令和8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号
 令和8年6月19日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 上山寿示
 2番 岡本安弘
 3番 鈴木德久
 4番 玄素彰人
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 土井裕美子
 10番 山家敏宏
 11番 北山慎一
 12番 鈴木太雄
 13番 岩田弘彦
 14番 吉井和視
 15番 中村裕一
 16番 坂本佳隆
 17番 三栖拓也
 18番 堀 龍雄
 19番 秋月史成
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 高田英亮
 23番 川畑哲哉
 24番 佐藤武治
 25番 谷口和樹
 26番 山田正彦
 27番 坂本 登
 28番 岩永淳志
 29番 小川浩樹
 30番 中尾友紀
 31番 岩井弘次
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 尾﨑太郎
 35番 藤山将材
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 谷 洋一
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         宮﨑 泉
 副知事        友井泰範
 理事         北廣理人
 知事室長       真田有理
 総務部長       山本祥生
 危機管理部長     中村吉良
 企画部長       北村 香
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     湯川 学
 共生社会推進部長   杉本吉美
 福祉保健部長     𠮷野裕也
 商工労働部長     今井善人
 農林水産部長     川尾尚史
 県土整備部長     小浪尊宏
 会計管理者      阪木守彦
 教育長        今西宏行
 公安委員会委員長   竹山早穗
 警察本部長      壱岐恭秀
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     田嶋久嗣
 選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中嶋 宏
 次長         岩井紀生
 議事課長       岸裏真延
 議事課副課長     伊賀顕正
 議事課課長補佐兼議事班長
            川原清晃
 議事課主査      川崎競平
 議事課副主査     中川佳美
 議事課副主査     長田和直
 総務課長       岩谷隆哉
 政策調査課長     田中 匠
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  午前10時0分開議
○議長(堀 龍雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 15番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。御配慮いただいて、質問の機会を与えていただきました。感謝を申し上げたいと思います。
 通告に従いまして一般質問を行ってまいりたいと思いますが、2点、知事にお願いを申し上げたいと思います。
 1点目は、職員の人の服装でございます。最近は、もう名札をしていなかったら、誰やら分からないようなカジュアル過ぎる服装の人も多く見かけます。やはり服装が仕事をするわけではありませんけども、県職員だし爽やかな、清楚な服装でやっていただきたいというふうに、ひとつお願いします。
 もう一つは、私が議会の質問をするに当たり、県職員の皆さんからいろいろお話を聞かせていただきますと、いろんな課題は、一つの担当課に収まらないことがたくさんあります。例えば、和歌山県の3分の1は高齢者、高齢者対策は、長寿社会課だけではなくて、住むところ、それから生活、収入、仕事、県庁各課にわたるわけでございます。
 昨日、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会がありました、高齢化で、県庁で職員さんが集まって会議したことがあるかと伺いましたら、ないということでありました。ほかにもいっぱいテーマがあります。防災はやれているかも分かりませんけども、県政には人口減少も含め、それから、和歌山県に必要な人材を育成していく産業政策、様々あると思いますが、ぜひ知事のところへ来てみんな集まって、よく議論をするというようなことをやっていただくといいんではないかと思いまして、お願いをしておきたいと思います。
 それでは、質問を進めていきます。
 まず、物価高が農家を苦しめている現状についてでございます。
 農家から種苗や肥料、燃料燃油、農薬、農業資材の価格が高騰しているのに、農産物の販売価格は上がらず、経営が苦しいとの切実な声を聞きます。一方で、農産物は、工業製品と異なり、生産者自らが価格を自由に決めることが難しく、コスト上昇分を販売価格へ十分転嫁できていない状況にあります。農業は、本県の基幹産業であり、ミカン、梅、野菜、花卉など、多くの品目が地域経済と雇用を支えております。
 しかしながら、生産資材価格だけが上昇し、農業所得が伸びない状況が続けば、農業後継者の確保や耕作放棄地対策にも深刻な影響を及ぼしかねません。近年の肥料、燃油、農薬、包装資材等の価格上昇が県内農業経営に与える影響について、また、農業者の所得確保と経営安定のため、今後どのような物価高騰対策を講じるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長川尾尚史君。
  〔川尾尚史君、登壇〕
○農林水産部長(川尾尚史君) 農林水産省の農業物価統計調査によりますと、基準年である令和2年と比較して、本年4月の農業生産資材の価格は、重油で85%、肥料で43%、梱包用樹脂製品で24%、農薬で19%、それぞれ上昇しています。物価高騰の影響につきましては、関係団体等からの情報収集を随時行っているところであり、これらの生産コストの増加が農業経営の負担になっていると認識しています。物価高騰対策につきましては、国の臨時交付金を活用して燃油等に対する支援を行っているところです。
 今後も、関係団体等からの情報収集を継続するとともに、社会情勢の変化を注視し、国と連携しながら、農業者の所得確保と経営安定に努めてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、その対策について伺います。
 近年の国際情勢の影響により、肥料原料や燃料、農業資材の多くを海外に依存している我が国農業の脆弱性が改めて浮き彫りとなりました。今後は、堆肥や緑肥の活用による化学肥料依存の低減、地域資源を活用したエネルギー利用、農業DXによる省力化・省コスト化など、生産コストそのものを引き下げる取組も重要であると考えます。さらに、農業者が安定して再生産できる価格形成や所得確保の仕組みについても、国に対して積極的に提言していく必要があると考えます。
 そこで、伺います。
 県は、生産コストそのものを引き下げるなど、物価高騰に左右されない農業の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、また、生産コスト上昇分を適正に価格へ反映できる環境づくりについてどのように取り組んでいるのか、知事の御所見を伺います。
○議長(堀 龍雄君) 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 中村裕一議員の農業経営を取り巻く対策についてお答えをいたします。
 その前に、先ほどの中身でございますが、ちょっと服装についてはあれなんですけど、他部局にわたる課題というのは、確かにたくさんあると思っています。今、各部長さん方を呼んで、ちょっとこれはいろんなところにまたがるので、部局横断で議論してほしいよということを今幾つか取り上げてピックアップしてやっておりますので、また、この成果を見ていただけたらなというふうに思います。
 答弁でございますが、議員御指摘のとおり、物価高騰をはじめ、農業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、社会情勢に左右されない農業を実現することは非常に重要であると認識しており、昨年12月に策定した和歌山県総合計画においても、収益性を高める農業生産体制の構築に取り組むこととしております。具体的には、農地の集約化や働きやすい農地整備を推進するとともに、ドローンによる薬剤散布など、省力化に資するスマート農業技術の導入加速化や温暖化に対応した高品質安定生産技術の開発などにより、生産性の向上に取り組んでいるところです。
 また、百貨店でのフェア開催や商談会、展示会への出展支援を通じ、国内外での販売促進を図るとともに、テレビやインターネット、SNSなど、多様な媒体を活用して県産品の魅力を広く発信し、認知度とブランド力を高めることで、生産に要するコストを反映した価格であっても消費者に選ばれる環境づくりを進めているところであります。
 なお、国においては、食品等の取引における生産者のコスト割れを抑止するなどを目的とした食料システム法が本年4月に施行されました。この法律に基づき、合理的な費用を考慮した価格形成に向けた施策を推進することとしていることから、今後の制度運用や実効性を注視してまいります。
 農業は本県の基幹産業であることから、これらの取組を総合的に展開することで、コスト上昇にも負けない、足腰の強い農業の実現に取り組んでまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、食料品の税率引下げが農業経営に与える影響について伺います。
 食料品の消費税税率引下げ議論が進んでいます。消費者負担の軽減という点では理解できますが、一方では、農家から食料品の税率だけが下がると困るという声も聞いております。大規模課税農家は還付で取り戻せるので制度上の損は限定的ですが、資金繰りと事務負担が増えます。小規模免税農家は、仕入れに係る10%の消費税を取り戻せず、さらに、販売価格の引下げ圧力を受けるため、手取りが減るおそれがあります。
 したがって、もし食料品消費税を1%にするなら、農家対策としては、農業資材、燃料、包装資材等も軽減税率にする、または小規模農家への価格転嫁・給付・還付制度を設けることが必要になります。農産物販売時の消費税率が下がっても、肥料、農薬、燃料、農業機械、包装資材、電気代などの仕入れに係る消費税が高いままであれば、農家にはコスト負担が残ります。特に小規模農家や免税事業者にとっては、仕入れ税額が十分に取り戻せず、さらに販売価格の引下げ圧力を受けることで手取りが減少するおそれがあります。
 食料品の消費税率引下げが農業経営に与える影響について、また、国に対して食料品の税率引下げを行う場合は、農業資材や燃料等への対応、免税農家・小規模農家への支援、価格転嫁対策など、農家の所得を守る制度設計を求めるべきではないでしょうか、知事の御所見を伺います。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 消費税減税の影響についての御質問をいただいております。
 2025年農林業センサスによりますと、本県では、消費税の免税事業者となり得る販売金額1000万円以下の経営体の割合は80%以上、簡易課税事業者となり得る販売金額5000万円以下を含めた経営体の割合は95%以上となっており、大多数の農業経営体が食料品の消費税率引下げによって収入の減少などの影響を受けるおそれがあると認識をしております。
 そうした中で、国では、農林水産大臣が今月の記者会見において、「農林漁業者や食品関連事業者の懸念や課題をしっかりと受け止めた上で、社会保障国民会議の議論が進むよう、適切に対応する」との発言をされていることから、今後の国の動きを注視するとともに、必要に応じて国への働きかけを行ってまいりたいと考えています。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いします。それから、議員諸君にもお願いをしたいと思います。ぜひ県議会からも意見書を出してはどうかということで、提案をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 次にまいります。
 2番目は、紀州鉄道の事業存続について伺います。
 先日、三浦御坊市長は、紀州鉄道について、他事業者に事業を譲渡する方向性が示されたことを受け、紀州鉄道の公共交通としての価値等を調査して、持続的な運行に向けた支援の在り方を検討するため、令和8年6月定例市議会に調査費を計上する考えを表明しました。
 紀州鉄道は、通学など市民の移動手段として重要な役割を担うとともに、日本一短い鉄道として地域の歴史や観光資源の側面も有しております。昨年12月定例会において、宮﨑知事からは、県としても協力していくとの答弁がありましたが、その後の状況をどのように認識していただいているのか、また、事業の存続に向けて県としてどのような支援や協力を行っていくお考えなのか、知事にお伺いします。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 紀州鉄道事業の存続についての御質問でございます。
 県では、昨年12月に設置された御坊市地域公共交通活性化再生協議会紀州鉄道部会での協議に参画をしてきたところであります。今月開催された紀州鉄道部会では、紀州鉄道株式会社により、鉄道事業について他事業者への事業譲渡の方向性が示されました。また、御坊市からは、紀州鉄道の持続可能な運行に向けて地域資源、観光資源としての価値を調査し、支援の在り方等について検討を進めることが示されました。
 今後、県としても、御坊市の調査結果等を踏まえ、対応をしてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、文科省の理系人材育成拠点について伺います。
 我が国では、AI、半導体、宇宙、GXなどの成長分野において、理工系人材の不足が深刻化しています。こうした中、文部科学省は理系人材育成拠点を全国に整備し、大学が小中高校と連携しながら、理数教育や探求学習を支援する方針を示しました。
 本県においても、人口減少や若者の県外流出が進む中、将来の地域産業を支える人材育成は極めて重要な課題です。本県では、宇宙産業の振興、GXの推進、再生可能エネルギーの導入拡大、デジタル化の推進など、今後の成長が期待される分野への取組が進められています。しかしながら、これらの分野を担う理系人材は全国的にも不足しており、本県においても将来的な人材確保が大きな課題になります。
 国が理系人材育成拠点を全国的に整備するこの取組をどう評価するのか、また、本県の将来を担う理系人材の育成に向けて、県内大学や企業との連携を含め、どんな戦略を描いているのか、知事の御所見を伺います。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 文部科学省の理系人材育成拠点についての質問でございます。
 AI等のデジタル技術が急速に進化する中、現在の人材供給のトレンドが続けば、労働力の需給ギャップが生じ、理系人材やエッセンシャルワーカーが圧倒的に不足することが懸念されます。
 そうした中、新聞報道によりますと、政府は、新技術立国の実現に向けた人材確保策の一環として、小中高校生の理系教育に取り組む拠点を全都道府県に整備すべく、拠点となる大学等に補助金を交付する新事業を来年度から始めるとしています。こうした優れた理系人材の発掘を目指す政府の動きは、本県の将来的な成長や課題解決を後押しするものであり、大変心強く、有意義であると受け止めています。
 県といたしましては、理系人材をはじめとする産業イノベーション人材等の育成に向けて高等学校等の教育改革を推し進めるべく、国が進めるN-E.X.T(ネクスト)ハイスクール構想に関するパイロット校について文部科学省と協議をしているところであります。現在、そうした改革を地域のニーズを踏まえながらどのように広げるか、また、高等教育機関等の機能強化や連携・接続をどのように進めるかなど、人材の県内定着の観点を含めて議論を始めたところであります。
 政府の支援策も有効に活用しながら、地域の発展を担う優秀な人材の育成を戦略的に進めていけるよう、検討を進めてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、教育長に伺います。
 理系人材の育成は、高校段階だけではなく、小中学校の理科教育や探求学習の充実が重要であると考えます。現在、本県では、理科実験、プログラミング教育、探求活動などを実施していますが、児童生徒が理系分野に興味を持てるよう、今後どんな取組を進めていくのかお聞かせいただきたいと思います。
○議長(堀 龍雄君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 理系人材を育成するためには、義務教育の段階から科学の不思議や面白さに触れ、そこで得た気づきや疑問を自ら探求していく体験を通して、理系分野への興味関心を高めることが重要です。
 県教育委員会としましては、これまで県内の小中学生に対し、科学好きの裾野を広げるため、きのくにジュニア科学オリンピックやきのくにロボットフェスティバル、カイロスロケットの打ち上げ見学会などを実施してきました。
 また、学習指導要領の改訂を見据え、現在、柔軟な教育課程の編成を進めており、理科や算数などの理系教科を拡充したり、探求的な学びの充実に重点を置いたりしている学校もあります。例えば、廃油からろうそくを作ることができないかや、紙がどのように落下しているかという疑問から、児童生徒が自ら課題を設定し、実験を行うといった学習をしています。将来的には、温暖化による農作物への影響、南海トラフ地震を見据えた防災・減災といった和歌山県に根差した課題に取り組んでくれることを期待しています。
 今後、こうした学校の取組の成果を県内全ての小中学校に共有し、各学校の取組の充実につなげることで、本県の児童生徒の理系分野への興味関心を高めていきます。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次にまいります。
 17分野の成長投資についてでございます。
 国は、新しい資本主義及び日本成長戦略の下で、AI・半導体、航空・宇宙、海洋、創薬・先端医療、資源・エネルギー安全保障・GX、フードテック、防災・国土強靱化など、17の重点分野を成長投資の対象として位置づけ、今後10年間で官民合わせて150兆円を超える投資を目指しています。我が国は、人口減少が進む中にあっても、成長分野への重点投資によって国際競争力を維持し、新たな雇用や所得を創出しようとしております。
 一方、本県においても、人口減少や若者の県外流出が続いており、地域経済の活性化と雇用の創出が喫緊の課題となっています。そのためには、国の成長戦略を的確に取り込み、本県の産業振興につなげていくことが重要です。
 本県では、令和6年4月にわかやま成長産業開拓ビジョンを取りまとめ、本県と親和性のあるカーボンリサイクル燃料、蓄電池・次世代自動車、資源循環・木質バイオマス、洋上風力発電、宇宙ビジネス、デジタル化に取り組んでいますが、わざわざ範囲を狭めることなく、国が重点投資を進める17分野など、広く可能性を追求するべきです。例えば海洋開発は、風力発電以外にも造船やメタンハイドレートなどの海底資源、海流発電、海底ケーブルなど、海洋県しかできません。奈良県は海がないので、できません。そのほかにも、創薬・先端医療、防災技術、フードテックなどでも可能性があります。
 そこで、国が掲げる17分野の戦略分野について、県としても一度全分野を対象に可能性を検討する考えはないのか、知事の御所見を伺います。なお、分野を広げたら、とても手が回らないとの意見も聞いておりますが、それならぜひ担当を増やすべきでありますし、既存の関係ありそうなところに兼務させればいいと考えます。とにかく新しい産業、新しい企業を生み出す産業振興は人口減少を抑制し、財政へも貢献する県政の第1の目標と考えますので、どうかよろしくお願いします。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 17分野の成長投資につきましての御質問でございます。
 政府は、地方から日本を成長軌道に押し上げるべく17の戦略分野を定め、大胆な投資促進や人材育成、産学連携といった多角的な観点から政策を展開する方針を打ち出しており、地方創生を進める上で大きなチャンスと捉えています。
 本県といたしましては、地理的条件や地域特性を踏まえ、宇宙やGXといった本県と親和性の高い分野に重点を置いて産業集積の挑戦を進めており、今後はこうした国の支援策を積極的に活用しながら、次世代型の産業構造への転換を加速させてまいりたいと考えています。
 議員御指摘のとおり、17の分野は確かに親和性がございますので、あらゆる分野で和歌山の発展の可能性を探り、道筋を開いていくことが重要でありますので、自ら選択肢を狭めることなく、本県のポテンシャルを最大限に生かせるよう挑戦を続けてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今、御答弁いただきました最後のところで、挑戦を続けるというふうにおっしゃってくれました。小さな声だったんですが、ぜひ県民は知事に新しいことにチャレンジしてもらいたい、閉塞感が渦巻くこの和歌山県を何とかしてもらいたいというふうに思っておりますので、産業だけじゃなくて、いろんなところに挑戦をし続けていただきますようにお願いしておきます。
 次まいります。
 ドクターヘリの継続とヘリコプター活用社会の創出についてでございます。
 ドクターヘリの継続については質問を、ヘリコプターの活用については要望といたします。
 本県は南北に長く、多くを山地が占めています。特に紀南地域においては、救急体制の確保が大きな課題であり、ドクターヘリは県民の命を守る重要な社会基盤として定着しております。そうした中、本県ではドクターヘリ事業の安定的な継続を図るため、県がヘリコプターを所有することになりました。
 そこで、お聞きします。
 県がドクターヘリを所有することになった経緯とその後の取組状況について、また、今後の更新費用や維持管理費を含め、将来にわたって安定的に運航を継続していくための見通しについて、知事に伺います。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) ドクターヘリについてでございますが、昨年7月から断続的に発生した運航委託先であるヒラタ学園の整備士不足に起因するドクターヘリの運航停止を受け、安定したドクターヘリ運航体制の構築が急務となりました。そこで、運航事業者に依存するのではなく、機体、パイロット、整備士の全てを自前で確保することが理想的であると考え、検討を進めてまいりました。
 しかしながら、全国的にパイロット及び整備士が不足している状況の中で、県職員として即戦力となるパイロット等を複数名採用することは極めて困難であることなどから、当面は、運航は事業者に委託することとし、機体については県で所有することといたしました。機体の選定につきましては、7月に価格と性能を総合的に評価する方式による入札を予定しており、現在、その準備を進めているところです。新機体の完成は令和10年度末を見込んでおり、運航開始は令和11年度からの予定でございます。
 県といたしましては、ドクターヘリのより安定的な運航体制を構築するため、購入に要する財源に加え、運航に要する経費の財源確保につきましても引き続き国へ要望するとともに、県民に対する救命救急の質を維持できるよう、運航事業者の確保に向けて取り組んでまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ここからは要望でございます。
 ドクターヘリがうまくいくことを期待いたしております。しかし、ドクターヘリ用のパイロット、それから、整備士が足りないんじゃなくて、ヘリコプターそのものの、ほかの分野も含めてパイロット、整備士がやっぱり足りないということでございます。飛行機のパイロット、整備士も足りないという、そういう中でありますので、私は、まだ飛んでいない時間帯がたくさんありますから、白浜空港を使って航空人材を養成する、こういうことはドクターヘリのパイロットや整備士を養成するだけではなくて、全国にも役に立つし、空港振興策、和歌山県の振興の一つの方法だというふうに思います。
 世界中のヘリコプターというのは8割がアメリカにあるそうで、日本も2番だそうでありますけども、まだまだヘリコプターは日本では普及していない。和歌山県も空飛ぶクルマについてやるというふうに言っておりますが、まだ実際に導入されるのは先になるんじゃないかと。その間はヘリコプターを使えばいいんじゃないかというふうに思います。
 山火事を見たら、もうとても人では消せません。ヘリコプターはもっと活躍できると思いますし、防災、それから医療、それから地方の振興、そういうところでヘリコプター使い社会というんでしょうか、日本でできるように、私は和歌山県も国に要望するほか、ぜひ広域連合も含めて研究をされるのがいいんではないかと思って要望しておきたいと思います。
 次まいります。
 6番目、医療的ケア児の支援についてでございます。
 近年の医療技術の進歩により、人工呼吸器やたん吸引、経管栄養など、医療的ケアを受けながら在宅で生活できる子供たちが増えています。
 平成30年12月定例会では、医療的ケア児及びその保護者の支援充実を求めて、県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会、山下直也委員長から意見書が提出され、全会一致で採択されました。その後、令和3年に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、地方自治体には必要な支援体制の整備が求められています。和歌山県においても、医療的ケア児等支援センターの設置や支援コーディネーターの養成など、体制整備が進められています。
 しかしながら、私の地元である御坊市や日高地方の保護者の方々からは、「和歌山市周辺に比べると利用できるサービスが少ない」、「緊急時に子供を預かってくれる施設が近くにない」、「学校や保育所へ通園通学するのに不安がある」といった声が聞かれます。また、医療的ケア児を育てる保護者は、24時間365日、緊張を強いられており、家族の負担は極めて大きいものがあります。
 そこで、お尋ねします。
 県内の医療的ケア児の人数及び支援ニーズについて、県はどのように把握しているのか、福祉保健部長に伺います。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 県では、令和元年度より毎年度、市町村を通じて県内の医療的ケア児の状況把握を行っています。同調査結果によりますと、令和7年10月1日時点の見込みで、県内の医療的ケア児は204人となっています。圏域別では、和歌山圏域が87人と最も多く、次いで那賀圏域26人、西牟婁圏域23人、有田圏域21人、東牟婁圏域13人、海草圏域12人、伊都圏域12人、日高圏域10人となっています。
 また、支援ニーズにつきましては、医療的ケア児等の支援を行う関係者の協議の場において、医療的ケア児及びその家族の課題などを把握しています。医療的ケア児は、人工呼吸器による呼吸管理や喀たん吸引等の医療的ケアが恒常的に必要であり、家族の負担が大きいことから、日中の預かり支援や短期入所など、医療的ケア児支援に対応できる障害福祉サービス事業所の充実を求める声が多く寄せられているところです。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 続けて、その支援でございますが、圏域別あるいは市町村別に見て、支援体制や利用できるサービスに地域格差が生じていないか、県の認識を福祉保健部長に伺います。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 令和6年2月に県庁内に県医療的ケア児等支援センターを設置し、医療的ケア児やその家族に対する一元的な相談対応、情報提供、関係機関との連絡調整を行っています。さらに、市町村に地域支援の核となる医療的ケア児等コーディネーターの配置を進めることで支援体制の整備を推進しており、現在、県内27市町村に配置されています。
 一方で、利用できるサービスという点では、例えば県内における児童の対応が可能な短期入所事業所を圏域別に見ますと、和歌山圏域では20事業所、海草圏域では1事業所、那賀圏域では2事業所、日高圏域では1事業所、西牟婁圏域では1事業所、東牟婁圏域では2事業所であり、伊都及び有田圏域には事業所は存在しません。サービスを利用する児童の数に差があることも踏まえる必要がありますが、圏域ごとに差が生じている状況にあることは認識しているところです。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 誠に残念な状況でございます。
 そこで、知事に伺うんですが、福井県では、医療的ケア児を新たに受け入れる事業所に対し、施設改修費、医療機器整備費、備品購入費を補助率4分の3、上限500万円で補助しています。さらに、児童発達支援や放課後等デイサービスに対して、看護師配置、送迎、入浴介助まで加算的な補助を行っています。
 このように──大阪や京都も補助金出しているんですけども──医療的ケア児の支援においては、利用者支援だけではなくて、受入れ施設を増やすことが重要であります。そしてまた、サービスの充実をさせていくことが大切であります。県内各地で受入れ施設の確保をするため、施設整備や看護師配置等へ県独自の支援ができないものでしょうか。さらに、地域格差がなく、県内どこでも医療的ケア児とその家族が安心して暮らせるよう、今後の支援体制の充実について、知事の御所見を伺います。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 医療的ケア児の支援につきましてですが、県といたしましても、医療的ケア児に対応できる障害福祉サービス事業所の充実を図り、身近な地域で必要な支援を受けられる体制の整備が重要であると認識をしております。医療的ケア児への対応を進めるに当たっては、事業所への看護師の配置が必要であることから、県独自の取組として、医療的ケア児支援のスキルを習得できるよう、看護師を対象とした実地研修を実施しています。加えて、国に対しては、看護師配置に係る加算のさらなる増額など、必要な改善を求めています。
 また、今年度は、紀の国障害者プラン2024の中間見直しを予定しております。見直しに当たりましては、関係者の皆様の御意見も聞きながら、医療的ケア児の障害福祉サービスに対する需要を踏まえた見直しを進めてまいります。
 その上で、今後、同プランに基づき、国の補助金も活用した施設整備や関係機関の連携体制の構築、医療機関等への積極的な働きかけを進めることなどにより、受入れ施設の拡大につなげ、必要なサービスの確保を図ってまいります。医療的ケア児とその家族が地域で安心して暮らせる体制の充実に努めていきます。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いします。
 次へまいります。
 高齢者の単身世帯や夫婦だけの世帯の増加が大きな課題となっています。数年前、特養で知人の80代の夫婦に出会いました。御主人のお母さんが100歳を超えて入所しているのですが、20年以上年金生活をしている高齢夫婦には、利用料が払えなくなったというのです。息子が払えないときは孫が払うことになり、おばあちゃんが御長寿になれば、本来お祝いすべきところを、家族はお金の心配をしなければなりません。幸い特養が支払いを減免する制度があり、事なきを得ましたが、長寿社会の悲しい現実を見た思いであります。
 本県の高齢化は、令和7年1月1日現在33.9%、30万5432人の高齢者がおられます。そのうち31.4%、9万6012人が単身世帯であります。県の調査によれば、介護認定を受けない65歳以上の高齢者で仕事をしていない人が58.4%おられ、仕事をしたいが事情により難しいと答えた人が16.2%もあります。高齢者の生活は、就労収入ではなく、公的年金、貯蓄、そして家族の支えに大きく依存していると考えられます。しかし、今後とも家族による支援を受けることが難しい人がさらに増えます。本県の主役は高齢者であり、高齢者対策は県政の重要施策です。健康で楽しく老いることが県民の最大の願いです。果たしてそうなっているのでしょうか。一方で、人口減少や利用者の分散など、介護サービスやみとり支援といった民間サービスが、採算面から十分に展開しにくい地域も少なくありません。
 こうした状況の中で、県として介護サービスやみとり支援の現状をどのように把握しているのか、また、高齢者の単身世帯や夫婦だけの世帯の増加を見据え、民間事業者だけでは対応できない地域において高齢者が安心して暮らすための環境づくりにどのように取り組んでいくのか、福祉保健部長に伺います。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 議員御指摘のとおり、人口が減少している本県では、特に中山間地域を中心にサービス提供が難しくなっている地域があり、また、独り暮らしの高齢者等も今後増加することが見込まれることから、介護サービスを中心とした高齢者支援を維持することは、県の重要な課題であると認識しております。
 そのため、県では、民間事業者による対応が困難な地域でも高齢者が孤立することなく安心して暮らせるよう、独り暮らしの高齢者を対象とした安否確認を兼ねた配食サービスの実施や緊急時の通報装置の設置、生活支援等に取り組む市町村への財政的支援を行っております。
 また、国では現在、介護保険法や社会福祉法の改正法案が審議されており、その中で、本県のような中山間・人口減少地域において介護サービスを維持するため、地域の実情に応じた配置基準の緩和や月単位で定額を支払う包括払いの仕組みのほか、頼れる身寄りのない高齢者等に対し、日常生活支援、円滑な入院等の手続支援などを提供する事業について、新たに第2種社会福祉事業に位置づけることなどが検討されているところです。
 今後の高齢者世帯の推移を見据えると、誰もが人生の最終段階まで住み慣れた地域で安心して過ごせる環境を整えることが重要であるため、県としましては、今後とも市町村と密接に連携し、民間事業者と行政が一体となって、全ての県民が安心して人生を幸せに全うできる環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 要望を申し上げたいと思います。
 一番最初に知事に要望したことと少し重なるのでお許しをいただきたいんですが、今回、答弁の準備に当たっては、高齢者問題ということで長寿社会課を中心に対応していただきました。長寿社会課の所管は主として介護保険に関する業務であり、介護保険が高齢者を支えていく極めて重要な制度であることは言うまでもありません。しかし、高齢者の生活は介護保険だけで成り立っているわけではなく、介護に至る前の段階から日常生活の支援、仕事や収入の確保、住まいの耐震化、下水道をはじめとする生活環境、移動手段、地域の社会参加、見守り、そしてみとりに至るまで、課題は極めて幅広く、複雑に絡み合っています。
 そこで、今後の高齢者施策について、3点要望いたします。
 第1に、高齢者対策を介護、福祉、住宅、交通、就労、地域づくりといった分野ごとにばらばらに進めるのではなく、県内で最も人口の多い高齢者層を対象とした総合的な政策として一元的に推進する体制を検討していただきたいと思います。
 第2に、3世代同居・近居の推進であります。近居というのは近くに住むということでございます。
 山形県では、3世代同居・近居を進めるため、3世代住宅の建設や改修に対する支援制度を設けています。家族の支え合いを政策として後押しすることは、高齢者の孤立防止、子育て支援、住宅政策、地域コミュニティーの維持にもつながります。本県においても、和歌山の実情に応じた3世代同居・近居支援策を検討していただきたいと思います。
 第3に、高齢になっても希望すれば仕事ができる生涯現役社会の実現であります。
 長野県では、県の委託業者が民間企業を訪問し、高齢者に適した業務を切り出してもらう取組が行われています。また、老人大学等において、事業を起こす、起業を促したり、内職的な仕事の紹介も行っています。高齢者を単に支えられる側と見るのではなく、地域を支える担い手として活躍していただく仕組みづくりが必要であります。
 そもそも本県では、18歳の若者の8割が県外へ進学、就職で出ていって、その後3割しか帰ってこないわけであります。その結果として高齢の単身、それから夫婦のみの世帯が増えていくという、そういう悪い循環になっているわけであります。ぜひ若者の県内定着・回帰を進めることこそ、高齢者問題の根本的な解決と考えておりますので、ぜひそういうことも御検討いただきたいと思います。
 続いて、8番目に、南海フェリーの存続であります。
 今回、たまたま県議会で多く取り上げておられますが、私は要望で、違う観点から質問をさせていただきたいと思います。
 南海フェリー和歌山-徳島航路が、2028年3月末を目途にフェリー事業から撤退する方針を表明しました。経営上の問題が背景にあるとされますが、本航路は、紀伊半島と四国を最短で結ぶ重要な海上交通網であり、観光や物流だけではなく、大規模災害時の代替輸送路としても極めて重要です。特に南海トラフ巨大地震が懸念される中、陸上交通網が寸断された場合における人員・物資輸送や被災者搬送、さらには、病院船的機能を持つ広域医療支援拠点としての活用も考えられます。
 南海フェリーについて、国や和歌山県及び徳島県などの自治体が連携し、航路存続を目指すべきであると考えますが、地域振興部長から県の見解を伺います。
○議長(堀 龍雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 和歌山-徳島航路は、長年にわたり本県と四国を結ぶ航路であり、観光や物流だけでなく、議員御指摘のとおり、大規模災害時における人員・物資輸送などの観点からも重要なものであると認識しております。
 県といたしましては、船舶リプレース費用や内航フェリー維持に対する補助制度の創設を国に要望するとともに、新たな事業者による運航継続など、徳島県や和歌山市をはじめとする関係自治体等と連携し、引き続き、航路の存続に向け、あらゆる手だてを講じてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 去る5月21日の読売新聞では、政府が大規模災害時に運用する病院船について、民間フェリーの借り上げが2社にとどまっていることが報道されていました。病院船の導入は、度重なる震災を教訓に2021年に議員立法で制定されましたが、日本では米海軍のような病院船導入は困難でございます。自衛隊の輸送船や民間フェリーの活用が今進められていると思います。もし能登半島地震でも、病院船のようなものを派遣していたら、すごく活躍できたんではないかということも報道されておりました。
 民間フェリーというのは、派遣されるときに知らないところへ行くのではなくて、ふだん就航している辺りのところに行くということらしいんです。それから、和歌山には日赤医療センターという、日赤の中では医療センターは東京と和歌山しかない。海外に派遣されるDMATも、和歌山の日赤からいらっしゃることが多い。
 こういうことを考えたら、南海フェリーも病院船としての活用というのは大いに可能性があるし必然的なものだと思いますので、ぜひ研究していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 平成19年の4月に初めて県議会へ送り出していただきましてから、気がつくと19年。5期当選させていただきまして、19年を迎えてございます。昨日もフレッシュな議員の皆さんの話を聞いていたら、僕もまだ1期目か2期目と思っていたんですけど、気がつくと結構年齢をいっているな、年月を重ねているなというふうに思ってございます。
 そして、今、中村議員の質問を聞かせていただきまして、中村議員は多分忘れていると思うんですけど、当選して間もない頃、議員の本質は一般質問をすることだと、本分は一般質問だと、何回でもやったらいいよというふうな話をかけていただいたことを思い出しながら、気がついたのを数えてみましたら52回、ここに立たせていただきまして、今回が53回目ということになります。ぜひ、今回も頑張りたいと思います。
 そして、昨日の夜も多くの方から気合を入れていただきまして、名刺もいただいた人の中に「応援は力になる」と、こういう言葉がありました。皆さんの応援をいただきながら一般質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。(傍聴席で拍手する者あり)
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を始めさせていただきます。
 先日来、いろいろな経営者の方々と和歌山県の未来についてというテーマで意見交換する機会をいただいております。ある役員の方でこんな話をしました。首都圏とか京阪神とかいろんなところで会社経営をやってきた方が和歌山でも会社をやっている方なんです。この方の話です。
 「私は転勤で多くの都市で仕事、そして住んだ経験があるので分かるのですが、このままでは和歌山県の未来は暗いものになりますよ」と、「私の知る限り、ほかの県よりも、自分の県のこと、和歌山県の未来のことを考えて動いている人は少ないように感じます。むしろ県外からの進出や投資を受け入れたくないような県に感じます」と、このような意見を、特徴というんでしょうか、話してくれました。あくまで主観ですから、これが正しいかどうかというのは分かりませんが、いろんな経験をした方がこのように感じているということは、こういうもしかしたら要素もあるのではないかなというふうに思いました。
 そして、続けて、「和歌山県は小さな利益を取ることを考えているので、希望ある未来が見えてきません。将来の大きな利益を得ることよりも、今の小さな利益を取ることを考えていることが問題です。ずっと以前は、滋賀県や三重県は和歌山県よりも人口が少なかったと思いますが、今では立場が逆転しているようです。その一つの原因には、やっぱり企業なり産業振興、そういったものがあったかないかの違いではないでしょうか」というふうな話をしていただきました。
 つまり、目先の小さな利益を求めて行動するのか、未来の大きな利益を得たらよいと考えて行動するのか、この違い、意識の違いだと思います。未来をつくる大きな利益を得るためには、産業誘致が必要だと思います。つまり、大きな利益を求めるには、産業を誘致、あるいはつくり出して労働人口密度を高める、つまり労働力の集約が必要となるということです。
 このまま希望が失われていく未来を待つのか、希望ある未来をつくるのかは、産業振興にかかっているとも言えるのではないでしょうか。もうこれは言うまでもないことですが、熊本のTSMCや北海道のRapidusの誘致が、このことを証明していると思います。
 続けて、熊本県の現状を知らせていただきました。「熊本県では、TSMCが進出したことにより関連企業が次々と進出し、サプライチェーンが形成され、住宅建設、商業施設、物流、教育、医療など、地域全体に経済波及効果をもたらしています。人口流入も進み、地価は上昇し、県内経済は大きく活性化している」と話をしていただきました。同じように北海道も同様で、「Rapidusの進出により、半導体関連産業の集積が進み、新たな雇用と投資を生み出しているよ」と話をしていただきました。一つの大きな産業投資が地域全体を変える。つまり、企業の進出が新たな投資を呼び込み、地域全体の経済を押し上げる、この好循環が形成されています。
 翻って、和歌山県はどうでしょうか。さきの経営者は和歌山県の現状を心配してくれて、「子供たちにとって希望の少ない未来を託してどうするのですか」と質問をされました。「この和歌山県で希望の見える道筋をつくることがとても大事だよ」と、こういう話をしていただいたわけなんです。どんな未来を残すのか、今、和歌山県によい未来をつくることを考えなければなりません。
 和歌山県の人口減少は過去最大級の深刻な問題です。若者の流出に歯止めがかからず、労働人口の減少が地域経済の縮小につながっています。まさに子供たちにとって希望が少なくなる未来、こういうものを残そうとしてどうするのですか、こういうことになります。そのために必要なのは産業誘致、それから労働力の集積です。
 明治には全国有数の都市であった和歌山県が、なぜこのようなポジションに陥ってしまったのか。それは変化する時代の中で、将来への投資と産業構造の転換が十分ではなかったかなというふうに思います。今こそ、これまでの和歌山スタイルと言えるものを転換しなければならないと思います。
 例えば和歌山市であれば、城下町、城下町とも言われておりますけども、これは、城下町は誇らしいのは当然なんですけども、それにこだわるのではなく、未来へ向かう城下町を志向する、こういったスタイルの返還というのが必要かなというふうに思います。
 これまでの和歌山スタイルを改め、新しい和歌山スタイルをつくらなければ、希望のある未来は見えないと思います。どうすれば未来が築けるかを考えたとき、産業の誘致、投資してもらうこと、そして、仕事と雇用をつくること以外にないと思いますが、未来を見据えた利益をつくり出すことは和歌山県にとって重大だと思います。
 ただし、現在はAIが全盛ですが、産業構造の変遷の歴史を見れば、企業の隆盛や産業のはやり廃りというものがあるので、どの企業に一体将来性があるのかというのを見通すことは非常に困難です。だから、和歌山県が取り組むべき産業は、産業の基幹ともいうべきエネルギー産業が適していると思います。
 エネルギーは、全ての産業活動、社会生活の基盤ですから、非化石燃料で安価なエネルギーを供給することが和歌山県の生き残る道の一つだと思います。和歌山県がエネルギー移出で関西経済をサポートしていけるようになれば、存在感が出てきます。仮に人口が少なくなったとしても、エネルギーを供給している和歌山県となれば、存在感が出るのです。しかも、今世界中が求めている安価で安定したRE100エネルギーを供給できれば、社会の要請にも応えられる上、製造コストが低減できる。新産業は和歌山県に集まってきてくれますし、課題である労働集約も可能だと思います。
 和歌山県が大きな利益を得るためには、将来の成長産業を戦略的に誘致すること、そこから地元で起業家を育成することが必要だと思います。繰り返しますが、産業の中心にエネルギー産業を据えるべきだと思います。エネルギーは、全ての産業活動、県民生活の基盤ですから、今後、企業が立地を判断する際に最も重要とする要素の一つが安価で安定した脱炭素電力の確保です。特に、RE100に対応した再生可能エネルギーの供給能力を持つ地域には、半導体であるとかデータセンター、先端製造業などが集積する時代になっているかと思います。和歌山県が関西圏におけるエネルギー供給拠点となることができれば、人口規模に関係なく、大きな存在感を得ることができます。
 また、エネルギーコストの低減は、県民生活の向上にもつながります。これも県外の方がデータを教えてくれたのですが、昨年7月に公開された、いい部屋ネット住みたい街ランキング2025(和歌山県版)というのがございまして、ここでは和歌山市が7年連続で1位となっているようです。その理由を聞きますと、水道料金やガソリン価格など、生活コストの安さがあるというふうに聞きました。このインフレであるとか物価高、こういったものの中にエネルギーコストの占める割合も結構多いので、これを抑えることによって暮らしやすいまちづくりにも直結すると、こういうことであります。
 エネルギー移入県からGX先進県へという発想の転換も必要だと思います。かつて、和歌山県は長い海岸線、この地の利を生かして、関西へのエネルギー移出県でしたが、時代の変化に伴い、今では移入県になっています。地の利を生かした強みを生かせていないとでもいうべきでしょうか。
 現在、我が国は今後10年間で150兆円を超えるGX投資が予定されております。この巨大な投資をどの地域が取り込むのか、これが今後50年間の地域の成長を決めると思います。和歌山県がこの機会を生かせば、大きな成長機会につながっていくと思います。今こそ、和歌山県がGXを産業政策の柱に据えるべき時期に来ていると思います。
 GXは環境政策、こういった観点だけではなく、産業政策でもあり人口政策でもあります。さらに言えば、地方創生政策そのものになると思います。そこで、推進すべきことはGX戦略地域制度の有望地域、この1次審査結果に選定されたのが和歌山県であります。和歌山県の和歌山市、それから有田市ということになりますが、かつて、地方に半導体産業などの大きな産業が来ることはないと言われていたことがありましたが、しかし、挑戦した地域が未来を切り開きました。和歌山県も同じです。挑戦しなければ、希望のある未来はありません。今こそ、この分野に挑戦すべきだというふうに思います。
 県外の事業家が話していた、和歌山県は、目先の小さな利益を追う傾向が強く、将来の大きな利益を生み出すための投資や挑戦が不十分ではなかったのか、これを検証する時期に来ているのではないでしょうか。
 そして、「さらに地元の起業家育成にも力を入れるべきだよ」と話をいただきました。若者が挑戦できる環境を整備することは、すなわち、未来への投資です。今から先の和歌山県をつくるのは、今の私たちの決断にあります。若い人のみならず、全ての人が挑戦できるスタートアップの支援、産官学連携による新産業創出を進めなければならないと思います。
 そして、子供たちのことについてです。
 和歌山県の高校生なり中学生に尋ねると、多くの方がこんな話になります。高校を卒業したら、あるいは大人になったら和歌山県から出ていくと、こういう答えを聞かされるたびに本当に寂しくなります。なぜ両親や友達がいる、過ごしやすくて誇れる我がふるさとよりも都会を目指すのか。この答えを私たちは考える必要があります。
 ここで、一つ答えにヒントを与えていただいた方がいます。それは、和歌山県は子供たちにとって憧れの場所になっていない、こういう現実があるんではないかという指摘です。なるほどと、憧れる場所が和歌山県であるならば地元に残るはずですから、そうなっていないのはなぜか考える必要があろうかと思います。
 先般、この問題提起された会場で、では、和歌山県を子供たちが憧れる日本一の県にしましょうというゲームがありました。和歌山が憧れ日本一になるためにはどうすればいいのか、私たちは実は考えさせてもらったんです。そのときの答えというか、大体あのとき200人弱が参加していたんですが、こんな答えがありました。一つが、やっぱり新しい産業を築くこと、それから、紀淡海峡ルートをつくって第二国土軸の拠点に和歌山がなること、それから、プロスポーツの振興を図って子供たちに夢を与えること、こういったことがやっぱり必要じゃないかなというふうなことがありまして、これは夢みたいな話じゃなくて、結構現実的な産業政策が子供たちに希望を与えられる、子供たちに和歌山県が憧れの場所になれる方策ではないかということのヒントになるのかなというふうに思います。
 ただ、これ和歌山県固有の問題ではないんですけども、今の品不足とか、そういったものが結構影を落としています。例えば、和歌山市内の洋菓子店では、メーカーから突然このような通知が来ました。6月から30%の値上げの通知、それから供給量を、従来が100としたら70%しか供給できませんよと、こういう通知が来まして、メーカーに対して物が言えないわけですね。「いやいや、ちょっと待ってください」と言ったら、「結構です」と。「70%だったらケーキがつくれません」と言うと、「ああ、それだったら結構ですよ」と簡単にこう言われてしまうということで、非常に地元の立場が弱いなあというふうに感じております。
 お菓子屋さん、ケーキ屋さんというのは、子供たちにとってなりたい職業の一つだと思いますが、そういった憧れを与える洋菓子店ですら、現実はこうです。小学生が中学生、高校生になったときに、果たしてこの職業は憧れでいられるのでしょうか、考える必要があるのかなというふうに思いました。
 ここで大事なことは諦めない、簡単なことのようで難しい、諦めないです。できないと思った瞬間、和歌山県はこれからも、衰退という言葉が適しているかどうか分かりませんが、現状を維持できないのではないでしょうか。和歌山県が子供たちにとって、そして大人にとっての憧れの場所になることを諦めないこと、諦めることなく未来を目指すこと、未来への挑戦を諦めないこと、これが私たちのすべきことだと思います。だから、和歌山県を子供たちが憧れる日本一の県にしよう、この思いで県政に取り組んでいけたらなあというふうに思います。
 今、我が県に必要なものは、できない理由を探すことではありません。どうすれば実現できるのかを考えることです。熊本県も北海道も、最初から条件が整っていたわけではありません。未来を変えようと決断し、挑戦したからこそ今の現実があろうかと思いますので、和歌山県も同じだと思います。
 このことに関して、暮らしてみたい市というのが、魅力ある市、どういうのかという話も何人かから聞かせてもらったら、近隣の近いところでは、泉佐野市が住みたいまち、憧れのまちだというふうに聞かせていただきました。これは、理由は簡単なんですね。新しい制度を次々と打ち出しているからということなんですけども、例えばそんな難しいことではなくて、泉佐野では、泉佐野市海外渡航奨励助成制度という制度がありまして、これは、泉佐野市民が海外へビジネスでも観光でも行くとき補助金を出してくれる、これだけで憧れる市になっていると。これだけといっても大変なことだと思うんですけども、要は、子供たちに世界を見てこいよと、こういう制度があるわけです。
 それから、都市開発の専門家である僕の同級生が東京から帰ってきたときに、15-minute city、この考え方はあるよと。首都圏では15-minute cityの考え方を取り入れたまちが人気があると、憧れの市になっていると、このように聞きました。この考え方というのは、自宅から徒歩、自転車、または公共交通機関で15分以内で、全て必要なサービスにアクセスできて、生活の質を向上させられるまちのことらしいんですけども、昔で言うところのコンパクトシティーみたいなもんですけども、こういうまちを目指してもいかがなものかという話を聞かせていただきました。つまり、新しい視点で県土をつくる、まちづくりをすることによって、憧れるというのはつくれるのかなというふうに思っています。
 本日提言したGX戦略、未来への投資、子供たちが憧れる和歌山づくりという理念は、県政ではなく、全ての市町村にとって、将来にとって極めて重要な視点であると考えています。人口減少が進む今だからこそ、目先の利益ではなく、10年後、20年後、50年後を見据えたまちづくりを進めなければならないと思います。
 そこで、1問目、和歌山県が持続的に発展を遂げるための産業戦略についてです。
 和歌山県の人口減少が進む中、和歌山県が持続的な発展を遂げるために、どのような成長戦略を描いているのでしょうか、また、新産業やデータセンターなど、RE100企業を誘致するため、エネルギー政策を含めた産業集積戦略をどのように進めているのか、「子供たちが憧れる和歌山県」を実現するための産業戦略を目指してほしいと思いますので、まず、知事の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(堀 龍雄君) 傍聴の方々に申し上げます。
 私語、拍手等は禁止されております。静粛に願います。
 ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 片桐議員の御質問にお答えをいたします。
 再生可能エネルギーを含む産業集積、脱炭素先進県の実現は、和歌山県が持続的発展を遂げる上で大変重要であると考えています。昨年12月に策定した県総合計画では、今後5年間の主要施策として、成長産業の誘致、GX関連産業の創出などを挙げました。具体的には、国のGX官民投資に関連した大規模県内投資の実現に向けた臨海部の産業用地開発と成長企業の誘致、洋上風力発電の導入に向けた取組を推進します。
 GX戦略地域制度での有望地域選定は、この方針の下、本県が和歌山市、有田市と共同申請し、実現したものであります。洋上風力発電の導入に向けても、和歌山県沖の有望区域への選定を目指して、関係者に声を丁寧に伺いながら、着実に検討を進めています。
 また、議員御指摘の「子供たちが憧れる和歌山県」を実現する上においては、社会や世界に向き合い、自ら未来を切り開く人を育む必要があることから、県立高校の特色化と魅力化を進めているところです。その中で、成長産業との関連性においては、今年度からカーボンリサイクル燃料、蓄電池といった成長産業で求められる教育プログラムの導入を進めております。
 引き続き、持続可能な個性輝く和歌山を目指し、成長産業の集積、脱炭素先進県の実現に全力で取り組んでまいります。もちろん、IRにつきましても、門戸を閉ざしているわけではございません。
○議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきまして、次の問いに入ります。
 令和8年度夏、今年の夏、予定されるGX戦略地域の最終決定を目指す取組についてです。さきに述べましたように、この決定、和歌山県がここに入るということは、和歌山県の将来を決めてしまうかなというぐらいのものだというふうに思っています。過去、昭和39年、新産業都市指定、昭和50年代、テクノポリス構想、平成以降の構造改革特区、これらの国家プロジェクトによって地域の姿は大きく変わってきました。
 そして、今回、和歌山県内の候補地がGX戦略地域制度の有望地域に選定されたわけです。この選定は、和歌山県のGX産業の集積化の実現に向けた一歩となります。令和8年夏に予定されるGX戦略地域の最終決定を目指すことになりますが、そのための事業内容の具体化、どのようなものなんでしょうか、知事の答弁をお願いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) GX戦略地域の最終選定につきましては、国は、競争力、実現可能性、事業者ニーズ、自治体のコミットメントといった事業計画の内容をさらに精査し、計画内容を磨き上げ、熟度が十分に高まった地域について、夏頃を目途にGX戦略地域として選定する方針です。
 こうした国の方針を踏まえ、現在、県独自に誘致企業や脱炭素電源の開拓等を行いながら、和歌山市、有田市や関連事業者と計画を練り上げているところであります。詳細につきましては、相手方もあることからお示しすることは難しいのですが、最終選定に向けて全力を尽くし、GX関連産業の創出や脱炭素先進県の実現に取り組んでまいります。
○議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきました。
 実現するかどうかって、今年の春ぐらい、2月ぐらいだったかなあ、これはもしかしたら1次選定難しいんではないか、厳しいんではないかという話も出てきて、ちょっと気をもんでいたんですが、県の皆さんの御尽力により、4月、無事選定されたということで、本当に多くの方が喜び、何とか最終決定まで持ち込みたいなというふうに思ってございますので、ぜひ引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。
 それで、少しお時間をいただきまして、これまで、先ほど、今回53回目の一般質問と申し上げましたが、ちょっとどんなことを県政の中で僕はしゃべってきたのかな、質疑に立たせてもらったのかということをちょっと拾ってみました。主なものだけ、僣越ですが紹介をさせていただきますと、平成20年代前半、平成19年に初当選させていただきましたので、前段どんなテーマで質疑を交わしたのかといいますと、これ、当時の宮﨑知事だったかな、それ以前かも分からないです、和歌山県教育委員会とJAXA宇宙教育センターとの間で宇宙教育活動に関する協定というのを当時結んでいただきまして、取り上げたおかげで実現しまして、JAXAと宇宙教育の協定というのは多分珍しいというか、まれなことだと思うんですが、ここでJAXAスペースティーチャーズ和歌山という宇宙教育をする仕組みが生まれたかなというふうに思います。
 それから、同じく20年代前半に、当時三つの課題を克服しなければ、和歌山南インターチェンジができないよというふうな、当時の仁坂知事がお話をしていたんですけども、この南インターチェンジについてや脱炭素社会を見据えた国内プロジェクト、あるいは人口減少時代の和歌山県の在り方、今につながっているフロリダ州との姉妹提携について、それから、JRの利便性の向上を目指した阪和線の停車駅の在り方と紀州路快速の利便性の向上について、それから、地元の方々としっかり意見を交わして要望を聞きながら、地元同意を取りながら、JR和歌山駅を中心とした都市再生について、こういったものを取り上げてきました。
 それから、平成26年以降は、これまた先ほどの続きですけども、JR和歌山駅周辺の再整備及び南海和歌山市駅前の活性化に向けた取組についても議論を交わさせてもらっているところです。これもしっかりと地元の意向を踏まえながら進めるべきだよというふうな話をしたことも記憶してございます。それから、これは実現しませんでしたけども、和歌山県の海を生かした新しいエネルギーとして海洋再生エネルギーを推進するため、海流発電に関しての現状と事業推進の見通しについてというのも再生エネルギーの可能性について触れさせていただきましたし、命の大切さを訴えるペットとの共生社会を目指す和歌山県についてや東京オリンピック2020までの実現を目指したスケートボード場の設置についても取り上げてきました。
 平成30年、これは短いんですけども、宇宙教育を取り上げ、令和に入ってからは、宇宙教育とロケット発射場立地に伴う取組、地の利を生かした洋上発電について、ハイテク型の企業誘致について、紀淡海峡、それから四国新幹線ルートについてや、高校生の意見を取り上げた和歌山県におけるeスポーツについて、それから、産業振興、今日も少し提言させていただきましたけども、産業振興策として大型の民間投資を受けることについてやスポーツビジネスについて、成長投資を呼び込める和歌山県についてなど、振り返るとそのときそのときの県政の課題を取り上げてきたかなあというふうに思ってございます。
 そのとき理解というのはされなくても、未来への責任から目を背けることなく、この議場で訴えてきたのかなというふうに思っております。なぜなら、政治、県政とは、過去を語る仕事ではなく、未来をつくる仕事だからというふうに思います。
 この19年間振り返りますと、一つ一つが和歌山県の未来にまいた種であるのかなというふうに思っております。すぐに芽が出たものもありますし、まだ芽が吹いていない、そんなシーズもあります。しかし、ここで発言しなければ始まらないこともありますし、行動しなければ未来は変わらないというふうに思いますから、この議場で提言してきた種を決して枯らすことなく取組を続けたいかなというふうに思います。
 この議場にいると、勉強させていただくことがありまして、昨日も若い議員たちがいろんな議論をしていただいたのをちょっと知らないことがあって、本当に勉強になりました。例えば、情報セキュリティーのゼロトラストの問題であるとか、紀南地域の高校生の通学の問題、あるいは共通テストの困難さの問題などを知ると、やっぱりここで質疑を交わしていただくことで我々理解できることもあるし、県政が前進しているのかなというふうに実は思っております。
 いつか和歌山の子供たちが、和歌山県に生まれてよかった、和歌山県で暮らし続けたい、いつか和歌山県に戻ってきたい、こう思えるような誇りのある未来をつくっていきたいというふうに思います。そして、和歌山市の未来をつくるため、これまで以上に重い責任を担う覚悟を持って、和歌山市が子供たちの憧れの地となり、働きたいと思える地域を引き続きつくるために挑戦していく覚悟を示したいと思います。
 19年にわたりましてこの議場に立たせてもらい、多くの方に応援をいただき、そして、知事をはじめとする皆様方から御指導いただいたこと、それから、御指導いただいた先輩、今も学ばせていただいている後輩・同僚議員に深く感謝を申し上げ、私にとって最後の一般質問になると思います。しっかりとこれからも頑張ってまいりますので、皆様の御支援をお願い申し上げ、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時25分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(佐藤武治君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので質問させていただきますが、その前に、本年3月の県議会議員橋本市選挙区補欠選挙で御当選された土井裕美子議員、岡本安弘議員、誠におめでとうございます、遅くなりましたが。お二人とも橋本市議としていろいろな御経験を積まれ、なかなか有能な方々で、橋本市民、和歌山県民の期待に十分応えられると、私の大学のクラブ、日本拳法部なんですが、拳法部の先輩であり、私が大変尊敬しております清水信弘元橋本市議からも伺っております。ぜひ県勢発展のために頑張ってください。
 ただ、参考までに申し上げますと、県議会の場合、和歌山県全体、さらに、全国の中での和歌山県の現状を他府県と比較しながら県政全体を見渡した上で、地元橋本市、私の場合は和歌山市ですが、地域のために何ができるかという視点も大事かと思います。どうぞ、さらに一層幅広い視野で御活躍を期待しております。
 そこで質問に入りますが、まず、私の思いを、恐縮ですが、お二人以外のこの議場にいらっしゃる多くの方は御存じでしょうが、私は23年前、2003年4月に初当選し、その年の12月定例会で初登壇したときの大きなテーマは「人口激減!どうする和歌山?」でした。当時の直近の国勢調査、2000年の調査結果によると、和歌山県の人口は約107万人でした。しかし、私自身、衆議院、参議院、県会と3回連続で落選し、組織も何もなかったのでこつこつと1軒1軒訪ね、県民の皆さんの家族の状況やまちの雰囲気を肌で感じたのは、これから先、この和歌山は人口減少で大変なことになってくるのではないかということでありました。
 そこで、4回目で初当選した後、すぐに県の統計課、現在の調査統計課ですが、そこへ行って、県だけではなく県下の市町村の今後の人口動態を調べたところ、和歌山県については、2030年には約88万人になる。つまり、2000年と比べて30年間で19万人が減少するというデータが出てきて、そのことを初登壇のときに発言したのですが、誰とは言いませんが、当時の知事は何か他人事でありました。
 しかし、現実の人口減少はもっと早く進んでおり、去る5月29日発表の国勢調査速報値では、令和7年(2025年)10月1日で約86万4000人で、既に20万人以上が減少しております。つまり、私が23年前に初登壇し、そのときほとんどの議員も県幹部も発言していなかった人口減少が、2000年107万人から2025年86万人と、21万人近くの人がこの和歌山から消えてしまっております。
 ちなみに、2020年から2025年の人口の増減率は、和歌山県は47都道府県中、最下位は47位ですが、下から7番目の減少率の高さで、マイナス6.3%で全国41位。私はいつもこのランキングなんか見て自分なりに理解しているんですけれども、他府県と比べて、もちろん皆さんも言われますトップ10、10位までに入ったらトップ10と言われますが、私はいつもびり7と言っています。びり7というのは41位から47位までですね。私がいろいろ当たる案件にはびり7が非常に多いもんですから、やっぱり声を大にして言わないかんと思っております。
 人口そのものは、しかし、全国で40位ですので、びり7の中には入っておりません。それだけ御認識ください。それはともかく、議員の皆さんも御理解いただきやすいように、各選挙区別の市郡の2025年、そして、2040年の推計を並べさせていただいた表1ですので、御参考に御覧いただければと思います。この表、そちらタブレットの中に入っていると思いますが、これは別に議長と副議長に当てつけて言ったわけじゃないですけど、一番減っているのが伊都郡ですね。それで、2番目に減っているのが東牟婁郡です。皆さん、自分ところの選挙区、頭に入れくださいね。
 ただ、2040年の国立社会保障・人口問題研究所の人口推計は、以前にも述べたとおり、中位の推計ですので、少し甘いと思います。それだけに、私は以前から紹介しております増田寛也元総務大臣が座長の日本創成会議のほうが数値的に近いと思いますので、特にこの太字のところに各地域に御注目いただければと存じます。これから先15年足らずで、最盛期の人口に比べて半分から3分の2近く減少してしまうということを考えれば、私が23年前に言った「人口激減!どうする和歌山?」というのは決してうそでも何でもありません。今後もこのことを訴えていきたいと思いますが、宮﨑知事はじめ県幹部の皆さんは、よろしく我々県民を御指導いただきたいと思いますので、後ほど、いろんなこのことに関しての質問をさせていただきます。
 それでは、質問の第1項目でありますが、地価公示35年連続下落についてであります。
 今年の3月17日、国土交通省が発表した地価公示、1月1日現在です、地価公示で県内の変動率は0.4%減、前年は0.5%減となり、35年連続で下落したとのことであります。全国的に見ると、地価公示、全用途──これは住宅地と商業地ですが、変動率はバブル後最大で2.8%の上昇であり、3大都市圏、東京、大阪、名古屋は4.6%の上昇、地方圏で1.2%の上昇でありますが、我が和歌山県は、住宅地は0.6%減、商業地は0.1%減で、住宅地、商業地とも近畿2府4県で最も落ち込み、特に住宅地は全国最低ということでありました。
 それは、表2を御覧ください。ここに載せています、和歌山県、最後です。
 令和元年9月議会でも路線価の低迷について質問し、そのときの当局の回答は、「地価はその土地に対する需要と供給の相互関係により形成され」、「一般的には人口が減少すると、居住、生産、物流などの経済活動が低下し、それに伴い、必要とされる土地需要が減少するため、地価の下落につながる」という答弁でした。
 もちろん私は、土地の値段が高いというのがいいということではありませんけれども、和歌山のように土地の値段が下がっているのに和歌山に人が住まないということはどういうことかということを、この際、真剣に考えるべきだと私は思います。人口減少や少子高齢化、自然災害の懸念や地理的な構造も要因となっていることは十分理解しておりますが、この地価公示35年連続下落について、知事の御答弁をお願いいたします。
○副議長(佐藤武治君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 浦口議員の御質問にお答えをしたいと思います。
 議員御指摘のとおり、本県の地価は35年連続で下落しているところでありますが、これは、国土軸から離れた半島地域という地理的な制約に加え、国土交通省が実施する地価公示での調査地点177地点のうち、約3分の1が津波浸水想定区域に含まれるという厳しい条件が要因であると考えています。
 確かに、地価の下落は続いていますが、ネット通販事業を行う小売業者にとっては、大量の在庫を必要とする場合には、地価の安さが有利となるとの例もございます。また、最近では、和歌山市や岩出市など利便性の高い地域では上昇地点も見られ、県全体では下げ止まりの傾向がうかがえ、さらに、現状において高級宿泊施設などの大型投資案件も散見されるところであります。
 本県には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」をはじめ、豊かな自然環境や歴史文化が数多く残されており、これらは、近年、国内外で高く評価され、令和7年の外国人宿泊客数は過去最高の89万人を記録するなど、本県の魅力が世界に広がっています。加えて、東と南が海に開けた地理的特性を生かし、串本町及び那智勝浦町においてロケット発射場が整備されております。
 このように、かつては不利な条件と捉まえられていた地理的条件が、今や観光産業や宇宙産業という新たな成長分野を切り開く強みと変わりつつあります。これからが和歌山の時代であるとの思いの下、和歌山の魅力を全力で活用してまいります。
○副議長(佐藤武治君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、あまりくどくど言いませんけども、これからが和歌山の時代であると。私、議員になって23年になりますけども、同じような言葉、幾度もよく聞いています。本当にこれから和歌山の時代になってほしいなと思って、私らも思うことでいろいろ施策を訴えたりしているんですけども、ぜひとも前向いてみんなが行けるような政策、施策を進めていただきたいと思います。
 それでは、次に行かせていただきます。
 今の人口減少のところで知事のお話にもありましたけれども、経済強化の具体策について、そこでも冒頭に述べた人口減少対策についてですが、宮﨑知事も昨年末のインタビューで、人口減対策の鍵は経済強化ということで、宇宙ビジネス、洋上風力やカーボンニュートラル燃料などの次世代型産業を進めていくということを述べられております。
 そこで、宇宙ビジネスや洋上風力、カーボンニュートラル燃料などをはじめとするGXなどの次世代型産業によって、具体的にどのような地域経済の活性化や雇用創出の可能性があると見込まれるのか、商工労働部長、お答えください。
○副議長(佐藤武治君) 商工労働部長今井善人君。
  〔今井善人君、登壇〕
○商工労働部長(今井善人君) 宇宙産業や洋上風力発電、GX関連産業など、国内外で市場成長が期待される分野の産業集積を進めることで、県経済に大きな経済効果が期待できるものと考えております。例えば、国の方針として宇宙分野では、日本の市場規模を2030年代早期に約8兆円へ拡大する目標が掲げられており、また、GX関連では、2023年度から10年間で官民150兆円の投資を実現する方針が示されています。
 これら成長産業の機運を県経済の活性化、雇用創出につなげるべく、昨年12月に策定した県総合計画においては、成長産業の開拓などを主要施策として掲げております。具体的には、ロケット打ち上げ事業者の事業拡大支援や県内企業の宇宙産業への参入支援、洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入に向けた取組、国のGX官民投資に関連した大規模県内投資の実現に向けた産業用地開発と企業誘致を進めてまいります。
 本県における雇用も含めた経済効果については、本年2月定例会において知事が答弁申し上げたとおり、複数の投資案件の積み重ねによって段階的に事業効果を広げていく産業集積の場合、将来的な広がりが未知数であり、相手方もあることからお示しすることは難しいと考えております。なお、民間事業者による試算では、ロケット発射場スペースポート紀伊を起点とした10年間での県内における経済効果は1112億円と推計されております。
 今後も、国の動きに呼応しながら、宇宙、洋上風力発電、GXをはじめとする成長産業の集積に全力で取り組み、県経済の活性化、雇用創出につなげてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。民間による10年間の経済効果については1112億円ということが一応試算されているということなんですが、ちょっと私どもいろいろ調べる中で、なかなか、一番大事なのはもちろんお金投入してもらわなきゃ意味ないんですけども、どれだけの雇用を生み出せるかということが非常に問題であって、しかも、地元の人らができるだけそこで働けるような環境づくりもやっていただきたいと思うし、今の段階では、全て出すのは難しいかもしれませんけど、将来やっぱりその地域の人らにとって働く場というのは非常に大事ですから、ぜひともそのことを考えていただいて、大体どれぐらいだということを時期来たら述べていただきたいと思います。
 以上です。
 続けて行かせていただきます。
 次に、2番目です。
 和歌山-徳島航路の存続について、知事の決意について聞きたいと思います。
 2026年3月31日の朝刊各紙に、和歌山港と徳島港をつなぐ南海フェリーが経営悪化のため2028年3月31日をもって廃止されると発表され、大変驚きました。あって当たり前の南海フェリーがあと2年足らずでなくなってしまうことは大変寂しいと同時に、ふとこの航路をなくしてしまっていいものかどうかということが疑問に思いました。
 この南海フェリーの存続については、山下議員、長坂議員、そして、中村議員のお三方がもう既に質問されていますが、実は、私はこの南海フェリーを含む船長や航海士でつくる産業別労働組合である全日本海員組合から毎年陳情を受けて、燃料代の補助など、県への窓口として取り次いでおります。
 そこで、この南海フェリーの概要については、お三方の議員も説明されているので短く説明になりますけれども、災害時の役割については、既に和歌山県と南海フェリー株式会社は、災害時の輸送等に関する基本協定を締結しており、地震などの大規模災害が発生した際には、被災者や救護物資、資材等の輸送業務等を和歌山県が要請した際には、その要請に可能な限り応じるという協定が締結されているということであります。
 南海フェリーの船は60メートルの岸壁とビットがあれば着岸でき、喫水、要するに船が入れるところです、水の深さが5メーターあれば入港できるということでありますので、災害時における物資輸送において果たす役割は非常に大きいものと考えております。
 そこで、南海フェリーが航路廃止になった場合の不利益について、全日本海員組合からの情報を基に多面的に考えてみたいと思います。
 県民、市民、観光客にとってフェリーを利用しない場合、自動車で和歌山市から徳島市への移動については約3時間かかります。フェリーでは2時間10分ほどで行きます。また、公共交通機関を利用する場合、4時間以上を要する上、高速バスの乗換えなどが必要であります。これは、高齢者や障害者は高速道路を使用することが非常に負担になります。さらに、しまなみ海道を除く本四架橋では、125cc以下の二輪車は通行制限があるため、フェリーの撤退によって原動機付自転車や普通の自転車での本州-四国間の移動が困難になります。そして、本四架橋を重量25トン以上の車両が通行する際には、特殊車両通行許可が必要であり、通行できない車両も出てきますが、南海フェリーは重量規制に影響されない交通手段であります。
 一方、和歌山及び周辺の輸送事業者が四国へ荷物を輸送する場合、大阪、神戸、淡路島方面へ迂回する必要が出てきます。また、南海フェリーは定時運航でありますが、陸路での移動は道路の混雑状況によって所要時間の予測が難しいというところもあります。さらに、フェリー船内にはドライバー用の休憩室やシャワールーム──これはフェリーあいだけらしいですが──があり、航路存続できなくなることで、ドライバーの休息時間、リフレッシュの機会が失われてしまいます。会社側からの情報によりますと、昨年度の利用実績として約260社の輸送事業者、台数としては2万5600台の車両が南海フェリーを利用したそうでありますが、航路の撤退により廃業する運送事業者が発生するおそれがあります。
 観光客は、フェリーを利用することによって和歌山県、徳島県、四国、紀伊半島の各県を股にかけて観光することができ、観光立県をうたう和歌山県にとっても、フェリーがなくなれば徳島県、四国の観光客が減少することは、まず間違いないと思います。また、南海フェリーの乗組員の半数で、約40名ほどの方が和歌山県内に住んでおり、船員や陸上社員として勤務する社員の雇用が失われてしまいます。
 最後に、災害時の役割について、さきに述べたとおり、災害時の輸送等に関する基本協定書を交わしていますが、南海フェリーが廃止されれば、地震などの災害時における陸上輸送が困難な場合は、海上輸送による被災者並びに物資・資材の輸送手段を新たに手配することが必要になってまいります。
 また、会社の近況についても聞いてみますと、コロナ時の負債があり、負債の返済期限が近づいているということで、まだ返済のめども立っていないという現状に加え、燃料費の高騰が経営状況に大きな影響を与えているということです。
 これまで、働く者の立場から、海員組合からの情報を基に廃止された場合の影響等について主張をるる述べてまいりましたが、次に、これから私の自分の意見でありますけども、第二国土軸としての重要性についてですが、私自身、数十年前から第二国土軸という言葉が頭の中にあります。それは紀淡海峡大橋や和歌山から徳島を抜け、四国を走る新幹線の計画に夢を抱いておりましたが、様々な課題があり、実際にはまだまだ時間がかかるということは十分承知しております。そうであれば、現在あるこの航路をそれに準じたものにして、和歌山県として徳島県などの理解も得ながら国にも強く訴え、大事に守り、後世に生かしていくことが我々の役目だと思います。
 そのためにも、和歌山県が中心になり、和歌山市、徳島県、そして、徳島市が強力に連携し、存続に向けてあらゆる方策を講じていく必要があります。もちろん、県としても国への要望に盛り込んでおり、宮﨑知事も存続することを望んでいることは十分分かっておりますが、何が何でも存続させるという決意が必要であると思いますが、宮﨑知事のその決意について述べていただきたいと存じます。
 以上です。
○副議長(佐藤武治君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 南海フェリーにつきましては、昨年、フェリーのリプレース費用や運航費助成といった支援の要請があり、和歌山市や徳島県、徳島市とどのような支援ができるか議論を重ね、支援案を提示したところですが、事業継続は困難として、今回の撤退発表に至りました。
 議員御指摘のとおり、和歌山-徳島航路は、本県と四国を結ぶ重要な航路として観光や物流などに大きな役割を果たしているものと認識をしております。昨日も、公益社団法人和歌山県トラック協会の定時総会がありました。そこで、和歌山-徳島航路の存続について協力を呼びかけたところ、近隣の県のトラック協会と連携をして、業界として前向きに対応していくということのお言葉をいただきました。
 引き続き、航路存続に向け、私が先頭に立って、国に対し必要な支援を要請するとともに、新たな事業者による運航継続など、徳島県や和歌山市をはじめとする関係自治体等と連携し、あらゆる手だてを講じてまいります。トラック協会しかり、常に念頭から離れることはありません。議員はもっと力強くというふうにおっしゃいますが、決意の強さは誰にも負けるものではございませんので、引き続き頑張ってまいります。
○副議長(佐藤武治君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、ありがとうございます。
 非常に私はもう知事と長い、若いときからのお付き合いですので、もう知事のお気持ちは十分分かっているつもりなんですが、ここは議論する場ですから、やっぱり言葉として、決意は前向いてとか、できる限りとか、全力でとか、精いっぱいとか、そういった言葉じゃなしに不退転の決意という言葉が欲しいんですが、知事、言えますか、不退転の決意。これ、ネット調べたら──もうこれは別にネットで調べなくてもどこでも載っていますけども──いかなる困難や障害があっても決して意思を曲げず、引き返さないという強い心構えを指しているという言葉らしいんです。不退転の決意というのを、ぜひ知事の口から聞きたいと思います。どうぞお願いします。
○副議長(佐藤武治君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 言葉では、仰々しい言葉では言えるのですが、中身のある言葉で対応していきたいと思っています。誰にも負けない決意でということで頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 非常に慎重を好む、知事らしいお言葉で。ここは私が先頭に立ってというのは、私、非常にこれは前へ一歩出た言葉でいい言葉と思うのですが、私は別に討ち死にせよとは言いませんけれども、やっぱりそれぐらいの覚悟でもってやらないと、この件というのは、私も別に何も組合さんからいろいろ話聞いているだけじゃなく、私自身もいろいろ自分で調べて感じたんですけど、やっぱり非常に和歌山にとって大事な線なんですね。これ輸送業者の方もそうだと思うんです、運送業者の方。もちろん先ほども言いましたように観光業者の方もそうですから、せっかく四国から紀伊半島へ来ようとしても、やっぱり向こうのほうへ行ってしまうんですよね、これがなくなってしまうと。
 だから、もう一度、知事に決意のほど、不退転の決意という言葉が出るかどうか聞きたいと思うんですが、いかがでございますか。じゃ、それに代わり得るもんで近い言葉ありますか。
○副議長(佐藤武治君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 不退転の決意で頑張ってまいりたいと思います。
○副議長(佐藤武治君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうもありがとうございます。私も不退転の決意で応援させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、健康長寿日本一わかやまの実現について、高齢者の社会参加について質問いたします。
 最後に、毎年2回、私、質問の機会をいただいているんですけども、健康長寿日本一わかやまの実現について、これも今後の和歌山県にとって、和歌山を考える上で非常に大事なことなので、何度も述べさせていただいている次第なんですけども、その前に、今日は、お二人の新人の方もいらっしゃるので、なぜ私がこの健康長寿日本一という言葉にこだわるかということを簡単に説明させていただきますと、もう最初に述べたとおり、和歌山県は単なる人口減少県ではなく、全国でもトップクラスの人口激減県であります。しかも、高齢化率も同じくトップクラスの高さであります。
 しかし、その平均寿命が非常に短い県で、おまけに要介護認定率が、これもトップクラスの高さであります。つまり、人は、特に若い人は減り続け、高齢化率が上がる一方、その高齢者が体が弱いとなると、幾ら知事や市町村長並びに我々議員が県や各地域を活性化すると声高に叫んだとしてもしょせん絵空事で、活力なんか出るわけがありません。それだけに、まずお一人お一人が元気で長生きできるこの社会をつくろうということで、健康長寿日本一わかやまというこの標語を、これ私がつくった言葉じゃないんです。
 実は、2008年と2017年の和歌山県長期総合計画、長計にも載っている言葉で、私が毎回議会で口うるさく言うものですから、今年の4月に発表した、同じく和歌山県総合計画の中には載せないような話が一時伝わってまいりました。もちろん私は、それはけしからんと事あるごとに言っておりましたら、𠮷野福祉保健部長が担当者を説き伏せ、今回の総合計画に載ることになりました。やはり健康推進課長として、まだまだ目標には達しておりませんけれども、御苦労されてきただけに、鶴の一声で大きくこのことが前へ進んだということだと思います。福祉保健部長、ありがとうございました。一県民として、感謝の気持ちをお伝えしたいと存じます。
 さて、質問のほうに移らせていただきますけども、今回私が令和6年9月定例会で、この壇上で提示しました都道府県別健康寿命において、平成17年では、全国で和歌山県は──これは平均寿命ですけども──男性で75.06歳で全国で42位、女性で78.45歳で全国で45位。今回、17年後の令和4年、男女とも延びたとはいえ他府県も延びているので、男性77.44歳で43位、女性は80.52歳で46位と、男女ともにランクが下がっており、まだまだ日本一には程遠いと実感しております。
 それから後、現在までのデータはまだ発表されていないということでありますので、現段階ではこの数字を御記憶いただきたいと存じますけれども、そこで改めて申すまでもなく、健康長寿を実現するには、大きく言って3要件が必要であるということは皆さんも御存じのとおりであります。それは、運動、栄養、社会参加であります。
 最近では、特に社会参加が乏しくなると心身ともに老いてくる、つまり弱ってきて要介護になる可能性が高まってくると言われております。もちろん社会参加は個人の自由であり、中には、高齢になってもまだ働かなければならないという方もいらっしゃると思います、それはそれで社会参加されているということになりますが。
 以前、同じ近畿圏でも、男女ともに健康寿命が長い滋賀県と我が県和歌山県を比較、提示したことがあります。その中で、総務省統計局が出している生活行動に関する都道府県ランキングでは、まず、ボランティアの参加率では、これは以下同じですが、滋賀県は全国で第2位、和歌山県は42位、同じくスポーツは滋賀県全国で4位、和歌山県38位、旅行・行楽、滋賀県は5位、和歌山県38位、趣味・娯楽、滋賀県は6位、和歌山県36位、学習・自己啓発・訓練、滋賀県5位、和歌山県28位で、しかも、和歌山県は全国平均をいずれも大きく下回っているということを述べさせていただきました。
 では、老後の社会参加、特に生きがいを持って取り組める社会参加をどのように進めていくか。ここで、そういったことに取り組んでいる和歌山のある団体を紹介させていただきます。
 それは、やはり私が以前紹介いたしましたわかやま100歳大学、資料3を御覧ください。わかやま100歳大学というのがそこにあると思うんですが、これはもう終わりましたけれども、パンフレットで、この3月21、22日にやったものです。このNPOが中心になってやったものですが、これらを含めて、皆さんが健康で安心して生き生きと暮らせる社会づくりを目指し、その思いを達成するため、健康づくりや介護予防に関する課題について調査研究し、元気な質の高い生活を送ることができるような健康支援プログラムを開発し、また検証し、人材育成・教育事業に取り組み、地域で各種健康づくり事業、ここの和歌山保健科学センターでは、シニアエクササイズだとか絵手紙だとかノルディックウオーキングだとか実践しておりますけれども、団体の長も加盟していただいているわけなんですけども、実践し啓発しているNPO法人和歌山保健科学センターで、花王の御出身である市野弘さんが代表を務められております。
 もちろん生きがいは個々人のもので、行政が口を挟むものではないということはよく分かりますけれども、少子化対策のためにできるだけ結婚希望の方にその機会をつくっていこうということで、今までちょっと岸本さんのときは少しそういったことには手出さないようなことを言っておられましたけれども、県もまた、そのきっかけづくりを始めたと先日聞きましたが、老後の生きがいづくりに県はどのように関わり、結果として健康長寿日本一わかやまに生かしていくのか、福祉保健部長、御答弁ください。
○副議長(佐藤武治君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 議員御指摘のとおり、高齢者の健康寿命の延伸を実現するためには、運動、栄養、そして社会参加の3要素が極めて重要であり、特に社会参加の欠如は心身の活力を低下させるフレイルを進行させる大きな要因であることは認識しております。
 本県としましては、高齢者が地域の中で自らの役割を実感し、生きがいを持って暮らせることが健康維持に重要との考えから、県社会福祉協議会と連携し、生きがい健康づくり推進事業に取り組んでいるところです。具体的には、地域活動の担い手育成として、いきいきシニアリーダーカレッジを開催し、地域のニーズに即した活動を牽引するリーダーを養成するとともに、交流の場である地域サロンの運営を支援する高齢者サロン運営アドバイザーの養成に取り組んでおります。
 また、多様な交流機会を創出するため、ゲートボールやペタンクなどのスポーツ交流をはじめ、健康マージャン大会といったレクリエーション活動を推進しているほか、老人クラブが行うボランティア活動への参加支援など、日常生活の中で楽しみながら健康増進を図れる環境づくりに努めております。
 生きがいづくりや地域福祉の増進に当たっては、県と市町村が連携し、地域の実情に即した支援を行うことが重要であります。住民ニーズの多様化や課題の複雑化に対応するため県から専門職を派遣するなど、市町村をきめ細かく支援してまいります。また、議員の御発言にもありましたNPO法人和歌山保健科学センターなど、地域で活動いただいている民間団体の皆様とも、その知見や活力を生かした連携を図ってまいりたいと考えております。
 健康長寿日本一の実現には、いまだ道半ばではございますが、行政の取組はもとより、県民一人一人の意識改革と地域全体での支え合いが欠かせません。今後とも、市町村や関係団体と協力し、高齢者の皆様が生きがいを持って生き生きと輝き続けられる社会の構築に向け、取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。さすがに長く健康推進課長もされていろいろ御苦労されているだけであって、内容はよくお分かりだと思いますが、これ非常に今少子化対策なんかのことでなかなか出会いの機会も少ないということもよく聞いて、そのことについて県がどうするかということで、さっきも言いましたように、岸本知事のときは、これはもう個人的なこと、プライベートなことだからあんまり行政が入るべきじゃないということを言われたかと思いますけれども、これからそんなことも言ってられないということで、また、そういう機会づくりをされるということも聞きました。
 また、まさにこの生きがいづくりについては、これからまだまだ高齢者、我々も含めてなってくるもんですから、ぜひとも、行政が一生懸命するのはそれはもう当たり前のことなんですけども、NPO、先ほど言いました和歌山保健科学センターのような全く無償の奉仕みたいな形で一生懸命されている団体もあるし、ほかにもたくさんあると思います。そういったところと連携しながら生きがいづくり、10人いたら1人でも2人でもそこへ来てやる気になってきたら、我々もそこの保健センター行かせてもらって別に何やっているわけじゃないんですけど、いろいろお手伝いさせてもらっているんですけど、そういったNPOなんかをこの際やっぱり活用するのが一番大事ではないかと思いますので、ぜひともその辺、よろしくお願いを申し上げます。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(佐藤武治君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、こんにちは。本日最終の登壇ですので、いましばらくお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
 新聞報道などによりますと、アメリカとイランの戦闘終結に向けた合意がなされたとのことです。両国の争いに終止符が打たれることにより、これ以上の犠牲者が出ないこと、それはもちろんのこと、ホルムズ海峡の封鎖が解かれ、原油問題の一定の鎮静化が見込める状況となれば、我が国においても、各業界の経済活動や国民の日常生活を脅かしている物価高騰や物資の不足などがこれ以上悪化するとの懸念が和らぐことで、安堵している人も多いものと思います。
 今定例会では、大規模な自然災害から県民の命や財産を守る取組を取り上げますが、様々な要因により困窮する県民の生活を一日も早く以前の状況に戻すことは極めて重要であり、県政、県議会一丸となって県民を支えていくことが私たちの責務であると改めて感じているところであります。
 では、議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問を始めたいと思います。
 まず初めに、このたびの台風6号で被害に遭われました方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 さて、気象庁から、令和8年5月29日より防災気象情報を大きく変更したと発表がありました。自治体や気象庁等から発表される河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮の防災情報について、住民が取るべき行動を直感的に理解しやすくなるよう、5段階の警戒レベルに合わせた数字を付して情報提供されることになりました。レベル3は特に高齢者や障害のある方などの避難に時間を要する人に早めの避難行動を促すもの、レベル4は危険警報で避難を指示するもの、レベル5は特別警報で緊急的な安全確保を呼びかけるなど、それぞれ取らなければならない避難行動を示すものとなっています。
 新たな防災情報が開示された矢先の6月3日未明、台風6号が紀伊半島にも上陸し、線状降水帯が発生しました。那智勝浦町色川では、午前6時までの24時間降水量が370ミリに達しました。気象庁は、午前5時35分、古座川町古座川で災害が発生しているおそれがあるとして、これまでよく耳にしていた古座川町への洪水警報という名称ではなく、古座川に全国初となるレベル5氾濫特別警報が発表されました。ところが、県が発表している被害状況によりますと、同日未明には、太田川の那智勝浦町太田地区でも、堤防から越水して氾濫が発生していたとのことでした。今までなら、恐らく那智勝浦町に洪水警報が発令されていたのでしょうから、太田川での氾濫もイメージしやすかったのですが、今回、まさか太田川でも氾濫しているとは思いもよらず、資料を見て初めて状況を知りました。
 気象庁のホームページの説明によりますと、これまでは全国に約400指定されている洪水予報河川では、指定河川洪水予報として実測と予測水位を基に氾濫注意情報や氾濫発生情報などを発表し、その他の河川では、実測による河川ごとの水位到達情報や市町村ごとに洪水警報、洪水注意報が発表されていました。今回の変更により、河川ごとに発表される氾濫に関する注意報、警報等が新設され、洪水予報河川の外水氾濫を取り扱う情報として運用されます。
 また、これまでなかった河川の氾濫に関する特別警報が新設され、例えば熊野川、レベル5氾濫特別警報といった形で氾濫が差し迫ったことが発表されるようになります。しかし、それは指定された河川に限定されており、和歌山県内で言いますと、特別警報の対象となる河川は、紀の川、有田川、日高川、古座川、熊野川の5河川だけとのことです。特別警報の洪水予報河川以外のいわゆる中小河川に関しては、大雨に関する大雨警報、大雨注意報などとして市町村ごとに発表されるようになりました。したがいまして、この変更に伴い、洪水注意報、洪水警報は廃止されたことになります。
 そこで、質問ですが、これまでの分かりにくさを改善するために変更を行ったことは理解できますが、その名称や内容、また、その際にどのような行動を取らなければならないかということを、流域住民が正しく理解していないと避難行動につながらず、危険な目に遭ってしまうのではないかと懸念いたします。特にこれまで、中小河川における避難行動の判断材料の一つであった洪水警報という名称が移行、集約された理由や背景について、県の認識を県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(佐藤武治君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長小浪尊宏君。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 初めに、今回の台風第6号により被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。県土整備部としては、公共土木施設の災害復旧等に全力で取り組んでまいります。
 さて、議員御指摘のとおり、本年5月29日から新たな防災気象情報の運用が開始されております。これは、防災気象情報の名称に警戒レベル相当の情報を付加し、災害時の避難等の行動に直結する5段階へと整理、統合を行ったものと認識しております。
 具体的には、避難行動の確認を促す警戒レベル2の注意報、高齢者等避難を促す警戒レベル3相当の警報、危険な場所からの全員避難を促す警戒レベル4相当の危険警報、直ちに安全確保を促す警戒レベル5相当の特別警報の各段階の防災気象情報が、河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮の4種類の災害についてそれぞれ発表されることとなりました。これにより、一般論といたしましては、市町村長による避難指示等を通じ、地域住民の迅速な避難行動等につながるものと考えております。
 その中で、議員御指摘の洪水警報でございますが、気象庁等によれば、一般住民を対象としたアンケートにおいて、洪水により河川が氾濫する現象の名前を表現する場合は氾濫のほうがよいという結果が得られたため、氾濫という表現を使い、氾濫警報等として発表されることとなったとのことです。
 また、これまでは、気象庁が市町村等で発表する洪水警報と、議員も御紹介いただいた洪水予報河川のみを対象に河川管理者と気象庁が共同で発表する氾濫危険情報など、複数の種類の情報が発表されてきておりました。これにより情報が二重構造となり、警戒レベルとの関係性も分かりづらいという点が課題となっておりました。
 これらを解消するため、氾濫の危険性を予測できる洪水予報河川については、これまでの氾濫危険情報をレベル4氾濫危険警報等の防災気象情報として発表することとされました。また、そのほかの中小河川の氾濫や内水氾濫の危険性については、大雨に関する情報の中で呼びかけていくこととなり、御指摘の太田川も含め、レベル3大雨警報等とすることとなりました。今回は、那智勝浦町ではレベル3大雨警報、レベル4土砂災害危険警報が発表されていた状況となります。
 災害時に行政から発信する情報は、住民の皆様が命を守る行動を判断するための極めて重要な指標です。県としましては、より迅速かつ適切な対応ができるよう、国等の関係機関とも連携し、今回の事例を検証し、さらなる改善を図ってまいります。
○副議長(佐藤武治君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 これまでの課題解消のために改正されたということですので、県民の安心・安全につながるよりよい指標となるよう、時宜を捉えて検証及び改善をよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 先ほども申し上げましたが、流域住民が避難すべきかどうかを迷っていると、危険を回避するタイミングが遅れ、最悪の場合、命を失うこともあるわけです。我々の紀南地域は、特に豪雨が多い地域とされていますが、加えて、少子高齢化が顕著であり、高齢者の方が1人で暮らしている世帯が増加傾向にあります。答弁にありましたように、解説を聞いたり、気象庁のホームページ上の説明などを読めば、なるほどそういうことかと理解もできますが、わざわざそういった情報を自分から得ることまでされない方、情報内容の意味や変更されたこと自体を御存じない方にも正しい理解と避難行動の必要性を認識していただかなければなりません。特に、高齢者や障害のある方は、危険がすぐそこに迫ってからでは安全な場所まで避難ができるかどうか難しいことになるわけですから、少しでも早めの避難行動が重要になってきます。
 そこで、この新しい情報体系を地域住民へ周知を促すために、今後どのように広報するのか、具体的な取組を県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 県土整備部長。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 新しい基準の運用に伴う県民への周知につきましては、国、県、市町村で連携し、それぞれ行ってきております。
 まず、和歌山地方気象台において、運用開始に合わせ、ホームページ特設サイトやラジオでの広報、駅前でのチラシ配布等の取組をされていると承知しております。県としましても、危機管理部においてXやLINEなど、複数のSNSを通じた情報発信の取組をしているほか、県土整備部では、県の広報紙やテレビ、ラジオなどを通じた広報をしてきております。また、市町村におきましても、順次、広報紙などで住民の皆様に周知していただいております。
 新しい基準の運用は始まったばかりですので、今後とも、国、県、市町村で連携し、引き続き繰り返し広報及び周知に努めてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 災害発生に備えて、早急に周知徹底の取組をどうかお願いいたします。
 その際に、周知や広報を行う上で、特に気をつけていただきたいことがあります。あくまで個人的な見解ですが、専門用語や行政用語については、よく聞き慣れている言葉でも、その意味が正しく伝わらないことがあるということです。例えば、法律用語に善意の第三者という言葉があります。日常生活では、善意はよい気持ちや親切な心を指します。悪意は悪い気持ちや人を害する心を表すと理解されています。しかし、法律の世界では、善意はある事実を知らないこと、悪意はその事実を知っていることを意味します。このように、同じ言葉でも一般の感覚とは違う意味で使われることがあります。
 また、災害時の報道などで、身の安全を確保してくださいと、よく耳にします。この言葉を聞いたとき、多くの人は危険な場所から安全な場所へ移動することを思い浮かべるのではないでしょうか。もちろん、状況によって対応は異なります。例えば、豪雨や暴風の最中に、建物の中にいる場合は外に出ず、窓ガラスから離れることが大切です。また、洪水による浸水の危険がある場合は、できるだけ高い階へ移動することが求められます。つまり、身の安全を確保してくださいという言葉は、必ず避難所へ行くことを指すのではなく、その場で最も安全な方法で命を守ってくださいという意味です。しかし、映像で避難所の様子が繰り返し流されると、警報が出たら避難所に行かなければならないと受け取る方もいるかもしれません。
 何を申し上げたいかといいますと、使う言葉は、誰にでも分かりやすく、誤解のない言葉を使うことが大切ではないかということです。もし気象庁の情報の表現の中に誤解を生みやすい言葉が使われているとすれば、県独自で分かりやすい言葉に言い換えて広報することも丁寧な対応の一つではないかと考えますので、ぜひ御検討をいただければと思います。県民の犠牲者を一人も出さないためのさらなる御尽力をお願いして、次の質問に入ります。
 河川氾濫警報対象河川である熊野川の河川整備についてであります。
 平成23年9月の紀伊半島大水害から今年で15年となります。それだけの年月が経過しても、多くの方々が犠牲になられた悲しみ、目を覆いたくなるほどのあの被災状況の記憶はいまだ鮮明に残っておりますし、その後、全国各地でも同じような大規模土砂災害や浸水被害が発生しております。
 前の質問では避難するための情報について取り上げましたが、それだけでは大規模な自然災害への対策にはなりません。住民の命と財産を守るために、安心・安全を担保するため、また、地域を守るためには、過去の災害状況を踏まえ、事前に防災力を向上させる河川や流域の整備が必要不可欠となります。
 そこで、お尋ねします。
 熊野川については、今回の気象庁の変更でも河川氾濫警報の対象河川になっていますし、これまでの災害の経験からも、地域住民にとっては非常に関心の高い河川であります。これまで、国や県にも大変な御尽力をいただきましたが、平成23年紀伊半島大水害以降、直轄管理区間や県管理区間においてどのような河川整備が行われてきたのか、今年も台風シーズンを迎えるに当たり、改めて、県土整備部長に説明を求めたいと思います。
○副議長(佐藤武治君) 県土整備部長。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 熊野川は、河口から約5キロメートルは国直轄管理、それより上流は和歌山、三重、奈良各県による管理となっております。平成23年の紀伊半島大水害以降、奈良県境より下流で、合計約592万立方メートルの掘削を行っております。内訳は、国が約333万立方メートル、本県が約91万立方メートル、田辺市が約63万立方メートル、残りは三重県や民間企業による掘削や砂利採取となります。
 また、日足地区の輪中堤が令和4年度に完成し、隣接する能城山本地区の輪中堤につきましても、今年度の概成に向け整備を進めております。
 今後とも、第1次国土強靱化実施中期計画に関連する予算等を最大限活用し、国に対してはさらなる事業推進を働きかけるとともに、県管理区間の事業を推進してまいります。
○副議長(佐藤武治君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。熊野川の掘削、しゅんせつ、輪中堤の整備、また、国土強靱化等の国の支援への働きかけを引き続きよろしくお願いいたします。
 次は、南海トラフ地震に関する質問をさせていただきたいと思います。
 地震動予測及び津波浸水想定結果に伴う対応についてであります。
 内閣府が南海トラフ巨大地震の被害想定を見直したことなどを受け、県が公表した南海トラフ地震における地震動予測及び津波浸水想定についてお尋ねします。
 公表資料によりますと、約100年周期で発生している発生頻度の高い地震と、数千年から数万年周期の最大想定である最大クラスの巨大地震の二つの予測について、それぞれ前回公表された平成25年と26年の想定と比較されています。それによりますと、発生頻度の高い地震と最大クラスの巨大地震のいずれも、一部の市町村では変化があったことが確認できます。
 まず、地震動の予測についてですが、紀南難地域では、那智勝浦町、太地町で発生頻度の高い地震の最大震度が前回の震度6弱から震度6強と、より強い予測になっています。また、津波の到達時間については、最大クラスの巨大地震について、那智勝浦町、太地町、串本町で津波高1メートルの到達時間が1分から2分早くなっております。公表後の報道では、前回と比較すると、串本町などで津波の到達時間が短くなったことなどが大きく取り上げられていました。特に紀南地域では、もともと津波の到達時間が短かったところですが、さらに短縮されたことで不安に感じた方もいらっしゃるのではないかと察するところです。あまりにも厳しい想定を見て、逃げることを諦めてしまう人が出てくることは、何としても避けなければならないと考えています。
 そこで、今回の地震動予測及び津波浸水想定の公表を県民の皆さんの安全・安心にどうつなげていくのか、危機管理部長にお尋ねします。
○副議長(佐藤武治君) 危機管理部長中村吉良君。
  〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 今回発表しました地震動予測及び津波浸水想定につきまして、前回の平成25年及び26年の想定と比べ、県全体では大きな違いはありませんが、詳細な直近の地形データ等を反映した結果、一部の市町村で最大震度や津波到達時間等が変動しております。
 ただし、この最大震度、津波高、津波到達時間は、市町村における1地点を示す代表値でありまして、当該市町村全域がその数値になるものではございません。
 このため、県民の皆様には、今回の結果に一喜一憂することなく、市町村が作成するハザードマップで御自身がお住まいの地域のリスクや指定緊急避難場所などを把握していただき、今までどおり、住宅耐震化や家具固定等の自助や地域での避難訓練等の共助の取組を進めていただくことが重要でございます。
 県では、これまでも出前講座やテレビ、ラジオなどで啓発に努めてきたところであり、今後も市町村と連携して、正しい情報に基づく適切な避難や事前の備えにつながるよう、なお一層、広報、啓発に取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 続きまして、地震動予測及び津波浸水想定を踏まえた被害想定の公表についてお伺いいたします。
 昨年の12月定例会における山家議員からの被害想定の進捗に関する一般質問に対し、危機管理部長は、国の被害想定が延期されたこと、また、国の被害想定に時間差で発生する地震や災害関連死等の項目が新たに追加されたことを受け、県としてもこれらに対応する必要が生じたため、被害想定の公表を令和8年に延期する旨の答弁がありました。
 被害想定については、死者数や負傷者数等の人的被害や家屋などの全壊・半壊数などの建物被害を示すものであり、県民の生命、財産に関わる非常に重要なものであると考えます。平成26年に県が発表した被害想定では、南海トラフ巨大地震で死者数が最大約9万人、全壊棟数約15万9000棟という非常に甚大な被害が示され、県民にとって非常に強い衝撃であったと思います。
 どうすれば被害を減らすことができるのか、自分自身で身を守るための備えはどうすればいいのかといった自助に関することや、地域で協力して災害に備える共助について、県が行う防災・減災対策と併せて示すことで、県民に前向きに受け止めてもらう必要があると考えます。
 そこで、危機管理部長にお伺いいたします。
 被害想定の公表に際して、県の防災・減災対策だけでなく、県民の自助や共助の推進につながる項目も併せて示すべきであると考えますが、部長はどのようにお考えでしょうか、公表スケジュールと併せてお答えください。
○副議長(佐藤武治君) 危機管理部長。
  〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 大規模災害時に、国や県、市町村による公助だけでは被害の拡大を防ぐことには限界があるため、自分の命を自分で守る自助と、ふだんから顔を合わせている地域や近隣の人々が協力し合いながら防災活動に取り組む共助の両方が機能することが大変重要であると考えております。
 このため、被害想定の公表に当たりましては、単に被害の数値を示すだけではなく、早期避難率の向上により被害がどの程度軽減されるのかを対比する資料を提示するとともに、日頃の備えによりどのように被害を避けることができるのかを地震発生後の時間経過に応じたモデルケースでお示ししたいと考えております。
 これらを盛り込んだ被害想定とともに、その結果を踏まえた防災・減災対策を併せて、今年度のできるだけ早い時期に公表できるよう取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 こういう話を聞くたびに思い出すんですけども、それは、何度も視察で訪れた高知県黒潮町、2012年3月にこの町に激震が走ったのは、国が南海トラフ巨大地震の際の津波想定を高さ約34メートルと公表したことによるものでした。
 視察時に町の関係者から伺った話によりますと、翌朝の新聞には津波で町がなくなるといった報道があり、そのことを知った町民の思考は停止し、諦めムードで町中は静まり返ったそうです。しかし、町長が全職員を集め、今後、後ろ向きな発言はやめよう、この課題については職員全員で対応しようという言葉に、町民の絶望を希望に変えようと町職員を中心に奮起し、避難路の整備や避難タワーの建設に加えて、防災教育や避難訓練などを組み合わせた対策に取り組んだそうです。避難放棄者ゼロ、犠牲者ゼロを目指し、行政、地域住民それぞれが全てのことを一つずつ実行に移してきた結果、日本一危険な町から防災の先進地へと変貌を遂げました。
 本県もそれに倣って、防災力を向上することに努めていただきますよう、引き続きの御尽力をお願いいたします。
 それでは、最後、四つ目の質問に入らせていただきます。
 県有施設での紀州材利用についてであります。
 和歌山県は古くから「木の国」と呼ばれ、強くて美しい紀州材の産地として全国的に知られています。私の地元新宮地域では、熊野材とも呼ばれている本県の杉、ヒノキは、その強度や色合い、目合いのよさなどから、建材としてとても優秀な木材であると、建築業界でも高く評価されています。
 本年3月、本県農林水産部の林業振興課では、紀州材を使用した公共施設の木造・木質化等を支援するモデル事業の対象となった建築物を中心に紹介する事例集「きのくにわかやま木造建築のススメ2026」を和歌山県木材協同組合連合会、一般社団法人和歌山県建築士会編集の下、発行しています。
 紀州材の需要拡大を図るとともに、環境や人に優しい木材のよさを広くPRし、地方自治体が木造公共施設等を建築する際の参考にしてもらうことを目的とした冊子でありますが、それによりますと、県が整備する公共施設のうち、低層の建築物については木造とすることを原則とするなど様々な取組を実施してきましたが、近年は、大空間が必要な建築物や高層の建築物についても技術開発や施工時の工夫が広がり、木造化が実現していることから、本県でも、低層以外の建築物についても積極的に木造化に取り組むと書かれています。
 また、温暖化対策の観点では、令和3年10月1日に脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律、通称、都市(まち)の木造化推進法が施行され、カーボンニュートラル実現に向けて、十分に育った成木を切り、その後、苗木を植えて育てるという循環型林業の推進が掲げられています。和歌山県総合計画におきましても同様であります。
 樹木による二酸化炭素の吸収作用は、育ち切った成木よりも苗木から成長する段階における期間のほうが効果を発揮するとも言われています。「伐って、使って、植えて、育てる」という循環サイクルの中の「使って」の部分、建築物への木材利用によっても、二酸化炭素の吸収のみならず、炭素自体を固定させる効果が見込まれることから、資材調達から現場施工、将来的な維持管理や解体に至るまで、建築に関わる全ての過程で排出される二酸化炭素量について、各工程における環境への影響を定量的に評価し、削減する取組も広がっています。
 このように、林業振興だけではなく、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けて、特に重要であると考えられています。そういった観点からも、脱炭素先進県を目指す県としては、和歌山県木材利用方針に基づき、県有施設の木造・木質化による紀州材利用を強く推進することが重要であり、責務ではないかと私は強く考えます。
 しかしながら、その木材需要は、昨今の住宅価格の高騰などに伴う住宅着工数の減少などによって低迷しており、住宅以外での新たな需要の構築が重要な課題となっているところでありますので、県有施設の木造・木質化に積極的に取り組むことは、市町村の公共建築物や民間の非住宅建築物への模範となり、さらなる木材利用への機運向上につながると考えます。
 そこで、質問ですが、県は既に、現在、御坊市内の県営住宅下富安団地の建て替えを県有施設としては初の木造3階建てで進めていることも聞いていますが、県有施設での紀州材の利用状況や利用に向けた課題並びにその対策や今後の利用に向けた方針について、県土整備部長の御所見をお伺いします。
○副議長(佐藤武治君) 県土整備部長。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 県有施設での紀州材の利用は、本県林業の発展や脱炭素社会の実現に向け、極めて重要と考えております。このため、公共建築についても、平成24年に策定した和歌山県木材利用方針に基づき、平成29年に公共建築工事木材利用マニュアルを策定し、木造化、木質化を進めてきたところです。
 これまで、ドクターヘリ格納庫、熊野高校講堂、吹上職員住宅、河西公園水泳場管理棟などの低層建築物を木造で整備してきたほか、議員御指摘のとおり、県営下富安団地の建て替え事業においては、県有施設としては初めて木造3階建てで計画し、現在、発注に向けて準備を進めているところです。
 一方で、中高層の大規模な建築物の木造化については、技術力の確保や木材の安定調達が課題と考えております。県としましては、他府県の事例や最新の技術も参考としつつ、こうした課題に対応し、市町村や民間建築物の模範となるよう、公共建築物における紀州材の利用拡大について、引き続き取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 次の質問に入ります。
 昨年10月に、木造建築物の知見を深めるため、秋月議員の計らいにより、鈴木德久議員、山家議員と私の4名と県担当者らも同行し、京都府の京都木材会館や京丹波町役場などの視察を行いました。この内容については、昨年12月定例会で山家議員から報告があったとおりであります。
 そして、本年5月には同じく4名と尾崎要二議員も参加され、海南市において紀州材を使用したツーバイフォー工法により建設中の特別養護老人ホーム南風園、養護老人ホーム白寿荘の現場を訪問し、設計内容や発注方式等について説明を受けました。
 その説明の中で驚いたのが建築工事の発注方式であります。建築工事と木材調達をそれぞれ発注する、いわゆる材工分離発注という発注方式でありました。この現場は、規模が大きく、大量の紀州材を使用することから、木材の調達には原木の切り出しから製材、乾燥など、約6か月間と多大な時間を要するため、材工分離発注方式を採用したとのことでした。結果として、木材調達が順調に行われるとともに、調達に係る流通コストの削減効果もあり、計画的な作業の実施や建設コストの縮減にもつながり、非常に有効な発注方法だと施主や請負事業者の双方から説明があり、我々議員もその発注方式に大変興味を持ちました。
 今後、本県において、大規模な県有施設の新規建設、また、建て替え時期を迎える施設が出てきた際に、木造・木質化を積極的に取り組もうとする中で大量の紀州材を使用することになると思いますが、その安定的な調達と流通コストの削減を考慮すると、材工分離発注の手法が効果的ではないかと考えられます。
 そこで、お尋ねします。
 視察先の京都府内の施設では、既に材工分離発注により発注が行われておりましたが、本県では、今後、大規模な県有施設の木造建築を実施する際に、材工分離発注方式の導入に向けた考え方や課題、対策について、県土整備部長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 県土整備部長。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 木造建築工事においては、木材の品質、規格、納期及び供給量が工程や建物の品質に大きく影響いたします。このため、適切な木材調達が非常に重要です。一般的には、民間住宅で広く使われ、調達しやすい無垢の紀州材を用いた設計とすることで、適時適切な調達が容易となり、県営下富安団地についても、この考えに基づき設計しております。
 今後、さらに紀州材の活用を進めるには、中高層の大規模な建築物においても集成材等を活用した木造化を図っていくことが有効であります。一方、大規模建築物においては、材料の調達期間の長期化による工程への影響が課題となります。このような場合、議員御指摘のいわゆる材工分離発注方式は、有効な解決策の一つとなり得ます。
 材工分離発注方式は、発注者、納入業者、施工者の関係が複雑になるため、品質管理や責任分担の明確化などの課題もありますが、今申し上げたような特殊な材や大量の材が必要であり、調達期間が工程に影響を及ぼすような場合においては、関係者の意見も伺いながら課題を整理しつつ、有効な発注方式の一つとして検討してまいります。
○副議長(佐藤武治君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁いただきました。今後、紀州材利用促進につながるように、いろいろと選択肢の一つとして御検討いただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(佐藤武治君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、6月22日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時30分散会

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