平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成十二年二月 和歌山県議会定例会会議録 第六号
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議事日程 第六号
 平成十二年三月十三日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     二十四番       町   田       亘
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員    駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時四分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第百十九号まで、並びに知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十三番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、質問に入りたいと思います。
 質問に入る前に、西口知事が県民のあらゆる階層の圧倒的支持のもとに二期目の当選をかち取られたことを、会派を代表いたしましてまずお祝い申し上げたいと思います。
 二十一世紀を目前にして激動する内外情勢の中で、和歌山県の将来のありよう、財政赤字と高齢化社会に対する福祉の増大、官と民の役割、権利と義務、公と私、民主主義とエゴ、山積する諸問題に対し、西口知事にかける県民の期待は大なるものがあります。さらに健康に留意され、閉塞する社会の打破に強力なリーダーシップを発揮することをお願いするものであります。
 それでは、通告に従い、質問に入らせていただきたいと思います。
 平成七年、国は財政の危機的状況にあることを発表いたしました。いわゆる財政危機宣言であります。あれから四年が過ぎた今日、当時二百二十五兆円であった国債残高は、昨年末には約三百二十七兆円に達し、加えて地方財政の債務残高も増加し、国と地方の長期債務残高はGNP比一二〇%に当たる六百兆円を超える額に達しております。今や、我が国は主要先進国の中で最下位に転落してしまいました。景気回復による税収増で賄い切れない額であり、歳出を削減するか増税をしない限り、財政赤字は確実に累積をしてしまいます。初歩的な財政の基礎的収支、いわゆるプライマリーバランスの達成すら困難な現状を考えると、既に我が国の財政は破綻していると言っても間違いのない事実であります。
 言うまでもなく、この財政赤字問題の本質は将来世代への負担の先送りであります。景気の浮揚を目的とする公共事業や減税対策は小渕内閣の目玉の政策であり、一定の成果は上げてきておりますが、財源を赤字国債に依存する方法では、これの返済が税金という形で、自分たちの子供はおろか、まだ生まれていない孫の世代まで負担が続き、経済社会にとっても大きな足かせとなっております。ひいては、超高齢化社会を迎えて負担増に苦しむ将来世代の困窮をもたらし、年金の行方や将来の増税の可能性など、国民に不安を増大させるものとなります。
 さて、我が和歌山県の現状はどうでありましょうか。県当局より先ごろ、平成十二年度新予算案の提示を受けたわけであります。西暦二〇〇〇年を迎え、未曾有の経済危機の中、行財政改革を実施し、しっかりとした構想を持って、二十一世紀における発展基盤の構築に、新しい県政の創造、二十一世紀のかけ橋予算を基本として、一般会計予算五千八百六十一億円の予算を計上されております。
 しかし、その中身は依存財源が三千八百九十五億円で、全体予算の六六・五%にも上り、極めて厳しい実態であります。前段でも述べましたように、国はもはや破産している現状を考えれば、近い将来、地方交付税や国庫支出金が頼れなくなるのは明白であります。
 一方、依存財源の中の県債への依存は五百三十六億円であり、実に全体の九%に上っております。県債の残高の推移を見てみますと、平成八年度で約五千十八億円であったものが本年は六千四百四十億円と大きく増加しており、本年度一般会計の自主財源千九百六十六億円の約三・三倍にも及び、県民一人当たり五十八万五千円の借金となって県財政を圧迫しており、財源不足であることは明白であります。この財源不足を補う方策として県債管理基金の取り崩しを行って不足を補っておりますが、その基金残高も平成六年から減り続け、昨年は残高約二百七十九億円であったものが、本年取り崩し額の百二十四億円を差し引くと百五十七億円の残高となります。このままいきますと、来年以降、県債管理基金も底をつくこととなってまいります。このたびの県の財政運営プログラムの提示は当面の赤字団体転落を免れるための緊急避難的なものであり、県民が本当に安心して生活できる景気にはなっておりません。
 このようなことを考えるとき、このような県債の返済計画を一体どのようにされるのか、基本的な考え方をお聞きするとともに、この際、将来の長期財政構造計画を早期に策定されてはいかがかと思うわけであります。どのように考えておられるのか、知事にお聞きをしたいと思います。
 さて、財源不足についてお聞きしてきたわけでございますが、財政の健全化を図る上で重要な基本は、古来中国の「礼記」から出た言葉「入るを計りて出ずるを制す」であります。ご承知のように、依然として景気の低迷による税金の減収や、財政制度の縦割り行政で知られる、自治体の使用目的を限定して硬直性とむだを生み出したこと、さらには、自治体側の内部要因である人件費の増加、公共事業のばらまきによる負担増、外部組織や第三セクターの財政破綻などが主な原因と考えられています。このようなことを考えてみますと、まずどのように収入をふやすかということが先決であります。
 税体系上の問題ではありますが、東京都の石原知事が提唱されている外形標準課税の導入や、全国の各自治体が工夫しているような都道府県民税の収入をふやす手だてを立てることが重要であります。過去とられてきた手法は公共料金の値上げでありますが、景気がこれ以上落ち込むことにつながるおそれがあること、何よりも県民や弱者に大きな負担をかけることとなるため、安易に実行してはならない問題であります。
 私は、収入の基本となる税体系を見直すところから始め、例えば新規企業誘致を行う場合、何らかの県民税の負担を義務づけることや、電源開発などの事業に課税するようなことを工夫すべきであります。後で述べる地方分権とも絡んだ問題であり、国の指導によらない県独自の税体系を構築することこそが重要であります。
 そのためには、根本的には国の所得税の現在の取り方、すなわち中央へ一たん吸い上げて再び地方へ交付税として再配分するという現税体系そのものを見直さなければなりません。すなわち、少なくとも近畿ブロック単位で徴税を実施し、その応分の負担金を国の方へ納付するという本来の税体系に戻すべきであります。そうすることにより、少なくとも現行の税務署、県税事務所、市町村税務課が再編統一でき、地方の税収の安定が図られるわけであります。県独自の税体系の構築について、その認識と将来展望をお聞きしたいと思います。
 これとともに、「出ずるを制す」ということから、行財政改革を強力に推し進めるべきであります。国は省庁再編に力を入れておりますが、この意義は、本来の主権者である国民に政治と行政を返還する大政奉還であると位置づけられております。私は、その基本にあるのは、約六百四十兆円に及ぶ借金を抱えた国の財政異常事態が推進の原動力であると思うわけであります。
 私は平成九年二月議会において、県財政を見据えた今後の効率的な県政づくりについて質問をさせていただいた経過がございますが、要するに、むだをなくすところから支出をはかろうということが肝心であります。
 民間企業活動が停滞をしておるというふうに言われている今日、県が一部出資している団体、また、民間が取り組むべき事柄と県が取り組むべきことをこの際整理し、例えば効率の悪い、または民間と競合する事業、強いて言えば企業局、土地開発公社、県住宅公社などを民間に委託、移行させてはどうか。抜本的な行政のスリム化を図る機構改革が必要であります。時代は官から民への移行であり、民間活力を引き出すためにも、官は民の実施できる事業を圧迫するべきではないと思うわけであります。
 前回の質問への回答では、外郭団体の実態を資本金の四分の一以上を出資している法人とし、その数は三十六法人、また各種審議会は六十四種類、七十三機関が設置されていると報告されました。そのとき当時の総務部長は、「今後とも県勢活性化、県民福祉の向上のために県政の一翼を担っていただくことが望まれ」るとした上で、「社会情勢の変化に対応できているか、あるいは県行政の中で果たすべき役割は何かという観点から、それぞれの実態、機能等について見直しを進め、経営の効率化を図」ると答弁をされておるわけでございますが、それ以降二年間、外郭団体の状態はどのように改善され、今後どのように見直していくのか、お聞きをしたいところであります。
 なお、それとかかわって、今回の予算に航空工学系大学の設置を提案されております。我が県の将来にとって、人材育成の面からも先端技術知識の養成は大変重要で必要なことであると認識をしておりますが、前段で述べてまいりました財政困窮の折、約百四十四億円もの事業費を投入することは、県債の増加を生むばかりでなく、その他財源に与える影響はどのようなものか、私は検討の余地があるものと考えております。
 例えば、私の地元の近畿大学、創立以来かなりたつわけでございますが、現在極めて就職状況もよく人気があると聞いてございますけれども、経営状況は極めて厳しいということをいつも耳にするわけであります。この工科大学についても、よほど特色のある大学を目指さなければ経営が成り立たないということで、危惧を持たざるを得ない、そのように感じるわけであります。
 外郭団体効率化質問以降の進捗状況と、県財政の現状を見据えた機構改革の推進についてお伺いをいたします。
 次に、地方の財政再建改革と連動する地方分権について質問をいたします。
 昨年七月、地方分権整備法が参議院の本会議において可決・成立いたしました。国と地方の間を従来の上下関係から対等・協力の関係へと変革することを柱としたもので、四百七十五の法改正から成る一括法であります。骨子は、国の役割を限定し、住民に身近な事務は自治体にゆだねる、機関委任事務を廃止することが大きな特徴であります。これによって地方自治体はどう変わるのか、本当に変わっていけるのか、甚だ疑問であります。先ほどより質問させていただいている地方の財政危機は地方分権と相まって考えるべきであり、財政の安定なくして地方分権はあり得ません。
 成立した地方分権整備法は、地方の課税自主権を拡大し、自治体が地方税法にない新税を創設できるとなっております。例えば、茨城県において、原子力関連施設の安全対策費を確保するため使用済み核燃料に課税する取扱税を新設したと聞いており、そのほかの自治体においても検討がされております。しかし、国と地方自治体の歳出を比較すると、地方が全体の三分の二を使っているにもかかわらず、税収に占める地方税は三分の一でしかありません。もともと国からの補助金や地方交付税なしには地方は成り立たないような仕組みがあり、これでは機関委任事務を廃止しても、地方は今までどおり国からコントロールされるしかない構造であります。
 地方分権を推進するに当たり、単に機関委任事務の廃止だけでは実行力に欠け、財源を確保した上での議論となることを認識すべきであります。例えば、国の所得税の一部を地方の住民税に切りかえたり、消費税の地方への配分を現状の一%から拡大するなどの方法をとるべきであります。このように、税体系全体の具体的な見直しが地方の自立を確立させることとなります。
 なお、これを行うには和歌山県単独ということでは厳しいものがあると思われますので、少なくとも近畿地方の自治体と一致協力して行う方が適切ではないかと考えます。県としての、経済的自立を目指した地方分権推進への基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
 さらに、景気の低迷の中にあって各民間企業は、リストラに象徴される自主再建計画を実行し、合理化を進めております。一方、失業率は上昇の一途をたどり、自殺者も出す非常に厳しい現実を呈しております。中でも、超氷河期と言われる就職戦線は新卒者に大きなしわ寄せを呈し、勤労意欲の低下につながる心配が起こっております。不況とリストラに直撃されているのが中高年層なら、そのしわ寄せを受けているのは新卒者であります。
 この地方分権にかかわって国は、このたび職業安定行政も国に確保しようと動いております。今まで県庁内にあった雇用保険課や職業安定課を独立させ、国の役割として行うこととなったと聞いております。私は、このことは地方分権に対して逆行するものではないか、むしろ国の職安行政を県に一元化するべきではないかと考えるわけであります。このままであれば、地域の実態を踏まえたきめの細かい県独自の取り組みがなされない状況が予想されます。県独自の雇用の安定や職業相談などの職業安定行政のあり方をどのように認識され、今後どのように推進されようとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。
 さらに、地方分権の推進についてであります。
 これは、効率と経済的基盤を基本とした構想でなければならないし、まず地域が主体となった計画を立てるべきであります。地方交付税の減少など、これからの地方自治体の財政からいって合併は地方自治体が生き延びていく上で不可避であることを、残念ながら認識しなければなりません。したがって、私は、このような状況に対して地方の方から積極的に市町村や県の立場に立って市町村合併を打ち出していくべきであると考えるところであります。ただし、和歌山県のような非常に広大な県は、地域の実情に即して、一律に編入するのではなく、でき得るところから将来を見越して展開を始めることが大事であると考えるところであります。
 なお、国は知事に対し、市町村合併を検討する参考として目安を策定するようにという要請があったと聞いておりますが、先ほども申し上げたとおり、合併は地方が主体となった取り組みにおいて推進されるべきであり、これに対して県は最大限の努力をするよう求めるものであります。
 例えば、市町村合併の推進に当たり、協議会や住民の意見を聞くシンポジウムなどの催しの経費を県が負担することや、市町村合併が現実のものとなったとき、これに係る公的施設の全面補助金交付などを検討し、県がこれからの自治体のあり方を指導することにより一層の推進につながるものと確信をいたします。市町村合併のあり方と推進における県の認識をお伺いいたします。
 続いて、私が何回も提言をいたしております紀泉百万都市圏構想の実現について質問をさせていただきます。
 これ以前にもこれに関する事柄をお伺いしたわけでありますが、単に構想の実現のみならず、低迷する和歌山県全体の浮揚につながるものと強く信じながら、実現に向けた具体的な質問をさせていただいたわけであります。
 この構想は、隣県である大阪府のみならず、国の政策にも関連する重要な事柄と考えております。関西国際空港の二期工事の中の二本目の滑走路が二〇〇七年に完成される見通しであることは周知の事実であり、これにおくれることなく我が県側の政策や事業を推進させることこそが和歌山県の将来の発展に不可欠であることを県として認識され、厳しい財政状況ではありますが、重点的な予算措置をとられ、今後の推進にご努力を求めるものであります。
 関西国際空港二期工事の中で、国、大阪府、和歌山県、関西国際空港会社で南ルートの建設調査費が平成十二年度予算に計上されました。これは和歌山県側としても絶好の機会ととらえ、これにつながる道路建設を強力に進めてまいらなければなりません。
 現在進行中の泉佐野岩出線は、この南ルートと直結する重要な路線であります。現在、岩出町において一部供用されておりますが、いまだ全線開通されておらず、なお一層の推進を強く求めるものであります。同時に、泉佐野打田線においては、大阪側で一部おくれをとっており、橋の全面取りつけとあわせて早急な改良を望むものであります。
 さらに、京奈和自動車道は、現在、橋本市─高野口町間が着工されたばかりで、紀北東道路の着工は依然として遅々として進んでおりません。当然、私が以前よりの質問において強く要請をしております紀北西道路は言うまでもない現状であります。関西国際空港二期工事の二本目の滑走路の完成までに残された時間は、七年であります。この現状で間に合うとは到底思えないのであります。
 道路建設は、ご承知のとおり、流通経路の確保による企業誘致の条件であり、冒頭から質問しております行財政の面や地方分権にも大きな役割を果たすものであるところから、早期に京奈和自動車道路が全面開通すべく強力な推進体制をとっていただきたいと思うわけであります。一方、これに伴う都市機能の充実は、市町村合併と相まって広域で促進し、下水道整備やごみ処理施設の建設を促進するとともに、住みやすく安全な地域づくりを進めていただきたい。
 なお、豊かな文化と自然を全国に発信した熊野体験博覧会の成功は、和歌山県のイメージを全国に宣伝できたものと敬意を表するところであります。こうした成果を踏まえ──かつらぎ山系にも自慢できるすばらしい歴史と文化と自然があるわけであります。これらを生かしての強化活性化事業をどのように進められていくのか。また、この文化、自然を訴えていく上で、数年のうちに全国育樹祭というイベントが予定をされているとお聞きしております。紀北活性化事業と絡めた交流イベントを開催することが景気刺激にもつながることと思います。これらの誘致をぜひとも紀北地域に誘致されるよう、お願いを申し上げたいと思います。
 和歌山県の将来の発展を見越した府県間道路については、強く要望するとともに、京奈和自動車道路の推進、また紀北活性化事業をどのように進めていくのか、またそれにつながる育樹祭イベントの開催について、お伺いをいたしたいと思います。
 第四点目に、同和問題にかかわって質問をさせていただきます。
 今、人権の重要性が叫ばれている中で、基本となる同和問題がどうも埋没されてしまい、「同和」という言葉自体が行政の場面も含め少しずつ消えてしまっているように思われるのは、私だけでありましょうか。もう古い、これからは人権だ、同和も人権の一部ということで解決されるならば、極めて遺憾に思うわけであります。さらに、同和教育不要とまで吹聴する者や、一部の自治体でも同和行政が終了したかのようにとらえ、同和室の廃止や子ども会の返上を行っている状況があります。
 このことについては、これまでの議会での知事を初め当局の答弁や一昨年に発表された和歌山県同和行政総合推進プランで決着がつけられており、差別がある限り同和行政は必要、同和問題を中心にあらゆる人権の課題についても積極的に取り組むと明記されております。
 しかし、こうしたことの反面、例えば昨年一年間でも、有田郡内の県立高校での生徒間の差別発言、橋本市役所職員に対する差別電話、和歌山市、新宮市、田辺市、岩出町においての差別落書きや差別文書・発言が依然として後を絶たず発生していることや、公務員がその職務上にかかわって問題を起こしておるということは、全体的な意識が希薄になっており、課題や実態が見えないばかりか、部落差別に対する認識が失われておる所作であると思います。
 和歌山県同和行政総合推進プランの中に、同和問題の解決を県政の重要な柱として位置づけ、同和対策を積極的に推進してきたが、なお十分な解決には至っていないという認識があるにもかかわらずこのような差別事件が頻発しておることは、とりもなおさず人権という全般的な事柄に恣意的に移行し、同和問題を重要視していない結果であると言っても過言ではないと考えるわけであります。
 言うまでもなく、今日の同和問題は極めて劣悪な実態の中で差別撤廃への思いから創造され、推進されてまいりました。このことを踏まえ、同和問題の解決については、和歌山県同和行政総合推進プランの基本認識をもって常に実態を直視し、さらに再認識され、具体的な生きた現実の差別問題としてとらえていただきたいと思うわけであります。同和行政総合推進プランの認識と市町村への指導実態をお聞きしたい。
 二つ目は、教育問題であります。
 啓発を含めた具体的な取り組みや推進に当たっては、教育が大変重要な役割を担っております。学習状況調査の結果によりますと、地区児童生徒の正答率──ある問題に対しての解答でありますが、県全体の正答率に比べ、どの学年、どの教科においても低く、地区児童生徒の下位群に占める割合が高いとなっております。さらに生活保護家庭や母子家庭などの比率も多く、こうした家庭環境にある地区児童の正答率が格別に低くなっていると正式に報告されているわけであります。
 進学率を見てみますと、高校では県全体が九六%を超えている中で約五%程度の格差があり、大学進学については全体が四〇%の進学率であるにもかかわらず、地区の進学率は二〇%で半分との実態が浮かんでまいります。こうしたことを踏まえたとき、同和問題を基本として児童生徒の基礎学力の向上に努められるとともに、個人に合った学習指導を心がけていただきたい。また、同和教育加配教員の適正配置を進めていただきたい。
 なお、県教育庁の組織規定の中で各教室の職務について詳細に明記されておるわけでありますが、例えば具体的には、学校教育課に学校同和教育班、並びに社会教育課には社会同和教育班が設置をされておりますけれども、組織規定のどこを探しても「同和教育」あるいは「人権」という言葉が入っていないのは極めて不自然であると言わざるを得ないわけであります。これは、教育委員会すべてで全力で取り組むということであろうと思うわけでございますが、全部でやる、みんなでやるということは、だれも責任を負わないということになりかねない危険性も含んでいると思うわけであります。そういう意味で、児童に対する基礎学力の向上と適正な同和教育加配教員の推進、及び組織規定の認識について、教育長にお伺いをしたいと思います。
 三点目、雇用や技能習得と企業啓発にかかわって、先ほども話をいたしましたように、現在までの同和対策、県の商工労働部や公共職業安定所において企業への指導がなされてきたわけでありますが、この春、労働局の発足に伴って、これまで国の施策に加えて県独自の基準や取り組みを進めてこられていることに混乱が生じ、具体的な対応が低下することは当然予測されるものであります。同和地区実態調査の結果、商工業についても、家族労働や四人以内の零細な商工業や個人経営が多く、今日のような急激な経済状況にあっては対応が困難な状況であります。また、就労においても弱者にしわ寄せを受けている状況であることから、県の取り組みに混乱が生じた場合、死活問題であろうと思います。県当局の対応についてお伺いをいたします。
 最後に、人権問題についてお伺いいたします。 
 昨年七月に、国の人権擁護施策推進審議会から答申が出されました。その内容は、同和問題を初めとする人権に関する啓発や教育の推進を積極的に行うとされ、部分的には評価しておるところもあるわけでございますが、一方、国の責務、法的措置、総合的な機関の設置等の重要課題が欠如しており、私たちの願いや実態を無視した極めて問題のある答申となっております。これを受けて、和歌山県を初めとする各自治体や政党からの審議会並びに政府に対しての強い要望が出されているところではありますが、なお一層の取り組みを念願するところであります。
 人権教育の推進については、本県におきましても平成九年十二月、知事を本部長に「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部が設置され、さらに一昨年、和歌山県行動計画が策定され、その具体化に向けての取り組みに対して敬意を表するところではあります。その一つとして福祉保健部総務課に担当の主幹と担当者が設置され、順次取り組まれてきておるわけでございますが、課題の大きさと重要性からして現在の体制では極めて不十分であると思うわけであります。例えば、最も重要な課題に、市町村を基点とした人権ネットワークを整備されておりますが、数カ所の市町村でしか体制ができていない現状であると聞いており、これではせっかくの人権文化の創造も絵そらごとになってしまいます。
 福祉保健部総務課の人権担当の体制については、推進本部設置当初より当分の間というふうに聞いたと認識をしておりますが、所管の問題も含め今後の具体的な見通しはいかがなものか、お聞きするとともに、特に、人権啓発にかかわった人権啓発センター及び人権資料館を早急に建設していただきたいと思うところであります。過去、本会議においても、またいろいろな機会をとらえ、この必要性を訴えてまいったところでありますが、知事初め県当局の積極的なご答弁をいただいておるにもかかわらず、一向に姿が見えてこないわけであります。二十一世紀は人権の世紀と言われる中で、人権先進県を自負する和歌山県に人権に関する県立の施設が皆無というのはまことに残念であり、恥ずかしい限りであります。早急な対応を要請するところであります。
 福祉保健総務課の担当配置の具体的な見通しと人権啓発センター及び人権資料館建設の概要なり進捗状況をお伺いいたし、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
 まず、今後の県債の返済についてでございます。
 平成十二年度予算におきましては、財政収支の不均衡を補うために県債管理基金を取り崩して公債費に充ててございます。ご指摘のように、この県債管理基金にも限りがございますので、財政運営プログラムにお示ししたとおり、基金が枯渇する前に財政収支の不均衡を段階的に解消するとともに、起債の抑制に努め、財政の健全化を推進してまいりたいと思います。
 他方、このような努力により本県財政における収支不均衡の解消が達成されたとしても、本県の歳入の大宗を占める地方交付税交付金及び国庫支出金につきましては、その約四割が国の会計において国債等の借り入れに依存をしているものでございます。持続的、安定的な財政運営を確保していくためには、議員ご指摘のように、より長期的かつ広範な視点から国、地方を通じた財政構造改革に努めていくことが重要でございます。
 国におきましては、景気が本格的な回復軌道に乗ったことを確認した後に、国、地方を通じた抜本的な制度改革に取り組むものと承知をしてございまして、本県といたしましても、当面は収支不均衡の解消をいわば中間目標として財政の健全化に取り組みながら、より長期的な観点からは、財政構造改革については国における検討の動向をにらみながら、受益と負担のバランスの確保を基本としながら、歳入歳出両面にわたる見直しに努めてまいりたいと考えてございます。
 地方分権に関連をして、地方課税自主権と経済的自立についてのご質問であります。
 地方分権の進展に応じて地方が自主的、自律的な行財政運営を行うためには、地方税財源の充実が必要不可欠であると考えてございまして、議員ご指摘のように、いわゆる地方分権一括法により地方税法の改正が行われ、法定外目的税の創設など、地方団体の課税自主権の拡充が図られたところでございます。新しい税の創設には受益と負担の関係や税源の所在等、検討しなければならない課題がたくさんございますが、自主財源の確保につきましては、地方分権を進める上で大変重要でございますので、今後、幅広い観点から調査研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、市町村合併の推進についてでございます。
 議員お話しのように、市町村の合併はそれぞれの地域がみずからの問題として主体的に取り組んでいくべきものでございまして、とりわけ市町村並びに住民の方々が自主的に判断されることが重要であると考えてございます。市町村合併特例法におきましては、このような自主的な合併を推進するために国と都道府県の役割が規定されてございまして、また、普通交付税の算定の特例、合併特例債などの優遇措置が定められてございます。
 県といたしましては、市町村の自主的な取り組みに対して助言や支援をしていくことが重要であると考えてございまして、法の趣旨を十分踏まえ、必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 十二年度予算に関しまして、まず地方税体系の構築についてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、地方税財源の充実確保は地方分権を推進する上で極めて重要な課題であると考えてございます。
 地方税体系の将来像についてでございますけれども、地方分権推進計画にもございますように、地方の歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、国と地方の役割分担を踏まえながら、国から地方への税源移譲も含めた税源配分のあり方の検討が必要であると考えてございます。
 しかしながら、地方分権の財政的基盤となる地方税財源の充実確保の問題はいまだ具体的な筋道はつけられておりませんので、税源移譲など地方税の充実強化を図ることや、地方税において重要な地位を占める法人課税について、税収の安定的確保を図るため事業税に外形標準課税を導入することなどを国に要望してまいりたいと考えてございます。あわせて、地方分権の支えとなる自主財源の確保策についても幅広く研究してまいりたいと考えております。
 次に、行政改革と外郭団体の見直しについてのご質問でございます。
 まず民間と行政の役割分担についてでございますけれども、民間でできるものはできるだけ民間にゆだね、行政の行う仕事の範囲は民間が行い得ないものに限定すべきものと考えております。このような基本的考え方のもとに事務事業全般についての見直しを行い、民間委託による方がより効率的な実施を図り得るものにつきましては積極的に民間委託するなど、簡素で効率的な行政の確立を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、外郭団体の見直しについてでございますけれども、まず、現在県が二五%以上出資している法人の数は三十五団体となっておりまして、全国平均の四十八団体よりも少なく、全国的に見ますと四十五位という状況となっております。
 次に、これらの団体の財政状況でございますが、依然として財務状況の厳しい団体や県財政への依存度の高い団体が幾つか見受けられますので、組織の統廃合も含め、その運営の一層の効率化を図ってまいりたいと考えております。
 また、給与面での適正化や組織の活性化を図るため、県との人事交流を図るとともに、各団体を所管する担当課の指導強化を行ってきたところでございます。今後とも、事業の必要性、事業の効率性と採算性、あるいは他団体との競合等の観点から、各団体の見直しを鋭意行ってまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 地方分権についてのうち、職業安定行政の今後についてと、同和問題についてのうち雇用促進についてお答えします。
 まず職業安定行政の今後についてでありますが、議員お話しのとおり、この三月三十一日に地方事務官制度が廃止され、これまで県庁内にあった職業安定課、雇用保険課が労働基準局等と統合し、四月一日、新たに労働省和歌山労働局が設置されることになっております。これに伴い、両課が行ってきた職業安定法、雇用保険法関係の事務の多くは国の直接事務として労働局で行われることとなります。
 県といたしましては、本県の実情に応じた雇用・就業対策を引き続き推進していくことが重要な課題と考えてございます。このため、県として従来から実施してまいりましたUターン対策、高齢者、障害者、同和対策等の事務を引き続き実施するため、商工労働部内の組織について検討するとともに、労働局との連絡調整会議を設けるなど、緊密な連携を図りながら事業を推進してまいりたいと考えております。また、本県の雇用対策の充実や財源措置について、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に雇用促進についてでありますが、同和問題の主要な課題の一つである雇用対策や企業啓発につきましては、従来、職業安定課を中心に各種施策を実施してまいりました。巡回相談や職場定着指導等を行う特別雇用相談員のほか、高齢者・障害者相談員などの県費での相談員を引き続き職業安定所に配置するのを初め、求職者職場適応訓練、企業への啓発及び研修等について、労働局、職業安定所と連携を図りながら推進し、取り組みに混乱や支障を来すことのないよう努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 紀泉百万都市圏の実現についてのご質問のうち、道路整備についてお答えいたします。
 京奈和自動車道の橋本道路は八割程度用地買収の進捗を見ておりまして、早期供用に向け工事促進が図られるよう国に対して強く働きかけているところでございます。
 紀北東道路は、地元立ち入り了解が得られたところから測量、調査が実施されておりまして、早期用地買収着手に向け鋭意取り組んでいるところであります。
 昨年十二月に都市計画決定を行った紀北西道路は、早期に測量、調査が実施されるよう国へ要望しているところであります。
 県といたしましては、引き続き、各区間において、地元市及び町の協力のもと事業推進体制の強化を図るとともに、国に対し事業促進を強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 紀北活性化事業についてお答えいたします。
 紀北地域におけるイベント開催につきましては、ご質問にもございましたように、紀北地域の豊かな歴史、文化、自然、産業などを生かし、また、県民みずから主役となった将来のふるさとづくりにつながるイベントの実現に向けての基本的な調査検討を地域住民や市町村の皆さんとともに平成十二年度から進めていくこととしてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 育樹祭イベント開催についてのご質問にお答えいたします。
 全国育樹祭につきましては、国土緑化運動の一環として活力ある緑の造成機運を高めるため、毎年開催されてございます。
 本県では、森林の保育思想の高揚や林業技術の向上を図るとともに、恵まれた自然や歴史、文化を県内外に広くアピールするため、平成十八年開催を目途に全国育樹祭の招致を社団法人国土緑化推進機構等に働きかけてまいったところでございます。育樹祭開催地の内定時期は開催の三年前が通例となってございますが、本県での開催につきましては、他府県との競合もありますが、相当可能性が高いものと考えております。
 候補地につきましては、今後、議員ご要望の紀北地域も含め、県内の適地調査等を実施した上でできるだけ早く選定し、開催に向けて準備を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 同和問題のうち、同和行政総合推進プランと市町村指導についてでございます。
 県としましては、部落差別が存在する限り同和対策を積極的に推進することが責務であると認識し、現在取り組んでいるところでございます。
 今後、同和対策を推進するに当たっては、従来の特別対策はもちろんのこと、一般対策の中で対応する場合においても、同和問題を早期に解決する視点に立って策定した和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、一日も早い解決を目指してまいりますが、その取り組みに当たりましては、推進体制を点検しながら、地区の多様なニーズや課題を的確に把握し、施策を講じていく必要があると考えてございます。
 また、本プランにつきましては、策定以来機会あるごとに市町村に徹底を図ってきたところでございます。さらに、昨今の社会情勢の変化に対応し得るようプラン実施上の留意点を策定通知するなど、周知徹底を図っているところでございますが、プランの具体化がなされ、同和問題の早期解決が図られるよう今後とも指導を行ってまいります。
 次に、人権問題についてのうち体制の整備についてでありますが、人権教育啓発の推進につきましては、平成九年四月に福祉保健総務課に人権担当職員を配置し、人権教育啓発を推進するための指針となる「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画を策定したところであり、現在、その推進に努めているところでございます。
 本計画の県民の方々への周知を図るためには、和歌山県推進本部を軸に市町村等との連携体制の整備を図っていくことが重要であることから、本年度、市町村の取り組み体制の整備充実のため、和歌山県人権教育啓発推進市町村モデル事業を創設したところでございます。議員ご提言の職員体制につきましては、人権教育啓発の重要性を認識し、人権の世紀にふさわしい体制づくりに向け鋭意検討してまいる所存でございます。
 次に、人権教育啓発センターにつきましては、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画の中にも、人権文化創造のための情報発信基地として人権問題に関する資料の収集・展示や教育啓発の研究などを行う──仮称でございますが──人権教育啓発センターの設置を位置づけているところでございます。現在、国や他府県のセンターを参考にしながら規模や内容等について検討を重ねているところでありますが、できるだけ早い時期に設置を目指してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和問題の解決には、教育の果たす役割が極めて大きいものと考えております。
 教育委員会といたしましては、従前から、県同和教育基本方針に基づき、子供や地域の実態を直視し、特に学力の向上を重要な課題として、三十五人学級の実施などさまざまな施策を講じてまいりました。その結果、相当の成果を上げてきておりますが、学習状況調査の結果を見ましても、議員ご指摘のように、克服すべき課題は少なくありません。
 こうしたことから、現在、学校、地域、行政が一体となって取り組んでいる基礎学力向上推進地域指定事業を一層充実させるとともに、同和加配教員の適正配置に努めるなど、学力や進学率の向上を目指した取り組みを進めてまいります。
 また、同和問題を初めとする人権にかかわるさまざまな重要課題に対しては、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画の趣旨を踏まえ、推進体制のあり方の検討を含め、これまでの同和教育の経験や成果を生かしながら総合的に取り組んでいく必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、飯田敬文君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
  四十二番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長のお許しを得ましたので、手短に順次質問してまいりたいと思います。
 地場産業の廃棄物処理についてでありますが、特に海南の日用家庭用品業界の廃棄物処理の現状を申し上げ、県からの支援を得て地場産業界の活性化を促したい立場から申し上げます。
 これについてはリサイクル、自家処理とされているところですけれども、もはや現状は一向に進展いたしません。それが重荷となって活性化にほど遠く、かたくなにその姿勢を持ち続けることはいかがなものかと思います。それのみか、その重荷が商品にはね返り、やがて消費者の負担となることを余儀なくされてきているところであります。そのかかわりを早く改善しない限り活性化にはならない、こう考えます。業界のみでは到底及ぶところではなく、海南市当局と一体となってその取り組みをされているけれども、遅々として進まない状況であります。それなりの理由があるところとは考えますけれども、今日的には隣県へのしわ寄せが余儀なくされかねないところに至っているのではないかとさえ言われています。
 和歌山県は他県からの持ち込みは許さないが、業界の皆さんは他県へ運ばれることには大変心苦しい、気が重いと言われております。橋本市の産業廃棄物処理問題に対する処置は評価されることとしながらも、橋本、高野口のパイルに始まり、海南市の日用家庭品業界等をにらみながら、県は広域的に対処されることを求めて答弁を求めます。
 次に、道路問題にかかわってお尋ねを申し上げます。
 過日、三百七十号整備促進協議会及び四百二十四号整備促進協議会等が合同で県当局に陳情されました。地元選出議員としてその場に同席したものであります。陳情をつぶさに見ていて、一言申しおかねばならないと思うにつけて、幾つか申し上げます。
 私が今まで何回か取り上げ、当局に実現方を求めてきたことでもあるし、あるいはまた海南野上美里議会議員連絡協議会が長年にわたって当局陳情を繰り返されている内容からして、阪井バイパスの建設が地域住民の切実な要求であることは当局も十分認識されているところであります。しかし、陳情にはこれについての説明や図示がないからといって、要求がないなどと受けとめられてはならないのであります。陳情は、既に着工され取り組まれている工事にのみ限られ、新規事業については触れられないとのことのようですけれども、新規事業への対応が求められてならないところです。住民要求は、まさにその立場からのものであります。あえて申し上げながら、二、三、質問をいたします。
 阪井バイパスは、地元での取り組みがかなり前進的な姿を見せてきているけれども、この際、重根地区区画整理事業と連結して通すという構想には立てないのか。重根区画整理事業が阪井バイパスにつなぐとして進められれば、阪井バイパスはおのずから前に進むのではないかという意見もございます。その考えはないのか。
 次に、法線決定をして早く海南市の都計審に諮り、県へ上げる手だてをとられるようにやられないのか。地域の促進委員会なるものを組織して今後の取り組みの推進役を努める、そのような取り組みを地元に求められるようなことにはならないのか。
 海草振興局内の工事事務所の充実強化についてであります。三百七十号を初め、課題山積の地域において、事務所の充実強化は喫緊の課題であります。当局陳情の折、宗議員も熱心に訴えられていたところですけれども、私も部制にすることを含め、充実強化を強く求めておきたいと思います。
 次に、猿害と環境保全についてであります。以前にも取り上げましたけれども、このたびはさらに進めて具体的な手だてを求める立場からお尋ねをいたします。
 猿という自然との共生などという生易しいところにはもう既にないということを申し上げながら、まず被害状況をリアルに述べることから始めたいけれども、与えられた時間との関係で大変無理だと判断したので、結論を述べてみます。
 大旗山を囲む丘陵地域を根城とするタイワンザルが離れ猿として遠くは紀南方面にも広がり、ニホンザルとの混血が拡大しているおそれがあるとの研究調査の結果が手元にあります。混血固体の目撃されたところとして、七つから八つの町村に及ぶとのことであります。もはや、それぞれの自治体の独自的な取り組みでは対応しかねるところに来ている。広域に対策連絡協議会でもつくっての組織的対応が求められると、関係者は申されます。さらに、京都大学の霊長類研究所の協力を得て実態調査を急ぎ、固体数の把握に努め、それ以上は増殖させないとの断固たる措置を求めたい。
 そこで、さしずめ、和歌山市、海南市の領域で対策連絡協議会を組織されたいわけであります。ここでそれなりの結果、成果をまず出すことが肝要であろう、このような立場であります。その上に立って、情報を交換し、効果的な手法を協議し、捕獲あるいは威嚇し、囲い込み、射殺等、効果的な手段をとられることや、混血による生態系の崩れを防止すること等、対処方に当たられるよう進められたいわけであります。地区の人々みずからが立ち上がり、成果を上げるためにも、ぜひとも対策協議会が組織されなければならないと考える立場からの要求であります。ご意見をお求めいたします。
 次に、少子化対策の喜の国エンゼルプランについてであります。
 政府は昨年、少子化への対応を推進する国民会議の答申を受け、少子化社会対策基本法案なるものを引き続き審議する過程にあります。これについて何らかの対策を望む国民は九〇%強に達すると、各紙は伝えています。かかる状況下で、国会では、我らは紛れもなく有史以来の未曾有の事態に直面していると、少子化社会への認識を示して法案を国会に提出し、審議されているけれども、これについては我が和歌山県議会ではかなり以前、すなわち平成三年九月本会議で先輩議員が取り上げ、当局に対策を求めています。それにこたえて当局は、平成七年三月、和歌山県子育て環境づくり推進協議会を発足させて子供が健やかに生まれ育つ環境づくりへの提言をされています。それをもとに市町村関係の意見を徴して和歌山県児童育成計画を策定され、平成九年を初年度に平成十八年を目標年次として、十カ年の子育て支援施策の基本方向を示されています。早々と手を打たれた和歌山県の先進性には、敬意を示すものであります。これを称して「喜の国エンゼルプラン」として、総合的な子育て支援の指針とされているところであります。
 少子化は、経済的な豊かさを手にした国では避けられないとされて、経済成長を遂げている各国にひとしく見られる傾向でもあるようであります。これが人口構造にゆがみをもたらし、将来の国民生活に深刻な影響を及ぼしかねないところとなり、さまざまな姿でさまざま局面にひずみを生じてきているところであります。
 出生率の低下は、政府や当局の資料を見るまでもなく高度経済成長過程から低下し続け、今日に至っております。県では、田辺圏域、橋本圏域にていささか緩やかな傾向はうかがえても、すべて全体的傾向からは大同小異であります。ちなみに、海南市は一九六五年、出生数九百三人、三十年後の一九九五年、四百三十三人となって、まさに半減しているのには今さらながら驚くわけであります。
 和歌山県下で、その過程で「ポストの数ほど保育所を」との運動が起こった時代もありました。六七年度にひのえうまがありましたが、八〇年代、九〇年代と下降し続け、合計特殊出生率が一・三八まで落ちてしまいました。そのままいくと二十二世紀には一億二千万人が五千万人までに減ってしまうことになるとさえ言われているところであります。
 しかし、さきに申し上げたことに加えて、国会で審議されている法案を見る限り、推し進める政策の結果の必然とバランスある施策とがどうも受け入れられずに、小手先だけのもので済まされようとしているように見えてならないのであります。少なくとも、和歌山県として、将来の県民生活に深刻な影響を及ぼすことのないように決めた指針・エンゼルプランを実効あるものにするための検証が求められて当然であろう、その立場から幾つかお聞きいたします。
 人口動態総覧、昭和六十四年から平成四年までと、平成五年から平成九年までを参考にして、以下幾つかをお尋ねいたします。
 一つ目には、出生率人口千人に対し十を超える市町村は極めて少ないけれども、その中でも岩出町や吉備町のように伸び続けているところもあるわけであります。伸び続ける背景として何があるとおつかみになっているのでしょうか。
 次に、その逆に出生率五%以下が七自治体を数えるが、古座川町と北山村の二自治体がわずかではあるが伸びている。それは何なのでしょうか。
 次に、山間地に位置する自治体は軒並みに減少し、平たん地、中でも都市部でない岩出町、吉備町が増加にあるとさきに述べたところですが、施策の進め方によって救いの道があるのではないかということを教えているというふうに受けとめるわけであります。
 少子化社会対策基本法案なるものが地球人口扶養能力超過の傾向に対してどのようなバランス感覚をもって対処されるのか読み取れないけれども、ともあれ、エンゼルプランは生まれた子供の養育についての環境づくりを主として打ち出されているけれども、いかに産んでもらうかの施策が欠如していないでしょうか。さらに、このプランに沿って県下自治体はどんな取り組みをし、十八年の目標年次にどんな姿を描いているのでしょうか。
 とにもかくにも、経済成長政策を進める中での必然的結果として、厚生省の出生動向基本調査──一九九七年に行っているようですけれども──によれば、子供を産むのをためらわざるを得ない理由として、子育てに金がかかる、教育に金がかかる、家が狭い、子供をつくると仕事に差し支えるなどが挙げられています。これら理由とされる問題解決に当たりながらも、出生率を低下させない取り組みは避けて通れないことだと思います。
 重ねてお聞きします。十八年の目標年次はどんな姿にしようとしているのか、具体的な指標となるものを示されたいわけであります。
 次に、少子化対策を考えていく場合、生まれてきたらどうするかなどという小手先にすぎないで、どう産んでもらうかのあらゆる検討が求められてならないのであります。
 そこで一つ考えたいのは、環境ホルモンであります。例えば、船舶の船底の防汚塗料が原因してイボニシという巻き貝に奇形が起こり、雌は産卵できなくなり、雄は生殖機能を失うなどの機能障害を伴う環境汚染が進み、それがひいては人間にも及び、精子の数が激減していくという現象になっているとの指摘があります。環境ホルモンと言われる物質には、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル類──PCBです──初め有機すず化合物など七十種ほどあるらしい。こういうことなどを調査研究したり、文明文化の進展と少子化の関係等、さまざまな分野からの迫り方をせねばなるまいと思うけれども、さしずめ人体に与える影響について研究したらどうでしょうか。産んでもらいにくい諸条件に迫ってこそ、その対策ということになるのではないかとの考えからお尋ねするところです。
 最後に、日本で起こっている少子化というのは、社会全体が活力を失い衰退していく不健全な方向と言わざるを得ないのであります。そして、これは政治の責任であることは明らかです。我々が急に子供を嫌いになったり愛情がなくなったからということで起こっている現象ではありません。社会的要因によるものであります。産み育てやすい社会環境が用意されなければ、解決が望めない問題であります。
 北欧諸国では一たん落ち込んで出生率を回復していますけれども、国際労働機関の報告によると、家族政策は男女がともに経済活動と子育てが両立できることを根底に立案されているとのことであります。その上に立って、例えばの話、育児休暇について女性と同じように男性も強制的にとらなければならないということを含めて、さまざまな制度が保障されているということであります。小手先でなく、本腰の入った取り組みが求められているようであります。ご意見を求めながら、次に移ります。
 次に、スポーツの振興と県勢の活性化についてであります。
 スポーツの振興が県勢の活性化に連動するものとの認識は、だれしもがされることと思います。その観点から、幾つかの検証を試みてみたい。
 あるときは野球、あるときは水泳、あるときは相撲というように、和歌山県勢が大いに活躍し、県民を何かと鼓舞し、活気づける契機とされてきたところであります。ところが近年、何かと取り組みに勢いがなく、好ましい結果をおさめることなく久しいわけであります。それのみか、学校体育スポーツや企業スポーツの取り組みも衰退し、県勢の活躍の目覚ましさにあずかるところにはありません。
 例えば、正月の京都女子、男子の駅伝は大変残念な結果でありました。県民総体は、県民総参加を目指しつつも、地域における体育活動を振興させるに大きな原動力とするに功を奏しかねているように思えてなりません。地域によって社会体育を効果的に組織し、発展的に運営されているところもあるようですけれども、全県的にひとしく進められているようには思えません。
 また、全国的にも近年、急速に進められ、発展させ、はぐくんできた健康で自由、フェアなスポーツが、よほど気をつけなければ大きくゆがめられかねない動向が生じてきていることも考えなければなりません。例えば、過度な商業主義や視聴率至上主義のメディアの支配はスポーツの固有のルールとその精神をむしばんでいく傾向。次に、IOCの買収疑惑、ドーピング、競技団体の金銭をめぐる不祥事の多発とスポーツ団体と指導者の深刻なまでの精神的な荒廃。サッカーくじの導入でスポーツをギャンブル化しようとする政治の介入などなど。
 とはいえ、県民のスポーツ参加への要求は根強いものがあります。これらを効果的に組織し、発展させるにはどうするか、工夫が求められているところであります。
 一、二の現状を述べてみたいと思います。
 例えば、テニスコートは県営紀三井寺公園をとってみたら八面しかありません。関係者の話では、どうしても十面が欲しいと言われています。これは、全国大会などを和歌山県で開くとするならば大変運営に事欠くというところからのお話でもあります。さらに、県営以外の公営施設も貧弱であります。けがが続出し、競技者への肉体的負担が極めて多いと指摘されております。
 野球場の問題であります。絶対数が不足して、会場確保の調整会議に代表者が集まり、大変なことだとおっしゃっておられるようであります。県営紀三井寺競技場の施設が今日的には大変不備で、お困りの様子です。その代表的なものとして、電光掲示板がないのは残念だとも言われております。そして、いずれも使用料が少し高いのではないかというご意見も寄せられております。
 特に、紀三井寺野球場の電光掲示板の要求については、夏場の高校野球だけ見るにつけても大変なようです。都市公園内施設は土木の管理下にあるとのことですけれども、かつて和田議員からも指摘されている電光掲示板は、重ねて指摘されることのないようにされたいわけであります。土木と教育委員会がお互いにもたれ合いをしているのではないかとさえ思えるような、あるいはまた両すくみしているのではないかとさえ思えてならないわけであります。
 企業スポーツは、企業活動の長期にわたる低迷から落ち込んでしまっているし、真にスポーツを生活の中に取り入れ、健康増進と地域の活力を求めて取り組もうとする県民の要求にこたえ切れていない実態を指摘しながら、とりあえず次の諸点についての要求を提示してみたいと思います。
 スポーツ振興計画を県民の要求に基づき年次的、計画的にこたえられていくことを基本に申し上げながら、一つはテニスコート十面確保の取り組みと、紀三井寺野球場の整備をお願い申し上げるとともに、特に電光掲示板の設置については強く求めておきたいものであります。
 指導者の問題であります。これは、きのう名古屋女子マラソンがありましたけれども、優勝者のチームとその監督の話などをテレビを通じて見ているのに、大変なお取り組みをなされているようであります。ハイレベルの技術を身につけようと思ったら並大抵なことではないんだなということを教えられました。和歌山県勢に県民を鼓舞し激励するような成績を求める競技力を持つ選手を育成しようと思ったら、それぞれの施設やそれぞれの環境も大変でしょうけれども、まずは指導力強化の問題が求められてなりません。その指導者の取り組みは並大抵なことでないというようなことを、競技力強化を考えるにつけて、あのようなハイレベルな技術を持った選手の養成のお話を聞くにつけ、至難なことだろうけれども、そこのところに特別の取り組みをしなければならないのではないかと思いながら、指導者強化の問題も提起しておきたいと思います。
 さらに、サッカーW杯参加チームへの練習場提供というか、導入の取り組みについて、いかなる要請があり、その要請にどうこたえようとしているのか、お尋ねいたします。
 イベントに参加し、イベントを引き入れることを通じて地域と住民のスポーツ要求が将来的に満たされるような取り組みを求めたいわけであります。スポーツの一般化、大衆化が進めば進むほど、施設要求は高まります。ビッグホエールのようなものもさることながら、安くて気軽に使える施設が求められてなりません。
 次に、先ほども申し述べましたけれども、競技力向上の問題であります。特別の手だてが求められてならないところであります。
 国体近畿大会が和歌山でということで、競技力を強化したいとのことですけれども、画一的、一般的に果たし得られないと思うわけであります。当面、緊急に手だてを必要とするところは思い切ってとられるよう求めたいわけであります。
 重ねて申します。スポーツの一般化、大衆化が進めば進むほど、施設要求、環境整備の要求が強まります。また、頂点をきわめるためには特別の技術の向上に努める強化策が求められるところでしょう。これらに十分こたえてこそ、スポーツ和歌山にふさわしい実態を創出することができる。その立場に立たれるようにお求めし、ご所見をお伺いして、一回目の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 地場産業の廃棄物処理についてお答えします。
 地場産業、特に日用家庭用品業界の産業廃棄物対策についてお答えします。
 産業活動の発展を図りつつ良好な生活環境を保全していくには、排出事業者それぞれにおいて、廃棄物の発生を抑制し、あるいは再資源化を図り、廃棄物を有効活用することが肝要であると考えております。
 家庭用品業界で特に問題となるのはプラスチック類でございますが、工業技術センターにおきまして、焼却の際ダイオキシン発生の原因となるポリ塩化ビニールにかわる素材の開発などを関連企業と共同で取り組んでいるところであり、これらを契機として産地組合における一体的な取り組みを促してまいりたいと考えてございます。
 また、今後ともリサイクルシステムの構築に向けた取り組みを行い、環境の保全とコストダウンによる企業の競争力の強化を図る地域産業資源循環創出事業や、新たな環境ビジネスの産業創出に意欲的に取り組む企業に対してリサイクル等の技術開発に対する支援を積極的に行うことにより、環境と調和した地場産業の振興に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず初めに、道路問題についてお答えいたします。
 国道三百七十号の阪井バイパスは、平成二年に都市計画決定に向け計画案を公告縦覧したところであります。しかしながら、反対意見が多数のため都市計画決定に至らず、今日に至っている状況でございます。
 県といたしましては、以前に提示したルートを基本とした計画案を海南市に提示しているところであります。今後、海南市を初め、地元役員の皆様の協力を得ながら、都市計画決定に向けて努力してまいります。
 次に、スポーツ体育の振興と県勢の活性化のご質問のうち、施設の実態と県民の要求についてお答えいたします。
 紀三井寺公園におけるテニスコートの増設につきましては、都市公園法により運動施設の面積が公園面積の五〇%を超えてはならないと規定されておりまして、既に五〇%となっている紀三井寺公園ではこれ以上運動施設をふやすことはできない状況にあります。
 また、使用料金が高いとのご指摘ですが、周辺の同種施設と比較して決して高くはなく、むしろ安いと認識してございます。
 野球場の施設についてですが、野球場に限らず、各施設について利用者の皆様からさまざまなご要望がございます。施設の充実については、必要性、緊急性を考慮して、関係機関と協議してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 中山豊議員ご質問の、猿害と環境保全についてでございます。
 人と野生鳥獣とは、適正な保護と管理のもと共生していく必要があると考えているところでございます。しかし、野生鳥獣による農作物への被害が多く発生し、農家の方々が困っている状況もございます。これらの被害対策としまして、関係部局や関係市町村とも連携しながら、一層効果的な被害防除対策や有害駆除等に努めてまいりたいと考えております。
 和歌山市、海南市にまたがる地域に生息するタイワンザルについては、輸入種による生態系の乱れを防止する必要もあり、現在、生息状況等、調査中でございます。今後、その結果を踏まえ、学識経験者や関係行政機関等による検討会を設置し、特定鳥獣保護管理計画を作成するなど、適切な対策を検討してまいります。
 続きまして、少子化対策についての環境ホルモンの研究についてお答えいたします。
 環境ホルモンの問題は、社会的に大きく取り上げられたことから、環境庁は平成十年五月に環境ホルモン戦略計画SPEED九八を策定し、環境庁としての対応方針を発表したところであります。それによりますと、人の精子数の変化に関して幾つかの研究チームが研究を進めていると記述されております。少子化との関連については触れられておりませんが、県といたしましても、今後の研究成果に注目し、情報収集に努めるとともに、関係機関に情報を提供してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 少子化対策の喜の国エンゼルプランについてのうち、まず人口動態総覧とのかかわりでございます。
 少子化問題につきましては、国において平成九年に人口問題審議会で「少子化に関する基本的考え方について」という報告書が取りまとめられました。これは少子化問題を初めて正面から取り上げ、その影響、要因と背景について総合的な分析をし、少子化の影響への対応とともに要因への対応をする必要があるとの考え方を打ち出されております。
 出生率の低下の根本的な原因は、経済成長の過程で多くの国民の生活や社会の形が画一的、固定的になり過ぎた結果、結婚や子育てへの負担感が増してきたことにあり、出生率の回復を目指す取り組みとは、こうした原因を取り除き、子供を産み育てることに夢を持てる社会をつくることであり、家庭、地域、職場、学校といった生活に深くかかわる場に多様な形でかかわっていけるような社会づくりが求められているところでございます。
 議員ご質問の県内の状況でございますが、出生率が伸びている町村につきましては、主たる要因は、新たな宅地開発、ベッドタウン化により人口が増加し、それに伴い出生率がふえていると考えられますが、それとともに、働く場所の問題、保育所、病院等の生活環境の整備、日常生活を営む上での利便性などが子育て年齢層の増加につながっていると考えられます。
 また、わずかでありますが伸びている町村につきましては、人口も少なく出生件数が低いため、率の比較分析を特定するのは困難とは思われますが、定住のための住宅建設、働く場の確保等による若者のUターン効果が要因ではないかと考えられます。
 次に、産み育てやすい社会環境の創出についてでございます。
 少子化社会対策基本法案は議員立法により立案され、我が国における少子化対策を実効性あるものにするための基本法であると認識しています。県といたしましては、さきにご答弁させていただきました少子化の主な要因を十分に認識しながら、子育てに夢を持てる社会づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 本来、結婚や出産は個人の自由意思、価値観に基づくものであり、今後、若い世代も含めた多くの方々のご意見を参考にしながら、喜の国エンゼルプランの充実を図り、結婚や子育てに真に喜びを感じることのできる地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
 市町村のエンゼルプランにつきましては、それぞれの自治体が地域の特性を生かした児童育成計画を早期に策定されるよう、今後とも指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興に関してお答えいたします。
 スポーツは、申すまでもなく、活力に満ちた生きがいのある社会の形成に寄与するものであり、また本県選手が全国大会等で活躍することは、県民に感動をもたらし、郷土愛につながるものであります。このため、スポーツの振興を重点施策として掲げ、取り組んでいるところでございます。
 まず県民スポーツの振興についてでありますが、多様なスポーツニーズにこたえるため、施設の整備充実、指導者の育成、魅力あるプログラムの提供などを推進し、一定の広がりを見ました。今後、スポーツ愛好者の自主的な運営による総合型地域スポーツクラブの育成、公共体育施設を中心としたスポーツ活動の拠点づくり等を推進するため、各市町村や関係団体と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、ワールドカップサッカー公認キャンプ地の誘致でありますが、県といたしましては、スポーツ振興はもとより、本県を全世界に発信する絶好の機会であり、キャンプ地誘致に立候補したところであります。県サッカー協会や民間団体等、各方面の方々のご協力をいただきながら、その実現へ向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、競技力の向上対策についてでございます。
 最近の本県の競技水準は、国民体育大会や全国駅伝大会などの成績は残念ながらここ数年低迷している状況にあります。このため、トップアスリートの育成、ジュニア一貫指導システムの構築、ハイスクール強化モデル指定校などの事業を推進しております。さらに本年度は、国際大会等で活躍した優秀な選手、指導者によるアドバイザーコーチ招聘事業など、重点的に取り組んでおり、全国中学生大会や高校総体などではその成果があらわれてきてございます。
 今後とも、優秀な人材の発掘や確保に努め、競技力の向上を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番中山 豊君。
○中山 豊君 ご意見をつけ加えながら、幾つか要望申し上げておきたいと思います。
 野球場の電光掲示板の問題で、運動施設の面積率が公園面積の五〇%を超えてはならないという規制があって既に五〇%いっぱいだからというお話もありましたけれども、電光掲示板の問題にかかわってのお話ではないとは言いながら──これは、面積率に関係してあれこれ、できるとかできないとかにかかわる話ではなくて、やろうと思ったらやれる話です。具体的に要求しているにもかかわらず、答弁は何か全般的な問題でくるんでほうってしまったような感じに受けとめられてならない。こんな不誠実な答弁はいただけない。和田議員が前にも提起していて二度と重ねて言わすことのないようにせえと言っているにもかかわらず、こういうふうなご答弁。これはいただけない。
 海南市の市民グラウンドに、電光掲示板がついているわ。十九日にこけら落としをすると言うてた。念のために見に行ってやってもらいたいと思う。市の市民運動場にさえあるにもかかわらず県営の野球場にそれがないなんていう、そんなお粗末なことのないように努力してくださいな。今直ちにここで「やります」などとも言えないだろうから重ねて言わないけれども、そういう事情も絡み合わせて具体的に要求しているんだから、それについては具体的に答えてもらえるようにお求めしておきたいと思います。
 次に、猿害の問題です。
 答弁を聞いておりますと、被害防除対策等、有害駆除などに努めてまいりたいというお話でした。これについても、最も効果的に対応するために、情報交換をしたり手法を創出したりする対策協議会をつくってくださいと言っているんだけれども、それには明確に「それではつくりましょう」などとは答えてくれないで、防除対策や有害駆除等に努めてまいりたいと、これもふんわりとかわしてくれてるんだな。これはいただけない。
 もうこれは、連絡協議会を発足させて、しかじかのそういうご迷惑のかかるようなことのないようにいたしたいということとして受けとめます。だから、四月一日以降は、早速これの組織のためにご努力いただくことをお願いしておきたいと思います。
 これはまさに、先ほども申し上げましたけれども、行政がかかわってあれやのこれやのというふうなことでは手が詰まないんです。地域の人たち、被害を受けた人たちが寄り寄り集まって情報を交換したり、どんなにするのが一番効果的やという手法を創出する対策協議会をつくってこそ効果がある。そういうものを県の方でご支援していただきながら発足させなさいと言っているんだから、ぜひともそれにこたえてくれることを求めておきたいと思います。四月一日以降にそういう動きがなかったら何回でもやるからね、これは。
 次に、少子化の問題です。
 部長からご答弁いただきました。わずかではあるけれども、動態調査の上でそれなりに、エンゼルプランで描いているような産み育てるのに好ましい環境、社会、地域づくり、それの典型がうかがえるものがあると申し上げているわけです。だから、エンゼルプランの具体化のためにはそのあたりを指標にしながら具体的な手だてを打ってほしい。
 十八年の目標年次には、具体的にこの分野についてはこうします、こういう分野でここまで到達したいと考えますというところを述べてほしかったんだけれども、それは至難のようなので、そこまで踏み込んでお求めすることにしないで、既に今までの取り組みの中でその指標になるような自治体が幾つかあるというご指摘を申し上げて、皆さんはそれを分析して、こうだこうだというような幾つかの要因を抽出して述べていただきました。それが一つの手がかりになるとするならば、それはエンゼルプランの具体化のために大きく役立ててもらえる手がかりがつかめたのではないかと思われますので、その点のご指摘を申し上げて、終わりたいと思います。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時四分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 議長のお許しをいただきましたので、通告させていただいておりますことに対して、知事及び関係部長の誠意あるご答弁を期待して質問をさせていただきます。
 質問内容に入る前に、私自身、質問の機会を与えていただくのはこれで二回目でありますし、さらにはまた知事がご出席の本会議場での質問は初めてであります。大変緊張しております。また、新年度予算を審議するこの二月議会も、当然初めてのことであります。いただいた予算書や資料の膨大さにも少々驚いておりますし、また厳しい財政状況の中で予算編成のご苦労をされた知事にも想像するに余りある思いがいたします。特に、知事以下三役がみずから報酬をカットしてまで県民のために必死の思いでのご努力に対し、少なからず感銘を受けました。私はふと、ある大統領の就任式でのスピーチを思い出しました。それは、「国民を天と仰ぐ」という言葉であります。私たち議会人も、また知事初め県職員一人一人までもが県民のためにあるということをいま一度お互いに確認すべきではないかなと強く感じました。
 今さら申し上げるまでもありませんが、今、日本は空前絶後の大不況であります。まして我が和歌山県にあっては、残念なことでありますが、百分の一県とまで言われる中でありますから、想像するにそう難しくありません。農林漁業、商工業、建設業、またそれらの企業に働くサラリーマン、すべての分野の方々が私たちのあるじであります。県民の血の出る苦しみを目の当たりに見、思うとき、知事は予算執行に当たっては、経費の節減、予算配分には大変ご苦労され努力されたこととは思いますが、どれほど県民に知事の心情なり熱意が理解されているでしょうか。県民は大変賢明でありますが、県行政を非常に遠く感じています。知事におかれましては、今後ともこの県行政の遂行に当たっては、身近な県行政実現のため、県民の理解と協力を得るべく強力な指導力を発揮していただくよう強くお願い申し上げます。
 また私は、和歌山県議会議員として県政全般にわたり執行される西口県政に対して、議員としての立場はわきまえているつもりでありますが、まだまだ駆け出しの一年生議員であります。今、若輩者の私にできることと言えば、県行政をできるだけ県民に近づけることと、那賀郡民の声を県政にできるだけ反映させることだと思っております。また、紀北の発展、特に世界に一番近い、関西国際空港に一番近い那賀郡の発展なくして和歌山県の発展はあり得ないと確信している一人であります。そういう意味で新年度の当初予算編成を見ても、紀北地域に対する配慮に少々物足りなさを感じております。今後、県行政全般にわたり適正な予算執行を期待しながら、那賀郡の事案を中心に質問させていただきます。
 なおまた、私自身、至って単純な人間でありますし、また先輩議員のように文学的センスも残念ながら持ち合わせておりませんので、執行部の皆さんに対しまして大変失礼なことも多々あろうかと思いますが、寛容の精神をもってお許しいただきたいと思います。
 まず第一点目の質問といたしまして、府県道泉佐野岩出線及び都市計画道路南港山東線の問題についてお尋ねいたします。
 知事が提唱されている和歌山県の新時代構想の中で、関西の新たな都市圏の核となる紀泉百万都市圏構想がございますが、当然ながら那賀郡が中心的な位置づけになるでしょう。那賀郡も年々人口が増加し都市化が進行する中で、都市基盤の整備が急務であります。郡内道路に関しては、知事、関係各位の熱意のおかげで京奈和自動車道の紀北東、紀北西の計画決定に伴い、測量、調査が開始されるよう段取りを進めていただいております。また、府県道泉佐野岩出線についても、関西国際空港や京阪神方面へのアクセス道路として、現在岩出町まで都市計画された中で、関係者の大変なご努力により工事が順調に促進されていることに対しては大変喜びとするところでありますが、風吹トンネル予定地周辺で一部未解決な地域があると承知しておりますけれども、現在の進捗状況と今後の見通しをお尋ねいたします。
 次に、府県道泉佐野岩出線の岩出町以南から貴志川町を通り海南市の国道四十二号線に至る道路の南伸についてお尋ねいたします。
 この府県間道路の南伸につきましては、府県道泉佐野岩出線等整備促進期成同盟会より毎年知事に対して陳情されているところであり、また県が平成八年度に策定いたしました京奈和自動車道広域都市計画策定調査の広域道路網計画の中では、優先的に整備すべき道路として仮称・岩出貴志川線が位置づけられており、貴志川町が平成八年に策定されている貴志川町総合都市交通体系調査の道路計画とも整合がとれております。したがってこの南伸ルートについては、和歌山都市圏の外環状道路として、また地域の発展と活性を図るための広域主要幹線道路として、地域においては必要不可欠な道路であります。府県道泉佐野岩出線の南伸ルートの確保により、紀の川の河南部である貴志川町、桃山町、野上町、美里町、海南市の東部地域より、京奈和自動車道の岩出インターから国土軸への交通アクセスが容易となります。周辺地域で非常に要望の高い交通路線であります。県として早期に都市計画決定をしていただき、ぜひ整備促進のため具体化をお願いいたします。
 なお、これにつきましては、過日、貴志川町長を筆頭に町職員幹部同行の上、さらにはまた那賀振興局長にもご同行願い、県各部へお願いに上がっている一件でもあります。
 次に、都市計画道路南港山東線についてお伺いいたします。
 その前に、県道和歌山橋本線につきましては、県開発公社が当時、貴志川町長山団地の県営住宅開発に伴い、和歌山市への十五分間道路として県道和歌山橋本線が整備促進されまして、さらにはまた吉礼トンネル、貴志川大橋も完成していただき、和歌山都市圏の主要幹線道路として皆さんがたくさん利用されています。この道路の完成に伴い周辺からの交通量が大変増加しまして、一部岡崎地区の未整備区間もあり、朝夕大変な交通渋滞が発生しております。
 そこで、都市計画道路である南港山東線の件でありますが、和歌山南港から和歌山市東山東の南海電車貴志川線山東駅南側の永山地区まで都市計画道路として決定され、現在和歌山市中島地域ではJR紀勢線との交差部において工事中であると聞き及んでおりますし、今後も引き続き山東方面に向かって工事が促進されることであろうと思いますけれども、この道路を東山東で中断させることなく、ぜひ貴志川町の国道四百二十四号線まで延長していただきたい。この件につきましても、泉佐野岩出線の南伸と同様に、先ほど申し上げました広域道路網計画の中で優先的に整備すべき道路として仮称・和歌山貴志川線として位置づけられております。ぜひ整備促進のための具体化をお願いしたい。
 さらにまた、都市計画道路である南港山東線と阪和自動車道の交差部には、県都和歌山市東部地域周辺の発展と国土軸との連絡を強化するため、全国各地を結ぶインターネットワーク道路としての阪和道路と直結するインターチェンジをぜひ設けていただくようご尽力いただけますよう、この件については要望いたします。
 第二点目の質問でありますが、和歌山LNG火力発電所関係であります。
 県は近々関西電力と環境保全協定を結ぶべく段取りを進められているように聞いておりますが、建設場所は和歌山市であり、その隣接町のみの立ち会いだけでよいと思っておられるのでしょうか。法的にはそうであるとしても、道義的にはどうなんでしょうか。那賀郡は小さな郡であります。那賀六町の面積が紀南地方の例えば古座川町に那賀郡をヘリコプターで持っていきますとすっぽり入るような、古座川町より小さい那賀郡であります。そんな小さな那賀郡に六町がありまして、さらにまた町と町との境界が複雑に出入りしている現状で、「那賀郡は一つ」の合い言葉のもとに、六町は本当に仲よき仲間として各方面で広域的事業に積極的に取り組んでおられます。もし仮に、那賀郡が一町であったらどうなりますか。
 聞くところによると、環境アセスメントの調査範囲は半径三十キロメートル以内だそうであります。和歌山LNG発電所から三十キロメートル以内には那賀郡が大体入ってしまうような位置にあります。したがって、単に行政区画のみで判断するのではなく、今回の場合、隣接はしていないけれども、桃山町を初めとする那賀郡全町の意見を聞いてしかるべきと思いますが、どうでしょうか。町民感情としても何か割り切れない感じがいたします。ご意見をお伺いしたいと思います。
 次に電源三法による交付金についてでありますが、和歌山LNG火力発電所の建設地である和歌山市と隣接自治体である海南市、岩出町、貴志川町、岬町、阪南市の二市三町には交付金が交付されますが、たとえ距離的には近くても隣接していなければ交付されない仕組みになっております。これについても、先ほど申し上げた環境保全協定同様何か割り切れなさを感じるところであり、法を曲げてでもとは申しませんが配慮していただく余地がないものか、お尋ねいたします。
 次に、大気汚染測定局の設置についてお伺いいたします。
 さきの隣接町への立地計画に関する関電や県への各町の意見具申の中で、環境監視のための公的測定局の設置要望に対して、粉河町へ一カ所設置するとの回答がありました。また、かんきつ、落葉果実等の樹木調査の実施要望に対しては、その必要なしとの回答であります。前にも申し上げましたが、那賀郡内にはいろいろ農作物があります。特に、特産物としての桃があります。発電所の煙突が地上百二十メートルと聞いておりますので、煙の到達距離は二十四キロから二十五キロだとお伺いしています。そうすると、煙の到達点は桃山町であり、粉河町の畑の真ん中に位置します。発電所として完全に自信があるならばなおのこと、事前に郡内に三カ所程度の測定局を設置すべきと思います。今までに梅対策に投じた費用や今後梅に必要とされる費用を考えれば安いものだと思いますが、ご所見をお伺いします。
 次に三点目の質問でありますが、貴志川ラインの水質保全についてお尋ねいたします。
 現在、貴志川町が確認している既設の産業廃棄物処分場が貴志川の支流である野田原川上流にあります。それらの処分場の歴史は古く、昭和四十五年ごろと聞いておりますが、また廃棄処分を行った会社も一流企業でありますので、決して不法投棄したものではないと思います。ただ、最近になって貴志川町の住民から町議会へ現状調査の請願があり、それを受けて町と町議会が水質保全検査を実施しましたが、今のところ測定値としては基準値以内ということでありました。しかしながら貴志川町としては、町民の生活飲料水の安全を確保することはもとより、水辺の生態系動植物を保全するためにも、将来にわたり不安を残さないためにも、貴志川町長名で平成十一年九月八日付をもって西口知事あてに処分場を撤去するよう相手企業名を挙げ指導していただくよう強く要望しておりますが、この現状をどのように認識され、今後どのようにお取り組みいただけるのか、お伺いいたします。
 次の問題といたしまして、こんな問題、話題のある中で、野田原川上流のほぼ同じ場所で、県管理とはいえ建設残土処分場をつくるとは何事かと思います。処分場用地は隣町の野上町であり、地区住民も大変協力的であると聞いておりますので、残念ながら貴志川町としてはあえて阻止すべきすべもありませんが、特に最近は至るところで産業廃棄物問題が勃発している中で、県当局として下流域住民に対し慎重の上にさらに慎重を期していただきたい、事業の執行に当たっては、さらに最善の注意を払っていただきたいと思いますが、どうお取り組みいただけるものか、お伺いいたします。
 また、その処分場の現状は雑木林の密集した谷の深い場所でありますが、それが百万立米という大変な土で、やがて平面となった場合、集中豪雨等により土石流が発生する危険性も危惧されます。砂防堤の築造等、防災面の配慮にも細心の注意が必要であります。今後、貴志川町の意見も十分取り入れるよう、協議には必ず加えていただくように対処すべきと思います。ご所見をお伺いいたします。
 続いて四点目の質問として、紀の川流域下水道事業についてお尋ねいたします。
 私がこの事業の存在を知ったのは昭和五十四年ごろだったと思いますので、二十年も前のことであります。いよいよ平成十三年四月には伊都処理区の終末処理場が完成して一部供用開始の運びとなるとのこと、この間の関係者の大変なご苦労には最大限の敬意を表したいと思います。
 そこで、現時点で流域の関係市町の面整備はどうなっているのでしょうか。処理場の稼働率との関係はどうなっているのか、お伺いいたします。
 次に、那賀処理区の事業であります。
 知事も、那賀処理区についてはいろんなところで積極的な発言をされていますので大変期待をしていたのでありますが、残念ながら平成十二年度予算を見る限りでは、その取り組みについては推測できません。当然ながら、流域六町に対する面整備の計画の指示もいまだなされていないようであります。伊都処理区の完成までの大変長い険しい道のりを振り返れば、那賀処理区の難しさも容易に想像できます。だからこそ、今具体的なアクションを起こしていただきたい。那賀郡六町の町長からは職員を派遣してでも協力するとの声も聞いておりますので、例えば那賀振興局内にプロジェクトチームをつくっていただくなり、何かの方法で郡民にアピールをしていただきたい。積極的な取り組みへの具体的な回答をお願いいたします。
 幾つもあって申しわけありませんが、第五点目の桃の振興策についてお尋ねいたします。
 和歌山の産物と言えば、すぐにミカン、梅が挙げられますが、県内の粗生産額をとってみると、桃もミカン、梅、カキに次いで四番目に位置しています。特に那賀地方の桃山町、粉河町は、桃を重要な産業としているところであります。ところが、桃は大変デリケートな果物であり、桃の生産地ではここ数年来、せん孔細菌病という病気に悩まされ続けております。風によって伝染する大変な病気によって桃の商品価値が下がり、出荷量が半減している状態であります。昨年も農業共済組合からの保険金を細々と受けて、じっと我慢している桃農家の悲痛な声が聞こえませんか。県は、紀南地方を中心とする梅に対しては手厚い助成策を講じられ、平成十二年度当初予算においても約二億六千五百万円を計上しております。梅に対してとやかく言うつもりはありません。しかし、紀北地方の特産物である桃に対しても真剣に対処していただきたい。病害虫などの被害を防止するための対策を初め、桃の振興策についてどのように考えられているのか、お伺いいたします。
 最後に、公共事業の執行に対する県当局の姿勢についてお尋ねいたします。
 公共事業は、申すまでもなく地域社会、地域住民に対して公的機関が実施する事業であります。特に、長引く不況の中で、県としても景気浮揚のため、平成十二年度予算でも見られるように必死の努力をしていただいております。
 そこで、県民の幸せのために行う公共工事、県勢浮揚の大きな要素を含んだ公共工事は、ぜひ県民の手で実施できるようお取り計らいをいただきたい。県内には、あらゆる業種において優秀な人材、企業がそろっています。事業の構想から設計、施工に至るまで、能力は十分だと私は確信を持っております。しかし、残念ながら現在まではそうとばかりは言えないようであります。あえてここで例を挙げませんが、もし事業規模によって能力不足と判断されてのことであるならば、ぜひ今後は、場合によっては特殊な技術を持つ一流企業との共同企業体等の形態も配慮し、県内業者の技術の向上、組織の強化に手を差し伸べてあげてほしいと思います。これが本当の「まごころ県政」であり、「元気わかやま」実現への近道であると思いますが、ご所見をお伺いしたい。
 次に、施工方法、特に土木工事の工法において、この厳しい社会情勢にタイミングを合わせて実施できないものか。
 一例を挙げますと、例えばここに排水路工事があるとします。小さなものから大きなものまで、ほとんどすべてがボックスカルバート、つまりコンクリートの二次製品であります。請負工事金額の大半が材料代であります。工事金額は上がっても、作業人数つまり労務費代はわずかであり、その大半が資材費で占められているのが現状であります。つまり、私の言いたいのは、ほんの少し前までは仮枠大工さんや鉄筋屋さんたちが現場で組み立て、生コン業者が現場でコンクリートを打ち、現場には活気がありました。みんなが生き生きとして働いていたものであります。こんな話をしますと、その辺からいっぱい反論が聞こえてくるのが手にとるようにわかります。例えば、工期の短縮であり、経費節減であり、工事費抑制であり、あるいは工事の精度のことを考えれば、おまえ何言うてるのや、時代に逆行やないかというような話がこの辺から聞こえてくるのがありありとわかります。
 そこで、本当に原点に立ち返って考えていただきたいのであります。県民のための工事、県勢浮揚のための公共工事であるならば、活性化のための工事であるならば、総予算の中で工事件数を抑えてでも地元業者を育成できるような施工方法をとっていただきたい。その対価、効果は著しいと思います。県当局のご所見をお伺いいたします。
 また、発注される工事における主要資材は和歌山県外のものが多々見られ、これもまた何人のための、だれのための公共事業かと思われるようなことが多く見られます。ここでも具体的な例は差し控えますが、県外の設計業者やコンサルタントが設計し、図面に参考品番が記入されていると、どうしても施工業者としては県当局の担当者の手前もあって図面どおりの製造業者の物品を買うことになります。その結果、県内の公共事業とはいいながら、でき上がってみればその大半が県外業者の製品で占められていたという現象を、私は何度となく目の当たりにしました。重ねてくどくど申し上げますが、業界が少しでも元気が出るよう格段の配慮を願うものであります。
 以上六点にわたる質問を終わりますが、特に六番目の最後の質問の県の姿勢については、知事ご本人からご所見をお伺いしたいと思います。
 どうも、ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山田議員にお答えをいたします。
 まず公共事業についてでありますけれども、公共事業は、議員のご指摘にもございましたように、現在の厳しい不況下での県勢浮揚のために大きな役割を担っているものと思うわけでございます。県産業の中で大きなウエートを占める建設産業に頑張っていただくことは県経済の活性化につながることになりますから、県内業者への優先的な発注には今までも心がけ、これからも心がけてまいりたいと存じております。厳しい財政状況の中ではありますが、ゆとりと豊かさを実感できる県土の構築を目指して、質の高い社会基盤の整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 詳細につきましては土木部長から、他の問題については関係部長から答弁をさせていただきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず初めに、府県道泉佐野岩出線及び都市計画道路南港山東線についての三点のご質問に順次お答えいたします。
 県道泉佐野岩出線の改良事業につきましては、国道二十四号から府県境部までの六・六キロメートルのうち備前から根来までの工区は約九六%の用地を取得し、工事の進捗を図っているところであります。
 また、府県境部の根来から押川までの工区は地籍調査を行っておりまして、登記の可能なところから順次用地買収を進めているところであります。今後とも、地元の協力を得ながら、両工区の早期完成に向け努力してまいります。
 次に県道泉佐野岩出線の南伸についてでございますが、岩出町から海南市に至る広域的な路線として認識しております。今後、関係する市町の町づくりをもとに、将来の土地利用計画や交通需要を含め、路線の位置づけについて検討してまいりたいと考えております。
 また都市計画道路南港山東線の東伸については、県道和歌山橋本線が既に二車線道路として改良済みであることから、今後地域開発など土地利用の動向や交通需要に応じて検討してまいります。
 続きまして、三項目めの貴志川ラインの水質保全についてのご質問のうち、県管理建設残土処分場についてお答えいたします。
 和歌山県内で発生する建設残土の処分につきましては、適正な処理と処分費用の低減を図る目的から、県管理としての公的処分場の整備を進めているところであります。
 貴志川上流につきましては、紀北地域における候補地の一つとして選定し、事業化の可能性について現在調査しているところであります。建設残土は産業廃棄物ではありませんので、公的処分場の整備についてご理解をいただけるよう、地域関係住民及び関係機関とも十分に協議を進めてまいります。
 なお、防災面や施設の構造についても、地形の状況を十分調査の上計画し、適正に管理された公的処分場の設置を考えております。
 続きまして、四項目めの紀の川流域下水道事業について、二点のご質問に順次お答えいたします。
 まず伊都処理区につきましては、関係一市三町の処理予定面積二千八百三十五ヘクタールを全体計画として、現在終末処理場建設工事及び幹線管渠工事を進めているところでございます。市町が実施する住居周辺の管渠整備、いわゆる面整備につきましては、当初実施計画面積九百六十八ヘクタールのうち約四八%の整備が終了し、平成十三年四月一部供用開始に向け、急ぎ作業を進めております。今後は、市町の面整備の進捗を見ながら、段階的に処理施設の増設を図ってまいります。
 次に那賀郡六町を対象とした那賀処理区につきましては、終末処理場の位置決定について関係町と協議を進めているところであります。また、処理区域の範囲、中継ポンプ場の位置等についても、六町と協議を行いつつ基本計画の策定作業を進めているところでございます。今後も、地元関係者の方々のご理解を得ながら都市計画決定等の法的手続を進め、早期事業化に向けて取り組んでまいります。
 また体制づくりにつきましては、現在岩出町より職員の派遣を受けており、今後、作業の推移を見ながら関係町へ協力をお願いしたいと考えております。
 続きまして、六項目めの公共事業の執行についてのうち、二点目、県内業者最優先にすべきとのご質問にお答えいたします。
 大規模でかつ技術的難易度の高い五億円以上の土木工事につきましては、県外大手建設業者と県内建設業者があらかじめ特定建設工事共同企業体を結成して入札に参加する公募型指名競争入札を行っています。その際、県内業者につきましては、必ず構成員となるように公募条件を設定しているところであります。五億円未満の工事や設計、コンサルタント業務等につきましては、県内業者が優先的に入札に参加できるよう可能な限り分離分割発注を行っているところであります。
 次に施工方法の見直しについてですが、現状の建設業界は熟練労働者の減少、労働者の高齢化など多くの問題を抱えています。さらに、所定の品質の確保、コスト縮減、迅速な工事の実施など施工の合理化が求められています。このような状況から、コンクリート二次製品の活用は県が重点的に取り組んでいる公共工事のコスト縮減対策の施策として現在積極的に進めているところでありますが、議員ご指摘の件につきましては、施工地の条件に応じてその適応性について検討してまいりたいと考えています。
 次に主要資材の県内業者優先のための弾力的な配慮についてですが、土木部では、県外のゼネコンを初め県内業者に対して、下請の発注や建設工事に使用する資材、建設機械または仮設機材のリース及び運送業者の調達に当たっては県内の業者を優先的に選定するよう業界に要請をしているところであります。
 なお、県産品の優先使用につきましては、特記仕様書などで明記し積極的活用を図ってまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 山田議員のご質問にお答えいたします。
 まず、和歌山LNG火力発電所の建設についてのうち周辺自治体との環境保全協定についてでございますが、和歌山県公害防止条例第九条において、「必要があるときは、公害の防止に関する協定を締結するよう努めなければならない」とされてございます。
 和歌山発電所に係る環境保全協定につきましても、地域住民の健康を守り、快適な生活環境の保全を図るため、立地市町村及び県が甲、事業者が乙となり、隣接市町村が立会人となることを基本として、県として広域的な視点を踏まえながら、行政としての責任のもとに、地元の和歌山市とともに事業者である関西電力株式会社と締結を交わすことといたしております。もとより県といたしましては、事業者である関西電力に対しまして環境保全協定を遵守するよう強く指導し、さらに地域の環境保全に努めてまいる所存でございます。
 続きまして、和歌山LNG発電所建設に係る大気汚染観測局の設置についてでございますが、県といたしましては平成十一年度に大気汚染常時監視地域の拡充を図るため粉河町に監視局を設置したところでございます。また関西電力株式会社では、LNG火力発電所の稼働前後の環境監視計画といたしまして、大気汚染の監視局を岩出町及び貴志川町に設置すると聞いてございます。今後は、関係町とも協議しながら、監視地点等観測体制について事業者に強く要望してまいりたいと考えてございます。
 最後に、貴志川ラインの水質保全についての、貴志川上流の既存産業廃棄物処理場の現状認識についてお答えいたします。
 議員ご指摘の最終処分場は、現行の廃棄物処理法が施行される以前の処分場であり、そのうち一カ所は現在も使用されているものでございます。これらの処分場につきましては、生活環境保全上支障のないよう適正な管理を指導してきたところであります。
 なお、貴志川町民の生活飲料水として使用されていることを重く受けとめ、今後とも放流水の監視を行うとともに、適正管理について強く指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 和歌山LNG火力発電所の建設のうち、電源三法交付金についてお答えいたします。
 電源三法交付金について、那賀郡六町を一体として扱えないのかというご質問でありますが、発電用施設周辺地域整備法の中では、原則として立地市及びこれに隣接する市町村の区域について、電源立地促進対策交付金による公共用施設の整備計画を知事が作成することとされています。今後、法律に基づき立地市である和歌山市並びに隣接する貴志川町、岩出町及び海南市の区域について、これら市町の意見を聞きながら整備計画を作成し、地域の整備を図ってまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 桃に対する振興策についてお答えいたします。
 桃につきましては、那賀郡を中心とした紀北地域の基幹品目であり、本県農業にとりましても、温州ミカン、梅、カキとともに重要な作物であると考えてございます。しかしながら、議員お話しのように、近年、せん孔細菌病の多発や核割れ果の発生など克服すべき課題も多くございます。こうした技術的な課題を解決するため、平成九年三月に生産者、農協、県で和歌山県桃研究協議会を組織するとともに、現地試験の成果をまとめた「モモ栽培マニュアル」や研究の成果集などを作成し生産者へ配付するなど、その周知徹底を図ってございます。また、せん孔細菌病対策として、県単独事業の和歌山の果樹若返り対策事業を活用し、防風ネットの設置を推進するとともに、果樹園芸試験場における効果的な防除試験や病害虫の発生予察情報に基づく防除指導を実施しているところでございます。さらに、管理作業の省力化を図るため、園内作業道、光センサー式選果機や予冷施設の整備を初め、低樹高化やスピードスプレーヤー等の導入による機械化を推進してございます。
 なお、本年六月には生産者団体主催の全国モモ研究大会が那賀郡内で開催されることとなってございまして、このような機会も活用して和歌山県の桃情報を全国に発信し、生産者団体と一体となって産地の体質強化を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二番山田正彦君。
○山田正彦君 この二回目の発言には、私なりに多少ちゅうちょした面があります。そこの前へ言って申し上げたいんですが、申し合わせらしくて、自席でおしりを向けて済みません。それと西口知事、大変遠くて申しわけございません。せっかく発言の時間をいただきましたし、めったにないことでありますし、あと十分残っておりますので、先ほど申し上げたように一年間議会へ寄せていただいたその総括というか個人的な見解も少し含めて発言させていただきます。お許しください。
 そういうことで、私は過去三回、定例会を経験いたしましたし、また私の前までの各先輩議員の多方面にわたる活発な質問、それに対する知事初め各部局長の答弁を拝聴いたしました。一年生議員として耳新しい事柄も大変多く、私自身、大変勉強になりました。また、私に対しても先ほどからご回答いただき、ありがとうございました。
 ただ、私、一年生議員としての、あるいは一年生議員であるからこそ言える素直な素朴な感想を率直に申し上げたいと思います。
 質問者は、おのおのの思いを持って、各地域の代表として熱弁を振るわれております。ところが執行部からは、多少立場の違いがありましょうが、総論的、抽象的な回答がどうも私には目立って聞こえ、論点に少しずれがあるんではないかなと思います。私の胸にも熱い思いが伝わってきません。これは、私の浅はかな、あるいは感受性、理解力が乏しいせいだけでありましょうか。
 私の尊敬するある町長がよく言われている言葉に、こういう言葉があります。「執行部と議会は車の両輪である」と、絶えずおっしゃっています。私も、これについては全く同感であります。この厳しい財政の中で西口知事から提案される議案は、どれもこれも県勢浮揚のためであり、県発展のためであり、県民の幸せを願うものばかりであろうと思います。そうであれば、議会としてもこの場において大いに議論し、慎重に審議され、それが可決されたならば私たち議員も県民に対して大変重い責任を負うのは当然のことであります。したがって、お互いが緊張感を保ちながらも、その車輪の役目を果たさなければなりません。
 私の今申し上げた両輪論ということには、ご理解、ご賛同をいただけますでしょうか。ご賛同いただけるものとして、それでは今の両輪は良好な関係、良好な機能を果たしているでしょうか。私には、多少ならず疑問が残ります。自分側の輪のタイヤはメンテナンスをしているかもしれません。しかし、もう一方の輪のタイヤはどうでしょうか。空気圧、またタイヤに傷がないか、注意深くメンテナンスをされているでしょうか。
 最近、県を含むいろんな難問が噴き出ています。県行政を取り巻く難しい問題が多発しております。私の目には、残念ながらも両輪はベストの状態であるようには見えません。緊張を保ちながらも、お互いの輪には最大限の配慮をすべきであります。二十一世紀に向かって額に汗して、険しい山道やイバラの道であっても力強く邁進すれば、県民はその姿を必ず見ています。そこで初めて、県行政を身近に感じていただけるものだと思います。
 県として県民の幸せのために何ができるかということも大事でありますが、この厳しい財政状況の中、県勢浮揚、県勢発展のために県民も県政に積極的に参加していただき、その同じ痛みを分かち合っていただく努力を勇気を持ってすべきではないでしょうか。少々、口に過ぎた言葉になりまして申しわけございませんが、私は今後とも私の信条として言うべきことは恐れず申し上げていきたいと思います。
 要は、私が何をしゃべったかということではなくて、何を言いたいかということを聡明、賢明な諸先輩には篤とご推察いただけたらと思います。西口知事運転の名車が、力強く、順調に、輝く和歌山県実現のためにさらなるご精進をされるよう、強力な指導力を発揮されるよう切にお願いし、要望いたします。
 最後に、この発言の機会を与えていただいた議長並びに先輩各議員に対して心からお礼を申し上げ、またこの発言できる場へ送っていただきましたたくさんの支持者の皆さんに感謝を申し上げ、終わります。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山田正彦君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十九分散会

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