平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

平成十二年二月 和歌山県議会定例会会議録 第七号
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議事日程 第七号
 平成十二年三月十四日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑・委員会付託)
  第二 一般質問
  第三 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑・委員会付託)
   二 一般質問
   三 請願付託の件
   四 休会決定の件
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時四分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第百十九号まで、並びに知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十六番冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。
 平成十二年度の和歌山県の予算案を審議する当初議会が二月二十五日に招集され、三月七日より議員各位による論戦が開始されました。延べ十六名の先輩・同僚議員より、それぞれの地域の問題、あるいは和歌山県の未来の展望につながる諸課題への取り組み等々をお聞かせいただきながら、議員各位の日ごろのご精励ぶりに感激をいたし、敬意を抱く次第でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問を始めさせていただきます。
 第二期県政推進に際し、県政のあらゆる分野を例外なくその制度の再点検と見直しをし、二十一世紀に輝くふるさと和歌山県を創造するための諸課題、諸施策に取り組む「挑戦の県政」と位置づけ、厳しい財政状況下での西口第二期県政元年の予算案が今議会に提案されています。まず、知事初め財政課の諸氏に対し、予算案編成におけるご苦労にねぎらいを申し上げるものであります。今なぜねぎらいかと言えば、それは厳しい財政状況下での将来展望につながる諸課題への取り組み、諸施策実施、多岐にわたる県民ニーズへの対応等々に加え、我が国が長年推進してきた経済効率至上システム、そのシステムが短期間で我が国を経済大国に築き上げたのでありますが、その中で効率を求めるがゆえに放置されてきたいわゆる負の部分への処理対策──産廃問題はその典型であると思います──への財政措置を強いられる局面に直面しているからであります。こうした難局の中、向こう四年間、和歌山県政のかじ取りを西口知事、あなたに託すと県民から選択された責務は重大であります。西口知事におかれましては、全知全能を傾注され、県民の期待にこたえ、この難局を打開され、将来展望明るいふるさと和歌山づくりを目指して頑張っていただきますようお願い申し上げるものであります。
 なお、昨年秋の知事選において西口知事を支援した議員はその責務を共有しているということも申し添えます。
 私はここで、国、地方の財源問題について私見を述べ、知事の見解を確認の意味を込めて伺うものであります。
 近年、予算編成に際し、健全財政とか財政の健全性とか、よく論議されます。後世にツケを残すとか、あるいは国民一人当たりにすると幾らの借金だとか言われます。もとより、財政は健全であるべきですし、健全にこしたことはありません。財政運営に当たっては、その基本に忠実たるべきは言うに及びませんし、当然のことでもあります。しかしながら、健全財政至上主義では、厳しい経済情勢、歳入減の中、明るい展望につながる諸施策の遂行はかなわず、政治の責任は果たし得るのでしょうか。ノーと言わざるを得ません。苦しいときこそ、厳しいときこそ、通常にも増して政治の出番であり、政治がその役目を果たせるよう、政治の責任で財政対策を講ずるべきなのであります。
 我が国は、一九七〇年代以降、バブル崩壊に至るまでの長きにわたって、いわば官民挙げての日本独自の方式で欧米へのキャッチアップ体制を組み、その結果、その時代時代の成長産業が日本経済の牽引役となり、一貫していわゆる右肩上がりの成長を遂げ、必然的に歳入を押し上げてまいりました。その間、国は持続的成長を図るべく、財政金融政策を時としてはアクセルに、また時としてはブレーキにと使い分けてきたのは、ご承知のとおりであります。国の政策よろしきと国民の勤勉性を得て、海外市場で日本は稼ぎに稼ぎまくってまいりました。一九八〇年代には経済大国と言われるほど著しい発展を遂げてまいりましたが、一九八五年のプラザ合意前後を境として、いわゆる経済大国日本に対し、アメリカを中心とする世界の自由主義体制国家からの強い見えざる圧力による日本方式の是正を迫られ、前川レポート等に見られるとおり日本経済運営の内需振興等への転向を余儀なくされ、バブル経済に突入していったのは、ご承知のとおりであります。その間の経済規模の膨らみは、国の財政政策を効果的に有効作用せしめる限度オーバーに拡大はしましたが、一部政党の人々がご指摘されるようなことはなく、その底がたい効果は明らかであります。
 個人消費が落ち込み、民需活動低迷の折、景気刺激財政政策等なくしては国の経済活動は麻痺しかねないと確信いたします。今日、政治に課せられた大きな命題の一つは未来の明るい展望につながる景気回復であり、経済の活性化であります。また、世界の自由主義体制国家の有力な一員として、世界も日本の景気回復を望んでいるわけであります。現下の情勢下、まことに厳しい課題ではあります。
 昨日の経済企画庁の発表によりますと、昨年十二月期のGDPが六─九月期に続いてマイナス一・四%、年率換算するとマイナス五・六%になるわけでございますが、今政治はこうした状況に対して手をこまねいているわけにはいきません。いかなる政策、制度を駆使しても、民の活動が起き上がり、個人消費が伸び、ある程度の景気回復のめどがつくまでは官がその役目を果たすのは当然であります。たび重なる景気対策により累積赤字が膨らみ、国、地方合わせて六百数十兆円とも言われておりますが、その原資は国民の、あるいは国内法人の今日までの蓄積財であり、時としては日銀が情勢判断に基づき通貨供給量をふやす目的で一時買い入れることも考えられますが、基調的には日銀が公債を引き受けるわけではありませんし、ましてや海外資金に依存しておるわけではないのです。加えて、その蓄積財も景気低迷の中、行き場を失った資金でもあるわけですし、これらの資金が動き出せば歳入の増大につながるわけですが、明るい展望につながる諸施策実施に不足する資金を有利子債でこうした国内蓄積財に求めるのが今日の厳しい財政状況下では政治がとるべき対策だと思います。今この財政策の延長線上で本県の予算も編成されておるわけでございますが、現下の財政対策について知事の見解を確認の意味を込めて伺うものであります。
 次に県商工信用の問題について、何点か質問をいたします。
 去る三月八日、県信経営陣が大口融資先である不動産会社グループに対し、回収不能を承知で追加融資を続けていたという容疑で逮捕されました。バブル経済の崩壊と金融機関が相次いで淘汰されるという厳しい時代背景の中で、平成七年には東京のコスモ信用組合、大阪の木津信用組合と我が国を代表する信用組合が破綻し、本県においても平成八年十一月、阪和銀行の業務停止に始まり、平成十年三月には県商工信用組合、さらに翌年の十一年三月には紀北信用組合と、地元金融機関の経営破綻が相次いだところでありますが、今また県信において再建計画に取り組んでいた経営陣が背任容疑で逮捕されるという極めて深刻な事態に陥ったわけであります。
 県信は、昭和二十九年七月、西牟婁商工信用協同組合として田辺市において設立され、昭和三十一年に名称を和歌山県商工信用組合と改め、昭和三十三年には県下全域に営業区域を拡大し、ほぼ全市町村に支店を設置するなど、本県の中小企業専門金融機関として地域経済に大きな役割を果たしてまいりました。創業者である松本清男氏は昭和五十一年から平成四年までの十六年間にわたり全国信用協同組合連合会の理事長を務めるなど、全国的にも屈指の信用組合となりましたが、その後、拡大営業戦略が裏目に出て経営不振に陥ったため松本氏が引責辞任し、平成五年五月に市川龍雄氏が新理事長に就任され、平成六年四月から再建計画をスタートさせました。市川理事長は、店舗統廃合や人員削減などの再建計画を推進するために尽力されましたが、厳しい経済環境の中で、そのかいもなく再建を果たすことができなかったものの、その後の破綻処理に際しても、紀陽銀行へのスムーズな事業譲渡のために尽力されたと聞いておりましただけに、また市川氏は県の幹部として、その人柄、責任感の強さ、能力等をかいま知る者として、今回の事態は私としてもまことに残念のきわみであります。
 そこで、当局にお伺いをいたします。
 まず、県は今回の事態をどのように受けとめているのか。
 次に、県信は平成六年度から店舗統廃合、人員削減、債権回収等を柱とする再建計画をスタートさせ、県も中小企業専門の金融機関である県信の立て直しを図ることが県経済にとって不可欠であるという判断からさまざまな支援を行ってきたものと考えますが、この間、県はどのような指導監督をしてきたのか、また県の指導監督責任についてどのように考えているのか。
 最後に、再建支援のために県は五十億円の低利融資を実行しましたが、この五十億円は最終的にどのように処理されたのか。
 以上、商工労働部長の答弁を求めるものであります。
 次に、河川管理についてお尋ねをいたします。
 河川管理がその時々の時代要請に基づき進められてきたことは、申し上げるまでもありません。河川を呼称するまくら言葉に、「母なる」とか「恵みの」とかがよく使われます。河川とその流域住民生活との密着ぶりや河川が及ぼす多面的な恵みをあらわす言葉でもあり、河川流域は人々の生活住居の場であり、河川が人々の生活の源であり、また文明を生む源でもあることは歴史の示すところでもあります。その母なる恵みの河川も時としては大洪水を引き起こし、財産、生命をものみ込むことになりますし、その防災、治水対策が長い間河川管理の根幹であり続け、水を治めるは国を治めるなりとまで言われたのであります。その後、我が国の経済変化が河川に利水目的としての存在意義をも加えさせ、治水目的、利水目的の二本柱による河川管理が進められてまいりました。我が国の経済成長に豊かな河川水が大きく寄与してきたのはひとしく認めるところであり、経済伸展に伴う住民生活の向上にもしかりであります。近年の急激なる社会経済情勢が住民の価値観や心の変化をもたらし、河川に新たな大きな役割、すなわち潤いや水辺空間を求めるに至り、平成九年の河川法改正には従前の治水、利水に加え、幅広い意味での環境が組み込まれました。
 本県には、流域住民と共存するような形の河川がたくさんあります。私は、この機会に河川別のあるべき姿、また存在意義を流域自治体等を中心に協議の上明確化し、整備計画を定め、河川管理をさらに実効性のあるものとし、流域一帯の河川愛護を深める運動展開につなげさせてはどうかということを提案し、土木部長の見解を伺うものであります。
 なお、新しい河川法のもとで建設に向け調査が進められている印南町切目川ダム建設を進める中で、新法の趣旨をどう生かし取り組むかもお尋ねをいたします。
 ダムの防災、利水効果はひとしく認めるところでありますが、全国各地でダム建設計画が停滞し、あるいは見直しを余儀なくされておるわけであります。那辺に原因があるかということは、お互い想像が容易であります。ぜひ、この切目川ダム建設に向けましては、全国的な範となるべくお取り組みをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 冨安議員にお答えをいたします。
 ご質問は、本県の財政運営というより、むしろ国の経済政策に関する幅広い知見をお示しになられたものと受けとめてございます。十分に参考にさせていただきたいと思います。
 さて、議員もご指摘のように、私自身も現下の極めて厳しい経済情勢のもとでは、現存する資源を有効に活用することが経済政策本来の目的であることを踏まえまして、そのために政府が積極的な役割を果たすべきであると思いますし、民間部門における貯蓄を有効に活用して良質な基盤整備を推進することは、公債費負担によって将来の財政構造を過度に硬直化させない限り、将来世代にとっても有効なことではないかと考えてございます。他方、将来においては、経済成長が鈍化する一方で、高齢化の進展等に伴い、行政需要がますます増大すると考えられます。したがって、平時の財政運営を担うに当たっては、現世代の負うべき負担を将来へと転嫁することには問題がございますし、財政赤字の拡大が長期的な経済成長の妨げとなることは避けなければなりません。
 このため、我が国経済が本格的な回復軌道に乗った後には、少なくとも政府債務残高のGDP比が上昇しないように、国、地方を通じた財政健全化に努める必要があると考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 旧県信問題についてお答えします。
 去る三月八日、県商工信用組合の経営陣が背任容疑で逮捕されたことはまことに残念であります。県といたしましては、信用不安の防止、預金者や中小零細企業者の保護を図るため、県信の再建に対し支援を行う一方、大口限度を超える貸し出し等につきましては従来から検査等を通じ、改善を指示してきたところでありますが、種々の事情により経営改善が計画どおり進まず、その結果、経営が破綻して今回のような事態に至ったことは、大変残念に思っております。
 平成六年度を初年度とする県信の再建計画は、店舗統廃合、人員削減、債権回収を三本柱とするもので、県といたしましても、県信の破綻によって県内中小企業者の経営に大きな打撃を与えることのないよう、全国信用協同組合連合会、紀陽銀行と協調して総額三百五十億円の低利融資を行うなど、積極的に支援してまいりました。しかしながら、店舗統廃合や人員削減についてはほぼ計画どおり進んだものの、長引く景気低迷等により債権回収が計画どおり進まず、平成九年度決算の状況から自主再建を断念せざるを得なくなったところであります。この間、県は定期的に検査を実施するとともに、再建計画の進捗状況についてヒアリングを行うなど指導してきたところであります。
 その後、平成八年六月、いわゆる金融三法の成立による早期是正措置の導入等、諸般の事情により自主再建はならず、紀陽銀行へ事業譲渡されることとなり、県信という中小企業専門金融機関の一つが消滅するという結果になりましたが、この事業譲渡は地域経済への影響を最小限にとどめるためには、当時とり得る最善の方法であったと認識しております。
 ご質問の低利融資につきましては、平成六年度から県信の再建支援のため、県が五十億円、紀陽銀行五十億円、全国信用協同組合連合会二百五十億円の計三百五十億円の低利融資を行ってまいりましたが、県信はこれを全額同連合会に再預託し、その運用益を再建のための財源の一部に充当するというものでありました。最終的には、県の五十億円も含め、平成十年三月に全額回収しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 河川管理行政についてのご質問のうち、まず河川管理のあり方と流域一帯の河川愛護を深める運動展開についてお答えいたします。
 平成九年の河川法改正を受け、今後、県内の各水系ごとに河川の整備や管理に関する事項を具体に定める河川整備計画を策定してまいりますが、十分に関係市町村長及び地域住民の意見を伺い、これを適切に計画に反映させることでさらに実効性のある河川管理を実現してまいります。
 また、親しみの持てるふるさとの川づくりには、水質の保全、美化の推進等の観点からも地域住民の協力が極めて重要であると考えております。本県には現在三百二十余りの河川愛護会があり、八万二千名余りの方が加入しておられます。さらに多くの皆様の協力を得るためにも愛護会活動の活性化が重要と考えておりまして、平成十二年度は県内一斉河川清掃日の設定、愛護会相互の情報交換等の措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、改正河川法を踏まえた切目川ダム建設の取り組みについてでございますが、改正河川法に基づき、切目川ダム計画を盛り込んだ切目川水系河川整備計画の素案を昨年十一月八日に印南町において町民の皆様にご説明し、多数のご意見をいただきましたので、これを適切に反映させる措置を講じたところでございます。
 ダムの建設に当たっては、環境に配慮した工法を採用するなど、周辺の自然環境の保全に努めてまいります。また、町当局と協力し、予定地の方々のご要望等は十分伺い、誠意を持って対応してまいります。今後とも、関係者の方々のご協力をいただき、早期完成に向け努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十六番冨安民浩君。
○冨安民浩君 私は、今、知事に一つお願いを申し上げたいのであります。
 まさに大転換期の中で、県内の経済、社会情勢を取り巻く状況は多事多難であります。しかし、昨年秋の選挙において、多事多難なるがゆえに県民は、今の県政のかじ取り役として西口知事、あなたしかいないということで向こう四年間のかじ取りを任せたわけであります。どうか、知事が日ごろ言われる歴史の審判にこたえ得る県政を、本当に自信を持って堂々と展開していただきたい。
 そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入りたいと思います。
 まず初めに、産業廃棄物をめぐる問題について伺います。
 現在、御坊市名田の楠井地区に計画されている産業廃棄物の管理型最終処分場は、楠井川上流の約八万九千平方メートルに、埋立容量四百五十万立方メートル、平均投棄高さ五十メートルに及ぶ日本最大規模の計画であります。この計画に関して、地元の方々がこの二月二日に県知事あて計画中止を求める署名を提出、御坊市名田では地元世帯の約八割、隣接の印南町津井では何とすべての世帯から反対署名が集まったということであります。
 私が伺いたいのは、計画地内の土地利用権の問題であります。計画地内にある御坊市名田町楠井字口見行千六百五番地の山林約二万三千平方メートルの土地は、名田生産森林組合が所有しております。この生産森林組合というのは森林組合法という法律で規定され、林地の貸し付けなどの行為については原則として行うべきでなく、また厳しい制限があるとされています。ところが名田生産森林組合では、同土地を産廃の処理業者に利用させるか否かについて組合員に意見を聞いたことはなく、組合員総会の招集も全くされていません。したがって、現在の土地所有者である名田生産森林組合では同土地を事業者に利用させることにはなっていないわけです。ただ、理事の一名が業者との間で仮契約書を交わしているとも聞いておりますが、この理事は組合員総会での選出手続がとられていないようです。そのため、この仮契約書は無効であり、事業者は計画地内の大半を占める土地の利用権がなく、計画を遂行することは全く不可能だと私は考えます。
 そこで、伺います。
 名田生産森林組合の約二万三千平方メートルもの森林を貸し付ける行為が総会の議決も経ずに行われることは認められないと考えますが、農林水産部長のご見解をお示しください。
 また、このように土地利用権が不明確な状態で仮に産業廃棄物処分場の許可申請や林地開発の許可申請が出てきた場合、その申請の扱いはどうなりますか。これは、関係部長の答弁をお願いします。
 また、この処分場計画には御坊市漁協や印南漁協が反対の意思を表明しています。これについては、我が党の村岡議員の昨年十二月議会での質問に対し農林水産部長は、「漁業権者の権利内容に影響を及ぼすと判断されるときは、事業者から漁業権者に事業内容を説明し、十分な理解を得るよう指導する」と答弁されています。この中で「影響を及ぼすと判断される」という言葉には主語がありませんが、だれが影響があるかないか判断するのですか。農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 次に、中辺路町の水上地区で起こった産業廃棄物の不法投棄の問題です。
 これは、多屋林業という木くずや建築廃材に係る産廃の中間処理業の許可を受けた業者が、その焼却灰を自社の所有する山林に不法投棄していた問題です。私も現地に行きましたが、業者に言わせれば、もう投棄した焼却灰は撤去したのことです。しかし、いまだに、とても木材などの焼却灰とは言えない真っ黒な塊のようなものが落ちていました。その現場は、中辺路町沢地区の飲料水の取水口のすぐ上流であり、飲み水の汚染を地元の皆さんが大変心配しているわけです。現在のところ業者は、不法投棄したものを撤去すること、水の調査、新しい水源の確保などを約束しているようです。しかし、だからといって多屋林業という会社の行った不法投棄という行為が免罪されるものではありません。地元の人が現場を発見したからこそ問題になったのであり、わからなかったらそのまま投棄し続けたかもしれません。現につい先日の三月六日にも、この業者が所有している白浜町と日置川町の境にある山林で全く同じような焼却灰が捨てられているのを、私も田辺保健所も確認しました。このような事例で何のおとがめもなしということなら、幾ら不法投棄をしても見つけられた時点で後片づけすればいいということを県行政として認めることになり、橋本市でのあの苦い教訓を生かすことにはなりません。県行政として毅然とした態度、処分も含めてで検討されたいと思いますが、生活文化部長の答弁をお願いします。
 産廃問題の最後に、廃棄物処理行政に係る県条例をつくることを提案いたします。
 一昨年、廃棄物処理法が改正され、産業廃棄物処分場の設置については地元市町村の意見や利害関係者の意見を聞くことが義務づけられました。しかし、これはあくまで意見を聞きなさいというもので、市町村長や利害関係者が幾ら反対だと言っても、そのことによって絶対に不許可だということにはならないわけです。
 これは先日の金田議員の質問でもありましたが、普通、常識的に考えて地元の新宮市長が不適切だという意見を県に上げてきたら許可しないのが当たり前だと思いますし、大井部長もはっきりそう答弁したいところだと思うのです。しかし答弁では、「新宮市長のご意見を尊重して総合的に判断」、このようにしか言えないわけです。法律では、意見を聞きなさいとしかなっていないからです。ですから、そこは県として一歩踏み込んだ判断ができるよう、県独自の廃棄物に関する条例が必要だと考えます。これまでは、産業廃棄物処理場の建設許可事務のような国からの機関委任事務に関しては、県として独自の条例を制定することができませんでした。しかし、昨年の地方分権一括法において、産廃処理場の許可に関する事務は都道府県の法定受託事務となったわけです。法定受託事務については、法令に違反しない限り県で独自の条例を制定できるというのが政府の見解であります。条例制定権が拡大したわけです。橋本市の産廃などで苦汁をなめた和歌山県こそ、全国に先駆けて産業廃棄物処理場などの設置に当たって、市町村や住民の意見が反映できるようにする手続を定めた条例をつくってはどうでしょうか。生活文化部長の答弁をお願いいたします。
 次に、学校給食に関してお尋ねします。
 給食用の米に対する農林水産省の値引き措置がこの二〇〇〇年度から完全に打ち切られてしまいます。一九七六年、文部省は、それまで学校給食法で定めていた「給食は小麦粉食形態が基本」との条項を改正し、以降、米飯給食は拡大し、実施回数も週平均三回になってきました。これまでは県の学校給食会という組織を通さなければ補助が出ませんでしたが、この四月からはその組織を通そうが通すまいが補助はなくなるわけです。補助の打ち切り自体は大変遺憾なことでありますが、これをきっかけに補助がなくなるなら、いっそそれぞれの地域でとれるおいしいお米を食べてもらおうという動きが出てきております。昨年九月の「日本農業新聞」によると、「守るぞ米飯給食」という記事のタイトルですが、二十四の府県で自主流通米への切りかえの動きがあることが報道されています。和歌山県は、この四月から県農協経済連を通じて、県内産のキヌヒカリ、ニホンバレを給食用に供給するという方向を決めております。実は、そのうち十四の府県で自主流通米使用への独自の助成をしようとしています。
 例えば岐阜県では、県と市町村、農協の三者が約一億三千万円の事業費を分担し合い、米の価格の約二割を助成することにしています。また高知県では、九七年度から三年間、モデル事業を行ってきました。その目的は、「中山間地でとれたお米を使用することにより、子供たちに地域の水田が県土の保全や自然環境の保護に果たしている役割について学習してもらい、郷土と農業への関心や生産者に感謝する気持ちをはぐくむとともに、学校の近隣に体験学習田を設置し、生涯体験学習の場として活用する」として、なかなかユニークな取り組みをされています。高知県では、その成果を生かして来年度では地元産の米を給食に使う市町村に対して二分の一の補助を行うため約六百万円の予算を組んでいます。また同じく高知県南国市では、地元のお米をただ供給するだけではなくて、学校のクラスごとに家庭用の炊飯器を二つか三つ置いておいて、子供たちが炊きたてを食べられるような工夫もされています。
 実は、こうした地元産の農産物を給食に使うということは、ここに文部省発行の「学校給食指導の手引」という文書があるわけですけれども、教育的な面から文部省も奨励しているわけです。県としても、こうした地元産のお米を給食に使う動きに助成を検討してはいかがでしょうか。農林水産部長の答弁をお願いします。
 また、給食のない学校にも不公平にならないように質問いたしますけれども、弁当持参の学校の場合、梅雨どきから夏場にかけて教室の中に弁当を置いておくと非常に傷みやすいという問題があります。食中毒の心配から、弁当を置いておける空調のきいた涼しい保管場所を求める声が出ております。県としてこうした声にこたえることはできないものでしょうか。これは、教育長の答弁をお願いいたします。
 次に、田辺から新宮間の普通電車のワンマン化についてお尋ねします。
 トイレなし電車のことについては、昨年十二月議会でも玉置議員も取り上げましたが、そのときワンマン化、つまり電車に車掌が乗り込まず、運転手だけで運行することについての危惧も述べられていました。その危惧がすぐ現実になりました。この三月十一日のダイヤ改正で、普通電車の大部分がワンマン化されました。皮肉なことに、一連の改悪は昨年の自自公連立による二階運輸大臣誕生と時を同じくして、しかも大臣の選挙区である和歌山三区内で進んでいます。田辺─新宮間の普通電車は、まさにないない尽くしになります。トイレなし、車掌なし、座席なし。座席なしというのは、今導入されている一〇五系という車両が従来の一六五系に比べて座席数で約六割くらいだからであります。
 ワンマン運転というのは既に和歌山線で実施されておりますが、無人駅の場合は二両編成の後ろの車両のドアが開きません。おりるときは運転手の真後ろのドアが開き、バスと同じような料金箱みたいなものが置かれていて、切符の確認、運賃の支払いは運転手がチェックすることになります。同区間は百キロメートル以上あります。JRの中でもこんなロングランのワンマン電車はほかにないはずです。また、二十九駅中二十一駅が無人駅ですから、運転手もさぞかし大変だと思います。
 実は、おとといの日曜日にこのワンマン電車に乗ってきました。田辺から新宮行きに乗ったわけですけれども、私の乗った電車は三時間四十八分と一番時間のかかるやつで、何と白浜で約二十分の待ち合わせで、風が強かったので大変寒い思いをしました。従来の一六五系なら旅行用の客車ですから、こういう風が吹き込むことはなかったわけです。前に座っていた高校生は、別に聞いたわけじゃないのに、「もう最悪。普通の電車にしてほしいわ」と言っていました。また帰りには、日置の駅で六十歳くらいの女性が「トイレないんですか」と、たまたま車掌さんが乗っていたので聞いていました。車掌は、「前の周参見の駅やったらあったのに」と、そっけない返事をしていましたが、そんなこと、よそから来たお客さんがわかるわけがありません。こんな電車を走らせていては、幾ら県が観光をPRしてもイメージダウンが甚だしいと思います。
 ですから、県はこれまでも企画部長名でトイレ設置の要望を出していますが、十二月の玉置議員の質問を受けて、ことし二月に知事名で再度要望しています。しかし、知事の切実な要望に対してJRは、トイレなし電車はそのままにして、逆に電車のワンマン化でサービスを低下させてきたのです。これは、余りにも傲慢なやり方ではないでしょうか。
 ──パネルをお願いします。議場には資料をお配りしていますので、それをごらんください。
 県は、今までもJRに十分過ぎる負担をしています。例えばオーシャンアローの導入のとき、県はJRに多額の負担をしているんです。総事業費が六十五億円ですが、車両代四十億円というのは、これはもちろんJRの負担です。線路の改修とか地上設備費二十五億円を公共と民間と半々で負担しましょうということで、その公共負担の十二億八千万円のうち四分の三を県の財政で負担しているわけです。あと市町村です。ところがよく調べてみると、民間負担の十二億八千万円のうち肝心のJRが負担したのは五億円ちょっとで、残りの七億六千万円を和歌山県輸送力強化促進委員会というのが負担しているんです。これ、よくわからないのでいろいろ見ましたら、実はこの中に県も入っていまして、何とその七億六千何がしのうち五億円をリゾート博記念財団から負担しているのです。つまり、実質的に県が負担しているのと同じだと思いました。私は、この支出の仕方が全部だめだと言っているのではありません。しかし、それだけの援助をしてきた見返りが今の状態なのかと問いたいわけであります。
 一体、トイレの設置に幾らの費用があればいいのか調べてみました。改造費用は一編成当たり約一千万円と言われています。全部で六編成必要ですから約六千万円。ランニングコスト、つまり処理費用が年間で約一千二百万円です。これは、出せない金額じゃないと思います。JRはよく、経営が苦しいからと言いますが、実際は莫大な利益を上げています。お配りしている資料をごらんください。どこをとって赤字だと言っているかというと、和歌山支社の中でもうけが出ない、こう言っているわけです。これは言いわけにならないと思います。こうした理由から、県は再度厳しくJRに、トイレなし、ワンマン電車の解消と観光旅行での利用にふさわしい客車の導入を働きかけるべきだと思いますが、企画部長の答弁をお願いします。
 それとともに、この場をおかりして、運輸大臣にこの問題を早期に解決していただけるよう望むものであります。
 次に、御坊第二火電計画と原発問題についてお尋ねします。
 新聞報道によると、関西電力は、新設を予定している七カ所の発電所すべての運転開始を先送りする方針を固めたようであります。また、それ以外にも既設の発電所のうち稼働率が落ちている小規模の火力発電所の運転を数カ所停止する方針だとされています。知事が苦渋の決断をしてまでゴーサインを出した御坊第二火電の計画が、何の前ぶれもなく先送りされようとしています。この関電の運転延期方針について、知事の所見をお聞かせください。
 次に、企画部長にお尋ねします。
 現在の御坊火電の稼働率は、平成十年度で約一〇%と大変低くなっています。私は、梅枯れに対する農家の声からも一たん停止してはどうかと思います。今回の関電の計画で御坊火電は停止の対象になっているのでしょうか。答弁をお願いします。
 また原発の問題でも、この間、重要な動きがありました。特に三重県芦浜原発への北川知事の対応は評価されてもいいのではないでしょうか。このことについての知事の所見をお伺いします。
 次に、県信の幹部らが逮捕された事件に関連して質問します。
 逮捕された市川元理事長は実質的に県行政から送り込まれた人物であり、県信は行政の指導監督下にあったことからして、県としてもその責任が問われる問題です。
 そこで、お尋ねします。
 最初に、県信への県の援助と破綻、今回の逮捕に至る経過について報告をお願いします。
 二点目は、報道によると、逮捕容疑は九五年四月から七月の融資について、元理事長らが返済不能を知りながら約五億一千万円の融資を実行したとのことでありますが、県はこの年の十一月に検査を行ったとのことです。しかし、十二月には融資先が会社整理を申請したのですから、既に破綻することは確実だったと思います。県がそのときの検査で不正融資を見逃してしまったことについての見解をお示しください。
 三点目は、県庁も家宅捜索されたわけですが、県の指導監督責任は十分に果たされていたと考えますか。
 四点目、九八年六月県議会で県当局は、県信破綻の責任は旧経営陣にあるとの答弁をしていますが、今もこの認識に変わりはありませんか。
 以上、四点について商工労働部長に伺います。
 最後に、和歌山工科大学の問題について要望しておきます。
 私は、二月末に高知工科大学の事例を調べてきました。それは、設立方式が公設民営、つまり自治体が建てて運営は民間という和歌山と同じ方式で、交通不便な地域にあること、また工学部のみの大学ということで似通った点が多いと考えたからであります。端的に調査結果を述べます。
 まず、計画段階での県民の理解、浸透度の比較であります。高知県では、九二年十二月に工科系大学構想検討委員会が公設民営が望ましいとの方向を出しました。それを受けて橋本知事が、すぐに公設民営方式でいくことを表明しました。設立の費用二百五十億円を県単独で負担するわけですから、財政の苦しい高知県では大問題になりました。そして、翌年四月に計画の具体化を図る工科大学計画策定委員会が設置され、その委員会で半年間議論する中で、公開シンポジウム、説明会、県議会での二回の委員会集中審議、地元新聞への全面広告、地元新聞での特集連載が三十四回に上るなど、県下全市町村でアンケートをとると約七割の県民が知る計画となりました。
 それに比べて今度の和歌山工科大学の計画では、議論はしてきたものの、ある私学法人が撤退したり紆余曲折があり、知事が実質的なゴーサインを出したのがこの二月であります。ですから、地元の白浜町でアンケートをとれば七割ぐらいが知っていると回答するかもしれませんが、県民の税金を百五十億円近くも投入する事業としては、ほかの地域では余り知られていません。
 次に、経営状況です。高知では、学生が予定どおり入学しても、初めから赤字覚悟でやっています。私学助成の出る四年目以降でも毎年七億円くらいの経常赤字が出る計画で、本来なら県と地元企業などの出資で約六十億円の基金をつくって、その運用益で経常赤字を埋める計画だったものが、基金も二十億円集めるのがやっとでした。そして、三十八人いる事務職員さんもほとんど県職員の出向で、給料は県から出ているんです。頼りの入学金と授業料つまり学生募集の状況は、昨年は辛うじて入学定員の四百名を確保していますが、受験者数で見ると、定員四百人に対し、一年目が二千百二十九人、二年目が千四百六十人、三年目が千六十七人と、三年で半分になっています。これからは厳しいですよと向こうの方が言っていましたが、学生を取り合いするライバルとなる和歌山工科大学を牽制しての部分もあるでしょうけれども、かなり正直なところだと思います。
 最後に、知事の姿勢であります。高知工科大学は橋本知事が理事長になっているので、そのまま和歌山工科大学計画と比べられませんが、計画段階での知事の推進方法に加えて、例えばこの高知工科大学の就職パンフレットがありますけれども、橋本知事がみずから登場して「わたしが就職部長です」と写真入りで訴えているんです。全面的に就職のバックアップをするという姿勢ですが、ここまで言われたら、学生も後は何とかやってくれるだろうと思うに違いないと思います。
 結論を言いますと、県民の理解の度合い、経営への心配という点で、是が非でも今やらなければならない緊急性はないと思います。開校をおくられせると、それだけよその大学もできて不利だとも聞きますが、二年や三年おくれたことが原因で人が集まらなくなるような魅力しか持たない大学では先は知れているのではないでしょうか。よって、この計画は一たん凍結されるよう要望するものであります。これは、要望です。
 以上で、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高田議員にお答えをいたします。
 まず、関西電力の新設発電所運転の延期についてでございますけれども、関西電力に確認をいたしましたところ、電力需要の伸び悩み等から、現在御坊第二発電所も含め運転開始のスケジュール等については検討を進めているとのことでございます。
 御坊第二発電所につきましては、建設工事のスケジュールが大幅に繰り延べられることになりますと地域の経済、雇用、活性化などに及ぼす影響が大きいと考えてございまして、関西電力の計画案がまとまり次第、報告を求め、その内容について慎重に検討し、対処してまいりたいと考えております。
 それから、中部電力の芦浜原発計画に対しての計画を白紙に戻すべきだという今回の三重県の北川知事の対応につきましては、地元の紀勢町と南島町における長年にわたる誘致と反対の厳しい対立状況を苦慮した上での判断であると理解をしてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 御坊市名田の最終処分場計画についてのご質問にお答えいたします。
 ご質問の名田生産森林組合の土地利用の関係についてでございますが、森林組合法では生産森林組合が林地の貸し付け、処分等をしようとする場合は理事会及び総会の議決が必要となっております。また、役員の選挙、選任も総会の議決事項となっており、その議決事項が登記された時点で効力を発揮します。したがいまして、ただいま申し上げた適正な手続が求められるものと考えてございます。
 なお、森林法に基づく許可申請がなされた場合、許可に当たりましては、事業者は開発に係る森林に関して登記上の権利を有する者の同意等を得ている必要がありますので、法に基づき厳正に審査してまいります。
 次に、漁業権者の権利内容に影響を及ぼすかどうかを判断するのはだれであるかというお尋ねでございますが、事業者が判断をするものでございます。県としては、事業者が直接漁業権者に事業内容を説明の上、理解を得るよう指導しております。
 なお、今回の件につきましては、事業者に対し、周辺の漁業権内容や漁業実態を説明したところであります。
 次に、学校給食用の米に対する助成についてのご質問にお答えをいたします。
 米飯給食につきましては、米の消費拡大を図るための施策の一環として推進しておりまして、特に県内産自主流通米の使用という動きが出ていることは、児童の健康管理面だけでなく、農業や稲作文化への理解を深めることなどの副次的な効果も見込めるのではないかと期待しているところでございます。
 ご質問の助成措置につきましては、県教育委員会や関係農業団体とも協議しながら、今後の課題として研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 高田議員の産業廃棄物問題に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、一点目の御坊市名田の最終処分場計画についてお答えいたします。
 当該最終処分場計画につきましては、事前調査書に基づき県が最終処分場の立地について廃棄物処理法以外の他の法律の規制等があるかどうかを調査し、その結果を事業者に周知するとともに、法規制をクリアしなければならない事項については、事業者が関係課室と協議し、適切に対応した上で設置許可申請書を提出することとなります。
 議員ご質問の土地利用権につきましては、この事前調査の手続を進めていく中で判明したものでございます。この問題につきましては、基本的には事業者と土地所有者との契約の問題でございますので、事業者に対し地権者と協議するよう指導するとともに、今後の許可申請の取り扱いにつきましては、農林水産部とも協議し、対応してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、二点目の中辺路町水上の不法投棄についてお答えいたします。
 産業廃棄物処分業者が中辺路町の自社所有の山林に焼却灰を不法投棄したことについてでございますが、地元の住民から通報を受け、田辺保健所において直ちに調査したところ、焼却処理業の許可業者が焼却灰を自社所有の山林に違法投棄したことを確認し、その事業者に対し、撤去等強く指導してきたところでございます。その結果、当該事業者はみずからの行為を深く反省し、焼却灰の撤去を含む原状回復の実施、並びに水源の確保等を確約するとともに、直ちに焼却灰の撤去に取り組んできたところでありますが、本日、地域の住民に心配を与えた責任の重さを思い、自主的に産業廃棄物処理業廃止届出書を提出され、焼却処理業を廃業した旨、田辺保健所から報告を受けたところでございます。
 しかしながら、仮にも許可を受けた産業廃棄物処理業者が自社所有地とはいえ、処分基準に違反し焼却灰を処分したことは、まことに遺憾なことであります。県といたしましては、今後も引き続き事業者に対し、撤去や水質調査の実施、新しい水源の確保等を確実かつ適法に実行するよう厳正に指導し、地域の環境保全に努めてまいる所存でございます。
 最後に、産廃の県条例制定についてお答えいたします。
 これまで県では、行政指導により市町村長の意見を聞き、これを尊重する立場を堅持してまいりました。平成九年六月に公布された改正廃棄物処理法では、すべての産業廃棄物処理施設の設置許可申請に生活環境影響調査が義務づけられたところであり、さらに最終処分場と焼却施設の許可申請につきましては、このほかに市町村長の意見聴取、許可申請書の告示・縦覧及び利害関係人からの意見の受け付け、並びに専門家の意見聴取等の手続が規定され、従前の廃棄物処理法に比べ、環境への影響調査や市町村長並びに住民の意見聴取等が義務づけられるなど、規制が強化されたところでございます。したがいまして、法改正によりまして産業廃棄物処理場設置許可申請に対する市町村長や住民の意見が反映されることになりますので、条例の制定は必要ないものと考えてございます。しかしながら、今後、この法改正の効果を見ながら対応を考えてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 高田議員のJRのトイレなし電車のワンマン化についてお答えいたします。
 県といたしましては、公共交通機関は高齢者等への配慮が必要であると認識してございます。特に長距離運転となる紀勢本線のトイレなし列車の問題につきましては利用者にとって切実なことと考え、お話にもございましたように、JR西日本和歌山支社さらにはJR西日本本社に対して要望を行うなど、積極的な働きかけを行ってきたところでございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、この三月のダイヤ改正で新たにワンマン車両が導入されました。
 JR西日本によりますと、紀勢本線の紀伊田辺─新宮間の利用者は年々減少傾向にあり、運行本数の確保を優先し、輸送費の軽減可能なワンマン列車を導入したとのことでございます。また、今回マンワン運転を実施するに当たっては、議員ご心配の緊急時の対策として、運転士の訓練を徹底するとともに、沿線沿いに設置している沿線電話の新増設、運転士全員に携帯電話を携行させるなどの対応を行っていると聞いてございます。さらに、ワンマンカー運行の日から当分の間は乗務員が乗車しておりますが、県といたしましても引き続き、利用者の方に不安感を与えることのないよう十分な方策を講ずることをJR西日本に対し申し入れを行うとともに、車両を初めとする利便性の向上についてさらに強く要望してまいりたいと考えてございます。
 次に発電所問題で、御坊火電の停止についてでございます。
 関西電力に確認いたしましたところ、十五万キロワット級以下の火力発電の一部について計画的な停止運用を考えているとのことでありますが、既設御坊発電所はこの対象には入っていないとのことであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県信問題についてお答えします。
 県商工信用組合は、既に極めて厳しい経営状況にあったところですが、平成五年五月、市川氏が新理事長に就任し、平成六年度に店舗統廃合、人員削減、債権回収を柱とする再建計画をスタートさせましたが、県といたしましても全国信用協同組合連合会等と協調して総額三百五十億円の低利融資等の支援を行ってきたところであります。しかしながら、長引く景気低迷等により旧経営陣から引き継いだ不良債権の回収が計画どおり進まず、平成八年六月、いわゆる金融三法の成立により平成十年四月から早期是正措置が導入されることとなったこと等、諸般の事情により自主再建を断念せざるを得なくなったところであります。大口融資先への追加融資等については、検査等を通じ、県信に対しその改善を指導していたところであります。
 なお、今回の逮捕に至った経緯や経営責任につきましては、現在捜査中のことでもあり、言及することは差し控えさせていただきます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校給食に関連してお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、市町村に対して学校給食を実施するよう指導しているところであり、未実施校における弁当の保管場所について、議員お話しのような形で対応することは考えておりません。
 なお、梅雨時の衛生管理については、学校に対し十分指導を促しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 まず、御坊市名田の産廃処分場の問題です。
 漁協に関連して農林水産部長の答弁をいただきましたが、普通に考えたら驚くと思うんです。産廃の処分場が地元の漁業者に影響を及ぼすかどうか判断するのは産廃事業者自身だと言うんですね。極論すれば、地元の二つの漁協が今反対だと言っているわけですが、産廃業者が関係ありませんと言えば理解を得なくていいんだということにもなりかねせん。こういう理屈は納得できないわけですが、ただ制度の問題として一言申し上げたいと思います。
 こういうふうなあやふやなことしか言えないのは、何も部長が悪いわけじゃなくて、そこが法律の抜け穴のようになっているからなんですね。産業廃棄物処分場の影響があるかどうかは産廃業者が勝手に判断し、影響ありと判断しても意見を聞きさえすれば法律上は何とかなる。これでは住民はたまらない。ですから、さっき言った、県独自の判断ができる条例の制定がぜひ必要だということを再度強調しておきたいと思います。その上で農林水産部長から、事業者に対して漁協の理解を得るよう指導しますと答弁いただきましたから、指導を厳しくお願いしたいと思います。これは要望であります。
 また、中辺路町水上の不法投棄の問題では前向きな答弁をいただきましたが、地元の保健所と警察の対応について、これも一言申し上げておきたいと思います。
 ここに、地元の方と田辺保健所、田辺警察が立ち会って現場を調査したときの録音テープがございます。このときの調査では、事前に住民が発見していた大量の産廃が既に業者によって上に土をかぶせられて埋められていたんです。そこで住民は、前にあったんだと現場で必死に主張するけれども受け入れてもらえない。このテープでは声だけなのでだれかわかりませんけれども、今では遅い、なぜそのとき言ってくれなかったというような意味のことを平気で言っているのです。住民を守る立場にある職員なら、このときに徹底的な調査をやるべきだったんですね。その後、私たちが住民と一緒に現地の山へ登り、あるいは日置の山へも登りました。保健所へも行きました。それでやっと何とか動いてきて、ここまで解明できてきたというのが経緯でしょう。そして結果は、今は業者自身もそれを認めているわけなんです。これは、後でお渡ししますけれども、ぜひこれを聞いていただいて、厳しく反省していただきたいと要望しておきます。
 学校給食の問題では、弁当の適切な保管場所の設置を求めたのに対して給食が基本だというお答えでしたが、それではこの十年来で実施校が一体どれだけふえたのかという問題です。見るべき前進は新宮市の小学校の六校が九三年を中心に始めたのみで、切実な要望のある小学校の実施率でおくれている地元の西牟婁郡あるいは田辺市では一校もふえてきていないわけです。これで、給食が基本だ、市町村を指導していると言われても、十分な指導かと言わざるを得ません。そういう指導の至らなさも含めて、せめて弁当をきちっと保管できる場所を確保すると。簡単な空調設備があればいいわけですから、ぜひ工夫してやっていただけないでしょうか。
 既に、調べた学校現場では工夫が始まっています。田辺第二小学校は児童が六百人余りいるわけですが、古いクーラーを会議室につけて、そこに弁当を置くようにしています。また南部小学校では、もともとあったと思うんですが、視聴覚教室はエアコンがあって、そこに置くとともに、冬場は保温庫を学年に幾つか用意して、余り冷たい弁当を食べないようにということで配慮してくれているそうです。県教委は、こういうところの実態をしっかりつかんでいただいて調べるとともに、給食開始までのせめてもの願いを、教育長、聞いていただけないでしょうか。再度答弁をお願いします。
 県信問題では、部長に一点だけお願いします。
 不正な融資をなぜ見逃したかとお伺いしたわけですけれども、県は検査のとき背任に当たる融資だとわかった上で改善を指導したのか、あるいは背任に当たるような融資だと知らなかったのか、そのことだけ答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、二回目を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県信に対する検査の件でございますけれども、県信に対しましては、県としても定例検査を実施してその時々適切に資産査定を行うとともに、必要な改善指示を行ってまいったところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校給食につきましては、私どもとしては教育的な意義も含めて各市町村が積極的にこれに取り組むよう指導してまいっております。そのことがまず基本であると、改めて申し上げます。
 それから、今お話のありました実例等については、私どもも掌握いたしております。他府県の実態もわかっているつもりでございます。ただし、このことについては、県のレベルで市町村に対して保管庫云々という話ではないんではないか、むしろ市町村がそれぞれの実情の中で工夫していただく問題ではなかろうかということで、先ほどお答えしたところでございます。
 ただ、学校給食とは違うかもしれませんが、来年度保健体育課が開催する健康教育等の会議もございますので、それぞれの中で市町村に対して工夫、改善の助言をしてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十一分休憩
     ─────────────────────
  午後一時四分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十九番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 二月議会の一般質問も、私で最後でございます。一生懸命務めさせていただきたいと思います。
 まず、今回は県民運動ということで、さまざまな角度から私なりの気づいたことについて一般質問をさせていただきます。
 県政の目的は、県民の安定した生活と美しい県土を守り、人間性豊かな県民性を守り育てることであります。
 まず第一に県民生活でありますが、現在と将来の県民の生活の安定を図らなければなりません。それには健全な県財政を継続させることで、これは県政を預かる者の責務であり、使命でもあります。昨今の財政の硬直化は、将来の県民の生活に大きな不安を与えるものであると思われます。県債の発行で借金をするということは、将来、受益のある県民にその負担をお願いするものであります。そのことを念頭に、負担と受益のバランスを考えた県財政の構築に取り組まなければなりません。
 また、美しい県土を守ることについては、これは祖先から受け継いだ遺産であり、次代の人に引き渡さなければならない貴重な財産で、いたずらに現代人の都合で破壊してはならないものであるということは言うまでもありません。しかし、わかり切ったことをできないのが人間であります。このことに十分気をいたさなければなりません。
 県土を守るということはどういうことか。山林の崩壊の危機、河川や海の自然環境の破壊等、解決のできない課題がたくさんあります。祖先から受け継いだこの県土を、私たちは次代に責任を持って継承しなければなりません。ある意味では身勝手かもしれませんが、次代の県民も大きな恩恵を受けるであろうと思うので、負担をしていただくのであります。大事なことは、借金を残しても次代の県民が喜んで理解してくれるものを残さなければなりません。
 そういう意味で、二十一世紀を迎える県政を担うリーダーとして、和歌山県の県土を守るための大きなビジョンを描く責任があると考えます。その点についていかがお考えですか。
 次に、人間性豊かな県民の心を守り育てることは、どんな時代になろうとも県政の中で最も重要な柱であろうと思います。教育の向上しかり、県民意識のすばらしさも、大きな存在であります。私はここで、大きなテーマとして、県民の意識を育てる県民運動とのかかわりについて考えてみたいと思います。
 県民運動というものは、県民みずからが快適で住みよい郷土づくりに向け取り組む活動でありますが、その中で県行政が果たす役割は大変大きなものがあろうと思います。そこで、県民の郷土づくりに対する自主的かつ積極的な取り組みを促す県民運動を推進していく上で、今後の課題と取り組みについてお聞かせください。
 県民運動と人間性の向上というものは表裏一体であり、切り離すことのできないものであります。そこで、県勢発展とかかわりのない、国家に所属する県民として必要な県民運動を展開することも大いに推進する必要があります。例えば、北方領土返還県民会議の県民運動のように、国の主権にかかわる問題についての県民運動も、全国の自治体の中で目的達成のために運動することが重要なことであります。
 領土は、民族の母体であります。北方領土は、日ソ中立条約いわゆる日ソ不可侵条約を一方的に破棄されて、ゆえなくして一方的に奪われた領土であります。国家主権のためにも、北方領土すべてを奪還する気持ちで取り組むことが必要であります。また、政府が弱腰にならないため、不断の運動を展開する必要があります。
 ちなみに、北方領土は国後、択捉、色丹、歯舞の四島ということになっておりますが、国際法上からすれば千島列島すべてが日本の領土であります。特にウルップ諸島以南は、江戸時代から松前藩が領有していたのであります。最近、日ロ交渉が新しい局面に入っておりますので、国民の世論を大きく盛り上げ、何とか早く解決してほしいものと思います。
 まず、行政当局としてこの問題をどのように位置づけ、今後どのように展開するのか、お伺いいたします。
 次に、本年二月三日の産経新聞の記事であります。私は、この記事を見て、はっとしたわけであります。記事の見出しは、「生きているうちに息子と再会を 父、米議員に手紙 頼みは貴国 すがる思いつづる」というタイトルであります。内容は、北朝鮮による拉致疑惑で、昭和五十三年七月、新潟県柏崎市の海岸から失踪した元中央大学生蓮池薫さんのお父さん・秀量さんが米国のベンジャミン・ギルマン下院外交委員長に問題解決の協力を求める手紙を送ったということであります。
 手紙の内容は、「私はテロ国家北朝鮮によって、息子を拉致された蓮池秀量と申します」という書き出しで、続いて「北朝鮮は日本にスパイ工作員を送り込んでいるのみならず、その教育の教官にするために一般市民を拉致しています」とあり、また蓮池さんは政府間の交渉にいら立ち、「日本政府にも働きかけを行っておりますが、北朝鮮は貴国しか交渉相手として認めておりません」という、すがるような手紙の内容であります。また秀量さんは、手紙を書きながら、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会の小島さんに「自国の拉致問題を他国にお願いしなければならないのは情けない。残念でならない」と話したという記事内容であります。私が新聞を見て最初にはっとしたというのは、この「自国の拉致問題を他国にお願いしなければならないのは情けない。残念でならない」という父親の悲痛な叫びであります。
 北朝鮮による拉致疑惑は、平成八年に新潟市の中学生、当時中学校一年生、十三歳の横田めぐみさんの拉致情報が韓国に亡命した北朝鮮の元工作員からもたらされたことにより、またさまざまな信頼できる情報により、政府は平成九年五月一日の参議院決算委員会の答弁を通じて、北朝鮮による拉致事件として認定したことを明らかにしたものであります。
 横田めぐみさんは、昭和五十二年十一月十五日、新潟市の中学校から帰宅する途中で拉致されたもので、既に二十三年の歳月がたっているわけであります。また、その他、日本政府及び警察庁が特定している北朝鮮による日本人拉致者は七件の十人で、警察庁の疑惑リストは四十八人が挙げられているということであります。私は、なぜ蓮池さんが米国のギルマン下院議員に手紙を送ったのだろうと思い、この問題の経過を調べてみました。
 拉致された家族は、政府にさまざまな働きかけをし、平成九年には自由党西村真悟衆議院議員が予算委員会で質問し、マスコミにも大きく報じられ、多くの国民が同情せずにはいられなかったものです。そして、拉致された日本人を救う会が昨年の日朝国交正常化に向けて、村山訪朝団に対して出発前にすべての議員に要請を行っております。そして、訪朝団の交渉について、強い憤りから次のような声明を行っております。
 「今回の訪朝団は拉致問題の解決を求める国民の声に背き、「人道問題」などという次元にまで引き下げて赤十字に任せることに合意したという。政府も関与するなどの言い訳はしているが、これは事実上棚上げをする以外の何物でもない。そもそも重大な主権侵害である拉致がどうして「人道問題」なのか、理解できる国民は皆無と言っていいだろう。これは国会議員としての責任の放棄であり、私たちは参加した村山、野中両氏をはじめとして十六人の参加国会議員の責任を厳しく問わざるを得ない。私たちは拉致を棚上げして国交交渉をかくも性急に行う政治家の姿勢に強い疑念を感じる。そこにいかなる利益が絡むのかは分からないが、少なくとも永田町の論理を国民に押しつけるのは絶対に容認できない。今回の訪朝団の合意を政府が受け入れるなら私たちは拉致問題に激しい憤りを感じている多くの国民と手を携え、正面からこの暴挙に対決せざるを得ない。二十年余の長きにわたって我が子、兄弟を待ち続けるご家族の思い、そして拉致された人々のことを考えるとき、私たちは政府に断固たる姿勢を求めるものである」と、声明を行っております。
 また、北朝鮮による拉致被害者家族の連絡会──代表は横田めぐみさんのお父さんである横田滋さんがなっておりますが──から河野外務大臣に、次のような要請書を送っております。
 「私どもの息子、娘が北朝鮮に拉致されてから、最も長い者で二十三回目の冬を迎えましたが、解決に向けて見るべき成果が出ていないのが実情です。こうした中で、日朝赤十字会談という日朝国交正常化予備会談が再開され、その場で日本側関係者が拉致問題解決を求めてくださっていることは喜ばしいことです。今回こそ、何らかの進展が見られることを期待しています。しかし、北朝鮮は、日本側が拉致疑惑を持ち出し、朝日関係の改善に障害をつくり出そうとしているとか、日本が拉致疑惑のような不当な問題を持ち出しては、関係改善はおろか関係が一層悪化する等、敵対的な発言を繰り返しており、拉致者を行方不明者として北の捜査当局に再調査を依頼するとの合意をしたものの、食糧支援を引き出すための時間稼ぎに利用されるのではないかと懸念しております。日朝国交正常化交渉で、拉致問題は避けて通ることのできない重要な問題だ、解決に向けた努力を今後も続けるとの外務大臣のお言葉を信頼しております。北朝鮮が望む食糧援助について、拉致問題の前進がなければ応じないという強い姿勢で交渉に臨んでくださいますよう心からお願い申し上げます」という内容でございます。
 こういう経過のもとで、いても立ってもおられなくなり、アメリカの議員に家族が手紙を出したものであります。政府だけに頼ることはできないと判断された家族の気持ちは、痛いほどわかるものであります。この問題は、人権上、国家主権上、極めて重要な問題であります。家族等、関係者だけの力では政府への対応も思うようにいかないように見受けられます。
 そこで私は、地方から、地方議会から、北朝鮮に拉致された日本人を救出するうねりをつくり出す必要があると思います。中学一年生のとき拉致された横田めぐみさんのお母さんが手記の中で、「国民のすべての方々、政治に携わるすべての方々が、たとえ一日だけでも我が子がこうなってしまったらと静かに思いをいたしてくださり、一日も早い救出のため、そしてだれに起きたかもわからないこのような恐ろしいことが二度と日本で起こらないために、ご支援くださいますよう心からお願い申し上げます」と語っております。
 北方領土と同じように、このことを県民に訴え広く県民運動を起こすことが、日本人として、和歌山県民のすばらしい県民意識として重要でないかと思うわけであります。県当局のお考えをお聞かせください。
 続いて、歴史教育についてお尋ねいたします。
 平成九年、文部省の検定を通った中学校用の歴史教科書にいわゆる従軍慰安婦の強制連行説が書かれていることが明るみに出たころから、教科書の内容についてさまざまな議論が出始めたところであります。私もこの議場で、平成九年の二月議会で従軍慰安婦に関する歴史教科書問題について、次のように質問をいたしました。平成九年の中学校社会科教科書に強制連行あるいは政府、軍が関与して外国人慰安婦を戦地に随行させたという記述が教科書会社七社すべての教科書に初めて登場したことについて、この慰安婦の強制連行というのは歴史的事実でないという意見があり、まだ判明していない事象を教えることが中学生にどのような教育効果があるのか、また現場の教員に対して教育方針としてどのように指示するのかという内容でありました。まあ、気に入らない答弁であったわけでありますが、「歴史的事象にはさまざまな見方があることも含め、学習指導要領の趣旨に基づき、適切に理解されるよう指導してまいりたい」との答弁でございました。少しは、和歌山県の教育は救われるという思いでありました。
 ところが、昨年、南部高校のホームルームで、人権教育の中で担当教師がこういう資料を生徒に配付して、従軍慰安婦のことを、そしてまた南京事件のことを一方的な見解の資料で学習したということが父兄の情報で明るみに出たわけであります。資料の内容は、日本の軍隊は最悪のもので、淫乱で、その獣性を遺憾なく発揮したということで、すべて日本人が悪かったという自虐史観そのものを教えたわけであります。内容はいろいろありますが、まず、日本軍は血に狂う悪魔であった、燃え上がる炎の中で強奪と強姦と殺りくが何週間も続いたとか、そういう内容のことがあらゆるところに出ております。獣性があったということであります。しかも、何年間も、このような一部の教師が勝手につくった資料に基づいて学習していたわけであります。
 私はこの前の議会で、文教委員会でこの問題について教育長に質問をさせていただきました。教育長は、一方的な見解の学習であり、今後改めていくということでありました。なぜ今、歴史教育が問題となっているのか。それは、政治外交の都合で、特に現近代史が近隣のアジア諸国の機嫌取りに終始しているというふうに思えるわけであります。
 こんな事件がありました。高知大学教授で、日本の近代史専攻の歴史学者・福地惇氏は、大学をやめて文部省で歴史教科書の検定作業に当たる主任教科書調査官になったわけであります。ところが、半年程度で文部省は福地氏を厳重注意処分とした上で更迭し、他の職務につくことを命じたのであります。一体何があったのでしょうか。
 ある月刊誌の座談会で福地氏は、次のように発言をしたそうであります。「私は今年の四月から文部省の教科書調査官になったんですが、平成十年度は小学校の社会科で六年生から日本史が入っていまして、それを読むと近代史が幕末から現在までの半分ぐらいあって、ほとんど戦争に対する贖罪のパンフレットなんです。それで、侵略戦争を二度としないようにするためにはどうしたらいいのかということが最後の結びになっている。僕はちょっと気が滅入りました。あの戦争は、よかったとは言いませんが、わけありでああいうことになったわけで、日本だけが悪いという感じで書かれると子供たちは本当にどういう気持ちがするだろうかと思いますね」という内容でありました。しばらくして、中国の江沢民国家首席の来日の時期に共同通信社がこの発言内容を記事にすると、その三日後に文部省は福地氏の処分を決めたのであります。
 とにかく、日本がアジア諸国に対し悪逆非道なことをしてきた歴史の国であるように歴史教科書を書くことで近隣諸国が喜んでいる、いやそれ以上に、そういう国であったという歴史でないと納得いかない国が存在しているようであります。こんなことをしていたら、日本の教育は果たしてどんなことになるだろうか。
 新学習指導要領には、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育てると明記されておりますが、今の歴史教科書による歴史教育はとんでもない方向に向かっているように思えてなりません。また、学習指導要領に言うところの国際社会に生きる民主的、平和的な国家社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養うという日本人をつくることが果たしてできるのでありましょうか。
 これはスイスの話でありますが、スイスのジュネーブがまだ都市国家であったころ、ジュネーブ城に突然サボア軍──フランスの軍隊──が攻めてきたと。城壁にはしごをかけてサボア軍が上ってきたとき、場内はちょうど昼食の準備中だった。異変に気づいた主婦たちは、とっさに煮えたぎるスープを城壁の上からかけて敵を退けたという。この話は、スイスのどの教科書にも載っておるわけであります。そして、その日を記念して町ではお祭りを行っております。サボアの軍装をした男たちに縄をつけて歩かせ、主婦たちが後からむちで打って町じゅうを練り歩く、そういう祭りであります。また、スイスの「民間防衛」という本が各家庭に置かれており、その巻頭に国防大臣が一文を書いております。「我々は、過去に近隣諸国に攻め込むという失敗もやった。今、我々が聡明なのは、その先祖たちの失敗のおかげである」と書いてあるそうであります。私は、スイスの国民が歴史教育の中で、次代の子供に自分たちの国をもっと立派で幸せな国にしてほしいというメッセージを伝えているように思います。
 また、福沢諭吉が言っております。「一種の人民、共に世態の沿革を経て回顧の情を同じうする者、即ちこれなり」、これは一種族の人民が共通の歴史を経て、それへの慈しみを共有することにあると言っているのであります。国民国家における国民意識、すなわち自分たちは国家の構成員なのだ、国家を支えていくんだという意識は歴史を共有することからはぐくまれると、福沢諭吉は指摘しております。
 自国の歴史を否定的にのみ語る教科書、そのような教科書を持つ国民は、果たして国際社会の中で尊敬される国際人として存在することが可能でありましょうか。
 そこで、教育長に、歴史教育の意義と使命についてお考えをお聞かせください。また、最近論議されている歴史教科書問題についてどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。
 次に、少子化対策についてお尋ねいたします。
 高齢化社会の問題は、人が長生きするのが悪いのではなく、少子化に大きな原因があるのであります。高齢者の比率が高いことに問題があり、出生率が上昇すれば高齢化社会から脱却することができるわけであります。このままでは、年金制度を初めとする社会保障制度は破綻してしまうし、さまざまな産業分野で労働力不足が起こってまいります。今でさえ、日本の農林水産業において後継者がなくて困っている現状であります。ローマが滅びたのは少子化が原因であったという説もあります。傭兵を外国人に任せたことが崩壊につながったそうであります。そうすると、少子化問題は大きくは民族の崩壊につながりかねない国家存亡の問題であります。
 最近、この少子化問題について、社会に対して問題提起をされ、行政が緊急に取り組まなければならない問題とされてきました。そして、この少子化問題への対策として、国のエンゼルプランを初め、さまざまな施策が講じられているところであります。しかし、出産という個人的な事柄に関するだけに、少子化対策は非常にデリケートな問題を含んでおります。出生率低下の原因は、一般的に女性の高学歴化、晩婚化、住環境の問題などが挙げられております。経済的な環境の問題で、産みたくても産めないというのが現状でないかと思います。
 それでは、一体どうしたらいいかということであります。今国会に少子化社会対策基本法案が提出されております。これからは、国の緊急課題として取り組まなければならないことと思います。昔は、多くの庶民の生活というものは大変苦しかったというのが相場であります。苦しい中でも、子供を何人も産み育てたものであります。それは、多分、現状の生活が苦しいので将来の夢を子供に託し、その夢の実現の可能性を大きくしようということで、子供をたくさん産んだのではないかと思います。
 「子宝」という言葉があります。子供は一家の宝であったわけであります。最近、子供を虐待するということが新聞紙上で大きく取り上げられております。最近、ちょくちょく起こっております。これは、子供が宝であればそんなことは起こり得ないわけであります。子供もまた、兄弟が何人もいれば、さまざまな世界が広がり、他人を思いやる心もはぐくまれるものであります。
 現在では、日本人の九〇%以上、もっとそれ以上に自分の生活は中流であるとの意識を持っているので、満たされない現状に対して子供を産み育てて将来に託するということはないだろうと思います。そこで、これから子供をたくさん産んでもらおうと思えば、将来に子供がたくさんいることが特別すばらしいという大きな夢を与えることが必要ではないかと思います。具体的には、例えば子供が三人、四人、そういう子供を育てて成人すれば、その親に、特にお母さんに十分な生活ができるような特別年金のようなものを支給するといった、将来の生活を保障する制度みたいなものも一度考えてみなければならないのではないかと私は思うわけであります。
 目先の環境整備、あるいはまた少子化に対する対症療法的なその場限りの制度だけでは、現在の若者は子供を多く産まないだろうと思います。また、子供を多く持っている人を社会が厚く待遇するとか尊敬をするというふうな社会のムードをつくることも必要ではないかと思います。そういう県民意識が、私は今一番大切ではなかろうかと思います。例えば、子供をたくさん立派に育て上げた人を知事が県政功労するとか、そういうことをやっていただきたいなと思います。
 そこで、お尋ねしたいわけでありますが、県は少子化対策に向けてどのような展望を持っているのか、また県独自の対策についてもお聞かせください。
 最後に、県信問題についてお伺いいたします。
 この問題については、きょう冨安議員も質問されたし高田議員も質問されて三番目になるわけでありますが、自民党県議団を代表してこの質問をさせていただきます。
 一昨年三月二十七日、和歌山県商工信用組合の経営が破綻し、紀陽銀行への事業譲渡が決定されたとき、地域の主要金融機関としての長い歴史を誇った県信がなくなるということについて大変残念に思った次第であります。
 県信は、昭和二十九年の設立以来、本県における中小企業向け金融機関として中心的な役割を果たしてまいりましたが、バブル経済の崩壊など厳しい経済環境の中でその経営が行き詰まり、平成五年五月、市川理事長が就任し、平成六年度、店舗統廃合、人員削減、債権回収を柱とする再建計画をスタートさせ、鋭意その再建に取り組まれてきたところであります。県も、預金者や中小零細企業等の保護を図るため三百五十億円の県信再建支援を行ってまいりましたが、そのかいもなく経営が破綻し、さらに今回、旧経営陣が逮捕されるという重大な事態に陥ったわけであります。
 まず、県の支援にもかかわらず県信を破綻に至らしめた原因はどのようなものであったのか、また、今回の容疑事実となっている融資案件に加え、一部報道によると不動産会社グループに約三百億円の融資が行われてきたということでありますが、これらに対し県はどのような指導を行ってきたのか。
 最後に、事態の重要性にかんがみて、あえて質問をさせていただきます。指導監督を行うべき立場にある県として今回の事態をどのように受けとめているのか、以上、商工労働部長の答弁を求めます。
 これで、一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 吉井議員ご指摘のように、私も美しい県土は将来の県民のための貴重な財産であり、生活及び生産活動の基盤であると考えております。
 しかしながら、本県は過去幾たびか自然災害に見舞われてまいりました。そのため、治山、治水を初めとする各種防災施設の整備を進めるとともに、多重性、代替性に富んだ交通網及び情報通信網の整備充実を図り、安全で安心できる県土づくりを進めていく考えでございます。さらに、環境保全の観点から、県土は自然と人間の共生の場であるという認識のもとに、県環境基本計画に基づき本県が誇る豊かな自然環境を保全していくとともに、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会づくりを県民の皆さんとともに推進してまいりたいと、このように考えてございます。
 あとの問題は、関係部長から答えさせていただきます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 吉井和視議員ご質問の、県民運動の推進課題と今後の取り組みについてお答えいたします。
 現在、県下では多種多様な県民運動が展開され、県勢の発展と県行政の円滑な推進に大きな貢献をいただいているところでございます。県行政の目的達成を図るためには、県民の方々と県が一体となり県民運動として盛り上げていくことが不可欠でありますが、従来の県民運動は、どちらかといえば県が運動のテーマを提示するなど、主導してきたところがございます。しかしながら、県民運動の本来のあり方は、議員のお話もございますように、県民みずからがよりよい郷土づくりに向けて取り組んでいただくことが重要であり、そのためには県民の方々にいかに自主的、主体的に運動に取り組んでいただくかが課題となってございます。
 そこで、今後県民運動を促進するに当たり、県といたしましては、県民の方々が積極的かつ自主的、主体的に運動に取り組んでいただきやすくするため、関連情報の提供や活動の機会、場所の提供なども含めた環境づくりをより積極的に進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 知事公室長大平勝之君。
  〔大平勝之君、登壇〕
○知事公室長(大平勝之君) 県民運動のうち、北方領土返還運動と北朝鮮による拉致者救出運動についてお答え申し上げます。
 初めに北方領土問題についてでございますが、北方領土の一日も早い返還は、吉井議員お話しのとおり、国民一人一人の願いであり、日本の平和と安全にかかわる重要な問題であると認識してございます。
 県といたしましても、昭和五十六年に発足、歴代県議会議長が会長を務められている北方領土返還要求運動和歌山県民会議と歩調を合わせて県民の皆様に理解と認識を深めていただく広報啓発活動、署名運動などを行っているところでありまして、去る二月七日には県民会議会長の下川議長を初め、県議会議員の皆様や県民の皆様、総勢四百七十名の参加のもと、十九回目の県民大会を開催いたしました。また、昨年の秋には早期解決を国民に訴える全国縦断キャラバンが実施され、全国の都道府県知事から託された早期解決に関する要望書が総理大臣に伝達をされました。本県の要望書についても、県民会議近畿ブロック会長である下川議長から総理大臣にお渡しをいただいたところでございます。
 今後とも、北方領土返還要求運動和歌山県民会議等、関係団体の方々と一層連携を密にし、一日も早い北方領土の返還実現に向け取り組んでまいりたいと存じます。
 次に北朝鮮による拉致疑惑問題についてでありますが、被害者の家族の皆さんのお気持ちを思うと、強い怒りを覚えるものであります。この問題は極めて重大な国の外交にかかわる問題でもあり、国会等において幅広い論議がなされ、政府において適切に対応されることを願うものであり、政府を後押しする民間レベルでの運動が盛り上がっていくことも大切であろうと考えてございます。
 行政に携わる者として一日も早い解決を願うものであり、今後の国の対応に注目してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 県民運動のうち、少子化対策についてお答えをいたします。
 県におきましては、安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めるため、平成八年度に喜の国エンゼルプランを策定し、取り組んでいるところでございます。
 子供を産み育てることに夢を持てる社会づくりを総合的に推進するため、社会全体で若い世代を支援していくことが重要であり、議員のご提言も踏まえ、今後、和歌山県子育て環境づくり推進協議会や、現在実施中の子育て環境づくりアンケート調査の結果等を参考にしながら、施策に反映し、子育てに生きがいを持てる社会づくりに努めてまいります。
 本年度の事業としましては、子育て支援のための育児応援ブックを十万部作成し、県内の小学生以下の子供の全家庭に配付する予定にしてございます。また、「すこやか・あんしん」子育てフェスタや子育てサポートセミナーを開催するとともに、多様な保育サービスの充実や育児と就労が両立できる雇用環境づくり等の事業を実施してございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県信問題についてお答えします。
 県商工信用組合の破綻が地域経済に与える影響の重大性にかんがみ、県としては県信の再建に向け、全国信用協同組合連合会、紀陽銀行との協調で総額三百五十億円の低利融資を行う一方、従来から検査等を通じ経営改善に向けて指導してきたところであります。
 しかしながら、店舗統廃合や人員削減につきましては平成六年度から九年度にかけて十二店舗の統廃合や百五十五人の人員削減を実施し、ほぼ計画どおりに進んだものの、過去の拡大路線による特定企業への過大融資の整理が進まず、また、長引く景気の低迷に加え、土地価格の下落等、各般の事情もあり、不良債権の回収が極めて困難な状況となったところであります。
 このような状況の中で、平成八年六月、いわゆる金融三法が成立し、平成十年四月から業務停止命令も含めた厳しい行政措置を内容とする早期是正措置が導入されることになり、平成十年、自主再建を断念せざるを得なくなったところであります。
 県といたしましては、県信に対し、大口限度額を上回る貸し出し、また員外貸し出しや大幅な担保不足等については従来から検査を通じ改善を指示してまいりましたが、再建計画が始まった平成六年度以降は、検査に加え再建計画の進捗状況についてのヒアリング等を行うなど、種々の機会を通じ指導を行ってきたところであります。
 議員ご指摘のように、県は預金者や中小零細企業者等の保護を図るため総額三百五十億円の県信再建支援を行ってきたにもかかわらず、諸般の事情によりその経営が破綻し、さらに今回、経営陣が逮捕されるという重大な事態に陥ったことにつきましては残念に思っているところであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 歴史教育と教科書問題についてお答えいたします。
 歴史教育が目指すものは、我が国や世界の歴史についての理解と認識を深め、国家社会の有為な形成者として必要な自覚と資質を養うことでございます。指導に当たっては、客観的かつ公正な資料に基づいて生徒が歴史的事象を正確に理解し、さまざまな角度から考察し、正しく判断する能力を育成することが肝要であります。
 歴史教育においては、こうしたことを通して他国を理解し尊重する態度を身につけさせるとともに、国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚や誇りをはぐくんでいくことが大切であると考えております。
 教科書につきましては、文部省において教育内容の適正さ、教育の中立性の確保などの観点から検定が行われているところであります。教育委員会といたしましては、学習指導要領の趣旨にのっとり、歴史的事実を正しく踏まえた教育をより適切に行うよう各学校を指導してまいる所存でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十九番吉井和視君。
○吉井和視君 答弁ありがとうございました。
 教育長に歴史教育と教科書問題について答弁をいただきました。大変すばらしい答弁でありますが、現実が違うわけなんです。
 今の歴史教科書は、私が考えるところによりますと、先生方の意見を集約するような団体からそういういろんな要請があって、それに基づいてすべての教科書会社がつくっておると。教科書会社はやっぱり企業家ですから、現場の要請にこたえて、売れる教科書をつくるわけです。そして、その教科書会社がつくった教科書が文部省の検定を通っておる。その文部省の検定が一番大事なところであるんですけれども、文部省は近隣諸国からコントロールされてなかなか思うことを言えない中でそのまま検定を通ってしまう。そこに問題があるわけなんです。
 そこで、私が県民運動の中で取り上げたのは、歴史教科書というのは、教育長が答弁で述べられたように、次代の県民を養う大変重要な問題であります。果たしてだれのために歴史教科書がつくられておるかということでありますが、それが全くわからないというのが現状であります。
 そういうことで、和歌山県内にも「新しい歴史教科書をつくる会」というのが誕生し、野井会長さんを初め我々県職員の先輩である鈴木啓助さんが──きょうも傍聴に来ていただいておりますけれども──取り組んでおられます。私は、地方議会の議場の中で、県民の皆様の前でこういう問題を取り上げて、こういう主張が正しいものかどうか県民の皆さんに評価をしていただく、そういう機会があってもいいのではないかということで取り上げさせていただきました。
 教育長に、一言お尋ねいたします。
 教育長は、立派な見識を持っておられる方だと思います。そこで教育長、教育委員会が本来、教科書とかそういうものを選定するわけであります。そういう選定作業をする中で、今のような歴史観で書かれている教科書が本当にいいのかどうか、どういう見識を持っておられるのか、私は聞きたいわけであります。まずそのことをお尋ねいたします。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) お答えいたします。
 歴史教育一般につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、その中で重要な教材である教科書については、特に歴史の見方、考え方というのは多様性を持っていると。取り扱われる内容は客観的で公正な資料に基づく必要がございますが、それをさまざまな角度から考え判断をしていくということは、歴史を深く学んでいく上で極めて重要であると考えております。
 したがいまして、検定の場でどういう扱いがなされるかは私どもコメントする立場にありませんけれども、各事象、出来事の記述方法や取り扱いについて十分に特色を持った教科書が存在することは選択の余地をそれだけ広げることにもなり、望ましいことであると考えております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十九番吉井和視君。
○吉井和視君 最後に、要望だけ申し上げます。
 私が申し上げた教科書の選定作業は、これからさまざまなそういう歴史教科書ができてくると思います。そこで大事なのは、目黒委員長、教育委員会の仕事であろうと思います。そういうことを考えて、こういう歴史教科書がいいんだというような研究をすることも大事であろうと思いますので、そのことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第三 請願付託の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第三、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。三月十五日から十七日までは常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、三月十五日から十七日までは休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、三月二十一日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十四分散会

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