平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 ご指名をいただきましたので、質疑並びに一般質問を行わせていただきます。
 まず、提出された予算案に関係いたしまして、議会冒頭の知事の議案説明要旨を聞きながら感じたことを順次お尋ねしたいと思います。
 まず知事は、二十一世紀を目前にして、小手先の手直しではなくていわば新しい県政の創造を行うのだと述べて、県政の構造改革に取り組んでいくと決意を表明されました。私たちも、従来、特定大企業の利益に加担するような公共事業偏重や行政姿勢、あるいは国の言いなりになって際限なく県債を発行して県民に後年度負担を押しつけるような財政構造を速急に改めるべく県政の構造改革を訴え続けてまいったところであります。知事にあっては、現在の県政の構造のいかなる点をいかに改革されようとしているのか、どこに問題があって、それをどのように変革されようとしているのかをお示しいただきたいと思います。
 次に、予算編成に当たって、景気対策と財政改革の二つの目標を掲げていくことを表明されております。政府は、景気対策だとして来年度も三十数兆円もの借金を重ね、その効果の薄い公共事業にゼネコンの要請にこたえて莫大な資金を投じようとしております。そして、破綻の危機に瀕した国家財政を立て直す計画も見通しも持たないまま、二兎を追わずとして、その批判にまじめに対応しようとさえしておりません。しかし、知事にあっては、景気対策と財政改革を同時に解決していこうと積極的に対応する姿勢を表明されたことについては評価をするものであります。ただ、問題は、中身がそのようになっているかということであります。景気対策では、従来に比して特別に改革というほどのものは見当たらず、旧来の公共事業と金融対策にとどまっているの感はぬぐえません。公共事業の景気に及ぼす影響はその金額に比して小さく、大型公共事業になればなるほどその効果は小さくなっていることは多くの統計が示すところでもあります。今期の公共事業は必ずしも大型ばかりとは言えませんが、港湾関係に見られるような景気浮揚に余り役に立たないものがその投資の中に大きな比重を占めていることなど、意図するところに沿うものではないと思います。また、ベンチャー企業の育成も一つの重要な要素として掲げられておりますが、ベンチャー育成はそれなりに必要であるとしても、その名のごとくまさにベンチャーであって、万に一つの成功を見るか見ないかのものであります。広く現存の企業を刺激するものではないと考えるところであります。このようなところに景気対策の重きを置くよりも、福祉型投資を増大させることによって雇用を増大させるとか、公共事業にあっては生活密着型に比重を置くことが重要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 同時に、県下小売商店を駆逐しつつある大手スーパーなどの規制にもあらゆる知恵を絞って対応すべきでしょう。いかがお考えになっておられますか。
 次に、財政健全化のためにどのような工夫が凝らされたかについてであります。
 二〇〇〇年度は、財政健全化計画の初年度に当たります。六千四百四十億円の大きな債務を抱え、これをどう返済していくか、知事にとっても随分苦労の多い問題だと思います。予算案では、今年度末の借金は昨年に比して七十二億円減額されておりますが、県債残高の見込みはわずかに前年度より六億円少なくなっただけであります。これだけでは、いつになったら正常値に戻るのか見当もつきません。その上、年度途中の借金は近年常態化しており、平成七年では百八十四億円、平成十年では二百八十五億円、平成十一年で百六十三億円と、年度途中でプラス補正がされているところであります。平成十二年度にどのような補正が予想されるのかはわかりませんが、ここ十年の流れからすれば、恐らくまた多額の県債が発行されるのではないかと懸念されるところであります。もしそういうことになれば、財政運営プログラムは最初から大きなつまずきを見せることになります。残高をふやしつつの健全化はありません。この際、これ以上残高をふやさないことを基本方針として据えるべきではないでしょうか。どのように考えておられますか。
 関連した問題として、県債に付随する利息の問題であります。六千四百億円の債務には莫大な利息がついてきます。これが一体どれだけあるのか即座に計算できるシステムがないそうでありますが、これは県と県民が抱えている負債ですから常に明らかにして、県債残高を公表する際には同時に明らかにすべきだと思います。十二年度予算で、公債費が七百三十六億円のうち百九十四億円が利息です。平成元年から今年度までに払った利息は千七百七十二億円ですから、十二年度分を加えると千九百六十六億円、実に二千億円になんなんとする利息が支払われるわけであります。このようなことは、多くの県民の知るところではありません。二千億円が自由になる金だとしたら何ができるか。それほど事は単純ではないと思いますが、膨大な仕事ができる金額であります。起債を発行すれば利息は当然でしょうが、この莫大な金額について真剣に考えるべきことだと思います。そういう意味からも、起債に頼る、あるいは起債残高が膨大なものになるということについては重々慎むべきであると思いますが、いかがお考えですか。
 次に、収支の均衡はどのように図られたか。県単事業を削減したり、いろいろ工夫はされているようですが、結局、財源不足百二十四億円を基金の取り崩しで糊塗しなければならなかったことなどを見ると、財政健全化への一歩を踏み出したとは到底思えないところであります。いかがお考えでしょうか。
 私は、その第一の原因が知事の国の公共事業偏重への傾斜だと思います。知事は、予算案を発表した記者会見のコメントの中で、国の景気対策とできるだけ連動してとか、公共事業については景気回復に全力を尽くすという観点に立って編成した前年度当初予算と同額を確保するとした国の方針を踏まえたとしております。ここに一番の問題があると思います。そもそも国が行う公共事業の景気に対する影響は、現実経済が示しているように、決して効果的なものではなかったことは事実であります。景気の動向を働く者の立場から見て端的に示すものの一つが公共投資と雇用数の関係でありますが、国は十年前の一九九〇年、公共投資に十四・六兆円を投じました。それに対する雇用者数は百二十九万人でした。その後の景気対策が続きまして、九八年(平成十年)は投資額が十六・六兆円にふえましたが、雇用者数は八十五・九万人と激減するに至っております。景気は雇用数からばかり見ることはできませんが、雇用が減少するような景気対策はあり得ないはずであります。県もその景気対策に連動して莫大な借金を重ねながら、それをやむを得ないこととして今日に至っていますが、それが今回の予算編成にも端的にあらわれているのではないでしょうか。従来、幾度か申してまいりましたが、この際、不要不急の公共事業は大胆に抑制すべきです。
 紀淡海峡道路は賛否両論あるでしょうが、和歌山におけるそのメリットはいまだに判然としておりません。はっきりしているのは、将来、莫大な財政負担が我々に覆いかぶさってくるだろうということだけです。和歌山下津港南防波堤は、県民が七十五億円も負担しなければならない理由はないと思います。日高港の拡張は、過日の新聞でも報じられたように、その使途さえ明確ではありません。新宮港、文里港についても、去る六月議会でも指摘したように、必要のない拡張事業になっています。関西空港についても考えるときです。この点については、また改めて申し上げます。雑賀崎埋め立ての調査なども、本予算案ではわずかでしょうが、このまま進めばまた莫大な事業費に泣かされることになるでしょう。河西緩衝緑地は、本来住友が行うべきことで、県財政からの出費は行うべきではありません。これらの事業は十分に再検討の余地があるはずであります。県民福祉のため切迫した必要から、借金をしてでも対応しなければならないことは多々あると思います。しかし、効のない国の経済対策に呼応することは、財政逼迫を現実に加速させており、さらなる困難を招きます。いかがお考えでしょうか。
 次に、直轄港湾負担金の十七億三千七百万余円についてお尋ねをいたします。
 このうち約七億円が、和歌山下津港の埋立地の先端に防波堤を築くものだと聞いております。そもそもこの埋立事業は、住友金属が公害防止のための工場移転用地として免許されたものでしたが、周知のような事情で関西電力に転売され、目下住民合意も不十分なまま火力発電所の建設が計画されているところであります。住友金属が埋立免許を取得する際は、この防波堤は住金みずからの事業として建設するというのがそもそもの免許条件でした。ところが、今回関電が事業を始めるとすると、発電は公共性があるという理由で国直轄事業となったそうですが、それだけでなぜ国の直轄事業になるのでしょうか。国立発電所あるいは国の委託を受けて建設される発電所でもありません。関電の営利が主なる目的の事業であります。それに対して、国と県がどうして百五十億円の金を負担しなければならないのか。直轄事業にするかどうかは国が決めることであって県が関与することではないのかもしれませんが、国の負担分の二分の一を法によって自動的に負担させられるとなると、国の態度に県は関知しないというわけにはいかないでしょう。どのような考えで直轄事業に同意されたのですか。
 また、和歌山県が事業費の四分の一を負担する根拠に県が受益者であるという説があります。和歌山県が第三工区に岸壁を建設する計画があるということから受益者ということになるそうですが、しかし和歌山県が第三工区を取得したのは住友の違約によるものであって、県があえてその地を切に必要としていたものではありません。そもそも港湾の拡張については、第三工区などは問題にもなっていなかったものです。TSLを接岸させるという構想もあるようですが、それも第三工区の県への譲渡の話以前から計画論議されていたもので、本来あえてここに岸壁を建設する必要もなかったものでした。港湾機能から見ても、ここに一つだけ離れて岸壁をつくるというのはいかにも非効率であり不自然であり、岸壁の必要性から発想されたものでもなく、提供された土地をどう使うかというところから発想されたとしか考えられないものになっています。七十五億円も出してそこに岸壁をつくる必要などはないではありませんか。あえてそれを建設し、それをもって受益者とするならば、関電と和歌山県の受益の比が百五十億円対七十五億円、つまり二対一になる根拠、これはどこにあるのでしょうか。当局はどう考えられておりますか。
 今回の直轄工事に当たって、住友金属には受益が認められておりません。しかし、第一工区は住友金属がその一部を使用しており、この新しくできた湾の北側は住友金属の専用岸壁でもあります。住金が受益がないというのは到底考えられませんし、公海を埋め立ててそれを転用せざるを得なくしたという責任においても、応分の負担は求められるべきではないでしょうか。いかがですか。
 今回の南防波堤の建設の負担割合の理屈が通用するなら、当然、北防波堤の建設に当たっても同様の県民への負担が課せられてくることと思います。その金額はわかりませんが、今回と同様、莫大なものになってくるでしょう。この問題について、当局はどのように考えておられますか。
 次に、関西国際空港の第二期工事の問題に関連してお尋ねをいたします。
 関西国際空港は、その莫大な経済効果を期待する声の中で開港されてから五年になります。しかし、その効果は、期待に反して余りにも低いものであり、大方の期待を裏切りました。便利になったということはそれはそれなりに結構なことでしたが、県当局や和歌山市、県の財界の期待に比べてその効果は、恐らくはるかに小さなものにとどまっております。世界に隣接する臨空都市として発展するとか、世界に情報を発信する基地になるとか、臨空農業の発展とか、そのような和歌山県の期待はほとんど夢になっているようです。当局よりちょうだいした資料によっても、和歌山からの出荷量は関空ができたからといって特に増加したわけではありません。宿泊観光客も、北海道や九州などからは増加していますが、総数においては減少の傾向すらあります。期待された機内食も年額にして二千数百万円にとどまっているのが現実です。
 商工会議所が一昨年出した紀淡道路に関する文書にも──この文書は紀淡道路早期実現を願う立場から書かれたものですが──その一節に、「和歌山地域が紀淡連絡道路の建設に際して明確な理念を持ってその実現を図ることをしなければ関空の二の舞になる危惧がある」として、関西空港が和歌山経済界の期待に沿わなかったことを述べているところであります。爆音で悩まされないのが幸せと思うところですが、この一期目の事業に県が投じた金は五十一億二千万円に上ります。そして今、総事業費一兆五千六百億円を投じて第二期工事が進められつつあり、和歌山県も約百億円の出資金、貸付金を出すことになっております。
 関西空港が和歌山県にいかなるメリットをもたらしているか、華やかな前宣伝に比して余りにも小さなものだと思いますが、いかがお感じになっておられますか。
 今、この関西空港に赤信号が点滅しています。一つには、航空需要の予測の誤りはだれの目にも明らかになってまいりました。発着回数が二〇〇〇年度には年間十五万回に達し、さらに十六万回を超えると予想されておりましたが、実際には十二万回にも達しておりませんで、四万回の能力が活用されない状況になっています。航空会社の経営破綻ぶりもいよいよ目を覆うばかりになってまいりまして、政府がこのほど発表した総務庁行政監察局関西国際空港株式会社調査結果報告書では、次のように述べているところであります。「経営収益は九七年度までは伸びていたものの、九八年度には減収に転じている状況にあり、累積欠損が拡大して九八年度末現在で千三百三十三億円となっている。九八年度末現在の長期債務残高は約一兆円。航空輸送需要は予測を下回る動きで推移しており、二期事業の用地の貸付料、譲渡代金の支払いが関空会社の経営に与える影響は長期にわたって極めて大きい。関空会社では、一期事業による長期債務に二期事業による有利子債務が加わり、また将来的には用地造成会社の有利子債務が関空会社の費用に反映され、大幅な収支向上は制約が大きい」、大まかに言ってこのように述べているわけです。
 関空会社の経営が危機的状況になっています。和歌山県も事業総額に比して出資は小さいものの、県にとっては百億円という大きな負担がのしかかっている中で、このような状況を座視するわけにはまいらないでしょう。とりわけ、政府機関が事実上関空事業の行き詰まりを認め、二期事業に警告を発しているもとで、既定方針だとしてこのまま県財政を投入することは責任ある態度とは言えないでしょう。このように二期事業の根拠は崩れており、政府運輸省が関空二期事業の基本計画を全面的、抜本的に再検討することを強く求める必要があると思います。その工事を急ぐのではなく、国に対して、国の責任において航空会社、用地造成会社の経営問題はもとより、環境問題、関係地方自治体財政への影響など、一期以来の建設事業のあり方を総点検することを求めるとともに、さらに県の負担の軽減を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、住金のリストラに関連してお尋ねをいたします。
 流通業界の全国的業界紙が、住友のリストラ計画について、「運送関連会社や労働組合が、三〇%コスト削減は死活問題である、労働組合は、住友の一方的な押しつけは独占禁止法の地位乱用に当たるとして公正取引委員会や運輸局に調査を要請した。そこで、元請企業などに調査に乗り出した」と報道されております。
 さて、私は、去る十二月議会において三点の質問をいたしました。一つには県知事が県民を代表して計画の見直しを申し入れること、二つには下請各社への影響を調査すること、三番に和歌山県としてリストラなどに事前協議システムを確立することなどでした。当局の答弁は、関連企業で構成する組合などの把握に努め、地元市と連携しながら状況把握に努める、また影響を協議するため特定企業対策連絡協議会を活用するとのことでした。
 そこで、お尋ねをいたします。
 どういう影響が及ぶと把握されたのか、報告ください。また、その影響の改善策を県としてどう考えられておりますか。
 次に、先般の質問でも触れましたが、住友の物流コストの三〇%削減計画の関連下請会社からの提出の問題であります。下請運送会社では赤字のところもあり、会社の存続にかかわるだけに住金の一方的押しつけは撤回すべきではないか。せめて期日の延期をすべきではないか。地域経済を守る立場からも強い要望が出されているところであります。また、コストいかんでは県外からの乗り入れを住金は考えていると聞きますが、これも和歌山の地域経済を発展させる障害になることであり、撤回すべきだと思います。
 そこでお聞きしますが、住金は今でも関連会社へのコスト三〇%ダウン計画を期日を切って提出を迫っているのでしょうか。県外運送会社の導入を考えているのかどうか。どのように把握しておられますか。
 さらに、日本流通新聞で報道されたように、元請会社などに公正取引委員会や運輸局からの調査がなされている、その事実を把握されていますか。お答えいただきたいと思います。
 五番目に、雑賀崎の埋立計画に関連してお尋ねをいたします。
 予算案には、和歌山下津港本港沖地区港湾調査事業として七千二百万円が計上されています。いわゆる雑賀崎の埋め立てに関係することですが、この調査は埋立事業の実施を前提としたものと考えられます。埋立事業は、いまだに住民合意の得られているところではありません。事業の有効性についても多くの疑問が寄せられ、それに十分こたえられない状態のまま現在に至っています。そのようなときに事業実施が前提とされるような調査を行うことは、住民合意を当然の前提とする県行政としてはあるべき姿ではありません。地元自治会長やこの事業に関心を寄せる方々から、調査の予算化はすべきではないという意見も関係当局に寄せられているところです。住友が埋立地を活用できなくなり、関電も操業の計画を見直しし、関空の航空需要も大きな狂いを出している、そういう時代です。バブル時代を上回る木材需要を前提とした港湾拡張計画は、今からでも十分見直す値打ちがあります。そういう意味においてもこの調査は撤回されるべきだと思いますが、いかがですか。
 最後に、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画と同和教育に関連してお尋ねをいたします。
 先般、福祉保健部長からの講演を聞く機会もありまして、和歌山県行動計画を読み返しました。そこで、幾つかの質問をいたします。
 一つは、人権問題というのは個人と個人の間にも発生することでもありますが、国家権力や行政権力と国民との間に、あるいは企業と個人の関係においても極めて大きな問題を生み出すものであります。基本的人権を国家が保障しているかどうかは常に議論を呼び、争われているところであります。大企業と労働者との間には、過労死、容赦のないリストラなど、まさに生存権を損なうような問題や思想差別による人権侵害が横行しております。このような公権力や生殺与奪の力を持った大資本による国民に対する権利侵害の問題は、ここでは全くといっていいほど触れられておりません。問題にされているのは、専ら個々人の間の意識の問題が主要な問題です。同和、障害者、高齢者、女性などの各論の分野では、社会の責任にも触れて論じられている点は理解できますが、国民全体にかかわる権利の問題としての公権力や社会的な強者である大資本の問題が抜けているのは問題の根本を見誤るものだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 人権教育でもう一つ危惧を感じるのは、同和問題の扱いがいかにも総体的に突出していることです。教育委員会の発行する「和歌山県の教育」という冊子の社会教育の項の中では、随所に「人権教育(同和教育)」という表記が見られます。人権教育が同和教育と同義語に扱われ、人権教育の概念が著しく狭められています。そして、単に言葉だけの問題ではなく、社会教育の指導体制は社会教育主事と社会同和教育指導員という二つの柱から成っていることが明記されていることからもわかります。同じく教育委員会発行の冊子、「学校教育指導の方針と重点」の中には、次のような文言があります。「人権教育の推進に当たっては、同和問題を人権問題の重要な柱として明確に位置づけ」云々とあって、その扱いは他の分野と比べて格段の差があります。同和教育が果たした成果と教訓を反省をも含めて人権教育の中に生かしていくことには異論ありませんが、同和教育を人権教育の中の柱として、しかも「明確に位置づける」というのは、本来の人権教育から逸脱しています。
 私は、前にもこの場で申し上げたことがありますが、人権問題に重要な柱も二番目の柱もあってはならないと思っています。それこそ人権問題です。同和関係で差別意識が完全に払拭されていないのは事実です。だからといって、その他さまざまな人権問題が相対的に軽んじられることがあってはならないことです。障害を持っているがゆえに、女性であるがゆえに、あるいは思想信条が異なるがゆえにと、厳しい差別が現実に存在しています。それらの人権問題も決して二次的に扱われてはならないのです。同和加配教員のこと、子ども会のこと、具体的な話は幾度もここで紹介してまいりましたので、きょうはもう時間の関係もありますから触れませんが、突出した同和教育はもうやめるべきだと思います。人権問題を国連が提起した立場から見れば、同和問題を人権問題の重要な柱として明確に位置づけるという規定は削除されるべきではないでしょうか。人権問題はまさに格差のない施策が進められるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 人権教育推進に当たって先般出された人権擁護推進審議会の答申に即して、人権教育・啓発の法律制定を求める声もあるようです。しかし、公権力や大資本による人権侵害などは啓発で解決する性質のものではないし、それらを欠落させたままの法制化は人権概念を狭めたままの法制化の危険があります。また、同和問題を柱とする人権教育という状態のままの法制化ということになれば、同和問題の解決にも逆行するとの懸念を持つものですが、どのようにお考えを持っておられますか。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 予算案について幾つかの質問がございましたが、総括してお答えを申し上げたいと思います。
 本議会の冒頭説明において申し上げましたように、これまでの我が国の発展を支えてきた社会経済システムが行き詰まりを見せてございます。この転換期における閉塞感を打ち破るため、大局的な観点に立った新しい発想に基づく施策を断行することにより、二十一世紀にふさわしい活力と自信と誇りに満ちた地域社会を創造してまいりたいと考えておるわけでございます。
 このため、平成十二年度の当初予算におきましては、全体の歳出規模の抑制に努めながら、経済構造改革の推進、環境対策、交通網等の基盤整備の推進、介護保険や老人福祉施設整備等の福祉対策など二十一世紀へ向けた諸施策の推進を図るため、厳しい優先順位づけに基づき、限られた財源を重点的に配分したところでございます。
 また、景気対策につきましても、景気は最悪期を脱しつつあるものの、民需の回復力はいまだ弱いことから、当面はでき得る限り公共投資による下支えを継続し、公需から民需への円滑なバトンタッチを図り、民需中心の本格的な景気回復の実現に努めることが重要であると考えておるところでございます。また、事業内容につきましても、県民ニーズや費用対効果等を十分勘案しながら、福祉施設整備や生活関連基盤整備を含め、二十一世紀に向けた県土づくりのため適切な事業を選択しなければならないと思っております。
 次に財政健全化については、十二年度予算におきましては、わずかでありますけれども県債残高が減少するとともに、収支不均衡についても十一年度より二割程度縮減されたところでございまして、財政健全化の初年度として一定の成果が上がったものと考えてございます。いずれにしましても、財政運営プログラムにお示ししたように、当初予算における起債の抑制にも努めながら、平成十五年度までに基金依存型の財政構造からの転換を図り、弾力的な財政構造を回復することにより、県勢の発展と県民福祉の向上に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、関西国際空港株式会社についてであります。
 関西国際空港株式会社では、中長期的な航空需要拡大の中で経営目標の達成は十分可能なものと考えておるわけでございます。目下、経費の節減や増収策につきまして、経営改善推進本部を設置して全社的な経営改善に向けた努力がなされておるところでございます。また関西空港は、我が国全体の社会資本であると同時に、全体構想の推進を通じて世界第一級の国際ハブ空港となることにより、空港と至近の距離にある本県といたしましては、将来、大阪湾環状道路あるいは太平洋新国土軸の整備と相まって、世界の人、物、情報が行き交う地域として飛躍の可能性が非常に高まるものと考えてございまして、地域社会の発展にとっても不可欠のプロジェクトであると認識しているところでございます。本県といたしましては、二期事業、全体構想を促進する上で応分の財政負担を行うことは必要なことであると考えておるところでございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、二項目めの南防波堤についての四点に順次お答えいたします。
 和歌山下津港北港地区南防波堤につきましては、企業合理化促進法に基づく関西電力の申請を受け、エネルギー港湾制度により電源立地に関連して必要となる防波堤と県の港湾施設に関連して必要となる防波堤を電源立地企業に受益者負担を課しつつ、一体的、計画的に整備するものでありまして、企業合理化促進法並びに港湾法に基づき、電源立地企業として関西電力が全体の事業費の二分の一を負担し、国の直轄事業で整備するものであります。県におきましても、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の答申や港湾計画における位置づけにより、西防波堤沖埋立地において県の港湾施設として内貿ユニットロードターミナルなどの整備を計画しており、防波堤によりその静穏度を確保することは必要不可欠なことであることから、通常の国直轄事業負担金と同様に応分の負担を行うものであります。
 また、住友金属の負担についてのご質問をいただいておりますが、今回の南防波堤につきましては、企業合理化促進法第八条に基づき関西電力が申請を行っているものであり、制度上この申請を行った事業者である関西電力が負担するものであります。
 北防波堤につきましては、所要の静穏度を確保するためにも必要不可欠な施設であり、建設に当たっては県民の負担が軽減されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に四項目めの雑賀崎の埋め立てについてですが、半島に位置し、その大部分が海に囲まれている和歌山県にとって、港を生かすということは県勢浮揚の原動力であると考えております。港湾整備により輸送コストが削減されることで県内の木材、化学など地場産業の振興、ひいては雇用の確保、さらには下水道など生活を支える基盤整備などから発生する建設残土の受け入れ空間の確保といったことを考えると、この計画はぜひとも必要なものと考えております。
 こうしたことから、和歌山下津港本港沖地区港湾調査を予算案に計上させていただいておりますが、この調査は環境への影響を検討するための現地調査を行おうとするもので、地元関係者の意見をお聞きし、合理性のあるものについては反映させていただくなど、よりよい港湾にしていきたいと考えております。また、環境調査の手法や結果などにつきましても、積極的に情報公開を行うなど努力をしてまいります。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 関西国際空港のメリットについてお答えいたします。
 本県や関係府県において、関西国際空港の立地に伴う関連施設の整備に取り組んできたことにより地域整備が相当進み、特に本県にとりましては、関西国際空港の開港、近畿自動車道紀勢線、阪神高速道路湾岸線が開通したことにより、待望の国際軸、国土軸との直結が実現されたところでございます。とりわけ、アクセス整備の進展、積極的な企業誘致活動を展開してきたことなどが相まって多くの企業の進出が図られ、県内産業の活性化、雇用機会の拡大に寄与しているものと考えてございます。
 また、最近のデータによりますと、本県における関西国際空港と伊丹空港を利用する国内航空旅客のうち約八二%が関西国際空港を利用しており、県民の利便性に大きく貢献しているところでございます。さらに、パスポート発給件数、出国者数についても大きく増加しており、海外への旅行が身近なものとなったと考えてございます。このほか、空港関連施設への県内産のジュース、野菜、果物等の供給、空港関連従業員宿舎の立地、世界リゾート博などイベントの開催、アメリカフロリダ州等との友好提携など活発な国際交流が進んでございます。
 このように、関西国際空港が本県の至近に開港したことにより、国内、国外の諸都市と短時間で結ばれることによる飛躍的な利便性の向上、県経済の活性化、国際化の進展等さまざまな効果が本県にもたらされたものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 住金のリストラとその影響の二点についてお答えします。
 住友金属工業の経営改革プラン実施に伴う関係企業への影響の把握につきましては、県としては個々の企業の経営内容に深く関与することができないことから正確な影響を把握することは困難であり、関係企業で構成する組合等の聞き取り調査を行ってきたところであります。その状況は、三〇%コスト削減を完全実施した場合、住友金属和歌山製鉄所からの受注量にもよりますが、今後会社経営の見通しや従業員の雇用について検討を行わなければならないと考えている企業もあり、地域経済に与える影響は厳しいものと認識してございます。このようなことを踏まえ、先般三回目の特定企業対策連絡協議会を開催し、地域に及ぼす影響への配慮について一段の要請を行ったところであります。
 次に、関連企業の三〇%コスト削減につきましては、昨年八月以来、住友金属和歌山製鉄所と関連企業との間で話し合いがなされており、両者が互いに納得し契約できるよう誠意を持って話し合いを続けていると聞いてございます。
 なお、県外運送会社の導入につきましては、現時点で考えていない旨の報告を受けてございます。また、公正取引委員会や運輸省の調査につきましては、関係団体からや新聞報道等で承知しております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 人権教育と同和教育についての二点にお答えします。
 まず公権力や資本と個人の関係でありますが、人権教育のための国連十年を全庁的に推進するため、平成九年十二月に知事を本部長とする和歌山県推進本部を設置し、今後の人権教育啓発を推進するための指針となる和歌山県行動計画を平成十年八月に策定したところでございます。
 本計画の目標は、人権が尊重される社会づくりと人権文化の創造でございます。この実現のため、あらゆる場を通じた取り組みが必要であると考えており「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画の中にも、企業、その他一般社会における人権教育啓発の推進はもとより、公務員、警察職員、教員など特定職業に対する人権教育啓発の推進に取り組んでいるところでございます。
 次に人権教育と法についてでありますが、平成八年地対協意見具申では、「同和問題は過去の問題ではない。この問題の解決に向けた今後の取り組みを人権にかかわるあらゆる問題の解決につなげていくという広がりを持った現実の課題である」と指摘されているところでございます。人権教育のための国連十年に関する国内行動計画では、「これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果等を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築し、その中で同和問題を人権問題の重要な柱として捉える」としてございます。また、さきに出されました人権擁護推進審議会答申は今後我が国における人権教育啓発に関する施策を総合的に推進するための基本となるものであることから、この答申を具体化し、今後の人権施策の積極的な推進に資するためには、その根拠となる法的措置が必要であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和問題は、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害にかかわる重大な問題であり、同和対策審議会答申に示されているとおり、その解決は国の責務であるとともに国民的課題として、長年にわたり取り組まれてまいりました。
 本県においては、県同和教育基本方針に基づき、学校、家庭、地域が一体となって同和教育を推進し、諸課題の解決に努めてきたところであります。その結果、多くの面で成果を上げてきておりますが、学習状況調査やその他の実態調査に見られるさまざまな格差を初め、継続して取り組まなければならない課題が残されております。したがって、県同和教育基本方針並びに県同和行政総合推進プランに基づき引き続き努力していく必要があると考えております。
 今後とも、これまでの同和教育の成果を継承しつつ、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画を踏まえ、国際的な潮流を視野に入れながら、部落問題を初め、障害者や高齢者等のさまざまな問題にかかわる人権教育を積極的に推進してまいります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、最初に質問した予算案に関連して再質問をいたします。
 私は、常々、公共事業の偏重ということを大きな問題にしてまいったわけです。改めてお聞きいたしますが、和歌山県が行った公共事業が景気対策に大きく役立ったというようなことはどういう格好で掌握されているんですか。
 私どもは、一部の建設企業とそこに働く人々の仕事を一定保障したという点については認識しているところでありますが、しかしそれは景気対策として波及効果を持ったものとしてその事業が発展したとはどうしても思えないんです。そこらあたりをどのように考えておられるんですか。どのような事象をもって景気対策の底支えをしてきたという認識になっておられるのですか。明らかにしていただきたいと思います。
 それから二番目は、県債を減らしていく問題です。
 今回、六億円減らされました。それはそれとして結構なことなんですが、何といっても六千四百四十分の六であります。このままでは、いつなくなっていくのかわからないわけです。私が一番懸念するのは、先ほども申し上げましたように、今まで補正予算で経済対策が一回行われたら何十億という県債のプラス補正がされるんです。ここ十年来ずっとそうだったんです。ことしからはもうそういうことはないのか。ないと言うんだったら、このマイナス六億円というのは評価できると思います。しかし、二十億、三十億というふうな発行がされれば、またプラスされるわけです。そうすると、財政健全化プランというのは最初からけつまずくことになるわけです。もう今後そういうような県債の積み増しはしないということがここではっきり言えるのかどうか、それを明らかにしていただきたいと思うんです。
 それから、三番目の問題です。
 不要不急のものは本当にないのかという問題で、適切な事業をきちっと配置したものだという答弁がありましたけれども、私は幾つかの例を挙げました。やはり公共事業の中には、不要でなくても不急なもの、急がなくてもいいものというのは確かにあると思うんですね。そういう中には不要のものも決して少なくないと思うんです。そういうものの見直しを真剣にしないと、これからも基金に依存しながら困難な財政運営をしていかなければならない、結局、県民に大きな負担をかけていかなければならないことになると思います。そういう点でいま一度真剣な見直しを求めたいと思いますが、いかがですか。
 それから、土木部長。南防波堤の問題です。
 関電が百五十億円負担します。和歌山県が七十五億円負担します。いずれも、受益者であるということが理由です。一つは、和歌山県には法的なもので、国の半分というようなことから七十五億と決められた経過もあるのでしょうが、関電も和歌山も受益者であるということから、結局その枠の中に組み込まれることになっているわけです。関電が百五十億、和歌山県が七十五億とされる理由、それは一体何ですか。受益が二対一ということになっているんですか。何が基準になっているか、明らかにしてください。
 それから、関空の事業について。
 知事は、非常に楽天的な展望を示されました。私はいささか悲観的な見方をしていますが、現行十六万回の離着陸ができるわけです。それが十二万回でしょう。四万回の差があるわけです。余裕があるわけですね。そして、二期事業が完成すると二十三万回の能力が出てまいります。そうすると、ますます大きな差が出てくるわけです。こういうことになると、これからますます大きな航空需要の空白ができてくるわけです。そこらあたりをどういうふうに考えておられるのか。
 それから、これから中部国際空港ができてくる可能性があるとか、神戸が可能性があるということになると、関空の利用が相対的に下がってくるのではないかと思いますし、航空料金との関係で需要が落ちてきておることの中で、中長期的な展望で楽観的な見通しを持てる根拠は何もないと思うんですね。こういうことを中心的に考えるのは、国策の問題ですから、当然そちらで十分な議論がされておると思うんですが、和歌山県が事業全体の中では少額と言いながらも百億円という金を負担していかなければならないということになりますと、やはりそれ相応に県としての立場からの進言、必要なことはすべきだと思うんですが、そういう点ではいかがお考えになっておりますか。
 それから、第二問の予告をしていなかったのですが、商工労働部長に、今回また新たにその影響が少なくなるように対策協議会から申し入れたという話がございましたが。それに対してはどのような回答があったのか、そこが聞きたいところです。
 続いて、人権教育と同和教育の関係についてお尋ねをいたします。
 なぜ法制化が必要なのかということをお尋ねいたしましたが、遂行していくためには必要だからという答弁がありました。これでは、ちょっと意味がわからないわけです。なぜそれが必要とされているのか。私は二つの点を申し上げて、そういうものは必要ではないのではないか、つくっても有効性がないのではないかということを申し上げました。そういう点はどういうお考えになっておられますか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。
 私は、社会教育の項の中の随所に見られる、「人権教育(同和教育)」という表記の問題をとらえて質問いたしました。これは明らかに日本語の読み方で言うならば人権教育イコール同和教育という表記だと考えられます。実際、内容的にそうなっているのではないかと思ったんですが、このような表記を含めた考え方、人権教育の概念を狭めるような表記自体もやめていくべきだと思うんですけれども、そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
 さらに、私は、教育長の答弁の前半についてはほとんど異議がありません。同和教育が果たしてきた役割というのは非常に大きかったし、そこから学ぶべき教訓も多々あると思います。そういう点では大いに学ばなければならないと思いますが、現段階で同和問題がこの人権教育の中の柱とされなければならない理由というのが明確でないと思います。実際問題として、先ほども例に挙げましたが、障害者の問題にしろ婦人問題にしろ、人権にかかわるさまざまな問題がたくさん起こっているわけです。同和問題がそれらと比べて相対的に非常に大きいというような、特別対策をしなければならないという段階ではないと思うんです。二百八十人の同和教員を置くとか、教育委員会の関係ではありませんが子ども会を設置しておくというようなときでは既になくなっていると思うんです。そういう点で、柱にするという位置づけ方はもうこの際やめていくべきだと思うのですが、いかがですか。
 以上で、第二問を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 関西国際空港につきましては、現在の需要に対しては対応できておるわけでございます。ただ、空港整備というのは大変年月を要するものでありますから、将来、国際化のさらなる進展、経済の回復に伴いまして、将来の国際航空需要に対しましては今から工事をやっていく必要があると、私は楽観的かもしれませんけれども、二期事業は必要であると思っております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 公共事業に係るいろいろな景気の下支えの効果でございますとか、あるいは国の経済対策への県債の抑制等についての再質問にお答えいたします。
 まず公共投資の効果等でございますけれども、いろいろ幅広い議論があるということはよく承知いたしております。一般的には景気の下支えに重要な機能を果たしているものと、確信いたしておるところでございます。ただ、和歌山の景気に計数的にどのくらいの効果があるのか、いわば乗数効果としてどのようなことになっているかということにつきましては、事柄の性格上、算出することは困難であろうと考えております。
 それから、今後の補正で県債の対応はどうなるのかというお尋ねでございますけれども、たしか六千四百億を超える県債残高となっておりまして、その償還のための公債費の増加も見込まれております。このように、財政状況は極めて厳しい状況にあるところではございます。
 今後の国の経済対策がもしあったときの対応につきましては、去る十二月県議会でもお答えしたとおりでございますけれども、国と地方との役割分担をよく踏まえながら、経済状況等を見きわめながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 三点目に、不要不急の公共事業とのご指摘でございますけれども、とりわけ本県のような半島地域に位置しております地理的特性などを踏まえますと、いずれの事業も重要であると考えておりまして、その事業選択に当たりましては、生活関連基盤整備等も含め、一層適切な事業選択に努めてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 南防波堤についてですが、西防波堤沖埋立地の港内静穏度を確保するためには南防波堤の整備が必要であり、この防波堤は関西電力にとりましても、また県港湾施設にとりましても必要なものであることから、関西電力の受益者としての負担はエネルギー港湾制度により防波堤について二分の一となっております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 特定企業対策連絡協議会からの要請についての回答ということでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、現在、両者が納得できるよう誠意を持って話し合いを続けているということでご理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 法の必要性についての再質問でございますけれども、先ほども答弁いたしましたとおり、同和問題の解決に向けた今後の取り組みを人権にかかわるあらゆる問題の解決につなげていく必要があると考えておりまして、二十一世紀を人権の世紀とするためにも法的措置が必要であり、今後とも同和問題を初めとするさまざまな人権問題の早期解決に取り組んでいく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和教育と人権教育にかかわる再質問にお答えいたします。
 まず、同和教育を進めるに当たってこれまで私ども教育関係者がひとしく大事にしてきたのは、実態から学ぶということでございます。その点で、同和地区児童生徒の学力の問題、高校や大学への進学率の格差、中途退学、さらに最近では不登校の問題等々の実態把握をいたしております中で、これまで積み上げてきた努力の中で一定の成果は上がってきていると我々自身も思っておりますけれども、なお引き続き同和教育に努めていかなければならない実態があるということを基本的に考えるところでございます。
 さらに、私ども教育委員会の名称の中に「人権教育(同和教育)」というのが何件かあるということでございますけれども、そのことをもって人権教育イコール同和教育であると考えているわけではございません。たまたま、事業の性格上それがわかりやすいように表記しているという面がございます。国の予算措置との関係もございます。
 そういう中で、人権教育の概念を狭めるというご指摘でございますけれども、先ほど申し上げたような障害者、高齢者、女性の問題など、さまざまな人権問題の中の一つとして同和問題を考えているということは改めて申し上げるまでもないことでございます。
 それから、先ほど申し上げましたように、人権教育というものをこれからさらに幅広く国際的な潮流をも踏まえて展開していきたい、総合的な人権教育の推進に努めてまいりたいと考えておりますが、そうした人権教育の中に部落問題や同和問題が埋没してしまうことがないように気をつけなければいけないということも同時に指導しているところでございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。

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