなっていく中で少しでも早く事業化していきたいとの答弁がありました。
 続いて、平成十五年度開学に向けたスケジュールについてとただしたのに対し、開設手法としては県が開設資金を出し私学法人を設立する公設私学法人方式により行い、来年度は準備のための財団を設立するとともに、教職員の募集、事業計画の広報等を行い、平成十三年度は施設の整備、平成十四年度は学校法人の設立認可申請を行い、大学開設認可を得る予定であるとの答弁がありました。
 このほか、科学振興ビジョン策定、ふるさと未来づくり事業、新エネルギー普及啓発についての質疑がありました。
 総務部関係では、財政運営プログラムは平成十五年度までに従来の基金依存型から脱却するという目的でつくられたものと思うが、このプログラムに沿って着実に財政健全化に取り組む方針に変わりはないと考えてよいかとただしたのに対し、本会議ではいろいろな角度から議論されたが、財政健全化の必要性、重要性については十分な理解をいただいているものと受けとめており、引き続き財政運営プログラムに沿って前進してまいりたいとの答弁がありました。
 また、財政が厳しいということは支出を圧縮していくか税収をふやしていくかのどちらかになるが、新しい税の創設は地方税法上できるのかとただしたのに対し、新税を創設するとなるといろいろな課題があるが、自主財源の確保は大変重要であるので、幅広い観点から研究を進めてまいりたいとの答弁がありました。
 次に、県の遊休地について質疑があり、今後、処分や貸し付けを検討しているかとただしたのに対し、毎年各部局に利用調査を行って有効利用を検討し、利用計画のないものについては年次計画で売却等をしていく方針であるとの答弁がありました。
 さらに、今後地方分権が進む中で、財政力の低い団体の問題や住みにくい市町村から住みやすい市町村への人口移動が生じることが考えられるのかとただしたのに対して、地方分権の推進に伴い、小規模町村も自己責任のもとで高度化、多様化する行政サービスに適切に対応していく必要があり、市町村の行政体質の整備や行財政能力を充実強化することが求められている、地方分権の流れを考えると、広域行政制度の活用や市町村合併など、いろいろな選択肢の中から今後の町村のあり方を議論する必要があるものと考えている、小規模市町村を含めてどういう市町村のあり方が望ましいのかを議論していくことが必要と認識しているとの答弁がありました。
 続いて、外形標準課税について県としてはどのように考えているのか、外形標準課税の導入はやり方によっては中小零細企業にとって大変な負担となる、本県は一般的な外形標準課税の導入をしないでいただきたい、本県での東京型の導入についてどう思うかとただしたのに対し、法人事業税については税収を安定化させるためにも外形標準課税が適切でないかということで、現在政府税制調査会等で検討されており、方法等について今後詰めていく段階である、導入については景気の動向、中小企業対策等も考慮していかなければならない、東京都と本県では経済基盤が違い、東京都は地方交付税の不交付団体であり全額が実入りとなるが、本県は交付税の交付団体であるので八割が交付税算入され、仮に十億円収入があっても実質は二億円ということになるとの答弁がありました。
 関連して、議案第三十九号知事等の期末手当の特例に関する条例の提案理由はとただしたのに対し、財政状況の非常に厳しい状況を踏まえ、知事等のこの問題に対する姿勢を示すため提案したものであるとの答弁がありました。
 次に、県民が血税を一生懸命納めている中で、まだまだ見直す部分が各部局にあるのではないか、今後は各部局に思い切った提言をし、補助金の見直しを行う必要があるのではないかとただしたのに対し、本県の財政は大変厳しい状況になっており、補助金も含めてあらゆる経費についての抜本的な見直し、施策の根本に立ち返った見直しを行う必要があるということは十分認識しているところであり、来年度も各部局と十分議論してまいりたいと考えているとの答弁がありました。
 さらに、財政状況が厳しいという話が出たが、特に今年は何に主眼を置いて取り組まれたのかとただしたのに対し、本年度の予算編成に当たっては、早い段階から各部局に対し社会経済情勢の変化等を踏まえて見直すべきところを削減するよう働きかけ、それを財源として環境対策など必要な分野は増額するといった取り組みをしてきた、削減といっても一気に進めるのはなかなか難しいが、体質的にはよい方向に向かっていると考えているとの答弁がありました。
 このほか、公務員の新たな再任用制度、県公館の利用状況についての質疑がありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案のうち、議案第一号、議案第二十二号、議案第九十八号は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、その他の議案については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 専決処分報告報第二号については、全会一致で承認されました。
 次に請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第二号は継続審査と決しました。
 なお、当委員会からJRバス事業者に対する補助金等の制限の撤廃を求める意見書案が提出される運びとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 福祉環境委員会委員長玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(玉置公良君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案二十六件、請願の新規分一件であります。
 委員会は、三月十五日及び十六日の二日間、第二委員会室において開催し、生活文化部、福祉保健部の順に当局から説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見、要望等の主なものは、次のとおりであります。
 生活文化部関係では、まず産業廃棄物の問題がただされました。すなわち、橋本市の株式会社日本工業所の産業廃棄物の焼却により発生をしたダイオキシン被害の実態調査は焼却炉から半径二キロメートル以内とするべきではないか、ダイオキシンの調査の結果判明は四カ月ぐらいかかる、できるだけ早く安全宣言しないと野菜、果物の風評被害が出るおそれがあるのではないか、また、健康調査は一般的な健康診断でなく血液中のダイオキシンの濃度測定をする等の検査をすべきである、健康調査の実施について高野口保健所は地元住民に対しPRしているのかとただしたのに対し、土壌調査の範囲については検討委員会では五百メートルという結論であるが、実施に当たっては住民の意見を聞いて実施する、健康調査実施の住民へのPRについては高野口保健所に徹底させるとともに、血液中のダイオキシンの濃度測定については医学的にも学術的にも難しいので、対策本部の専門部会で検討し、国等と協議をして取り組んでいきたいとの答弁がありました。
 これに対しさらに委員から、産業廃棄物規制の条例制定を急ぐべきではないか、また、橋本市の日本工業所の敷地から二万立方メートルの産業廃棄物を持ち出す際、日本工業所と覚書を交わし一億五千万円を支払った上で持ち出しており、産業廃棄物管理票による確認は行われていないのではないかとただしたのに対し、条例の制定については廃棄物処理法が改正され、市町村長、住民の意見聴取が規定され、また罰則も強化されているので、今後はこの効果を見ながら厳正に取り組んでいきたい、また、日本工業所の敷地から産業廃棄物を搬出する際、同社は他社が敷地内に入ることを許さず、やむを得ず環境保全公社からの一億五千万円の支援により日本工業所に搬出依頼したものであるとの答弁がありました。
 これに対し委員から、搬出に際して信用性のない業者に任せることなく、固形化なりほかに代案があったはずである、そのことについて十分検討しなかったのか、また、県は措置命令を出すが日本工業所には執行能力がなく、結局県が代執行せざるを得なくなり、それは県民の税金をつぎ込むことである、さきの一億五千万円の支出は不適正と言わざるを得ないとの強い意見があり、当局からは今後国に対し支援要請をするとともに同社の財産調査も実施をし、告発等も検討しているとの強い決意が表明をされました。
 これに関連し、ほかの委員から、以前から言ってきたが、粉河町にも日本工業所から産業廃棄物が持ち込まれていることがこのたび判明、それには有害物質は入っていないというが断定できるのか、一刻も早く粉河町から撤去すべきであると要望も含め強くただしたのに対し、粉河町に搬入されたものは焼却灰ではなく、堺市が検査したところ二百六十ピコグラムであったので心配ないと考えている、また、産業廃棄物問題の解決は最大の課題であり、今後この問題については総括、検証し、その結果を報告してまいりたいとの答弁がありました。
 最後に、県下全体でこのような問題が起こっており、今後二度とこのような事件が起こることのないよう、廃棄物処分場の確保を県が主体となって早急に取り組んでほしい、現在、県にはダイオキシンの検査をする設備がなく、衛生公害研究センター等に関係施設を設けてはどうか、産業廃棄物の不法投棄を監視するため監視パトロールを民間に委託する等、通報システムの研究をしてはどうかとの意見がありました。
 次に、現在、県民ギャラリーで行われている和歌山県美術展覧会を県立美術館でも開催できるように環境を整えていってはどうかとただしたのに対し、県教育委員会と話し合いを行っているところであるとの答弁がありました。
 次に、南方熊楠記念館について、施設自体も古く不便な場所に位置していることから、場所等も含め行政としての対応をただしたのに対し、周辺一体をどうするか地元関係者が協議しているので、その協議を見守りながら検討していきたいとの答弁がありました。
 次に、動物愛護センター職員の人件費の内訳はどうか、不幸にして引き取り手のない犬、猫は処分されると聞いているが、こうした動物を生涯育てていくのが当センターの使命ではないかとただしたのに対し、当局から、県生活衛生課内職員と平成十二年度に配置される動物愛護センター職員を合わせて二十四名となっている、犬、猫については年間約三千八百頭を捕獲しており、それをすべて飼育することは場所的、経済的に無理がある、そのために、子供や一般の人々に対し犬、猫を捨てないよう当センターで啓発を行い、処分頭数を減らしていきたいとの答弁がありました。
 このほか、華岡青洲の里への支援、交通安全活動に関する県と警察との行事等の調整、本県のNPO法人の認証件数と今後の見通し、同和教育子ども会育成指導事業と地域子ども会育成補助事業の予算額の相違、青少年施設の社団法人和歌山県青少年育成協会への管理運営委託、県のインターネットのホームページの一元化、環境管理の国際標準であるISO一四〇〇一認証取得の内容、自然公園施設整備の現状について、質疑、要望がありました。
 次に福祉保健部関係では、まず橋本市の産業廃棄物中間処理場の周辺住民の不安を解消するため、四月中に実施される予定の一般健康診断の際に血液中、母乳中のダイオキシン類濃度測定を実施すべきではないかとただしたのに対し、一般健康診断及び追加実施する土壌調査の結果を踏まえて、専門家の意見を聞き検討したいとの答弁がありました。
 これに対し重ねて、ダイオキシン類濃度測定を延期すれば余計に地元住民に健康に対する不安を与えることになる、なぜこのような事態が発生したかその原因を考えたとき、早急に実施すべきではないかとただしたのに対し、ダイオキシン類濃度測定については健康診断の分析等の必要もあるので、健康相談及び一般健康診断を実施する中で専門家にも相談をし、早期に実施できるよう前向きに検討していきたいとの答弁がありました。
 これに対し委員からは、ダイオキシン類濃度の数値を早く知りたいという住民の切実な希望を実現するため、ぜひとも早急に実施をされたいとの強い要望がありました。
 また、本年四月一日から施行される介護保険制度に関連して、訪問調査を事業者に委託している市町村があるが、利益誘導のおそれはないのかとただしたのに対し、市町村職員が行うのが原則であるが、人材確保の面から委託している状況である、今後とも委託事業者への利益誘導がないよう対応してまいりたいとの答弁がありました。
 これに関連して、訪問調査に際して日程の連絡や身分証の提示がなされていない場合があると聞くが実態はどうかとただしたのに対し、昨年実施した研修において指導してきたところであるが、さらに徹底するよう市町村を指導してまいりたいとの答弁がありました。
 続いて、介護保険導入後は国民健康保険料の一年以上の滞納者に対し国民健康保険被保険者証の返還が義務化され、その後、資格証明書が発行され給付の一時差しとめの制裁措置が行われるが、その実態を把握し、滞納者に対する保険給付の確保に努める必要があるのではないかとただしたのに対し、各市町村の滞納状況は毎年の指導監査で把握をし、収納対策を指導しているが、介護保険導入後は保険料収納が円滑に進むよう各市町村をさらに指導していきたいとの答弁がありました。
 これに対し、介護保険導入後高くなる国民健康保険料の軽減措置はないものかと重ねてただしたのに対し、所得に応じた軽減措置は従来からあり、また、滞納による市町村財政への影響については、国保財政の安定を図るため国において六百六十億円の介護円滑導入対策基金措置がなされているとの答弁がありました。
 このほか、福祉立県の観点から介護福祉士の増員対策について要望がありました。
 また同和問題では、同和対策住宅新築資金等貸付事業の償還状況はどうか、またこれに関連して、滞納率が高いのは金利が高いからではないかとただしたのに対し、償還状況は市町村により異なるが、県全体の償還率は八二・五八%であり、償還率の低い市町村には指導している、同事業は国の制度を補完する事業であり、金利の引き下げは困難であるが、国と協議し研究してまいりたいとの答弁がありました。
 さらに、同和問題と人権問題についての和歌山県の考え方についてただしたのに対し、同和問題を重要な柱としてあらゆる人権問題に取り組むことが県の基本姿勢である、同和問題の残された課題である教育、啓発、産業就労対策、住環境整備について、早期解決に向けて取り組んでいるところであるとの答弁がありました。
 このほかに、同和委員会への啓発委託内容や集会所等の改修について質疑がありました。
 次に、最近、結核の院内感染や高齢者の結核が増加していると聞くが、県内の結核病床数はどれだけあるのか、またその稼働状況はどうかとただしたのに対し、県下には、和歌山市内の民間病院の百四十三床、国立療養所和歌山病院の七十五床、及び国保野上厚生総合病院の五十三床、合計二百七十一床があり、稼働率は全体としては高くない状況であるとの答弁がありました。
 また、国からの通知によるものと思うが、年度途中に社会福祉施設の措置費単価がさかのぼって減額されることのないよう配慮してほしいとの要望がありました。
 このほか、ボランティア活動助成について、紀伊駅のバリアフリー化の早期実現について、質疑要望がありました。
 以上のような質疑の結果、当委員会に付託されました議案第一号、議案第十三号、議案第二十二号、議案第三十三号については賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、議案第六号、議案第十六号、議案第三十六号、議案第四十四号から議案第五十号まで、議案第七十五号から議案第七十八号まで、議案第八十二号、議案第八十三号、議案第八十九号から議案第九十二号まで、議案第百十四号及び議案第百十五号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 さらに、請願につきましては、議請第七号は継続審査とすべきものと決しました。
 なお、委員長報告の冒頭で触れました橋本市の産業廃棄物中間処理場の問題につきましては、委員会審議の中で活発な質疑がなされたところでありますが、さらにこの論議を深めていくためには、現場の状況を実際に確認し、周辺住民の方々の生の声を直接お聞きすることが必要ではないかとの委員全員の総意により、去る三月十七日、福祉環境委員会として現地調査を実施いたしました。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 経済警察委員会委員長新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(新島 雄君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案十七件であります。
 当委員会は、三月十五日及び十六日の二日間、第三委員会室で開催し、当局から付託案件等について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見並びに要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず商工労働部関係では、初めに県商工信用組合に関する集中審議を行うことを委員会として決め、県信の市川理事長ら経営陣が背任容疑で逮捕されたことに対し、県として今回の事態をどのように受けとめているのか、また、再建支援のため県、紀陽銀行が各五十億円、全国信用協同組合連合会が二百五十億円の総額三百五十億円の融資を行ったが、県信再建にはどのようなメリットがあったのか、この融資はいつ回収されたのか、県庁の家宅捜査でどのような書類が押収されたのかとただしたのに対し、まことに残念に思っている、県としては従来から法令遵守等について検査し、大口限度を超える貸し出し、員外貸し出し、大幅な担保不足等についてその都度改善を指導してきた、平成五年度に国、県の合同検査を実施し、また国の指導助言を得ながら平成六年度から十年間での再建計画がスタートし、再建支援のため三百五十億円の低利融資を単年度ごとに実施することにより再建計画を側面から支援してきたところである、店舗、人員の削減は計画どおり進んだが、その後の金融情勢の変化に加え、平成八年にいわゆる金融三法が成立、金融ビッグバンの中で十年四月から自己資本比率による早期是正措置が導入されることとなったため自主再建を断念し、業務停止による県内経済の混乱を回避するため紀陽銀行への事業譲渡となったが、県信は県内中小企業専門金融機関として県下全域に営業を展開しており、預金者や取引企業者のため、事業譲渡は当時とり得る最善の方法であったと認識している、低利融資の支援による効果については、経常利益に対し十八億五千万円の実績が上がったが、その後、諸般の事情により自主再建を断念し事業譲渡に至ったため、平成九年度で打ち切り、九年度末に県の五十億円を含め全額回収されている、今回の和歌山地裁の捜査差し押さえ許可状によれば、今回の捜査の目的は県信経営陣等の背任容疑を立証するための書類を差し押さえるとなっていたとの答弁がありました。
 関連して、県信問題については、昭和五十八年の県議会でペーパー会社十七社に総額百七十五億円の融資をしているという問題を指摘されている、それから十年近くたってから市川氏が送り込まれている、この間も毎年検査をされてきたと思うが、検査の壁のようなものがあるという感じがするがどうかとただしたのに対し、一般的に検査は抽出検査であり、かつ県信側から提出された資料により検査を行っており限界はある、ただ、バブル経済の時期は経営も好調であり、このような時点の検査であれば員外貸し出しや大口限度額超過貸し出しについては指摘するが、経営面での指摘を行うことは難しいという事情もあるとの答弁があり、商工金融課が提出された資料をチェックしながら検査すること自体に限界があったのではないか、公認会計士も同行して行う等の工夫が要るのではないか、検査の体制をこれを機会に考えなければならないと思うがどうか、また、紀陽銀行に事業譲渡された当時、中小零細企業者対策はどうであったのかとただしたのに対し、職員も国の研修を受ける等により知識を修得しているが、一定期間に異動があるのに対し相手方は金融の専門家であるという面もあり、ご指摘の点は少なからずあったと思う、事業譲渡公表が平成十年三月、事業譲渡は平成十一年五月六日に行われたが、県信との取引のあった中小企業者の中には県信を唯一のメーンバンクとしていた中小企業者が多くあった、県としてはそれらの中小企業者を新たな金融機関にできるだけスムーズに移行してもらうため、県信対策特別資金を平成十年度に創設した、平成十年度中の実績は六百三十三件、約五十三億円の利用があったとの答弁がありました。
 関連して、県は県信に対し再建に向けて指導監督を行ってきたが、検査実施店舗や貸し付け実態等、どのように検査してきたか、また、県信経営陣の背任容疑となったのは平成七年の追加融資であるが、ほかに障害となった負の部分はどうかとただしたのに対し、定例検査については本部、本店、各営業店のすべてで実施している、昭和五十六年度から六十三年度で延べ八十九店舗、平成元年度から九年度で延べ百七十七店舗の検査を実施し、検査の中身については大口限度超過貸し出し、員外貸し出し、担保不足等について厳しく指摘し、改善を求めてきたところである、平成五年に市川理事長が就任したときには前経営者の業容拡大路線によって極めて厳しい経営状況にあったことは事実であるとの答弁がありました。
 委員から、三月十一日の報道で県の指導を無視して融資を行ったとされていたが、平成七年の検査で丸千グループについて問題であると指導したにもかかわらず、県信は県の指導を無視して丸千グループに対して追加融資を行ったのか、丸千とはどのようなグループなのかとただしたのに対し、今回の容疑となった融資については平成七年の春から秋にかけて行われたところである、平成七年の検査は同年十一月に実施し、必要な指摘を行っているが、平成五年度の検査においても大口限度超過等についての指摘を行っている、また、この会社は株式会社丸千を中心としたグループで、飲食業、ゴルフ場、不動産業等を営むグループであるとの答弁があり、員外貸し付け、大口限度超過貸し出しは法律違反となるが、丸千グループへの三百億円の融資について、県は検査等で改善を指示したということであるが、なぜ改善されなかったのか、また、これに対する県の指導監督責任をどのように考えているのか、法的なことは捜査当局が捜査中であり差し控えるが、監督官庁として道義的な責任があるのではないかとただしたのに対し、長引く景気の低迷、土地価格の大幅な下落など、種々の事情により債権回収が計画どおり進まなかった、また道義的な責任については、平成六年当時、金融機関の破綻処理スキームが確立されておらず、その後の阪和銀行の業務停止命令による混乱など、信用不安の防止や金融秩序の維持についてもご理解いただきたいが、結果的には再建計画が計画どおり進まなかったことについては、そういう意味で指摘されてもいたし方なく、再建支援として五十億円の支援を行ったにもかかわらず再建できなかったことについて、指導の至らなかった点は反省しているとの答弁がありました。
 委員からは、県の商工労働部で指導監督し、許認可権もある中で、経営内容も検査し、検査でも十分見抜けなかった点もあった、県は監督官庁としての道義的責任はあると思うとの意見があり、県信問題の総括として、各委員から多くの意見、提案、指摘がなされたが、これを教訓に当局のより一層の精進を望むとの要望がありました。
 次に、本県経済が全体的に落ち込んでいるが、観光振興施策の状況はどうなっているか、また、市町村も再生に向けて取り組んでいるが、地方分権が引き金となって府県間競争が激化する中、県の役割が重要ではないかとただしたのに対し、県民向けには広報誌、マスコミへの資料提供などを、また外貨獲得の県外キャンペーンについても従来から取り組んできている、観光施策は一義的には市町村が地域の問題として取り組む必要があると認識しているが、和歌山市において和歌浦地区の活性化を図ることを目的とした海都二十一事業を立ち上げるなどの動きが出てきており、県としても市町村の事業とも連携して積極的に取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 関連して、淡路花博の開催やユニバーサルスタジオ等、大阪湾沿いの新たな観光施設における観光客対策についてただしたのに対し、三月十八日から開催される淡路花博は五百万人の入場者を見込んでおり、ユニバーサルスタジオは来年オープンし、年間入場者八百万人を目標にしている、これらの人々が和歌山まで足を伸ばして泊まっていただくため、和歌山の魅力をPRするとともに、旅行会社等への働きかけや、アジアからのエージェントや記者の招待旅行も行っている、特に花博を訪れた観光客に和歌山へも来ていただくため、三月十八日、十九日の両日、花博会場にて和歌山ならではの観光をPRするとの答弁がありました。
 次に、香港駐在員事務所の機能についてただしたのに対し、平成八年九月に香港駐在所を設置し、平成十年四月からジェトロ香港センターの共同事務所内で現在二代目の駐在員一名と現地採用者一名が活動している、海外経済事情の調査、進出している県内企業の動向調査、県産業・観光のPRのほか、現地スーパーマーケットで農林水産物等を中心とした物産展の開催なども行っているとの答弁があり、委員からは、和歌山とアジアの連携という大変な仕事であり、今後増員を検討するよう要望がありました。
 次に、本県の地場産業は、和歌山でしかできないもの、環境等を含めた価値あるものをつくる必要があるのではないかとただしたのに対し、地場産業を中心とする中小企業の育成はわかやま地域産業総合支援機構で既存産業の高度化、新産業の創出への支援を行っており、設備貸与の案件は十年度に比べ十一年度は少し回復している、いいものをつくるというのが本来の姿であり、その支援を行っていくとの答弁がありました。
 次に、商店街競争力強化基金として七億円予算計上されているが、具体的な事業実施計画はあるのかとただしたのに対し、中小企業振興公社に七億円の基金を造成し、その運用益により商店街振興組合等が実施するソフト事業を支援するもので、具体的には高齢者ニーズやイメージアップなどに関する事業である、この事業は平成十二年度新規事業であり、今後、中小企業振興公社においてPRしていくとの答弁があり、委員からは、大型店舗との競争も激しいので、より有効な運用を行うよう要望がありました。
 次に、機関委任事務制度が廃止され、職業安定課、雇用保険課が労働局に統合され国の機関となるのは地方分権に逆行すると考えている、これだけ厳しい失業情勢にあって労働局が国の一律な判断により対応しない事態や県の今後の雇用対策の取り組みについて危惧している、平成十二年度予算、組織体制も含め、両課で実施してきた雇用対策についてどう取り組むのかとただしたのに対し、県の機関として雇用対策を実施してきた職業安定課、雇用保険課が四月から労働局に移管することは大きな課題と考えている、しかし、労働局設置後も、国は国の雇用対策を労働局で、県は従来から県として実施してきたUターン対策、障害者・高齢者対策、同和対策等の事業を実施するとともに雇用対策全般についても取り組んでいくことが重要であると考えている、平成十二年度の職業安定課等の予算は県で執行するものであり、労政能力開発課を中心に引き継いでいるところであり、実施に当たっては労働局と十分連携を図るとともに雇用対策を担当する組織を四月一日に商工労働部内に設置すべく検討しているとの答弁があり、委員からは、失業が多い中、本県に担当部署がないというのは困るので、ぜひ担当組織を設置してもらいたい、また、労働局と県との調整会議を定期的に開催し、本県の独自性を取り入れた雇用対策をするよう要望がありました。
 関連して、最近の就職戦線はインターネットを取り入れるなど形態が変わってきている、県外の学生がUターンフェア等で和歌山県に帰らなくても県内の求人情報がインターネットで手に入るようにするとともに、ホームページを開設できない中小企業などの情報も一緒に提供できないかとただしたのに対し、和歌山公共職業安定所の隣の学生相談室に全国大学等卒業者に対する求人情報システムの情報端末を設置しているが、他の職業安定所には置いていないのが実情である、労働省は全国的な情報網化をしており、端末をつなげば可能であると思うので、労働省に働きかけてまいりたいとの答弁がありました。
 このほか、民間の資金需要に影響を及ぼすクラウディングアウトの問題や日掛け金融の実態について、県観光センターの増設、WTO国際会議の成果、中小企業経営革新支援法についてや厳しい予算を踏まえた主要事業への取り組み等についても質疑、要望がありました。
 公安委員会関係では、初めに都道府県公安委員会の任務と主な仕事についてただしたのに対し、公安委員会は委員長と委員二名の三名で構成されており、委員長は互選で決めている、公安委員会制度の目的は警察行政の民主的な運営と政治的中立性を確保しようとするものである、主な権限は警察法により警察業務全般にわたって管理することが規定されているほか、道路交通法等、個々の法律に規定されている、また、毎週一回会議を開催し、各部門の状況等について報告、説明を受け、それらについて協議し、指導している、その他、必要なときは電話やファクスで細かく報告を受けたり、緊急の場合には自宅で報告を受けることもあるとの答弁がありました。
 関連して、警察の不祥事案を防止するための公安委員会の指導についてただしたのに対し、警察官には強い使命感と高い倫理観が重要である、不祥事案を防止するため、本部長には一層の工夫を凝らし、対策に万全を期すよう助言しているとの答弁があり、委員からは、日夜厳しい環境のもとで、時には身の危険も顧みず県民の安全を守ってくれている警察官により強い使命感と高い倫理観を求めるには、それにふさわしい処遇をしてほしいとの要望がありました。
 続いて、警察に対する信頼が薄らぐ中、警察官の資質向上について、採用時の試験がペーパー試験と面接だけで適切なのかとただしたのに対し、優秀な人材を確保するにはペーパー試験のみでは十分と考えていない、意欲のある者、学力のある者を採用するため、第一次試験で一定の学力を有する者を見きわめる際にはできるだけ多くの合格者を発表してもらい、その中から意欲のある者を第二次試験で選ぶよう人事委員会に対して申し入れを行っている、また、面接時には人事委員だけでなく警察も加わり、警察の目から見て本当に警察官としての資質を有しているか、やる気があるかどうかを判断している、さらに、平成九年度からは受験生だけで集団討論させる方式も取り入れており、集団討論のテーマについても人事委員会で選定するのではなく、警察官としての資質を見るため、少年問題、暴走族問題に関するテーマ等を警察から提案し、討論状況を見て意欲のある者を採用することとしている、また、昇任した際は各級の警察学校で、実務向上に加え各級幹部の立場、役割、訓育、部外講師による講演等の資質を向上させるための教養を行っているとの答弁があり、委員からは、開かれた警察を実現するには県民の協力が不可欠である、世間の常識を認識した上で、単なるペーパー試験で採用や昇任をさせるのではなく、いろいろなことを実施して警察官の質を向上させるよう要望がありました。
 次に、交番に勤務する警察官の姿を見かけないが、警察官の人員は不足しているのかとただしたのに対し、警察事象が多発し、さらに県民のニーズも多様化する中で、これらすべての要望にこたえるには警察官の人員不足は避けられない問題である、警察官の定員は政令で定められているため、全国的な増員がない限り警察官の増員は難しいものの、本県では交通巡視員を警察官に切りかえて政令定数を上回った数を条例で定めている、警察官の増員に関しては財政状況等が絡んでくることから非常に難しいが、増員の必要性を県当局に訴えてまいりたいとの答弁があり、交番相談員の増員については警察官OBや識見者の協力を得て治安を守ることは大変よいことであるので、交番相談員を徐々にふやすなど体制の強化を図るよう要望がありました。
 関連して、市町村への派遣をふやすことについて、現在派遣されている職員は大変よくやってくれると聞いているので、今後も行政との密接な連携を築くために努力してもらいたいとの要望がありました。
 次に、中央省庁等のホームページが改ざんされるなどのハッカー被害が起きているが、本県のハイテク事件捜査状況とハッカー対策についてただしたのに対し、昨年七月に和歌山県警ハイテク犯罪対策室を設置して、事件を認知した警察署に専門的知識を有するプロジェクトチームを派遣し、捜査支援、技術支援を行っており、これまで被害相談五件のうち三件を検挙している、また、県立医大の光磁気ディスク窃盗事件についても現在捜査技術支援を行っている、ハッカー対策については完全な防御対策は不可能であると言われるが、セキュリティー対策によってリスクを低減させることは可能であり、コンピューター管理者には常に最新のセキュリティー対策を取り入れるなどの不断の努力が必要である、昨年十二月に県内プロバイダーによる和歌山インターネットプロバイダー協会を設立したが、今後はこの協会と連携を深め、ハッカー防止対策の研究や県民に対する広報活動を展開するほか、本年二月十三日に施行された不正アクセス行為の禁止等に関する法律の積極的な適用を図り、ハッカーの取り締まりを強化していくとの答弁がありました。
 また、警察本部庁舎の建てかえ計画についてただしたのに対し、警察本部庁舎は昭和四十三年に建設されたもので、築後三十二年を経過しており、老朽狭隘化が進んでいる、さきの阪神・淡路大震災の際には庁舎の窓ガラスが多数割れる被害も出たところであり、平成八年一月に庁舎の耐震診断を実施した結果、極めて耐震性の低い建物と判断された、そこで、県庁内の県庁舎建設準備会議に県警も参画し、議会棟、行政棟とともに警察棟もあわせ建設計画の中へ入っており、特に治安のとりでである警察棟は建てかえについて最優先するよう強く要望しているとの答弁がありました。
 次に、未解決事件が残る原因は捜査環境の悪化にあると思うが、そのための捜査技術の向上方策についてただしたのに対し、道路網の整備や通信技術の飛躍的な発達等により犯罪の広域化、スピード化、巧妙化等が一段と進み、捜査環境はますます悪化している状況にある、捜査技術の向上については捜査員個々の資質の向上を図ることが必要であるため、現在、警視庁、大阪府警に捜査員を出向させ、最新の捜査手法を習得させ、帰県後そうした手法を本県捜査員に広めている、また、重大な事件の検挙事例を教材とした捜査実践塾を開催して成功例や反省点を抽出して今後の捜査の教訓とするなど、年間を通じた各種教養訓練を実施している、しかし、捜査の質を上げたとしても限度があり、犯罪捜査には警察だけでなく県民の協力も極めて重要であるので協力の呼びかけも積極的に推進していきたいとの答弁がありました。
 次に暴走族条例案について、他県と比較して本県の特徴は何か、また、罰則を規定していないが、罰則なしでも効果が期待できるのかとただしたのに対し、既に施行されている宮城、広島両県の条例が集団による大規模な暴走行為のみを対象としているが、本県では集団による暴走行為はもちろんのこと、迷惑性の高い単独での騒音運転、空き地等での空ぶかしやタイヤをきしませての走行なども暴走行為等の一形態としてとらまえており、既婚、未婚の別を問わず二十歳未満の者すべてを未成年として定義づけるなど、県内の暴走行為等の実態に即した内容としている、また本条例案は、取り締まりの根拠とするものでないことや、制定の目的が関係機関等の責務を明確にすることによって暴走族根絶に対する共通認識を持ち、それぞれの立場で自主的な取り組みをしていただくこと等から、罰則をもって強制するという形はとっておらず、警察としては今後関係者の自主活動を促していく上での後ろ盾になるので、暴走族が根づかない土壌づくりを進めていく上で大きな効果があるものと期待している、なお、本条例案の内容は一日も早く一人でも多くの方々に正しく理解してもらうことが重要であり、早い機会にあらゆる広報媒体を利用しての啓発、広報や関係機関等に対する協力要請等を繰り返し行い、県民への浸透を図っていきたいとの答弁がありました。
 また、県立医科大学附属病院において患者のカルテ等が記録された光磁気ディスクが盗難に遭い、その一部がインターネットのホームページに記載された事案について、元女性医師三十九歳が私文書偽造、同行使並びに名誉棄損罪で逮捕されたが、光磁気ディスクの盗難は自供しているのか、また、古物商等が大量の盗品のオートバイを買い取り海外に輸出していた事件について、盗難に遭ったオートバイは被害者に返してくれるのかとただしたのに対し、医大については現在捜査中なので答弁は差し控えるが、この事件の全容解明は県民の強い要望があるところから、今後具体的な結果をもって要望にこたえたい、また、オートバイは大半が外国に輸出されているが、一般的なオートバイ窃盗事件等については事件処理が終了すれば被害者に還付しているとの答弁がありました。
 このほか、串本警察署の新築移転、少年非行に対する学校・家庭との連携や交通信号機、道路標識等の交通安全施設の整備についても質疑、要望がありました。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。
 当委員会に付託されました議案第一号、議案第五号、議案第十号、議案第十五号、議案第二十二号、議案第二十六号、議案第三十号、議案第三十五号、議案第五十八号、議案第五十九号、議案第六十八号、議案第七十三号、議案第八十四号、議案第九十六号、議案第百九号、議案第百十五号及び議案第百十六号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産委員会委員長大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(大沢広太郎君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案十七件であります。
 委員会は、三月十五日、第四委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 循環型農業等環境問題では、まず初めに、循環型農業について各セクションでやるのはよいが、共同プロジェクトとして取り組んでほしい、総合技術センターで行う有機性資源のリサイクル技術開発推進事業について今改めて開発すべき技術はあるのかとただしたのに対し、有機性資源のリサイクル技術開発推進事業は総合技術センターが中心に複数の試験場が共同で研究を行うことになっており、課題となっている堆肥運搬作業の軽作業化や需給システムづくりなど、試験研究的な側面からアプローチするための研究経費である、また、循環型社会はこれからの時代を見据えた大切なものと考えており、総合技術センターの予算、畜産試験場の家畜ふん尿の堆肥化技術などを関連させて部内横断的な研究に取り組んでいくとの答弁があり、これに関連して他の委員から、農林水産業の効率化を追うだけでなく、農林水産業における健康や生活、農村地域における景観に対して影響を与える問題点の項目等を洗い出して環境問題に対応してはどうかとの要望がありました。
 続いて、ダイオキシン対策により梅農家等の剪定枝等が野焼き禁止となり、その処理に困っているが、炭化設備により土壌に還元することができないのか、また、野菜、花卉のビニールハウス栽培の伸びとともに年々廃ビニール量が増加しているので、その処理に対して早急に対応策を立てる必要がある、県としてどのような対応をしているのかとただしたのに対し、本県は紀州備長炭の産地であり、白炭生産者は約二百二十名に対し黒炭生産者はわずか十名程度と把握している、梅剪定枝の炭化については黒炭の部類に入るが、今後、梅剪定枝や杉、ヒノキの間伐材の木炭化を初め、全国的にも注目されている竹炭の活用も進めていく必要がある、こうした中で南部川村では簡易な炭窯設置により梅の剪定枝等を炭にする取り組みや研究がなされていると聞いている、炭化設備を設置する国庫補助事業としては林業構造改善事業の中の特用林産振興対策での対応が可能であるが、こうした事業を実施するに当たっては採算性の問題をクリアする必要がある、また、本県の農業用廃プラスチック排出量は年間約二千トンあり、和歌山県農協連合会、和歌山県ビニール商業会、和歌山県施設園芸協会、市町村、農協、県が構成メンバーとなっているが、和歌山県農業用廃プラスチック適正処理推進研究協議会が中心となり適正処理の推進に努めている、平成十一年度の回収は約六百四十四トンで全体量の約三二%となっている、また、協議会での回収の推進とともに油化、プラスチック処理製品へのリサイクル処理の研究にも取り組んでいるとの答弁がありました。
 さらに、農作物の風評対策についての取り組みはどうかとただしたのに対し、去る三月三日、日本工業所ダイオキシン問題対策本部農作物部会を開催し、農産物の安全性を確認するための方策について検討を行ってきた、その結果、農作物に対する不安を早く解消するため、地元対策協議会と連携の上、土壌及び農作物の調査を実施していくこととし、三月十日に地元対策協議会と対象作物及び調査地点について協議を行い、現在、収穫期にある野菜並びにカキ、ブドウの園地を含めた土壌調査を三月中に実施できるように作業を進めているとの答弁がありました。
 また、産官学が共同で取り組み現場で活用できるような研究を農林水産総合技術センターでは行っているのかとただしたのに対し、研究は各分野に分かれ、年月を要する研究もあるが、農家等が実用化できる研究に取り組んでいるとの答弁があり、他の委員から、篤農家の技術として無摘果、年中剪定などの管理を行っている事例もあるので、これまでの栽培技術の概念にとらわれず、新たな発想で研究に取り組まれたいとの要望がありました。
 次に、梅の生育不良に対する予算として二億六千五百万円が計上されており、その中で梅の専門研究機関の構想策定が計画されているが、いつごろどのような研究機関を設置するのか、研究機関の検討に当たっては全国の梅産地をリードするものとし、国からも研究委託を受けられるような内容や規模のものとして検討されたいとただしたのに対し、うめ研究機関設置基本構想については、一年間をかけ設置検討委員会のような組織を設置し、地元の意見も聞きながら検討してまいりたい、また、梅専門機関の検討については、県の財政状況に厳しいものがあるが、本県の梅の位置づけからしても農林水産部として規模内容について充実したものにしたいと考えているとの答弁がありました。
 これに関連して他の委員から、梅の研究施設については中身をどう充実していくか大事であり、人の問題等、幅広い角度で取り組んでいく必要がある、今後の梅対策に当たっては大気と複合的な要因も考えられるので、大局的な分析など総合的な立場で取り組みを強化されたいとの意見、要望がありました。
 続いて、農協、漁協に対する組合指導費並びに検査の状況についてただしたのに対し、組合指導費は今後も農協の適正な事業運営を図るため指導を行っていく経費であり、農協財務健全化特別対策事業についてはJA中央会の健全化推進への支援と県が直接的に未合併農協に再編指導する経費である、また、漁協指導事業として平成十二年度から漁協指導監査助成事業を新設し、漁協の経営指導強化を図っていきたい、なお、農協検査については県と農協中央会が組合の約半数を毎年交互に検査を実施している、検査は検査員と公認会計士を嘱託とした検査員二名により書類検査及び実地検査をきめ細かく実施している、漁協については信用事業を行っている漁協を含め三十組合の検査を平成十二年度に実施する予定である、また、指摘改善事項については指導担当課に通知し、担当課から組合に対し改善指導に努めているとの答弁があり、委員から、的確に判断して改善すべき点、疑問点は厳しく指導するようにしてほしいとの要望がありました。
 さらに、他の委員から詳しく農協、漁協についての検査、指導の内容をただしたのに対し、農協については二十四組合あり、農協中央会と連携のもと、組織、財務、業務会計などに重点を置いて検査を実施している、信用事業を行っている組合については早期是正措置が導入されたことに伴い、組合の健全性の確保、資産の自己査定などについて指導担当課と連携を密にしながら検査に努めている、また、農協合併については昭和六十三年に決議した県下八農協合併構想に基づき県は指導を行っているところであり、現在、伊都、東牟婁地方で合併推進が図られている、漁協については沿海五十五漁協のうち十四漁協が信用事業を実施しており、一般金融機関同様、専任理事、専任監事を置く等の組織等への規制がかけられており、このような規制に対応できる漁協はごくわずかであり、そのため平成十二年度中にこの十四漁協の信用事業を県信用漁業協同組合連合会へ統合することを目標としている、漁協の合併については国の指導に基づいて進めているが、合併を推進していく上では各漁協間における財務格差、漁業権の行使規則などが異なる等が課題となっている、県漁協経営強化基本方針及び全国漁業協同組合連合会が示している適正規模から判断すると、振興局単位に一漁協として県下五つの漁協が望ましいと考えており、振興局単位で合併について研究・勉強会等を実施しているとの答弁がありました。
 委員からは、組合の運営状況が悪く、職員を退職させた漁業もあると聞いているので、各振興局を通じて漁協の状況を把握し、合併を早急に進めてほしいとの要望がありました。
 また、食料・農業・農村基本法に基づく和歌山県版の基本計画を平成十二年度に策定するのかとただしたのに対し、基本計画は新しい基本法の考え方を具体的に示すものであるが、国において細目がまだ示されていないことから、その動向を見ながら和歌山県版の基本計画をつくっていくかどうかも含めて検討するとの答弁がありました。
 次に農業者年金について、けさの朝日新聞に農業者年金の記事が掲載され、平均三割の支給カット等と報道されているが、農業者年金についての現在の状況及び本県としての対応はどうかとただしたのに対し、本県の農業者年金加入者は約三千二百人、受給者は約七千五百人であり、年間支給額は約十七億円という状況である、平均三割カットとなった場合、年間約二億八千万円の減少となる、年金改正法案は今国会には未提出であるが、平成十一年十二月の農業者年金制度改革大綱が示されたのに対しその指摘等があり、現在、農業者団体が制度改正に対する年金受給者、加入者の意見を集約し、今後国への要望を行っていくと聞いている、農業者年金関連の本県としての直接的な施策はないが、農業者の老後生活を支える年金であり、多数の加入者のためにも制度改正に当たっては農業者への十分な配慮が必要と考えているとの答弁がありました。
 続いて、この問題に対する農家の具体的な要望はどうか、また今後の加入者の増加見込みはどうかとただしたのに対し、全部を把握していないが、削減幅平均三割は大き過ぎる、削減幅をもっと圧縮してほしいという意見が多いと聞いている、また、今後受給者の増加が見込まれ、加入者に対する受給者率が高くなると思われるとの答弁がありました。
 さらに、中山間地域等直接支払制度について、交付金の使用方法は各個人に支払いをするよりも地域全体の農業振興に役立つ共同の取り組みに対して支払う方向は検討できないかとただしたのに対し、本制度は農業振興地域の農用地区域の中で、急傾斜、緩傾斜等、農業生産条件の不利地域を対象に五年間の集落協定に基づき農業生産活動等を行った農業者等に支払われるものであり、支払われる単価等、内容については既に新聞などで広く報道されていることもあり限定することは難しいが、使途については個々の集落協定で定めればよいことになっている、なお、共同で地域の課題に取り組むために使用することが望ましいことから、支払い額のおおむね二分の一以上を共同利用すべく指導を進めてまいりたいとの答弁があり、委員からは、地域整備に使われることが望ましいとの要望がありました。
 また、これに関連して他の委員から、指定要件の緩和と市町村事務量の増加対応についてただしたのに対し、本年度は平地地域と比べ農業の生産条件の不利な地域に支払われるものであって、要件を緩和することは困難と考える、また、市町村の事務は相当量予想されるので、市町村ときめ細かく連携しながら地元の意見を国等に要望していく、なお、市町村推進費については国では約十四億円を各都道府県の対象面積に応じて配分されると聞いているので、推進事務費の確保に努めたいとの答弁がありました。
 次に、市街化区域内農地で農業を営む農家へ補助事業等支援できないかとただしたのに対し、市街化区域内については都市計画法に基づき積極的に市街化を進める地域として指定された地域であることから農業投資を進めることは難しいと考えているとの答弁があり、委員から、市街化区域内農家の生産物を直売できるような施設整備を研究してはどうかとの要望がありました。
 続いて、新過疎法の概要と本県への影響についてただしたのに対し、新過疎法については、委員各位の支援を受け要望活動を進めてきた、昨日、衆議院の地方行政委員会で可決、同日付で衆議院本会議に提案されたという状況である、新過疎法の概要は、名称は過疎地域自立促進特別措置法ということで、従来の法律では都市との格差是正ということが目的であったが、新法については地域間交流の促進、環境に配慮した景観の整備などを通じて地域の自立促進をしていくということが掲げられている、本県の市町村に対する影響については、新しい指定要件に当てはめると、従来の十七町村は引き続き指定され、新たに串本町が加わるという見込みであるとの答弁がありました。
 さらに、先日、産経新聞で報道のあった成人病に効果のある稲はいつごろできるのかとただしたのに対し、実用化されて一般の農家が栽培するようになるまでにはしばらく時間が必要と思われるとの答弁がありました。
 また、山村地域でウコッケイを振興してはどうかとただしたのに対し、現在、日高・西牟婁郡を中心に飼育されており、養鶏試験場においてウコッケイの飼育管理技術等の検討をしている、また必要に応じて農家の指導も実施しているとの答弁があり、委員から、今後経済的な面も考え、飼育方法も含めて畜産家と山村振興課連携の上、少しでも農家の収入増加に結びつけるために指導してほしいとの要望がありました。
 次に、印南町の畜産育成公社の跡地の現状と払い下げについてはどうかとただしたのに対し、畜産育成公社の跡地については面積が十六・五ヘクタールあり、うち約三千平米が未登記地で、登記上の問題から平成五年にこの土地の売買契約を解除した、また、森林組合からユーカリの栽培について要望があり、印南町と協議しながら進めてきたが条件が合わなかったという経過があった、現在、跡地については印南町へ払い下げをするために境界確認等の作業を弁護士と協議しながら進めているとの答弁がありました。
 続いて、紀の川用水土地改良区への貸付金について、なぜ貸し付けを行っているのか、またいつまで貸し付けするのか、南紀用水土地改良区からは高い負担金を徴収しているのではないかとただしたのに対し、国営の紀の川用水幹線水路は昭和六十年度から負担金の償還が始まっている、十アール当たり賦課金約一万六千円とため池の管理費約六千円の合わせて約二万二千円が農家の負担になるが、昨今の農業情勢等から土地改良区の賦課金一万円が限度なので、国営事業償還金十アール当たり六千円の助成の要請があった、そこで県としては紀の川用水土地改良区の運営を継続させるため平成元年度から貸し付けを行ってきた、また、紀の川用水土地改良区国営事業の償還が終了するのは平成十三年度であるが、黒字になるのは平成二十年ごろと考えており、今後も人員の問題等、自助努力をするよう指導していく、南紀用水については国営事業の農家負担分を市町村が全額負担しているとの答弁がありました。
 さらに、建設工事に伴うしゅんせつ土砂などが指定海域以外の場所に投棄され、まき網漁業等の操業に被害を受けている、このため県として市や町への指導を徹底するようただしたのに対し、しゅんせつ工事に関しては基本的に埋立土として利用することにしているが、やむを得ず海洋投棄する場合については、漁場保全の観点から関係漁業協同組合と協議し、同意を得た上で実施している、工事実施に際しては監督員が乗船し投棄場所を確認するよう指導しているが、今後も関係市町村へ一層徹底するとの答弁がありました。
 このほか、農地環境整備事業での中山間地域の地図づくり、施設園芸協会の役割、安値対策としての加工品の開発、本県の養鶏の状況、森林交付税と森林・林業・林産業活性化、県産材の利用促進、農作物に対する有害鳥獣被害、カシ類の集団枯損、畜産課、水産課における新規事業の有無について、また、新年度予算について事業理念を明確にするような工夫をされたいとの質疑、要望がありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案第一号、議案第二十二号、議案第五十一号、議案第百三号及び議案第百四号については賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、その他の議案については全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、当委員会から森林・林業・木材産業基本政策の確立に関する意見書案が提出される運びとなっておりますので、よろしくお願いをいたします。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 建設委員会委員長木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(木下善之君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案三十八件、知事専決処分報告一件、請願は前会からの継続分一件であります。
 委員会は、三月十五日、第五委員会室において開催し、土木部、企業局の順に当局から説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望の主なものは、次のとおりであります。
 まず土木部関係では、二月補正の公共街路で大幅減額し、同時に臨交金Aで大幅増額、また十二年度で二月補正後と比べ増額している理由は、また、六十谷手平線、紀三井寺駅前線自由通路の二月大幅減額し十二年度当初予算も少ない理由などを、個々の路線では長くなるのでまとめて説明し、現場の進捗状況を市事業の六十谷手平線、西脇山口線も含めて説明されたいとただしたのに対し、街路事業については、予算書に記載しているように、公共街路、住宅促進、臨時交付金A・Bの四種類の補助事業が、また別途街路単独事業として地方特定道路整備事業があり、各路線はこれらの事業を適宜組み合わせて進めている、和歌山市内の各路線については用地補償の最終段階にあったり、また事業の初期段階で事業に対する理解が十分得られていないなどの理由でこうした補正をお願いしている、六十谷手平線については大幅な減額をしているが、これは用地補償の見通しが非常に厳しく、来年度は地道な交渉を重ねる覚悟である、なお、市で事業中の地蔵ノ辻からロータリー手前までの間については十二年度中に工事を完了し暫定供用をする予定である、西脇山口線坂田については用地補償進捗率が十一年度末で約九二%で、残りの用地物件について十二年度公共単独計八億九千万円を計上しさらに促進をしていく、なお、墓地の移転問題については地元本脇自治会とさらに協議を進めていく、西脇山口線平井・大谷については用地補償が完了しており、十二年度末の完成を目指し工事中である、なお、市で事業中の南海電鉄と交差する区間については用地補償は約半分程度終了している、十二年度予算を円滑に執行するためには一層の努力をしていきたいと考えているとの答弁があり、委員から、用地交渉等、やむなく繰り越しや他への流用は理解するが、委員会において質問のあった事項については進捗状況など、その都度報告されたいとの要望がありました。
 続いて、紀三井寺運動公園野球場の電光掲示板については、平成十年九月建設委員会で提起し、知事にも要望した経緯もある、どのように取り組まれるのかとただしたのに対し、緊急性、必要性を考慮する必要があるが、要望も多く、財政状況が厳しい中ではあるが、工夫して設置に向けて取り組んでいきたいとの答弁がありました。
 次に、阪和高速道路のインターチェンジについて、和歌山市民四十万人の将来計画を考えると和歌山北インターチェンジ、南インターチェンジが必要で、河西地区や那賀郡は北インターチェンジが、那賀郡南部の一部は南インターチェンジが利便性向上につながるが、実現への取り組みはどうかとただしたのに対し、和歌山北インターチェンジ設置については、阪和自動車道と紀淡連絡道路及び第二阪和国道への先線のインターチェンジ配置や連結位置については現状として不明確であり、またアクセス道路についても今後の課題となっている、これらの状況を踏まえながら、紀の川右岸地域の開発計画の動向を見きわめながら開発インターチェンジなどインター設置の可能性を幅広く検討していく、和歌山南インターチェンジの設置については平成十年に和歌山環状道路が地域高規格道路の候補路線として建設省において指定されたところであり、今後、阪和自動車道との交差部へのインターチェンジも視野に入れ、幅広く検討していきたいと考えているとの答弁があり、重ねていつごろ実現するかとただしたのに対し、京奈和自動車道については、その先線も含め今後の事業計画によるが、高規格幹線道路としては二十一世紀初頭までには実現できるかと考えている、南インターチェンジについては地域高規格道路の候補路線であり、今後、調査区間、整備区間と順次格上げされるよう要望していきたいとの答弁がありました。
 続いて、テクノスーパーライナーについて、和歌山下津港の計画の中で西防埋立地の先端をTSLの候補地としているが、アクセス道路の整備についてどのように考えているのか、紀の川右岸線は将来的には四車線必要と考えるが、それは難しいのか、関西消費圏の母港という観点で考えた場合、十一ヘクタールという面積で十分対応できるのかとただしたのに対し、当面のアクセス道路としては北港公共埠頭と国道二十六号を結ぶ道路として臨港道路紀の川右岸線を計画し、既に事業化を図っているが、現在の近畿自動車道紀勢線のみならず、今後、高速道路ネットワークへのアクセスの確保についても長期的視野に立って検討していきたい、また二車線を四車線にということについては、それぞれの時点における需要の動向を見ながら検討していきたい、テクノスーパーライナーの就航できる内貿ユニットロードターミナルを整備する計画となっており、公共埠頭の十一ヘクタールの面積は内貿埠頭としては十分テクノスーパーライナーにも対応できる広さを備えているとの答弁に対し、モーダルシフトの中で、TSLを含め船舶輸送の重みが増してきている、こうした中で和歌山下津港を関西全体の母港として考えていく必要があり、機能面からも一〇〇%十分と言える受け入れ態勢をつくる必要がある、今後、外貿への対応を含め、貨物量の将来予測をはじいた上でTSLを北港地区から本港地区へ持ってくるなど、港湾計画の変更も含め柔軟な考え方で対応をしてほしいとの要望がありました。
 次に、平成十二年度当初予算案の中の高齢者向け優良賃貸住宅供給促進事業の中身は何か、登記処理促進対策事業は用地取得後、登記の処理がされていないものへの取り組みと思うが、県内にどれぐらいあるのか、生きもの共生川づくり事業については、地元住民と県がパートナーとなって実施し、県がやろうとする事業に住民をかかわらせていくものと理解するが、住民をどのようにかかわらせていくのか、急傾斜地崩壊対策事業、特殊急傾斜地崩壊対策事業、急傾斜地崩壊対策緊急整備事業と急傾斜地の崩壊対策に関する三事業が列記されているが、事業内容の違いはとただしたのに対し、急激な高齢化の進展に伴う高齢者の単独・夫婦世帯の増加に対応し、高齢者世帯が安全で安心して生活できる住宅を確保するため、民間の事業者が建設する優良な賃貸住宅について建設費と家賃の一部を補助する事業であり、平成十一年度に創設したものである、また、登記処理促進対策事業は未登記処理を社団法人和歌山県公共嘱託登記土地家屋調査士協会に委託する経費を予算化しているもので、未登記原因は公図と現況の不一致によるものがほとんどであるが、平成八年度に行った調査に基づいて登記処理可能な約二千七百筆を平成九年度から十年計画で処理している、順次処理を進めてきた結果、平成十一年度末には約千六百筆となる予定である、生きもの共生川づくり事業は、これまで河川改修工事や災害復旧工事による従来型のコンクリート護岸の施工や低水路部分の平たん化等により河川が本来有する生態系が改変されるケースが多かったが、失われてしまった河川が本来有する生態系を復活または多様化させることを目的として平成十一年度から新たに実施した事業である、本事業は地域住民や企業、ボランティア団体、行政の三者がパートナーとなって計画段階から施工段階、清掃などの管理段階まで地元の皆さんに参加してもらう手法を採用することで、いわば我が町の河川として地域住民に愛着心や親近感を高めてもらうことをあわせて目的として実施している、初年度である今年度は下津町内の加茂川を対象とし、三月十二日には地元住民など約百名で現地での施工を行ったところである、それぞれの急傾斜地崩壊対策事業は国家補助の対象かどうかに、また負担金率、採択基準に違いがある、急傾斜地崩壊対策事業は公共事業で、基本的には人家戸数十戸以上、がけの高さ十メートル以上、がけの角度三十度以上の自然斜面を対象としている、特殊急傾斜地崩壊対策事業は単独事業で、人家戸数五戸以上、がけの高さ五メートル以上の自然斜面を対象としている、急傾斜地崩壊対策緊急整備事業も単独事業で、被災箇所や災害弱者などのいる世帯がある箇所などで人家戸数一戸以上四戸未満の自然斜面を対象としているとの答弁がありました。
 さらに、未登記処理は毎年よく実績が上げられていると思うが、この事業が進めば登記がされていないために課税されているようなことが解消されることになるのかとただしたのに対し、登記が未処理であっても公共用地として利用されている土地については課税の減免依頼を市町村に申請することができるとの答弁がありました。
 関連して、急傾斜地の崩壊対策事業について、現実には採択基準から外れる五戸以下の危険箇所が多い、そうした地域についてどう対処するのかとただしたのに対し、公共の急傾斜地崩壊対策事業については平成十一年度は四十九カ所で事業を実施した、しかし、県内には人家戸数五戸以上の崩壊危険箇所が平成八年度調査で二千二百八十七カ所あり、整備率もいまだ約二五%と要対策箇所が多く残されている、採択基準については順次緩和されてきており、平成十二年度からは災害弱者施設に係る採択基準が緩和されることになっている、未整備箇所についてはこれらハード対策とあわせて危険時には避難してもらうというソフト対策を充実するために、情報基盤緊急整備事業、土砂災害情報相互通信システム整備事業などにより、例えば土砂災害危険箇所図を地域ごとに作成して各戸配布するなどのきめ細かい施策を市町村と連携して進めていくこととしている、また、公共の採択とならない危険箇所についても、被災箇所や災害弱者世帯あるいは崩壊の危険度の高い箇所などから順次単独事業で対応している、県の財政状況の逼迫により事業費を大幅に削減せざるを得ないという状況にあるが、限られた予算を有効に活用し、和歌山県のがけ崩れ災害を最小限に抑えるべく今後とも努力していくとの答弁がありました。
 次に、和歌山下津港の範囲はどこからどこまでかとただしたのに対し、住友の地先から有田市地先水面である、重ねて、和歌山下津港の予算を見ても花王の前だけであると思える、港湾は交通アクセスを含めた海陸一体となった整備を行って初めて港湾機能が十分に発揮されるものである、TSLのアクセスは大問題であり、高速とのつながりのよいのは海南市である、和歌山の財政、雇用を支えてきた企業が立地する和歌山北部臨海工業地帯全体を結ぶ道路が寸断されている、今後、和歌山下津港全体を見据えた湾岸道路の整備が必要であり、マリーナシティから南へ国道四十二号と結ぶ橋梁などについて検討できないかどうか、整備手法については種々考えられると思うが、和歌山下津港の湾岸道路についての整備促進議員連盟の結成を考えているので、将来の夢のかけ橋として土木部においても全体で取り組んでほしいとの要望がありました。
 次に、紀三井寺駅と和歌山県立医大との間の道路について、都市計画決定しているがいつごろできるのかとただしたのに対し、平成十年度に事業化し、対象地権者十人のうち境界確定済みの四人の測量ができたところである、ことしは約四億三千万円の用地取得費用を予算化している、完成年度は平成十四年度を予定しており、自由通路についても平成十四年度の完成を予定しているとの答弁がありました。
 さらに、動く歩道をつけてもよいぐらいの重要な道路であるので、ぜひとも平成十四年度目途として頑張ってほしいとの要望がありました。
 続いて、和歌川河川環境整備に九億円の当初予算であるが、過去に幾度も事業を実施しており、まだ実施するところがあるのか、その必要性はとただしたのに対し、和歌川のしゅんせつは昭和四十四年から事業を実施し、今回が第四次しゅんせつである、現在の箇所は今回が三回目であるが、底の泥が悪影響を与えていると考えており、流域の下水道の整備が進まない状況ではしゅんせつ後もどうしてもヘドロが堆積し、そこから有機物などが溶出すること、また流れがない川であるということから水質が良好にならない状況である、平成十二年から十四年の三年の債務負担を計上し、三十九億円をもって完了する予定であり、完了した暁には水質の改善を確認後、仮堰の撤去を予定しているとの答弁がありました。
 さらに、化学工場に対し厳しい規制をかけるよう和歌山市へ指導をお願いするが、下水道の未整備が一番の原因だと思う、下水道と協力して早急に水質の改善を図られたい、また、県教育委員会にも話をしているが、以前から要望しているマリーナへの艇庫建設についてさらに重ねてお願いしたいとの要望がありました。
 次に、奈良県との県間道路である県道阪本五條線の早期整備に向けて、これまでの対応や結果は、県道花園美里線のトンネルと今後の状況は、県道和歌山橋本線三谷工区は、県道志賀三谷線の今後の状況は、国道四百八十号平道路、府県間トンネルの着工の見通しはどうか、国道四百八十号の志賀バイパスの進捗と梨子木トンネルの事業化の見通しはとただしたのに対し、県道阪本五條線については、奈良県において県境付近の通行支障箇所で待避所、視距改良等、現道対策を予算化し、十二年度一部用地買収にかかる予定となっている、和歌山県においては県道川津高野線との交差点付近で七年度から改良を実施中であり、十二年度も引き続き改良整備を進めていく、県道花園美里線は平成十一年度でルート確定に向けて取りつけ道路及びトンネルの坑口付近の調査を行っており、平成十二年度は現地測量及び詳細設計を終え、取りつけ道路の用地取得に着手していく、県道和歌山橋本線のかつらぎ町三谷地内から山崎地内までの三・四キロメートル区間については平成十一年三月に三谷地内の約一キロメートル区間の供用を開始しており、平成十一年度で補正を行い、用地取得及び本工事の促進を図っているところである、今後とも地元関係者のご協力を得ながら事業促進に努力していく、県道志賀三谷線は平成十二年度からかつらぎ町が地籍調査に入ることを踏まえ、地元関係者の協力をいただき、施工承諾により工事を進めていきたい、国道四百八十号平道路について、平成十二年度は滝二号トンネル発注の予定である、県側の道路を府県間トンネルの工事用道路として使うためこれらの工事を先行する必要があり、今後についても大阪府と事業手法も含めて調整を進めながら事業を促進していきたい、国道四百八十号のかつらぎ町内の志賀バイパスはかつらぎ町の協力のもと公図訂正と地籍調査を進めながら用地買収と本工事を促進中で、今後も事業進捗を図っていく、また、先線の梨子木トンネルについては高野町とかつらぎ町にまたがる計画となっており、地籍調査については、高野町側は平成十年度までに完了しており、かつらぎ町側は平成十三年度いっぱいかかる予定である、今後についてもトンネルを含めた概略設計と必要な調査を進めて事業化に向けて努力していくとの答弁がありました。
 次に、国道百六十八号の越路道路と本宮道路の用地取得の進捗はどうなっているのかとただしたのに対し、国道百六十八号越路道路の越路トンネル付近の用地買収は地元の協力をいただきながら進めたい、また南桧杖地内は七〇%の進捗である、本宮道路については平成十一年度は着工準備で道路設計、用地測量などを進めており、平成十二年度の事業着手により用地買収にかかるとの答弁がありました。
 企業局関係では、企業局の造成地として桃山第二工業用地、御坊第二工業用地、雑賀崎都市再開発用地等を抱えているが、これらの土地は寝かせば値打ちが出るのか、造成地を寝かせておけば金利、維持費で財政を圧迫するだけである、民間活力を利用して早く売却できるようにすべきでないかとただしたのに対し、早期に売却すべく最大限の努力をしている、民間委託による販売促進については新年度予算案に計上しているとの答弁があり、一日も早く県内外の企業に進出してもらえるよう一層の努力をされたいとの要望がありました。
 これに関連して、最近、造成地について企業から引き合いがありながら価格などで折り合いがつかず売却に至らなかった例もある、今は土地を抱えていても毎年の金利などを価格に上乗せできる情勢ではない、コスト主義では土地は売れない、また、造成当初の目的や法的な規制などもあるが、政策的判断を行い柔軟に対応することが求められる、他の部局の土地について、議会としてもこのことを検討し議論をしている、企業局としてもこのことを踏まえできるだけ売却を進めて身軽になる必要がある、そうでないと今後の公営企業の運営自体も行き詰まる問題である、また紀の川グリーンベルト計画のゴルフ場事業について、今のところ紀の川大堰の関連、JRの鉄橋、堤外地の民有地買収等、困難な要因が多く、また砂利採取の進捗も思わしくないのは提案予算の内容を見ても承知しているが、これに対する市民の期待も大きいので、計画の進捗に努力願いたいとの要望がありました。
 次に、現在医科大学のグラウンドとして使用している土地について、本来のグラウンドが完成すれば企業局に返還され、企業局としては事業化を考えると思うが、公共用地が少ない地域であるので、子ども会など地域で利用できる土地として残してほしい、大新駐車場駐車時間の延長の話もそうであるが、県行政として考えていくべきである、企業局からもその旨知事部局へ強く申し入れてほしいとの要望がありました。
 次に、海南市への水道移管についての問題と今後の見通しはとただしたのに対し、十一年度中に移管するため協議を重ねてきたが、移管協定には至っていない、今後も引き続き海南市と協議を進めていきたいとの答弁に対し、重ねて、移管ができなかった理由は何か、十二年度には移管になるのかとただしたのに対し、取水施設から海南市域までの送水管がほとんど和歌山市の領域にあることと、海南市の財政事情などによるものと聞いている、企業局としては早期に移管をしていきたいとの答弁がありました。
 このほか、木ノ本岬線、紀の川右岸道路西防への進入路計画、放置艇対策、紀の川リバーサイドグリーンベルト計画、キャブボックスの設置、阪神高速湾岸線と第二湾岸道路の和歌山までの延伸計画、阪井地区の軌道敷跡地の照明施設設置、紀の川流域下水道の運営主体と維持管理負担金の軽減、紀伊丹生川ダム建設事業についての質疑、要望などがありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案第一号、議案第十八号、議案第十九号、議案第二十一号、議案第二十二号、議案第三十八号、議案第百三号、議案第百四号は賛成多数をもって可決すべきものと決し、その他の議案については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 知事専決処分報告第一号は、全会一致で承認すべきものと決しました。
 また請願については、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第一号は継続審査すべきものと決しました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 文教委員会委員長神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(神出政巳君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案十件、請願前会からの継続審査分一件であります。
 委員会は、三月十五日及び十六日の二日間、第六委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず初めに、新学習指導要領が平成十四、十五年度から実施されることに関連し、説明会の開催や「総合的な学習の時間」に係る取り組みについてただしたのに対し、「総合的な学習の時間」の取り組みについては小中学校では五地域を指定し、研究を進めるとともに、事例集を作成する、県立学校でも先進的な学校に研究を依頼し、事例集を作成することとしている、また、教育課程の全体的な指導については夏休み中に校種ごとの説明会を開催し、また担当者会を通して指導していくとの答弁があり、委員からは、先取りも可能であるので、こうした取り組みを早期に各学校で実施し、子供たちに欠けているものを養っていくよう意見がありました。
 次に、最近、児童生徒が学校内で事件に巻き込まれる事例が県内でも起きており、児童生徒を取り巻く環境が危惧される状態にあると思うが、学校での安全に関する取り組みはどうかとただしたのに対し、学校保健委員会や学校安全委員会などの組織をつくり、教職員、保護者、警察、病院などの地域の方を構成員としてその中でどうすれば安全が図れるかを検討するよう指導している、各学校において学校保健委員会等の設置が進んでおり今後も充実していきたいとの答弁があり、委員からは、少子化傾向の中で子供は宝物である、子供の安全を確保できるよう学校と地域で努めてほしいとの意見がありました。
 次に、マルチメディア活用学校間連携推進事業の文部省指定を受け実践研究が行われていると聞くが、今後の事業展開はどうかとただしたのに対し、二年後をめどにすべての小中学校がインターネットに接続できるよう交付税措置がなされているところであり、市町村において積極的に導入するよう指導する、高等学校においては平成十二年度中にすべての学校にインターネットを接続する予定で、今回の事業を契機に情報教育をより多面的に進めていきたい、また、コンピューターを指導できる教員の割合は小中高校押しなべて約二〇%であるので、今後はこの割合を引き上げ、指導できる教員をふやしていく必要があると認識している、このため今後教育研修センターでの情報教育に関する各種の研修、講座の充実などを通じて指導力のある教員の確保に努めたい、また、高等学校の新教科「情報」を担当する教員については、来年度から三カ年計画で各年度三十名、計九十名程度を対象に夏期十五日間の集中講座で実施し、情報の免許を付与していく計画であるとの答弁がありました。
 関連して委員からは、インターネットによる授業の公開について質疑がありました。
 次に、教員の年間の休みはどれくらいか、また全国教研集会への教員の参加の実態はどうかとただしたのに対し、一般職員に準じ週四十時間勤務であり、学校は月の第二土曜日、第四土曜日が休業となっており、第二土曜日、第四土曜日で休めない部分は長期休業中にまとめ取りをしている、年次有給休暇は年間二十日で、繰り越しを入れると最大年四十日が認められている、特別休暇は事由により発生するが、二十種類程度ある、長期休業中に教材等の研究に従事する場合、校長の承認を得て自宅研修を行う制度があり、事前に研修計画書を、事後に報告書を提出させている、また、全国教研集会は職員団体の大会として開かれており、平成十年度は和教組は滋賀県において四十四名が参加、公教組は同じく滋賀県で二十四名が参加、日教組和歌山は岡山県へ三名が参加しているとの答弁があり、委員からは、大会が夏休み以外の日に開催され、生徒が自習となる学校もあると聞くがどうかとただしたのに対し、小中学校においては地方教育事務所を通じ指導していく中で、自習等はどうなっているか実情を把握したい、授業時数の確保に取り組み成果を上げてきたところであり、自習などはあってはならないので指導の徹底を図ってまいりたいとの答弁がありました。
 関連して、教員の勤務評定、主任制度について質疑がありました。
 次に、生涯学習推進基盤整備事業の内容についてただしたのに対し、内容は主にソフト面中心であり、生涯学習を推進していく上で多くの方々に意見を聞いたり、市町村や関係者に周知するため連絡会議を開催するためのものであり、生涯学習の推進について県がすべて予算化し推進していくものから、市町村単位で住民の身近な地域を中心としたきめ細かい推進が図られていくべきだと考えている、また、専門的指導者が不足しているという課題もあるが、和歌山大学で実施される社会教育主事講習で市町村職員、教員等、幅広い参加者を求め、指導者を養成していきたいとの答弁があり、関連して委員からは、公民館活動の活性化について要望がありました。
 次に県立近代美術館の機構について、名誉館長はいるが館長職がなく、副館長が館長職務代理者となっていることで運営上の支障はないのか、また、県展の同館での開催が長年の課題となっていると聞くがどうか、そして平成十年に南画家の河野秋邨氏の作品の寄贈を受け、いまだ展示されていないのはどういうことかとただしたのに対し、近代美術館、博物館の格式を高めるためにオープン時から名誉館長を委嘱しているが、名誉館長には決裁権がなく、円滑な運営を図るためにも館長職や名誉館長職について協議してまいりたい、また同館での県展の開催については、県民に親しまれる美術館として活用されるよう主催者である美術家協会、毎日新聞、県及び教育委員会とで協議してまいりたい、そして寄贈された作品については展示スペースの関係もあるが美術館と協議してまいりたいとの答弁があり、委員からは、名誉館長等の要職について異動があったときには早急に文教委員会に報告すべきであるとの意見がありました。
 関連して委員からは、近代美術館、博物館はもっと県民に門戸を開き、県民の美術館、博物館であるということを踏まえ、県展開催も検討し、県民の文化交流の場であってほしいとの意見や、近代美術館、博物館、自然博物館の入場者数についても質疑がありました。
 次に世界遺産登録について、今回予算措置もされ、教育委員会内に世界遺産登録推進室を設置し、学術専門家による調査等を実施するとあるが、高野山町石道と熊野古道は世界遺産に含まれるのか、複合遺産となるのか、また暫定リストへの搭載はいつになるのかとただしたのに対し、文化遺産は文化庁が、自然遺産は環境庁と林野庁が所管し、さらに文化と自然の要素をあわせ持つものを複合遺産とする種別があり、文化遺産になるためには建造物と史跡、名勝、天然記念物が国の指定を受けていることが条件になる、高野山町石道と熊野古道は文化遺産に該当し、文化庁と協議を進める中、高野と熊野を紀伊半島の宗教の聖地ととらえ一体のものとして考えている、暫定リストへの搭載については、文化庁が十二年度中に第二次暫定リストを作成するようであるので、この機会をとらえ今後とも積極的に進めてまいりたいとの答弁がありました。
 次に総合教育センターについて、田辺市の建設予定地一万坪の評価額や基本計画作成にかかわる入札額等が適正であるか、また基本計画には宿泊施設等がないが今後の検討課題かとただしたのに対し、土地評価額は地元の不動産鑑定士の鑑定を得たもので適正であると考えている、また基本計画作成については、指名競争入札により十三社の中から全国的にも多くの実績がある業者が落札し、妥当な基本計画が提出されたと考えている、また宿泊施設については、周辺に多くの施設があり、さまざまな面から検討し、現時点では建設しないこととしているとの答弁がありました。
 このほか、中途退学者への対応について、同和教員の加配の見直しについて、生徒の全国大会等への参加旅費について、外国語指導助手の雇用延長について、紀伊半島民俗芸能フェスティバルの開催について、県立高校の耐震調査等の現状について、手づくりの森事業等への参画の働きかけについて質疑、意見、要望等がありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案第一号、五十六号は賛成多数で、議案第十五号、二十二号、五十七号、六十六号、六十七号、八十号、八十一号及び百八号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 また請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第三号は継続審査すべきものと決しました。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより、委員長の報告に対する質疑に入ります。──質疑なしと認めます。
 次に、討論に入ります。
 まず、鶴田至弘君から反対討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 四十四番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 日本共産党県会議員団を代表いたしまして、反対の立場から討論を行います。
 日本経済の落ち込みは依然として厳しく、政府の長年にわたるゼネコン救済型経済対策は一向に功を奏さないまま現在に至っております。
 しかし、去る国会で成立した平成十二年度の国の予算は、このような現実を総括することなく、漫然と従来型の大型公共投資による景気対策という路線を踏襲し、国民の懐をどう暖めるかという景気対策の基本がほとんど忘れ去られ、逆に国民の負担増さえ進められようという事態になってきております。その上、国と地方の借金は六百四十五兆円という膨大なものになったにもかかわらず、その再建策は全く示されず、国家財政の破綻がだれの目にも明らかになってきています。この原因が不要不急の公共事業や大銀行への支援に起因することも、また明らかであります。
 不況の中、また国民負担増大する中、自治体は県民の生活を守る力を発揮しなければなりませんが、国の政策は地方自治体にも大きく影響し、和歌山県も厳しい財政危機に見舞われております。上程された二〇〇〇年度(平成十二年度)の予算案は、このような中で二十一世紀を展望し、景気対策と財政再建を掲げて編成されたとされていますが、果たしてそうなっているでしょうか。
 今次予算案は、若干の工夫は見られますが、これまた従来どおり、国の経済対策の意向をそのまま取り入れ、公共事業への偏重を否めないものになっております。もちろん、県民の切なる要望にこたえた梅対策やコミュニティーバスなど、幾つかの前進的事業も認められるところでありますが、景気対策にもならぬ不要不急の公共事業というのは、この際、厳重に抑制されなければならないところであります。
 しかし、和歌山下津港、日高港、文里港、新宮港などは、不要の側面、不急の面などを多分に持つ事業であります。雑賀崎の埋め立ての調査費などは住民合意さえ得られておりません。関空、紀淡道路建設促進などは、この時勢と経営難の実態から当然見直すべきであります。また、県の責務と言いがたい関電のための西防沖南防波堤建設や、本来住金の事業である河西緩衝緑地の整備などは、県が負担するのではなく、本来の受益者あるいは責務を持つ企業の任務とすべきであります。
 このような公共事業は、結局県の債務を増加させ、平成十二年度末六千四百四十億円と想定された県債残高と県財政の硬直化を一層深刻なものにしていく可能性があり、財政再建策にももとるとともに、景気対策としても限られた雇用しか創出せず、その波及効果も期待できないものであります。
 財政再建のためにも、景気対策のためにも、このような公共事業を思い切って見直し、県民が切望する生活密着型の事業への転換や福祉行政の重点化こそが庶民の懐を暖め、景気浮揚につながるものだと思います。
 和歌山工科大学については、その成果を期待する一方、その先行き不安の見解が少なからず出されているところです。工科大学の構想が提起されて日も浅く、その議論も広く尽くされていないという点は否めないでしょう。功を急ぎ事業化するのではなく、来年度は十分の審議の年として位置づけるべきではないでしょうか。
 介護保険がことしより導入されます。高い保険料と利用料、不十分な介護体制が現実の問題として残されたままのスタートであります。保険料や利用料の支払い困難な方への援助やホームヘルパーの充実、特別養護老人ホームのさらなる増設などが緊急に求められています。また、自立と認定された方への県独自の支援策も設けられるべきでしょう。
 中小企業対策では、制度融資とベンチャー対策がうたわれておりますが、融資では現実に貸し渋りに悩む企業は後を絶っておりません。借りやすい制度融資枠の拡大とともに、返済延長の措置や無利子、無担保貸し付けの条件緩和などの措置がもっとあってしかるべきではないでしょうか。 
 ベンチャー育成は鳴り物入りですが、そのための融資が十一年度九億円もマイナス補正を余儀なくされた現実もあります。ベンチャーもさることながら、それ以上に現在の経済の担い手である既存の地場中小零細企業への手厚い支援が求められるところだと思います。
 同和対策について言えば、依然として従来の形のままの行政が続けられています。施策によっては逆差別を生み出すものさえ生まれているとき、同和行政の廃止を基本とした大胆な見直しをすべきでしょう。当局によって言われている学力や経済的格差については、同和問題によるものというより広く現代社会が生み出した矛盾として対策すべきだと考えます。
 人権啓発についても、同和関係が他の人権問題より突出して扱われている点が随所に見当たります。このような人権教育、啓発は本来の姿ではありません。
 教育関係にあっては、千二百名を超える不登校問題やいじめ、さまざまな指導困難など、教育現場は多くの問題に直面しております。一日も早い三十人以下学級が求められているとき、部分的であれ、教員定数の削減は認められるものではありません。
 市町村負担金について触れますと、市町村も例外なく厳しい財政状況下にあります。県に対して県工事等の負担金の軽減を毎年求めてきていることは、当局も承知のところです。かかるとき、市町村に対して多大の負担を強いることは重々慎むべきであります。また、警察官の市町村への出向なども、市町村の負担を増すような措置はすべきではないでしょうし、一般行政と警察との正常な関係をも損ねるものです。
 さらに、使用料、手数料改定について言えば、この不況下にあって県民の懐を冷やすような措置はすべきではないでしょう。
 和歌山県卸売市場条例の改定では、大手企業のさらなる相対取引に道を開き、大量販店用の品物が市場を通さず取引され、中小小売業者を圧迫するもので賛成できるものではありません。
 以上のような立場から、議案第一号、五号、十号、十三号、十八号、十九号、二十一号、二十二号、三十号、三十三号、三十八号、五十一号、五十六号、九十八号、百三号、百四号について反対の意思を表明し、討論といたします。
○議長(下川俊樹君) 次に、高瀬勝助君から賛成討論の通告がありますので、これを許可いたします。
 二十二番高瀬勝助君。
  〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 お許しをいただきましたので、自由民主党県議団を代表いたしまして、この二月定例議会に提案されている予算関係議案並びに諸議案に対して、賛成の立場から討論を行うものであります。
 西口知事は、今議会冒頭の提案理由説明において、我が国は二十一世紀の社会経済構造への転換期を迎えており、これまで我が国の発展を支えてきた社会経済システムが行き詰まりを見せていると時代認識を示された上で、小手先の手直しではなく、いわば新しい県政の創造を行うとの決意を表明されました。また、その理念は、新しい時代にふさわしい活力と自信と誇りに満ちた地域社会を創造するため、県民の視点に立った県民の幸福を第一と考える行政システムを再構築することであると、言明されております。二期目に臨む知事の並々ならぬ覚悟がひしひしと伝わってまいりました。
 今日の政治のリーダーには、我が国のこれまでの華々しい成功の負の部分を清算しつつ、明確なビジョンを持って新たな長期的発展軌道へと経済社会を導いていく強いリーダーシップが求められております。まさに身命を賭して挑戦の県政に取り組まれる西口知事に対し、県民の熱い視線が注がれているゆえんであります。
 さて、平成十二年度予算は、西口知事二期目のスタートを切る予算であるとともに、財政健全化期間の初年度予算であります。その中で知事が県民にいかなるメッセージを送られるのか注目されていたところでありますが、知事は平成十二年度予算を二十一世紀へのかけ橋予算と名づけられました。
 そこで、その内容についてでありますが、まず全体を総覧して申し上げますと、厳しい財政事情のもとで、予算規模の縮減を図りつつも、輝く和歌山新時代の創造に向けて、既存の枠組みや従来の発想にとらわれることなく、県政の優先課題を適切に選択し、限られた財源を大胆に配分されております。若干具体的に申し上げますと、少子高齢化、情報化、環境問題への対応、人づくり、経済構造改革など、二十一世紀へのかけ橋となる諸施策を積極的に推進され、とりわけ介護支援対策、環境・省資源対策、中小企業対策、緊急雇用対策、梅生育不良対策など、当面する緊急課題に対して重点的な対応が図られております。このことは、新しい県政の創造に向けた第一歩として高く評価いたします。
 また、当面の景気対策につきましては、厳しい財政事情のもとにあって可能な限り投資的経費の確保に努められ、商工費についても不況対策資金の継続など、大幅な増額を図った前年度と同水準が維持されております。他方、財政健全化については、景気対策にも配慮しつつ、昨年八月に発表した財政運営プログラムに基づき、収支不均衡の縮減と起債の抑制が図られております。財政の弾力性の回復は県政が今後とも二十一世紀の政策課題に的確にこたえていくために避けて通れない課題であります。知事が二十一世紀へのかけ橋予算において諸施策の前進を図ると同時に財政健全化を着実に進められたことは、知事の標榜される歴史の審判にこたえ得る責任ある県政を実践されたものであります。
 このように見てまいりますと、平成十二年度予算は、現在の和歌山県の置かれている状況を踏まえ、極めて厳しい財政状況の中で可能な限りの対応を図った予算であり、県民の期待に十分こたえ得るものと考えております。またその他の議案についても、いずれもその内容は適切なものであります。
 この上は、以上の諸議案に盛られた各般の施策の迅速かつ円滑な執行を図り、所期の成果を上げていくことによって県民の負託にこたえることが最も重要であります。
 我々自由民主党県議団といたしましては、以上申し上げましたような認識に立ち、今議会に提案されている予算関係議案並びに諸議案について、原案どおりの成立を期すとともに、その執行に最大限の努力を惜しまないことをお約束いたしまして、賛成討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) これをもって討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第一号、議案第五号、議案第十号、議案第十三号、議案第十八号、議案第十九号、議案第二十一号、議案第二十二号、議案第三十号、議案第三十三号、議案第三十八号、議案第五十一号、議案第五十六号、議案第九十八号、議案第百三号及び議案第百四号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(下川俊樹君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、議案第二号から議案第四号まで、議案第六号から議案第九号まで、議案第十一号、議案第十二号、議案第十四号から議案第十七号まで、議案第二十号、議案第二十三号から議案第二十九号まで、議案第三十一号、議案第三十二号、議案第三十四号から議案第三十七号まで、議案第三十九号から議案第五十号まで、議案第五十二号から議案第五十五号まで、議案第五十七号から議案第九十七号まで、議案第九十九号から議案第百二号まで、及び議案第百五号から議案第百十九号までを一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(下川俊樹君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも委員長の報告のとおり可決されました。
 次に、知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して採決いたします。
 本件に対する委員長の報告は、いずれも承認であります。
 本件を委員長の報告のとおり承認することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(下川俊樹君) 起立全員であります。よって、本件はいずれもこれを承認することに決定いたしました。
 次に、請願四件を一括して採決いたします。
 本請願を委員長の報告のとおり決することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、本請願はいずれも委員長の報告のとおり決定いたしました。
  【日程第二 常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第二、常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件を議題といたします。
 お諮りいたします。お手元に配付しております「継続審査を要する所管事務調査件名表」及び「継続審査を要する担任事務調査件名表」のとおり、それぞれ閉会中の継続審査として付議することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
  【日程第三 特別委員会閉会中継続審査の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第三、特別委員会閉会中継続審査の件を議題といたします。
 同和対策、関西国際空港対策、水資源対策及び半島振興過疎対策の各特別委員会に付議されたそれぞれの問題について、さらに閉会中の継続審査とすることにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
  【日程第四 議員提出議案第一号】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第四、議員提出議案第一号和歌山県議会委員会条例の一部を改正する条例案を議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決することに決定いたしました。
 議員提出議案第一号を採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(下川俊樹君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
  【日程第五 意見書・決議案】
○議長(下川俊樹君) 次に、日程第五に入ります。
 和議第十二号JRバス事業者に対する補助金等の制限の撤廃を求める意見書案、和議第十三号森林・林業・木材産業基本政策の確立に関する意見書案、和議第十四号アレルギー性疾患対策の早期確立を求める意見書案を一括して議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、いずれも提出者の説明等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 和議第十二号、和議第十三号及び和議第十四号を一括して採決いたします。
 本案を原案のとおり決することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 以上で、今期定例会に付議された諸案件の審議はすべて終了いたしました。
 議員並びに関係各位には長期間にわたり連日ご精励を賜り、深く感謝申し上げます。
 健康に十分ご留意の上、ますますご活躍されますよう祈念いたします。
 これをもって、平成十二年二月定例会を閉会いたします。
  午後三時五十七分閉会

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