平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時四分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、こんにちは。地元から大勢の方も来られています。議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。この私の産廃に対する一般質問がもうこれっきりになったらうれしいなという思いでさせていただきます。
 「たった二年で十万ピコ ずさんな炉、当然の結果」、「汚染深刻、広がる不安」、「高濃度ダイオキシン検出」、「高濃度ダイオキシンに衝撃」、「ダイオキシン 基準の百倍」──これが二月二十二日付の新聞各社の見出しでございます。また、テレビ各社も一斉に報道を行い、新聞各紙は一面トップで、また社会面、地方版でも大きく取り上げ、和歌山県橋本市の日本工業所産廃処理場から最大十万ピコグラムのダイオキシン類を検出されたと報じました。
 「ずさんな炉、当然の結果」の見出しにつきましては、和歌山県北署が関係者の供述調書に基づいて裁判記録として裁判所に出された検甲第七十七号の中で、炉を製作している業者からいろいろ供述を得ておりますが、その中でこの業者は、「このような炉で県の許可がよくおりたと思います。専門業者の私どもでつくるのも難しいにもかかわらず、日本工業所の手製の炉であった。また、その炉の中のれんがは耐火れんがを使用するのが基本的であるのにもかかわらず、普通の、安い値段のれんがを積んで完成させた」と、そういう証言が語られております。したがってこの業者の方は、当然こういう十万ピコグラムというようなダイオキシンが検出されることは十分予知できたというふうにも言っておりますし、県が許可したと言われている炉の一日当たりの焼却能力が四・八トンの許可でありますが、実際には恐らく一日五十トンの焼却があったのではないかというような、全然規格外の大きなものでありました。そういうことから、このダイオキシンの高濃度検出については当然の結果であったかなと、今そういう思いでございます。
 十万ピコグラムは国の環境基準の百倍に当たり、大阪府能勢町の豊能郡美化センターの五千二百万ピコグラムに次ぐものでございます。この能勢町の五千二百万ピコグラムというのは、一般廃棄物の焼却のときに出た冷却水が飛び散ったということでございまして、それは少し意味が違うわけです。橋本の場合は焼却炉による汚染ということで恐らく日本で一番の被害であったと、このように理解できるわけでございます。
 二月二十一日、住民側のダイオキシン調査結果の発表がございました。県が十一年十一月八日から十九日にかけて実施した補完調査のうち、同一検体二検体の調査結果の発表でございまして、処分場隣接地土壌から三万八千ピコグラムを検出したものでございます。これを受けて県も同日、知事同席の上、計十一検体のダイオキシン類調査、一検体の土壌検査(重金属)及び一検体の水質検査(地下水)の分析結果を発表いたしました。ダイオキシン類で、場内土壌より十万ピコグラム、隣接地土壌から三万六千ピコグラム、浸出水より二・六ピコグラム──これは基準の二・六倍に当たります──残されていた汚泥より二十五万ピコグラムを検出しております。
 高濃度ダイオキシン検出の衝撃は、関係住民はもとより和歌山県橋本市にも及び、早速対策本部が設置されました。弁護士の梶山正三氏──この方は日本でただ一人の、理学博士(化学)で弁護士だそうでございます──一月二十四日のコメントでは、香川県豊島の約五十万立米、橋本市で約四十万立米、量的規模の大きいこれら日本国内の事件に関して一般の関心は余りに薄く、行政の事態の重大性に対する認識がまるで感じられないと指摘しております。
 新聞報道では、神奈川県の在日米軍厚木基地──海軍の飛行場があるところでございます──そのダイオキシン汚染について、米軍から日本に対して非常に強い抗議があるようです。また、きょうテレビを見ておりますと、アメリカでその問題が防衛庁の方へ大きく提起されているというニュースが流れておりましたが、どのくらい問題になっておるのかなと思い、香川県のホームページを検索いたしました。その検察データの中で示されている数字は、一番高い濃度で百八十ピコグラムでございます。日米のダイオキシンに対する意識の相違というのですか感覚の相違がこれだけ大きく出ているのが事実であろうかと思って紹介させていただきました。
 二月二十二日、ダイオキシン類問題検討委員会が開催され、一万ピコグラム以内であれば覆土案とする従来の案を大幅に修正いたしました。検討委員会では、数字を真摯に受けとめ対策をとることが必要、また高濃度汚染物がどこにでも埋まっていると認めざるを得ないとの先生方の発言があります。これは大変重要な、我々にとっても覚えておかなければならない発言であろうかなと思っております。
 ここで、二月十六日の摂南大学薬学部宮田教授の「橋本市における産廃、焼却灰の不法投棄場及びその周辺地域におけるダイオキシン類汚染結果についての見解」を抜粋して紹介いたします。
 宮田教授は、二月十六日の時点で現在の高濃度ダイオキシンの検出を予見されております。内容は、こういうことであります。県は平成十一年十一月八日から十九日、日本工業所の産廃及び焼却灰等の不法投棄場及び隣接地におけるダイオキシン類等の汚染状況を調査する目的で、土壌等の十一試料を採取した。撤去させる会からの依頼で、県が採取した試料のうち二試料について分析をした。焼却炉から八メートルの場内で二千七百ピコグラムであった。ポリ塩化ジベンゾフラン濃度はダイオキシン濃度の三・三倍にもなり、圧倒的にダイオキシン濃度よりも高い。これは典型的な焼却由来のダイオキシン類の組成を示すものであり、焼却灰の混在による汚染であると判断する極めて高いダイオキシン濃度である。以前に──二年前でございます──日本工業所における焼却炉の残灰を分析し、三万ピコグラムの高濃度結果を得ておる。こういうふうに言われております。このときはどなたも騒がなかった。地元住民だけが騒いでいた。三万ピコで驚かなかったということでございます。この高濃度に相当する残灰は、当然のことながら不法投棄場に処分されたものと考えられる。したがって、不法投棄場を詳細に調査すれば三万ピコグラムに相当する高濃度の汚染も検出されるものと推測している。これまでの県によるボーリング調査においても検出された濃度は一定でなく、少数の調査試料でもダイオキシン類の汚染度はかなり異なっている。これにも明らかなように、本処分地におけるダイオキシン類汚染濃度は焼却灰の混入程度により場所ごとにかなりの相違があるものと考えられ、この処分地の汚染実態を明らかにするためには多数の調査試料の分析結果が必要である。またダイオキシン類汚染濃度は、少数の調査結果においても、昨年に設定された土壌の対策基準値の千ピコグラムを超えている。今後詳細な調査をすれば高濃度汚染検出が予想される。埋立物が直接環境に接することから、早急に当該地から除去処置を講ずべきである。次に隣接する場外の土壌から三万八千ピコグラムという異常に高い汚染濃度である典型的な焼却由来の汚染を呈している。この地点の汚染は焼却残灰によるものではなく、排煙経由のものである。一九九七年に公表された厚生省による調査結果では、集じん機捕集灰──灰を捕まえるということです──のダイオキシン濃度は残灰中濃度より約四十倍も高いと厚生省が認めているわけです。当該処分地の焼却炉における残灰中のダイオキシン類濃度は約三万ピコグラムでありました。これは、一年前は恐らく六万ピコグラムであったろうという計算になります。一年間で半分になるという学説でございますが、これから推測すれば、排煙中、ばいじん濃度は恐らく百二十万ピコグラムにもなっておったのではないかと、こういう衝撃的な学者のお話がされております。今回の調査地点は焼却炉から東方五メートルの地点であり、煙突の高さ十一メートルを考慮すると、この地点よりもさらに離れた地点がより高濃度汚染を受けていると宮田教授は公表しております。
 高濃度ダイオキシンが検出されたことで、二月二十四日、県は汚染の広がり状況を調査するための土壌サンプルを採取し、ダイオキシン飛散防止のため遮水シートで汚染場所を覆う作業が二十八日に完了しております。住民は、これまで二回の調査はいずれも不十分だったが、今度こそ私たちが納得できるような調査をしてほしいと望んでおります。
 そこで、知事に質問いたします。
 高濃度ダイオキシン類検出を知事はどのように受けとめておられるのか。
 また、三月二日、産廃現場へ出かけられ、つぶさに現場を視察された感想をあわせてお伺いしたいと思います。
 また、化学物質過敏症という診断で産廃疎開をされている住民宅をも訪れられ、その際知事は、元凶である地下水路について改善を約束されましたが、これは早急に実施されるようにお願いしておきたいと思うのでございます。
 知事は、現場へ来られて多くの住民の方々の出迎えを受けられました。恐らく知事は、ある程度、かなりの厳しい怒号が起こるのではないかというふうに予想されておったと私は思います。しかし、住民は温かい拍手で迎えました。これは、何を意味しているか。住民のほとんどは知事の支持者であります。どうか住民の願いをかなえていただきたい、このように思います。
 続いて、副知事にダイオキシン類の調査についてお尋ねいたします。
 副知事は、二月二十二日に設置された日本工業所ダイオキシン問題対策本部長につかれました。そこで質問でございます。三月二日、産廃現場へ知事と同行し、現場を視察されましたが、その感想についてお伺いしたいのであります。
 日本工業所産廃現場はのどかな田園地帯で、主産業はカキ、ブドウ、野菜、稲作等で、専従農家も多く、多くの人たちが農業で生計を立てております。そのような地域に突然の高濃度ダイオキシン検出のニュースでありました。十万ピコグラムのダイオキシン検出は、当然のこと、だれしも処分場外でも汚染されているのではないかという疑問を抱くのは当たり前であります。農家の方々、住民の方々の脳裏をかすめるのは風評被害であり、自分の健康、家族の健康、子供たちの健康であろうと思うのであります。
 農作物に対し風評被害が発生したら、地元農家だけの問題にとどまらず、橋本市、和歌山県の農作物が市場から敬遠されることは必至であります。
 二月二十二日の新聞各社の首都圏での一面トップ見出しは、「橋本で高濃度ダイオキシン検出」ではなく、「和歌山県産廃場で高濃度ダイオキシン検出」でありました。また健康被害についても、ダイオキシンが人体に蓄積された場合、ほとんど排出されることなく、授乳時の母親の母乳から体外へ出るだけでありまして、赤ん坊は濃縮母乳を与えられているという結果になります。子供の将来の健康に不安を感じるのは当然であります。県は住民の希望を入れたダイオキシン類調査を早急に実施し、調査結果をもとに一日も早い安全宣言を、また対策を立てることを望みたいのであります。
 そこで、副知事に質問いたします。
 これはまた、地元住民の皆さん方の希望でもあります。場外の調査は焼却炉を中心に半径二キロメートルでの実施をお願いしたい。これについてお伺いします。
 質問の二は、風評被害を最小限で食いとめるため、農作物──これは季節ごとでございます──及び検体となった農作物と同一耕作地での土壌調査の実施について質問いたします。
 三つ目は、健康調査であります。血液、母乳の調査を早急に実施していただきたい。
 四つ目は、井戸の水質調査であります。現に井戸水を飲料水として使っておられるところもございます。
 これら四問について副知事にお尋ねいたします。
 続いて、生活文化部長にお尋ねいたします。
 産業廃棄物による土壌、地下水汚染についてお伺いいたします。
 日本工業所処分地における不法投棄された廃棄物による土壌、地下水汚染対策に対する意見──これは一月二十四日に梶山正三弁護士が橋本市での講演で詳しく述べられている資料でございますが、ここでは時間の関係上、項目のみを紹介いたします。一つ目、調査地点、調査深度等を基準にした場合の調査密度が著しく希薄である。二つ目、重金属関係の分析は皆無に等しい。三つ目、廃棄物の組成分析がごく一部しかなされていない上、結果の表示も不適切である。四つ目、廃棄物層の下部地層の分析が全然ない。五つ目、重金属の溶出試験の方法が不適切である。六つ目、重金属の含有試験が全然なされていない。七つ目、ダイオキシンの溶出試験がなされていない。八つ目、工法の具体的な比較検討がなされていない。この八つ目は大事なところでございます。九つ目、ダイオキシン類に限定した検討は誤りで、重金属についてもダイオキシン類と同様の検討が必要である。このように九つの項目で指摘されております。
 まず、浸出水について申し上げます。
 今回発表された調査結果では、ナンバー七地点循環水槽汚泥から二十五万ピコグラム、ナンバー六地点土壌から十万ピコグラムの高濃度ダイオキシンが検出されましたが、本来水に溶けにくいとされているダイオキシンがナンバー十二地点浸出水から二・六ピコグラム検出されました。投棄された場所が谷間であるため、もともとの地盤の地山と廃棄物層の境界面に沿って汚染物質が早く下流に拡散する可能性が高いのであります。地山の地層及びその地下水層の存在状況の把握が汚染物質の拡散の方向や程度を知る上で非常に重要であります。また、浸出水の箇所は市脇川の上流であり紀の川に注ぐことから、既に地下帯水槽の汚染が始まっているおそれがあるとの認識のもと、可及的速やかに調査する必要があると思うのでございます。
 そこで、質問いたします。
 浸出水から二・六ピコグラムのダイオキシンが検出されました。これは基準値内とはいえ、前回一年前の値が〇・七三ピコグラムですから約三・五倍にもなります。このことを県はどのように受けとめておられるのか。
 また二つ目には、廃棄物層の下部地層の分析及び地下帯水層までの調査を早急に実施されたいのであります。
 続いて、重金属、地下水についてお伺いいたしたいと思います。
 県の検討委員会ではダイオキシン類の検討に終始されているのではないかと思われるのでございます。ダイオキシン類だけではなく、他の有機塩素系化合物、フタル酸エステル等のプラスチック添加剤、重金属等の有害物質による汚染への対策も、ダイオキシン類の対策と同様に必要であります。
 重金属等の調査指針としては、環境庁水質保全局から平成六年十一月に出た「重金属等に係る土壌汚染調査・対策指針及び有機塩素系化合物等に係る土壌・地下水汚染調査・対策暫定指針」が標準的なものと考えられておりますが、浸出水の件でも述べたように本処分地は紀の川に注ぐ上流に位置することから、重金属による汚染実態は常に把握していかなければならないと思うのでございます。
 処理場面積二万七千平方メートル、最大深さ三十メートルを前提にいたしますと、梶山先生からの数値をいただきましたが、地点数で三十以上、検体数にして各地点深度別に八点、最低でも計二百四十検体程度の調査は必要であると言われております。にもかかわらず当初の調査では、調査地点ナンバー一のみについて深度十メートルまでを対象に重金属等の溶出試験の調査しか行っておりません。ほかは深度三メートルまでしかございません。結局、合計わずか二十三検体であります。その少ない検体数のうち、重金属等の溶出試験をしたのは一地点のみ、深度別に十メートルまで採取しているのは四検体であります。四十万立米が不法投棄されている処分場で一地点四検体を調査しただけで全体を把握するすべはありません。まるで、大海からバケツ一杯の海水を調査し、大海の全体の汚染を云々するのと等しいものであります。
 重金属類の含有試験についてお尋ねいたします。
 ダイオキシン類の場合は、重金属の場合とは逆に含有濃度だけで、溶出試験が全然考えられておりません。ダイオキシン類の分析にはそれなりに手間と費用を要しましたが、ダイオキシン類の分析が一般化した今は、当然すべき分析であります。重金属とダイオキシン類について異なる扱いをすることは、合理的な意味を見出すことができません。足らずを補う意味で、溶出・含有試験の両試験を行う必要があると思うのでございます。これは、ダイオキシンの溶出試験の質問として部長にお伺いします。
 最後に、県が模索している覆土案でありますが、これについて意見具申を申し上げておきたいと思います。
 覆土を選択する議論の中でも、本件廃棄物についての法的な検討は全くと言っていいほどされておりません。これは先ほど梶山先生が指摘された部分にもありますが、法的基準遵守は法の要請であり、たとえ県が業者にかわって行政代執行するにしても、法を無視した工法を採用できないと思うのでございます。むしろ、法令の基準をにらみつつ対策を検討していくことが現実的手法と思います。
 日本工業所が産廃の焼却処理の許可を受けた処理場であり、廃棄物の埋め立ては認められておりません。したがって、投棄された約四十万立米と言われる廃棄物は不法投棄に該当するのでございます。これは、環境庁から昭和五十四年十一月二十六日付の百二十八号通知で出ております。
 また二つ目といたしまして、現地に管理型処分地を建設する場合でも知事の許可が必要でございます。県が行う場合でも知事の許可が必要ということでございます。具体的には、底面部、また側面部には二重の遮水工事が必要であります。また、いろいろの手法でもって雨水等が入らないようにする必要がございます。さらに、防災調整池等の施設も必要でございます。本件の場合は、埋め立てられた廃棄物を一たん撤去した上、いずれかに保管ないし他の埋立地に処分した後許可を受けて建設工事を完成し、再び現地処理のため埋め戻すことになります。廃棄物を一時的にでも全量撤去をしないと現地に管理型処分場を建設することはできません。現地処理にこのような困難が避けられないのでありますから、他の既存の処分場に搬出した方がより現実的であろうかと思います。その場合も、特別管理産廃か、それともそれ以外の産廃かを検討し、必要な中間処理をして、それに応じて他の既存の処分場に搬出することが前提となります。
 ただいま述べたようなことを県は検討した上で覆土案を出されてきたのか、いささか疑問であります。
 日本工業所の敷地内に不法投棄された多量の廃棄物は、面積二万七千平方メートル、深さ三十メートル以上、推定容量四十万立米とも言われております。その規模において、先ほど述べましたとおり香川県豊島に匹敵し、産廃物を地山へ直接不法投棄されているもので、覆土だけではおわんをかぶせたようなものになり、問題が多過ぎます。
 いずれにいたしましても、調査結果の分析と工法の選択は迅速でなければなりませんが、拙速は避けなければなりません。覆土するだけというのは安易な方法であり、そのような選択に流れやすいのでありますが、覆土工法で成功した例はほとんどないと言われております。一時的に成功したように見えても、覆土の欠陥はいずれあらわれます。
 アメリカニューヨーク州のラブキャナル事件における覆土の欠陥は埋め立て終了後の二十六年後に顕在化したことを紹介して、質問を終了したいと思います。
 ここでちょっと、通告にございませんでしたが、大井部長にお礼を申し上げておきたいと思います。一年間、前の部長にもそうですが、私は大井部長に本当にお世話になりました。この問題について大変進展をさせていただいた。ありがとうございました。
 以上で終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 向井議員の橋本市産業廃棄物についての二点にお答えをいたします。
 まず、高濃度ダイオキシン類検出をどのように受けとめているかということにつきましては、今回の補完調査の結果が過去二回の調査に比べて極めて高濃度であり、大変な驚きとともに、住民の皆さん方の不安を考え、心が痛む思いでございまして、私はこの結果を重く受けとめて、こうした住民の皆さん方の不安を一日も早く取り除くために最善の努力をしてまいらなければならないと考えてございます。
 次に、現場を視察した感想についてでございます。
 現地におきましては、今、向井議員が涙ながらにおっしゃいましたけれども、多くの住民の皆さんが整然とした中でお迎えいただきまして、皆さん方の不安の思いがひしひしと伝わってくるのを強く感じたわけでございます。
 私、昨年体調を少し壊しましたから、自分の方で十分感情を申し上げるわけにはまいりません。そういう状況でなければもっといろんなことを申し上げたいわけでありますけれども、しかし現地の状況あるいは応急措置の確認をいたしまして、現地の住民の皆さんのお声をお聞きして、この上は不安を一日も早く取り除くために決意を新たにしたところでございます。
 また、現在も疎開されている住民の方のお宅にも参りまして、お話をお聞きしてまいりました。本当にお気の毒に思うわけでありますけれども、その際、お話にございました地下水路の悪臭の改善についても緊急対策として実施をしていきたいと考えております。
 十分な説明ができずに、大変申しわけありません。
○副議長(宇治田栄蔵君) 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 三月二日、産廃の現場へ知事と同行して視察した感想はどうかということにお答えいたします。
 日本工業所ダイオキシン問題対策本部の本部長として知事に同行し、現場を訪れました。私も、住民の皆様方の不安な思いを強く感じたところでございます。また、現地の状況や応急措置の確認をし、住民の皆様から多くの話をお聞きすることができました。この上は、住民の皆様の不安を取り除くため、知事の命を受け、対策本部長として現地においてお聞かせいただきました貴重なご意見を生かし、全庁的な対策を取りまとめ、一日も早くこの問題が解決できるよう懸命の努力をしなければならないと決意を新たにしたところでございます。
 次に、ダイオキシン類の調査についての四点のご質問にお答えいたします。本部長として一括してお答えをしたいと思います。
 まず、場外の調査を焼却炉を中心に半径二キロメートルで実施することについてお答えいたします。
 土壌の一般環境調査につきましては、検討委員会において半径五百メートルの範囲の調査を実施するようご意見をいただいてございますが、地域の皆さん方の要望もありますので、そのことを十分に考え、調査地点を決めてまいりたいと考えてございます。
 次に農作物並びに土壌調査につきましては、対策本部農作物対策部会を設置し、農作物の安全を確認するための方策について検討を行ってございます。早急に調査を実施することとしてございます。
 なお、調査を行うに当たっては地元対策本部等と連携を図る必要がありますので、調査対象作物、採取場所について早期に協議の上、一日も早く調査をし、農作物に対する不安を解消してまいりたいと存じます。
 次に健康の問題については、住民の方々の不安解消のため健康相談及び健康診断を早急に実施することとし、三月中旬をめどに伊都振興局内に健康相談窓口を開設するとともに、四月中に健康診断を実施するよう検討しているところでございます。
 健康診断につきましては、医師による診察及び肝機能検査等の一般血液生化学検査等を実施することとし、その対象の範囲については、ダイオキシン類問題検討委員会におけるご意見や住民の方々のご要望を踏まえて実施してまいりたいと考えてございます。
 また、血液中または母乳中のダイオキシン類濃度測定を含むいわゆる健康調査につきましては、今後、健康診断の結果や土壌の追加調査結果等も踏まえ、専門家の意見等をいただきながら検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に井戸水の水質調査の実施の質問でございますが、お答えしたいと思います。
 住民の皆様のご要望につきましては、橋本市とも十分協議しながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員の、廃棄物による土壌、地下水の汚染についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず第一点目の、浸出水から一年前の調査を上回る二・六ピコグラムが検出されたがどのように受けとめているかについてお答えいたします。
 さきの補完調査の結果では、地下水中から〇・六一ピコグラムが検出されました。これは環境基準以下でございます。また、処理場浸出水のダイオキシン濃度が今回の補完調査では二・六ピコグラム検出されましたが、これはダイオキシン類対策特別措置法の排水基準以下でございます。しかしながら、この調査結果は昨年の調査結果である〇・七三ピコグラムの約三・六倍に当たることから、直ちに一般環境への影響の有無を調査するため、市脇川のダイオキシン類の調査を実施したところでございます。今後とも、浸出水、地下水の監視を十分行うとともに、慎重にその推移を見守ってまいりたいと思っております。
 浸出水対策につきましては、恒久対策の中で十分検討してまいりたいと考えてございます。
 続きまして二点目の、廃棄物層の下部層の分析及び地下帯水層までの調査についてお答えいたします。
 今後の日本工業所事業場内の調査におきましては、下部層の調査を行う予定といたしております。また地下水につきましては、さきの補完調査において事業場下流に地下水の観測井戸を設けておりますので、今後も継続して監視してまいる考えでございます。
 続きまして三点目の、重金属の含有試験についてお答え申し上げます。
 土壌評価につきましては、土壌に含まれる重金属類の環境への溶出を監視するため溶出試験により行ってございまして、これは土壌の汚染に係る環境基準の評価方法に基づくものでございます。したがいまして、今後実施する調査についてもこの溶出試験を行ってまいりたいと思っております。
 なお、重金属の含有試験につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に四点目の、ダイオキシンの溶出試験の実施についてお答えいたします。
 ダイオキシン類の測定は、ダイオキシン類対策特別措置法の施行に伴う環境庁告示に基づいて実施いたしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 答弁、どうもありがとうございました。再質問というわけではございませんが、副知事に確認をもう一度させておいていただきます。
 半径二キロ以内の調査というのは、風評以外の調査、健康調査、また井戸水の調査、ダイオキシンの調査ということでお願いいたしました。地元住民と十分協議しながらということでございます。このことは、ひとつ二キロでお願いしたい。これは地元住民の要望でございますので、お願いしたいと思っております。
 また先ほど、大井部長には失礼いたしました。大井部長はこの三月で勇退されるというふうにお聞きしました。あなたに担当していただいてから、本当に急な進展をいただきました。ありがとうございました。最後に御礼を申し上げまして、終わらせていただきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十一分散会

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