平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時五分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第六十号から議案第六十八号まで、議案第七十号、議案第七十一号、議案第七十三号及び議案第百十九号は、いずれも職員に関する条例でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第百十九号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十一番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、紀南の浮上策の大黒柱でもある道路整備についてお伺いをいたします。
 紀南地方に一日も早く高速道路をとひたすら願って発足した議員の会・高速自動車国道紀南延長促進議員連盟いわゆる高速議連が先月の二十一日に、町田亘会長以下九人と関係部局の皆さんとともに、現在急ピッチで工事が進められている近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の現地調査を行いました。当日は、日本道路公団の田辺工事事務所長の城戸さんの説明を受けた後、現地視察へと向かいました。視察では、昨年末に貫通した印南町と南部町を九百四十三メートルにわたってまたぐ島田トンネルを初め、御坊─南部間で八つあるトンネルのうち、この島田トンネルより一足先に貫通した西岩代トンネル、それに千六百九十四メートルと最も長い高田山トンネルなど全区間を見て回り、現場の苦労話などを交えての説明を受けたわけであります。
 工事区間が二十一・四キロに及ぶ御坊南部道路は、一部工事がおくれている箇所もあるものの、全体的には予想を上回るペースで順調に進捗しており、この道路が開通すると御坊─南部間がおよそ十五分で結ばれることになり、現在の一般道路の所要時間に比べて、半減どころか三分の一に時間短縮されることになるわけであります。この道路は有料道路であり、お金を使って時間短縮が図られることになりますが、このことは文字どおり「時は金なり」であります。
 また、もう一つのメリットとして、このハイウエーの延伸を交通安全の面から見てみますと、現在この区間の田辺・御坊警察署管内の国道四十二号では年間四百件前後の交通事故が発生し、昨年で四名、一昨年で六名の方が亡くなるという事態が生じております。この発生件数も、ハイウエーの完成で大きく減少するのも間違いないということであります。
 時はお金で買える時代となりましたが、人の命はお金で買えるものではありません。この区間の開通により紀南地方に大きな光が差してくるのは必至で、特に観光面、さらに農林水産物の輸送・流通面などでより一層の効果が期待できます。しかし、この区間の開通による問題点も幾つか懸念されるところであります。
 まず、南部インターから国道四十二号にわたる交通渋滞、交通混雑であります。
 このハイウエーのアクセス道路となる国道四百二十四号、県道中芳養南部線、県道上富田南部線など、道路の改修整備計画が図られているほか、田辺市の芳養町大家から稲成町の田辺バイパスへとつながる田辺西バイパスの建設整備が進められているところであります。
 我がふるさと田辺市では、新庄と稲成を結ぶ田辺バイパスで工事が進められていた四車線化が完成し、今月二十七日から供用開始され、より一層の利便性の向上が図られることになり、知事を初め関係者の皆さんに感謝しているところであります。しかし、田辺市をまたぐメーン道路が四車線化しても、ここへと通じる道が改修や整備されない限り、交通混雑は必至であります。
 田辺市での自動車の通行量は、平成九年度交通量調査では、田辺市新庄町田鶴で一万九千五百十台が観測されており、また白浜温泉への観光客は例年約三百五十万人が訪れ、特に昨年は南紀熊野体験博効果で年間三百十万人余りでにぎわったということであります。
 我が国の経済状況は、バブルの崩壊以降混乱が続いているものの、株価の二万円台回復などで一応の落ちつきが見られる中、今後観光面での需要増が見込まれ、熊博効果も手伝って紀南方面への観光客がより増加することは間違いないものと見られております。このため、御坊南部道路の供用開始に伴い、南部町から田辺市稲成にかけての国道四十二号は、土曜・日曜やその前後は慢性的な交通渋滞が予想され、地域住民の生活道路が観光客のマイカー等によって奪われるケースも懸念されています。
 そこで、県当局は、近畿自動車道紀勢線並びにさきに述べた国道四百二十四号や県道中芳養南部線などのアクセス道路の整備を急ピッチで進めるとともに田辺西バイパスの建設に取り組まれておりますが、これら道路の建設整備のめどはどうか、お伺いをいたします。
 また、さきに述べたアクセス道路は国道四十二号へとつながるものでありますが、ハイウエーの北側を走る県道上富田南部線の改修こそが最大の交通渋滞の解消になると思われます。この路線の改修整備は、山間部を通っていることなどから工事の上での難しい点もあると聞いておりますが、この路線の整備は必要不可欠なものであります。
 県道上富田南部線は、現実問題、上富田町を抜けて田辺市の会津川でストップしているほか、南部町では南行きが脇田橋でストップしているのが現状で、南部から上富田町まではつながってはおりません。
 この路線の整備ですが、南部町内から県道秋津川田辺線が通る田辺市稲成町を結べば、南部町、田辺市の住民はもとより、田辺市の景勝地動鳴気峡や石神梅林の観光経済面にも大きなプラス材料となります。ハイウエー道路の南部から田辺インターチェンジまでの五・九キロ、また田辺─白浜間の十四キロが建設されれば、さきに述べたような交通混雑がある程度解消されることは間違いありませんが、残念ながら現状では御坊─南部間の進捗状況に比べて立ちおくれており、今後完成供用までにかなりの時間を要するものと思われます。そのためにも、さきに述べました上富田南部線の建設整備は、地元待望の道路でもあります。また、西口知事が掲げておられる県内二時間行動圏構想も、より一層推進されることになるわけであります。県当局のこれに向けての取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、津波の防災対策について質問をさせていただきます。
 国民のだれもが敗戦の苦しみが続いている昭和二十一年十二月二十一日未明、当地方を襲った南海道地震とそれに伴った津波により多くの家屋や田畑を流失し、田辺市全域において六十九名のとうとい人命を奪った大惨事から、ことしで五十三年になります。その後、昭和三十五年五月、今から四十年前、南米チリ・サンティアゴ沖を震源とするチリ地震による津波は、一万七千キロメートル離れた日本の太平洋岸に二十四時間後、日本時間の昭和三十五年五月二十三日午前四時十五分に来襲し、各地に大きな被害をもたらしました。地球の反対側からの津波は、太平洋の深いところで時速八百キロ以上のジェット機並みの猛スピードで来襲してきたのであります。マグニチュード九・五とも言われ、過去最大の地震だったようであります。この地震によって和歌山県の南部にも大きな被害が出ました。私の住んでいる町田辺市、また隣接した白浜町におきましても、特に魚介類の養殖に従事している漁民にとって多大な被害を受けたわけであります。そんな中で、「災害は忘れたことにやってくる」との言葉がありますが、専門学者は、次の大災害はいつ発生しても決して不思議ではない周期にあると言われております。
 そんな中で、去る二月二十三日、西牟婁振興局において、田辺市新庄町の八つの町内会の各会長さんが代表して、津波の防災対策要望書を二千六百五十九名の署名を添えて提出されました。「市や県が施策として推進している新文里港の整備及び文里湾架橋を計画するに当たり、磯間、文里、跡ノ浦に至る高架道路には津波対策を考慮した工法を取り入れて実施していただきたいと思います。ただ、この方法によっても津波を完全に防ぐことはできないと思いますが、せめて波の衝撃的破壊力を軽減して被害を少なくすることはできると思います」との内容でありました。
 また、全国沿岸住民の津波防災意識の高揚と啓発を目的とする全国沿岸市町村津波防災サミットが毎年各地で開催されておりますが、特に平成九年七月、第七回サミットが北海道奥尻町で開かれました。国民のだれもがテレビに映し出されたあの痛ましい奥尻町の津波の惨状に目を覆ったと思いますが、そのときの体験発表がありました。平成五年七月十二日に発生した北海道南西沖地震はマグニチュード七・八で、最大三十メートルを超える津波と火災により死者・不明者百九十八名、流失・消失家屋が五百七十二棟、総被害額が約六百億円と、町全体が破滅状態になったとのことであります。そのサミットの資料の中に、私にとって興味ある発表がありました。奥尻島では大変な被害を受け、とうとい人命が失われたことに天災の恐怖をひしひしと感じましたが、奥尻島があったおかげで北海道本土への被害が少なく、沿岸である江差市では三メーターの波しか来なかったそうであります。それは、沖から寄せる大きな波を島が分割したからだそうです。
 梅の産地南部町にも鹿島という島がありますが、この島にも同様の伝説があります。今から二百九十年前、そして百四十五年前の二回の大震災があった際、大津波をこの鹿島が西と東に分散し、南部郷を救ったとの言い伝えがあり、それ以来鹿島は住民たちの厚い信仰の島となり、現在もなおとうとばれています。
 本県では、翌年の平成十年十月、第八回サミットが広川町で開催されました。当日、石原町長さんは、「湯浅や広川町も、今から百四十六年前、また五十三年前の南海道大地震など、過去に多くの地震や津波による大きな被害を受けてきました。今後のためにも、津波災害から身を守るために、防災は生涯学習であるという観点に立ち、本サミットを全国沿岸市町村長の皆様とともに住民の命と財産の保全、津波対策の再検討の機会にしたい」と述べています。さらに、この地域の防災機能を高めるとともに、湯浅広港の総合的な利用を図るため津波防波堤を整備してほしいということで、五百メートルと三百五十メートルの防波堤を計画していると聞いております。
 海岸線に住む住民が安心して生活をするためにも、奥尻島あるいは当地の鹿島の話をもとに、津波を直接受けないために沖に人工島を設置してはどうかと思うのであります。
 田辺湾には、沖ノ島、灘ノ島、中ノ島など小さな島はありますが、これといった防波堤になるような島ではありません。私自身、市会議員当時からの願いでもあり、田辺・白浜地域の活性化の起爆剤となるためにも、そこに住まわれている住民の皆さんが安心して生活できるには、やはり津波の不安を解消し、架橋着工に向けて協力していただけるためにも防波堤となる人工島が必要と考えます。この人工島に植林することによって防波堤となり、魚礁の役割も果たし、さらに釣りの宝庫として魚釣り公園を設けて観光漁業にも役立てるという一石三鳥の役目を果たすことにつながるのではないでしょうか。
 そこで、質問をさせていただきます。
 今後、田辺湾においてこのような人工島、つまり防波堤の考えはないのでしょうか。
 また、今、三陸海岸に組織されつつある津波監視ネットワーク的なものを和歌山県海岸に装置を設置する予定はないのでしょうか。
 さらに、県として防災に対する今後の取り組みがあれば教えていただきたいと思うわけであります。
 最後に、観光振興についてお尋ねをいたします。
 先日、会議で県庁を訪れ、その夜、和歌山市内の飲食店で偶然にお会いした知り合いの和歌山市内の商店主の方から、「先生、あの熊野博、ほんまに成功したんですか」と問いかけられました。私は、とっさのことでしたので、「始まる前はどうやろかと心配していましたが、よう盛り上がり、人もたくさん来てくれたし」と答えたほか、その人の熊博への思いに対するお礼の意味合いを含めて、「また一遍紀南の温泉へでも遊びに来てよう」と短目のあいさつを行い、その場を離れました。なぜなら、その人とは飲食の席も別でありましたし、それよりもたまたま会った人に、豊かな自然を守りながら、いやし、満たし、よみがえるの精神を生かして地域づくりをするためのイベントで、派手さはないが、紀南のよさをPRしたなどとかたいことを言っても時間がかかる上、飲食の場も白けると思い、短目の会話にとどめたことがありました。同じように、ここにおられる方々や県の職員の皆さんにも似たような会話が頻繁にあったのではないでしょうか。また、最近もあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 しかし、紀南の人と会ったときに、「先生、熊博の後、どうすんのよ。県はその後も何か大きなイベントを計画していますか」との声を初め、「先生、一遍田辺の山間部の観光のあり方も考えよらよ」との声など、あちこちの人から声をかけられ、これからの紀南の活性化への関心の高さを改めて知り、私自身の仕事の重大さと責任の重さを痛感している昨今であります。
 我が自由民主党県議団のホープで、これからの時代を担う行動派若手議員の小原泰議員がさきの十二月議会で、紀南地方の活性化対策や熊野博の観光振興についてただしたのに対し、安居企画部長は、「博覧会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域に芽生えた住民主体の地域おこしを定着し、継続していくことが肝要と考えてございます」と答えたほか、上山商工労働部長も、「今後は、この博覧会で得たノウハウを生かし、観光農園や観光林業など農林水産業と連携した体験型観光や、本県の豊かな自然とマッチした朝日、夕日を使った新しい観点からの魅力ある観光地づくりを県下全域で定着させたいと考えております。 また、観光に従事する人材の育成を行い、体験型観光の受け入れ体制の整備とおもてなしの心の向上もあわせて行ってまいりたい」と答弁をされました。私も、両部長とも小原議員に対して誠意のこもった答弁をされたなと思っております。
 そうした中、今月四日に、串本町のホテルにおいて、熊博において中心となって実施した県と十六の関係市町村が集まって南紀熊野二十一協議会を設立し、アフター熊博、今後の地域振興のあり方を研究検討する機関を設けました。十二年度から三年をかけて人材の育成や広域イベントの開催などを行い、二十一世紀に向けた地域づくりを行うということでありますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 県観光課と観光連盟では、都会にない体験型観光を提供しようと「WAKAYAMA Doing 和歌山わくわく体験紀行」というタイトルのパンフレットをつくり、串本のダイビングや勝浦のホエールウオッチング、北山のいかだ下り、熊野川のカヌー体験、大塔村の滝めぐりのほか、伝統文化体験として田辺市の炭焼き、上富田のヒョウタン細工、それに歴史街道体験として熊野古道ウオークなど、数多くのイベントを紹介しております。ここでポイントとなるのは、お金をかけて大規模なイベントの開催やテーマパークなどを誘致すれば集客は見込まれ、観光振興が図られますが、これでは多くの財源を必要とするほか、イベントの失敗や、月日がたつとイベントや施設面に飽きが生じる現象が国内各地で起きております。
 そこで、さきの成功の要因の一つとして、我が日本の社会では、バブル経済崩壊後、バブル期や高度成長時代にはやった豪華さやブランド志向化、派手さといった風潮に変わって、いやしやリラックス、リラクセーションといった今の時代が求めているものを読み取った点があったために熊博は成功につながったとも言えます。つまり、観光という二文字の言葉の原点に潜んでいるものは、触れ合いやいやすなどといった人の心をとらえたり思いやりを持って接するということを改めて認識させるものであります。
 今から二十年ぐらい前になりますが、串本町の前々町長だった故塩津六郎さんがラジオのコマーシャルで、「串本の町長やけど、一遍来てくらんしよ」と観光PRしていたのを思い出しました。この「一遍来てくらんしよ」の言葉は、風光明媚な紀南の景色をぜひとも見てください、来たら何かいいことがありますよ、との町の活性化に向けた熱い思いと紀南の人の心の温かさをPRした観光キャンペーンでもありました。
 海南市を走る高速道路の海南東インターわきに敷地面積九ヘクタールを誇るわんぱく公園が建設され、来月二十二日にオープンする運びとなりました。この公園は、見る、聞く、体験するをテーマに、子供の感性、創造力、社会性をはぐくんでもらおうとつくられたもので、虫取りをしたりバードウオッチングをしたり、ミカン狩りやシイタケ栽培、ジャムづくり、それに竹細工や小屋づくりなど、子供はもちろんのこと、家族連れで余りお金をかけずに一日ゆったりと過ごしてもらおうとの目的でつくられた公園で、これまでの関西地方にはなかった大型公園で、今子供たちの間に流行しているゲームボーイや六四、プレステなどといったパソコンゲームの楽しさとは全く違った、子供が本来知るべき楽しみを味わってもらおうとつくられたものであります。
 また、観光案内にはホームページも導入するなど、二十一世紀を見据えた観光行政が展望されるようであります。さらに、このわんぱく公園では、運営を多くのボランティアの方にお願いして木工教室や昆虫採集などの指導をしていただくほか、それに歴史や文化の語り部の人たちにもお手伝いをいただき、地域が一体となって取り組むということであります。
 同じように熊博では多くのボランティアの人たちが期間中活動を続けられたということでありますが、県ではこれらのボランティアの人たちの日ごろの活動を把握され、県内にボランティアネットワークづくりを推進されてはいかがなものでしょうか。
 続いてホームページでの観光案内でありますが、県では観光連盟とタイアップして和歌山県の観光情報を提供しております。また最近では、「Wakayama Tourism Information」という英語版の案内も登場しています。ここにアクセスしている県内六地域に分けられた各地域別の観光情報が選択でき、例えば田辺・西牟婁地方ですと、田辺市の奇絶峡や石神梅林、大塔村の百間山渓谷、中辺路の牛馬童子など、場所案内や交通手段、見どころなどが紹介をされているほか、今月の花だよりでは白浜平草原のスイセンや桜、和歌山市加太のツバキ園、南部や石神梅林などが取り上げられ、また温泉ガイドでは、白浜や勝浦はもちろんのこと、南部川村の鶴の湯温泉や新宮市の雲取温泉など余り知られていない温泉も含め、県内にある五十カ所余りが紹介されています。このほか、各地域の祭りやイベントなども詳しく調べて紹介しており、この入力作業には大きな労力を要しているなと思いました。
 それと同時に、ホームページにアクセスして感じたことは、ホームページはリアルタイムではないということであります。アクセス料は無料でありますが、利用者のニーズに的確にこたえるために、例えば白浜なら白浜地方の週末のお天気ガイド、それに道路の交通渋滞予想、JRや飛行機の空席状況のほか、観光客が訪れる先の小さなイベント紹介など、実況感覚、ライブ感覚、つまり観光客が何を求めているかといった視点に立った情報提供に取り組んでみてはいかがなものでしょうか。
 さらにつけ加えますと、ホームページの利用者が、行楽での予算や家族連れ、若者グループなどの構成人数、それに所要時間やアウトドア、温泉入浴など、利用目的を項目ごとに入力するとこちらから答えられるといった情報提供サービスにも乗り出してはいかがなものでしょうか。南紀熊野二十一協議会が発足したのを契機に、この機関を利用して、県と市町村が一体となってこの課題に取り組まれてはいかがなものでしょうか。県当局の取り組みについてお伺いをいたします。
 最後に、観光行政を進める上での基盤整備の一つとして、観光客の動態調査についてであります。
 昨年三月の新聞記事のインタビューで、白浜の観光協会の幹部の方が、白浜温泉の利用客は約七割が京阪神の方であると答えられておりました。これは、この幹部を初めとする業界の方々が持っている宿泊客を中心としたデータに基づいてインタビューに答えていたものでありますが、県や各市町村は地域別に訪れる観光客を分析されているのでしょうか。また、本県への観光客の出発地別の割合は近畿府県を初めとしてどのようになっているのか、お伺いをいたします。
 以上で、南紀熊野体験博を継承して設立された南紀熊野二十一協議会と観光振興についての質問を終わらせていただきます。
 以上で、一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員のご質問にお答えいたします。
 道路問題のうち、近畿自動車道紀勢線についてであります。
 近畿自動車道紀勢線につきましては、御坊市からすさみ町江住までの約六十五キロメートルが事業着手してございまして、いよいよ紀伊半島一周の高速道路実現が大きく見えてきたと実感をしてございます。
 このうち、御坊市から南部町間については用地買収率が五〇%を超えてございまして、鋭意工事が促進されてございます。県としましても、早期に残る用地買収を終え、平成十五年春ごろを目標に供用開始ができるよう日本道路公団へ要望してまいります。
 南部町から田辺市間につきましては、現在地元の方々と具体的な設計の協議が行われてございます。県といたしましても、早期に用地買収を行い、供用開始に向けて努力してまいりたいと思います。
 田辺市から白浜町間につきましては、設計に向けた測量・調査が進んでございまして、続く区間である白浜町からすさみ町の江住間についても、昨年末、十二月二十五日でありますけれども、整備計画の格上げができました。用地先行取得制度を活用いたしまして、県によって事業期間の短縮に向けた取り組みを行っております。
 県といたしましては、引き続き地元市町村の協力のもとに事業推進体制の強化を図るとともに、高速道路関連事業予算の大幅な増額をお願いしているところでございまして、各事業区間において一日も早く供用できるように努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路問題の二点目、インターアクセス道路等についてお答えいたします。
 近畿自動車道紀勢線の南部インターへのアクセス道路のうち国道四百二十四号につきましては、用地取得及び本工事を促進しております。また県道中芳養南部線につきましては、関連する県道上富田南部線とあわせて用地取得に努めているところであります。南部インターと同時供用を図るには早期の用地取得が不可欠であり、今後も地元のご協力を得ながら整備促進に努力してまいります。
 また田辺西バイパスにつきましては、田辺市街の交通混雑の解消を図るとともに、田辺インターへのアクセス道路として、現在、設計協議が建設省において進められております。今後、地元のご協力を得ながら用地取得を促進し、早期に工事着手ができるよう国に強く働きかけてまいります。
 次に県道上富田南部線につきましては、南部インターへのアクセス道路となるとともに、地域の重要な生活路線として、三区間で事業着手しております。このうち南部町東吉田地内から南部川村熊岡地内までの区間では、一部において地元調整に難航しておりますが、今後とも地元のご理解、ご協力を得ながら事業促進に努めてまいります。
 また、田辺市稲成地内から中芳養地内までの区間、及び上万呂地内から秋津地内までの区間につきましては、公図混乱地域であることから地籍調査等を行っており、今後調査が整い次第、田辺市並びに地元のご協力を得ながら用地買収を進め、早期整備に努めてまいります。
 続きまして、津波の防災対策についてお答えいたします。
 本県沿岸部は過去に幾たびかの津波による甚大な被害を経験したことから、海岸防災を県政の重要な課題の一つとして取り組んできたところでございます。
 さて、田辺湾沖合に人工島を建設するという壮大なご提言でありますが、田辺湾の地形的条件や環境への影響なども考慮し、人工島を初め津波対策の効果及び妥当性などについて今後研究課題としてまいりたいと存じております。
 次に、津波監視ネットワークについてのご質問でございます。
 議員ご指摘のとおり、津波被害からとうとい人命等を守るためには、津波の初期周知、初期防災体制の確立が不可欠であり、本県といたしましては、平成九年度から港湾防災関連施設整備事業として取り組んでおります。具体的には、潮岬に地震計を、主要な六港湾に潮位の自動観測システムを設置し、平成十三年度にはこれらのネットワーク化を予定しております。このことにより、県内における津波の到達状況をリアルタイムに把握することが可能となると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 大沢議員にお答えいたします。
 津波の防災対策の第三点目でございます。
 延長六百キロメートル余りの海岸線を有する本県におきまして、津波の防災対策が重要であることから、このことを県地域防災計画の地震対策計画編にも位置づけて、ソフト面における取り組みを実施しております。
 まず、迅速に津波情報を伝達するため、地震発生後、気象衛星「ひまわり」から津波情報を受信し、県及び市町村の防災行政無線を活用して津波被害を最小限に抑えるよう努めております。
 また、防災総合訓練を関係機関の参加のもと毎年実施いたしまして、実践的な技術向上、習熟及び地域住民への防災意識の高揚を図っているところでございます。
 さらに、今後県においては新たに避難計画指導マニュアルを作成いたしまして、津波等から住民の方々が適切な避難行動等がとれるよう市町村を指導してまいりたいと存じます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 三点目の観光振興のご質問のうち、南紀熊野二十一協議会についてお答えいたします。
 南紀熊野体験博を継承しての地域づくりに関しましては、博覧会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域に芽生えた住民主体の地域おこしを定着し、継続していくことが肝要という考えのもと、三月四日に、県と関係十六市町村により南紀熊野二十一協議会を設立したところであります。
 協議会の事業につきましては、人づくりのための研修会などの開催、熊野地域の情報発信、またシンボル、広域イベントの実施などを予定しておりますが、具体的事業の内容については地元市町村等と十分協議し、決定してまいりたいと考えております。
 今後、南紀熊野二十一協議会がその機能を十分に発揮し、それぞれの地域で魅力ある地域づくりが積極的に進められるものと期待しているところでございます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 観光振興についてのうち、三点についてお答えします。
 まず、観光ボランティアのネットワークづくりの推進についてであります。
 南紀熊野体験博では、熊野古道ガイドを初め、通訳、清掃など、多方面のボランティアの方々の活動を得て、地域が一体となって取り組む博覧会となりました。今後、観光やリゾートによる地域活性化を目指す本県にとってホスピタリティーの涵養が極めて重要となってまいりますが、この博覧会で培われたボランティア活動のノウハウを生かし、ボランティアの方々の活動ができる環境づくりに関係部局とも協議しながら取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、観光ホームページの充実についてであります。
 県の観光ホームページは平成十年三月に開設しましたが、インターネット人口の飛躍的な増加に伴い、ホームページでの情報提供は、ますます広範で、より詳細な情報を求められるようになってきております。これらのニーズに対応するため、現在の観光ホームページを充実し、閲覧者の利便性を図ることを目的として、平成十二年度で、観光課が保有している観光情報データベースをホームページ上で検索・閲覧できるシステムを構築することとしております。
 なお、議員ご指摘のお天気ガイド、交通渋滞予想などの広範な情報提供につきましては、市町村、観光施設等、ホームページが多数開設されていますので、観光客のニーズを検討の上、リンク先の充実を図ることにより対応してまいりたいと考えております。
 また、県は年に一回観光客動態調査を実施していますが、宿泊者に関しては、主な出発地別に本県を訪れる観光客数を把握しております。これによりますと、大阪を中心とした近畿地方の観光客の割合は約六五%、次いで中部地方が一三%、関東地方が九%の順となっております。
 なお、この観光客動態調査は市町村からの報告に基づいておりますので、それぞれの市町村も主な出発地別の数字を把握しているところであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十一番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 答弁、ありがとうございました。
 道路問題でございますが、田辺西バイパスの整備のめどがかなりおくれるということをお聞きいたしました。この道路のかわりに上富田南部線の大幅な整備改修が必要でありますので、当局におかれましては、この道路整備に向けて全力を傾注していただきたいと思います。
 観光振興においては、ホームページ等、前向きな取り組みの答弁をいただきましたので、結構でございます。
 また津波についてでありますが、土木部長は、今後研究課題として考えてまいりたいとの答弁をされましたが、本県だけの問題でなく、建設省や国土庁など国の協力が大変必要でありますので、国に対して積極的に働きかけていただきたいことを特に要望させていただきまして、終わらせていただきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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