平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 お許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 当選してから初めて県議会で新年度予算を体験する場を与えていただきまして、感謝しております。
 西口知事の十二年度予算提案の所信表明は、逆境のときこそ第二期県政を挑戦の県政として位置づけ、県政が「小手先の手直しではなく、いわば新しい県政の創造を行うんだという強い決意で県政の構造改革に取り組んでまいりたいと考えております。この改革の理念は、新しい時代にふさわしい、活力と自信と誇りに満ちた地域社会を創造するため、県民の視点に立った、県民の幸福を第一と考える行政システムを再構築すること」と述べられました。私は、この言葉を聞いて感動しながらも、この言葉の深さと重さを痛感したわけであります。議員にとっても、この理念と指針を肝に銘じなくてはと感じたわけであります。
 県政の政策実現、事業実施、実践課題の中で、知事の理念と指針は、県行政と県民がその立場に立つことの努力をするならば必ず切り開けるものと私は確信しますし、私も知事のその理念を深く受けとめていきたいと思っております。
 二十一世紀への挑戦、それは「活力」、「快適」、「こころ」の三つのかけ橋と訴えています。
 そこで私は、まず第一に「活力」、梅産業の振興策とりわけ梅の立ち枯れ生育不良について、二つ目は「快適」、環境面からの県環境基本計画に基づくごみ減量、リサイクルについて具体的提言をしたい。三つ目は、介護保険制度四月一日実施に伴う県への対応を要望したい。この三点は、以前と違いまして、あくまでも県に対する提言ばかりであります。まあ言えば非常に優しい質問になりますが、お許しいただきたいと思います。
 まず初めに、梅問題であります。
 梅の立ち枯れの原因究明のために、知事を先頭に農林水産部の皆さん、普及センターの皆さんの大変な努力に感謝申し上げます。とりわけ十二年度予算では、県財政が大変厳しい中で梅立ち枯れ原因究明のために二億六千五百万円の予算を組まれ、将来を担う梅の研究機関設置への構想を決定されたことは、私たちにとって大変力強い気持ちでいっぱいです。そこで私は今回、原因究明のため県、市町村、生産農家が協力し、研究、調査テーマとお互いの役割分担を明確化することをご提案し、当局の考え方をお聞きします。
 第一は、原因究明についての問題点であります。
 田辺市の関西電力と紀南農協でつくる梅生育障害対策研究会は、この三月末で見直されるようです。JAと生産農家では、やはり関電との共同研究は形として好ましくないという多くの意見があり、JAと行政と学者の協力を得ての共同研究に切りかえる方向で今検討されるというふうに聞いております。
 県うめ対策研究会の一応のまとめが出されると思いますが、研究のまとめと原因についての解明はどうでしょう。今後、この研究会の組織そのものはどうされるのでしょうか。お聞きしたいと思います。
 私は、過去三回の質問の中で、十二月議会では、いろんな調査研究をしてきたが今必要な調査は何かとして、大気汚染物質、とりわけ酸性雨、ばいじんと梅の樹木、桜の樹木の調査研究とあわせ、それによる年輪樹体解析を時間をかけてでも調査することの方が早道であることを提案しました。県当局の答弁は、生理生態面での研究や優良台木の探索、大気環境面では樹体内の成分比較等、調査可能な研究課題に新たに取り組む方向で検討を進めていくというふうに答弁がありましたが、私の提案との関係ではどうでしょうか。
 福井県芦原町では、町が主体で京都大学、富山大学の協力を得て、杉、クロマツなどの枯死の原因究明のため、大気との関係六年、その後の追跡調査も含めて二十年間も研究を続け、脱硫装置を北陸電力に設置させた事例から見て、因果関係が明確にならなくても大気の植生への影響調査の必要性を認めるべきですがどうでしょうかということであります。
 二つ目は、生育不良に対する県の姿勢と総合実証園への取り組みについてであります。
 大気に疑念を持ちつつも、病名がわからない患者を治療しないでほうっておくわけにはいかない、いろんな手だてをして一日でも延命させたいという気持ちで、医師である生産農家は身をちぎられる思いの中で必死に頑張っております。しかし、枯死する。生育不良が広がる。それでもあきらめず、たとえ対症療法であっても治療対策を講じています。
 そこで、県当局は総合実証試験を総合実証園に解消してはいけないということであります。市町村、JA、生産農家の努力は、県暖地園芸センターの栽培管理マニュアルのレベルを超えた幅広い研究実践をしています。
 ここで私が明確にしておきたいのは、県の試験研究の成果で、今まで得られた知見とする要約された七つの項目を抜粋しているわけですが、摘らいや強剪定、着果制限、水分問題、乾燥の問題といったことで、矯正資材を投じて健全に生育しているとか、樹勢が回復されているとか、生育に良好であったとか、すべて成果ばかりを上げている。その割に十五万から二十万のいわゆる立ち枯れがどんどんとふえ、広がっているという、相矛盾する分析があるわけであります。
 全体を知らずにその中の数本をようやく延命させている状況にあって、しかも生産性や投資費用を考えないやり方で大きな成果であるようにしているこういった分析は、状況を知らない人に誤解を招く。一昨日も言われましたが、農業新聞の「土壌改良で樹勢回復 梅の生育不良は乾燥が原因」という見出しと中身だけでも、知らない人から見ると、これで治るんかな、そんなことで治るものかという意見がお互いに交錯して、県当局も迷惑だろうし、私たち生産農家も非常に迷惑であります。
 私は、そういう意味で、いただいたこの発表資料を見まして、地道に研究されている主査の研究成果に対しては評価しております。これを大きく取り上げてどうこうということではありませんが、県の一方的な集約された文章──一昨日も向井議員が、あたかも大海の中の一杯の水で評価するというふうに例を挙げて言われておりましたが、このことも含めて、少なくとも十五万から二十万本を超える立ち枯れの中で数本の実証の知見だけを見て成果を上げていると評価しながらも、全体の中で究明できていない問題点、課題、疑問をずっと並列して発表することの方がお互いに理解を深め合っていくのではないかと感じているわけであります。
 南部、南部川、田辺では手だてをしたが、次々枯死している状況の方が全体の大半を占めている事実を知っているのですから、まずそのことをあわせ総括していただければ、お互いに協力・共同しながら原因解明のために力を合わせることができるのではないかということであります。そうしないと、後で述べる総合実証園の研究実践テーマに問題が出てきます。まずこのことを素直に反省すべきでありますし、暖地園芸センターそのものがもっと現場の中に入って広く実践、討議、研究するという立場に立てないものでしょうか。私は、現場に依拠していない研究態度に非常に疑問を感じておりますので、その点をお願いしたいと思います。
 そこで田辺市の梅対では、県の成果と知見のまとめと余りにも違いがあるわけですが、現場対策という中で、矯正台木の探索ということで中国からの梅の台木を探索しながら実験していくとか、しかし今それでも問題点があるという分析や、現地の対策試験では、いろんな資材を投入する中で資材によって生育不良樹が一時的に発根の促進や上部の徒長枝が強くなった事例があるが、長期間その効果が継続するかとなると難しく、確実な樹勢回復に至る資材はいまだに確認されていないという分析、また現地調査でも、現場では四年から五年生の実をつけないうちから生育不良が出ている園もあるが、無剪定に近いような成木園でも生育不良の発症が極めて少ない園もあるというように、生育不良が周辺に大量に出ている地域でも健全な園があったりしており、原因を特定する上で一貫して統一されたような条件を模索するため、今、各地の生育不良発症園や健全園をピックアックして栽培歴等を総合的に調査しています。その部分部分をとらえて評価するというのではなくて、いろんなケースを見ながらもこれという結果が見つけられないという悩みの分析の仕方であります。したがって、県もこういう立場に立つならば、お互いに力を合わせていけるという共通点を見出せるわけであります。
 このようにいろんな角度から研究、実践、討論しながらも、現時点では、いみじくもJA指導員総括責任者が、園や木の状態により木炭とマルチの併用処理に発根の状態がよい例があるが、これで処理すれば万全というものはまだ見られない、今後も現地でさまざまな手法を試したい、現場で思い当たる考えは提案してほしいとJA青年部五十名の集会で呼びかけ、討論して、真剣に悩みながらみんなで原因究明をやっているわけであります。県のまとめとどうなのでしょうか。一部分だけを評価してできたということとのかかわり、努力されるのは評価しながらも、その点の考え方を反省していただきたい。
 現場の苦しみを如実に示しています。みかん園芸課、暖地園芸センターは、この現場の苦しみをご存じですか。農家や市町村との相互理解のためには暖地園芸センターの姿勢からまず正すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 そこで、暖地園芸センター梅対策チームは、南部地区、田辺地区の現場での研究体制に徹底すること。平成十二年度予算の五事業は暖地園芸センターで実証したり、センターのスタッフで原因究明できるものではありません。したがって、県として、これからの暖地園芸センターの研究姿勢はどうなのでしょうか。既に総合実証園をつくっているが、総合実証研究方針があれば示されたいし、こういう姿勢についていかがなものでしょうか。
 暖地園芸センターは、総合実証試験の研究テーマ、実施方針について、現地の行政、JA、農家の意見を聞くだけでなく、共同プロジェクト組織とした一体のものにしない限り効率的な研究として進まないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に三つ目ですが、梅産業関係者の共通の願いとして、御坊第一火電の一号機から三号機すべてに脱硫装置を設置して私たちの気持ちを安心させてほしいという声が、一部の人たちでなく大多数の声であることを感じました。
 私は、昨年末からこの三月まで、田辺、南部、南部川の農家や加工業者の主なところを訪ねて意見交換をしてまいりました。加工業者の中には、みずから実証園と研究者をつけて研究を続けている人、いろんな肥料を実証しながら土壌などの実証分析をしている人、大気との関係を科学者と独自にアポイントをとって勉強している人と、生産農家に匹敵するほど研究努力されている事実を知り、そのことを知事に報告したいと思います。
 紀州梅の生産がこのままいけば五〇%になるのでは、そうなれば紀州ブランドなくして中国梅だけでは商売にならないことを加工業者の皆さんは強く意識しております。農家だけでなく梅産業関係者の多くは、理論的に因果関係を証明できないが、火力発電の煙突が悪さをしているのではないかと感じております。とにかく脱硫装置をつけてほしい、そうすれば安心するという意見であります。関電の企業責任としての措置を求めるべきと考えますが、企画部長のご答弁をお願いしたいと思います。
 次に、うめ研究機関設置等基本構想計画の考え方について質問する予定でしたが、既にもう質問されましたので、私からは要望にとどめておきたいと思います。
 知事は、設置検討委員会を設置して進めていきたいと言っております。全国一梅の里にふさわしい研究機関をぜひ進めていただきたい。そして、関係する市町村、農協、農家の意見の場もつくってくださいますようお願い申し上げます。これは要望にしておきます。
 次に大きい二点目の、循環型社会を目指す環境先進県和歌山をというテーマであります。既に先輩の神出議員からご提案があった基本的なことについて、私は、具体的に和歌山県はどうしていったらいいのかということの問題提起をします。
 二十一世紀の県民運動として進めることを提案したいと思います。当局幹部の皆さんに県民運動としての運動構成をやってほしいということで図表化しました。いわば、ミニ熊野体験博並みに体制をとれば、県民のすべての皆さんのご努力を得て、県が旗を振れば一丸となって県民運動を展開していけるのではないかということで、勝手ですけれども、私のあくまでも個人的な、こういうふうな運動形態をとればいけるのじゃないかということの提案をさせていただきました。
 なぜこれを提案したかと言いますと、橋本市の産廃ダイオキシン問題による和歌山のイメージを払拭することも含め、ごみ減量とリサイクル推進という総論指針から一歩踏み出したごみ減量のための県民総参加アクションプランを策定することによって、官・産・民が一体となった運動がまさに現実的に循環型社会というテーマに明るさが見出せるのではないかと考えたからであります。私たちはどうしても、排出されたごみをどうするのか、産業廃棄物の不法投棄をどう監視するのかといった現象面のみにとらわれるし、行政はそのことの後追いの対策に埋没せざるを得ないこともよくわかりますが、事ごみに関しては、いかにごみを減らすか、よりゼロエミッショナルに近づけるかの展望を持った政策と行動を示していかないと、この課題実現は困難であります。
 国は二〇一〇年を目標にごみを半減させるための方針を示し、各分野からの法律がメジロ押しに策定され、実施されてきています。法律による排出者責任、行政責任、消費者責任が定められて、それをいかに具体的に地方自治体として体系化するかの責任が課せられる中で、私は十二月議会で県当局に、県下七ブロックに設定したごみ広域化計画を国の指針に基づき一般廃棄物処理基本計画を策定すること、とりわけごみ減量のための分別収集を初め具体的施策、いわゆるごみ減量のためのリサイクルプラザ、中間処理施設について県の指導的役割を果たしてほしいという要望をしてまいりました結果、県当局の答弁の積極性が十二年度予算の中に示されています。ごみ処理広域化計画推進事業、ごみ減量・リサイクル推進事業は高く評価したいと思います。そして、今回の提言は、その十二年度予算の施策を具体的に実施していく上での冒頭のテーマ、いわゆる「循環型社会を目指す和歌山二十一」を運動化、行動化するために、今ごみの中で占める率の高いペットボトル、トレー、そして分別収集を徹底しても家庭での課題の生ごみの減量化であります。この二つをごみ減量作戦の中心にすることがごみ減量を進める大きな役割を果たしますし、それはやればできる可能性があるものとして提起したいわけであります。
 一つは、容器包装リサイクル法が実施されていますが、ごみの容積比の六〇%を占めているペットボトルの問題であります。年々生産量、消費量が急速な伸びを示し、この対応に苦慮しております。全国生産量は、平成十年度三十一万三千八百九十九トン、このうちリサイクルとしての回収率が一七、八%、よくて二〇%です。しかも今、一七から二〇%回収されたものがリサイクルできない状況で野積みされ、PETボトルリサイクル推進協議会は全国一斉一四%カットを打ち出すといった事態が起こっていますし、野積みにして六カ月たてばリサイクルできない状況になり、廃棄しなくてはいけない状態が生まれております。リサイクルとしての再商品化も低く、その商品化も限定され、販売に苦慮しているというのが実態であります。
 私は、和歌山県ペットボトル消費動向ということで、和歌山市から北山村までの全市町村の人口に値する年間消費量、そして年間回収量といったものを表にさせていただいております。参考にしていただけたらありがたいと思っております。
 そこで、どうして私がこのペットボトルリサイクルを和歌山の循環型社会の第一テーマにしたかということであります。今述べましたリサイクル商品化の技術、全国のマテリアルリサイクルでは限界があると言われております。ところが和歌山では、和歌山県工業技術センターと民間事業者で共同開発されたプラントがペットボトルリサイクル率ではより一〇〇%に近い機能を持ち、小規模なプラントで少量処理でも採算がとれ、再生商品も、FRPを初めより利用価値の高い商品化への技術開発がなされています。全国で初めて特許をとった技術開発プラントなのです。これを和歌山県の誇りとして取り組むなら、ペットボトル一〇〇%回収と一〇〇%リサイクルへの可能性が生まれるのです。
 今、田辺市、白浜町、上富田町、大塔村、もちろんすさみ町などの西牟婁郡町村も、ペットボトルの回収にこのプラントを生かして積極的に取り組もうとしています。このペットボトルリサイクルの大きな課題は、再生商品の利用、販路が確立されないということです。和歌山県としてごみ減量化の最大のペットボトル回収を実施するためには、まず県として県行政、企業、県民がみずからの排出したペットボトルのリサイクル商品を利活用する方針を確立させることが必要なのです。これができればリサイクルプラントと再生商品工場の建設が進み、まさにリサイクルによるごみ減量と環境産業と雇用創出につながる政策になるのではないかと思いますので、提案したいと思います。
 第二のテーマは、食品等生ごみと農業集排の汚泥を含めた堆肥化の事業です。
 今、分別収集を徹底している先進市町村では、ごみ減量の第一は生ごみの減量をどうするかです。これをクリアできれば、ごみの焼却、埋立量の減量が大きく前進します。来年は、少なくとも新たな食品廃棄物再商品化法案が創設されます。生ごみのリサイクルは、ごみを減量するというだけでなく、全国的にも農林水産省の指導で環境保全型農業への取り組みが進んでいます。
 生ごみのリサイクル、つまり分別・堆肥化、土づくり・安全な農産物は、二十一世紀の時代の要請であります。和歌山県では、JAの由良で生ごみ堆肥化として進めることに今着手していますが、県下的には、これに着手しようにも、堆肥化した出口の消費、販路に課題が残されています。この運動を展開していく上で、県当局は県下七ブロックの中でどう具体的に堆肥化していくシステムを構築していくのか、関係部局との共同で出口に責任を負える指導をどう強めるかであります。いかがでしょうか、お聞きしたいと思います。
 最後に、介護保険を四月一日から実施する上での課題と県への要望であります。県の責任分野である事業者認定、介護査定、契約者指導という観点から、市町村との関係でその対応の考え方をお聞きしたいと思います。
 一つは、介護保険制度の施行により利用者が指定事業者からサービスを利用した場合の苦情や相談事に対しては保険者である市町村の窓口で対応することが原則でありますが、サービス提供事業者も複数の市町村にわたり、それぞれの市町村によって対応が異なる場合もあり、また何よりも市町村だけでは対応し切れないのが実情であります。第三者の立場から介護サービスの内容や高齢者の権利保護について客観的に点検するオンブズマン制度が民間の側から立ち上がることを望みますが、まだ具体化には至っておりません。このような現状から、行政主導ではありますが、県の各振興局単位に施設や事業者をチェックするための機関をまず設置していただき、市町村からの要望の受け皿として、また事業者を指定する立場からも事業者を強く指導監督していただきたいとの立場から、この振興局単位に施設、窓口をつくることについてはいかがなものでしょうか。お聞きしたいと思います。
 二つ目は、制度の施行により、サービス利用の形態が従来の措置から契約へと転換することに伴い、利用者と事業者との契約書の締結が必要となります。法的な知識や判断能力が十分でない要介護の高齢者が不測の不利益を受けたりトラブルに巻き込まれたりすることのないよう県下統一的な標準契約書を作成し、指定事業者に示していただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
 三つ目は、介護保険マニュアルを作成し、市町村関係者への指針を示していただきたい。昨年からことしにかけて国の制度がくるくると変わる中で、一体何が現状の正しい介護保険マニュアルなのかわかりにくい。ぜひこのことをお願いしたいと思います。
 四つ目は要介護認定にならなかった高齢者への対応ですが、昨日村岡議員が質問されましたので、私からも支援対策を要望して、これは要望にかえたいと思います。
 五つ目は、介護指定事業者でないボランティア集団の福祉活動への対応についてであります。指定事業者認定がないと介護保険は適用されません。そういう意味で、指定されない中での献身的なボランティア活動に県としてどんな支援策を考えているのか、お聞きしたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 原議員にお答えをいたします。
 環境問題、循環型社会を目指す和歌山二十一の実現ということについてでございます。
 本県は恵み豊かな自然環境を有してございまして、私たちはその自然から多くの恩恵を受けておるわけでございます。この豊かな環境を育て、次世代に継承していく必要がありますけれども、近年、廃棄物問題を初めとする種々の環境問題が発生しておりますことは、まことに残念なことでございます。これは、高度経済成長期以来、日本の社会全体において生産と消費が優先され、使用後の廃棄物の処理についての配慮が生産者側、消費者側双方に欠けていたため引き起こされたことが主たる原因であると考えてございます。この問題の解決のためには、廃棄物処理が終着点とならないような資源循環型の社会システムを構築することが必要であろうと考えておるわけでございます。
 県では、平成十二年一月に和歌山県環境基本計画を策定いたしまして、その中で、循環型社会の構築を目指すことが県の重要な課題であると位置づけ、施策を推進しているところでございます。
 今後は、資源のリサイクルを初め循環型社会の構築に向けて、行政の取り組みだけでなく、県民総参加の運動として盛り上げていく決意を申し上げたいと思います。
 以上であります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原日出夫議員のご質問にお答えいたします。
 まず、梅の立ち枯れの原因究明と今後の対応についてでございます。
 現在、和歌山県うめ対策研究会の各委員には、専門の立場から検討をいただいているところでございます。来る三月二十日に第六回の研究会を開催いたしまして、一応の取りまとめをいただくこととなってございます。
 生育不良につきましては、これまでの試験成績などから見て、さまざまな要因が複雑に絡み合っているのではないかと考えてございます。
 こうしたことから、今後、優良台木の探索、土壌微生物の診断調査を初め、議員からお話のございました大気に関連する調査研究として、樹体の成分分析を初め、化石燃料に含まれると言われている成分を用いた試験を行うこととしてございます。
 なお、今後の試験研究を進めるに当たりましては、研究テーマに合わせて専門家の方々の指導助言を引き続きお願いしてまいりたいと考えてございます。
 二点目の、梅生育不良に対する県の姿勢と総合実証園への取り組みについてでございます。
 これまでの試験研究や現地での取り組みの中で幾つかの効果も見られてございますが、今なお拡大している現状を厳しく受けとめてございます。
 県といたしましては、地域の梅対策協議会を初め、市町村や農協等関係機関との連携を図ってきたところでございますが、いま一度現場主義に立って総合実証園での交流を深めるなど、より緊密な取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 また、暖地園芸センターの充実はもとより、農業試験場や果樹園芸試験場などを含めた研究体制の一層の強化を進めるとともに、普及体制の充実を図ることとしてございます。
 さらに総合実証園につきましては、これまでの個々の現地実証や試験成績をもとに作成した栽培管理マニュアルを基本にしながら、地元の方々と協議を重ね、園地条件に応じて設置してございまして、今後とも、農家段階で確認された技術を初め、試験研究の成果も順次取り入れながら効果的な総合実証園づくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、食品、生ごみ、汚泥の堆肥化とその利用についてでございます。
 農林水産省の資料によりますと、生ごみ等の排出量は全国で約三千万トン、下水汚泥は約百七十万トンであり、その再利用は十分進んでいないのが現状でございます。
 農業の持続的な発展のためには有機物のリサイクルによる土づくりが重要でありまして、県では従来から家畜ふん尿や樹皮等の堆肥化事業を推進しており、堆肥施設五十七カ所の設置助成や土づくり運動の推進、農林水産総合技術センターでの食品加工残渣の堆肥化、固形化技術開発など、積極的に取り組んでいるところであります。
 議員お話しの堆肥化の推進につきましては、国において食品廃棄物再商品化法案の今国会提出や有機性資源循環利用のシステム確立の創設など、新たな動きも出てきております。
 県としましては、こうした状況を踏まえ、品質、生産コスト、地元合意など課題もありますが、堆肥化システムの構築に向けた条件づくりや利用促進について、関係機関、団体と連携の上、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 御坊火電のすべてに早期の脱硫装置をという点についてお答え申し上げます。
 既設御坊発電所への脱硫装置の設置につきましては、さきの十二月議会においてもお答えしましたが、事業者である関西電力に対して強く指導してきているところでございます。
 現在、三号機への脱硫装置の設置について、本体設計及び準備工事が進められており、平成十四年の秋ごろに完成する予定となっておりますが、一、二号機については敷地内に脱硫装置を設置するスペースがとれないことから、現状の低硫黄分の燃料で運転する計画となっています。
 今後も、三号機の脱硫装置について、計画に沿って設置するよう事業者を強く指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 原議員の、ごみ減量とリサイクルへの取り組みについての質問にお答えいたします。
 県では、現在、容器包装リサイクル法に基づく第二期和歌山県分別収集促進計画を策定し、県内市町村の分別収集の促進を図っているところでございます。近年、製造量及び消費量が増加しつつあるペットボトルにつきましては、来年度から分別収集を実施する市町村数が増加する予定となっていることから、リサイクルルートの確保が重要となってくるものと考えてございます。
 今後は、議員ご提言のペットボトルのリサイクルプラントの活用も含めて県内のリサイクル体制の確立を図るなど、収集後のペットボトルの再生ルートの確保について検討してまいります。
 また、リサイクル製品の利用促進施策につきましては、関係部局と連携しつつ、よりよい方法を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険の実施に伴う課題と問題についての四点にお答えをいたします。
 まず、事業者への指導監督についてでございます。
 四月からの介護保険サービスの円滑な開始に向け、現在、居宅サービス並びに施設サービスの事業者指定に鋭意取り組んでいるところであります。介護サービスの一定量の確保とともに、良質なサービスを利用者に提供することが極めて重要であると認識しております。
 苦情等につきましては、国民健康保険団体連合会での苦情処理委員の制度が発足することとなっておりますが、県としましても、身近な市町村並びに振興局において迅速かつ丁寧に対応することが大事であると考えており、苦情処理マニュアルをもとに、適切かつきめ細かな対応を図ってまいります。
 なお、民間主導の活動としましては、介護サービスに係る介護相談員の派遣事業や県社会福祉協議会による地域福祉権利擁護事業など、さまざまな形態での取り組みが始まりつつあり、これら事業と相互に連携を図ることにより利用者本位の制度となるよう努めてまいります。
 次に標準的な契約書の作成についてでございますが、介護保険制度では、従来の措置から本人が事業者を選択する契約へと移行することから、介護サービスの利用者が簡易に安心して契約ができるよう適宜指導しているところであります。
 今後とも、適正な利用契約が行われるよう契約書に盛り込むべき重要事項を提示するとともに、適正契約普及事業などの実施により介護サービス事業者の資質向上に努めてまいります。
 次に、介護保険マニュアルを作成し、市町村関係者への指針を示すことについてであります。
 介護保険制度については、昨年十一月、円滑な導入に向けての特別な対策が提示された後、高齢者保険料の軽減措置、低所得者への対応などさまざまな施策が展開されたことにより、制度自体が多様な形態になっております。
 県としましても、従来から「県民の友」、テレビ・ラジオなど、各種メディアを駆使して広報・啓発に努めておりますが、今後とも新たなパンフレットの作成、情報誌の発行、研修マニュアルの作成などにより市町村等の関係者が理解を深められるよう、さらに努力してまいります。
 最後に、介護指定事業者でないボランティア集団の福祉活動への対応についてでございます。
 多くの高齢者は、住みなれた地域で暮らし続けることを望んでいます。そのため、介護サービス事業者や専門職だけでなく、住民の自主的な福祉活動もあわせて、介護や支援が必要な高齢者を地域全体で支える地域ケア体制が必要です。平成十二年度において、ボランティアによる高齢者のための小規模生きがい活動施設の設備に対する補助として和歌山県ふれあいサロン推進事業を、また老人クラブ会員の皆様にさらに積極的にボランティア活動に参加していただくためのいきいきボランティア育成事業を新規に計上しております。
 県といたしましては、住民参加による高齢者との触れ合い、支え合いの活動を促進し、市町村における地域ケア体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 再質問というより、要望にとどめたいと思います。
 知事からお答えいただきました、循環型社会を目指す和歌山二十一であります。
 ごみ減量、いわゆるリサイクル、再生商品利活用の方針と目標値を設定した県民運動を今私が提案しましたが、これを県民の協力を得てやるならお金も要らない。みんなの力をかりて運動化することがごみ減量化への啓発でもあり、実際の実践活動としてやっていけるというふうに思いますので、小さな力で大きな運動としてひとつご協力、ご指導をお願いできればありがたいと思っております。
 とりわけ循環型社会を構築するには、県が市町村、住民、事業いわゆる企業者への指導的コーディネーターとしての役割とその専担者を配置してこそ系統的に取り組めると考えますので、今回、環境生活部としての新たな組織のスタートにこそ体制の充実をお願いしたいと思います。
 それから、介護保険であります。
 当局が介護保険の対応に日夜を問わずご尽力されていることに感謝申し上げるとともに、知事におかれては県担当部課の職員の皆さんや市町村への激励をもお願いしたいと考えております。
 次に、梅の生育不良対策についてであります。幾つかのまだ詰めておきたい点は、引き続き委員会がありますので、そこでいろいろと具体的に当局とお話し合いをしていきたいと思います。
 要望の第一は、今まで引っ込み思案だったかなという意識はしていたのですが、一歩踏み出して、大気、化石燃料と梅の樹体解析を研究のテーマに入れていただくとの答弁については高く評価し、ご協力いただけることに対して感謝をしたいと思います。今後は、この研究課題が具体的に、何をどのように、どういった研究者が実証していくのか、私たちとお互いに相談し合いながらやっていける方向を見出していただけたらありがたいと思っております。
 次に、対症療法であっても、今、健全な木を延命させていくとともに、枯死した木を改植して若木を植えて、その若木が健全樹として育っていく努力をしております。現場主義の共同研究という姿勢をお互いに貫くならば、対症療法であっても今の状況を何とか食いとめながらいけるというふうに私も確信しておりますので、お互い現場主義の立場を忘れないということで大きく踏み出すならばそういうことの運動が発展していくと思います。
 最後に、知事への要望です。
 一つは、前々回、九月議会だったと思いますが、私はみかん園芸課の中に梅課を設置したらというとてつもないことを言いましたが、来年度は知事の英断でうめ研究機関を設置されます。それをスタートに、梅生育不良の対策に統一一貫した体制で現場主義に立った指導を強化するためには、専任の梅対策担当課長を設置していただきたい。課でなくても、担当課長を設置していただきたい。その課長と現場が官民一体になって協力して体制をつくっていただくなら、前を向いて転がっていくと思いますので、要望にしたいと思います。
 最後に、梅産業関係者は、御坊第一火電との因果関係がはっきりしない段階でも、先ほど述べた福井県芦原町の教訓、全国の火力発電所設置周辺での植物、松、杉、ミカン等の立ち枯れの現実を素直に県当局にも見ていただきたいと思っています。私たちは、電力の現状の需給から見て三号機への脱硫装置しか設置できないのなら、一号、二号機の運転を停止させるくらいの勇気ある姿勢を示してほしい。現在、稼働率は一〇%から二〇%の範囲内であります。そういう意味では、三号機だけでも現在の電力需給の関係から見ると十分いけるのではないかと思いますが、その点をお願いしたい。
 また、原因究明されるまで第二火電の建設は待ってほしいとの声は届かず、建設が着工された。しかし、日本の電力需給や規制緩和で第二火電の稼働は延期される状況にあり、東京電力もそのことを発表されました。梅、ミカンの果樹産業を守り発展させることが和歌山の産業基盤を大きく支えていくのです。
 県は、「新エネルギー読本」を発行しました。まさにもう四十年後は石油化石燃料が枯渇する。化石燃料依存は人類、地球にとって限界がある。しかも、そういう状況の中ででも、世界の国から敬遠された最も地球、大気を汚す粗悪なオリマルジョン燃料を第二関電で使う。そういう企業の利益中心のやり方に行政が勇気ある決断と指導をしないと、この「新エネルギー読本」が生きてこない。そう思うわけであります。
 今の時期、昨日も通産省はエネルギー政策の見直しを発表しました。ここに、知事の本当に勇気ある決断で、和歌山県が現在の電力需給の中で新しいエネルギーへの政策転換へ踏み切っていただくことを要望して、終わります。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十三日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十五分散会

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