令和8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
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令和8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号
議事日程 第4号
令和8年6月18日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(41人)
1番 上山寿示
2番 岡本安弘
3番 鈴木德久
4番 玄素彰人
5番 森 礼子
6番 濱口太史
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 土井裕美子
10番 山家敏宏
11番 北山慎一
12番 鈴木太雄
13番 岩田弘彦
14番 吉井和視
15番 中村裕一
16番 坂本佳隆
17番 三栖拓也
18番 堀 龍雄
19番 秋月史成
20番 新島 雄
21番 山下直也
22番 高田英亮
23番 川畑哲哉
24番 佐藤武治
25番 谷口和樹
26番 山田正彦
27番 坂本 登
28番 岩永淳志
29番 小川浩樹
30番 中尾友紀
31番 岩井弘次
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 尾﨑太郎
35番 藤山将材
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 谷 洋一
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
36番 欠員
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説明のため出席した者
知事 宮﨑 泉
副知事 友井泰範
理事 北廣理人
知事室長 真田有理
総務部長 山本祥生
危機管理部長 中村吉良
企画部長 北村 香
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 湯川 学
共生社会推進部長 杉本吉美
福祉保健部長 𠮷野裕也
商工労働部長 今井善人
農林水産部長 川尾尚史
県土整備部長 小浪尊宏
会計管理者 阪木守彦
教育長 今西宏行
公安委員会委員長 岸田正幸
警察本部長 壱岐恭秀
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 田嶋久嗣
選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 中嶋 宏
次長 岩井紀生
議事課長 岸裏真延
議事課副課長 伊賀顕正
議事課課長補佐兼議事班長
川原清晃
議事課主査 川崎競平
議事課副主査 中川佳美
議事課副主査 長田和直
総務課長 岩谷隆哉
政策調査課長 田中 匠
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午前10時開議
○議長(堀 龍雄君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第76号から議案第94号まで並びに報第2号及び報第3号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
42番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、以下通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
昨日は山下議員、あしたは浦口議員と、南海フェリーの件について質問をされるようでありますが、私も私なりに質問をさせていただきます。
一つ目、南海フェリーの和歌山徳島航路の存続についてであります。
南海電気鉄道株式会社は、本年3月30日付で、このたび子会社である南海フェリー株式会社の営むフェリー事業から撤退することを発表しました。
事業撤退は、南海側がフェリーの老朽化に伴う更新費用を捻出できなかったことが要因の一つとされています。
2024年度、南海側から4県市に対し、来年度中に「かつらぎ」を更新するか判断したい、行政から何らかの支援をもらえないかと話があったといいます。
協議を続ける中で、南海側が2025年夏に提示した航路継続の条件が4県市による船体更新費用40億円超の全額支援、運航経費の赤字補塡の二つだったといいます。4県市は、民間航路であり、二つの条件に応じるのはハードルが高いと判断、代わりに船体更新費用の貸付けや一部補助なら他の地域で事例があるがどうかと投げかけたものの、南海側は二条件そろうのが必須との姿勢を変えず、協議は折り合わなかったといいます。
事業撤退時期は2028年3月末を目途としていますが、船舶設備等の老朽化や従業員の確保など、安全運航に支障が生じるおそれのある場合には、撤退時期を早める場合があるとのことです。
南海観光汽船株式会社時代に、1956年、和歌山小松島航路が開設され、1975年、南海フェリー株式会社が設立されて、当該航路は譲渡されました。1985年には国鉄小松島線が廃止され、高速船航路が和歌山徳島間に移設されました。1998年に明石海峡大橋が開通、この影響で利用者がピーク時の2分の1以下と大幅に減少されました。1999年4月にフェリー航路が和歌山徳島間に移設され、10月には新造船「フェリーかつらぎ」が就航し、2002年には利用客の減少に伴い高速船事業が廃止され、以降、和歌山徳島間のフェリー航路のみとなりました。2019年12月、新造船「フェリーあい」が就航しました。2020年には新型コロナウイルス感染症拡大によりますます乗客減となり、営業赤字に転落、22、23年度は黒字に回復したものの2024年1月早々、船内売店の営業が終了しました。2024年度は、燃料費や人件費の上昇で赤字に転落しました。それでも、2024年度は乗用車9万台、貨物2万5000台の利用がありました。
私は大学時代、少林寺拳法部に在籍しており、今も続けておりますが、何度か香川県多度津にある本山へ帰山する行き来に南海フェリーを愛用し、おいしいちくわでビールを楽しんだものでした。
徳島県も自転車王国とくしまを名のり、王国コースや公式コース等、多くのコースをつくっており、両県相互のサイクルツーリングを楽しみにしております。正直、残念なことにならないことを祈るばかりであります。
2025年7月調査、6月30日から7月6日、7月19日から21日の3連休、延べ10日間で乗用車・徒歩のお客様は、和歌山県から徳島県へ217名、香川県へ83名、愛媛県へ44名、高知県へ58名が行っています。徳島県からは、和歌山県へ239名、大阪府へ257名来ています。香川県が78名、愛媛県が77名、高知県が59名、来和しています。
トラックでは、和歌山県から徳島県へ319台、香川県へ709台、愛媛県へ268台、高知県へ158台、岡山県へ64台が行っています。徳島県からは、和歌山県へ679台、大阪府へ48台来ていますし、香川県から126台、愛媛県から419台、高知県から260台、和歌山県へ来ています。明石海峡大橋を車で渡らずに、随分南海フェリーを利用していると言える数字であると思います。
徳島県議会は、新しい県政を創る会という5人会派が4月7日、航路存続に向けてあらゆる方策を取るよう求める要請書を後藤田正純知事宛てに提出しました。要請書では、航路存続が必要な理由として、大量輸送が可能で環境面で優位性が高い、トラック運転手の休憩時間が確保でき、働き方改革の面で再評価されている、南海トラフ巨大地震の被災時に避難や物資輸送の手段として重要の3点を挙げ、安易に事業撤退に理解を示すのではなく、人や物の移動を支える選択肢を残すために努力すべきだと訴えました。私も同意見であります。
さらに、豪雨時等の陸路遮断時の神戸淡路鳴門ルートの代替機能、例えば、現に神戸淡路大震災時、約20か月間、徳島(四国)─神戸・大阪間輸送を代替したことなども、今後も期待できますし、2004年に和歌山県、徳島県が船舶による災害時の輸送等に関する基本協定を締結されていますし、災害時には被災者がシャワールームつきのホテル代わりに使用することも、和歌山市と南海フェリーの間で協定を結んでいるとのことであります。
また、南海フェリー独自の取組として、災害時輸送訓練として、2024年12月17日には和歌山県3港、海南港、由良港、日高港を巡航視察、また、2025年6月3日には徳島県2港、橘港、小松島港を巡航視察しています。
本県においても、このまま事業撤退を手をこまねいて待つのではなく、でき得る限りの手段で南海フェリーを存続する手だてを講じていくべきであります。
そこで質問ですが、一つ目、和歌山徳島間の航路存続について、宮﨑知事の率直なお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 長坂議員の質問にお答えをいたします。
昨日の一般質問において答弁をいたしましたとおり、和歌山徳島航路は、長年にわたり和歌山県と四国を結ぶ航路として、これまでも物流や観光などで大きな役割を果たしてきてくれました。四国とのつながりがなくならないように航路を残してまいりたいと考えております。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 船の老朽化、乗客の減少があるとはいえ、貴重な物流観光資源であり、災害時、陸路が途絶えた際には、かけがえのない輸送手段となり、フェリーはなくてはならない、しかも残していかなければならない存在であります。
2点目に、これまでも平成21年度から3年間、国と和歌山県、徳島県が連携して、和歌山徳島航路の維持と活性化のための需要喚起事業を行ったり、和歌山徳島航路活性化協議会による利用促進として、地域公共交通活性化再生法に基づき、和歌山、徳島両県市と事業者などで協議会をつくり、利用促進施策を実施したり、コロナ禍での運賃助成ということで、和歌山県の和歌山徳島航路需要回復事業補助金などを活用し、フェリー運賃の一部を助成する観光キャンペーンを行ったり、徳島県のモーダルシフト補助として、トラック事業者が南海フェリーを利用する場合、徳島県の補助制度を通じて、1台当たり1万円プラス燃料油調整額を助成する仕組みが設けられたりしてきました。
また、国土交通省が行う補助事業で、荷主と物流事業者などで構成する協議会がトラックから鉄道、船舶などへの転換を進める取組を支援する制度があります。トラックからフェリーやRORO船への転換、共同輸送や中継輸送の仕組みづくり、必要な設備導入費用などが対象になり得ます。南海フェリーとの組合せも仕立て方によっては検討余地があるかもしれません。
また、奈良県まで足を延ばして、運送会社やバス会社に京奈和自動車道を利用して四国と行き来するといったセールスを行うとか、南海フェリーに代わる新しい事業者を探すとか、本県が船舶等を保有し、民間事業者が運航を行う、いわゆる上下分離方式を採用するとか、和歌山県、徳島県、また、和歌山市、徳島市、そして南海フェリー、あるいは新しい事業者が協調して、自治体も相当部分の負担をする覚悟で、国に早期に存続のための支援を働きかけていただくなどに取り組む必要があると思いますが、地域振興部長、いかがでしょうか。
○議長(堀 龍雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 和歌山徳島航路の存続に向けては、議員御指摘のように、でき得る限りの手段を講じるべきであると考えております。
国土交通省が行う船舶への転換を進める取組については、物流生産性向上等の観点から重要であると考えますが、和歌山徳島航路は、厚生労働省告示の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準における休息期間と認める3時間には満たないため、利用促進を図る手段としては難しいと考えております。
また、上下分離方式については、国は離島航路に対して船舶取得金額の3割を補助する制度を設けていますが、本航路は対象とならず、多額の負担が生じることとなります。
県といたしましては、船舶リプレース費用や内航フェリー維持に対する補助制度の創設を国に要望するとともに、新たな事業者による運航継続など、徳島県や和歌山市をはじめとする関係自治体等と連携し、引き続き航路存続に向けてあらゆる手だてを講じてまいります。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 老朽化した船の新造船の必要性、乗客減少、陸路に比べて輸送運賃が高いものにつくなど、厳しい環境にあることは承知しておりますが、様々な魅力のある、利用価値のある航路であります。また、ドライバーにとっても2時間有余の休息は、何物にも代え難いメリットであります。
事業者の存続のための経営努力はもちろんのこと、和歌山県側、徳島県側、それに他府県の方々にも需要のあることだけに、国を中心として行政側にも何らかの手だてを打っていただきたいと思います。有余はあと2年足らずとはいえ、最善の御尽力はそれぞれに行っていただきたいと思います。
2点目に、ドクターヘリについてであります。
昨年、全国10都府県でドクターヘリ10機が、操縦士のサポート役として同乗が必要な整備士を確保できず、それぞれ40日から54日にわたって断続的に運休するという事態が発生しています。
整備士不足による運休があったのは、関西広域連合を構成する和歌山県をはじめとする近畿6府県と鳥取県、徳島県のほか、東京都と長崎県の計10都府県です。
和歌山県においても、2025年度は計51日の運休日を数えております。運休は2025年7月から断続的に始まり、2026年3月末までに10機合わせて487日に及んだといいます。
昨年度のドクターヘリは、全国で57機配備されており、機体点検や天候不順などでの運休はあっても、厚労省によれば、2025年度に整備士不足を理由とした運休は、この10機だけといいます。
関西広域連合によると、8府県では今年3月末までの運休時に、本来ならドクターヘリが運航すべき事案が445件あったといいます。近隣のドクターヘリや消防・防災ヘリなどで一部は大体収まりましたが、8割超に当たる367件は、ドクターカーや救急車などでの搬送に切り替えたといいます。
兵庫県での2機のドクターヘリが7月から9月に全面運休する見通しだと明らかになりました。この2機は、兵庫県内のほか、京都府北部と鳥取県東部をカバーしています。運航は全て学校法人ヒラタ学園(堺市)が担っているといいます。
ドクターヘリは安全性の基準が非常に厳しく、航空機整備士の中でも経験と資格が必要で、人材の育成に時間がかかるとのことですし、高い専門性に比べて待遇や働き方が厳しい面もあり、志望者が減っていることが指摘されています。
そこで質問ですが、一つ目、昨年度から整備士不足による運休は問題になっていましたが、それ以前にも度々運休はあったのでしょうか、救命救急に問題はなかったのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) まず、運休についてでありますが、整備士不足による運休は昨年度初めて発生したものです。
一方、救命救急という点では、計51日の運休期間中に近隣府県ドクターヘリによる応援や消防・防災ヘリ等の代替手段を確保していたため、現場において問題があったとの報告は受けておりません。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 整備士の確保については、この問題が発生する前から予測可能であったのではないかと思うわけでありまして、人の命の生死に直接関わることでありますから、前々からもっと注意すべきことであったのではないかと思うわけであります。
2点目に、ドクターヘリの運航事業者はヒラタ学園しかないのでしょうか、ほかの事業者は考えられないのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) ドクターヘリ運航事業者は、ヒラタ学園を含め国内で12社あります。
関西広域連合では昨年度まではヒラタ学園のみでしたが、既にヒラタ学園以外の運航事業者が参入していることから、本県においてもヒラタ学園以外の運航事業者による運航の可能性はあると考えております。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、和歌山県のドクターヘリは、2003年1月から和歌山県立医科大学附属病院を基地病院として3県(和歌山県、奈良県、三重県)合同運用の形式で全国7番目、関西初の運航開始となりました。
当ドクターヘリは、奈良県、三重県を含めた紀伊半島全域をカバーするような広域の運航範囲という特徴で、2009年からは大阪府ドクターヘリと、2012年からは徳島県ドクターヘリと相互応援協定を締結し、広域運航による各機出動中の重複要請にも対応できるようにしています。
2012年2月から三重県ドクターヘリが、2017年3月から奈良県ドクターヘリがそれぞれ運航しており、奈良県、三重県とも相互応援協定を締結しています。
2026年には、基地病院にある高度救命救急センターにハイブリッドERを新設し、ドクターヘリ搬送患者を含め、診断から治療までを一体的に行う体制を強化しました。
しかし、近年、運航委託先のヒラタ学園側の整備士不足により毎月数日の運航停止が生じるなど、安定運航に課題が出ていました。この課題を受けて和歌山県は、ドクターヘリの安定運航に向けて県が機体を購入する方針を打ち出し、2026年度予算で約21億円の機体購入を3年の債務負担行為で進めています。
ドクターヘリの製造業者や、それぞれの機体ごとに特徴はあるのでしょうか、また、今後の新規購入の見通しはどのようになっているのでしょうか、宮﨑知事にお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 国内で運航しているドクターヘリは、国内外4製造業者の機体が使用されております。それぞれ大型で航続距離が長いもの、それから小型で小回りが利くもの、速度性能に優れたもの、点検整備時間が短いもの、そういった異なった特徴、それぞれ備えております。
機体購入につきましては、7月に価格と性能を総合的に評価する方式により、入札を予定しております。現在、準備を進めているところで、新機体の完成は結構時間がかかるんですが、令和10年度末を見込んでおります。運航開始は令和11年度からの予定でございます。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、新しい機体を購入されるわけですが、整備士不足の問題はそれで解決するのでしょうか。関西広域連合の構成府県も運航できない状況ですが、機体購入後の運用における懸念と、運航に向けての見通しを宮﨑知事にお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 整備士不足につきましては、全国的に航空整備士志願者が急減していることなどに起因するものでありまして、現状では、整備士不足による運航停止はヒラタ学園だけであります。もともとこれは、在籍していた整備士さんが辞めたり休暇を取ったりということで整備士が足らなくなっていたことが原因であります。
それから、鳥取県や滋賀県、徳島県においては他の運航事業者がドクターヘリを運航している状況であります。これにつきましても、他府県も大変な苦労の末、ヒラタ学園のほうから切り替えて委託をしているわけですけれども、それでも一部十分ではない状況になっております。
一方で、今後、各運航事業者が所有する機体の老朽化に伴い、更新が必要となるものの、機体価格の高騰によりまして更新が進まない状況であると聞いております。
これらのことから、県といたしましては、まずは機体を確保することとし、次に、運航事業者確保に向け積極的に働きかけ、県民に対する救命救急の質を維持できるよう、より確実で安定的な運航体制を構築してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 どうか持続可能な運航体制が取れるように、長期的な視野でのオペレーションをよろしくお願いいたします。
3点目に、英国のゴードンストウン校姉妹校本県開校についてであります。
昨年7月31日、和歌山市長記者会見の席で、英国スコットランドの名門パブリックスクールで、チャールズ3世国王や故エディンバラ公フィリップ殿下も学んだゴードンストウン校が日本で初めて和歌山市に姉妹校を開設することが発表されました。勉学の厳しさと多彩なアクティビティーの実践による人間教育で世界的に知られるインターナショナルスクールであります。
大阪市の学校法人OCCが運営し、和歌山市梅原地区に2027年9月の開校を目指すということです。
昨年8月6日には、OCC、和歌山市、サンヨーホームズ株式会社、株式会社NANKAIの4社がインターナショナルスクール誘致に関する協定書を締結されました。
場所は、南海和歌山大学駅の西方約500メートルに位置する約15ヘクタールの敷地で、敷地内の旧ノーリツ鋼機センタービルを改装して校舎とし、350室規模の寄宿舎や広大なグラウンドを新設します。標高110メートルの高台にあり、津波リスクを避けられるほか、関西国際空港からのアクセスも良好です。
学年構成は、小学6年~高校3年までの7年間で、定員は1学年100人、全体で700人規模、教員数が約200人になります。開校時は小学6年から中学3年までの4学年からスタートします。
授業は原則英語で行い、学費、授業料、寮費などは、年間800万円から1000万円。費用がかさむ要因は、ゴードンストウン校の1対5という、1人の教職員に対し5人の生徒がいるという比率です。生徒は国内外から募集し、日本人比率は約3割を想定します。
また、ゴードンストウン校の中心のコンセプトは、生徒に苦労をさせること、苦労を通じて学んでいくことに重きを置き、セーリングを体現させるといいます。どんなときでも他の生徒と助け合い、協力することを学ぶといいます。和歌山マリーナシティにはセーリングのナショナルトレーニングセンターがありますが、和歌山市にはそんな学びを実現できる環境があると見込んだそうです。和歌山県には高野山や熊野古道などの豊かな文化的遺産にも恵まれていることも併せて学びが多いと判断したといいます。
学校種別は、文部科学省学校教育法第1条校ではなく、各種学校扱いとなります。カリキュラムは、英国本校の教育を基礎に、日本の教育の長所も取り入れるそうです。
1934年にスコットランド北部で創立された同校は、世界35か国以上から生徒が集まる全寮制の名門校です。学業に加え、山登りやセーリングなどのアウトドア活動を必修とし、希望者は大型帆船による遠洋航海も体験できます。生徒を守り、ケアすることを大前提に、言わば管理された失敗、管理された挑戦をする環境を整え、生徒それぞれが学び、能力を伸ばすのだといいます。
海外展開は今回が初めてで、2026年にはアブダビ校も開校予定です。
今回の誘致は、国際的知名度を持つ学校の存在が沿線ブランドを高め、居住、投資需要を喚起するということで、南海電鉄が同校の日本進出意欲を把握し、自社沿線への誘致を和歌山市に打診したことが発端です。
全寮制であっても、保護者や関係者の移動需要は見込め、空港アクセス需要の増加は駅周辺の商業活性化にもつながる可能性があります。高額な費用がかかるので生徒は国内外の富裕層の子供が中心になると思われ、地域とどう関わりを持っていくかも鍵になりそうです。ゴードンストウンはボランティア活動に教育の価値を見いだしているので、英語を使ったボランティア活動などで地域に関わり、貢献していきたいと学校側は語っています。
そこで質問ですが、一つ目、卒業時に日本の大学進学を希望する生徒も当然出てくると思われますが、現時点では、日本のゴードンストウン校は各種学校といったカテゴリーに入りますが、スイス・ジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が提供する3歳から19歳を対象とした国際的な教育プログラムで探求心や批判的思考力を育てつつ、国際的に通用する大学入学資格も取得できる仕組みである国際バカロレアIBを想定した学校と考えてよいのでしょうか、企画部長にお伺いします。
○議長(堀 龍雄君) 企画部長北村 香君。
〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) 学校設置予定者である学校法人OCCによりますと、ゴードンストウン校の日本校では、国際バカロレア機構ではなくケンブリッジ大学の傘下にあり、160年の歴史を持つケンブリッジ国際教育が提供する教育プログラムを想定しているものと聞いております。この教育プログラムのうちケンブリッジ国際Aレベル資格を取得することで、イギリスやアメリカ、日本をはじめ多くの国々で大学入学資格が認められており、国内においては東京大学や東北大学など、評価対象として活用している大学もあります。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 生徒も頑張り次第で明るい将来も見えてくるとお聞きして安心しました。
2点目に、未成年としての外国人の生徒がたくさん入学してきて、それに付随して海外からの父兄等関係者も近辺に住まいを始める可能性も出てきますが、外国人の地域への受入れについて十分考慮に入れておかないといけないと思いますが、企画部長の御答弁をお願いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 企画部長。
〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) ゴードンストウン校の日本校は基本的に全寮制であり、保護者等が外国から近隣に移り住むことは想定されていませんが、近年、県内における在住外国人数は増加の一途をたどり、出身国、地域も多様化しています。
県としては、言語、宗教、習慣等が異なる外国人を同じ地域に暮らす仲間として受け入れ、違いを尊重しながら支え合う社会を実現させてまいりたいと考えております。
現在、県国際交流センターでは、在住外国人支援として、多言語による外国人のための生活相談、県民との各種交流イベントに加え外国人が地域で安心して活躍できるよう無償の日本語教室を開催し、日本語の習得を支援しています。
また、在住外国人に対して、災害発生時の支援に関する情報等を迅速かつ確実に伝えるべく、和歌山県外国人サポートメールを多言語で配信しています。
県では、和歌山県国際交流助成事業補助金を通して、県民による主体的な国際交流事業を支援していますが、在住外国人の増加傾向や県民ニーズを踏まえ、在住外国人支援や多文化共生に資する、より幅広い活動を後押しできるよう来年度に向けて制度の見直しを検討しているところであります。
県としましては、地域住民と外国人の双方が安心して暮らせる環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、将来的にゴードンストウン校が契機となって、和歌山県市が海外に開かれた地域になっていくことは、大変楽しみでもありますが、宮﨑知事におかれては、今回のゴードンストウン校の和歌山市開設をどのように捉えておられますか。
○議長(堀 龍雄君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) イギリスでも名門校と言われているゴードンストウン校の日本校が開校することは、本県としても歓迎すべきことでありますし、同校が日本校を設置するに当たり、この和歌山の地を選んでくれたことにつきましては、素直にうれしく思っております。在日の英国大使にもその話をしたところ、非常に喜んでいただきました。
現在、設置認可の申請中ではありますが、同校では、国内外から広く生徒を募集すると聞いておりますので、本県にとっても国際教育の選択肢が広がりますし、多様な人材が本県に集まるきっかけにもなります。和歌山の地で学び、和歌山に愛着を持った優秀な人材が卒業後グローバルに活躍されることにより、本県の魅力がより一層国内外に発信されることにもつながります。
また、同校が行う地域交流や社会貢献活動、セーリング等の課外活動を通じて、地域の住民や児童生徒、産業界との関わりができていくことが予想されますので、そうした中で、県内で様々な相乗効果が生まれ、地域の活性化に発展することを期待しております。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 我が国にとってもゴードンストウン校のようなスクールが誘致されるのは珍しいケースだと思うので、カリキュラム等、県内の学校とのあつれきが生じないように、既存の学校もゴードンストウン校もそれぞれに準備を整えていただけたらなと思います。
4点目に、和歌山県における外国人児童生徒への日本語教育についてであります。
日本も外国人労働者が増えるとともに、外国人の児童生徒も増加しています。先月26日付の産経新聞朝刊で拝見しましたが、文部科学省も先月25日、外国人の児童生徒の増加に伴う公立学校での教育の在り方を検討する外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議に報告書案を提示しました。文科省もこうして報告書案の取りまとめを急ぐのは、日本語が不自由な子供が急激に増加しているからです。
文科省は25日、公立小中高校で日本語指導が必要な児童生徒が令和7年5月時点で8万4759人だったと明らかにしました。前回調査の5年時点6万9123人より1万5636人も増えました。このうち外国籍の児童生徒が86%を占めています。日本語指導が必要な児童生徒が1人でも在籍する学校は1万2668校で、前回調査から1545校増加し、全公立学校の39.4%に上ります。
報告書の作成に向けた25日の有識者会議では、日本語指導が必要な児童生徒が各学校に数人程度在籍する散在化と母語が多岐にわたる多言語化という二つの課題を踏まえて、支援の在り方が議論されました。
文科省は、報告書案に日本語指導の専門人材が限られる中で散在化への対応施策として、オンライン事業の活用を盛り込みました。
大阪府立大阪わかば高校の高階校長は、作文の添削がオンラインでできるのに対し、実際に書かせるまでは対面指導が効果的だとする例を挙げて、対面とオンラインの組合せが理想だと指摘しました。
群馬県では、外国籍の子供が集中する地域と散在地域が混在している県の特性から、群馬県平田教育長は、集住地域での指導ノウハウを標準化して県が提示し、散在地域を支援する取組を行っていると説明しました。
多言語化を踏まえた外部の専門人材の活用方法についても議論が白熱しました。文科省は指導体制の充実策として、国家資格である登録日本語教員らの積極的活用を報告案に明記しましたが、東京外国語大学の小島教授が、現場を支えてきた実績のある現職教員が逆に日本語教員の資格を取りやすくする制度が必要ではないかと述べました。
文科省は、こうした議論結果を改めて盛り込んだ上で、有識者会議は6月に最終的な報告書を作成し、法改正などを求めていく意向です。
一方、文科省は令和8年度中に日本語指導のガイドラインを作成する予定です。学校現場の参考になるような中身を目指すといいます。
とにかく学校外国籍の子供が日本語学習からドロップアウトしてしまうのは、日本社会にとても大きな損失であるので、彼らの多言語能力などを生かすという視点が重要だと、文科省幹部も述べています。
外国から編・転入学をする子供が増えている大阪市では、児童生徒向けの日本語教室を増やしたり翻訳ソフトを利用したりして指導の充実を図っています。市教委は、言葉の壁や文化の違いによる戸惑いを解消しようと、令和2年に日本語指導が必要な子供の教育センターを開校するなどして体制を整備しています。支援が必要な子供は、市内に17か所あるセンター校に週1~2回程度通い、日本語指導を受けるということです。
6月4日木曜日の読売新聞夕刊によると、外国人の生徒が増えている夜間中学向けに、文科省は初めて日本語指導のガイドラインを作成しました。母語レベルや学習歴、進学を目指すかなど、生徒一人一人に合わせた指導計画をつくるように提案しました。専門の知識や経験がない教員でも指導できるよう校内で連携して取り組むことを求めました。日本語指導だけでなく、通訳のための母語支援員の配置も必要かと思います。
青森県黒石市では、市教委が日本人の児童が多文化を理解し、他者を思いやる気持ちが育ったといいます。
夜間中学は今年4月時点で35都道府県に69校あり、2024年度の調査では、制度の6割超が外国人です。卒業後にも生徒への支援が続くように、地域の日本語教室、ボランティア団体などとの連携を促しています。
指針づくりに向けて、文科省が実施した実態調査によると、回答した59校のうち43校72.9%では、国語や英語を指導する教員が日本語指導を兼務していました。学校の7割は、地域の日本語教室など外部からの支援を必要と回答しています。
文科省の有識者会議では、外国人児童生徒の学習の遅れを放置すると孤立や分断を生み、将来的な社会的負担の増大につながるおそれがあると指摘しています。文科省は、全国的に教育の質を向上させることで就学や就労につなげ、人口減少に直面する日本社会の一員として活躍してもらいたい考えです。
文科省は、2027年度来日直後の子供への支援として、初歩的な日本語を集中的に学ぶ拠点プレクラスを全国の学校内外に設置するためのモデルづくりを始める意向ですし、市町村や学校による外部人材確保などを支援するため、都道府県を中心としたネットワークづくりを後押しする考えです。
和歌山県では、県内在住の外国人はおよそ1万人を超えており、外国人児童生徒の数は把握しておりませんが、児童生徒の日本語指導、成人向けの地域日本語教室、企業内日本語教室などを組み合わせて対応しているのが現状と伺っています。和歌山県国際交流センターもしっかり日本語指導に係る活動をされていることと思います。
そこで質問ですが、一つ目、本県は、外国人児童生徒はまだまだ少ないと思いますが、これから増えてくることも十分予想されます。県教育委員会として、学校に在籍する外国人児童生徒に対してどのような日本語指導を行っているのか、教育長にお尋ねいたします。
○議長(堀 龍雄君) 教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 今後、本県においても外国人など日本語指導が必要な児童生徒は増加してくることが予想されます。
県教育委員会では、市町村教育委員会や関係機関と連携し、日本語指導が必要な児童生徒への支援に努めています。
小中学校では、県内各地に在籍する多様な言語を話す子供への対応等のため、オンラインで日本語指導を実施しています。日本語の習得レベルに応じて講座を受講でき、日本の文化や学校のルールなどについても学ぶことができます。
また、学校生活や授業で使用する基本的な言葉の理解を深めるため、児童生徒の状況に応じて対面による指導も行っております。
高等学校では、オンラインによる日本語指導は実施していませんが、授業の支援や日本語の指導等それぞれの生徒に応じたサポートを行っております。
なお、県立夜間中学である新翔くろしお中学校では、文部科学省作成の夜間中学における日本語指導ガイドラインに基づき、日本語指導が必要な生徒一人一人の個票を作成し、習熟度に応じた丁寧な指導を行っております。
○議長(堀 龍雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 様々な国の子供が来て、生徒が日本語を理解するのに、教育者側の生徒の母国語に対する理解も大きな要素だと思います。試行錯誤の局面も少なくないと思いますので、どうかよろしく御指導をお願いいたします。
最後5点目、和歌の浦の干潟のラムサール条約への登録についてであります。
古代万葉集にもうたわれ、和歌の聖地と呼ばれ、聖武天皇が目の前で刻々と変化する干潟の広がりと、それに続く砂州の片男波、沖に向かって連なる玉津島の眺めに感動し、神が宿る美しい景色を末永く守るように命じたと言われる日本遺産、「絶景の宝庫 和歌の浦」、すなわち和歌山市の景勝地、和歌の浦の干潟を後世に残そうと、和歌山商工会議所が中心となって、湿地の保全を目指すラムサール条約登録を目指した活動をされています。
広義には、西は紀伊水道に臨む瀬戸内海国立公園内の雑賀崎や浪早崎など、東は名草山、南は熊野古道の藤白坂までのおよそ和歌浦湾全体に及ぶ自然景観などの名勝地であります。
私も浅瀬にいる小動物が好きで、片男波に連なる観海閣手前の和歌の浦干潟をのぞきに時々行かせていただきます。
昨年7月18日には、和歌山商工会議所主催で干潟を生かした地域づくりについてをテーマにシンポジウムが開催されました。
私が小学校低学年の頃、よく潮干狩りに出かけた手前の辺りには、小さな巻き貝類や、片一方のはさみが大きなハクセンシオマネキなどのカニ類がいて、浅瀬にはトビハゼやカレイやチヌの稚魚がいたことを覚えています。
去る5月31日日曜日には、今年も学習会、和歌の浦干潟の魅力体験会が開催され、子供たち中心にたくさんの皆様が集まったと聞きます。
ラムサール条約は湿地の保全に関する国際条約で、1971年2月2日に制定されています。和歌川河口に広がる和歌の浦の湿地は、広さ約47ヘクタールと言われ、近畿でも最大規模を誇るようです。カニの一種ハクセンシオマネキや貝類のイボウミニナなどの絶滅危惧種も含まれていて、国の重要湿地に選ばれています。
シンポジウムには、基調講演で和歌山大学教育学部の古賀庸憲教授が和歌の浦干潟に生息する生物について紹介し、面積から想像できないほどの豊かな生物層があり、全国的に減少している干潟の意義や、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を正式名称とするラムサール条約の登録条件などについて話されたそうです。
奈良女子大学名誉教授で県立自然博物館の和田恵次館長が和歌川河口域で行ってきた水底生物の調査研究を紹介されました。
条約の登録には、1、国際的に重要な湿地であること、2、国の法律、自然公園法、鳥獣保護管理法などにより、将来にわたって自然環境の保全が図られること、3、地域住民などから登録への賛意が得られることが挙げられます。十分クリアしている部分もありますし、地域住民を先頭に和歌山市周辺でさらに登録に向けて盛り上げを呼びかけて、この和歌の浦干潟の穏やかで美しい自然をぜひラムサール条約に登録するために、格別の御尽力をいただきますよう要望させていただきます。
これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
17番三栖拓也君。
〔三栖拓也君、登壇〕(拍手)
○三栖拓也君 おはようございます。自由民主党県議団の三栖拓也でございます。令和8年6月定例会におきまして、質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。
まずは大項目一つ目、和歌山の温泉ブランドの価値向上について質問をいたします。
和歌山県は日本を代表する温泉県の一つです。その強みは、単に温泉地が数多く存在することではありません。源泉そのものに価値を持つ本物の温泉が今なお各地に受け継がれていることです。
日本三古湯に数えられる白浜温泉、日本三美人の湯として知られる龍神温泉、我が国最古の湯垢離場とも言われ、世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道の構成資産でもある湯の峰温泉をはじめ、全国有数の湧出量を誇る勝浦温泉、河原から温泉が湧き出る全国でも珍しい川湯温泉、良質な泉質で親しまれる椿温泉など、本県には、歴史や泉質、景観など、それぞれ異なる魅力を持つ温泉地が数多く存在しています。
これらの温泉は、古くから湯治文化を育み、人々の健康を支え、旅人を癒しながら地域の暮らしや歴史とともに受け継がれてきました。今日では、本県を代表する観光資源であることはもちろん、和歌山ブランドを支える貴重な地域資源でもあります。
その中でも、源泉かけ流し温泉は、日本の温泉文化を象徴する存在です。湧き出た温泉本来の香りや肌触り、それぞれの温泉地が持つ泉質の個性を感じられることに大きな価値があり、古くから人々を癒やしてきました。現在も本県の旅館や公衆浴場では、源泉本来の魅力をできる限り損なうことなく、お客様に安心して温泉を楽しんでいただけるよう、日々の清掃や浴槽管理など公衆衛生の確保にも真摯に取り組みながら、この貴重な温泉文化を守り続けています。
こうした源泉かけ流し温泉をはじめとする日本の温泉文化は、現在、全国の温泉地や自治体、関係団体が一丸となり、2030年のユネスコ無形文化遺産登録を目指す取組が進められるなど、その価値が改めて見直されています。
私は、このような流れの中で、本県が有する源泉かけ流し温泉という強みを観光振興や地域ブランドの向上にも生かしていく視点が今後ますます重要になると考えております。その一方で、その価値を持続的に高めていくためには、源泉本来の魅力を守ることと、利用者に安心して温泉を楽しんでいただくための衛生管理の両立が欠かせません。
これまでも全国ではレジオネラ属菌による集団感染事例が発生し、公衆浴場や旅館における衛生管理の在り方が社会的な課題となってきました。こうした事案を受け、国では、公衆浴場における衛生等管理要領の改正などを通じて公衆衛生対策の強化が図られ、本県においても令和3年に和歌山県公衆浴場衛生基準等に関する条例を改正し、衛生管理基準の見直しが行われたところです。
利用者の安全を守ることは、行政にとっても事業者にとっても最も重要であり、公衆衛生の確保を徹底するという前提があるからこそ、人々が温泉を楽しめるということを忘れてはなりません。
一方で、温泉は泉質によって成分やpHが大きく異なり、塩素系薬剤による消毒との相性も一律ではありません。例えば、アルカリ性の温泉ではpHが高くなるほど殺菌力の強い次亜塩素酸の割合が低下し、塩素系薬剤の消毒効果が弱まりやすいとされています。一方、酸性の温泉では塩素ガスの発生や臭気などに注意が必要であり、鉄やマンガンを含む温泉では塩素との反応により着色が生じる場合もあります。厚生労働省のレジオネラ症防止対策マニュアルにおいても、温泉成分と塩素系薬剤との相互作用について事前に十分な調査を行う必要があるとされています。
つまり、温泉の衛生管理は単に塩素を入れればよいというものでもなく、それぞれの泉質や施設の状況を踏まえ、源泉本来の魅力をできる限り損なわずに安全性を確保する視点が重要ではないかと考えます。
実際に県内の源泉かけ流し温泉を営む事業者の皆様からは、利用者の安全を守ることは当然の責務であり、公衆衛生の確保を最優先に考えている。しかし一方で、長年守り続けてきた源泉本来の香りや肌触り、泉質の個性まで失われてしまうことには大きな葛藤があるという切実な声も伺っています。私は、このような現場の思いにも真摯に耳を傾けながら、公衆衛生と温泉文化の価値向上をどのように両立させていくかが重要であると考えています。
さらに、源泉かけ流し温泉の衛生管理について調査を進める中で、国の通知や全国の条例、施行規則等を確認したところ、公衆衛生の確保という目的は共通でありながら、その制度設計や運用には様々な考え方が見られました。
例えば、草津温泉や伊香保温泉などがある群馬県では、県ホームページにおいて、非循環式浴槽、いわゆるかけ流し温泉については、毎日の完全換水や徹底した清掃、水質検査などを前提として、浴槽水の消毒義務はありませんと明記しています。これは公衆衛生を軽視しているということではなく、消毒に代わる衛生管理措置を講じることにより、安全性を確保するという考え方に基づくものです。
また、有馬温泉が有名な神戸市では、神戸市公衆浴場法施行条例及び同施行細則において、循環式浴槽を設けない施設については、循環式浴槽とは異なる考え方で衛生管理基準が整理されています。
さらに、日本一の源泉数と湧出量を誇る大分県では、大分県公衆浴場法施行条例において、浴場に共通する衛生基準と循環式浴槽に適用する衛生基準を区分して規定するなど、設備構造に応じた制度設計がなされています。
このように、公衆衛生の確保という目的は同じでありながら、その具体的な制度設計や衛生管理の考え方には、自治体ごとに様々な整理が見られます。もちろん、それぞれ条例体系や地域事情が異なりますので、他県の制度をそのまま本県へ導入すべきという趣旨ではありません。
しかしながら、全国有数の源泉かけ流し温泉を有する本県だからこそ、こうした全国の知見も参考にしながら、公衆衛生の確保と温泉本来の魅力の両立に向けた衛生管理の在り方について、継続的に研究していくことも重要ではないでしょうか。
その中で、和歌山県公衆浴場衛生基準等に関する条例第7条第7号には、次のように規定されています。「浴槽水は、塩素系薬剤を使用して消毒し、浴槽水中の残留塩素濃度を毎日測定して、規則で定める残留塩素濃度となるようにするとともに、当該測定結果を記載した書類を検査の日から3年間保管すること。ただし、原湯又は原水の性質その他の条件によりこれにより難い場合には、他の適切な措置を講ずること。」
このように本県では、塩素系薬剤を使用した消毒を基本としながらも、原湯または原水の性質その他の条件により、これによることが難しい場合には、ほかの適切な措置を講ずることとしています。
そこでお伺いいたします。条例に規定するほかの適切な措置とは、県として具体的にどのような衛生管理手法を想定し、どのような考え方で運用・指導を行っているのでしょうか。あわせて、全国では様々な制度設計が見られる中、公衆衛生を確保しながら源泉かけ流し温泉の特性を踏まえた衛生管理について、今後どのように取り組んでいく考えかお聞かせください。
○議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
環境生活部長湯川 学君。
〔湯川 学君、登壇〕
○環境生活部長(湯川 学君) 全国的に入浴施設の大型化・多様化が進み、入浴者を楽しませる様々な設備が設置され、人体に重篤な症状をもたらすレジオネラ症の感染増加のおそれがあることから、議員御発言のとおり、国の要領に従い、令和3年に公衆浴場衛生基準等に関する条例の改正を行ったところでございます。
本県は、温泉地を有する観光立県でありますが、非循環式浴槽、いわゆるかけ流し温泉でもレジオネラ属菌が検出された事例を踏まえ、浴場利用者の安全・安心を確保するため、ハード及びソフトの両面から衛生基準を規定しています。
この衛生基準においては、塩素系薬剤の使用を基本としていますが、浴槽水の消毒と同じような安全性を確保しながら、温泉施設の種類や設備の特性に応じた柔軟な措置が可能となるよう、「他の適切な措置」を位置づけており、具体的には、塩素消毒より刺激が少ないモノクロラミン消毒や、泉質への影響が少ない銀イオン殺菌などを想定しております。
引き続き、浴槽水等の衛生状態、清掃、消毒の実施状況や衛生管理の実効性等を総合的に勘案し、温泉施設の衛生基準を満たすよう運用・指導を行ってまいります。
今後、他府県の状況も鑑み、本県の源泉等の特性に応じた衛生管理手法について御提案があり、衛生基準を満たす場合は、積極的に活用していくことで、源泉かけ流し温泉の安全利用と魅力向上につながるものと期待しております。
○議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
○三栖拓也君 今、今後他府県の状況も鑑みながら、本県の源泉等の特性に応じた衛生管理手法について提案があって、さらに、衛生基準を満たすという場合には、積極的に活用していくと前向きなお話をいただいたと思います。
温泉を扱いながら日々事業を行っておられる方々は、本当に衛生管理と、あとはその魅力をどう発信していくかという、このバランスをどう取るかということで、すごく悩まれていると思います。ぜひとも現場の声に丁寧に耳を傾けていただきながら、衛生管理は絶対という基本は漏らさずに、その上で何ができるのかというところを寄り添いながら、対応していっていただけることを期待いたします。
続いて、質問に移ります。
温泉文化のブランドづくりについてお伺いをいたします。
現在、日本の温泉文化は、2030年のユネスコ無形文化遺産登録を目指して、全国の自治体や温泉地、関係団体が一体となって取組を進めています。私も地元白浜町の有志の皆様と共に署名活動などに御協力をさせていただいているところです。
本県においても、この動きを単なる文化遺産登録への取組として捉えるのではなく、和歌山が世界に誇る温泉文化とは何かを改めて見詰め直し、その魅力をさらに高める絶好の機会にすべきであると考えます。
私は、本県の温泉の価値とは、単に温泉が湧いているということではないと思っています。白浜温泉や椿温泉、龍神温泉や湯の峰温泉など、それぞれの温泉地が長い年月をかけて守り育ててきた源泉、その土地ならではの泉質、歴史や文化、そして、人々の健康を支えてきた温泉文化こそが本県ならではの本質的な価値ではないでしょうか。
近年では、健康志向や滞在型観光への関心の高まりを背景に、温泉は心身を整え、健康を育む地域資源として改めて注目されています。その地域資源としての価値は、温泉そのものだけで完結するものではありません。それぞれの温泉地が持つ源泉や泉質の個性があるからこそ、その土地ならではの歴史や文化が生まれ、人々を癒やし、今日まで受け継がれてきた温泉文化が息づいています。
これからの和歌山県の温泉政策においては、源泉や泉質という地域固有の資源を生かしながら、その土地の歴史や文化、人々との触れ合い、そして温泉にゆっくりと身を委ね、心身を癒やす時間そのものまで含めて、和歌山ならではの温泉体験として磨き上げていくことが重要であると考えます。
そして、その温泉体験の根幹を支えているのが長年守り育てられてきた源泉や泉質です。この魅力を将来にわたって守り、さらに磨き上げていくためには、温泉文化を発信するだけではなく、源泉や泉質の魅力をできる限り損なうことなく、安全性を確保するための技術や取組にも目を向ける必要があります。
例えば、先ほど環境生活部長から答弁いただきましたように、施設や泉質の特性に応じてモノクロラミン消毒、オゾン殺菌、紫外線殺菌など、塩素系薬剤以外の衛生管理手法を活用し、本来の香りや肌触りへの影響を抑えながら、公衆衛生を確保しようとする取組も進められています。
こうした取組は、単なる設備投資や衛生管理上の負担ではなく、和歌山が誇る源泉かけ流し温泉の魅力を守り、将来の温泉ブランドを育てていくための前向きな投資として捉えるべきではないでしょうか。
もちろん、公衆衛生の確保は絶対に欠かすことのできない大前提です。しかし、その安全性を確保した上で、温泉本来の魅力を守り、さらに磨き上げることで、安心して本物の温泉を楽しめる和歌山という評価を国内外へ発信していくことこそ、本県ならではの温泉ブランドの確立につながるものと考えます。
また、こうした和歌山の温泉文化を今日まで守り続けてきたのは、長年にわたり源泉や泉質を大切にしながら営業を続けてきた旅館や公衆浴場など、地域の事業者の皆様です。こうした事業者の皆様の努力を観光政策の中でもしっかり位置づけるとともに、本県の温泉文化を次の世代へ受け継ぎ、国内外へ発信していくことが2030年を見据えた本県の重要な使命であると考えます。
そこで知事にお伺いいたします。2030年ユネスコ無形文化遺産登録を見据え、県では現在どのような取組を進めているのでしょうか。また今後、源泉や泉質、湯治文化など、和歌山ならではの本質的な価値をどのように磨き上げ、温泉ブランドとして国内外へ発信していこうと考えているのでしょうか。和歌山ならではの温泉ブランドの価値向上につなげていく考えについて、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 温泉文化は単なる入浴行為にとどまらず、古くから日本人の心身を癒やしてきた長い歴史を有する日本固有の文化であり、我が国が世界に誇る貴重な観光資源であります。
議員御指摘のとおり、2030年のユネスコ無形文化遺産登録を見据え、公衆衛生の安全・安心の確保を前提に、他の温泉地との差別化を図り、和歌山の温泉ブランドの認知を高めることが重要であります。
本県には、日本書紀や万葉集に牟婁温湯、紀温湯の名で登場し、日本三古湯に数えられる白浜温泉をはじめ、日本三美人の湯として知られる龍神温泉など、歴史ある国内屈指の温泉地が数多く存在しています。
県では、これら歴史のある温泉に四季折々の食や豊かな自然、世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道などを組み合わせ、SNS等を通じて国内外に発信しているところでございます。
今後は、メディアを招聘したファムツアーの実施に加え、温泉入浴前後の生理データや心理データを収集・分析し、それぞれの温泉の効能を可視化することで、温泉客が嗜好や目的に応じた温泉を選択できる取組なども実施してまいります。
温泉と食がもたらす心身のリフレッシュ効果と、豊かな歴史・文化がもたらす精神的な安らぎの効果を融合した新たなブランド価値を創造し、温泉といえば和歌山と想起させる、他地域にない温泉体験を提供してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
○三栖拓也君 ただいま知事から、公衆衛生の安全と安心の確保を前提に、温泉といえば和歌山と想起されるようなブランドの構築を目指していくという力強い御答弁をいただきました。ぜひお願いしたいと思いますし、温泉を感じられるという、今お話の中で、そういう泉質だったりだとか、体験をするというところから感じられる、いわゆるソフト面の充実というのも非常に大切な取組であると思いますし、一方で温泉情緒を感じられるような景観整備であったり、ハード面の整備というものも必要かなと思っております。
白浜温泉に入るところには、今、いろんな方面から入ってくるところに木製のガードレールなんかが整備されておりますし、温泉地へ向かう気分を高めるようなことに一役買っていると思います。そういった面でも景観整備、環境整備のほうも引き続き取り組んで完成を目指してほしいと思いますし、我々も地域と一緒になって温泉文化、温泉情緒を感じられる、そういった環境づくりに取り組んでいきたいと思います。
また今回、この質問をさせていただくに当たって、条例だったりだとか各県の取組なんかを調査をさせていただきました。その中で改めて感じましたのは、和歌山県では、公衆衛生を守るための取組で、関係の職員の皆様が本当に日頃から適切な指導であったり監視を行って、安全で安心な温泉環境の維持に努めていただいているということが分かりました。この場をお借りして、関係職員の皆様に改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。
その安全・安心があるからこそ、多くの方が安心して和歌山の温泉を訪れ、その価値を体感することができます。私は、この安心して本物の温泉を楽しめるということも和歌山の温泉ブランドを支える大切な価値の一つであると思います。
また、モノクロラミン消毒やオゾン殺菌、銀イオンや紫外線殺菌など、施設の実情に応じた新たな衛生管理手法、こういうものの導入を検討されている事業者もいらっしゃると思います。そういう方々に対しては、適切な助言であったり情報提供、安心して取り組める環境づくりに御配慮いただくことを要望して、この質問を終わりたいと思います。
続いての質問に移ります。
大項目2番目の質問に移ります。
続いて、高校通学環境の実態についてお伺いをいたします。
県立高校は県が設置・運営する教育機関であり、住む地域によって教育を受ける環境に大きな差が生じないよう努めることは、県の重要な役割であると考えます。
昨日、紀南地域への大学共通テスト会場の設置について、鈴木太雄議員より質問がありましたが、私も全く同じ思いであります。
私の地元である西牟婁郡では、多くの生徒が田辺市や上富田町などの県立高校へ、自転車や公共交通機関を利用して通学しています。私自身も白浜町から田辺市内まで片道およそ1時間をかけて自転車で通学をしていました。部活動を終えた後、市内の学習塾へ通う日は、塾が終わるのが夜10時頃になります。その時間から自転車で白浜町まで帰宅することは現実的ではなく、多くの日は保護者による送迎が欠かせませんでした。そして、この状況は今も大きく変わっていません。
現在も西牟婁郡では、多くの高校生が長時間の自転車通学を続けています。雨の日には保護者が学校まで送迎し、自転車を車に積み込んで登下校する姿も日常の光景となっています。保護者の皆様からも送迎が生活の一部になっている、部活動や塾がある日は家族全体の負担も大きいといった声を数多くいただいております。
また、このような高校生の送迎や通学環境については、昨年12月定例会において中村裕一議員が一般質問で取り上げられ、送迎環境の整備や通学時の安全確保について提言をされたところです。私もその問題意識は大変重要であると考えています。
一方で、私は今回、この課題を送迎や交通手段の問題だけではなく、高校教育を受ける環境という視点から考えてみたいと思います。
地域では、高校がない以上、時間がかかるのは仕方がない、保護者が送迎するのは当然という受け止め方も少なくありません。また、もっと通学条件の厳しい地域もあるのだから、自分たちはまだ恵まれているという声を耳にすることもあります。しかし、本当にそれでよいのでしょうか。
もちろん、地域によって地理的条件は異なり、全ての地域を同じ通学環境にすることは現実的ではありません。ただし一方で、県立高校の配置によって生じる時間的・経済的な負担については、仕方がないと受け止めるだけではなく、その実態を丁寧に把握し、県全体で共有していくことが重要であると考えます。
私は、通学時間は単なる移動時間でないと考えています。往復2時間近い通学は1日だけの話ではありません。高校生活3年間にわたり毎日積み重なっていく時間です。それは、本来であれば学習や読書、部活動、学校行事、地域活動、さらには十分な睡眠など、高校生が自らの成長のために使うことができる貴重な時間でもあります。
また、その負担は生徒本人だけではありません。送迎や通学費など、保護者が日常的に負担している時間や費用の上に高校教育が成り立っている地域も少なくありません。
私は、まずは、県としてこのような実態を正確に把握し、共有することが今後の高校通学環境を考えていく第一歩であると考えています。
そこでお伺いします。県は、高校が設置されていない地域に居住する生徒の通学実態についてどのように認識しているのでしょうか。地域ごとの通学環境や通学時間の違いについてどのように把握されているのか、お聞かせください。
○議長(堀 龍雄君) 教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 本県では、13町村において県立高校が所在していない状況にあります。これらの地域に居住する生徒は、隣接する市町の高校等に通学しており、地域ごとに通学環境の違いがあることを認識しております。
西牟婁地方においては、白浜町やすさみ町に住む生徒の多くが田辺市、上富田町、串本町に所在する高校に通学することから、学校の近隣に住む生徒と比べ、通学に時間がかかる状況となっております。
通学方法の内訳については、自転車のみでの通学が最も多く、自転車と公共交通を組み合わせた通学が続き、公共交通のみやバイクなどにより通学する生徒が一定数存在しております。
○議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
○三栖拓也君 次の質問に移ります。
和歌山県内における高校が設置されていない地域では、通学時間や通学手段など、地域によって通学環境の違いがあることについて理解をいたしました。
繰り返しになりますが、私はこの問題を単に通学の問題だけで終わらせてはいけないと考えています。高校へどう通うのかという話は、高校生活そのものに大きく関わります。通学に時間がかかれば、学習時間、部活動、学校行事、地域活動、睡眠時間にも影響します。また、雨の日や夜間、部活動や塾の後には保護者の送迎が必要となる場合もあり、その負担は生徒本人だけでなく家庭にも及びます。
先ほど教育長に答弁いただきましたように、県教育委員会では、高校ごとの通学手段についても一定把握をされており、自転車通学が多いという実態も示されました。しかし、自転車通学が多いという結果だけでは、その背景までは見えてきません。自転車で通いたいから選んでいるのか、それともほかに現実的な選択肢がないので自転車で通わざるを得ないのかでは、同じ自転車通学であっても、意味合いは大きく異なります。
また、ふだんは自転車で通っていても、雨の日や部活動の後、塾の後には保護者送迎に頼っている場合も多くあります。こうした実情まで丁寧に見て初めて地域にふさわしい通学環境を考えることができるのではないでしょうか。
全国に目を向けてみますと、地方に住む高校生の通学負担に対し、各県で様々な取組が行われています。
例えば、静岡県では、公共交通機関による遠距離通学の経済的負担を軽減するため、一定額を超える定期券代への補助制度を設けています。また、鹿児島県では、公共交通だけでなく、バイク通学や保護者による車送迎も含めて通学実態と捉え、高額な通学費への支援制度を設けています。
さらに、通学費という金銭的支援だけではなく、スクールバスの運行など時間的負担の軽減につながる取組についても全国で議論が進められています。
青森県では、公共交通機関の利用による通学が難しい地域においてスクールバス等の運行を求める意見や、公共交通機関の実情を踏まえ、通学利便性の確保が必要な生徒、学校への支援が必要であるとの意見が出されています。その中で、共働き家庭にとって、3年間にわたり家族の送迎が必要になるかどうかは大きな問題であり、高校選択に当たっての重要な要素になるとの指摘もあります。
また、人口減少に伴う公共交通機関の減便も見据え、公共交通機関による通学が困難な生徒が不利にならないよう配慮が必要であり、地域だけで対応するには限界があるので、県が主体となって取り組む必要があるとの意見も示されています。
もちろん、私はこうした制度や取組をそのまま本県へ導入すべきだと申し上げたいわけではありません。和歌山県内でも山間部、沿岸部、市街地では、公共交通の状況も学校までの距離も保護者送迎の実態も異なります。地域によって課題が異なる以上、必要な支援の形も一律ではないはずです。
参考にすべきは、他県の制度そのものではなく、地域の実情を丁寧に把握し、その地域に合った通学環境を考えるという姿勢であると思います。これまで地方に住む子供たちは、通学に時間がかかるのは仕方がない、保護者が送迎するのは当然と受け止め、声を上げにくい状況もあったのではないかと思います。しかし、県立高校は県が設置し運営する学校です。そこへ通う環境についても、教育環境の一つとして捉え、県として考えていく必要があるのではないでしょうか。
重要なのは、スクールバスありきでも補助制度ありきでもありません。まずは、現在把握している通学手段に加え、生徒や保護者が実際にどのような負担を抱え、どのような通学環境を必要としているのかを丁寧に把握すること、そして、その上で地域ごとの実情に応じた通学環境の充実について検討していくことが必要であると考えます。
そこで、教育長にお伺いいたします。地方部に住む高校生の通学環境について、現在把握している通学手段などの実態に加え、高校への通学環境も教育環境の一つとして捉え、生徒や保護者が抱える時間的・経済的負担の地域の実情も踏まえながら、今後の通学支援の在り方についてどのように考え、そして取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○議長(堀 龍雄君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 現在、県では、全日制の県立高等学校に在学する生徒の居住地が学校から遠い山間地にある場合、家計の経済的負担の軽減を図れるよう、通学費や下宿費を支援しています。
また、働きながら定時制の県立高等学校に在学する生徒についても、様々な制約がある中で、経済的に学びやすくなるよう、通学に片道8キロ以上要する場合の通学費に加え、下宿費を支援しています。
県としては、最近の社会情勢の変化を受け、通学が困難で負担が大きい生徒に対する支援について、地域の実情も踏まえながら、教育の機会均等が図られるよう研究してまいります。
○議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
○三栖拓也君 答弁いただきました。県として地域の実情も踏まえながら、教育の機会均等が図れるよう研究していくと、前向きな答弁だと捉えております。
地方では、通学時間の長さや保護者による送迎など、地域ごとに様々な事情があります。また、生徒や保護者が仕方がないと受け入れている負担の中にも改善の余地がある課題があるのではないかと思います。
ぜひ、現場の声に耳を傾けていただきながら、生徒や保護者が安心して高校へ通うことができる環境づくりに向けて、地域の実情に応じてよりよい通学環境を実現していくことに取り組んでいただくことを期待して、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(堀 龍雄君) 以上で、三栖拓也君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時31分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(佐藤武治君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
16番坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、坂本佳隆です。昨日から始まった一般質問2日目、登壇の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に、まず感謝を申し上げたいと思います。
それから、佐藤副議長に初めて名前を呼んでいただきました。ありがとうございます。しっかり質問していきたいと思います。
県議会の役割は、行政の課題を明らかにし、よりよい方向を示すことだと思っております。常に県民目線を忘れず、将来に責任ある建設的な議論ができれば幸いです。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問に入ります。
まず、人口減少時代における和歌山県のスマートシュリンク戦略についてであります。
私は、県議会に初当選以来、農業、地域交通、教育、医療、観光振興、地域活性化など様々な課題について質問をしてまいりました。昨日、山下議員、また本日、長坂議員も御質問ありましたホテルアバローム紀の国の存続問題、また、南海フェリーの問題等々ありましたが、しかし、それらを議論する中で、常に根底に大きな課題があります。それは、人口減少問題であると思います。
今月3日に、厚生労働省より人口動態統計が公表されましたが、日本の人口は既に減少局面に入り、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2070年には総人口が約8700万人となり、2020年と比較をして約3割減少することとされています。これは、遠い未来の話ではありません。2024年に生まれた子供の数は初めて70万人を下回り、人口の自然減は年間90万人近い水準に達しています。少子化対策や地方創生、移住・定住施策など、様々な取組が進められておりますが、その努力を上回るスピードで人口減少が進行しているのが現実であります。
そして、その最前線に立っているのが和歌山県であります。和歌山県の人口は、2025年4月現在で約87万人となっております。ピーク時である1980年代半ばの約109万人から既に21万人以上が減少し、この40年間で県人口の約2割が失われました。さらに、将来推計では、2050年の人口は約63万人まで減少すると見込まれています。現在からさらに23万人以上が減少し、2020年と比較をすると約3割の人口が失われる見通しであります。23万人という数字は、現在の海南市、橋本市、有田市、私の地元、紀の川市、さらには岩出市を合わせた人口規模に相当いたします。
もちろん私は、人口減少対策そのものを否定するつもりは全くありません。若い世代が希望を持って結婚し、子供を産み育てられる環境づくり、移住・定住の促進、企業誘致や雇用創出など、人口減少を緩和するための取組は今後も全力で進めなければなりません。しかし同時に、現実を直視することも必要ではないでしょうか。人口減少を食い止める努力を続けながら、人口減少をしていくことを前提とした県づくりについて本格的に議論する時期に来ていると考えます。
近年、その適応戦略としてスマートシュリンク、いわゆる日本語で言いますと賢く縮むという考え方が注目をされています。これは、単なる縮小ではありません。人口減少を前提として行政サービスや公共施設、交通網、医療体制、土地利用などを戦略的に再設計し、県民生活の質と行政運営の持続可能性を両立させようとする考え方であります。全国知事会でも、昨年11月、スマートシュリンクの視点を地方創生に取り入れる政府への提言をまとめています。
これまでの日本は、人口増加を前提に社会資本整備を行ってまいりました。しかし今後は、生産年齢人口の減少による税収減少や担い手不足が進む中で、従来と同じ形で全てを維持していくことは困難になってきております。特に和歌山県は、中山間地域の割合が高く、南北に長い地形を有しており、人口減少の影響が全国平均以上に地域運営へ及ぶ可能性があります。実際に、学校の統廃合、路線バスの減便や廃止、医療機関や商店の撤退、さらには消防団や自治会の担い手不足など、地域を支える基盤そのものの維持が課題となっています。
人口減少とは、単に人が減るという問題ではなく、地域社会を支える仕組みそのものが維持できなくなる問題であります。だからこそ、これからの和歌山県は二つの視点が必要であると思います。一つは、人口減少を緩和するための取組を継続すること、もう一つは、人口減少を前提として、それでも県民が安心して暮らせる地域社会をどう構築していくかという視点であります。公共施設、教育、医療、福祉、公共交通、インフラなどを将来人口に合わせて再設計をし、持続可能な形へ転換していくことが求められます。
また、今後20年、30年先を見据えれば、単独では行政サービスの維持が難しくなる自治体が現れる可能性も否定はできません。そのため、市町村間の広域連携や県による補完機能の強化も重要なテーマになると考えます。
私は、人口減少を悲観するだけでは何も生まれないと思っています。人口減少の抑制策と人口減少への適応策、この両方を二本柱として進めることこそがこれからの和歌山県に求められる姿勢ではないでしょうか。
そこで、お尋ねをいたします。
県は、今後20年、30年先を見据えた人口減少という行政運営上の最大の課題をどのように認識をし、和歌山県版のスマートシュリンク戦略として対応しようとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 坂本佳隆議員の御質問にお答えをいたします。
人口減少は、行政運営上の最大の課題であり、引き続き、その抑制、緩和に最大限の力を注いでまいりますが、当面の間、避けられない現実であります。その上で、人口減少に適応した持続可能なものへと社会システムの再構築を急がなければなりません。
そうしたことから、昨年12月に策定しました総合計画では、人口減少、超少子高齢化をはじめとする本県の将来に大きな変化やリスク及ぼすことが予測される社会の潮流への対応に焦点を絞り、「人口減少や気候変動に適応した、持続可能で心豊かな和歌山」、「個人が尊重され、あらゆる分野で個性輝く和歌山」を目指す将来像として政策を実行していくこととしております。
具体的に幾つか例を申し上げますと、水道事業やごみ処理施設の広域化、地域交通の再構築など、市町村や関係機関と広域連携に向けた取組を進めております。このほか、老朽化の課題を抱える県立スポーツ施設の在り方の検討や、地域の医療機関における一層の機能分化と連携に向けた取組も進めているところであります。
また、国の第34次地方制度調査会においても、将来にわたり行政サービスを提供していくため、国・都道府県・市町村などの役割分担など、地方制度の在り方について議論が開始されております。
今後、少ない人口でも豊かな社会を築いていくためには、組織や分野をまたいだ連携が不可欠となります。そのため、県としましては、部局横断での取組を強化するとともに、国の動きを踏まえながら、広域連携や県の補完機能などの検討を深め、地域の実情に応じた公共のサービスが提供できるよう取組を進めてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
人口減少問題を劇的に解決する魔法のつえはない、ある挨拶で知事の挨拶を聞いたことを覚えております。
人口減少を避けられない現実と捉え、総合計画の中で、人口減少や気候変動に適応した持続可能な和歌山を将来像として掲げている点については、私も認識を共有するものであります。先ほど知事が具体例として挙げられました水道事業や地域交通の再構築、さらには自治体の在り方など、具体例を挙げて御答弁をいただきました。
しかし、スリム化、効率化という総論には賛成でも、身近な行政サービスの再編という各論になると、慎重な意見が出ることも予想をされます。また、縮小という言葉は、知事はじめ各市町村の首長さんにとって、後ろ向き、またマイナスな政策と受け止められやすく、議論がなかなか進みにくい側面もあると思います。
だからこそ和歌山県には、人口減少を前提に、どの地域でどの機能をどう維持していくかという逆算の発想で、県全体の質の高い将来像を県民に丁寧に示していただきたいと思います。人口減少を抑制する努力と人口減少に適応する努力、この二つを両立させながら、全国に先駆けた人口減少社会の和歌山モデルを構築していっていただきたいと思います。
続いて、次の質問に入ります。
県内の障害者雇用と就労支援の現状及び適正運営の確保についてであります。
障害のある方が地域社会の中で自立をし、生きがいを持って働くことができる環境を整えることは、共生社会の実現に向けた極めて重要な課題であります。また、少子高齢化や人口減少が進む中で、働く意欲と能力を持つ障害者の皆様が社会で活躍できる環境づくりは、福祉政策であると同時に、地域経済を支える重要な施策であります。
障害者雇用促進法の改正により、法定雇用率は段階的に引き上げられており、企業に求められる責任も年々大きくなってきております。その結果、全国的に障害者雇用数は増加傾向にあり、和歌山県においても多くの企業や事業者の御努力により、障害のある方が働く場は着実に広がっています。
障害者雇用が進展していることは、大変喜ばしいことではあります。しかし一方で、近年は、障害者雇用や就労支援制度の在り方そのものについて様々な議論が行われています。今年、全国紙やテレビ報道では、いわゆる障害者雇用ビジネスをめぐる問題が大きく取り上げられました。企業が法定雇用率を達成するため、外部事業者が運営する農園やサテライトオフィス等を活用する仕組みが広がる一方で、障害者本人の能力向上につながっているのか、一般就労への移行が進んでいるのか、雇用率達成だけが目的になっていないかといった課題も指摘をされています。厚生労働省の研究会においても、障害者雇用の量的拡大だけでなく、その質や職場定着の重要性について議論が進められております。
私は、障害者雇用の本来の目的は、単に雇用率の数字を達成することではなく、障害のある方が地域社会の一員として能力を発揮し、働く喜びや生きがいを実感できる環境を整えることにあると考えています。
また、障害者の就労を支える仕組みは、一般企業での障害者雇用だけではありません。一般就労が困難な方を支える就労継続支援A型事業所やB型事業所なども重要な役割を担っており、障害のある方の社会参加と自立を支える大切な基盤となっています。
一方で、全国では、給付費の不正請求や人員配置基準違反、訓練実態のない運営などの不適切な事例が報告をされております。さらに最近では、全国に事業所を展開する絆ホールディングスグループというグループによる大規模な給付費不正受給問題が明らかとなりました。報道によれば、和歌山市、紀の川市、海南市においても関連する給付費の返還請求が行われる見込みとされており、制度の信頼性確保と適切な監査体制の重要性が改めて問われています。
もちろん大多数の事業所は、利用者本位の支援に真剣に取り組んでおられます。だからこそ一部の不適切な事例によって、制度全体の信頼が損なわれることは避けなければなりません。不正を放置することは、利用者の利益を損ない、真面目に運営している事業者にとっても不公平であります。制度の信頼性を維持し、障害者の皆さんが安心をして利用できる環境を整えるためには、適切な指導監査体制の確保が不可欠であります。
私は、今回、不正事例だけを取り上げるつもりはありません。むしろ障害者雇用の推進と就労支援制度の適正運営を両立させるため、和歌山県の現状と課題、そして、今後の方向性について確認したいと思います。
そこで、お尋ねをいたします。
まず、県内の障害者雇用の現状と課題について、どのように認識をしているのでしょうか。障害者雇用率や雇用者数の推移をどのように評価をしているのか。また、今後、さらなる雇用促進と職場定着を進める上で、どのような課題があると考えているのかお聞かせください。
次に、県内の就労継続支援A型事業所、B型事業所の事業所数や利用者数の推移についてお尋ねをいたします。また、過去において、不正請求や運営基準違反等により行政処分が行われた事例はあるのでしょうか。あわせて、その内容や傾向についてお聞かせください。
最後に、県として、就労支援事業所に対する実地指導や監査をどのような体制で実施しているのでしょうか。また、絆ホールディングス事案のような不適切な事業運営を未然に防止するため、県内事業所に対してどのような点検、指導を行っているのか併せてお聞かせください。
障害者雇用の拡大と就労支援制度の適正運営は、まさに車の両輪であります。障害のある方が安心して働き、地域社会の中で能力を発揮しながら活躍できる環境づくりに向けた県の考え方をお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 商工労働部長今井善人君。
〔今井善人君、登壇〕
○商工労働部長(今井善人君) 和歌山労働局の発表によると、令和7年6月1日現在の県内の民間企業における雇用障害者数は、2790.5人と過去最高を更新しました。また、障害者雇用促進法により雇用が義務づけられた企業で働く障害者の割合は、全国7位の2.77%であり、本県における障害のある方の就労は着実に進んでおります。
一方で、同法で定められた雇用率2.5%を達成できている企業の割合は57.8%にとどまり、依然として未達成の企業が多いことに加えて、障害の特性に合わせた仕事の分担や働きやすい職場環境づくり、サポート人材の育成などが課題であると認識しております。
県としましては、障害者就業・生活支援センターを通じた就労支援や、雇用前の職場実習等を支援する障害者ジョブサポーターの派遣、企業への啓発活動等に取り組むことで、今後も障害のある方の雇用促進と職場定着を進めてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 本県における就労支援事業所の利用状況については、就労継続支援A型、B型ともに、事業所数、利用者数が増加傾向にあります。
具体的には、令和7年4月1日時点の事業所数は、5年前と比較して、A型が4%増の53事業所、B型が16%増の184事業所となっています。また、同時点の利用者数につきましても、5年前と比較して、A型が14%増の882人、B型が18%増の3725人となっています。
次に、不正請求等により行政処分を行った事例は、令和7年度以前の5年間で、A型で1件、B型で3件となっています。不正の内容といたしましては、人員基準を満たさず通常の報酬請求を行ったものや、利用日数を水増しして過大に報酬請求を行ったものであります。
続いて3問目、2の(3)についてお答えいたします。
障害福祉サービス事業所における不正受給は、制度の信頼を揺るがす重大な問題であると認識しています。
県では、報酬請求の状況確認に加え、事業者に対する制度理解の促進及び利用者や関係者からの相談等への丁寧な対応を通じて、不正の未然防止に努めております。また、運営指導については、3年以内に全ての事業所を一巡するよう計画的に実施するとともに、内部通報等を端緒とした対応も行うなど、疑義のある事案については厳正に行っているところです。
さらに、昨年度末、国において、就労系障害福祉サービス事業所における適切な事業運営の確保のため、自治体向けのガイドラインが示されました。
県としましては、当該ガイドラインを踏まえ、サービス内容が地域のニーズに合致しているか、公費により実施するサービスとして適切かといった点について、指定時の審査や運営実態の把握、指導等をより厳格に行うなど、サービスの質の確保に努めてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
答弁にございました本県の障害者雇用率が全国上位にあり、雇用者数も過去最高を更新しているということは、大変評価すべきことであると思っております。ぜひ県におかれましては、障害者雇用の量的拡大だけではなく、就労の質の向上、職場定着、一般就労への移行促進、そして、適切な監査指導体制の強化に引き続き取り組んでいただくことを申し添えさせていただきます。
次の質問に移ります。
児童相談所と警察の連携体制についてであります。
子供は、地域の未来であり、社会の宝であります。人口減少と少子化が進む和歌山県において、一人一人の子供を健やかに育み守っていくことは、福祉行政にとどまらず、県政全体に関わる重要な課題であると思っております。
近年、全国では、児童虐待による痛ましい事件が繰り返し発生をしています。事件が起こるたびに、「なぜ救えなかったのか」「なぜもっと介入できなかったのか」という声が上がります。虐待対応においては、児童相談所、警察、学校、保育所、医療機関などがそれぞれの役割を果たしながら、情報を共有し、迅速に連携することが求められています。特に近年は、児童相談所と警察との連携強化が全国的に進められ、虐待が疑われる段階から情報共有を行う体制が整備されてきました。私は、その方向性そのものは極めて重要であると考えます。
一方で、児童相談所や警察による介入は、家庭に大きな影響を及ぼすものであり、保護者との信頼関係や家庭環境への配慮も必要であります。だからこそ、どのような場合に警察と情報共有を行い、どのような場合に一時保護を行うのか、その判断基準が極めて重要になると考えます。
この問題を考える上で、先日、プロ野球・読売ジャイアンツの阿部慎之助前監督の御家族に関する報道が大きな話題となりました。報道によりますと、家庭内のトラブルについて娘さんが児童相談所へ相談をし、その情報が警察にも共有されたとされております。結果として重大な虐待事案には至らなかったものの、この報道をきっかけに、どのような場合に警察と情報共有されるのか、どの段階で警察が関与するのか、一時保護はどのような基準で行われるのかといった疑問を持たれた県民も少なくなかったのではないかと思います。
私は、この事案の是非をここで論じるつもりはありません。むしろ県民の関心が高いテーマだからこそ、和歌山県ではどのような体制で子供の安全を守っているのかを確認することが重要であると考えます。そして、私は、虐待対応において最も避けなければならないのは、対応し過ぎたことではなく、対応が遅れたことによって子供の命が失われることであると考えています。児童虐待の問題は、後から振り返れば危険な兆候が見えていたにもかかわらず、関係機関の判断の遅れや情報共有の不足によって重大事案へと発展したケースが少なくありません。
また、虐待対応の現場では、表面上は問題ないように見えても、実際には深刻な危険が潜んでいる場合があります。虐待を受けている子供が保護者をかばうことも珍しくはありません。保護者に対する愛情や恐怖心、あるいは家庭が壊れることへの不安から、本当の状況を語らないケースもあります。だからこそ、児童相談所には高度な専門的判断が求められます。限られた情報の中から子供の置かれている状況を見極め、必要に応じて警察との連携や一時保護を迅速に判断しなければなりません。
そのような中、県が公表をしました令和6年度の児童虐待相談対応状況によりますと、県内の児童相談所が対応した虐待相談件数は2030件となっています。前年度の2192件から162件減少はしたものの、依然として年間2000件を超える相談が寄せられています。また、市町村が対応した虐待相談件数は2079件となっています。こちらも高い水準で推移をしています。
虐待の内容を見ますと、心理的虐待が1135件で全体の55.9%を占めています。身体的虐待は449件、ネグレクトは426件となっており、心理的虐待が過半数を占めている状況が続いています。県の資料では、子供が家庭内DVを目撃する、いわゆる面前DVによる警察からの通告が心理的虐待として計上されているケースが多いことも示されています。このことは、児童虐待への対応において、児童相談所と警察との連携がますます重要になってくることを示しているのではないでしょうか。
また、虐待者別では、実母が52.9%、実父が40.1%となっており、子育ての孤立や家庭内の様々な課題が背景にあることもうかがえます。
こうした状況を踏まえると、児童相談所と警察の連携体制が適切に機能し、子供の安全確保と県民の信頼の双方を実現できているかを確認することは極めて重要であります。
そこで、お尋ねをいたします。
県内児童相談所に寄せられる児童虐待相談件数は、近年、年間2000件を超える状況が続いており、児童虐待対応に当たって、児童相談所と警察の連携が重要であると考えますが、本県における現状の取組状況についてお聞かせをください。
○副議長(佐藤武治君) 共生社会推進部長杉本吉美君。
〔杉本吉美君、登壇〕
○共生社会推進部長(杉本吉美君) 県では、中央児童相談所に出向警察官3名を配置するとともに、児童虐待事案における情報共有に関する協定に基づき、初期対応から重症事案まで、平時から警察との全件の情報共有を行っているところです。
具体的には、警察など関係機関により構成され、市町村単位で設置される要保護児童対策地域協議会の見守りネットワークを通じた情報共有を基本としつつ、児童の安全が憂慮される事案に関しては、同協定に基づき、警察に緊急連絡を行うこととしております。
また、児童の緊急一時保護を行うに当たり、保護者の強い抵抗が予想される場合などには、児童相談所から警察に対して援助を要請するなど、事案に応じた共同対応を行っております。
さらには、対応困難な事例の発生に備え、警察との合同による一時保護を想定したロールプレー形式の訓練や関係機関による連絡会議を定期的に開催し、課題を共有するなど、連携の実効性を高めているところです。
今後とも、児童虐待が疑われる場合にはちゅうちょなく通報いただくよう、県民の皆様への周知啓発を行うとともに、警察とも連携を図りながら児童虐待防止対策の強化に取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
ただいまの答弁で、県において児童相談所と警察等の連携体制が着実に構築されていることを確認することができましたが、現在、出向警察官が配置されておるのは、中央児童相談所のみであるということが見えてまいりました。
これはもう再質問はいたしませんが、県内には紀南の児童相談所もございます。虐待から子供を守るという視点に地域差があってはならないと思っておりまして、地理的条件や対応エリアの広さも踏まえ、紀南地域においても、警察との連携をさらに強化するために、出向警察官の配置を含めた体制整備についても早急に対応していかなければならないと考えています。警察本部におかれましても、直ちに検討していただきたく、要望しておきたいと思います。
いずれにしましても、虐待対応において最も避けなければならないのは、部長もおっしゃった、対応し過ぎたことではなく、対応が遅れたことによって子供の命が失われることであり、県民一人一人がおせっかい過ぎると言われるぐらい地域の子供を見守り、関わり続けることが、知事が掲げるこどもまんなか社会の実現の肝と思いますので、県民の理解と信頼を得るため、丁寧な対応に取り組んでいただくことを切にお願いをし、次の質問に移りたいと思います。
自転車の安全利用に係る指導取締り状況についてであります。
私は、本年2月定例会においても、自転車の安全利用と交通安全対策について質問させていただきました。その際、自転車は、環境に優しく、健康づくりにも資する重要な移動手段である一方、交通ルールの厳守と安全教育の徹底が不可欠であることを申し上げました。その後も、県警察をはじめ関係機関において、交通安全教室の開催やヘルメット着用の呼びかけなど、自転車の安全利用に向けた取組が進められております。関係者の皆さんの御尽力に敬意を表したいと思います。
近年、自転車による信号無視、一時不停止、スマートフォンを操作しながらのいわゆるながら運転などが社会問題となっています。また、自転車が加害者となる重大事件も発生しており、高額な損害賠償を命じられた事例も全国で報告をされています。自転車は、手軽で便利な乗り物でありますが、道路交通法上は車両であり、利用者には相応の責任が求められます。その意味で、交通ルールの徹底を図る制度改正の趣旨は十分理解できるところであります。
しかし一方で、制度開始後、県民の皆さんからは、「どこまでが違反になるのか分かりにくい」「制度の内容を十分知らない」「車道を走るように言われても怖い」といった声も聞かれています。特に地方部では、自転車専用通行帯や自転車レーンが十分整備されていない道路も少なくありません。また、中高生の通学や高齢者の日常の移動手段として、自転車は県民生活に欠かせない交通手段となっています。だからこそ制度の目的は、取り締まることではなく、交通ルールの定着を図り、事故を未然に防ぐことであるべきであります。
本県は、サイクリング王国わかやまを掲げ、自転車を活用した観光振興や地域振興を推進しております。サイクリストが安心して走行できる環境を整えることは、自転車利用の促進と交通安全の両立を図る上でも重要であります。私自身も紀の川エリア観光サイクリング推進協議会のメンバーとして活動しておりますが、自転車利用を推進するのであれば、安全な利用環境づくりも同時に進めなければならないと考えています。制度開始から一定期間を過ぎた今、まず、県内でどのような違反が発生をし、どのような指導や取締りが行われているのか、その実態を把握することが重要であります。
そこで、お尋ねをいたします。
制度開始後の県内における指導警告の実施状況及び反則切符の交付状況は、どのようになっているのでしょうか。また、違反内容について、どのような傾向が見られるのかお聞かせをください。
○副議長(佐藤武治君) 警察本部長壱岐恭秀君。
〔壱岐恭秀君、登壇〕
○警察本部長(壱岐恭秀君) 自転車に対する指導警告の実施状況などについてのお尋ねでございますが、県警察では、自転車の通行量や交通ルールの定着状況等を踏まえ、特定の地区・路線を選定した上で、重点的な指導取締りを行っているところであります。
こうした地区・路線における指導取締りも含め、自転車に対する交通反則通告制度、いわゆる青切符が導入された本年4月1日から本年5月末までの県内の指導取締り状況について見ますと、指導警告を行った件数が1969件、取締りを行った件数が36件となっております。この取締りの36件の内訳としましては、いわゆる赤切符による検挙件数が13件、青切符による反則告知件数が23件となっております。
また、議員御質問の違反内容の傾向について申し上げますと、指導警告を行ったものについては、指定場所一時不停止、また、右側通行、信号無視及び2人乗りが多く、取締りを行った違反内容につきましては、携帯電話の使用が多い傾向にあります。
県警察では、ただいま申し上げました指導取締りを進めているところでありますが、先日も和歌山市内において、自転車による死亡ひき逃げ事故が発生するなど、いまだ交通ルールの十分な定着には至っていない状況であります。
県警察といたしましては、こうした指導取締りをさらに進めていくことはもちろん、県、教育委員会等の関係機関と引き続き連携しながら、交通ルールの周知を図ることにより、県民の交通ルールの遵守意識の向上に向けて一層努めてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございました。
制度開始から僅か2か月で1969件の指導警告と23件の青切符交付があったということは、まだまだルールの周知が十分とは言えない実態も見えてきたと感じております。本部長の答弁でもございました、和歌山市で高齢者の方と自転車の接触死亡事故も発生しました。特に携帯電話使用や信号無視といった違反は、重大な事故につながるおそれがありますので、指導警告、取締りを進めていただくことは重要であります。一方で、取締りと併せて高校生をはじめとする利用者への周知、啓発、安全教室なども引き続き取り組んでいってほしいと思っています。
それともう一つ、本県は、先ほど申し上げましたサイクリング王国わかやまを掲げております。自転車利用を推進する以上は、県教育委員会や道路管理者とも連携をしながら、取締り、教育、環境整備の三つをバランスよく進めていただきたく、このことを御要望しまして、私の一般質問を閉じたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(佐藤武治君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行します。
28番岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕(拍手)
○岩永淳志君 皆様、こんにちは。岩永淳志です。本日の4番バッターということで、頑張ってまいりたいというふうに思います。
質問に入る前に、一言申し上げます。昨日、一般質問にて鈴木太雄議員からも、梅の3年連続の不作と生産量の安定化について質問がございました。日高郡でも事態は深刻でございます。調査によれば、主産地であるみなべ町、印南町の着果数は平年の僅か43%にとどまっております。現場からは、この数字よりもより少ないんじゃないかというような声も聞いております。
梅は、農家の皆さんはもとより、梅干し屋さんをはじめ農林水産業から商工業に広がる一大産業でございます。紀州南高梅に携わる皆様がこの3年連続不作という苦しい困難を乗り越え、希望を持ち続けられるよう、皆様の一層のお力添えを心からお願い申し上げます。
それでは、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
まずは、防災から、指定緊急避難場所の環境整備をめぐる課題について取り上げます。
まず前提として、災害時の避難先には、法律上、二つの区分があります。一つは、指定緊急避難場所です。これは、災害が発生し、または発生するおそれがある場合における円滑かつ迅速な避難のための立ち退きの確保を図るため、市町村長が政令に定める基準に適合する施設または場所を洪水、津波その他の異常な現象の種類ごとに指定するものと法律では記されております。正直よく分からないんですけれども、言い換えれば、まず命を守るために緊急的に逃げ込む場所だと解釈することができます。
もう一つが指定避難所です。これは、災害が発生した場合における適切な避難所の確保を図るため、市町村長が政令で定める基準に適合する公共施設その他の施設を指定するものと、こちらもなかなか理解が難しいところではあるんですが、すなわち、自宅に戻れない被災者が一時的に滞在し、生活する場所となります。
つまり、まず、指定緊急避難場所に避難して命を守り、安全が確保された段階で、自宅に戻れない方は指定避難所に移っていただくと、そういった流れになっております。なお、一つの施設がその両者を兼ねている場合もあります。しかしながら、この二つの区別は、住民の間では必ずしも明確には理解されておらず、曖昧なまま受け取られてしまっているのが実情ではありませんでしょうか。
県は、これまで独自の安全レベルの設定やピクトグラムによる周知、出前講座など、住民の命を守るための防災啓発に真摯に取り組んでこられていると思っておりますが、国の調査では、依然として指定緊急避難場所と指定避難所の違いが十分に認知されておりません。今後はSNS等の新たな手法も活用し、より分かりやすい情報発信をよろしくお願いいたします。
その前提の上で、屋外の指定緊急避難場所の環境について質問させていただきます。
昨年のカムチャツカ半島沖地震の際には、発災後、津波警報が長時間解除されず、屋外の指定緊急避難場所において炎天下、避難された方々、特に高齢者の方々が長時間の待機を強いられる事態が発生いたしました。これが冬季であれば、寒空の下での待機を強いられることになります。
本年1月には、国から、指定緊急避難場所は屋外の施設が多いことから、水や非常食に加え、冬の寒さや夏の熱中症の対策として、防寒具や冷却材、日よけのテントを可能な範囲で備えるといった自治体向けの指針がちょうど示されたところであります。
そこで、屋外の指定緊急避難場所における熱中症対策、防寒対策に県としてどのように取り組んでいくのか、危機管理部長にお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
危機管理部長中村吉良君。
〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 令和7年7月に発生したカムチャツカ半島東方沖を震源とする地震を受け、全ての指定緊急避難場所における熱中症対策及び防寒対策には、市町村での資機材整備や物資備蓄に加え、県民の皆様の事前の備えが重要であると認識したところです。
県では、従来から、市町村が指定緊急避難場所において整備する大型冷風機等について、わかやま防災力パワーアップ補助金により財政支援を行っているところですが、この活用も含めて、指定緊急避難場所における環境整備の推進について直ちに市町村に周知したところです。
また、併せて県民の皆様に対しても、日傘や防寒具など季節に合わせた必要品を避難バッグに準備いただくよう、出前講座、テレビ、ラジオなどを活用し、呼びかけを行っているところです。
これらに加え、今年度の政府提案におきまして、指定緊急避難場所における熱中症対策に必要な全ての消耗品については、国において財政措置を行うよう要望を行っているところです。
指定緊急避難場所における熱中症対策や防寒対策につきましては、取組を開始したところであり、引き続き市町村と連携し、重点的に取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
この指定緊急避難場所は、性質上、一律の基準を定めることが難しい面があることは理解しておりますが、内閣府からの指針も示されたところです。先ほど御答弁いただいたことに加えて、地域ごと、市町村ごとの実態把握を進めていただき、指定緊急避難場所への御支援をいただきますようよろしくお願いいたします。
続いて、発災後を見据えた災害ボランティアの受入れ体制についてであります。
大規模災害においては、人命救助などの初動だけではなく、発災後1週間から1か月といった中長期の局面で外部からの支援者をいかに受け入れるか、いわゆる受援の備えが重要となります。
そこで本日、特に課題として取り上げたいのが災害ボランティアの滞在拠点確保についてです。
能登半島地震や東日本大震災では、被災後1週間ほどで外部からのボランティアが流入した際、滞在拠点が確保できず、現場に混乱が生じました。この点については、令和7年3月の予算特別委員会にて長坂議員からの質問に対して、本県では、宿泊場所等から被災地までの距離が遠く、災害ボランティアの作業時間を十分に確保できない事態が想定されることから、被災地周辺で寝泊まりすることのできる場所の確保についても取り組んでいくといった答弁がなされているところです。
そこで、お伺いいたします。
この答弁から1年余りが経過いたしました。災害ボランティアが被災地周辺で寝泊まりできる場所の確保について、その後、どのような検討が進められてきたのか、また、その必要性についてどのように認識しているのか、こちらは環境生活部長にお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 環境生活部長湯川 学君。
〔湯川 学君、登壇〕
○環境生活部長(湯川 学君) 議員御発言のとおり、災害ボランティアが被災地周辺で寝泊まりできる場所の確保につきましては、被災地で十分な活動を行っていただくために重要であると認識しております。
このため、昨年3月に取りまとめた令和6年能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証結果を踏まえ、昨年度から、ホテルや旅館など、宿泊場所として利用可能な施設のリスト化に取り組んだところです。リスト化した利用可能施設は、原則、被災者向けに活用しますが、災害ボランティアの方々や国、自治体からの応援職員にも活用いただけるよう、宿泊調整業務に通じた民間事業者との連携などを含め、検討を進めてまいります。
災害からの復旧・復興には、災害ボランティアの力は不可欠であることから、危機管理部をはじめ関係部局と連携し、支援を受けるための備えを進めてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 ありがとうございます。
まず、域内のどこにどれだけの人をそもそも受け入れられるのか、その把握を進めていただいていることは心強く受け止めました。
その上で、こうした受入れ場所の確保は、各市町村単独で完結できるものではございません。私の地元でいえば御坊市、日高郡のように、生活圏を共有する圏域の単位で広域の受入れ拠点を考えていく必要がございます。データの収集整理をした上で、ぜひ早急に広域の視点を持った受入れ体制への検討を進めていただきますよう要望いたします。
続いて、住民にとって身近なコンビニ等の店舗との連携についてです。
ここまで、避難場所の環境整備、そして多様な支援者の受入れについてお伺いしてきましたが、根底にある問題意識として、大規模災害時に行政だけで全てを担うことは難しいということがあります。巨大地震を想定すれば、本県においては、様々な観点からの防災基盤づくりこそが急務であります。
その意味で、注目すべき民間の動きを御紹介させていただきます。昨年、株式会社ローソンは、災害発生時に被災者支援の拠点となる災害支援ローソンの構想を発表いたしました。太陽光発電と蓄電池により、停電時にも営業を継続し、通信や情報収集の手段、断水に備えた飲料水や災害時用トイレといった機能を備えた店舗形態で、既に1号店が千葉県で開設され、2030年度までにローソンは全国100店舗の設置を目指すとされております。
つい先日、本年6月4日には、大阪府池田市において、ローソンとKDDIが連携したハッピーローソンタウンの第1号店がオープンしました。この店舗は、平時には地域のコミュニティー拠点でありながら、太陽光発電、蓄電池に加え、衛星通信のスターリンク、上空から被害状況を把握するAIドローン、行政からの災害情報を発信する防災サイネージなどを常設し、有事には地域防災の要として機能する、まさに平時から災害時を貫く民間拠点であります。
こうした動きを踏まえ、住民にとって身近な民間施設との連携をより一層深め、有事における県民の安心・安全を担保していくべきではないでしょうか。コンビニ等の店舗を活用した災害発生時の連携を深めていくことについて、県としてどのようにお考えなのか、危機管理部長にお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 危機管理部長。
〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 大規模災害発生時には、行政のみならず、民間企業等の力を活用して対応することが必要であると考えており、これまでも積極的に様々な団体と協定の締結を進めてきたところです。その結果、令和7年9月1日時点で、民間企業等と302件の協定を締結しております。
そのような中、災害時に住民にとって身近な店舗を活用した被災者支援についても、コンビニ各社と協定を締結しているところです。具体的には、帰宅困難者に対して、水道やトイレに加えて災害情報等も提供いただくこととなっております。
また、県遊技業協同組合とは、避難所以外に避難されている方々への物資供給場所として、店舗及び駐車場の提供に加え、非常用電源の設備などについても提供いただく協定を締結しております。
災害時に協定が有効に機能するためには、平時からの連携が重要であることから、協定先との共同訓練を実施し、顔の見える関係づくりにも努めております。
今後とも、民間企業等の店舗の活用も含めた災害支援の動向も注視しつつ、締結済みの協定の見直しや新たに必要な協定の締結について、積極的に民間企業等へ働きかけてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 ありがとうございます。
本県がこれまで、様々な民間企業と災害時の協定を積み重ねてこられたことは、大変心強く思います。
実を申し上げますと、先ほど例に挙げたローソンは和歌山県とも、既に平成15年8月に包括連携協定、平成16年2月に防災に関する協働事業の協定を締結しております。だからこそ、この場で申し上げたい大切なことは、結んだ協定を実効性のあるものとして生かし続けることだと思っております。民間企業の災害支援をめぐる動きというものは、本日申し上げたように、日々進化しております。協定を結んでいる企業と定期的に意見交換の場を持ち、その時々の新たな動向を踏まえていく、そうした平時からの細やかなコンタクトを継続していただきますよう要望いたします。
以上で、防災に関する質問を終わりまして、次に、セキュリティーと利便性の両立を目指した県庁の情報環境の在り方についてでございます。
県庁では、どこでも、いつでも仕事ができる環境を目指して、リモートワーク制度の整備、行政事務用パソコンの軽量化、庁内無線LANの整備などが進められてきました。しかし一方で、現場では理想とのギャップが生じていると感じます。
まず、リモート環境での通信品質です。
職員端末の通信速度が不安定だという声をよく耳にします。一度つながらない経験をした職員の間では、リモートでは仕事にならないという意識になりかねません。
次に、ウェブアクセスの制限です。
いわゆるフィルタリングソフト、i-FILTERによってグーグルワークスペースをはじめとする主要なクラウドサービスへのアクセスが制限されており、情報漏えいを防ぐという観点から、そういったことが必要なことは理解しますが、外部とのやり取りが多い部署で業務をしづらいという声を聞いております。
さらに、メールの添付ファイルにおいては、同じくm-FILTERによる容量制限が10メガバイトに設定されており、これを超えるファイルは大容量ファイルという別の方法で一々送らなくてはいけません。
これらは、一見すると個別のパソコンの使い勝手の問題に見えますが、根本をたどれば、国のガイドラインに基づく境界型防御というネットワーク構造、すなわち県庁内の閉じたネットワークの内側だけをセキュリティーとして守るという考え方が、こういった場所にとらわれない自由な働き方を求める若手職員の働き方を制限している側面があるのではないでしょうか。セキュリティーを重視するあまり、結果として利便性が一定程度犠牲になっている面があると考えます。
そして、重要なのは、この国の方針自体が転換しつつあることです。クラウドサービスの普及や多様な働き方の推進によって、いわゆる境界型防御から、いわゆるゼロトラスト型へと議論が進められています。境界の内側だけを守る発想から、外部を含めた全体を守る発想の転換であり、全国の自治体にとって極めて重要な論点であります。
そこで、お伺いします。
国の方針が転換しつつある中、本県として、セキュリティーの確保を前提としつつ、県民、職員双方の利便性向上やリモートワークなど多様な働き方への対応を視野に入れた、これからの県内情報環境の在り方を、すなわちセキュリティーと利便性のバランスを中長期的にどのように再設計していくお考えか、総務部長にお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 総務部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○総務部長(山本祥生君) 県庁の情報環境につきましては、これまでセキュリティーと利便性とコストのバランスを取りつつ、国のガイドラインに基づき整備を進めてきました。コロナ禍をきっかけとして急速に進んだ業務のデジタル化やリモートワークの拡大にも適宜対応し、行政事務用パソコンの軽量化や庁舎のWi-Fiエリアの拡大など、情報環境の改善も行ってきたところです。
一方で、在宅勤務やクラウド型グループウエアの利用拡大に伴い、利便性向上へのニーズが高まっていることも承知しております。しかし同時に、行政を狙うサイバー攻撃は高度化しており、強固なアクセス制限などの対策は不可欠であるため、こうした新たなニーズに十分対応することが困難な部分もあると考えております。
国におきましても、サイバー攻撃への対応と利便性の両立を背景に、令和7年度国・地方ネットワークの将来像の実現に向けた検証事業最終報告書において、2030年度を目途に、ゼロトラストの考え方を取り入れたセキュリティーモデルに移行を開始するとの方針が示されております。
県といたしましては、こうした動向を踏まえた上で、セキュリティーの確保を前提として、利便性をどう両立させるかが引き続き重要な課題であると考えております。まずは、現行のネットワーク構成や認証方式、クラウドサービスの利用状況など、現状を整理し、セキュリティーリスクを慎重に見極めながら、県民や職員の利便性向上につながる部分も含めて、段階的に改善を図っていきたいと考えております。
今後とも、万全なサイバー脅威への対策を講じつつ、利用者のニーズや費用対効果も踏まえ、よりよい情報環境づくりを進めてまいります。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
今、私、この台本を読み上げているんですけれども、これもグーグルワークスペースのグーグルドキュメントを使って作成しているんですが、仮に県庁職員の皆さんにお送りしてもアクセス制限で見られないというところで、そういった意味でもセキュリティー確保を前提とした上で、利便性に直結する部分については、現場の声も踏まえて取り組んでいただけることを心強く受け止めております。
その上で、2点要望いたします。
1点目は、直近の改善についてです。外部とのやり取りなどでの使い勝手の課題がセキュリティーとのバランスの上にあり、慎重な判断を要することは理解しております。その上で、職員が日々感じている使いにくさについては、大きな方針転換を待たず、各職員からの申請や希望に応じて一部だけでも改善するなど、働きやすい職場づくりを着実に進めていただければと思っております。
2点目は、時間軸についてです。国は、2030年度をめどに移行を開始する方針を示しておりますが、和歌山県においても、システムの更新が2030年前後に段階的に控えていると承知しております。このシステムの更新は、5年ごとに更新していくわけで、すなわち令和9年、10年頃には更新に対する検討が徐々に始まっていくと考えられ、次期更新に向けた検討着手まで、残された時間は決して長くありません。だからこそ今、このタイミングで、国が今後示していくであろう利便性やゼロトラストへの考え方を視野に入れて、今後のグランドデザインの検討を進めていただきますよう強く要望いたします。
以上を申し上げ、次の質問のほうに移ってまいりたいと思います。
話題は、教育に移ります。昨日、前議長、岩田議員からも高校教育改革について質問がございましたが、私は、それを受けて、これを県庁全体でどう進めるかという観点から、知事にお伺いさせていただきます。
繰り返しになりますが、本年2月、文科省は、2040年に向けた高校教育改革に関する基本方針及びN-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想を公表しました。この構想は、急激な少子化やAIの発展に伴う社会変化を見据え、生徒が自ら問いを立て、他者との価値をつくり出す力を身につけられる柔軟な教育環境への転換を目指しております。
国は、この構想を実現するため、補正予算により都道府県に基金を造成することとしており、高校教育改革を先導する新しい学校のイメージとして、次の三つの類型を示しました。一つは、専門学校の機能強化、高度化によるアドバンスト・エッセンシャルワーカー等の育成、二つ目は、普通科改革を通じた特色化、魅力化、そして、三つ目が地理的アクセス、多様な学びの確保でございます。
本改革で注目すべきことは、国がこの改革を教育委員会だけの仕事とはしていないことです。この5月、文部科学省から各都道府県の政策・企画・総務所管課宛てに事務連絡がございました。そこでは、今後の高校教育の在り方の検討に当たり、知事や知事部局、経済団体、大学等との連携、協働が不可欠と明記されております。連携先として、商工労働部、農林水産部、交通政策、そうした各部局名と連携の観点まで非常に具体的に例示されておりました。つまりこの改革は、知事をはじめ県庁全体、そして産業界、大学等の研究機関がワンチームで取り組むことを国から明確に求められているのです。
本県では、県内の高校が地域の事業者と連携した実践的な学びなど、既に地域に根差した特色ある教育を展開しており、和歌山らしいイノベーション人材の種は、現場に確実に存在しております。これを県全体に横展開していく土壌は十分にあると考えます。
そこで、知事にお伺いします。
高校教育改革に関する基本方針と県庁全体、産業界、大学を巻き込んで進めよという国の方針を踏まえ、本県として、どのような方策で高校教育を進化、転換していくのか、和歌山県の地域産業、地域社会に根差した特色ある教育を国の改革の流れに乗せ、とりわけ先ほど申し上げた三つの類型において、人材育成、高等教育機関との連携による理数系教育の充実、そして、小規模校が多く地理的制約のある本県だからこその遠隔授業の学びの確保など、どのような考え方で進めていくのか、これからの和歌山県の教育のビジョンを知事として力強くお示しいただければと思います。よろしくお願いします。
○副議長(佐藤武治君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 岩永議員の御質問にお答えをいたします。
2040年に向かっては、人口減少、超少子高齢化に伴う人口構造の変化が大きく進行し、支え手、担い手の減少や更新時期が到来するインフラの増加など、地域社会の持続可能性に関する様々な課題が顕在化することが予測されます。これらの課題を踏まえ、先般、文部科学省が公表した高校教育改革に関する基本方針は、本県の総合計画で示す課題や今後の方向性と軌を一にするものであります。
これから本県で実施しようとしている高校教育改革では、国の方針に沿い、三つの先導的な取組を考えています。一つ目は、専門の学科と地元企業がこれまで以上に密接に相互乗り入れして、産業人材を育成していくこと、二つ目は、探求的な学びに大学のデータサイエンスなどを取り入れるなどして、理数系人材を育成すること、三つ目は、高校生には様々な子供たちがおりますので、学校同士の遠隔授業等を取り入れることにより、多様な学びができるように保障すること、この3点の類型を考えています。
これまで和歌山県では、わかやま農業教育一貫プロジェクトなどの農業教育や商業教育フェスタなどの商業教育、串本古座高校の宇宙探究コースなどの特色ある学びや、普通科改革をはじめとする探求的な学びの充実に取り組んでまいりました。
今般の国の高校教育改革を好機として、本県の取組を一層加速させ、その成果が県内全域に普及するよう関係部局や地域の産業界、高等教育機関等が一体となって、オール和歌山で教育委員会を後押しして、本県として産業や地域の未来を担う人材の育成に取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 ありがとうございます。
少子化の中、若者の流出を止めるためには、和歌山で子育てをしたいと思える魅力づくりが不可欠だと思っております。そのために、今、知事が御答弁いただいたように、オール和歌山という視点が必要だと考えております。
このオール和歌山、個人的には二つの意味があると思っておりまして、第1に、部局の枠を超えて県庁全体、もっと言えば和歌山県全体で連携することだと思っております。この春からは、半官半民のわかやま海外留学応援プログラムが始まりましたが、そういったような教育委員会内にとどまらない、高校教育改革を束ねる推進体制の構築を今後、ぜひ全庁挙げてお願いしたいというふうに思っております。
第2に、紀北から紀南まで全ての高校が取り残されることなく、それぞれの特色を生かした改革を進めることです。分校や定時制のような小規模校が持つポテンシャルも含めて、県全体の教育改革を力強くリードしていただくことをお願い申し上げます。
続いて、先ほどの基本方針の中でも触れられている多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保という視点を受け、本県の不登校支援の在り方について3点、教育長にまとめてお伺いさせていただきます。
1点目は、対面での温かい居場所づくりについてです。
不登校の児童生徒数が全国的に増加を続ける中、その支援において最も重要なのは、子供一人一人への心理的なケアや家庭への寄り添い、そして、安心して自己肯定感を高められる温かい居場所の確保という本質的なアプローチであると考えております。
県内でも、相談体制の構築や教育支援センターの整備などが既に進められておりますが、不登校の未然防止や早期対応に向け、こうした対面での支援を今後どのようにさらに充実させていくのか、その具体的な取組をお聞かせいただきたいと思っております。
また、不登校支援に関する事例やノウハウを県内の全ての学校、全ての教員にどのように浸透させ、組織的な支援体制を構築していくのか、併せてお伺いいたします。
2点目は、遠隔授業についてです。
ここで言う遠隔授業とは、児童生徒が自宅から学校の授業を受けられる不登校支援を念頭に置いた形態に絞ってお伺いさせていただきます。
本県では既に、未然防止、早期発見、早期対応、継続支援という段階的な支援に加えて、遠隔授業による出席認定やICTを活用した家庭学習支援も現場単位では少しずつ進んでおり、例えば、私、美浜町ですけれども、県立みはま支援学校などでは、教室に入りづらい児童生徒が自宅や校内の別の場所から自分たちの端末を使って授業を受けられるように、既に工夫がされております。こうした既に進んでいる事例を国の方針を受けてさらに発展させていくことが重要だと考えます。
そこで、高等学校における自宅からの遠隔授業は、出席認定を含め、現在どの程度実施されているのか、受講する際の端末やWi-Fi環境やカメラ、プロジェクター等の設備面、そして教員向けのマニュアル、研修、事例共有といった対応面で応えられる体制を今後どのように整えていくのかをお伺いいたします。
最後に、3点目が不登校生徒とのオンラインでの接点づくりについてです。
不登校支援の本筋は、あくまで対面での温かい居場所づくりであり、オンラインがそれに取って代わるものではありません。この点は、まず明確に申し上げておきます。その上で、学校に通いづらい、家からも出づらい児童生徒とどうつながりの糸を持つのか、それは大きな課題だと思っております。
今の子供たちは、本当にゲームをはじめ様々な形で、日常的にインターネットを通じてつながっております。であるならば、行政が居場所をゼロから用意して、ここにおいでと呼びかけるよりも、例えば教育版マインクラフトのように、子供たちが既に親しんでいるオンラインの場所に教員や支援員の側から歩み寄り、接点をつくっていくほうがより自然で効果的ではないでしょうか。
近年の研究によると、ゲームが共通言語となることで、仲間に入るのが苦手な子供でも参加のハードルが下がり、自然な自己表現が生まれるという報告もされております。そして、重要なのは、オンラインでのつながりは最終目的ではなく、リアルな場へ出ていく入り口になり得るということです。最初はゲームがきっかけであっても、やがて子供が外に出る機会を増やし、調理や鬼ごっこといった友人との対面の体験活動にも一緒に取り組めるようになったと、そういった変化が既に不登校に関する研究を通じて報告をされております。
大切なのは、行政がお金をかけてつくりたいものをつくるのではなく、子供たちが既にどこでコミュニケーションを取っているのかを分析し、そこに接点を設けるという発想です。
そこで、お伺いいたします。
こうした子供に寄り添ったオンライン上での接点づくり、コミュニケーションの在り方について、県としてどのように考えるのか。
以上3点、教育長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) まず、1点目、対面での温かい居場所づくりについてお答えします。
不登校支援としましては、まず、未然防止が大切です。これまで県教育委員会では、市町村教育委員会から推薦を受けた小学校教員を対象に、全ての子供にとって学級が安心して楽しく過ごせる居場所となるよう研修を実施しており、その研修を受けた教員を通じて、その成果を地域の学校にも広げています。
また、不登校が深刻化しないよう、スクールカウンセラー等の専門職を配置し、教職員と連携してケース会議を行い、チーム学校として組織的な対応を行っています。
さらに、市町村が設置する教育支援センターにおいて、支援員が常駐し、学習支援や相談支援を行っています。教育支援センターに通うことができない子供には、オンラインを活用した学習機会を提供しています。
また、教員と子供との心のつながりによって、子供自身が大切にされていると実感し、自己肯定感を高めることが重要であることから、県教育委員会が作成した不登校対応基本マニュアルには、子供が安心できる声かけや得意なことを発揮できる場所づくりの手だて等を掲載しています。
今後も、全ての教員に活用の周知徹底を行い、教員の資質向上を図ってまいります。加えて、不登校対応に関する研修の一部を教員が繰り返し視聴できるよう、動画によるオンデマンド配信を行い、学校現場全体への浸透を図ることで、どの学校においても、組織としての対応や子供一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
次に、遠隔授業についてお答えします。
様々な理由で登校できない生徒が学びを継続するための手だての一つとして、自宅など教室外で遠隔授業により学習を進められるよう、全ての県立高校で準備ができています。遠隔授業を受けた場合には、通常の授業と同じく出席扱いとなり、卒業単位としても認める体制も整っています。
次に、学習環境については、授業を行う教室の約86%に無線LANを、同じく約82%に大型提示装置を導入しており、引き続き必要な環境の確保に努めてまいります。あわせて、1人1台端末の貸与等により、生徒は端末を持ち帰ることができ、遠隔による学習を希望した際にも対応可能となっております。
また、教員に対して、遠隔授業を行うためのマニュアルを整備しており、クラウドツールの活用を含めた研修会等も実施しています。
今後も、学びたいという意思のある生徒が学びを止めることのないよう、一人一人の実情に応じた学習機会の確保を進めてまいります。
最後に、不登校生徒とのオンラインでの接点づくりについてお答えします。
不登校支援においては、児童生徒が安心できる居場所をつくることが重要です。そのため、児童生徒の具体的な状況に応じて、オンライン上の空間を居場所として活用することは、一定の効果があると考えます。その際、どのような空間を活用していくかについては、学校教育の中でできるものであること、また、情報セキュリティーが担保されたものであることなど、確認する必要があると考えます。
何より大切なことは、児童生徒が心理的な安心感を持つことや、人と関わる楽しさ、勉強が分かる喜びを感じることです。そのためには、児童生徒の状況に応じた多様で柔軟な支援が必要だと考えます。
こうしたことから、様々な不登校支援の中の選択肢の一つとして、オンライン上の空間の活用についてもしっかりと検討してまいります。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございました。
温かい居場所づくりしかり、遠隔授業の体制しかり、オンラインの居場所づくりもしかり、非常に前向きに御答弁いただき、ありがとうございます。特に遠隔授業の体制は、全ての高校でも実施していくというところで、非常に安心しております。
一方で、その遠隔授業を円滑に行うための教室内の無線LANと大型掲示装置に関しては、100%を早急に目指していただいて、全ての学生が円滑に授業を受けられる環境づくりに一層取り組んでいただきたいと思っております。
ここで強く申し上げたいのは、不登校の生徒一人一人に寄り添い、真に必要な支援を届けていただきたいということです。県内には、約650名以上もの不登校の高校生がいます。この数字に通信制の生徒などは含まれておりませんので、安心して過ごせる居場所や人とつながる場を求めている生徒は、実際にはさらに多いはずです。対面での居場所、遠隔授業、オンラインでの接点づくりといった複数の選択肢を束ね、即効性のある着実な支援として積み重ねていっていただきたい。
その第一歩は、華やかである必要はなく、例えば既に配備されている1人1台端末をより使いやすい形へ一歩進める、そういった足元の改善の積み重ねこそが生徒を支える力になります。引き続き、着実な高校改革を進めていただくよう強く要望いたします。
以上で、教育の話題を終了しまして、続いて、交通に関して、持続可能な地域交通の実現に向けた広域連携・共同化の推進についてでございます。
郡部の小規模なまちにとって、1町単独で持続可能な地域交通を再設計する、いわゆる交通リデザインは、現実的ではございません。県内を見渡せば、御坊・日高、有田、田辺・西牟婁といった生活圏、経済圏の単位で地域交通が成り立っているというふうに思います。
ここで参考になるのが石川県の取組でございます。石川県は、能登半島地震を契機に、奥能登の4市5町で広域協議会を結成し、その中で2市2町では、AIオンデマンド交通のパイロット事業を既に進めております。その際に、県が旗振り役となり、市町村を巻き込んで広域でのデータ分析と実証実験を進めているのです。
翻って、本県では、紀の川市、橋本方面ではMONET Technologies、和歌山市ではSWAT Mobilityなどの事業者との連携が既に点在している状況ではございますが、AIデマンド交通も、需要規模に対して場合によっては過剰となるケースがあり、地域ごとに適切な交通手段を丁寧に見極める必要がございます。交通担当部局がなく、地域公共交通計画が策定できていない自治体も存在しております。人口減少、運転士不足、財政制約に直面する本県の各自治体においてこそ、県が主導して生活圏、経済圏の単位で広域に交通を再構築していくことが不可欠だと考えます。
その上で、今年度予定されている市町村別交通カルテの作成は、各市町村ばらばらの計画ではなく、経済圏単位での共通の方向性を意識した内容としていただきたいです。あわせて、例えばですが、令和8年度に今回のデータ取得とカルテの作成をした上に、令和9年度広域計画の策定と早期の実証、そして、令和10年度に本格的に実証実験を導入していく、これぐらいのスピード感を持って進めていくべきではないでしょうか。
そこで、地域振興部長にお伺いします。
県として、広域での計画策定を前提に、市町村に寄り添いながら、地域交通の再構築をどのように進めていくお考えか、お伺いいたします。
○副議長(佐藤武治君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 地域公共交通は、県民の通勤・通学、通院、買物など、日常生活を支える重要な基盤であり、人口減少や高齢化が進む本県において、その維持確保は大きな課題であると認識しています。
しかしながら、市町村の中には、交通担当部局がない自治体や地域公共交通計画の策定が進んでいない自治体もあり、地域交通の再構築への対応が十分とは言えない状況です。また、実際の生活圏や経済圏においては、市町村域を越える場合も多く、広域的な検討も必要であると認識しております。
そのため県では、令和8年度は、有識者の意見を得ながら、乗降者数や稼働状況など交通関係データの収集やヒアリングを通じて、まずは交通の現状と課題を整理した上で、AIデマンドバスなどの多様な交通モードの活用や市町村をまたがる圏域における交通の再構築など、地域の課題解決に向けた具体的な施策を検討してまいります。
令和9年度には、圏域単位で市町村、交通事業者等と連携しながら、具体的な施策の実証を行うなど、令和10年度の本格導入を念頭に、スピード感を持って、持続可能な地域交通の再構築の実現に向けて取り組んでまいります。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 部長、ありがとうございます。非常に力強い御答弁であったかと思います。
本当に地域の交通課題は、待ったなしの状況でございます。ぜひ、各基礎自治体との連携を密接に進めていただければと思います。
最後の項目になります。
リール動画の県政への思いを県民に届ける媒体としての可能性についてであります。知事にお伺いします。
現在のインスタグラムをはじめとするSNSでは、リール、これはすなわち縦型の短尺動画、大体30秒から1分30秒ぐらいのそういった動画の広報力が圧倒的であり、従来の文字や写真や、いわゆるフィード投稿との差は非常に大きくなっております。限られた広告予算で県政情報のリーチを最大化する上で、このリール動画の活用は極めて有効な手段となっております。
他県では、知事の活動やメッセージをSNSでリール動画で発信する動きが進んでおります。秋田県は、県公式インスタグラム秋田県庁において、「県公式なのに行政らしくない」リール動画をメインに投稿する方針を掲げ、注力しております。石川県では、本年5月、知事室戦略広報課が「みっけいしかわ」を開設し、「県政って意外とおもしろい」をコンセプトに見て楽しいショート動画を週に1回程度配信しており、運用ポリシーも整備、公開されております。いずれも広報課が中心となって、特に知事の活動や知事からのメッセージを発信している事例であります。
翻って、本県では、和歌山県内にただ一人しかいない知事という存在が、県政への思いや日々どのような活動をしているのかを県民に向けて発信していくことが今一層に求められているのではないかということです。県公式SNSという媒体を通じて、知事の思いを県民に届けていく発信は重要であると考えます。
そこで、お伺いします。
知事御自身、県公式SNSにおいて、現在もインスタグラム等のSNSで、現場で感じられた思いを日々発信されているところですが、こうした発信にリール動画を加えていくことは、県政への思いを県民により身近に分かりやすく届ける上では有効ではないかと思います。知事の見解をお伺いさせていただきます。
○副議長(佐藤武治君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 私は、県の政策や私の考えを県民の皆様にお伝えしていくことは非常に大切であると考えておりまして、様々な広報媒体を活用しながら発信に努めております。いや、努めているつもりであります。
インスタグラムをはじめとする県公式SNSにおいても、私が現場に足を運び、県民の皆様と直接触れ合う中で感じた思いなどを積極的に発信しているところであります。
議員御質問のリール動画でありますが、短い時間で視覚的に分かりやすく情報を届けることができ、県政への思いを県民の皆様に身近に感じていただき、親しみを持って受け取っていただける媒体として有効な面があると考えております。
今後、情報発信においては、こうした特性も踏まえ、折に触れて活用してまいりたいと考えております。
○副議長(佐藤武治君) 岩永淳志君。
〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
インスタグラムやフェイスブック等で、和歌山県の公式のインスタグラムの投稿を見ますと、知事御自身が毎日、発信の中の文章をつくられていて、時にはユーモラスなセンスを踏まえた投稿等も見受けられます。折に触れてということでしたので、その折をどうやって増やしていくのかというのが私の使命であるかなあというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ただ一方で、先ほど質問の前に申し上げた秋田県や石川県の他県の事例は、非常に参考になるというふうに思っております。特に石川県の事例は、動画発信にチャレンジしたい若手職員を県庁内で募集して、部局横断でチームを結成し運営されているそうであります。なので、広報課だとなかなかちょっと時間が取れないとか、そういったなかなかお忙しい県庁内の状況であると思いますので、こういった他県の事例を参考にして、より効果的な県政情報の発信をよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(佐藤武治君) 以上で、岩永淳志君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時31分散会

