令和8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号

議事日程 第6号
 令和8年6月22日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 休会決定の件
────────────────────
出席議員(41人)
 1番 上山寿示
 2番 岡本安弘
 3番 鈴木德久
 4番 玄素彰人
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 土井裕美子
 10番 山家敏宏
 11番 北山慎一
 12番 鈴木太雄
 13番 岩田弘彦
 14番 吉井和視
 15番 中村裕一
 16番 坂本佳隆
 17番 三栖拓也
 18番 堀 龍雄
 19番 秋月史成
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 高田英亮
 23番 川畑哲哉
 24番 佐藤武治
 25番 谷口和樹
 26番 山田正彦
 27番 坂本 登
 28番 岩永淳志
 29番 小川浩樹
 30番 中尾友紀
 31番 岩井弘次
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 尾﨑太郎
 35番 藤山将材
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 谷 洋一
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         宮﨑 泉
 副知事        友井泰範
 理事         北廣理人
 知事室長       真田有理
 総務部長       山本祥生
 危機管理部長     中村吉良
 企画部長       北村 香
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     湯川 学
 共生社会推進部長   杉本吉美
 福祉保健部長     𠮷野裕也
 商工労働部長     今井善人
 農林水産部長     川尾尚史
 県土整備部長     小浪尊宏
 会計管理者      阪木守彦
 教育長        今西宏行
 公安委員会委員長   竹山早穗
 警察本部長      壱岐恭秀
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     田嶋久嗣
 選挙管理委員会委員長 和歌哲也
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中嶋 宏
 次長         岩井紀生
 議事課長       岸裏真延
 議事課副課長     伊賀顕正
 議事課課長補佐兼議事班長
            川原清晃
 議事課主査      川崎競平
 議事課副主査     中川佳美
 議事課副主査     長田和直
 総務課長       岩谷隆哉
 政策調査課長     田中 匠
────────────────────
  午前10時0分開議
○議長(堀 龍雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 30番中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕(拍手)
○中尾友紀君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、一般不妊治療費助成制度についてお尋ねします。
 和歌山県では、少子化社会の中、子供を産み育てたいと切望する不妊や不育に悩んでいる御夫婦を支援するため、一般不妊治療を市町村と連携して、その治療費の一部を助成しております。実施主体は市町村で、1年につき上限3万円、連続する2年間助成されます。
 ある方から、市会議員へ相談がありました。内容は、不妊治療の助成申請を治療や検査開始の時点で病院に出すと早過ぎると言われ、妊娠して安定期を迎えて出そうとしたら申請が過ぎてしまった。その方は、12月まで治療し、安定期が4月で、申請は3月までで治療の申請ができなかった。申請期間が3か月というのはあまりにも短過ぎないか。マイナンバーもあるので、治療や検査を開始したらマイナンバーで申請不要とならないのか。また、1年たてば補助金の還元とかができないのかという相談でありました。
 和歌山県の一般不妊治療費助成のホームページを確認しますと、「治療の受けた日の属する年度の3月末までに申請してください。ただし、当該年度分の治療が1月まである場合は翌年度の4月末日まで、2月まである場合は5月末日まで、3月まである場合は6月末日まで申請が可能です」と記載がありました。例えば、本年の4月に治療をすれば来年の3月まで1年間申請できますが、本年の12月に治療すれば3か月の猶予しかないということであります。治療の時期によって申請可能な期間が変わるのは不公平ではないですか。不備があると言わざるを得ません。
 令和3年に不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦の数は、約4.4組に1組となっております。全出生児のうち生殖補助医療による出生児の割合は、令和4年、10%を超えています。不妊は決して珍しいことではありません。不妊治療について、社会全体で理解を深める必要があります。
 超少子化の時代に、社会全体で子供を見守り育てていこうという機運の中で、不妊治療の申請が3か月過ぎれば申請ができないというのは、あまりにも事務的な判断ではないでしょうか。精神的にも、社会的にも、経済的にも大変な思いをして不安な状態の中、不妊治療をして、妊娠が分かれば、ゆったりとした気持ちで無事に出産を迎えたいという気持ちは、普通に理解できる感情であると思います。直ちに一般不妊治療費の助成制度の不公正な申請期間を改善すべきと考えますが、福祉保健部長の見解をお聞かせください。
○議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長𠮷野裕也君。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 一般不妊治療費助成事業の申請期間につきましては、原則として、治療を受けた日の属する年度内となっております。
 治療終了月が年度末にかかる場合は、治療終了後3か月としておりますが、本人以外による提出も可能であり、市町村によっては郵送で受け付けるなど、申請しやすい環境づくりに努めているところでございます。
 また、申請手続や提出期限の周知につきましては、市町村や関係医療機関と連携しながら、引き続き広報に努めてまいります。
 一方で、議員御指摘の申請期間が短いという御意見も踏まえ、申請期間の延長の可能性について、実施主体である市町村や関係医療機関の御意見も伺いながら、今後、研究してまいりたいと考えております。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
 市町村によっては郵送で受け付けるなど、申請しやすい環境づくりに努めているとの答弁でありましたが、和歌山県のホームページにも、和歌山市のホームページにも、本人以外の提出や郵送で受付可能の記載がありません。徹底をよろしくお願いします。
 また、不妊治療助成の申請期間は、治療後1年間と決めていただき、速やかに治療の時期による不公平を解消するように、よろしくお願い申し上げます。
 その上で、病院や薬局に行けば、毎回、マイナンバーカードを機械にかざすように言われます。このマイナンバーカードは、病院名、受診日、医療費、薬の内容が記録され、公金受取口座の登録もできます。
 デジタル庁では、関係省庁と連携し、医療費助成、予防接種、母子保健等領域におけるマイナンバーカードを活用したデジタル化の取組を推進しております。自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム──PMHにより、助成費、医療費助成のオンラインが整備されつつあります。参加自治体数は、2024年度末は183から、2026年5月時点で604自治体へ拡大しております。
 令和8年5月時点で、マイナンバーカードの保有枚数は全国で1億344万枚を超えており、人口に対する保有率は83.1%となっております。県民の利便性を高めるためにも、マイナンバーカードを活用し、申請しなくても全ての助成金が受けられるようなシステムの構築を強く要望いたします。
 次に、中東情勢に伴う原油・原材料費高騰への緊急対策について、幅広くお伺いいたします。
 まず、今年に入り、中東情勢の緊迫化を受けて、国際原油価格が急騰し、その影響は、電気・ガス料金、ガソリン価格、食料品をはじめとした生活必需品の価格上昇として、私たちの日常生活に直接波及してまいりました。このような状況を踏まえ、中道改革連合、立憲民主、公明党の3党は、3月27日から4月13日にかけ、全国で党所属議員が一斉に緊急聞き取り調査を実施しました。
 その結果、個人で7366件、法人で5196件、合計1万2562件という膨大な数の声が集まりました。これは、単に数字が大きいということではありません。一件一件が、物価の高騰に苦しむ国民や、経営危機に直面する事業者の方々の生の切迫した声であります。私は、この声を重く受け止めながら、本日の質問に挑んでまいります。
 高市首相は、中道、立憲、公明の国会質疑や緊急提言など、再三の中東情勢に伴う原油・原材料費高騰対策の訴えにようやく補正予算を提出、6月5日、可決されましたが、0.1兆円の重点地方交付金の追加措置と総額3.1兆円の予備費を積み上げたのみで、具体の政策は乏しいと言わざるを得ません。国の動きを待つだけでなく、地域に最も近い存在である県が県民、事業者に寄り添った対策を速やかに打ち出すことが今まさに求められております。
 知事はじめ執行部の皆様には、この調査が示した現場の実態を共有しつつ、県としての対応方針について明確にお答えいただくようお願い申し上げます。
 まず最初に、県内の中小企業、小規模事業者への影響について、法人、事業者への影響についてお伺いします。
 3党による法人向けの調査では、建築、土木、建設業、製造業、医療・福祉、運輸・物流業、農林水産業など、幅広い業種にわたり聞き取り調査を実施しました。その結果、原油・原材料費高騰について、「大きな影響がある」、「やや影響がある」との回答が現時点で計83.6%、さらに、今後の影響予測を含めると97.1%に達しました。ほぼ全ての事業者が深刻な影響を受けている、あるいは、受けることを覚悟しているという現実は、本県経済の根底を揺るがしかねない事態であります。
 調査に寄せられた声の中には、菓子店を家族で経営。60年以上の歴史があり、小麦、砂糖、卵、牛乳、モチ米、包装、材料などが2倍、3倍と値上がりをしている。しかし、商品の値上げを容易にできず先行きが全く見込めない。ほかにも、資材が届かない、燃料費が倍近くに跳ね上がり、運送コストが賄えないといった切迫した声が多数あります。
 報道では、ユニットバスの受注が一時止まったり、ポテトチップスの袋が白黒に変更されたり、ケチャップのトマトカラーの柄が少なくなったりと、ナフサ不足による影響の大きさの象徴となるようなニュースも報道されております。
 そこで、商工労働部長にお伺いします。
 県内の中小企業、小規模事業者に対して、こうした影響の実態調査を独自に行っているのか、また、特に影響が大きい業種、地域を把握し、重点的に支援する体制を整えているのか、現状と今後の方針をお示しください。
○議長(堀 龍雄君) 商工労働部長今井善人君。
  〔今井善人君、登壇〕
○商工労働部長(今井善人君) 県内中小企業者の状況につきましては、中東情勢に関する現時点の影響や課題、また、今後さらに長期化した場合に懸念される点について、業界団体や経済団体、金融機関等とも緊密に連携しながら、継続的な把握に努めているところです。
 現状においては、原材料費の価格高騰や物資調達の不安定化などの影響は、一部の業種や地域に限らず、広い範囲で生じているものと認識しております。
 このような状況の中、国としても様々な対策が講じられているところではありますが、県としましては、特別相談窓口等に関する情報提供や、中小企業融資制度による資金繰り支援を行うとともに、全国知事会等を通じて国に対し必要な要請を行うなど、県内中小企業者を支援する体制を整えております。
 引き続き、地域経済への影響を注視しながら、今後も必要となる施策や体制を検討してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
 県として、特別相談窓口等に関する情報提供や、中小企業融資制度による資金繰り支援、全国知事会等を通じて国に対して必要な要請を行うなど、県内中小企業者を支援する体制を整えるとの答弁でありました。いずれにしましても、スピード感のある対応をよろしくお願いします。
 次に、価格転嫁が困難な中小企業、小規模事業者に対する支援についてお尋ねします。
 今回の調査で特に注目すべきは、賃金動向に関するデータであります。
 今後の賃金見通しについて、「現状維持」と答えた事業者が約半数の48.9%、「引き上げる予定」は僅か34.1%にとどまりました。政府が安定的な物価上昇とそれを上回る持続的な賃金上昇が実現する成長型経済を看板政策として掲げる中、現場では、原油・物価高騰を前に、賃上げの機運が完全に足踏み状態に陥っております。
 その背景には、原材料費、エネルギーコスト上昇分を価格に転嫁できないという深刻な問題があります。本年の1月1日に下請法が改正され、中小受託取引適正化法が施行されたとはいえ、取引上の力関係から、特に下請・中小企業業者は、価格交渉を申し出ることすら難しい状況に置かれております。利益を圧迫されながら人件費を上げることは、経営上の限界に近いと思われます。
 調査には、賃金アップしたいが、原油高騰の先行き不安と業績の不安定、資金繰りの不安から容易にいかない。賃金を上げる施策や環境整備を求める、人材確保のために賃金を引き上げなくてはならないが、人件費や材料費の高騰分を価格に十分転嫁できていない。中小企業を直接的に支援する施策を重点的に推進してほしい、赤字覚悟で受注しているが限界に来ている、取引先に値上げを申し出たら仕事を切られそうで怖い、このまま続けば廃業を検討せざるを得ないという声も相次ぎました。こうした声は、本県経済における雇用や地域産業の維持という観点からも、深刻に受け止めなければなりません。
 そこで、商工労働部長にお伺いします。
 価格転嫁が困難な中小企業、小規模事業者に対する支援として、県として何が可能か、また、賃上げを促進するための助成制度やエネルギーコスト上昇に対応した補助金制度の拡充について、具体的な取組をお聞かせください。
○議長(堀 龍雄君) 商工労働部長。
  〔今井善人君、登壇〕
○商工労働部長(今井善人君) まず、価格転嫁に対する支援につきましては、啓発セミナーや原価計算方法を学ぶワークショップを開催するとともに、価格転嫁の手法に詳しい専門家を派遣し、交渉スキルの向上を図るなど、個々の事業者に応じた伴走支援を実施しております。
 また、賃上げへの支援につきましては、厳しい経営環境下にあっても持続的な賃上げにつながる経営基盤づくりを後押しするため、必要となる設備投資に対し、補助率3分の2、補助上限額1000万円の和歌山県中小企業成長促進補助金を措置しており、その増額分として10億円を本定例会に提案の補正予算案に計上しているところでございます。
 さらに、エネルギーコスト上昇への支援につきましては、国の補正予算成立に伴い、特別高圧で受電する事業者を支援するための経費についても、追加提案されました補正予算案に計上しているところでございます。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 賃上げのための設備投資に対し、補助率3分の2、補助上限額が1000万円の和歌山県中小企業成長促進補助金を措置し、事業費を10億円増額するとの答弁でありました。非常に有利な補助金であります。中東情勢の影響に対する強力な中小企業支援であります。物価上昇以上の賃上げは最大の物価高騰対策と考えますので、しっかりと推進をよろしくお願い申し上げます。
 次に、資金繰り支援とセーフティーネットの強化についてお尋ねします。
 事業者からの政策要望で最も多かったのが「各種補助金の拡充」75.1%であり、次いで、「資金繰り支援・セーフティネット保証の拡充」41.3%でありました。
 コスト上昇が続く中、運転資金が底をついてくる事業者が増えています。金融機関から融資を受けようにも、業績悪化を理由に審査が通らないケースも出てきております。こうした状況において、県の信用保証制度やセーフティーネット保証制度が機能することは、事業継続の命綱となります。
 また、設備投資においても、省エネ、省コストを実現するための機器更新や生産ラインの改善は、エネルギーコスト高騰への根本的な対策となりますが、自己資金が枯渇している現状では、設備投資に踏み切れない事業者が多く存在します。
 そこで、商工労働部長にお伺いします。
 現下の物価・エネルギー高騰を踏まえ、新たな中小企業向け融資制度を設けた理由と、その内容についてお聞かせください。
○議長(堀 龍雄君) 商工労働部長。
  〔今井善人君、登壇〕
○商工労働部長(今井善人君) 先ほど申し上げましたとおり、原材料費の価格高騰や物資調達の不安定化などの影響は、一部の業種や地域に限らず広い範囲で生じており、特に、小規模事業者において困難な経営環境になっていると認識しております。
 加えて、中東情勢に伴う経済への影響は依然として不透明であり、今後、さらに厳しい経営環境となるおそれも懸念されます。
 このため、中小企業者への融資制度として、資金繰り安定資金(中東情勢緊急経済対応枠)を新たに創設し、中東情勢の影響により経営環境が悪化した全ての業種に属する事業者を対象に、年1.7%以内という低利な融資利率を設定するとともに、借換えにも活用できるほか、最長2年間の据置期間を設けることとしています。
 この資金につきましては、6月26日より取扱いを開始する予定としており、現在、県信用保証協会や金融機関と調整しているところです。
 この新たな融資制度により、県内中小企業者における当面の資金繰りを下支えすることで、経営の維持・安定化を図ってまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 中小企業への融資制度として、資金繰り安定資金を新たに創設し、その影響による経営環境が悪化した全ての業種に属する事業者を対象に、年1.7%以内という低利な融資利率を設定するとともに、借換えにも活用できるほか、最長2年間の措置期間を設けるとの答弁でありました。黒字倒産を予防するためにも、中小企業の資金繰りが大変に有効であると考えます。6月26日に一斉に申請が開始できるよう、PRをよろしくお願い申し上げます。
 続いて、農林水産業への影響についてお伺いします。
 農業、漁業、林業は、燃油、肥料、飼料、資材など、多くの投入コストが原油価格と連動しており、今回の原油高騰の直撃を受けています。漁船の燃料費が倍増すれば、小規模漁業者にとって、出漁するほど赤字が膨らむという事態に陥ります。農業においても、ハウス栽培の加温コストや農業機械の燃料費が大幅に増加し、農家の経営を直撃しております。アンケート調査の結果からも、「A重油の値段が3月は前月の1.5倍、漁に出れば出るほど赤字となる」との声があります。
 本県は、全国的に有名な柿、梅など果樹王国であり、農林水産物を主要産業の一つとしており、地域農林水産業の衰退は、食料供給の問題にとどまらず、地域コミュニティーの崩壊、離農、廃業による農地の荒廃、ひいては本県の産業構造そのものの空洞化につながりかねません。
 国においても、農業者、漁業者向けの燃油価格激変緩和対策が講じられておりますが、補助水準の引上げや対象範囲の拡大を求める声は根強くあります。県としても、独自の上乗せ支援や農漁業者への経営相談体制の強化が求められます。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 本県農林水産業における燃油、資材高騰の影響について、現在どのような実態把握を行っているのか、また、農漁業者の経営を守るための県独自の燃油高騰対策や経営支援策について、どのようにお考えかお示しください。
○議長(堀 龍雄君) 農林水産部長川尾尚史君。
  〔川尾尚史君、登壇〕
○農林水産部長(川尾尚史君) 農林水産業における燃油、資材費高騰の影響につきましては、随時、関係団体等から聞き取りを行うなど、実態把握に努めており、燃油や各種資材価格の上昇により、農林水産業者の経営負担が増している状況と把握しています。
 中でも、水産業では、複数の漁協において燃油不足により出漁制限などの影響が生じましたので、4月に、水産庁に対して、速やかに燃油が供給されるよう緊急要望を実施いたしました。その結果、国の手配により、石油元売会社から直接燃油が供給され、出漁制限が一部緩和されたところです。
 県独自の支援策につきましては、国の臨時交付金を活用して、燃油や飼料、生産資材等に対する支援を行っているところです。
 今後も、実態把握を継続するとともに、社会情勢の変化を注視し、国と連携しながら、農林水産業者の経営安定に努めてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 燃油不足による出漁制限に対して、課題をいち早くキャッチして国にも緊急要望し、石油元売から直接燃油が供給された成功事例を紹介していただきました。引き続き、スピーディーな対応をよろしくお願いします。
 次に、県発注公共工事への影響について、原材料、部材供給の現状下における県発注公共工事への影響についてお伺いします。
 今回の調査では、中東情勢の長期化により、特定の原材料や部材の調達が困難になることへの危機感を訴える声が利用者から多数寄せられました。半導体や電子部品の入荷が止まりかけている、石油化学由来の樹脂材料が手に入らなくなるリスクがある、代替調達先を探したが、コストや品質の問題で容易ではないといった声であります。中でも、私が特に深刻に受け止めているのがナフサとシンナーの不足問題であります。
 ナフサは、原油を精製して得られる石油化学工業の基礎原料であり、プラスチック、合成繊維、塗料、接着剤、農薬など、私たちの産業、生活を支える無数の製品の出発点となる物質であります。中東情勢の緊迫化による中東産原油の供給減少は、石油精製プラントにおけるナフサ生産量の低下に直結しており、製造業者からも、ナフサ由来の樹脂、化学品の納期が大幅に遅延している、増産を求めても材料が手配できないという声が届いております。
 また、ナフサを原料として製造されるシンナーの不足も、幅広い産業に深刻な影響を及ぼしています。シンナーは、塗料を希釈し、塗布可能な状態に調整するために不可欠であり、建築、土木、橋梁、船舶、自動車など、あらゆる塗装工程で使用されます。現在、シンナーの供給が逼迫し、価格も急騰していることから、建設業者や塗装業者から、工事が予定どおり進められない、塗料メーカーから割当て量を削減されており、受注工事をこなし切れないといった深刻な訴えが相次いでおります。
 さらに、シンナーが不足すると塗料品質の確保が難しくなり、構造物の腐食、耐久性にも影響が生じかねません。道路、橋梁、港湾施設など公共インフラの維持管理においても、塗装工事の遅延や品質低下が生じれば、将来的な施設の劣化、安全性低下につながります。これは、単なる民間事業者の経営問題にとどまらず、県民の安全に直結する問題であります。
 一事業者の力では対応できない調達リスクに対して、行政が情報収集・提供や相談窓口の設置を通じて支援することが求められます。また、県内産業のサプライチェーンを把握し、供給途絶が生じた場合に備えた代替調達の情報提供や国、関係機関との連携強化も重要な課題であります。
 そこで、県土整備部長にお伺いします。
 中東情勢の影響により、全国的にシンナーなどの石油由来製品で調達困難や価格高騰が生じていますが、県発注公共工事ではどのような影響があるのか、また、それらについてどのように対応しているのか、県の考えをお聞かせください。
○議長(堀 龍雄君) 県土整備部長小浪尊宏君。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 県発注工事における中東情勢や、原油価格上昇等の影響と対応についてお答えします。
 まず、資材調達ですが、4月上旬から受注者等に対して定期的に確認を行っているところです。例えば、シンナーについては、5月中旬までは入手困難な状況でしたが、以降は、一度に大量の調達は難しいものの、工事に必要な量の調達は可能と聞いているところであり、状況は改善傾向にあるものと認識しております。
 一方、資材価格に関しては、石油由来製品の価格が全体的に上昇しているところです。このため、工事の発注時には、県独自の調査等の市場調査を通じ、最新の単価を用いて、適切な予定価格を算出することとしております。
 加えて、契約後に単価が上昇した場合は、建設工事請負契約書第26条いわゆるスライド条項に基づき、受注者からの請求に応じ、資材等の価格上昇を反映した契約変更を行うこととしております。
 なお、現時点では、県発注公共工事において、中東情勢等の影響による工期延長やスライド条項適用の請求はありません。
 一日も早い事態の収束を期待しつつ、引き続き、国や市場の動向を注視するとともに、受注者から工期や資材価格上昇に関する請求があった際には、適切に対応してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 政府は、国や地方自治体が発注する官公需について、価格転嫁や取引適正化を徹底する加速化プランをまとめました。発注時の予定価格に人件費や原材料費、エネルギーコストなど、最新の実勢価格を反映させることを明記、企業に工事を発注する際には、原材料費などのコスト増に応じて契約金額を見直すスライド条項を契約書に記すこと、これらの措置は2027年度までに100%を目指すとされております。
 中小企業庁の25年9月の調査では、官公需全体の価格転嫁率は52.1%にとどまっております。価格転嫁が促進できるよう、市町村に対して、加速化プランの徹底をよろしくお願い申し上げます。
 次に、医療、福祉、介護の分野への影響についてお伺いします。
 今回の調査では、医療・福祉分野の事業者からも多くの声が寄せられました。病院、診療所、介護施設、障害者施設などは、公定価格によって収入が決まる仕組みのため、物価高騰や光熱費の上昇分を利用者への請求に転嫁することができません。つまり、物価が上がるほど経営が圧迫されるという構造的な問題を抱えております。
 電気代が大幅に上がり施設の維持が厳しい、食材費の上昇が利用者の食事の質に影響しかねない、燃料費高騰でデイサービスの送迎コストが増大しているという声は、医療・福祉の現場が深刻な状況に置かれていることを示しております。こうした施設が経営難に陥れば、サービスを受けられなくなるのは、そこを頼る高齢者、障害のある方、子供たちであります。地域の福祉インフラを守ることは、県の重大な責務であります。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 エネルギー・食材費高騰の影響を受ける県内の医療、介護、障害福祉、保育施設等の状況をどのように把握されているのか、また、物価高騰への支援についてお聞かせください。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 中東情勢に伴う物価高騰などの影響につきましては、関係団体や医療・福祉サービス事業者、医療用品販売事業者へのヒアリングを行っており、手袋などの資材や燃料費の値上がりなど、様々な影響が出ていると伺っております。公定価格により報酬単価などが決まっているため、経営にも影響が及んでいるものと認識しております。
 また、物価高騰などへの支援としましては、国の総合経済対策を活用し、光熱費や食費などに対する支援を令和7年度の補正予算に計上しました。国と県が連携して、物価高騰の影響を受ける医療機関、介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、保育施設などに、できるだけ速やかに支援が届けられるよう取り組んでいるところです。
 しかしながら、地域の医療・福祉サービスを将来にわたって維持していくためには、社会経済情勢を適切に反映した報酬改定など、公定価格等の見直し、物価の上昇に応じて適時適切にスライドさせる仕組みなどの導入などが必要であり、全国知事会等を通じて国へ要望しているところです。
 今後も、県民の皆様が地域の医療・福祉サービスを安心して受けられるよう、医療機関、介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、保育施設などの状況を注視してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 物価高騰対策の支援が1日も早く、医療、福祉、介護事業所等に届けられるよう、よろしくお願いします。
 続きまして、最後に、県独自の緊急経済対策パッケージの策定についてお尋ねします。
 ここまでは、主に事業者に対する影響や支援について質問してまいりましたが、当然ながら、中東情勢に伴う物価高騰については、個人、家計の影響が大きく影響されているところであります。
 今回の緊急調査で、物価が「上がった」と実感している個人は実に98.2%に達しました。ほぼ全ての国民が物価上昇を肌で感じているということであります。そして、原油・原材料費高騰が生活に「大きな影響がある」、「やや影響がある」と答えた方が合わせて92.8%に上り、さらに生活必需品の購入を控えざるを得ない層が過半数を占めるという極めて深刻な実態が明らかとなりました。
 なお、今回の調査で寄せられた声の中には、補助金や支援策の拡充だけではなく、日本の外交的リーダーシップを通じた根本的な解決をという意見も相次ぎました。もちろん、外交は国の専権事項ではありますが、中東情勢の安定化、中東地域の平和的解決に向けた日本の積極的な関与を求める声は、単なる外交論ではなく、今の物価高を根本から止めてほしいという生活者の切実な願いにほかなりません。
 これらのことを踏まえた上で、中東情勢に伴う原油・原材料費高騰への緊急対策について、県独自の緊急対策を強く求めるものであります。
 そこで、宮﨑知事にお尋ねします。
 中東情勢を受けたこの1万2000件を超える生活者、事業者の声が示す深刻な現実を知事はどのように受け止めているのか、また、県として、速やかに独自の緊急対策パッケージを策定して、家計や事業者等を一体的に支援する意思はあるのか、力強い答弁をお願いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 中尾議員の中東情勢に伴う物価高騰への対策についての御質問にお答えをいたします。
 中東情勢の緊迫化により、あらゆる分野に影響を及ぼす状況が続いていることから、必要な対策を適時適切に講じるべく、私自身も現場の声をよく聞き、状況の把握に努めているところです。
 県独自の緊急対策パッケージを実施すべきという御提案につきましては、中東情勢の影響も含めた様々な課題に対して、これまでも幅広い事業者に必要な支援を一体的に実施しているところでございます。具体的には、先ほど各部長が答弁したとおりでございます。
 加えて、生活者支援につきましては、子育て世帯に対する経済的負担の軽減として、給食費無償化に取り組んでいます。今年度より、小学校を対象に国制度が創設されましたが、県独自に上乗せを行い、昨今の物価高に対応するとともに、国の補助対象ではない中学校についても継続して無償化を実施しております。
 また、今夏の電気・ガス料金の高騰対策として、国の支援対象とならないLPガス利用家庭への支援を追加提案いたしました。
 引き続き、状況を注視し、情報収集しながら、県民や事業者の皆様に必要な支援が行き届くように努力をしてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中尾友紀君。
  〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
 今回、中道改革連合、立憲民主、公明の3党の調査による1万2562件の声が示すのは、家計面では、生活支援給付、エネルギー補助、食料支援の拡充、事業所面では、補助金拡充、資金繰り支援、賃上げ促進、価格転嫁支援という横断的かつ即効性のある対策の必要性であります。
 6月17日にアメリカとイランの停戦延長の暫定的な合意が署名されたとはいえ、3か月以上に及ぶ戦乱の影響や先行きは依然として不透明であります。宮﨑知事のリーダーシップの下、さらなる生活者支援、中小企業対策をお願いして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、中尾友紀君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番岡本安弘君。
  〔岡本安弘君、登壇〕(拍手)
○岡本安弘君 皆さん、おはようございます。自由民主党県議団、岡本安弘でございます。
 令和8年6月定例会におきまして、先輩議員に御配慮いただき、質問する機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
 また、先日、浦口議員の一般質問の冒頭に、私たち新人議員に対して激励のお言葉をいただきましたことに、改めて感謝を申し上げます。
 さて、このたび、橋本市選挙区から和歌山県議会議員として議席をお預かりし、長い歴史と伝統を持つこの和歌山県議会の末席に加えていただきましたことに、身の引き締まる思いとともに、大変光栄に感じております。
 私は、若い頃、土木建設業に従事し、その後、介護現場で介護支援専門員として高齢者の相談業務を行ってまいりました。また、市議会議員として様々な経験をする中で、社会インフラの重要性を学ばせていただき、1級土木施工管理技士の資格も取得いたしました。現場や地域の皆様との関わりの中で、道路や河川、砂防施設などの社会資本が地域の暮らしを支えていることを学ばせていただきました。
 先日、毎日新聞で、県庁本館建設当時の資料を紹介する記事を拝見し、和歌山県立文書館に行ってまいりました。和歌山県庁舎本館の建設に当たり、設計や建築の責任者として県の営繕技師を務めた増田八郎氏が残した県庁舎ができるまでの過程を撮影した写真等を貼付した貴重なスクラップブック帳が展示されていました。
 昭和13年に完成した県庁舎本館は、砂地という厳しい条件の中で建設され、将来の増築や耐震性まで見据えた先進的な設計がなされたと伺っております。土木や建築に携わる者の一人として、完成から90年近くを経た現在も県政の中心施設として使われていることに深く感銘を受けました。それは、優れた設計や施工だけでなく、先人たちが築いた社会資本を、時代ごとに適切な維持管理と補修を重ねながら大切に守り続けてきた結果であると考えております。
 私の本家は、橋本市高野口町九重にあり、1級河川嵯峨谷川の上流部で農業を営んでおります。地域の農業用水を支える取水施設の近くには、昭和30年代に整備された砂防施設が今も残っており、長年にわたり地域の安全と暮らしを支え続けています。
 一方で、近年は線状降水帯やゲリラ豪雨など、施設が整備された当時には想定されていなかった気象条件が頻発しており、県民の命と暮らしを守るインフラの重要性はますます高まっています。先人が築いた社会資本を次の世代へ確実に引き継ぐためにも、本日は、激甚化する豪雨災害に備えた県土強靱化について質問をいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。
 項目1、激甚化する豪雨災害に備えた県土強靱化について。
 小項目1であります。砂防関係施設及び河川管理施設の老朽化についてでございます。
 昨年の令和6年7月の豪雨災害をはじめ、線状降水帯による記録的な豪雨が毎年のように発生し、全国で甚大な被害がもたらされています。本県においても、今年6月3日、台風6号によって、全国初のレベル5氾濫特別警報が古座川で発表されました。こうした甚大化する豪雨災害から県民の生命と財産を守ることが喫緊の課題となっています。
 こうした中、昭和30年代から40年代に整備された砂防施設、地滑り防止施設、急傾斜地崩壊防止施設といった砂防関係施設や河川管理施設が設置から既に50年以上経過し、経年劣化が進んでいるとの懸念があります。これらの老朽化した施設が機能を十分に果たせなくなれば、災害リスクがさらに高まることになります。
 つきましては、県内における砂防関係施設及び河川管理施設の老朽化対策について、県土整備部長にお伺いいたします。
 これら施設に対する点検の実施状況はどのようになっていますか。また、対策が必要となった施設の対応はどうなっていますか。
○議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長小浪尊宏君。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 議員御指摘のとおり、砂防関係施設や河川管理施設の老朽化対策は重要な課題です。気候変動等により自然災害が激甚化、頻発化している中、持続可能なインフラメンテナンスに取り組んでいるところです。
 具体的には、重要構造物等について、少なくとも5年に1回の定期点検を行い、必要に応じて対策を行うこととしております。
 まず、砂防関係施設ですが、県内に約4900か所あります。平成25年度に緊急点検を行い、以降はおおむね5年ごとに点検を実施し、現在、3巡目の途中です。なお、この過程で、当面対策不要と判断し、点検頻度を減らした施設もあります。
 その結果、全体の約2割について何らかの対策が必要であり、予算の範囲内で、緊急性の高い施設から順次対策を実施してきております。
 次に、河川管理施設ですが、県は450河川、約2000キロメートルを管理しております。原則、年1回以上の河川パトロールを実施し、ダムや水門、ポンプ設備のある排水機場等の重要な施設については、年1回以上の定期点検に加え、日常の目視点検や出水前後の点検等を実施しております。
 これら河川管理施設についても、砂防関係施設同様、点検時に異常や損傷を発見した際には、予算の範囲内で、緊急性の高いところから必要な補修や修繕を実施しております。
 なお、砂防、河川とも、定期点検に加えて、住民等からの通報があった場合や、地震や豪雨などの後には、臨時の点検やパトロールを実施しております。
○議長(堀 龍雄君) 岡本安弘君。
  〔岡本安弘君、登壇〕
○岡本安弘君 今、御答弁いただきました。持続可能なインフラメンテナンスに取り組んでいるとの御答弁をいただきました。
 社会インフラのメンテナンスは、人々の安全と暮らし、そして、経済活動を長期的に支えるために不可欠であります。インフラは、一度整備すれば永遠に使えるわけではなく、時間の経過とともに必ず老朽化し、放置すれば事故や災害時の被害拡大を招くおそれがあります。
 そこで、(2)予防保全型の維持管理に関する県の取組についてお伺いいたします。
 砂防関係施設、河川管理施設の維持管理についてであります。
 豪雨災害の激甚化が進む中、被災後の復旧だけではなく、施設の長寿命化や予防保全の取組が重要と考えます。昭和30年代から40年代に整備された砂防関係施設や河川管理施設の多くが老朽化を迎える中、限られた予算の中で最大の効果を発揮するためには、施設が壊れてから直す事後保全型ではなく、壊れる前に適切に維持管理し、機能を保全する予防保全型の取組が不可欠です。
 つきましては、砂防関係施設及び河川管理施設の長寿命化と予防保全を図るため、今後の維持管理に対する県の基本的な考えについて、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 県土整備部長。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 先ほど申し上げた持続可能なインフラメンテナンスは、議員に御紹介いただいた予防保全の考え方に基づき進めているところです。
 これも議員に御紹介いただきましたとおり、従来の損傷が発生してから対応する事後保全型の維持管理から、軽微な劣化の段階で予防的に補修を行う予防保全型への転換を図るものです。具体的には、重要施設について個別に長寿命化計画を策定し、定期点検等を踏まえた計画的な補修を行うことで、今後の維持管理コストを最小化し、併せて長寿命化を図っております。
 例えば、排水機場のポンプ設備については、機器を分解して点検し、劣化している部品を見つけて交換することで、致命的な不具合を防止して、設備の延命化を図っております。
 また、ただ修繕するだけではなく、一部の砂防堰堤では、土石流や流木を捕捉する機能を向上させるような対策も併せて実施しております。
 さらに、DXや新技術の活用も重要と考えており、既にドローン等の活用は進めているところです。加えて、本年3月には、JAXA・宇宙航空研究開発機構と新たに覚書を締結し、同機構等と協力して、河川や砂防等のインフラ管理分野における衛星データ利用の可能性を追求していくこととしております。
○議長(堀 龍雄君) 岡本安弘君。
  〔岡本安弘君、登壇〕
○岡本安弘君 今、予防保全型の考え方について進めているということであります。故障してから対応する事後的な修理ではなく、定期点検等、予防保全により早期に劣化を発見し、計画的に補修、更新を行うことが重要であります。
 予防的なメンテナンスは、大規模な崩壊や長期の運休を防ぐことで、結果的にライフサイクルコストを抑え、社会全体の負担を軽減する効果も持っています。既に活用していただいていますが、老朽化インフラの増加と人手不足を背景に、AIやドローンなどのデジタル技術を活用した点検手法を活用することで、限られた資源でインフラの安全性と信頼性を維持することができます。このように、インフラメンテナンスは、目立たないが社会の当たり前の安心を守り、持続可能な社会を実現する上で極めて重要な役割を果たしているわけであります。
 次に、小項目3であります。建設資材高騰、担い手不足に対する県の取組についてということで、地域建設業を取り巻く環境についてお伺いいたします。
 災害対応やインフラ整備を支える地域建設業は、地域防災の重要な担い手であります。先ほど御答弁いただきました防災施設の予防保全型の維持管理を推進し、県土強靱化を図るためには、これらの工事を担う地域建設業の存続と充実が不可欠です。
 しかし、近年、建設資材価格の高騰に加え、労働力の確保が困難になるなど、地域建設業の経営環境は厳しさを増しています。
 つきましては、建設資材高騰や担い手不足に対して、県はどのように取り組んでいるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 県土整備部長。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) まず、資材価格高騰については、これは地域の建設業には限りませんが、調査に基づく最新の単価で発注するとともに、契約後の単価上昇についても、いわゆるスライド条項に基づき、適切に契約変更しております。
 また、担い手不足対策としては、県内の小・中・高校生を対象としたドローンや建設機械の体験学習会、地域建設業者を対象としたICT活用講習会や技術者の資格取得費用補助など、担い手確保や生産性向上に資する施策に取り組んでおります。
○議長(堀 龍雄君) 岡本安弘君。
  〔岡本安弘君、登壇〕
○岡本安弘君 県発注工事で資材価格が急変した場合に請負代金を調整するスライド条項を適用、もう既にしていただいております。建設業者が過度な価格変動リスクを一方的に負わないよう、工事延期や設計計画変更も含め、価格変動に柔軟に対応できる運用も徹底していただいて、入札辞退や倒産を防いでいただくようお願いしておきます。
 そして、担い手不足対策についても答弁をいただき、様々な取組をしていただいております。建設業のかっこよさ、スケール感は実物を見ないと伝わりにくいもので、体験型の取組などは大変すばらしいと思います。
 それと、子供の進路には保護者の意向も大きく影響するため、保護者向けに建設業の社会的役割や働き方改革の状況を伝える動画や説明会を行っている事例もあるようです。
 インフラ整備や災害対応などの社会貢献性をPRし、昔の3Kイメージを和らげることで、担い手不足の解消となるような取組についてもお願いしておきます。
 それでは、小項目4、県土強靱化に向けた地域建設業の維持について。
 これまで述べてきましたが、近年、豪雨災害は激甚化、頻発化しております。先ほど、県土整備部長には、砂防関係施設、河川管理施設の現状と維持管理、これらの施設を支える地域建設業の維持に関して御答弁いただきました。
 しかし、県民の生命と財産を守るためには、河川や砂防施設などの社会資本の整備だけでなく、災害発生時に迅速に対応できる地域の建設業の活躍も重要であると考えます。
 私自身、今回、現場を見て、老朽化した施設への対応も重要ですが、実際に災害が発生した際には、地域建設業をはじめ多くの方々の力によって地域が支えられていることを改めて感じました。また、人口減少や高齢化が進む中において、県土強靱化を確実に実行するためには、地域に根づく建設業が維持されることが重要であると考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 激甚化する豪雨災害時代において、県民の生命と財産を守るため、地域の守り手である地域建設業を維持していくためにどのように考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 岡本議員におかれましては、先日執行されました橋本市の県議補選において御当選をされたこと、誠におめでとうございます。今後ともよろしくお願いをいたします。
 それでは、御質問の県土強靱化に向けた地域建設業の維持ということでお答えをいたします。
 地域の建設業は、平時におけるインフラ整備や管理、そして、災害時における復旧・復興の双方を担い、地域の雇用と経済、県民の安全・安心を支える重要な産業であり、将来にわたって維持されることが県土の強靱化を進める上でも重要であると認識をしております。
 この認識の下、県内建設業者で施工可能な工事については県内建設業者に発注することに加え、地域の建設業者による県土の強靱化に資する取組として、大規模災害時の応援協定の締結を総合評価落札方式において評価してまいりました。
 また、災害発生時に迅速に対応できる建設業者の維持を目的として、建設機械を保有し、かつ、運転者を雇用している企業を評価する地域防災力強化モデル工事を令和7年6月に新たに導入しています。
 引き続き、これらの取組を継続し、激甚化する豪雨災害や、近く発生が懸念される南海トラフの地震などの様々な災害に対し、その重要な守り手、担い手、救い手である地域の建設業が適切に維持されるよう、取組を進めてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 岡本安弘君。
  〔岡本安弘君、登壇〕
○岡本安弘君 知事、御答弁ありがとうございました。
 地域の建設業は、平時はもちろん、災害時において県民の安全・安心を支え、県土強靱化を進める上でも重要であると知事も認識していただいていることを共有させていただきました。
 また、可能な限り県内建設業者に発注することや、災害時に迅速に対応できる建設業者を維持、育成するための地域防災力強化モデル工事も導入していただいております。これらの取組を継続し、地域の建設業が適切に維持されるよう取組を進めていただけるということでありますので、引き続きお願いをしておきます。
 最後になりますが、今回、補欠選挙後初めての一般質問であり、私の拙い質問に対し、知事、県土整備部長はじめ所管の職員の皆様には大変お世話になり、また、真摯に対応していただきましたことに感謝申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、岡本安弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時8分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(堀 龍雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番土井裕美子君。
  〔土井裕美子君、登壇〕(拍手)
○土井裕美子君 皆様、こんにちは。
 自由民主党県議団の土井裕美子でございます。本日、この歴史ある和歌山県議会におきまして、初めての一般質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。
 私の一つ目の質問は、遠隔ICUの拡充と持続可能な運用支援体制の構築についてでございます。
 和歌山県は南北に長く、県土の80%が山間部という地理的特性を有しています。幅広い地域に人口が分布している一方、医療資源の偏在は極めて深刻であり、医療機関の約50%、医師の約60%が和歌山市を中心とする紀北の一部に集中しているのが現状でございます。
 特に、新宮医療圏は、国が指定する医師少数地域であり、さらに、那賀や有田といった2次救急医療圏においては、ICU・集中治療室やHCU・高度治療室の病床そのものが存在しないという極めて緊迫した医療環境にあります。
 また、橋本医療圏や新宮医療圏から3次救急医療機関である和歌山県立医科大学附属病院まで患者を搬送するには相当な時間を要し、1分1秒を争う救命の現場において、この距離と時間の壁は、文字どおり県民の命に直結する大きな課題となっております。
 こうした地理的条件の下で県民の命を守り抜くためには、地域の中核病院が一定の高度医療を圏域内で完結できる体制、あるいは、後方からの高度なバックアップを受けられる体制の構築が不可欠であると考えます。
 しかし現在、その地域医療のとりでとなっている自治体病院、公立病院を取り巻く環境は、かつてない危機に瀕しております。深刻な医師・看護師不足に加え、人口減少に伴う患者数の減少、そして物価高騰、また、激変する診療報酬改定の波にさらされ、多くの公立病院が深刻な財政難に苦しんでおります。限りある自治体の財政の中で、地域医療の質を維持し、かつ、高度な医療技術を導入し続けることは、もはや各病院や市町村の自助努力だけでは限界を迎えていると言わざるを得ません。
 今後も、人口減少と超少子高齢化が加速度的に進む本県において、限られた医療資源をいかに有効に活用し、命の格差をなくす社会システムを再構築するかは、今まさに、この令和8年の県政に課せられた最重要課題であると考えます。
 そこで、お伺いをいたします。
 現状のこうした厳しい医療環境を打破し、限られた医療資源を最大限に有効活用するためには、ICTをはじめとする遠隔技術、デジタル技術を駆使した取組が必要と考えますが、本県における遠隔治療の取組について、福祉保健部長の見解をお答えいただきたいと思います。
○議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長𠮷野裕也君。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 議員御指摘のとおり、ICT技術を活用した取組は有効であると考えております。
 本県では、平成31年から、3次医療機関と2次医療機関や診療所との間で、モバイル端末を活用して患者情報を共有し、不要不急の転送防止と転送先での迅速な受入れを可能にする遠隔救急支援体制を整備してまいりました。
 さらに、令和8年1月からは、県立医科大学が橋本市民病院及び新宮市立医療センターに対する遠隔ICU支援を開始し、病態に応じたリアルタイムでの助言と治療方針についての定期的なカンファレンスなどの診療支援により、専門医が不足する地域の中核病院における医療水準の標準化及び向上を実現できるものと期待しております。
○議長(堀 龍雄君) 土井裕美子君。
  〔土井裕美子君、登壇〕
○土井裕美子君 御答弁ありがとうございました。
 この遠隔救急支援体制につきましては、大変有効でございますので、引き続き充実をさせていっていただきたいというふうに思います。
 二つ目の質問に入ります。
 現在、県と県立医大が進めている遠隔ICUでございますが、地方の専門医不足を補い、医療の質の標準化、そして、地域の医療体制の強化に極めて意義を持つ施策であると認識をしております。
 私も、地元にあります橋本市民病院にお伺いをいたしまして、現場のリアルな現状をお聞きしてまいりました。
 令和8年1月29日の運用開始以降、一刻を争う転院や搬送判断を要する症例におきまして、この遠隔ICUを通じた迅速な情報共有と的確な支援が行われており、実際の救命に大変大きく貢献をしているということでございました。
 また、医師間だけでなく、看護師間においても、具体的なケアや管理に関する密な相談が行われており、専門医や専門スタッフが少ない地方の現場において、後ろには医大がついているんだという絶大な安心感、そして、医療、看護の質の向上にもつながっていると肌で感じたところでございます。
 一方で、現場が稼働したからこそ見えてきたシステムの課題や運用上の課題もあるかと思います。
 そこで、この遠隔ICUが開始して5か月経過をいたしましたけれども、現在、県として把握をしていらっしゃる利用の現状と課題について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) まず、現状につきましては、令和8年1月の運用開始からこれまでに、治療方針の相談に13件、症例検討で53件の活用があり、迅速な救命治療が実現するなど、着実に症例を積み上げているところです。
 次に、課題としましては、遠隔ICUの運用診療科が限定されていることや、支援側である県立医科大学と被支援側である橋本市民病院や新宮市立医療センターの電子カルテシステムが異なるため、操作方法に違いがあることなどです。
 引き続き、遠隔ICUが患者にとって有益な取組となるよう、県立医科大学や関係医療機関に働きかけてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 土井裕美子君。
  〔土井裕美子君、登壇〕
○土井裕美子君 ありがとうございました。
 電子カルテのシステムの互換性など、本当にちょっと現場の課題がある中で、確実に成果を今まで積み上げてこられたということでございましたので、少し安堵をいたしました。
 先ほども申し上げましたけれども、私の地元の橋本市民病院でお聞きをしたところ、運用開始当初は、対象患者が特定の診療科のHCU入院患者に限られ、運用時間も火曜と金曜の9時から17時までに限定をされていたため、共有できる症例が限られ、当該診療科の患者以外について、看護ケアの相談をしたくても患者の状態の共有ができないというような課題があったようでございます。
 しかし、運用を図る中で検討を重ねまして、現場では既に対象の拡大、運用時間延長の必要性が強く認識されております。2026年の5月からは、看護ケア相談の全科対象化、そして、運用時間は9時から15時までと変わらないものの、曜日を月曜日から金曜日までに拡大をしているというふうにお聞きをしております。
 ここで重要なのは、こうした現場のニーズに対しまして、県が遠隔ICUを今後どのように医療政策として位置づけていくのかという点でございます。大変すばらしい取組を持続可能なものにするためには、運用面と財政面での課題もございます。壇上からも先ほど申し上げましたけれども、公立病院の財政難、そして、国の制度設計の壁という最も大きな問題に向き合わなければなりません。
 そこで、財政面についてお尋ねをいたします。小項目の三つ目でございます。
 財政面では、導入費については、データシステム構築費用、附属機器購入費用に対して4分の3の補助、これは、国が2分の1、県が4分の1、被支援側施設4分の1の負担でございますが、これがあるものの、日々のランニングコスト、つまり運用費については国の2分の1の補助があるのみでございまして、県費の負担はございません。
 さらに追い打ちをかけるのが、国が定める診療報酬の施設基準の壁でございます。診療報酬において、ICU・特定集中治療室には遠隔支援加算として980点という一定の財源手当てがありますけれども、本県は、ICUではなくHCU・高度治療室においてこの遠隔治療を運営しているので、対象とはなりません。この加算、いわゆる財源を受け取ることができないわけでございます。
 運用を継続するためには、各病院側としては財政的に大変苦しい状況がございます。今後もこの取組を定着させるためにも、県としてどのような取組を考えておられるのかを福祉保健部長にお答えいただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 県としましては、システムの運用経費に対して支援することは困難と考えますが、遠隔ICU事業を推進するため、HCUなどの4対1看護を行っている施設を特定集中治療室遠隔支援加算の対象とするよう、令和6年度から厚生労働省に要望を行ってまいりました。
 結果的に、令和8年度の診療報酬の改定では実現に至りませんでしたが、次期改定に向けて、医療現場の実情や課題を丁寧に説明しながら、引き続き厚生労働省に対して強く要望してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 土井裕美子君。
  〔土井裕美子君、登壇〕
○土井裕美子君 引き続き、診療報酬においてはしっかりと働きかけをしていただけるということで、どうぞよろしくお願いします。
 命を救うための大変先進的なデジタル投資といいますかね、これは、地域医療を支える公立病院の経営をこれが圧迫するという構造は大変いかがなものかと思いまして、県として決して見過ごしてはならないと考えております。事情もよく分かっているんですけれども、今後も、この貴い取組を地域にしっかりと定着をさせていただきまして、県民の命を守り続けるためにも、しっかりと国へ働きかけをしていただきまして、また、県としても何らかの一定の政策を考えていただきますことを要望いたしたいと思います。
 1月に行われました合同記者発表の中にもございましたけれども、この遠隔医療支援の最大の目的であり、最大のメリットは、支援側施設である県立医科大学附属病院の専門医が、ネットワークで結ばれた地域の中核病院である被支援側施設の診療を24時間サポートができる体制を構築するというふうに言われておりました。
 まだ運用を開始されてから5か月ということでございますので、本当にまだまだこれからということは重々承知をしておりますけれども、今後、県としても、県土の広い本県において、地域に住む県民が住む場所によって受けられる救急医療の質に差が生じないようにするためにも、平日はもちろんのこと、夜間、そして休日を含む実効性のある支援体制の拡充に向けて、しっかりとこの事業を真の和歌山モデルとして、全国的にも大変優れておりますので、しっかりと育てていっていただきたいということを強くお願いをいたしまして、私の一つ目の質問を終わります。
 続いてよろしいでしょうか。
○議長(堀 龍雄君) どうぞ。
○土井裕美子君 それでは、大項目二つ目の質問に入らせていただきます。
 不登校対策におけるフリースクール等への支援についてでございます。
 我が国の未来を担う子供たちに関わる問題である不登校児童生徒への支援、多様な学びの場の確保としてのフリースクールなどへの支援についてお聞きをいたしたいと思います。
 現在、我が国の不登校児童生徒は、文部科学省の最新の調査によりますと、全国で約35万人を超え、過去最多を更新し続けるという深刻な事態に直面しています。これは、今や個々の家庭や学校の努力だけで解決できる問題ではなく、社会全体で向かうべき構造的な課題と言わざるを得ません。
 国におきましても、これまでの教育方針を根底から覆すような大きな発想の転換が起きております。平成28年に成立した教育機会確保法の精神に基づき、文部科学省は、登校という結果のみを目標としないという基本方針を明確に打ち出しました。さらに、現在の学習指導要領が目指す主体的・対話的で深い学びや個性を尊重する個別最適な学びの実現は、何も従来の学校の教室の中だけで達成されるものではありません。
 国は、現在、不登校傾向にある児童生徒に配慮した特別なカリキュラムを編成できる学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置を全国的に推進しており、本議会においても、先輩議員の何人かが質問をされていらっしゃいました。そして、学びの場を柔軟的に広げていく動きを加速させております。この学校という枠組みを超えて、子供たち一人一人の知的好奇心や育ちを保障することこそが、今の日本の教育が求めている真の姿ではないかと考えます。
 さて、それでは、和歌山県の現状はどうでしょうか。
 県の教育委員会のまとめによりますと、県内の公立学校における不登校児童生徒数は3000人を超え、過去最多となっております。特に多感な時期である中学生の増加が顕著であり、学校に居場所を見いだせず、自宅や民間の居場所にとどまらざるを得ない子供たちが急増をしております。
 そして、私の地元である橋本市においても、学校現場の先生方の懸命な奮闘にもかかわらず、不登校に悩む子供たちや、我が子の将来を思い、仕事を辞めざるを得なかったり、夜も眠れぬほどの不安を抱えている保護者の本当に切実な思いが私の下へと届いている現状がございます。
 しかし、その一方で、橋本市におきましては、子供たちが自発的に物づくりや対話を通じ、自分のペースで主体的、対話的な学びを取り戻し、生きる力を身につけられるすばらしい民間のフリースクールや居場所が数か所立ち上がっております。学校ともそのフリースクールはしっかりと連携をしながら、学校という枠になじめなかった子供たちの大変貴重な受皿となっている現状がございます。
 しかしながら、このような民間施設は、そのほとんどが熱意ある個人のボランティア精神や脆弱な経営基盤の上に成り立っており、そこに通う子供たちの月謝負担も保護者にとっては大変重い経済的負担となっております。
 こうした中、県の教育委員会におかれましては、令和6年度より、フリースクール等に通う不登校児童生徒支援調査研究事業が開始されました。これは、民間施設に通う子供や保護者に、実態やニーズを把握するため、アンケート調査への協力金として月額1万円を支給するというもので、12か月ではないんですけれども、大変画期的で、かつ、一歩踏み込んだすばらしい取組であります。教育委員会としての大変前向きな姿勢を、私は高く評価するものでございます。
 そこで一つ目ですが、まず、この調査研究事業を立ち上げるに至った具体的な経緯と、これまでの調査によって見えてきた各地域におけるフリースクール利用者の生の声などがあれば、ぜひお教えいただきたいと思います。
 また次に、私は、この調査研究事業は、本県が不登校支援、そしてフリースクール支援へ本格的にかじを切るための重要な一歩だと確信をいたしております。この調査の結果を待つだけでなく、その先にある持続可能な制度化された支援体制構築に向けて、今、動き出すときだと考えております。
 全国的に見てみますと、既に一歩先の取組が始まっているところがございます。例えば、長野県では、フリースクール等の民間施設を県が一定の基準で認証する制度をつくり、基準を満たしている施設に対して直接的な補助金を交付することで、運営の安定化と保護者の負担軽減を実現しております。
 また、三重県では、独自のガイドラインに沿って一定の質が担保された民間施設を登録・認証し、子供たちの多様な学びの機会を公的に保障する先進的な支援を展開されています。
 そこで、お伺いをいたします。(2)でございます。
 今回の調査研究事業で得られた貴重な知見を生かし、本県としても、長野県や三重県のような認証制度の導入、ひいては、それに基づく民間施設や保護者への継続的かつ安定的な補助金制度の創出へとつなげていくべきと考えますが、今後の具体的な施策に対する教育長の御見解をお聞かせいただけたらと思います。
○議長(堀 龍雄君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) フリースクール等に通う不登校児童生徒調査研究事業について、まずお答えいたします。
 不登校児童生徒は全国的に増加傾向にあり、本県でも、平成30年度以降、増加傾向にあります。令和6年度の県内の公立学校における不登校児童生徒数は、小学校で959人、中学校で1401人、高等学校で657人、合わせて3017人であり、前年度より72人増え、過去最多となっております。
 令和5年度、和歌山未来創造プラットフォームの不登校ワーキングチームの会議において、子供たちの学びの場について協議を重ねる中で、フリースクールに通う不登校児童生徒の実態について把握する必要があるとの進言を受けました。
 このことを受け、令和6年度から、本人と保護者を対象に、フリースクール等の通所日数や活動内容についてアンケートを実施しております。その中で、例えば、子供たちが楽しさや興味を感じる活動は何かという問いに対しては、文化・芸術活動やスポーツ活動、あるいは、自らやりたいことを考え、計画して行うことといった回答が多くあります。
 次に、フリースクール等に対する具体的施策についてお答えいたします。
 県教育委員会としましては、落ち着いた空間で、自分に合ったペースでの学習や個々の興味関心に応じた体験的な活動等を行うことは大切であると考え、自分のクラスに入りづらい児童生徒の学びを継続させるために、校内外の教育支援センターの設置を推進しているところです。フリースクール等の民間施設につきましても、子供たちの学びの場の選択肢の一つであると考えております。
 フリースクールの認証制度につきましては、フリースクールに明確な定義がなく、その規模や活動内容は多種多様であり、一般に民間の自主性、主体性の下に設置運営されているものをいうことから、一定の基準を設けることや、公平性をどう確保するかなどを整理する必要があります。
 今後、フリースクールなど民間施設と学校、教育機関との相互理解を目的とした連絡協議会の設置等を通じて、公教育とフリースクールの新たな連携や支援の在り方を検討してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 土井裕美子君。
  〔土井裕美子君、登壇〕
○土井裕美子君 ありがとうございました。
 長野県とか三重県で導入されていらっしゃる認証制度については、いろいろと教育委員会等のお話を聞かせていただきましたが、いろいろと研究をされているということで、大変教育委員会も前向きに研究をしていただいているということでございましたので、ここではあえて私のほうから、このような事例がありますよというのは申し上げません。多分教育委員会はしっかりと把握をしていらっしゃると思いますので。
 この認証制度なんですけれども、行政側にとっては、公費を投入する対象としての信頼性と、そして、安全性が担保できるということで、大変すばらしいと思います。いろいろなフリースクールが出来上がってきても、ある程度の基準を設けないと、しっかりとした子供たちの学びの場にふさわしいかどうかというのがやっぱり分かりませんので、認証制度というのは大変大切でございます。また、施設側にとっても安定した運営ができる、そして、社会的な信用が獲得できるということでございます。また、何より保護者にとっては、その認証制度で認証されたところに安心して子供を委ねられ、経済的負担も軽減されるという、大変メリットがある制度でございます。
 調べてみますと、紀北筋には割とフリースクールが出来上がりつつはございますけれども、なかなか南のほうは、まだまだフリースクールと呼ばれているものは少ないように感じておりますので、こういうものを、認証制度とかをきっかけとして、やっぱり経営の安定が見込まれるようなところであれば、今、実際に子供食堂とか、それから放課後児童育成事業ですかね、学童さんと呼ばれているところの空き時間を利用した形での不登校児童生徒の見守りというのもやっていらっしゃるところもありますので、そういうところがこれからフリースクールとして名のりを上げていっていただけるということにもつながると思いますので、しっかりと研究を重ねて、何とか認証制度を取り入れていただきたいと思います。
 今、文科省が示す学びの多様化学校の設置というのもあるんですけれども、先日、18日でしたかね、岩永議員が質問されていらっしゃいました。遠隔授業等についても大変有効的だなあというふうに思います。でも、やっぱり岩永議員もおっしゃっておりましたが、そこをきっかけとして対面での授業というか、対面で人と人と接する中で子供たちの学びを保障して、そして社会参画、学校にまた戻っていけるようにするとか、子供たちの生きる力を育むということが大変重要だと思いますので、いろんな地域に既にある民間の多様な学びの場を公的に認めていただいて、支えていくことこそが和歌山の子供たちを誰一人取り残さない教育の実現につながると私は考えております。
 今回の調査研究事業の成果を単なる一時的なデータの収集や一時的な協力金で終わらせることがないように、先進自治体の事例も参考にしながら、連絡協議会を立ち上げるということでございましたので、いち早くその連絡協議会を立ち上げていただきまして、現場の声をしっかりと吸い上げて、ぜひとも前向きな検討をお願いいたしたいと思います。
 最後に、未来ある子供たちの笑顔あふれる和歌山県でありますことをお願いいたしまして、私の一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、土井裕美子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕(拍手)
○尾﨑太郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 今年、いよいよ私も老人の一員として華々しく砂山地区の老人会にデビューいたしました。老人会は65歳からだと思っていましたが、市議会、県議会でお世話になった御近所の中拓哉先生にお聞きしたところ、60歳からだというので早速入会し、4月のお花見に参加をした次第です。
 37歳で県議会の最前列に議席をいただき、いつの間にか最後列に座るようになりましたが、最後列は、藤山議員を除いて敬老席であります。
 私が初当選した頃は、まだ本会議での質問は一括形式だけでした。この形式ですと、箇条書的に質問するのではなく、各議員は、御自分の信条や哲学、政策、日頃お考えになっている事柄などを質問の形で述べる、いわゆる質問演説と言われるようなものが本会議場での一般質問であり、委員会での質問とは一線を画しておりました。
 私は物を読むのが好きで、過去の先輩議員の質問なども時折読んだりするのですが、非常に勉強になります。私の父も「言葉は命」と題する質問集を出版しましたし、たしか吉井先生もお出しになっていたと思いますが、本にするほどの質問をお書きになっていたわけです。
 まだ当選回数の若い先生方には、ぜひ先輩議員の過去の質問を読まれることをお勧めします。西口知事や仮谷知事時代のものも読み応えがあります。それぞれの議員がそれぞれの立場で、時には県当局に執拗に食い下がり、時には批判し、賛同し、提案するさまは、必ずや皆さんの議員活動に資するでしょう。
 まとまった文章を書くということは、頭の中にある考えを書くということではありません。むしろ、書くということで初めて自分が何を考えていたのかが分かるものです。県議会を去りゆく老兵の若い先生方へのおせっかいと聞き捨ててください。
 私の質問は、父にも、先輩議員にも遠く及びませんが、恐らく県議会での最後の質問になると思います。では、よろしくお願いをいたします。
 ゲーテは言います、「人間のそれぞれの年齢に、一定の哲学が対応している」と。いわく、
  子供は実在論者だ。というのは、子供は自分の存在と同じようにナシやリンゴの存在を確信しているから。青年は内部の情熱に襲われて初めて自分の存在を予感し、自分を意識する。青年は観念論者へと変わるのである。しかし、壮年は、懐疑論者となるあらゆる理由を持っている。自分が目的のために選んだ手段が正しいかどうか、疑わざるを得ないのだ。選択を誤って後悔しないために、行為の前に、行為と同時に、彼は当然知性を働かせなければならないのである。最後にしかし老年は、神秘主義者であることを常に告白するであろう。彼は多くのことが偶然にかかっているのを知る。非合理的なものが成功し、合理的なものが失敗する。幸福と不幸が期せずして差別なきものとなる。全てが、そうだし、そうであった。
 33歳で市議会議員に当選して以来、私は一貫して保守政治を標榜してきました。しかし、若い頃は、やはりやや観念的な傾向がありました。渡部昇一先生に私淑していたこともあり、ハイエクの「隷従への道」に感動し、今よりははるかに市場原理に傾いていました。
 県議会の1期目で建設委員会委員長を務めていたときに、現職知事が関与する官製談合事件が起きました。談合という自由競争を全く無視した商慣習が県発注工事のほぼ全てに及んでおり、単純な犯罪というにはあまりに深く根づいていた談合に、これは、もはやある種の制度ではないかと思ったものです。
 その後、仁坂知事が誕生し、徹底的な入札制度改革が行われ、私も何度も議会において入札問題を取り上げてまいりました。今にして思えば、青年特有の正義感を振りかざしての質問であったかもしれません。
 時あたかも、小泉内閣の改革の嵐が日本中に吹き荒れていました。自由競争こそが日本復活の鍵である。日本経済の低迷は、競争が足りないからだ。規制を緩和せよ。参入障壁を下げろ。新自由主義です。
 本県のトンネル工事では、落札率が50%台になるなど、極端な競争が行われました。もちろん、公正で公平な入札の結果であり、県の支出はそれだけ抑えられます。そこだけを見れば妥当ではありますが、県経済全体に与える影響を考えた場合、壮年期に入った私は、これでよかったのかと懐疑論者になったのでした。
 この議場で何度も述べましたが、保守とは理性、理念への懐疑的な態度のことです。ある程度年齢に達した人は保守的になる傾向があるのも、理念、理屈を振り回してもうまくはいかないことを人生で経験するからでしょう。
 生意気だった私は、若い頃、理屈を言うなとよく叱られました。理が通っていることを主張して何が悪いと腹の中では思っていましたが、私に似たのか、小理屈をこねる我が息子を見ると本当に憎たらしくて、諸先輩方には随分と嫌な思いをさせたであろうと反省いたしております。まさに智に働けば角が立つのであり、さりとて「情に棹させば流される」のですから、とかくこの世は住みにくいのは、漱石の言うとおりであります。住みにくい世は住みやすくすべきであるとするのが青年、リベラル、住みにくい世でもそれなりに何とかやっていこうよというのが壮年、保守とでも言えそうです。
 漱石は、大正3年に私の母校である学習院で、青年たちに「私の個人主義」という有名な講演を行いました。一方で、晩年の漱石は則天去私といい、宗教的な境地に至ったようですが、やはり老年には神秘主義になったのでしょう。
 私も、老境に差しかかりまして、いよいよ神秘主義者になりつつあります。今日まで何とかやってこられたのは、私の能力や努力のたまものではなく、単なる偶然であり、幸運に恵まれたからであることは間違いありません。これは謙遜ではありません。心からそう思える年になりました。
 青年期の私は、どちらかというと自己責任論に傾いていました。あなたの境遇はあなたの行いの結果だみたいな、今思えば鼻持ちならない若造です。
 我々の世代は、大学はレジャーランドと呼ばれ、遊びほうけて、就職活動も楽なもの、企業が学生を拘束して他社の入社試験を受けさせないようにする、そんな時代でした。その後の就職氷河期に当たった世代の皆様の御苦労はいかばかりであったでしょう。低所得に甘んじなければならなかったのは、今の私には、それは自己責任だなどとはとても言えません。もちろん、その世代でも成功した人はいるでしょう。それでも、苦しんだ人の割合が多いことは否定できますまい。若い頃の私ならば、その世代の方々を救済するために税金を使うことには否定的であったと思います。
 最近、私も志すことがありまして、忙しくしております。夜は疲れて難しい本を読む気にならないので、専ら大好きな池波正太郎の短編を呼んでいます。もう何度も呼んではいるのですが、この年になってみて改めて池波の人間理解の深さが分かります。藤枝梅安は不倫相手の人妻をあやめていますし、鬼平の若い頃は無頼漢でした。善と悪は簡単に線引きできるものではないし、善人が時に悪をなし、悪人が善をなす、戯れに人を斬るような男が世話になった人のためにおのが命をなくす、誠に、人も人の世も複雑極まりなく、簡単に割り切れるものではありません。これは、池波文学に通底するテーマです。
 子供から老年へと至る過程は、より複雑な存在になっていく過程とでも言えるでしょう。まだまだ単純な存在であった高校時代、私も内部の情熱に襲われて、背伸びしてサルトルなどの実存主義に少しはまりました。同級生の中にはマルクスやカントを読んでいるのもいましたが、私は、5ページぐらいで挫折して以来、今日まで読めておりません。そこで、優秀な同級生には頭ではかないませんので、せめて腕力では勝ってやろうと空手道部をつくりました。
 私は、小学生の時代から、宇治田栄蔵先生の御尊父で和歌山市長であった宇治田省三先生の空手道場、拳武館へ通っていました。今でこそ空手も健全なスポーツになって、オリンピック種目にも採用されましたが、当時の空手はまさに武道、先輩に顔面をぽんぽん突かれ、おなかを蹴られて悶絶したものです。後年、日本チャンピオンだった先輩からは、「おまえはそのおかげではよ強なったやろ」とのお言葉をいただきました。その通りではありますが、まさか令和の今、そんな指導が許されるわけもありません。昭和の我が校の体育会系のクラブは、野球部も、サッカー部も、水泳部も、みんな先生方に愛のむちという指導を受けていました。野球部の新島先輩も随分監督に愛されたと伺っております。
 和歌山の空手は拳武館が引っ張ってきましたが、拳武館出身の教員が顧問を務める熊野高校の空手道部がすばらしいとのお話を聞き、視察に行ってきました。
 学校生活におけるクラブ、いわゆる部活は、あって当然のように我々は思ってきましたが、世界的に見ればそうではないようです。ヨーロッパでは、例えば、空手を習おうと思えばお金を出して空手教室へ通うしかありません。ラグビーや水泳だってそう。スポーツだけではありません。吹奏楽部や書道部、美術部、茶道部だって我が国の学校にはある。ほぼ無料でこれらを習うことができる。これって実はすごいことなのではないでしょうか。
 中学時代は野球をやっていたけど、高校ではサッカーをやったとか、体操から空手に替わったとかはよく聞く話です。日本では、生徒たちには自分に向いている競技や文芸を見つけ出す道が開かれています。ちなみに、私は、全く音楽の才能がないことが高校時代に少しバンドをかじったときに分かりました。
 ヨーロッパは、先進国ではありますが、いまだに強固な階層社会です。日本は、1億総中流と言われた時代からは格差は広がっているとはいえ、かの国々に比べればまだまだ階層は流動的です。学校生活における我が国の部活は、この階層の流動化の一翼を担っていると言っても過言ではありません。
 熊野高校の空手道部では、怒声が飛ぶことも、根性をつけることだけが目的のような理不尽な練習もありません。試合に出ることを目標にはしていますが、勝敗に過度にこだわってもいません。学校教育の一環としての部活の本来の意義は、どこにあるのでしょう。県大会やインターハイでの優劣を競うものではないはずです。もちろん、競うことは楽しいし、励みにはなります。しかし、それを至上の価値としてしまっては、部活の意義を見失ってしまう気がします。
 熊野高校の空手道部には、今の時代には珍しく40人前後の部員がいます。この人数は、空手道部にしてはという意味ではなく、そもそも運動部でこんなに部員のいるクラブはあまりないのではないでしょうか。しかも、その半数が女子です。私の高校時代には、女子がいるのはテニス部か卓球部ぐらい、剣道部には少しいましたが、柔道部にも空手道部にもゼロでした。
 熊野高校空手道部では、高校から空手を始めた生徒も多く、皆楽しく伸び伸びと練習しているように見えました。それでいて、体育会あるあるの礼儀正しさはきちんと受け継がれており、生徒たちのはきはきとした挨拶、きびきびとした所作には、こちらの背筋もぴんと伸びる気がしました。やっぱり部活っていいものだと、ちょっと青春の真っただ中にいる生徒たちが羨ましくなりました。
 少子化と教員の負担の軽減から、近年、部活の存続が危ぶまれています。我が国の誇るべき文化とも言える部活は、ぜひとも残していきたいものです。時代に合った部活の在り方を探り、存続に向けて知恵を絞らなければなりません。
 宮﨑知事は、私の高校の先輩ですが、柔道部で汗を流したと聞いています。あんまり強そうには見えないんですが、どうだったんでしょう。ただ昨年、フロリダ、メキシコに御一緒したときに、お酒にはめっぽう強いことが分かりました。あれだけ飲んで本を読めるのですから、まさにウワバミであります。
 知事が替われば、知事の考え方に合わせて県の機構も変わります。知事のやりたいことは、予算と機構に現れると言えます。岸本知事は、議員時代から人権やマイノリティーの方々への関心が強く、共生社会推進部を創設されるなど、これらの問題に熱心に取り組まれました。宮﨑知事はどうでしょうか。
 御案内いただいた令和8年度の組織の新体制の中で、私が注目しているものが二つあります。
 一つは、観光局の下につくられた観光産業共創課です。既に観光振興課と観光交流課があるのですから、わざわざ新たな課を創設した意図はどこにあるのでしょう。
 実は、私は数年前からIRに代わる振興策を構想しておりまして、その一環として、県内初のラグジュアリーホテルの誘致に微力を注いでまいりました。既に開発を申請している段階ですが、現在はこのホテルをキャラクターズホテルにしようと奔走いたしております。どんなキャラクターなのかは、今はまだ明かせませんが、実現すればこのホテルは本県観光のキラーコンテンツとなると確信しております。
 議会に提示されたペーパーによりますと、この課は、「民間企業等と協働し、持続可能な観光地づくりをはじめとした地域活性化を推進」とあります。「民間企業と協働し」とは、今までになかった視点です。このホテル事業を推進する企業群からは、事業の成功には行政の協力が不可欠だと言われており、このような課ができたことは、力強い援軍を得たような気がします。
 もう一つは、検査・技術支援課に技術支援班ができたことです。これもペーパーによれば、「技術職員の育成業務を効果的・効率的に行う体制を整え、技術力の向上と若手の早期成長を促進」とあります。
 民間企業は、もちろん優秀な学生を採用しようとします。一流と言われる企業には、優秀な学生が集まるでしょう。しかし、採用後も、企業は人材に対する投資を惜しみません。最近は、優れた人材をヘッドハンティングする企業も増えてきましたが、人への投資を惜しむ企業は早晩衰退していくしかありません。
 公務員は、パブリックサーバント、公共サービスを提供する職員ですが、高い規範意識と専門知識を持って職務を遂行することは当然だとする空気があるように思います。しかし、一たび公務員として採用されたなら、定年まで青雲の志を胸に秘め、職務に邁進するなんて奇特な人はそう多くはないでしょう。人なんて皆、大して変わりはしません。当たり前ですが、公務員もまた人なのです。私なども、先生などと呼ばれて期数を重ねるうちに慣れが生じ、適当に手を抜くことを覚えましたが、選挙がなければろくな者にはなっていなかったでしょう。
 対象が技術職員だけだとはいえ、職員の資質の向上と成長のための班が設置されたことは画期的であります。まさに、職員に投資してこそ県庁のパフォーマンスが上がろうというものです。職員を育成するという姿勢そのものを高く評価したいと思います。
 私が鼻血を出しながら強くなったように、新島先輩が目を腫らしながらうまくなったように、昭和は確かにスパルタが一定の教育効果を発揮したことも事実です。県庁職員の方々も、先輩から厳しく叱責され、一方で、飲みニケーションでなだめられて、公務員として成長した方々も多いでしょう。これはこれで昭和の人材育成モデルとでもいいましょうか。しかし、もはやこの種のモデルは通用しません。新たな人材育成のシステムが必要です。
 我々世代は、ある種の厳しさが人の成長には欠かせないと経験的に知っています。腕立て伏せを10回できる人は、11回目をウンウンうなりながらやらないと筋肉はつきません。競争と負荷は、企業の成長にも人の成長にも不可欠なものではありますが、過度な競争と負荷は成長を阻害します。このあたりのあんばいが難しい。令和の新たな人材育成モデルの構築が待たれるところであります。
 私は、市議会議員として政治家のキャリアをスタートしました。市議会と県議会、市役所と県庁、同じ地方議員、地方公共団体とはいえ、その文化は驚くほど違っていました。聞くところによれば、参議院と衆議院も同じ国会とはいえ、やはりかなり違うようです。
 和歌山市選出の県会議員は、陳情をさばくのに中核市である市役所に出向かなければならないことが多いのですが、仕事の進め方や姿勢、考え方が両者で異なっており、同じ法律に基づいて業務を執行しているはずなのに、目に見えない壁に阻まれてうまくいかないことも度々ありました。一時期、道州制がもてはやされましたが、これなどは、県はもはや不要で、10万人程度の市をつくり、地域の課題を担わせ、地方政府のような道が市を統べるというようなイメージでした。
 大阪市と大阪府、神戸市と兵庫県、和歌山市と和歌山県、県都の発展は県全体の発展に大きく寄与することは論をまたないとはいえ、自治体は独自の生理を持つものであり、反発し合うことも多いものです。さりとて、これらのそごを、大阪でのように、極端な改革で解決しようとすることは現実的ではありません。また、県市協調の掛け声だけでうまくいくものでもないでしょう。だからといって放っておけば、お互い意地を通せば窮屈になるだけです。
 対話をしてみる、交流のチャンネルを増やしてみる、県と和歌山市が協働して取り組むべき課題は山積しています。少しでも良好な関係を築けるようにしていきたいものだと思っています。
 そこで、知事にお尋ねします。
 令和8年の組織の新体制は、どのような点に留意されて構築されたのか。特に、観光産業共創課を新設された意図はどこにあるのか。職員の資質向上をどのようにしてなすべきであると考えているのか。県と和歌山市の協調についての見解はどのようなものか。
 次に、教育長にお尋ねします。
 学校生活における部活動の意義をどのように考えているのか。今後の部活動の在り方についての見解はどのようなものか。
 以上お尋ねして、一般質問といたします。
○議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 尾﨑議員の御質問に答えていきます。まず新体制及び観光産業共創課の新設に対する知事の考え方についてということでお答えをいたします。
 今回の組織改正につきましては、現行の組織を基本としつつ、和歌山の活力を高めるための新たな産業の誘致、振興に向けた体制整備や技術職員の人材育成など、本県が抱える課題に対応するために必要な整備を行いました。
 議員御質問の観光産業共創課の新設につきましては、民間との協働による高級宿泊施設や観光レジャー施設などへの観光投資の促進を狙いとしております。その背景には、インバウンド需要の高まりを受けて、都市部だけでなく、地方でも観光産業投資が増えている状況があります。これを好機と捉え、高付加価値旅行者やインバウンドの誘客につなげ、観光消費額や滞在時間の増加を図るとともに、その効果を飲食、農林水産業など地域産業全体へ波及させ、持続可能な観光地域づくりの実現を目指してまいります。
 このように、令和8年度は、直面する行政課題に的確に対応する組織づくりを行ったところですが、今後、人口減少、超少子高齢化や地球温暖化など、本県を取り巻く環境が大きく変化することが見込まれるため、より複雑化、多様化する行政課題に柔軟に対応できる組織を引き続き構築してまいりたいと考えております。
 続きまして、議員御質問の職員の資質向上についてどう考えるかにつきましては、一般的には、よく組織は人なりと申します。私自身、人事課長時代に、組織における人材の重要性を実感いたしました。議員御指摘のとおり、新たな人材育成システムが必要であると私も思います。
 そこで、職員を最大の資本として位置づけ、人材育成を強化し、これまで以上に一人一人の能力を最大限に引き出してまいります。それがひいては組織力の底上げにつながり、また、育成に積極的に取り組む組織風土が優秀な人材を引き寄せ、さらに組織が強くなっていくと考えます。
 このように、個々の力を組織の推進力へと転化させるため、今般、和歌山県職員育成・確保基本方針を策定したところでございます。
 この方針は、県庁の目指す姿や行動に関する指針であるミッション、ビジョン、バリューに基づくものであり、その実現に向けて、県民のために何ができるのかを主体的に考え行動し、挑戦し続けることのできる職員をどんどん育てていきたいという私の思いを込めております。
 全ての職員が充実感や成長実感を得て、主体性を持った業務遂行や自らの資質、能力の向上に取り組める環境を整え、個々のやりがいや成長を組織全体のパフォーマンスへと結びつけていくことが重要であります。そのためには、若い世代の職員が早くから指導的立場で手腕を発揮しやすい環境をつくるなど、マネジメントを意識した組織づくりに取り組むことが不可欠であると考えております。
 今後も引き続き、県民の笑顔のために、職員の意識や組織の仕組み、職場環境などのアップデートを行い、新しい時代に向け、県庁も進化する必要があることから、「和歌山県庁2.0」をスローガンとして、私が先頭に立って職員一人一人の活躍、成長の促進にこれまで以上にチャレンジしてまいりたいと思います。
 県と和歌山市の協調につきましてでございます。
 県政を進める上で最も重要なことは、住民の声をよく聞くことであるとこれまでも申し上げ、実践してまいりましたが、住民に最も近い行政機関である市町村は、政策を進める上での重要なパートナーであると思っております。
 社会情勢が急速に変化する中、県といたしましては、脱炭素先進県を目指したGXや宇宙などの成長分野における産業の開拓、人口減少に適応した持続可能な社会システムの再構築など、様々な改革に取り組む上でも、市町村との連携なくしてはなし得ません。
 そのため、新たな総合計画においても、県は、市町村の自主性、自立性を尊重することを原則とした上で、それぞれの地域の状況に応じて、長期的な視点に必要な対応を選択していくことができるよう、将来の課題やビジョンを共有し、市町村行政も含めて一体となって施策に取り組む姿勢を表明しております。
 御指摘の和歌山市との協調については、最近の事例で申し上げると、県、市が国へ共同申請し、脱炭素先行地域やGX戦略地域制度の有望地域の選定を獲得するなど、具体的な連携を深め、実績を上げているところであります。
 また、中核市である和歌山市は、保健衛生や環境保全などにおいて同じ業務を実施していることもあり、重要な政策課題を解決する上で、県と市が同じ方向で政策を進めていくことは極めて重要であります。
 今後とも、和歌山市と密接な連携を図ってまいりたい、このように考えております。
○議長(堀 龍雄君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 昨年、尾﨑議員にお声がけをいただきまして、熊野高校の空手道部の視察に私も同行させていただきました。その練習が行われていた体育館では、部員一人一人のエネルギーがまさにはじけるような熱気のある現場でして、中でも、全部員みんなが楽しそうに笑顔で練習に励んでいたのを覚えております。
 そのとき、私は、部活動は本当にすばらしいなと、人口が減っていって少子化の中でも、こういう若者の元気とエネルギーを受け止める部活動は絶対残していかなければいけないというふうに強く思いました。
 その上で、部活動の意義についてと今後の部活動の在り方について、一括してお答えいたします。
 部活動は、学校教育の一環として行われ、生徒が自らの適性や興味、関心を高めるとともに、スポーツや文化芸術活動の楽しさや喜びを多くの仲間と共有できる場となっています。
 しかしながら、近年、急激な少子化の進行による学校規模の縮小や、部活動が教員の長時間勤務の一因となっていることなどから、中学校においては地域展開が進められており、高等学校においても、今後の部活動の在り方について検討が求められているところでございます。
 県教育委員会としましては、部活動は、生徒の自主性や協調性を育み、心身の健全な成長や人格形成に寄与する重要な教育活動であると考えております。
 各学校においては、生徒や地域の実情、これまで培われてきた伝統などを踏まえながら、特色のある部活動が展開されています。その一方で、過度な競技志向や過熱化などにより、誰もが参加しやすく、生涯にわたってスポーツや文化芸術活動に親しむ基盤を育むという本来の部活動の役割が十分に果たせていない面もあると認識しております。
 今後の部活動の在り方につきましては、楽しむことや多様な関わり方を重視し、その上で、生徒の活動機会の確保や多様なニーズへの対応、さらには、教員の負担軽減、学校の特色の維持にも配慮しながら、地域全体で生徒の活動を支える体制づくりを進めてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堀 龍雄君) 再質問を許します。
 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 御答弁ありがとうございました。
 初当選から23年の月日が過ぎました。長いようで、あっという間だった気がします。
 1期目のときに、先輩議員から、「おまえ、もう5期ぐらいやっているような態度やないか」と言われたものですが、既に5期どころか6期の議員になりました。
 門前の小僧となって父を見て育ち、父の歩んだ道そのままに、市議会議員、県議会議員として人生を歩んでまいりました。県議会では、親子2代にわたってお世話になった先輩議員もいらっしゃいます。ありがとうございました。
 あっという間とはいえ、人が変わるには十分な時間であります。果たして私は、少しは複雑になり得たのかどうか、きちんと成熟できたのかどうか、今、自問をいたしております。自分では答えの出しようのない問いではありますが、我々の世界には選挙という審判がございますので、これはいずれ明らかになると思っております。
 和歌山県と和歌山市には、通り一辺倒でない、本当の意味での協力関係、お互いに友情が芽生えるような人間関係をつくることが必要であるのではないかと思っております。その一助となれるように、今後も研さんしてまいりたいと思ってございます。
 知事はじめ当局の皆様方、先輩・同僚の皆様、引き続き御指導をよろしくお願いをいたします。大変お世話になりました。心から感謝を申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、尾﨑太郎君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堀 龍雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 配付しております議案付託表のとおり、議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号を所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月23日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堀 龍雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次会は、6月25日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時9分散会

このページの先頭へ