平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十二年二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十二年三月八日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報第一号、報第二号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     六  番       堀   本   隆   男
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長職務代行者
                山   本       昭
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
     医科大学学長     山   本   博   之
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時五分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第百十九号まで、並びに報
        第一号、報第二号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第百十九号まで、並びに知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十五番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 発言を許していただきました議長と今回の質問にこぎつけるまでにご協力をいただきましたすべての関係者の皆様に感謝の誠をささげつつ、質問に入らせていただきます。
 中国最古の詩集「詩経」にいわく、「済々たる多士文王以て寧し」と。その意味は、多くの威儀を備えた立派な人々がおり、周の文王は安定して国を治めることができた、言いかえれば、周の文王は多くの賢臣を用いることにより国がよく治まったということであります。
 また日蓮上人の言葉の中に、「国王の宝は左右の大臣なり 左右の大臣をば塩梅と申す 味噌しをなければ世わたりがたし 左右の臣なければ国治まらず」とあります。国を治める者にとって左右の大臣、人材こそが最大の宝である。その左右の臣のことを塩梅と言うのである。塩梅とは現在で言えば調味料のことであり、「塩」は塩、「梅」は梅酢のことであります。すなわち、塩や酢、みそといった調味料によって素材の味が引き立ち、おいしく食事ができ、体を養い、健康に生きていける。ちょうど風呂の湯かげんがいいときに「ええあんばいや」と申しますけれども、この「ええあんばい」がこの「塩梅」でございます。それと同じように、国王の治政を生かすも殺すも左右の大臣次第であるとの意味であります。周の文王には太顛、こう夭、散宜生というすばらしい人材、優秀なわき士がいましたように、和歌山県を治める西口勇知事には、高瀬副知事や出納長を初め、各部長、課長などの多士済々、豊富な人材がきら星のごとく居並んでいる──と言えば言い過ぎでありましょうか。きら星であっていただきたいという若干の願いも込めて、私は今回、済々たる多士であり左右の大臣である各部長の皆さんお一人お一人が知事になったつもりで責任ある答弁をしていただくため、西口知事には答弁を求めないことにいたしました。知事はどうぞそこにお座りいただいて、後に答弁に立たれる各部長の答弁を聞きながら、本当にやる気があるのかないのか勤務評定をしていただければ結構でございます。
 それでは、県勢活性化についてを初め、四点にわたり質問申し上げます。なお、時間に限りがございますので、答弁を要を得て簡潔にしていただきたいことを、まず初めに念のため申し添えます。
 県勢活性化についてお尋ねをいたします。
 我が国初の試みとなるオープンエリア方式の南紀熊野体験博が、百四十四日間に三百十万人の内外からの参加を得て成功裏に終了いたしました。ついまだ先日のことのようで、熊野古道を歩いたこと、絵画鑑賞したこと、秋篠宮同妃両殿下をお迎えしての田辺新庄シンボルパークでの開会式、そして小雨そぼ降る那智勝浦シンボルパークでの閉会式と、さまざまな思い出が脳裏に去来いたします。この南紀熊野体験博には、また実に多くの県民の皆様がボランティアとして運営に参加してくださいました。殺伐とした現代の都市生活に疲れた人々を優しく迎え、いやし、満たし、よみがえらせる圧倒的な熊野の大自然と人々のもてなしの心が訪れた人々に与えた印象と感動は、いつまでもよき思い出として大切に残されていくと、私は確信するものでございます。
 主会場となった南紀熊野地方だけでなく、和歌山市を初めとする県内五十市町村のすべてがこの南紀熊野体験博をまたとない貴重な経験とし、その結果得た有形無形の財産ははかり知れないものがあろうかと存じます。また一方で、南紀熊野体験博を終えて浮かび上がってきた問題点、課題、反省点も多々あるのではないでしょうか。
 南紀熊野体験博は、成功のうちに終わりました。しかし、いつまでも、よかった、よかったと喜んでばかりはいられないのであります。肝心な点は、この経験をどう生かし、今後につなげていくかであります。
 本県は、観光立県を標榜しているのであります。観光と言えば商工労働部観光課に任せておけばいいというのではなく、知事以下、全庁一体となって取り組むべき課題であると思います。平たい言い方をすれば、観光は本県にとって金のなる木であります。明年から始まる二十一世紀にはますます観光が重要な産業としてその重みを増すと確信をするものでございます。
 そこで、済々たる多士の各部長の皆さん全部長にお聞きしたいところでございますが、時間の都合で、今から申し上げる部長に限らせていただきます。
 南紀熊野体験博を終えて浮き彫りになった課題、問題点は何か。そして、その対策はどうするのか。言いかえれば、ポスト熊博にそれぞれの部としてどう主体的に取り組んでいこうとしておられるのか。企画、生活文化、福祉保健、商工労働、農林水産、土木の各部長、並びに知事公室長、教育長、それぞれ二分以内でご答弁をお願いいたします。
 第二に、県民の皆さんも含む我々受け入れ側のホスピタリティーの向上・改善についてお尋ねをいたします。
 県外から訪れる観光客にいかに気持ちよく過ごしていただくか、もう一度行ってみようと思っていただくか、口コミほど強いものはないのであります。マスコミによる宣伝PRも効果は大なるものがありますが、家族や友人・知人、会社の同僚、近所の人など、人間関係の中で伝わっていく口コミほど強力な宣伝媒体はないのであります。観光客にとって最上のもてなしは心と心の触れ合いに尽きると言っても過言ではないのではないでしょうか。熊博の期間中、県内のあちこちで、来訪者と県民の間で心と心の交流からたくさんのエピソードが生まれたと聞き及んでおります。しかし一方で、接客態度や言葉遣いの面でトラブルや行き違いがあったことも否定できません。
 昔から、言語学の世界で「南海道に敬語なし」と言われてまいりました。南海道とは、紀伊、淡路、阿波、讃岐、伊予、土佐の六カ国を指しますが、これらの地域は敬語が未発達の国とされてきました。紀伊の国を初め南海道六カ国は、いずれも気候温暖で物なりのよい土地であり、豊かな海産物・農産物に恵まれ、自然の恩恵に浴して豊かな生活ができる土地柄であることから、余計な敬語や丁寧語は必要ではなかったのでありましょうか。
 かつて、ある県外の観光客がJR和歌山駅におり立ち、紀三井寺に行こうとしてタクシーに乗ったときに、その運転者が「あんな、見るところもないのに何しに行くんよ」と言い放ったという話を聞いたことがあります。
 先日、テレビの番組で、有名な京都のMKタクシーの徹底した接客態度や言葉遣いの訓練や実務のルポをやっておりました。MKタクシーのようにやれとは申しません。せめて「ようこそ和歌山へ」とか、「ご乗車ありがとうございます」とか言えなかったのでしょうかと、残念でならないのであります。
 言葉遣いにとどまらず、接客態度、もてなしの心について、観光産業に従事する者はもちろん、私たち百八万県民すべてがみんなで考え、取り組んでいく必要があると私は思います。本県の圧倒的な大自然、我が国でも有数の歴史と極めて特異な熊野の文化、そして多くの先人たちが織りなし足跡をしるした名所旧跡、さらには海・山・川の豊かな食材と多種多様な温泉などなど、数え上げれば本県には観光資源は尽きることがありません。このすぐれて豊かな資源を生かすも殺すも、県外・国外からのお客様を受け入れる側である我々一人一人のもてなしの心にかかっていると思います。
 そこで商工労働部長、おもてなしの心、ホスピタリティーの向上・改善についてどう取り組んでいかれるか、代表してお答えをいただきたいと思います。
 次に、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 昨年七月十四日に二〇〇七年の供用開始を目指して関西国際空港二期工事がスタートして、はや八カ月が過ぎました。当初計画より三カ月遅い着工だそうでございますが、順調に進んでいると聞き及んでおります。総事業費一兆五千六百億円もの巨費をかけて一期の一・四倍に当たる二億五千万立方メートルの土砂を投入し、アジアにおける国際ハブ空港の確かな地歩を確立すべく、その第一歩を踏み出したことになります。しかし残念なことに、有力航空各社の関西空港乗り入れ撤退が続き、ピーク時と比較すると便数の減少が目立つのであります。
 一方で、大阪空港がターミナルビルの改装を済ませてリニューアルオープンをするとともに、ジェット機の発着回数が一日二百三十便にいつの間にか拡大されているのであります。大阪空港周辺の大阪・兵庫両府県の十一の市でつくっている十一市協という組織がございます。大阪空港騒音公害訴訟団や市民団体などの圧力を受けて国や周辺整備機構に対して補償交渉を繰り返し、平成十年度まで積算して大阪空港周辺に投入された補償費は、住宅防音工事、教育施設等防音工事、移転補償、緩衝緑地帯整備工事など、合わせて実に七千二百四十五億二千七百万円もの巨額に上っております。これは、運輸大臣設置の第二種空港が九つもつくれる金額であり、南紀白浜空港クラスの第三種空港であれば十四カ所も建設できるほどの巨費でございます。いかに欠陥空港である大阪空港が我が国の地方空港整備事業をおくらせてきたか、否、地方空港のみならず七千二百四十五億二千七百万円もあれば関西国際空港全体構想だって実現したはずだと私は思います。この十一市協なる組織を中心に、長年、大阪空港を離発着するジェット機の便数を騒音問題などを盾として、先ほど申し上げましたように一日二百便に厳しく制限してまいりました。しかし、それが最近、いとも簡単に一日二百三十便に拡大されたのであります。あまつさえ、最近では国際便の復活まで叫び出しております。私に言わせれば、関西全体の発展など考えない地域エゴの権化と申すべきでありましょう。このような大阪空港側の攻勢によって国内便の一部が関西空港から撤収し、大阪空港発着に切りかわった例もございます。さらに、関西空港二期工事と相前後して、いよいよ神戸空港が建設工事に着手いたしました。
 一方、目を海外に転じますと、アジア各国では国際ハブ空港づくりが盛んに行われております。香港チェクラップコク空港、中国浦東国際空港、マレーシアクアラルンプール空港、シンガポールチャンギ空港などが既にオープンし、さらには整備が進められ、アジア一の快適至便の空港であると、それぞれ豪語しているようであります。また、建設がおくれていた韓国の新ソウル国際空港も、二〇〇二年のワールドカップの開催に合わせて、二〇〇一年度中の開港を目指して急ピッチで工事が行われていると聞き及んでおります。
 以上、関西空港を取り巻く情勢を申し上げました。これらの厳しい状況を十分に踏まえながら、次の五点について企画部長の答弁を求めます。
 初めに、関西空港を離発着する便の時間帯の偏り、利便性の悪さが常々指摘されておりますが、この点についてどのように取り組んでいくおつもりか。
 第二に、一期パートツー事業が現在も引き続き行われておりますが、これが進展によって乗り入れ便の枠はどの程度拡大されるのか。
 第三に、関西空港のハブ空港としての機能に障害をもたらす存在であり、我が国の空港網整備のガンとなっている大阪空港の今後のあり方も含め、神戸空港の存在とあわせて関西空港乗り入れ便の確保に支障はないか。また、大阪空域における航路の錯綜の問題はクリアされるのか。
 第四に、我が国の空の玄関として関西空港と成田空港の二つの国際空港がございますが、欠陥空港と言われる成田空港に比べて国内・国際両便の乗り継ぎが同じターミナルビル内で階の移動だけで瞬時に行えるなど、利便性の面で関西空港ははるかにすぐれていることは今さら言うまでもありません。このハブ機能のよさ、利便性で数段まさることを全国のみならず世界に向けてもっと積極的にPRすべきであると、私は常々思っておりました。
 報道によりますと、関西空港株式会社もやっと重い腰を上げて、幹部がP-KIXというトップセールスを始めたそうであります。遅きに失した感じがしないでもありませんが、その内容と成果についてご報告をいただきたい。
 また、さらなるポートセールスを、これでもかというぐらい行っていくべきであると考えますが、このことについて関西国際空港株式会社に対して強く申し入れをしていただきたい。この点についても、あわせてご答弁をお願いいたします。
 最後に、和歌山市加太の土砂採取地に係る交渉が長引き、土砂搬出のおくれが心配されておりましたが、ほぼ解決したと聞き及んでおります。この点についても明快なご答弁をしていただきたい。
 三点目、深刻な小児科医、産婦人科医不足についてお尋ねをいたします。
 最近、私は、橋本市に住んでおられる県民の方から相談を受けました。小さな子供を抱える若いお母さんの悩みでございます。この人の話によりますと、住んでおられる地域には、つい最近まで小児科医がおらず、子供のぐあいが悪くなると、その都度和歌山市まで車で走ったそうであります。時間がかかること、仕事を休むなど支障が多いこと、そして何よりも近くに小児科医がいない不安をいつも感じていたとのことであります。救急のときなどどうしたらいいのと考えると、とてもいても立ってもいられないと訴えておられました。幸い、最近になって小児科医が一軒開業され、同じ悩みを持つ若いお母さん方はほっと安堵の胸をなでおろしたそうであります。同様の状況は、和歌山市などを除いて県内各地にあると思われます。
 かつて私は、産婦人科医師不足について紀南の方から相談を受けたこともございます。小児科医、産婦人科医は、いずれも子供や乳幼児が対象であり、症状を意思表示できないなど診療に当たっての難しさが多く、一方で時間がかかる割に診療点数は高くないこと、医療過誤などのトラブルが他の診療科目と比べると極めて多いなど、これから医師を目指そうとする若い医学生から敬遠される傾向が強いと聞きます。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 第一に、県内の各医療圏ごとの小児科医、産婦人科医の実情はどうなっているのか。
 第二に、小児科医、産婦人科医不足を補うための方策として、両診療科に係る救急医療体制は十分に整備されているのか。
 三つ目として、これら小児科医、産婦人科医の養成が急務であるわけでございますが、最近の医学生はこれら診療科を専攻することを敬遠する傾向がますます顕著になっていると伝え聞きます。県内唯一の医師養成機関として県立医科大学は、これら小児科医、産婦人科医の養成についてどのような考えのもと、具体的にどのように取り組んでこられたのか、また今後どう対応していこうとされるのか。この点は、医科大学学長にお尋ねいたします。
 最後に、児童生徒のしつけ教育、マナー教育についてお尋ねをいたします。
 初めに、最近、私が体験したこと、見聞きしたことを幾つかお話ししたいと思います。
 先日、私は、コンビニエンスストアに立ち寄りました。買い物をしようと店内の通路を歩いておりまして、三人連れの若い女の子のうちの一人に、私が手に持った買い物かごが少し触れたのであります。私は、思わず口をついて「ごめん」と言ってしまいました。しかし、どちらかと言うと、特に買い物をするでもなく、さして広くもない店内の通路をふさいでこの三人の女の子が横に広がってたむろしていたわけで、他人に迷惑をかけているとか、申しわけないとかいう気持ちは全くないようで、逆に今はやりのガングロの目でにらみつけられてしまいました。私は、あいた口がふさがらないという感じがするとともに、よく言うではありませんか、親の顔が見たいと、正直そう思ったものであります。
 私は、片男波海水浴場へ愛犬の散歩を兼ねて歩くことを日課としております。特に夏の海水浴シーズンに多いのでありますが、片男波海水浴場やその周辺の公園などで花火に打ち興じる若者の集団をたくさん見かけます。その喧騒たるや相当なもので、周辺に住んでおられる住民の皆さんは深夜などさぞ迷惑だろうなとつくづく思います。大体、花火に興じて騒音をまき散らし歓声を上げているのは高校生か大学生、もしくは同年齢の勤労少年でありますが、中には中学生とおぼしき集団もあります。喧騒の後は、砂浜一面に花火の燃えかす、レジ袋、弁当やパン、菓子の袋と食べかす、空き缶・空き瓶が散乱し、砂浜を覆い尽くすかと思うほどの量でございます。一時間ほどの散歩の間、彼らの行動を見ておりますと、いつも、きちんと後片づけをして帰るグループは三十組に一つくらいでしょうか。私は見るに見かねて、特にひどいグループに対して「後片づけをしなさい」と何度も注意をいたしました。しかし、「済みません」と言って言われたとおり後片づけをする若者たちは数えるほどで、全く無視する者が多く、中には逆に食ってかかってきたことも一度や二度ではありません。身の危険を感じたこともありました。
 もう一つ、最近よく見かける光景を申し上げます。市内を車で走っておりますと、道路に空き缶・空き瓶が立てて置いてあるのを目にします。特に交差点付近が多いようであります。見ていると、車内で飲んだ飲み物の空き缶・空き瓶を赤信号で車がとまっているときにドアをあけてわざわざ路上に立てて置いていくのであります。ほとんどすべて、若者のしわざであります。全くつまらない風習がはびこっていると思わざるを得ません。後続の車がこの空き缶・空き瓶をはね飛ばして通行人に当たるなどしてけがでもしたら大変だと、なぜ思えないのか。
 最後に、暴走族についてであります。毎週末になりますと、どこからともなく集まってくる不法改造車や単車に乗った暴走族と、それを見に来る集団を見かけます。深夜になるほど爆音をとどろかせ、信号を無視し、傍若無人に走り回る姿に怒りを覚えておられる県民の皆さんも大変多いと思います。
 以上、種々申し上げましたが、以下三点について教育長並びに警察本部長にお尋ねをいたします。
 まず一点目、これら中・高校生を中心とする若者の傍若無人な振る舞いについて教育長はどう思われますか。また、その対応策等について何か妙案はあるか、ご答弁をいただきたい。
 第二に、しつけ教育についてであります。
 中国の古典「礼記」に「民を化し、俗を成さんと欲せば、其れ必ず学に由る」とあります。その意味は、人々を清らかに感化し、正しく美しい風俗をつくり上げようとするならば、それは必ず学問の力によらなければならないということだそうであります。また、「孟子」の言葉に、「飽食暖衣逸居して教え無ければ則ち禽獣に近し」とあります。腹いっぱい食べ、暖かな衣服を着て怠け暮らしているだけで教育がなければ鳥やけものの生活と余り変わらないという意味であります。
 本来、しつけ教育は、親が家庭で子供に対してするべきものであろうと私は思います。しかし一方で、社会マナーに関する教育は、当然、学校においても行われるべきものと思います。県教育委員会として、どのような指針のもと、具体的にどう取り組まれているのか、教育長、お答えをいただきたい。
 三点目に、暴走族の根絶のために県教育委員会として、どんな対応をされてきたのか。子供たちが車以外に青春のすべてをかけて打ち込めるものを何か提供できないのか。教育長の明快な答弁を求めるものであります。また、暴走族の実態とその取り締まりについて、警察本部長のご答弁をいただきたい。
 第四に、最近の社会秩序の乱れについて言及したいと思います。
 昨年十二月、京都市で発生した小学生殺人事件は、容疑者である二十一歳の若者の自殺という結末で幕が引かれましたが、事件の背景には現代社会が内包するさまざまな病理がかいま見え、全国に衝撃が走り、深刻な問題を我々に残したと言えます。なぜこんな事件が起こってしまったのか。犯罪心理学者・児童心理学者などの専門家の見解を求めるべきかもしれませんが、私なりに申し上げますと、大家族から核家族へと家庭形態が急速に移行していった中で、特に若い夫婦の家庭においてしつけやマナー教育、道徳教育が行き届かなくなったこと、社会全体が高度経済成長時代からいわゆるバブル華やかなころへと拝金主義的風潮がはびこっていったこと、学歴偏重の傾向に拍車がかかり、受験のための知識詰め込み教育が主流となって学習塾が産業となるような、欧米に例を見ないいびつな教育、受験のための教育、学歴を得るための教育一辺倒になってしまったこと、教師の力量不足から教師と生徒の心の交流、触れ合いが希薄となってしまったこと、これらの複合的結果として家庭崩壊、学級崩壊が起こっていること等々、ほかにもまだまだ挙げられると思います。
 それに、もう一点、指摘しなければならないことがあります。それは、マスコミの責任についてであります。親と子が夕食後のひととき、家族団らんの時間を過ごしているとき──ゴールデンタイムと申しますが、この時間に日本のテレビ各社は平気でセックスシーンや暴力シーン、果てはナンセンスな番組を流すのであります。子供たちにとても見せられないようなシーンを何の予告もなく日常茶飯事のように放映する日本のテレビ局は、神経が病んでいると言わなければなりません。欧米では、これらの番組──私はこれを特にエロ・グロ・ナンセンス番組と申し上げます──は深夜に放映するなどの配慮をし、子供が起きているゴールデンタイムには流さないという自粛措置を行っていると聞いております。
 また、エロ・グロ・ナンセンスの有害図書──週刊誌や雑誌などでありますが、これらが今、一部の書店とほとんどのコンビニに置かれております。中には、我が国を代表する有名な出版社の発行する週刊誌もあり、高校生などがコンビニでこれらの雑誌を立ち読みしている姿を最近よく見かけます。マスコミや出版社は何かと言うと、すぐに表現の自由とか国民の知る権利を口にし、振りかざします。子供たちに、これらエロ・グロ・ナンセンスの情報を提供することが国民の知る権利に奉仕することになるのでしょうか。それこそナンセンスであります。自己判断ができない子供たちにエロ・グロ・ナンセンスの番組を見せる権利がマスコミにあるはずはないと私は断じたい。報道の自由は厳格に守らなければなりませんが、何をしてもいいということにはならないと私は思うのであります。このことについて厳しく自主規制をしている欧米のマスコミと比較して、日本のマスコミは猛省をすべきであると申し上げておきます。この最後の第四点目は私の意見であり、答弁は不要であります。
 以上で、第一質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 森議員の県勢活性化についてのうち、ポスト熊博にどう主体的に取り組むかについて、まず私の方からお答え申し上げます。
 二十一世紀の県勢活性化を図る上で、地域における住民意識の高揚、地域資源の発掘、参加と連携の機運醸成等により本県を国内外にアピールすることが重要であると認識しております。
 この南紀熊野体験博を通じて地域に芽生えた住民主体の地域おこしを継続・定着させる南紀熊野二十一協議会の展開、個性的で魅力あふれるふるさとづくりを応援する輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業、地域性や独創性を考慮し、市町村や民間団体活動への補助を行う県ふるさと未来づくり事業、県民参加型イベント開催について調査を行う紀北地域活性化イベント調査検討事業等を総合的かつ有効的に実施し、各地の特性を生かした地域主導型の自主・自立的な取り組みを支援すること等により地域の活性化につなげてまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港に関する諸問題でございます。
 一点目の、関西国際空港離陸発着便の時間帯などの利便性の改善でございますが、関西国際空港における国内線のダイヤについては、議員ご指摘のとおり、一部使い勝手の悪い時間設定となってございます。特に関空─羽田便につきまして、昼間に六時間もの空白時間帯があることから、これまでも利便性の高いダイヤ設定について要望を重ねてきたところでございます。
 昨年十月に羽田空港の発着枠の拡大が発表されて以降、知事初め県議会関西国際空港対策特別委員会の皆さんによる運輸省、航空三社に対する要望、さらに大阪府及び紀泉二市六町、泉州九市四町と連携した要望活動を積極的に行ってきたところでございます。現在、運輸省においては、大阪─東京間のシャトル便の実現に向け、国、府県、経済界、航空会社で構成する協議会を発足すべく準備を進めていると聞いてございます。
 関空の利便性の高いダイヤ設定が図られることは、地域住民、空港利用者共通の願いであり、引き続き関係自治体とも協力しながら運輸省、航空会社に対して要望してまいる所存でございます。
 次に、一期パートツー事業の進展で乗り入れ便の枠はどの程度ふえるかという点でございますが、関空は平成六年に年間十二万回程度の離着陸回数に対応する処理能力を有する一本の滑走路で開港し、開港後の航空需要を踏まえ、一期パートツー事業として既存施設の能力増強を進めているところでございます。
 パートツー事業につきましては、平成七年に整備工事に着手し、これまで南北エプロン及びこれに付随するターミナルビルの拡張、給油施設の増設、国内貨物代理店上屋の増設、エアライン北棟などが整備されており、平成十四年度の事業完了時には年間離着陸回数十六万回に対応する施設が整備されることとなってございます。
 次に、大阪空港、神戸空港の動向と大阪空域における航路の錯綜についてでございますが、大阪国際空港は国内線の基幹空港として、また神戸空港は神戸を中心とする都市圏の航空需要の一翼を担う第三種の地方空港として位置づけされたものでございまして、大阪空港のリニューアルや神戸空港の開港により需要面で関空に大きな影響を与えるものではないと考えてございます。
 また、大阪湾上における航空管制は関空で一元処理されており、錯綜に伴う安全面や便数確保には支障がないと聞いてございます。
 今後とも、関空が国際ハブ空港としての機能を十分発揮するため、国等関係機関に対し、国内線・国際線ともさらに路線、便数の充実が図られるよう要望してまいりたいと存じます。
 次に、関空のハブ機能のよさをPRしているのかという点でございますが、関西国際空港株式会社では昨年一月から全社を挙げた関空のPR活動に取り組んでおり、国内・国外において積極的なポートセールス活動を展開しているところでありまして、議員ご質問のハブ機能については、訪問先自治体あるいは航空会社、旅行代理店に対し、国内線・国際線のネットワークが充実していること、国内空港から関西国際空港もしくは成田を乗り継いで海外へ旅立つ際は関西国際空港と結ばれているほとんどの空港において関空の利用の方が便利であること、特に羽田から国際線乗り継ぎ客が多く、東京や横浜から見た場合、成田より乗り継ぎがスムーズだと認知されていることなどをPRしているところでございます。
 また、本年度の海外ポートセールスにおきましては、海外航空会社に二〇〇〇年夏季ダイヤから実施する国際線着陸料割引のPRを行っておりまして、割引措置はおおむね好評であり、よい感触であったとの話も聞いてございます。
 関空は国内唯一の多くの国内線・国際線がともに乗り入れる国際ハブ空港であり、今後もこの特徴を生かしていくため、引き続き関空会社に対して積極的なポートセールス活動の展開を図るよう強く申し入れをしてまいりたいと存じます。
 次に加太地区における土取り事業の懸案の件でございますが、この土取り採取事業については、地元自治会や漁業協同組合の同意を得て、事業者から既に林地開発等の許可申請が出されてございます。現在、庁内の各担当部局において適正かつ迅速に審査を進めているところでございます。
 事業者においては、これら各種許認可が得られ次第、直ちに準備工事に着手するものと存じますので、県としては、二期工事に支障を来すことなく円滑に進むよう、和歌山市とも連携して指導監督に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 森正樹議員ご質問の、県勢活性化についてのポスト熊博にどう主体的に取り組むかにつきまして答弁いたします。
 南紀熊野体験博は、その地域の方々が主体となって参画する地域主導を大きな柱と位置づけ、オープンエリア型、体験型といった新しい試みの中で、多くの来場者をお迎えすることができました。また、博覧会の開催を通して地域に芽生えたさまざまな地域おこしへの市町村の自主的な取り組みには、大変重要なものがございました。
 生活文化部といたしましては、こうした県民の皆様の主体的な活動をさらに支援するため、真に快適で安らぎのある郷土づくりを目指し、県民運動感動わかやま二十一の実践を通してボランティア機運の醸成などに取り組んでまいります。また、すばらしい自然・歴史・文化を持つ本県を訪れる多くの人々により快適に楽しんでいただけるよう、自然歩道や休憩所などの環境整備を実施し、あわせてごみ投棄の防止や草木の乱獲防止など、自然を楽しみ自然と触れ合うマナーの向上啓発に努めるほか、友好提携都市との国際交流を通して海外に向けた本県のPRや熊野学研究センター構想の推進など、博覧会の効果を地域に定着・継続させ、地域の活性化に資するための施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) まず、ポスト熊博にどう主体的に取り組むかについてお答えをいたします。
 福祉保健部では、熊博において医療救護や感染症等の予防対策等を担当いたしましたが、今後とも県内全域の緊急時に対応した保健医療体制の整備に努めてまいりたいと存じます。
 こういった体制整備とともに、地域の障害者や高齢者、さらに県外から訪れた人など、だれもが安全で自由に行動できるよう観光施設等の公共性の高い建物や歩道の段差を解消したり、視覚障害者用の点字ブロックを敷設するなどバリアフリー化の促進を図り、人に優しい福祉の町づくりを推進してまいります。
 また、熊博で発揮された地域住民の方々の意欲とその成果を福祉分野にも生かしていただくため、ボランティア活動の普及啓発と情報提供に取り組み、ホスピタリティーにも通ずる福祉意識を醸成していきたいと考えます。
 次に、深刻な小児科医、産婦人科医不足について、県内各医療圏ごとの実情はどうかについてお答えをいたします。
 まず、小児科医、産婦人科医の県内における実情でございますが、平成十年に実施した医師・歯科医師・薬剤師調査によりますと、本県では医療施設に従事する医師の総数が二千二百八十九人、そのうち小児科を主たる診療科としている医師が百三十一人、産婦人科を主たる診療科としている医師が百二人で、これを人口十万人当たりで全国平均と比較した場合、いずれも本県が多い状況にあります。しかし、二次保健医療圏域別に見ますと、小児科では、人口十万人当たりで全国平均十一・一人と比較して、橋本、有田、御坊及び新宮保健医療圏で下回っております。また産婦人科では、全国平均八・六人と比較して、那賀、有田、御坊、田辺及び新宮保健医療圏で下回っており、地域的な偏在などの課題がある状況でございます。
 次に救急医療体制につきましては、傷病者に対し、迅速かつ適切な医療を行うため、症病の程度に応じ、初期から三次までの体系的な整備を進めてきたところでございます。
 小児救急に関しましては、在宅当番医制、休日夜間急患センター、及び救急告示病院と病院群輪番制による一般的な救急医療体制の中で対応を図っております。
 また、入院を必要とする小児科及び産婦人科の二次救急医療は各保健医療圏域の公的病院が担っておりますが、二十四時間体制や医療機関の量的確保等十分な体制ができているのは、小児科では和歌山及び田辺保健医療圏、産婦人科では和歌山保健医療圏であり、他は当番医が少なく、呼び出しができるオンコール体制をとっているのが現状でございます。
 県といたしましても、妊娠・出産から新生児に至る高度専門的な医療を効果的に提供できる総合周産期母子医療センターが整備できるよう検討してまいりますとともに、関係機関に対して医師の確保、救急医療の対応などを要請し、今後とも小児救急医療及び周産期医療の充実を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県勢活性化についてお答えします。
 まず、ポスト熊博にどう主体的に取り組むかについてであります。
 熊博後の観光施策については、現在、施設面の整備やホスピタリティーの涵養など、ハード・ソフト両面での受け入れ体制を進める一方で各種のキャンペーンやイベントを実施し、観光客の誘致を図っているわけでありますが、よりたくさんのお客様にお越しいただくためには時代にマッチした観光施策を実施する必要があると考えております。そのため、西暦二〇〇〇年を迎えたことしは、本県の独自性が発揮できる朝日・夕日と海・山などを効果的に組み合わせ、県内全域を対象として、世紀の変わり目は和歌山から始まると意識させるようなキャンペーンやイベントを行い、自然・歴史・文化を生かした観光をさらに発展させてまいりたいと考えております。
 また本県は、京阪神から近距離に位置する一方で、約六百キロの海岸線と県土の七割を超える森林面積を有し、多種多様な果樹生産を誇っております。今後は、これらの自然などを生かして都会にはない体験を提供するため、今回の博覧会で培ったノウハウを活用し、観光農園や観光漁業を初め、農林水産業などと連携した体験型観光の定着を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、ホスピタリティーの向上・改善についてであります。
 観光振興には、議員ご指摘のように、地域の方々が真心を持ってお客様をお迎えすることが大切でございます。このため、県ではこれまでも、観光業務に携わる方々を対象にホスピタリティー向上のための研修や冊子を作成し、その啓発に努めてまいったところでございます。本年度は、これに加えて観光業務に従事する人材の育成プログラムを策定中で、来年度以降、インストラクター等の人材を実際に養成する準備を進めているところでございます。その基本となるのは、何といってもホスピタリティーであると理解しております。
 本県により多くの観光客にお越しいただくためにはリピーターを確保することが最も重要であると考えており、そのためには、来てよかった、また来たいと思っていただけるような観光地づくりに今後も努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) ポスト熊博に対する農林水産部の取り組みでございます。
 熊博開会期間中におけるミカン狩り、炭焼き、地びき網等農林水産業体験のほか、昆虫採取、植物観察などの体験を通じ、参加された皆様には自然に囲まれた農山漁村での過ごし方のよさや地域の特色を生かしたグリーンツーリズムの趣旨が広くご理解いただけたものと思います。
 今後は、各地で展開している田植え・稲刈り体験を初め、観光もぎ取り園、オーナー園等の観光農業や体験民宿等の拡大に努めるとともに、こうした都市農村交流活動の拠点となる宿泊・体験施設の活用PRや、新たな施設整備に対する支援などに積極的に取り組んでまいります。
 また、これらの推進に当たっては、誘客、PR、受け入れ体制、運営等、多方面からの検討・支援が必要でありますので、農業、観光等の関係者、団体が連携を図りながら、農林水産業を軸とした体験型観光による地域振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ポスト熊博の取り組みについてお答えいたします。
 土木部といたしましては、交流と連携の時代における和歌山県の魅力ある舞台づくりとして、ゆとりと潤いのある豊かな水辺空間を創設するため、那智川、片男波海岸、白浜海岸などにおいて環境整備事業を展開いたします。また、それらに近づき訪れやすくするため、ハード面として県内二時間行動圏の実現がぜひとも必要であります。そのために、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道の高規格幹線道路、並びに半島を南北に縦貫する五條新宮道路や国道四百二十四号などに取り組み、南北三軸東西五軸による幹線道路網ネットワークの構築を目指してまいります。さらに、ソフト面として、親切でわかりやすい道路案内標識の体系的な整備に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 知事公室長大平勝之君。
  〔大平勝之君、登壇〕
○知事公室長(大平勝之君) ポスト熊博の主体的取り組みについてお答え申し上げます。
 南紀熊野体験博につきましては、県議会議員の皆様のご協力と県民の皆様が一丸となって取り組んでいただき、成功裏に終了できましたことに御礼を申し上げます。
 また、体験博のテーマ「癒し」が昨年の日本新語・流行語大賞のトップテンに選ばれましたように、時代が和歌山県を求めていると実感することができました。広報を担当する知事公室といたしましては、体験博で再認識いただいた本県の魅力を今後ともより一層全国の方々にご理解いただくべく、積極的に取り組んでまいらなければならないと考えております。このため、新聞・テレビ・ラジオなどのマスメディアの協力をいただくことも重要でございます。
 現在、テーブルサンゴの群生地としては世界最北限に位置する串本町のサンゴ群のテレビ放映や、世界で初めて全身麻酔手術に成功した華岡青洲の里におけるテレビ公開番組なども計画いただいているところでありますが、高野・熊野に代表される歴史・文化のみならず、農林水産業などの地域産業を初め、本県の有する自然・歴史・文化資源などのすばらしさを今まで以上に掘り下げるとともに、創意工夫を凝らしてマスメディアにアピールするなど、あらゆる機会を通じて情報発信し、さらなる本県の活性化につなげてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 小児科医、産婦人科医の養成についてお答えいたします。
 県下の地域医療に貢献する医師の育成は本学の大きな使命でございまして、地域医療機関などへの医師派遣についてもできる限りご要望におこたえできるよう努めているところでございます。
 議員ご質問の小児科医と産婦人科医につきましては、他の診療科の医師数の増加に比べると少ないというのが全国的な現状でございます。出産率が年々減少してございまして、少子化といった状況が医師の進路選択に影響を与えているのではないかと考えられているところでございます。しかし、議員ご指摘のように、少子化社会にあって母子保健医療の充実は重要でございます。新医大では、リスクの高い妊産婦や新生児に適切な医療を提供するために周産期部を新設いたしておりまして、小児科、産婦人科の専任教員をそれぞれ二名増員配置いたしました。また、救急・集中治療部におきましても、小児救急に対応するために専任の小児科医二名を増員して配置してございます。
 このような小児科、産婦人科の教員定数の増員と小児科救急医療、周産期医療の充実は、小児科医、産婦人科医の育成につながるものと考えてございます。
 多くの医師は卒業後三年目に専門分野を決めていますが、間もなく必修化される卒後臨床研修におきましては、内科、外科とともに小児科、産科・婦人科、救急を必須とする研修プログラムが検討されてございます。
 小児科、産婦人科の研修機会の増加は、小児科、産婦人科医療に対する関心を高めることになります。今後とも臨床教育を充実し、多様化・高度化する小児科及び産婦人科の医療ニーズにこたえられる医師の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、ポスト熊博関連についてお答えいたします。
 南紀熊野体験博では、児童生徒を含め、県内外の多くの方々が本県の持つ豊かな自然や歴史・文化に触れ、そのすばらしさを再認識したところであります。県内には世界に誇り得る歴史的遺産が数多く守り伝えられており、これらは地域の活性化につなぐことのできる貴重な財産であります。本体験博を契機に、高野・熊野地域の世界遺産登録を推進する取り組みに大きな弾みがついたと考えてございます。
 また、ふるさとに自信と誇りを持ち、より一層愛着を深めることは、国際性豊かな人材の育成につながると考えております。教育委員会では、全国に先駆けてふるさと教育副読本「わかやまDE発見!」を刊行するなど、ふるさと教育を推進するとともに、地域の自然や歴史・文化等をテーマとした生涯学習講座を開設し、本県施策の重要な柱の一つである「心豊かで個性輝くひとづくり」に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、児童生徒のしつけ、マナー教育についてお答えいたします。
 議員ご指摘のように、最近の若者たちの公共心や規範意識の低下に伴う行動については大変憂慮すべきものと考えております。社会の一員として守るべきルールやマナーについては、基本的には幼児期から家庭や地域の生活を通して身につけていくものであり、その指導は極めて重要であると考えます。さらに学校においては、教科の指導はもとより、道徳や特別活動などにおいて子供たちが倫理観や豊かな心をはぐくむとともに、集団や社会の一員としてのあるべき態度を育成することが大切であると思っております。
 こうしたことから、現在、県内小中学校十六校を研究推進校に指定し、自然体験活動やボランティア活動などを通して道徳教育の充実に取り組んでおります。また高等学校においては、現在五校においてインターンシップ事業を初め職業体験学習を実施いたしており、それらを通して望ましい勤労観や社会性の涵養に努めております。
 今後とも、あらゆる教育活動を通して児童生徒の倫理観の育成を図り、社会の一員として正しく行動できるよう指導に努めてまいります。
 最後に、暴走族についてであります。
 近年の暴走行為には、高校生だけでなく中学生も含まれている場合があり、それが深夜徘徊や喫煙、飲酒につながっている状況があります。そのため、学校教育の場において、暴走行為は自他の生命を損なうおそれのある許されない反社会的行為であることを十分徹底するとともに、警察を初めPTA、家庭との連携を密にし、交通安全教育及び生徒指導の一層の充実に努めてまいります。
 また、子供たちが情熱を傾けることのできる活動のあり方については、学校における部活動等の充実を図るとともに、学校外での社会体育や文化活動に積極的に参加できるよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長樋口建史君。
  〔樋口建史君、登壇〕
○警察本部長(樋口建史君) 県下の暴走族の実態でございます。
 現在把握している県下の暴走族は、十五グループ五百二十三人であります。そのうちの七五%、約四百名が十四歳から十九歳までの少年であります。この少年の中には、中学生五名、高校生百七名が含まれております。こういった暴走族が離合集散を繰り返しながら、主として二輪車による小規模ゲリラ的な爆音暴走を敢行しているというのが現下の実態であります。
 最近の特異な事例でありますけれども、これはいまだ捜査中ですが、大みそかから元旦にかけてのメモリアル暴走と称する四輪車の集団暴走事案がございました。警察といたしましては、こういった暴走族に対する取り締まりを県警の最重要課題の一つとして掲げて取り組んできておるところであります。
 昨年一年間の取り締まりの結果ですけれども、逮捕者五十六名を含めて八百二十九名を道交法さらには刑法犯等で検挙をしております。その結果、四グループ百四十九名を解散させたところであります。
 先ほど申しました年末年始のメモリアル暴走につきましては、これは共同危険行為等禁止違反の事件として捜査中でありますが、一昨日までに順次九名を逮捕したところであります。
 こういった間断のない強力な取り締まりにより、これまでのところ何とか大規模な集団暴走を抑え込んでいるといった状況でございます。
 一方、取り締まり効果を高める方策といたしましては、教育、少年補導等の関係者と連携をして街頭補導、また暴走族少年を召致し、あるいは家庭訪問をして保護者ぐるみの個別指導等を粘り強く実施しておるところであります。
 暴走族に対する追放機運のさらに一層の盛り上げを図る必要があるといった考えに立ちまして、今議会に和歌山県暴走族及び暴走行為者の追放促進に関する条例案を上程させていただいているところでございます。
 警察といたしましては、暴走族の根絶に向けて幅広い対策を今後とも積極的に進めてまいりたいと存じます。ご協力、ご支援をお願いいたします。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番森 正樹君。
○森 正樹君 二点だけ要望を申し上げたいと思います。
 質問冒頭で紹介しました「詩経」の言葉、「済々たる多士文王以て寧し」は、私事にわたって恐縮でございますが、実は我が母校熊本県立済々黌高校の名前の由来となった出典であります。その意味は、私塾でスタートしたときに「済々たる多士人材を出よ」ということで、そういう命名がされました。ことしで百十八年の歴史を誇る学校でございますが、その済々たる多士とも言うべき部長の皆さんから先ほどご答弁をいただきました。中には、ことしで退職される部長もいらっしゃいます。その部長は、次の部長に必ず厳しく伝えていただきたいと思います。どうか挑戦の県政を進めていただきたい、行動改革をしていただきたい、説明責任を果たしていただきたい、危機意識を持っていただきたい、こう申し上げればぴんとこられた部長もいらっしゃると思います。最近、庁内各所で、あるいは出先の振興局でも見かける知事の直筆の掲示でございますが、まさにこれは知事の思いが詰まった標語だと思います。部長のお一人お一人が知事になったつもりで、明年から始まる二十一世紀には県勢の活性化のために取り組みをしていただきたい、そのようにお願いをしたいと思います。
 それから、観光立県を標榜しているわけでございますが、知事、全庁的に取り組むという決意のあらわれとして、観光課を観光局あるいは観光部という形に組織強化を図ってみてはいかがでございましょうか。
 全国的に見ますと、観光を非常に大きな県の柱としている北海道と沖縄が、観光局あるいは観光リゾート局という体制にしております。それから、青森、岩手、山形、栃木、熊本、それからもう一つ山梨の六県が、部の名前の中に、商工労働観光部あるいは観光労働商工部とか、そういう形で入れております。和歌山県もこれらの県にまさるとも劣らず観光を大きな産業の柱としているわけでございますから、ぜひとも次の機会にこうした体制の強化を図っていただきたい。そのようにお願いをしたいと思います。
 それから、平成六年十一月に大阪で世界観光大臣会議というのが行われました。平成六年といいますから関西国際空港開港直後でございますが、このときには、世界から七十八の国及び地域、十八の州及び五つの国際機関が集まりました。五十二人の観光大臣が集まったそうであります。国によっては観光大臣を置いているところがたくさんあるわけでございます。我が国は運輸省の中の一部でございますが。このときの「OSAKA観光宣言」に、幾つかございますけれども、二、三ちょっと申し上げますと、「観光産業は成長の可能性が最も高く、二十一世紀の経済発展を牽引する最も重要な産業であること」、「観光による国家間の所得再配分の経済効果は、世界経済の均衡ある発展に役立つこと」、「観光は国際間の相互理解と世界平和の維持に大きく貢献すること、特に平和は観光にとって不可欠であること」と、このようにあります。二十一世紀が平和な社会であることを念じつつ、本県の重要な柱である観光産業をさらに育成していくためにも、また取り組むためにも、ぜひとも観光局あるいは観光部という体制を近い将来とっていただきたい。お願いをしておきたいと思います。
 それから、関西空港に関してちょっとだけ申し上げます。
 関西空港の利便性は、これはもう今さら申すまでもないわけでありますけれども、まだまだ全国の皆さんの中にはこの関空の利便性のよさをわかっていない人が非常に多いわけでございまして、これでもか、これでもかというぐらい、企業なりさまざまなところへその利便性をPRしていかなければならないと思います。それと、県庁職員の出張なんかには大阪空港は使わない、関西空港を使うと、そういう庁内徹底をぜひやっていただきたい。これはどこにお願いすればいいのかわかりませんが、ぜひとも検討していただきたい。
 それから、県内の主な企業へも同様の申し出をぜひともしていただきたい。これは、県内の企業等に非常に顔の広い副知事にご答弁をと申し上げたいところですが、時間がありませんので、要望にとどめておきます。どうぞ、働きかけをよろしくお願いします。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 おはようございます。お許しを得ましたので、通告に基づき、順次ご質問申し上げます。
 時代は、間もなく二十一世紀を迎えようとしています。二十世紀を二十一世紀へつなぐキーワードは「科学技術」、「情報」、「環境」、「高齢化」であり、共通するテーマは、社会における「共生」、「協働」であると思います。「共生」、「協働」という言葉は、五年前の阪神・淡路大震災の復興活動において人々の間に定着しました。住民と行政との役割分担、守備範囲を深く考察し、ともに生きる、力を合わせて互いに足らずを補完して働くという概念であります。
 西口知事初め県当局は、これらの時代背景を的確にとらえ、それらの課題に沿って県民の共生、協働を実現できる政策を着実に進めておられます。今議会に上程された二十一世紀へのかけ橋となる平成十二年度予算においては、実質的に第二期西口県政のスタートの年として、厳しい財政状況の中、県土発展の社会基盤として県土全域を人々がコミュニティーとして意識できる県内二時間域内六十分行動圏の確立に強い意欲を示されるなど、会派を代表して心からの敬意と称賛を送るものであります。
 以下、先ほど述べました四つのキーワードについてお尋ねします。
 まず第一点、科学技術の面ですが、やはり本県産業の発展に直結する課題は科学技術の振興であろうと考ます。本県の産業技術を振興していく上で中核施設となる県工業技術センターの再編整備も既に完了し、研究開発においても着実な成果を上げられているところであります。
 大腸がん抑制効果のあるフェルラ酸研究の成果、熱硬化性樹脂の再資源化技術の開発、木質プラスチックの開発等については新聞などで了知いたしておりますが、その後の研究開発の成果や取り組み状況、また今後の産業技術の振興方策について、商工労働部長より県当局のお考えをお聞かせいただきたい。
 また、特に昨今の科学技術の研究では、商工、農林水産といった縦割り的な研究からは新たな研究成果を生み出し得ないのではないかと感じております。それに科学技術には、産業経済の面ばかりでなく、環境や生活のための科学技術といったものも含まれているはずであります。科学技術の振興には総合的な観点からの取り組みが必要ではないでしょうか。
 このほど女性知事を迎えた大阪府ではことし四月に機構改革を行い、科学技術に関する問題に対応する窓口を一本化するため新たに科学・情報課を設けることを決め、二月二十二日にまとめた平成十二年度行政改革推進計画に盛り込んでいます。このことは、二十一世紀を前に政府も科学技術の振興に積極的に取り組み始め、情報化、高齢化、環境の三分野で技術開発を推進するミレニアムプロジェクトを開始し、平成十三年度からの次期科学技術基本計画の策定に取り組むなど、技術開発の分野に力を入れることを受けたものであります。
 そこで、今後和歌山県におきましても、県の各関係部局や研究機関等を横断的に統括し、各種の研究を組み合わせることで地域産業の高度化、高付加価値化や新しい分野での産業を創出していく必要があると考えますので、そのような科学技術の振興に対する体制づくりをどうお考えか、知事の所信をお示しいただきたい。
 次に第二点、情報の面では昨今の情報技術の進展は、日進月歩どころか秒進分歩の感があり、社会生活全般での変革を引き起こしています。産業面では、eコマースを初め生産流通形態を大きく変革する情報化の時代の波が押し寄せています。こうした情報化の波におくれれば企業の存立も危ぶまれる状況にあると言えます。
 そうした中で今回、国の地域インターネット導入促進事業に県内十六市町村が手を挙げ、十四市町村が採択されたと伺っております。このことは、大阪府、奈良県などでは一市町村にすぎなかったこと、あるいは本県の人口規模からしても全国的に見て快挙とも言うべきものであろうし、知事初め関係者のご努力に敬意を表するものであります。
 また、本県においては、これまで取り組んできた黒潮ネットが、本年度末にはATMメガリンクサービスによるシステムとして構築なされることとなります。大容量の通信基盤の実現は、携帯電話のiモードの普及からも感じられる、人々のニーズに対応した音楽配信や画像配信など、ビジュアルでインタラクティブな機能を効率的に利用できることになるものであり、情報化にとって不可欠な要素であります。それが大きく一歩前進できたことは、今後の情報化の進展に弾みをつけることになるものと期待いたしております。
 しかし、これらが産業面や県民生活での需要に生かされるためには、税関業務など国の機関との連携と電子化、あるいは行政機関での許認可業務や申請業務などの電子化といった産業・生活面でのサービスの電子化を促進しなければ、日本の中の和歌山、あえて言うならば全国に先駆けて世界の中の和歌山にはなり得ないのではないでしょうか。ぜひとも全国に先駆けた取り組みをお願いしたい。
 そして、高齢化社会においては、サービス面の効率化、高度化を実現するための一助として情報技術の導入が欠かせないものであると思います。情報化を推進する諸施策の実現について、あわせてお願いしたい。
 特に、情報化を支える基盤としての機能を黒潮ネットにおいて現実的に運用するためには、非常に高い情報処理技術を有するスペシャリスト集団が求められることになります。こうした特殊な技術集団を県行政の中で確保することは、行政改革あるいは幅広い分野での高い知識を求められるゼネラリスト集団としての行政マンにはなじまないのではないかと考えます。そうなれば、このような業務は適切な受け皿組織を創設してアウトソーシングすることによって行政の効率化を図り、県民の利便の向上にこたえると同時に、県域内に技術集積を図る政策と戦略を必要とするのではないでしょうか。
 こうした事例は、さきの野田聖子郵政大臣も視察したオーストラリアのビクトリア州におけるマキシ・マルチメディア社の例があります。こうした点についていかがお考えか、企画部長並びに福祉保健部長に県当局のお考えをお聞かせいただきたい。
 続いて第三点、環境の面では、一昨年の地球環境問題京都国際会議を契機に、地球温暖化問題が環境の保全での重要課題として、CO2の排出削減が各国に義務づけられることになりました。また、本県はもとより全国的に焼却場でのダイオキシン問題等が深刻な問題になっています。二十一世紀には人々が安心して豊かに暮らすことのできる地域社会の実現を図っていかなければなりません。その際のキーワードが「循環型社会の実現」でしょう。
 こうした中で現在言われていることは、動脈産業に対する静脈産業の構築であります。また、これまでの大量生産、大量消費、廃棄物の焼却減量化と埋め立てというパラダイムを転換することであります。国政におきましても、今国会において廃棄物処理法や再資源利用促進法(リサイクル法)の改正案のほか、新たに循環型社会基本法、食品リサイクル法案が提出される予定であります。
 ダイオキシンの発生原因として主に言われていることは廃プラスチックと生ごみの焼却であり、これらは人々の生活の営みの中から生み出されているものであり、すべての人々に、被害者であると同時に加害者であるという問題を提起しております。
 これからは、生活環境を安全に維持するためには、すべての人々の理解と協力を求めていかなければならないでしょう。これは大変な問題ではありますが、関係者すべての責務だと思います。しかし同時に、廃プラスチックや生ごみを安全に処理する施設や社会の仕組みを構築しなければならないと考えます。
 昨今、廃プラスチックや生ごみなどを焼却せずに再利用・再資源化する技術が多数紹介されています。こうした技術を組み合わせることで、県民の皆さんが安心できるシステムの構築が可能ではないかと考えます。
 例えば超臨界水分解の技術を利用すれば、廃プラスチックや生ごみを分解して水素とメタンを取り出すことができます。原理的には有機物のすべてが水素とメタンに分解できることになります。そうすれば、県内で問題となっている有機物系の廃棄物問題の多くの部分を解決する方向に進めることができるものと考えます。
 昨今、超臨界水の技術は各方面で利用が進められようとしています。新聞によると、東京工業大学の早川一也名誉教授が、石川島播磨重工が開発した日量一トン処理の超臨界水生成プラントをトラックの荷台に積んで各地区を巡回し、生ごみを処理して回る実証実験を計画していることが報じられていました。これは、生ごみを炭酸ガスと水等に分解し、その際発生する熱を発電に利用しようとするものであります。超臨界水の利用技術の中でも、本県では水素に着目することがよいのではないかと考えます。なぜならば、水素は二十一世紀のクリーンエネルギーとして注目されているものの一つであり、水素に注目することは和歌山県の産業基盤に新たな夢を育てるシーズになり得るものであると考えるからであります。
 ドイツでは、市内バスに、水素による燃料電池での電気自動車が使われ始めています。排気ガスを出さないクリーンなバスなどは、観光立県を目指す和歌山県のイメージアップにもつながることでしょう。また近くではマリーナシティにおいて、水素による二百キロワットの燐酸型燃料電池で発電がなされています。同時に、本県産業集積の特色の一つである化学系企業では水素を原料として使用しています。水素に着目すれば地域環境の保全と地域産業の振興の両面での発展が期待できるものであると考えるからであります。
 安全・衛生面等から焼却処理が適したものもあると思いますので、焼却処理のすべてを否定するものではありませんが、和歌山県の将来や現状に着目するならば廃棄物処理に超臨界水分解技術を利用し、水素に着目した廃棄物を資源として処理するマテリアルリサイクルシステムの構築を積極的に行うべきであると考えますが、生活文化部長に県当局の将来ビジョンをお示しいただきたい。
 最後に、挑戦の県政の一つの課題として、先輩・同僚議員初め、私も過去に取り上げた事務事業評価システムの導入に関連した課題について再度お尋ねします。
 和歌山県では、行政改革の基本的考え方を示した和歌山県行政改革大綱を昨年一月に策定し、順次行政改革の推進に取り組んでいるところであります。特に聖域のない事務事業の見直しということで、予算編成においては平成十一年度百八十五件、約四億五千万円、平成十二年度百六十七件、約五億円の改善がなされたという答弁が昨日ありましたが、さらにもう一歩も二歩も踏み込むべきだと考えます。
 行政の進め方、組織・制度の見直し、職員意識の変革を初め、厳しい財政状況の中での予算編成を強いられる県当局に、西口知事の標榜する、本気で変える挑戦の県政という力強い息吹を吹き込むためには、事務事業評価システムの導入に取り組むことがまず第一歩と考えます。
 私は、平成九年八月、三重県庁へ北川知事をお尋ねし、事務事業評価システムの導入についてのいきさつや経過についてお話を伺ってまいりました。また、直接指揮をとられた当時の行政改革担当で、現地域振興部長の梅田次郎氏からは詳しくご説明いただきました。そして昨年十一月末には岩手県庁を訪ね、県議会の情報公開を初め、事務事業評価システムの導入についての岩手県の取り組み状況、職員の反応及びシステムの功罪について調査してまいりました。
 三重県の改革のポイントは、まず「生活者起点」とすること、そして目指す県庁のイメージは、「予算獲得に全力」ということを「事業の成果を評価」に、また「前例踏襲、問題先送り」ということを「前任者の仕事も見直し」に、「情報非公開」を「情報公開、住民参加を促す」ということに、「既得権益の保護に力点」を「住民の満足度重視」に、そして「財政部門至上主義」を「各部門の自己責任を徹底」にというものであります。
 一方、岩手県では、財政課の分室として行政システム改革室を設置しておられ、特に地方自治体の発生主義会計方式に関する研究会及び岩手県の発生主義会計方式導入に係る取り組みについてご説明いただきました。バランスシートを導入することにより資産と負債の実態を把握することができ、長期の財政運営の指標として役立つのは確かであります。しかし、資産評価の基準がまだ確立されていない点、そして完成度が低い点など欠点もありますが、自治省においても昨年六月に研究会を発足させ、全面的に導入するかどうかについて検討されております。
 そこで、和歌山県におきましては、まず挑戦の県政の一つの具体的な切り口として、秋田県、石川県、岩手県、岐阜県、高知県、滋賀県、静岡県、三重県、宮城県の九県で結成されている自治体の発生主義会計方式に関する研究会に会員として参加し、全国的統一基準の作成に取り組んでみてはいかがでしょうか。総務部長より、県当局のお考えと、自治省での研究会の検討状況及び最終見通しをお聞かせいただきたい。
 以上で、第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 神出議員にお答えをいたします。
 科学技術の振興は二十一世紀の県勢活性化を図る上で大変重要な施策であるということは、私も同感でございます。このために、現在、県の科学技術振興の基本指針となる和歌山県科学技術振興ビジョンの策定に向けて、産・学・官の委員で構成している検討委員会において、県産業の発展、県民生活の向上、環境との共生という視点から検討をいただいておるところでございます。
 議員のお話にございました、科学技術に関係する部局、さらに研究機関の連携・協力につきましては、新たに県科学技術振興連絡調整会議を庁内に設置し、科学技術振興施策の取りまとめ、その具体化、及び科学技術施策に係る啓発・普及活動を行ってまいりたいと考えてございます。
 なお、たくさんの参考になるご意見をいただきました。後ほど総務部長から説明をいたしますので、よろしくお願いします。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 今後の産業技術振興についてお答えします。
 工業技術センターにおける技術開発についてでございますが、お話をいただきましたフェルラ酸の研究につきましては、科学技術庁の地域先導研究の採択を受け、平成十年度から平成十二年度までの三年間、産・学・官十二機関で研究を進めているところでございます。
 大腸発がん予防物質の開発につきましては、昨年九月に記者発表を行ったところでありますが、平成十二年度にはこの物質の研究をさらに進めるとともに、農林水産総合技術センターとの共同で、フェルラ酸の発芽抑制機能を農産物の商品化に役立てる研究などを実施してまいります。
 熱硬化性樹脂の再利用につきましては、一部企業において実用化しております。また、この成果をさらに発展させ、平成十二年度の研究課題として、PETなどを含めた高分子廃棄物を化成品原料として再資源化する研究に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、木質プラスチックの開発技術の実用化、大気圧放電処理を用いた抗菌性の付加などにより繊維産業の高付加価値化を目指す取り組み、焼却の際、ダイオキシン発生の原因となるポリ塩化ビニールにかわる素材開発などを関連企業と共同で取り組んでまいります。
 今後の産業技術振興についてでございますが、きのくにベンチャーランド構想に基づいて産・学・官の連携をさらに強化し、県内企業の技術力向上、新製品の開発を目指した研究開発や創造法認定企業の技術開発の支援などを積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 議員ご質問の、各種許認可業務や申請事務等の電子化を初めとする行政の電子化への取り組みについてでございます。
 インターネットを利用して民間、政府間の行政手続をペーパーレスで行えるようにするという国の電子政府の実現プロジェクトの動向を見つつ、県民の利便向上及び行政の効率化の見地から、国、市町村、民間企業等と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、その取り組みに当たりましては、県民のニーズに的確かつ効率的にこたえるため職員の意識向上を図るとともに、情報システムの運用、管理業務の一部を外部に委託することや、県域内に行政の電子化に係る技術の集積を図ることについても考慮する必要があると考えますが、県として新たに受け皿組織を創設することに関しましては、その費用対効果や組織の事業採算性等について十分に検証を行うべきものと認識してございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 神出議員ご提言の、高齢化社会に対応する情報技術の導入についてお答えします。
 介護保険制度の実施や県民の福祉・保健に関するニーズの多様化が進む中で、利用者への適切な情報提供、関係機関の間での情報の共有化等が大変重要になっています。このため、県といたしましては、全国規模の福祉保健医療情報ネットワークシステムWAMNETを活用して県内の市町村や関係機関を結ぶネットワークの構築と、利用者がインターネットで検索できる介護保険サービス等の情報提供を推進しているところでございます。また、和歌山県のホームページに老人福祉施設一覧や介護保険関連情報、各種お知らせ等を掲載し、情報提供を行っています。
 今後も、高齢者の福祉、健康、生活を向上するための情報技術の導入について、関係部局並びに市町村と協議を行いながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 神出議員の環境についての、焼却処理からマテリアルリサイクルシステムの構築についてのご質問にお答えいたします。
 今日の環境問題は、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動に伴って引き起こされたもので、特にごみの問題は私たちの使い捨てのライフスタイルがもたらしたものと言えます。さらに、人体に有害な物質であるダイオキシン類問題に代表されるように、今や従来の単に燃やして埋めるというごみ処理の時代ではなくなりつつあり、これからはごみを資源としてとらえ、リディース、リユース、リサイクルを基調とした循環型の社会へ転換を図っていかなければなりません。
 こうしたことから、平成十年二月に策定したわかやま二十一世紀計画において従来の廃棄物処理のあり方を見直し、廃棄物発生の抑制、再使用・再生利用の促進により循環型社会の構築を目指すこととしてございます。
 議員ご提言の、焼却処理からマテリアルリサイクルシステムの構築につきましては、今後、関係機関と連携しつつ、水素に着目した超臨界水分解の技術を含めたさまざまな手法について勉強させていただき、本県に最もふさわしいシステムを研究し、実現に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 発生主義会計方式の導入についてお答えいたします。
 近年、住民に財政状況をわかりやすく説明したり、財政状態を長期的視点から診断することを目的として、幾つかの自治体において発生主義会計方式による財務諸表が作成・公表されておるところでございますが、資産評価の統一的な基準が確立されていないなど、いまだその完成度は低い状況にございます。このため、統一的基準の作成やそれに基づく財務諸表の策定について調査研究を行うことを目的に自治省等において研究会が設置され、各自治体が同じ基準により作成・比較するための手法について調査検討がなされております。
 なお、自治省が主催する地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会においては、本年度中に公共施設などの資産を評価する際の評価方法を初めとしたバランスシートの作成に係る統一的な基準についての調査検討結果が出されるものと聞いておるところでございます。
 本県といたしましては、今後統一的な発生主義会計方式が確立された際には、アカウンタビリティーの観点等から速やかにその導入を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十七番神出政巳君。
○神出政巳君 知事初め関係部長より答弁いただき、ありがとうございます。要望を申し上げます。
 西口知事、あなたはかつて、修羅場では鬼になると言われました。あなたにリーダーシップをとっていただき、解決していただかなければならない懸案事項が山積しております。どうか、私ども次代を担う者に対し、政治家西口勇の生きざまを力強く見せていただくようお願い申し上げ、終わります。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時四分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、こんにちは。地元から大勢の方も来られています。議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。この私の産廃に対する一般質問がもうこれっきりになったらうれしいなという思いでさせていただきます。
 「たった二年で十万ピコ ずさんな炉、当然の結果」、「汚染深刻、広がる不安」、「高濃度ダイオキシン検出」、「高濃度ダイオキシンに衝撃」、「ダイオキシン 基準の百倍」──これが二月二十二日付の新聞各社の見出しでございます。また、テレビ各社も一斉に報道を行い、新聞各紙は一面トップで、また社会面、地方版でも大きく取り上げ、和歌山県橋本市の日本工業所産廃処理場から最大十万ピコグラムのダイオキシン類を検出されたと報じました。
 「ずさんな炉、当然の結果」の見出しにつきましては、和歌山県北署が関係者の供述調書に基づいて裁判記録として裁判所に出された検甲第七十七号の中で、炉を製作している業者からいろいろ供述を得ておりますが、その中でこの業者は、「このような炉で県の許可がよくおりたと思います。専門業者の私どもでつくるのも難しいにもかかわらず、日本工業所の手製の炉であった。また、その炉の中のれんがは耐火れんがを使用するのが基本的であるのにもかかわらず、普通の、安い値段のれんがを積んで完成させた」と、そういう証言が語られております。したがってこの業者の方は、当然こういう十万ピコグラムというようなダイオキシンが検出されることは十分予知できたというふうにも言っておりますし、県が許可したと言われている炉の一日当たりの焼却能力が四・八トンの許可でありますが、実際には恐らく一日五十トンの焼却があったのではないかというような、全然規格外の大きなものでありました。そういうことから、このダイオキシンの高濃度検出については当然の結果であったかなと、今そういう思いでございます。
 十万ピコグラムは国の環境基準の百倍に当たり、大阪府能勢町の豊能郡美化センターの五千二百万ピコグラムに次ぐものでございます。この能勢町の五千二百万ピコグラムというのは、一般廃棄物の焼却のときに出た冷却水が飛び散ったということでございまして、それは少し意味が違うわけです。橋本の場合は焼却炉による汚染ということで恐らく日本で一番の被害であったと、このように理解できるわけでございます。
 二月二十一日、住民側のダイオキシン調査結果の発表がございました。県が十一年十一月八日から十九日にかけて実施した補完調査のうち、同一検体二検体の調査結果の発表でございまして、処分場隣接地土壌から三万八千ピコグラムを検出したものでございます。これを受けて県も同日、知事同席の上、計十一検体のダイオキシン類調査、一検体の土壌検査(重金属)及び一検体の水質検査(地下水)の分析結果を発表いたしました。ダイオキシン類で、場内土壌より十万ピコグラム、隣接地土壌から三万六千ピコグラム、浸出水より二・六ピコグラム──これは基準の二・六倍に当たります──残されていた汚泥より二十五万ピコグラムを検出しております。
 高濃度ダイオキシン検出の衝撃は、関係住民はもとより和歌山県橋本市にも及び、早速対策本部が設置されました。弁護士の梶山正三氏──この方は日本でただ一人の、理学博士(化学)で弁護士だそうでございます──一月二十四日のコメントでは、香川県豊島の約五十万立米、橋本市で約四十万立米、量的規模の大きいこれら日本国内の事件に関して一般の関心は余りに薄く、行政の事態の重大性に対する認識がまるで感じられないと指摘しております。
 新聞報道では、神奈川県の在日米軍厚木基地──海軍の飛行場があるところでございます──そのダイオキシン汚染について、米軍から日本に対して非常に強い抗議があるようです。また、きょうテレビを見ておりますと、アメリカでその問題が防衛庁の方へ大きく提起されているというニュースが流れておりましたが、どのくらい問題になっておるのかなと思い、香川県のホームページを検索いたしました。その検察データの中で示されている数字は、一番高い濃度で百八十ピコグラムでございます。日米のダイオキシンに対する意識の相違というのですか感覚の相違がこれだけ大きく出ているのが事実であろうかと思って紹介させていただきました。
 二月二十二日、ダイオキシン類問題検討委員会が開催され、一万ピコグラム以内であれば覆土案とする従来の案を大幅に修正いたしました。検討委員会では、数字を真摯に受けとめ対策をとることが必要、また高濃度汚染物がどこにでも埋まっていると認めざるを得ないとの先生方の発言があります。これは大変重要な、我々にとっても覚えておかなければならない発言であろうかなと思っております。
 ここで、二月十六日の摂南大学薬学部宮田教授の「橋本市における産廃、焼却灰の不法投棄場及びその周辺地域におけるダイオキシン類汚染結果についての見解」を抜粋して紹介いたします。
 宮田教授は、二月十六日の時点で現在の高濃度ダイオキシンの検出を予見されております。内容は、こういうことであります。県は平成十一年十一月八日から十九日、日本工業所の産廃及び焼却灰等の不法投棄場及び隣接地におけるダイオキシン類等の汚染状況を調査する目的で、土壌等の十一試料を採取した。撤去させる会からの依頼で、県が採取した試料のうち二試料について分析をした。焼却炉から八メートルの場内で二千七百ピコグラムであった。ポリ塩化ジベンゾフラン濃度はダイオキシン濃度の三・三倍にもなり、圧倒的にダイオキシン濃度よりも高い。これは典型的な焼却由来のダイオキシン類の組成を示すものであり、焼却灰の混在による汚染であると判断する極めて高いダイオキシン濃度である。以前に──二年前でございます──日本工業所における焼却炉の残灰を分析し、三万ピコグラムの高濃度結果を得ておる。こういうふうに言われております。このときはどなたも騒がなかった。地元住民だけが騒いでいた。三万ピコで驚かなかったということでございます。この高濃度に相当する残灰は、当然のことながら不法投棄場に処分されたものと考えられる。したがって、不法投棄場を詳細に調査すれば三万ピコグラムに相当する高濃度の汚染も検出されるものと推測している。これまでの県によるボーリング調査においても検出された濃度は一定でなく、少数の調査試料でもダイオキシン類の汚染度はかなり異なっている。これにも明らかなように、本処分地におけるダイオキシン類汚染濃度は焼却灰の混入程度により場所ごとにかなりの相違があるものと考えられ、この処分地の汚染実態を明らかにするためには多数の調査試料の分析結果が必要である。またダイオキシン類汚染濃度は、少数の調査結果においても、昨年に設定された土壌の対策基準値の千ピコグラムを超えている。今後詳細な調査をすれば高濃度汚染検出が予想される。埋立物が直接環境に接することから、早急に当該地から除去処置を講ずべきである。次に隣接する場外の土壌から三万八千ピコグラムという異常に高い汚染濃度である典型的な焼却由来の汚染を呈している。この地点の汚染は焼却残灰によるものではなく、排煙経由のものである。一九九七年に公表された厚生省による調査結果では、集じん機捕集灰──灰を捕まえるということです──のダイオキシン濃度は残灰中濃度より約四十倍も高いと厚生省が認めているわけです。当該処分地の焼却炉における残灰中のダイオキシン類濃度は約三万ピコグラムでありました。これは、一年前は恐らく六万ピコグラムであったろうという計算になります。一年間で半分になるという学説でございますが、これから推測すれば、排煙中、ばいじん濃度は恐らく百二十万ピコグラムにもなっておったのではないかと、こういう衝撃的な学者のお話がされております。今回の調査地点は焼却炉から東方五メートルの地点であり、煙突の高さ十一メートルを考慮すると、この地点よりもさらに離れた地点がより高濃度汚染を受けていると宮田教授は公表しております。
 高濃度ダイオキシンが検出されたことで、二月二十四日、県は汚染の広がり状況を調査するための土壌サンプルを採取し、ダイオキシン飛散防止のため遮水シートで汚染場所を覆う作業が二十八日に完了しております。住民は、これまで二回の調査はいずれも不十分だったが、今度こそ私たちが納得できるような調査をしてほしいと望んでおります。
 そこで、知事に質問いたします。
 高濃度ダイオキシン類検出を知事はどのように受けとめておられるのか。
 また、三月二日、産廃現場へ出かけられ、つぶさに現場を視察された感想をあわせてお伺いしたいと思います。
 また、化学物質過敏症という診断で産廃疎開をされている住民宅をも訪れられ、その際知事は、元凶である地下水路について改善を約束されましたが、これは早急に実施されるようにお願いしておきたいと思うのでございます。
 知事は、現場へ来られて多くの住民の方々の出迎えを受けられました。恐らく知事は、ある程度、かなりの厳しい怒号が起こるのではないかというふうに予想されておったと私は思います。しかし、住民は温かい拍手で迎えました。これは、何を意味しているか。住民のほとんどは知事の支持者であります。どうか住民の願いをかなえていただきたい、このように思います。
 続いて、副知事にダイオキシン類の調査についてお尋ねいたします。
 副知事は、二月二十二日に設置された日本工業所ダイオキシン問題対策本部長につかれました。そこで質問でございます。三月二日、産廃現場へ知事と同行し、現場を視察されましたが、その感想についてお伺いしたいのであります。
 日本工業所産廃現場はのどかな田園地帯で、主産業はカキ、ブドウ、野菜、稲作等で、専従農家も多く、多くの人たちが農業で生計を立てております。そのような地域に突然の高濃度ダイオキシン検出のニュースでありました。十万ピコグラムのダイオキシン検出は、当然のこと、だれしも処分場外でも汚染されているのではないかという疑問を抱くのは当たり前であります。農家の方々、住民の方々の脳裏をかすめるのは風評被害であり、自分の健康、家族の健康、子供たちの健康であろうと思うのであります。
 農作物に対し風評被害が発生したら、地元農家だけの問題にとどまらず、橋本市、和歌山県の農作物が市場から敬遠されることは必至であります。
 二月二十二日の新聞各社の首都圏での一面トップ見出しは、「橋本で高濃度ダイオキシン検出」ではなく、「和歌山県産廃場で高濃度ダイオキシン検出」でありました。また健康被害についても、ダイオキシンが人体に蓄積された場合、ほとんど排出されることなく、授乳時の母親の母乳から体外へ出るだけでありまして、赤ん坊は濃縮母乳を与えられているという結果になります。子供の将来の健康に不安を感じるのは当然であります。県は住民の希望を入れたダイオキシン類調査を早急に実施し、調査結果をもとに一日も早い安全宣言を、また対策を立てることを望みたいのであります。
 そこで、副知事に質問いたします。
 これはまた、地元住民の皆さん方の希望でもあります。場外の調査は焼却炉を中心に半径二キロメートルでの実施をお願いしたい。これについてお伺いします。
 質問の二は、風評被害を最小限で食いとめるため、農作物──これは季節ごとでございます──及び検体となった農作物と同一耕作地での土壌調査の実施について質問いたします。
 三つ目は、健康調査であります。血液、母乳の調査を早急に実施していただきたい。
 四つ目は、井戸の水質調査であります。現に井戸水を飲料水として使っておられるところもございます。
 これら四問について副知事にお尋ねいたします。
 続いて、生活文化部長にお尋ねいたします。
 産業廃棄物による土壌、地下水汚染についてお伺いいたします。
 日本工業所処分地における不法投棄された廃棄物による土壌、地下水汚染対策に対する意見──これは一月二十四日に梶山正三弁護士が橋本市での講演で詳しく述べられている資料でございますが、ここでは時間の関係上、項目のみを紹介いたします。一つ目、調査地点、調査深度等を基準にした場合の調査密度が著しく希薄である。二つ目、重金属関係の分析は皆無に等しい。三つ目、廃棄物の組成分析がごく一部しかなされていない上、結果の表示も不適切である。四つ目、廃棄物層の下部地層の分析が全然ない。五つ目、重金属の溶出試験の方法が不適切である。六つ目、重金属の含有試験が全然なされていない。七つ目、ダイオキシンの溶出試験がなされていない。八つ目、工法の具体的な比較検討がなされていない。この八つ目は大事なところでございます。九つ目、ダイオキシン類に限定した検討は誤りで、重金属についてもダイオキシン類と同様の検討が必要である。このように九つの項目で指摘されております。
 まず、浸出水について申し上げます。
 今回発表された調査結果では、ナンバー七地点循環水槽汚泥から二十五万ピコグラム、ナンバー六地点土壌から十万ピコグラムの高濃度ダイオキシンが検出されましたが、本来水に溶けにくいとされているダイオキシンがナンバー十二地点浸出水から二・六ピコグラム検出されました。投棄された場所が谷間であるため、もともとの地盤の地山と廃棄物層の境界面に沿って汚染物質が早く下流に拡散する可能性が高いのであります。地山の地層及びその地下水層の存在状況の把握が汚染物質の拡散の方向や程度を知る上で非常に重要であります。また、浸出水の箇所は市脇川の上流であり紀の川に注ぐことから、既に地下帯水槽の汚染が始まっているおそれがあるとの認識のもと、可及的速やかに調査する必要があると思うのでございます。
 そこで、質問いたします。
 浸出水から二・六ピコグラムのダイオキシンが検出されました。これは基準値内とはいえ、前回一年前の値が〇・七三ピコグラムですから約三・五倍にもなります。このことを県はどのように受けとめておられるのか。
 また二つ目には、廃棄物層の下部地層の分析及び地下帯水層までの調査を早急に実施されたいのであります。
 続いて、重金属、地下水についてお伺いいたしたいと思います。
 県の検討委員会ではダイオキシン類の検討に終始されているのではないかと思われるのでございます。ダイオキシン類だけではなく、他の有機塩素系化合物、フタル酸エステル等のプラスチック添加剤、重金属等の有害物質による汚染への対策も、ダイオキシン類の対策と同様に必要であります。
 重金属等の調査指針としては、環境庁水質保全局から平成六年十一月に出た「重金属等に係る土壌汚染調査・対策指針及び有機塩素系化合物等に係る土壌・地下水汚染調査・対策暫定指針」が標準的なものと考えられておりますが、浸出水の件でも述べたように本処分地は紀の川に注ぐ上流に位置することから、重金属による汚染実態は常に把握していかなければならないと思うのでございます。
 処理場面積二万七千平方メートル、最大深さ三十メートルを前提にいたしますと、梶山先生からの数値をいただきましたが、地点数で三十以上、検体数にして各地点深度別に八点、最低でも計二百四十検体程度の調査は必要であると言われております。にもかかわらず当初の調査では、調査地点ナンバー一のみについて深度十メートルまでを対象に重金属等の溶出試験の調査しか行っておりません。ほかは深度三メートルまでしかございません。結局、合計わずか二十三検体であります。その少ない検体数のうち、重金属等の溶出試験をしたのは一地点のみ、深度別に十メートルまで採取しているのは四検体であります。四十万立米が不法投棄されている処分場で一地点四検体を調査しただけで全体を把握するすべはありません。まるで、大海からバケツ一杯の海水を調査し、大海の全体の汚染を云々するのと等しいものであります。
 重金属類の含有試験についてお尋ねいたします。
 ダイオキシン類の場合は、重金属の場合とは逆に含有濃度だけで、溶出試験が全然考えられておりません。ダイオキシン類の分析にはそれなりに手間と費用を要しましたが、ダイオキシン類の分析が一般化した今は、当然すべき分析であります。重金属とダイオキシン類について異なる扱いをすることは、合理的な意味を見出すことができません。足らずを補う意味で、溶出・含有試験の両試験を行う必要があると思うのでございます。これは、ダイオキシンの溶出試験の質問として部長にお伺いします。
 最後に、県が模索している覆土案でありますが、これについて意見具申を申し上げておきたいと思います。
 覆土を選択する議論の中でも、本件廃棄物についての法的な検討は全くと言っていいほどされておりません。これは先ほど梶山先生が指摘された部分にもありますが、法的基準遵守は法の要請であり、たとえ県が業者にかわって行政代執行するにしても、法を無視した工法を採用できないと思うのでございます。むしろ、法令の基準をにらみつつ対策を検討していくことが現実的手法と思います。
 日本工業所が産廃の焼却処理の許可を受けた処理場であり、廃棄物の埋め立ては認められておりません。したがって、投棄された約四十万立米と言われる廃棄物は不法投棄に該当するのでございます。これは、環境庁から昭和五十四年十一月二十六日付の百二十八号通知で出ております。
 また二つ目といたしまして、現地に管理型処分地を建設する場合でも知事の許可が必要でございます。県が行う場合でも知事の許可が必要ということでございます。具体的には、底面部、また側面部には二重の遮水工事が必要であります。また、いろいろの手法でもって雨水等が入らないようにする必要がございます。さらに、防災調整池等の施設も必要でございます。本件の場合は、埋め立てられた廃棄物を一たん撤去した上、いずれかに保管ないし他の埋立地に処分した後許可を受けて建設工事を完成し、再び現地処理のため埋め戻すことになります。廃棄物を一時的にでも全量撤去をしないと現地に管理型処分場を建設することはできません。現地処理にこのような困難が避けられないのでありますから、他の既存の処分場に搬出した方がより現実的であろうかと思います。その場合も、特別管理産廃か、それともそれ以外の産廃かを検討し、必要な中間処理をして、それに応じて他の既存の処分場に搬出することが前提となります。
 ただいま述べたようなことを県は検討した上で覆土案を出されてきたのか、いささか疑問であります。
 日本工業所の敷地内に不法投棄された多量の廃棄物は、面積二万七千平方メートル、深さ三十メートル以上、推定容量四十万立米とも言われております。その規模において、先ほど述べましたとおり香川県豊島に匹敵し、産廃物を地山へ直接不法投棄されているもので、覆土だけではおわんをかぶせたようなものになり、問題が多過ぎます。
 いずれにいたしましても、調査結果の分析と工法の選択は迅速でなければなりませんが、拙速は避けなければなりません。覆土するだけというのは安易な方法であり、そのような選択に流れやすいのでありますが、覆土工法で成功した例はほとんどないと言われております。一時的に成功したように見えても、覆土の欠陥はいずれあらわれます。
 アメリカニューヨーク州のラブキャナル事件における覆土の欠陥は埋め立て終了後の二十六年後に顕在化したことを紹介して、質問を終了したいと思います。
 ここでちょっと、通告にございませんでしたが、大井部長にお礼を申し上げておきたいと思います。一年間、前の部長にもそうですが、私は大井部長に本当にお世話になりました。この問題について大変進展をさせていただいた。ありがとうございました。
 以上で終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 向井議員の橋本市産業廃棄物についての二点にお答えをいたします。
 まず、高濃度ダイオキシン類検出をどのように受けとめているかということにつきましては、今回の補完調査の結果が過去二回の調査に比べて極めて高濃度であり、大変な驚きとともに、住民の皆さん方の不安を考え、心が痛む思いでございまして、私はこの結果を重く受けとめて、こうした住民の皆さん方の不安を一日も早く取り除くために最善の努力をしてまいらなければならないと考えてございます。
 次に、現場を視察した感想についてでございます。
 現地におきましては、今、向井議員が涙ながらにおっしゃいましたけれども、多くの住民の皆さんが整然とした中でお迎えいただきまして、皆さん方の不安の思いがひしひしと伝わってくるのを強く感じたわけでございます。
 私、昨年体調を少し壊しましたから、自分の方で十分感情を申し上げるわけにはまいりません。そういう状況でなければもっといろんなことを申し上げたいわけでありますけれども、しかし現地の状況あるいは応急措置の確認をいたしまして、現地の住民の皆さんのお声をお聞きして、この上は不安を一日も早く取り除くために決意を新たにしたところでございます。
 また、現在も疎開されている住民の方のお宅にも参りまして、お話をお聞きしてまいりました。本当にお気の毒に思うわけでありますけれども、その際、お話にございました地下水路の悪臭の改善についても緊急対策として実施をしていきたいと考えております。
 十分な説明ができずに、大変申しわけありません。
○副議長(宇治田栄蔵君) 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 三月二日、産廃の現場へ知事と同行して視察した感想はどうかということにお答えいたします。
 日本工業所ダイオキシン問題対策本部の本部長として知事に同行し、現場を訪れました。私も、住民の皆様方の不安な思いを強く感じたところでございます。また、現地の状況や応急措置の確認をし、住民の皆様から多くの話をお聞きすることができました。この上は、住民の皆様の不安を取り除くため、知事の命を受け、対策本部長として現地においてお聞かせいただきました貴重なご意見を生かし、全庁的な対策を取りまとめ、一日も早くこの問題が解決できるよう懸命の努力をしなければならないと決意を新たにしたところでございます。
 次に、ダイオキシン類の調査についての四点のご質問にお答えいたします。本部長として一括してお答えをしたいと思います。
 まず、場外の調査を焼却炉を中心に半径二キロメートルで実施することについてお答えいたします。
 土壌の一般環境調査につきましては、検討委員会において半径五百メートルの範囲の調査を実施するようご意見をいただいてございますが、地域の皆さん方の要望もありますので、そのことを十分に考え、調査地点を決めてまいりたいと考えてございます。
 次に農作物並びに土壌調査につきましては、対策本部農作物対策部会を設置し、農作物の安全を確認するための方策について検討を行ってございます。早急に調査を実施することとしてございます。
 なお、調査を行うに当たっては地元対策本部等と連携を図る必要がありますので、調査対象作物、採取場所について早期に協議の上、一日も早く調査をし、農作物に対する不安を解消してまいりたいと存じます。
 次に健康の問題については、住民の方々の不安解消のため健康相談及び健康診断を早急に実施することとし、三月中旬をめどに伊都振興局内に健康相談窓口を開設するとともに、四月中に健康診断を実施するよう検討しているところでございます。
 健康診断につきましては、医師による診察及び肝機能検査等の一般血液生化学検査等を実施することとし、その対象の範囲については、ダイオキシン類問題検討委員会におけるご意見や住民の方々のご要望を踏まえて実施してまいりたいと考えてございます。
 また、血液中または母乳中のダイオキシン類濃度測定を含むいわゆる健康調査につきましては、今後、健康診断の結果や土壌の追加調査結果等も踏まえ、専門家の意見等をいただきながら検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に井戸水の水質調査の実施の質問でございますが、お答えしたいと思います。
 住民の皆様のご要望につきましては、橋本市とも十分協議しながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員の、廃棄物による土壌、地下水の汚染についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず第一点目の、浸出水から一年前の調査を上回る二・六ピコグラムが検出されたがどのように受けとめているかについてお答えいたします。
 さきの補完調査の結果では、地下水中から〇・六一ピコグラムが検出されました。これは環境基準以下でございます。また、処理場浸出水のダイオキシン濃度が今回の補完調査では二・六ピコグラム検出されましたが、これはダイオキシン類対策特別措置法の排水基準以下でございます。しかしながら、この調査結果は昨年の調査結果である〇・七三ピコグラムの約三・六倍に当たることから、直ちに一般環境への影響の有無を調査するため、市脇川のダイオキシン類の調査を実施したところでございます。今後とも、浸出水、地下水の監視を十分行うとともに、慎重にその推移を見守ってまいりたいと思っております。
 浸出水対策につきましては、恒久対策の中で十分検討してまいりたいと考えてございます。
 続きまして二点目の、廃棄物層の下部層の分析及び地下帯水層までの調査についてお答えいたします。
 今後の日本工業所事業場内の調査におきましては、下部層の調査を行う予定といたしております。また地下水につきましては、さきの補完調査において事業場下流に地下水の観測井戸を設けておりますので、今後も継続して監視してまいる考えでございます。
 続きまして三点目の、重金属の含有試験についてお答え申し上げます。
 土壌評価につきましては、土壌に含まれる重金属類の環境への溶出を監視するため溶出試験により行ってございまして、これは土壌の汚染に係る環境基準の評価方法に基づくものでございます。したがいまして、今後実施する調査についてもこの溶出試験を行ってまいりたいと思っております。
 なお、重金属の含有試験につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に四点目の、ダイオキシンの溶出試験の実施についてお答えいたします。
 ダイオキシン類の測定は、ダイオキシン類対策特別措置法の施行に伴う環境庁告示に基づいて実施いたしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 答弁、どうもありがとうございました。再質問というわけではございませんが、副知事に確認をもう一度させておいていただきます。
 半径二キロ以内の調査というのは、風評以外の調査、健康調査、また井戸水の調査、ダイオキシンの調査ということでお願いいたしました。地元住民と十分協議しながらということでございます。このことは、ひとつ二キロでお願いしたい。これは地元住民の要望でございますので、お願いしたいと思っております。
 また先ほど、大井部長には失礼いたしました。大井部長はこの三月で勇退されるというふうにお聞きしました。あなたに担当していただいてから、本当に急な進展をいただきました。ありがとうございました。最後に御礼を申し上げまして、終わらせていただきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十一分散会

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