平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 最初に、西口知事にとりましては二期目の県政であります。県勢発展のため、躍進のために、県民の先頭に立って元気で頑張っていただきますことを心からお願い申し上げる次第であります。
 それでは最初に、和歌山工科大学設置について質問をさせていただきます。
 去る二月四日、知事は、白浜町の旧白浜空港跡地に和歌山工科大学設置の事業計画を発表されました。紀南では初めての四年制大学ができるということで、紀南に住む者にとりましても、明るい希望と大きな期待を持って知事のこの大学新設事業計画を拝聴いたしました。
 ご承知のように、和歌山県にある大学、短大の入学者数を県内の十八歳人口で割った平成十一年度の大学収容率は一五・三%で、全国最下位であります。しかも、一五・三%という数字は県の平均であり、県の大学のほとんどが和歌山市周辺に集中しているため、紀南地方だけ見ると、地元に大学がありませんからゼロ%となります。したがって、紀南の高校生が進学する場合、すべての高校生は親元を離れ、下宿生活や寮での生活を余儀なくされます。多くの市町村で若者が地元を離れ、それに伴って人口減少が一般化し、ひいては地域社会の活気を喪失させています。加えて、親の負担も大変なものがございます。現在、親元を離れた大学生を一人卒業させるのに、平均して一千万円は必要だと言われております。これに本県の親元を離れて生活している大学生の数を掛けると、大変な数字がはじき出されると思います。県の資料によりますと、県外への平均年間教育費の流出計は約三百億円となっています。私は、大学の配置や分布が変わらない限り、和歌山の若者と親のお金は流出し続けると考えますが、この新設大学の計画はこうした流れを少し変えるかもわかりません。大学の規模は小さいものでありますが、地元からはもちろん、全国から若者が集まれば、地域の活性化が期待できると思います。
 二月五日の読売新聞での白浜町長の談話に、「観光地に教育機関が加わることで町に厚みが出る」と語られていましたが、白浜町だけでなく地域全体に大きな厚みが生まれてくるものと期待しております。人口増加に伴う経済効果はもとより、大学ができることによる精神的な効果に期待したいと思います。夢と希望を持った若者が集まる航空系大学が身近な地域にできることによって小・中・高校生にも刺激となり、地域に与える影響は大変大きいものがあろうかと思います。また、すばらしい大学を育てるためには、地域ぐるみ、県民ぐるみの協力支援も必要かと思いますが、この点を含め、まず大学設置に対する知事のお考えをお伺いいたします。
 一方、新設大学を取り巻く環境は大変厳しいものがございます。つまり、少子化時代を迎えて学生をどう集めるかという点であります。我が国の十八歳人口は、平成四年度の二百五万人をピークに、平成十五年度には二九%減少して百四十六万人になると見込まれています。しかし、進学率の上昇により一般的に思われているほど入学者数の大幅な減少はないと言われておりますが、和歌山工科大学の学生の確保はどのように考えているのか。
 確かに、航空工学系の学科への人気は工学部の中でも大変高いものがありますが、航空工学関連学科を開設している大学は国公立で七大学、私立で四大学、合計十一大学と大変少ないため、いずれも平均競争倍率は十四・六倍と、非常に高い倍率を示しております。その意味では「航空」という看板を掲げておれば、最初はそれなりに生徒は集まると思います。しかし、四年後に卒業生をどの分野に就職させるかという点で大変厳しいものがございます。検討委員会の報告書には、平成十一年三月の航空系大学、大学院の卒業生六百五十名の就職状況調査がなされておりますが、航空機械産業への就職率はわずか六・六%、航空輸送関連産業については〇・八%という大変低い数字がはじき出されております。もちろん、航空工学で学んだことは他の分野でも応用がきくということで、卒業生の多くは情報通信産業や自動車関連産業など他産業へ進出して活躍されております。しかし、航空工学を学んだ者にとっては航空産業で働きたいというのが本音ではないでしょうか。最初は航空関連産業で働きたいという夢や希望を持って多くの生徒さんが新設の航空系大学を受験してくれたとしても、四年後に卒業生の就職実態を見たときに志望する学生が減ってしまうのではないでしょうか。そのようにならないためにも、他の航空系大学と競争しながら航空系産業へ就職をどう確保していくのかということは大きな課題であります。
 そこで、大学で学んだ知識、技術を生かせる就職先をどう開拓するのか、卒業生の将来像まで考えないと末永く生徒を集めることができないと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、多くの魅力ある学生を集めるためには、大学自体が魅力あるものでなければならないし、個性的な大学でなければならないと思います。新設校は、当然、既設の十一の航空系大学との競合、競争は避けられないと思いますが、新設校が伝統あるハイレベルの既設の大学、特に国公立の大学と競争するということは大変厳しいものがあります。同じ看板を掲げて競争しても勝負にならないと思います。
 そこで、国公立では決して学べない和歌山工科大学でしか学べない何かをつくり出し、大いに宣伝していかなければならないと思います。また、優秀な学生を確保するためには、何よりも学生のニーズに合った、学生にとって魅力ある大学づくりを進めることが必要であると思います。そこで、学生のニーズをどうとらえ、魅力ある大学づくりをどのように進めていくのか、お考えを伺いたいと思います。
 次に、本大学は公設私学法人方式で設立されると聞いております。土地、建物及び開設費用は自治体で負担し、運営は自治体がつくった学校法人に任せるとなっておりますが、教授の確保はその学校法人に全く任せるのか、あるいは県である程度の見通しを持って教授を確保しようとされているのか。報告書では合計三十一名の教員が必要であると述べられておりますが、本学は航空系という特殊な大学であります。教授も、それなりの専門的な知識と技能を持った人材が必要かと思います。これには文部省初め関連大学、研究機関の協力なくしてできないことであると思いますが、本大学の教授の確保の見通しについてお伺いいたします。
 最後に、今回の計画により地域経済への波及効果は、確かに紀南地域の経済の活性化にとって大変大きいものがあると考えます。大学立地の効果を最大限に引き出すために、隣接する新空港の活用や大学周辺の土地を利用した研究機関や民間企業、観光施設の立地を促進することが望まれますけれども、県のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、梅の生育不良対策についてお伺いいたします。
 去る二月九日、十日の二日間にわたり、「語ろう日本の心と梅の心」をテーマに、「全国梅産地サミット二〇〇〇inみなべがわむら」が、北は群馬県の榛名町から南は鹿児島県の薩摩町まで、全国十一市町村の首長、関係者と生産者ら五百五十名が参加し、熱気あふれる中、盛大に開催され、私も参加させていただきました。
 まず基調講演で、農林水産省食糧庁計画流通部長の米田実さんが、梅産業の歴史は極めて浅くてまだ未解明の部分が多く、さまざまな可能性を持っている、また南高梅に並ぶ品種開発の必要性を強調され、そして生産から加工、流通まで幅広い中で取り組んでいけば地域おこしの起爆剤として大きく期待できると語られました。
 引き続いて、南部高校の果樹クラブの七名が、「産地を担う梅の優良苗木生産に取り組んで」をテーマに、果樹クラブの調査研究が発表され、接ぎ木苗が台木の影響を受けることを突きとめ、台木にも優良系統を使うことで結実の安定した苗木づくりができることがわかったと報告されました。今では満足のいく苗木を安定生産できるようになり、地域でも利用されて好評を得ており、苗木の注文も多くあり、日本一の梅の里をさらにパワーアップしたいと語られて、参加者から大きな拍手が送られました。
 さらに、NHK解説委員中村靖彦さんの司会で、十一市町村の首長による梅を主体にした農業の振興、梅の現状と課題について語られました。市町村の梅栽培規模は違うが、梅生産と品質の開発、梅林での観光に力を入れていくことで梅の振興を図っていく、また今後は梅の生理生態研究を進める一方、高齢化、後継者不足等が語られました。
 今回、県外から参加された皆さんは、全国一を誇る梅どころの規模や取り組みに驚かれたのではないでしょうか。こうして梅の生産地の皆さんが交流を積み重ねられ、お互いに情報交換等を行いながら、一生懸命梅の振興に努めようという熱気を参加した一人として強く感じたものであります。
 さて、梅農家が今抱えている最大の悩みは、何といっても梅の生育不良であります。生育不良対策については、これまで議会ごとに多くの議員から質問があり、県の取り組みをただしてきたところでありますが、いまだ原因究明に至っておりません。今なお梅枯れが拡大している中、あらゆる角度から研究、調査を展開することが重要でないかと思います。
 県の農林水産部の資料によりますと、全国の梅栽培面積一万九千ヘクタールに対し、和歌山県の栽培面積は平成十一年に四千五百四十ヘクタールで全国の二三・九%となっています。また生産量で見ると、全国生産量十一万九千百トンに対し、和歌山県は六万五百トンで五〇・一%の生産量となっております。また、本県の平成十一年の地域別梅生産地栽培面積を見ると、全体四千五百四十ヘクタールに対し、田辺市が千二百九十ヘクタールで二八・四%、南部川村が千二百五十ヘクタールで二七・五%、南部町が五百六十九ヘクタールで一二・五%、上富田町が二百十六ヘクタールで四・八%、印南町が二百十一ヘクタールで四・五%、その他一千四ヘクタールで二二・一%になっております。こうしてみると、紀南の田辺市を中心に栽培されていることをあらわしていると思います。そして、ここ二、三年、毎年全体で約百ヘクタールずつ増加しております。それは、地元の優良品種や梅加工技術の向上によって自然食品、健康食品の需要が拡大し、また収益も高いため栽培がふえ続けてきたと言われております。しかし一方では、梅生育不良が年々拡大し、深刻な状況に陥っております。
 ご承知のように、梅の生育不良は昭和六十年ごろから上芳養の石神地域で発症が見られ、その後とまることなく十五年間にわたり広がっている状況であります。生育不良発生状況の資料によりますと、日高・西牟婁地域において、平成九年から十一年までの三年間で実に十五万七千八百十七本に達しております。栽培面積では五百二十六・一ヘクタールに及んでおり、これは甲子園球場の百三十二倍という広大な面積であり、深刻な状況と言えます。県においても農業の最重要課題ととらえ、行財政改革を初め厳しい環境の中で梅を最優先に取り組まれたことは、知事のこの問題解決に向けた決意のあらわれと、大いに評価いたすところであります。
 この間、暖地園芸センターを中心とした研究体制の充実を初め、梅生産者と交流を図るための交流室の設置、さらには県単独施策としてうめ樹勢回復実証モデル事業の実施など、懸命な取り組みをなされてきました。その努力の結果、現在のところ原因の究明には至っておりませんが、整枝剪定を初め適切な土壌改良、また排水対策などにより、一部において成果も見られるようになり、一筋の光明が見えてきたのではないかと思います。しかしながら、依然として生育不良が拡大しており、梅農家の中にはいろんな意見があることもまた事実であります。
 先ほど述べましたように、生育不良が発生してからはや十五年が経過します。梅の被害農家の中には、将来への夢を描けず沈み切っている方、また秋津川の被害地域から今度は大丈夫と思って三栖地域へ移ってみたが、これまた被害に遭った方、上芳養の有志の皆さんが梅づくりを求めて三重県御浜町の国営パイロットへ移っていく方、それぞれ大変な状況であることを、私は農家を回ってお聞きいたしました。それだけに、一日も早く原因究明に向け、梅農家の皆さんとひざを突き合わせながらさらなる努力をお願いしたいものだと思います。
 そこで、平成十二年度当初予算の梅対策費は、前年度の約二・七倍になり、生育不良の原因解明への取り組みの意気込みが伝わってきますが、梅の生育不良対策に対する知事の熱意をお聞かせください。
 次に、将来、梅の専門試験研究センターの建設に向けて、平成十二年度に基本構想調査費として一千万円の予算を計上されました。言うまでもなく梅は和歌山県の基幹産業であり、守り育てていかなければなりません。うめ研究センターは、梅の栽培、品種改良、加工商品開発、梅酢の活用、環境に安全な有機肥料等、さまざまな研究をするセンターだと思います。今日まで梅については、全国的にも専門の学者が少ないことや、生理生態等の詳細な研究の積み上げが少ないとお聞きします。特にミカン等の研究者とは比較にならないほど少なく、このことが梅の生育不良問題の解決がおくれている原因の一つとも言えます。それだけに県も、一日も早く原因解明するために、平成九年度に十名の学識経験者の委員による和歌山県うめ対策研究会を発足して三年目を迎えますが、この間、委員による現地での調査研究の中間報告もされました。県うめ対策研究会では、三月二十日にこれまでの成果と今後の課題の報告がなされると伺っております。報告の内容によりましては、新たに取り組まなければならない研究課題も出てくるのではないでしょうか。
 そこで、梅のさらなる研究と振興を図るためにもうめ研究センターの早期実現が求められていますが、あわせて知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、農家から強い要望のあった大気環境についての研究が、平成十年から平成十一年にかけて現地での暴露実証試験を行ってきました。今、その分析をされていると思います。新たな研究をするためにも、秋津川に設置された暴露試験施設の今後の利用方法をどのように考えられているのか、お伺いいたします。
 次に、今日まで梅の生育不良の原因解明ができていない中、行政ばかりに頼ることなく、丈夫な苗木をつくることが梅農家で話題になっております。南部高校では以前から台木、品種選抜等の研究が重ねられており、また聞くところによりますと、県農協連のバイオセンターでも台木や挿し木の研究がされているようであります。また農家においても、生育不良が拡大する中、その生育不良に強いと思われる台木の研究や栽培方法が独自に研究されています。こういった現地での独自の努力についてどう把握されているのか、またこうした自助努力をされている篤農家との連携を図りながら生育不良対策を進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、県ではうめ総合実証園として民間の梅園を四カ所借り上げ、改植、樹勢維持への研究を約十年かけて行うことになっています。一日も早く成果を出して生育不良園に生かしてほしいと思いますし、そのための対策を早目に考えていく必要もあろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 また、客土によって樹勢が回復してきた梅園も多くあり、今後ともさらに客土事業を進めるべきでないかと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
 最後に、ホームレスの状況と対策についてお伺いいたします。
 近年、大都市を中心に、道路、公園、河川敷等で野宿生活を送っているホームレスが増加し、また若者によるホームレスに対する殺人事件も過去に起きるなど社会問題になっています。この背景には、長引く不況の影響で倒産やリストラ等による失業者、事業の失敗、家族崩壊、借金による生活崩壊、社会生活からの逃避など、さまざまな原因によりホームレス生活を余儀なくされている人も多くなってきているとお聞きします。
 ホームレスは全国で約二万人おり、うち九割以上が東京、横浜、川崎、名古屋、大阪の五都市に集中していると言われております。平均して年齢は五十代半ばぐらい、中でも日雇い労働者が六割以上を占めているそうであります。これからもふえ続けるホームレス問題について連絡協議会が設けられ、ホームレスを一定期間施設に宿泊させ、公共職業安定所と連携して職業をあっせんし、自立支援を基本にするといったことで、国がホームレス対策に動き出したとお聞きします。
本県でも、公園、駅等でホームレス生活をしている方がおられるとお聞きします。ボランティアの方々がお世話をされていると聞きますが、本県におけるホームレスの状況と対策をどのように考えているのか、お伺いいたします。
 以上をもちまして、一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 野見山議員にお答えをいたします。
 和歌山工科大学についてのご質問でございますけれども、今日、技術革新や情報化が急速に進んでまいりまして、また経済や社会の構造的な改革、国際化、地球環境の保全などへの対応が喫緊の課題となっておるわけでございます。こうした中で、二十一世紀に向けて創造性にあふれた人材の養成は、国においても、また地域においても極めて重要な課題でございます。本事業は、そうした意味におきまして、二十一世紀における和歌山県の人づくりと産業の活性化の基盤となる重要なプロジェクトであると考えてございます。この大学を地域に根づいた、また世界に誇れるすばらしい大学とするために、地域住民、自治体、地元企業や団体など、県民の皆さんの広範なご支援を賜りながら全力で取り組んでまいる所存でございます。
 次に、梅の生育不良についてでございます。
 これまでも繰り返し申し上げてきたところでございますが、大変大きな問題であり、なお一層総力を挙げて取り組んでまいらなければならないと考えてございます。
 こうした中で、平成十二年度につきましては、厳しい財政事情ではありますが、平成十一年度当初予算に比べ関係予算を増額するなど、積極的な予算案としてございます。
 後ほど農林水産部長から今後の取り組みについてもお答えをいたしますけれども、お話にございましたように、現在までの生育不良をもたらすと考えられる幾つかの要因について調査研究を行ってきたところでございまして、その研究成果などを生かすとともに、さらに多くの方々のご意見もお聞きして、この問題の早期解決を図ってまいりたいと存じております。
 また、生育不良の解明と安定生産を図るために、地域密着型の専門研究施設が必要であると考えておりまして、例えば設置検討委員会のような組織をつくりまして基本構想を策定してまいりたいと考えてございます。
 いずれにしても、具体化に向けてはなお克服すべき課題もありますので、従来に増して市町村を初め関係団体等のご協力をいただかなければならないと考えてございます。今後も全力を挙げて頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 和歌山工科大学についてのご質問にお答えいたします。
 一点目の学生の確保と就職先の開拓についてでございますが、我が国の航空宇宙産業は他産業に比べてその産業規模が小さく、採用規模も小さいものとなっています。しかしながら、国際的には民需市場の確実な成長が見込める産業分野であるため、自主的な技術開発力を育成し、国際的な共同開発への参画や航空機の独自開発など、産業規模の拡大を図っていくことが今後の大きな課題となっています。こうした中、本計画につきましては、実践的な技術開発や人材育成の拠点となるものとして日本航空宇宙工業会や関係省庁から大きな期待を寄せられているところでございます。このため、企業、研究機関、官庁等との連携による航空機や関連技術の研究開発、ベンチャービジネスの育成などに大学みずからが積極的に参画し、我が国の航空宇宙産業の発展に貢献しながら、海外も含めた就職先の開拓に努めていく必要があると考えています。また、地元企業との連携交流により、地域産業の転換や新たな産業の創出を図り、県内における就職先の開拓にも取り組んでいきたいと考えております。また、日本で初めて開催される航空運用システムコースにおいては輸送システムの総合的なマネジメントを行う人材の養成を行い、輸送産業界での就職先の拡大を図っていきたいと考えております。
 次に、魅力ある大学づくりについてでございます。
 大学進学希望者を対象としたこれまの意識調査等によりますと、学生が大学に求める主なものとして、一つは就職に有利なさまざまな資格の取得ができ、実践的な教育が受けられること、二つは国際性豊かな教育が受けられること、三つとして教員との触れ合いがあり、きめ細かい指導が受けられることの三点を挙げることができます。こうした学生ニーズに対応するため、本計画ではさまざまな試みを行うこととしてございます。
 まず、学生のライセンス志向にこたえるものとして、正規のカリキュラムとは別に、学生の資格取得の支援を目的としたエクステンションプログラムを実施することとしております。また、航空機やさまざまな実験装置、コンピューターなどを活用した実験や実習形式の授業の効果的な設置や県内外の企業での企業実習、卒業研究における航空機の製作や関連技術の開発などを行い、創造力や指導力を実践の中で養うこととしています。また国際性を養うために、海外の大学との提携に基づくさまざまな国際交流プログラムや実践的な英語教育の実施、教員や職員への外国人の登用、留学生の受け入れなどを積極的に行っていくこととしています。きめ細かい教育につきましては、二年生以上の学生の研究室への配属、スチューデントアシスタント制度の導入、演習形式の授業など、学生一人一人を大切にした少人数教育を行うこととしています。さらに、欧米の大学をモデルにした三学期制や成績評価制度の導入なども大きな特色であると考えています。
 次に教員の確保の見通しでございますが、教員候補者のリストアップ及び選考につきましては、日本航空宇宙学会や日本航空宇宙工業会のご協力を得ながら県において行うこととしています。なお、教員の最終的な確定、採用につきましては、準備財団の理事会で決定されるものと考えてございます。
 次に、民間企業、研究機関、観光施設の立地についてのご質問でございますが、本計画では旧南紀白浜空港跡地四十七ヘクタールのうち約十五ヘクタールを大学の敷地として利用する予定です。残りの約三十ヘクタールにつきましては、現在白浜町と共同で航空科学館の立地構想についての検討を行っているところですが、今後、大学との相互連携が可能な関連産業施設や研究施設、観光施設等の立地整備につきましても、関係機関等と協議しながら進めていきたいと考えております。また、大学内にレンタルファクトリーを設け、学内への企業の立地やベンチャービジネスの育成を図ることについての検討を行っています。こうした試みを実効性のあるものとするために、教員が企業経営や技術指導に直接参画できる兼業制度の整備や、大学の持っている特許権を民間企業が活用できる制度づくりなどを積極的に進めていくこととしています。さらに、日本有数のリゾート地に立地するという特色を生かして、学会やシンポジウムの誘致、開催などにも取り組んでいきたいと考えています。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 梅の生育不良対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず現地暴露実証試験についてでございますが、二カ年間実施いたしました二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾンの混合ガスによる暴露試験の結果では、現地で見られるような生育不良の症状は認められておりません。
 ご質問の暴露施設の今後の利用についてでございますが、農家から要望の強いばいじんの直接暴露については、科学的に評価できないことや技術的に困難であることから、化石燃料に含まれると言われている成分を用いた調査研究等について、専門家のご指導をいただきながら地元協議会とも協議し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、自助努力をしている農家との連携強化についてでございます。依然として梅生育不良の拡大する中ではありますが、産地においては土づくりや剪定方法など技術の改善が見られるようになってきてございます。議員お話しのように、農家などにおきましても独自に選抜した強勢台木の研究や根接ぎなど、さまざまな試みがなされていることは、大変心強く感じているところでございます。このような生産現場での成果等については、総合実証園や個々の技術対策の確立に生かすとともに、現地での普及、定着を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に総合実証園と客土事業についてでありますが、梅の生育不良の原因究明につきましては、暖地園芸センターを中心に関係機関の総力を結集し、大気、栽培、土壌、病害虫、気象等の要因について調査研究を行ってきたところであり、これまでの結果から生育不良はさまざまな要因が複雑に絡み合っているものと考えてございます。
 こうした中、うめ総合実証園につきましては、地元の梅対策協議会を初め関係機関の協力をいただきながら、これまでの試験研究や現地実証園の成果を生かし、客土や土づくりなどによる改植実証と樹勢の維持対策に取り組んでおりまして、今後の技術開発の成果も順次取り入れながら普及の拠点としてまいりたいと考えてございます。
 議員お話しの客土につきましては、土壌の理化学性を改善するために効果的であり、特に新規造成園では熟畑化を促進する方法の一つと考えられますが、土量の確保等の問題もありますので、事業化については今後市町村や農協等関係機関と協議をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) ホームレスの状況と対策についてお答えします。
 国において、ホームレスとは「さまざまな要因により、特定の住居を持たずに、道路、公園、河川敷、駅舎等で野宿生活を送っている人々」と定義して、ホームレス問題の解決に向けた取り組みがようやく始まろうとしています。
 本県の状況についてですが、県警察本部の調査によりますと約五十人で、そのうち八割弱が和歌山市とのことです。本県においても、現在ホームレス対策としての施策はございませんが、これらの方々が病気等により入院するなど急迫したような場合は生活保護法を適用することになります。今後も、福祉事務所及び保健所等の関係機関が連携して急迫状態にある方や緊急に医療を必要とする人への支援を行ってまいります。
 この問題の解決には抜本的な対策が必要であると考えておりますが、さまざまな状況により困難な問題もありますので、国の動向を見ながら検討してまいります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁、ありがとうございました。
 工科大学につきましては、私ちょっと調べてみました。平成四年に東北芸術工科大学が公設民営方式を全国に先駆けて実施されたんですけれども、開校以来ずっと赤字になっているそうでありまして、九九年度の決算でも約四億五千万円の赤字が見込まれる、また累積で約三十二億円の赤字に達するという記事がありましただけに、ぜひとも本県の工科大学につきましては、これを他山の石とし、緻密な計画に基づいて頑張っていただきますことを心からお願いを申し上げたいと思います。
 一件だけお聞きします。
 ここに、「梅の生育不良は乾燥が原因」という新聞記事があります。これは、三月四日の「日本農業新聞」の報道であります。これは、県では三月二日、一九九九年度の農業技術成果発表会が開催された中で、生育不良の主因を土壌の乾燥と見て樹勢回復試験を実施したとなっておりますが、この事実はいかがでしょうか。これに対して農家の方々は怒りを持っておられますから、農林水産部長、この見解をはっきりお答えください。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 再質問にございました「日本農業新聞」の記事についてでございます。
 議員のご質問にございました今年度の農業技術成果発表会でございますが、これにつきましては毎年度実施をしてございまして、内容は果樹、水稲、野菜など農業全般にわたっての研究成果をおのおの発表して意見交換を行っていく場でございます。
 今回取り上げられた生育不良対策につきまして、梅関連の試験研究の中の一部として、樹勢の低下と土壌水分や地温の上昇といった側面からアプローチした結果の見解をまとめたものでございまして、報道にありますような生育不良の主因を乾燥と断定したものではございませんので、よろしくお願いいたします。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十五分散会

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