平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時五分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報
        第一号、報第二号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第百十九号まで、並びに知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十五番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 発言を許していただきました議長と今回の質問にこぎつけるまでにご協力をいただきましたすべての関係者の皆様に感謝の誠をささげつつ、質問に入らせていただきます。
 中国最古の詩集「詩経」にいわく、「済々たる多士文王以て寧し」と。その意味は、多くの威儀を備えた立派な人々がおり、周の文王は安定して国を治めることができた、言いかえれば、周の文王は多くの賢臣を用いることにより国がよく治まったということであります。
 また日蓮上人の言葉の中に、「国王の宝は左右の大臣なり 左右の大臣をば塩梅と申す 味噌しをなければ世わたりがたし 左右の臣なければ国治まらず」とあります。国を治める者にとって左右の大臣、人材こそが最大の宝である。その左右の臣のことを塩梅と言うのである。塩梅とは現在で言えば調味料のことであり、「塩」は塩、「梅」は梅酢のことであります。すなわち、塩や酢、みそといった調味料によって素材の味が引き立ち、おいしく食事ができ、体を養い、健康に生きていける。ちょうど風呂の湯かげんがいいときに「ええあんばいや」と申しますけれども、この「ええあんばい」がこの「塩梅」でございます。それと同じように、国王の治政を生かすも殺すも左右の大臣次第であるとの意味であります。周の文王には太顛、こう夭、散宜生というすばらしい人材、優秀なわき士がいましたように、和歌山県を治める西口勇知事には、高瀬副知事や出納長を初め、各部長、課長などの多士済々、豊富な人材がきら星のごとく居並んでいる──と言えば言い過ぎでありましょうか。きら星であっていただきたいという若干の願いも込めて、私は今回、済々たる多士であり左右の大臣である各部長の皆さんお一人お一人が知事になったつもりで責任ある答弁をしていただくため、西口知事には答弁を求めないことにいたしました。知事はどうぞそこにお座りいただいて、後に答弁に立たれる各部長の答弁を聞きながら、本当にやる気があるのかないのか勤務評定をしていただければ結構でございます。
 それでは、県勢活性化についてを初め、四点にわたり質問申し上げます。なお、時間に限りがございますので、答弁を要を得て簡潔にしていただきたいことを、まず初めに念のため申し添えます。
 県勢活性化についてお尋ねをいたします。
 我が国初の試みとなるオープンエリア方式の南紀熊野体験博が、百四十四日間に三百十万人の内外からの参加を得て成功裏に終了いたしました。ついまだ先日のことのようで、熊野古道を歩いたこと、絵画鑑賞したこと、秋篠宮同妃両殿下をお迎えしての田辺新庄シンボルパークでの開会式、そして小雨そぼ降る那智勝浦シンボルパークでの閉会式と、さまざまな思い出が脳裏に去来いたします。この南紀熊野体験博には、また実に多くの県民の皆様がボランティアとして運営に参加してくださいました。殺伐とした現代の都市生活に疲れた人々を優しく迎え、いやし、満たし、よみがえらせる圧倒的な熊野の大自然と人々のもてなしの心が訪れた人々に与えた印象と感動は、いつまでもよき思い出として大切に残されていくと、私は確信するものでございます。
 主会場となった南紀熊野地方だけでなく、和歌山市を初めとする県内五十市町村のすべてがこの南紀熊野体験博をまたとない貴重な経験とし、その結果得た有形無形の財産ははかり知れないものがあろうかと存じます。また一方で、南紀熊野体験博を終えて浮かび上がってきた問題点、課題、反省点も多々あるのではないでしょうか。
 南紀熊野体験博は、成功のうちに終わりました。しかし、いつまでも、よかった、よかったと喜んでばかりはいられないのであります。肝心な点は、この経験をどう生かし、今後につなげていくかであります。
 本県は、観光立県を標榜しているのであります。観光と言えば商工労働部観光課に任せておけばいいというのではなく、知事以下、全庁一体となって取り組むべき課題であると思います。平たい言い方をすれば、観光は本県にとって金のなる木であります。明年から始まる二十一世紀にはますます観光が重要な産業としてその重みを増すと確信をするものでございます。
 そこで、済々たる多士の各部長の皆さん全部長にお聞きしたいところでございますが、時間の都合で、今から申し上げる部長に限らせていただきます。
 南紀熊野体験博を終えて浮き彫りになった課題、問題点は何か。そして、その対策はどうするのか。言いかえれば、ポスト熊博にそれぞれの部としてどう主体的に取り組んでいこうとしておられるのか。企画、生活文化、福祉保健、商工労働、農林水産、土木の各部長、並びに知事公室長、教育長、それぞれ二分以内でご答弁をお願いいたします。
 第二に、県民の皆さんも含む我々受け入れ側のホスピタリティーの向上・改善についてお尋ねをいたします。
 県外から訪れる観光客にいかに気持ちよく過ごしていただくか、もう一度行ってみようと思っていただくか、口コミほど強いものはないのであります。マスコミによる宣伝PRも効果は大なるものがありますが、家族や友人・知人、会社の同僚、近所の人など、人間関係の中で伝わっていく口コミほど強力な宣伝媒体はないのであります。観光客にとって最上のもてなしは心と心の触れ合いに尽きると言っても過言ではないのではないでしょうか。熊博の期間中、県内のあちこちで、来訪者と県民の間で心と心の交流からたくさんのエピソードが生まれたと聞き及んでおります。しかし一方で、接客態度や言葉遣いの面でトラブルや行き違いがあったことも否定できません。
 昔から、言語学の世界で「南海道に敬語なし」と言われてまいりました。南海道とは、紀伊、淡路、阿波、讃岐、伊予、土佐の六カ国を指しますが、これらの地域は敬語が未発達の国とされてきました。紀伊の国を初め南海道六カ国は、いずれも気候温暖で物なりのよい土地であり、豊かな海産物・農産物に恵まれ、自然の恩恵に浴して豊かな生活ができる土地柄であることから、余計な敬語や丁寧語は必要ではなかったのでありましょうか。
 かつて、ある県外の観光客がJR和歌山駅におり立ち、紀三井寺に行こうとしてタクシーに乗ったときに、その運転者が「あんな、見るところもないのに何しに行くんよ」と言い放ったという話を聞いたことがあります。
 先日、テレビの番組で、有名な京都のMKタクシーの徹底した接客態度や言葉遣いの訓練や実務のルポをやっておりました。MKタクシーのようにやれとは申しません。せめて「ようこそ和歌山へ」とか、「ご乗車ありがとうございます」とか言えなかったのでしょうかと、残念でならないのであります。
 言葉遣いにとどまらず、接客態度、もてなしの心について、観光産業に従事する者はもちろん、私たち百八万県民すべてがみんなで考え、取り組んでいく必要があると私は思います。本県の圧倒的な大自然、我が国でも有数の歴史と極めて特異な熊野の文化、そして多くの先人たちが織りなし足跡をしるした名所旧跡、さらには海・山・川の豊かな食材と多種多様な温泉などなど、数え上げれば本県には観光資源は尽きることがありません。このすぐれて豊かな資源を生かすも殺すも、県外・国外からのお客様を受け入れる側である我々一人一人のもてなしの心にかかっていると思います。
 そこで商工労働部長、おもてなしの心、ホスピタリティーの向上・改善についてどう取り組んでいかれるか、代表してお答えをいただきたいと思います。
 次に、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 昨年七月十四日に二〇〇七年の供用開始を目指して関西国際空港二期工事がスタートして、はや八カ月が過ぎました。当初計画より三カ月遅い着工だそうでございますが、順調に進んでいると聞き及んでおります。総事業費一兆五千六百億円もの巨費をかけて一期の一・四倍に当たる二億五千万立方メートルの土砂を投入し、アジアにおける国際ハブ空港の確かな地歩を確立すべく、その第一歩を踏み出したことになります。しかし残念なことに、有力航空各社の関西空港乗り入れ撤退が続き、ピーク時と比較すると便数の減少が目立つのであります。
 一方で、大阪空港がターミナルビルの改装を済ませてリニューアルオープンをするとともに、ジェット機の発着回数が一日二百三十便にいつの間にか拡大されているのであります。大阪空港周辺の大阪・兵庫両府県の十一の市でつくっている十一市協という組織がございます。大阪空港騒音公害訴訟団や市民団体などの圧力を受けて国や周辺整備機構に対して補償交渉を繰り返し、平成十年度まで積算して大阪空港周辺に投入された補償費は、住宅防音工事、教育施設等防音工事、移転補償、緩衝緑地帯整備工事など、合わせて実に七千二百四十五億二千七百万円もの巨額に上っております。これは、運輸大臣設置の第二種空港が九つもつくれる金額であり、南紀白浜空港クラスの第三種空港であれば十四カ所も建設できるほどの巨費でございます。いかに欠陥空港である大阪空港が我が国の地方空港整備事業をおくらせてきたか、否、地方空港のみならず七千二百四十五億二千七百万円もあれば関西国際空港全体構想だって実現したはずだと私は思います。この十一市協なる組織を中心に、長年、大阪空港を離発着するジェット機の便数を騒音問題などを盾として、先ほど申し上げましたように一日二百便に厳しく制限してまいりました。しかし、それが最近、いとも簡単に一日二百三十便に拡大されたのであります。あまつさえ、最近では国際便の復活まで叫び出しております。私に言わせれば、関西全体の発展など考えない地域エゴの権化と申すべきでありましょう。このような大阪空港側の攻勢によって国内便の一部が関西空港から撤収し、大阪空港発着に切りかわった例もございます。さらに、関西空港二期工事と相前後して、いよいよ神戸空港が建設工事に着手いたしました。
 一方、目を海外に転じますと、アジア各国では国際ハブ空港づくりが盛んに行われております。香港チェクラップコク空港、中国浦東国際空港、マレーシアクアラルンプール空港、シンガポールチャンギ空港などが既にオープンし、さらには整備が進められ、アジア一の快適至便の空港であると、それぞれ豪語しているようであります。また、建設がおくれていた韓国の新ソウル国際空港も、二〇〇二年のワールドカップの開催に合わせて、二〇〇一年度中の開港を目指して急ピッチで工事が行われていると聞き及んでおります。
 以上、関西空港を取り巻く情勢を申し上げました。これらの厳しい状況を十分に踏まえながら、次の五点について企画部長の答弁を求めます。
 初めに、関西空港を離発着する便の時間帯の偏り、利便性の悪さが常々指摘されておりますが、この点についてどのように取り組んでいくおつもりか。
 第二に、一期パートツー事業が現在も引き続き行われておりますが、これが進展によって乗り入れ便の枠はどの程度拡大されるのか。
 第三に、関西空港のハブ空港としての機能に障害をもたらす存在であり、我が国の空港網整備のガンとなっている大阪空港の今後のあり方も含め、神戸空港の存在とあわせて関西空港乗り入れ便の確保に支障はないか。また、大阪空域における航路の錯綜の問題はクリアされるのか。
 第四に、我が国の空の玄関として関西空港と成田空港の二つの国際空港がございますが、欠陥空港と言われる成田空港に比べて国内・国際両便の乗り継ぎが同じターミナルビル内で階の移動だけで瞬時に行えるなど、利便性の面で関西空港ははるかにすぐれていることは今さら言うまでもありません。このハブ機能のよさ、利便性で数段まさることを全国のみならず世界に向けてもっと積極的にPRすべきであると、私は常々思っておりました。
 報道によりますと、関西空港株式会社もやっと重い腰を上げて、幹部がP-KIXというトップセールスを始めたそうであります。遅きに失した感じがしないでもありませんが、その内容と成果についてご報告をいただきたい。
 また、さらなるポートセールスを、これでもかというぐらい行っていくべきであると考えますが、このことについて関西国際空港株式会社に対して強く申し入れをしていただきたい。この点についても、あわせてご答弁をお願いいたします。
 最後に、和歌山市加太の土砂採取地に係る交渉が長引き、土砂搬出のおくれが心配されておりましたが、ほぼ解決したと聞き及んでおります。この点についても明快なご答弁をしていただきたい。
 三点目、深刻な小児科医、産婦人科医不足についてお尋ねをいたします。
 最近、私は、橋本市に住んでおられる県民の方から相談を受けました。小さな子供を抱える若いお母さんの悩みでございます。この人の話によりますと、住んでおられる地域には、つい最近まで小児科医がおらず、子供のぐあいが悪くなると、その都度和歌山市まで車で走ったそうであります。時間がかかること、仕事を休むなど支障が多いこと、そして何よりも近くに小児科医がいない不安をいつも感じていたとのことであります。救急のときなどどうしたらいいのと考えると、とてもいても立ってもいられないと訴えておられました。幸い、最近になって小児科医が一軒開業され、同じ悩みを持つ若いお母さん方はほっと安堵の胸をなでおろしたそうであります。同様の状況は、和歌山市などを除いて県内各地にあると思われます。
 かつて私は、産婦人科医師不足について紀南の方から相談を受けたこともございます。小児科医、産婦人科医は、いずれも子供や乳幼児が対象であり、症状を意思表示できないなど診療に当たっての難しさが多く、一方で時間がかかる割に診療点数は高くないこと、医療過誤などのトラブルが他の診療科目と比べると極めて多いなど、これから医師を目指そうとする若い医学生から敬遠される傾向が強いと聞きます。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 第一に、県内の各医療圏ごとの小児科医、産婦人科医の実情はどうなっているのか。
 第二に、小児科医、産婦人科医不足を補うための方策として、両診療科に係る救急医療体制は十分に整備されているのか。
 三つ目として、これら小児科医、産婦人科医の養成が急務であるわけでございますが、最近の医学生はこれら診療科を専攻することを敬遠する傾向がますます顕著になっていると伝え聞きます。県内唯一の医師養成機関として県立医科大学は、これら小児科医、産婦人科医の養成についてどのような考えのもと、具体的にどのように取り組んでこられたのか、また今後どう対応していこうとされるのか。この点は、医科大学学長にお尋ねいたします。
 最後に、児童生徒のしつけ教育、マナー教育についてお尋ねをいたします。
 初めに、最近、私が体験したこと、見聞きしたことを幾つかお話ししたいと思います。
 先日、私は、コンビニエンスストアに立ち寄りました。買い物をしようと店内の通路を歩いておりまして、三人連れの若い女の子のうちの一人に、私が手に持った買い物かごが少し触れたのであります。私は、思わず口をついて「ごめん」と言ってしまいました。しかし、どちらかと言うと、特に買い物をするでもなく、さして広くもない店内の通路をふさいでこの三人の女の子が横に広がってたむろしていたわけで、他人に迷惑をかけているとか、申しわけないとかいう気持ちは全くないようで、逆に今はやりのガングロの目でにらみつけられてしまいました。私は、あいた口がふさがらないという感じがするとともに、よく言うではありませんか、親の顔が見たいと、正直そう思ったものであります。
 私は、片男波海水浴場へ愛犬の散歩を兼ねて歩くことを日課としております。特に夏の海水浴シーズンに多いのでありますが、片男波海水浴場やその周辺の公園などで花火に打ち興じる若者の集団をたくさん見かけます。その喧騒たるや相当なもので、周辺に住んでおられる住民の皆さんは深夜などさぞ迷惑だろうなとつくづく思います。大体、花火に興じて騒音をまき散らし歓声を上げているのは高校生か大学生、もしくは同年齢の勤労少年でありますが、中には中学生とおぼしき集団もあります。喧騒の後は、砂浜一面に花火の燃えかす、レジ袋、弁当やパン、菓子の袋と食べかす、空き缶・空き瓶が散乱し、砂浜を覆い尽くすかと思うほどの量でございます。一時間ほどの散歩の間、彼らの行動を見ておりますと、いつも、きちんと後片づけをして帰るグループは三十組に一つくらいでしょうか。私は見るに見かねて、特にひどいグループに対して「後片づけをしなさい」と何度も注意をいたしました。しかし、「済みません」と言って言われたとおり後片づけをする若者たちは数えるほどで、全く無視する者が多く、中には逆に食ってかかってきたことも一度や二度ではありません。身の危険を感じたこともありました。
 もう一つ、最近よく見かける光景を申し上げます。市内を車で走っておりますと、道路に空き缶・空き瓶が立てて置いてあるのを目にします。特に交差点付近が多いようであります。見ていると、車内で飲んだ飲み物の空き缶・空き瓶を赤信号で車がとまっているときにドアをあけてわざわざ路上に立てて置いていくのであります。ほとんどすべて、若者のしわざであります。全くつまらない風習がはびこっていると思わざるを得ません。後続の車がこの空き缶・空き瓶をはね飛ばして通行人に当たるなどしてけがでもしたら大変だと、なぜ思えないのか。
 最後に、暴走族についてであります。毎週末になりますと、どこからともなく集まってくる不法改造車や単車に乗った暴走族と、それを見に来る集団を見かけます。深夜になるほど爆音をとどろかせ、信号を無視し、傍若無人に走り回る姿に怒りを覚えておられる県民の皆さんも大変多いと思います。
 以上、種々申し上げましたが、以下三点について教育長並びに警察本部長にお尋ねをいたします。
 まず一点目、これら中・高校生を中心とする若者の傍若無人な振る舞いについて教育長はどう思われますか。また、その対応策等について何か妙案はあるか、ご答弁をいただきたい。
 第二に、しつけ教育についてであります。
 中国の古典「礼記」に「民を化し、俗を成さんと欲せば、其れ必ず学に由る」とあります。その意味は、人々を清らかに感化し、正しく美しい風俗をつくり上げようとするならば、それは必ず学問の力によらなければならないということだそうであります。また、「孟子」の言葉に、「飽食暖衣逸居して教え無ければ則ち禽獣に近し」とあります。腹いっぱい食べ、暖かな衣服を着て怠け暮らしているだけで教育がなければ鳥やけものの生活と余り変わらないという意味であります。
 本来、しつけ教育は、親が家庭で子供に対してするべきものであろうと私は思います。しかし一方で、社会マナーに関する教育は、当然、学校においても行われるべきものと思います。県教育委員会として、どのような指針のもと、具体的にどう取り組まれているのか、教育長、お答えをいただきたい。
 三点目に、暴走族の根絶のために県教育委員会として、どんな対応をされてきたのか。子供たちが車以外に青春のすべてをかけて打ち込めるものを何か提供できないのか。教育長の明快な答弁を求めるものであります。また、暴走族の実態とその取り締まりについて、警察本部長のご答弁をいただきたい。
 第四に、最近の社会秩序の乱れについて言及したいと思います。
 昨年十二月、京都市で発生した小学生殺人事件は、容疑者である二十一歳の若者の自殺という結末で幕が引かれましたが、事件の背景には現代社会が内包するさまざまな病理がかいま見え、全国に衝撃が走り、深刻な問題を我々に残したと言えます。なぜこんな事件が起こってしまったのか。犯罪心理学者・児童心理学者などの専門家の見解を求めるべきかもしれませんが、私なりに申し上げますと、大家族から核家族へと家庭形態が急速に移行していった中で、特に若い夫婦の家庭においてしつけやマナー教育、道徳教育が行き届かなくなったこと、社会全体が高度経済成長時代からいわゆるバブル華やかなころへと拝金主義的風潮がはびこっていったこと、学歴偏重の傾向に拍車がかかり、受験のための知識詰め込み教育が主流となって学習塾が産業となるような、欧米に例を見ないいびつな教育、受験のための教育、学歴を得るための教育一辺倒になってしまったこと、教師の力量不足から教師と生徒の心の交流、触れ合いが希薄となってしまったこと、これらの複合的結果として家庭崩壊、学級崩壊が起こっていること等々、ほかにもまだまだ挙げられると思います。
 それに、もう一点、指摘しなければならないことがあります。それは、マスコミの責任についてであります。親と子が夕食後のひととき、家族団らんの時間を過ごしているとき──ゴールデンタイムと申しますが、この時間に日本のテレビ各社は平気でセックスシーンや暴力シーン、果てはナンセンスな番組を流すのであります。子供たちにとても見せられないようなシーンを何の予告もなく日常茶飯事のように放映する日本のテレビ局は、神経が病んでいると言わなければなりません。欧米では、これらの番組──私はこれを特にエロ・グロ・ナンセンス番組と申し上げます──は深夜に放映するなどの配慮をし、子供が起きているゴールデンタイムには流さないという自粛措置を行っていると聞いております。
 また、エロ・グロ・ナンセンスの有害図書──週刊誌や雑誌などでありますが、これらが今、一部の書店とほとんどのコンビニに置かれております。中には、我が国を代表する有名な出版社の発行する週刊誌もあり、高校生などがコンビニでこれらの雑誌を立ち読みしている姿を最近よく見かけます。マスコミや出版社は何かと言うと、すぐに表現の自由とか国民の知る権利を口にし、振りかざします。子供たちに、これらエロ・グロ・ナンセンスの情報を提供することが国民の知る権利に奉仕することになるのでしょうか。それこそナンセンスであります。自己判断ができない子供たちにエロ・グロ・ナンセンスの番組を見せる権利がマスコミにあるはずはないと私は断じたい。報道の自由は厳格に守らなければなりませんが、何をしてもいいということにはならないと私は思うのであります。このことについて厳しく自主規制をしている欧米のマスコミと比較して、日本のマスコミは猛省をすべきであると申し上げておきます。この最後の第四点目は私の意見であり、答弁は不要であります。
 以上で、第一質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 森議員の県勢活性化についてのうち、ポスト熊博にどう主体的に取り組むかについて、まず私の方からお答え申し上げます。
 二十一世紀の県勢活性化を図る上で、地域における住民意識の高揚、地域資源の発掘、参加と連携の機運醸成等により本県を国内外にアピールすることが重要であると認識しております。
 この南紀熊野体験博を通じて地域に芽生えた住民主体の地域おこしを継続・定着させる南紀熊野二十一協議会の展開、個性的で魅力あふれるふるさとづくりを応援する輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業、地域性や独創性を考慮し、市町村や民間団体活動への補助を行う県ふるさと未来づくり事業、県民参加型イベント開催について調査を行う紀北地域活性化イベント調査検討事業等を総合的かつ有効的に実施し、各地の特性を生かした地域主導型の自主・自立的な取り組みを支援すること等により地域の活性化につなげてまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港に関する諸問題でございます。
 一点目の、関西国際空港離陸発着便の時間帯などの利便性の改善でございますが、関西国際空港における国内線のダイヤについては、議員ご指摘のとおり、一部使い勝手の悪い時間設定となってございます。特に関空─羽田便につきまして、昼間に六時間もの空白時間帯があることから、これまでも利便性の高いダイヤ設定について要望を重ねてきたところでございます。
 昨年十月に羽田空港の発着枠の拡大が発表されて以降、知事初め県議会関西国際空港対策特別委員会の皆さんによる運輸省、航空三社に対する要望、さらに大阪府及び紀泉二市六町、泉州九市四町と連携した要望活動を積極的に行ってきたところでございます。現在、運輸省においては、大阪─東京間のシャトル便の実現に向け、国、府県、経済界、航空会社で構成する協議会を発足すべく準備を進めていると聞いてございます。
 関空の利便性の高いダイヤ設定が図られることは、地域住民、空港利用者共通の願いであり、引き続き関係自治体とも協力しながら運輸省、航空会社に対して要望してまいる所存でございます。
 次に、一期パートツー事業の進展で乗り入れ便の枠はどの程度ふえるかという点でございますが、関空は平成六年に年間十二万回程度の離着陸回数に対応する処理能力を有する一本の滑走路で開港し、開港後の航空需要を踏まえ、一期パートツー事業として既存施設の能力増強を進めているところでございます。
 パートツー事業につきましては、平成七年に整備工事に着手し、これまで南北エプロン及びこれに付随するターミナルビルの拡張、給油施設の増設、国内貨物代理店上屋の増設、エアライン北棟などが整備されており、平成十四年度の事業完了時には年間離着陸回数十六万回に対応する施設が整備されることとなってございます。
 次に、大阪空港、神戸空港の動向と大阪空域における航路の錯綜についてでございますが、大阪国際空港は国内線の基幹空港として、また神戸空港は神戸を中心とする都市圏の航空需要の一翼を担う第三種の地方空港として位置づけされたものでございまして、大阪空港のリニューアルや神戸空港の開港により需要面で関空に大きな影響を与えるものではないと考えてございます。
 また、大阪湾上における航空管制は関空で一元処理されており、錯綜に伴う安全面や便数確保には支障がないと聞いてございます。
 今後とも、関空が国際ハブ空港としての機能を十分発揮するため、国等関係機関に対し、国内線・国際線ともさらに路線、便数の充実が図られるよう要望してまいりたいと存じます。
 次に、関空のハブ機能のよさをPRしているのかという点でございますが、関西国際空港株式会社では昨年一月から全社を挙げた関空のPR活動に取り組んでおり、国内・国外において積極的なポートセールス活動を展開しているところでありまして、議員ご質問のハブ機能については、訪問先自治体あるいは航空会社、旅行代理店に対し、国内線・国際線のネットワークが充実していること、国内空港から関西国際空港もしくは成田を乗り継いで海外へ旅立つ際は関西国際空港と結ばれているほとんどの空港において関空の利用の方が便利であること、特に羽田から国際線乗り継ぎ客が多く、東京や横浜から見た場合、成田より乗り継ぎがスムーズだと認知されていることなどをPRしているところでございます。
 また、本年度の海外ポートセールスにおきましては、海外航空会社に二〇〇〇年夏季ダイヤから実施する国際線着陸料割引のPRを行っておりまして、割引措置はおおむね好評であり、よい感触であったとの話も聞いてございます。
 関空は国内唯一の多くの国内線・国際線がともに乗り入れる国際ハブ空港であり、今後もこの特徴を生かしていくため、引き続き関空会社に対して積極的なポートセールス活動の展開を図るよう強く申し入れをしてまいりたいと存じます。
 次に加太地区における土取り事業の懸案の件でございますが、この土取り採取事業については、地元自治会や漁業協同組合の同意を得て、事業者から既に林地開発等の許可申請が出されてございます。現在、庁内の各担当部局において適正かつ迅速に審査を進めているところでございます。
 事業者においては、これら各種許認可が得られ次第、直ちに準備工事に着手するものと存じますので、県としては、二期工事に支障を来すことなく円滑に進むよう、和歌山市とも連携して指導監督に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 森正樹議員ご質問の、県勢活性化についてのポスト熊博にどう主体的に取り組むかにつきまして答弁いたします。
 南紀熊野体験博は、その地域の方々が主体となって参画する地域主導を大きな柱と位置づけ、オープンエリア型、体験型といった新しい試みの中で、多くの来場者をお迎えすることができました。また、博覧会の開催を通して地域に芽生えたさまざまな地域おこしへの市町村の自主的な取り組みには、大変重要なものがございました。
 生活文化部といたしましては、こうした県民の皆様の主体的な活動をさらに支援するため、真に快適で安らぎのある郷土づくりを目指し、県民運動感動わかやま二十一の実践を通してボランティア機運の醸成などに取り組んでまいります。また、すばらしい自然・歴史・文化を持つ本県を訪れる多くの人々により快適に楽しんでいただけるよう、自然歩道や休憩所などの環境整備を実施し、あわせてごみ投棄の防止や草木の乱獲防止など、自然を楽しみ自然と触れ合うマナーの向上啓発に努めるほか、友好提携都市との国際交流を通して海外に向けた本県のPRや熊野学研究センター構想の推進など、博覧会の効果を地域に定着・継続させ、地域の活性化に資するための施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) まず、ポスト熊博にどう主体的に取り組むかについてお答えをいたします。
 福祉保健部では、熊博において医療救護や感染症等の予防対策等を担当いたしましたが、今後とも県内全域の緊急時に対応した保健医療体制の整備に努めてまいりたいと存じます。
 こういった体制整備とともに、地域の障害者や高齢者、さらに県外から訪れた人など、だれもが安全で自由に行動できるよう観光施設等の公共性の高い建物や歩道の段差を解消したり、視覚障害者用の点字ブロックを敷設するなどバリアフリー化の促進を図り、人に優しい福祉の町づくりを推進してまいります。
 また、熊博で発揮された地域住民の方々の意欲とその成果を福祉分野にも生かしていただくため、ボランティア活動の普及啓発と情報提供に取り組み、ホスピタリティーにも通ずる福祉意識を醸成していきたいと考えます。
 次に、深刻な小児科医、産婦人科医不足について、県内各医療圏ごとの実情はどうかについてお答えをいたします。
 まず、小児科医、産婦人科医の県内における実情でございますが、平成十年に実施した医師・歯科医師・薬剤師調査によりますと、本県では医療施設に従事する医師の総数が二千二百八十九人、そのうち小児科を主たる診療科としている医師が百三十一人、産婦人科を主たる診療科としている医師が百二人で、これを人口十万人当たりで全国平均と比較した場合、いずれも本県が多い状況にあります。しかし、二次保健医療圏域別に見ますと、小児科では、人口十万人当たりで全国平均十一・一人と比較して、橋本、有田、御坊及び新宮保健医療圏で下回っております。また産婦人科では、全国平均八・六人と比較して、那賀、有田、御坊、田辺及び新宮保健医療圏で下回っており、地域的な偏在などの課題がある状況でございます。
 次に救急医療体制につきましては、傷病者に対し、迅速かつ適切な医療を行うため、症病の程度に応じ、初期から三次までの体系的な整備を進めてきたところでございます。
 小児救急に関しましては、在宅当番医制、休日夜間急患センター、及び救急告示病院と病院群輪番制による一般的な救急医療体制の中で対応を図っております。
 また、入院を必要とする小児科及び産婦人科の二次救急医療は各保健医療圏域の公的病院が担っておりますが、二十四時間体制や医療機関の量的確保等十分な体制ができているのは、小児科では和歌山及び田辺保健医療圏、産婦人科では和歌山保健医療圏であり、他は当番医が少なく、呼び出しができるオンコール体制をとっているのが現状でございます。
 県といたしましても、妊娠・出産から新生児に至る高度専門的な医療を効果的に提供できる総合周産期母子医療センターが整備できるよう検討してまいりますとともに、関係機関に対して医師の確保、救急医療の対応などを要請し、今後とも小児救急医療及び周産期医療の充実を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県勢活性化についてお答えします。
 まず、ポスト熊博にどう主体的に取り組むかについてであります。
 熊博後の観光施策については、現在、施設面の整備やホスピタリティーの涵養など、ハード・ソフト両面での受け入れ体制を進める一方で各種のキャンペーンやイベントを実施し、観光客の誘致を図っているわけでありますが、よりたくさんのお客様にお越しいただくためには時代にマッチした観光施策を実施する必要があると考えております。そのため、西暦二〇〇〇年を迎えたことしは、本県の独自性が発揮できる朝日・夕日と海・山などを効果的に組み合わせ、県内全域を対象として、世紀の変わり目は和歌山から始まると意識させるようなキャンペーンやイベントを行い、自然・歴史・文化を生かした観光をさらに発展させてまいりたいと考えております。
 また本県は、京阪神から近距離に位置する一方で、約六百キロの海岸線と県土の七割を超える森林面積を有し、多種多様な果樹生産を誇っております。今後は、これらの自然などを生かして都会にはない体験を提供するため、今回の博覧会で培ったノウハウを活用し、観光農園や観光漁業を初め、農林水産業などと連携した体験型観光の定着を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、ホスピタリティーの向上・改善についてであります。
 観光振興には、議員ご指摘のように、地域の方々が真心を持ってお客様をお迎えすることが大切でございます。このため、県ではこれまでも、観光業務に携わる方々を対象にホスピタリティー向上のための研修や冊子を作成し、その啓発に努めてまいったところでございます。本年度は、これに加えて観光業務に従事する人材の育成プログラムを策定中で、来年度以降、インストラクター等の人材を実際に養成する準備を進めているところでございます。その基本となるのは、何といってもホスピタリティーであると理解しております。
 本県により多くの観光客にお越しいただくためにはリピーターを確保することが最も重要であると考えており、そのためには、来てよかった、また来たいと思っていただけるような観光地づくりに今後も努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) ポスト熊博に対する農林水産部の取り組みでございます。
 熊博開会期間中におけるミカン狩り、炭焼き、地びき網等農林水産業体験のほか、昆虫採取、植物観察などの体験を通じ、参加された皆様には自然に囲まれた農山漁村での過ごし方のよさや地域の特色を生かしたグリーンツーリズムの趣旨が広くご理解いただけたものと思います。
 今後は、各地で展開している田植え・稲刈り体験を初め、観光もぎ取り園、オーナー園等の観光農業や体験民宿等の拡大に努めるとともに、こうした都市農村交流活動の拠点となる宿泊・体験施設の活用PRや、新たな施設整備に対する支援などに積極的に取り組んでまいります。
 また、これらの推進に当たっては、誘客、PR、受け入れ体制、運営等、多方面からの検討・支援が必要でありますので、農業、観光等の関係者、団体が連携を図りながら、農林水産業を軸とした体験型観光による地域振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ポスト熊博の取り組みについてお答えいたします。
 土木部といたしましては、交流と連携の時代における和歌山県の魅力ある舞台づくりとして、ゆとりと潤いのある豊かな水辺空間を創設するため、那智川、片男波海岸、白浜海岸などにおいて環境整備事業を展開いたします。また、それらに近づき訪れやすくするため、ハード面として県内二時間行動圏の実現がぜひとも必要であります。そのために、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道の高規格幹線道路、並びに半島を南北に縦貫する五條新宮道路や国道四百二十四号などに取り組み、南北三軸東西五軸による幹線道路網ネットワークの構築を目指してまいります。さらに、ソフト面として、親切でわかりやすい道路案内標識の体系的な整備に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 知事公室長大平勝之君。
  〔大平勝之君、登壇〕
○知事公室長(大平勝之君) ポスト熊博の主体的取り組みについてお答え申し上げます。
 南紀熊野体験博につきましては、県議会議員の皆様のご協力と県民の皆様が一丸となって取り組んでいただき、成功裏に終了できましたことに御礼を申し上げます。
 また、体験博のテーマ「癒し」が昨年の日本新語・流行語大賞のトップテンに選ばれましたように、時代が和歌山県を求めていると実感することができました。広報を担当する知事公室といたしましては、体験博で再認識いただいた本県の魅力を今後ともより一層全国の方々にご理解いただくべく、積極的に取り組んでまいらなければならないと考えております。このため、新聞・テレビ・ラジオなどのマスメディアの協力をいただくことも重要でございます。
 現在、テーブルサンゴの群生地としては世界最北限に位置する串本町のサンゴ群のテレビ放映や、世界で初めて全身麻酔手術に成功した華岡青洲の里におけるテレビ公開番組なども計画いただいているところでありますが、高野・熊野に代表される歴史・文化のみならず、農林水産業などの地域産業を初め、本県の有する自然・歴史・文化資源などのすばらしさを今まで以上に掘り下げるとともに、創意工夫を凝らしてマスメディアにアピールするなど、あらゆる機会を通じて情報発信し、さらなる本県の活性化につなげてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 小児科医、産婦人科医の養成についてお答えいたします。
 県下の地域医療に貢献する医師の育成は本学の大きな使命でございまして、地域医療機関などへの医師派遣についてもできる限りご要望におこたえできるよう努めているところでございます。
 議員ご質問の小児科医と産婦人科医につきましては、他の診療科の医師数の増加に比べると少ないというのが全国的な現状でございます。出産率が年々減少してございまして、少子化といった状況が医師の進路選択に影響を与えているのではないかと考えられているところでございます。しかし、議員ご指摘のように、少子化社会にあって母子保健医療の充実は重要でございます。新医大では、リスクの高い妊産婦や新生児に適切な医療を提供するために周産期部を新設いたしておりまして、小児科、産婦人科の専任教員をそれぞれ二名増員配置いたしました。また、救急・集中治療部におきましても、小児救急に対応するために専任の小児科医二名を増員して配置してございます。
 このような小児科、産婦人科の教員定数の増員と小児科救急医療、周産期医療の充実は、小児科医、産婦人科医の育成につながるものと考えてございます。
 多くの医師は卒業後三年目に専門分野を決めていますが、間もなく必修化される卒後臨床研修におきましては、内科、外科とともに小児科、産科・婦人科、救急を必須とする研修プログラムが検討されてございます。
 小児科、産婦人科の研修機会の増加は、小児科、産婦人科医療に対する関心を高めることになります。今後とも臨床教育を充実し、多様化・高度化する小児科及び産婦人科の医療ニーズにこたえられる医師の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、ポスト熊博関連についてお答えいたします。
 南紀熊野体験博では、児童生徒を含め、県内外の多くの方々が本県の持つ豊かな自然や歴史・文化に触れ、そのすばらしさを再認識したところであります。県内には世界に誇り得る歴史的遺産が数多く守り伝えられており、これらは地域の活性化につなぐことのできる貴重な財産であります。本体験博を契機に、高野・熊野地域の世界遺産登録を推進する取り組みに大きな弾みがついたと考えてございます。
 また、ふるさとに自信と誇りを持ち、より一層愛着を深めることは、国際性豊かな人材の育成につながると考えております。教育委員会では、全国に先駆けてふるさと教育副読本「わかやまDE発見!」を刊行するなど、ふるさと教育を推進するとともに、地域の自然や歴史・文化等をテーマとした生涯学習講座を開設し、本県施策の重要な柱の一つである「心豊かで個性輝くひとづくり」に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、児童生徒のしつけ、マナー教育についてお答えいたします。
 議員ご指摘のように、最近の若者たちの公共心や規範意識の低下に伴う行動については大変憂慮すべきものと考えております。社会の一員として守るべきルールやマナーについては、基本的には幼児期から家庭や地域の生活を通して身につけていくものであり、その指導は極めて重要であると考えます。さらに学校においては、教科の指導はもとより、道徳や特別活動などにおいて子供たちが倫理観や豊かな心をはぐくむとともに、集団や社会の一員としてのあるべき態度を育成することが大切であると思っております。
 こうしたことから、現在、県内小中学校十六校を研究推進校に指定し、自然体験活動やボランティア活動などを通して道徳教育の充実に取り組んでおります。また高等学校においては、現在五校においてインターンシップ事業を初め職業体験学習を実施いたしており、それらを通して望ましい勤労観や社会性の涵養に努めております。
 今後とも、あらゆる教育活動を通して児童生徒の倫理観の育成を図り、社会の一員として正しく行動できるよう指導に努めてまいります。
 最後に、暴走族についてであります。
 近年の暴走行為には、高校生だけでなく中学生も含まれている場合があり、それが深夜徘徊や喫煙、飲酒につながっている状況があります。そのため、学校教育の場において、暴走行為は自他の生命を損なうおそれのある許されない反社会的行為であることを十分徹底するとともに、警察を初めPTA、家庭との連携を密にし、交通安全教育及び生徒指導の一層の充実に努めてまいります。
 また、子供たちが情熱を傾けることのできる活動のあり方については、学校における部活動等の充実を図るとともに、学校外での社会体育や文化活動に積極的に参加できるよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長樋口建史君。
  〔樋口建史君、登壇〕
○警察本部長(樋口建史君) 県下の暴走族の実態でございます。
 現在把握している県下の暴走族は、十五グループ五百二十三人であります。そのうちの七五%、約四百名が十四歳から十九歳までの少年であります。この少年の中には、中学生五名、高校生百七名が含まれております。こういった暴走族が離合集散を繰り返しながら、主として二輪車による小規模ゲリラ的な爆音暴走を敢行しているというのが現下の実態であります。
 最近の特異な事例でありますけれども、これはいまだ捜査中ですが、大みそかから元旦にかけてのメモリアル暴走と称する四輪車の集団暴走事案がございました。警察といたしましては、こういった暴走族に対する取り締まりを県警の最重要課題の一つとして掲げて取り組んできておるところであります。
 昨年一年間の取り締まりの結果ですけれども、逮捕者五十六名を含めて八百二十九名を道交法さらには刑法犯等で検挙をしております。その結果、四グループ百四十九名を解散させたところであります。
 先ほど申しました年末年始のメモリアル暴走につきましては、これは共同危険行為等禁止違反の事件として捜査中でありますが、一昨日までに順次九名を逮捕したところであります。
 こういった間断のない強力な取り締まりにより、これまでのところ何とか大規模な集団暴走を抑え込んでいるといった状況でございます。
 一方、取り締まり効果を高める方策といたしましては、教育、少年補導等の関係者と連携をして街頭補導、また暴走族少年を召致し、あるいは家庭訪問をして保護者ぐるみの個別指導等を粘り強く実施しておるところであります。
 暴走族に対する追放機運のさらに一層の盛り上げを図る必要があるといった考えに立ちまして、今議会に和歌山県暴走族及び暴走行為者の追放促進に関する条例案を上程させていただいているところでございます。
 警察といたしましては、暴走族の根絶に向けて幅広い対策を今後とも積極的に進めてまいりたいと存じます。ご協力、ご支援をお願いいたします。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番森 正樹君。
○森 正樹君 二点だけ要望を申し上げたいと思います。
 質問冒頭で紹介しました「詩経」の言葉、「済々たる多士文王以て寧し」は、私事にわたって恐縮でございますが、実は我が母校熊本県立済々黌高校の名前の由来となった出典であります。その意味は、私塾でスタートしたときに「済々たる多士人材を出よ」ということで、そういう命名がされました。ことしで百十八年の歴史を誇る学校でございますが、その済々たる多士とも言うべき部長の皆さんから先ほどご答弁をいただきました。中には、ことしで退職される部長もいらっしゃいます。その部長は、次の部長に必ず厳しく伝えていただきたいと思います。どうか挑戦の県政を進めていただきたい、行動改革をしていただきたい、説明責任を果たしていただきたい、危機意識を持っていただきたい、こう申し上げればぴんとこられた部長もいらっしゃると思います。最近、庁内各所で、あるいは出先の振興局でも見かける知事の直筆の掲示でございますが、まさにこれは知事の思いが詰まった標語だと思います。部長のお一人お一人が知事になったつもりで、明年から始まる二十一世紀には県勢の活性化のために取り組みをしていただきたい、そのようにお願いをしたいと思います。
 それから、観光立県を標榜しているわけでございますが、知事、全庁的に取り組むという決意のあらわれとして、観光課を観光局あるいは観光部という形に組織強化を図ってみてはいかがでございましょうか。
 全国的に見ますと、観光を非常に大きな県の柱としている北海道と沖縄が、観光局あるいは観光リゾート局という体制にしております。それから、青森、岩手、山形、栃木、熊本、それからもう一つ山梨の六県が、部の名前の中に、商工労働観光部あるいは観光労働商工部とか、そういう形で入れております。和歌山県もこれらの県にまさるとも劣らず観光を大きな産業の柱としているわけでございますから、ぜひとも次の機会にこうした体制の強化を図っていただきたい。そのようにお願いをしたいと思います。
 それから、平成六年十一月に大阪で世界観光大臣会議というのが行われました。平成六年といいますから関西国際空港開港直後でございますが、このときには、世界から七十八の国及び地域、十八の州及び五つの国際機関が集まりました。五十二人の観光大臣が集まったそうであります。国によっては観光大臣を置いているところがたくさんあるわけでございます。我が国は運輸省の中の一部でございますが。このときの「OSAKA観光宣言」に、幾つかございますけれども、二、三ちょっと申し上げますと、「観光産業は成長の可能性が最も高く、二十一世紀の経済発展を牽引する最も重要な産業であること」、「観光による国家間の所得再配分の経済効果は、世界経済の均衡ある発展に役立つこと」、「観光は国際間の相互理解と世界平和の維持に大きく貢献すること、特に平和は観光にとって不可欠であること」と、このようにあります。二十一世紀が平和な社会であることを念じつつ、本県の重要な柱である観光産業をさらに育成していくためにも、また取り組むためにも、ぜひとも観光局あるいは観光部という体制を近い将来とっていただきたい。お願いをしておきたいと思います。
 それから、関西空港に関してちょっとだけ申し上げます。
 関西空港の利便性は、これはもう今さら申すまでもないわけでありますけれども、まだまだ全国の皆さんの中にはこの関空の利便性のよさをわかっていない人が非常に多いわけでございまして、これでもか、これでもかというぐらい、企業なりさまざまなところへその利便性をPRしていかなければならないと思います。それと、県庁職員の出張なんかには大阪空港は使わない、関西空港を使うと、そういう庁内徹底をぜひやっていただきたい。これはどこにお願いすればいいのかわかりませんが、ぜひとも検討していただきたい。
 それから、県内の主な企業へも同様の申し出をぜひともしていただきたい。これは、県内の企業等に非常に顔の広い副知事にご答弁をと申し上げたいところですが、時間がありませんので、要望にとどめておきます。どうぞ、働きかけをよろしくお願いします。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。

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