平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(木下善之議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時五分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十二番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 議長の許しをいただき、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに日本工業所の産業廃棄物問題でありますが、本日までに四人の先輩議員より質問され、それぞれ答弁をいただいております。一部重複する点もありますが、ご了承をいただき、質問に入らせていただきます。
 西口知事は、事態を重く見て、去る二日、議会開会中にもかかわりませず日本工業所の現地調査に入られました。ご苦労さまでした。今日までの経過等は質問ごとに数回取り上げておりますが、簡潔に申し上げると、五年前の今の時期である阪神・淡路大震災のごみも含め、平成七年二月から三月にかけて集中的に持ち込み、平成八年四月ごろに県の許可を得てからが本格的な焼却の始まりで、それ以前は野焼きをして周辺果樹園へ煙の被害を与え、カキ農家より相当金額の被害請求があったのが経過であります。ダイオキシン問題は国内的にも国際的にも注目され、その解決がいかにされるか、先進諸外国からも注目されているのがこの日本工業所のダイオキシン問題であると思う。日本のダイオキシンに対する取り組みは先進諸外国に比べて極めて遅く、また日本でのデータ等も少なく、外国の文献に依存せざるを得ないのが現状で、日本ではようやく先刻ダイオキシン類対策特別措置法に基づく環境基準が発表され、土壌一グラム当たり千ピコグラム以下、水質は一リットル中一ピコグラム以下と、一定の基準が示されたところであります。
 平成十年六月定例議会の私の一般質問で、ダイオキシンの調査が必要でないかとの問いに対し西口知事は、「現在まで国から基準が示されていないため実施をしておりませんでした。しかし、国際的な関心の高まり、あるいは国の取り組みの進展を勘案いたしまして、実施に踏み切りたい」との、ダイオキシン調査については初めての調査実施の答弁をいただき、知事の決断のほどを賜った記憶があり、以降、ダイオキシン類検討委員会において検討され今日に至っておりますが、たとえ場内であっても土壌から十万ピコグラムもの高度のダイオキシンが検出されたことは、ただただ驚きと大きなショックを与えられました。申し上げたように、地元は当然ながらも、国内、国際的にも注目され、一日も早く完全解決をすることこそが、美しい環境を主軸として売り出している本県の使命であると思う。日本工業所のダイオキシン対策の決意について、西口知事にお伺いをいたします。
 次に、日本で二番目に高いダイオキシンの除去対策について。
 大阪の能勢に次ぐ、想像もしなかった事態がついに本県でも発生したことは大変遺憾で、昨年十一月、ダイオキシン類問題検討委員会の検討結果に基づき場内での補完調査の結果を発表されましたが、予期しない極めて高濃度のダイオキシンが土壌から検出されました。県は事の重大さから、知事を先頭に、直ちに緊急対策費として五億円の予算計上をされ、現地に乗り出し、立入禁止、飛散防止シートの設定、ダイオキシンの深度を含めた拡大調査を進めておりますが、既に五年の歳月が流れ、少し遅きに失している感じであります。今日までの複雑な経緯もあって、過去はいたし方がないとしても、高濃度のダイオキシンを検出したことについて県は謙虚に受けとめ、万全な措置を講じ、住民の不安を取り除くべき責任と義務があると思う。
 そこでお尋ねすることは、一、当面の緊急対策として飛散防止対策はこれでよいのか、ダイオキシンは土壌の表層に集積しているとされているがどうか。立入禁止区域内の土壌の撤去時期について。
 二、浸出水から二・六ピコグラムの検出がされておりますが、その漏水対策はどうなっているのか。また、下流河川への影響はどうか。
 三、焼却炉等の機材の撤去は至急対処すべきであるが、いつごろの見通しか。
 四、環境庁、厚生省へ現地調査の依頼をされたのか。
 五、ダイオキシン調査は、土壌採取後どの程度で結果が出るのか。
 以上五点を含め、万全を期した安全対策と除去対策について生活文化部長に伺います。
 次に関係住民の健康調査でありますが、四年前より不備な焼却炉から一年余りにわたり黒煙を出し、周辺地域住民はのどの痛みによる入院、通院が続出し、保健所へ代表者が日参した経緯がある中、私の方へも当時、主婦の方より一通の手紙が入りました。
 前文省略して申し上げますと、「悪臭公害に大変困っております。秋には、悪臭の中、カキの木に登り、ふらつきながらのカキ取りの毎日です。気分が悪くなったときは自宅へ戻りますが、今では家の中まで臭いため、マスクをかけて書いております。いつも頭は鉄の帽子をかぶっているようで、目も痛く、息苦しくなり、台所の換気をすれば幾分楽になります。我が家は百姓ゆえ外で働いておりますが、居場所がありません。子供たちは、こんな臭い家に帰るのが嫌やと言い、友達の家で外泊することが多く、困っております。大好きな、もとの住みよい地域に戻してください。お願いします。かしこ」とあります。
 過ぎ去ったことはいたし方ないとしても、今回の健康調査については、関係三地区を対象に近隣耕作者等、地元の意見を聞いて取り組むべきと思うが、区域についてどうか。また、人体のダイオキシンの残留調査の実施範囲、及び参考としたいので聞いておくが、血液とか母乳等の一検体の検査料は幾らか、また検査結果の出るまでの期間、あるいは健康診断の主な項目内容について伺います。とにかく、全国の注目の的となっており、住民の健康ほど大切なものはなく、さすが和歌山県はその事後処理として完璧であったと国や各県から言われるよう模範を示していただきたいのであります。
 以上の点は、福祉保健部長に答弁をいただきます。
 次に、日本工業所は会社として業を営んでいるのか。焼却炉を初め各機材の撤去は一日も早い方がよいとして、事業者に対し撤去の措置命令を出すとしているが、事業者はその能力があるのか。ないのではないかと思うがどうか。また、能力がないとすれば県が代執行するとの考えがあるとのことですが、どの程度の期間で施設の撤去ができるのかも伺っておきます。地域関係者からは一刻も早く撤収との強い要求があり、地元住民の精神的苦痛を除く面からも、適切な対応について生活文化部長に答弁を願います。
 次に、ダイオキシンに係る土壌及び農作物調査についてでありますが、周辺地域の皆さんの一番恐れていることは健康被害と風評被害であります。この地域は、のどかな田園集落が形成され、カキと野菜を農業形態とし、昭和四十年代にはこの地区で全国から千三百名が訪れるカキ生産者全国大会の現地視察地となるなど、全国一の折り紙のついたカキ産地であります。五百メートルの近隣には年間五千トンのカキをカラーセンサーで処理する共選場が建っていることも、ご承知のとおりです。また、先人の知恵を受け継ぎ、土壌条件が野菜に適したこの地域は代々継承され、果菜、葉菜、根菜等の輪作体系が確立され、積極的に取り組みがなされている地域であります。
 過日、二月末とはいえ小雪舞う夕刻でありましたが、八十歳半ばのおばあちゃんが、庭先の水路でホウレンソウの水洗いとそろえをしており、コンテナ五杯ほど包装仕上げをされておりましたけれども、多分耳が遠いのでダイオキシン問題は知らないようです。あすの出荷準備で、少しでも家計を助けたいと言われておりました。私は、この商品を全部買ってあげたい気持ちでいっぱいでありました。現在、根菜、野菜類中心の出荷でありますが、どこへ行ってもダイオキシンが先走りして交渉に大変苦慮しており、無印の取引等の価格は相手任せ、あるいは安全宣言されてから取引に応じるなど、厳しい状況に置かれております。今後、春野菜の最盛期を迎え、五月よりの土つきゴボウの共同出荷は安全宣言後としてほしいと荷受け側から言われ、時期を失うと商品価値は低下し、とう立ち現象を起こし、すき込まなければならないし、夏取り野菜の作付計画も営農研究会では結論が出せないと言われているのが実態であります。
 そこでお尋ねすることは、ダイオキシンによる風評被害の早期対策の中で特に土壌の分析結果を早く出すこと、測定位置についても、五百メートルでなく拡大し、一キロ四方で数カ所とか、二キロ四方で数カ所の検査は必要と思うがどうか。また、葉菜類で一検体、根菜類で一検体を至急検査し、さらに夏果実のブドウ、秋果実のカキのダイオキシン検査を行い、明らかにすることが大切であると考えます。また、カキなど農作物については根からのダイオキシンの吸収はほとんどないと言われるが、消費者はこうした点は何も知らないので、あえて検査すべきと考えます。
 以上の点から、早期に公的機関での安全宣言を出されるよう期待し、風評被害の早期対策のための農作物のダイオキシン調査について農林水産部長にお尋ねをいたします。
 次に、残りの産廃物の撤去についてであります。
 昨年十一月十日、重機による調査結果から相当量の残りの産廃が判明し、地元では全量撤去との強い意見が出されております。いずれにいたしましても相当量の持ち出しは当然と思うが、ダイオキシン対策を先行させ、事業者に対し措置命令は当然出されることと存じます。恒久対策としての産廃の撤去を進める方法についてでありますが、経費の点で国へ強く要請をしていかなければならないと思うけれども、この点についてどう考えているのか、あわせて生活文化部長にお尋ねいたします。
 以上で、産業廃棄物とりわけダイオキシン類の問題についての質問を終わります。
 次に、本県の活性化についてお尋ねいたします。昨日、森先輩議員より質問がありましたが、私からも申し上げておきます。
 本県は、我が国最大の紀伊半島に位置し、温暖で海洋、森林等豊富な資源に恵まれ、人間性豊かであることは、認められるところであります。しかしながら、神武景気、岩戸景気と言われた高度経済成長の中では国土軸から離れ、南北に長い半島という立地から、他府県に比べおくれをとったことは確かであります。幸い、半島振興特別措置法の制定運動が実り、今日までに二千四百二十億余りの投入はせめてもの救いであり、交通基盤や産業基盤のおくれがようやく軌道に乗りつつあることは結構であります。
 本県の人口も、平成に入って七年がピークで百八万四百人余り、近年は毎年約二千人ペースで減少傾向にあります。人口の増加を図ることがよいとは一概に言えないが、かつて橋本市域においては一時期二千人以上の増加を見ていました。ところが昨年十月一日現在の県調査では、トップが岩出町の千二百十七名増加、橋本市はわずか百二十二名増で、うち社会増は転入、転出とも千九百名と変わらず、転出の多いところに問題があります。それは、就労する場所が少ないということであります。一方、住宅地開発は、現在四団地、約三千戸の売り出し計画の準備を進めておりますが、社会経済環境の大きな変化とともに、既にベッドタウンの時代は終わった感じがするもので、大都市へのUターン現象が勢いを増していることも見受けられ、既存団地での中古住宅の売却が多くなっている点も見逃せません。また、南海高野線の乗降客も低下の傾向にあって、大きな合理化発表がされたようで、社員の二〇%、八百名のリストラを三月に、南海高野線沿線の大阪狭山遊園の廃止、橋本─高野山間の大半の駅は無人化あるいは委託、さらに第二次、第三次の合理化案も検討されているようで、沿線の市町村においても南海電鉄の合理化がかなりの影響をもたらすものと存じます。時代の変遷も大きく、音を立てて変化する、本当に厳しい、難しい時代が今後とも続くのではなかろうか。
 こうした中で、本県の活力みなぎる県土づくりについて、西口知事にお尋ねします。
 次に、企業誘致の現状と今後の見通しについて。
 夜の人口増加も結構であるが、活性化に余り寄与しない。昼間人口の増加、つまり企業の誘致であるが、大変厳しい時代だけにお尋ねしておきます。現在の公社、企業局等の土地への誘致の現状と今後の見通しについて、また橋本拠点都市地域にふさわしい町づくりを行うための企業誘致についていかにあるべきかを商工労働部長に伺います。
 次に、交通網の整備促進について。
 先ほど申し上げたように、大阪へのUターンが始まったことは大変心寂しい限りと受けとめておりますが、末永く定着いただくためには、職住近接による定住促進の町づくり、つまり就労のできる地域づくりが先決で、企業誘致の最大条件は交通網の整備であり、知事が二時間交通圏構想を打ち出していることは意義深いものと考えます。橋本拠点都市地域にあっては、京奈和道も当然ながら国道三百七十一号及び四百八十号の府県間道路は活性化のかなめであり、また新橋本橋についても一日も早く完成に向け取り組んでいただきたいのであるが、大阪府側も含め、当面の取り組みについて土木部長にお尋ねします。
 また、和歌山線の高速化、複線化も活性化に大きく寄与するところであり、昨年の暮れ、JR和歌山線を見直そうと沿線市町村から成る検討委員会が結成されてイベントが催されましたが、和歌山線の改良構想と取り組みについてJR西日本との間で協議しておられるのか、企画部長にお尋ねをいたします。
 次に、田園空間整備事業による中山間地域の活性化について。
 国は、新しい事業展開として、田園整備構想に基づき、農業、農村の持つ豊かな自然や伝統文化等の多面的機能を再評価し、伝統的農業の諸施設や美しい農村景観の保全、復元等を行うとともに、これらを結ぶフットバス等の整備を行い、都市と農村の共生により地域の活性化を図るもので、仮称・田園空間博物館の整備をしていこうとする構想であります。それぞれの諸施設がばらばらでなく、一定地域の中で系統立った整備がなされるよう検討してみてはどうかと考えます。南紀熊野体験博も昨年に開催され、三百十万人の来訪者と一千億円以上の経済波及効果があり、立派に終了されましたが、一過性のイベントに終わることなく、この機会に地域おこしを継続することに大変意義があって、地域の活性化に結びつけることが重要と思います。
 次に、グリーンツーリズムも近年のアウトドア志向から年々普及し、特に長野県、岡山県は代表とされているが、本県も受け皿としては絶好の地域を多く抱えており、京阪神の大都市圏との交通網の整備が進み、本県が持つ特色を十分生かし、心行くまで楽しんでいただけるような、また思い出に残るような中山間や海辺での農山漁村滞在型交流施設、とりわけ農家の諸施設を十分活用されるグリーンツーリズムの展開についても要望しておきます。
 以上、中山間地域の活性化への取り組みについて農林水産部長にお伺いをいたします。
 本県における治水対策について伺います。
 本県の山間部は降雨量が多く、昭和二十八年の大水害は県民にとって忘れることのできない甚大な被害をもたらしました。以降、台風銀座と言われる紀伊半島の中にあって、とりわけ紀の川上流の大台ケ原の年間降雨量は百年間で一万ミリ以上が数回あると言われております。こうした中で、国を初め県として、これらの教訓の上に立って治水対策に大変な努力が払われ、県内では幾つかの治水ダムを初め、紀の川大堰、大滝ダムの完成に向け、あるいは紀伊丹生川ダム建設へ入ろうとすることは大変望ましいところであります。
 そこで、伊都振興局管内における紀の川堤防の未改修箇所とその改修計画について伺います。
 次に、橋本川の早期改修についてであります。
 平成七年七月の水害で市街地において床上、床下浸水の大きな被害が発生し、これは上流での住宅地開発に起因したものと受けとめておりますが、以降、関係住民みずからの決断により数十戸の立ち退きが大半終了したところであります。また、橋本川関連のJR、南海電鉄の橋梁のかけかえは長年の懸案であり、地元住民ともどもこの完成について感謝いたしておるところであります。これは、県を初め、市、建設省、関係機関の熱意と立ち退き住民の理解によるものでありますが、今後一刻も早く完成させるため、県及び建設省の各区間の工事計画についてお尋ねいたします。
 次に、河川改修に伴う伝統技術の導入について。
 河川には、せせらぎの小川から県下大型八河川に至るまで、大小さまざまな形があります。本質問は小規模河川を指すわけでありますが、通常の改修工事は近代工法による治水施設の整備となり、地域の自然や生活文化に根差した伝統文化に合わせた多自然型川づくり、つまり流域の天然素材を使用し、木材や石を用いた網かご工法など、川の自然の力を利用した技術の導入を今後見直していくことが経済面からも望ましいのではないかと思います。これらには、耐久性、安全性、効率性、経済性等、総合的見地からの判断も見逃すわけにはまいらないと思うが、支流域にあっては多くの魚介類が生息するという本県の持つ特色を河川にも十分生かしていくべきと考えます。倉敷や津和野においては、町並み水路、小川の自然型改修によって多くの魚が自然に定着し、今日では全国からの観光客が見学に押し寄せて名物になっております。橋本川改修も現在の二倍の川幅と聞いておりますが、川の中へ生活空間とも言える河川敷公園、低草木の植栽、遊歩道の設置、魚の生息場所等、多自然型改修を思い切ってモデルとして実施し、名物の一つに構築することは大変意義深いものと考えますが、どうか。
 次に、紀伊丹生川ダム建設の事業化について。
 ダム審議会において、ダム建設は妥当との答申がされました。ダム建設に向けた取り組みの現状と事業化の見通しについて。
 以上四点を土木部長にお尋ねいたします。
 次に、多自然型淡水魚水族館の設置について。これは要望であります。
 恐らく、いつの時代になりましても、紀北地方は大都市と背中合わせで産業廃棄物とダイオキシンがつきまとうことでしょうが、幸い、紀の川流域下水道伊都処理区が十三年四月に一部供用が開始されることを初め、農業集落排水事業等による生活環境改善が進んでまいりました。今後、すぐれた環境づくりのため、流水を利用した数々の淡水魚を中心に、箱物でなく多自然型施設による水辺の水族館を紀の川に設置し、さすが和歌山は自然に恵まれ、とりわけ環境は日本一との折り紙をつけていただけるような施設設置を要望しておきます。
 最後に、水質浄化は環境汚染のバロメーターであることを申し添え、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下善之議員にお答えをいたします。
 日本工業所の産業廃棄物問題に関するダイオキシン対策の決意についてでございます。
 このことにつきましては、宗、江上、向井議員にお答えいたしましたところでございますけれども、私は、高濃度ダイオキシン検出の報告を受けて以来、住民の皆さんの不安な気持ちを思い、今も心を痛めておるところでございます。今月二日に現地を視察して、住民の皆さんの声を直接お聞きいたしました。私は、住民の皆さんの不安を取り除くために、本問題の解決に向けて最善の努力を重ねてまいる所存でございます。これからの廃棄物行政の推進に当たりましては、このたびの教訓を生かして、業者指導の徹底、強化はもちろん、不法処理等の監視の強化など素早い対応を行いまして、問題発生の防止に努めてまいる所存でございます。
 なお、日本工業所に対しましては、責任の所在を明確にし、義務を果たさせるために、措置命令を昨日手渡しました。この命令に従わない場合には、県が代執行するとともに、毅然たる態度で臨んでまいりたいと考えてございます。
 次に本県の活性化についてでありますけれども、仰せのように、本県は紀伊半島に位置するという地理的条件あるいは地形的な要因によりまして、残念ながら産業、交通基盤などの社会資本整備がおくれておることは事実でございます。しかし、近畿自動車道の南伸、京奈和自動車道の着工、あるいは関西国際空港の開港という高速交通体系の整備が進んでまいりまして、国土軸、国際軸への直結に大きな進展がございました。また、県内における伝送路の光ファイバー化など、情報通信基盤の整備につきましても着実に進展しているわけでございます。しかし、近年の景気低迷、少子高齢化の進展、人口流出等により地域経済が停滞していることも県政の大きな課題であります。今後とも、産業・交通基盤整備、生活環境施設の充実、そういった社会資本整備に積極的に取り組むとともに、産業構造の急速な変革に対応した産業振興を展開いたしまして、県政各般にわたる施策と相まって県勢活性化を図っていかなければならないと考えてございます。
 来るべき二十一世紀は、心の時代、分権の時代とも言われるわけでありますけれども、本県が誇る自然、歴史、文化を活用しながら、個性と魅力あふれる地域づくりを衆知を集めて進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 木下善之議員の、日本工業所の産業廃棄物問題についての三点のご質問にお答えいたします。
 最初に、日本で二番目に高いダイオキシンの除去対策の五点についてお答えいたします。
 まず、当面の緊急対策についてでございますが、高濃度検出地点は焼却施設使用中の煙突からの洗煙水の飛沫の飛散及び洗煙水の循環水槽からの流出であろうと考えてございます。今回、県では緊急対策といたしまして、洗煙水が飛散したと考えられる煙突の周囲約十メートル以内にシートを設置し、周辺五十メートル以内を立入禁止としておりますが、これは応急措置でありまして、恒久対策につきましては、今後検討委員会での意見をいただきながら対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、漏水対策及び下流河川への影響についてでございますが、循環水槽からの漏水対策につきましては、雨水の浸入を防ぐため応急対策としてシートによる覆いをし、漏水の防止を行ったところでございます。また、下流河川への影響の有無につきましては、緊急調査の中で市脇川の水質調査を行っているところでございます。
 次に、焼却炉等の機材撤去の見通しについてでありますが、昨日、措置命令書を日本工業所に対して手渡したところでございます。この命令においては履行期限を五十日としてございまして、業者がその期限内に命令に従わない場合には県が代執行する考えでございます。
 次に、環境庁、厚生省への現地調査依頼及び指導要請についてでございますが、今後の推移を見守りながら、国に対して要請してまいりたいと考えてございます。なお、技術的支援については要請してございます。
 最後に、調査結果が出る時期についてでありますが、ダイオキシン類の検査には試料採取後おおむね二カ月を要しますが、できるだけ早く分析結果の報告をするよう分析業者に依頼してまいる考えでございます。
 次に、日本工業所は会社として業を営んでいるかとのご質問でございますが、和歌山県及び堺市で許可を取り消されたことから、現在は産業廃棄物処理業は本県及び堺市では営んでございません。
 また、各施設の撤去に要する期間はどのくらい要するのかということでございますが、五十日程度必要ではないかと見込んでございます。なお、その期間についてはできる限り短縮できるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 最後に、残りの産廃物の撤去についてお答えいたします。
 この問題に関しましては今までも国と協議してまいりましたが、恒久的なダイオキシン対策については、技術的にも新しい分野であり、また財政的にも多額の経費が見込まれることから、今後とも国に対して財政的、技術的支援を求めてまいる考えでございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 日本工業所の産業廃棄物問題についての健康の問題につきましては、三月中旬をめどに伊都振興局内に健康相談窓口を開設するとともに、四月中に医師による診察及び肝機能検査等の一般血液生化学検査等の健康診断を実施するよう検討しているところでございます。
 健康診断の対象範囲につきましては、ダイオキシン類問題検討委員会におけるご意見や住民の方々の要望等を踏まえて実施いたしたいと考えております。
 また、ご質問の血液中または母乳中ダイオキシン濃度測定を含むいわゆる健康調査につきましては、今後、健康診断の結果や土壌の追加調査結果等も踏まえ、専門家の意見等をいただきながら検討してまいりたいと考えておりますが、検査費用及び結果判明までの期間につきましては、結果の解析に係る日常生活状況調査、摂取した食事の分析調査等を除きまして、検体の濃度測定に係る部分のみで見ると約三十五万円及び約二、三カ月と承知しております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 日本工業所の産業廃棄物問題に関してのダイオキシンに係る土壌と農作物調査についてお答え申し上げます。
 日本工業所ダイオキシン問題対策本部農作物対策部会の検討会を開催いたしまして、農作物の安全性を確認するため実施するとの結論を見たところでございます。今後、調査地点や農作物の種類等につきましては、地元対策本部の皆さんと協議の上、現在、収穫期にある野菜並びに土壌について今月中を目途として実施してまいりたいと考えてございます。
 議員お話しのように、ダイオキシンは一般的には水に溶けにくく、農作物は根からほとんど吸収しないと言われておりますが、農家の皆さんの不安を解消するため調査を実施し、一日も早く安全宣言を出せるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、田園空間整備事業による中山間地域の活性化についてでございますが、昨年制定されました新農業基本法において、農業、農村の有する多面的機能の発揮が基本理念として掲げられておりまして、その中で農村を単に農業生産を支える生活の場としてとらえるのみでなく、自然と人間が織りなしてきた農村の伝統文化に視点を置いた田園空間としての機能の発揮が重要となってきております。このため、農村の有する豊かな自然、伝統、文化等を再評価し、農村における伝統的施設及び美しい農村景観の保全、復元等に配慮した整備により魅力ある農村づくりを推進することが必要と考えてございますが、この事業につきましては、地域住民の主体的な活動と連携して活性化を目指すものでありますので、郷土づくりに取り組む住民意識の醸成が肝要と思われます。
 県といたしましては、地域の特性を生かし、農村の基盤、環境等の総合的な整備を行い、魅力ある田園づくりを通じて新しい人との交流、農村と都市との共生による地域の活性化を図ることが重要と考えてございますので、今後田園空間整備事業につきましても積極的に市町村ともども検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 企業誘致の現状と今後の見通しについてお答えします。
 昭和五十七年から現在まで、本県へ誘致を行い、進出を決定した企業は七十二社、うち六十社が操業を行ってございます。そのうち、県企業局及び県土地開発公社が開発した用地へは十一社と進出協定を締結し、九社が操業中であります。平成十年度以降、企業の設備投資意欲の低下等により進出協定の締結を行った企業はございませんが、雇用の創出など本県経済の活性化に大きな役割を果たす企業誘致は重要な施策であると考えてございます。
 また橋本市への企業誘致でございますが、橋本市では企業立地を促進させるための優遇制度を創設しましたので、県の制度とあわせて企業に説明し、強く働きかけるとともに、現在事業中の京奈和自動車道がもたらす利便性を大いにPRしてまいりたいと考えてございます。現在、神野々企業団地へ誘致すべく折衝中の企業もございますが、今後とも橋本市の意向を踏まえ、同団地に限らず橋本市全体を視野に入れて誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 本県の活性化についてのご質問のうち、交通網の整備促進についてお答えいたします。
 国道三百七十一号橋本市バイパスは、現在用地買収と本工事を重点的に進めており、府県間トンネルについても、早期事業着手に向けて大阪府と精力的に事業調整を行っているところでございます。
 新橋本橋は、用地買収並びに下部工事の促進を図ってまいります。大阪府側につきましては、府県境から広域農道までの四・三キロメートル区間は、用地買収とともにトンネル六カ所の基本設計等を実施しており、さらに石仏までの一・八キロメートル区間は、トンネル三カ所を含め、部分供用に向け工事を促進しております。
 国道四百八十号平道路は昨年十二月に第一トンネルを発注したところであり、用地買収の促進とあわせ、第二トンネルの早期着手に向け努力してまいります。大阪府側につきましては、現在、国道百七十号に接続する大野町の一・七キロメートル区間の部分供用に向け工事を促進しております。
 続きまして、本県における治水対策についての四点のご質問に順次お答えいたします。
 まず紀の川の改修についてでございますが、紀の川の治水計画は最終的には百五十年に一度の確率で発生する規模の洪水を対象として上流ダム群で調節を行い、洪水を安全に流下させることとしています。伊都振興局管内においては、橋本地点で毎秒六千五百立方メートルの洪水を安全に流下させるために必要な事業を実施する計画となっています。このため、必要な箇所について堤防の築造、補強及びかさ上げ、並びに護岸の施工などを被災の履歴や上下流及び左右岸のバランスなどを総合的に勘案して順次進めていくこととしていると、建設省から聞いています。県といたしましては、紀の川改修の促進について引き続き国に要望してまいります。
 次に、橋本川の改修工事の今後の取り組みについてでございますが、橋本川の改修工事は紀の川合流点から二百メートル区間は建設省が担当し、それより上流の約一・九メートルは県が担当しております。これまで建設省においては用地の取得を、県においては用地の取得及びJR橋梁のかけかえと必要な箇所の護岸整備等を実施してきましたが、今般、JR橋梁下流区間の用地取得が完了した部分から川幅の拡幅と護岸整備を行うこととし、建設省と県がともに三月中に工事に着手することとしております。今後は、JR橋梁下流の県施工区間について残る用地の取得に全力を挙げ、早期の完成を目指すとともに、JR橋梁上流区間についても早期の改修に努めてまいります。
 次に、河川改修に伴う伝統技術の導入についてでございますが、議員ご指摘のように、多くの魚介類が生息する本県の持つ特色を河川にも十分生かしていくべきと考え、県内八つのモデル河川において和歌山流多自然型川づくりの技術の確立を目指した取り組みを開始したところでございます。今後この取り組みをさらに展開することにより、将来的には橋本川を初め県内の他河川へも応用し、広く一般化していく予定でございます。
 次に、紀伊丹生川ダム建設の事業化についてでございますが、昨年九月に紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会から本ダム事業については妥当であるとの意見が出されたことを受け、建設省は平成十二年度において三億七千万円の予算を予定し、現在、環境影響評価法の手続を開始すべく準備を進めていると聞いております。また今後、建設省と県、市、町が共同で紀伊丹生川沿川の地元説明会を近く予定しているところでございます。県としては、早期に建設着手ができるよう、国への要望や地元対応などに取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 交通網の整備促進についてでございます。
 快速電車の増便と鉄道施設の整備を柱とする和歌山線の高速化につきましては、JR西日本に対し再三要望を行うとともに、事業化に向けた協議を行ってございます。その結果、この三月十一日のダイヤ改正から一部の列車に快適な車両が導入される予定となっておりますが、高速化につきましては、事業採算性の問題、地元負担の問題、沿線市町村の機運の盛り上がりなどさまざまな課題があり、現在、これら課題の解決に向けた取り組みを行っているところでございます。本年度は、県と和歌山線活性化検討委員会におきまして、和歌山線利用者の効果的な拡大を図るための駅及び駅周辺整備方策について検討しているところでございます。また、来年度は地域の活性化を通して和歌山線の利用促進を図るための方策について検討いたしたく、今議会に予算をお願いしているところでございます。
 いずれにいたしましても、県といたしましては、和歌山線の高速化につきまして引き続き和歌山線活性化検討委員会とともに課題の解決に向けた取り組みを行いながら、JR西日本に対し、早期事業化を積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十二番木下善之君。
○木下善之君 ちょっと一点、要望を申し上げたいと思います。
 多くの議員からそれぞれに質疑がありましたダイオキシン問題の早期対策でございます。
 県の段階では、有機的な連携のもとに対策本部が設置され、取り組んでおられるわけでございますが、橋本市におきましてもJAの本部あるいは橋本市対策本部というのが設置されてございますし、また三地区の関係の地元もございます。それぞれ有機的な連携を密にしていただいて、そして問題を後へ残さないようにスムーズに取り組みをいただきながら、早期の完全解決に向けて一層のお力添えをお願い申し上げ、要望といたします。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十五分散会

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