平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十二年二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十二年三月九日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     六  番       堀   本   隆   男
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    島       正   博
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長職務代理者
                中   村   利   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時五分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第六十号から議案第六十八号まで、議案第七十号、議案第七十一号、議案第七十三号及び議案第百十九号は、いずれも職員に関する条例でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第百十九号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十一番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、紀南の浮上策の大黒柱でもある道路整備についてお伺いをいたします。
 紀南地方に一日も早く高速道路をとひたすら願って発足した議員の会・高速自動車国道紀南延長促進議員連盟いわゆる高速議連が先月の二十一日に、町田亘会長以下九人と関係部局の皆さんとともに、現在急ピッチで工事が進められている近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の現地調査を行いました。当日は、日本道路公団の田辺工事事務所長の城戸さんの説明を受けた後、現地視察へと向かいました。視察では、昨年末に貫通した印南町と南部町を九百四十三メートルにわたってまたぐ島田トンネルを初め、御坊─南部間で八つあるトンネルのうち、この島田トンネルより一足先に貫通した西岩代トンネル、それに千六百九十四メートルと最も長い高田山トンネルなど全区間を見て回り、現場の苦労話などを交えての説明を受けたわけであります。
 工事区間が二十一・四キロに及ぶ御坊南部道路は、一部工事がおくれている箇所もあるものの、全体的には予想を上回るペースで順調に進捗しており、この道路が開通すると御坊─南部間がおよそ十五分で結ばれることになり、現在の一般道路の所要時間に比べて、半減どころか三分の一に時間短縮されることになるわけであります。この道路は有料道路であり、お金を使って時間短縮が図られることになりますが、このことは文字どおり「時は金なり」であります。
 また、もう一つのメリットとして、このハイウエーの延伸を交通安全の面から見てみますと、現在この区間の田辺・御坊警察署管内の国道四十二号では年間四百件前後の交通事故が発生し、昨年で四名、一昨年で六名の方が亡くなるという事態が生じております。この発生件数も、ハイウエーの完成で大きく減少するのも間違いないということであります。
 時はお金で買える時代となりましたが、人の命はお金で買えるものではありません。この区間の開通により紀南地方に大きな光が差してくるのは必至で、特に観光面、さらに農林水産物の輸送・流通面などでより一層の効果が期待できます。しかし、この区間の開通による問題点も幾つか懸念されるところであります。
 まず、南部インターから国道四十二号にわたる交通渋滞、交通混雑であります。
 このハイウエーのアクセス道路となる国道四百二十四号、県道中芳養南部線、県道上富田南部線など、道路の改修整備計画が図られているほか、田辺市の芳養町大家から稲成町の田辺バイパスへとつながる田辺西バイパスの建設整備が進められているところであります。
 我がふるさと田辺市では、新庄と稲成を結ぶ田辺バイパスで工事が進められていた四車線化が完成し、今月二十七日から供用開始され、より一層の利便性の向上が図られることになり、知事を初め関係者の皆さんに感謝しているところであります。しかし、田辺市をまたぐメーン道路が四車線化しても、ここへと通じる道が改修や整備されない限り、交通混雑は必至であります。
 田辺市での自動車の通行量は、平成九年度交通量調査では、田辺市新庄町田鶴で一万九千五百十台が観測されており、また白浜温泉への観光客は例年約三百五十万人が訪れ、特に昨年は南紀熊野体験博効果で年間三百十万人余りでにぎわったということであります。
 我が国の経済状況は、バブルの崩壊以降混乱が続いているものの、株価の二万円台回復などで一応の落ちつきが見られる中、今後観光面での需要増が見込まれ、熊博効果も手伝って紀南方面への観光客がより増加することは間違いないものと見られております。このため、御坊南部道路の供用開始に伴い、南部町から田辺市稲成にかけての国道四十二号は、土曜・日曜やその前後は慢性的な交通渋滞が予想され、地域住民の生活道路が観光客のマイカー等によって奪われるケースも懸念されています。
 そこで、県当局は、近畿自動車道紀勢線並びにさきに述べた国道四百二十四号や県道中芳養南部線などのアクセス道路の整備を急ピッチで進めるとともに田辺西バイパスの建設に取り組まれておりますが、これら道路の建設整備のめどはどうか、お伺いをいたします。
 また、さきに述べたアクセス道路は国道四十二号へとつながるものでありますが、ハイウエーの北側を走る県道上富田南部線の改修こそが最大の交通渋滞の解消になると思われます。この路線の改修整備は、山間部を通っていることなどから工事の上での難しい点もあると聞いておりますが、この路線の整備は必要不可欠なものであります。
 県道上富田南部線は、現実問題、上富田町を抜けて田辺市の会津川でストップしているほか、南部町では南行きが脇田橋でストップしているのが現状で、南部から上富田町まではつながってはおりません。
 この路線の整備ですが、南部町内から県道秋津川田辺線が通る田辺市稲成町を結べば、南部町、田辺市の住民はもとより、田辺市の景勝地動鳴気峡や石神梅林の観光経済面にも大きなプラス材料となります。ハイウエー道路の南部から田辺インターチェンジまでの五・九キロ、また田辺─白浜間の十四キロが建設されれば、さきに述べたような交通混雑がある程度解消されることは間違いありませんが、残念ながら現状では御坊─南部間の進捗状況に比べて立ちおくれており、今後完成供用までにかなりの時間を要するものと思われます。そのためにも、さきに述べました上富田南部線の建設整備は、地元待望の道路でもあります。また、西口知事が掲げておられる県内二時間行動圏構想も、より一層推進されることになるわけであります。県当局のこれに向けての取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、津波の防災対策について質問をさせていただきます。
 国民のだれもが敗戦の苦しみが続いている昭和二十一年十二月二十一日未明、当地方を襲った南海道地震とそれに伴った津波により多くの家屋や田畑を流失し、田辺市全域において六十九名のとうとい人命を奪った大惨事から、ことしで五十三年になります。その後、昭和三十五年五月、今から四十年前、南米チリ・サンティアゴ沖を震源とするチリ地震による津波は、一万七千キロメートル離れた日本の太平洋岸に二十四時間後、日本時間の昭和三十五年五月二十三日午前四時十五分に来襲し、各地に大きな被害をもたらしました。地球の反対側からの津波は、太平洋の深いところで時速八百キロ以上のジェット機並みの猛スピードで来襲してきたのであります。マグニチュード九・五とも言われ、過去最大の地震だったようであります。この地震によって和歌山県の南部にも大きな被害が出ました。私の住んでいる町田辺市、また隣接した白浜町におきましても、特に魚介類の養殖に従事している漁民にとって多大な被害を受けたわけであります。そんな中で、「災害は忘れたことにやってくる」との言葉がありますが、専門学者は、次の大災害はいつ発生しても決して不思議ではない周期にあると言われております。
 そんな中で、去る二月二十三日、西牟婁振興局において、田辺市新庄町の八つの町内会の各会長さんが代表して、津波の防災対策要望書を二千六百五十九名の署名を添えて提出されました。「市や県が施策として推進している新文里港の整備及び文里湾架橋を計画するに当たり、磯間、文里、跡ノ浦に至る高架道路には津波対策を考慮した工法を取り入れて実施していただきたいと思います。ただ、この方法によっても津波を完全に防ぐことはできないと思いますが、せめて波の衝撃的破壊力を軽減して被害を少なくすることはできると思います」との内容でありました。
 また、全国沿岸住民の津波防災意識の高揚と啓発を目的とする全国沿岸市町村津波防災サミットが毎年各地で開催されておりますが、特に平成九年七月、第七回サミットが北海道奥尻町で開かれました。国民のだれもがテレビに映し出されたあの痛ましい奥尻町の津波の惨状に目を覆ったと思いますが、そのときの体験発表がありました。平成五年七月十二日に発生した北海道南西沖地震はマグニチュード七・八で、最大三十メートルを超える津波と火災により死者・不明者百九十八名、流失・消失家屋が五百七十二棟、総被害額が約六百億円と、町全体が破滅状態になったとのことであります。そのサミットの資料の中に、私にとって興味ある発表がありました。奥尻島では大変な被害を受け、とうとい人命が失われたことに天災の恐怖をひしひしと感じましたが、奥尻島があったおかげで北海道本土への被害が少なく、沿岸である江差市では三メーターの波しか来なかったそうであります。それは、沖から寄せる大きな波を島が分割したからだそうです。
 梅の産地南部町にも鹿島という島がありますが、この島にも同様の伝説があります。今から二百九十年前、そして百四十五年前の二回の大震災があった際、大津波をこの鹿島が西と東に分散し、南部郷を救ったとの言い伝えがあり、それ以来鹿島は住民たちの厚い信仰の島となり、現在もなおとうとばれています。
 本県では、翌年の平成十年十月、第八回サミットが広川町で開催されました。当日、石原町長さんは、「湯浅や広川町も、今から百四十六年前、また五十三年前の南海道大地震など、過去に多くの地震や津波による大きな被害を受けてきました。今後のためにも、津波災害から身を守るために、防災は生涯学習であるという観点に立ち、本サミットを全国沿岸市町村長の皆様とともに住民の命と財産の保全、津波対策の再検討の機会にしたい」と述べています。さらに、この地域の防災機能を高めるとともに、湯浅広港の総合的な利用を図るため津波防波堤を整備してほしいということで、五百メートルと三百五十メートルの防波堤を計画していると聞いております。
 海岸線に住む住民が安心して生活をするためにも、奥尻島あるいは当地の鹿島の話をもとに、津波を直接受けないために沖に人工島を設置してはどうかと思うのであります。
 田辺湾には、沖ノ島、灘ノ島、中ノ島など小さな島はありますが、これといった防波堤になるような島ではありません。私自身、市会議員当時からの願いでもあり、田辺・白浜地域の活性化の起爆剤となるためにも、そこに住まわれている住民の皆さんが安心して生活できるには、やはり津波の不安を解消し、架橋着工に向けて協力していただけるためにも防波堤となる人工島が必要と考えます。この人工島に植林することによって防波堤となり、魚礁の役割も果たし、さらに釣りの宝庫として魚釣り公園を設けて観光漁業にも役立てるという一石三鳥の役目を果たすことにつながるのではないでしょうか。
 そこで、質問をさせていただきます。
 今後、田辺湾においてこのような人工島、つまり防波堤の考えはないのでしょうか。
 また、今、三陸海岸に組織されつつある津波監視ネットワーク的なものを和歌山県海岸に装置を設置する予定はないのでしょうか。
 さらに、県として防災に対する今後の取り組みがあれば教えていただきたいと思うわけであります。
 最後に、観光振興についてお尋ねをいたします。
 先日、会議で県庁を訪れ、その夜、和歌山市内の飲食店で偶然にお会いした知り合いの和歌山市内の商店主の方から、「先生、あの熊野博、ほんまに成功したんですか」と問いかけられました。私は、とっさのことでしたので、「始まる前はどうやろかと心配していましたが、よう盛り上がり、人もたくさん来てくれたし」と答えたほか、その人の熊博への思いに対するお礼の意味合いを含めて、「また一遍紀南の温泉へでも遊びに来てよう」と短目のあいさつを行い、その場を離れました。なぜなら、その人とは飲食の席も別でありましたし、それよりもたまたま会った人に、豊かな自然を守りながら、いやし、満たし、よみがえるの精神を生かして地域づくりをするためのイベントで、派手さはないが、紀南のよさをPRしたなどとかたいことを言っても時間がかかる上、飲食の場も白けると思い、短目の会話にとどめたことがありました。同じように、ここにおられる方々や県の職員の皆さんにも似たような会話が頻繁にあったのではないでしょうか。また、最近もあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 しかし、紀南の人と会ったときに、「先生、熊博の後、どうすんのよ。県はその後も何か大きなイベントを計画していますか」との声を初め、「先生、一遍田辺の山間部の観光のあり方も考えよらよ」との声など、あちこちの人から声をかけられ、これからの紀南の活性化への関心の高さを改めて知り、私自身の仕事の重大さと責任の重さを痛感している昨今であります。
 我が自由民主党県議団のホープで、これからの時代を担う行動派若手議員の小原泰議員がさきの十二月議会で、紀南地方の活性化対策や熊野博の観光振興についてただしたのに対し、安居企画部長は、「博覧会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域に芽生えた住民主体の地域おこしを定着し、継続していくことが肝要と考えてございます」と答えたほか、上山商工労働部長も、「今後は、この博覧会で得たノウハウを生かし、観光農園や観光林業など農林水産業と連携した体験型観光や、本県の豊かな自然とマッチした朝日、夕日を使った新しい観点からの魅力ある観光地づくりを県下全域で定着させたいと考えております。 また、観光に従事する人材の育成を行い、体験型観光の受け入れ体制の整備とおもてなしの心の向上もあわせて行ってまいりたい」と答弁をされました。私も、両部長とも小原議員に対して誠意のこもった答弁をされたなと思っております。
 そうした中、今月四日に、串本町のホテルにおいて、熊博において中心となって実施した県と十六の関係市町村が集まって南紀熊野二十一協議会を設立し、アフター熊博、今後の地域振興のあり方を研究検討する機関を設けました。十二年度から三年をかけて人材の育成や広域イベントの開催などを行い、二十一世紀に向けた地域づくりを行うということでありますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 県観光課と観光連盟では、都会にない体験型観光を提供しようと「WAKAYAMA Doing 和歌山わくわく体験紀行」というタイトルのパンフレットをつくり、串本のダイビングや勝浦のホエールウオッチング、北山のいかだ下り、熊野川のカヌー体験、大塔村の滝めぐりのほか、伝統文化体験として田辺市の炭焼き、上富田のヒョウタン細工、それに歴史街道体験として熊野古道ウオークなど、数多くのイベントを紹介しております。ここでポイントとなるのは、お金をかけて大規模なイベントの開催やテーマパークなどを誘致すれば集客は見込まれ、観光振興が図られますが、これでは多くの財源を必要とするほか、イベントの失敗や、月日がたつとイベントや施設面に飽きが生じる現象が国内各地で起きております。
 そこで、さきの成功の要因の一つとして、我が日本の社会では、バブル経済崩壊後、バブル期や高度成長時代にはやった豪華さやブランド志向化、派手さといった風潮に変わって、いやしやリラックス、リラクセーションといった今の時代が求めているものを読み取った点があったために熊博は成功につながったとも言えます。つまり、観光という二文字の言葉の原点に潜んでいるものは、触れ合いやいやすなどといった人の心をとらえたり思いやりを持って接するということを改めて認識させるものであります。
 今から二十年ぐらい前になりますが、串本町の前々町長だった故塩津六郎さんがラジオのコマーシャルで、「串本の町長やけど、一遍来てくらんしよ」と観光PRしていたのを思い出しました。この「一遍来てくらんしよ」の言葉は、風光明媚な紀南の景色をぜひとも見てください、来たら何かいいことがありますよ、との町の活性化に向けた熱い思いと紀南の人の心の温かさをPRした観光キャンペーンでもありました。
 海南市を走る高速道路の海南東インターわきに敷地面積九ヘクタールを誇るわんぱく公園が建設され、来月二十二日にオープンする運びとなりました。この公園は、見る、聞く、体験するをテーマに、子供の感性、創造力、社会性をはぐくんでもらおうとつくられたもので、虫取りをしたりバードウオッチングをしたり、ミカン狩りやシイタケ栽培、ジャムづくり、それに竹細工や小屋づくりなど、子供はもちろんのこと、家族連れで余りお金をかけずに一日ゆったりと過ごしてもらおうとの目的でつくられた公園で、これまでの関西地方にはなかった大型公園で、今子供たちの間に流行しているゲームボーイや六四、プレステなどといったパソコンゲームの楽しさとは全く違った、子供が本来知るべき楽しみを味わってもらおうとつくられたものであります。
 また、観光案内にはホームページも導入するなど、二十一世紀を見据えた観光行政が展望されるようであります。さらに、このわんぱく公園では、運営を多くのボランティアの方にお願いして木工教室や昆虫採集などの指導をしていただくほか、それに歴史や文化の語り部の人たちにもお手伝いをいただき、地域が一体となって取り組むということであります。
 同じように熊博では多くのボランティアの人たちが期間中活動を続けられたということでありますが、県ではこれらのボランティアの人たちの日ごろの活動を把握され、県内にボランティアネットワークづくりを推進されてはいかがなものでしょうか。
 続いてホームページでの観光案内でありますが、県では観光連盟とタイアップして和歌山県の観光情報を提供しております。また最近では、「Wakayama Tourism Information」という英語版の案内も登場しています。ここにアクセスしている県内六地域に分けられた各地域別の観光情報が選択でき、例えば田辺・西牟婁地方ですと、田辺市の奇絶峡や石神梅林、大塔村の百間山渓谷、中辺路の牛馬童子など、場所案内や交通手段、見どころなどが紹介をされているほか、今月の花だよりでは白浜平草原のスイセンや桜、和歌山市加太のツバキ園、南部や石神梅林などが取り上げられ、また温泉ガイドでは、白浜や勝浦はもちろんのこと、南部川村の鶴の湯温泉や新宮市の雲取温泉など余り知られていない温泉も含め、県内にある五十カ所余りが紹介されています。このほか、各地域の祭りやイベントなども詳しく調べて紹介しており、この入力作業には大きな労力を要しているなと思いました。
 それと同時に、ホームページにアクセスして感じたことは、ホームページはリアルタイムではないということであります。アクセス料は無料でありますが、利用者のニーズに的確にこたえるために、例えば白浜なら白浜地方の週末のお天気ガイド、それに道路の交通渋滞予想、JRや飛行機の空席状況のほか、観光客が訪れる先の小さなイベント紹介など、実況感覚、ライブ感覚、つまり観光客が何を求めているかといった視点に立った情報提供に取り組んでみてはいかがなものでしょうか。
 さらにつけ加えますと、ホームページの利用者が、行楽での予算や家族連れ、若者グループなどの構成人数、それに所要時間やアウトドア、温泉入浴など、利用目的を項目ごとに入力するとこちらから答えられるといった情報提供サービスにも乗り出してはいかがなものでしょうか。南紀熊野二十一協議会が発足したのを契機に、この機関を利用して、県と市町村が一体となってこの課題に取り組まれてはいかがなものでしょうか。県当局の取り組みについてお伺いをいたします。
 最後に、観光行政を進める上での基盤整備の一つとして、観光客の動態調査についてであります。
 昨年三月の新聞記事のインタビューで、白浜の観光協会の幹部の方が、白浜温泉の利用客は約七割が京阪神の方であると答えられておりました。これは、この幹部を初めとする業界の方々が持っている宿泊客を中心としたデータに基づいてインタビューに答えていたものでありますが、県や各市町村は地域別に訪れる観光客を分析されているのでしょうか。また、本県への観光客の出発地別の割合は近畿府県を初めとしてどのようになっているのか、お伺いをいたします。
 以上で、南紀熊野体験博を継承して設立された南紀熊野二十一協議会と観光振興についての質問を終わらせていただきます。
 以上で、一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員のご質問にお答えいたします。
 道路問題のうち、近畿自動車道紀勢線についてであります。
 近畿自動車道紀勢線につきましては、御坊市からすさみ町江住までの約六十五キロメートルが事業着手してございまして、いよいよ紀伊半島一周の高速道路実現が大きく見えてきたと実感をしてございます。
 このうち、御坊市から南部町間については用地買収率が五〇%を超えてございまして、鋭意工事が促進されてございます。県としましても、早期に残る用地買収を終え、平成十五年春ごろを目標に供用開始ができるよう日本道路公団へ要望してまいります。
 南部町から田辺市間につきましては、現在地元の方々と具体的な設計の協議が行われてございます。県といたしましても、早期に用地買収を行い、供用開始に向けて努力してまいりたいと思います。
 田辺市から白浜町間につきましては、設計に向けた測量・調査が進んでございまして、続く区間である白浜町からすさみ町の江住間についても、昨年末、十二月二十五日でありますけれども、整備計画の格上げができました。用地先行取得制度を活用いたしまして、県によって事業期間の短縮に向けた取り組みを行っております。
 県といたしましては、引き続き地元市町村の協力のもとに事業推進体制の強化を図るとともに、高速道路関連事業予算の大幅な増額をお願いしているところでございまして、各事業区間において一日も早く供用できるように努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路問題の二点目、インターアクセス道路等についてお答えいたします。
 近畿自動車道紀勢線の南部インターへのアクセス道路のうち国道四百二十四号につきましては、用地取得及び本工事を促進しております。また県道中芳養南部線につきましては、関連する県道上富田南部線とあわせて用地取得に努めているところであります。南部インターと同時供用を図るには早期の用地取得が不可欠であり、今後も地元のご協力を得ながら整備促進に努力してまいります。
 また田辺西バイパスにつきましては、田辺市街の交通混雑の解消を図るとともに、田辺インターへのアクセス道路として、現在、設計協議が建設省において進められております。今後、地元のご協力を得ながら用地取得を促進し、早期に工事着手ができるよう国に強く働きかけてまいります。
 次に県道上富田南部線につきましては、南部インターへのアクセス道路となるとともに、地域の重要な生活路線として、三区間で事業着手しております。このうち南部町東吉田地内から南部川村熊岡地内までの区間では、一部において地元調整に難航しておりますが、今後とも地元のご理解、ご協力を得ながら事業促進に努めてまいります。
 また、田辺市稲成地内から中芳養地内までの区間、及び上万呂地内から秋津地内までの区間につきましては、公図混乱地域であることから地籍調査等を行っており、今後調査が整い次第、田辺市並びに地元のご協力を得ながら用地買収を進め、早期整備に努めてまいります。
 続きまして、津波の防災対策についてお答えいたします。
 本県沿岸部は過去に幾たびかの津波による甚大な被害を経験したことから、海岸防災を県政の重要な課題の一つとして取り組んできたところでございます。
 さて、田辺湾沖合に人工島を建設するという壮大なご提言でありますが、田辺湾の地形的条件や環境への影響なども考慮し、人工島を初め津波対策の効果及び妥当性などについて今後研究課題としてまいりたいと存じております。
 次に、津波監視ネットワークについてのご質問でございます。
 議員ご指摘のとおり、津波被害からとうとい人命等を守るためには、津波の初期周知、初期防災体制の確立が不可欠であり、本県といたしましては、平成九年度から港湾防災関連施設整備事業として取り組んでおります。具体的には、潮岬に地震計を、主要な六港湾に潮位の自動観測システムを設置し、平成十三年度にはこれらのネットワーク化を予定しております。このことにより、県内における津波の到達状況をリアルタイムに把握することが可能となると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 大沢議員にお答えいたします。
 津波の防災対策の第三点目でございます。
 延長六百キロメートル余りの海岸線を有する本県におきまして、津波の防災対策が重要であることから、このことを県地域防災計画の地震対策計画編にも位置づけて、ソフト面における取り組みを実施しております。
 まず、迅速に津波情報を伝達するため、地震発生後、気象衛星「ひまわり」から津波情報を受信し、県及び市町村の防災行政無線を活用して津波被害を最小限に抑えるよう努めております。
 また、防災総合訓練を関係機関の参加のもと毎年実施いたしまして、実践的な技術向上、習熟及び地域住民への防災意識の高揚を図っているところでございます。
 さらに、今後県においては新たに避難計画指導マニュアルを作成いたしまして、津波等から住民の方々が適切な避難行動等がとれるよう市町村を指導してまいりたいと存じます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 三点目の観光振興のご質問のうち、南紀熊野二十一協議会についてお答えいたします。
 南紀熊野体験博を継承しての地域づくりに関しましては、博覧会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域に芽生えた住民主体の地域おこしを定着し、継続していくことが肝要という考えのもと、三月四日に、県と関係十六市町村により南紀熊野二十一協議会を設立したところであります。
 協議会の事業につきましては、人づくりのための研修会などの開催、熊野地域の情報発信、またシンボル、広域イベントの実施などを予定しておりますが、具体的事業の内容については地元市町村等と十分協議し、決定してまいりたいと考えております。
 今後、南紀熊野二十一協議会がその機能を十分に発揮し、それぞれの地域で魅力ある地域づくりが積極的に進められるものと期待しているところでございます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 観光振興についてのうち、三点についてお答えします。
 まず、観光ボランティアのネットワークづくりの推進についてであります。
 南紀熊野体験博では、熊野古道ガイドを初め、通訳、清掃など、多方面のボランティアの方々の活動を得て、地域が一体となって取り組む博覧会となりました。今後、観光やリゾートによる地域活性化を目指す本県にとってホスピタリティーの涵養が極めて重要となってまいりますが、この博覧会で培われたボランティア活動のノウハウを生かし、ボランティアの方々の活動ができる環境づくりに関係部局とも協議しながら取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、観光ホームページの充実についてであります。
 県の観光ホームページは平成十年三月に開設しましたが、インターネット人口の飛躍的な増加に伴い、ホームページでの情報提供は、ますます広範で、より詳細な情報を求められるようになってきております。これらのニーズに対応するため、現在の観光ホームページを充実し、閲覧者の利便性を図ることを目的として、平成十二年度で、観光課が保有している観光情報データベースをホームページ上で検索・閲覧できるシステムを構築することとしております。
 なお、議員ご指摘のお天気ガイド、交通渋滞予想などの広範な情報提供につきましては、市町村、観光施設等、ホームページが多数開設されていますので、観光客のニーズを検討の上、リンク先の充実を図ることにより対応してまいりたいと考えております。
 また、県は年に一回観光客動態調査を実施していますが、宿泊者に関しては、主な出発地別に本県を訪れる観光客数を把握しております。これによりますと、大阪を中心とした近畿地方の観光客の割合は約六五%、次いで中部地方が一三%、関東地方が九%の順となっております。
 なお、この観光客動態調査は市町村からの報告に基づいておりますので、それぞれの市町村も主な出発地別の数字を把握しているところであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十一番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 答弁、ありがとうございました。
 道路問題でございますが、田辺西バイパスの整備のめどがかなりおくれるということをお聞きいたしました。この道路のかわりに上富田南部線の大幅な整備改修が必要でありますので、当局におかれましては、この道路整備に向けて全力を傾注していただきたいと思います。
 観光振興においては、ホームページ等、前向きな取り組みの答弁をいただきましたので、結構でございます。
 また津波についてでありますが、土木部長は、今後研究課題として考えてまいりたいとの答弁をされましたが、本県だけの問題でなく、建設省や国土庁など国の協力が大変必要でありますので、国に対して積極的に働きかけていただきたいことを特に要望させていただきまして、終わらせていただきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十六番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 三つの課題について質問を申し上げてまいりますが、初めに介護保険問題について質問をいたしてまいります。
 いよいよ四月一日から介護保険が始まることになっています。この介護保険は、医療保険と違いまして、どんなに収入がないお年寄りからも例外なく保険料を徴収するというものであります。本人が住民税非課税であろうと、あるいは年金が月わずか一万五千円の受給者からも保険料として取り立て、この一万五千円の年金受給者には本人に渡る前に既に天引きされるという、大変厳しい制度でもございます。これではまさにお年寄りの生存権を否定するにも等しい、そういう法律ではないかというふうに私は思います。
 今、実施を目前にしまして、保険料・利用料を払えるやろうか、自立と判定されたらサービスは打ち切られるんやろうか、ショートステイが今以下に減ったら仕事を本当に続けられない、などと高齢者やその家族に不安が一層広がっている状況にあります。
 我が党は、昨年十一月、緊急提案を行いました。低所得者の保険料や利用料の免除を含めての減免制度、そして介護サービスに必要な最低限の基盤整備や国の負担を二五%から五〇%に引き上げること、こういったことをこの四月の制度発足前に、最低限、国として改善することを求めてまいりました。この間、さまざまな団体や国民が共同して署名活動や国会行動を行うなど、介護保険の改善要求が一層強まる中、国は六十五歳以上のお年寄りの保険料徴収を半年延期し、その後一年間は半額にする特別対策を発表いたしました。所得税非課税の方と障害者のホームヘルプサービスの利用料を三年から五年の間で三%に軽減することなどを決めましたが、これでは極めて不十分な対策であります。国家事業でありますから、これは大変多くの問題を抱えたまま四月一日のスタートを迎えることになります。実施主体は市町村ですから独自に事業内容を充実させるなどの裁量の範囲もありますから、住民の利益を守る立場で市町村あるいは県も思いっ切り努力していただきたいと私は願うのであります。
 今、全国の市町村は、四月実施を控えて、この三月議会に介護保険条例案を提示しています。ここでお年寄りの方々の保険料といったものにも論議をいたし、そこで決まっていくわけです。
 また、昨年十月から要介護認定──介護が必要かどうか、どの程度必要なのか、こういったものを決めるものでありますけれども、これが本人の申請によって決まってまいります。本県では一月末までに二万二千六百八十人が申請いたしました。既に一万五千八百五十六人の方々にその認定結果が通知されているところです。
 県は、三万人の認定申請がされるだろうという見込みをしてまいりました。現行制度のもと、サービスを受けている人でまだ申請していない人はないのでしょうか。その状況をお聞かせいただきたいと思います。
 また、自立いわゆる介護必要なしと判定されたお年寄りがこれまでに千百四十八人、申請者の中の七・二四%生まれました。今まで受けていたホームヘルプサービスやデイサービスなどの介護サービスを打ち切られるようなことがあってはなりません。介護を必要とする人が生活実態に見合うサービスが受けられるよう、県としても市町村への支援策が必要ではないでしょうか。その具体的な中身をお聞かせください。
 私は、現行の福祉水準を後退させないことと低所得者を保険から排除しないことが何よりも大事だと思うんです。現行制度でホームヘルプサービスを受けている人の八〇%は、今、無料でサービスを受けています。このことを考えますと、四月一日以降も特別養護老人ホームの入所者と同様な扱いで、無料でサービスを受けられるようにすることがごく自然ではないのでしょうか。
 また、介護保険とは別に保健福祉サービスとして、国も補助する高齢者自立生活支援事業が国の方で四百三億円予算化されています。本県においても約七億円余の予算が提案されているところですけれども、積極的な活用を大いに望むものであります。
 次に保険料についてでありますが、特別対策はわずかな期間限定です。国民年金を受け取る金額は、平均四万七千円程度です。憲法第二十五条に照らしても、住民税非課税のお年寄りや老齢福祉年金受給者など低所得者の保険料は免除するのが当然ではないのでしょうか。生存権の問題としても、国に早急な恒久対策として減免制度を求めていただきたいと考えるものですが、いかがですか。
 国保加入者にとっても、保険料の負担は深刻です。これまでの国保料に上乗せされて介護保険料を払わなければなりません。国保の滞納者も、高い保険料を払いたくても払えない状況が続いています。長引く不況で営業不振、倒産、失業と、かつてなく深刻な状況です。国保料と介護保険料は一体で払うわけですから、滞納すると医者にかかれない、介護サービスも受けられないということになり、その世帯はますます今後激増することにならないかと心配するものであります。市町村国保会計も大変です。この介護保険制度も成り立たなくなるのではないでしょうか。その上、四月からは、一年滞納しますと国保証の取り上げも義務化されます。そして資格証明書交付となりますから、全額負担がこれまた強いられるという状況を起こしてしまいます。こうした事態を起こさないためにも、国、県の財政支援による実行ある減免制度がぜひ必要となります。県のお考えをお聞かせください。
 次に、利用料についても急いで減免制度を求めたいものです。一割負担は、四月から情け容赦なく直面する問題です。在宅サービスでは、月額六千円から三万五千円が利用料となります。利用料がネックになって必要なサービスを辞退する人も出てきます。低所得者への減免制度を拡充することを私たちは求めてきました。政府は負担を軽減するとして、利用料の自己負担の上限を一般世帯で月額三万七千二百円に、そして食事費を二万二千八百万円に、住民税非課税世帯で月二万四千六百円と食費一万五千円に、そして老齢福祉年金を受給していらっしゃる方は利用料を月額一万五千円に、そして食事負担額を九千円に高額介護サービス費として制度化いたしました。これは、現在の医療保険の高額療養費制度に値するわけです。しかし、一般世帯で三万七千二百円というのは、在宅介護の最高利用料は三万五千円でございますから、これは利用できないことになります。住民税非課税世帯では、在宅介護サービスの介護度三、四、五で利用できるものの、償還払いのため、一たん全額自己負担をしなければなりません。大変利用しにくい制度です。また、限度額を超える介護サービス費は保険外負担になりますから、これまた全額自己負担となり、しかも高額サービスの対象にはなりません。
 そこで、高額委任払い制度を取り入れ、負担軽減と利用拡大を進めてはと提言するものですが、所見をお聞かせください。
 次に、基盤整備についてお尋ねをいたします。特にここではホームヘルパー、短期入所いわゆるショートステイ、そして特別養護老人ホームについてお尋ねをしていきたいと思います。
 この二月につくられた平成十二年度から平成十六年度までの「第二次和歌山県老人保健福祉計画」と名称はなっておりますが、ここで具体的に出されている数字──冊子としては「わかやま長寿プラン二〇〇〇」というふうになっております。このプランによりますと、在宅サービスのかなめであるホームヘルパーの平成十二年度から平成十六年度までの五年間の必要数と供給見込み数を書いております。これを見てみますと、県全体での充足率は一〇〇%となっております。五年後の平成十六年の必要人数に対して供給人数三千百四十八人という、目標を超えた達成率になることも数字であらわされています。ちなみに、平成十一年十二月の目標は千五百二十四人に対して千三十八人で、達成率は六八・一%でした。これまでの未達成を一挙に達成するという積極的な姿勢が、ここではうかがえます。しかし、各保健所、福祉圏域別にホームヘルパーの必要人数に対する供給人数を見てみますと、和歌山・海南・海草圏域、あるいは田辺・西牟婁圏域、新宮・東牟婁圏域では一〇〇%の充足目標を持っていますけれども、御坊・日高圏域は五年間でわずかに六二%という水準で、これは目標から見ても、考える上でも問題ではないのでしょうか。
 県は、平成三年から十年までにヘルパー養成を積極的に進めてまいりました。そして、その養成数も五千百二十五人に達しています。平成十一年度でも、緊急雇用対策として百五十人の養成を行いました。この十二年度にも同様の予算が計上され、積極的養成の姿勢には随分と評価をするものであります。しかし、養成を受ける人々には、それぞれその目的はいろいろあるでしょう。現実に働いていないのはなぜなのか、目標が達成されていないのもなぜなのか。就職口がないのでしょうか。計画達成を進めるため今後どのような雇用対策を考えておられるのでしょうか、お聞かせください。
 次にショートステイにおいては、県全体では必要ベッド数に対し供給見込みベッド数はほぼ充足するものの、有田圏域で見ますと、充足率はこの五年間、一貫して六四%にとどまっています。他の地域に比べて随分低い。これは検討が必要ではないのでしょうか。
 働きながら介護サービスを上手に組み合わせて家族で介護をしたいと願っている人もたくさんいますし、現実にそれを行っている人たちもたくさんあります。ショートステイは、働き続けるための保障でもあります。
 私の近所の八十三歳の母親は、最重度の介護度五と認定されました。この母親を、看護婦として三交代の勤務を続けながら二週間のショートステイと週三回のデイサービスを利用しながら頑張っている人がいます。しかし、介護度五ではショートステイ月一週間の利用と少なくなってしまう、せめて月二週間は必要最低の条件であるという、この方の叫びであります。利用日数の拡大を求めています。制度として拡大を国に要請していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
 施設サービス整備では、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護型の療養型病床群のうち、介護保険適用の指定病床数の三施設が介護型になるわけですけれども、最も入所希望の多い特養ホームの待機者は八百六十二人、うち介護保険のサービス対象者は七百二十一人となっています。一年から二年も待たなければならない現状でもありますが、これらをどうやって解決するのか。このことが急がれなければなりません。ゴールドプランによる整備目標である三千床を超えて、この十一年度末には三千五百三十五床と、目標を大変大きく達成しています。しかし、待機者が多いということを考えてみますと、待ったなしの緊急課題です。新たな整備計画は、こうした状況の中、待つことなく入所できるのでしょうか。
 特別養護老人ホーム計画に限って見てみますと、平成十六年度末までに七百床ふやす計画ですから、七百二十人のうち二十人は五年たっても入所できない計算になります。この数は在宅待機者であって、病院などで特養を希望して待機している人数が明らかにされていませんので、実態としてはもっと多い待機者のあることが考えられます。国は施設整備について、六十五歳以上の人口のおおむね三・四%に押さえ込む指導を今強めています。ですから、この基準に合わせて県の整備計画はつくられたものでありましょう。ですから、いつまで待ってもサービスを受けられないことになります。
 本県の市町村から特別養護老人ホームの建設の要望が十七カ所も上がっています。それは、ベッド数で言いますと八百十床にもなります。このことを聞いたとき、この国の整備についての考え方、三・四%の制限枠を改善しなければなりません。待っている人たちの要望にこたえるべきではないでしょうか。介護型療養医療施設の整備計画は、診療報酬等の改定による転換誘導策が図られたようでもありますけれども、病院経営の厳しい状況下、果たしてスムーズに介護型病床に転換できるのか、危惧するところです。
 以上、関係部長の答弁を求めるものです。
 多くの質問をいたしましたが、今後お年寄りに対するさまざまな改悪が今計画をされています。それによっての負担増も改めて見直さなければなりません。医療費では外来、入院ともに定額制から定率制に、年金支給額の五%カットなど、長寿を喜べない非情な事態がお年寄りの生きる喜びも奪おうとしている、こういうふうに私は思えてなりません。せめてお年寄りが介護を必要とするとき必要なサービスが受けられる社会保障制度として充実した介護保険制度にみんなでつくりかえていく、こういうようなことをきょうはこの席から呼びかけたいと思います。
 最後に、四月実施を目前にして、国の基準づくりがおくれた上に基準がたびたび変わる状況の中で膨大な仕事量を連日のように深夜に及ぶ長時間勤務で頑張っておられる介護保険対策室の皆さん、本当にご苦労様です。時間外労働については、当然のことではありますが、一〇〇%申請をし、そして一〇〇%支給されることをあえてここで要望をしておきたいと思います。
 次に、橋本市の産廃問題についてであります。
 きょうの新聞を見てみますと、昨日県は日本工業所に対し措置命令を出されたというふうになっております。それは、この三月三十一日までに計画書を出して、そして五月の末に全部を撤去するという計画書をつくれという指示を出されたようであります。
 きのう向井議員が、本当に住民の皆さん方の声を代弁して切々とその思いや緊急性の問題について訴えられました。こういう点でも、私どもも本当にその住民の皆さん方の思いを真に受けとめて質問をしたいと思います。
 この問題については、初日から随分と質問が相次いでいます。私は三点について伺ってまいりたいと思います。
 実に、環境問題の一つとして産廃行政のあり方が問われていると思うわけです。不法投棄、野焼きなどによる環境犯罪が今全国で増発しているわけですが、警察庁の不法投棄検挙件数の調べを聞きました。一九九六年に二百二十八件、九七年には三百四件、九十八年には四百九十五件と、年々ふえている現状にあります。また、委託基準違反、無許可処理などの検挙数を加えてみますと、九八年度には千百二十件と大幅にふえている現実もあります。しかも、九八年十月から九九年三月までのわずか半年間でも全国で行政が代執行をするということが起こっておりまして、撤去費用に県が負担したのは六つの県で六つの事件が発生して、総額で約四十億円にも達したと言っております。こうした多発傾向にあるこの種の問題に厚生省は、九七年、廃棄物処理法の改正、そしてこの一月十五日から施行となったダイオキシン類対策特別措置法がようやく動き出しました。私は、これまでのらりくらりだった厚生省が重い腰を上げたかなというふうに、国のおくれた行政の姿勢を見た思いがいたします。
 日本工業所は、阪神・淡路大震災の発生する以前からこの地で野焼きをやっており、住民からの苦情も伝えられたと聞いています。このとき、保健所等が適切な行政的対応をしていたならばこんなことにはならなかったんじゃないかと悔やまれるわけですけれども、この行政的対応が本当にちゃんと行われていたのかどうか。そして、阪神大震災発生によって大量の廃棄物がこの地に持ち込まれ、また野焼きが始まりました。そして悪臭被害、排煙による周辺の農作物への被害、住民の健康被害、ダイオキシンの問題、こういうことで住民の暮らしや財産、健康にまで大きな影響を及ぼす結果になっています。
 野焼きによる被害に保健所や橋本市に対して再三、何とかしてほしいと住民が訴えたにもかかわらず無許可による不法操業を黙認し、許可申請の際に便宜を図る目的で業者から現金を受け取るという県職員の汚職事件、しかも橋本市が廃棄物処理施設設置には反対の意思を表明しているにもかかわらず県はあえて許可をした、この初歩的誤りが現状を招いているのではないかと、私はそのように思うわけです。事の重大性と反省の立場に立つならば、その後の行政のあり方は一体どうであったのか、問題はなかったのかということであります。
 ダイオキシン発生の産廃を一億五千万円もの環境保全公社の寄附で搬出しましたけれども、これが本当に効果的に使われたのか。私は、大いに疑問に思うところです。その効果のほどをお聞かせいただきたい。
 今後さらに県費を使っての応急緊急措置の実施、用地内の施設撤去に対する措置命令に従わないことを前提にした経費として予算四億一千余円、さらには恒久対策として四十万立米とも言われている産廃物の搬出に要する経費の負担を思うと、なぜ、何がここまで問題を大きくしたのか、大井部長、お答えください。
 東京地方では、和歌山のミカン、カキ、野菜には気をつけよと言われていると、私の息子も、友人からも電話がありました。大変悲しい出来事でもあります。
 ご存じのように、埼玉県の所沢市ではホウレンソウが、そして能勢町ではクリなど、その地の農作物が風評被害に遭いました。この橋本の地は、カキやブドウ、ミカン、野菜など、大変豊富に生産されている地域でもあります。そして、農業委員会や橋本農協などでは農作物への被害を大変心配されていると聞きます。農家の経営にも大きな影響を及ぼします。このことを思いますと、県としての風評被害対策を考えねばなりません。どのような対応策をお考えになっていらっしゃいますか。農林水産部長、お聞かせください。
 次に、地方労働委員の任命問題についてお尋ねを申し上げます。
 私は、この議場において地方労働委員の任命問題について、これまで三回にわたって質問をしてまいりました。地方労働委員会は、地方自治法及び労働組合法に基づいて都道府県に設置され、「労働組合の資格の立証を受け及び証明を行い、並びに不当労働行為に関し調査し、審問し及び命令を発し、労働争議の斡旋、調停及び仲裁」を任務とする公的機関でもあります。また、労働者委員、使用者委員、公益委員が各五人で、知事の任命によるものであります。実際、和歌山においても労働者労働組合の救済機関として、経営者が不当労働行為を犯している事実があれば救済命令を、また交渉が暗礁に乗り上げたときあっせん申請するなど、積極的な役割を果たしています。それだけに、労働者委員がどういう系統の委員で構成されるのかというのは大変重要です。
 和歌山県では、一九九〇年以前は労働者委員の任命は、県地評二、同盟二、県労懇一の割合で委員が配分されてきましたが、九〇年六月の第二十九期地労委員は五名全員が連合推薦者という異常な事態に至りました。しかし、九五年の第三十一期労働者委員の任命では、連合系から四人、県地評からは松江仁事務局長が選任されました。それまでは、沖縄などで連合系以外の組合から労働者委員が選任されているだけでした。和歌山県での労働行政の改革の流れは、その後、大阪や埼玉で全労連系の労働者委員の任命へと広がりました。
 松江氏が任命された九六年以降の審査及び調整事件は、合わせて二十七件の事件が地労委に持ち込まれてまいりました。そのうち二十一件が県地評傘下の労働組合からのものです。連合系の組合からは五件、中立系の労働組合からは一件となっています。
 労働委員会は、労働条件の改悪や不当労働行為に直面した労働者が地労委に持ち込めば労働者の意見も聞いて何とかしてくれるという大きな期待が持たれています。そこでは労働者と地労委との信頼関係が重要であり、申し立てをする労働者と労働組合運動の路線を異にする系統の労働者委員しかいないというのでは、労働委員会制度そのものへの信頼関係を損なうことになります。この点で、和歌山県が四年前に労働者委員を連合系以外から任命したことは公正で民主的な労働行政の前進にとって全国的な意義を持つ決断であったと、私は高く評価をした次第です。しかしご承知のとおり、知事は今回、第三十三期労働者委員の任命に当たって、連合系から五人、県地評から一人の推薦があったもとで、県地評推薦の松江仁氏を除く連合系五人を労働者委員に任命し、松江氏は再任されませんでした。
 私どもは、松江氏を排除する任命決定の直後に、労政能力開発課にその説明を求めました。一九四九年の労働省の通牒によって総合的に判断したとのことです。この通牒は、労働者委員の任命について、以下のことを求めています。「委員の選考に当たっては、産別、総同盟、中立等系統別の組合数及び組合員数に比例させるとともに、貴管下の産業分野、場合によっては地域別等を十分考慮すること」としています。労働組合の系統別の人数や幅広い産業分野などから選任することをあえて求めているのです。特定の系統からだけ選考するのを避けることを求めています。
 昨年五月、愛知県地労委の任命にかかわる訴訟で、名古屋地裁の判決ですが、「労働組合運動において運動方針を異にする潮流、系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい。また、任命処分の統一性を確保するためにも、公平性、透明性を担保するためにも、任命基準を作成して公表することが望ましいと考える。独立の行政機関である地方労働委員会の労働者委員の任命は政治的であってはならないが、政治的であるとの疑問が生ずるだけでも問題であり、これを防止するためにも任命基準の作成、公表が有益である」と、このように述べています。
 また、千葉地労委に係る昨年六月三十日の東京高裁の判決も、次のように述べています。「ある系統に属する組合の推薦する候補者を労働者委員から排除することを意図して、その系統に属する組合の推薦に係る候補者ということだけで選任基準しないとすることも推薦制度の趣旨に反するものとして裁量権の逸脱に当たるというべきである」と、このように述べています。このように、特定系統の推薦候補を排除することを強く戒めているところです。
 そこで、商工労働部長にお聞きをいたします。
 今回の労働者委員の任命については特定系統の労働組合を排除した任命であり、私は不公平な選定であると考えます。撤回して任命をやり直す考えはありませんか。また、四年前には労働者委員の七人の推薦者の中から松江氏を含む五人を任命されたのですから、今回と四年前とは任命の基準に変更があったはずです。四年前の基準と今回の基準を具体的に説明をしてください。どこが変更されたのか、明らかにされたい。これまで労働者委員の任命基準は公表されていませんでした。名古屋地裁の判決にありますように、任命基準を公表することが望ましいと考えますが、部長の見解を求めておきたいと思います。
 以上で、第一回を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の、介護保険問題についての五点にお答えをいたします。
 まず、要介護認定の未申請者の状況についてでございます。
 四月からの介護サービスの開始に向け、各市町村では準備のための要介護認定の受け付けを順次行っており、二月末現在では約二万六千人余りの方が申請を終えているところであります。現行の申請ペースから見ると、三月末までにはほぼ当初の予定どおりの方が申請をされるものと考えてございます。
 県としましては、ひとり暮らしの高齢者などの方が申請漏れのないよう、三月末までテレビ、ラジオ、ポスター掲示などを活用して集中的な啓発に努めるとともに、地域での民生委員、老人クラブなど身近な人がさらにきめ細かな活動を行うよう、市町村に強く働きかけていきたいと考えております。
 次に、介護保険制度の導入に伴い要介護認定で自立と判定された方々に対する施策として、介護予防・生活支援事業等を考えてございます。そのため、平成十二年度県予算案において市町村在宅高齢者総合支援事業として、二十五事業で七億二千九百十一万八千円を計上してございます。その中に、高齢者の方が地域において健康で生きがいのある生活を送り、要介護状態にならないようにする介護予防事業や、ひとり暮らしで調理が困難な高齢者の方々に対する配食サービスなどのように自立した生活を支える生活支援事業、及び家に閉じこもりがちな高齢者の方に対して日常動作訓練から趣味活動等の各種サービスを提供する生きがい活動通所支援事業などがございます。また、家族介護支援対策として、重度の低所得高齢者に対する紙おむつなど、介護用品の支給も含めてメニュー化してございます。
 県といたしましては、実施主体である市町村がよりよい保健福祉サービスの提供ができるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、保険料・利用料の減免、減額制度についてでございます。
 高齢者に係る保険料の軽減方策につきましては、昨年十一月の特別対策により、従前の所得段階別の設定以外に高齢者保険料の半年間の不徴収、さらに一年間の半減策が激変緩和措置として盛り込まれたところであります。
 減免につきましては、市町村の条例で、災害のほか、失業、農林水産業の不振、病気入院など特別な事情も加味されており、開始に当たって相当の配慮がなされたものと考えております。
 また、国民健康保険の保険料につきましては、所得に応じた算定となっておりますが、さらに所得の低い方については、保険料の応益割額について七割から二割の額が減額されることとなっております。
 なお、介護保険の導入に伴い、国保財政の安定を図るため、国の財政措置により国保中央会に積み立てられた六百六十億円の基金から平成十二、十三年度に限り、保険者に対し財政支援が行われることとなっております。
 今後、保険料並びに利用料について、低所得者並びに障害者等への軽減策がよりきめ細かく、かつ恒久的になるよう、県としても機会あるごとに国に要望してまいります。
 次に、高額介護サービス費に高額委任払いをということについてでございます。
 利用料に係る高額介護サービス費は所得に応じて上限額が設定され、超えた金額は償還払いとされることとなっております。年金の払い込み、家族の仕送りなど、一時的に支払いが困難となった場合、介護保険制度の開始を契機に、生活福祉資金貸付制度が拡充し、無利子で貸し付けを受けることが可能となっております。
 議員ご提案の高額委任払いにつきましては、低所得者でやむを得ない事情があると認められ、かつ関係機関の協力が得られる場合、施設サービスの関係では検討していくべき課題であると考えております。
 最後に、基盤整備についてでございます。
 在宅サービスの根幹となるホームヘルプサービスの提供は必須のことであり、三月一日現在、訪問介護では百五十四事業者を指定しております。中でも、期待していた農協が相当数参入することが決まっており、従来から養成してきたヘルパーの活躍する機会も増加するものと考えております。
 県といたしましても、過疎山間地域でのサービス拡大のため、新年度から広域的な形態での提供基盤の整備に向けた施策を講じることとしております。
 次に、ショートステイにおいては、区分支給限度額が訪問・通所系と別途定められ、また訪問・通所系サービスを一定の割合で受けなかった場合割り増しとなるなど、柔軟な対応がとられることとなっております。
 在宅で介護に当たっておられる方にとってショートステイの拡充は必要と考えておりますので、さらに弾力的な運用を実施するよう、国に強く働きかけてまいります。
 特別養護老人ホームにつきましては、老人保健施設、介護療養型医療施設を含め、三施設の適切な配置を勘案し、市町村での要望を反映しながら、平成十六年度までの整備目標を設定しつつあります。
 県としましては、特養の待機者の解消を主眼としながらも、介護療養型医療施設への転換を関係機関に働きかけつつ、介護保険三施設でのサービスが完備するよう、さらに整備を推進してまいります。
 なお、在宅サービスにおける圏域単位での不均衡については、現行でのサービスの活用状況、地域特性などから若干の差異がありますが、制度の浸透とともに需要が喚起され、三年後の計画の見直しの時期ではこれらの格差が解消されていくものと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員ご質問の、橋本の産廃問題に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本工業所問題がなぜこのような大問題になったかということについてはさまざまな要因が考えられます。本問題につきましては、今日まで県としても精いっぱい努力を重ねてまいりましたが、事態が深刻な状況に至ったことについては重く受けとめ、謙虚に反省しているところであります。
 日本工業所に対しましては、責任の所在を明確にし、その義務を果たさせるため、昨日、措置命令を手渡しました。今後、この命令に従わない場合には刑事告発も辞さない毅然たる姿勢で臨むこととしておりますが、本問題については、県といたしましても、今日に至るまでの経過をきっちりと総括し、問題の所在や課題を明確にし、厳正に対処しなければならないと思っております。
 また、一億五千万円の効果についてでございますが、過去、村岡議員のご質問にお答えしておりますとおり、当時、法的には撤去を命ずる条件に至っておりませんでしたが、問題を早期に解決するため、緊急避難的な措置として、行政指導により保管廃棄物を撤去させたものでございます。この際、和歌山環境保全公社に対し、特例として資金協力を依頼したところであります。このことによりまして、当時問題となっておりました悪臭やハエの発生等の生活環境保全上の支障を除去する上で効果があったと考えてございまして、廃棄物処理法上やむを得ない措置であったと考えてございます。
 いずれにいたしましても、本問題の解決のため最大の努力を重ねてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 橋本市の産廃問題に関する風評問題への対応についてお答えをいたします。
 去る三月三日に日本工業所ダイオキシン対策本部農作物対策部会を開催し、今後の対応について検討を行い、風評対策として安全宣言を出すためには農作物並びに土壌の分析が必要であるとの合意を見ております。
 当地域は果樹の主要産地であり、農家の皆様の不安を解消するため地元対策本部と連携を図り、早急に調査を実施してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 地労委問題に関する二点についてお答えします。
 まず、労働者委員の任命を撤回し、やり直しをについてであります。
 第三十三期地方労働委員会委員の労働者委員の任命につきましては、昨年十一月二日に候補者の推薦を求める公告を行い、五名の定員に対し六名の推薦をいただいたところであります。
 選任に当たりましては、労働行政にかかわる極めて重要な事項であり、推薦いただいた方々の中から労働組合法等が適用される組合員数などを総合的に勘案し、この一月十八日に任命させていただいたところであり、新委員の任期は二年間となってございます。
 次に、基準の変更と基準の公表についてであります。
 労働者委員の任命については、従来から団体別の枠的な考え方でなく、任期ごとに労働組合に推薦を求め、推薦いただいた方々の中から労働組合法等が適用される産業別組合員数等を総合的に勘案し、任命しているところでございます。今回の任命に当たりましても、昭和二十四年の労働事務次官通牒を基準として総合的に判断したところであります。
 もとより地方労働委員会の労働者委員の任命につきましては、労働行政にかかわる極めて重要な事項と認識し、慎重に選任したところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたわけですけれども、最初に介護保険の問題です。
 やっぱり今皆さんが一番不安に思っているのは、保険料が高いということ。利用料も重なるわけですから、払えるだろうかと。お年寄りの皆さん方の所得からすれば非常に高いというのが今の皆さん方のお声なんです。これは一定の特別対策がとられましたけれども、結果的には、一年後には保険料もすべて払わなくちゃいけない、利用料についても、軽減策をとられているけれども、それも払わなくちゃいけないと、こういうことになるわけですから、そういう点で見れば恒久的な対策が一切見えないというような状況になっています。
 全国のそれぞれの状況を見てみますと、今、利用料の軽減等の問題等についても、予算審議の中で前進的に工夫を凝らしながら、各市町村では減免制度や減額制度、免除という部分まで広げて論議がされています。和歌山県においても、低所得者の皆さんたちにこの国家事業である介護保険制度を十分活用してもらえて、そして老後を安心して暮らしていけると、こういうような制度が今求められているわけですけれども、これがまだ十分でないという時点に立っています。そういう点で、県も市町村を支援するという立場から、国に対して恒久的な免除あるいは減免制度といったものについて、実態はもう把握していると思いますから、ぜひ積極的な支援体制をとっていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 それから高額介護サービス費なんですが、委任払いはしないでも貸し付けをしてやるからいいじゃないかと、こういうふうなことになっているわけですね。でも、やっぱり借りるということについては、みんなそれぞれ抵抗を感じるわけです。それよりも、一般の利用者で最高額三万七千二百円ですから、そして住民税非課税の皆さんたちというのは二万四千六百円、老齢福祉年金をもらっていらっしゃる方が月に一万五千円、辛うじて苦労しながらでも払って、それ以上の部分については免除されるという、そういう委任払いが本当に今求められていると思うんですよね。医療でやって、なぜ介護でできないのかということも疑問になります。市町村レベルでも恐らくできることだと思いますし、その事業者との関係、その施設との関係もあろうと思いますけれども、そういう団体の皆さんたちとお話をしていただいてそういう対策をぜひとっていただきたいと、このようにお願いをしておきます。
 それから特別養護老人ホームについては、先ほど申し上げましたように、やっぱり三・四の施設整備の枠組みがあるわけですから、個々に抑えられるということはどうしてもあります。しかし、共産党の国会議員団が厚生大臣に、この枠を緩和しなさい、それによって施設を推進させるんだという質問に対しては、厚生大臣も、それについては市町村の要望にこたえていきたいと述べていますので、ぜひそれを実現させていただきたいなと思います。
 それと、やっぱり特別養護老人ホームに入りたいと望む人はもうたくさんいるわけです。老健施設あるいは療養型よりもはるかに希望が多いと思います。そして、それぞれの個人契約になるわけですから、あなたあっちへ行きなさい、こっちへ行きなさいと言っているように、今の現行制度とは違うわけです。個々の契約になるわけですから、希望するところに入るということから見れば、特養の需要はうんと伸びるだろうと思いますので、ぜひそこらを勘案していただきたいと思います。
 それから橋本の問題については、今、大井部長から切々と言われました。しかし、さまざまな要因があると思うけれどもとおっしゃいますが、そのさまざまな要因が何なのかというのが明らかにならないですよね。覆い隠されている部分です。だから、ぜひこれは検討をする、総括をするというふうにおっしゃっているわけですから、そこの部分を可能な限り、あなたがいらっしゃる間に分析をして、そして対応していただくようにあえてお願いをしたいと思います。
 あと、地労委の問題です。
 知事が最終決定をするんですが、私の質問にはまともに答えてないというふうに私は思うんです。労働事務次官通牒に基づいてやりましたとおっしゃいますけれども、しかし、中身についてはそうはなっていないということがはっきりしていると思うんです。基準は、前の四年前と変わったことについては一言も触れられておりません。普通の人事の場合には、松江さんが何か反社会的な行為をやったり、あるいは異常なことをやったというようなことがあれば、再任はそれはできませんけれども、しかし、これまでの間でもそういう事態がなかったわけですし、非常に多く労働組合──地評ではなくて中立系の皆さんからも随分と推薦をいただいているわけです。四十一団体、そしてその数も二千人ですから。そういう点から見ても、系統別に選ぶということ、そしてその推薦者の中身をちゃんと見なさいよというのは、今の労働組合の形態と大分違ってきているでしょうと。そういうことで、ぜひこれはもう一度検討していただきたいと要望しておきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時五分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十二番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 議長の許しをいただき、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに日本工業所の産業廃棄物問題でありますが、本日までに四人の先輩議員より質問され、それぞれ答弁をいただいております。一部重複する点もありますが、ご了承をいただき、質問に入らせていただきます。
 西口知事は、事態を重く見て、去る二日、議会開会中にもかかわりませず日本工業所の現地調査に入られました。ご苦労さまでした。今日までの経過等は質問ごとに数回取り上げておりますが、簡潔に申し上げると、五年前の今の時期である阪神・淡路大震災のごみも含め、平成七年二月から三月にかけて集中的に持ち込み、平成八年四月ごろに県の許可を得てからが本格的な焼却の始まりで、それ以前は野焼きをして周辺果樹園へ煙の被害を与え、カキ農家より相当金額の被害請求があったのが経過であります。ダイオキシン問題は国内的にも国際的にも注目され、その解決がいかにされるか、先進諸外国からも注目されているのがこの日本工業所のダイオキシン問題であると思う。日本のダイオキシンに対する取り組みは先進諸外国に比べて極めて遅く、また日本でのデータ等も少なく、外国の文献に依存せざるを得ないのが現状で、日本ではようやく先刻ダイオキシン類対策特別措置法に基づく環境基準が発表され、土壌一グラム当たり千ピコグラム以下、水質は一リットル中一ピコグラム以下と、一定の基準が示されたところであります。
 平成十年六月定例議会の私の一般質問で、ダイオキシンの調査が必要でないかとの問いに対し西口知事は、「現在まで国から基準が示されていないため実施をしておりませんでした。しかし、国際的な関心の高まり、あるいは国の取り組みの進展を勘案いたしまして、実施に踏み切りたい」との、ダイオキシン調査については初めての調査実施の答弁をいただき、知事の決断のほどを賜った記憶があり、以降、ダイオキシン類検討委員会において検討され今日に至っておりますが、たとえ場内であっても土壌から十万ピコグラムもの高度のダイオキシンが検出されたことは、ただただ驚きと大きなショックを与えられました。申し上げたように、地元は当然ながらも、国内、国際的にも注目され、一日も早く完全解決をすることこそが、美しい環境を主軸として売り出している本県の使命であると思う。日本工業所のダイオキシン対策の決意について、西口知事にお伺いをいたします。
 次に、日本で二番目に高いダイオキシンの除去対策について。
 大阪の能勢に次ぐ、想像もしなかった事態がついに本県でも発生したことは大変遺憾で、昨年十一月、ダイオキシン類問題検討委員会の検討結果に基づき場内での補完調査の結果を発表されましたが、予期しない極めて高濃度のダイオキシンが土壌から検出されました。県は事の重大さから、知事を先頭に、直ちに緊急対策費として五億円の予算計上をされ、現地に乗り出し、立入禁止、飛散防止シートの設定、ダイオキシンの深度を含めた拡大調査を進めておりますが、既に五年の歳月が流れ、少し遅きに失している感じであります。今日までの複雑な経緯もあって、過去はいたし方がないとしても、高濃度のダイオキシンを検出したことについて県は謙虚に受けとめ、万全な措置を講じ、住民の不安を取り除くべき責任と義務があると思う。
 そこでお尋ねすることは、一、当面の緊急対策として飛散防止対策はこれでよいのか、ダイオキシンは土壌の表層に集積しているとされているがどうか。立入禁止区域内の土壌の撤去時期について。
 二、浸出水から二・六ピコグラムの検出がされておりますが、その漏水対策はどうなっているのか。また、下流河川への影響はどうか。
 三、焼却炉等の機材の撤去は至急対処すべきであるが、いつごろの見通しか。
 四、環境庁、厚生省へ現地調査の依頼をされたのか。
 五、ダイオキシン調査は、土壌採取後どの程度で結果が出るのか。
 以上五点を含め、万全を期した安全対策と除去対策について生活文化部長に伺います。
 次に関係住民の健康調査でありますが、四年前より不備な焼却炉から一年余りにわたり黒煙を出し、周辺地域住民はのどの痛みによる入院、通院が続出し、保健所へ代表者が日参した経緯がある中、私の方へも当時、主婦の方より一通の手紙が入りました。
 前文省略して申し上げますと、「悪臭公害に大変困っております。秋には、悪臭の中、カキの木に登り、ふらつきながらのカキ取りの毎日です。気分が悪くなったときは自宅へ戻りますが、今では家の中まで臭いため、マスクをかけて書いております。いつも頭は鉄の帽子をかぶっているようで、目も痛く、息苦しくなり、台所の換気をすれば幾分楽になります。我が家は百姓ゆえ外で働いておりますが、居場所がありません。子供たちは、こんな臭い家に帰るのが嫌やと言い、友達の家で外泊することが多く、困っております。大好きな、もとの住みよい地域に戻してください。お願いします。かしこ」とあります。
 過ぎ去ったことはいたし方ないとしても、今回の健康調査については、関係三地区を対象に近隣耕作者等、地元の意見を聞いて取り組むべきと思うが、区域についてどうか。また、人体のダイオキシンの残留調査の実施範囲、及び参考としたいので聞いておくが、血液とか母乳等の一検体の検査料は幾らか、また検査結果の出るまでの期間、あるいは健康診断の主な項目内容について伺います。とにかく、全国の注目の的となっており、住民の健康ほど大切なものはなく、さすが和歌山県はその事後処理として完璧であったと国や各県から言われるよう模範を示していただきたいのであります。
 以上の点は、福祉保健部長に答弁をいただきます。
 次に、日本工業所は会社として業を営んでいるのか。焼却炉を初め各機材の撤去は一日も早い方がよいとして、事業者に対し撤去の措置命令を出すとしているが、事業者はその能力があるのか。ないのではないかと思うがどうか。また、能力がないとすれば県が代執行するとの考えがあるとのことですが、どの程度の期間で施設の撤去ができるのかも伺っておきます。地域関係者からは一刻も早く撤収との強い要求があり、地元住民の精神的苦痛を除く面からも、適切な対応について生活文化部長に答弁を願います。
 次に、ダイオキシンに係る土壌及び農作物調査についてでありますが、周辺地域の皆さんの一番恐れていることは健康被害と風評被害であります。この地域は、のどかな田園集落が形成され、カキと野菜を農業形態とし、昭和四十年代にはこの地区で全国から千三百名が訪れるカキ生産者全国大会の現地視察地となるなど、全国一の折り紙のついたカキ産地であります。五百メートルの近隣には年間五千トンのカキをカラーセンサーで処理する共選場が建っていることも、ご承知のとおりです。また、先人の知恵を受け継ぎ、土壌条件が野菜に適したこの地域は代々継承され、果菜、葉菜、根菜等の輪作体系が確立され、積極的に取り組みがなされている地域であります。
 過日、二月末とはいえ小雪舞う夕刻でありましたが、八十歳半ばのおばあちゃんが、庭先の水路でホウレンソウの水洗いとそろえをしており、コンテナ五杯ほど包装仕上げをされておりましたけれども、多分耳が遠いのでダイオキシン問題は知らないようです。あすの出荷準備で、少しでも家計を助けたいと言われておりました。私は、この商品を全部買ってあげたい気持ちでいっぱいでありました。現在、根菜、野菜類中心の出荷でありますが、どこへ行ってもダイオキシンが先走りして交渉に大変苦慮しており、無印の取引等の価格は相手任せ、あるいは安全宣言されてから取引に応じるなど、厳しい状況に置かれております。今後、春野菜の最盛期を迎え、五月よりの土つきゴボウの共同出荷は安全宣言後としてほしいと荷受け側から言われ、時期を失うと商品価値は低下し、とう立ち現象を起こし、すき込まなければならないし、夏取り野菜の作付計画も営農研究会では結論が出せないと言われているのが実態であります。
 そこでお尋ねすることは、ダイオキシンによる風評被害の早期対策の中で特に土壌の分析結果を早く出すこと、測定位置についても、五百メートルでなく拡大し、一キロ四方で数カ所とか、二キロ四方で数カ所の検査は必要と思うがどうか。また、葉菜類で一検体、根菜類で一検体を至急検査し、さらに夏果実のブドウ、秋果実のカキのダイオキシン検査を行い、明らかにすることが大切であると考えます。また、カキなど農作物については根からのダイオキシンの吸収はほとんどないと言われるが、消費者はこうした点は何も知らないので、あえて検査すべきと考えます。
 以上の点から、早期に公的機関での安全宣言を出されるよう期待し、風評被害の早期対策のための農作物のダイオキシン調査について農林水産部長にお尋ねをいたします。
 次に、残りの産廃物の撤去についてであります。
 昨年十一月十日、重機による調査結果から相当量の残りの産廃が判明し、地元では全量撤去との強い意見が出されております。いずれにいたしましても相当量の持ち出しは当然と思うが、ダイオキシン対策を先行させ、事業者に対し措置命令は当然出されることと存じます。恒久対策としての産廃の撤去を進める方法についてでありますが、経費の点で国へ強く要請をしていかなければならないと思うけれども、この点についてどう考えているのか、あわせて生活文化部長にお尋ねいたします。
 以上で、産業廃棄物とりわけダイオキシン類の問題についての質問を終わります。
 次に、本県の活性化についてお尋ねいたします。昨日、森先輩議員より質問がありましたが、私からも申し上げておきます。
 本県は、我が国最大の紀伊半島に位置し、温暖で海洋、森林等豊富な資源に恵まれ、人間性豊かであることは、認められるところであります。しかしながら、神武景気、岩戸景気と言われた高度経済成長の中では国土軸から離れ、南北に長い半島という立地から、他府県に比べおくれをとったことは確かであります。幸い、半島振興特別措置法の制定運動が実り、今日までに二千四百二十億余りの投入はせめてもの救いであり、交通基盤や産業基盤のおくれがようやく軌道に乗りつつあることは結構であります。
 本県の人口も、平成に入って七年がピークで百八万四百人余り、近年は毎年約二千人ペースで減少傾向にあります。人口の増加を図ることがよいとは一概に言えないが、かつて橋本市域においては一時期二千人以上の増加を見ていました。ところが昨年十月一日現在の県調査では、トップが岩出町の千二百十七名増加、橋本市はわずか百二十二名増で、うち社会増は転入、転出とも千九百名と変わらず、転出の多いところに問題があります。それは、就労する場所が少ないということであります。一方、住宅地開発は、現在四団地、約三千戸の売り出し計画の準備を進めておりますが、社会経済環境の大きな変化とともに、既にベッドタウンの時代は終わった感じがするもので、大都市へのUターン現象が勢いを増していることも見受けられ、既存団地での中古住宅の売却が多くなっている点も見逃せません。また、南海高野線の乗降客も低下の傾向にあって、大きな合理化発表がされたようで、社員の二〇%、八百名のリストラを三月に、南海高野線沿線の大阪狭山遊園の廃止、橋本─高野山間の大半の駅は無人化あるいは委託、さらに第二次、第三次の合理化案も検討されているようで、沿線の市町村においても南海電鉄の合理化がかなりの影響をもたらすものと存じます。時代の変遷も大きく、音を立てて変化する、本当に厳しい、難しい時代が今後とも続くのではなかろうか。
 こうした中で、本県の活力みなぎる県土づくりについて、西口知事にお尋ねします。
 次に、企業誘致の現状と今後の見通しについて。
 夜の人口増加も結構であるが、活性化に余り寄与しない。昼間人口の増加、つまり企業の誘致であるが、大変厳しい時代だけにお尋ねしておきます。現在の公社、企業局等の土地への誘致の現状と今後の見通しについて、また橋本拠点都市地域にふさわしい町づくりを行うための企業誘致についていかにあるべきかを商工労働部長に伺います。
 次に、交通網の整備促進について。
 先ほど申し上げたように、大阪へのUターンが始まったことは大変心寂しい限りと受けとめておりますが、末永く定着いただくためには、職住近接による定住促進の町づくり、つまり就労のできる地域づくりが先決で、企業誘致の最大条件は交通網の整備であり、知事が二時間交通圏構想を打ち出していることは意義深いものと考えます。橋本拠点都市地域にあっては、京奈和道も当然ながら国道三百七十一号及び四百八十号の府県間道路は活性化のかなめであり、また新橋本橋についても一日も早く完成に向け取り組んでいただきたいのであるが、大阪府側も含め、当面の取り組みについて土木部長にお尋ねします。
 また、和歌山線の高速化、複線化も活性化に大きく寄与するところであり、昨年の暮れ、JR和歌山線を見直そうと沿線市町村から成る検討委員会が結成されてイベントが催されましたが、和歌山線の改良構想と取り組みについてJR西日本との間で協議しておられるのか、企画部長にお尋ねをいたします。
 次に、田園空間整備事業による中山間地域の活性化について。
 国は、新しい事業展開として、田園整備構想に基づき、農業、農村の持つ豊かな自然や伝統文化等の多面的機能を再評価し、伝統的農業の諸施設や美しい農村景観の保全、復元等を行うとともに、これらを結ぶフットバス等の整備を行い、都市と農村の共生により地域の活性化を図るもので、仮称・田園空間博物館の整備をしていこうとする構想であります。それぞれの諸施設がばらばらでなく、一定地域の中で系統立った整備がなされるよう検討してみてはどうかと考えます。南紀熊野体験博も昨年に開催され、三百十万人の来訪者と一千億円以上の経済波及効果があり、立派に終了されましたが、一過性のイベントに終わることなく、この機会に地域おこしを継続することに大変意義があって、地域の活性化に結びつけることが重要と思います。
 次に、グリーンツーリズムも近年のアウトドア志向から年々普及し、特に長野県、岡山県は代表とされているが、本県も受け皿としては絶好の地域を多く抱えており、京阪神の大都市圏との交通網の整備が進み、本県が持つ特色を十分生かし、心行くまで楽しんでいただけるような、また思い出に残るような中山間や海辺での農山漁村滞在型交流施設、とりわけ農家の諸施設を十分活用されるグリーンツーリズムの展開についても要望しておきます。
 以上、中山間地域の活性化への取り組みについて農林水産部長にお伺いをいたします。
 本県における治水対策について伺います。
 本県の山間部は降雨量が多く、昭和二十八年の大水害は県民にとって忘れることのできない甚大な被害をもたらしました。以降、台風銀座と言われる紀伊半島の中にあって、とりわけ紀の川上流の大台ケ原の年間降雨量は百年間で一万ミリ以上が数回あると言われております。こうした中で、国を初め県として、これらの教訓の上に立って治水対策に大変な努力が払われ、県内では幾つかの治水ダムを初め、紀の川大堰、大滝ダムの完成に向け、あるいは紀伊丹生川ダム建設へ入ろうとすることは大変望ましいところであります。
 そこで、伊都振興局管内における紀の川堤防の未改修箇所とその改修計画について伺います。
 次に、橋本川の早期改修についてであります。
 平成七年七月の水害で市街地において床上、床下浸水の大きな被害が発生し、これは上流での住宅地開発に起因したものと受けとめておりますが、以降、関係住民みずからの決断により数十戸の立ち退きが大半終了したところであります。また、橋本川関連のJR、南海電鉄の橋梁のかけかえは長年の懸案であり、地元住民ともどもこの完成について感謝いたしておるところであります。これは、県を初め、市、建設省、関係機関の熱意と立ち退き住民の理解によるものでありますが、今後一刻も早く完成させるため、県及び建設省の各区間の工事計画についてお尋ねいたします。
 次に、河川改修に伴う伝統技術の導入について。
 河川には、せせらぎの小川から県下大型八河川に至るまで、大小さまざまな形があります。本質問は小規模河川を指すわけでありますが、通常の改修工事は近代工法による治水施設の整備となり、地域の自然や生活文化に根差した伝統文化に合わせた多自然型川づくり、つまり流域の天然素材を使用し、木材や石を用いた網かご工法など、川の自然の力を利用した技術の導入を今後見直していくことが経済面からも望ましいのではないかと思います。これらには、耐久性、安全性、効率性、経済性等、総合的見地からの判断も見逃すわけにはまいらないと思うが、支流域にあっては多くの魚介類が生息するという本県の持つ特色を河川にも十分生かしていくべきと考えます。倉敷や津和野においては、町並み水路、小川の自然型改修によって多くの魚が自然に定着し、今日では全国からの観光客が見学に押し寄せて名物になっております。橋本川改修も現在の二倍の川幅と聞いておりますが、川の中へ生活空間とも言える河川敷公園、低草木の植栽、遊歩道の設置、魚の生息場所等、多自然型改修を思い切ってモデルとして実施し、名物の一つに構築することは大変意義深いものと考えますが、どうか。
 次に、紀伊丹生川ダム建設の事業化について。
 ダム審議会において、ダム建設は妥当との答申がされました。ダム建設に向けた取り組みの現状と事業化の見通しについて。
 以上四点を土木部長にお尋ねいたします。
 次に、多自然型淡水魚水族館の設置について。これは要望であります。
 恐らく、いつの時代になりましても、紀北地方は大都市と背中合わせで産業廃棄物とダイオキシンがつきまとうことでしょうが、幸い、紀の川流域下水道伊都処理区が十三年四月に一部供用が開始されることを初め、農業集落排水事業等による生活環境改善が進んでまいりました。今後、すぐれた環境づくりのため、流水を利用した数々の淡水魚を中心に、箱物でなく多自然型施設による水辺の水族館を紀の川に設置し、さすが和歌山は自然に恵まれ、とりわけ環境は日本一との折り紙をつけていただけるような施設設置を要望しておきます。
 最後に、水質浄化は環境汚染のバロメーターであることを申し添え、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下善之議員にお答えをいたします。
 日本工業所の産業廃棄物問題に関するダイオキシン対策の決意についてでございます。
 このことにつきましては、宗、江上、向井議員にお答えいたしましたところでございますけれども、私は、高濃度ダイオキシン検出の報告を受けて以来、住民の皆さんの不安な気持ちを思い、今も心を痛めておるところでございます。今月二日に現地を視察して、住民の皆さんの声を直接お聞きいたしました。私は、住民の皆さんの不安を取り除くために、本問題の解決に向けて最善の努力を重ねてまいる所存でございます。これからの廃棄物行政の推進に当たりましては、このたびの教訓を生かして、業者指導の徹底、強化はもちろん、不法処理等の監視の強化など素早い対応を行いまして、問題発生の防止に努めてまいる所存でございます。
 なお、日本工業所に対しましては、責任の所在を明確にし、義務を果たさせるために、措置命令を昨日手渡しました。この命令に従わない場合には、県が代執行するとともに、毅然たる態度で臨んでまいりたいと考えてございます。
 次に本県の活性化についてでありますけれども、仰せのように、本県は紀伊半島に位置するという地理的条件あるいは地形的な要因によりまして、残念ながら産業、交通基盤などの社会資本整備がおくれておることは事実でございます。しかし、近畿自動車道の南伸、京奈和自動車道の着工、あるいは関西国際空港の開港という高速交通体系の整備が進んでまいりまして、国土軸、国際軸への直結に大きな進展がございました。また、県内における伝送路の光ファイバー化など、情報通信基盤の整備につきましても着実に進展しているわけでございます。しかし、近年の景気低迷、少子高齢化の進展、人口流出等により地域経済が停滞していることも県政の大きな課題であります。今後とも、産業・交通基盤整備、生活環境施設の充実、そういった社会資本整備に積極的に取り組むとともに、産業構造の急速な変革に対応した産業振興を展開いたしまして、県政各般にわたる施策と相まって県勢活性化を図っていかなければならないと考えてございます。
 来るべき二十一世紀は、心の時代、分権の時代とも言われるわけでありますけれども、本県が誇る自然、歴史、文化を活用しながら、個性と魅力あふれる地域づくりを衆知を集めて進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 木下善之議員の、日本工業所の産業廃棄物問題についての三点のご質問にお答えいたします。
 最初に、日本で二番目に高いダイオキシンの除去対策の五点についてお答えいたします。
 まず、当面の緊急対策についてでございますが、高濃度検出地点は焼却施設使用中の煙突からの洗煙水の飛沫の飛散及び洗煙水の循環水槽からの流出であろうと考えてございます。今回、県では緊急対策といたしまして、洗煙水が飛散したと考えられる煙突の周囲約十メートル以内にシートを設置し、周辺五十メートル以内を立入禁止としておりますが、これは応急措置でありまして、恒久対策につきましては、今後検討委員会での意見をいただきながら対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、漏水対策及び下流河川への影響についてでございますが、循環水槽からの漏水対策につきましては、雨水の浸入を防ぐため応急対策としてシートによる覆いをし、漏水の防止を行ったところでございます。また、下流河川への影響の有無につきましては、緊急調査の中で市脇川の水質調査を行っているところでございます。
 次に、焼却炉等の機材撤去の見通しについてでありますが、昨日、措置命令書を日本工業所に対して手渡したところでございます。この命令においては履行期限を五十日としてございまして、業者がその期限内に命令に従わない場合には県が代執行する考えでございます。
 次に、環境庁、厚生省への現地調査依頼及び指導要請についてでございますが、今後の推移を見守りながら、国に対して要請してまいりたいと考えてございます。なお、技術的支援については要請してございます。
 最後に、調査結果が出る時期についてでありますが、ダイオキシン類の検査には試料採取後おおむね二カ月を要しますが、できるだけ早く分析結果の報告をするよう分析業者に依頼してまいる考えでございます。
 次に、日本工業所は会社として業を営んでいるかとのご質問でございますが、和歌山県及び堺市で許可を取り消されたことから、現在は産業廃棄物処理業は本県及び堺市では営んでございません。
 また、各施設の撤去に要する期間はどのくらい要するのかということでございますが、五十日程度必要ではないかと見込んでございます。なお、その期間についてはできる限り短縮できるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 最後に、残りの産廃物の撤去についてお答えいたします。
 この問題に関しましては今までも国と協議してまいりましたが、恒久的なダイオキシン対策については、技術的にも新しい分野であり、また財政的にも多額の経費が見込まれることから、今後とも国に対して財政的、技術的支援を求めてまいる考えでございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 日本工業所の産業廃棄物問題についての健康の問題につきましては、三月中旬をめどに伊都振興局内に健康相談窓口を開設するとともに、四月中に医師による診察及び肝機能検査等の一般血液生化学検査等の健康診断を実施するよう検討しているところでございます。
 健康診断の対象範囲につきましては、ダイオキシン類問題検討委員会におけるご意見や住民の方々の要望等を踏まえて実施いたしたいと考えております。
 また、ご質問の血液中または母乳中ダイオキシン濃度測定を含むいわゆる健康調査につきましては、今後、健康診断の結果や土壌の追加調査結果等も踏まえ、専門家の意見等をいただきながら検討してまいりたいと考えておりますが、検査費用及び結果判明までの期間につきましては、結果の解析に係る日常生活状況調査、摂取した食事の分析調査等を除きまして、検体の濃度測定に係る部分のみで見ると約三十五万円及び約二、三カ月と承知しております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 日本工業所の産業廃棄物問題に関してのダイオキシンに係る土壌と農作物調査についてお答え申し上げます。
 日本工業所ダイオキシン問題対策本部農作物対策部会の検討会を開催いたしまして、農作物の安全性を確認するため実施するとの結論を見たところでございます。今後、調査地点や農作物の種類等につきましては、地元対策本部の皆さんと協議の上、現在、収穫期にある野菜並びに土壌について今月中を目途として実施してまいりたいと考えてございます。
 議員お話しのように、ダイオキシンは一般的には水に溶けにくく、農作物は根からほとんど吸収しないと言われておりますが、農家の皆さんの不安を解消するため調査を実施し、一日も早く安全宣言を出せるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、田園空間整備事業による中山間地域の活性化についてでございますが、昨年制定されました新農業基本法において、農業、農村の有する多面的機能の発揮が基本理念として掲げられておりまして、その中で農村を単に農業生産を支える生活の場としてとらえるのみでなく、自然と人間が織りなしてきた農村の伝統文化に視点を置いた田園空間としての機能の発揮が重要となってきております。このため、農村の有する豊かな自然、伝統、文化等を再評価し、農村における伝統的施設及び美しい農村景観の保全、復元等に配慮した整備により魅力ある農村づくりを推進することが必要と考えてございますが、この事業につきましては、地域住民の主体的な活動と連携して活性化を目指すものでありますので、郷土づくりに取り組む住民意識の醸成が肝要と思われます。
 県といたしましては、地域の特性を生かし、農村の基盤、環境等の総合的な整備を行い、魅力ある田園づくりを通じて新しい人との交流、農村と都市との共生による地域の活性化を図ることが重要と考えてございますので、今後田園空間整備事業につきましても積極的に市町村ともども検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 企業誘致の現状と今後の見通しについてお答えします。
 昭和五十七年から現在まで、本県へ誘致を行い、進出を決定した企業は七十二社、うち六十社が操業を行ってございます。そのうち、県企業局及び県土地開発公社が開発した用地へは十一社と進出協定を締結し、九社が操業中であります。平成十年度以降、企業の設備投資意欲の低下等により進出協定の締結を行った企業はございませんが、雇用の創出など本県経済の活性化に大きな役割を果たす企業誘致は重要な施策であると考えてございます。
 また橋本市への企業誘致でございますが、橋本市では企業立地を促進させるための優遇制度を創設しましたので、県の制度とあわせて企業に説明し、強く働きかけるとともに、現在事業中の京奈和自動車道がもたらす利便性を大いにPRしてまいりたいと考えてございます。現在、神野々企業団地へ誘致すべく折衝中の企業もございますが、今後とも橋本市の意向を踏まえ、同団地に限らず橋本市全体を視野に入れて誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 本県の活性化についてのご質問のうち、交通網の整備促進についてお答えいたします。
 国道三百七十一号橋本市バイパスは、現在用地買収と本工事を重点的に進めており、府県間トンネルについても、早期事業着手に向けて大阪府と精力的に事業調整を行っているところでございます。
 新橋本橋は、用地買収並びに下部工事の促進を図ってまいります。大阪府側につきましては、府県境から広域農道までの四・三キロメートル区間は、用地買収とともにトンネル六カ所の基本設計等を実施しており、さらに石仏までの一・八キロメートル区間は、トンネル三カ所を含め、部分供用に向け工事を促進しております。
 国道四百八十号平道路は昨年十二月に第一トンネルを発注したところであり、用地買収の促進とあわせ、第二トンネルの早期着手に向け努力してまいります。大阪府側につきましては、現在、国道百七十号に接続する大野町の一・七キロメートル区間の部分供用に向け工事を促進しております。
 続きまして、本県における治水対策についての四点のご質問に順次お答えいたします。
 まず紀の川の改修についてでございますが、紀の川の治水計画は最終的には百五十年に一度の確率で発生する規模の洪水を対象として上流ダム群で調節を行い、洪水を安全に流下させることとしています。伊都振興局管内においては、橋本地点で毎秒六千五百立方メートルの洪水を安全に流下させるために必要な事業を実施する計画となっています。このため、必要な箇所について堤防の築造、補強及びかさ上げ、並びに護岸の施工などを被災の履歴や上下流及び左右岸のバランスなどを総合的に勘案して順次進めていくこととしていると、建設省から聞いています。県といたしましては、紀の川改修の促進について引き続き国に要望してまいります。
 次に、橋本川の改修工事の今後の取り組みについてでございますが、橋本川の改修工事は紀の川合流点から二百メートル区間は建設省が担当し、それより上流の約一・九メートルは県が担当しております。これまで建設省においては用地の取得を、県においては用地の取得及びJR橋梁のかけかえと必要な箇所の護岸整備等を実施してきましたが、今般、JR橋梁下流区間の用地取得が完了した部分から川幅の拡幅と護岸整備を行うこととし、建設省と県がともに三月中に工事に着手することとしております。今後は、JR橋梁下流の県施工区間について残る用地の取得に全力を挙げ、早期の完成を目指すとともに、JR橋梁上流区間についても早期の改修に努めてまいります。
 次に、河川改修に伴う伝統技術の導入についてでございますが、議員ご指摘のように、多くの魚介類が生息する本県の持つ特色を河川にも十分生かしていくべきと考え、県内八つのモデル河川において和歌山流多自然型川づくりの技術の確立を目指した取り組みを開始したところでございます。今後この取り組みをさらに展開することにより、将来的には橋本川を初め県内の他河川へも応用し、広く一般化していく予定でございます。
 次に、紀伊丹生川ダム建設の事業化についてでございますが、昨年九月に紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会から本ダム事業については妥当であるとの意見が出されたことを受け、建設省は平成十二年度において三億七千万円の予算を予定し、現在、環境影響評価法の手続を開始すべく準備を進めていると聞いております。また今後、建設省と県、市、町が共同で紀伊丹生川沿川の地元説明会を近く予定しているところでございます。県としては、早期に建設着手ができるよう、国への要望や地元対応などに取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 交通網の整備促進についてでございます。
 快速電車の増便と鉄道施設の整備を柱とする和歌山線の高速化につきましては、JR西日本に対し再三要望を行うとともに、事業化に向けた協議を行ってございます。その結果、この三月十一日のダイヤ改正から一部の列車に快適な車両が導入される予定となっておりますが、高速化につきましては、事業採算性の問題、地元負担の問題、沿線市町村の機運の盛り上がりなどさまざまな課題があり、現在、これら課題の解決に向けた取り組みを行っているところでございます。本年度は、県と和歌山線活性化検討委員会におきまして、和歌山線利用者の効果的な拡大を図るための駅及び駅周辺整備方策について検討しているところでございます。また、来年度は地域の活性化を通して和歌山線の利用促進を図るための方策について検討いたしたく、今議会に予算をお願いしているところでございます。
 いずれにいたしましても、県といたしましては、和歌山線の高速化につきまして引き続き和歌山線活性化検討委員会とともに課題の解決に向けた取り組みを行いながら、JR西日本に対し、早期事業化を積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十二番木下善之君。
○木下善之君 ちょっと一点、要望を申し上げたいと思います。
 多くの議員からそれぞれに質疑がありましたダイオキシン問題の早期対策でございます。
 県の段階では、有機的な連携のもとに対策本部が設置され、取り組んでおられるわけでございますが、橋本市におきましてもJAの本部あるいは橋本市対策本部というのが設置されてございますし、また三地区の関係の地元もございます。それぞれ有機的な連携を密にしていただいて、そして問題を後へ残さないようにスムーズに取り組みをいただきながら、早期の完全解決に向けて一層のお力添えをお願い申し上げ、要望といたします。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十五分散会

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