平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十六番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 三つの課題について質問を申し上げてまいりますが、初めに介護保険問題について質問をいたしてまいります。
 いよいよ四月一日から介護保険が始まることになっています。この介護保険は、医療保険と違いまして、どんなに収入がないお年寄りからも例外なく保険料を徴収するというものであります。本人が住民税非課税であろうと、あるいは年金が月わずか一万五千円の受給者からも保険料として取り立て、この一万五千円の年金受給者には本人に渡る前に既に天引きされるという、大変厳しい制度でもございます。これではまさにお年寄りの生存権を否定するにも等しい、そういう法律ではないかというふうに私は思います。
 今、実施を目前にしまして、保険料・利用料を払えるやろうか、自立と判定されたらサービスは打ち切られるんやろうか、ショートステイが今以下に減ったら仕事を本当に続けられない、などと高齢者やその家族に不安が一層広がっている状況にあります。
 我が党は、昨年十一月、緊急提案を行いました。低所得者の保険料や利用料の免除を含めての減免制度、そして介護サービスに必要な最低限の基盤整備や国の負担を二五%から五〇%に引き上げること、こういったことをこの四月の制度発足前に、最低限、国として改善することを求めてまいりました。この間、さまざまな団体や国民が共同して署名活動や国会行動を行うなど、介護保険の改善要求が一層強まる中、国は六十五歳以上のお年寄りの保険料徴収を半年延期し、その後一年間は半額にする特別対策を発表いたしました。所得税非課税の方と障害者のホームヘルプサービスの利用料を三年から五年の間で三%に軽減することなどを決めましたが、これでは極めて不十分な対策であります。国家事業でありますから、これは大変多くの問題を抱えたまま四月一日のスタートを迎えることになります。実施主体は市町村ですから独自に事業内容を充実させるなどの裁量の範囲もありますから、住民の利益を守る立場で市町村あるいは県も思いっ切り努力していただきたいと私は願うのであります。
 今、全国の市町村は、四月実施を控えて、この三月議会に介護保険条例案を提示しています。ここでお年寄りの方々の保険料といったものにも論議をいたし、そこで決まっていくわけです。
 また、昨年十月から要介護認定──介護が必要かどうか、どの程度必要なのか、こういったものを決めるものでありますけれども、これが本人の申請によって決まってまいります。本県では一月末までに二万二千六百八十人が申請いたしました。既に一万五千八百五十六人の方々にその認定結果が通知されているところです。
 県は、三万人の認定申請がされるだろうという見込みをしてまいりました。現行制度のもと、サービスを受けている人でまだ申請していない人はないのでしょうか。その状況をお聞かせいただきたいと思います。
 また、自立いわゆる介護必要なしと判定されたお年寄りがこれまでに千百四十八人、申請者の中の七・二四%生まれました。今まで受けていたホームヘルプサービスやデイサービスなどの介護サービスを打ち切られるようなことがあってはなりません。介護を必要とする人が生活実態に見合うサービスが受けられるよう、県としても市町村への支援策が必要ではないでしょうか。その具体的な中身をお聞かせください。
 私は、現行の福祉水準を後退させないことと低所得者を保険から排除しないことが何よりも大事だと思うんです。現行制度でホームヘルプサービスを受けている人の八〇%は、今、無料でサービスを受けています。このことを考えますと、四月一日以降も特別養護老人ホームの入所者と同様な扱いで、無料でサービスを受けられるようにすることがごく自然ではないのでしょうか。
 また、介護保険とは別に保健福祉サービスとして、国も補助する高齢者自立生活支援事業が国の方で四百三億円予算化されています。本県においても約七億円余の予算が提案されているところですけれども、積極的な活用を大いに望むものであります。
 次に保険料についてでありますが、特別対策はわずかな期間限定です。国民年金を受け取る金額は、平均四万七千円程度です。憲法第二十五条に照らしても、住民税非課税のお年寄りや老齢福祉年金受給者など低所得者の保険料は免除するのが当然ではないのでしょうか。生存権の問題としても、国に早急な恒久対策として減免制度を求めていただきたいと考えるものですが、いかがですか。
 国保加入者にとっても、保険料の負担は深刻です。これまでの国保料に上乗せされて介護保険料を払わなければなりません。国保の滞納者も、高い保険料を払いたくても払えない状況が続いています。長引く不況で営業不振、倒産、失業と、かつてなく深刻な状況です。国保料と介護保険料は一体で払うわけですから、滞納すると医者にかかれない、介護サービスも受けられないということになり、その世帯はますます今後激増することにならないかと心配するものであります。市町村国保会計も大変です。この介護保険制度も成り立たなくなるのではないでしょうか。その上、四月からは、一年滞納しますと国保証の取り上げも義務化されます。そして資格証明書交付となりますから、全額負担がこれまた強いられるという状況を起こしてしまいます。こうした事態を起こさないためにも、国、県の財政支援による実行ある減免制度がぜひ必要となります。県のお考えをお聞かせください。
 次に、利用料についても急いで減免制度を求めたいものです。一割負担は、四月から情け容赦なく直面する問題です。在宅サービスでは、月額六千円から三万五千円が利用料となります。利用料がネックになって必要なサービスを辞退する人も出てきます。低所得者への減免制度を拡充することを私たちは求めてきました。政府は負担を軽減するとして、利用料の自己負担の上限を一般世帯で月額三万七千二百円に、そして食事費を二万二千八百万円に、住民税非課税世帯で月二万四千六百円と食費一万五千円に、そして老齢福祉年金を受給していらっしゃる方は利用料を月額一万五千円に、そして食事負担額を九千円に高額介護サービス費として制度化いたしました。これは、現在の医療保険の高額療養費制度に値するわけです。しかし、一般世帯で三万七千二百円というのは、在宅介護の最高利用料は三万五千円でございますから、これは利用できないことになります。住民税非課税世帯では、在宅介護サービスの介護度三、四、五で利用できるものの、償還払いのため、一たん全額自己負担をしなければなりません。大変利用しにくい制度です。また、限度額を超える介護サービス費は保険外負担になりますから、これまた全額自己負担となり、しかも高額サービスの対象にはなりません。
 そこで、高額委任払い制度を取り入れ、負担軽減と利用拡大を進めてはと提言するものですが、所見をお聞かせください。
 次に、基盤整備についてお尋ねをいたします。特にここではホームヘルパー、短期入所いわゆるショートステイ、そして特別養護老人ホームについてお尋ねをしていきたいと思います。
 この二月につくられた平成十二年度から平成十六年度までの「第二次和歌山県老人保健福祉計画」と名称はなっておりますが、ここで具体的に出されている数字──冊子としては「わかやま長寿プラン二〇〇〇」というふうになっております。このプランによりますと、在宅サービスのかなめであるホームヘルパーの平成十二年度から平成十六年度までの五年間の必要数と供給見込み数を書いております。これを見てみますと、県全体での充足率は一〇〇%となっております。五年後の平成十六年の必要人数に対して供給人数三千百四十八人という、目標を超えた達成率になることも数字であらわされています。ちなみに、平成十一年十二月の目標は千五百二十四人に対して千三十八人で、達成率は六八・一%でした。これまでの未達成を一挙に達成するという積極的な姿勢が、ここではうかがえます。しかし、各保健所、福祉圏域別にホームヘルパーの必要人数に対する供給人数を見てみますと、和歌山・海南・海草圏域、あるいは田辺・西牟婁圏域、新宮・東牟婁圏域では一〇〇%の充足目標を持っていますけれども、御坊・日高圏域は五年間でわずかに六二%という水準で、これは目標から見ても、考える上でも問題ではないのでしょうか。
 県は、平成三年から十年までにヘルパー養成を積極的に進めてまいりました。そして、その養成数も五千百二十五人に達しています。平成十一年度でも、緊急雇用対策として百五十人の養成を行いました。この十二年度にも同様の予算が計上され、積極的養成の姿勢には随分と評価をするものであります。しかし、養成を受ける人々には、それぞれその目的はいろいろあるでしょう。現実に働いていないのはなぜなのか、目標が達成されていないのもなぜなのか。就職口がないのでしょうか。計画達成を進めるため今後どのような雇用対策を考えておられるのでしょうか、お聞かせください。
 次にショートステイにおいては、県全体では必要ベッド数に対し供給見込みベッド数はほぼ充足するものの、有田圏域で見ますと、充足率はこの五年間、一貫して六四%にとどまっています。他の地域に比べて随分低い。これは検討が必要ではないのでしょうか。
 働きながら介護サービスを上手に組み合わせて家族で介護をしたいと願っている人もたくさんいますし、現実にそれを行っている人たちもたくさんあります。ショートステイは、働き続けるための保障でもあります。
 私の近所の八十三歳の母親は、最重度の介護度五と認定されました。この母親を、看護婦として三交代の勤務を続けながら二週間のショートステイと週三回のデイサービスを利用しながら頑張っている人がいます。しかし、介護度五ではショートステイ月一週間の利用と少なくなってしまう、せめて月二週間は必要最低の条件であるという、この方の叫びであります。利用日数の拡大を求めています。制度として拡大を国に要請していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
 施設サービス整備では、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護型の療養型病床群のうち、介護保険適用の指定病床数の三施設が介護型になるわけですけれども、最も入所希望の多い特養ホームの待機者は八百六十二人、うち介護保険のサービス対象者は七百二十一人となっています。一年から二年も待たなければならない現状でもありますが、これらをどうやって解決するのか。このことが急がれなければなりません。ゴールドプランによる整備目標である三千床を超えて、この十一年度末には三千五百三十五床と、目標を大変大きく達成しています。しかし、待機者が多いということを考えてみますと、待ったなしの緊急課題です。新たな整備計画は、こうした状況の中、待つことなく入所できるのでしょうか。
 特別養護老人ホーム計画に限って見てみますと、平成十六年度末までに七百床ふやす計画ですから、七百二十人のうち二十人は五年たっても入所できない計算になります。この数は在宅待機者であって、病院などで特養を希望して待機している人数が明らかにされていませんので、実態としてはもっと多い待機者のあることが考えられます。国は施設整備について、六十五歳以上の人口のおおむね三・四%に押さえ込む指導を今強めています。ですから、この基準に合わせて県の整備計画はつくられたものでありましょう。ですから、いつまで待ってもサービスを受けられないことになります。
 本県の市町村から特別養護老人ホームの建設の要望が十七カ所も上がっています。それは、ベッド数で言いますと八百十床にもなります。このことを聞いたとき、この国の整備についての考え方、三・四%の制限枠を改善しなければなりません。待っている人たちの要望にこたえるべきではないでしょうか。介護型療養医療施設の整備計画は、診療報酬等の改定による転換誘導策が図られたようでもありますけれども、病院経営の厳しい状況下、果たしてスムーズに介護型病床に転換できるのか、危惧するところです。
 以上、関係部長の答弁を求めるものです。
 多くの質問をいたしましたが、今後お年寄りに対するさまざまな改悪が今計画をされています。それによっての負担増も改めて見直さなければなりません。医療費では外来、入院ともに定額制から定率制に、年金支給額の五%カットなど、長寿を喜べない非情な事態がお年寄りの生きる喜びも奪おうとしている、こういうふうに私は思えてなりません。せめてお年寄りが介護を必要とするとき必要なサービスが受けられる社会保障制度として充実した介護保険制度にみんなでつくりかえていく、こういうようなことをきょうはこの席から呼びかけたいと思います。
 最後に、四月実施を目前にして、国の基準づくりがおくれた上に基準がたびたび変わる状況の中で膨大な仕事量を連日のように深夜に及ぶ長時間勤務で頑張っておられる介護保険対策室の皆さん、本当にご苦労様です。時間外労働については、当然のことではありますが、一〇〇%申請をし、そして一〇〇%支給されることをあえてここで要望をしておきたいと思います。
 次に、橋本市の産廃問題についてであります。
 きょうの新聞を見てみますと、昨日県は日本工業所に対し措置命令を出されたというふうになっております。それは、この三月三十一日までに計画書を出して、そして五月の末に全部を撤去するという計画書をつくれという指示を出されたようであります。
 きのう向井議員が、本当に住民の皆さん方の声を代弁して切々とその思いや緊急性の問題について訴えられました。こういう点でも、私どもも本当にその住民の皆さん方の思いを真に受けとめて質問をしたいと思います。
 この問題については、初日から随分と質問が相次いでいます。私は三点について伺ってまいりたいと思います。
 実に、環境問題の一つとして産廃行政のあり方が問われていると思うわけです。不法投棄、野焼きなどによる環境犯罪が今全国で増発しているわけですが、警察庁の不法投棄検挙件数の調べを聞きました。一九九六年に二百二十八件、九七年には三百四件、九十八年には四百九十五件と、年々ふえている現状にあります。また、委託基準違反、無許可処理などの検挙数を加えてみますと、九八年度には千百二十件と大幅にふえている現実もあります。しかも、九八年十月から九九年三月までのわずか半年間でも全国で行政が代執行をするということが起こっておりまして、撤去費用に県が負担したのは六つの県で六つの事件が発生して、総額で約四十億円にも達したと言っております。こうした多発傾向にあるこの種の問題に厚生省は、九七年、廃棄物処理法の改正、そしてこの一月十五日から施行となったダイオキシン類対策特別措置法がようやく動き出しました。私は、これまでのらりくらりだった厚生省が重い腰を上げたかなというふうに、国のおくれた行政の姿勢を見た思いがいたします。
 日本工業所は、阪神・淡路大震災の発生する以前からこの地で野焼きをやっており、住民からの苦情も伝えられたと聞いています。このとき、保健所等が適切な行政的対応をしていたならばこんなことにはならなかったんじゃないかと悔やまれるわけですけれども、この行政的対応が本当にちゃんと行われていたのかどうか。そして、阪神大震災発生によって大量の廃棄物がこの地に持ち込まれ、また野焼きが始まりました。そして悪臭被害、排煙による周辺の農作物への被害、住民の健康被害、ダイオキシンの問題、こういうことで住民の暮らしや財産、健康にまで大きな影響を及ぼす結果になっています。
 野焼きによる被害に保健所や橋本市に対して再三、何とかしてほしいと住民が訴えたにもかかわらず無許可による不法操業を黙認し、許可申請の際に便宜を図る目的で業者から現金を受け取るという県職員の汚職事件、しかも橋本市が廃棄物処理施設設置には反対の意思を表明しているにもかかわらず県はあえて許可をした、この初歩的誤りが現状を招いているのではないかと、私はそのように思うわけです。事の重大性と反省の立場に立つならば、その後の行政のあり方は一体どうであったのか、問題はなかったのかということであります。
 ダイオキシン発生の産廃を一億五千万円もの環境保全公社の寄附で搬出しましたけれども、これが本当に効果的に使われたのか。私は、大いに疑問に思うところです。その効果のほどをお聞かせいただきたい。
 今後さらに県費を使っての応急緊急措置の実施、用地内の施設撤去に対する措置命令に従わないことを前提にした経費として予算四億一千余円、さらには恒久対策として四十万立米とも言われている産廃物の搬出に要する経費の負担を思うと、なぜ、何がここまで問題を大きくしたのか、大井部長、お答えください。
 東京地方では、和歌山のミカン、カキ、野菜には気をつけよと言われていると、私の息子も、友人からも電話がありました。大変悲しい出来事でもあります。
 ご存じのように、埼玉県の所沢市ではホウレンソウが、そして能勢町ではクリなど、その地の農作物が風評被害に遭いました。この橋本の地は、カキやブドウ、ミカン、野菜など、大変豊富に生産されている地域でもあります。そして、農業委員会や橋本農協などでは農作物への被害を大変心配されていると聞きます。農家の経営にも大きな影響を及ぼします。このことを思いますと、県としての風評被害対策を考えねばなりません。どのような対応策をお考えになっていらっしゃいますか。農林水産部長、お聞かせください。
 次に、地方労働委員の任命問題についてお尋ねを申し上げます。
 私は、この議場において地方労働委員の任命問題について、これまで三回にわたって質問をしてまいりました。地方労働委員会は、地方自治法及び労働組合法に基づいて都道府県に設置され、「労働組合の資格の立証を受け及び証明を行い、並びに不当労働行為に関し調査し、審問し及び命令を発し、労働争議の斡旋、調停及び仲裁」を任務とする公的機関でもあります。また、労働者委員、使用者委員、公益委員が各五人で、知事の任命によるものであります。実際、和歌山においても労働者労働組合の救済機関として、経営者が不当労働行為を犯している事実があれば救済命令を、また交渉が暗礁に乗り上げたときあっせん申請するなど、積極的な役割を果たしています。それだけに、労働者委員がどういう系統の委員で構成されるのかというのは大変重要です。
 和歌山県では、一九九〇年以前は労働者委員の任命は、県地評二、同盟二、県労懇一の割合で委員が配分されてきましたが、九〇年六月の第二十九期地労委員は五名全員が連合推薦者という異常な事態に至りました。しかし、九五年の第三十一期労働者委員の任命では、連合系から四人、県地評からは松江仁事務局長が選任されました。それまでは、沖縄などで連合系以外の組合から労働者委員が選任されているだけでした。和歌山県での労働行政の改革の流れは、その後、大阪や埼玉で全労連系の労働者委員の任命へと広がりました。
 松江氏が任命された九六年以降の審査及び調整事件は、合わせて二十七件の事件が地労委に持ち込まれてまいりました。そのうち二十一件が県地評傘下の労働組合からのものです。連合系の組合からは五件、中立系の労働組合からは一件となっています。
 労働委員会は、労働条件の改悪や不当労働行為に直面した労働者が地労委に持ち込めば労働者の意見も聞いて何とかしてくれるという大きな期待が持たれています。そこでは労働者と地労委との信頼関係が重要であり、申し立てをする労働者と労働組合運動の路線を異にする系統の労働者委員しかいないというのでは、労働委員会制度そのものへの信頼関係を損なうことになります。この点で、和歌山県が四年前に労働者委員を連合系以外から任命したことは公正で民主的な労働行政の前進にとって全国的な意義を持つ決断であったと、私は高く評価をした次第です。しかしご承知のとおり、知事は今回、第三十三期労働者委員の任命に当たって、連合系から五人、県地評から一人の推薦があったもとで、県地評推薦の松江仁氏を除く連合系五人を労働者委員に任命し、松江氏は再任されませんでした。
 私どもは、松江氏を排除する任命決定の直後に、労政能力開発課にその説明を求めました。一九四九年の労働省の通牒によって総合的に判断したとのことです。この通牒は、労働者委員の任命について、以下のことを求めています。「委員の選考に当たっては、産別、総同盟、中立等系統別の組合数及び組合員数に比例させるとともに、貴管下の産業分野、場合によっては地域別等を十分考慮すること」としています。労働組合の系統別の人数や幅広い産業分野などから選任することをあえて求めているのです。特定の系統からだけ選考するのを避けることを求めています。
 昨年五月、愛知県地労委の任命にかかわる訴訟で、名古屋地裁の判決ですが、「労働組合運動において運動方針を異にする潮流、系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい。また、任命処分の統一性を確保するためにも、公平性、透明性を担保するためにも、任命基準を作成して公表することが望ましいと考える。独立の行政機関である地方労働委員会の労働者委員の任命は政治的であってはならないが、政治的であるとの疑問が生ずるだけでも問題であり、これを防止するためにも任命基準の作成、公表が有益である」と、このように述べています。
 また、千葉地労委に係る昨年六月三十日の東京高裁の判決も、次のように述べています。「ある系統に属する組合の推薦する候補者を労働者委員から排除することを意図して、その系統に属する組合の推薦に係る候補者ということだけで選任基準しないとすることも推薦制度の趣旨に反するものとして裁量権の逸脱に当たるというべきである」と、このように述べています。このように、特定系統の推薦候補を排除することを強く戒めているところです。
 そこで、商工労働部長にお聞きをいたします。
 今回の労働者委員の任命については特定系統の労働組合を排除した任命であり、私は不公平な選定であると考えます。撤回して任命をやり直す考えはありませんか。また、四年前には労働者委員の七人の推薦者の中から松江氏を含む五人を任命されたのですから、今回と四年前とは任命の基準に変更があったはずです。四年前の基準と今回の基準を具体的に説明をしてください。どこが変更されたのか、明らかにされたい。これまで労働者委員の任命基準は公表されていませんでした。名古屋地裁の判決にありますように、任命基準を公表することが望ましいと考えますが、部長の見解を求めておきたいと思います。
 以上で、第一回を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の、介護保険問題についての五点にお答えをいたします。
 まず、要介護認定の未申請者の状況についてでございます。
 四月からの介護サービスの開始に向け、各市町村では準備のための要介護認定の受け付けを順次行っており、二月末現在では約二万六千人余りの方が申請を終えているところであります。現行の申請ペースから見ると、三月末までにはほぼ当初の予定どおりの方が申請をされるものと考えてございます。
 県としましては、ひとり暮らしの高齢者などの方が申請漏れのないよう、三月末までテレビ、ラジオ、ポスター掲示などを活用して集中的な啓発に努めるとともに、地域での民生委員、老人クラブなど身近な人がさらにきめ細かな活動を行うよう、市町村に強く働きかけていきたいと考えております。
 次に、介護保険制度の導入に伴い要介護認定で自立と判定された方々に対する施策として、介護予防・生活支援事業等を考えてございます。そのため、平成十二年度県予算案において市町村在宅高齢者総合支援事業として、二十五事業で七億二千九百十一万八千円を計上してございます。その中に、高齢者の方が地域において健康で生きがいのある生活を送り、要介護状態にならないようにする介護予防事業や、ひとり暮らしで調理が困難な高齢者の方々に対する配食サービスなどのように自立した生活を支える生活支援事業、及び家に閉じこもりがちな高齢者の方に対して日常動作訓練から趣味活動等の各種サービスを提供する生きがい活動通所支援事業などがございます。また、家族介護支援対策として、重度の低所得高齢者に対する紙おむつなど、介護用品の支給も含めてメニュー化してございます。
 県といたしましては、実施主体である市町村がよりよい保健福祉サービスの提供ができるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、保険料・利用料の減免、減額制度についてでございます。
 高齢者に係る保険料の軽減方策につきましては、昨年十一月の特別対策により、従前の所得段階別の設定以外に高齢者保険料の半年間の不徴収、さらに一年間の半減策が激変緩和措置として盛り込まれたところであります。
 減免につきましては、市町村の条例で、災害のほか、失業、農林水産業の不振、病気入院など特別な事情も加味されており、開始に当たって相当の配慮がなされたものと考えております。
 また、国民健康保険の保険料につきましては、所得に応じた算定となっておりますが、さらに所得の低い方については、保険料の応益割額について七割から二割の額が減額されることとなっております。
 なお、介護保険の導入に伴い、国保財政の安定を図るため、国の財政措置により国保中央会に積み立てられた六百六十億円の基金から平成十二、十三年度に限り、保険者に対し財政支援が行われることとなっております。
 今後、保険料並びに利用料について、低所得者並びに障害者等への軽減策がよりきめ細かく、かつ恒久的になるよう、県としても機会あるごとに国に要望してまいります。
 次に、高額介護サービス費に高額委任払いをということについてでございます。
 利用料に係る高額介護サービス費は所得に応じて上限額が設定され、超えた金額は償還払いとされることとなっております。年金の払い込み、家族の仕送りなど、一時的に支払いが困難となった場合、介護保険制度の開始を契機に、生活福祉資金貸付制度が拡充し、無利子で貸し付けを受けることが可能となっております。
 議員ご提案の高額委任払いにつきましては、低所得者でやむを得ない事情があると認められ、かつ関係機関の協力が得られる場合、施設サービスの関係では検討していくべき課題であると考えております。
 最後に、基盤整備についてでございます。
 在宅サービスの根幹となるホームヘルプサービスの提供は必須のことであり、三月一日現在、訪問介護では百五十四事業者を指定しております。中でも、期待していた農協が相当数参入することが決まっており、従来から養成してきたヘルパーの活躍する機会も増加するものと考えております。
 県といたしましても、過疎山間地域でのサービス拡大のため、新年度から広域的な形態での提供基盤の整備に向けた施策を講じることとしております。
 次に、ショートステイにおいては、区分支給限度額が訪問・通所系と別途定められ、また訪問・通所系サービスを一定の割合で受けなかった場合割り増しとなるなど、柔軟な対応がとられることとなっております。
 在宅で介護に当たっておられる方にとってショートステイの拡充は必要と考えておりますので、さらに弾力的な運用を実施するよう、国に強く働きかけてまいります。
 特別養護老人ホームにつきましては、老人保健施設、介護療養型医療施設を含め、三施設の適切な配置を勘案し、市町村での要望を反映しながら、平成十六年度までの整備目標を設定しつつあります。
 県としましては、特養の待機者の解消を主眼としながらも、介護療養型医療施設への転換を関係機関に働きかけつつ、介護保険三施設でのサービスが完備するよう、さらに整備を推進してまいります。
 なお、在宅サービスにおける圏域単位での不均衡については、現行でのサービスの活用状況、地域特性などから若干の差異がありますが、制度の浸透とともに需要が喚起され、三年後の計画の見直しの時期ではこれらの格差が解消されていくものと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員ご質問の、橋本の産廃問題に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本工業所問題がなぜこのような大問題になったかということについてはさまざまな要因が考えられます。本問題につきましては、今日まで県としても精いっぱい努力を重ねてまいりましたが、事態が深刻な状況に至ったことについては重く受けとめ、謙虚に反省しているところであります。
 日本工業所に対しましては、責任の所在を明確にし、その義務を果たさせるため、昨日、措置命令を手渡しました。今後、この命令に従わない場合には刑事告発も辞さない毅然たる姿勢で臨むこととしておりますが、本問題については、県といたしましても、今日に至るまでの経過をきっちりと総括し、問題の所在や課題を明確にし、厳正に対処しなければならないと思っております。
 また、一億五千万円の効果についてでございますが、過去、村岡議員のご質問にお答えしておりますとおり、当時、法的には撤去を命ずる条件に至っておりませんでしたが、問題を早期に解決するため、緊急避難的な措置として、行政指導により保管廃棄物を撤去させたものでございます。この際、和歌山環境保全公社に対し、特例として資金協力を依頼したところであります。このことによりまして、当時問題となっておりました悪臭やハエの発生等の生活環境保全上の支障を除去する上で効果があったと考えてございまして、廃棄物処理法上やむを得ない措置であったと考えてございます。
 いずれにいたしましても、本問題の解決のため最大の努力を重ねてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 橋本市の産廃問題に関する風評問題への対応についてお答えをいたします。
 去る三月三日に日本工業所ダイオキシン対策本部農作物対策部会を開催し、今後の対応について検討を行い、風評対策として安全宣言を出すためには農作物並びに土壌の分析が必要であるとの合意を見ております。
 当地域は果樹の主要産地であり、農家の皆様の不安を解消するため地元対策本部と連携を図り、早急に調査を実施してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 地労委問題に関する二点についてお答えします。
 まず、労働者委員の任命を撤回し、やり直しをについてであります。
 第三十三期地方労働委員会委員の労働者委員の任命につきましては、昨年十一月二日に候補者の推薦を求める公告を行い、五名の定員に対し六名の推薦をいただいたところであります。
 選任に当たりましては、労働行政にかかわる極めて重要な事項であり、推薦いただいた方々の中から労働組合法等が適用される組合員数などを総合的に勘案し、この一月十八日に任命させていただいたところであり、新委員の任期は二年間となってございます。
 次に、基準の変更と基準の公表についてであります。
 労働者委員の任命については、従来から団体別の枠的な考え方でなく、任期ごとに労働組合に推薦を求め、推薦いただいた方々の中から労働組合法等が適用される産業別組合員数等を総合的に勘案し、任命しているところでございます。今回の任命に当たりましても、昭和二十四年の労働事務次官通牒を基準として総合的に判断したところであります。
 もとより地方労働委員会の労働者委員の任命につきましては、労働行政にかかわる極めて重要な事項と認識し、慎重に選任したところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたわけですけれども、最初に介護保険の問題です。
 やっぱり今皆さんが一番不安に思っているのは、保険料が高いということ。利用料も重なるわけですから、払えるだろうかと。お年寄りの皆さん方の所得からすれば非常に高いというのが今の皆さん方のお声なんです。これは一定の特別対策がとられましたけれども、結果的には、一年後には保険料もすべて払わなくちゃいけない、利用料についても、軽減策をとられているけれども、それも払わなくちゃいけないと、こういうことになるわけですから、そういう点で見れば恒久的な対策が一切見えないというような状況になっています。
 全国のそれぞれの状況を見てみますと、今、利用料の軽減等の問題等についても、予算審議の中で前進的に工夫を凝らしながら、各市町村では減免制度や減額制度、免除という部分まで広げて論議がされています。和歌山県においても、低所得者の皆さんたちにこの国家事業である介護保険制度を十分活用してもらえて、そして老後を安心して暮らしていけると、こういうような制度が今求められているわけですけれども、これがまだ十分でないという時点に立っています。そういう点で、県も市町村を支援するという立場から、国に対して恒久的な免除あるいは減免制度といったものについて、実態はもう把握していると思いますから、ぜひ積極的な支援体制をとっていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 それから高額介護サービス費なんですが、委任払いはしないでも貸し付けをしてやるからいいじゃないかと、こういうふうなことになっているわけですね。でも、やっぱり借りるということについては、みんなそれぞれ抵抗を感じるわけです。それよりも、一般の利用者で最高額三万七千二百円ですから、そして住民税非課税の皆さんたちというのは二万四千六百円、老齢福祉年金をもらっていらっしゃる方が月に一万五千円、辛うじて苦労しながらでも払って、それ以上の部分については免除されるという、そういう委任払いが本当に今求められていると思うんですよね。医療でやって、なぜ介護でできないのかということも疑問になります。市町村レベルでも恐らくできることだと思いますし、その事業者との関係、その施設との関係もあろうと思いますけれども、そういう団体の皆さんたちとお話をしていただいてそういう対策をぜひとっていただきたいと、このようにお願いをしておきます。
 それから特別養護老人ホームについては、先ほど申し上げましたように、やっぱり三・四の施設整備の枠組みがあるわけですから、個々に抑えられるということはどうしてもあります。しかし、共産党の国会議員団が厚生大臣に、この枠を緩和しなさい、それによって施設を推進させるんだという質問に対しては、厚生大臣も、それについては市町村の要望にこたえていきたいと述べていますので、ぜひそれを実現させていただきたいなと思います。
 それと、やっぱり特別養護老人ホームに入りたいと望む人はもうたくさんいるわけです。老健施設あるいは療養型よりもはるかに希望が多いと思います。そして、それぞれの個人契約になるわけですから、あなたあっちへ行きなさい、こっちへ行きなさいと言っているように、今の現行制度とは違うわけです。個々の契約になるわけですから、希望するところに入るということから見れば、特養の需要はうんと伸びるだろうと思いますので、ぜひそこらを勘案していただきたいと思います。
 それから橋本の問題については、今、大井部長から切々と言われました。しかし、さまざまな要因があると思うけれどもとおっしゃいますが、そのさまざまな要因が何なのかというのが明らかにならないですよね。覆い隠されている部分です。だから、ぜひこれは検討をする、総括をするというふうにおっしゃっているわけですから、そこの部分を可能な限り、あなたがいらっしゃる間に分析をして、そして対応していただくようにあえてお願いをしたいと思います。
 あと、地労委の問題です。
 知事が最終決定をするんですが、私の質問にはまともに答えてないというふうに私は思うんです。労働事務次官通牒に基づいてやりましたとおっしゃいますけれども、しかし、中身についてはそうはなっていないということがはっきりしていると思うんです。基準は、前の四年前と変わったことについては一言も触れられておりません。普通の人事の場合には、松江さんが何か反社会的な行為をやったり、あるいは異常なことをやったというようなことがあれば、再任はそれはできませんけれども、しかし、これまでの間でもそういう事態がなかったわけですし、非常に多く労働組合──地評ではなくて中立系の皆さんからも随分と推薦をいただいているわけです。四十一団体、そしてその数も二千人ですから。そういう点から見ても、系統別に選ぶということ、そしてその推薦者の中身をちゃんと見なさいよというのは、今の労働組合の形態と大分違ってきているでしょうと。そういうことで、ぜひこれはもう一度検討していただきたいと要望しておきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十九分休憩
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